JP2004355729A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣接の記録トラックを記録する際の記録ヘッドによって記録された信号の消去が防止できる磁気記録媒体、即ちフリンジに強い磁気記録媒体を提供する。またこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体の磁気記録面の隣接する記録トラックの間に、垂直磁気記録ヘッドを用い、磁気記録面に対し30度以上の角度をなす方向の磁化を有するガードバンド領域を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】磁気記録媒体の磁気記録面の隣接する記録トラックの間に、垂直磁気記録ヘッドを用い、磁気記録面に対し30度以上の角度をなす方向の磁化を有するガードバンド領域を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体及びこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置に関し、特に記録トラックにガードバンドを設けて隣接の記録トラックの影響を軽減させた高密度記録用の磁気記録媒体及びこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置は大容量の記録が可能であるとともに、データの転送速度が大、アクセス速度が大、および信頼性が高いなどの特徴に加えて、比較的低価格であることから、コンピュータの周辺記憶装置として広く用いられている。近年、小型で大容量の記録を可能にするため、磁気ディスク装置における記録の高密度化が急速に進められた。磁気ディスク装置の磁気記録媒体における記録の高密度化には、線記録密度の高密度化とともに、記録トラック幅や記録トラックピッチを小さくし記録トラック密度が高密度化された。この結果、磁気記録媒体に記録される記録ビットの微小化が急速にに進んだ。
【0003】
こうして磁気記録媒体に記録される記録ビットの大きさは、すでに熱ゆらぎの影響による記録磁化の経時的な減衰が無視できない大きさにまで微小化が進み、熱ゆらぎに対し有利な磁気記録媒体として、反強磁性結合(AFC)の膜構成を持つ磁気記録媒体などが開発され、さらに記録ビットの微小化が進められている。
【0004】
他方、記録された微小な記録ビットの磁束を検出して信号を再生する再生ヘッドは、空隙を設けた磁気コアにコイルを巻いた電磁誘導型記録ヘッドと共用の構造ものから、異方性の型磁気抵抗効果を用いたAMRヘッドが用いられるようになり、微小化された記録ビットからの微小な磁束が検出できるように高感度化された。さらにスピンバルブ型やトンネル磁気抵抗効果(TMR)型ヘッドなど巨大磁気抵抗効果(GMR)を用いたヘッドが開発され、再生ヘッドはさらに高感度化され、きわめて微小な記録ビットからの微小な磁束を検出し、信号として再生することがが可能となった。
【0005】
このような磁気記録媒体や再生ヘッドの急速な進歩に比べ、記録ヘッドはその進歩がずっと緩やかである。記録ヘッドでは磁気記録媒体の微小な部分を磁化して記録を行なうための磁界発生に電磁誘導が用いられる。このため従来のバルク構造から薄膜技術を用いた薄膜ヘッドへと進歩するとともに高飽和磁化のコア材料が磁極に用いられるようになったものの、その基本構造は空隙を有する磁気コアにコイルを巻いた構造であって、コイルに流す電流によって記録磁界を空隙部に発生し制御するという基本的な点については何ら変わっていない。
【0006】
このような記録ヘッドを用いて高記録トラック密度の記録を行なう際には、記録ヘッドの磁界が隣の記録トラックにまで漏洩し、記録された磁化信号を劣化させてしまう現象、即ちフリンジを低減することが重要である。磁気記録媒体の記録密度を高めるために、磁気記録媒体の保磁力のより高いものが用いられるようになり、これに対応し、記録ヘッドの磁極に用いる材料として高飽和磁束密度の材料が開発されて用いられているが、高密度化のための磁気記録媒体の高保磁力化の要求を十分に満たしてはいない。このため、より強い記録磁界を発生する必要から、記録ヘッドの記録電流を磁気コアが飽和に近づく大きさまで高めて記録が行なわれる。このような場合には、記録ヘッドから隣接のトラックへの漏洩磁界が大きくなりフリンジが増大することから、これが記録トラック密度を高め高密度化を進める上での一つの制約となっている。
【0007】
そこでフリンジを低減するための対策が磁気記録媒体の記録トラックおいてなされることが望まれる。光記録の場合には、記録するレーザーのスポットが大きいため、光記録媒体にはトラック間の干渉が発生することから、対策として光記録媒体の面にランドとグルーブとの段差を設け、トラック間の干渉を防ぐ方法が用いられている。磁気記録においても、サーボパターンを転写方式で記録するために段差を設けることが提案されている。従って磁気記録媒体の場合も、記録トラックのガードバンドとして段差を形成することができれば、フリンジの対策として有効である。
【0008】
下地層に光記録の材料を用いて結晶・非結晶を制御し、磁性粒子の結晶性・分散を制御する方法が提案されている(特開2000−195034号公報:特許文献1)。磁気記録層を形成する前の磁気記録媒体の下地層に対し、高記録トラック密度のための高い寸法精度の記録トラックのガードバンドを形成することは、すでに非常に複雑化している磁気記録媒体の製造工程に対し、さらに負担を増すという問題がある。また磁気記録媒体の製造工程において記録トラックの記録磁化方向とは異なる面内方向に磁化容易軸を持たせたガードバンドを形成することも提案されている(特開平7−6356号公報:特許文献2)。しかしながら、このような面内方向の磁化構造のガードバンドは広い幅を必要とするなどガードバンドとしての性能が十分ではないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−195034号公報
【特許文献2】
特開平7−6356号公報
【非特許文献1】
Appl.Phy.Lett.vol.77,2581−2583,3806−3808
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決し、高密度の磁気記録を可能にするためになされたものであって、フリンジに強く高密度記録に適した磁気記録媒体とこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、磁気記録面に、複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に前記磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の磁気記録媒体は、磁気記録媒体の隣接の記録トラック領域間に、磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域形成するものである。このようなガードバンド領域を設けるによって、すでに記録がなされたトラック領域の記録磁化が、隣接の記録トラック領域の記録の際の記録ヘッドからの漏れ磁界により損なわれるのを防止できることが見出された。
【0013】
本発明の磁気記録媒体における上記ガードバンド領域は、磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界を印加して形成することができる。ここで記録トラック領域の磁化方向に対し30度以上の角度をなす方向の磁化を有する磁気構造としたのは、ガードバンド領域の磁化方向が記録トラック領域の磁化方向となす角度が30度未満では、ガードバンド領域としてのフリンジ防止の効果が十分でないことを見出したためである。ガードバンド領域の磁化方向が記録トラック領域の磁化方向となす角度としては、45度以上がより好ましく、60度以上がさらに好ましい。さらに磁化が磁気記録面となす角度が最大の90度であること、即ち垂直であることが最も好ましい。
【0014】
本発明の磁気記録媒体において、上記ガードバンド領域は、磁界とともに熱を印加して形成されたものがより好ましい。このように磁界の印加とともに加熱を行なうことにより、形成されたガードバンド領域の磁気構造を安定化することができる。また本発明の磁気記録媒体における上記ガードバンド領域の形成は、磁気記録媒体の通常の製造プロセスの終了後に行うことができるので、すでに複雑化している磁気記録媒体の通常の製造プロセスに影響を与えずに行なうことができる。
【0015】
また、本発明の磁気記録媒体は、磁気記録面に、複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に局部加熱を行なって形成した前記複数のトラック領域と磁気特性の異なるガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0016】
このように磁気記録面の複数の記録トラック領域間に局部加熱を行ない磁気特性を異ならせて形成したガードバンド領域により、フリンジが防止できることが見出された。
【0017】
本発明の磁気記録装置は、磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する駆動部と、前記磁気記録媒体に信号を記録する記録ヘッドと記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッドと、前記複合磁気ヘッドを磁気記録媒体に対し相対的に移動させる移動手段と、情報信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送し、再生ヘッドの出力信号を処理して情報信号を取り出す信号処理手段と、前記駆動部、前期移動手段、および信号処理手段を制御する制御手段とを備え、前記磁気記録媒体が磁気記録面に複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に前記磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明の磁気記録装置において、磁気記録媒体はガードバンド領域が前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界を印加して形成されたものであってもよい。
【0019】
また本発明の磁気記録装置において、磁気記録媒体はガードバンド領域が前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界の印加とともに加熱を行なうことにより形成されたものであってもよい。
【0020】
また本発明の磁気記録装置において、磁気記録媒体はガードバンド領域の磁化の方向が磁気記録面に対し垂直であることが好ましい。
【0021】
また本発明の磁気記録装置は、磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する駆動部と、前記磁気記録媒体に信号を記録する記録ヘッドと記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッドと、前記複合磁気ヘッドを磁気記録媒体に対し相対的に移動させる移動手段と、情報信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送し再生ヘッドの出力信号を処理して情報信号を取り出す信号処理手段と、前記駆動部、前期移動手段、および信号処理手段を制御する制御手段とを備え、前記磁気記録媒体が磁気記録面に複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に局部加熱を行なって形成した前記複数のトラック領域と磁気特性の異なるガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において、磁気記録媒体の隣接の記録トラック領域間のガードバンド領域の形成には、例えば垂直磁気記録で用いられる単磁極ヘッドを用い、磁気記録媒体における記録トラック領域間のガードバンド領域の位置に垂直磁化成分が生じるように、これら磁気ヘッドにより局部磁界を印加する方法を用いることができる。またこの局部磁界の印加とともに電子ビームなどの局部加熱手段を用い加熱を行なってガードバンド領域の磁化領域を形成する方法を用いることができる。
【0023】
図1および図2はこのようなガードバンド領域を形成した磁気記録媒体の記録トラック領域とガードバンド領域の磁性層の磁化状態を模式的に示した図である。上記の方法により、例えば単磁極ヘッドを用いて図1に示したように、磁気記録媒体の磁性層10に磁気記録面の記録トラック領域11に対し垂直な方向の磁化を有する磁気構造のガードバンド領域12を形成することができる。単磁極ヘッドとしては例えば「磁気工学ハンドブック」(朝倉書店 1998年刊)の第949〜952頁に記載のものが使用できる。また垂直磁気記録用のリングヘッドを用い図2に示したように、磁気記録媒体の磁性層20に磁気記録面の記録トラック領域21に対し30度以上の角度をなす方向の磁化を有する磁気構造のガードバンド領域22を形成することができる。
【0024】
またこのようにして形成されたガードバンド領域の磁化は、直流磁化されたものであってもよいし、また交互に磁化されたものであってもよい。交互に磁化されている場合には、記録ビットよりも微細に交互に磁化されていることがより好ましい。
【0025】
また本発明において、磁気記録媒体の隣接する記録トラック間のガードバンド領域は、例えば電子ビームなどの局部加熱手段によって磁気特性に変化を与えたガードバンドを形成することができる。
【0026】
本発明の磁気記録媒体においては、図3に示したように、トラックピッチ31の大きさをTp、ライトトラック32の幅をWw、リードトラック33の幅をWrとした場合に、ガードバンド領域の幅Wgは、Wg<Tp−Wrに選べはよい。即ちガードバンド領域の幅WgをトラックピッチTpとライトトラック幅Wrとの差よりも小さく設定すればよい。
【0027】
本発明の磁気記録媒体の磁気記録層には、Co、Fe、Ni等から選択された少なくとも一種の元素を含有する磁性体材料、例えばCoPtCr、CoTaCr、CoTaPt、CoNiTa、CoPtなどを好ましく用いることができる。その膜構成としては、従来の構造の磁性膜のほか、Ruなどの中間層を介して反強磁性結合した下層の磁性膜を持つ構成の磁気記録媒体を好ましく用いることができる。
【0028】
本発明の磁気記録媒体の基板としては、化学強化したアルミシリケートガラスやソーダライムガラスなどの強化ガラス、結晶化ガラスなどのガラス基板のほか、シリコン、ガラスセラミックス、アルミ合金ないしはプラスチック基板などを用いることができる。これらの中でも、ガラス基板を好ましく用いることができる。
【0029】
本発明の磁気記録媒体の基板に設ける下地層は、その上に成膜される磁性層の粒子が微細でその結晶方位がよく制御されて形成されるものであることが要求される。このため、例えばガラスを基板として用いた場合の下地層は、基板面上にまず非磁性で非晶質の合金層の第1の下地層を形成し、その上にCrを含有したbcc構造を有する合金の第2の下地層を形成したものを用いることができる。
【0030】
これらの膜を基板面に成膜する手段としては、スパッタ法ガ好ましく用いられるほか、真空蒸着法、ガスフロースパッタ法等の物理的蒸着法を用いることができる。
【0031】
この磁気記録媒体の保護膜として、カーボン膜、炭化シリコン膜、炭化タングステンなどの膜を設け、さらに例えばパーフルオロアルキルポリエーテルなどの潤滑層を設けることにより、耐磨耗性や耐蝕性を向上させ、磁気記録媒体として用いる。ここに保護膜としては特にCVD法などで形成したダイアモンドライクカーボン(DLC)などの膜が好ましい。
【0032】
図4は本発明の磁気記録装置の一実施形態を模式的に示した斜視図である。この磁気記録装置41は、上面の開口した矩形箱状の筐体と複数のねじにより筐体にねじ止めされる筐体上側の開口部分を閉塞するトップカバーを有している。筐体内には、上記磁気記録媒体42、この磁気記録媒体42を支持し回転させる駆動部としてのスピンドルモータ43、磁気記録媒体42に信号を記録する記録ヘッドと磁気記録媒体42に記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッド44、磁気ヘッド44を先端に搭載したサスペンション45を有し且つ磁気ヘッド44を磁気記録媒体42に対して移動自在に支持するヘッドアクチュエータ46、ヘッドアクチュエータ46を回転自在に支持する回転軸47、回転軸47を介してヘッドアクチュエータ46を回転及び位置決めする磁気ヘッドの移動手段としてのボイスコイルモータ48が収納されている。
【0033】
さらに図示はされていないが、この筐体にはヘッドアンプ回路をはじめ信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送しまた再生ヘッドの出力信号を処理する信号処理回路、駆動部および磁気ヘットの移動手段としてのボイスコイルモータおよび信号処理回路を制御する制御回路が収納されている。
【0034】
この磁気記録媒体42には、磁気記録面に記録トラック領域と互いに隣接する記録トラック領域の間に磁気記録媒体の製造後に形成されたガードバンド領域とを備えている。
【0035】
図5は上記複合磁気ヘッドの主要部分の構造を模式的に示した斜視図である。このヘッドは基板50上に形成され、電磁誘導型の記録ヘッド51と磁気抵抗効果型の再生ヘッド52とを組み合わせた複合型ヘッドである。記録ヘッド51はコイル53をはさんだ上部の磁極54と下部の磁極55およびシールド層56からなる。再生ヘッド52はGMRセンサ57とその両端の電極パターン58からなり、このGMRセンサ57はシールド層56および59に挟まれている。
【0036】
(実施例1)
直径が2.5インチのガラス基板上に、第1のシード層および下地層を成膜し、この上に熱ゆらぎに対する安定化のための反強磁性結合下層磁性層、Ru層、磁性層およびC保護層を連続して成膜し、最後に潤滑剤をディップコートすることにより、AFC型の磁気ディスクを作製した。
【0037】
この磁気ディスクに対し、単磁極の垂直ヘッドを用いて、上記トラック間の中心半径位置に垂直方向にDCイレーズを行なった後、この磁気ディスクに対し、ライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、垂直方向の磁界成分の大きい垂直記録用のリングヘッドを用いて、上記トラック間の中心半径位置に垂直方向にDCイレーズを行なった後、この磁気ディスクに対し、ライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0039】
(実施例3)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、電子ビームを用いて上記トラック間の中心半径位置に約0.1μm幅の磁気特性を異ならせたガードバンド領域を形成し、この磁気ディスクに対しライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0040】
(実施例4)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、レーザービームを用いて上記トラック間の領域を温度上昇させるとともに、単磁極の垂直ヘッドを用い局所的に垂直方向の磁界印加により磁化したガードバンド領域を形成した。このようにして温度上昇下で垂直方向の磁界を印加することによって、大きく垂直磁化することができ、この結果、一層効果的なガードバンド領域を形成することができた。この磁気ディスクに対しライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0041】
(比較例)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、実施例1と同じライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0042】
上記実施例1〜4の磁気ディスクについて、GMRヘッドを用いた再生信号のの信号出力LFTAA、孤立波の出力半値幅PW50、オーバーライト特性OW、信号耐雑音比S/N、およびフリンジの各電気特性を測定した結果を示す。なお、表1においてフリンジとして測定した値は、オントラックで記録した後、隣接を1回ライトした際のオントラック上での信号波形の減衰率、即ちフリンジによる信号減衰率である。
【表1】
【0043】
表1からわかるように、フリンジ以外の電気特性はいずれもほとんど同等な値を示している。実施例3の場合がややS/Nが劣るように見えるが、加熱により磁気特性を異ならせたことによって、磁性膜の結晶性・配向性が影響を受けS/Nの低下を生じている可能性が考えられる。いずれにしてもフリンジについては本発明の効果が顕著に得られている。
【0044】
このようにしてフリンジ値が改善される機構は、次のようなものと考えられる。即ち、記録ヘッドによって記録を行なう際に漏れ磁界の影響により通常の媒体では隣接の記録トラックも記録してしまうが、本発明の媒体を用いると、記録トラック間に記録された垂直磁化成分によって磁束が隣接の記録トラックに届かなくなるため、フリンジの影響が小さくなるものと考えられる。
【0045】
このように、本発明によれば、フリンジに強い磁気記録媒体を作製することができる。なお、上記実施例は、面内磁気記録媒体についてのものであるが、垂直磁気記録媒体に対しても記録方向等が異なるだけで、記録トラックの磁化方向とガードバンド領域の磁化方向との間に上記した角度を持たせることにより、同様の効果を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気記録媒体の製造後に形成した記録トラック間のガードバンド領域、例えば記録トラック上の磁化方向と角度を持たせた方向に磁化された領域を形成することによって、ヘッドからの漏洩磁界によるフリンジを効果的に低減することができる。このため記録トラック密度を高めた高密度記録においても、信頼性の高い記録が可能となる。また本発明におけるガードバンド領域は磁気記録媒体の製造後に形成することができるので、非常に複雑化した磁気記録媒体の製造工程を乱したりして負担をかけることなく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施形態における記録トラック領域とガードバンド領域とを模式的に示した図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の一実施形態における記録トラック領域とガードバンド領域とを模式的に示した図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体における、トラックピッチTp、ライトトラック幅Ww、およびリードトラック幅Wrの間の関係を示す図である。
【図4】本発明の磁気記録装置の一実施形態について模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明の磁気記録装置の一実施形態における複合磁気ヘッドの主要部分の構造を模式的に示した斜視図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体及びこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置に関し、特に記録トラックにガードバンドを設けて隣接の記録トラックの影響を軽減させた高密度記録用の磁気記録媒体及びこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置は大容量の記録が可能であるとともに、データの転送速度が大、アクセス速度が大、および信頼性が高いなどの特徴に加えて、比較的低価格であることから、コンピュータの周辺記憶装置として広く用いられている。近年、小型で大容量の記録を可能にするため、磁気ディスク装置における記録の高密度化が急速に進められた。磁気ディスク装置の磁気記録媒体における記録の高密度化には、線記録密度の高密度化とともに、記録トラック幅や記録トラックピッチを小さくし記録トラック密度が高密度化された。この結果、磁気記録媒体に記録される記録ビットの微小化が急速にに進んだ。
【0003】
こうして磁気記録媒体に記録される記録ビットの大きさは、すでに熱ゆらぎの影響による記録磁化の経時的な減衰が無視できない大きさにまで微小化が進み、熱ゆらぎに対し有利な磁気記録媒体として、反強磁性結合(AFC)の膜構成を持つ磁気記録媒体などが開発され、さらに記録ビットの微小化が進められている。
【0004】
他方、記録された微小な記録ビットの磁束を検出して信号を再生する再生ヘッドは、空隙を設けた磁気コアにコイルを巻いた電磁誘導型記録ヘッドと共用の構造ものから、異方性の型磁気抵抗効果を用いたAMRヘッドが用いられるようになり、微小化された記録ビットからの微小な磁束が検出できるように高感度化された。さらにスピンバルブ型やトンネル磁気抵抗効果(TMR)型ヘッドなど巨大磁気抵抗効果(GMR)を用いたヘッドが開発され、再生ヘッドはさらに高感度化され、きわめて微小な記録ビットからの微小な磁束を検出し、信号として再生することがが可能となった。
【0005】
このような磁気記録媒体や再生ヘッドの急速な進歩に比べ、記録ヘッドはその進歩がずっと緩やかである。記録ヘッドでは磁気記録媒体の微小な部分を磁化して記録を行なうための磁界発生に電磁誘導が用いられる。このため従来のバルク構造から薄膜技術を用いた薄膜ヘッドへと進歩するとともに高飽和磁化のコア材料が磁極に用いられるようになったものの、その基本構造は空隙を有する磁気コアにコイルを巻いた構造であって、コイルに流す電流によって記録磁界を空隙部に発生し制御するという基本的な点については何ら変わっていない。
【0006】
このような記録ヘッドを用いて高記録トラック密度の記録を行なう際には、記録ヘッドの磁界が隣の記録トラックにまで漏洩し、記録された磁化信号を劣化させてしまう現象、即ちフリンジを低減することが重要である。磁気記録媒体の記録密度を高めるために、磁気記録媒体の保磁力のより高いものが用いられるようになり、これに対応し、記録ヘッドの磁極に用いる材料として高飽和磁束密度の材料が開発されて用いられているが、高密度化のための磁気記録媒体の高保磁力化の要求を十分に満たしてはいない。このため、より強い記録磁界を発生する必要から、記録ヘッドの記録電流を磁気コアが飽和に近づく大きさまで高めて記録が行なわれる。このような場合には、記録ヘッドから隣接のトラックへの漏洩磁界が大きくなりフリンジが増大することから、これが記録トラック密度を高め高密度化を進める上での一つの制約となっている。
【0007】
そこでフリンジを低減するための対策が磁気記録媒体の記録トラックおいてなされることが望まれる。光記録の場合には、記録するレーザーのスポットが大きいため、光記録媒体にはトラック間の干渉が発生することから、対策として光記録媒体の面にランドとグルーブとの段差を設け、トラック間の干渉を防ぐ方法が用いられている。磁気記録においても、サーボパターンを転写方式で記録するために段差を設けることが提案されている。従って磁気記録媒体の場合も、記録トラックのガードバンドとして段差を形成することができれば、フリンジの対策として有効である。
【0008】
下地層に光記録の材料を用いて結晶・非結晶を制御し、磁性粒子の結晶性・分散を制御する方法が提案されている(特開2000−195034号公報:特許文献1)。磁気記録層を形成する前の磁気記録媒体の下地層に対し、高記録トラック密度のための高い寸法精度の記録トラックのガードバンドを形成することは、すでに非常に複雑化している磁気記録媒体の製造工程に対し、さらに負担を増すという問題がある。また磁気記録媒体の製造工程において記録トラックの記録磁化方向とは異なる面内方向に磁化容易軸を持たせたガードバンドを形成することも提案されている(特開平7−6356号公報:特許文献2)。しかしながら、このような面内方向の磁化構造のガードバンドは広い幅を必要とするなどガードバンドとしての性能が十分ではないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−195034号公報
【特許文献2】
特開平7−6356号公報
【非特許文献1】
Appl.Phy.Lett.vol.77,2581−2583,3806−3808
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決し、高密度の磁気記録を可能にするためになされたものであって、フリンジに強く高密度記録に適した磁気記録媒体とこの磁気記録媒体を用いた磁気記録装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、磁気記録面に、複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に前記磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の磁気記録媒体は、磁気記録媒体の隣接の記録トラック領域間に、磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域形成するものである。このようなガードバンド領域を設けるによって、すでに記録がなされたトラック領域の記録磁化が、隣接の記録トラック領域の記録の際の記録ヘッドからの漏れ磁界により損なわれるのを防止できることが見出された。
【0013】
本発明の磁気記録媒体における上記ガードバンド領域は、磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界を印加して形成することができる。ここで記録トラック領域の磁化方向に対し30度以上の角度をなす方向の磁化を有する磁気構造としたのは、ガードバンド領域の磁化方向が記録トラック領域の磁化方向となす角度が30度未満では、ガードバンド領域としてのフリンジ防止の効果が十分でないことを見出したためである。ガードバンド領域の磁化方向が記録トラック領域の磁化方向となす角度としては、45度以上がより好ましく、60度以上がさらに好ましい。さらに磁化が磁気記録面となす角度が最大の90度であること、即ち垂直であることが最も好ましい。
【0014】
本発明の磁気記録媒体において、上記ガードバンド領域は、磁界とともに熱を印加して形成されたものがより好ましい。このように磁界の印加とともに加熱を行なうことにより、形成されたガードバンド領域の磁気構造を安定化することができる。また本発明の磁気記録媒体における上記ガードバンド領域の形成は、磁気記録媒体の通常の製造プロセスの終了後に行うことができるので、すでに複雑化している磁気記録媒体の通常の製造プロセスに影響を与えずに行なうことができる。
【0015】
また、本発明の磁気記録媒体は、磁気記録面に、複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に局部加熱を行なって形成した前記複数のトラック領域と磁気特性の異なるガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0016】
このように磁気記録面の複数の記録トラック領域間に局部加熱を行ない磁気特性を異ならせて形成したガードバンド領域により、フリンジが防止できることが見出された。
【0017】
本発明の磁気記録装置は、磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する駆動部と、前記磁気記録媒体に信号を記録する記録ヘッドと記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッドと、前記複合磁気ヘッドを磁気記録媒体に対し相対的に移動させる移動手段と、情報信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送し、再生ヘッドの出力信号を処理して情報信号を取り出す信号処理手段と、前記駆動部、前期移動手段、および信号処理手段を制御する制御手段とを備え、前記磁気記録媒体が磁気記録面に複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に前記磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明の磁気記録装置において、磁気記録媒体はガードバンド領域が前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界を印加して形成されたものであってもよい。
【0019】
また本発明の磁気記録装置において、磁気記録媒体はガードバンド領域が前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界の印加とともに加熱を行なうことにより形成されたものであってもよい。
【0020】
また本発明の磁気記録装置において、磁気記録媒体はガードバンド領域の磁化の方向が磁気記録面に対し垂直であることが好ましい。
【0021】
また本発明の磁気記録装置は、磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する駆動部と、前記磁気記録媒体に信号を記録する記録ヘッドと記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッドと、前記複合磁気ヘッドを磁気記録媒体に対し相対的に移動させる移動手段と、情報信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送し再生ヘッドの出力信号を処理して情報信号を取り出す信号処理手段と、前記駆動部、前期移動手段、および信号処理手段を制御する制御手段とを備え、前記磁気記録媒体が磁気記録面に複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に局部加熱を行なって形成した前記複数のトラック領域と磁気特性の異なるガードバンド領域とを備えていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において、磁気記録媒体の隣接の記録トラック領域間のガードバンド領域の形成には、例えば垂直磁気記録で用いられる単磁極ヘッドを用い、磁気記録媒体における記録トラック領域間のガードバンド領域の位置に垂直磁化成分が生じるように、これら磁気ヘッドにより局部磁界を印加する方法を用いることができる。またこの局部磁界の印加とともに電子ビームなどの局部加熱手段を用い加熱を行なってガードバンド領域の磁化領域を形成する方法を用いることができる。
【0023】
図1および図2はこのようなガードバンド領域を形成した磁気記録媒体の記録トラック領域とガードバンド領域の磁性層の磁化状態を模式的に示した図である。上記の方法により、例えば単磁極ヘッドを用いて図1に示したように、磁気記録媒体の磁性層10に磁気記録面の記録トラック領域11に対し垂直な方向の磁化を有する磁気構造のガードバンド領域12を形成することができる。単磁極ヘッドとしては例えば「磁気工学ハンドブック」(朝倉書店 1998年刊)の第949〜952頁に記載のものが使用できる。また垂直磁気記録用のリングヘッドを用い図2に示したように、磁気記録媒体の磁性層20に磁気記録面の記録トラック領域21に対し30度以上の角度をなす方向の磁化を有する磁気構造のガードバンド領域22を形成することができる。
【0024】
またこのようにして形成されたガードバンド領域の磁化は、直流磁化されたものであってもよいし、また交互に磁化されたものであってもよい。交互に磁化されている場合には、記録ビットよりも微細に交互に磁化されていることがより好ましい。
【0025】
また本発明において、磁気記録媒体の隣接する記録トラック間のガードバンド領域は、例えば電子ビームなどの局部加熱手段によって磁気特性に変化を与えたガードバンドを形成することができる。
【0026】
本発明の磁気記録媒体においては、図3に示したように、トラックピッチ31の大きさをTp、ライトトラック32の幅をWw、リードトラック33の幅をWrとした場合に、ガードバンド領域の幅Wgは、Wg<Tp−Wrに選べはよい。即ちガードバンド領域の幅WgをトラックピッチTpとライトトラック幅Wrとの差よりも小さく設定すればよい。
【0027】
本発明の磁気記録媒体の磁気記録層には、Co、Fe、Ni等から選択された少なくとも一種の元素を含有する磁性体材料、例えばCoPtCr、CoTaCr、CoTaPt、CoNiTa、CoPtなどを好ましく用いることができる。その膜構成としては、従来の構造の磁性膜のほか、Ruなどの中間層を介して反強磁性結合した下層の磁性膜を持つ構成の磁気記録媒体を好ましく用いることができる。
【0028】
本発明の磁気記録媒体の基板としては、化学強化したアルミシリケートガラスやソーダライムガラスなどの強化ガラス、結晶化ガラスなどのガラス基板のほか、シリコン、ガラスセラミックス、アルミ合金ないしはプラスチック基板などを用いることができる。これらの中でも、ガラス基板を好ましく用いることができる。
【0029】
本発明の磁気記録媒体の基板に設ける下地層は、その上に成膜される磁性層の粒子が微細でその結晶方位がよく制御されて形成されるものであることが要求される。このため、例えばガラスを基板として用いた場合の下地層は、基板面上にまず非磁性で非晶質の合金層の第1の下地層を形成し、その上にCrを含有したbcc構造を有する合金の第2の下地層を形成したものを用いることができる。
【0030】
これらの膜を基板面に成膜する手段としては、スパッタ法ガ好ましく用いられるほか、真空蒸着法、ガスフロースパッタ法等の物理的蒸着法を用いることができる。
【0031】
この磁気記録媒体の保護膜として、カーボン膜、炭化シリコン膜、炭化タングステンなどの膜を設け、さらに例えばパーフルオロアルキルポリエーテルなどの潤滑層を設けることにより、耐磨耗性や耐蝕性を向上させ、磁気記録媒体として用いる。ここに保護膜としては特にCVD法などで形成したダイアモンドライクカーボン(DLC)などの膜が好ましい。
【0032】
図4は本発明の磁気記録装置の一実施形態を模式的に示した斜視図である。この磁気記録装置41は、上面の開口した矩形箱状の筐体と複数のねじにより筐体にねじ止めされる筐体上側の開口部分を閉塞するトップカバーを有している。筐体内には、上記磁気記録媒体42、この磁気記録媒体42を支持し回転させる駆動部としてのスピンドルモータ43、磁気記録媒体42に信号を記録する記録ヘッドと磁気記録媒体42に記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッド44、磁気ヘッド44を先端に搭載したサスペンション45を有し且つ磁気ヘッド44を磁気記録媒体42に対して移動自在に支持するヘッドアクチュエータ46、ヘッドアクチュエータ46を回転自在に支持する回転軸47、回転軸47を介してヘッドアクチュエータ46を回転及び位置決めする磁気ヘッドの移動手段としてのボイスコイルモータ48が収納されている。
【0033】
さらに図示はされていないが、この筐体にはヘッドアンプ回路をはじめ信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送しまた再生ヘッドの出力信号を処理する信号処理回路、駆動部および磁気ヘットの移動手段としてのボイスコイルモータおよび信号処理回路を制御する制御回路が収納されている。
【0034】
この磁気記録媒体42には、磁気記録面に記録トラック領域と互いに隣接する記録トラック領域の間に磁気記録媒体の製造後に形成されたガードバンド領域とを備えている。
【0035】
図5は上記複合磁気ヘッドの主要部分の構造を模式的に示した斜視図である。このヘッドは基板50上に形成され、電磁誘導型の記録ヘッド51と磁気抵抗効果型の再生ヘッド52とを組み合わせた複合型ヘッドである。記録ヘッド51はコイル53をはさんだ上部の磁極54と下部の磁極55およびシールド層56からなる。再生ヘッド52はGMRセンサ57とその両端の電極パターン58からなり、このGMRセンサ57はシールド層56および59に挟まれている。
【0036】
(実施例1)
直径が2.5インチのガラス基板上に、第1のシード層および下地層を成膜し、この上に熱ゆらぎに対する安定化のための反強磁性結合下層磁性層、Ru層、磁性層およびC保護層を連続して成膜し、最後に潤滑剤をディップコートすることにより、AFC型の磁気ディスクを作製した。
【0037】
この磁気ディスクに対し、単磁極の垂直ヘッドを用いて、上記トラック間の中心半径位置に垂直方向にDCイレーズを行なった後、この磁気ディスクに対し、ライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、垂直方向の磁界成分の大きい垂直記録用のリングヘッドを用いて、上記トラック間の中心半径位置に垂直方向にDCイレーズを行なった後、この磁気ディスクに対し、ライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0039】
(実施例3)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、電子ビームを用いて上記トラック間の中心半径位置に約0.1μm幅の磁気特性を異ならせたガードバンド領域を形成し、この磁気ディスクに対しライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0040】
(実施例4)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、レーザービームを用いて上記トラック間の領域を温度上昇させるとともに、単磁極の垂直ヘッドを用い局所的に垂直方向の磁界印加により磁化したガードバンド領域を形成した。このようにして温度上昇下で垂直方向の磁界を印加することによって、大きく垂直磁化することができ、この結果、一層効果的なガードバンド領域を形成することができた。この磁気ディスクに対しライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0041】
(比較例)
実施例1と同じ条件で同じロットにて作製した磁気ディスクに対し、実施例1と同じライトトラック幅Wwが0.25μm、リードトラック幅Wrが0.13μmの磁気ヘッドを用い、トラックピッチTpが0.32μmで300kBPIの信号を記録した。
【0042】
上記実施例1〜4の磁気ディスクについて、GMRヘッドを用いた再生信号のの信号出力LFTAA、孤立波の出力半値幅PW50、オーバーライト特性OW、信号耐雑音比S/N、およびフリンジの各電気特性を測定した結果を示す。なお、表1においてフリンジとして測定した値は、オントラックで記録した後、隣接を1回ライトした際のオントラック上での信号波形の減衰率、即ちフリンジによる信号減衰率である。
【表1】
【0043】
表1からわかるように、フリンジ以外の電気特性はいずれもほとんど同等な値を示している。実施例3の場合がややS/Nが劣るように見えるが、加熱により磁気特性を異ならせたことによって、磁性膜の結晶性・配向性が影響を受けS/Nの低下を生じている可能性が考えられる。いずれにしてもフリンジについては本発明の効果が顕著に得られている。
【0044】
このようにしてフリンジ値が改善される機構は、次のようなものと考えられる。即ち、記録ヘッドによって記録を行なう際に漏れ磁界の影響により通常の媒体では隣接の記録トラックも記録してしまうが、本発明の媒体を用いると、記録トラック間に記録された垂直磁化成分によって磁束が隣接の記録トラックに届かなくなるため、フリンジの影響が小さくなるものと考えられる。
【0045】
このように、本発明によれば、フリンジに強い磁気記録媒体を作製することができる。なお、上記実施例は、面内磁気記録媒体についてのものであるが、垂直磁気記録媒体に対しても記録方向等が異なるだけで、記録トラックの磁化方向とガードバンド領域の磁化方向との間に上記した角度を持たせることにより、同様の効果を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気記録媒体の製造後に形成した記録トラック間のガードバンド領域、例えば記録トラック上の磁化方向と角度を持たせた方向に磁化された領域を形成することによって、ヘッドからの漏洩磁界によるフリンジを効果的に低減することができる。このため記録トラック密度を高めた高密度記録においても、信頼性の高い記録が可能となる。また本発明におけるガードバンド領域は磁気記録媒体の製造後に形成することができるので、非常に複雑化した磁気記録媒体の製造工程を乱したりして負担をかけることなく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施形態における記録トラック領域とガードバンド領域とを模式的に示した図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の一実施形態における記録トラック領域とガードバンド領域とを模式的に示した図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体における、トラックピッチTp、ライトトラック幅Ww、およびリードトラック幅Wrの間の関係を示す図である。
【図4】本発明の磁気記録装置の一実施形態について模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明の磁気記録装置の一実施形態における複合磁気ヘッドの主要部分の構造を模式的に示した斜視図である。
Claims (10)
- 磁気記録面に、複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に前記磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域とを備えていることを特徴とする磁気記録媒体。
- 前記ガードバンド領域は前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界を印加して形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 前記ガードバンド領域は前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界の印加とともに加熱を行なうことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 前記ガードバンド領域は磁化の方向が磁気記録面に対し垂直であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の磁気記録媒体。
- 磁気記録面に、複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に局部加熱を行なって形成した前記複数のトラック領域とは磁気特性の異なるガードバンド領域とを備えていることを特徴とする磁気記録媒体。
- 磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する駆動部と、前記磁気記録媒体に信号を記録する記録ヘッドと記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッドと、前記複合磁気ヘッドを磁気記録媒体に対し相対的に移動させる移動手段と、情報信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送し再生ヘッドの出力信号を処理して情報信号を取り出す信号処理手段と、前記駆動部、前期移動手段、および信号処理手段を制御する制御手段とを備え、前記磁気記録媒体が磁気記録面に複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に前記磁気記録面に対し30度以上の角度の磁化を有するガードバンド領域とを備えていることを特徴とする磁気記録装置。
- 前記磁気記録媒体は、前記ガードバンド領域が前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界を印加して形成されたものであることを特徴とする請求項6記載の磁気記録装置。
- 前記磁気記録媒体は、前記ガードバンド領域が前記磁気記録面に対し垂直な成分を持つ磁界の印加とともに加熱を行なうことにより形成されたものであることを特徴とする請求項6記載の磁気記録装置。
- 前記磁気記録媒体は、前記ガードバンド領域の磁化の方向が磁気記録面に対し垂直であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1記載の磁気記録装置。
- 磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する駆動部と、前記磁気記録媒体に信号を記録する記録ヘッドと記録された信号を再生する再生ヘッドとを複合化した複合磁気ヘッドと、前記複合磁気ヘッドを磁気記録媒体に対し相対的に移動させる移動手段と、情報信号を処理して前記記録ヘッドに信号を伝送し再生ヘッドの出力信号を処理して情報信号を取り出す信号処理手段と、前記駆動部、前期移動手段、および信号処理手段を制御する制御手段とを備え、前記磁気記録媒体が磁気記録面に複数の記録トラック領域と、前記複数の記録トラック領域間に局部加熱を行なって形成した前記複数のトラック領域と磁気特性の異なるガードバンド領域とを備えていることを特徴とする磁気記録装置。
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JP2003152831A JP2004355729A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 磁気記録媒体及び磁気記録装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007187993A (ja) * | 2006-01-16 | 2007-07-26 | Bridgestone Corp | エレクトロクロミック素子及びその製造方法 |
US8228636B2 (en) * | 2008-10-30 | 2012-07-24 | The Regents Of The University Of California | Apparatus, system and method for magnetic recording |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152831A patent/JP2004355729A/ja not_active Withdrawn
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