JP2004338501A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操作部・転舵部分離型操舵装置において、操作部に、操作部材20の操作範囲内における任意の操作位置においてその操作位置の少なくとも車輪の転舵量が増大する方向への位置変動を規制する操作位置規制装置50を設ける。例えば、操作部材20に連動して動作する可動部材160を設け、操作位置規制装置50がその可動部材160の動作を規制することによって、操作部材20を規制するようにする。可動部材160の規制は、可動部材160と装置本体162との両方に係合する係合部材164を設け、係合部材164との係合状態を変更することによって行うことができる。また、その係合において、摩擦材200を採用することもできる。規制方向とは反対方向の操作を許容してもよく、大きな操作力で操作した場合に規制に抗って操作可能としてもよい。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の操作に応じて車輪を転舵する車両用操舵装置に関し、詳しくは、運転者によって操作される操作部材の操作規制に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者によって操作される操作部と車輪を転舵する転舵部とが機械的に分離され、運転者が操作部材に与える操作力によらず、別の駆動源による駆動力で車輪を転舵する形式の車両用操舵装置(以下、「操作部・転舵部分離型操舵装置」あるいは、単に「分離型操舵装置」と呼ぶことがある)が提案されている。そのような操舵装置では、車輪の転舵範囲の限界を運転者に認知させるために、操作部材の操作範囲の限界を決定するためのストッパ装置が設けられることが望ましいとされ、そのようなストッパ装置の一例が、特開平10−194152号公報に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−194152号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
上記公報に記載の技術では、所定位置においてそれ以上の操作部材の操作を阻止するのに留まり、その阻止される位置を任意に変更することができない。詳しく言えば、走行中ににおいて、操作部材の操作が規制される範囲を任意に変更することができないものとされている。一方、分離型操舵装置では、車両の走行状態、操舵装置が置かれている状況等に応じて、操作部材の操作規制を柔軟に行うことが望まれることがある。その場合、上記公報の技術を採用したとしても、その要望を充分に満たすことが困難であり、実用的な分離型操舵装置を実現し得ない。
【0005】
そこで、本発明は、実用性に優れた操作部・転舵部分離型操舵装置を得ることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の車両用操舵装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能である。
【0006】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項と(4)項とを合わせたものが請求項3に、(6)項が請求項4に、(7)項と(5)項とを合わせたものが請求項5に、(8)項と(10)項とを合わせたものが請求項6に、(11)項と(12)項とを合わせたものが請求項7に、(14)項と(15)項とを合わせたものが請求項8に、(16)項が請求項9に、(17)項が請求項10に、(18)項が請求項11に、(21)項が請求項12に、それぞれ相当する。
【0007】
(1)操舵のために運転者によって定まった操作方向における双方向に操作される操作部材を備える操作部と、
前記操作部材とは別の駆動源の駆動力によって、前記操作部材の操作位置に応じた転舵位置に車輪を転舵する転舵部と
を含む車両用操舵装置であって、
前記操作部が、前記操作部材の操作範囲内における任意の操作位置においてその操作位置の少なくとも車輪の転舵量が増大する方向への位置変動を規制する操作位置規制装置を含むことを特徴とする車両用操舵装置。
【0008】
操舵装置は、例えば、操舵装置の構造上車輪の転舵が限界とされる範囲(以下、「転舵限界範囲」と呼ぶことがある)内においても、縁石に車輪が当接する等、路面状態によって、それ以上の転舵が制限される場合がある。かかる場合、操作部・転舵部分離型操舵装置では、その転舵制限を直接操舵部に伝達することができず、運転者はその事実を知ることができない。そのような場合に、本発明の操舵装置では、操作部材の操作位置が規制されることにより、運転者に転舵規制の事実を認知させることができる。また、例えば、車両が高速で走行しているような場合、車輪を大きく転舵させることは、車両の姿勢を大きく崩すことになる。そのような場合も転舵制限を行うことが望ましい。車輪からの反力が操作部材に直接伝達されない分離型操舵装置では、かかる場合に操舵位置を制限することが、特に重要となる。そのような場合にも、本発明の操舵装置は優位性を発揮する。このように、操作位置を任意の位置で規制できる本発明の操舵装置は、実用的な操舵装置となる。
【0009】
操作部・転舵部分離型操舵装置は、運転者に操舵感を与えるために、操作に抗う力を操作部材に与える操作反力付与装置が設けられる場合がある。操作反力付与装置は、例えば、電動モータ等を駆動源とし(「反力モータ」と呼ぶことができる)、転舵によって車輪が受ける路面からの反力を検出し、その反力に応じた操作反力を操作部材に付与する。操作部材の操作を規制する方法の1つとして、この操作反力を大きくすることが考えられる。ところが、この方法によれば、強い規制状態を得るためには、駆動源であるモータの出力を大きくしなければならず、大型のモータが必要となってくる。このことは操舵装置のコスト高にもつながる。本発明における操作位置規制装置は、そのような方法によって規制するものではなく、操作する位置を直接的に規制するものであり、平たく言えば、ストッパとしての役割を果すものである。操作部材の操作位置を直接的に規制する操作位置規制装置を有する本発明の操舵装置は、過度に大きなモータを必要とすることなく、操作部をコンパクトに、また、安価にできるという利点を有する。
【0010】
本発明の操舵装置の具体的な態様、詳しくは、操作位置規制装置の具体的な態様については、後の項において説明する。なお、操作部の構成は、既に公知の構成を広く採用することができる。例えば、操作部材としては、一般的には、ステアリングホイールを採用することができるが、ジョイスティック等を始めとして、直線的に操作されるものであってもよく、また、互いに隔たって設けられて互いに連繋して動作する2つのグリップを操作部材とし、それらのグリップが操作されるような操作部であってもよい。また、転舵部の構成についても、既に公知の構成を広く採用することができる。例えば、車輪を転舵させるためのアクチュエータは、電動式、油圧式等様々な形式のものを採用することができる。また、操作部材の操作位置に応じた転舵位置が定まるものとされているが、このことは、操作部材の操作位置と車輪の転舵位置とが1対1に対応することのみを意味するものではない。1つの操作位置に対応する転舵位置が変化し得る態様、例えば車速等の車両走行状態に応じて変化するような態様のものも含まれる。
【0011】
(2)前記操作位置規制装置が、前記操作部材の操作範囲内における任意の操作位置において、任意の方向への位置変動を規制するものである(1)項に記載の車両用操舵装置。
【0012】
通常の車両走行状態においては、転舵量が増大する方向の操作を規制することで足りるが、例えば、車輪が窪みに嵌る等の状態においては、操舵量が減少する方向に操作を規制することが望まれることがある。本項に記載の態様の操舵装置は、そのような場合にも操舵規制が可能な装置となる。つまり、本項に記載の態様によれば、より実用的な操舵装置が実現する。
【0013】
(3)前記操作位置規制装置が、前記操作部材の操作と連動して定まった動作方向における双方向に動作する可動部材と、前記操作部材の位置変動を規制すべくその可動部材の動作位置の変動を規制する可動部材位置規制装置とを備える(1)項または(2)項に記載の車両用操舵装置。
【0014】
ステアリングホイール等の操作部材は比較的大きく操作される。そのような操作部材の操作位置を直接規制する場合、操作位置規制装置は大型化する可能性がある。本項に記載の操舵装置では、操作部材と連動する可動部材の動作位置を規制することにより操作部材の操作位置を規制するものであり、可動部材に小型のものを採用する、可動部材の動作範囲を小さくする等によって、比較的コンパクトな操作部が実現する。可動部材は、例えば、直線的あるいは曲線的に移動する移動体でもよく、また、自転あるいは公転する回転体でもよい。可動部材が移動体の場合、その動作は移動動作となり、規制される動作位置は移動位置となる。また、回転体である場合は、回転動作であり、回転位置が規制されることになる。
【0015】
(4)前記可動部材位置規制装置が、(a)装置本体と、(b)その装置本体と前記可動部材との一方と他方とに同時に係合可能な係合部材と、(c)前記可動部材の位置変動が規制される状態と規制されない状態とに切替えるべく、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合状態を変更する係合状態変更装置とを有する(3)項に記載の車両用操舵装置。
【0016】
可動部材の動作位置を規制する場合、例えば、可動部材の一部をストッパである被当接部材に当接させてその動作位置を規制することが考えられる。そのような当接方式による位置の規制を前提とすれば、本発明の操舵装置では、操作部材の操作位置を双方向に規制することが必要とされることから、単純に考えれば、2つの被当接部材が必要とされる。さらに、任意の位置において規制する必要があることから、それらの被当接部材の各々を個別に位置変更する必要がある。本項に記載の態様は、1つの係合部材を、位置が固定されている装置本体と可動部材との両者に係合させることによって、可動部材の動作位置を規制するものであり、2つの被当接部材を必要としない態様とすることできる。詳しく説明すれば、本項に記載の態様では、装置本体と可動部材との一方と係合部材とが係合するとともに、装置本体と可動部材との他方と係合部材とが係合する(以下、可動部材位置規制装置において前者の係合部分を「第1係合部」と呼び、後者の係合部分を「第2係合部」と呼ぶことがある)。そして、2つの係合部分のうちの1つである第1係合部の係合状態を変更することによって、可動部材の位置変動を規制する状態と規制しない状態とに切替えるのである。第1係合部による規制状態と被規制状態との切替えに加えて、例えば、第2係合部を、規制の方向を切替え可能なように構成すれば、任意の動作位置において任意の方向への可動部材の位置変動を規制することが可能となる。この規制の方向を切替え可能な第2係合部の具体的な態様は、後に詳しく説明するが、例えば、第2係合部を構成する装置本体と可動部材との他方と可動部材との一方に、可動部材の動作方向において互いに向かい合う2つの被当接部を設け、他方に、規制される方向に応じてそれらの被当接部の一方に選択的に当接する当接部を設けるようにすればよい。
【0017】
(5)前記係合状態変更装置が、前記可動部材の位置変動が規制されない状態において、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合を解除するものである(4)項に記載の車両用操舵装置。
【0018】
係合状態変更装置は、例えば、強固に係合させている状態と緩やかに係合させている状態とを切替えるものとすることができる。例えば強固な係合状態において可動部材の位置変動を規制し、緩やかな係合状態において位置変動を許容するような態様である。これに対して本項に記載の態様は、第1係合部における係合状態を変更して、前述の規制状態と非規制状態とに切替える場合に、非規制状態において、第1係合部の係合状態を非係合とする態様である。可動部材の位置変動が規制されない状態では第1係合部の係合が解除されることから、その状態において、操作部材の円滑な操作が確保されることになる。
【0019】
(6)前記係合状態変更装置が、電磁力発生デバイスを有し、その電磁力発生デバイスによって発生する電磁力で前記係合部材を移動させて前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合状態を変更するものである(4)項または(5)項に記載の車両用操舵装置。
【0020】
第1係合部の係合状態を変更する方式は、特に限定されるものではないが、本項に記載の態様は、係合状態の変更方式について限定した一態様であり、本項記載の態様によれば、簡便に第1係合部の係合状態を変更させることができる。具体的には、例えば、係合部材を鋼等の強磁性を有する材料から形成し、装置本体と可動部材との一方に電磁石を設け、この電磁石を構成する電磁コイルに通電することにより、装置本体と可動部材との一方に係合部材を引き付けるようにして移動させる態様等が該当する。
【0021】
(7)前記係合部材に磁石が設けられるとともに、前記係合状態変更装置が、その係合部材を前記電磁力発生デバイスが発生する電磁力の方向を切替えることによって移動させるものである(6)項に記載の車両用操舵装置。
【0022】
電磁力発生デバイスを利用して第1係合部の係合状態を変更させる場合、電磁力発生状態と非発生状態とを切替えることで、係合部材を移動させる態様が考えられる。その場合、非発生状態において係合部材の位置が定まらない状態を回避すべく、例えば、係合部材に何らかの付勢力を作用させて位置を固定させるといった手段が採用される。具体的にいえば、例えば、係合部材と可動部材あるいは装置本体との間にバネ等を介在させ、非規制状態において、そのバネ等の付勢力によって係合部材を可動部材あるいは装置本体に押え付けるあるいは引き付けるといった手段である。これに対して、本項に記載の態様のように、係合部材に磁石を設け、さらに電磁力発生デバイスの電磁力の方向を切替えれば、係合部材に引力と斥力とを選択的に作用させることができるため、例えば、上記バネ等の付勢手段を設けずして非規制状態における係合部材の位置を固定させることが可能である。また、上記バネ等の付勢手段を併用し、引力を発生させている状態、斥力を発生させている状態、引力と斥力とのいずれも発生させていない状態の3つの状態を切替えることによって、第1係合部を3つの係合状態が選択可能な態様とすることもできる。
【0023】
(8)前記可動部材位置規制装置が、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材とを摩擦係合させるために両者の間に介装された摩擦材を有し、その摩擦材によって発生する摩擦力で、前記可動部材の位置変動が規制される状態を実現させるものである(4)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0024】
第1係合部の係合方式は、例えば、噛合、掛合、嵌合、擦り合わせ等、種々の方式を採用することができる。例えば、本項記載の態様のように、摩擦力によって可動部材の位置変動を規制可能とすれば、可動部材位置規制装置の構造を単純化できる。摩擦材は、特に限定されるものではなく、例えば、ブレーキパッドに使用される材料、クラッチに使用される材料等、発生させる摩擦力に応じて適切なものを採択すればよい。
【0025】
(9)前記摩擦材が、前記操作部材に与えられる操作力が設定された大きさの設定操作力以上となる場合に前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との摺動を許容する大きさの摩擦力を生じるものとされた(8)項に記載の車両用操舵装置。
【0026】
本項に記載の態様は、後に説明する操作力対応変動許容装置の一態様と考えることができる。本項に記載の態様によれば、例えば、何らかの原因により、運転者の意図に反して操作が規制された場合でも、通常の操作力を超える相当の大きさの力によって操作部材を操作することにより、車輪の転舵が可能となることから、柔軟性に富んだ操舵装置となる。
【0027】
(10)前記係合状態変更装置が、電磁力発生デバイスを有し、その電磁力発生デバイスによって発生する電磁力で前記係合部材を移動させて前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合状態を変更するものであり、かつ、前記電磁力発生デバイスが電磁力を発生させていない場合において、前記可動部材の位置変動が規制される状態で発生する摩擦力より小さな摩擦力を発生させて、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材とを係合させるものである(8)項または(9)項に記載の車両用操舵装置。
【0028】
本項に記載の態様は、第1係合部を摩擦係合させ、かつ、係合部材を電磁力発生デバイスを使用する場合の一態様である。本項に記載の態様によれば、例えば、電磁力発生デバイス,前述の反力モータ等、操作部を構成するデバイス等への電力の供給が遮断されるようなフェイル時にあっても、第1係合部に比較的弱い摩擦力が発生しているため、操作部材の操作を安定させることができる。なお、本項に記載の態様は、非規制状態において電磁力を発生させいない態様と発生させている態様との両者を含み得る。
【0029】
(11)前記可動部材位置規制装置が、前記装置本体と可動部材との他方と前記係合部材とを、それらの前記可動部材の動作方向における一方向の相対動作を禁止すべくそれらの一部分どうしを当接可能であるとともに、その方向とは逆の方向の相対動作を禁止すべくそれらの前記一部分どうしとは別の一部分どうしを当接可能である状態で係合させるものである(4)項ないし(10)項に記載の車両用操舵装置。
【0030】
本項に記載の態様は、規制状態と非規制状態とを切替えるための前記第1係合部とは異なるもう1つの係合部、すなわち、前記第2係合部に関する限定を加えた態様である。可動部材は操作部材の操作に応じて定められた方向における双方向に動作するものであり、可動部材位置規制装置は、その双方向における一方の向きと他方の向きとの両方の動作位置の変動を規制するものである。この両方の向きへの可動部材の位置変動を規制するため、本項に記載するところの第2係合部は、第2係合部を構成する部材等である装置本体と可動部材との他方と前記係合部材との互いの一部分どうしを当接させている。詳しく言えば、規制する向きによって、異なる一部分どうしが当接するようにされているのである。すなわち、第2係合部は、規制する方向を切替える役割を果たすものといえる。例えば、装置本体と可動部材との他方と可動部材との一方に、可動部材の動作方向において互いに向かい合う2つの被当接部を設け、他方に、規制する方向に応じてそれらの被当接部の一方に選択的に当接する当接部を設ける態様が、本項に示す第2係合部の態様に含まれる。上記構成の第2係合部を採用することにより、先に述べたところの2つの被当接部材が配設された態様の規制装置と異なり、1つの部材としての係合部材を利用して、任意の動作位置において可動部材の双方向の位置変動を容易に規制できるのである。
【0031】
(12)前記可動部材位置規制装置が、前記装置本体と可動部材との他方と前記係合部材とを前記可動部材の動作方向において遊間を存在させて係合させることで、前記装置本体と可動部材との他方と前記係合部材との前記遊間に応じた量の相対動作を許容するものである(11)項に記載の車両用操舵装置。
【0032】
本項にいうところの遊間を有して係合する態様には、例えば、がたつきを設けて係合する態様が含まれる。所定量の遊間を有して係合する態様を採用すれば、可動部材の一方向の位置変動が規制された場合において、その所定量に相当する量の逆方向への位置変動が許容されることになる。例えば、操作部材の操作位置を検出して、所定の操作位置においてその操作位置の変動を規制する場合を考える。その場合、遊間の存在しない第2係合部を採用するときには、一方向の変動を規制しようとすれば、逆方向の変動までもが同時に規制されることになる。この場合、操作部材を戻す方向に操作しても操作部材を戻すことができない。この事態を回避するには、例えばトルクセンサ等の検知手段を用いて操作部材が逆方向に操作されたことを検出する必要がある。本項に記載の態様を採用すれば、一方向への変動が規制されている状態でもそれの逆方向への変動が許容されるため、単に操作部材の操作位置に基づく制御を行うだけでも、一方向のみの規制状態が実現する。また、上記逆方向の操作を検知する手段を設けた場合であっても、操作部材の戻し操作が急激である場合には、操作において多少の引掛かり感が残ることがある。本項記載の態様では、そのような場合においても、上記遊間の存在により、引掛かり感のない操作部材の操作が可能となる。なお、遊間の量は、操舵装置に望む特性に応じ、適当な量を任意に設定することができる。本項に記載の態様は、後に説明する反対方向変動許容装置の一態様である。
【0033】
(13)前記可動部材位置規制装置が、前記固定部材と可動部材との他方と前記係合部材との互いに当接する部分に介装された緩衝材を有する(11)項または(12)項に記載の車両用操舵装置。
【0034】
本項に記載の態様のよう、第2係合部において、固定部材と可動部材との他方と係合部材とを緩衝材を介して当接させれば、当接時の衝撃を緩和できるため、操作部材の操作感が良好となる。また、当接時に発生する打音を抑制する、装置への負担が軽減されるといったメリットがある。
【0035】
(14)前記可動部材が、前記操作部材の動作に連動して回転動作する回転体であり、前記可動部材位置規制装置が、その回転体の回転動作位置を規制するものである(3)項ないし(13)項に記載の車両用操舵装置。
【0036】
先に述べたように、可動部材の動作は、直線的な移動動作であってもよく、また、回転動作であってもよい。例えば、操作部材として一般的なステアリングホイールを採用する場合、ステアリングホイールは回転操作されるため、本項記載の態様のように、その回転に応じて回転動作する回転体を可動部材として採用すれば、簡便な構成の操作部が実現される。
【0037】
(15)前記操作部が、モータとそのモータの回転を減速して伝達する減速装置とを備えて前記操作部材にそれの操作に抗う操作反力を付与する操作反力付与装置を含むものであり、前記可動部材位置規制装置が、前記モータと前記減速装置との間あるいはモータの減速装置とは反対側に設けられてモータの回転によって回転動作する前記回転体の回転動作位置を規制するものである(14)項に記載の車両用操舵装置。
【0038】
前述したように、操作部・転舵部分離型の操舵装置は、運転者に操作感を与えるため、モータを駆動源とする操作反力を付与する手段を設けることがある。その場合、小さな出力のモータで効率的な反力を与えるため、そのモータの回転を減速機等の減速装置にて減速して操作部材に伝達させることが一般的である。原則として、可動部材としての回転体の配設位置を制限するものではないが、本項の記載の態様は、その配設位置を限定した一態様である。本項に記載の態様には、例えば、上記モータの回転軸自体を上記回転体とする態様、そのモータの回転軸につながる減速装置の入力軸自体を上記回転体とする態様、あるいはそれらの軸と一体的回転可能に設けられた回転部材を上記回転体とする態様等が含まれる。これらの態様と異なり、減速装置の出力軸を上記回転体とする場合は、その回転体の回転動作を規制するために大きなトルクを必要とする。本項に記載の態様のように、操作部における減速装置を境にするモータ側の部分に可動部材としての回転体を配置すれば、その回転体の回転動作を規制する規制力を小さなもので済ませることができる。
【0039】
(16)前記操作部が、前記操作部材の操作位置の位置変動が規制された状態において、前記操作部材に与えられる規制された方向への操作力が設定された大きさの設定操作力以上となる場合に、その操作位置のその方向への位置変動を許容する操作力対応変動許容装置を備える(1)項ないし(15)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0040】
操作部材の操作位置が規制されている状態でも、その規制された位置を超えて操作部材を操作したい場合がある。その場合、通常の操作力より大きな操作力で操作すれば、かかる操作ができるようにすれば、便利である。本項に記載の態様によれば、そのような操作が可能となる。例えば、操作部材と操作位置規制装置における可動部材の動作を規制する部分との間に摩擦係合する部分を設け、その摩擦係合する部分を、所定の操作力以上の操作力が操作部材に与えられた場合に係合箇所が滑るように構成すればよい。例えば、いわゆるトレランスリング等を用いれば、簡単な構造の操作力対応変動許容装置を構成することができる。なお、操作を操作部材の操作位置をセンサで検出してその検出値に基づいて車輪の転舵量を決定するような制御を行う操舵装置の場合は、操作部材と操作力対応変動許容装置との間に、上記センサを配設することが望ましい。また、本項に記載の態様において、操作力対応変動許容装置を操作位置規制装置以外の部分に設ける場合は、操作位置規制装置が何らかの原因で意図せぬ操作規制を行ったときでも、操作部材の操作を行うことができ、フェイルセーフの観点からも優れた操舵装置となる。
【0041】
(17)前記操作位置規制装置が、前記操作部材の操作位置の規制された方向とは反対方向への少なくとも狭範囲の位置変動を許容する反対方向変動許容装置を備える(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0042】
先に説明したように、操作部材の操作位置を検出してその検出値に基づいて車輪の転舵量を決定する場合、規制される方向とは逆の方向の操作が許容されない場合は、操作部材の戻し操作が容易に行い得ない。戻し操作を可能とするためには、操作位置だけではなく操作部材が戻し方向に操作されたことを検知するセンサを別途設ける必要がある。本項に記載の態様では、操作位置規制装置が逆方向の操作を許容することから、上記センサを必要とせず、簡便な構造によって、操作部材の戻し操作が可能とされる。また、先に説明したように、本項に記載の態様によれば、規制解除に対する制御遅れ等によって発生する戻し操作における引掛かり感を、効果的に解消することもできる。
【0043】
(18)当該操舵装置が、前記転舵部が転舵規制を必要とする要転舵規制状態である場合に前記操作部材の操作位置の変動を規制すべく、前記操作位置規制装置を制御する規制装置制御部を備える(1)項ないし(17)項に記載の車両用操舵装置。
【0044】
本項でいう規制装置制御部には、車両の走行状態,操舵装置の状態が予め定められたシチュエーションとなった場合に要転舵規制状態であると判断し、その判断に基づいて操作部材の操作規制を行わせるように制御する態様のものが含まれる。具体的には、例えば、車速に応じて転舵量を変化させることを目的として操作部材の操作位置の限界を規制するような制御、車輪が縁石,溝等の路面形状による転舵規制を受ける場合にその転舵規制を運転者に認知させるべく操作部材の操作規制するような制御等を行う制御装置が含まれる。要転舵規制状態は、実際に転舵部が外力により転舵規制を受けている場合の他、不要に操舵量を大きくしないように操作部材の操作を制限する場合等も含まれる。つまり、要転舵規制状態には、受動的なものも、能動的なものも含まれるのである。規制装置制御部は、例えば、コンピュータを主体とする制御ユニットを主体として構成されるものとすることができる。操作部・転舵部分離型操舵装置は、自身を制御する制御ユニットを備える場合が多く、その場合、その制御ユニットが上記規制装置制御部の制御ユニットを兼ねるものであってもよい。
【0045】
(19)前記規制装置制御部が、転舵規制に関連するパラメータであって検出された規制パラメータに基づいて前記要転舵規制状態であるか否かの判断を行うものである(18)項に記載の車両用操舵装置。
【0046】
要転舵規制であるか否かは、例えば、車両の走行状態、操舵装置の状態等に基づいて判断される。本項に記載の態様には、それらの状態を認識可能な1以上のパラメータを何らかのセンサで検出し、その検出されたパラメータ値から設定された条件に従って演算処理を行い、その処理結果が設定された規制条件を満たすものである場合に転舵規制状態であることを認識し、その認識結果に基づいて操作部材の操作規制に関する制御を行うような態様が含まれる。
【0047】
(20)前記規制装置制御部が、前記操作部材の操作位置,車輪の転舵位置,車両速度,前記転舵部の負荷状態から選ばれる1以上のものを含む前記規制パラメータに基づいて、前記要転舵規制状態であるか否かの判断を行うものである(19)項に記載の車両用操舵装置。
【0048】
車両の走行状態,操舵装置の状態は、上記例示したパラメータによって判断可能である。車両に予め各種センサが備わっている場合にはそれらのセンサを利用して、あるいは、備わってない場合であっても本操作規制のためにそれらのセンサを設けることによって、上記規制パラメータを取得させればよい。例えば、操作部材の操作位置は、ステアリングホイールである場合は操舵角センサ等により、車輪の転舵位置は、転舵ロッドの位置を検出するセンサ(「絶対転舵角センサ」と呼ばれることがある),転舵ロッドを駆動する転舵モータの回転角を検出するセンサ(「相対転舵角センサ」と呼ばれることがある)等により、転舵部の負荷状態は、転舵ロッドに設けられて車輪への路面からの反力を検出する反力センサ,転舵モータへの供給電流を検出する電流計等によって、それぞれ検出することができる。
【0049】
(21)前記操作部が、前記操作部材の前記操作範囲を定める操作範囲規定装置を備える(1)項ないし(20)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0050】
操作位置規制装置は、操作部材の操作範囲内において操作位置の変動を規制するものである。操作部材の操作範囲は、無限とすることもでき(例えば、ステアリングホイールを無限に回転させ得るような構造の操作部が該当する)、また、有限のものとすることができる。操作部の構造、運転者への配慮等の点から、操作範囲を有限とする場合、上記操作位置規制装置によりその操作範囲が決定される態様の操舵装置を構成することも可能である。本項に記載の態様は、操作範囲を有限とする場合において、上記操作位置規制装置とは別途に、操作範囲を規定するための手段を設けた態様である。本操作範囲規定装置は、いわば固定的なストッパ装置である(規定位置の調整は可能であるが、例えば走行中には変化させ得ないもの等を意味する)。つまり、本項に記載の態様の操舵装置は、操作部材に関する固定的なストッパ装置と、規制位置が可変のストッパ装置(いわゆるアクティブなストッパ装置)との2つのストッパ装置を有する操舵装置となる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態と、操作位置規制装置についてのいくつかの変形態様とを、図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、決して以下の実施形態等に限定されず、以下の実施形態等の他、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0052】
<操舵装置の全体構成>
図1に、実施形態の車両用操舵装置の全体構成を模式的に示す。本操舵装置は、操作部10と転舵部12とが機械的に分離された構造をなす操作部・転舵部分離型操舵装置であり、操作部10,転舵部12の他に、操作部10の操作に応じた車輪の転舵を行うための制御装置であるステアリング電子制御ユニット(ステアリングECU)14を含んで構成されている。
【0053】
操作部10は、操作部材としてのステアリングホイール20と、ステアリングホイール20の操作位置である操作角を検出するための操作角センサ22と、ステアリングホイール20に操作反力を与えるための操作反力付与装置24とを含んで構成されている。操作反力付与装置24は、電動モータである反力モータ26と、減速装置である減速機28とを備えて構成されており、反力モータ26の回転軸30が減速機28の入力軸32に接続されるとともに出力軸34がステアリングホイール20に接続されてており、反力モータ26の比較的小さな回転力によっても比較的大きな操作反力を付与可能な構造とされている。また、操作角センサ22は、ロータリーエンコーダを主体とするものであり、ステアリングホイール20の中立位置からの左右回転方向の操作角が検出可能とされている。操作反力付与装置24,操作角センサ22はよく知られたものであるため、これらの詳しい説明は省略する。なお、操作部10の構成は、上記のものに限定されず、本操舵装置には、既に公知の種々の構成の操作部を採用することができる。
【0054】
さらに、操作部10は、ステアリングホイール20の操作範囲を規定するための操作範囲規定装置である限界ストッパ装置40と、限界ストッパ装置40による規定範囲内においてステアリングホイール20の操作位置の変動を規制する(本実施形態では、操作角の変動を規制する意味)操作位置規制装置としての規制ストッパ装置50との、2つのストッパ装置を備えている。これらのストッパ装置40,50については、後に詳しく説明する。
【0055】
転舵部12は、転舵のためのアクチュエータとして機能して転舵ロッド60を車幅方向に移動させるロッド駆動装置62を備え、転舵ロッド60の両端のそれぞれがタイロッド64,ナックルアーム66を介して左右の転舵車輪68のそれぞれに接続されて構成されている。ロッド駆動装置62は、駆動源として転舵モータを有している。転舵モータは、ハウジング70の内部に周設されたコイルを含むステータと、磁石を有して転舵ロッド60を貫通させる概ね円筒状のロータとを含んで構成される。転舵ロッド60は、軸方向に移動可能にかつ回転不能にハウジング70に支持されており、その外周にボールねじが設けられたねじ部を有している。このねじ部にベアリングボールを介してボールナットが螺合されており、ロータがこのボールナットを回転させることで、転舵ロッド60が軸方向に動かされるのである。なお、ロータの回転角度はパルスロータおよび電磁ピックアップを主体とするモータ回転センサにより検出されており、その検出値に基づいてクローズドな回転制御が行われる。ロッド駆動装置62の構造は既によく知られたものであり、ここでの詳しい説明は省略する。
【0056】
ロッド駆動装置62によって転舵ロッド60が軸方向(左右方向)に移動されることによって、その移動位置に応じた転舵角(転舵位置を意味する)に、転舵車輪68が転舵される。ロッド駆動装置62には、転舵位置センサ72が設けられており、転舵ロッド60の移動位置は、転舵位置を示すものとして転舵位置センサ72によって取得される。また、ロッド駆動装置62には、転舵モータの負荷を取得すべく、転舵モータに流れる電流を検出する電流計74(電流計74はECU14側に設けてもよい)が設けられている。さらに、タイロッド64には、軸方向に作用する軸力を検出するための軸力センサが76が設けられている。電流計74によって検出される負荷電流および軸力センサ76によって測定されるタイロッド軸力は、転舵部12の負荷状態を示すパラメータとなる。なお、転舵部12の構成は、上記のものに限定されず、本操舵装置には、他の形式のアクチュエータ,センサ等を配備した既に公知の種々の構成の転舵部を採用することができる。
【0057】
本操舵装置は、コンピュータ100を主体とするステアリングECU14によって制御される。コンピュータ100は、CPU102,ROM104,RAM106,入出力インターフェース(I/O)108,それらをつなぐバス110等を含んで構成されている。入出力インターフェース108には、それぞれの駆動回路(ドライバ)112を介して、反力モータ26,後述する規制ストッパ装置50,ロッド駆動装置62等が接続されており、また、操作角センサ22,転舵位置センサ72,電流計74,軸力センサ76,車両の走行速度を取得すべく車輪の回転速度を検出するための車輪速センサ114等が接続されている。
【0058】
ステアリングECU14による制御は、以下のように行われる。運転者が操舵のためにステアリングホイール20を操作すれば、その操作角が操作角センサ22によって検出される。本操舵装置は、ステアリングホイールの操作角に基づいて転舵車輪68の転舵角が決定されるのであるが、その転舵角は車両の走行速度に応じても変化するようにされている(例えば、車速が大きい場合は、小さい場合と比較して転舵角を小さくするようにされている)。詳しく言えば、車輪速センサ114によって検出された車輪速と、上記検出された操作角とに基づいて、ROM104に記憶されているモデルに従って、転舵ロッド60の移動位置が決定される。そして、実際の転舵ロッド60の移動位置は、上記転舵位置センサ72によって検出されており、この検出された実際の移動位置と、上記決定された移動位置との偏差に基づいて、その偏差がなくなるようにロッド駆動装置62が制御されるのである。
【0059】
一方、操舵時において路面から転舵車輪68が受ける反力は、上記軸力センサ76によって検出されるタイロッド64の受ける軸力と、上記電流計74によって検出される転舵モータの負荷電流とに基づいて、ROM104に記憶されているモデルに従って決定される。この決定された反力に基づいて反力モータ26が制御され、路面から受ける反力に応じた操作反力がステアリングホイール20に付与される。
【0060】
<操作範囲規定装置>
本操舵装置の操作部10には、操作範囲規定装置として、上述したところの限界ストッパ装置40が、減速機28を挟んでステアリングホイール20の反対側に設けられている。図2に、限界ストッパ装置40の構造を示す。限界ストッパ装置40は、減速機28に固定して設けられたハウジング130を有しており、ハウジング130の一端部において出力軸34の一端部を回転可能に保持している。出力軸34はボールねじが設けられた雄ねじ部132を有し、雄ねじ部132には、ベアリングボールを有するボールナット134が螺合している。ハウジング130の内面には、所定の距離を隔てて2つの被当接部材136が固定的設けられており、これらの被当接部材136によって、ロッド138が固定的に支持されている。ボールナット134には挿通穴140が設けられており、この挿通穴140にロッド138が極僅かな隙間を有して挿通されている。
【0061】
ステアリングホイール20の回転により出力軸34が回転させられれば、ボールナット134はロッド138によって出力軸34まわりの回転を阻止されつつ、ステアリングホイール20の回転に応じて出力軸34の軸方向に移動させられる。そして、ステアリングホイール20の回転方向における一方向の操作角が設定された操作限界となる場合に、ボールナット134の一端面が一方の被当接部材136に当接するようにされており、それ以上の出力軸34の回転が阻止されることで、ステアリングホイール20のそれ以上の操作が阻止されることになる。また、逆方向において操作角が設定された操作限界となる場合には、ボールナット134の反対側の端面がもう一つの被当接部材136に当接するようにされており、逆方向にいてもステアリングホイール20それ以上の操作が阻止されることになる。このようにして、例えば、中立位置を中心とした双方向の操作範囲が規定されるのである。なお、限界ストッパ装置40は、ステアリングホイール20の操作範囲を走行中に変更できるものではなく、実際上、操作位置の規制位置が固定されたストッパ装置であるといえる。図示は省略しているが、被当接部材136の軸線方向の位置は調整可能であり、例えば、車両の出荷時,車両整備時等において、操作の限界位置を変更することは可能である。
【0062】
<操作位置規制装置の構成>
上記限界ストッパ装置40とは別のストッパ装置であるところの、操作位置規制装置としての規制ストッパ装置50について説明する。規制ストッパ装置50は、限界ストッパ装置40によって規定された操作範囲内における任意の位置において、ステアリングホイール20の操作位置の変動を規制するものである。規制ストッパ装置50は、反力モータ26を挟んで減速機28とは反対側に設けられている。詳しくは、反力モータ26とで操作角センサ22を挟む位置に設けられている。図3に、規制ストッパ装置50の構造を示す。なお、図3(a)は、装置全体を表す一部断面図であり、図3(b)は、内部を図3(a)におけるA−Aから見た図を示している。
【0063】
規制ストッパ装置50は、反力モータ26の回転軸30の回転を規制すべく、回転軸に同軸的に取り付けられた回転体(前記可動部材の一種である)としてのインナシャフト160の回転を規制する。規制ストッパ装置50は、装置本体としてのハウジング162と、インナシャフト160と同軸的に設けられてインナシャフト160の一部分を係止するための可動ストッパ164とを含んで構成されている。
【0064】
インナシャフト160は、概ね、有底円筒形状をなして回転軸30が嵌入される軸嵌入部166と、フランジ部168と、シャフト部170とに区分けできる。回転軸30は軸嵌入部166にトレランスリング172を介して嵌め入れらることで、通常は、インナシャフト160が回転軸30と一体的に回転する。トレランスリング172は、回転軸30とインナーシャフト160とを摩擦係合させるものであり、両者の間に所定の相対回転トルクが与えられた場合に、摩擦力に打ち勝って両者が相対回転させられる。本実施形態では、通常の操作力を超える大きな操作力がステアリングホイール20に与えられた場合に、その操作が可能とされている。
【0065】
可動ストッパ164は、外形が比較的長さの短い円柱状をなしている。図3(b)から解るように、可動ストッパ164の中心には、シャフト部170の外径より僅かに大きな内径のシャフト穴174が設けられ、可動ストッパ164は、このシャフト穴174にシャフト部170が挿通する状態で、軸方向に(本実施形態では、特に断りのない限り回転軸30の延びる方向をいう)移動可能に配置される。可動ストッパ160には、概ね扇形の断面を有して軸方向に貫通する係止穴176がシャフト穴174を挟んで対向する位置に2つ設けられている。また、シャフト部174のフランジ部168側には、係止穴176に係止される被係止部178が径方向に延びるように形成され、インナシャフト160に可動ストッパ164が組み合わされた状態において、被係止部178が係止穴176内に位置するようにされている。被係止部178と係止穴176とはインナシャフト160の回転方向において遊間180を有して嵌め合う状態とされており、インナシャフト160と可動ストッパ164との相対回転は、遊間180の分だけ許容されている。両者の一方向の相対回転が禁止される場合、被係止部178の一側面と係止穴176の一側面とが互いに当接する状態となり、また、逆方向の相対回転が禁止される場合、被係止部178の反対側の側面と係止穴176の反対側の側面とが互いに当接する状態となる。当接における衝撃の緩和等を目的として、係止穴176の両側面には、緩衝材182が設けられている。
【0066】
シャフト部170の外周部には、シャフト部170と同軸的に圧縮コイルスプリング190が配設されている。スプリング190は、シャフト部170の端部に付設された円盤状の止め具192によって一端が係り止められるとともに、他端がリング状のワッシャ194を介して可動ストッパ164に当接するようにされ、可動ストッパ164は、スプリング190によってフランジ部168に押さえ付けられている。
【0067】
ハウジング162は、その内部に、軸方向に直角にかつ円環状に形成された係止壁196を有している。係止壁196は、可動ストッパ164がフランジ部168に押さえ付けられた状態において、可動ストッパ164と一端面との間に隙間が存在する位置に形成されており、中心の穴にシャフト部170およびスプリング190を挿通させている。係止壁196の可動ストッパ164とは反対側の壁面には、電磁力発生デバイスである電磁石198が回転軸30の軸線を中心とする一円周上に等角度ピッチで複数設けられている。電磁石198を構成する電磁コイルに通電することにより、電磁力が発生し、可動ストッパ164は、スプリング190の付勢力に打ち勝って係止壁196に向かって引き付けられるように移動し、係止壁196に係止される。可動ストッパ164および係止壁196には、互いに係合するそれぞれの面に摩擦材200が設けられており、それら摩擦材200によって発生する摩擦力によって、可動ストッパ164のハウジング162に対する回転が禁止される。
【0068】
<操舵時における操作位置規制装置の動作>
通常の走行状態において、ステアリングホール20を操作した場合、ステアリングホイール20の回転は、反力モータ26の回転軸30の回転として伝達され、その回転軸30と連結されたインナシャフト160は、ステアリングホイール20の操作方向に応じた回転動作を行う。一方向に操作される場合、インナシャフト160の被係止部178は、その一側面が可動ストッパ164の係止穴176の一側面に当接した状態で、係止穴176に係止される。この状態を維持したまま、可動ストッパ164はインナシャフト160とともに回転する。逆方向に操作される場合は、被係止部178と係止穴176とは反対側の面に当接した状態となり、その状態を維持したまま、可動ストッパ164はインナシャフト160とともに逆方向に回転する。つまり、本実施形態では、操作部材の操作位置の変動が許容される状態において、係合部材である可動ストッパ164は、可動部材であるインナシャフト160とともに動作するのである。
【0069】
先に述べたように、本操舵装置は、車速に応じてステアリングホイール20の操作範囲を規制するように制御される。ステアリングECU14は、車輪速センサ114によって検出された車輪回転速度から車両速度を常時把握しており、その車両速度に基づく規制操作位置において、その操作位置の変動規制が行われる。ある車速においてステアリングホイール20を転舵輪68の転舵量が増大する方向に操作した場合、操作角センサ22によって検出された操作角が所定の操作角を超えようとするときに、ステアリングECU14は、要転舵規制状態であると判断し、その時点での操作角を超える操作が禁止されるのである。具体的には、その時点で、電磁石198が電磁力を発生させ、可動ストッパ164が軸方向に移動させられ、可動ストッパ164とハウジング162とが摩擦係合させられる。可動ストッパ164とハウジング162との間には比較的強い摩擦力が発生し、両者の相対回転が禁止されることにより、インナシャフト160の上記操作に応じた方向の回転が禁止され、その結果、ステアリングホイール20の操作角が増大する方向の操作が規制される。つまり、操作部材の操作位置の車輪の転舵量が増大する方向への位置変動が規制されるのである。
【0070】
また、本操舵装置は、転舵部12の負荷がある程度以上となる場合においても、ステアリングホイール20の操作が規制するように制御される。例えば、車輪が縁石等に当たっているような場合に、転舵部12にかかる負荷が大きくなり、転舵が容易ではないことを運転者に認識させるために、ステアリングホイール20の操作角の変動を規制する。ステアリングECU14は、ステアリングホイール20を操作した場合において、軸力センサ76によって検出されたタイロッド64に作用する軸力が所定の値を超えたとき、あるいは、電流計74によって検出された転舵モータの負荷電流が所定の値を超えたときに、要転舵規制状態であると判断して、その時点の操作角の上記操作方向の変動を規制する。具体的には、前記車速に応じた規制の場合と同様、電磁石198によって電磁力を発生させることによって行われる。なお、車速対応規制の場合と異なり、転舵量が増大する方向への操作位置の変動が規制されるだけでなく、状況に応じ、転舵量が減少する方向への操作位置の変動も規制される。すなわち、転舵部負荷対応規制の場合は、前記限界ストッパ装置40によって規定されているステアリングホイール20の全操作範囲内で、任意の操作位置において、任意の方向の操作が規制可能とされているのである。
【0071】
ステアリングホイール20の操作が規制状態にある場合は、上述したように、可動ストッパ164のハウジング162に対する回転が禁止されている。この状態から、ステアリングホイール20を戻す操作を行う場合を考える。インナーシャフト160と可動ストッパ164とが遊間180を有した係合とされているため、規制される方向と逆の方向への操作は、遊間180に応じた分だけ許容されている。したがって、戻し操作を行ってステアリングホイール20の操作角が変化した場合、ステアリングECU14は、操作角センサ22の検出値から戻し操作が行われた事実を認識し、電磁石198を構成する電磁コイルへの通電を遮断して規制状態を解除する。
【0072】
また、前述したように、トレランスリング172を介して、インナシャフト160と回転軸30とが連結されている。上述のようなステアリングホイール20の操作規制がされた状態であっても、大きな操作力がステアリングホイール20に与えられた場合には、インナシャフト160と回転軸30との相対回転が許容されることになる。
【0073】
以上の動作から、本操舵装置の構成についてまとめれば、操作位置規制装置としての規制ストッパ装置50は、可動部材としてのインナシャフト160の回転動作を規制するものであり、可動部材位置規制装置の一種であるといえる。その回転動作の規制のため、係合部材としての可動ストッパ164を、装置本体であるハウジング162とインナシャフト160との両者に同時に係合可能な構造とされている。ハウジング162と可動ストッパ164との係合部分が、前述の第1係合部に相当し、インナシャフト160と可動ストッパ164との係合部分が前述の第2係合部に相当するものとなっている。第1係合部は、摩擦係合であるとともに、その係合状態を変更して規制状態と非規制状態とを切替えている。つまり、規制ストッパ装置50は、電磁石198を主体とする係合状態変更装置を含んで構成されており、非規制状態では、第1係合部の係合を解除する機能を有している。また、第2係合部は、遊間180を有する当接係合であり、選択的に規制方向を切替えるとともに、規制された方向とは逆の方向の操作を許容するように作用する。つまり、第2係合部を含んで反対方向変動許容装置が構成されているのである。また、トレランスリング172を含んで、操作力対応変動許容装置が構成されているといえる。ステアリングECU14は、車両速度,転舵部12の負荷状態等の規制パラメータに基づいて要転舵規制状態を判断するとともに、要転舵規制状態に対応して規制ストッパ装置50を制御する規制装置制御部としての機能を有するものとされている。
【0074】
<操作位置規制装置の変形態様>
上記規制ストッパ装置50では、可動ストッパ164とハウジング162との係合状態を変更して規制状態と非規制状態とを切替えるとともに、可動ストッパ164とインナシャフト160との係合において規制の方向を切替えるように構成されている。この態様に代え、例えば、可動ストッパ164に相当する係合部材とインナシャフト160に相当する可動部材との係合状態を変更して、規制状態と非規制状態とを切替える態様とすることができる。また、上記規制ストッパ装置50では、可動ストッパ164とハウジング162とが摩擦係合されている。この摩擦係合による摩擦力を適当なものとすることにより、所定の操作力を超える操作が行われた場合に、その部分で摺動するようにし、その部分に前述の操作力対応変動許容装置としての機能を担わせることもできる。さらに、摩擦係合に代え、例えば、図4に示すように、可動ストッパ164とハウジング162との係合を、噛み合わせる態様の係合とすることができる。図4(a)および図4(b)は、可動ストッパ164とハウジング162の係止壁196とを軸方向から見た図である。先の実施形態において、両者の摩擦材200が設けられていた面に、図4(c)に図4(a)におけるB−B視として示すような、断面が山形に形成された条210、および、これに噛み合う溝212を、それぞれ等角度ピッチで放射状に形成させた態様の係合部である。本態様の係合部を採用すれば、規制時において、摩擦係合と比較して、よりしっかりとした係合状態を作り出すことができる。このように、上記規制ストッパ装置50は、種々の変形態様で実施することができる。
【0075】
図5に、操作位置規制装置として、上記規制ストッパ装置50とは別の態様の規制ストッパ装置の構造を示す。本規制ストッパ装置218は、上記規制ストッパ装置50と類似の構造をなしているため、同じ機能を行う部品,部材等は同じ名称および符号で表すとともに、以下の説明は、規制ストッパ装置50と異なる部分についてのみ説明する。
【0076】
規制ストッパ装置218では、インナシャフト160はシャフト部170が短くされ、被係止部178を超えない長さとされている。シャフト部170が短くされたことにより、ハウジング162も短くされ、係止壁196は、ハウジング162の端面とされており、その外側に、ハウジング162の一部をなして電磁石198を被うカバー220を有している。可動ストッパ164とインナシャフト160のフランジ部168との間には、断面が波型とされた円環状のスプリング222が介装されており、電磁石198が電磁力を発生させていない状態においては、可動ストッパ164は、比較的緩い力付勢されて係止壁196に係止されるようにされている。可動ストッパ164は、前記のものより大きな径を有するものとされており、図5(b)に示すように、断面が円弧形状をなす磁石224がシャフト穴を挟む位置に対向して設けられている。
【0077】
本規制ストッパ装置218では、電磁石198を構成する電磁コイルへの通電方向を切替えるように制御される。非規制状態では、電磁石198が磁石224との間に斥力が働く方向の電磁力を発生させることで、可動ストッパ164と係止壁196との係合が解除されるようにされており、摩擦部材200どうしが接触せず、摩擦力は発生しない。したがって、インナシャフト160の回転は規制されずに、ステアリングホイール20の操作位置の変動が許容される。これに対し、規制状態では、電磁石198が磁石224との間に引力が働く方向の電磁力を発生させて、可動ストッパ164と係止壁196とは強い力で押付け合いながら係合し、両者の間には大きな摩擦力が発生する。この状態においては、可動ストッパ164の回転は禁止され、前述の態様の場合と同様に、ステアリングホイール20の操作位置の変動が禁止されることになる。この態様によれば、例えば、操作部10への電力供給が遮断された場合にも、摩擦係合による摩擦力発生し、可動ストッパ164の回転が完全には阻止されない程度の規制を受ける。したがって、かかる場合にも運転者に操作感を与えることができる操作部10を構成できることから、本規制ストッパ装置218は、フェイルセーフの観点において望ましい態様となる。
【0078】
図6に、操作位置規制装置のさらに別の態様である規制ストッパ装置の構造を示す。図6に示す規制ストッパ装置240は、可動部材として、通常は回転軸30と一体的に回転する回転被規制板242を採用し、その回転被規制板242の回転動作を規制することにより、ステアリングホイール20の操作位置の変動を規制するものである。回転被規制板242は、円盤状をなす円盤部244と、円盤部と同軸的に設けられた軸嵌入部246とを有している。軸嵌入部246は、トレランスリング172を介して回転軸30を嵌入させている。装置本体となるハウジング248の外周部には、軸方向における円盤部244に相応する位置に、プランジャ装置250が設けられている。プランジャ装置250は、駆動源としての電磁力発生デバイスを備え、それの励磁状態においてプランジャピン252が前進し、消磁状態においてプランジャピン252が後退するようにされている。回転被規制板242の円盤部244の外周部には、複数の係止溝256が等角度ピッチで設けられ、プランジャピン252が前進した状態において、先端部がハウジング248を貫通して設けられたピン穴258から内部に突出し、係止溝256のいずれかに係合するようにされている。係合状態において、回転被規制板242の回転位置が規制されることにより、ステアリングホイール20の操作位置の変動が規制される。
【0079】
なお、プランジャピン252が係止溝256のない部分に前進した場合であっても、回転被規制板242が回転することにより、最寄の係止溝256に係合する。回転規制板242は、間欠的な位置でしか規制できないが、回転被規制板242の回転はステアリングホイールの1回転に対して数多く回転するようにされていることから、かかる態様であっても、ステアリングホイール20の操作範囲において任意の位置で規制するものとして扱うことができる。また、係止溝256の幅は、プランジャピン252の先端部の外径より幾分大きくされており、ガタを有して係合する状態となる。したがって、本規制ストッパ装置240も、一方向の回転が規制された状態においても、反対方向の狭範囲の回転が許容される構造とされ、規制ストッパ装置240は前記反対方向変動許容装置としての機能をも有しているのである。
【0080】
プランジャ装置250を利用した上記規制ストッパ装置240では、回転規制板242が可動部材となり、プランジャピン252が係合部材となる。そして、この両者の係合によって前述の第1係合部が構成され、その係合状態が変更されることで規制状態と非規制状態とが切替られる。すなわち、本態様の規制ストッパ装置240では、プランジャ装置250を含んで、前記係合状態変更装置が構成されており、また、前記可動部材位置規制装置が構成されているのである。なお、上記態様では、プランジャ装置250は、駆動源として電磁力発生デバイスを採用するソレノイド型のものとされているが、これに代え、例えば、電動モータを駆動源とし、ウォーム&ラック等のギヤ機構によってプランジャピン252を前進後退させる構造のものとしてもよい。かかる態様のものは、簡単な構成によって強い係止力を得ることができ、例えば、イグニッションスイッチをOFF状態にしたときに作用するステアリングロック装置としても利用することが可能である。
【0081】
プランジャ装置250を利用した規制ストッパ装置240の変形例を、図7に示す。図7に示すものは、プランジャ装置250によって、フック状の係止具260を、リンク機構を利用して作動させるものであり、係止具260の先端部が、上記同様、係止溝256のいずれかに係合して、可動部材である回転被規制板242の回転位置の変動を規制し、それにより、ステアリングホイール20の操作位置の変動が規制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用操舵装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】操作部に設けられた操作範囲規定装置としての限界ストッパ装置の構造を示す一部断面図である。
【図3】操作部に設けられた操作位置規制装置としての規制ストッパ装置の構造を示す一部断面図である。
【図4】図3に示す規制ストッパ装置において摩擦係合の代わりに採用可能な噛合係合に関する具体的構成を示す図である。
【図5】操作位置規制装置としての別の態様の規制ストッパ装置の構造を示す一部断面図である。
【図6】操作位置規制装置としての別の態様の規制ストッパ装置の構造を示す一部断面図である。
【図7】図6に示す規制ストッパ装置の変形例の構造を示す一部断面図である。
【符号の説明】
10:操作部 12:転舵部 14:ステアリング電子制御ユニット(規制装置制御部) 20:ステアリングホイール(操作部材) 22:操作角センサ 24:操作反力付与装置 26:反力モータ 28:減速機 30:回転軸 40:限界ストッパ装置(操作範囲規定装置) 50:規制ストッパ装置(操作位置規制装置;可動部材位置規制装置) 68:転舵車輪 72:転舵位置センサ74:電流計 76:軸力センサ 114:車輪速センサ 160:インナシャフト(可動部材) 162:ハウジング(装置本体) 164:可動ストッパ(係合部材) 172:トレランスリング(操作力対応変動許容装置) 176:係止穴 178:被係止部 180:遊間(反対方向変動許容装置) 182:緩衝材 196:係止壁 198:電磁石(電磁力発生デバイス) 200:摩擦材 218:規制ストッパ装置 224:磁石 240:規制ストッパ装置242:回転被規制板 250:プランジャ装置
Claims (12)
- 操舵のために運転者によって定まった操作方向における双方向に操作される操作部材を備える操作部と、
前記操作部材とは別の駆動源の駆動力によって、前記操作部材の操作位置に応じた転舵位置に車輪を転舵する転舵部と
を含む車両用操舵装置であって、
前記操作部が、前記操作部材の操作範囲内における任意の操作位置においてその操作位置の少なくとも車輪の転舵量が増大する方向への位置変動を規制する操作位置規制装置を含むことを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記操作位置規制装置が、前記操作部材の操作範囲内における任意の操作位置において、任意の方向への位置変動を規制するものである請求項1に記載の車両用操舵装置。
- 前記操作位置規制装置が、
前記操作部材の操作と連動して定まった動作方向における双方向に動作する可動部材と、
(a)装置本体と、(b)その装置本体と前記可動部材との一方と他方とに同時に係合可能な係合部材と、(c)前記可動部材の位置変動が規制される状態と規制されない状態とに切替えるべく、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合状態を変更する係合状態変更装置とを有し、前記操作部材の位置変動を規制すべくその可動部材の動作位置の変動を規制する可動部材位置規制装置と
を備える請求項1または請求項2に記載の車両用操舵装置。 - 前記係合状態変更装置が、電磁力発生デバイスを有し、その電磁力発生デバイスによって発生する電磁力で前記係合部材を移動させて前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合状態を変更するものである請求項3に記載の車両用操舵装置。
- 前記係合部材に磁石が設けられるとともに、前記係合状態変更装置が、その係合部材を前記電磁力発生デバイスが発生する電磁力の方向を切替えることによって移動させるものであり、かつ、前記可動部材の位置変動が規制されない状態において前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材との係合を解除するものである請求項4に記載の車両用操舵装置。
- 前記可動部材位置規制装置が、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材とを摩擦係合させるために両者の間に介装された摩擦材を有し、その摩擦材によって発生する摩擦力で、前記可動部材の位置変動が規制される状態を実現させるものであり、かつ、前記係合状態変更装置が、前記電磁力発生デバイスが電磁力を発生させていない場合において、前記可動部材の位置変動が規制される状態で発生する摩擦力より小さな摩擦力を発生させて、前記装置本体と可動部材との一方と前記係合部材とを係合させるものである請求項4に記載の車両用操舵装置。
- 前記可動部材位置規制装置が、前記装置本体と可動部材との他方と前記係合部材とを、前記可動部材の動作方向において遊間を存在させた状態で、かつ、それらの前記動作方向における一方向の相対動作を禁止すべくそれらの一部分どうしが当接可能であるとともに、その方向とは逆の方向の相対動作を禁止すべくそれらの前記一部分どうしとは別の一部分どうしを当接可能である状態で係合させることで、それらの前記遊間に応じた量の相対動作を許容するものである請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の車両用操舵装置。
- 前記操作部が、モータとそのモータの回転を減速して伝達する減速装置とを備えて前記操作部材にそれの操作に抗う操作反力を付与する反力付与装置を含むものであり、前記可動部材が、前記操作部材の動作に連動して回転動作するとともに前記モータと前記減速装置との間あるいはモータの減速装置とは反対側に設けられて前記モータの回転によって回転動作する回転体であり、前記可動部材位置規制装置が、その回転体の回転動作位置を規制するものである請求項3ないし請求項7のいずれかに記載の車両用操舵装置。
- 前記操作部が、前記操作部材の操作位置の位置変動が規制された状態において、前記操作部材に与えられる規制された方向への操作力が設定された大きさの設定操作力以上となる場合に、その操作位置のその方向への位置変動を許容する操作力対応変動許容装置を備える請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の車両用操舵装置。
- 前記操作位置規制装置が、前記操作部材の操作位置の規制された方向とは反対方向への少なくとも狭範囲の位置変動を許容する反対方向変動許容装置を備える請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の車両用操舵装置。
- 当該操舵装置が、前記転舵部が転舵規制を必要とする要転舵規制状態である場合に前記操作部材の操作位置の変動を規制すべく、前記操作位置規制装置を制御する規制装置制御部を備える請求項1ないし請求項10に記載の車両用操舵装置。
- 前記操作部が、前記操作部材の前記操作範囲を定める操作範囲規定装置を備える請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の車両用操舵装置。
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