JP2004325683A - 磁気表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示面に表示された像や筆跡に対して、輝度の高い光輝性と共に、視認角度による明確な色調の変化を付与することができる、意外性に富んだ磁気表示装置を提供する。
【解決手段】磁気表示装置1の表示面が透明性を有する非磁性材からなる上部支持体22及び下部支持体21間に分散媒体3と磁性粒子4を収容する。前記支持体間の磁性粒子4の移動或いは配向により、像を現出又は消去させる。前記表示面が視認角度によって色調が変化する光輝性を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】磁気表示装置1の表示面が透明性を有する非磁性材からなる上部支持体22及び下部支持体21間に分散媒体3と磁性粒子4を収容する。前記支持体間の磁性粒子4の移動或いは配向により、像を現出又は消去させる。前記表示面が視認角度によって色調が変化する光輝性を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気表示装置に関する。更に詳細には、磁気表示装置に内在する磁性粒子の移動或いは配向により現出する像が多彩な色調を呈する磁気表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、黒色とは異る像や筆跡が得られる磁気表示装置として、表示面に真珠光沢性、虹彩性、ホログラム性、金属光沢性等の光輝性を付与した磁気表示装置が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−249594号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−63285号公報
【0005】
前記磁気表示装置は、磁気ペン等の適用により磁性粒子が泳動或いは配向して金属光沢や干渉色を有する像や筆跡が表示されるが、視覚する角度による明確な色調の変化を付与することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、磁気表示装置に表示された像や筆跡に対して、輝度の高い光輝性と共に、視認角度による明確な色調の変化を付与することができる、意外性に富んだ磁気表示装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも表示面が透明性を有する非磁性材からなる上部支持体22及び下部支持体21間に分散媒体3と磁性粒子4を収容してなり、前記支持体間の磁性粒子4の移動或いは配向により、像を現出又は消去させる磁気表示装置において、前記表示面が、視認角度によって色調が変化する光輝性を有することを要件とする。
更に、少なくとも表示面が透明性を有する非磁性材からなる支持体の下面に、分散媒体3及び磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を設け、前記マイクロカプセル8内の磁性粒子4の移動或いは配向により、像を現出又は消去させる磁気表示装置において、前記表示面が、視認角度によって色調が変化する光輝性を有すること、上部支持体22及び下部支持体21間に分散媒体3及び磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を固着してなることを要件とする。更には、前記支持体中に、視認角度によって色調が変化する金属光沢顔料を分散してなる、或いは、支持体の上面及び/又は下面に、前記金属光沢顔料を含む光輝層221を設けてなることを要件とする。
【0008】
通常、金属光沢顔料に光が当たると、光の干渉効果で特定の波長の光が反射され、それ以外の波長の光は透過されるが、前記金属光沢顔料を含む層の下層が白色乃至淡色の場合、通常透過される波長の光も反射されるので金属光沢顔料の反射光と重なって全反射となり、全波長が感受される。また、前記金属光沢顔料を含む層の下層が明度値の低い色乃至黒色の場合、通常透過される波長の光が吸収されるので金属光沢顔料の反射光のみが感受される。
本発明においては、前記効果と、金属光沢顔料の反射光の波長が視認角度によって変化する効果によって、金属光沢顔料を含む層の下層の色が黒色等の明度値の低い色の時(筆記状態)に視認角度に応じて金属光沢顔料の色彩が変化して視認されるものである。
【0009】
前記表示面は、少なくとも筆記等により形成される筆跡を視認できる透明性を有すると共に、前記筆跡が光輝性と共に、視認する角度によって明確な色調の変化を現すものである。
前記表示面を形成する支持体2としては、前記金属光沢顔料を分散したシートが挙げられる。前記金属光沢顔料を分散したシートは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に金属光沢顔料を分散し、フィルム状或いはシート状に成型したものである。
又、透明性を有する支持体に設けられる光輝層221は、前記金属光沢顔料をバインダーを含む媒体中に分散させて、塗料、インキ等の形態として塗布、印刷により設けられたり、視認角度によって色調が変化するシートやフィルム等を貼付することにより設けることもできる。
【0010】
前記金属光沢顔料は、金属光沢色等の光輝性を有すると共に、視認角度によって色調が変化するものであればどのようなものでも使用できるが、支持体2や光輝層221中への配合量や光輝層221の厚み等に制限されないことから透明性を有するものが好適に用いられる。
具体的には、コレステリック液晶型光輝性顔料、酸化珪素を金属酸化物で被覆した顔料、酸化鉄又はアルミニウムの表面を酸化珪素及び酸化鉄で被覆した顔料等が適用される。
【0011】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料について説明する。
コレステリック液晶型光輝性顔料として用いられる液晶ポリマーは光の干渉効果によって広いスペクトル領域で入射する光の一部の領域のみが反射し、これ以外の領域は全て光が透過する性質を有する。反射スペクトルの領域は、らせん状のポリマーのピッチ幅、及び材料の屈折率によって決まり、また、反射スペクトル領域は左、及び右らせんに偏光した光線成分に分割され、その際、らせんの回転方向に応じて一方は反射され、他方は透過させることが可能となる。これによりコレステリック液晶型光輝性材料は全体的なスペクトル領域にわたり、透過、及び反射する性質、即ち、優れた光輝性と視点により色調が変化する性質を有する。また、前記コレステリック液晶型光輝性顔料は、優れた透明性も有する。
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として具体的には、メソジェンを側鎖に持つシロキサン骨格をベースとした材料を例示できる。
【0012】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として、具体的にはワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)〔青色→暗色〕、Scarabeus(SLM90120)〔緑色→青色〕、Jade(SLM90220)〔金色→緑青色〕、Maple(SLM90320)〔赤銅色→緑色〕等を挙げることができる。
【0013】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料は平均の厚みが3〜15μm、好ましくは5〜10μmの範囲であり、平均の粒度が1〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲が好適に用いられる。
平均の厚み、粒度が前記範囲外の場合、光輝性や視認角度によって色調が変化する性質が損なわれたり、支持体や層中での光輝性顔料の配向及び安定性に悪影響を及ぼすこともあり、実用が制限される。
【0014】
前記酸化珪素を金属酸化物で被覆した顔料としては、透明度の高い酸化珪素を基板とし、1種又は2種以上の金属酸化物により単層又は多層に被覆したものであり、光透過性を有すると共に、視認する角度によって明確な色調の変化を示す性質と優れた光輝性を有するものである。
また、2種以上の金属酸化物で酸化珪素を多層に被覆する場合、光反射率の異なる金属酸化物を用いることで、より効果的に視認角度による色調変化を付与できる。
前記金属酸化物としては、酸化錫、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
【0015】
前記光沢顔料として、具体的にはメルク社製の商品名:「Colorstream」、品番:T10−01 Viola Fantasy〔紫色→緑色〕、T10−00 Autumn Mystery〔赤色→緑色〕等を挙げることができる。
【0016】
前記酸化珪素を金属酸化物で被覆した光沢顔料は、光輝性と視認角度による色調が変化する性質を有するものであればどのような粒度でも使用できるが、好適には平均粒度が1〜100μm、好ましくは10〜40μmの範囲のものが用いられる。
【0017】
前記酸化鉄又はアルミニウムの表面を酸化珪素及び酸化鉄で被覆した光沢顔料としては、具体的には、BASF社製の商品名「Variocrom」品番:Magic Red L4420〔赤色→金色〕、Magic Purple L5520〔紫色→金色〕等を挙げることができる。
【0018】
前記金属光沢顔料をビヒクル中に分散したインキや塗料を用いて、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により光輝層221を形成できる。
更には、前記金属光沢顔料を熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂中にブレンドして形成した成形体を光輝層221として用いてもよい。
前記金属光沢顔料は色調の異なる複数の金属光沢顔料を併用して用いたり、従来より公知の真珠光沢顔料、金属光沢顔料、染料、顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、熱変色顔料等を併用して用いることもできる。
前記真珠光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、偏平状ガラス片、酸化アルミニウム等の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料が挙げられる。
【0019】
前記磁気表示装置1としては、例えば、透明性を有する非磁性材からなる支持体間に、粘性流体3と磁性粒子4を収容した磁気表示装置1が挙げられる。
前記磁気表示装置1は、支持体2の表面上に磁気ペン9等の治具を接触させると磁気によって中空支持体内に沈降していた磁性粒子4が吸着されて前記支持体表示面の裏面まで泳動し、分散媒体3と磁性粒子4のコントラストによって像を視認させるものである。
前記像の形成方法としては、磁性粒子4が泳動するものに限らず、例えば、磁場に対して応答性を有する薄片状磁性粒子4を用いて、前記磁性粒子4の配向性により像を隠顕する構成、或いは、磁極を異なる色調に色分けした磁性粒子4が反転して像を隠顕する構成であってもよい。
【0020】
又、上部支持体22と下部支持体21の間に複数の小室を設け、前記小室内に分散媒体3と磁性粒子4を注入し、且つ、前記分散媒体3と磁性粒子4が外部に洩れださないように密封したり、上部支持体22と下部支持体21の間にハニカム状等の形状の小室を有する網目部材を内在して、前記小室内に分散媒体3と磁性粒子4を注入し、注入物が外部に洩れださないように封入して磁性粒子4の偏在を防止し、且つ、各々の小室に内在した磁性粒子4の密度を均一化することもできる。
前記支持体2は、プラスチック、ガラス等の非磁性材からなる材質により形成され、表示面が少なくとも像を視認させる透明性を有する。
従って、非表示面は非磁性材であれば、色調と材質は特に限定されない。
前記表示面の透明性は、着色透明でもよいが、無色透明或いは半透明のものが好適に用いられる。
【0021】
前記粘性流体3は、水、或いは、脂肪族炭化水素系溶剤等の有機媒体中に各種染料、顔料を溶解又は分散して着色性又は隠蔽性を付与し、磁性粒子4により形成される像とのコントラストを高めることが好ましい。又、所望により珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、モンモリロナイト、ベンチジンイエロー、珪藻土、カオリン、クレー、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エチル共重合体等のオレフィンと単量体の共重合体、各種ワックス、金属石鹸、脂肪族アミド、デキストリン脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースエステル、蔗糖脂肪酸エステル、アシルアミノ酸エステル、ジベンジリデンソルビトール等を分散して、分散状態の降伏値を調整して磁性粒子4により形成される像の安定化を向上させたり、更には流動粘性を調整して像の表示速度を調節することもできる。
尚、前記分散媒体3の降伏値を調整する化合物のうち、珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、モンモリロナイト、ベンチジンイエロー、珪藻土、カオリン、クレーから選ばれる化合物、或いは、オレフィン重合体、オレフィンと単量体の共重合体、各種ワックス、金属石鹸、デキストリン脂肪酸エステルから選ばれる化合物と珪酸又は珪酸塩の混合物が好適に用いられる。
更に、必要によって、界面活性剤を添加することもできる。
【0022】
前記磁性粒子4は、マグネタイト、ヘマタイト、二酸化クロム、フェライト等の酸化物磁性材料、鉄、酸化鉄、コバルト、ニッケル等の合金系の金属材料、磁性粒子4を樹脂と混練して粉砕したものが挙げられ、粒子の形状は球状の他、薄片状、柱状等が挙げられ、磁性粒子4の大きさは均一であることが好ましい。
前記酸化鉄としては、水素還元法により製造した多孔質酸化鉄が挙げられる。
又、磁性粒子4の大きさは、微粒子から粗大粒子のものまで、前記粘性流体の性状等によって適宜選択されるが、好ましくは10〜150μmのものが用いられる。
更に、前記磁性粒子4の摩耗を防止するために、適宜樹脂により被覆することもできる。
【0023】
又、前記磁気表示装置1として、表示面となる支持体の下面に分散媒体3と磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を固着した磁気表示装置、或いは、支持体間に分散媒体3と磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を固着させた磁気表示装置を用いることもできる。
【0024】
前記磁気表示装置1の像を隠顕する方法としては、前述の方法と同様に、支持体の表面上に磁気ペン9を接触させると磁気によってカプセル内に沈降していた磁性粒子4が吸着されて、前記カプセル内の支持体側まで泳動し、分散媒体3と磁性粒子4のコントラストによって像を視認させる構成、磁場に対して応答性を有する薄片状磁性粒子4を用いて、前記磁性粒子4の配向性により像を隠顕する構成、或いは、磁極を異なる色調に色分けした磁性粒子4が反転して像を隠顕する構成のいずれであってもよい。
前記マイクロカプセル8は100〜1000μmのものが好適に用いられ、又、前記マイクロカプセル8に内包する磁性粒子4は、前記と同様のものを用いることができる。尚、磁性粒子4の大きさは0.2μmから数μmのものが好適に用いられる。
更に、前記マイクロカプセル8中に酸化チタン等の光反射性に優れた粒子を添加して像が可視状態と不可視状態のコントラストを向上させることもできる。
【0025】
尚、前記表示面には、迷路、双六等各種遊戯用の図形、文字、図柄模様等を設けたり、前記図形や文字を設けたシートを着脱自在に構成することもできる。
又、前記表示面の上面に保護層を適宜設けることもできる。
【0026】
前記した構成の磁気表示装置に、適宜像を描く磁気ペン9は、少なくとも筆記先端部に磁気部分を有する。前記磁気部分は、磁気表示装置内の磁性粒子4が前記磁性材料である場合、鉄、コバルト、ニッケル等の合金系の金属材料がもちいられ、磁性粒子4が前記金属材料である場合、マグネタイト、ヘマタイト、二酸化クロム、フェライト等の磁性材料が用いられる。更に、通電により磁気を発する電磁石を用いることもできる。
又、形態としてはペン形態に限らず、磁性体を文字、数字、記号、図形等の形状とした磁気スタンプ、或いは、磁気ヘッドでもよい。
【0027】
像の消去手段としては、支持体の裏面から消去用の磁性体を作用させて像を消去させる手段、或いは、裏面に設けた移動可能な消去用の磁性体を表面から操作して像を消去させる手段が挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気表示装置の具体的な実施形態としては、玩具、筆記板等の教習具、メモ板、広告板、各種ゲーム等の娯楽用具等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
次に、具体的に実施例を示す。尚、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1(図1、2参照)
下部支持体21として0.3mm厚のポリ塩化ビニル樹脂板上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に、イソパラフィン溶剤100部、酸化チタン1部、ノニオン界面活性剤0.1部を十分に練合して得た白色分散媒体3を100部に、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、塩化ビニル樹脂100部、エポキシ樹脂系可塑剤3部、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Scarabeus(SLM90120)、ワッカーケミー社製〕15部を均一に混合してカレンダー成形により成形した上部支持体22をエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
【0030】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上を磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して形成される黒色の像が、上部支持体22中に含まれるコレステリック液晶ポリマー顔料によって、視点により緑色、又は青色の金属光沢色に視覚される(図2)。
前記金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0031】
実施例2(図3参照)
下部支持体21として300μm厚のポリ塩化ビニルフィルム上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に、実施例1と同様の白色分散媒体3を100部に、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22としてポリ塩化ビニルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
尚、前記上部支持体22の上面には、酸化錫、酸化チタン被覆シリカフレーク顔料〔商品名:Colorstream T10−01(Viola Fantasy)、メルク社製〕5部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂15部、キシレン35部、酢酸エチル39部、消泡剤1部を分散、混合したインキを用いてドクターコートにより塗工した後、乾燥して50μm厚の光輝層221を設けてなる。
【0032】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の光輝層221上を磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して形成される黒色の像が、上部支持体22上に設けた光輝層221によって、視点により金属光沢性を有する金色/銀色/緑色/青色に視覚される。
前記金属光沢色を有する像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0033】
実施例3(図4参照)
下部支持体21として200μm厚のポリ塩化ビニルフィルム上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に、実施例1と同様の白色分散媒体3を100部と、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22としてポリ塩化ビニルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
尚、前記上部支持体22の上面には、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、ワッカーケミー社製〕10部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂15部、キシレン35部、酢酸エチル39部、消泡剤1部を分散、混合したインキを用いて、3cm幅の横縞模様になるように印刷して、50μm厚の光輝層221を設けてなる。
【0034】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22及び光輝層221上を磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して黒色の像を形成するが、光輝層221を設けた部分はコレステリック液晶ポリマー顔料によって、視点により金色、又は緑青色の金属光沢色に視覚される。
前記黒色及び金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0035】
実施例4(図5参照)
下部支持体21として100μm厚のポリエステルフィルム上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に実施例1と同様の白色分散媒体3を100部と磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部とを均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22として100μm厚のポリエステルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
尚、前記上部支持体22の下面には、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、ワッカーケミー社製〕20部、アクリル酸エステル樹脂40部、シリコーン系消泡剤0.5部、酢酸ブチル20部、芳香族中沸点溶剤15部を均一に分散したインキ、及び、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Jade(SLM90220)、ワッカーケミー社製〕15部、アクリル酸エステル樹脂40部、シリコーン系消泡剤0.5部、酢酸ブチル20部、芳香族中沸点溶剤15部を均一に分散したインキを用いて、それぞれが隣接する波模様をスクリーン印刷した光輝層221を設けてなる。
【0036】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上を磁気スタンプを用いて捺印すると、沈降していた磁性粒子4が光輝層221の下面まで泳動して形成される黒色の像が、前記光輝層221によって金属光沢性を有する赤銅色又は緑色、及び金色又は緑青色の波模様の像が視点によりそれぞれ視覚される。
前記金属光沢性を有する像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0037】
実施例5(図6参照)
下部支持体21として300μm厚のポリ塩化ビニルフィルム板上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に実施例1と同様の白色分散媒体3を100部に、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22として80μm厚のポリ塩化ビニルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせた。
これとは別に、トップコート層7となる12μm厚の透明ポリエステルフィルム上に、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Sapphire(SLM90020)、ワッカーケミー社製〕10部、アクリル樹脂キシレン溶液(固形分50%)30部、酢酸ブチル10部、消泡剤1部を分散、混合したインキをグラビア印刷により印刷して光輝層221を設け、更に、前記光輝層221上に粘着層6としてアクリル系樹脂トルエン−酢酸エチル溶液(固形分40%)を塗工し、溶剤を蒸発させて光輝性シールを作製した。
前記光輝性シールの粘着層6側を、上部支持体22に貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
【0038】
前記磁気表示装置1は、光輝性シールを貼り合わせた側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の光輝性シール上を磁気ペンを用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して形成される黒色の像が、光輝層221中に含まれるコレステリック液晶ポリマー顔料によって、視点により青色、又は暗紫色に視覚される。
前記金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0039】
実施例6(図7参照)
表面に親油処理を施した酸化チタン粉体(粒径0.3μm)15部をフタル酸ジブチル84.5部に分散した白色分散媒体3中に、磁性粒子4としてシリコン表面処理を施した二酸化マンガン10%を含有するマグネタイト粉体(粒径0.5μm)0.5部を均一に分散して分散液を得た。
次に、10%ゼラチン水溶液200部、10%アラビアゴム水溶液200部、水100部を混合し、約50℃に昇温した後、10%酢酸水溶液を加えてpHを4に調整した溶液中に、前記分散液100部を加え、分散液の液滴が約400μmになるように攪拌した。水を加えて徐冷した後、更に5℃まで冷却し、25%グルタルアルデヒド水溶液を約10部加え、分散液の液滴の界面上に析出したゼラチン/アラビアゴム重合体膜を硬化し、磁性粒子4と白色分散媒体3を含有したマイクロカプセル8を得た。
前記マイクロカプセル8を20部と、10%ポリビニルアルコール水溶液10部とを混合した塗布液を得た。
【0040】
表示面となる上部支持体22として50μm厚のポリエステルフィルム上に、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、ワッカーケミー社製〕10部、及び酸化錫、酸化チタン被覆シリカフレーク顔料〔商品名:Colorstream T10−01(Viola Fantasy)、メルク社製〕8部、アクリル酸エステル樹脂40部、シリコーン系消泡剤0.5部、酢酸ブチル20部、芳香族中沸点溶剤15部を均一に分散したインキをスクリーン印刷により印刷して光輝層221を設け、更に光輝層221上に前記塗布液をドクターコートにより約500μmのウエット厚みに塗布した後、乾燥させて磁気表示装置1を得た。
【0041】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、マイクロカプセル8中の磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3により白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上に磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4がカプセル内の上面まで泳動して形成される黒色の像が、前記光輝層221によって、視認角度に対応して金色/赤茶色/紫色の各金属光沢色に視覚される。
前記金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0042】
実施例7(図8参照)
下部支持体21として、塩化ビニル樹脂100部、エポキシ樹脂系可塑剤3部、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHCScarabeus(SLM90120)、緑色→青色、ワッカーケミー社製〕15部を均一に混合し、カレンダー成形してポリ塩化ビニルフィルムを作製した。
又、上部支持体22として、塩化ビニル樹脂100部、エポキシ樹脂系可塑剤3部、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、金色→緑青色、ワッカーケミー社製〕15部を均一に混合し、カレンダー成形してポリ塩化ビニルフィルムを作製した。
【0043】
実施例6で作製したマイクロカプセル20部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン(固形分35%)10部を混合した塗布液をドクターコートにより前記下部支持体21上に約500μmのウエット厚みに塗布し、乾燥する前に上部支持体22を接着させ、両面に異なる金属光沢色を有する磁気表示装置1を得た。
【0044】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、マイクロカプセル8中の磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上を磁気ペン9を用いて筆記すると、磁性粒子4がマイクロカプセル8内の上面まで泳動して形成される黒色の像が、上部支持体22中に含まれる金属光沢顔料によって、視認角度により金色、又は緑青色の金属光沢色に視覚される。
前記金属光沢像は、下部支持体21側から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0045】
又、下部支持体21側から視覚すると、マイクロカプセル8中の磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の下部支持体21上を磁気ペン9を用いて筆記すると、磁性粒子4がマイクロカプセル8内の上面まで泳動して形成される黒色の像が、下部支持体21中に含まれる金属光沢顔料によって視認角度により緑色、又は青色の金属光沢色に視覚される。
前記金属光沢像は、上部支持体22側から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、分散媒体中の磁性粒子の泳動により形成される像に、輝度の高い光輝性と共に、視認角度に対応した明確な色調変化を付与できるため、意外性に富み、応用性に優れた装飾効果の高い磁気表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気表示装置における一実施例の縦断面図である。
【図2】図1の磁気表示装置に磁気ペンを用いた状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図4】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図5】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図6】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図7】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図8】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
1 磁気表示装置
2 平面状表示体
21 下部支持体
22 上部支持体
221 光輝層
3 分散媒体
4 磁性粒子
5 多セル板
6 粘着層
7 トップコート層
8 マイクロカプセル
9 磁気ペン
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気表示装置に関する。更に詳細には、磁気表示装置に内在する磁性粒子の移動或いは配向により現出する像が多彩な色調を呈する磁気表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、黒色とは異る像や筆跡が得られる磁気表示装置として、表示面に真珠光沢性、虹彩性、ホログラム性、金属光沢性等の光輝性を付与した磁気表示装置が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−249594号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−63285号公報
【0005】
前記磁気表示装置は、磁気ペン等の適用により磁性粒子が泳動或いは配向して金属光沢や干渉色を有する像や筆跡が表示されるが、視覚する角度による明確な色調の変化を付与することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、磁気表示装置に表示された像や筆跡に対して、輝度の高い光輝性と共に、視認角度による明確な色調の変化を付与することができる、意外性に富んだ磁気表示装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも表示面が透明性を有する非磁性材からなる上部支持体22及び下部支持体21間に分散媒体3と磁性粒子4を収容してなり、前記支持体間の磁性粒子4の移動或いは配向により、像を現出又は消去させる磁気表示装置において、前記表示面が、視認角度によって色調が変化する光輝性を有することを要件とする。
更に、少なくとも表示面が透明性を有する非磁性材からなる支持体の下面に、分散媒体3及び磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を設け、前記マイクロカプセル8内の磁性粒子4の移動或いは配向により、像を現出又は消去させる磁気表示装置において、前記表示面が、視認角度によって色調が変化する光輝性を有すること、上部支持体22及び下部支持体21間に分散媒体3及び磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を固着してなることを要件とする。更には、前記支持体中に、視認角度によって色調が変化する金属光沢顔料を分散してなる、或いは、支持体の上面及び/又は下面に、前記金属光沢顔料を含む光輝層221を設けてなることを要件とする。
【0008】
通常、金属光沢顔料に光が当たると、光の干渉効果で特定の波長の光が反射され、それ以外の波長の光は透過されるが、前記金属光沢顔料を含む層の下層が白色乃至淡色の場合、通常透過される波長の光も反射されるので金属光沢顔料の反射光と重なって全反射となり、全波長が感受される。また、前記金属光沢顔料を含む層の下層が明度値の低い色乃至黒色の場合、通常透過される波長の光が吸収されるので金属光沢顔料の反射光のみが感受される。
本発明においては、前記効果と、金属光沢顔料の反射光の波長が視認角度によって変化する効果によって、金属光沢顔料を含む層の下層の色が黒色等の明度値の低い色の時(筆記状態)に視認角度に応じて金属光沢顔料の色彩が変化して視認されるものである。
【0009】
前記表示面は、少なくとも筆記等により形成される筆跡を視認できる透明性を有すると共に、前記筆跡が光輝性と共に、視認する角度によって明確な色調の変化を現すものである。
前記表示面を形成する支持体2としては、前記金属光沢顔料を分散したシートが挙げられる。前記金属光沢顔料を分散したシートは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に金属光沢顔料を分散し、フィルム状或いはシート状に成型したものである。
又、透明性を有する支持体に設けられる光輝層221は、前記金属光沢顔料をバインダーを含む媒体中に分散させて、塗料、インキ等の形態として塗布、印刷により設けられたり、視認角度によって色調が変化するシートやフィルム等を貼付することにより設けることもできる。
【0010】
前記金属光沢顔料は、金属光沢色等の光輝性を有すると共に、視認角度によって色調が変化するものであればどのようなものでも使用できるが、支持体2や光輝層221中への配合量や光輝層221の厚み等に制限されないことから透明性を有するものが好適に用いられる。
具体的には、コレステリック液晶型光輝性顔料、酸化珪素を金属酸化物で被覆した顔料、酸化鉄又はアルミニウムの表面を酸化珪素及び酸化鉄で被覆した顔料等が適用される。
【0011】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料について説明する。
コレステリック液晶型光輝性顔料として用いられる液晶ポリマーは光の干渉効果によって広いスペクトル領域で入射する光の一部の領域のみが反射し、これ以外の領域は全て光が透過する性質を有する。反射スペクトルの領域は、らせん状のポリマーのピッチ幅、及び材料の屈折率によって決まり、また、反射スペクトル領域は左、及び右らせんに偏光した光線成分に分割され、その際、らせんの回転方向に応じて一方は反射され、他方は透過させることが可能となる。これによりコレステリック液晶型光輝性材料は全体的なスペクトル領域にわたり、透過、及び反射する性質、即ち、優れた光輝性と視点により色調が変化する性質を有する。また、前記コレステリック液晶型光輝性顔料は、優れた透明性も有する。
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として具体的には、メソジェンを側鎖に持つシロキサン骨格をベースとした材料を例示できる。
【0012】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として、具体的にはワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)〔青色→暗色〕、Scarabeus(SLM90120)〔緑色→青色〕、Jade(SLM90220)〔金色→緑青色〕、Maple(SLM90320)〔赤銅色→緑色〕等を挙げることができる。
【0013】
前記コレステリック液晶型光輝性顔料は平均の厚みが3〜15μm、好ましくは5〜10μmの範囲であり、平均の粒度が1〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲が好適に用いられる。
平均の厚み、粒度が前記範囲外の場合、光輝性や視認角度によって色調が変化する性質が損なわれたり、支持体や層中での光輝性顔料の配向及び安定性に悪影響を及ぼすこともあり、実用が制限される。
【0014】
前記酸化珪素を金属酸化物で被覆した顔料としては、透明度の高い酸化珪素を基板とし、1種又は2種以上の金属酸化物により単層又は多層に被覆したものであり、光透過性を有すると共に、視認する角度によって明確な色調の変化を示す性質と優れた光輝性を有するものである。
また、2種以上の金属酸化物で酸化珪素を多層に被覆する場合、光反射率の異なる金属酸化物を用いることで、より効果的に視認角度による色調変化を付与できる。
前記金属酸化物としては、酸化錫、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
【0015】
前記光沢顔料として、具体的にはメルク社製の商品名:「Colorstream」、品番:T10−01 Viola Fantasy〔紫色→緑色〕、T10−00 Autumn Mystery〔赤色→緑色〕等を挙げることができる。
【0016】
前記酸化珪素を金属酸化物で被覆した光沢顔料は、光輝性と視認角度による色調が変化する性質を有するものであればどのような粒度でも使用できるが、好適には平均粒度が1〜100μm、好ましくは10〜40μmの範囲のものが用いられる。
【0017】
前記酸化鉄又はアルミニウムの表面を酸化珪素及び酸化鉄で被覆した光沢顔料としては、具体的には、BASF社製の商品名「Variocrom」品番:Magic Red L4420〔赤色→金色〕、Magic Purple L5520〔紫色→金色〕等を挙げることができる。
【0018】
前記金属光沢顔料をビヒクル中に分散したインキや塗料を用いて、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により光輝層221を形成できる。
更には、前記金属光沢顔料を熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂中にブレンドして形成した成形体を光輝層221として用いてもよい。
前記金属光沢顔料は色調の異なる複数の金属光沢顔料を併用して用いたり、従来より公知の真珠光沢顔料、金属光沢顔料、染料、顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、熱変色顔料等を併用して用いることもできる。
前記真珠光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、偏平状ガラス片、酸化アルミニウム等の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料が挙げられる。
【0019】
前記磁気表示装置1としては、例えば、透明性を有する非磁性材からなる支持体間に、粘性流体3と磁性粒子4を収容した磁気表示装置1が挙げられる。
前記磁気表示装置1は、支持体2の表面上に磁気ペン9等の治具を接触させると磁気によって中空支持体内に沈降していた磁性粒子4が吸着されて前記支持体表示面の裏面まで泳動し、分散媒体3と磁性粒子4のコントラストによって像を視認させるものである。
前記像の形成方法としては、磁性粒子4が泳動するものに限らず、例えば、磁場に対して応答性を有する薄片状磁性粒子4を用いて、前記磁性粒子4の配向性により像を隠顕する構成、或いは、磁極を異なる色調に色分けした磁性粒子4が反転して像を隠顕する構成であってもよい。
【0020】
又、上部支持体22と下部支持体21の間に複数の小室を設け、前記小室内に分散媒体3と磁性粒子4を注入し、且つ、前記分散媒体3と磁性粒子4が外部に洩れださないように密封したり、上部支持体22と下部支持体21の間にハニカム状等の形状の小室を有する網目部材を内在して、前記小室内に分散媒体3と磁性粒子4を注入し、注入物が外部に洩れださないように封入して磁性粒子4の偏在を防止し、且つ、各々の小室に内在した磁性粒子4の密度を均一化することもできる。
前記支持体2は、プラスチック、ガラス等の非磁性材からなる材質により形成され、表示面が少なくとも像を視認させる透明性を有する。
従って、非表示面は非磁性材であれば、色調と材質は特に限定されない。
前記表示面の透明性は、着色透明でもよいが、無色透明或いは半透明のものが好適に用いられる。
【0021】
前記粘性流体3は、水、或いは、脂肪族炭化水素系溶剤等の有機媒体中に各種染料、顔料を溶解又は分散して着色性又は隠蔽性を付与し、磁性粒子4により形成される像とのコントラストを高めることが好ましい。又、所望により珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、モンモリロナイト、ベンチジンイエロー、珪藻土、カオリン、クレー、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エチル共重合体等のオレフィンと単量体の共重合体、各種ワックス、金属石鹸、脂肪族アミド、デキストリン脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースエステル、蔗糖脂肪酸エステル、アシルアミノ酸エステル、ジベンジリデンソルビトール等を分散して、分散状態の降伏値を調整して磁性粒子4により形成される像の安定化を向上させたり、更には流動粘性を調整して像の表示速度を調節することもできる。
尚、前記分散媒体3の降伏値を調整する化合物のうち、珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、モンモリロナイト、ベンチジンイエロー、珪藻土、カオリン、クレーから選ばれる化合物、或いは、オレフィン重合体、オレフィンと単量体の共重合体、各種ワックス、金属石鹸、デキストリン脂肪酸エステルから選ばれる化合物と珪酸又は珪酸塩の混合物が好適に用いられる。
更に、必要によって、界面活性剤を添加することもできる。
【0022】
前記磁性粒子4は、マグネタイト、ヘマタイト、二酸化クロム、フェライト等の酸化物磁性材料、鉄、酸化鉄、コバルト、ニッケル等の合金系の金属材料、磁性粒子4を樹脂と混練して粉砕したものが挙げられ、粒子の形状は球状の他、薄片状、柱状等が挙げられ、磁性粒子4の大きさは均一であることが好ましい。
前記酸化鉄としては、水素還元法により製造した多孔質酸化鉄が挙げられる。
又、磁性粒子4の大きさは、微粒子から粗大粒子のものまで、前記粘性流体の性状等によって適宜選択されるが、好ましくは10〜150μmのものが用いられる。
更に、前記磁性粒子4の摩耗を防止するために、適宜樹脂により被覆することもできる。
【0023】
又、前記磁気表示装置1として、表示面となる支持体の下面に分散媒体3と磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を固着した磁気表示装置、或いは、支持体間に分散媒体3と磁性粒子4を内包した複数のマイクロカプセル8を固着させた磁気表示装置を用いることもできる。
【0024】
前記磁気表示装置1の像を隠顕する方法としては、前述の方法と同様に、支持体の表面上に磁気ペン9を接触させると磁気によってカプセル内に沈降していた磁性粒子4が吸着されて、前記カプセル内の支持体側まで泳動し、分散媒体3と磁性粒子4のコントラストによって像を視認させる構成、磁場に対して応答性を有する薄片状磁性粒子4を用いて、前記磁性粒子4の配向性により像を隠顕する構成、或いは、磁極を異なる色調に色分けした磁性粒子4が反転して像を隠顕する構成のいずれであってもよい。
前記マイクロカプセル8は100〜1000μmのものが好適に用いられ、又、前記マイクロカプセル8に内包する磁性粒子4は、前記と同様のものを用いることができる。尚、磁性粒子4の大きさは0.2μmから数μmのものが好適に用いられる。
更に、前記マイクロカプセル8中に酸化チタン等の光反射性に優れた粒子を添加して像が可視状態と不可視状態のコントラストを向上させることもできる。
【0025】
尚、前記表示面には、迷路、双六等各種遊戯用の図形、文字、図柄模様等を設けたり、前記図形や文字を設けたシートを着脱自在に構成することもできる。
又、前記表示面の上面に保護層を適宜設けることもできる。
【0026】
前記した構成の磁気表示装置に、適宜像を描く磁気ペン9は、少なくとも筆記先端部に磁気部分を有する。前記磁気部分は、磁気表示装置内の磁性粒子4が前記磁性材料である場合、鉄、コバルト、ニッケル等の合金系の金属材料がもちいられ、磁性粒子4が前記金属材料である場合、マグネタイト、ヘマタイト、二酸化クロム、フェライト等の磁性材料が用いられる。更に、通電により磁気を発する電磁石を用いることもできる。
又、形態としてはペン形態に限らず、磁性体を文字、数字、記号、図形等の形状とした磁気スタンプ、或いは、磁気ヘッドでもよい。
【0027】
像の消去手段としては、支持体の裏面から消去用の磁性体を作用させて像を消去させる手段、或いは、裏面に設けた移動可能な消去用の磁性体を表面から操作して像を消去させる手段が挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気表示装置の具体的な実施形態としては、玩具、筆記板等の教習具、メモ板、広告板、各種ゲーム等の娯楽用具等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
次に、具体的に実施例を示す。尚、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1(図1、2参照)
下部支持体21として0.3mm厚のポリ塩化ビニル樹脂板上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に、イソパラフィン溶剤100部、酸化チタン1部、ノニオン界面活性剤0.1部を十分に練合して得た白色分散媒体3を100部に、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、塩化ビニル樹脂100部、エポキシ樹脂系可塑剤3部、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Scarabeus(SLM90120)、ワッカーケミー社製〕15部を均一に混合してカレンダー成形により成形した上部支持体22をエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
【0030】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上を磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して形成される黒色の像が、上部支持体22中に含まれるコレステリック液晶ポリマー顔料によって、視点により緑色、又は青色の金属光沢色に視覚される(図2)。
前記金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0031】
実施例2(図3参照)
下部支持体21として300μm厚のポリ塩化ビニルフィルム上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に、実施例1と同様の白色分散媒体3を100部に、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22としてポリ塩化ビニルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
尚、前記上部支持体22の上面には、酸化錫、酸化チタン被覆シリカフレーク顔料〔商品名:Colorstream T10−01(Viola Fantasy)、メルク社製〕5部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂15部、キシレン35部、酢酸エチル39部、消泡剤1部を分散、混合したインキを用いてドクターコートにより塗工した後、乾燥して50μm厚の光輝層221を設けてなる。
【0032】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の光輝層221上を磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して形成される黒色の像が、上部支持体22上に設けた光輝層221によって、視点により金属光沢性を有する金色/銀色/緑色/青色に視覚される。
前記金属光沢色を有する像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0033】
実施例3(図4参照)
下部支持体21として200μm厚のポリ塩化ビニルフィルム上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に、実施例1と同様の白色分散媒体3を100部と、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22としてポリ塩化ビニルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
尚、前記上部支持体22の上面には、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、ワッカーケミー社製〕10部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂15部、キシレン35部、酢酸エチル39部、消泡剤1部を分散、混合したインキを用いて、3cm幅の横縞模様になるように印刷して、50μm厚の光輝層221を設けてなる。
【0034】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22及び光輝層221上を磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して黒色の像を形成するが、光輝層221を設けた部分はコレステリック液晶ポリマー顔料によって、視点により金色、又は緑青色の金属光沢色に視覚される。
前記黒色及び金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0035】
実施例4(図5参照)
下部支持体21として100μm厚のポリエステルフィルム上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に実施例1と同様の白色分散媒体3を100部と磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部とを均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22として100μm厚のポリエステルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
尚、前記上部支持体22の下面には、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、ワッカーケミー社製〕20部、アクリル酸エステル樹脂40部、シリコーン系消泡剤0.5部、酢酸ブチル20部、芳香族中沸点溶剤15部を均一に分散したインキ、及び、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Jade(SLM90220)、ワッカーケミー社製〕15部、アクリル酸エステル樹脂40部、シリコーン系消泡剤0.5部、酢酸ブチル20部、芳香族中沸点溶剤15部を均一に分散したインキを用いて、それぞれが隣接する波模様をスクリーン印刷した光輝層221を設けてなる。
【0036】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上を磁気スタンプを用いて捺印すると、沈降していた磁性粒子4が光輝層221の下面まで泳動して形成される黒色の像が、前記光輝層221によって金属光沢性を有する赤銅色又は緑色、及び金色又は緑青色の波模様の像が視点によりそれぞれ視覚される。
前記金属光沢性を有する像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0037】
実施例5(図6参照)
下部支持体21として300μm厚のポリ塩化ビニルフィルム板上に、ハニカム状(一辺の長さ4mm)の独立したセル(セル壁の厚み0.05mm)を有する貫通した1.3mm厚の多セル板5をエチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を用いて接着し、前記セル内に実施例1と同様の白色分散媒体3を100部に、磁性粒子4として多孔質黒色酸化鉄9部を均一に分散した分散液体を流し込んだ後、上部支持体22として80μm厚のポリ塩化ビニルフィルムをエポキシ樹脂を用いて貼り合わせた。
これとは別に、トップコート層7となる12μm厚の透明ポリエステルフィルム上に、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Sapphire(SLM90020)、ワッカーケミー社製〕10部、アクリル樹脂キシレン溶液(固形分50%)30部、酢酸ブチル10部、消泡剤1部を分散、混合したインキをグラビア印刷により印刷して光輝層221を設け、更に、前記光輝層221上に粘着層6としてアクリル系樹脂トルエン−酢酸エチル溶液(固形分40%)を塗工し、溶剤を蒸発させて光輝性シールを作製した。
前記光輝性シールの粘着層6側を、上部支持体22に貼り合わせて磁気表示装置1を得た。
【0038】
前記磁気表示装置1は、光輝性シールを貼り合わせた側から視覚すると、磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の光輝性シール上を磁気ペンを用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4が上部支持体22の下面まで泳動して形成される黒色の像が、光輝層221中に含まれるコレステリック液晶ポリマー顔料によって、視点により青色、又は暗紫色に視覚される。
前記金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0039】
実施例6(図7参照)
表面に親油処理を施した酸化チタン粉体(粒径0.3μm)15部をフタル酸ジブチル84.5部に分散した白色分散媒体3中に、磁性粒子4としてシリコン表面処理を施した二酸化マンガン10%を含有するマグネタイト粉体(粒径0.5μm)0.5部を均一に分散して分散液を得た。
次に、10%ゼラチン水溶液200部、10%アラビアゴム水溶液200部、水100部を混合し、約50℃に昇温した後、10%酢酸水溶液を加えてpHを4に調整した溶液中に、前記分散液100部を加え、分散液の液滴が約400μmになるように攪拌した。水を加えて徐冷した後、更に5℃まで冷却し、25%グルタルアルデヒド水溶液を約10部加え、分散液の液滴の界面上に析出したゼラチン/アラビアゴム重合体膜を硬化し、磁性粒子4と白色分散媒体3を含有したマイクロカプセル8を得た。
前記マイクロカプセル8を20部と、10%ポリビニルアルコール水溶液10部とを混合した塗布液を得た。
【0040】
表示面となる上部支持体22として50μm厚のポリエステルフィルム上に、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、ワッカーケミー社製〕10部、及び酸化錫、酸化チタン被覆シリカフレーク顔料〔商品名:Colorstream T10−01(Viola Fantasy)、メルク社製〕8部、アクリル酸エステル樹脂40部、シリコーン系消泡剤0.5部、酢酸ブチル20部、芳香族中沸点溶剤15部を均一に分散したインキをスクリーン印刷により印刷して光輝層221を設け、更に光輝層221上に前記塗布液をドクターコートにより約500μmのウエット厚みに塗布した後、乾燥させて磁気表示装置1を得た。
【0041】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、マイクロカプセル8中の磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3により白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上に磁気ペン9を用いて筆記すると、沈降していた磁性粒子4がカプセル内の上面まで泳動して形成される黒色の像が、前記光輝層221によって、視認角度に対応して金色/赤茶色/紫色の各金属光沢色に視覚される。
前記金属光沢色の像は、磁気表示装置1の下面から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0042】
実施例7(図8参照)
下部支持体21として、塩化ビニル樹脂100部、エポキシ樹脂系可塑剤3部、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHCScarabeus(SLM90120)、緑色→青色、ワッカーケミー社製〕15部を均一に混合し、カレンダー成形してポリ塩化ビニルフィルムを作製した。
又、上部支持体22として、塩化ビニル樹脂100部、エポキシ樹脂系可塑剤3部、コレステリック液晶ポリマーからなるフレーク顔料〔商品名:ヘリコーンHC Maple(SLM90320)、金色→緑青色、ワッカーケミー社製〕15部を均一に混合し、カレンダー成形してポリ塩化ビニルフィルムを作製した。
【0043】
実施例6で作製したマイクロカプセル20部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン(固形分35%)10部を混合した塗布液をドクターコートにより前記下部支持体21上に約500μmのウエット厚みに塗布し、乾燥する前に上部支持体22を接着させ、両面に異なる金属光沢色を有する磁気表示装置1を得た。
【0044】
前記磁気表示装置1は、上部支持体22側から視覚すると、マイクロカプセル8中の磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体3による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の上部支持体22上を磁気ペン9を用いて筆記すると、磁性粒子4がマイクロカプセル8内の上面まで泳動して形成される黒色の像が、上部支持体22中に含まれる金属光沢顔料によって、視認角度により金色、又は緑青色の金属光沢色に視覚される。
前記金属光沢像は、下部支持体21側から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0045】
又、下部支持体21側から視覚すると、マイクロカプセル8中の磁性粒子4が沈降した状態では分散媒体による白色を呈する。
前記磁気表示装置1の下部支持体21上を磁気ペン9を用いて筆記すると、磁性粒子4がマイクロカプセル8内の上面まで泳動して形成される黒色の像が、下部支持体21中に含まれる金属光沢顔料によって視認角度により緑色、又は青色の金属光沢色に視覚される。
前記金属光沢像は、上部支持体22側から磁性体を作用させて磁性粒子4を沈降させることによって消去され、再び元の白色を呈する状態に戻る。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、分散媒体中の磁性粒子の泳動により形成される像に、輝度の高い光輝性と共に、視認角度に対応した明確な色調変化を付与できるため、意外性に富み、応用性に優れた装飾効果の高い磁気表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気表示装置における一実施例の縦断面図である。
【図2】図1の磁気表示装置に磁気ペンを用いた状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図4】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図5】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図6】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図7】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【図8】本発明の磁気表示装置における他の実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
1 磁気表示装置
2 平面状表示体
21 下部支持体
22 上部支持体
221 光輝層
3 分散媒体
4 磁性粒子
5 多セル板
6 粘着層
7 トップコート層
8 マイクロカプセル
9 磁気ペン
Claims (4)
- 少なくとも表示面が透明性を有する非磁性材からなる上部支持体及び下部支持体間に分散媒体と磁性粒子を収容してなり、前記支持体間の磁性粒子の移動或いは配向により像を現出又は消去させる磁気表示装置において、前記表示面が、視認角度によって色調が変化する光輝性を有することを特徴とする磁気表示装置。
- 少なくとも表示面が透明性を有する非磁性材からなる支持体の下面に、分散媒体及び磁性粒子を内包した複数のマイクロカプセルを設け、前記マイクロカプセル内の磁性粒子の移動或いは配向により像を現出又は消去させる磁気表示装置において、前記表示面が、視認角度によって色調が変化する光輝性を有することを特徴とする磁気表示装置。
- 上部支持体及び下部支持体間に分散媒体及び磁性粒子を内包した複数のマイクロカプセルを固着してなる請求項2記載の磁気表示装置。
- 前記支持体中に、視認角度によって色調が変化する金属光沢顔料を分散してなる、或いは、前記支持体の上面及び/又は下面に、前記金属光沢顔料を含む光輝層を設けてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003118954A JP2004325683A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 磁気表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003118954A JP2004325683A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 磁気表示装置 |
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JP (1) | JP2004325683A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006259706A (ja) * | 2005-02-15 | 2006-09-28 | Bridgestone Corp | 可逆式情報表示パネル |
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2003
- 2003-04-23 JP JP2003118954A patent/JP2004325683A/ja active Pending
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