JP2004346199A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】位相差フィルムなどとして好適に用いることができる優れた光学等方性を有する光学フィルムをTダイ溶融押出法にて高い生産性で供給することが可能となる製造方法を提供する。
【解決手段】数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%であるアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%をTダイ溶融押出法により押し出し、一個又は複数個の冷却ロールにてフィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分で引き取る光学フィルムの製造方法。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%であるアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%をTダイ溶融押出法により押し出し、一個又は複数個の冷却ロールにてフィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分で引き取る光学フィルムの製造方法。
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物からなる光学フィルム、特に光学等方性に優れた光学フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置(以下、LCDと述べる。)は低電圧、低消費電力、軽量化である特徴を活かし、携帯機器、移動体通信機器、移動体搭載機器、パーソナルコンピュータ、テレビ、家庭用電気製品、オーディオ製品、産業機器等の表示装置として広く採用されている。LCDは、2枚の偏光板で液晶分子を挟み込み、偏光板の光フィルター機能と液晶分子の複屈折特性を利用して白黒表示を行う光学素子として知られ、LCDには偏光フィルムおよび偏光フィルムの保護フィルム(以下、偏光膜保護フィルムと述べる。)からなる偏光板、位相差フィルム、光拡散フィルムおよび透明電極フィルムなどの光学フィルムが用いられている。これら光学フィルムの内、位相差フィルム、偏光膜保護フィルム、透明電極フィルムは、2枚の偏光板間に存在するため、前述の液晶分子と同様、その光学特性がLCDの表示特性に大きく影響する。さらに、2枚の偏光板間に存在する光学フィルムの内、偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルムには、偏光が本フィルムを通過する際に、偏光状態に影響を及ぼさないことが求められ、そのためには、フィルムの屈折率が3元的に均質である光学等方性フィルムであることが望まれる。すなわちフィルム面方向の位相差が小さいことに加え、位相差の入射角依存性が小さい光学フィルムが偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルムとして望ましい。
【0003】
透明電極フィルムとは、高分子フィルムの表面に金属薄膜やITOなどの半導体薄膜が真空蒸着あるいはスパッタリング等の方法により成膜されたフィルムであり、透明電極フィルムは、LCDの薄膜化、軽量化、柔軟化などを目的としてガラス製の透明電極基板の代わりに用いられている。透明電極フィルムの基材である高分子フィルムには、光学特性として高光線透過率、低ヘイズ、高い光学等方性などが求められ、また、高耐熱性や高表面硬度、低ガス透過性、耐薬品性などの性能が求められることも少なくない。従来、透明電極フィルムの基材である高分子フィルムには、金属薄膜やITOなどの半導体薄膜を成膜する時の熱によりフィルムの寸法変化が起こらないよう、耐熱性に優れた主鎖型芳香族系高分子からなるフィルムが主に用いられ、代表的な例としてポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)からなるフィルムが挙げられる。ところが、PETは結晶を生じ易く、この結晶に起因した大きな複屈折が発現するため、光学等方性フィルムを得ることは困難である。一方、PCは非晶性であるものの、分極率異方性の大きいベンゼン環を分子内に持つため、分子鎖の構成単位であるセグメントが大きな分極率異方性を示し、成形加工時に配向複屈折が生じ易いため、光学等方性フィルムが得られ難い。また、ポリアリレート(PAR)やポリエーテルサルフォン(PES)等の主鎖型芳香族系高分子からなるフィルムを基材とした透明導電性フィルムも提案されており、これらフィルムは非常に優れた耐熱性を有することが知られるが、PARおよびPESはPCと同様、分子内にベンゼン環を有するため、光学等方性フィルムが得られ難い問題がある。なお、上述するような主鎖型芳香族系高分子は、フィルム成形時に張力をできる限り与えずに、分子配向を抑制するような成形加工法あるいは成形加工条件により、光学的に等方なフィルムとすることが可能であるが、以下に述べるような様々な問題を抱えていることが実状である。例えば、溶液キャスト法は、高粘度溶液(ド−プ)を支持基板上に流延した後、加熱して大部分の溶媒を除去して自立性のあるフィルムとして支持基板から剥離し、さらに加熱乾燥して残りの溶媒を除去するフィルムの成膜法であり、フィルムに張力が加わらないため、光学等方性に優れるフィルムを得ることができるが、溶媒乾燥設備や溶媒回収設備を伴った非常に大規模、且つ高価な製造設備を必要し、さらに溶媒の乾燥に要する時間が長いため、生産性が乏しく、フィルムコストが高くなる問題がある。溶液キャスト法で生産性を向上させるためには、溶媒の乾燥工程を拡張する手段および溶媒の乾燥時間を短縮する手段が考えられるが、溶媒の乾燥工程を拡張する場合、製造設備はさらに大規模、且つ高価なものとなり、また、溶媒の乾燥時間を短縮する場合は、成形したフィルムに溶媒が残留し易くなり、環境への影響が懸念される。一方、Tダイを用いた溶融押出法(以下、Tダイ溶融押出法と述べる。)は、押出機内で樹脂を溶融させ、Tダイのスリットからフィルム状に溶融樹脂を押出した後、ロールやエアーなどで冷却しつつ引き取る成形法であり、溶液キャスト法に比べて、製造設備が安価なうえに、生産性にも優れるが、フィルムの引き取り時に張力が加わるため、光学的に等方なフィルムとするためには引取り速度を非常に遅くせざるを得ず、Tダイ溶融押出法の特徴である高い生産性が得られない問題がある。
【0004】
以上のような分子配向を抑制するような成形加工法あるいは成形加工条件により得られた光学等方性フィルムであっても、そのフィルムに熱や変形が加わることによってフィルム内に応力が発生すると、セグメント内に歪みや配向が生じ、フィルムに光学異方性が発現する問題がある。高分子の応力に対する光学異方性の発現のし易さは、光弾性係数で表すことができ、光弾性係数が大きいほど、小さな応力で大きな光学異方性が発現するが、上記主鎖型芳香族系高分子は一般に、大きな光弾性係数を有することが知られている。
【0005】
また、偏光膜保護フィルムとは、偏光フィルムを保護する目的で用いられる。偏光フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムに二色性を示すヨウ素や色素を含有させて一軸延伸したフィルムが広く一般的に用いられているが、この偏光フィルムは機械強度が低く、水、熱、紫外線などによって偏光特性が悪化し易いため、通常、偏光膜保護フィルムを両面に貼り合わせた積層体フィルムとしてLCDに用いられている。従来、偏光膜保護フィルムにはトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが主に用いられており、TACフィルムは、溶液キャスト法で成形されるため、光学等方性や表面平滑性、厚み精度に優れ、異物欠陥の非常に少ないフィルムとして知られる。しかし、TACフィルムは面方向の位相差が小さいものの、位相差の入射角依存性が大きいため、LCDの表示特性に視野角依存性が生じる問題がある。また、TACは応力に対する位相差の変化量が大きい、すなわち光弾性係数が大きいため、応力発生の原因となる熱や変形に対して細心の注意が必要である。さらに、TACフィルムは溶液キャスト法により成形されるため、大規模且つ高コストの設備が必要であり、簡便にフィルムを成形することが難しい。
【0006】
位相差フィルムとは2枚の偏光板間で使用されるフィルムであり、偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルムと異なり、液晶分子と同様、光学異方性を有し、光の偏光状態を変化させ、LCDの表示特性、すなわちコントラストや視野角特性を向上させるために用いられる。位相差フィルムは、原反フィルムを一軸またはニ軸延伸して分子配向させることにより得られるが、位相差フィルムには非常に均質な光学特性が求められるため、未延伸の段階では、偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルム同様、優れた光学等方性が要求される。従来、位相差フィルムとして主にPCフィルムが用いられてきたが、前述の通り、PCは光弾性係数が大きいために光学異方性が発現し易く、光学等方性を得るために、高コストな溶液キャスト法で成形されるか、あるいは溶融押出法にて低速度で成形されることが実状である。また、PCフィルムは応力によって位相差が変化し易いため、打ち抜きや貼り合わせなどの後加工工程で位相差が生じやすく、また、LCDのバックライトの熱によって位相差が変化する場合もある。
【0007】
また、マレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%からなる組成物よりなる透明性フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−080240号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、透明電極フィルムに用いられる高分子フィルム基材は、光学等方性に優れるフィルムであることが必要であるため、該フィルムは光学的異方性を抑制するために製造コストの高い溶液キャスト法で成形することが一般的であり、例えコスト的に溶液キャスト法よりも有利な溶融押出を用いた場合であっても、光学的異方性を抑制するために引き取り速度を極めて遅くし成形することが一般的である。
【0010】
また、従来から偏光膜保護フィルムとして使用されているTACフィルムは、製造コストの高い溶液キャスト法で成形されており、さらにフィルムの3次元的な光学等方性に乏しく、フィルムの位相差が応力によって変化し易い問題がある。
【0011】
特許文献1に記載された透明フィルムは、あくまで透明であることを特徴とするフィルムに関するものであり、特許文献1では光学特性等を見出すような検討は行われていない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、3次元的な光学等方性に優れるマレイミド・オレフィン共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体よりなる樹脂組成物からなる光学フィルムをTダイ溶融押出法にて高い生産性で製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶液キャスト法に対してコスト的に有利であるTダイ溶融押出法にて、引取り速度の上昇に伴い光学等方性が低下する従来技術の問題点を克服するため鋭意研究を重ねた結果、マレイミド・オレフィン共重合体、特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体を特定の割合で配合してなる樹脂組成物をTダイ溶融押出法により、特定の引き取り速度で引き取ることにより、3次元的な光学等方性に優れる光学フィルムが生産効率良く得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、下記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%からなる樹脂組成物をTダイ溶融押出法により溶融フィルムとして押し出し、該溶融フィルムを一個又は複数個の冷却ロールにて冷却し、フィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分の範囲で引き取ることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0015】
【化3】
(R1は水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0016】
【化4】
(R2、R3はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の製造方法は、樹脂組成物として、上記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、上記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%からなる樹脂組成物を用いてなるものである。
【0019】
ここで、R1として水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる光学フィルムが得られることからメチル基であることが好ましい。又、R2及びR3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる光学フィルムが得られることからメチル基であることが好ましい。
【0020】
そして、このようなマレイミド・オレフィン共重合体は、例えばマレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。その際、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性、透明性に優れる光学フィルムが得られることから特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、一般式(II)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性、透明性に優れる光学フィルムが得られることから特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
マレイミド・オレフィン共重合体における一般式(I)で示される単位は、40〜60モル%であり、特に耐熱性、機械特性に優れる光学フィルムとなることから45〜55モル%であることが好ましい。ここで、一般式(I)で示される単位が60モル%を越える場合、得られる光学フィルムは脆くなる。一方、40モル%未満の場合、得られる光学フィルムの耐熱性が低下する。
【0023】
更に、マレイミド・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0024】
マレイミド・オレフィン共重合体は、公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、及び乳化重合法のいずれもが採用可能であり、その中でも透明性、色調に優れる光学フィルムが得られることから沈殿重合法により得られるものであることが好ましい。
【0025】
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤、等が挙げられる。
【0026】
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0027】
その際の重合温度は、開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0028】
また、マレイミド・オレフィン共重合体は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体をアンモニア及び/又はアルキルアミンを用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0029】
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などに溶解あるいは分散させ、アンモニア及び/又はアルキルアミンと50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アンモニア及び/又はアルキルアミンと反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法、等により製造することができる。
【0030】
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が1×103以上5×106以下であり、特に機械特性とフィルム加工性のバランスに優れることから1×104以上5×105以下が好ましい。数平均分子量が5×106を超える場合、マレイミド・オレフィン共重合体の溶融粘度が高くなりすぎるため、Tダイ溶融押出における樹脂の流動性が乏しくなり、厚み精度や表面平滑性に劣る光学フィルムとなる。一方、数平均分子量が1×103未満の場合、得られる光学フィルムの機械強度が乏しくなる。ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
【0031】
本発明で使用されるアクリロニトリル・スチレン共重合体としては、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体である。ここで、アクリロニトリル単位が21重量%未満、又は、45重量%を越える場合、上記マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との相溶性が低下し、得られるフィルムは不透明になり、また耐熱性も低下する。
【0032】
本発明におけるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の配合割合は、マレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%であり、特に加工性、耐熱性、光学特性のバランスに優れた光学フィルムが得られることからマレイミド・オレフィン共重合体70〜50重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜50重量であることが好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が40重量%未満である場合、フィルムの耐熱性および光学等方性が乏しくなるため好ましくなく、また、マレイミド・オレフィン共重合体が70重量%を超える場合には、フィルムの光学等方性が乏しくなるため好ましくない。
【0033】
本発明でいうフィルムの光学等方性とは、3次元的な屈折率の均質性を指し、光学等方性が最も高い理想的なフィルムの場合、フィルムの全ての方向で屈折率が均一となる。また、この光学等方性の定量化には、一般的にフィルム面内および厚み方向の位相差が用いられる。位相差は複屈折と光路長の積として定義され、また複屈折はある特定の方向の屈折率とその方向に直交する方向の屈折率の差として定義される。従って、どの方向にそって位相差を測定しても小さい値となるフィルムが光学等方性に優れることになる。
【0034】
そして、本発明の製造方法は、光学等方性に優れる光学フィルムの製造方法に関するものであり、得られる光学フィルムは、フィルム面方向の位相差が10nm以下であり、厚み方向の位相差が50nm以下である光学フィルムであることが好ましく、これら位相差は小さいければ小さいほど本発明により得られる光学フィルムとして好ましい。
【0035】
本発明の製造方法は、上記した樹脂組成物をTダイ溶融押出法により溶融フィルムとして押し出し、一個又は複数個の冷却ロールにて冷却しフィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分の範囲で引き取ることを特徴とする光学フィルムの製造方法に関するものであり、本発明の光学フィルムの製造に用いることのできるフィルム製造装置の一例を図1に示し、本発明の説明を行うが本発明はこの製造装置によりなんら限定されるものではなく、さらに付加的装置等を付加した装置等であってもよい。
【0036】
ここで、図1中の符号は以下のもの、1:二軸押出機、2:真空ベント、3:ダイバーターバルブ、4:ギアポンプ、5:スクリーンチェンジャー、6:Tダイ、7:第1冷却ロール、8:巻取りフィルム、のそれぞれを示す。
【0037】
本発明でいうTダイ溶融押出法とは、押出機内で溶融混練した樹脂をTダイからフィルム状に押出し、この溶融フィルムを冷却ロールで冷却しつつ引き取ることを特徴とするフィルムの製造方法である。ここで、Tダイ溶融押出法では、溶融したフィルムを引き取る際にフィルムに張力が加わり、得られるフィルムは分子配向による複屈折が生じ易いことが一般的であり、従来、該Tダイ溶融押出法により光学等方性に優れる光学フィルムを製造する際には、できる限りフィルムに張力を与えず、分子配向による複屈折が生じないように、例えば、10m/分未満という低速度で引き取ることが必要であった。つまり、Tダイ溶融押出法は、表面平滑性の高いフィルムを高い生産性で製造できる方法として広く一般的に知られるにもかかわらず、光学等方性に優れた光学フィルムを製造するためには、その特徴が活かし切れていないことが実状である。
【0038】
これに対し、本発明の光学フィルムの製造方法は、Tダイ溶融押出法により10m/分〜100m/分という高速で光学フィルムを引き取ることを特徴とし、光学等方性に優れる光学フィルムを高い生産性で製造することができる。フィルムの引き取り速度は上記範囲であれば、特に制限はなく、引き取り速度の上昇により厚み精度が低下する傾向にあるため、生産性と厚み精度や光学特性のバランスを考慮して、適宜選択すればよい。
【0039】
また、Tダイ溶融押出法において、上記引き取り速度の他、フィルム特性に影響を与える成形条件として、溶融樹脂の温度、冷却ロールの表面温度、その中でも特に冷却ロールが複数個ある場合のTダイ側の最も上流位にある第1冷却ロールの表面温度が挙げられる。そして、本発明の製造方法において、溶融樹脂の温度は、吐出量や厚み等に応じて適宜選択すればよく、その中でも溶融樹脂の熱分解によるフィルム外観性の悪化を避けるため、樹脂を溶融させた後Tダイから吐出されるまでの間を300℃以下に維持することが好ましく、290℃以下であることが特に好ましい。
【0040】
冷却ロールの温度、特に第1冷却ロールの温度設定は、得られる光学フィルムの外観性や光学特性に与える影響の大きい重要な製造条件の一つであり、溶融フィルムの冷却ロールへの密着性および離型性のバランスを考慮して最適化されるものであり、本発明の製造方法においては、溶融フィルムの冷却ロールへの密着性が十分保持され、フィルム表面の筋模様の発生が抑制され、均一な厚みを有する光学フィルムが得られることから、冷却ロールの表面温度、特に第一冷却ロールの表面温度を示差走査熱量計(以下、DSCという。)により昇温速度10℃/minで測定した樹脂組成物のガラス転移温度−40℃〜ガラス転移温度+20℃とすることが好ましく、特に樹脂組成物のガラス転移温度−35℃〜樹脂組成物のガラス転移温度+10℃とすることが好ましい。
【0041】
本発明におけるTダイ溶融押出法の上記以外の成形条件として、スクリュー回転数、吐出量等が挙げられるが、これら条件はフィルムの厚みや引き取り速度等に応じて適宜選択すればよい。また、溶融樹脂の酸化による熱分解や黄変を抑制するため、ホッパー、押出機シリンダー内部等を窒素パージあるいは真空にすることが好ましい。
【0042】
以下に、本発明の製造方法を実施する際の成形装置、付加的成形装置の一例について述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0043】
本発明に用いることのできる押出機としては、例えば単軸押出機、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機、タンデム型押出機等が代表例として挙げられる。成形に供される樹脂組成物に水などの揮発性成分が含まれていると、光学フィルム押出時にフィルム外観性が悪化するため、これら押出機は揮発性成分を除去するための真空ベント、ホッパドライヤー等が具備されたものが適宜使用される。また、シリンダ径、L/D、圧縮比、スクリューデザインは一般的に生産速度、フィルムの寸法などに応じて最適化すればよく、特に光学フィルムの製造の際には、吐出速度を安定化させるとともに、摩擦発熱の抑制や樹脂温度を分解温度以下に維持することを目的に最適化すればよい。
【0044】
本発明の製造方法においては、吐出速度を安定化させ、光学フィルムの流れ方向の厚み精度を向上させる為に、昇圧機能および計量機能を備えたギアポンプを押出機と組み合わせて用いることが好ましい。また、後述するフィルターシステムに溶融樹脂を通過させて異物をろ過する場合、容器内の圧力損失が押出機の押出圧力を上回る場合などでは、ギアポンプで昇圧することが必要となる。ただし、溶融樹脂がギアポンプ内で滞留し、熱分解あるいは黄変する可能性があるため、滞留を防止できるような構造であることが望ましい。
【0045】
また、溶融樹脂に含まれる繊維、金属、砂、樹脂あるいは添加物等の凝集物などに代表される異物を除去する目的、および押出機やギアポンプ内で発生した樹脂劣化物を除去する目的で、Tダイ溶融押出工程内にフィルターを設置することが好ましく、そのようなフィルターは一般的にはスクリーンメッシュと呼ばれるステンレス等の合金からなる金網の単層体を用いて異物をろ過するものでもよいが、特に光学フィルムを製造する場合には、フィルムの外観に対する要求が非常に厳しいため、上記スクリーンメッシュによるろ過では異物が除去しきれない場合がある。このような場合には、上記ステンレス等の合金からなる金網を積層し、各層を焼結したフィルター、ステンレス鋼の微細繊維を複雑に編み込んだ金網にて繊維間の接点を焼結したフィルター、金属粉末を焼結したフィルター(以下、これらを総称して焼結金属フィルタ−と述べる。)などを用いることが好ましく、該焼結金属フィルターはスクリーンメッシュに対して、高いろ過効率および低いろ過抵抗が得られることが一般的に知られている。該焼結金属フィルターは、例えば特開平07−124426号公報、特開平08−10521号公報、特開平10−337415号公報、特開平11−76721号公報などに開示されている。また、焼結金属フィルターをチューブ状やディスク状の形状として容器に多数組み込んだフィルターシステムに溶融樹脂を通過させて異物をろ過する方法が例えば特開平08−10522号公報などに開示されており、焼結金属フィルターを単独で用いるよりも、さらに高いろ過効率および低いろ過抵抗が得られるため、本発明の製造方法にて好適に使用することができる。ただし、溶融樹脂がフィルターシステム内で熱分解あるいは黄変する可能性があるため、フィルターシステム内の滞留時間には注意する必要があり、また、フィルターシステムは、デットスペース等に滞留が起こり難いような構造であることが望ましい。
【0046】
本発明の製造方法において、溶融樹脂はTダイ内で幅広のフィルムに賦形されるため、フィルムの寸法は主にTダイよって決定される。Tダイ内の流路は、溶融樹脂の粘弾性特性に合わせて最適化すればよく、ダイスとしては一般的にストレートマニホールド型、コートハンガー型、フィッシュテール型、コートハンガーマニホールド型が挙げられ、その中でも得られる光学フィルムの厚み精度を重視する場合、マニホールド型のダイスを用いることが好ましい。また、溶融樹脂の出口部分であるリップの隙間調整は、フィルムの厚み精度を決定する重要な因子の一つである。
【0047】
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、厚み精度の要求が非常に厳しく、その理由の一つとして、前述した位相差は光が透過する媒体の複屈折と光路長の積で定義されるため、仮に複屈折が均質であっても、フィルム厚みが不均質であると、位相差は不均質となり、フィルムの光学等方性が乏しくなるのである。しかし、リップの精密な厚み調整作業には熟練者を要しても時間が掛かるため、近年ではコンピューターを駆使した自動厚み制御システムが導入され、フィルム厚み精度の向上のみならず、歩留まりの向上に大きく寄与している。そして、そのような方法として、オンラインでフィルムの厚みを計測し、その結果をもとに自動でリップの隙間調整やギアポンプの速度調製を行う方法が挙げられ、例えば特開平10−58518号公報、特開2000−127226号公報などに開示され、自動でリップを調整する方法としては、例えばヒートボルト方式、ロボット方式、リップヒータ方式、圧電素子方式などが挙げられ、本発明の製造方法においてもこれら方法を付加的に用いることもできる。
【0048】
また、Tダイのリップは、溶融樹脂の出口部分であるため、溶融樹脂と接触するリップ部に凹凸がある場合、光学フィルム表面に凹凸が転写されてしまい、冷却ロールにより形状が固化され、いわゆるダイラインなどになる。よって、特に溶融樹脂と接触するリップ部は、電解研磨などの方法によって表面粗さを小さくすることが望ましい。さらにリップ部の表面粗さが小さくても、熱分解した樹脂がリップ部に付着していわゆる目やにとなると、リップの表面に凹凸が生じることになりダイラインが発生する原因となる。目やに防止のためには、溶融樹脂がリップに付着し難くすることが重要であり、本発明の製造方法においてはクロムやセラミックでコートしたリップを好適に用いることができる。また、溶融樹脂と接触するリップのエッジ部分には樹脂が滞留し易いため、リップのエッジはできる限り鋭くすることが好ましく、特に0.1mmR以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の製造方法においては、Tダイのスリットより押出された溶融樹脂(溶融フィルム)を冷却ロールに密着させて冷却する。このような冷却ロール、複数個ある場合の第一冷却ロールは一般的にキャストロールやキャスティングロールと呼ばれる。そして、溶融フィルムが接触する第一冷却ロールの表面は、Tダイのリップと同様の理由により、表面粗さが小さいことが望まれる。さらに、冷却ロールが複数個ある場合、第一冷却ロールとその他の冷却ロールは、ロールの回転速度を一定に保つことが重要であり、回転速度にムラがあると、フィルム表面に幅方向のスジが発生する場合がある。
【0050】
そして、得られる光学フィルムをより効率的に冷却するためには、第一冷却ロールに巻き付かせた光学フィルムを第一冷却ロールの反対面から冷却する方法を用いることが好ましく、そのような方法としては、例えばエアーチャンバー法、タッチロール法、エアーナイフ法、ラバーロール法、冷却ドラム法、耳押えロール法、静電ピーニング法が挙げられる。また、タッチロール法として、例えば特開2002−36332号公報、特開WO97/28950号公報、特開平11−235747号公報に弾性変形が可能なタッチロールが提案されており、これらの場合、高剛性のタッチロールを用いるよりも薄いフィルムが成形可能であり、本発明にもこれら方法を採用することができる。また、タッチロールでフィルムを第一冷却ロールの反対面から抑えることにより、表面粗さを平坦化させたり、引取り方向の分子配向を起こり難くさせる効果があるため、これらタッチロールは好ましく用いることができる。無論、第一冷却ロールの反対面からの冷却は特に行わず、放冷としてもよい。
【0051】
冷却ロールの表面温度は、得られる光学フィルムの外観に大きく影響するため、冷却ロールの表面温度は0.1℃の精度で制御することが望ましく、その際は上述したようにDSCで測定した樹脂組成物のガラス転移温度−40℃〜+20℃に設定することが好ましく、その際、加圧水やオイルがロール温調の媒体として使用される。なお、温度制御の精度に優れることからオイル温調が好ましい。
【0052】
得られる光学フィルムの両端部を切断するためのスリッターを設置してもよく、その際のスリッターに制限はない。その中でも、本発明により得られる光学フィルムは比較的に硬質であるため、フィルムの破断面に微細なクラックが発生することを抑制し易いため、回転刃をフィルムの両面から押さえつけて切断するシェアカッターと呼ばれるスリッターを用いることが好ましい。
【0053】
また、得られた光学フィルム表面に繊維等の異物が付着することを防止するため、フィルムの片面、もしくは両面をマスキング処理することが好ましく、マスキング処理する装置を付加する事が好ましい。
【0054】
得られた光学フィルムを巻取る為の巻取り機に特に制限はなく、その中でも引き取り速度と巻き取り速度のバランス調整を行うためのアキュムレーター設備を用いることが好ましい。
【0055】
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、機械強度の向上、光学特性の調整など目的として延伸された光学フィルムであってもよく、延伸された光学フィルムを製造する際には、延伸加工工程を付加してもよい。そして、延伸加工工程はTダイ溶融押出工程内で連続して行う工程、光学フィルムを一旦巻き取った後、該フィルムを延伸加工装置に供して延伸加工する工程、等がある。また、延伸方向はその目的により、一軸方向または二軸方向が選ばれ、一軸方向に延伸する場合、フィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう拘束することが光学特性の均一な延伸フィルムを得るうえでより好ましい。一軸延伸方法として、テンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法などが挙げられ、ニ軸延伸方法としてテンターにより延伸する方法、チューブ状に膨らませて延伸する方法などがある。
【0056】
本発明により得られる光学フィルムを延伸された光学フィルムとする場合、その延伸条件としては、フィルムに厚みむらが発生し難く、得られるフィルムが機械的特性、光学的特性に優れることからDSCで測定した樹脂組成物のガラス転移温度に対して1℃〜40℃高い延伸温度条件のもと、延伸倍率1.1〜3倍の範囲に延伸することが特に好ましい。
【0057】
本発明により得られる光学フィルムは、発明の主旨を超えない範囲で添加剤を含有してもよく、添加方法としては、樹脂組成物を製造する工程で添加する方法、Tダイ溶融押出工程にて樹脂組成物および添加剤をドライブレンドしてホッパーに供給し、押出機内で溶融混練する方法などが挙げられる。
【0058】
そして、添加剤としては、例えば界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等の一般的な添加剤が挙げられ、以下にその詳細を示すが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0059】
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、樹脂組成物100重量部に対して通常0.001〜2重量部が好ましく、特に0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。
【0060】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
【0061】
リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト、などが挙げられる。
【0062】
また、ヒンダードアミン系光安定剤を用いることができ、ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れることから分子量が1,000以上のものが好ましく、特に1,500以上であることが好ましい。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、熱着色防止効果および光安定化効果に優れることから樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部〜1.5重量部を用いることが好ましく、特に0.05重量部〜1.0重量部が好ましく、さらに0.1重量部〜0.5重量部であることが好ましい。
【0063】
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばポリ((6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(分子量1,600)、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5―トリアジン−2、4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(分子量2,000〜3,100)、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス( N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(分子量2,000以上)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物(分子量3,100〜4,000)などが挙げられ、これらは一種類以上で用いることができる。
【0064】
紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて添加することもできる。
【0065】
また、本発明の製造方法においては、Tダイ溶融押出時の摩擦発熱の抑制、押出安定性の向上などを目的として滑剤を添加してもよく、滑剤の添加量は1〜10000ppmが好ましく、特に5〜2000ppmが好ましく、さらに10〜500ppmであることが好ましい。そのような滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸などの高級脂肪族系アルコール・高級脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミドなどの脂肪族アマイド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エステル系滑剤;複合滑剤などが挙げられる。
【0066】
本発明により得られる光学フィルムは、光学部品として用いられるフィルムとして優れたものとなることから光線透過率85%以上、ヘイズ2%以下であるフィルムであることが好ましい。光学フィルムの厚みは、フィルムの厚み精度、機械特性、外観に優れるものとなることから10〜300μmであることが好ましく、特に10〜200μmであることが好ましい。
【0067】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0068】
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
【0069】
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0070】
〜マレイミド・オレフィン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体の組成比〜
元素分析、1H−NMR測定により求めた。
【0071】
〜マレイミド・オレフィン共重合体のガラス転移温度〜
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、商品名DSC200)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。
【0072】
〜光学フィルムの全光線透過率〜
JIS−K−7105を準拠し測定した。
【0073】
〜光学フィルムの位相差〜
全自動複屈折計(王子計測機器株式会社製、商品名KOBRA−21ADH)を用い、測定波長590nmの条件で測定した3次元屈折率をもとに、下式よりフィルム面方向の位相差および厚み方向の位相差を求めた。
【0074】
フィルム面方向の位相差(R)=(Nx−Ny)d
(ここで、Nx:フィルム面内における遅相軸方向の屈折率、Ny:フィルム面内における遅相軸方向に直交する方位の屈折率、d:フィルム厚み、を示す。)
フィルム厚み方向の位相差(K)=((Nx+Ny)/2−Nz)d
(ここで、Nx:フィルム面内における遅相軸方向の屈折率、Ny:フィルム面内における遅相軸方向に直交する方位の屈折率、Nz:フィルム表面の法線方向の屈折率、d:フィルム厚み、を示す。)
〜光学フィルムの厚み〜
ダイヤルゲージ(株式会社ミツトヨ製、商品名ID−C125B)を用いて光学フィルムの中心部を測定した。
【0075】
〜光学フィルム厚みむら〜
光学フィルムの中心部および端部から15mm中心側に位置する部分の厚みを測定し、2点間の厚みの差を厚みのむらとした。
【0076】
合成例1(マレイミド・オレフィン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。得られたポリマーの元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成ポリマー中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は90,000であった。
【0077】
参考例1〜2、参考比較例1〜3
合成例1によりN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体と表1に記載のアクリロニトリル含量の異なるアクリロニトリル・スチレン共重合体を50:50の重量比にてドライブレンドし、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、溶融混練の後、230℃〜250℃で押し出してペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットを220℃で5分間の条件で熱プレス成形し、厚み100μmのフィルムとした。本フィルムの物性測定結果について表1に示す。
【0078】
これらの結果より明かなように、参考例1,2により得られたフィルムは単一のガラス転移温度を示し、優れた光線透過率を示す。一方、アクリロニトリル含量が少量又は多量のアクリロニトリル・スチレン共重合体を用いた参考比較例1〜3により得られるフィルムは、二つのガラス転移温度を有し、且つ得られるフィルムは白濁したものであった。
【0079】
【表1】
実施例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体60重量%およびアクリロニトリル単位含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体40重量%をドライブレンドした後、65mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX65α)に供し、溶融混練の後、ペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は130℃であった。
【0080】
得られた樹脂組成物ペレットを図1で示すフィルム成形装置に投入した。その際のフィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度265℃、引き取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度110℃とし、幅約500mm、厚み約100μmの光学フィルムとした。得られた光学フィルムの評価結果を表2に示す。
【0081】
得られた光学フィルムは光学等方性および厚み精度に優れるものであった。
【0082】
比較例1
合成例1で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量%およびアクリロニトリル単位含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量%をドライブレンドした後、65mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX65α)に供し、溶融混練の後、ペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は140℃であった。
【0083】
得られた樹脂組成物ペレットを図1で示すフィルム成形装置に投入した。その際のフィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度275℃、引き取り速度9m/分、第一冷却ロール表面温度を120℃とし、幅約500mm、厚み約100μmのフィルムとした。得られた光学フィルムの評価結果を表2に示す。
【0084】
得られた光学フィルムは、比較的高い光学等方性を示すものであったが、引き取り速度が9m/分と低いため、光学フィルムの生産性に劣るものであった。
【0085】
比較例2
光学フィルムの引き取り速度を9m/分の代わりに、30m/分とした以外は比較例1と同様の方法により光学フィルムの製造を行った。得られた光学フィルムの評価結果を表2に示す。
【0086】
得られた光学フィルムは、大きな光学異方性が発現しているものであった。
【0087】
比較例3
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体30重量%およびアクリロニトリル単位含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体70重量%をドライブレンドした後、65mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX65α)に供し、溶融混練の後、ペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は115℃と低い値であった。
【0088】
得られた樹脂組成物ペレットを図1で示すフィルム成形装置に投入した。フィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度260℃、引き取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度100℃とし、幅約500mm、厚み約100μmのフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0089】
得られたフィルムは光学異方性が高いものであった。
【0090】
比較例4
フィルム成形装置のフィルム化条件の引き取り速度30m/分を引き取り速度105m/分とした以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0091】
得られたフィルムは厚み精度が乏しいものであった。
【0092】
比較例5
ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、商品名パンライトL−120ZW)を図1で示すフィルム成形装置に投入した。フィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度280℃、引き取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度125℃とし、幅約500mm、厚み約100μmのフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0093】
得られたフィルムは光学異方性が高いものであった。
【0094】
【表2】
比較例6
フィルム成形装置のフィルム化条件の第一冷却ロール表面温度110℃を85℃とした以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。
【0095】
得られたフィルムの表面には筋模様が多数認められ、光学用途としての品質を満たすものではなかった。
【0096】
比較例7
フィルム成形装置のフィルム化条件の第一冷却ロール表面温度110℃を155℃とした以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。
【0097】
得られたフィルムの表面には筋模様が多数認められ、光学用途としての品質を満たすものではなかった。
【0098】
実施例2
実施例1により得られた光学フィルムを15cm四方角に裁断して2軸延伸試験装置(株式会社東洋精機製作所製)に設置し、フィルム引き取り方向に平行する方向に1軸延伸した。また、この1軸延伸では、延伸方向と直交するフィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう幅拘束を行いつつ、1軸方向に延伸速度15mm/分にて延伸温度145℃の条件で延伸倍率1.4倍に延伸した。得られた延伸光学フィルムの評価結果を表3に示す。
【0099】
得られた延伸光学フィルムは光学等方性に優れたものであった。
【0100】
実施例3
実施例1で得られた光学フィルムを15cm四方角に裁断して2軸延伸試験装置に設置し、フィルム引き取り方向に平行する方向およびフィルム引き取り方向に直交する方向に2軸延伸した。また、この2軸延伸では、2軸方向同時に延伸速度15mm/分にて延伸温度145℃の条件で延伸倍率1.3倍×1.3倍に延伸した。得られた延伸光学フィルムの評価結果を表3に示す。
【0101】
得られた延伸光学フィルムは光学等方性に優れたものであった。
【0102】
【表3】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明により得られる光学フィルムは優れた光学等方性を有するため、LCDなどで使用される透明電極フィルム、偏光膜保護フィルム、位相差フィルムなどとして好適に用いることができ、本発明の製造方法によれば、優れた光学等方性を有する光学フィルムをTダイ溶融押出法にて高い生産性で供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】;本発明の製造方法に用いられる光学フィルム成形装置の一例。
【符号の説明】
1;二軸押出機
2;真空ベント
3;ダイバーターバルブ
4;ギアポンプ
5;スクリーンチェンジャー
6;Tダイ
7;第一冷却ロール
8;巻取りフィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物からなる光学フィルム、特に光学等方性に優れた光学フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置(以下、LCDと述べる。)は低電圧、低消費電力、軽量化である特徴を活かし、携帯機器、移動体通信機器、移動体搭載機器、パーソナルコンピュータ、テレビ、家庭用電気製品、オーディオ製品、産業機器等の表示装置として広く採用されている。LCDは、2枚の偏光板で液晶分子を挟み込み、偏光板の光フィルター機能と液晶分子の複屈折特性を利用して白黒表示を行う光学素子として知られ、LCDには偏光フィルムおよび偏光フィルムの保護フィルム(以下、偏光膜保護フィルムと述べる。)からなる偏光板、位相差フィルム、光拡散フィルムおよび透明電極フィルムなどの光学フィルムが用いられている。これら光学フィルムの内、位相差フィルム、偏光膜保護フィルム、透明電極フィルムは、2枚の偏光板間に存在するため、前述の液晶分子と同様、その光学特性がLCDの表示特性に大きく影響する。さらに、2枚の偏光板間に存在する光学フィルムの内、偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルムには、偏光が本フィルムを通過する際に、偏光状態に影響を及ぼさないことが求められ、そのためには、フィルムの屈折率が3元的に均質である光学等方性フィルムであることが望まれる。すなわちフィルム面方向の位相差が小さいことに加え、位相差の入射角依存性が小さい光学フィルムが偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルムとして望ましい。
【0003】
透明電極フィルムとは、高分子フィルムの表面に金属薄膜やITOなどの半導体薄膜が真空蒸着あるいはスパッタリング等の方法により成膜されたフィルムであり、透明電極フィルムは、LCDの薄膜化、軽量化、柔軟化などを目的としてガラス製の透明電極基板の代わりに用いられている。透明電極フィルムの基材である高分子フィルムには、光学特性として高光線透過率、低ヘイズ、高い光学等方性などが求められ、また、高耐熱性や高表面硬度、低ガス透過性、耐薬品性などの性能が求められることも少なくない。従来、透明電極フィルムの基材である高分子フィルムには、金属薄膜やITOなどの半導体薄膜を成膜する時の熱によりフィルムの寸法変化が起こらないよう、耐熱性に優れた主鎖型芳香族系高分子からなるフィルムが主に用いられ、代表的な例としてポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)からなるフィルムが挙げられる。ところが、PETは結晶を生じ易く、この結晶に起因した大きな複屈折が発現するため、光学等方性フィルムを得ることは困難である。一方、PCは非晶性であるものの、分極率異方性の大きいベンゼン環を分子内に持つため、分子鎖の構成単位であるセグメントが大きな分極率異方性を示し、成形加工時に配向複屈折が生じ易いため、光学等方性フィルムが得られ難い。また、ポリアリレート(PAR)やポリエーテルサルフォン(PES)等の主鎖型芳香族系高分子からなるフィルムを基材とした透明導電性フィルムも提案されており、これらフィルムは非常に優れた耐熱性を有することが知られるが、PARおよびPESはPCと同様、分子内にベンゼン環を有するため、光学等方性フィルムが得られ難い問題がある。なお、上述するような主鎖型芳香族系高分子は、フィルム成形時に張力をできる限り与えずに、分子配向を抑制するような成形加工法あるいは成形加工条件により、光学的に等方なフィルムとすることが可能であるが、以下に述べるような様々な問題を抱えていることが実状である。例えば、溶液キャスト法は、高粘度溶液(ド−プ)を支持基板上に流延した後、加熱して大部分の溶媒を除去して自立性のあるフィルムとして支持基板から剥離し、さらに加熱乾燥して残りの溶媒を除去するフィルムの成膜法であり、フィルムに張力が加わらないため、光学等方性に優れるフィルムを得ることができるが、溶媒乾燥設備や溶媒回収設備を伴った非常に大規模、且つ高価な製造設備を必要し、さらに溶媒の乾燥に要する時間が長いため、生産性が乏しく、フィルムコストが高くなる問題がある。溶液キャスト法で生産性を向上させるためには、溶媒の乾燥工程を拡張する手段および溶媒の乾燥時間を短縮する手段が考えられるが、溶媒の乾燥工程を拡張する場合、製造設備はさらに大規模、且つ高価なものとなり、また、溶媒の乾燥時間を短縮する場合は、成形したフィルムに溶媒が残留し易くなり、環境への影響が懸念される。一方、Tダイを用いた溶融押出法(以下、Tダイ溶融押出法と述べる。)は、押出機内で樹脂を溶融させ、Tダイのスリットからフィルム状に溶融樹脂を押出した後、ロールやエアーなどで冷却しつつ引き取る成形法であり、溶液キャスト法に比べて、製造設備が安価なうえに、生産性にも優れるが、フィルムの引き取り時に張力が加わるため、光学的に等方なフィルムとするためには引取り速度を非常に遅くせざるを得ず、Tダイ溶融押出法の特徴である高い生産性が得られない問題がある。
【0004】
以上のような分子配向を抑制するような成形加工法あるいは成形加工条件により得られた光学等方性フィルムであっても、そのフィルムに熱や変形が加わることによってフィルム内に応力が発生すると、セグメント内に歪みや配向が生じ、フィルムに光学異方性が発現する問題がある。高分子の応力に対する光学異方性の発現のし易さは、光弾性係数で表すことができ、光弾性係数が大きいほど、小さな応力で大きな光学異方性が発現するが、上記主鎖型芳香族系高分子は一般に、大きな光弾性係数を有することが知られている。
【0005】
また、偏光膜保護フィルムとは、偏光フィルムを保護する目的で用いられる。偏光フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムに二色性を示すヨウ素や色素を含有させて一軸延伸したフィルムが広く一般的に用いられているが、この偏光フィルムは機械強度が低く、水、熱、紫外線などによって偏光特性が悪化し易いため、通常、偏光膜保護フィルムを両面に貼り合わせた積層体フィルムとしてLCDに用いられている。従来、偏光膜保護フィルムにはトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが主に用いられており、TACフィルムは、溶液キャスト法で成形されるため、光学等方性や表面平滑性、厚み精度に優れ、異物欠陥の非常に少ないフィルムとして知られる。しかし、TACフィルムは面方向の位相差が小さいものの、位相差の入射角依存性が大きいため、LCDの表示特性に視野角依存性が生じる問題がある。また、TACは応力に対する位相差の変化量が大きい、すなわち光弾性係数が大きいため、応力発生の原因となる熱や変形に対して細心の注意が必要である。さらに、TACフィルムは溶液キャスト法により成形されるため、大規模且つ高コストの設備が必要であり、簡便にフィルムを成形することが難しい。
【0006】
位相差フィルムとは2枚の偏光板間で使用されるフィルムであり、偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルムと異なり、液晶分子と同様、光学異方性を有し、光の偏光状態を変化させ、LCDの表示特性、すなわちコントラストや視野角特性を向上させるために用いられる。位相差フィルムは、原反フィルムを一軸またはニ軸延伸して分子配向させることにより得られるが、位相差フィルムには非常に均質な光学特性が求められるため、未延伸の段階では、偏光膜保護フィルムおよび透明電極フィルム同様、優れた光学等方性が要求される。従来、位相差フィルムとして主にPCフィルムが用いられてきたが、前述の通り、PCは光弾性係数が大きいために光学異方性が発現し易く、光学等方性を得るために、高コストな溶液キャスト法で成形されるか、あるいは溶融押出法にて低速度で成形されることが実状である。また、PCフィルムは応力によって位相差が変化し易いため、打ち抜きや貼り合わせなどの後加工工程で位相差が生じやすく、また、LCDのバックライトの熱によって位相差が変化する場合もある。
【0007】
また、マレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%からなる組成物よりなる透明性フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−080240号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、透明電極フィルムに用いられる高分子フィルム基材は、光学等方性に優れるフィルムであることが必要であるため、該フィルムは光学的異方性を抑制するために製造コストの高い溶液キャスト法で成形することが一般的であり、例えコスト的に溶液キャスト法よりも有利な溶融押出を用いた場合であっても、光学的異方性を抑制するために引き取り速度を極めて遅くし成形することが一般的である。
【0010】
また、従来から偏光膜保護フィルムとして使用されているTACフィルムは、製造コストの高い溶液キャスト法で成形されており、さらにフィルムの3次元的な光学等方性に乏しく、フィルムの位相差が応力によって変化し易い問題がある。
【0011】
特許文献1に記載された透明フィルムは、あくまで透明であることを特徴とするフィルムに関するものであり、特許文献1では光学特性等を見出すような検討は行われていない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、3次元的な光学等方性に優れるマレイミド・オレフィン共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体よりなる樹脂組成物からなる光学フィルムをTダイ溶融押出法にて高い生産性で製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶液キャスト法に対してコスト的に有利であるTダイ溶融押出法にて、引取り速度の上昇に伴い光学等方性が低下する従来技術の問題点を克服するため鋭意研究を重ねた結果、マレイミド・オレフィン共重合体、特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体を特定の割合で配合してなる樹脂組成物をTダイ溶融押出法により、特定の引き取り速度で引き取ることにより、3次元的な光学等方性に優れる光学フィルムが生産効率良く得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、下記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%からなる樹脂組成物をTダイ溶融押出法により溶融フィルムとして押し出し、該溶融フィルムを一個又は複数個の冷却ロールにて冷却し、フィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分の範囲で引き取ることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0015】
【化3】
(R1は水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0016】
【化4】
(R2、R3はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の製造方法は、樹脂組成物として、上記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、上記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%からなる樹脂組成物を用いてなるものである。
【0019】
ここで、R1として水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる光学フィルムが得られることからメチル基であることが好ましい。又、R2及びR3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる光学フィルムが得られることからメチル基であることが好ましい。
【0020】
そして、このようなマレイミド・オレフィン共重合体は、例えばマレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。その際、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性、透明性に優れる光学フィルムが得られることから特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、一般式(II)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性、透明性に優れる光学フィルムが得られることから特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
マレイミド・オレフィン共重合体における一般式(I)で示される単位は、40〜60モル%であり、特に耐熱性、機械特性に優れる光学フィルムとなることから45〜55モル%であることが好ましい。ここで、一般式(I)で示される単位が60モル%を越える場合、得られる光学フィルムは脆くなる。一方、40モル%未満の場合、得られる光学フィルムの耐熱性が低下する。
【0023】
更に、マレイミド・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0024】
マレイミド・オレフィン共重合体は、公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、及び乳化重合法のいずれもが採用可能であり、その中でも透明性、色調に優れる光学フィルムが得られることから沈殿重合法により得られるものであることが好ましい。
【0025】
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤、等が挙げられる。
【0026】
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0027】
その際の重合温度は、開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0028】
また、マレイミド・オレフィン共重合体は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体をアンモニア及び/又はアルキルアミンを用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0029】
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などに溶解あるいは分散させ、アンモニア及び/又はアルキルアミンと50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アンモニア及び/又はアルキルアミンと反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法、等により製造することができる。
【0030】
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が1×103以上5×106以下であり、特に機械特性とフィルム加工性のバランスに優れることから1×104以上5×105以下が好ましい。数平均分子量が5×106を超える場合、マレイミド・オレフィン共重合体の溶融粘度が高くなりすぎるため、Tダイ溶融押出における樹脂の流動性が乏しくなり、厚み精度や表面平滑性に劣る光学フィルムとなる。一方、数平均分子量が1×103未満の場合、得られる光学フィルムの機械強度が乏しくなる。ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
【0031】
本発明で使用されるアクリロニトリル・スチレン共重合体としては、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体である。ここで、アクリロニトリル単位が21重量%未満、又は、45重量%を越える場合、上記マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との相溶性が低下し、得られるフィルムは不透明になり、また耐熱性も低下する。
【0032】
本発明におけるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の配合割合は、マレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%であり、特に加工性、耐熱性、光学特性のバランスに優れた光学フィルムが得られることからマレイミド・オレフィン共重合体70〜50重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜50重量であることが好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が40重量%未満である場合、フィルムの耐熱性および光学等方性が乏しくなるため好ましくなく、また、マレイミド・オレフィン共重合体が70重量%を超える場合には、フィルムの光学等方性が乏しくなるため好ましくない。
【0033】
本発明でいうフィルムの光学等方性とは、3次元的な屈折率の均質性を指し、光学等方性が最も高い理想的なフィルムの場合、フィルムの全ての方向で屈折率が均一となる。また、この光学等方性の定量化には、一般的にフィルム面内および厚み方向の位相差が用いられる。位相差は複屈折と光路長の積として定義され、また複屈折はある特定の方向の屈折率とその方向に直交する方向の屈折率の差として定義される。従って、どの方向にそって位相差を測定しても小さい値となるフィルムが光学等方性に優れることになる。
【0034】
そして、本発明の製造方法は、光学等方性に優れる光学フィルムの製造方法に関するものであり、得られる光学フィルムは、フィルム面方向の位相差が10nm以下であり、厚み方向の位相差が50nm以下である光学フィルムであることが好ましく、これら位相差は小さいければ小さいほど本発明により得られる光学フィルムとして好ましい。
【0035】
本発明の製造方法は、上記した樹脂組成物をTダイ溶融押出法により溶融フィルムとして押し出し、一個又は複数個の冷却ロールにて冷却しフィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分の範囲で引き取ることを特徴とする光学フィルムの製造方法に関するものであり、本発明の光学フィルムの製造に用いることのできるフィルム製造装置の一例を図1に示し、本発明の説明を行うが本発明はこの製造装置によりなんら限定されるものではなく、さらに付加的装置等を付加した装置等であってもよい。
【0036】
ここで、図1中の符号は以下のもの、1:二軸押出機、2:真空ベント、3:ダイバーターバルブ、4:ギアポンプ、5:スクリーンチェンジャー、6:Tダイ、7:第1冷却ロール、8:巻取りフィルム、のそれぞれを示す。
【0037】
本発明でいうTダイ溶融押出法とは、押出機内で溶融混練した樹脂をTダイからフィルム状に押出し、この溶融フィルムを冷却ロールで冷却しつつ引き取ることを特徴とするフィルムの製造方法である。ここで、Tダイ溶融押出法では、溶融したフィルムを引き取る際にフィルムに張力が加わり、得られるフィルムは分子配向による複屈折が生じ易いことが一般的であり、従来、該Tダイ溶融押出法により光学等方性に優れる光学フィルムを製造する際には、できる限りフィルムに張力を与えず、分子配向による複屈折が生じないように、例えば、10m/分未満という低速度で引き取ることが必要であった。つまり、Tダイ溶融押出法は、表面平滑性の高いフィルムを高い生産性で製造できる方法として広く一般的に知られるにもかかわらず、光学等方性に優れた光学フィルムを製造するためには、その特徴が活かし切れていないことが実状である。
【0038】
これに対し、本発明の光学フィルムの製造方法は、Tダイ溶融押出法により10m/分〜100m/分という高速で光学フィルムを引き取ることを特徴とし、光学等方性に優れる光学フィルムを高い生産性で製造することができる。フィルムの引き取り速度は上記範囲であれば、特に制限はなく、引き取り速度の上昇により厚み精度が低下する傾向にあるため、生産性と厚み精度や光学特性のバランスを考慮して、適宜選択すればよい。
【0039】
また、Tダイ溶融押出法において、上記引き取り速度の他、フィルム特性に影響を与える成形条件として、溶融樹脂の温度、冷却ロールの表面温度、その中でも特に冷却ロールが複数個ある場合のTダイ側の最も上流位にある第1冷却ロールの表面温度が挙げられる。そして、本発明の製造方法において、溶融樹脂の温度は、吐出量や厚み等に応じて適宜選択すればよく、その中でも溶融樹脂の熱分解によるフィルム外観性の悪化を避けるため、樹脂を溶融させた後Tダイから吐出されるまでの間を300℃以下に維持することが好ましく、290℃以下であることが特に好ましい。
【0040】
冷却ロールの温度、特に第1冷却ロールの温度設定は、得られる光学フィルムの外観性や光学特性に与える影響の大きい重要な製造条件の一つであり、溶融フィルムの冷却ロールへの密着性および離型性のバランスを考慮して最適化されるものであり、本発明の製造方法においては、溶融フィルムの冷却ロールへの密着性が十分保持され、フィルム表面の筋模様の発生が抑制され、均一な厚みを有する光学フィルムが得られることから、冷却ロールの表面温度、特に第一冷却ロールの表面温度を示差走査熱量計(以下、DSCという。)により昇温速度10℃/minで測定した樹脂組成物のガラス転移温度−40℃〜ガラス転移温度+20℃とすることが好ましく、特に樹脂組成物のガラス転移温度−35℃〜樹脂組成物のガラス転移温度+10℃とすることが好ましい。
【0041】
本発明におけるTダイ溶融押出法の上記以外の成形条件として、スクリュー回転数、吐出量等が挙げられるが、これら条件はフィルムの厚みや引き取り速度等に応じて適宜選択すればよい。また、溶融樹脂の酸化による熱分解や黄変を抑制するため、ホッパー、押出機シリンダー内部等を窒素パージあるいは真空にすることが好ましい。
【0042】
以下に、本発明の製造方法を実施する際の成形装置、付加的成形装置の一例について述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0043】
本発明に用いることのできる押出機としては、例えば単軸押出機、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機、タンデム型押出機等が代表例として挙げられる。成形に供される樹脂組成物に水などの揮発性成分が含まれていると、光学フィルム押出時にフィルム外観性が悪化するため、これら押出機は揮発性成分を除去するための真空ベント、ホッパドライヤー等が具備されたものが適宜使用される。また、シリンダ径、L/D、圧縮比、スクリューデザインは一般的に生産速度、フィルムの寸法などに応じて最適化すればよく、特に光学フィルムの製造の際には、吐出速度を安定化させるとともに、摩擦発熱の抑制や樹脂温度を分解温度以下に維持することを目的に最適化すればよい。
【0044】
本発明の製造方法においては、吐出速度を安定化させ、光学フィルムの流れ方向の厚み精度を向上させる為に、昇圧機能および計量機能を備えたギアポンプを押出機と組み合わせて用いることが好ましい。また、後述するフィルターシステムに溶融樹脂を通過させて異物をろ過する場合、容器内の圧力損失が押出機の押出圧力を上回る場合などでは、ギアポンプで昇圧することが必要となる。ただし、溶融樹脂がギアポンプ内で滞留し、熱分解あるいは黄変する可能性があるため、滞留を防止できるような構造であることが望ましい。
【0045】
また、溶融樹脂に含まれる繊維、金属、砂、樹脂あるいは添加物等の凝集物などに代表される異物を除去する目的、および押出機やギアポンプ内で発生した樹脂劣化物を除去する目的で、Tダイ溶融押出工程内にフィルターを設置することが好ましく、そのようなフィルターは一般的にはスクリーンメッシュと呼ばれるステンレス等の合金からなる金網の単層体を用いて異物をろ過するものでもよいが、特に光学フィルムを製造する場合には、フィルムの外観に対する要求が非常に厳しいため、上記スクリーンメッシュによるろ過では異物が除去しきれない場合がある。このような場合には、上記ステンレス等の合金からなる金網を積層し、各層を焼結したフィルター、ステンレス鋼の微細繊維を複雑に編み込んだ金網にて繊維間の接点を焼結したフィルター、金属粉末を焼結したフィルター(以下、これらを総称して焼結金属フィルタ−と述べる。)などを用いることが好ましく、該焼結金属フィルターはスクリーンメッシュに対して、高いろ過効率および低いろ過抵抗が得られることが一般的に知られている。該焼結金属フィルターは、例えば特開平07−124426号公報、特開平08−10521号公報、特開平10−337415号公報、特開平11−76721号公報などに開示されている。また、焼結金属フィルターをチューブ状やディスク状の形状として容器に多数組み込んだフィルターシステムに溶融樹脂を通過させて異物をろ過する方法が例えば特開平08−10522号公報などに開示されており、焼結金属フィルターを単独で用いるよりも、さらに高いろ過効率および低いろ過抵抗が得られるため、本発明の製造方法にて好適に使用することができる。ただし、溶融樹脂がフィルターシステム内で熱分解あるいは黄変する可能性があるため、フィルターシステム内の滞留時間には注意する必要があり、また、フィルターシステムは、デットスペース等に滞留が起こり難いような構造であることが望ましい。
【0046】
本発明の製造方法において、溶融樹脂はTダイ内で幅広のフィルムに賦形されるため、フィルムの寸法は主にTダイよって決定される。Tダイ内の流路は、溶融樹脂の粘弾性特性に合わせて最適化すればよく、ダイスとしては一般的にストレートマニホールド型、コートハンガー型、フィッシュテール型、コートハンガーマニホールド型が挙げられ、その中でも得られる光学フィルムの厚み精度を重視する場合、マニホールド型のダイスを用いることが好ましい。また、溶融樹脂の出口部分であるリップの隙間調整は、フィルムの厚み精度を決定する重要な因子の一つである。
【0047】
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、厚み精度の要求が非常に厳しく、その理由の一つとして、前述した位相差は光が透過する媒体の複屈折と光路長の積で定義されるため、仮に複屈折が均質であっても、フィルム厚みが不均質であると、位相差は不均質となり、フィルムの光学等方性が乏しくなるのである。しかし、リップの精密な厚み調整作業には熟練者を要しても時間が掛かるため、近年ではコンピューターを駆使した自動厚み制御システムが導入され、フィルム厚み精度の向上のみならず、歩留まりの向上に大きく寄与している。そして、そのような方法として、オンラインでフィルムの厚みを計測し、その結果をもとに自動でリップの隙間調整やギアポンプの速度調製を行う方法が挙げられ、例えば特開平10−58518号公報、特開2000−127226号公報などに開示され、自動でリップを調整する方法としては、例えばヒートボルト方式、ロボット方式、リップヒータ方式、圧電素子方式などが挙げられ、本発明の製造方法においてもこれら方法を付加的に用いることもできる。
【0048】
また、Tダイのリップは、溶融樹脂の出口部分であるため、溶融樹脂と接触するリップ部に凹凸がある場合、光学フィルム表面に凹凸が転写されてしまい、冷却ロールにより形状が固化され、いわゆるダイラインなどになる。よって、特に溶融樹脂と接触するリップ部は、電解研磨などの方法によって表面粗さを小さくすることが望ましい。さらにリップ部の表面粗さが小さくても、熱分解した樹脂がリップ部に付着していわゆる目やにとなると、リップの表面に凹凸が生じることになりダイラインが発生する原因となる。目やに防止のためには、溶融樹脂がリップに付着し難くすることが重要であり、本発明の製造方法においてはクロムやセラミックでコートしたリップを好適に用いることができる。また、溶融樹脂と接触するリップのエッジ部分には樹脂が滞留し易いため、リップのエッジはできる限り鋭くすることが好ましく、特に0.1mmR以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の製造方法においては、Tダイのスリットより押出された溶融樹脂(溶融フィルム)を冷却ロールに密着させて冷却する。このような冷却ロール、複数個ある場合の第一冷却ロールは一般的にキャストロールやキャスティングロールと呼ばれる。そして、溶融フィルムが接触する第一冷却ロールの表面は、Tダイのリップと同様の理由により、表面粗さが小さいことが望まれる。さらに、冷却ロールが複数個ある場合、第一冷却ロールとその他の冷却ロールは、ロールの回転速度を一定に保つことが重要であり、回転速度にムラがあると、フィルム表面に幅方向のスジが発生する場合がある。
【0050】
そして、得られる光学フィルムをより効率的に冷却するためには、第一冷却ロールに巻き付かせた光学フィルムを第一冷却ロールの反対面から冷却する方法を用いることが好ましく、そのような方法としては、例えばエアーチャンバー法、タッチロール法、エアーナイフ法、ラバーロール法、冷却ドラム法、耳押えロール法、静電ピーニング法が挙げられる。また、タッチロール法として、例えば特開2002−36332号公報、特開WO97/28950号公報、特開平11−235747号公報に弾性変形が可能なタッチロールが提案されており、これらの場合、高剛性のタッチロールを用いるよりも薄いフィルムが成形可能であり、本発明にもこれら方法を採用することができる。また、タッチロールでフィルムを第一冷却ロールの反対面から抑えることにより、表面粗さを平坦化させたり、引取り方向の分子配向を起こり難くさせる効果があるため、これらタッチロールは好ましく用いることができる。無論、第一冷却ロールの反対面からの冷却は特に行わず、放冷としてもよい。
【0051】
冷却ロールの表面温度は、得られる光学フィルムの外観に大きく影響するため、冷却ロールの表面温度は0.1℃の精度で制御することが望ましく、その際は上述したようにDSCで測定した樹脂組成物のガラス転移温度−40℃〜+20℃に設定することが好ましく、その際、加圧水やオイルがロール温調の媒体として使用される。なお、温度制御の精度に優れることからオイル温調が好ましい。
【0052】
得られる光学フィルムの両端部を切断するためのスリッターを設置してもよく、その際のスリッターに制限はない。その中でも、本発明により得られる光学フィルムは比較的に硬質であるため、フィルムの破断面に微細なクラックが発生することを抑制し易いため、回転刃をフィルムの両面から押さえつけて切断するシェアカッターと呼ばれるスリッターを用いることが好ましい。
【0053】
また、得られた光学フィルム表面に繊維等の異物が付着することを防止するため、フィルムの片面、もしくは両面をマスキング処理することが好ましく、マスキング処理する装置を付加する事が好ましい。
【0054】
得られた光学フィルムを巻取る為の巻取り機に特に制限はなく、その中でも引き取り速度と巻き取り速度のバランス調整を行うためのアキュムレーター設備を用いることが好ましい。
【0055】
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、機械強度の向上、光学特性の調整など目的として延伸された光学フィルムであってもよく、延伸された光学フィルムを製造する際には、延伸加工工程を付加してもよい。そして、延伸加工工程はTダイ溶融押出工程内で連続して行う工程、光学フィルムを一旦巻き取った後、該フィルムを延伸加工装置に供して延伸加工する工程、等がある。また、延伸方向はその目的により、一軸方向または二軸方向が選ばれ、一軸方向に延伸する場合、フィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう拘束することが光学特性の均一な延伸フィルムを得るうえでより好ましい。一軸延伸方法として、テンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法などが挙げられ、ニ軸延伸方法としてテンターにより延伸する方法、チューブ状に膨らませて延伸する方法などがある。
【0056】
本発明により得られる光学フィルムを延伸された光学フィルムとする場合、その延伸条件としては、フィルムに厚みむらが発生し難く、得られるフィルムが機械的特性、光学的特性に優れることからDSCで測定した樹脂組成物のガラス転移温度に対して1℃〜40℃高い延伸温度条件のもと、延伸倍率1.1〜3倍の範囲に延伸することが特に好ましい。
【0057】
本発明により得られる光学フィルムは、発明の主旨を超えない範囲で添加剤を含有してもよく、添加方法としては、樹脂組成物を製造する工程で添加する方法、Tダイ溶融押出工程にて樹脂組成物および添加剤をドライブレンドしてホッパーに供給し、押出機内で溶融混練する方法などが挙げられる。
【0058】
そして、添加剤としては、例えば界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等の一般的な添加剤が挙げられ、以下にその詳細を示すが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0059】
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、樹脂組成物100重量部に対して通常0.001〜2重量部が好ましく、特に0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。
【0060】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
【0061】
リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト、などが挙げられる。
【0062】
また、ヒンダードアミン系光安定剤を用いることができ、ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れることから分子量が1,000以上のものが好ましく、特に1,500以上であることが好ましい。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、熱着色防止効果および光安定化効果に優れることから樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部〜1.5重量部を用いることが好ましく、特に0.05重量部〜1.0重量部が好ましく、さらに0.1重量部〜0.5重量部であることが好ましい。
【0063】
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばポリ((6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(分子量1,600)、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5―トリアジン−2、4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(分子量2,000〜3,100)、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス( N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(分子量2,000以上)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物(分子量3,100〜4,000)などが挙げられ、これらは一種類以上で用いることができる。
【0064】
紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて添加することもできる。
【0065】
また、本発明の製造方法においては、Tダイ溶融押出時の摩擦発熱の抑制、押出安定性の向上などを目的として滑剤を添加してもよく、滑剤の添加量は1〜10000ppmが好ましく、特に5〜2000ppmが好ましく、さらに10〜500ppmであることが好ましい。そのような滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸などの高級脂肪族系アルコール・高級脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミドなどの脂肪族アマイド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エステル系滑剤;複合滑剤などが挙げられる。
【0066】
本発明により得られる光学フィルムは、光学部品として用いられるフィルムとして優れたものとなることから光線透過率85%以上、ヘイズ2%以下であるフィルムであることが好ましい。光学フィルムの厚みは、フィルムの厚み精度、機械特性、外観に優れるものとなることから10〜300μmであることが好ましく、特に10〜200μmであることが好ましい。
【0067】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0068】
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
【0069】
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0070】
〜マレイミド・オレフィン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体の組成比〜
元素分析、1H−NMR測定により求めた。
【0071】
〜マレイミド・オレフィン共重合体のガラス転移温度〜
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、商品名DSC200)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。
【0072】
〜光学フィルムの全光線透過率〜
JIS−K−7105を準拠し測定した。
【0073】
〜光学フィルムの位相差〜
全自動複屈折計(王子計測機器株式会社製、商品名KOBRA−21ADH)を用い、測定波長590nmの条件で測定した3次元屈折率をもとに、下式よりフィルム面方向の位相差および厚み方向の位相差を求めた。
【0074】
フィルム面方向の位相差(R)=(Nx−Ny)d
(ここで、Nx:フィルム面内における遅相軸方向の屈折率、Ny:フィルム面内における遅相軸方向に直交する方位の屈折率、d:フィルム厚み、を示す。)
フィルム厚み方向の位相差(K)=((Nx+Ny)/2−Nz)d
(ここで、Nx:フィルム面内における遅相軸方向の屈折率、Ny:フィルム面内における遅相軸方向に直交する方位の屈折率、Nz:フィルム表面の法線方向の屈折率、d:フィルム厚み、を示す。)
〜光学フィルムの厚み〜
ダイヤルゲージ(株式会社ミツトヨ製、商品名ID−C125B)を用いて光学フィルムの中心部を測定した。
【0075】
〜光学フィルム厚みむら〜
光学フィルムの中心部および端部から15mm中心側に位置する部分の厚みを測定し、2点間の厚みの差を厚みのむらとした。
【0076】
合成例1(マレイミド・オレフィン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。得られたポリマーの元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成ポリマー中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は90,000であった。
【0077】
参考例1〜2、参考比較例1〜3
合成例1によりN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体と表1に記載のアクリロニトリル含量の異なるアクリロニトリル・スチレン共重合体を50:50の重量比にてドライブレンドし、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、溶融混練の後、230℃〜250℃で押し出してペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットを220℃で5分間の条件で熱プレス成形し、厚み100μmのフィルムとした。本フィルムの物性測定結果について表1に示す。
【0078】
これらの結果より明かなように、参考例1,2により得られたフィルムは単一のガラス転移温度を示し、優れた光線透過率を示す。一方、アクリロニトリル含量が少量又は多量のアクリロニトリル・スチレン共重合体を用いた参考比較例1〜3により得られるフィルムは、二つのガラス転移温度を有し、且つ得られるフィルムは白濁したものであった。
【0079】
【表1】
実施例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体60重量%およびアクリロニトリル単位含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体40重量%をドライブレンドした後、65mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX65α)に供し、溶融混練の後、ペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は130℃であった。
【0080】
得られた樹脂組成物ペレットを図1で示すフィルム成形装置に投入した。その際のフィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度265℃、引き取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度110℃とし、幅約500mm、厚み約100μmの光学フィルムとした。得られた光学フィルムの評価結果を表2に示す。
【0081】
得られた光学フィルムは光学等方性および厚み精度に優れるものであった。
【0082】
比較例1
合成例1で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量%およびアクリロニトリル単位含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量%をドライブレンドした後、65mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX65α)に供し、溶融混練の後、ペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は140℃であった。
【0083】
得られた樹脂組成物ペレットを図1で示すフィルム成形装置に投入した。その際のフィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度275℃、引き取り速度9m/分、第一冷却ロール表面温度を120℃とし、幅約500mm、厚み約100μmのフィルムとした。得られた光学フィルムの評価結果を表2に示す。
【0084】
得られた光学フィルムは、比較的高い光学等方性を示すものであったが、引き取り速度が9m/分と低いため、光学フィルムの生産性に劣るものであった。
【0085】
比較例2
光学フィルムの引き取り速度を9m/分の代わりに、30m/分とした以外は比較例1と同様の方法により光学フィルムの製造を行った。得られた光学フィルムの評価結果を表2に示す。
【0086】
得られた光学フィルムは、大きな光学異方性が発現しているものであった。
【0087】
比較例3
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体30重量%およびアクリロニトリル単位含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体70重量%をドライブレンドした後、65mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX65α)に供し、溶融混練の後、ペレタイズした。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は115℃と低い値であった。
【0088】
得られた樹脂組成物ペレットを図1で示すフィルム成形装置に投入した。フィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度260℃、引き取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度100℃とし、幅約500mm、厚み約100μmのフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0089】
得られたフィルムは光学異方性が高いものであった。
【0090】
比較例4
フィルム成形装置のフィルム化条件の引き取り速度30m/分を引き取り速度105m/分とした以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0091】
得られたフィルムは厚み精度が乏しいものであった。
【0092】
比較例5
ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、商品名パンライトL−120ZW)を図1で示すフィルム成形装置に投入した。フィルム化条件は、Tダイ出口の溶融樹脂温度280℃、引き取り速度30m/分、第一冷却ロール表面温度125℃とし、幅約500mm、厚み約100μmのフィルムとした。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0093】
得られたフィルムは光学異方性が高いものであった。
【0094】
【表2】
比較例6
フィルム成形装置のフィルム化条件の第一冷却ロール表面温度110℃を85℃とした以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。
【0095】
得られたフィルムの表面には筋模様が多数認められ、光学用途としての品質を満たすものではなかった。
【0096】
比較例7
フィルム成形装置のフィルム化条件の第一冷却ロール表面温度110℃を155℃とした以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを得た。
【0097】
得られたフィルムの表面には筋模様が多数認められ、光学用途としての品質を満たすものではなかった。
【0098】
実施例2
実施例1により得られた光学フィルムを15cm四方角に裁断して2軸延伸試験装置(株式会社東洋精機製作所製)に設置し、フィルム引き取り方向に平行する方向に1軸延伸した。また、この1軸延伸では、延伸方向と直交するフィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう幅拘束を行いつつ、1軸方向に延伸速度15mm/分にて延伸温度145℃の条件で延伸倍率1.4倍に延伸した。得られた延伸光学フィルムの評価結果を表3に示す。
【0099】
得られた延伸光学フィルムは光学等方性に優れたものであった。
【0100】
実施例3
実施例1で得られた光学フィルムを15cm四方角に裁断して2軸延伸試験装置に設置し、フィルム引き取り方向に平行する方向およびフィルム引き取り方向に直交する方向に2軸延伸した。また、この2軸延伸では、2軸方向同時に延伸速度15mm/分にて延伸温度145℃の条件で延伸倍率1.3倍×1.3倍に延伸した。得られた延伸光学フィルムの評価結果を表3に示す。
【0101】
得られた延伸光学フィルムは光学等方性に優れたものであった。
【0102】
【表3】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明により得られる光学フィルムは優れた光学等方性を有するため、LCDなどで使用される透明電極フィルム、偏光膜保護フィルム、位相差フィルムなどとして好適に用いることができ、本発明の製造方法によれば、優れた光学等方性を有する光学フィルムをTダイ溶融押出法にて高い生産性で供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】;本発明の製造方法に用いられる光学フィルム成形装置の一例。
【符号の説明】
1;二軸押出機
2;真空ベント
3;ダイバーターバルブ
4;ギアポンプ
5;スクリーンチェンジャー
6;Tダイ
7;第一冷却ロール
8;巻取りフィルム
Claims (2)
- 下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、下記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜40重量%、アクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体30〜60重量%からなる樹脂組成物をTダイ溶融押出法により溶融フィルムとして押し出し、該溶融フィルムを一個又は複数個の冷却ロールにて冷却しフィルムを製造する際に、引き取り速度10m/分〜100m/分の範囲で引き取ることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- 冷却ロールの中でTダイ側の最も上流位に設置した第一冷却ロールの表面温度を示差走査熱量計により昇温速度10℃/minで測定した樹脂組成物のガラス転移温度−40℃〜ガラス転移温度+20℃の範囲に設定し、溶融フィルムを冷却することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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