JP2004364069A - 無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ネットワークの動作状態に応じてアクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させる。
【解決手段】アクセス・ポイントは、非競合期間を利用して受信動作を停止するようにした。アクセス・ポイントに対して接続されている装置が非競合期間を利用するか否かに拘らず、パケットを通信しない暇なときに非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、アクセス制御期間中で通信に用いる時間率を下げる。これにより、アクセス・ポイントの動作率を小さくし、消費電力を低減することができる。
【選択図】 図5
【解決手段】アクセス・ポイントは、非競合期間を利用して受信動作を停止するようにした。アクセス・ポイントに対して接続されている装置が非競合期間を利用するか否かに拘らず、パケットを通信しない暇なときに非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、アクセス制御期間中で通信に用いる時間率を下げる。これにより、アクセス・ポイントの動作率を小さくし、消費電力を低減することができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、端末同士が非競合アクセス又は競合アクセスによりデータ通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、ネットワークの動作状態に応じて消費電力を低減させる無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、アクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させる無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、光ファイバーや同軸ケーブル、あるいはツイストペア・ケーブルを用いて、有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しいとともに、ケーブルの引き回しが煩雑になる。また、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便である。
【0004】
そこで、有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。
【0005】
近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。
【0006】
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
【0007】
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、ポーリングやスロット割り当てなどにより競合を回避するアクセス方式と、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)などように競合をある程度許容するアクセス方式が採用されている。前者の競合を回避するアクセス方式においては、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なうことができる。
【0008】
無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15.3を挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格‥‥などの各種無線通信方式が存在する。
【0009】
ところで、地球環境への配慮から、家庭内の電気製品への消費電力の低減の要求が強くなっている。特に、機器のスタンバイ動作時における消費電力は限りなくゼロに近い数値が望まれている。
【0010】
近年、家庭内におけるネットワークの構築が進んでいるが、これらの装置の消費電力低減はあまり進んでいるとは言えない。したがって、ADSL(Asymmetrical Digital Subscriber Line)モデムや、ルータ、無線LANなどの装置に対する消費電力の低減が今後強く求められることが予想される。
【0011】
無線LANの一般的な使い方として、アクセス・ポイントと複数の無線通信装置によって構成される(前述)。さらに、アクセス・ポイントは、ADSLモデムなどと接続され、これにより家庭内のコンピュータから外部のインターネットへのアクセスが可能となる。
【0012】
無線通信装置として動作する通信機器についてはバッテリ駆動の装置も考えられるため、低消費電力化が検討され、標準仕様にも記述されているものがある。これに対し、アクセス・ポイントとして動作する通信機器については、常時動作させるような使い方が一般的でるため、消費電力の低減に関して配慮されていないのが実情である。
【0013】
また、無線LANで定義されている低電力モードは無線通信装置主導の方式であるため、動作が暇なときにアクセス・ポイントが消費電力を低減するという動作には不向きである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ネットワークの動作状態に応じて消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、アクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセス又は競合アクセスによりデータ通信を行なう無線通信システムであって、
パケットのやりとりの頻度に応じてアクセス制御期間内での非競合期間及び競合期間を設定する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0017】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0018】
本発明では、アクセス・ポイントは、非競合期間を利用して受信動作を停止するようにした。アクセス・ポイントに対して接続されている装置が非競合期間を利用するか否かに拘らず、パケットを通信しない暇なときに非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、アクセス制御期間中で通信に用いる時間率を下げる。これにより、アクセス・ポイントの動作率を小さくし、消費電力を低減することができる。
【0019】
本発明に係る無線ネットワークでは、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、アクセス制御期間における非競合期間及び/又は競合期間の長さをビーコンによって報知する。そして、非競合期間を利用して動作を停止することにより、低消費電力化を実現する。
【0020】
アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、競合期間におけるパケットのやりとりが減少したことに応答して非競合期間を拡張し、非競合期間を利用して動作を停止するようにしてもよい。このような場合、競合期間におけるパケットのやりとりが増加したことに応答して、非競合期間を短縮するようにすればよい。
【0021】
また、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、非競合期間におけるパケットのやりとりが終了したことに応答して、該非競合期間の残りを利用して動作を停止して、低消費電力化を実現することができる。
【0022】
非競合期間では、ポーリング方式やスロット割り当て方式によりアクセス制御が行なわれる。例えば、非競合期間では、アクセス・ポイントはポーリングを用いた通信を行ない、ポーリングに基づく送信が終了した後は該非競合期間の終わりまで動作を停止するようにしてもよい。
【0023】
あるいは、非競合期間では、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局が動作を停止したい期間分だけの架空のスロット予約を行ない、該予約されたスロットの期間における動作を停止するようにしてもよい。
【0024】
また、非競合期間では、アクセス・ポイントとして動作する局が動作を停止していない期間を利用して、端末局はポーリングやスロット割当に基づく競合を回避したデータ通信を行なうことができる。
【0025】
本発明によれば、無線ネットワーク内に非競合期間を用いる通信装置が存在しない場合、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。
【0026】
(1)通常モードでは非競合期間を無くし、競合期間を最大にする。
(2)パケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、非競合期間では動作を停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。パワーセーブ状態では、非競合期間は拡大されアクセス・ポイントが停止し、競合期間は短縮され通信に利用される。
(4)小さくなった競合期間を用いて、通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を無くすことで通常モードに移行する。
【0027】
また、非競合期間を用いる装置が存在する場合には、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。
【0028】
(1)通常モードでは必要に応じて非競合期間を設けて通信を行なう。
(2)競合期間を用いるパケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、非競合期間ではアクセス・ポイントは動作を停止する。このとき、ポーリングを用いた通信がある場合には、ポーリングに基づく送信が終了した後、非競合期間の終わりまでアクセス・ポイントは停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。
(4)小さくなった競合期間を用いて通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を必要最低限にすることで通常状態に移行する。
【0029】
通常モードでは、従来の無線LANの動作と変わらない。パワーセーブ・モードでは、動作率を1%以下にすることが可能であり、消費電力の低減を実現することができる。このとき、非競合期間を必要以上に大きくするが、通信する必要のない場合のため、通信に影響を与えることがない。
【0030】
また、競合期間では、RTS/CTS方式でデータ伝送を行なうようにしてもよい。この場合、RTS信号又はCTS信号を受信した他の局は所定時間だけ送信が禁止される。
【0031】
無線通信装置が競合期間において動作率を低減したい場合には、架空のRTS信号の送信を行ない、該RTS信号で規定される送信禁止期間における動作を停止することができる。
【0032】
また、本発明の第2の側面は、端末同士がデータ通信を行なう無線通信環境下において動作するための無線通信処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記無線通信環境下での通信状態を監視する通信状態監視ステップと、
該監視された通信状態に応じて、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセスを行なう非競合期間並びに競合アクセスを行なう競合期間を設定するアクセス制御期間設定ステップと、
前記非競合期間において間欠動作又は低消費電力動作状態を設定する装置動作制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0033】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0036】
本発明において想定している通信の伝播路は無線であり、且つ複数の周波数チャネルからなる伝送媒体を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
【0037】
また、後述する本発明の実施形態では、アクセス・ポイントの制御下でネットワークを構築する無線ネットワーク・システムを構築することを想定しているが、勿論、アクセス・ポイントを配置せず、各通信局が自律的に動作してCSMAなどの方式に従って直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信などを行なうシステムに対しても同様に本発明を適用することができる。
【0038】
図1には、本発明の一実施形態に係る無線LANシステムの構成を模式的に示している。
【0039】
無線LANは配線することなく、家庭内で容易にネットワークを構築できることから普及が進んでいる。図示の無線LANはアクセス・ポイントと複数の無線通信装置によって構成される。アクセス・ポイントはさらにADSLモデムなどと接続され、これによりコンピュータからインターネット・アクセスが可能となる。
【0040】
図2には、本発明に係る無線通信環境下において、アクセス・ポイントあるいは無線通信装置として動作することができる無線通信機器の機能構成を模式的に示している。この無線通信装置100は、インターフェース101と、データ・バッファ102と、中央制御部103と、無線送信部104と、タイミング制御部105と、アンテナ106と、無線受信部107と、ビーコン生成部110と、ビーコン解析部111と、情報記憶部112とで構成される。
【0041】
インターフェース101は、この無線通信装置100に接続される外部機器(例えば、パーソナル・コンピュータ(図示しない)など)との間で各種情報の交換を行なう。
【0042】
データ・バッファ102は、インターフェース101経由で接続される機器から送られてきたデータや受信したデータをインターフェース101経由で送出する前に一時的に格納しておくために使用される。
【0043】
中央制御部103は、無線通信装置100における一連の情報送信並びに受信処理の管理と伝送路のアクセス制御、並びに低消費電力動作の制御を一元的に行なう。
【0044】
本実施形態では、無線通信装置100は、アクセス・ポイントが配置された無線ネットワーク、あるいはアドホック・ネットワーク環境下において、ビーコン送信間隔で規定されるアクセス制御期間内で、ポーリング又はスロット割り当てを用いる非競合アクセス、並びにCSMA/CAに基づく競合アクセスなどの通信動作を行なう。競合期間においては、RTS/CTS方式を採用することにより、通信品質を維持することができる。また、非競合期間並びに競合期間において動作率の低減による低消費電力化をそれぞれ行なうことができる。
【0045】
無線送信部104は、データ・バッファ102に一時格納されているデータやビーコンを無線送信するために、例えば無線LANフレーム高周波信号として変調処理する。
【0046】
タイミング制御部105は、無線LANフレーム高周波信号を送信・受信するためのタイミングの制御を行なう。例えば、既に獲得した予約領域や、自己のビーコン送信タイミング、他の通信装置からのビーコン受信タイミングなどを制御する。
【0047】
アンテナ106は、他の無線通信装置宛に信号を無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。
【0048】
無線受信部107は、所定の時間に他の無線通信装置から送られてきた情報やビーコンなどの信号を受信処理する。
【0049】
ビーコン生成部110は、近隣にある無線通信装置との間で周期的に交換されるビーコン信号を生成する。但し、アクセス・ポイントとして動作しない無線通信装置などにおいて、ビーコン信号の生成が不要な場合もある。
【0050】
ビーコン解析部111は、受信できた他の無線通信装置のビーコン信号を解析し、無線ネットワークの構成や自己のデータ送受信タイミングを把握する。
【0051】
情報記憶部113は、中央制御部103において実行される一連のアクセス制御動作などの実行手順命令や、ビーコン解析により得られたネットワーク構成情報を蓄えておく。
【0052】
データ送信時には、データ・バッファ102に蓄積されている送信データにヘッダやCRCなどが付加された後、無線送信部104において符号化・変調処理が施された後、アンテナ共用器(図示しない)を経て、アンテナから送信信号が送出される。符号化時には誤り訂正符号が施される。また、変調によりBPSK、QPSK、QAMなどの変調信号に変化され、さらに、所望の搬送波周波数に変換・増幅される。一方、受信信号はアンテナ、アンテナ共用器を経て、復調・復号処理が行なわれ、さらにCRCチェックが行なわれ、誤りがない場合には受信データが出力される。
【0053】
図3には、本発明に係る無線通信環境におけるアクセス制御期間の構成を模式的に示している。
【0054】
図示の通り、1つのアクセス制御期間は、アクセス・ポイントあるいはその他の通信端末から送出されるビーコン送信間隔で規定される。図示の例では、アクセス制御期間は、非競合期間(Contention Free Period:CFP)と競合期間(Contention Period:CP)で構成される。
【0055】
非競合期間は、基本的にパケットの衝突が起こらないことが保証さている期間であり、例えばポーリングやスロット割り当てなどの方式に従いアクセス制御が行なわれる。ポーリング方式の場合、アクセス・ポイントが送信するポーリング・パケットに応答する形で各無線通信装置からのパケット送信が行なわれる。
【0056】
一方、競合期間では、CSMA/CAやアロハなどの方式により、ランダム・アクセスに基づいて、ある程度のパケットの衝突を前提としたアクセス制御が行なわれる。すなわち、各無線通信装置はキャリア・センスすることによって他の無線通信装置が送信中でないことを確認してから送信を開始するが、送信していないことを100%保証できる仕組みではない。
【0057】
なお、無線LANでは、比較的簡単なアクセス制御である後者が広く用いられている。
【0058】
アクセス・ポイントは、周期的にビーコンを送信する。非競合期間が存在する場合には、ビーコンに続く期間が非競合期間となり、その期間の長さに関する情報がビーコンによって通知される。非競合期間が終了すると、アクセス制御期間の残りの期間、すなわち、次のビーコンまでの期間が競合期間となる。アクセス・ポイントは、非競合期間の長さをビーコンで指定するが、予定していた時間より非競合期間の通信が早く終わった場合にはCF_ENDパケットでその終了を無線通信装置に通知することができる。
【0059】
非競合期間を用いた通信は複雑になる。このため、現在市販されている無線LANのほとんどは、非競合期間と競合期間が共存するための機能を持つが、非競合期間で通信する機能は実装されていない。すなわち、CSMA/CAを用いた通信のみが行なわれるのが実情である。このような場合、図4に示すように、ビーコン送信タイミングを除くすべてのアクセス制御期間が競合期間である。
【0060】
CSMA方式によりランダム・アクセスを行なう場合、通信装置は送信時以外では常に受信状態でなければならず、無線通信装置の消費電力が問題となる。ステーションの場合には、ビーコン送信タイミングを基準にして、間欠動作によって消費電力を低減することが可能である。これに対し、アクセス・ポイントの場合、常に動作させなければならず、低消費電力化は難しい。
【0061】
そこで、本実施形態では、アクセス・ポイントは、非競合期間を利用して受信動作を停止するようにした。図5には、非競合期間を用いる装置が存在しない場合において、非競合期間を利用してアクセス・ポイントが停止している様子を示している。アクセス・ポイントに対して接続されている装置が非競合期間を利用するか否かに拘らず、パケットを通信しない暇なときに非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、アクセス制御期間中で通信に用いる時間率を下げる。これにより、アクセス・ポイントの動作率を小さくして、低消費電力化を図ることができる。
【0062】
無線ネットワーク内に非競合期間を用いる通信装置が存在しない場合、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。
【0063】
(1)通常モードでは非競合期間を無くし、競合期間を最大にする。
(2)パケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、逆に競合期間を小さくする。非競合期間では動作を停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。パワーセーブ状態では、非競合期間は拡大され、アクセス・ポイントが停止、競合期間は短縮され通信に利用される。
(4)小さくなった競合期間を用いて、通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を無くすことで通常モードに移行する。
【0064】
通常モードでは、従来の無線LANの動作と変わらない。パワーセーブ・モードでは動作率を1%以下にすることが可能で、消費電力の低減を実現することができる。非競合期間を必要以上に大きくするが、通信する必要のない場合のため、通信に影響を与えることがない。
【0065】
一方、非競合期間を用いる装置が存在する場合には、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。図6には、非競合期間を用いる装置が存在する場合において、非競合期間を利用してアクセス・ポイントが停止している様子を示している。
【0066】
(1)通常モードでは必要に応じて非競合期間を設けて通信を行なう(従来の無線LANと同じ動作)。
(2)競合期間を用いるパケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、逆に競合期間を小さくする。非競合期間ではアクセス・ポイントは動作を停止する。このとき、ポーリングを用いた通信がある場合には、ポーリングに基づく送信が終了した後、非競合期間の終わりまでアクセス・ポイントは停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。
(4)小さくなった競合期間を用いて通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を必要最低限にすることで通常状態に移行する。
【0067】
図7には、非競合期間を用いる装置がない場合における無線通信装置の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0068】
アクセス・ポイント起動後は、まず通常モードで動作する(ステップS1)。ここでは、非競合期間なしに設定し、タイマーをリセットする。但し、タイマーは通信が行なわれなくなってからの時間を測定するものである。
【0069】
次いで、通信が行なわれているかどうかを判断する(ステップS2)。そして、通信が行なわれている間は、タイマーを初期化する(ステップS3)以外に、操作を特に行なわない。
【0070】
通信が行なわれていない場合には、タイマーを更新し(ステップS4)、タイマーがタイムアウトしたかどうか調べる(ステップS5)。
【0071】
タイマーがタイムアウトしてない場合には、通信が行なわれてからあまり時間がたっていないので、ステップS2に戻って、通常動作状態を継続する。
【0072】
一方、タイマーがタイムアウトした場合には、間欠動作設定を行なう(ステップS6)。具体的には、非競合期間を大きくとり、非競合期間においてアクセス・ポイントの受信動作を停止させる。
【0073】
その後、通信が開始されたかどうか調べる。そして、開始された場合には、ステップS1に戻って通常状態に設定する。また、通信が開始されていない場合には、次ステップS7へ進む。
【0074】
無線LANにおいて、一連の通信が終了したかどうかの判断は、上記動作フローではタイマーのタイムアウトを用いて判断を行なっている。
【0075】
非競合期間を用いる装置がある場合にも、図7に示したものとほぼ同様の動作手順となる。但し、ステップS1において、通常モード設定(非競合期間無し)とあるが、通常モード設定(必要な非競合期間のみ確保)となる。
【0076】
上述した本発明の実施形態では、非競合期間についてポーリング方式を、競合期間についてはCSMA方式を用いるシステムを想定して説明を行なったが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない、例えば、非競合期間の方式としては、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重接続)方式で一般的に利用されているスロット割り当て方式を採用し、また競合期間の方式としてはアロハ方式を採用することができ、本発明を広く適用できる。
【0077】
無線通信装置は非競合期間と競合期間を共存させるために必要な機能は持ち合わせているので、アクセス・ポイントのみの対応で本発明に係るアクセス・ポイントの低消費電力化を実現することができる。本発明によれば、ステーションとして動作する無線通信装置の低消費電力化も可能であるが、これについては無線通信装置の対応が必要である。
【0078】
無線ネットワークにおけるアクセス制御期間はビーコン送信間隔で規定されることは既に述べた。以下では、アクセス制御期間がフレーム構造をとり、スロット割当期間とランダム・アクセス期間に分けられる場合について説明する。
【0079】
図8には、フレームがスロット割り当てによる非競合期間とランダム・アクセス期間に分けられる様子を示している。
【0080】
スロット割り当てによる非競合期間では、各無線通信装置があらかじめ使用するスロットを予約してデータ伝送を行なう。このスロット割当期間は、予約されたスロットの総数により増減するのが通例である。
【0081】
図示の例ではスロット割当期間の後はランダム・アクセス期間となっている。ランダム・アクセス期間では、CSMA/CAなどの方式により予約無しの通信が行なわれる。
【0082】
図9には、ランダム・アクセス期間を短縮するとともに、非競合期間においてダミースロットを配置することによってアクセス・ポイントの低消費電力化を実現した例を示している。
【0083】
ここで言うダミースロットとは、スロット予約を行なうが実際に通信を行なわない、言わば架空のスロットを意味している。アクセス・ポイントは動作を停止したい期間分のスロット予約を行ない、その期間の動作を停止する。また、ランダム・アクセスを行なう局がない(又は少ない)ときには、ランダム・アクセス期間を短縮し、その分だけスロット割当期間を拡張することができる。すなわち、アクセス・ポイントは、通信を行なうことができる最低限のランダム・アクセス期間を残し、残りの期間をダミースロットとして予約することにより、消費電力を非常に小さく抑えることができる。
【0084】
図10には、スロット割り当てにより伝送が行なわれているアクセス制御期間を示している。同図に示す例では、非競合期間において2つの正規のスロット割り当てが行なわれ、その残りの非競合期間にダミースロットの割り当てが行なわれている。
【0085】
ダミースロットの期間では、アクセス・ポイントの動作が停止され、低消費電力化が図られる。通信のために割り当てられたスロットについては、アクセス・ポイントが送受信に絡まないのであれば停止することが可能である(同図に示す例では動作と記述している)。また、ランダム・アクセス期間では、アクセス・ポイントは動作しなければならない。
【0086】
図11には、ダミースロットの割り当てにより無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0087】
アクセス・ポイントが起動した後、まず通常モードで動作する(ステップS11)。ここでは、ダミースロット無しとし、タイマーをリセットする。タイマーは通信が行なわれなくなってからの時間を測定するものである。
【0088】
次いで、通信が行なわれているかどうか判断する(ステップS12)。そして、通信が行なわれている間は、タイマーを初期化する(ステップS13)以外に、操作を特に行なわない。
【0089】
通信が行なわれていない場合には、タイマーを更新し(ステップS14)、タイマーがタイムアウトかどうかを調べる(ステップS15)。
【0090】
タイマーがタイムアウトしていない場合には、通信が行なわれてからあまり時間が経っていないので、ステップS12に戻って、通常の通信動作状態を継続する。
【0091】
一方、タイマーがタイムアウトした場合には、間欠動作設定を行なう(ステップS16)。具体的には、ダミースロット期間を大きくとり、その期間でアクセス・ポイントの受信動作を停止させる。
【0092】
その後、通信が開始されたかどうかを調べる(ステップS17)。そして、通信が開始された場合には、ステップS11に戻って、通常状態に設定する。また、通信が開始されていない場合には、通信が開始されるまで待機する。
【0093】
なお、本明細書ではアクセス・ポイントが存在するシステムを用いてダミースロット割り当てによるアクセス・ポイントの低消費電力動作について説明を行なったが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、すべての無線通信装置がビーコンを出すようなシステムにも適用可能であり、例えば送受信が行なわれていない場合に、ビーコンに続く所定の期間を予約して動作停止を行なうことにより消費電力の低減を実現することができる。
【0094】
上述した本発明の各実施形態では、アクセス制御期間は非競合期間と競合期間で構成され、アクセス・ポイント又はその他の端末は非競合期間を利用して低消費電力動作を行なうものである。ところが、無線LANでは、アクセス制御が比較的簡単で済む競合期間しか持たない場合が多い。そこで、以下では、競合期間を利用してアクセス・ポイント又はその他の端末が低消費電力動作を行なう実施形態について説明する。
【0095】
ランダム・アクセスが行なわれる通信環境下において、衝突を回避し通信品質を向上させる手段としてRTS/CTS方式が知られている。すなわち、この場合、正味の情報の送信に先立ち、送信元通信装置はRTS(Request to Send:送信要求)を送信し、受信先通信装置がこのRTSを受信してデータを受信可能であれば、その応答としてCTS(Clear to Send:受信準備完了)を返す。そして、RTS/CTSの情報交換により装置間でコネクションが確立した後にデータ伝送を実行する。
【0096】
図12には、RTS/CTSに基づくデータ送受信シーケンス例を示している。同図に示す例は、送信元無線通信装置#1から受信先無線通信装置#2へデータ伝送が行なわれる場合のシーケンスである。
【0097】
まず、無線通信装置#1から無線通信装置#2へデータを送信するに先立ち、無線通信装置#1において伝送路が空き状態であることを検出した後に、所定のプリアンブル信号P(131)と、RTS信号(132)を送信する。
【0098】
ここで、RTS信号には、CTSとそれに続くデータ、ACKの送信に必要な時間情報が記載され、このRTS信号を受信できた周辺の無線通信装置は、その期間は信号の送信を停止することで衝突回避動作を行なう。図示の例では、無線通信装置#0が、無線通信装置#1のRTS信号を受信したことによって、その受信時刻情報から、自己からの送信を控える時間(送信待機期間)を設定する動作を行なう。
【0099】
さらに、無線通信装置#2が前記RTS信号を受信できて、なお且つその後のデータ受信が可能であれば、所定のプリアンブル信号P(133)と、CTS信号(134)を返信する。
【0100】
CTS信号には、データの受信が終了するまでの時間情報が記載され、このCTS信号を受信できた周辺の無線通信装置は、その期間は信号の送信を停止することで衝突回避動作を行なう。図示の例では、無線通信装置#3が、無線通信装置#2のCTS信号を受信したことによって、その受信時刻情報から、自己からの送信を控える時間(送信待機期間)を設定する動作を行なう。
【0101】
そして、このCTS信号を受信できた無線通信装置#1では、CTS信号で記載された時間にわたり、所定のプリアンブル信号P(135)とデータData(136)の送信処理を行なうとともに、無線通信装置#2では、同時にデータData(136)の受信動作を行なう。
【0102】
このとき、無線通信装置#0では、無線通信装置#1からのデータ通信が行なわれることを、データData(136)のヘッダ情報Head(図示しない)から把握し、このデータ通信持続時間にわたり、無線通信装置#1宛ての送信が行なわない制御を行なうようにしても良い。
【0103】
この他に必要に応じて、データの受信が正しく行なわれたか否かをACK情報を返送しない場合には、RTSが示す時間情報はCTSとデータを送信するのに必要な長さである。
【0104】
RTS−CTSの本来の目的は、送信側の無線通信装置がRTS信号を送信して送信無線通信装置周囲に対して送信禁止を促すとともに、受信側の無線通信装置がCTS信号を返すことにより受信無線通信装置周囲に対して送信禁止を促すことで、衝突の低減を図ることである。
【0105】
これに対し、本実施形態では、ダミーのRTS信号を送信することで、周囲の無線通信装置からデータ送信が行なわれない、すなわち自己が受信動作を行なわなくて済む期間を確保することにより、動作率を低減することを実現する。
【0106】
図13には、ダミーのRTS信号を送信することにより、動作率の低減を実現した例を示している。
【0107】
図示の通り、無線通信装置は、ダミーのRTSは架空(存在しない)の無線通信装置に対するRTS信号を送信して、送信禁止を周囲の無線通信装置に促すことにより、受信動作を停止することができる。
【0108】
動作停止期間(RTSと後続の送信期間)同士には他の無線通信装置が送信開始出来るだけの時間間隔をあけておく。他の無線通信装置による送信が行なわれたら、ダミーのRTS信号を送信することを停止し、スループットの低下を避ける。通信が行なわれなくなったら、ダミーRTS信号を送信して、省電力化を図る。
【0109】
図14には、ダミーRTS信号の送信により無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0110】
アクセス・ポイントが起動した後、まず通常モードで動作する(ステップS21)。ここでは、ダミーRTS信号無しとし、タイマーをリセットする。タイマーは通信が行なわれなくなってからの時間を測定するものである。
【0111】
次いで、通信が行なわれているかどうか判断する(ステップS22)。そして、通信が行なわれている間は、タイマーを初期化する(ステップS23)以外に、操作を特に行なわない。
【0112】
通信が行なわれていない場合には、タイマーを更新し(ステップS24)、タイマーがタイムアウトかどうかを調べる(ステップS25)。
【0113】
タイマーがタイムアウトしていない場合には、通信が行なわれてからあまり時間が経っていないので、ステップS22に戻って、通常動作状態を継続する。
【0114】
一方、タイマーがタイムアウトした場合には、間欠動作設定を行なう(ステップS26)。具体的には、周囲の局の送信禁止期間を設定したダミーRTS信号を送信し、その期間でアクセス・ポイントの受信動作を停止させる。
【0115】
その後、通信が開始されたかどうかを調べる(ステップS27)。そして、通信が開始された場合には、ステップS21に戻って、通常状態に設定する。また、通信が開始されていない場合には、通信が開始されるまで待機する。
【0116】
なお、RTS/CTS方式に基づく無線通信システムにおいては、RTS信号又はCTS信号を受信した通信相手以外の局は、そのデータ送受信とは無関係であることを確認し、RTS信号又はCTS信号で指定された期間だけ動作を停止し、省電力化を図ることができる。
【0117】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0118】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、ネットワークの動作状態に応じて消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0119】
また、本発明によれば、アクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0120】
本発明によれば、アクセス・ポイントに接続されている装置が非競合期間を利用するか否かにかかわらず、パケットを通信しない暇なときにアクセス・ポイントが非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、通信に用いる時間率を下げるとことにより、アクセス・ポイントの動作率を低減させることができる。
【0121】
また、本発明によれば、無線通信装置の機能変更を伴うことがない。アクセス・ポイントの簡単な機能修正で低消費電力化を実現することができる。
【0122】
また、本発明によれば、既存の無線LANの動作に不都合を生じることなくアクセス・ポイントの低消費電力化が実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線LANシステムの構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明に係る無線通信環境下において、アクセス・ポイントあるいは無線通信装置として動作することができる無線通信機器の機能構成を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係る無線通信環境におけるアクセス制御期間の構成を模式的に示した図である。
【図4】非競合期間で通信する機能が実装されず、ビーコン送信タイミングを除くすべてのアクセス制御期間が競合期間となっている様子を示した図である。
【図5】非競合期間を用いる装置が存在しない場合において、アクセス・ポイントが非競合期間を利用して受信動作を停止する様子を示した図である。
【図6】非競合期間を用いる装置が存在する場合において、アクセス・ポイントが非競合期間を利用して受信動作を停止する様子を示した図である。
【図7】非競合期間を用いる装置がない場合における無線通信装置の動作手順を示したフローチャートである。
【図8】スロット割り当て期間とランダム・アクセス期間に分けられるフレーム構造を示した図である。
【図9】非競合期間においてダミースロットを配置することによってアクセス・ポイントの低消費電力化を実現した例を示した図である。
【図10】スロット割り当てにより伝送が行なわれているアクセス制御期間を示した図である。
【図11】ダミースロットの割り当てにより無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
【図12】RTS/CTSに基づくデータ送受信シーケンス例を示した図である。
【図13】ダミーのRTS信号を送信することにより、動作率の低減を実現した例を示した図である。
【図14】ダミーRTS信号の送信により無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
100…無線通信装置
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…無線送信部
105…タイミング制御部
106…アンテナ
107…無線受信部
110…ビーコン生成部
111…ビーコン解析部
112…情報記憶部
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、端末同士が非競合アクセス又は競合アクセスによりデータ通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、ネットワークの動作状態に応じて消費電力を低減させる無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、アクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させる無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、光ファイバーや同軸ケーブル、あるいはツイストペア・ケーブルを用いて、有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しいとともに、ケーブルの引き回しが煩雑になる。また、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便である。
【0004】
そこで、有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。
【0005】
近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。
【0006】
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
【0007】
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、ポーリングやスロット割り当てなどにより競合を回避するアクセス方式と、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)などように競合をある程度許容するアクセス方式が採用されている。前者の競合を回避するアクセス方式においては、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なうことができる。
【0008】
無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15.3を挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格‥‥などの各種無線通信方式が存在する。
【0009】
ところで、地球環境への配慮から、家庭内の電気製品への消費電力の低減の要求が強くなっている。特に、機器のスタンバイ動作時における消費電力は限りなくゼロに近い数値が望まれている。
【0010】
近年、家庭内におけるネットワークの構築が進んでいるが、これらの装置の消費電力低減はあまり進んでいるとは言えない。したがって、ADSL(Asymmetrical Digital Subscriber Line)モデムや、ルータ、無線LANなどの装置に対する消費電力の低減が今後強く求められることが予想される。
【0011】
無線LANの一般的な使い方として、アクセス・ポイントと複数の無線通信装置によって構成される(前述)。さらに、アクセス・ポイントは、ADSLモデムなどと接続され、これにより家庭内のコンピュータから外部のインターネットへのアクセスが可能となる。
【0012】
無線通信装置として動作する通信機器についてはバッテリ駆動の装置も考えられるため、低消費電力化が検討され、標準仕様にも記述されているものがある。これに対し、アクセス・ポイントとして動作する通信機器については、常時動作させるような使い方が一般的でるため、消費電力の低減に関して配慮されていないのが実情である。
【0013】
また、無線LANで定義されている低電力モードは無線通信装置主導の方式であるため、動作が暇なときにアクセス・ポイントが消費電力を低減するという動作には不向きである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ネットワークの動作状態に応じて消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、アクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセス又は競合アクセスによりデータ通信を行なう無線通信システムであって、
パケットのやりとりの頻度に応じてアクセス制御期間内での非競合期間及び競合期間を設定する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0017】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0018】
本発明では、アクセス・ポイントは、非競合期間を利用して受信動作を停止するようにした。アクセス・ポイントに対して接続されている装置が非競合期間を利用するか否かに拘らず、パケットを通信しない暇なときに非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、アクセス制御期間中で通信に用いる時間率を下げる。これにより、アクセス・ポイントの動作率を小さくし、消費電力を低減することができる。
【0019】
本発明に係る無線ネットワークでは、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、アクセス制御期間における非競合期間及び/又は競合期間の長さをビーコンによって報知する。そして、非競合期間を利用して動作を停止することにより、低消費電力化を実現する。
【0020】
アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、競合期間におけるパケットのやりとりが減少したことに応答して非競合期間を拡張し、非競合期間を利用して動作を停止するようにしてもよい。このような場合、競合期間におけるパケットのやりとりが増加したことに応答して、非競合期間を短縮するようにすればよい。
【0021】
また、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、非競合期間におけるパケットのやりとりが終了したことに応答して、該非競合期間の残りを利用して動作を停止して、低消費電力化を実現することができる。
【0022】
非競合期間では、ポーリング方式やスロット割り当て方式によりアクセス制御が行なわれる。例えば、非競合期間では、アクセス・ポイントはポーリングを用いた通信を行ない、ポーリングに基づく送信が終了した後は該非競合期間の終わりまで動作を停止するようにしてもよい。
【0023】
あるいは、非競合期間では、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局が動作を停止したい期間分だけの架空のスロット予約を行ない、該予約されたスロットの期間における動作を停止するようにしてもよい。
【0024】
また、非競合期間では、アクセス・ポイントとして動作する局が動作を停止していない期間を利用して、端末局はポーリングやスロット割当に基づく競合を回避したデータ通信を行なうことができる。
【0025】
本発明によれば、無線ネットワーク内に非競合期間を用いる通信装置が存在しない場合、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。
【0026】
(1)通常モードでは非競合期間を無くし、競合期間を最大にする。
(2)パケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、非競合期間では動作を停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。パワーセーブ状態では、非競合期間は拡大されアクセス・ポイントが停止し、競合期間は短縮され通信に利用される。
(4)小さくなった競合期間を用いて、通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を無くすことで通常モードに移行する。
【0027】
また、非競合期間を用いる装置が存在する場合には、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。
【0028】
(1)通常モードでは必要に応じて非競合期間を設けて通信を行なう。
(2)競合期間を用いるパケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、非競合期間ではアクセス・ポイントは動作を停止する。このとき、ポーリングを用いた通信がある場合には、ポーリングに基づく送信が終了した後、非競合期間の終わりまでアクセス・ポイントは停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。
(4)小さくなった競合期間を用いて通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を必要最低限にすることで通常状態に移行する。
【0029】
通常モードでは、従来の無線LANの動作と変わらない。パワーセーブ・モードでは、動作率を1%以下にすることが可能であり、消費電力の低減を実現することができる。このとき、非競合期間を必要以上に大きくするが、通信する必要のない場合のため、通信に影響を与えることがない。
【0030】
また、競合期間では、RTS/CTS方式でデータ伝送を行なうようにしてもよい。この場合、RTS信号又はCTS信号を受信した他の局は所定時間だけ送信が禁止される。
【0031】
無線通信装置が競合期間において動作率を低減したい場合には、架空のRTS信号の送信を行ない、該RTS信号で規定される送信禁止期間における動作を停止することができる。
【0032】
また、本発明の第2の側面は、端末同士がデータ通信を行なう無線通信環境下において動作するための無線通信処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記無線通信環境下での通信状態を監視する通信状態監視ステップと、
該監視された通信状態に応じて、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセスを行なう非競合期間並びに競合アクセスを行なう競合期間を設定するアクセス制御期間設定ステップと、
前記非競合期間において間欠動作又は低消費電力動作状態を設定する装置動作制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0033】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0036】
本発明において想定している通信の伝播路は無線であり、且つ複数の周波数チャネルからなる伝送媒体を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
【0037】
また、後述する本発明の実施形態では、アクセス・ポイントの制御下でネットワークを構築する無線ネットワーク・システムを構築することを想定しているが、勿論、アクセス・ポイントを配置せず、各通信局が自律的に動作してCSMAなどの方式に従って直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信などを行なうシステムに対しても同様に本発明を適用することができる。
【0038】
図1には、本発明の一実施形態に係る無線LANシステムの構成を模式的に示している。
【0039】
無線LANは配線することなく、家庭内で容易にネットワークを構築できることから普及が進んでいる。図示の無線LANはアクセス・ポイントと複数の無線通信装置によって構成される。アクセス・ポイントはさらにADSLモデムなどと接続され、これによりコンピュータからインターネット・アクセスが可能となる。
【0040】
図2には、本発明に係る無線通信環境下において、アクセス・ポイントあるいは無線通信装置として動作することができる無線通信機器の機能構成を模式的に示している。この無線通信装置100は、インターフェース101と、データ・バッファ102と、中央制御部103と、無線送信部104と、タイミング制御部105と、アンテナ106と、無線受信部107と、ビーコン生成部110と、ビーコン解析部111と、情報記憶部112とで構成される。
【0041】
インターフェース101は、この無線通信装置100に接続される外部機器(例えば、パーソナル・コンピュータ(図示しない)など)との間で各種情報の交換を行なう。
【0042】
データ・バッファ102は、インターフェース101経由で接続される機器から送られてきたデータや受信したデータをインターフェース101経由で送出する前に一時的に格納しておくために使用される。
【0043】
中央制御部103は、無線通信装置100における一連の情報送信並びに受信処理の管理と伝送路のアクセス制御、並びに低消費電力動作の制御を一元的に行なう。
【0044】
本実施形態では、無線通信装置100は、アクセス・ポイントが配置された無線ネットワーク、あるいはアドホック・ネットワーク環境下において、ビーコン送信間隔で規定されるアクセス制御期間内で、ポーリング又はスロット割り当てを用いる非競合アクセス、並びにCSMA/CAに基づく競合アクセスなどの通信動作を行なう。競合期間においては、RTS/CTS方式を採用することにより、通信品質を維持することができる。また、非競合期間並びに競合期間において動作率の低減による低消費電力化をそれぞれ行なうことができる。
【0045】
無線送信部104は、データ・バッファ102に一時格納されているデータやビーコンを無線送信するために、例えば無線LANフレーム高周波信号として変調処理する。
【0046】
タイミング制御部105は、無線LANフレーム高周波信号を送信・受信するためのタイミングの制御を行なう。例えば、既に獲得した予約領域や、自己のビーコン送信タイミング、他の通信装置からのビーコン受信タイミングなどを制御する。
【0047】
アンテナ106は、他の無線通信装置宛に信号を無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。
【0048】
無線受信部107は、所定の時間に他の無線通信装置から送られてきた情報やビーコンなどの信号を受信処理する。
【0049】
ビーコン生成部110は、近隣にある無線通信装置との間で周期的に交換されるビーコン信号を生成する。但し、アクセス・ポイントとして動作しない無線通信装置などにおいて、ビーコン信号の生成が不要な場合もある。
【0050】
ビーコン解析部111は、受信できた他の無線通信装置のビーコン信号を解析し、無線ネットワークの構成や自己のデータ送受信タイミングを把握する。
【0051】
情報記憶部113は、中央制御部103において実行される一連のアクセス制御動作などの実行手順命令や、ビーコン解析により得られたネットワーク構成情報を蓄えておく。
【0052】
データ送信時には、データ・バッファ102に蓄積されている送信データにヘッダやCRCなどが付加された後、無線送信部104において符号化・変調処理が施された後、アンテナ共用器(図示しない)を経て、アンテナから送信信号が送出される。符号化時には誤り訂正符号が施される。また、変調によりBPSK、QPSK、QAMなどの変調信号に変化され、さらに、所望の搬送波周波数に変換・増幅される。一方、受信信号はアンテナ、アンテナ共用器を経て、復調・復号処理が行なわれ、さらにCRCチェックが行なわれ、誤りがない場合には受信データが出力される。
【0053】
図3には、本発明に係る無線通信環境におけるアクセス制御期間の構成を模式的に示している。
【0054】
図示の通り、1つのアクセス制御期間は、アクセス・ポイントあるいはその他の通信端末から送出されるビーコン送信間隔で規定される。図示の例では、アクセス制御期間は、非競合期間(Contention Free Period:CFP)と競合期間(Contention Period:CP)で構成される。
【0055】
非競合期間は、基本的にパケットの衝突が起こらないことが保証さている期間であり、例えばポーリングやスロット割り当てなどの方式に従いアクセス制御が行なわれる。ポーリング方式の場合、アクセス・ポイントが送信するポーリング・パケットに応答する形で各無線通信装置からのパケット送信が行なわれる。
【0056】
一方、競合期間では、CSMA/CAやアロハなどの方式により、ランダム・アクセスに基づいて、ある程度のパケットの衝突を前提としたアクセス制御が行なわれる。すなわち、各無線通信装置はキャリア・センスすることによって他の無線通信装置が送信中でないことを確認してから送信を開始するが、送信していないことを100%保証できる仕組みではない。
【0057】
なお、無線LANでは、比較的簡単なアクセス制御である後者が広く用いられている。
【0058】
アクセス・ポイントは、周期的にビーコンを送信する。非競合期間が存在する場合には、ビーコンに続く期間が非競合期間となり、その期間の長さに関する情報がビーコンによって通知される。非競合期間が終了すると、アクセス制御期間の残りの期間、すなわち、次のビーコンまでの期間が競合期間となる。アクセス・ポイントは、非競合期間の長さをビーコンで指定するが、予定していた時間より非競合期間の通信が早く終わった場合にはCF_ENDパケットでその終了を無線通信装置に通知することができる。
【0059】
非競合期間を用いた通信は複雑になる。このため、現在市販されている無線LANのほとんどは、非競合期間と競合期間が共存するための機能を持つが、非競合期間で通信する機能は実装されていない。すなわち、CSMA/CAを用いた通信のみが行なわれるのが実情である。このような場合、図4に示すように、ビーコン送信タイミングを除くすべてのアクセス制御期間が競合期間である。
【0060】
CSMA方式によりランダム・アクセスを行なう場合、通信装置は送信時以外では常に受信状態でなければならず、無線通信装置の消費電力が問題となる。ステーションの場合には、ビーコン送信タイミングを基準にして、間欠動作によって消費電力を低減することが可能である。これに対し、アクセス・ポイントの場合、常に動作させなければならず、低消費電力化は難しい。
【0061】
そこで、本実施形態では、アクセス・ポイントは、非競合期間を利用して受信動作を停止するようにした。図5には、非競合期間を用いる装置が存在しない場合において、非競合期間を利用してアクセス・ポイントが停止している様子を示している。アクセス・ポイントに対して接続されている装置が非競合期間を利用するか否かに拘らず、パケットを通信しない暇なときに非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、アクセス制御期間中で通信に用いる時間率を下げる。これにより、アクセス・ポイントの動作率を小さくして、低消費電力化を図ることができる。
【0062】
無線ネットワーク内に非競合期間を用いる通信装置が存在しない場合、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。
【0063】
(1)通常モードでは非競合期間を無くし、競合期間を最大にする。
(2)パケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、逆に競合期間を小さくする。非競合期間では動作を停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。パワーセーブ状態では、非競合期間は拡大され、アクセス・ポイントが停止、競合期間は短縮され通信に利用される。
(4)小さくなった競合期間を用いて、通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を無くすことで通常モードに移行する。
【0064】
通常モードでは、従来の無線LANの動作と変わらない。パワーセーブ・モードでは動作率を1%以下にすることが可能で、消費電力の低減を実現することができる。非競合期間を必要以上に大きくするが、通信する必要のない場合のため、通信に影響を与えることがない。
【0065】
一方、非競合期間を用いる装置が存在する場合には、無線ネットワークの動作は以下の通りとなる。図6には、非競合期間を用いる装置が存在する場合において、非競合期間を利用してアクセス・ポイントが停止している様子を示している。
【0066】
(1)通常モードでは必要に応じて非競合期間を設けて通信を行なう(従来の無線LANと同じ動作)。
(2)競合期間を用いるパケットのやりとりが無くなったとき、アクセス・ポイントは非競合期間を大きくとり、逆に競合期間を小さくする。非競合期間ではアクセス・ポイントは動作を停止する。このとき、ポーリングを用いた通信がある場合には、ポーリングに基づく送信が終了した後、非競合期間の終わりまでアクセス・ポイントは停止する(パワーセーブ・モード)。
(3)パワーセーブ・モードでは、無線通信装置からの送信は短縮された競合期間で行なう。
(4)小さくなった競合期間を用いて通信が始まった場合には、アクセス・ポイントは非競合期間を必要最低限にすることで通常状態に移行する。
【0067】
図7には、非競合期間を用いる装置がない場合における無線通信装置の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0068】
アクセス・ポイント起動後は、まず通常モードで動作する(ステップS1)。ここでは、非競合期間なしに設定し、タイマーをリセットする。但し、タイマーは通信が行なわれなくなってからの時間を測定するものである。
【0069】
次いで、通信が行なわれているかどうかを判断する(ステップS2)。そして、通信が行なわれている間は、タイマーを初期化する(ステップS3)以外に、操作を特に行なわない。
【0070】
通信が行なわれていない場合には、タイマーを更新し(ステップS4)、タイマーがタイムアウトしたかどうか調べる(ステップS5)。
【0071】
タイマーがタイムアウトしてない場合には、通信が行なわれてからあまり時間がたっていないので、ステップS2に戻って、通常動作状態を継続する。
【0072】
一方、タイマーがタイムアウトした場合には、間欠動作設定を行なう(ステップS6)。具体的には、非競合期間を大きくとり、非競合期間においてアクセス・ポイントの受信動作を停止させる。
【0073】
その後、通信が開始されたかどうか調べる。そして、開始された場合には、ステップS1に戻って通常状態に設定する。また、通信が開始されていない場合には、次ステップS7へ進む。
【0074】
無線LANにおいて、一連の通信が終了したかどうかの判断は、上記動作フローではタイマーのタイムアウトを用いて判断を行なっている。
【0075】
非競合期間を用いる装置がある場合にも、図7に示したものとほぼ同様の動作手順となる。但し、ステップS1において、通常モード設定(非競合期間無し)とあるが、通常モード設定(必要な非競合期間のみ確保)となる。
【0076】
上述した本発明の実施形態では、非競合期間についてポーリング方式を、競合期間についてはCSMA方式を用いるシステムを想定して説明を行なったが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない、例えば、非競合期間の方式としては、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重接続)方式で一般的に利用されているスロット割り当て方式を採用し、また競合期間の方式としてはアロハ方式を採用することができ、本発明を広く適用できる。
【0077】
無線通信装置は非競合期間と競合期間を共存させるために必要な機能は持ち合わせているので、アクセス・ポイントのみの対応で本発明に係るアクセス・ポイントの低消費電力化を実現することができる。本発明によれば、ステーションとして動作する無線通信装置の低消費電力化も可能であるが、これについては無線通信装置の対応が必要である。
【0078】
無線ネットワークにおけるアクセス制御期間はビーコン送信間隔で規定されることは既に述べた。以下では、アクセス制御期間がフレーム構造をとり、スロット割当期間とランダム・アクセス期間に分けられる場合について説明する。
【0079】
図8には、フレームがスロット割り当てによる非競合期間とランダム・アクセス期間に分けられる様子を示している。
【0080】
スロット割り当てによる非競合期間では、各無線通信装置があらかじめ使用するスロットを予約してデータ伝送を行なう。このスロット割当期間は、予約されたスロットの総数により増減するのが通例である。
【0081】
図示の例ではスロット割当期間の後はランダム・アクセス期間となっている。ランダム・アクセス期間では、CSMA/CAなどの方式により予約無しの通信が行なわれる。
【0082】
図9には、ランダム・アクセス期間を短縮するとともに、非競合期間においてダミースロットを配置することによってアクセス・ポイントの低消費電力化を実現した例を示している。
【0083】
ここで言うダミースロットとは、スロット予約を行なうが実際に通信を行なわない、言わば架空のスロットを意味している。アクセス・ポイントは動作を停止したい期間分のスロット予約を行ない、その期間の動作を停止する。また、ランダム・アクセスを行なう局がない(又は少ない)ときには、ランダム・アクセス期間を短縮し、その分だけスロット割当期間を拡張することができる。すなわち、アクセス・ポイントは、通信を行なうことができる最低限のランダム・アクセス期間を残し、残りの期間をダミースロットとして予約することにより、消費電力を非常に小さく抑えることができる。
【0084】
図10には、スロット割り当てにより伝送が行なわれているアクセス制御期間を示している。同図に示す例では、非競合期間において2つの正規のスロット割り当てが行なわれ、その残りの非競合期間にダミースロットの割り当てが行なわれている。
【0085】
ダミースロットの期間では、アクセス・ポイントの動作が停止され、低消費電力化が図られる。通信のために割り当てられたスロットについては、アクセス・ポイントが送受信に絡まないのであれば停止することが可能である(同図に示す例では動作と記述している)。また、ランダム・アクセス期間では、アクセス・ポイントは動作しなければならない。
【0086】
図11には、ダミースロットの割り当てにより無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0087】
アクセス・ポイントが起動した後、まず通常モードで動作する(ステップS11)。ここでは、ダミースロット無しとし、タイマーをリセットする。タイマーは通信が行なわれなくなってからの時間を測定するものである。
【0088】
次いで、通信が行なわれているかどうか判断する(ステップS12)。そして、通信が行なわれている間は、タイマーを初期化する(ステップS13)以外に、操作を特に行なわない。
【0089】
通信が行なわれていない場合には、タイマーを更新し(ステップS14)、タイマーがタイムアウトかどうかを調べる(ステップS15)。
【0090】
タイマーがタイムアウトしていない場合には、通信が行なわれてからあまり時間が経っていないので、ステップS12に戻って、通常の通信動作状態を継続する。
【0091】
一方、タイマーがタイムアウトした場合には、間欠動作設定を行なう(ステップS16)。具体的には、ダミースロット期間を大きくとり、その期間でアクセス・ポイントの受信動作を停止させる。
【0092】
その後、通信が開始されたかどうかを調べる(ステップS17)。そして、通信が開始された場合には、ステップS11に戻って、通常状態に設定する。また、通信が開始されていない場合には、通信が開始されるまで待機する。
【0093】
なお、本明細書ではアクセス・ポイントが存在するシステムを用いてダミースロット割り当てによるアクセス・ポイントの低消費電力動作について説明を行なったが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、すべての無線通信装置がビーコンを出すようなシステムにも適用可能であり、例えば送受信が行なわれていない場合に、ビーコンに続く所定の期間を予約して動作停止を行なうことにより消費電力の低減を実現することができる。
【0094】
上述した本発明の各実施形態では、アクセス制御期間は非競合期間と競合期間で構成され、アクセス・ポイント又はその他の端末は非競合期間を利用して低消費電力動作を行なうものである。ところが、無線LANでは、アクセス制御が比較的簡単で済む競合期間しか持たない場合が多い。そこで、以下では、競合期間を利用してアクセス・ポイント又はその他の端末が低消費電力動作を行なう実施形態について説明する。
【0095】
ランダム・アクセスが行なわれる通信環境下において、衝突を回避し通信品質を向上させる手段としてRTS/CTS方式が知られている。すなわち、この場合、正味の情報の送信に先立ち、送信元通信装置はRTS(Request to Send:送信要求)を送信し、受信先通信装置がこのRTSを受信してデータを受信可能であれば、その応答としてCTS(Clear to Send:受信準備完了)を返す。そして、RTS/CTSの情報交換により装置間でコネクションが確立した後にデータ伝送を実行する。
【0096】
図12には、RTS/CTSに基づくデータ送受信シーケンス例を示している。同図に示す例は、送信元無線通信装置#1から受信先無線通信装置#2へデータ伝送が行なわれる場合のシーケンスである。
【0097】
まず、無線通信装置#1から無線通信装置#2へデータを送信するに先立ち、無線通信装置#1において伝送路が空き状態であることを検出した後に、所定のプリアンブル信号P(131)と、RTS信号(132)を送信する。
【0098】
ここで、RTS信号には、CTSとそれに続くデータ、ACKの送信に必要な時間情報が記載され、このRTS信号を受信できた周辺の無線通信装置は、その期間は信号の送信を停止することで衝突回避動作を行なう。図示の例では、無線通信装置#0が、無線通信装置#1のRTS信号を受信したことによって、その受信時刻情報から、自己からの送信を控える時間(送信待機期間)を設定する動作を行なう。
【0099】
さらに、無線通信装置#2が前記RTS信号を受信できて、なお且つその後のデータ受信が可能であれば、所定のプリアンブル信号P(133)と、CTS信号(134)を返信する。
【0100】
CTS信号には、データの受信が終了するまでの時間情報が記載され、このCTS信号を受信できた周辺の無線通信装置は、その期間は信号の送信を停止することで衝突回避動作を行なう。図示の例では、無線通信装置#3が、無線通信装置#2のCTS信号を受信したことによって、その受信時刻情報から、自己からの送信を控える時間(送信待機期間)を設定する動作を行なう。
【0101】
そして、このCTS信号を受信できた無線通信装置#1では、CTS信号で記載された時間にわたり、所定のプリアンブル信号P(135)とデータData(136)の送信処理を行なうとともに、無線通信装置#2では、同時にデータData(136)の受信動作を行なう。
【0102】
このとき、無線通信装置#0では、無線通信装置#1からのデータ通信が行なわれることを、データData(136)のヘッダ情報Head(図示しない)から把握し、このデータ通信持続時間にわたり、無線通信装置#1宛ての送信が行なわない制御を行なうようにしても良い。
【0103】
この他に必要に応じて、データの受信が正しく行なわれたか否かをACK情報を返送しない場合には、RTSが示す時間情報はCTSとデータを送信するのに必要な長さである。
【0104】
RTS−CTSの本来の目的は、送信側の無線通信装置がRTS信号を送信して送信無線通信装置周囲に対して送信禁止を促すとともに、受信側の無線通信装置がCTS信号を返すことにより受信無線通信装置周囲に対して送信禁止を促すことで、衝突の低減を図ることである。
【0105】
これに対し、本実施形態では、ダミーのRTS信号を送信することで、周囲の無線通信装置からデータ送信が行なわれない、すなわち自己が受信動作を行なわなくて済む期間を確保することにより、動作率を低減することを実現する。
【0106】
図13には、ダミーのRTS信号を送信することにより、動作率の低減を実現した例を示している。
【0107】
図示の通り、無線通信装置は、ダミーのRTSは架空(存在しない)の無線通信装置に対するRTS信号を送信して、送信禁止を周囲の無線通信装置に促すことにより、受信動作を停止することができる。
【0108】
動作停止期間(RTSと後続の送信期間)同士には他の無線通信装置が送信開始出来るだけの時間間隔をあけておく。他の無線通信装置による送信が行なわれたら、ダミーのRTS信号を送信することを停止し、スループットの低下を避ける。通信が行なわれなくなったら、ダミーRTS信号を送信して、省電力化を図る。
【0109】
図14には、ダミーRTS信号の送信により無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0110】
アクセス・ポイントが起動した後、まず通常モードで動作する(ステップS21)。ここでは、ダミーRTS信号無しとし、タイマーをリセットする。タイマーは通信が行なわれなくなってからの時間を測定するものである。
【0111】
次いで、通信が行なわれているかどうか判断する(ステップS22)。そして、通信が行なわれている間は、タイマーを初期化する(ステップS23)以外に、操作を特に行なわない。
【0112】
通信が行なわれていない場合には、タイマーを更新し(ステップS24)、タイマーがタイムアウトかどうかを調べる(ステップS25)。
【0113】
タイマーがタイムアウトしていない場合には、通信が行なわれてからあまり時間が経っていないので、ステップS22に戻って、通常動作状態を継続する。
【0114】
一方、タイマーがタイムアウトした場合には、間欠動作設定を行なう(ステップS26)。具体的には、周囲の局の送信禁止期間を設定したダミーRTS信号を送信し、その期間でアクセス・ポイントの受信動作を停止させる。
【0115】
その後、通信が開始されたかどうかを調べる(ステップS27)。そして、通信が開始された場合には、ステップS21に戻って、通常状態に設定する。また、通信が開始されていない場合には、通信が開始されるまで待機する。
【0116】
なお、RTS/CTS方式に基づく無線通信システムにおいては、RTS信号又はCTS信号を受信した通信相手以外の局は、そのデータ送受信とは無関係であることを確認し、RTS信号又はCTS信号で指定された期間だけ動作を停止し、省電力化を図ることができる。
【0117】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0118】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、ネットワークの動作状態に応じて消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0119】
また、本発明によれば、アクセス・ポイントとして動作する通信局の消費電力を低減させることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0120】
本発明によれば、アクセス・ポイントに接続されている装置が非競合期間を利用するか否かにかかわらず、パケットを通信しない暇なときにアクセス・ポイントが非競合期間を大きくとり、競合期間を小さくすることで、通信に用いる時間率を下げるとことにより、アクセス・ポイントの動作率を低減させることができる。
【0121】
また、本発明によれば、無線通信装置の機能変更を伴うことがない。アクセス・ポイントの簡単な機能修正で低消費電力化を実現することができる。
【0122】
また、本発明によれば、既存の無線LANの動作に不都合を生じることなくアクセス・ポイントの低消費電力化が実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線LANシステムの構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明に係る無線通信環境下において、アクセス・ポイントあるいは無線通信装置として動作することができる無線通信機器の機能構成を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係る無線通信環境におけるアクセス制御期間の構成を模式的に示した図である。
【図4】非競合期間で通信する機能が実装されず、ビーコン送信タイミングを除くすべてのアクセス制御期間が競合期間となっている様子を示した図である。
【図5】非競合期間を用いる装置が存在しない場合において、アクセス・ポイントが非競合期間を利用して受信動作を停止する様子を示した図である。
【図6】非競合期間を用いる装置が存在する場合において、アクセス・ポイントが非競合期間を利用して受信動作を停止する様子を示した図である。
【図7】非競合期間を用いる装置がない場合における無線通信装置の動作手順を示したフローチャートである。
【図8】スロット割り当て期間とランダム・アクセス期間に分けられるフレーム構造を示した図である。
【図9】非競合期間においてダミースロットを配置することによってアクセス・ポイントの低消費電力化を実現した例を示した図である。
【図10】スロット割り当てにより伝送が行なわれているアクセス制御期間を示した図である。
【図11】ダミースロットの割り当てにより無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
【図12】RTS/CTSに基づくデータ送受信シーケンス例を示した図である。
【図13】ダミーのRTS信号を送信することにより、動作率の低減を実現した例を示した図である。
【図14】ダミーRTS信号の送信により無線通信装置の低消費電力化を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
100…無線通信装置
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…無線送信部
105…タイミング制御部
106…アンテナ
107…無線受信部
110…ビーコン生成部
111…ビーコン解析部
112…情報記憶部
Claims (27)
- 所定のアクセス制御期間内で非競合アクセス又は競合アクセスによりデータ通信を行なう無線通信システムであって、
パケットのやりとりの頻度に応じてアクセス制御期間内での非競合期間並びに競合期間を設定する、
ことを特徴とする無線通信システム。 - アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、アクセス制御期間における非競合期間及び/又は競合期間の長さをビーコンによって報知し、非競合期間を利用して動作を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、競合期間におけるパケットのやりとりが減少したことに応答して非競合期間を拡張し、非競合期間を利用して動作を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。 - 競合期間におけるパケットのやりとりが増加したことに応答して非競合期間を短縮する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。 - アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局は、非競合期間におけるパケットのやりとりが終了したことに応答して、該非競合期間の残りを利用して動作を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。 - 非競合期間では、アクセス・ポイントはポーリングを用いた通信を行ない、ポーリングに基づく送信が終了した後は該非競合期間の終わりまで動作を停止する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。 - 非競合期間では、アクセス・ポイントとして動作する局又はその他の局が動作を停止したい期間分だけの架空のスロット予約を行ない、該予約されたスロットの期間における動作を停止する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。 - 非競合期間では、アクセス・ポイントとして動作する局が動作を停止しない期間を利用してデータ通信が行なわれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。 - 競合期間では、RTS/CTS方式でデータ伝送が行なわれ、RTS信号又はCTS信号を受信した他の局は所定時間だけ送信が禁止される、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 競合期間では、動作を停止したい局は架空のRTS信号の送信を行ない、該RTS信号で規定される送信禁止期間における動作を停止する、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信システム。 - 端末同士がデータ通信を行なう無線通信環境下において動作する無線通信装置であって、
前記無線通信環境下での通信状態を監視する通信状態監視手段と、
該監視された通信状態に応じて、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセスを行なう非競合期間並びに競合アクセスを行なう競合期間を設定するアクセス制御期間設定手段と、
前記非競合期間において間欠動作又は低消費電力動作状態を設定する装置動作制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。 - アクセス制御期間における非競合期間及び/又は競合期間の長さをビーコンによって報知する手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項11に記載の無線通信装置。 - 前記アクセス制御期間設定手段は、競合期間におけるパケットのやりとりが減少したことに応答して非競合期間を拡張する、
ことを特徴とする請求項11に記載の無線通信装置。 - 前記アクセス制御期間設定手段は、競合期間におけるパケットのやりとりが増加したことに応答して非競合期間を短縮する、
ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。 - 前記装置動作制御手段は、非競合期間におけるパケットのやりとりが終了したことに応答して、該非競合期間の残りを利用して間欠動作又は低消費電力動作を設定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の無線通信装置。 - 非競合期間ではポーリングを用いた通信が行なわれ、
前記前記装置動作制御手段は、ポーリングに基づく送信が終了した後は該非競合期間の終わりまで間欠動作又は低消費電力動作を設定する、
ことを特徴とする請求項15に記載の無線通信装置。 - 非競合期間ではスロット割り当てに基づく通信が行なわれ、
前記前記装置動作制御手段は動作を停止したい期間分の架空のスロット予約を行ない、該予約されたスロットの期間における動作を停止する、
ことを特徴とする請求項15に記載の無線通信装置。 - RTS/CTS方式でデータ伝送を行なう無線通信装置であって、
架空のRTS信号の送信を行ない、該RTS信号で規定される送信禁止期間における動作を停止する、
ことを特徴とする無線通信装置。 - 端末同士がデータ通信を行なう無線通信環境下において動作するための無線通信方法であって、
前記無線通信環境下での通信状態を監視する通信状態監視ステップと、
該監視された通信状態に応じて、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセスを行なう非競合期間並びに競合アクセスを行なう競合期間を設定するアクセス制御期間設定ステップと、
前記非競合期間において間欠動作又は低消費電力動作状態を設定する装置動作制御ステップと、
を具備することを特徴とする無線通信方法。 - アクセス制御期間における非競合期間及び/又は競合期間の長さをビーコンによって報知するステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項19に記載の無線通信方法。 - 前記アクセス制御期間設定ステップでは、競合期間におけるパケットのやりとりが減少したことに応答して非競合期間を拡張する、
ことを特徴とする請求項19に記載の無線通信方法。 - 前記アクセス制御期間設定ステップでは、競合期間におけるパケットのやりとりが増加したことに応答して非競合期間を短縮する、
ことを特徴とする請求項21に記載の無線通信方法。 - 前記装置動作制御ステップでは、非競合期間におけるパケットのやりとりが終了したことに応答して、該非競合期間の残りを利用して間欠動作又は低消費電力動作を設定する、
ことを特徴とする請求項19に記載の無線通信方法。 - 非競合期間ではポーリングを用いた通信が行なわれ、
前記前記装置動作制御ステップでは、ポーリングに基づく送信が終了した後は該非競合期間の終わりまで間欠動作又は低消費電力動作を設定する、
ことを特徴とする請求項23に記載の無線通信方法。 - 非競合期間ではスロット割り当てに基づく通信が行なわれ、
前記前記装置動作制御ステップでは動作を停止したい期間分の架空のスロット予約を行ない、該予約されたスロットの期間における動作を停止する、
ことを特徴とする請求項23に記載の無線通信方法。 - RTS/CTS方式でデータ伝送を行なう無線通信方法であって、
架空のRTS信号の送信を行ない、該RTS信号で規定される送信禁止期間における動作を停止する、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 端末同士がデータ通信を行なう無線通信環境下において動作するための無線通信処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記無線通信環境下での通信状態を監視する通信状態監視ステップと、
該監視された通信状態に応じて、所定のアクセス制御期間内で非競合アクセスを行なう非競合期間並びに競合アクセスを行なう競合期間を設定するアクセス制御期間設定ステップと、
前記非競合期間において間欠動作又は低消費電力動作状態を設定する装置動作制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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