JP2004359641A - Ccr5活性化剤 - Google Patents
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Abstract
【構成】一般式(I)
【化1】
(式中、環Aは置換基を有していてもよい含窒素単環、二環または三環式複素環を表わし、環Bは置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環を表わし、Wは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わし、Yは結合手または主鎖の原子数1〜10のスペーサーを表わす。)
で示される化合物、またはそれらの塩、またはそれらのプロドラッグを含有してなるCCR5活性化剤。
【効果】CCR5活性化剤は、CCR5を活性化し、さらにはCCR5発現細胞に対する遊走活性を引き起こす、CCR5の脱感作を引き起こす、CCR5のインターナリゼーションを引き起こす等の作用を有するため、種々の医薬品として有用である。
【選択図】 なし
【化1】
(式中、環Aは置換基を有していてもよい含窒素単環、二環または三環式複素環を表わし、環Bは置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環を表わし、Wは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わし、Yは結合手または主鎖の原子数1〜10のスペーサーを表わす。)
で示される化合物、またはそれらの塩、またはそれらのプロドラッグを含有してなるCCR5活性化剤。
【効果】CCR5活性化剤は、CCR5を活性化し、さらにはCCR5発現細胞に対する遊走活性を引き起こす、CCR5の脱感作を引き起こす、CCR5のインターナリゼーションを引き起こす等の作用を有するため、種々の医薬品として有用である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、CCR5活性化剤に関する。
【0002】
【発明の背景】
T細胞は、B細胞とともに、免疫系を司る主要な細胞として知られている。T細胞は、免疫系、すなわち細胞性免疫、液性免疫のうち、主に細胞性免疫に関与するリンパ球であるが、その機能から、あるいはその表面抗原から幾つかのサブクラスに分類される。T細胞の表面抗原であるCD4、CD8分子の発現は、胸腺内でのT細胞の分化の程度を示す一つの指標となっており、一般にCD4陽性T細胞は、主に抗体産生の補助や種々の免疫応答の誘導に関与するもの、CD8陽性T細胞は主に細胞傷害活性を有するものとされている。これらCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞において、未だ抗原刺激を受けたことが無い細胞を、それぞれCD4陽性ナイーブT細胞、CD8陽性ナイーブT細胞というが、これらの細胞は、抗原提示細胞から抗原特異的活性化シグナルと補助刺激シグナルを受けることによって、種々の機能を有するエフェクター細胞へと分化する。このエフェクター細胞としては、CD4陽性ナイーブT細胞から分化したTh1細胞およびTh2細胞、CD8陽性ナイーブT細胞から分化した細胞傷害性T細胞(CTL)が知られている。一般にT細胞の機能として知られる、抗体産生の補助や種々の免疫応答の誘導、または細胞傷害活性は、ナイーブT細胞のものでは無く、これらエフェクター細胞の機能を表わしたものである。
【0003】
また、T細胞は、CD4やCD8といった表面抗原の他に、複数の表面抗原を発現している。これら表面抗原のうちには、抗原提示細胞からの刺激を受ける受容体として機能しているものも多数含まれる。ケモカイン受容体の中には、ケモカインに応答して細胞遊走を仲介する機能の他に、この様な抗原提示細胞からの刺激を受ける受容体として機能するものがあることが知られており(J. Immunol. 1996 Mar 15;156(6):2095−2103.)、CCR5もその一つである。
【0004】
ケモカインは、種々の細胞の移動に深く関与している。また、ケモカイン受容体は、種々の特異的な細胞において、ある特定した時期に発現し、そのエフェクター細胞がケモカインの産生される個所に集積するというメカニズムを通じて、炎症、免疫反応の制御に大きく関与している。
【0005】
近年、移植の拒絶反応(例えば、固形臓器移植片の拒絶、糖尿病における膵島細胞移植の拒絶、移植片対宿主病(GVHD(graft−versus−host disease))等)、自己免疫疾患(例えば、関節炎、慢性関節炎リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、アレルギー性疾患(例えば、喘息等)、および虚血性疾患(例えば、虚血再灌流傷害等)において、ケモカイン受容体であるCCR5、さらにはCCR5を発現するT細胞がその病態進行に関与する可能性を示す報告がなされている。例えば、移植の拒絶反応に関する報告としては、動物モデルにおいて抗CCR5抗体や抗MIP−1α抗体が効果を示すことや、CCR5ノックアウトマウスを用いた実験等が報告されている。また、自己免疫疾患に関する報告としては、慢性関節リウマチ患者の滑膜組織にCCR5陽性T細胞の浸潤が見られることや、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎の動物モデルにおいてCCR5の関与を示す実験等が報告されている。アレルギー性疾患に関する報告としては、喘息患者の肺にCCR5陽性T細胞の浸潤が見られることが報告されている。また、これらCCR5の関与が示唆されている疾患において、不活性型CCR5を発現するヒトと野生型CCR5を発現するヒトの比較を行った報告がなされている。
【0006】
上記したように、T細胞の関与が示唆されているこれらの疾患では、新たな薬剤の開発が切望されており、T細胞の亢進した機能を阻害する薬剤、またはT細胞の過剰な遊走を阻害する薬剤は、移植の拒絶反応(例えば、固形臓器移植片の拒絶、糖尿病における膵島細胞移植の拒絶、移植片対宿主病(GVHD(graft−versus−host disease))等)、自己免疫疾患(例えば、関節炎、慢性関節炎リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、アレルギー性疾患(例えば、喘息等)、および虚血性疾患(例えば、虚血再灌流傷害等)等の優れた予防および/または治療剤となると考えられる。
【0007】
一方、ヒト免疫不全ウィルス(以下、HIVと略する。)感染によって引き起こされる後天性免疫不全症候群(エイズ(AIDS)と呼ばれている。)は、近年最もその治療法を切望されている疾患の一つである。主要な標的細胞であるCD4陽性細胞がHIVにいったん感染すると、HIVは患者の体内で増殖をくり返し、やがては免疫機能を司るT細胞を壊滅的に破壊する。この過程で徐々に免疫機能が低下し、発熱、下痢、リンパ節の腫脹等の様々な免疫不全状態を示すようになり、カリニ肺炎等の種々の日和見感染症を併発し易くなる。このような状態がエイズの発症であり、カボジ肉腫等の悪性腫瘍を誘発し、重篤化することはよく知られている。
【0008】
エイズに対する各種の予防、治療方法としては、例えば、(1)逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤の投与によるHIVの増殖抑制、(2)免疫賦活作用のある薬物の投与による日和見感染症の予防、緩和等が試みられている。
【0009】
HIVが主に感染する細胞は、免疫系の中枢を司るヘルパーT細胞である。その際、T細胞の膜上に発現している膜蛋白CD4を利用することが報告されている(Cell, 52, 631 (1985))。CD4分子は433個のアミノ酸残基からなり、成熟ヘルパーT細胞以外にマクロファージ、一部のB細胞、血管内皮細胞、皮膚組織のランゲルハンス細胞、リンパ組織にある樹状細胞、中枢神経系のグリア細胞等で発現が見られる。しかし、CD4分子のみではHIVの感染が成立しないことが明らかになるにつれて、HIVが細胞に感染する際にかかわるCD4分子以外の因子の存在の可能性が示唆されるようになった。
【0010】
RANTES、MIP−1α、MIP−1βの受容体であるCCR5は、マクロファージ指向性(R5)HIVが感染する際に利用されることが発見された(Science, 272, 1955 (1996))。
【0011】
従って、HIVとCCR5を奪い合うことのできる化合物、あるいはHIVウイルスに結合し、該ウイルスがCCR5に結合できない状態にさせる化合物は、新しいタイプのHIV感染阻害剤となり得るはずである。
【0012】
以上のことから、ケモカインレセプター、特にCCR5は、各種炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患等の免疫疾患、またはHIV感染に深く関与していると考えられる。例えば、喘息、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、鼻炎、結膜炎、潰瘍性大腸炎等、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、乾癬、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウィルス感染(後天性免疫不全症候群等)、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症、虚血再灌流傷害、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、癌転移等に関与していると考えられる。
【0013】
【従来の技術】
トリアザスピロ[5.5]ウンデカン誘導体化合物、それらの四級アンモニウム塩、それらのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容される塩が、ケモカイン/ケモカイン受容体(CCR)の作用を制御することにより、各種炎症性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症等)、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬、鼻炎、結膜炎、虚血再灌流傷害の抑制、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、自己免疫疾患の治療、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、癌転移、後天性免疫不全症候群の予防および/または治療として有用であることが報告されている(特許文献1、2参照。)。
【0014】
【特許文献1】
国際公開第01/40227号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第02/74770号パンフレット
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
CCR5に結合する化合物は、HIVやその他の免疫反応に関連するタンパク質のCCR5への結合を阻害する。したがって、これらの化合物、とりわけ低分子化合物はHIV感染や免疫疾患等の種々の疾患に有効であることが予測される。一方、いったんCCR5に結合した化合物が何らかの要因で受容体から解離してしまうと、上述の活性が消失してしまうことが考えられる。また、CCR5アンタゴニストがCCR5と結合した場合、アップレギュレーションが起こり、細胞表面の受容体数が増加し、上述の活性部位が多数出現し、HIV感染や免疫疾患が増悪される可能性も考えられる。
【0016】
一方、MIP−1α、MIP−1β、RANTESなどの内因性リガンドがCCR5に結合すると、活性化が起こり、引き続いて様々な作用が引き起こされることが知られている。活性化とは、例えば、CCR5アゴニストがCCR5と結合することにより、細胞内Ca濃度の上昇、cAMP濃度の減少、遺伝子発現の誘導をもたらしたり、アゴニストの濃度勾配に応じて細胞を遊走させる機能をいう。CCR5アゴニストは細胞遊走作用を有するので、例えば、全身投与することによって、炎症部へ遊走しようとしているエフェクター細胞の方向性を撹乱させ、炎症部位で増悪しているエフェクター細胞の過剰な集積を阻止することが可能である。活性化に引き続いて起こる作用とは、例えば、受容体のリン酸化を誘導することで脱感作をもたらしたり、受容体を細胞内に内在化(インターナリゼーション)させる機能をいう。インターナリゼーションが起こると細胞表面の受容体数が減少する。したがって、CCR5アゴニスト作用を有する化合物は、CCR5に結合し内因性リガンドやHIV等のCCR5への結合を阻害するだけでなく、CCR5のインターナリゼーションを引き起こすことで内因性リガンドやHIV等が細胞に結合する部位やその結合確率を減らし、内因性リガンドによる望ましくない免疫作用や、HIV等の感染を抑制することができる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、一般式(I)で示される化合物がCCR5を活性化すること、さらにはCCR5発現細胞に対する遊走活性を有すること、CCR5受容体の脱感作を引き起こすこと、CCR5受容体のインターナリゼーションを引き起こすこと等を見出し、本発明を完成した。
【0018】
【発明の開示】
本発明は、
1.一般式(I)
【化5】
(式中、環Aは置換基を有していてもよい含窒素単環、二環または三環式複素環を表わし、環Bは置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環を表わし、Wは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わし、Yは結合手または主鎖の原子数1〜10のスペーサーを表わす。)
で示される化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなるCCR5活性化剤、
2.細胞遊走を引き起こす作用を有する前記1記載のCCR5活性化剤、
3.脱感作を引き起こす作用を有する前記1記載のCCR5活性化剤、
4.インターナリゼーションを引き起こす作用を有する前記1記載のCCR5活性化剤、
5.YがC1〜3アルキレンである前記1記載のCCR5活性化剤、
6.環Aが9〜15員含窒素二環または三環式複素環である前記1記載のCCR5活性化剤、
7.環Bが置換基を有していてもよいピラゾールである前記1記載のCCR5活性化剤、
8.Wが置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい3〜15員複素環基である前記1記載のCCR5活性化剤、
9.環Aが
【化6】
(式中、環A1は置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環を表わす。)である前記1記載のCCR5活性化剤、
10.YがC1〜3アルキレンである前記9記載のCCR5活性化剤、
11.環A1が置換基を有していてもよい3〜8員複素環である前記9記載のCCR5活性化剤、
12.環Bが置換基を有していてもよいピラゾールである前記9記載のCCR5活性化剤、
13.Wが置換基を有していてもよい炭素数3〜8の環状炭化水素基または置換基を有していてもよい5〜10員複素環基である前記9記載のCCR5活性化剤、
14.一般式(I)
【化7】
(式中の記号は前記1の記載と同じ意味を表わす。)
で示される化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、CCR5を活性化する方法、
15.CCR5活性化剤を製造するための、一般式(I)
【化8】
(式中の記号は前記1の記載と同じ意味を表わす。)
で示される化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグの使用に関する。
【0019】
本発明におけるCCR5活性化剤としては、前記一般式(I)で示されるCCR5アゴニストが好適である。
【0020】
一般式(I)中、環Aで示される「置換基を有していてもよい含窒素単環、二環または三環式複素環」における「含窒素単環、二環または三環式複素環」とは、一般式(I)の環Aにおいて表示されている窒素原子以外に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から任意に選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい複素環を表わす。「含窒素単環、二環または三環式複素環」としては、例えば、「3〜15員含窒素不飽和単環、二環または三環式複素環」、「3〜15員含窒素飽和単環、二環または三環式複素環」等が挙げられる。
【0021】
「3〜15員含窒素不飽和単環、二環または三環式複素環」としては、例えばピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、アゼピン、ジアゼピン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ペリミジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン等が挙げられる。
【0022】
また、「3〜15員含窒素飽和単環、二環または三環式複素環」としては、アジリジン、アゼチジン、アゾカン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロアクリジン、
【化9】
等が挙げられる。
【0023】
さらに、環Aには、
【化10】
も含まれる。
ここで、環A1は「置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環」を表わす。
【0024】
環A1で示される「置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環」における「3〜8員同素環」としては、「炭素数3〜8の環状炭化水素」等が挙げられる。「炭素数3〜8の環状炭化水素」における「環状炭化水素」としては、「不飽和環状炭化水素」または「飽和環状炭化水素」が挙げられる。「飽和環状炭化水素」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン、さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。「不飽和環状炭化水素」としては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等のシクロアルケン、さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン等が挙げられる。
【0025】
環A1で示される「置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環」における「3〜8員複素環」としては、「3〜8員不飽和複素環」、「3〜8員飽和複素環」が挙げられる。
【0026】
「3〜8員不飽和複素環」としては、例えば、アゼピン、ジアゼピン、チオピラン、オキサジン、オキサジアジン、チアジン、チアジアジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン環等が挙げられる。
【0027】
また、「3〜8員飽和複素環」としては、アジリジン、アゼチジン、アゾカン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、
【化11】
環等が挙げられる。
【0028】
環Aで示される「含窒素単環、二環または三環式複素環」として好ましくは、「9〜15員含窒素二環または三環式複素環」、または
【化12】
が挙げられる。
【0029】
「9〜15員含窒素二環または三環式複素環」として具体的には、例えば「9〜15員含窒素不飽和二環または三環式複素環」としては、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ペリミジン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン等が挙げられる。
【0030】
また、「9〜15員含窒素飽和二環または三環式複素環」としては、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロアクリジン等が挙げられる。
【0031】
環Aとして特に好ましくは、
【化13】
が挙げられる。
【0032】
環Aおよび環A1における「置換基」としてはオキソ基、置換基を有していてもよい炭化水素基、−OR1、−NR2R3、−SR4(式中、R1〜R4は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)等が挙げられる。
【0033】
「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等の炭素数1ないし15のアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基、例えば、ビニル、アリル、2−メチルアリル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−オクテニル等の炭素数2ないし10のアルケニル基、例えば、エチニル、2−プロピニル、3−ヘキシニル等の炭素数2ないし10のアルキニル基、例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の炭素数3ないし10のシクロアルケニル基、例えば、フェニル、ナフチル等の炭素数6ないし14のアリール基、例えば、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7〜16のアラルキル基、例えば、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、1−メチル−1−シクロヘキシルメチル等の(炭素数3ないし8のシクロアルキル)−(炭素数1ないし4のアルキル)基等が挙げられる。
【0034】
また、「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」としては、例えば(1)ニトロ、(2)水酸基、(3)オキソ、(4)チオキソ、(5)シアノ、(6)カルバモイル、(7)N−ブチルアミノカルボニル、N−シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、N−ブチル−N−シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、N−シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル等の炭素数1〜8の炭化水素等で置換されたアミノカルボニル、(8)カルボキシ、(9)例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等の炭素数1ないし4のアルコキシ−カルボニル、(10)スルホ、(11)フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、(12)例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、ベンジルオキシ等の炭素数1ないし8のアルコキシ、(13)例えばシクロヘキシルオキシ等の炭素数3ないし8のシクロアルコキシ、(14)フェノキシ、(15)例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ等のハロゲノフェノキシ、(16)例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ等の炭素数1ないし4の低級アルキルチオ、(17)フェニルチオ、(18)例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等の炭素数1ないし4の低級アルキルスルフィニル、(19)例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等の炭素数1ないし4の低級アルキルスルホニル、(20)アミノ、(21)例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ等の炭素数1ないし6の低級アシルアミノ、(22)例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、1−カルバモイル−2−シクロヘキシルエチルアミノ、N−ブチル−N−シクロヘキシルメチルアミノ、フェニルアミノ等の炭化水素基で置換された第1または第2アミノ(ここで、「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わし、オキソ、アミノ、カルバモイル等で置換されていてもよい。)、(23)例えば、ホルミル、アセチル等の炭素数1ないし4の低級アシル、(24)ベンゾイル、(25)(a)例えば、Br、Cl、F等のハロゲン、(b)オキソ、ヒドロキシ等で置換されていてもよい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等の炭化水素基(ここで、「炭化水素基」は前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(c)例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ等のハロゲノフェノキシ、および(d)オキソ等から選ばれた1ないし4個の置換基を有していてもよい、例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、4−テトラヒドロピラニル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−イミダゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1Hまたは2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダニジル、キノリル、イソキノリル、インドリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から任意に選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5または6員複素環基、および(26)例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル等の炭素数1ないし10のハロアルキル基、(27)ヒドロキシイミノ基、(28)例えば、メチルオキシイミノ、エチルオキシイミノ等のアルキルオキシイミノ基、(29)スルファモイル基、(30)例えばメチルアミノスルホニル等の炭化水素基で置換されたアミノスルホニル、(31)例えば、ジメチルアミノエチルアミノスルホニル、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル等のアミノ基で置換された炭化水素基によって置換されたアミノスルホニル、または(32)例えばメチルスルホニルアミノ等の炭化水素基で置換されたスルホニルアミノ等が挙げられる。「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、前記(1)から(32)から選ばれる任意の1ないし5個の置換基を有していてもよいほか、「炭化水素基」がシクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはアラルキル基である場合は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等の炭素数1ないし4の低級アルキルを置換基として1〜4個有していてもよい。また、置換基の数が2以上の場合、それぞれの置換基は同一または異なっていてもよい。
【0035】
環Aの置換基として好ましくは、オキソ基、置換されていてもよいベンジル基、置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等の炭素数1ないし4のアルキル基が挙げられる。
【0036】
環Bで示される「置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環」における「5または6員含窒素複素環」とは、少なくともひとつの窒素原子を含み、さらに窒素原子、酸素原子および硫黄原子から任意に選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員複素環を表わす。「5または6員含窒素複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジンチアジアゾール、チアジン、チアジアジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ピロリジン、イミダゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、テトラヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、モルホリン、チオモルホリン等が挙げられる。「5または6員含窒素複素環」として好ましくは、置換基を有していてもよいピラゾール等が挙げられる。さらに好ましくは、
【化14】
が挙げられる。
【0037】
環Bおよび環B1で示される「置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環」における「置換基」としては、置換基を有していてもよい炭化水素基、例えば、Br、Cl、F等のハロゲン、または−OR1(式中、R1は前記と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。環Bおよび環B1の置換基としての「置換基を有していてもよい炭化水素基」は前記環Aにおける置換基としての「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同じ意味を表わす。
【0038】
環Bおよび環B1の置換基として好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等の炭素数1ないし4のアルキル基、Cl、−OR1が挙げられる。
【0039】
Yで示される「主鎖の原子数1〜10のスペーサー」とは、主鎖の原子が1〜10個連なっている間隔を意味する。ここで、「主鎖の原子数」は、主鎖の原子が最小となるように数えるものとする。「主鎖の原子数1〜10のスペーサー」としては、例えば、1または2個の置換基を有していてもよいメチレン基(−CH2−)、置換基を有していてもよいイミノ基(−NH−)、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−から選ばれる1〜10個からなる2価基等が挙げられる。ここで、メチレン基の置換基およびイミノ基の置換基としては、前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」と同じ意味を表わす。具体的には、例えば、−CR5R6−、−NR7−、−CO−、−O−、−S−、−NR7CO−、−CONR7−、−NR7COCR5R6−、−CONR7CR5R6−(式中、R5〜R7は前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。
【0040】
Yで示される「主鎖の原子数1〜10のスペーサー」として好ましくは「主鎖の原子数1〜3のスペーサー」が挙げられ、さらに好ましくは「C1〜3アルキレン」が挙げられる。「C1〜3アルキレン」としては、メチレン、エチレン、プロピレン等が挙げられる。さらに、Yとして好ましくは、メチレンが挙げられる。
【0041】
Wで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」は、前記環Aにおける置換基としての「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同じ意味を表わす。好ましい「炭化水素基」としては、炭素数3〜8の環状炭化水素等が挙げられる。ここで「炭素数3〜8の環状炭化水素」は、前記と同じ意味を表わす。さらに好ましくは、シクロヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。
【0042】
Wで示される「置換基を有していてもよい複素環基」における「複素環」としては、例えば、「3〜15員不飽和複素環」、「3〜15員飽和複素環」等が挙げられる。
【0043】
「3〜15員不飽和複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン環等が挙げられる。
【0044】
また、「3〜15員飽和複素環」としては、アジリジン、アゼチジン、アゾカン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、パーヒドロベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロアクリジン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン環等が挙げられる。
【0045】
Wで示される「複素環」として好ましくは、「5〜10員複素環」が挙げられる。具体的には、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン等の5〜10員不飽和複素環、例えば、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、パーヒドロベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン環等の5〜10員飽和複素環等の5〜10員複素環が挙げられる。
【0046】
Wで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「置換基」は、Wで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」と同じ意味を表わす。さらに、Wで示される「置換基を有していてもよい複素環基」は「置換基を有していてもよい炭化水素基」を置換基として有していてもよい。ここで、「置換基を有していてもよい炭化水素基」は前記と同じ意味を表わす。
【0047】
また、好ましい化合物の具体例としては、
化合物1:1−ブチル−8−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン・塩酸塩、
化合物2:1−ベンジル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物3:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物4:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(2−メトキシベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物5:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メトキシベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0048】
化合物6:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(2−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物7:3−[(シクロヘキシルメトキシ)メチル]−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物8:1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物9:(3R)−1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物10:1−ブチル−9−{[3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0049】
化合物11:1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物12:1−ブチル−3−(2−シクロヘキシルエチル)−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物13:(3S)−1−ブチル−9−[(5−クロロ−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物14:N−[4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]メタンスルホンアミド・2塩酸塩、
化合物15:(3S)−1−ブチル−9−{[1−(4−フルオロフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0050】
化合物16:(3S)−1−ブチル−9−{[1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物17:(3R)−1−ブチル−9−{[3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物18:(3S)−1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物19:(3S)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物20:(3S)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−(シクロヘキシルメチル)−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0051】
化合物21:(3R)−1−ブチル−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−9−{[1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物22:N−{4−[4−({(3R)−1−ブチル−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル}メチル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}メタンスルホンアミド・2塩酸塩、
化合物23:N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[(3S)−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルホンアミド・3塩酸塩、
化合物24:メチル 4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)安息香酸・2塩酸塩、
化合物25:メチル 4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−(シクロヘキシルメチル)−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)安息香酸・2塩酸塩、
【0052】
化合物26:4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ベンゼンスルホンアミド・3塩酸塩、
化合物27:(3R)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物28:(3R)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(R)−シクロヘキシル(ヒドロキシ)メチル]−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物29:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物30:1−ベンジル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
【0053】
化合物31:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メトキシベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物32:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(ピリジン−2−イルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物33:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(ピリジン−3−イルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物34:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(2−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物35:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
【0054】
化合物36:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物37:1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩等が挙げられる。
【0055】
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
【0056】
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で塩に変換される。塩としては薬理学的に許容される塩が好ましい。
薬理学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、酸付加塩等が挙げられる。
【0057】
薬理学的に許容される塩は、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
【0058】
酸付加塩は水溶性であることが好ましい。適当な酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
【0059】
一般式(I)で示される化合物およびそれらの塩は溶媒和物に変換することもできる。
溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)のような溶媒和物が挙げられる。
【0060】
一般式(I)で示される化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩はすべて好ましい。具体的には、実施例に記載した化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩が挙げられる。
【0061】
さらに塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。四級アンモニウム塩とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、R0基によって四級化されたものを表わす。
R0基は、C1〜8アルキル基、フェニル基によって置換されたC1〜8アルキル基を表わす。
【0062】
本発明化合物は任意の方法でN−オキシドにすることができる。N−オキシドとは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。
【0063】
また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される化合物がアミノ基を有する場合、該アミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシ基を有する場合該カルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。
【0064】
【本発明化合物の製造方法】
一般式(I)で示される本発明化合物は、国際公開第01/40227号パンフレットまたは国際公開第02/74770号パンフレットに記載された方法、あるいはそれに準じた方法で製造することができる。
以下に化合物1の製造方法を記す。
【0065】
化合物1(1−ブチル−8−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン・塩酸塩)の製造方法:
N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリドンとブチルアミン・塩酸塩、およびシアン化カリウムを用いて、N−ベンジルオキシカルボニル−4−シアノ−4−(1−ブチルアミノ)ピペリジン・塩酸塩を得た。さらに、シアン酸カリウムを用いて環化反応に付した後、脱保護反応によって1−ブチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを得た。得られた化合物と3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元的アミノ化反応に付し、以下の物性値を有する化合物1を得た。
TLC:Rf 0.58(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CD3OD):δ 7.55 (m, 5H), 4.38 (s, 2H), 3.69 (m, 2H), 3.21 (m, 4H), 2.47 (m, 2H), 2.45 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 2.09 (m, 2H), 1.62 (m, 2H), 1.36 (m, 2H), 0.95 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
化合物2〜37の製造方法は、国際公開第01/40227号パンフレットまたは国際公開第02/74770号パンフレットに記載されている。
【0066】
【毒性】
一般式(I)で示される化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
【0067】
【医薬品への適用】
哺乳動物、特にヒトにおいて、一般式(I)で示される本発明化合物は、CCR5アゴニスト作用を有するので、例えば、喘息、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、鼻炎、結膜炎、潰瘍性大腸炎等、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、乾癬、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウィルス感染(後天性免疫不全症候群等)、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症、虚血再灌流傷害、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、癌転移等の予防および/または治療に有用である。
【0068】
一般式(I)で示される化合物、またはそれらの塩、またはそれらのプロドラッグを上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0069】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【0070】
本発明化合物を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
【0071】
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0072】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0073】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0074】
非経口投与のためのその他の製剤としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟膏剤、塗布剤、吸入剤、スプレー剤、坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0075】
スプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
【0076】
本発明の一般式(I)で表される化合物、またはそれらの塩は、他の薬剤、例えば、HIV感染の予防および/または治療剤(特に、AIDSの予防および/または治療剤)と組み合わせて用いてもよい。この場合、これらの薬物は、別々にあるいは同時に、薬理学的に許容されうる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、溶解補助剤、希釈剤等と混合して製剤化し、HIV感染の予防および/または治療のための医薬組成物として経口的にまたは非経口的に投与することができる。
【0077】
本発明の一般式(I)で表される化合物、またはそれらの塩は、他のHIV感染の予防および/または治療剤(特に、AIDSの予防および/または治療剤)に対して耐性を獲得したHIV−1に対して感染阻害作用を有する。従って、他のHIV感染の予防および/または治療剤が効果を示さなくなったHIV感染者に対しても用いることができる。この場合、本発明化合物を単剤で用いても良いが、感染しているHIV−1株が耐性を獲得したHIV感染の予防および/または治療剤またはそれ以外の薬剤と併用して用いても良い。
【0078】
本発明は一般式(I)で表わされる化合物、またはそれらの塩とHIV感染を阻害しない薬物を組み合わせてなり、単剤よりもHIV感染の予防および/または治療効果が増強されたものをも含む。
【0079】
本発明の一般式(I)で表される化合物、またはそれらの塩と組み合わせて用いられる他のHIV感染の予防および/または治療剤の例としては、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、CCR結合剤(例えば、ケモカイン活性化剤、ケモカインレセプターの内因性のリガンドまたはその誘導体、ケモカインレセプターに対する抗体、ケモカイン拮抗剤(例えば、CCR2拮抗剤、CCR3拮抗剤、CCR4拮抗剤、CCR5拮抗剤、CXCR4拮抗剤等)等)、フュージョン阻害剤、HIV−1の表面抗原に対する抗体、HIV−1のワクチン等が挙げられる。
【0080】
逆転写酵素阻害剤として、具体的には、(1)核酸系逆転写酵素阻害剤のジドブジン(商品名:レトロビル)、ジダノシン(商品名:ヴァイデックス)、ザルシタビン(商品名:ハイビッド)、スタブジン(商品名:ゼリット)、ラミブジン(商品名:エピビル)、アバカビル(商品名:ザイアジェン)、アデフォビル、アデフォビル ジピボキシル、エントリシタビン(商品名:コビラシル)、PMPA(商品名:テノフォヴィル)等、(2)非核酸系逆転写酵素阻害剤のネビラピン(商品名:ビラミューン)、デラビルジン(商品名:レスクリプター)、エファビレンツ(商品名:サスティバ、ストックリン)、カプラヴィリン(AG1549)等が挙げられる。
【0081】
プロテアーゼ阻害剤として、具体的には、インジナビル(商品名:クリキシバン)、リトナビル(商品名:ノービア)、ネルフィナビル(商品名:ビラセプト)、サキナビル(商品名:インビラーゼ、フォートベース)、アンプリナビル(商品名:エジネラーゼ)、ロピナビル(商品名:カレトラ)、ティプラナビル等が挙げられる。
【0082】
ケモカインレセプターの内因性のリガンドとしては、具体的には、MIP−1α、MIP−1β、RANTES、SDF−1α、SDF−1β、MCP−1、MCP−2、MCP−4、エオタキシン(Eotaxin)、MDC等が挙げられる。
【0083】
内因性リガンドの誘導体としては、具体的には、AOP−RANTES、Met−SDF−1α、Met−SDF−1β等が挙げられる。
ケモカインレセプターの抗体としては、具体的には、Pro−140等が挙げられる。
【0084】
CCR2拮抗剤としては、具体的には、WO99/07351号、WO99/40913号、WO00/46195号、WO00/46196号、WO00/46197号、WO00/46198号、WO00/46199号、WO00/69432号、WO00/69815号またはBioorg. Med. Chem. Lett., 10, 1803 (2000)に記載された化合物等が挙げられる。
【0085】
CCR3拮抗剤としては、具体的には、DE19837386号、WO99/55324号、WO99/55330号、WO00/04003号、WO00/27800号、WO00/27835号、WO00/27843号、WO00/29377号、WO00/31032号、WO00/31033号、WO00/34278号、WO00/35449号、WO00/35451号、WO00/35452号、WO00/35453号、WO00/35454号、WO00/35876号、WO00/35877号、WO00/41685号、WO00/51607号、WO00/51608号、WO00/51609号、WO00/51610号、WO00/53172号、WO00/53600号、WO00/58305号、WO00/59497号、WO00/59498号、WO00/59502号、WO00/59503号、WO00/62814号、WO00/73327号またはWO01/09088号に記載された化合物等が挙げられる。
【0086】
CCR4拮抗剤としては、具体的には、WO02/030357号、WO02/030358号に記載された等が挙げられる。
【0087】
CCR5拮抗剤としては、具体的には、TAK−779、TAK−220、SCH−D、SCH−C等が挙げられる。さらにWO99/17773号、WO99/32100号、WO00/06085号、WO00/06146号、WO00/10965号、WO00/06153号、WO00/21916号、WO00/37455号、EP1013276号、WO00/38680号、WO00/39125号、WO00/40239号、WO00/42045号、WO00/53175号、WO00/42852号、WO00/66551号、WO00/66558号、WO00/66559号、WO00/66141号、WO00/68203号、JP2000309598号、WO00/51607号、WO00/51608号、WO00/51609号、WO00/51610号、WO00/56729号、WO00/59497号、WO00/59498号、WO00/59502号、WO00/59503号、WO00/76933号、WO98/25605号、WO99/04794号、WO99/38514号またはBioorg. Med. Chem. Lett., 10, 1803 (2000)に記載された化合物等が挙げられる。
【0088】
CXCR4拮抗剤としては、具体的には、AMD−3100、T−22、KRH−1120またはWO00/66112号に記載された化合物等が挙げられる。
【0089】
フュージョン阻害剤としては、具体的には、T−20(pentafuside)、T−1249等が挙げられる。
以上の併用薬剤は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
代表的な逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤の通常の臨床投与量は、例えば、以下に示すとおりであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ジドブジン:100mgカプセル、1回200mg、1日3回;
300mg錠剤、1回300mg、1日2回;
ジダノシン:25〜200mg錠剤、1回125〜200mg、1日2回;
ザルシタビン:0.375mg〜0.75mg錠剤、1回0.75mg、1日3回;
スタブジン:15〜40mgカプセル、1回30〜40mg、1日2回;
ラミブジン:150mg錠剤、1回150mg、1日2回;
アバカビル:300mg錠剤、1回300mg、1日2回;
ネビラピン:200mg錠剤、1回200mg、14日間1日1回、その後1日2回;
デラビルジン:100mg錠剤、1回400mg、1日3回;
エファビレンツ:50〜200mgカプセル、1回600mg、1日1回;
インジナビル:200〜400カプセル、1回800mg、1日3回;
リトナビル:100mgカプセル、1回600mg、1日2回;
ネルフィナビル:250mg錠剤、1回750mg、1日3回;
サキナビル:200mgカプセル、1回1,200mg、1日3回;
アンプレナビル:50〜150mg錠剤、1回1,200mg、1日2回。
【0091】
【実施例】
一般式(I)で示される本発明化合物の効果は、以下の実験によって証明された。以下に実験方法を示すが、これに限定されるものではない。
【0092】
[生物学的実施例]
CCR5活性化剤がCCR5活性化作用を有することは、例えば、以下の実験で証明された。全体の操作は、基本的な遺伝子工学的手法に基づき、遺伝子高発現細胞を作製し、常法となっている方法を活用した。また、本発明の測定方法は、以下のように、本発明化合物を評価するために、測定精度の向上および/または測定感度の改良を加えたものである。以下に詳細な実験方法を示した。
【0093】
実施例1:CCR5アゴニストによる細胞内Ca濃度の上昇
(1−1)ヒトCCR5発現細胞の樹立
<1−1−A>ヒトCCR5遺伝子の単離
ヒト胎盤cDNAは、Marathon cDNA amplification kit(Clontech)を用いて作製した。PCRプライマーであるhCCR5XbaI−F1:5’−AGCTAGTCTAGATCCGTTCCCCTACAAGAAACTCTCC−3’(配列番号1)およびhCCR5XbaI−R1:5’−AGCTAGTCTAGAGTGCACAACTCTGACTGGGTCACCA−3’(配列番号2)は、GenBank U54994の配列に基き設計した。
ヒト胎盤cDNAを鋳型として、Ex Taq(Takara)を用いて、PCR反応(95℃で2分→[95℃で30秒、60℃で45秒、72℃で1分]×35回)を行なった。増幅したPCR産物を、1%アガロースゲル電気泳動後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて精製し、制限酵素XbaIで切断した。切断した断片を、発現ベクターpEF−BOS−bsrにDNA Ligation Kit Ver.2(Takara)を用いて連結し、大腸菌DH5αに形質転換した。このプラスミドpEF−BOS−bsr/hCCR5を調製し、DNA配列を確認した。
【0094】
<1−1−B>CHO細胞の培養
CHO−dhfr(−)は、Ham’s F−12(ウシ胎児血清(10%)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50mg/ml)含有)を用いて炭酸ガスインキュベーター(温度:37℃、CO2濃度:5%、湿度:95%)内で培養した。また、形質導入した細胞は、上記にブラストサイジン(5μg/ml)を添加し、培養した。
【0095】
<1−1−C>CHO細胞への形質導入
DMRIE−C reagent(Gibco BRL)を用いて、プラスミドpEF−BOS−bsr/hCCR5をCHO−dhfr(−)細胞に形質導入した。48時間後、5μg/mlのブラストサイジンを含む培地に交換して選択を行ない、安定過剰発現細胞を樹立した。
【0096】
<1−1−D>CCR5発現解析
前記<1−1−C>に記載の方法によって得られたクローンにおけるヒトCCR5発現強度を、細胞をフルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)(FITC)標識抗ヒトCCR5抗体(BD Pharmingen)によって検出し、FACSort(登録商標、ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて測定し、解析を行った。なお、アイソタイプコントロール抗体として、FITC標識マウスIgG2aκ(BD Pharmingen)を使用した。
【0097】
(1−2)CCR5アゴニストによる細胞内Ca濃度上昇と、内因性リガンドによるCCR5アゴニスト作用の阻害
<1−2−A>CCR5アゴニストによる細胞内Ca濃度の上昇
前記(1−1)で作製したヒトCCR5安定発現CHO細胞を3.5×104cells/100μl/ウェルで播種した。翌日、培地を80μl/ウェルのアッセイバッファー(Fura−2AM(5μM)、Probenecid(2.5mM)、HEPES(20mM pH7.4)含有Ham’s F−12)に置き換えて1時間37℃で培養した後、100μlの洗浄バッファー(Hanks(9.8mg/ml)、HEPES(20mM)、probenecide(2.5mM)含有)で2回洗い、更に100μlの洗浄バッファーを加え30分室温静置した。化合物4、化合物6、化合物7、化合物23、化合物36(各々0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μM)を加え、3分後にMIP−1α(30μM)を添加し、4分後に細胞内Ca濃度の上昇をモニターした。細胞内Ca濃度はFluorescence Drug Screening System4000(浜松ホトニクス社製)を用いて、励起光340nm/380nmのシグナル強度を測定した。試験化合物のアゴニスト活性は、化合物非添加時のMIP−1αのシグナル強度を100%として次の式により算出した。
【数1】
【0098】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7、化合物23、化合物36の5化合物は10μMの濃度で、内因性リガンドであるMIP−1αと同様にアゴニスト活性を示した(表1)。
【表1】
【0099】
<1−2−B>内因性リガンドによるCCR5アゴニストの作用阻害
前記<1−2−A>と同様にして、内因性リガンドによるCCR5アゴニストの作用阻害活性を調べた。CCR5内因性リガンドであるMIP−1α(10nM)を加え、3分後に各アゴニスト(10μM)を添加し、4分後に細胞内Ca濃度(シグナル強度)を測定した。
【0100】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7、化合物23、化合物36の5化合物は単独でCCR5の細胞内Ca濃度(シグナル強度)を上昇させたが、CCR5の内因性リガンドであるMIP−1αを予め添加することによりCCR5の脱感作が起こり、本発明化合物による細胞内Ca濃度(シグナル強度)の上昇はほぼ完全に抑制された(表2)。したがって、これらの化合物はCCR5を特異的に活性化することが示された。
【表2】
【0101】
実施例2:ヒトCCR5発現細胞(hCCR5−Ba/F3細胞)の遊走試験
(2−1)ヒトCCR5発現細胞の樹立
<2−1−A>ヒトCCR5遺伝子の単離
前記<1−1−A>ヒトCCR5遺伝子の単離に記載の方法によって行った。
【0102】
<2−1−B>Ba/F3細胞の培養
Ba/F3細胞は抗生剤(Antibiotic−Antimyotic)(終濃度:ペニシリンGナトリウム(100U/ml)、硫酸ストレプトマイシン(100μg/ml)、アンフォテリシンB(0.25μg/ml))(Gibco BRL)、ウシ胎児血清(FBS)(10%)、インターロイキン3(IL−3)(5ng/ml)(Pepro Tech、Inc)含有RPMI−1640培地(Gibco BRL)を用い、炭酸ガスインキュベーター内(温度:37℃、CO2濃度:5%、湿度:95%)で静置培養した。外来遺伝子安定過剰発現細胞の培養には上記培地に終濃度10μg/mlになるようにブラストサイジン(Kaken pharmaceutical)を添加した。
【0103】
<2−1−C>Ba/F3細胞への形質導入
ヒトCCR5発現用プラスミド(pEF−BOS−bsr/hCCR5)をAat IIで消化し、直鎖化した。直鎖化したプラスミドをQIA quick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した後、エレクトロポレーション(Gene Pulser(BIO RAD)960μF/250V)によりBa/F3細胞に導入した。細胞は96ウェル培養プレートに1000、100、10cells/100μl/ウェルの密度で播種し、48時間後、終濃度10μg/mlになるようにブラストサイジンを添加して、ブラストサイジン耐性株をクローニングし、導入した外来遺伝子を発現する安定過剰発現クローン(hCCR5−Ba/F3細胞)を樹立した。
【0104】
<2−1−D>CCR5発現解析
前記<1−1−D>に記載の方法によって行った。
【0105】
(2−2)細胞遊走試験
CCR5アゴニストに対するヒトCCR5を発現したBa/F3細胞の遊走能を調べた。まず、24穴トランスウェルプレートの下室に0.01、0.03、0.1、0.3、1μMの試験化合物(0.5ml/ウェル)を加え、上室にhCCR5−Ba/F3細胞(1×105cells/0.05ml/ウェル)を加えた。上室を下室に重ねることで試験を開始し、炭酸ガスインキュベーター(温度:37℃、CO2濃度:5%、湿度:95%)内で3時間インキュベーションした。また、これらの遊走細胞数を相対評価するために、最初に添加した細胞すべてが遊走した場合のスタンダードサンプル(1×105cells/0.5ml/ウェルのケモカイン含有培地)を調製し、これも同様にインキュベーションした。上室の外側下部を0.5mLの洗浄バッファー(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)(2mM)、FBS(0.1%)含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS))を用いて下室に洗い込み、下室に遊走した細胞をFACSチューブに回収した。スタンダードについても、0.5mlの洗浄バッファーを加えた。スタンダードサンプルおよび下室の細胞数をFACSort(登録商標、ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて測定し、30秒間のゲート(FSC×SSC)内の細胞数を計数した。
各濃度の試験化合物による遊走活性は、以下の式に従って算出し、結果はn=2の平均値で示した。
【数2】
【0106】
[結果]
0.01、0.1、1、10μMの濃度で、化合物4は33.1%、48.9%、23.4%、4.5%、化合物6は4.5%、29.7%、22.8%、7.4%、化合物7は0.1%、5.6%、38.9%、20.4%の細胞遊走活性を示した。これらの化合物による細胞遊走活性は、内因性リガンドと同様なベルシェイプ型の作用を示した。したがって、これらの化合物は内因性リガンドと同様にCCR5発現細胞を遊走させる作用を有することを確認した。
【0107】
実施例3:CCR5受容体のインターナリゼーション試験
前記(1−1)に記載の方法によって調製したヒトCCR5発現CHO細胞1×106cellsを10μMの試験化合物(0.5%FBS含、0.1%DMSO含、Ham’s F−12(Gibco BRL))、100nM ヒトMIP−1α(0.5%FBS含、0.1%DMSO含、Ham’s F−12)または培地(0.5%FBS含、0.1%DMSO含、Ham’s F−12)100μlに懸濁し、37℃の恒温槽にて30分間インキュベーションした。その後1mlの氷冷したPBS(−)を加えて1400rpmにて遠心し、上清を除去することによって細胞を洗浄した。洗浄は2回行った。細胞をFITC標識抗humanCCR5抗体(2D7)またはアイソタイプコントロール抗体10μlに懸濁して氷上にて30分間静置した。1mlの氷冷PBSを加え1400rpmにて遠心して洗浄を行った後500μLのPBS(−)に再懸濁したのち、FACSort(登録商標、ベクトン・ディッキンソン社製)にてFITC(FL−1)の蛍光強度を測定した。蛍光強度(mean値)から以下の式を用いて受容体残存率(%)を算出した。
【数3】
【0108】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7を添加した群において細胞表面上のCCR5受容体残存率はそれぞれ44.8%、52.8%、58.0%であり、内因性リガンドであるMIP−1α(55.3%)と同等のCCR5インターナリゼーションを起こす能力を有した。
【0109】
実施例4:細胞内cAMP濃度の低下試験
前記(1−1)に記載の方法によって調製した2×105cellsのヒトCCR5発現CHO細胞を10%FBS含Ham’s F−12 200μl/ウェルで96ウェルプレートに播種し、一晩37℃炭酸ガスインキュベーター内にて培養した。上清を捨て、細胞をPBS(−)200μlで2回洗浄してから100μlの0.5mM IBMX(0.5%FBS 含Ham’s F−12)を加えて37℃にて30分間インキュベーションした。その後40mMのフォルスコリンまたはアッセイバッファー(0.5%FBS Ham’s F−12)50μlと各試験化合物(10、100、1000nM)または内因性リガンド(ヒトMIP−1α、ヒトRANTES、ヒトMDC、各100nM)を50μl加えて、37℃にて15分間インキュベーションした。上清を捨て、cAMP Enzymeimmunoassay Biotrak(EIA)System(Amersham Biosciences) に附属のLysis Bufferを200μl加えて10分間シェイカーで振とうさせた。この上清中のcAMP濃度は、cAMP Enzymeimmunoassay Biotrak(EIA)Systemを用いて測定した。詳しくは、サンプルとウサギ抗cAMP血清を混合してロバ抗ウサギIgコートプレートに撒きこみ、室温にて2時間静置した。ペルオキシダーゼ標識cAMPを加えて室温で1時間静置した後、上清を廃棄してキット付属の洗浄バッファーにてウェルを洗浄した。酵素基質を加えて室温にて1時間静置した後、450nm(対照波長:690nm)の吸光度をマイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX−PRO)によって測定した。
【0110】
[結果]
CCR5アゴニストは、10、100、1000nMにおいて,試験化合物を添加してない群と比べて、13.9%、64.0%、70.6%(化合物4の抑制率)、6.8%、58.2%、69.2%(化合物6の抑制率)、−31.1%、13.5%、72.9%(化合物7の抑制率)、43.2%、50.2%、54.0%(化合物19の抑制率)、6.4%、43.6%、72.7%(化合物36の抑制率)の抑制率を示した。また、CCR5リガンドであるMIP−1αおよびRANTESは100nMでそれぞれ79.0%、69.3%の抑制率を示したが、CCR4リガンドであるMDCは抑制作用を示さなかった。したがって、これらの化合物はCCR5に特異的に作用して細胞内cAMP濃度を減少させることが示された。
【0111】
実施例5:mRNA発現誘導試験
(5−1)細胞調製
前記(2−1)ヒトCCR5発現細胞の樹立に記載の方法によって細胞を調製した。
【0112】
(5−2)RNAの調製
細胞を回収して、4mlのPBSで1回洗浄し、175μlのSV RNA Lysis Buffer(Promega)で溶解した。total RNAの精製にはSV total RNA Isolation System(Promega)を用い、RNAの収量はOD260nm測定によって算出した。
【0113】
(5−3)cDNAの合成
cDNAは1〜5μgのtotal RNAを熱変性(65℃、10分間)させて、氷上で急冷した後、First−Strand cDNA Synthesis Kit(Amersham − Pharmacia Biotech)を用いて合成した。
【0114】
(5−4)RT−PCR法によるmRNA発現解析
前記(5−3)の方法により調製したcDNAをRT−PCR法によって解析した。
mMCP−1のPCRプライマーであるmCCL2s:5’−CTCTTCCTCCACCACCATGC−3’(配列番号3)およびmCCL2a:5’−CATTTGGTTCCGATCCAGGTT−3’(配列番号4)は、GenBank NM_011333の配列に基づいて設計した。mMIP−1βのPCRプライマーであるmCCL4s:5’−TCTTGCTCGTGGCTGCCT−3’(配列番号5)およびmCCL4a:5’−TGAGAAGCATCAGGGCTGAG−3’(配列番号6)は、GenBank NM_013652の配列に基づいて設計した。β−actinのPCRプライマーであるβ−actin F1:5’−GCATTGTTACCAACTGGGAC−3’(配列番号7)およびβ−actin R1:5’−CGTGAGGGAGAGCATAGCCC−3’(配列番号8)は、GenBank NM_007393の配列に基づいて設計した。
cDNAを鋳型として、Ex Taq(Takara)を用いて、PCR反応(95℃で2分→[94℃で30秒、62℃で30秒、72℃で30秒]×28〜34回)を行なった。増幅したPCR産物を、エチジウムブロマイド含有1.2%アガロースゲルで電気泳動後、UVイルミネ−ター上で写真を撮影した。
【0115】
(5−5)内因性リガンドおよびCCR5アゴニストによるmRNA発現誘導
ヒト末梢血由来単球をRANTESで刺激すると、刺激2時間後にMCP−1、MIP−1βなどのmRNA発現が誘導されることが報告されている(J.Immunol., 2002, 168, 3557−62)。そこで、化合物4、化合物6、化合物7の3化合物による、hCCR5−Ba/F3細胞でのMCP−1、MIP−1β、β−actinのmRNA発現誘導能を解析した。また、これらのmRNA発現誘導がヒトCCR5を介していることを確認するために、ネガティブコントロールとしてBa/F3親細胞を用いた。
詳しくは、hCCR5−Ba/F3細胞(1×106cells/ml/ウェル)を12穴培養プレートに播き、ヒトRANTES、ヒトMIP−1α、ヒトMIP−1β(各々終濃度0.01μM)、あるいは化合物4、化合物6、化合物7(各々終濃度0.01、0.1、1、10μM)を1ml加えて培養した。ネガティブコントロールのBa/F3親細胞(1×106cells/ml/ウェル)に対しては、ヒトRANTES、ヒトMIP−1α、ヒトMIP−1β(各々終濃度0.01μM)、あるいは化合物4、化合物6、化合物7(各々終濃度10μM)1mlを加えて培養した。刺激1時間後に細胞を回収して、total RNAを調製し、mRNA発現を解析した。
【0116】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7の3化合物は、ヒトCCR5発現細胞においてMCP−1およびMIP−1βのmRNA発現を誘導した。また、これらの3化合物のBa/F3親細胞に対するmRNA発現誘導能についても調べた結果、いずれも無影響であった。したがって、これらのmRNA発現誘導はヒトCCR5を介していることが確認された。
【0117】
製剤例1:
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
・9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メ
チル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5
]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩 ・・・・・・5.0g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・・0.2g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・・0.1g
・微結晶セルロース ・・・・・・4.7g
【0118】
製剤例2:
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。
・9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メ
チル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5
]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩 ・・・・・・ 2.0g
・マンニトール ・・・・・・20g
・蒸留水 ・・・・・・500ml
【0119】
【配列表】
【発明が属する技術分野】
本発明は、CCR5活性化剤に関する。
【0002】
【発明の背景】
T細胞は、B細胞とともに、免疫系を司る主要な細胞として知られている。T細胞は、免疫系、すなわち細胞性免疫、液性免疫のうち、主に細胞性免疫に関与するリンパ球であるが、その機能から、あるいはその表面抗原から幾つかのサブクラスに分類される。T細胞の表面抗原であるCD4、CD8分子の発現は、胸腺内でのT細胞の分化の程度を示す一つの指標となっており、一般にCD4陽性T細胞は、主に抗体産生の補助や種々の免疫応答の誘導に関与するもの、CD8陽性T細胞は主に細胞傷害活性を有するものとされている。これらCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞において、未だ抗原刺激を受けたことが無い細胞を、それぞれCD4陽性ナイーブT細胞、CD8陽性ナイーブT細胞というが、これらの細胞は、抗原提示細胞から抗原特異的活性化シグナルと補助刺激シグナルを受けることによって、種々の機能を有するエフェクター細胞へと分化する。このエフェクター細胞としては、CD4陽性ナイーブT細胞から分化したTh1細胞およびTh2細胞、CD8陽性ナイーブT細胞から分化した細胞傷害性T細胞(CTL)が知られている。一般にT細胞の機能として知られる、抗体産生の補助や種々の免疫応答の誘導、または細胞傷害活性は、ナイーブT細胞のものでは無く、これらエフェクター細胞の機能を表わしたものである。
【0003】
また、T細胞は、CD4やCD8といった表面抗原の他に、複数の表面抗原を発現している。これら表面抗原のうちには、抗原提示細胞からの刺激を受ける受容体として機能しているものも多数含まれる。ケモカイン受容体の中には、ケモカインに応答して細胞遊走を仲介する機能の他に、この様な抗原提示細胞からの刺激を受ける受容体として機能するものがあることが知られており(J. Immunol. 1996 Mar 15;156(6):2095−2103.)、CCR5もその一つである。
【0004】
ケモカインは、種々の細胞の移動に深く関与している。また、ケモカイン受容体は、種々の特異的な細胞において、ある特定した時期に発現し、そのエフェクター細胞がケモカインの産生される個所に集積するというメカニズムを通じて、炎症、免疫反応の制御に大きく関与している。
【0005】
近年、移植の拒絶反応(例えば、固形臓器移植片の拒絶、糖尿病における膵島細胞移植の拒絶、移植片対宿主病(GVHD(graft−versus−host disease))等)、自己免疫疾患(例えば、関節炎、慢性関節炎リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、アレルギー性疾患(例えば、喘息等)、および虚血性疾患(例えば、虚血再灌流傷害等)において、ケモカイン受容体であるCCR5、さらにはCCR5を発現するT細胞がその病態進行に関与する可能性を示す報告がなされている。例えば、移植の拒絶反応に関する報告としては、動物モデルにおいて抗CCR5抗体や抗MIP−1α抗体が効果を示すことや、CCR5ノックアウトマウスを用いた実験等が報告されている。また、自己免疫疾患に関する報告としては、慢性関節リウマチ患者の滑膜組織にCCR5陽性T細胞の浸潤が見られることや、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎の動物モデルにおいてCCR5の関与を示す実験等が報告されている。アレルギー性疾患に関する報告としては、喘息患者の肺にCCR5陽性T細胞の浸潤が見られることが報告されている。また、これらCCR5の関与が示唆されている疾患において、不活性型CCR5を発現するヒトと野生型CCR5を発現するヒトの比較を行った報告がなされている。
【0006】
上記したように、T細胞の関与が示唆されているこれらの疾患では、新たな薬剤の開発が切望されており、T細胞の亢進した機能を阻害する薬剤、またはT細胞の過剰な遊走を阻害する薬剤は、移植の拒絶反応(例えば、固形臓器移植片の拒絶、糖尿病における膵島細胞移植の拒絶、移植片対宿主病(GVHD(graft−versus−host disease))等)、自己免疫疾患(例えば、関節炎、慢性関節炎リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、アレルギー性疾患(例えば、喘息等)、および虚血性疾患(例えば、虚血再灌流傷害等)等の優れた予防および/または治療剤となると考えられる。
【0007】
一方、ヒト免疫不全ウィルス(以下、HIVと略する。)感染によって引き起こされる後天性免疫不全症候群(エイズ(AIDS)と呼ばれている。)は、近年最もその治療法を切望されている疾患の一つである。主要な標的細胞であるCD4陽性細胞がHIVにいったん感染すると、HIVは患者の体内で増殖をくり返し、やがては免疫機能を司るT細胞を壊滅的に破壊する。この過程で徐々に免疫機能が低下し、発熱、下痢、リンパ節の腫脹等の様々な免疫不全状態を示すようになり、カリニ肺炎等の種々の日和見感染症を併発し易くなる。このような状態がエイズの発症であり、カボジ肉腫等の悪性腫瘍を誘発し、重篤化することはよく知られている。
【0008】
エイズに対する各種の予防、治療方法としては、例えば、(1)逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤の投与によるHIVの増殖抑制、(2)免疫賦活作用のある薬物の投与による日和見感染症の予防、緩和等が試みられている。
【0009】
HIVが主に感染する細胞は、免疫系の中枢を司るヘルパーT細胞である。その際、T細胞の膜上に発現している膜蛋白CD4を利用することが報告されている(Cell, 52, 631 (1985))。CD4分子は433個のアミノ酸残基からなり、成熟ヘルパーT細胞以外にマクロファージ、一部のB細胞、血管内皮細胞、皮膚組織のランゲルハンス細胞、リンパ組織にある樹状細胞、中枢神経系のグリア細胞等で発現が見られる。しかし、CD4分子のみではHIVの感染が成立しないことが明らかになるにつれて、HIVが細胞に感染する際にかかわるCD4分子以外の因子の存在の可能性が示唆されるようになった。
【0010】
RANTES、MIP−1α、MIP−1βの受容体であるCCR5は、マクロファージ指向性(R5)HIVが感染する際に利用されることが発見された(Science, 272, 1955 (1996))。
【0011】
従って、HIVとCCR5を奪い合うことのできる化合物、あるいはHIVウイルスに結合し、該ウイルスがCCR5に結合できない状態にさせる化合物は、新しいタイプのHIV感染阻害剤となり得るはずである。
【0012】
以上のことから、ケモカインレセプター、特にCCR5は、各種炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患等の免疫疾患、またはHIV感染に深く関与していると考えられる。例えば、喘息、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、鼻炎、結膜炎、潰瘍性大腸炎等、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、乾癬、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウィルス感染(後天性免疫不全症候群等)、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症、虚血再灌流傷害、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、癌転移等に関与していると考えられる。
【0013】
【従来の技術】
トリアザスピロ[5.5]ウンデカン誘導体化合物、それらの四級アンモニウム塩、それらのN−オキシドまたはそれらの薬理学的に許容される塩が、ケモカイン/ケモカイン受容体(CCR)の作用を制御することにより、各種炎症性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症等)、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬、鼻炎、結膜炎、虚血再灌流傷害の抑制、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、自己免疫疾患の治療、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、癌転移、後天性免疫不全症候群の予防および/または治療として有用であることが報告されている(特許文献1、2参照。)。
【0014】
【特許文献1】
国際公開第01/40227号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第02/74770号パンフレット
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
CCR5に結合する化合物は、HIVやその他の免疫反応に関連するタンパク質のCCR5への結合を阻害する。したがって、これらの化合物、とりわけ低分子化合物はHIV感染や免疫疾患等の種々の疾患に有効であることが予測される。一方、いったんCCR5に結合した化合物が何らかの要因で受容体から解離してしまうと、上述の活性が消失してしまうことが考えられる。また、CCR5アンタゴニストがCCR5と結合した場合、アップレギュレーションが起こり、細胞表面の受容体数が増加し、上述の活性部位が多数出現し、HIV感染や免疫疾患が増悪される可能性も考えられる。
【0016】
一方、MIP−1α、MIP−1β、RANTESなどの内因性リガンドがCCR5に結合すると、活性化が起こり、引き続いて様々な作用が引き起こされることが知られている。活性化とは、例えば、CCR5アゴニストがCCR5と結合することにより、細胞内Ca濃度の上昇、cAMP濃度の減少、遺伝子発現の誘導をもたらしたり、アゴニストの濃度勾配に応じて細胞を遊走させる機能をいう。CCR5アゴニストは細胞遊走作用を有するので、例えば、全身投与することによって、炎症部へ遊走しようとしているエフェクター細胞の方向性を撹乱させ、炎症部位で増悪しているエフェクター細胞の過剰な集積を阻止することが可能である。活性化に引き続いて起こる作用とは、例えば、受容体のリン酸化を誘導することで脱感作をもたらしたり、受容体を細胞内に内在化(インターナリゼーション)させる機能をいう。インターナリゼーションが起こると細胞表面の受容体数が減少する。したがって、CCR5アゴニスト作用を有する化合物は、CCR5に結合し内因性リガンドやHIV等のCCR5への結合を阻害するだけでなく、CCR5のインターナリゼーションを引き起こすことで内因性リガンドやHIV等が細胞に結合する部位やその結合確率を減らし、内因性リガンドによる望ましくない免疫作用や、HIV等の感染を抑制することができる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、一般式(I)で示される化合物がCCR5を活性化すること、さらにはCCR5発現細胞に対する遊走活性を有すること、CCR5受容体の脱感作を引き起こすこと、CCR5受容体のインターナリゼーションを引き起こすこと等を見出し、本発明を完成した。
【0018】
【発明の開示】
本発明は、
1.一般式(I)
【化5】
(式中、環Aは置換基を有していてもよい含窒素単環、二環または三環式複素環を表わし、環Bは置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環を表わし、Wは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わし、Yは結合手または主鎖の原子数1〜10のスペーサーを表わす。)
で示される化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなるCCR5活性化剤、
2.細胞遊走を引き起こす作用を有する前記1記載のCCR5活性化剤、
3.脱感作を引き起こす作用を有する前記1記載のCCR5活性化剤、
4.インターナリゼーションを引き起こす作用を有する前記1記載のCCR5活性化剤、
5.YがC1〜3アルキレンである前記1記載のCCR5活性化剤、
6.環Aが9〜15員含窒素二環または三環式複素環である前記1記載のCCR5活性化剤、
7.環Bが置換基を有していてもよいピラゾールである前記1記載のCCR5活性化剤、
8.Wが置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい3〜15員複素環基である前記1記載のCCR5活性化剤、
9.環Aが
【化6】
(式中、環A1は置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環を表わす。)である前記1記載のCCR5活性化剤、
10.YがC1〜3アルキレンである前記9記載のCCR5活性化剤、
11.環A1が置換基を有していてもよい3〜8員複素環である前記9記載のCCR5活性化剤、
12.環Bが置換基を有していてもよいピラゾールである前記9記載のCCR5活性化剤、
13.Wが置換基を有していてもよい炭素数3〜8の環状炭化水素基または置換基を有していてもよい5〜10員複素環基である前記9記載のCCR5活性化剤、
14.一般式(I)
【化7】
(式中の記号は前記1の記載と同じ意味を表わす。)
で示される化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、CCR5を活性化する方法、
15.CCR5活性化剤を製造するための、一般式(I)
【化8】
(式中の記号は前記1の記載と同じ意味を表わす。)
で示される化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグの使用に関する。
【0019】
本発明におけるCCR5活性化剤としては、前記一般式(I)で示されるCCR5アゴニストが好適である。
【0020】
一般式(I)中、環Aで示される「置換基を有していてもよい含窒素単環、二環または三環式複素環」における「含窒素単環、二環または三環式複素環」とは、一般式(I)の環Aにおいて表示されている窒素原子以外に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から任意に選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい複素環を表わす。「含窒素単環、二環または三環式複素環」としては、例えば、「3〜15員含窒素不飽和単環、二環または三環式複素環」、「3〜15員含窒素飽和単環、二環または三環式複素環」等が挙げられる。
【0021】
「3〜15員含窒素不飽和単環、二環または三環式複素環」としては、例えばピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、アゼピン、ジアゼピン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ペリミジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン等が挙げられる。
【0022】
また、「3〜15員含窒素飽和単環、二環または三環式複素環」としては、アジリジン、アゼチジン、アゾカン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロアクリジン、
【化9】
等が挙げられる。
【0023】
さらに、環Aには、
【化10】
も含まれる。
ここで、環A1は「置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環」を表わす。
【0024】
環A1で示される「置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環」における「3〜8員同素環」としては、「炭素数3〜8の環状炭化水素」等が挙げられる。「炭素数3〜8の環状炭化水素」における「環状炭化水素」としては、「不飽和環状炭化水素」または「飽和環状炭化水素」が挙げられる。「飽和環状炭化水素」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン、さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。「不飽和環状炭化水素」としては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等のシクロアルケン、さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン等が挙げられる。
【0025】
環A1で示される「置換基を有していてもよい3〜8員同素環または複素環」における「3〜8員複素環」としては、「3〜8員不飽和複素環」、「3〜8員飽和複素環」が挙げられる。
【0026】
「3〜8員不飽和複素環」としては、例えば、アゼピン、ジアゼピン、チオピラン、オキサジン、オキサジアジン、チアジン、チアジアジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン環等が挙げられる。
【0027】
また、「3〜8員飽和複素環」としては、アジリジン、アゼチジン、アゾカン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、
【化11】
環等が挙げられる。
【0028】
環Aで示される「含窒素単環、二環または三環式複素環」として好ましくは、「9〜15員含窒素二環または三環式複素環」、または
【化12】
が挙げられる。
【0029】
「9〜15員含窒素二環または三環式複素環」として具体的には、例えば「9〜15員含窒素不飽和二環または三環式複素環」としては、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ペリミジン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン等が挙げられる。
【0030】
また、「9〜15員含窒素飽和二環または三環式複素環」としては、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロアクリジン等が挙げられる。
【0031】
環Aとして特に好ましくは、
【化13】
が挙げられる。
【0032】
環Aおよび環A1における「置換基」としてはオキソ基、置換基を有していてもよい炭化水素基、−OR1、−NR2R3、−SR4(式中、R1〜R4は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)等が挙げられる。
【0033】
「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等の炭素数1ないし15のアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基、例えば、ビニル、アリル、2−メチルアリル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−オクテニル等の炭素数2ないし10のアルケニル基、例えば、エチニル、2−プロピニル、3−ヘキシニル等の炭素数2ないし10のアルキニル基、例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の炭素数3ないし10のシクロアルケニル基、例えば、フェニル、ナフチル等の炭素数6ないし14のアリール基、例えば、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7〜16のアラルキル基、例えば、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、1−メチル−1−シクロヘキシルメチル等の(炭素数3ないし8のシクロアルキル)−(炭素数1ないし4のアルキル)基等が挙げられる。
【0034】
また、「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」としては、例えば(1)ニトロ、(2)水酸基、(3)オキソ、(4)チオキソ、(5)シアノ、(6)カルバモイル、(7)N−ブチルアミノカルボニル、N−シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、N−ブチル−N−シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、N−シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル等の炭素数1〜8の炭化水素等で置換されたアミノカルボニル、(8)カルボキシ、(9)例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等の炭素数1ないし4のアルコキシ−カルボニル、(10)スルホ、(11)フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、(12)例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、ベンジルオキシ等の炭素数1ないし8のアルコキシ、(13)例えばシクロヘキシルオキシ等の炭素数3ないし8のシクロアルコキシ、(14)フェノキシ、(15)例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ等のハロゲノフェノキシ、(16)例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ等の炭素数1ないし4の低級アルキルチオ、(17)フェニルチオ、(18)例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等の炭素数1ないし4の低級アルキルスルフィニル、(19)例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等の炭素数1ないし4の低級アルキルスルホニル、(20)アミノ、(21)例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ等の炭素数1ないし6の低級アシルアミノ、(22)例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、1−カルバモイル−2−シクロヘキシルエチルアミノ、N−ブチル−N−シクロヘキシルメチルアミノ、フェニルアミノ等の炭化水素基で置換された第1または第2アミノ(ここで、「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わし、オキソ、アミノ、カルバモイル等で置換されていてもよい。)、(23)例えば、ホルミル、アセチル等の炭素数1ないし4の低級アシル、(24)ベンゾイル、(25)(a)例えば、Br、Cl、F等のハロゲン、(b)オキソ、ヒドロキシ等で置換されていてもよい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等の炭化水素基(ここで、「炭化水素基」は前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(c)例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ等のハロゲノフェノキシ、および(d)オキソ等から選ばれた1ないし4個の置換基を有していてもよい、例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、4−テトラヒドロピラニル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−イミダゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1Hまたは2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダニジル、キノリル、イソキノリル、インドリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から任意に選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5または6員複素環基、および(26)例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル等の炭素数1ないし10のハロアルキル基、(27)ヒドロキシイミノ基、(28)例えば、メチルオキシイミノ、エチルオキシイミノ等のアルキルオキシイミノ基、(29)スルファモイル基、(30)例えばメチルアミノスルホニル等の炭化水素基で置換されたアミノスルホニル、(31)例えば、ジメチルアミノエチルアミノスルホニル、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル等のアミノ基で置換された炭化水素基によって置換されたアミノスルホニル、または(32)例えばメチルスルホニルアミノ等の炭化水素基で置換されたスルホニルアミノ等が挙げられる。「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、前記(1)から(32)から選ばれる任意の1ないし5個の置換基を有していてもよいほか、「炭化水素基」がシクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはアラルキル基である場合は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等の炭素数1ないし4の低級アルキルを置換基として1〜4個有していてもよい。また、置換基の数が2以上の場合、それぞれの置換基は同一または異なっていてもよい。
【0035】
環Aの置換基として好ましくは、オキソ基、置換されていてもよいベンジル基、置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等の炭素数1ないし4のアルキル基が挙げられる。
【0036】
環Bで示される「置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環」における「5または6員含窒素複素環」とは、少なくともひとつの窒素原子を含み、さらに窒素原子、酸素原子および硫黄原子から任意に選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員複素環を表わす。「5または6員含窒素複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジンチアジアゾール、チアジン、チアジアジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ピロリジン、イミダゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、テトラヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、モルホリン、チオモルホリン等が挙げられる。「5または6員含窒素複素環」として好ましくは、置換基を有していてもよいピラゾール等が挙げられる。さらに好ましくは、
【化14】
が挙げられる。
【0037】
環Bおよび環B1で示される「置換基を有していてもよい5または6員含窒素複素環」における「置換基」としては、置換基を有していてもよい炭化水素基、例えば、Br、Cl、F等のハロゲン、または−OR1(式中、R1は前記と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。環Bおよび環B1の置換基としての「置換基を有していてもよい炭化水素基」は前記環Aにおける置換基としての「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同じ意味を表わす。
【0038】
環Bおよび環B1の置換基として好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等の炭素数1ないし4のアルキル基、Cl、−OR1が挙げられる。
【0039】
Yで示される「主鎖の原子数1〜10のスペーサー」とは、主鎖の原子が1〜10個連なっている間隔を意味する。ここで、「主鎖の原子数」は、主鎖の原子が最小となるように数えるものとする。「主鎖の原子数1〜10のスペーサー」としては、例えば、1または2個の置換基を有していてもよいメチレン基(−CH2−)、置換基を有していてもよいイミノ基(−NH−)、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−から選ばれる1〜10個からなる2価基等が挙げられる。ここで、メチレン基の置換基およびイミノ基の置換基としては、前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」と同じ意味を表わす。具体的には、例えば、−CR5R6−、−NR7−、−CO−、−O−、−S−、−NR7CO−、−CONR7−、−NR7COCR5R6−、−CONR7CR5R6−(式中、R5〜R7は前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。
【0040】
Yで示される「主鎖の原子数1〜10のスペーサー」として好ましくは「主鎖の原子数1〜3のスペーサー」が挙げられ、さらに好ましくは「C1〜3アルキレン」が挙げられる。「C1〜3アルキレン」としては、メチレン、エチレン、プロピレン等が挙げられる。さらに、Yとして好ましくは、メチレンが挙げられる。
【0041】
Wで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」は、前記環Aにおける置換基としての「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同じ意味を表わす。好ましい「炭化水素基」としては、炭素数3〜8の環状炭化水素等が挙げられる。ここで「炭素数3〜8の環状炭化水素」は、前記と同じ意味を表わす。さらに好ましくは、シクロヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。
【0042】
Wで示される「置換基を有していてもよい複素環基」における「複素環」としては、例えば、「3〜15員不飽和複素環」、「3〜15員飽和複素環」等が挙げられる。
【0043】
「3〜15員不飽和複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン環等が挙げられる。
【0044】
また、「3〜15員飽和複素環」としては、アジリジン、アゼチジン、アゾカン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、パーヒドロベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロアクリジン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン環等が挙げられる。
【0045】
Wで示される「複素環」として好ましくは、「5〜10員複素環」が挙げられる。具体的には、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン等の5〜10員不飽和複素環、例えば、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、パーヒドロベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン環等の5〜10員飽和複素環等の5〜10員複素環が挙げられる。
【0046】
Wで示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「置換基」は、Wで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」と同じ意味を表わす。さらに、Wで示される「置換基を有していてもよい複素環基」は「置換基を有していてもよい炭化水素基」を置換基として有していてもよい。ここで、「置換基を有していてもよい炭化水素基」は前記と同じ意味を表わす。
【0047】
また、好ましい化合物の具体例としては、
化合物1:1−ブチル−8−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン・塩酸塩、
化合物2:1−ベンジル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物3:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物4:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(2−メトキシベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物5:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メトキシベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0048】
化合物6:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(2−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物7:3−[(シクロヘキシルメトキシ)メチル]−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物8:1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物9:(3R)−1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物10:1−ブチル−9−{[3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0049】
化合物11:1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物12:1−ブチル−3−(2−シクロヘキシルエチル)−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物13:(3S)−1−ブチル−9−[(5−クロロ−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物14:N−[4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]メタンスルホンアミド・2塩酸塩、
化合物15:(3S)−1−ブチル−9−{[1−(4−フルオロフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0050】
化合物16:(3S)−1−ブチル−9−{[1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物17:(3R)−1−ブチル−9−{[3,5−ジメチル−1−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物18:(3S)−1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物19:(3S)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物20:(3S)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−(シクロヘキシルメチル)−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
【0051】
化合物21:(3R)−1−ブチル−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−9−{[1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物22:N−{4−[4−({(3R)−1−ブチル−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル}メチル)−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル]フェニル}メタンスルホンアミド・2塩酸塩、
化合物23:N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[(3S)−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルホンアミド・3塩酸塩、
化合物24:メチル 4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)安息香酸・2塩酸塩、
化合物25:メチル 4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−(シクロヘキシルメチル)−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)安息香酸・2塩酸塩、
【0052】
化合物26:4−(4−{[(3S)−1−ブチル−3−イソブチル−2,5−ジオキソ−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−イル]メチル}−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ベンゼンスルホンアミド・3塩酸塩、
化合物27:(3R)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物28:(3R)−9−[(1−シクロヘキシル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−[(R)−シクロヘキシル(ヒドロキシ)メチル]−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物29:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物30:1−ベンジル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
【0053】
化合物31:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メトキシベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物32:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(ピリジン−2−イルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物33:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(ピリジン−3−イルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物34:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(2−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
化合物35:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−(3−メチルベンジル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン、
【0054】
化合物36:9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩、
化合物37:1−ブチル−9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−3−イソブチル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩等が挙げられる。
【0055】
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
【0056】
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で塩に変換される。塩としては薬理学的に許容される塩が好ましい。
薬理学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、酸付加塩等が挙げられる。
【0057】
薬理学的に許容される塩は、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
【0058】
酸付加塩は水溶性であることが好ましい。適当な酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
【0059】
一般式(I)で示される化合物およびそれらの塩は溶媒和物に変換することもできる。
溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)のような溶媒和物が挙げられる。
【0060】
一般式(I)で示される化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩はすべて好ましい。具体的には、実施例に記載した化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩が挙げられる。
【0061】
さらに塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。四級アンモニウム塩とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、R0基によって四級化されたものを表わす。
R0基は、C1〜8アルキル基、フェニル基によって置換されたC1〜8アルキル基を表わす。
【0062】
本発明化合物は任意の方法でN−オキシドにすることができる。N−オキシドとは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。
【0063】
また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される化合物がアミノ基を有する場合、該アミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシ基を有する場合該カルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。
【0064】
【本発明化合物の製造方法】
一般式(I)で示される本発明化合物は、国際公開第01/40227号パンフレットまたは国際公開第02/74770号パンフレットに記載された方法、あるいはそれに準じた方法で製造することができる。
以下に化合物1の製造方法を記す。
【0065】
化合物1(1−ブチル−8−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン・塩酸塩)の製造方法:
N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリドンとブチルアミン・塩酸塩、およびシアン化カリウムを用いて、N−ベンジルオキシカルボニル−4−シアノ−4−(1−ブチルアミノ)ピペリジン・塩酸塩を得た。さらに、シアン酸カリウムを用いて環化反応に付した後、脱保護反応によって1−ブチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを得た。得られた化合物と3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元的アミノ化反応に付し、以下の物性値を有する化合物1を得た。
TLC:Rf 0.58(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CD3OD):δ 7.55 (m, 5H), 4.38 (s, 2H), 3.69 (m, 2H), 3.21 (m, 4H), 2.47 (m, 2H), 2.45 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 2.09 (m, 2H), 1.62 (m, 2H), 1.36 (m, 2H), 0.95 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
化合物2〜37の製造方法は、国際公開第01/40227号パンフレットまたは国際公開第02/74770号パンフレットに記載されている。
【0066】
【毒性】
一般式(I)で示される化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
【0067】
【医薬品への適用】
哺乳動物、特にヒトにおいて、一般式(I)で示される本発明化合物は、CCR5アゴニスト作用を有するので、例えば、喘息、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、鼻炎、結膜炎、潰瘍性大腸炎等、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、乾癬、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウィルス感染(後天性免疫不全症候群等)、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症、虚血再灌流傷害、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、癌転移等の予防および/または治療に有用である。
【0068】
一般式(I)で示される化合物、またはそれらの塩、またはそれらのプロドラッグを上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0069】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【0070】
本発明化合物を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
【0071】
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0072】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0073】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0074】
非経口投与のためのその他の製剤としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟膏剤、塗布剤、吸入剤、スプレー剤、坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0075】
スプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
【0076】
本発明の一般式(I)で表される化合物、またはそれらの塩は、他の薬剤、例えば、HIV感染の予防および/または治療剤(特に、AIDSの予防および/または治療剤)と組み合わせて用いてもよい。この場合、これらの薬物は、別々にあるいは同時に、薬理学的に許容されうる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、溶解補助剤、希釈剤等と混合して製剤化し、HIV感染の予防および/または治療のための医薬組成物として経口的にまたは非経口的に投与することができる。
【0077】
本発明の一般式(I)で表される化合物、またはそれらの塩は、他のHIV感染の予防および/または治療剤(特に、AIDSの予防および/または治療剤)に対して耐性を獲得したHIV−1に対して感染阻害作用を有する。従って、他のHIV感染の予防および/または治療剤が効果を示さなくなったHIV感染者に対しても用いることができる。この場合、本発明化合物を単剤で用いても良いが、感染しているHIV−1株が耐性を獲得したHIV感染の予防および/または治療剤またはそれ以外の薬剤と併用して用いても良い。
【0078】
本発明は一般式(I)で表わされる化合物、またはそれらの塩とHIV感染を阻害しない薬物を組み合わせてなり、単剤よりもHIV感染の予防および/または治療効果が増強されたものをも含む。
【0079】
本発明の一般式(I)で表される化合物、またはそれらの塩と組み合わせて用いられる他のHIV感染の予防および/または治療剤の例としては、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、CCR結合剤(例えば、ケモカイン活性化剤、ケモカインレセプターの内因性のリガンドまたはその誘導体、ケモカインレセプターに対する抗体、ケモカイン拮抗剤(例えば、CCR2拮抗剤、CCR3拮抗剤、CCR4拮抗剤、CCR5拮抗剤、CXCR4拮抗剤等)等)、フュージョン阻害剤、HIV−1の表面抗原に対する抗体、HIV−1のワクチン等が挙げられる。
【0080】
逆転写酵素阻害剤として、具体的には、(1)核酸系逆転写酵素阻害剤のジドブジン(商品名:レトロビル)、ジダノシン(商品名:ヴァイデックス)、ザルシタビン(商品名:ハイビッド)、スタブジン(商品名:ゼリット)、ラミブジン(商品名:エピビル)、アバカビル(商品名:ザイアジェン)、アデフォビル、アデフォビル ジピボキシル、エントリシタビン(商品名:コビラシル)、PMPA(商品名:テノフォヴィル)等、(2)非核酸系逆転写酵素阻害剤のネビラピン(商品名:ビラミューン)、デラビルジン(商品名:レスクリプター)、エファビレンツ(商品名:サスティバ、ストックリン)、カプラヴィリン(AG1549)等が挙げられる。
【0081】
プロテアーゼ阻害剤として、具体的には、インジナビル(商品名:クリキシバン)、リトナビル(商品名:ノービア)、ネルフィナビル(商品名:ビラセプト)、サキナビル(商品名:インビラーゼ、フォートベース)、アンプリナビル(商品名:エジネラーゼ)、ロピナビル(商品名:カレトラ)、ティプラナビル等が挙げられる。
【0082】
ケモカインレセプターの内因性のリガンドとしては、具体的には、MIP−1α、MIP−1β、RANTES、SDF−1α、SDF−1β、MCP−1、MCP−2、MCP−4、エオタキシン(Eotaxin)、MDC等が挙げられる。
【0083】
内因性リガンドの誘導体としては、具体的には、AOP−RANTES、Met−SDF−1α、Met−SDF−1β等が挙げられる。
ケモカインレセプターの抗体としては、具体的には、Pro−140等が挙げられる。
【0084】
CCR2拮抗剤としては、具体的には、WO99/07351号、WO99/40913号、WO00/46195号、WO00/46196号、WO00/46197号、WO00/46198号、WO00/46199号、WO00/69432号、WO00/69815号またはBioorg. Med. Chem. Lett., 10, 1803 (2000)に記載された化合物等が挙げられる。
【0085】
CCR3拮抗剤としては、具体的には、DE19837386号、WO99/55324号、WO99/55330号、WO00/04003号、WO00/27800号、WO00/27835号、WO00/27843号、WO00/29377号、WO00/31032号、WO00/31033号、WO00/34278号、WO00/35449号、WO00/35451号、WO00/35452号、WO00/35453号、WO00/35454号、WO00/35876号、WO00/35877号、WO00/41685号、WO00/51607号、WO00/51608号、WO00/51609号、WO00/51610号、WO00/53172号、WO00/53600号、WO00/58305号、WO00/59497号、WO00/59498号、WO00/59502号、WO00/59503号、WO00/62814号、WO00/73327号またはWO01/09088号に記載された化合物等が挙げられる。
【0086】
CCR4拮抗剤としては、具体的には、WO02/030357号、WO02/030358号に記載された等が挙げられる。
【0087】
CCR5拮抗剤としては、具体的には、TAK−779、TAK−220、SCH−D、SCH−C等が挙げられる。さらにWO99/17773号、WO99/32100号、WO00/06085号、WO00/06146号、WO00/10965号、WO00/06153号、WO00/21916号、WO00/37455号、EP1013276号、WO00/38680号、WO00/39125号、WO00/40239号、WO00/42045号、WO00/53175号、WO00/42852号、WO00/66551号、WO00/66558号、WO00/66559号、WO00/66141号、WO00/68203号、JP2000309598号、WO00/51607号、WO00/51608号、WO00/51609号、WO00/51610号、WO00/56729号、WO00/59497号、WO00/59498号、WO00/59502号、WO00/59503号、WO00/76933号、WO98/25605号、WO99/04794号、WO99/38514号またはBioorg. Med. Chem. Lett., 10, 1803 (2000)に記載された化合物等が挙げられる。
【0088】
CXCR4拮抗剤としては、具体的には、AMD−3100、T−22、KRH−1120またはWO00/66112号に記載された化合物等が挙げられる。
【0089】
フュージョン阻害剤としては、具体的には、T−20(pentafuside)、T−1249等が挙げられる。
以上の併用薬剤は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
代表的な逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤の通常の臨床投与量は、例えば、以下に示すとおりであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ジドブジン:100mgカプセル、1回200mg、1日3回;
300mg錠剤、1回300mg、1日2回;
ジダノシン:25〜200mg錠剤、1回125〜200mg、1日2回;
ザルシタビン:0.375mg〜0.75mg錠剤、1回0.75mg、1日3回;
スタブジン:15〜40mgカプセル、1回30〜40mg、1日2回;
ラミブジン:150mg錠剤、1回150mg、1日2回;
アバカビル:300mg錠剤、1回300mg、1日2回;
ネビラピン:200mg錠剤、1回200mg、14日間1日1回、その後1日2回;
デラビルジン:100mg錠剤、1回400mg、1日3回;
エファビレンツ:50〜200mgカプセル、1回600mg、1日1回;
インジナビル:200〜400カプセル、1回800mg、1日3回;
リトナビル:100mgカプセル、1回600mg、1日2回;
ネルフィナビル:250mg錠剤、1回750mg、1日3回;
サキナビル:200mgカプセル、1回1,200mg、1日3回;
アンプレナビル:50〜150mg錠剤、1回1,200mg、1日2回。
【0091】
【実施例】
一般式(I)で示される本発明化合物の効果は、以下の実験によって証明された。以下に実験方法を示すが、これに限定されるものではない。
【0092】
[生物学的実施例]
CCR5活性化剤がCCR5活性化作用を有することは、例えば、以下の実験で証明された。全体の操作は、基本的な遺伝子工学的手法に基づき、遺伝子高発現細胞を作製し、常法となっている方法を活用した。また、本発明の測定方法は、以下のように、本発明化合物を評価するために、測定精度の向上および/または測定感度の改良を加えたものである。以下に詳細な実験方法を示した。
【0093】
実施例1:CCR5アゴニストによる細胞内Ca濃度の上昇
(1−1)ヒトCCR5発現細胞の樹立
<1−1−A>ヒトCCR5遺伝子の単離
ヒト胎盤cDNAは、Marathon cDNA amplification kit(Clontech)を用いて作製した。PCRプライマーであるhCCR5XbaI−F1:5’−AGCTAGTCTAGATCCGTTCCCCTACAAGAAACTCTCC−3’(配列番号1)およびhCCR5XbaI−R1:5’−AGCTAGTCTAGAGTGCACAACTCTGACTGGGTCACCA−3’(配列番号2)は、GenBank U54994の配列に基き設計した。
ヒト胎盤cDNAを鋳型として、Ex Taq(Takara)を用いて、PCR反応(95℃で2分→[95℃で30秒、60℃で45秒、72℃で1分]×35回)を行なった。増幅したPCR産物を、1%アガロースゲル電気泳動後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて精製し、制限酵素XbaIで切断した。切断した断片を、発現ベクターpEF−BOS−bsrにDNA Ligation Kit Ver.2(Takara)を用いて連結し、大腸菌DH5αに形質転換した。このプラスミドpEF−BOS−bsr/hCCR5を調製し、DNA配列を確認した。
【0094】
<1−1−B>CHO細胞の培養
CHO−dhfr(−)は、Ham’s F−12(ウシ胎児血清(10%)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50mg/ml)含有)を用いて炭酸ガスインキュベーター(温度:37℃、CO2濃度:5%、湿度:95%)内で培養した。また、形質導入した細胞は、上記にブラストサイジン(5μg/ml)を添加し、培養した。
【0095】
<1−1−C>CHO細胞への形質導入
DMRIE−C reagent(Gibco BRL)を用いて、プラスミドpEF−BOS−bsr/hCCR5をCHO−dhfr(−)細胞に形質導入した。48時間後、5μg/mlのブラストサイジンを含む培地に交換して選択を行ない、安定過剰発現細胞を樹立した。
【0096】
<1−1−D>CCR5発現解析
前記<1−1−C>に記載の方法によって得られたクローンにおけるヒトCCR5発現強度を、細胞をフルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)(FITC)標識抗ヒトCCR5抗体(BD Pharmingen)によって検出し、FACSort(登録商標、ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて測定し、解析を行った。なお、アイソタイプコントロール抗体として、FITC標識マウスIgG2aκ(BD Pharmingen)を使用した。
【0097】
(1−2)CCR5アゴニストによる細胞内Ca濃度上昇と、内因性リガンドによるCCR5アゴニスト作用の阻害
<1−2−A>CCR5アゴニストによる細胞内Ca濃度の上昇
前記(1−1)で作製したヒトCCR5安定発現CHO細胞を3.5×104cells/100μl/ウェルで播種した。翌日、培地を80μl/ウェルのアッセイバッファー(Fura−2AM(5μM)、Probenecid(2.5mM)、HEPES(20mM pH7.4)含有Ham’s F−12)に置き換えて1時間37℃で培養した後、100μlの洗浄バッファー(Hanks(9.8mg/ml)、HEPES(20mM)、probenecide(2.5mM)含有)で2回洗い、更に100μlの洗浄バッファーを加え30分室温静置した。化合物4、化合物6、化合物7、化合物23、化合物36(各々0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μM)を加え、3分後にMIP−1α(30μM)を添加し、4分後に細胞内Ca濃度の上昇をモニターした。細胞内Ca濃度はFluorescence Drug Screening System4000(浜松ホトニクス社製)を用いて、励起光340nm/380nmのシグナル強度を測定した。試験化合物のアゴニスト活性は、化合物非添加時のMIP−1αのシグナル強度を100%として次の式により算出した。
【数1】
【0098】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7、化合物23、化合物36の5化合物は10μMの濃度で、内因性リガンドであるMIP−1αと同様にアゴニスト活性を示した(表1)。
【表1】
【0099】
<1−2−B>内因性リガンドによるCCR5アゴニストの作用阻害
前記<1−2−A>と同様にして、内因性リガンドによるCCR5アゴニストの作用阻害活性を調べた。CCR5内因性リガンドであるMIP−1α(10nM)を加え、3分後に各アゴニスト(10μM)を添加し、4分後に細胞内Ca濃度(シグナル強度)を測定した。
【0100】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7、化合物23、化合物36の5化合物は単独でCCR5の細胞内Ca濃度(シグナル強度)を上昇させたが、CCR5の内因性リガンドであるMIP−1αを予め添加することによりCCR5の脱感作が起こり、本発明化合物による細胞内Ca濃度(シグナル強度)の上昇はほぼ完全に抑制された(表2)。したがって、これらの化合物はCCR5を特異的に活性化することが示された。
【表2】
【0101】
実施例2:ヒトCCR5発現細胞(hCCR5−Ba/F3細胞)の遊走試験
(2−1)ヒトCCR5発現細胞の樹立
<2−1−A>ヒトCCR5遺伝子の単離
前記<1−1−A>ヒトCCR5遺伝子の単離に記載の方法によって行った。
【0102】
<2−1−B>Ba/F3細胞の培養
Ba/F3細胞は抗生剤(Antibiotic−Antimyotic)(終濃度:ペニシリンGナトリウム(100U/ml)、硫酸ストレプトマイシン(100μg/ml)、アンフォテリシンB(0.25μg/ml))(Gibco BRL)、ウシ胎児血清(FBS)(10%)、インターロイキン3(IL−3)(5ng/ml)(Pepro Tech、Inc)含有RPMI−1640培地(Gibco BRL)を用い、炭酸ガスインキュベーター内(温度:37℃、CO2濃度:5%、湿度:95%)で静置培養した。外来遺伝子安定過剰発現細胞の培養には上記培地に終濃度10μg/mlになるようにブラストサイジン(Kaken pharmaceutical)を添加した。
【0103】
<2−1−C>Ba/F3細胞への形質導入
ヒトCCR5発現用プラスミド(pEF−BOS−bsr/hCCR5)をAat IIで消化し、直鎖化した。直鎖化したプラスミドをQIA quick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した後、エレクトロポレーション(Gene Pulser(BIO RAD)960μF/250V)によりBa/F3細胞に導入した。細胞は96ウェル培養プレートに1000、100、10cells/100μl/ウェルの密度で播種し、48時間後、終濃度10μg/mlになるようにブラストサイジンを添加して、ブラストサイジン耐性株をクローニングし、導入した外来遺伝子を発現する安定過剰発現クローン(hCCR5−Ba/F3細胞)を樹立した。
【0104】
<2−1−D>CCR5発現解析
前記<1−1−D>に記載の方法によって行った。
【0105】
(2−2)細胞遊走試験
CCR5アゴニストに対するヒトCCR5を発現したBa/F3細胞の遊走能を調べた。まず、24穴トランスウェルプレートの下室に0.01、0.03、0.1、0.3、1μMの試験化合物(0.5ml/ウェル)を加え、上室にhCCR5−Ba/F3細胞(1×105cells/0.05ml/ウェル)を加えた。上室を下室に重ねることで試験を開始し、炭酸ガスインキュベーター(温度:37℃、CO2濃度:5%、湿度:95%)内で3時間インキュベーションした。また、これらの遊走細胞数を相対評価するために、最初に添加した細胞すべてが遊走した場合のスタンダードサンプル(1×105cells/0.5ml/ウェルのケモカイン含有培地)を調製し、これも同様にインキュベーションした。上室の外側下部を0.5mLの洗浄バッファー(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)(2mM)、FBS(0.1%)含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS))を用いて下室に洗い込み、下室に遊走した細胞をFACSチューブに回収した。スタンダードについても、0.5mlの洗浄バッファーを加えた。スタンダードサンプルおよび下室の細胞数をFACSort(登録商標、ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて測定し、30秒間のゲート(FSC×SSC)内の細胞数を計数した。
各濃度の試験化合物による遊走活性は、以下の式に従って算出し、結果はn=2の平均値で示した。
【数2】
【0106】
[結果]
0.01、0.1、1、10μMの濃度で、化合物4は33.1%、48.9%、23.4%、4.5%、化合物6は4.5%、29.7%、22.8%、7.4%、化合物7は0.1%、5.6%、38.9%、20.4%の細胞遊走活性を示した。これらの化合物による細胞遊走活性は、内因性リガンドと同様なベルシェイプ型の作用を示した。したがって、これらの化合物は内因性リガンドと同様にCCR5発現細胞を遊走させる作用を有することを確認した。
【0107】
実施例3:CCR5受容体のインターナリゼーション試験
前記(1−1)に記載の方法によって調製したヒトCCR5発現CHO細胞1×106cellsを10μMの試験化合物(0.5%FBS含、0.1%DMSO含、Ham’s F−12(Gibco BRL))、100nM ヒトMIP−1α(0.5%FBS含、0.1%DMSO含、Ham’s F−12)または培地(0.5%FBS含、0.1%DMSO含、Ham’s F−12)100μlに懸濁し、37℃の恒温槽にて30分間インキュベーションした。その後1mlの氷冷したPBS(−)を加えて1400rpmにて遠心し、上清を除去することによって細胞を洗浄した。洗浄は2回行った。細胞をFITC標識抗humanCCR5抗体(2D7)またはアイソタイプコントロール抗体10μlに懸濁して氷上にて30分間静置した。1mlの氷冷PBSを加え1400rpmにて遠心して洗浄を行った後500μLのPBS(−)に再懸濁したのち、FACSort(登録商標、ベクトン・ディッキンソン社製)にてFITC(FL−1)の蛍光強度を測定した。蛍光強度(mean値)から以下の式を用いて受容体残存率(%)を算出した。
【数3】
【0108】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7を添加した群において細胞表面上のCCR5受容体残存率はそれぞれ44.8%、52.8%、58.0%であり、内因性リガンドであるMIP−1α(55.3%)と同等のCCR5インターナリゼーションを起こす能力を有した。
【0109】
実施例4:細胞内cAMP濃度の低下試験
前記(1−1)に記載の方法によって調製した2×105cellsのヒトCCR5発現CHO細胞を10%FBS含Ham’s F−12 200μl/ウェルで96ウェルプレートに播種し、一晩37℃炭酸ガスインキュベーター内にて培養した。上清を捨て、細胞をPBS(−)200μlで2回洗浄してから100μlの0.5mM IBMX(0.5%FBS 含Ham’s F−12)を加えて37℃にて30分間インキュベーションした。その後40mMのフォルスコリンまたはアッセイバッファー(0.5%FBS Ham’s F−12)50μlと各試験化合物(10、100、1000nM)または内因性リガンド(ヒトMIP−1α、ヒトRANTES、ヒトMDC、各100nM)を50μl加えて、37℃にて15分間インキュベーションした。上清を捨て、cAMP Enzymeimmunoassay Biotrak(EIA)System(Amersham Biosciences) に附属のLysis Bufferを200μl加えて10分間シェイカーで振とうさせた。この上清中のcAMP濃度は、cAMP Enzymeimmunoassay Biotrak(EIA)Systemを用いて測定した。詳しくは、サンプルとウサギ抗cAMP血清を混合してロバ抗ウサギIgコートプレートに撒きこみ、室温にて2時間静置した。ペルオキシダーゼ標識cAMPを加えて室温で1時間静置した後、上清を廃棄してキット付属の洗浄バッファーにてウェルを洗浄した。酵素基質を加えて室温にて1時間静置した後、450nm(対照波長:690nm)の吸光度をマイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX−PRO)によって測定した。
【0110】
[結果]
CCR5アゴニストは、10、100、1000nMにおいて,試験化合物を添加してない群と比べて、13.9%、64.0%、70.6%(化合物4の抑制率)、6.8%、58.2%、69.2%(化合物6の抑制率)、−31.1%、13.5%、72.9%(化合物7の抑制率)、43.2%、50.2%、54.0%(化合物19の抑制率)、6.4%、43.6%、72.7%(化合物36の抑制率)の抑制率を示した。また、CCR5リガンドであるMIP−1αおよびRANTESは100nMでそれぞれ79.0%、69.3%の抑制率を示したが、CCR4リガンドであるMDCは抑制作用を示さなかった。したがって、これらの化合物はCCR5に特異的に作用して細胞内cAMP濃度を減少させることが示された。
【0111】
実施例5:mRNA発現誘導試験
(5−1)細胞調製
前記(2−1)ヒトCCR5発現細胞の樹立に記載の方法によって細胞を調製した。
【0112】
(5−2)RNAの調製
細胞を回収して、4mlのPBSで1回洗浄し、175μlのSV RNA Lysis Buffer(Promega)で溶解した。total RNAの精製にはSV total RNA Isolation System(Promega)を用い、RNAの収量はOD260nm測定によって算出した。
【0113】
(5−3)cDNAの合成
cDNAは1〜5μgのtotal RNAを熱変性(65℃、10分間)させて、氷上で急冷した後、First−Strand cDNA Synthesis Kit(Amersham − Pharmacia Biotech)を用いて合成した。
【0114】
(5−4)RT−PCR法によるmRNA発現解析
前記(5−3)の方法により調製したcDNAをRT−PCR法によって解析した。
mMCP−1のPCRプライマーであるmCCL2s:5’−CTCTTCCTCCACCACCATGC−3’(配列番号3)およびmCCL2a:5’−CATTTGGTTCCGATCCAGGTT−3’(配列番号4)は、GenBank NM_011333の配列に基づいて設計した。mMIP−1βのPCRプライマーであるmCCL4s:5’−TCTTGCTCGTGGCTGCCT−3’(配列番号5)およびmCCL4a:5’−TGAGAAGCATCAGGGCTGAG−3’(配列番号6)は、GenBank NM_013652の配列に基づいて設計した。β−actinのPCRプライマーであるβ−actin F1:5’−GCATTGTTACCAACTGGGAC−3’(配列番号7)およびβ−actin R1:5’−CGTGAGGGAGAGCATAGCCC−3’(配列番号8)は、GenBank NM_007393の配列に基づいて設計した。
cDNAを鋳型として、Ex Taq(Takara)を用いて、PCR反応(95℃で2分→[94℃で30秒、62℃で30秒、72℃で30秒]×28〜34回)を行なった。増幅したPCR産物を、エチジウムブロマイド含有1.2%アガロースゲルで電気泳動後、UVイルミネ−ター上で写真を撮影した。
【0115】
(5−5)内因性リガンドおよびCCR5アゴニストによるmRNA発現誘導
ヒト末梢血由来単球をRANTESで刺激すると、刺激2時間後にMCP−1、MIP−1βなどのmRNA発現が誘導されることが報告されている(J.Immunol., 2002, 168, 3557−62)。そこで、化合物4、化合物6、化合物7の3化合物による、hCCR5−Ba/F3細胞でのMCP−1、MIP−1β、β−actinのmRNA発現誘導能を解析した。また、これらのmRNA発現誘導がヒトCCR5を介していることを確認するために、ネガティブコントロールとしてBa/F3親細胞を用いた。
詳しくは、hCCR5−Ba/F3細胞(1×106cells/ml/ウェル)を12穴培養プレートに播き、ヒトRANTES、ヒトMIP−1α、ヒトMIP−1β(各々終濃度0.01μM)、あるいは化合物4、化合物6、化合物7(各々終濃度0.01、0.1、1、10μM)を1ml加えて培養した。ネガティブコントロールのBa/F3親細胞(1×106cells/ml/ウェル)に対しては、ヒトRANTES、ヒトMIP−1α、ヒトMIP−1β(各々終濃度0.01μM)、あるいは化合物4、化合物6、化合物7(各々終濃度10μM)1mlを加えて培養した。刺激1時間後に細胞を回収して、total RNAを調製し、mRNA発現を解析した。
【0116】
[結果]
化合物4、化合物6、化合物7の3化合物は、ヒトCCR5発現細胞においてMCP−1およびMIP−1βのmRNA発現を誘導した。また、これらの3化合物のBa/F3親細胞に対するmRNA発現誘導能についても調べた結果、いずれも無影響であった。したがって、これらのmRNA発現誘導はヒトCCR5を介していることが確認された。
【0117】
製剤例1:
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
・9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メ
チル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5
]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩 ・・・・・・5.0g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・・0.2g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・・0.1g
・微結晶セルロース ・・・・・・4.7g
【0118】
製剤例2:
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。
・9−[(3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メ
チル]−3−イソブチル−1−プロピル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5
]ウンデカン−2,5−ジオン・2塩酸塩 ・・・・・・ 2.0g
・マンニトール ・・・・・・20g
・蒸留水 ・・・・・・500ml
【0119】
【配列表】
Claims (15)
- 細胞遊走を引き起こす作用を有する請求項1記載のCCR5活性化剤。
- 脱感作を引き起こす作用を有する請求項1記載のCCR5活性化剤。
- インターナリゼーションを引き起こす作用を有する請求項1記載のCCR5活性化剤。
- YがC1〜3アルキレンである請求項1記載のCCR5活性化剤。
- 環Aが9〜15員含窒素二環または三環式複素環である請求項1記載のCCR5活性化剤。
- 環Bが置換基を有していてもよいピラゾールである請求項1記載のCCR5活性化剤。
- Wが置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい3〜15員複素環基である請求項1記載のCCR5活性化剤。
- YがC1〜3アルキレンである請求項9記載のCCR5活性化剤。
- 環A1が置換基を有していてもよい3〜8員複素環である請求項9記載のCCR5活性化剤。
- 環Bが置換基を有していてもよいピラゾールである請求項9記載のCCR5活性化剤。
- Wが置換基を有していてもよい炭素数3〜8の環状炭化水素基または置換基を有していてもよい5〜10員複素環基である請求項9記載のCCR5活性化剤。
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