JP2004336123A - 半導体集積回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】ランダムロジックに設けられるようなフリップフロップ回路を、半導体素子が微細化されても耐α線強度を保証でき、且つ、少ない素子数および最少の論理段数で形成可能な半導体集積回路技術を提供する。
【解決手段】3個以上のフリップフロップFF1,FF2…と、これらに保持された論理のうち過半数を占める値に応じた信号を出力する多数決回路MJRとからなるα線保証フリップフロップ回路100であって、フリップフロップFF1,FF2…に含まれるラッチ回路19,20を少なくとも1個が小さな駆動力を有する2個のインバータ回路INV2,INV3を互いに一方の入力端子を他方の入力端子に接続してなる構成とするとともに、多数決回路MJRをしきい値電圧が電源電圧の1/2近傍に設定したインバータ回路INV20により構成し、フリップフロップFF1,FF2…の出力に基づく信号が合成された電圧に応じて論理信号を出力させる構成とした。
【選択図】 図9
【解決手段】3個以上のフリップフロップFF1,FF2…と、これらに保持された論理のうち過半数を占める値に応じた信号を出力する多数決回路MJRとからなるα線保証フリップフロップ回路100であって、フリップフロップFF1,FF2…に含まれるラッチ回路19,20を少なくとも1個が小さな駆動力を有する2個のインバータ回路INV2,INV3を互いに一方の入力端子を他方の入力端子に接続してなる構成とするとともに、多数決回路MJRをしきい値電圧が電源電圧の1/2近傍に設定したインバータ回路INV20により構成し、フリップフロップFF1,FF2…の出力に基づく信号が合成された電圧に応じて論理信号を出力させる構成とした。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体集積回路におけるα線対策技術に関し、特にランダムロジックに設けられるようなフリップフロップ回路の耐α線強度を高くする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路、特に論理集積回路においては、データもしくは信号のレベルを一時的に保持する回路としてフリップフロップ型のラッチ回路がよく使用される。
【0003】
ところで、半導体集積回路においては、素子の微細化に伴ないフリップフロップ回路内に蓄積する電荷量が小さくなるため、α線により発生した電荷による電位の反転を起こし易くなる。特にフリップフロップ回路は、半導体集積回路内に数多く使用されるとともに構成素子数も多いので最も小さな素子で構成されることが多い。また、一度反転すると、次に正常な値が取り込まれるまで誤った値が出力され続けるため、影響も大きい。そのため、一層α線による誤動作が起き易い。そこで、従来かかるα線に対する対策として、フリップフロップ回路の内部ノードに積極的に容量を付けたり、わざと寄生容量を増加するなどの技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、入力端子を共通にした3個以上のフリップフロップと、これらに保持された論理のうち過半数を占める論理に応じてハイレベル又はロウレベルの信号を出力する多数決論理回路とを備えたα線保証フリップフロップ回路についても提案されている(例えば特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−199996号公報
【特許文献2】
特開2002−185309号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
半導体集積回路は半導体素子(以下、単に素子ともいう)のサイズと動作周波数がほぼ反比例の関係にあり、動作周波数の増加による消費電力の増加を抑えるため、フリップフロップ回路は半導体素子の微細化に比例して内部ノードの寄生容量も減少するように設計されることが多い。一方、α線がフリップフロップ回路内を通過することにより発生する電荷量は素子の微細化に伴い減少するが、その減少量は素子の微細化による内部ノードの寄生容量の減少量よりも小さい。
【0007】
そのため、内部ノードに容量を付けるというα線対策では、素子の微細化が進むにつれてフリップフロップ回路内に相対的に大きな容量が必要となり、動作速度や消費電力、占有面積が犠牲になる。また、フリップフロップ回路を構成する素子のサイズを変えたり、あるいは使用する電源電圧の値を変えるたびに、フリップフロップ回路の内部ノードに付けるべき容量の大きさを見積もりし直さなければならず、設計負担が大きくなるという問題点があることが明らかとなった。
【0008】
さらに、CMOS−LSIなどではスタンバイ電流を減らすためにしきい値の高いMOSトランジスタを使用して論理回路を構成することがあるが、MOSトランジスタのしきい値を高くすると駆動力が低下してオン抵抗が大きくなり、α線により電位が変化したノードの電位が元にもどりにくくなり、戻る前に次段の論理ゲートが応答して誤動作を起こしやすくなるという不具合がある。また、LSIは低電源電圧化が進んでいるが、電源電圧が低下してMOSトランジスタの駆動力が低下した場合や内部ノードの蓄積電荷量が減少した場合も同様に誤動作を起こしやすくなる。
【0009】
また、特許文献2のデータ保持回路では、そのフリップフロップの構成や多数決論理回路の構成にトランジスタ個数の削減や論理段数の低減を図る余地があると考えられた。
【0010】
この発明の目的は、ランダムロジックに設けられるようなフリップフロップ回路を、半導体素子が微細化されても耐α線強度を保証でき、且つ、少ない素子数および最少の論理段数で形成可能な半導体集積回路技術を提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、3個以上のフリップフロップと、これらに保持された論理のうち過半数を占める値に応じた信号を出力する多数決回路とからなるデータ保持回路であって、上記フリップフロップに含まれるラッチ回路を少なくとも1個が小さな駆動力を有する2個のインバータ回路を互いに一方の出力端子を他方の入力端子に接続させてなる構成とするとともに、多数決回路を例えばしきい値電圧が電源電圧の1/2近傍に設定されたインバータ回路などにより構成し、複数のフリップフロップの出力が合成された電圧に応じて論理信号を出力させる構成としたものである。
【0012】
このような手段によれば、複数のフリップフロップと多数決回路により正しいラッチデータを再現できるため、素子サイズが小さくなっても見かけ上高い耐α線強度が得られるとともに、フリップフロップのラッチや多数決回路の工夫された構成によりさらに全体の素子数やセル面積の低減および論理段数の削減を図ることが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したα線保証フリップフロップ回路の基本構成を示す図である。
本実施例のα線保証フリップフロップ回路(データ保持回路)10は、データ入力端子Dが結合された3個以上のフリップフロップFF1,FF2…と、これらのフリップフロップFF1,FF2…の出力を受けてこれらのフリップフロップFF1,FF2…の保持データのうち過半数を占める値に応じた論理出力を行う多数決回路MJRとから構成され、例えばα線入射により何れかのフリップフロップFF1,FF2…の保持データが反転したとしても多数決回路MJRによりα線による信号の変化が無視されて正常な出力が得られるものである。
このα線保証フリップフロップ回路10は、例えばクロック同期型のフリップフロップとして動作するもので、個々のフリップフロップFF1,FF2…はクロック端子が結合されて共通のクロック信号CKが供給されるようになっている。
【0014】
図2と図3には、複数のフリップフロップFF1〜FF3に含まれるラッチ部の回路図の一例を示す。
複数のフリップフロップFF1,FF2…には1段又は複数段のラッチ部がそれぞれ含まれるが、このラッチ部は、図2に示されるように、第1のインバータINV2と駆動力の小さな第2のインバータINV3とを、互いに一方の入力端子を他方の出力端子に接続してなるラッチ20、ならびに、このラッチ20に入力信号を入力又は遮断するゲート回路としての伝送ゲートTGとから構成される。
【0015】
駆動力の小さいインバータINV3は、ラッチ20の入力側に出力端子が接続され、前段の回路(例えばインバータINV1)と比較してその駆動力が小さく(例えば10〜30%)形成されている。それにより、保持データと逆相の信号が入力された場合でもラッチ20の状態を速やかに反転させることが出来る。
【0016】
図4にはフリップフロップFF1,FF2…に内蔵されるラッチの回路構成例を示す。
例えば、回路のセル面積の低減を図るため、前段の回路(インバータINV1)を半導体プロセスに従った通常の駆動力に構成した場合には、小さいインバータINV3は後述の方法により通常のインバータの10〜30%の駆動力に形成される。ラッチ20を構成するもう一方のインバータINV2は後段の回路を駆動することを考慮すれば通常の駆動力に構成される。
【0017】
0.18μmプロセスの場合には、拡散層に配線を所定本(例えば5本)接続可能な大きさのMOSトランジスタ(すなわちゲート幅が1.8μm程度)が通常のMOSトランジスタの大きさとして設定されるので、図4に示すように、ラッチ20を構成する通常の駆動力のインバータINV2はゲート幅が1.8μmのNチャネルMOSトランジスタQ1および同一ゲート幅のPチャネルMOSトランジスタQ2とを電源電圧間に直列に接続した構成となる。
【0018】
このような場合、駆動力の小さいインバータINV3は、拡散層に接続可能な配線本数を少なくすることで構成素子のゲート幅を通常の半分以下(例えば0.6μmや0.3μm)にするとともに、2個のPチャネルMOSトランジスタQ3,Q4と2個のNチャネルMOSトランジスタQ5,Q6とを電源電圧間に直列に接続することで所望の駆動力のものを構成することが出来る。MOSトランジスタQ3〜Q6の各ゲート電極は結合して入力端子とし、中間のPチャネルMOSトランジスタQ4とNチャネルMOSトランジスタQ5との接続ノードを出力端子としてインバータINV3を構成する。
【0019】
ラッチ部に備わるゲート回路は、図2に示したようなMOSトランジスタのチャネル間に信号を伝送するタイプのものに限られず、図3に示すようにクロック信号CK等により電源電圧Vcc,GNDを供給又は遮断することでインバータ回路をアクティブ又はハイインピーダンスにするクロックドインバータINV10を用いることも出来る。
【0020】
図5には、図1の多数決回路MJRをNANDゲートからなる組合せ論理回路で構成した一例を示す。
図5の多数決回路MJRは、複数のフリップフロップFF1,FF2…が3個の場合には、例えば各フリップフロップFF1,FF2,FF3の出力を受ける3個の2入力NAND回路G1,G2,G3と、これらのNAND回路の出力を受ける3入力NAND回路G4とにより構成することが出来る。
【0021】
このような多数決回路MJRによれば、3個のフリップフロップFF1〜FF3の出力のうち過半数を占める論理の値に応じた論理出力を行うことが出来る。また、2入力や3入力のNAND回路G1〜G3,G4はともに論理段数が1段で構成可能であるので、この多数決回路MJRの信号遅延は論理段数で2段分となり信号遅延を小さくすることが出来る。ただし、1段の論理段数で構成した3入力NAND回路G4はロウレベルの出力が弱いという特性があるため、この特性を回避するためには、この多数決回路MJRの後段にインバータを2段設けるなどする必要がある。
【0022】
図6には、図1の多数決回路MJRを入力電位に応じて論理動作するインバータ回路で構成した一例のα線保証フリップフロップ回路の後段部分の回路図を示す。同図において、クロックドインバータINV10とラッチ20とは図1のフリップフロップFF1〜FF3の後段部分を示している。
この実施例の多数決回路MJRは、個々のフリップフロップFF1〜FF3の各々の出力を受ける3個のインバータINV21〜INV23と、これらインバータINV21〜INV23の出力を合成した電圧を受けて論理出力を行うインバータINV20とから構成される。
【0023】
3個のインバータINV21〜INV23は電源電圧Vcc側に接続されるMOSトランジスタのオン抵抗とグランドGND側に接続されるMOSトランジスタのオン抵抗とが同一になるように形成され、また、後段のインバータINV20はしきい値電圧Vthが電源電圧Vcc,GNDの1/2の電位になるように形成されている。
【0024】
このような構成によれば、3個のインバータINV21〜INV23は前段のラッチ20の保持データに応じて電源電圧Vcc側かグランドGND側のMOSトランジスタがオンされてその電位を出力するが、α線入射により前段のラッチ20のうち1つの保持データが反転していた場合には、このラッチ20に対応するインバータだけ逆側のMOSトランジスタがオンされることになる。図6の例では、最上段のラッチ20でα線エラーが発生し、最上段のインバータINV21だけ電源電圧Vcc側がオンされた状態を示している。
【0025】
その結果、複数のインバータINV21〜INV23の出力ノードN1では、電源電圧VccからグランドGNDに貫通電流が流れることになるが、出力ノードN1の電位は電源電圧の1/2の電位よりもオンされているMOSトランジスタが多い側に片寄った電位となる。そして、この電位に応じてインバータINV20の出力が決まるので、誤動作したラッチ20の信号が無視されてインバータINV20から正しい論理信号が出力されることになる。
【0026】
なお、図6の多数決回路MJRにおいて、3個のインバータINV21〜INV23を構成するPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタのオン抵抗を例えば抵抗比で2:1などと異ならせた場合でも、後段のインバータINV20のしきい値電圧Vthをそれに合わせて電源電圧Vcc側またはグランド電位側に片寄らせて設定することで、α線誤動作により複数のインバータINV21〜INV23のうち1個だけが逆の状態になった場合でも、その信号を無視して正しい論理信号が出力されるように構成することが出来る。
【0027】
図7は、図1の多数決回路MJRを入力電位に応じて論理動作するインバータ回路で構成した場合の第1の変形例を示す回路図である。同図において、クロックドインバータINV10とラッチ20とは図1のフリップフロップFF1の後段部分を示している。
この第1変形例の多数決回路MJRは、図6の多数決回路MJRから前段のインバータINV21〜INV23を省略するとともに、個々のフリップフロップFF1,FF2…の出力を結合ノードN2で短絡させて、そこで合成された信号を1個のインバータINV25で受けて論理信号を出力するように構成したものである。
【0028】
この変形例では、各ラッチ20の出力信号を生成するインバータINV2は電源電圧Vcc側に接続されたMOSトランジスタのオン抵抗とグランドGND側に接続されたMOSトランジスタのオン抵抗とがほぼ等しくなるように形成され、多数決回路MJRを構成するインバータINV25、および各ラッチ20を構成する小さい駆動力のインバータINV2はしきい値電圧Vthが電源電圧の1/2の電位になるように形成されている。
【0029】
このような構成によれば、正常時には複数のラッチ20から同一レベルの信号が出力されているが、例えば駆動力の小さな1個のインバータINV3にα線が入射してそのラッチ20の入力側の信号レベルをハイレベルからロウレベル側へ、或いはその逆に変化させてしまった場合、それに伴い当該ラッチ20のもう一方のインバータINV2の状態も反転されるが、このインバータINV2の出力端子は結合ノードN2において他の正常なラッチ20のインバータINV2の出力端子と結合されているため、図6に示した3個のインバータINV21〜INV23と同様に、結合ノードN2の電位は電源電圧の1/2よりも誤動作のないときの出力レベル側に変位された電位となる。
したがって、インバータINV25では誤動作が無い場合と同様に動作し、誤動作したラッチ20の信号が無視されて正しい論理信号が出力されることになる。
【0030】
さらに、ラッチ20を構成する小さな駆動力のインバータINV3もしきい値電圧Vthが電源電圧の1/2に設定されているため、α線入射により誤動作したインバータINV3もこの結合ノードN2の信号を受けて正常な出力に戻される。また、他の正常なインバータINV3…も結合ノードN2の信号により反転することはないので正常な出力のまま保たれる。
【0031】
このような構成の多数決回路MJRによれば、インバータINV3へのα線入射による誤動作を無視して正常な出力が得られるとともに、図6の多数決回路MJRよりも論理段数を1段少なくして、その分、信号遅延を小さくすることが出来る。
【0032】
なお、図7の構成においても、ラッチ20を構成する通常の駆動力のインバータINV2の電源電圧側に接続される場合のオン抵抗とグランド側に接続された場合のオン抵抗とを例えば抵抗比で2:1などと異ならせた場合でも、それに応じてインバータINV25や駆動力の小さなインバータINV3…のしきい値電圧Vthを電源電圧Vcc側またはグランド側に変位させることで、上述した通りの動作を行わせることが出来る。
【0033】
図8は、図1の多数決回路MJRを入力電位に応じて論理動作するインバータ回路で構成した場合の第2の変形例を示す回路図である。
この第2変形例は、図7の実施例とほぼ同様の構成であるが、ラッチ20の出力信号を形成するインバータINV2Aのサイズを大きくすることでこのインバータINV2Aにα線が入射した場合の誤動作も防ぐようにしたものである。
【0034】
図7の実施例では、ラッチ20を構成する通常の駆動力のインバータINV2にα線が入射した場合、α線によりインバータINV2の出力端子に放出される電荷の量が多いと、結合ノードN2の電位が正常なレベルから電源電圧の1/2を超えてしまい、それにより多数決回路MJRのインバータINV25や複数のラッチ20を反転させてしまうことが考えられる。
【0035】
そこで、図8の実施例では、上記のような誤動作が生じないように、ラッチ20を構成する一方のインバータINV2A(出力端子がラッチ20の出力側に接続されるインバータ)を、ゲート幅を大きくしたり或いは複数のインバータを並列に接続して構成するなどして、そのドレイン端子やソース端子の寄生容量C1を大きく形成している。それにより、α線入射によりラッチ20の出力側に多くの電荷が放出された場合でも、それによる結合ノードN2の電位の変化が小さくされて誤動作が生じないようになっている。
【0036】
なお、図8の例では、半導体プロセスの微細化に伴ってMOSトランジスタを小さなサイズに形成できるようになっても、インバータINV2Aの部分のサイズだけは一定以上の大きさにする必要があるため、この部分については小型化を図ることが出来なくなるが、その他の部分についてはα線保証のためにトランジスタのサイズを犠牲にする必要がないので、α線保証フリップフロップ回路10の全体としてはセル面積の小型化を図ることが出来る。
【0037】
図9は、本発明を適用してα線保証したD型フリップフロップ回路の実施例を示す回路図である。
このα線保証D型フリップフロップ回路100は、入力端子Dとクロック端子を共通にした3個のD型フリップフロップFF1〜FF3と、α線入射による誤動作を無視するための多数決回路MJRとから構成されるものである。
【0038】
個々のD型フリップフロップFF1〜FF3は、マスタラッチ19およびスレーブラッチ20と、入力信号の取り込みを行うクロックドインバータINV10、および、スレーブラッチ20へデータを取り込む伝送ゲートTGとから構成される。各ラッチ19,20を構成するインバータINV2,INV3のうち、出力端子がラッチ19,20の入力側に接続されるインバータINV3は駆動力が小さく形成されている。また、クロックドインバータINV10と伝送ゲートTGにはクロック信号CK,/CKが供給され、クロックドインバータINV10はクロック信号CKのハイレベルの期間に開いて信号を取り込む一方、伝送ゲートTGはクロック信号CKのロウレベルの期間に開いて信号を取り込むようになっている。
【0039】
多数決回路MJRは図6に示したものと同一である。
このような構成によれば、全体として通常のD型フリップフロップと同様の動作が得られるとともに、個々のフリップフロップFF1〜FF3のラッチ19,20のうちα線入射により何れかの保持データが反転された場合でも、多数決回路MJRによりその誤動作が無視されて正常な出力を得ることが出来る。また、このような作用を得るためにMOSトランジスタを一定の大きさに形成しなければいけないと云った制限がないため、半導体プロセスの微細化が進んでトランジスタサイズが小さくなれば小さくなるほど、回路のセル面積を小さくすることが出来る。また、クロック信号CKの立ち上がりから信号出力までの信号遅延に係る論理段数は2段でありそれによるオーバーヘッドも少なくできるという利点がある。
【0040】
図10は、本発明を適用してα線保証したデータラッチ回路の実施例を示す回路図である。
このα線保証のデータラッチ回路は101、1ビットの入力信号をクロック信号CKに同期して取り込んで出力する1段の同期型ラッチからなるフリップフロップFF1〜FF3と、α線入射によるエラー信号を無視するための多数決回路MJRとから構成される。
【0041】
個々のフリップフロップFF1〜FF3は入力端子Dとクロック端子とが共通にされ、各々の出力は多数決回路MJRに送られるようになっている。多数決回路MJRは図6に示したものと同一である。
【0042】
このような構成によれば、全体として1段の同期型ラッチの動作が得られるとともに、個々のフリップフロップFF1〜FF3のラッチ20のうちα線入射により何れかの保持データが反転された場合でも、多数決回路MJRによりその誤動作が無視されて正常な出力を得ることが出来る。また、図9の場合と同様に、半導体プロセスの微細化に伴って同様の比率で回路のセル面積を小さくすることができ、さらに、信号遅延を小さくすることが出来る。
【0043】
図11は、本発明を適用してα線保証したスキャンテスト診断機能付きのD型フリップフロップ回路の実施例を示す回路図である。
この実施例のα線保証D型フリップフロップ回路102は、図9の回路にスキャンテスト診断機能を付加したものであり、図9の回路に加えて、スキャンテスト用の信号パスを形成するスキャンテストデータ入力端子SIDおよびスキャンテストデータ出力端子SODと、通常モードとスキャンテストモードの信号パスを入力側で切り換えるためのクロックドインバータINV34,INV35と、この信号パスの切換えを行うスキャンテストイネーブル信号SENの入力端子と、スキャンテストモードに出力端子SODからデータ出力を行うインバータINV40等が設けられている。
【0044】
インバータINV40はデータ出力端子Q側のインバータINV20と同様のしきい値を有するように形成されている。また、入力データはクロックドインバータINV34,INV35を介して取り込まれるため、個々のフリップフロップFF1〜FF3の前段のゲート回路としては伝送ゲートTG1が用いられている。
【0045】
このような構成のα線保証D型フリップフロップ回路102によれば、通常モードにおいてデータ入力端子Dから出力端子Qの信号パスが選択されて該信号パスに沿ってα線保証のされたデータが送られる一方、スキャンテストモードではスキャンテストデータ入力端子SIDから出力端子SIDの信号パスが選択されて該信号パスにスキャンテスト用のデータが送られようになっている。スキャンテスト用のデータ入力端子SIDとデータ出力端子SIDとはデバイスの通常論理と異なるスキャンテスト用の論理パスに接続されており、この論理パスにテストデータを流して伝送後の出力データを観察することでデバイス内の個々の回路のスキャンテストを行うことが出来る。
【0046】
以下、従来のα線保証フリップフロップ回路と本発明に係るα線保証フリップフロップ回路のセルサイズの関係を表わした図12のグラフを参照しながら、本発明に係るα線保証フリップフロップ回路のセルサイズについて定性的に説明する。
【0047】
図12において、グラフの横軸は配線幅で表わしたプロセス世代を、縦軸はフリップフロップ回路(D型フリップフロップやデータラッチなど)が形成されるセルサイズを、点線Aはα線対策のない従来のフリップフロップ回路の推移線を、実線Bはラッチを構成するMOSトランジスタの寄生容量を大きくすることでα線対策を施した従来のα線保証フリップフロップ回路の推移線を、実線Cは本発明に係るα線保証フリップフロップ回路の推移線を、それぞれ示している。
【0048】
半導体プロセスの微細化が進むにつれてMOSトランジスタは小さく形成できるため、点線Aに示すように、α線対策を施していないフリップフロップ回路のセル面積もMOSトランジスタの大きさに比例して小さくすることが出来る。
【0049】
ラッチの寄生容量を大きくすることでα線対策を施す場合、この寄生容量はα線入射に伴う電荷放出量に対して一定の寄生容量を付加することが必要なため、半導体プロセスの微細化が進んでMOSトランジスタを小さく形成できるようになった場合でも、ラッチ部を構成するMOSトランジスタは一定以上の大きさ、或いは一定個数以上設けて一定の寄生容量が付加されるようにする必要がある。そのため、実線Bに示すように、このようなα線保証フリップフロップ回路では、半導体プロセスの微細化が進んでも回路のセルサイズは飽和して一定以下に小さくすることは出来ない。
【0050】
一方、本発明に係るα線保証フリップフロップ回路100〜103の場合には、内部に複数のフリップフロップFF1〜FF3や多数決回路MJRを設けるなどMOSトランジスタの個数が多い分、α線対策を施していないフリップフロップ回路に比べてセルサイズは大きくなる。しかしながら、α線保証のために各MOSトランジスタのサイズに制約ないため、MOSトランジスタのサイズが小さくなるにつれて回路のセルサイズも小さくすることが出来る。そのため、半導体プロセスの微細化が進んで素子サイズが小さくなればなるほど、本発明に係るフリップフロップ回路のセルサイズは小型化することが出来る。従って、プロセスの微細化が進めば、従来のα線保証フリップフロップ回路よりもセルサイズを小さくすることが出来る。
【0051】
なお、本発明に係るα線保証フリップフロップ回路の多数決回路MJRとして、図8のパターンを採用した場合には、ラッチ20の部分に実線Bで示したものと同様の状況が生じてしまうため、この部分の占有面積は大きくなってしまうが、マスタ・スレーブ方式のフリップフロップ回路であればマスターラッチの部分は実線Cのように小型化を図ることができるので、全体としては、半導体プロセスの微細化に伴って従来のα線保証フリップフロップ回路よりも小型化を図ることが出来る。
【0052】
また、複数のフリップフロップ回路と多数決論理回路とを備えた従来のα線保証フリップフロップ回路においては、実線Cに示されるように、半導体プロセスの微細化に伴って回路のセルサイズも小さくしていくことが出来るが、本発明に係るフリップフロップ回路の方が必要なMOSトランジスタの個数を減らして小型化が図れ、必要な論理段数も減らして信号遅延を小さくできるという効果が得られる。
【0053】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、実施例のα線保証フリップフロップ回路100〜103では、多数決回路MJRとして図6の回路が適用されているが、図7や図8の多数決回路を適用することも出来る。また、駆動力の弱いインバータINV3として図4の構成を例示したが、単純にMOSトランジスタのゲート幅を小さくして駆動力を小さくしたり、その他、種々の公知技術を利用して駆動力が小さくなるように構成しても良い。
【0054】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるDフリップフロップ回路やデータラッチ回路に適用した例について説明したがこの発明はそれに限定されるものでなく、半導体集積回路に搭載される種々のフリップフロップ回路に広く利用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、フリップフロップ回路のα線保証を図ることが出来るとともに、半導体プロセスの微細化に伴ってMOSトランジスタのサイズに比例して回路のセルサイズの小型化が図れ、さらに、複数のフリップフロップ回路と多数決論理回路とを備えた従来のα線保証フリップフロップ回路と比較しても、トランジスタの個数が削減され、回路の論理段数が減って信号遅延を小さくすることが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したα線保証フリップフロップ回路の基本構成を示す図である。
【図2】図1のフリップフロップに含まれるラッチの一例を示す回路図である。
【図3】図1のフリップフロップに含まれるラッチの一例を示す回路図である。
【図4】図2と図3のラッチのトランジスタ構成を示す回路図である。
【図5】図1の多数決回路を組合せ論理ゲートで構成した一例を示す回路図である。
【図6】図1の多数決回路を入力電位に応じて論理動作する回路で構成したα線保証フリップフロップ回路の後段の部分を示す回路図である。
【図7】図1の多数決回路を入力電位に応じて論理動作する回路で構成した第1変形例を示す回路図である。
【図8】図1の多数決回路を入力電位に応じて論理動作する回路で構成した第2変形例を示す回路図である。
【図9】本発明を適用してα線保証したD型フリップフロップ回路の一実施例を示す回路図である。
【図10】本発明を適用してα線保証したデータラッチ回路の一実施例を示す回路図である。
【図11】本発明を適用してα線保証したスキャンテスト診断機能付きのD型フリップフロップ回路の一実施例を示す回路図である。
【図12】従来のα線保証フリップフロップ回路と本実施例のフリップフロップ回路のセルサイズの関係を表わしたグラフである。
【符号の説明】
10 α線保証フリップフロップ回路
100,102 α線保証Dフリップフロップ回路
101 α線保証データラッチ回路
19,20 ラッチ
FF1,FF2… フリップフロップ
INV2,INV3 インバータ
INV10 クロックドインバータ
MJR 多数決回路
TG 伝送ゲート
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体集積回路におけるα線対策技術に関し、特にランダムロジックに設けられるようなフリップフロップ回路の耐α線強度を高くする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路、特に論理集積回路においては、データもしくは信号のレベルを一時的に保持する回路としてフリップフロップ型のラッチ回路がよく使用される。
【0003】
ところで、半導体集積回路においては、素子の微細化に伴ないフリップフロップ回路内に蓄積する電荷量が小さくなるため、α線により発生した電荷による電位の反転を起こし易くなる。特にフリップフロップ回路は、半導体集積回路内に数多く使用されるとともに構成素子数も多いので最も小さな素子で構成されることが多い。また、一度反転すると、次に正常な値が取り込まれるまで誤った値が出力され続けるため、影響も大きい。そのため、一層α線による誤動作が起き易い。そこで、従来かかるα線に対する対策として、フリップフロップ回路の内部ノードに積極的に容量を付けたり、わざと寄生容量を増加するなどの技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、入力端子を共通にした3個以上のフリップフロップと、これらに保持された論理のうち過半数を占める論理に応じてハイレベル又はロウレベルの信号を出力する多数決論理回路とを備えたα線保証フリップフロップ回路についても提案されている(例えば特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−199996号公報
【特許文献2】
特開2002−185309号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
半導体集積回路は半導体素子(以下、単に素子ともいう)のサイズと動作周波数がほぼ反比例の関係にあり、動作周波数の増加による消費電力の増加を抑えるため、フリップフロップ回路は半導体素子の微細化に比例して内部ノードの寄生容量も減少するように設計されることが多い。一方、α線がフリップフロップ回路内を通過することにより発生する電荷量は素子の微細化に伴い減少するが、その減少量は素子の微細化による内部ノードの寄生容量の減少量よりも小さい。
【0007】
そのため、内部ノードに容量を付けるというα線対策では、素子の微細化が進むにつれてフリップフロップ回路内に相対的に大きな容量が必要となり、動作速度や消費電力、占有面積が犠牲になる。また、フリップフロップ回路を構成する素子のサイズを変えたり、あるいは使用する電源電圧の値を変えるたびに、フリップフロップ回路の内部ノードに付けるべき容量の大きさを見積もりし直さなければならず、設計負担が大きくなるという問題点があることが明らかとなった。
【0008】
さらに、CMOS−LSIなどではスタンバイ電流を減らすためにしきい値の高いMOSトランジスタを使用して論理回路を構成することがあるが、MOSトランジスタのしきい値を高くすると駆動力が低下してオン抵抗が大きくなり、α線により電位が変化したノードの電位が元にもどりにくくなり、戻る前に次段の論理ゲートが応答して誤動作を起こしやすくなるという不具合がある。また、LSIは低電源電圧化が進んでいるが、電源電圧が低下してMOSトランジスタの駆動力が低下した場合や内部ノードの蓄積電荷量が減少した場合も同様に誤動作を起こしやすくなる。
【0009】
また、特許文献2のデータ保持回路では、そのフリップフロップの構成や多数決論理回路の構成にトランジスタ個数の削減や論理段数の低減を図る余地があると考えられた。
【0010】
この発明の目的は、ランダムロジックに設けられるようなフリップフロップ回路を、半導体素子が微細化されても耐α線強度を保証でき、且つ、少ない素子数および最少の論理段数で形成可能な半導体集積回路技術を提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、3個以上のフリップフロップと、これらに保持された論理のうち過半数を占める値に応じた信号を出力する多数決回路とからなるデータ保持回路であって、上記フリップフロップに含まれるラッチ回路を少なくとも1個が小さな駆動力を有する2個のインバータ回路を互いに一方の出力端子を他方の入力端子に接続させてなる構成とするとともに、多数決回路を例えばしきい値電圧が電源電圧の1/2近傍に設定されたインバータ回路などにより構成し、複数のフリップフロップの出力が合成された電圧に応じて論理信号を出力させる構成としたものである。
【0012】
このような手段によれば、複数のフリップフロップと多数決回路により正しいラッチデータを再現できるため、素子サイズが小さくなっても見かけ上高い耐α線強度が得られるとともに、フリップフロップのラッチや多数決回路の工夫された構成によりさらに全体の素子数やセル面積の低減および論理段数の削減を図ることが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したα線保証フリップフロップ回路の基本構成を示す図である。
本実施例のα線保証フリップフロップ回路(データ保持回路)10は、データ入力端子Dが結合された3個以上のフリップフロップFF1,FF2…と、これらのフリップフロップFF1,FF2…の出力を受けてこれらのフリップフロップFF1,FF2…の保持データのうち過半数を占める値に応じた論理出力を行う多数決回路MJRとから構成され、例えばα線入射により何れかのフリップフロップFF1,FF2…の保持データが反転したとしても多数決回路MJRによりα線による信号の変化が無視されて正常な出力が得られるものである。
このα線保証フリップフロップ回路10は、例えばクロック同期型のフリップフロップとして動作するもので、個々のフリップフロップFF1,FF2…はクロック端子が結合されて共通のクロック信号CKが供給されるようになっている。
【0014】
図2と図3には、複数のフリップフロップFF1〜FF3に含まれるラッチ部の回路図の一例を示す。
複数のフリップフロップFF1,FF2…には1段又は複数段のラッチ部がそれぞれ含まれるが、このラッチ部は、図2に示されるように、第1のインバータINV2と駆動力の小さな第2のインバータINV3とを、互いに一方の入力端子を他方の出力端子に接続してなるラッチ20、ならびに、このラッチ20に入力信号を入力又は遮断するゲート回路としての伝送ゲートTGとから構成される。
【0015】
駆動力の小さいインバータINV3は、ラッチ20の入力側に出力端子が接続され、前段の回路(例えばインバータINV1)と比較してその駆動力が小さく(例えば10〜30%)形成されている。それにより、保持データと逆相の信号が入力された場合でもラッチ20の状態を速やかに反転させることが出来る。
【0016】
図4にはフリップフロップFF1,FF2…に内蔵されるラッチの回路構成例を示す。
例えば、回路のセル面積の低減を図るため、前段の回路(インバータINV1)を半導体プロセスに従った通常の駆動力に構成した場合には、小さいインバータINV3は後述の方法により通常のインバータの10〜30%の駆動力に形成される。ラッチ20を構成するもう一方のインバータINV2は後段の回路を駆動することを考慮すれば通常の駆動力に構成される。
【0017】
0.18μmプロセスの場合には、拡散層に配線を所定本(例えば5本)接続可能な大きさのMOSトランジスタ(すなわちゲート幅が1.8μm程度)が通常のMOSトランジスタの大きさとして設定されるので、図4に示すように、ラッチ20を構成する通常の駆動力のインバータINV2はゲート幅が1.8μmのNチャネルMOSトランジスタQ1および同一ゲート幅のPチャネルMOSトランジスタQ2とを電源電圧間に直列に接続した構成となる。
【0018】
このような場合、駆動力の小さいインバータINV3は、拡散層に接続可能な配線本数を少なくすることで構成素子のゲート幅を通常の半分以下(例えば0.6μmや0.3μm)にするとともに、2個のPチャネルMOSトランジスタQ3,Q4と2個のNチャネルMOSトランジスタQ5,Q6とを電源電圧間に直列に接続することで所望の駆動力のものを構成することが出来る。MOSトランジスタQ3〜Q6の各ゲート電極は結合して入力端子とし、中間のPチャネルMOSトランジスタQ4とNチャネルMOSトランジスタQ5との接続ノードを出力端子としてインバータINV3を構成する。
【0019】
ラッチ部に備わるゲート回路は、図2に示したようなMOSトランジスタのチャネル間に信号を伝送するタイプのものに限られず、図3に示すようにクロック信号CK等により電源電圧Vcc,GNDを供給又は遮断することでインバータ回路をアクティブ又はハイインピーダンスにするクロックドインバータINV10を用いることも出来る。
【0020】
図5には、図1の多数決回路MJRをNANDゲートからなる組合せ論理回路で構成した一例を示す。
図5の多数決回路MJRは、複数のフリップフロップFF1,FF2…が3個の場合には、例えば各フリップフロップFF1,FF2,FF3の出力を受ける3個の2入力NAND回路G1,G2,G3と、これらのNAND回路の出力を受ける3入力NAND回路G4とにより構成することが出来る。
【0021】
このような多数決回路MJRによれば、3個のフリップフロップFF1〜FF3の出力のうち過半数を占める論理の値に応じた論理出力を行うことが出来る。また、2入力や3入力のNAND回路G1〜G3,G4はともに論理段数が1段で構成可能であるので、この多数決回路MJRの信号遅延は論理段数で2段分となり信号遅延を小さくすることが出来る。ただし、1段の論理段数で構成した3入力NAND回路G4はロウレベルの出力が弱いという特性があるため、この特性を回避するためには、この多数決回路MJRの後段にインバータを2段設けるなどする必要がある。
【0022】
図6には、図1の多数決回路MJRを入力電位に応じて論理動作するインバータ回路で構成した一例のα線保証フリップフロップ回路の後段部分の回路図を示す。同図において、クロックドインバータINV10とラッチ20とは図1のフリップフロップFF1〜FF3の後段部分を示している。
この実施例の多数決回路MJRは、個々のフリップフロップFF1〜FF3の各々の出力を受ける3個のインバータINV21〜INV23と、これらインバータINV21〜INV23の出力を合成した電圧を受けて論理出力を行うインバータINV20とから構成される。
【0023】
3個のインバータINV21〜INV23は電源電圧Vcc側に接続されるMOSトランジスタのオン抵抗とグランドGND側に接続されるMOSトランジスタのオン抵抗とが同一になるように形成され、また、後段のインバータINV20はしきい値電圧Vthが電源電圧Vcc,GNDの1/2の電位になるように形成されている。
【0024】
このような構成によれば、3個のインバータINV21〜INV23は前段のラッチ20の保持データに応じて電源電圧Vcc側かグランドGND側のMOSトランジスタがオンされてその電位を出力するが、α線入射により前段のラッチ20のうち1つの保持データが反転していた場合には、このラッチ20に対応するインバータだけ逆側のMOSトランジスタがオンされることになる。図6の例では、最上段のラッチ20でα線エラーが発生し、最上段のインバータINV21だけ電源電圧Vcc側がオンされた状態を示している。
【0025】
その結果、複数のインバータINV21〜INV23の出力ノードN1では、電源電圧VccからグランドGNDに貫通電流が流れることになるが、出力ノードN1の電位は電源電圧の1/2の電位よりもオンされているMOSトランジスタが多い側に片寄った電位となる。そして、この電位に応じてインバータINV20の出力が決まるので、誤動作したラッチ20の信号が無視されてインバータINV20から正しい論理信号が出力されることになる。
【0026】
なお、図6の多数決回路MJRにおいて、3個のインバータINV21〜INV23を構成するPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタのオン抵抗を例えば抵抗比で2:1などと異ならせた場合でも、後段のインバータINV20のしきい値電圧Vthをそれに合わせて電源電圧Vcc側またはグランド電位側に片寄らせて設定することで、α線誤動作により複数のインバータINV21〜INV23のうち1個だけが逆の状態になった場合でも、その信号を無視して正しい論理信号が出力されるように構成することが出来る。
【0027】
図7は、図1の多数決回路MJRを入力電位に応じて論理動作するインバータ回路で構成した場合の第1の変形例を示す回路図である。同図において、クロックドインバータINV10とラッチ20とは図1のフリップフロップFF1の後段部分を示している。
この第1変形例の多数決回路MJRは、図6の多数決回路MJRから前段のインバータINV21〜INV23を省略するとともに、個々のフリップフロップFF1,FF2…の出力を結合ノードN2で短絡させて、そこで合成された信号を1個のインバータINV25で受けて論理信号を出力するように構成したものである。
【0028】
この変形例では、各ラッチ20の出力信号を生成するインバータINV2は電源電圧Vcc側に接続されたMOSトランジスタのオン抵抗とグランドGND側に接続されたMOSトランジスタのオン抵抗とがほぼ等しくなるように形成され、多数決回路MJRを構成するインバータINV25、および各ラッチ20を構成する小さい駆動力のインバータINV2はしきい値電圧Vthが電源電圧の1/2の電位になるように形成されている。
【0029】
このような構成によれば、正常時には複数のラッチ20から同一レベルの信号が出力されているが、例えば駆動力の小さな1個のインバータINV3にα線が入射してそのラッチ20の入力側の信号レベルをハイレベルからロウレベル側へ、或いはその逆に変化させてしまった場合、それに伴い当該ラッチ20のもう一方のインバータINV2の状態も反転されるが、このインバータINV2の出力端子は結合ノードN2において他の正常なラッチ20のインバータINV2の出力端子と結合されているため、図6に示した3個のインバータINV21〜INV23と同様に、結合ノードN2の電位は電源電圧の1/2よりも誤動作のないときの出力レベル側に変位された電位となる。
したがって、インバータINV25では誤動作が無い場合と同様に動作し、誤動作したラッチ20の信号が無視されて正しい論理信号が出力されることになる。
【0030】
さらに、ラッチ20を構成する小さな駆動力のインバータINV3もしきい値電圧Vthが電源電圧の1/2に設定されているため、α線入射により誤動作したインバータINV3もこの結合ノードN2の信号を受けて正常な出力に戻される。また、他の正常なインバータINV3…も結合ノードN2の信号により反転することはないので正常な出力のまま保たれる。
【0031】
このような構成の多数決回路MJRによれば、インバータINV3へのα線入射による誤動作を無視して正常な出力が得られるとともに、図6の多数決回路MJRよりも論理段数を1段少なくして、その分、信号遅延を小さくすることが出来る。
【0032】
なお、図7の構成においても、ラッチ20を構成する通常の駆動力のインバータINV2の電源電圧側に接続される場合のオン抵抗とグランド側に接続された場合のオン抵抗とを例えば抵抗比で2:1などと異ならせた場合でも、それに応じてインバータINV25や駆動力の小さなインバータINV3…のしきい値電圧Vthを電源電圧Vcc側またはグランド側に変位させることで、上述した通りの動作を行わせることが出来る。
【0033】
図8は、図1の多数決回路MJRを入力電位に応じて論理動作するインバータ回路で構成した場合の第2の変形例を示す回路図である。
この第2変形例は、図7の実施例とほぼ同様の構成であるが、ラッチ20の出力信号を形成するインバータINV2Aのサイズを大きくすることでこのインバータINV2Aにα線が入射した場合の誤動作も防ぐようにしたものである。
【0034】
図7の実施例では、ラッチ20を構成する通常の駆動力のインバータINV2にα線が入射した場合、α線によりインバータINV2の出力端子に放出される電荷の量が多いと、結合ノードN2の電位が正常なレベルから電源電圧の1/2を超えてしまい、それにより多数決回路MJRのインバータINV25や複数のラッチ20を反転させてしまうことが考えられる。
【0035】
そこで、図8の実施例では、上記のような誤動作が生じないように、ラッチ20を構成する一方のインバータINV2A(出力端子がラッチ20の出力側に接続されるインバータ)を、ゲート幅を大きくしたり或いは複数のインバータを並列に接続して構成するなどして、そのドレイン端子やソース端子の寄生容量C1を大きく形成している。それにより、α線入射によりラッチ20の出力側に多くの電荷が放出された場合でも、それによる結合ノードN2の電位の変化が小さくされて誤動作が生じないようになっている。
【0036】
なお、図8の例では、半導体プロセスの微細化に伴ってMOSトランジスタを小さなサイズに形成できるようになっても、インバータINV2Aの部分のサイズだけは一定以上の大きさにする必要があるため、この部分については小型化を図ることが出来なくなるが、その他の部分についてはα線保証のためにトランジスタのサイズを犠牲にする必要がないので、α線保証フリップフロップ回路10の全体としてはセル面積の小型化を図ることが出来る。
【0037】
図9は、本発明を適用してα線保証したD型フリップフロップ回路の実施例を示す回路図である。
このα線保証D型フリップフロップ回路100は、入力端子Dとクロック端子を共通にした3個のD型フリップフロップFF1〜FF3と、α線入射による誤動作を無視するための多数決回路MJRとから構成されるものである。
【0038】
個々のD型フリップフロップFF1〜FF3は、マスタラッチ19およびスレーブラッチ20と、入力信号の取り込みを行うクロックドインバータINV10、および、スレーブラッチ20へデータを取り込む伝送ゲートTGとから構成される。各ラッチ19,20を構成するインバータINV2,INV3のうち、出力端子がラッチ19,20の入力側に接続されるインバータINV3は駆動力が小さく形成されている。また、クロックドインバータINV10と伝送ゲートTGにはクロック信号CK,/CKが供給され、クロックドインバータINV10はクロック信号CKのハイレベルの期間に開いて信号を取り込む一方、伝送ゲートTGはクロック信号CKのロウレベルの期間に開いて信号を取り込むようになっている。
【0039】
多数決回路MJRは図6に示したものと同一である。
このような構成によれば、全体として通常のD型フリップフロップと同様の動作が得られるとともに、個々のフリップフロップFF1〜FF3のラッチ19,20のうちα線入射により何れかの保持データが反転された場合でも、多数決回路MJRによりその誤動作が無視されて正常な出力を得ることが出来る。また、このような作用を得るためにMOSトランジスタを一定の大きさに形成しなければいけないと云った制限がないため、半導体プロセスの微細化が進んでトランジスタサイズが小さくなれば小さくなるほど、回路のセル面積を小さくすることが出来る。また、クロック信号CKの立ち上がりから信号出力までの信号遅延に係る論理段数は2段でありそれによるオーバーヘッドも少なくできるという利点がある。
【0040】
図10は、本発明を適用してα線保証したデータラッチ回路の実施例を示す回路図である。
このα線保証のデータラッチ回路は101、1ビットの入力信号をクロック信号CKに同期して取り込んで出力する1段の同期型ラッチからなるフリップフロップFF1〜FF3と、α線入射によるエラー信号を無視するための多数決回路MJRとから構成される。
【0041】
個々のフリップフロップFF1〜FF3は入力端子Dとクロック端子とが共通にされ、各々の出力は多数決回路MJRに送られるようになっている。多数決回路MJRは図6に示したものと同一である。
【0042】
このような構成によれば、全体として1段の同期型ラッチの動作が得られるとともに、個々のフリップフロップFF1〜FF3のラッチ20のうちα線入射により何れかの保持データが反転された場合でも、多数決回路MJRによりその誤動作が無視されて正常な出力を得ることが出来る。また、図9の場合と同様に、半導体プロセスの微細化に伴って同様の比率で回路のセル面積を小さくすることができ、さらに、信号遅延を小さくすることが出来る。
【0043】
図11は、本発明を適用してα線保証したスキャンテスト診断機能付きのD型フリップフロップ回路の実施例を示す回路図である。
この実施例のα線保証D型フリップフロップ回路102は、図9の回路にスキャンテスト診断機能を付加したものであり、図9の回路に加えて、スキャンテスト用の信号パスを形成するスキャンテストデータ入力端子SIDおよびスキャンテストデータ出力端子SODと、通常モードとスキャンテストモードの信号パスを入力側で切り換えるためのクロックドインバータINV34,INV35と、この信号パスの切換えを行うスキャンテストイネーブル信号SENの入力端子と、スキャンテストモードに出力端子SODからデータ出力を行うインバータINV40等が設けられている。
【0044】
インバータINV40はデータ出力端子Q側のインバータINV20と同様のしきい値を有するように形成されている。また、入力データはクロックドインバータINV34,INV35を介して取り込まれるため、個々のフリップフロップFF1〜FF3の前段のゲート回路としては伝送ゲートTG1が用いられている。
【0045】
このような構成のα線保証D型フリップフロップ回路102によれば、通常モードにおいてデータ入力端子Dから出力端子Qの信号パスが選択されて該信号パスに沿ってα線保証のされたデータが送られる一方、スキャンテストモードではスキャンテストデータ入力端子SIDから出力端子SIDの信号パスが選択されて該信号パスにスキャンテスト用のデータが送られようになっている。スキャンテスト用のデータ入力端子SIDとデータ出力端子SIDとはデバイスの通常論理と異なるスキャンテスト用の論理パスに接続されており、この論理パスにテストデータを流して伝送後の出力データを観察することでデバイス内の個々の回路のスキャンテストを行うことが出来る。
【0046】
以下、従来のα線保証フリップフロップ回路と本発明に係るα線保証フリップフロップ回路のセルサイズの関係を表わした図12のグラフを参照しながら、本発明に係るα線保証フリップフロップ回路のセルサイズについて定性的に説明する。
【0047】
図12において、グラフの横軸は配線幅で表わしたプロセス世代を、縦軸はフリップフロップ回路(D型フリップフロップやデータラッチなど)が形成されるセルサイズを、点線Aはα線対策のない従来のフリップフロップ回路の推移線を、実線Bはラッチを構成するMOSトランジスタの寄生容量を大きくすることでα線対策を施した従来のα線保証フリップフロップ回路の推移線を、実線Cは本発明に係るα線保証フリップフロップ回路の推移線を、それぞれ示している。
【0048】
半導体プロセスの微細化が進むにつれてMOSトランジスタは小さく形成できるため、点線Aに示すように、α線対策を施していないフリップフロップ回路のセル面積もMOSトランジスタの大きさに比例して小さくすることが出来る。
【0049】
ラッチの寄生容量を大きくすることでα線対策を施す場合、この寄生容量はα線入射に伴う電荷放出量に対して一定の寄生容量を付加することが必要なため、半導体プロセスの微細化が進んでMOSトランジスタを小さく形成できるようになった場合でも、ラッチ部を構成するMOSトランジスタは一定以上の大きさ、或いは一定個数以上設けて一定の寄生容量が付加されるようにする必要がある。そのため、実線Bに示すように、このようなα線保証フリップフロップ回路では、半導体プロセスの微細化が進んでも回路のセルサイズは飽和して一定以下に小さくすることは出来ない。
【0050】
一方、本発明に係るα線保証フリップフロップ回路100〜103の場合には、内部に複数のフリップフロップFF1〜FF3や多数決回路MJRを設けるなどMOSトランジスタの個数が多い分、α線対策を施していないフリップフロップ回路に比べてセルサイズは大きくなる。しかしながら、α線保証のために各MOSトランジスタのサイズに制約ないため、MOSトランジスタのサイズが小さくなるにつれて回路のセルサイズも小さくすることが出来る。そのため、半導体プロセスの微細化が進んで素子サイズが小さくなればなるほど、本発明に係るフリップフロップ回路のセルサイズは小型化することが出来る。従って、プロセスの微細化が進めば、従来のα線保証フリップフロップ回路よりもセルサイズを小さくすることが出来る。
【0051】
なお、本発明に係るα線保証フリップフロップ回路の多数決回路MJRとして、図8のパターンを採用した場合には、ラッチ20の部分に実線Bで示したものと同様の状況が生じてしまうため、この部分の占有面積は大きくなってしまうが、マスタ・スレーブ方式のフリップフロップ回路であればマスターラッチの部分は実線Cのように小型化を図ることができるので、全体としては、半導体プロセスの微細化に伴って従来のα線保証フリップフロップ回路よりも小型化を図ることが出来る。
【0052】
また、複数のフリップフロップ回路と多数決論理回路とを備えた従来のα線保証フリップフロップ回路においては、実線Cに示されるように、半導体プロセスの微細化に伴って回路のセルサイズも小さくしていくことが出来るが、本発明に係るフリップフロップ回路の方が必要なMOSトランジスタの個数を減らして小型化が図れ、必要な論理段数も減らして信号遅延を小さくできるという効果が得られる。
【0053】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、実施例のα線保証フリップフロップ回路100〜103では、多数決回路MJRとして図6の回路が適用されているが、図7や図8の多数決回路を適用することも出来る。また、駆動力の弱いインバータINV3として図4の構成を例示したが、単純にMOSトランジスタのゲート幅を小さくして駆動力を小さくしたり、その他、種々の公知技術を利用して駆動力が小さくなるように構成しても良い。
【0054】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるDフリップフロップ回路やデータラッチ回路に適用した例について説明したがこの発明はそれに限定されるものでなく、半導体集積回路に搭載される種々のフリップフロップ回路に広く利用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、フリップフロップ回路のα線保証を図ることが出来るとともに、半導体プロセスの微細化に伴ってMOSトランジスタのサイズに比例して回路のセルサイズの小型化が図れ、さらに、複数のフリップフロップ回路と多数決論理回路とを備えた従来のα線保証フリップフロップ回路と比較しても、トランジスタの個数が削減され、回路の論理段数が減って信号遅延を小さくすることが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したα線保証フリップフロップ回路の基本構成を示す図である。
【図2】図1のフリップフロップに含まれるラッチの一例を示す回路図である。
【図3】図1のフリップフロップに含まれるラッチの一例を示す回路図である。
【図4】図2と図3のラッチのトランジスタ構成を示す回路図である。
【図5】図1の多数決回路を組合せ論理ゲートで構成した一例を示す回路図である。
【図6】図1の多数決回路を入力電位に応じて論理動作する回路で構成したα線保証フリップフロップ回路の後段の部分を示す回路図である。
【図7】図1の多数決回路を入力電位に応じて論理動作する回路で構成した第1変形例を示す回路図である。
【図8】図1の多数決回路を入力電位に応じて論理動作する回路で構成した第2変形例を示す回路図である。
【図9】本発明を適用してα線保証したD型フリップフロップ回路の一実施例を示す回路図である。
【図10】本発明を適用してα線保証したデータラッチ回路の一実施例を示す回路図である。
【図11】本発明を適用してα線保証したスキャンテスト診断機能付きのD型フリップフロップ回路の一実施例を示す回路図である。
【図12】従来のα線保証フリップフロップ回路と本実施例のフリップフロップ回路のセルサイズの関係を表わしたグラフである。
【符号の説明】
10 α線保証フリップフロップ回路
100,102 α線保証Dフリップフロップ回路
101 α線保証データラッチ回路
19,20 ラッチ
FF1,FF2… フリップフロップ
INV2,INV3 インバータ
INV10 クロックドインバータ
MJR 多数決回路
TG 伝送ゲート
Claims (3)
- 同一の信号が入力される3個以上のフリップフロップと、これら複数のフリップフロップの出力を受けて当該複数のフリップフロップに保持されている複数の論理値のうち過半数を占める論理値に応じて信号を出力する多数決回路とを有するデータ保持回路を備えた半導体集積回路であって、
上記フリップフロップは、2個のインバータ回路を互いに一方の出力端子を他方の入力端子に接続してなるラッチ回路、および、当該ラッチ回路に入力信号を入力又は遮断するゲート回路からなる回路を1段或いは複数段有する構成であることを特徴とする半導体集積回路。 - 上記ラッチ回路を構成する2個のインバータ回路のうち少なくとも当該ラッチ回路の入力端子に出力端子が接続されたインバータ回路は、当該ラッチ回路に入力信号を供給する回路よりも小さな駆動力を有するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
- 上記多数決回路は、上記3個以上のフリップフロップの出力に応じた信号を合成した電圧レベルに応じて論理信号を出力する回路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
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