JP2004319781A - フレキシブルプリント基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】更なる薄層化を実現し、耐屈曲性に優れたフレキシブル積層板、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属からなる回路と、可撓性樹脂からなる樹脂基材とからなるフレキシブルプリント基板において、前記樹脂基材は、その表面に少なくとも1つの凹部を有し、前記回路は、その上端面を露出して前記凹部に埋設されており、該上端面は、前記樹脂基材の表面と略同一平面上にあることを特徴とするフレキシブルプリント基板、およびその製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】金属からなる回路と、可撓性樹脂からなる樹脂基材とからなるフレキシブルプリント基板において、前記樹脂基材は、その表面に少なくとも1つの凹部を有し、前記回路は、その上端面を露出して前記凹部に埋設されており、該上端面は、前記樹脂基材の表面と略同一平面上にあることを特徴とするフレキシブルプリント基板、およびその製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路の密着力、耐屈曲性、電気特性に優れ、高密度配線が容易なフレキシブルプリント基板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より用いられているフレキシブルプリント基板として、例えば、特許文献1にあるような、ポリイミドフィルム層、接着剤層、銅層の3層から構成されているものがある。これは、ポリイミドフィルムと銅箔とを接着剤を介して接着させ、3層構造のフレキシブル銅張積層板としたものである。
しかしながら、このような3層構造の積層板には接着剤層が存在するため、薄層化には限界がある。また、接着剤層として、ポリイミドフィルムよりも耐熱性、電気特性、機械強度に劣る接着剤が用いられるために、ポリイミドフィルムの特性が充分に活かされないという問題もある。
【0003】
そこで、このような3層構造の積層板の欠点を補うものとして、接着剤層が存在しない2層構造(銅箔層とポリイミドフィルム層からなる)の積層板が開発されている。この2層構造の積層板は、接着剤層が存在しないため、ポリイミドフィルムの特性を充分に活かすことができるうえに、上記3層構造の積層板よりも薄膜化させることができ、軽量化と共に耐熱性および電気特性の向上が可能となっている。
このような2層構造の積層板は、特許文献2にあるような、銅箔の片面または両面にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のワニスを塗布した後、熱処理を施してイミド化させるキャスト法や、特許文献3にあるような、銅片を高真空中で加熱蒸発させてポリイミドフィルム表面に薄膜として形成させる蒸着法、またはメッキ液中での化学還元反応によりポリイミドフィルム表面に銅を析出させて銅層を形成する無電解メッキ法などにより作製することができる。
【0004】
しかしながら、近年、更なる電子機器の軽量化、回路の微細化が進行してきており、ポリイミドフィルム層、銅箔層のいずれに対しても、より一層の薄膜化が望まれている。
しかし、2層構造のフレキシブルプリント基板を作製するにあたって、より一層の薄膜化を特許文献2、3等に記載される方法で行おうとすると、材料(ポリイミドフィルムまたは銅箔)のハンドリング性が悪くなり、薄膜化を図ることが困難であった。また、蒸着法やメッキ法などによってポリイミドフィルム上に金属を積層させる方法は、ポリイミドフィルムと金属との界面において剥離を生じやすい、すなわち密着性が悪いという問題があり、これが原因で耐屈曲性に劣るといった問題も抱えていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−48264号公報
【特許文献2】
特開平5−129774号公報
【特許文献3】
特開平5−183266号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、上記問題を解決し、更なる薄層化を実現し、耐屈曲性に優れたフレキシブルプリント基板およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
(1)金属からなる回路と、可撓性樹脂からなる樹脂基材とからなるフレキシブルプリント基板において、前記樹脂基材は、その表面に少なくとも1つの凹部を有し、前記回路は、その上端面を露出して前記凹部に埋設されており、該上端面は、前記樹脂基材の表面と略同一平面上にあることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
(2)前記可撓性樹脂が、前記回路内の少なくとも一部に浸透していることを特徴とする(1)記載のフレキシブルプリント基板。
(3)前記回路内に浸透している前記可撓性樹脂の濃度に傾斜勾配があることを特徴とする(2)記載のフレキシブルプリント基板。
(4)前記可撓性樹脂が、ポリイミド樹脂および/またはポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
(5)前記樹脂基材が、さらにアルコキシシランおよび/またはアルコキシチタンを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
(6)基体上に、金属粒子を含有する導電ペーストを塗布、乾燥して未焼結回路を形成する工程と、該未焼結回路を焼結して回路を形成する工程と、前記未焼結回路または前記回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
(7)基体上に、金属化合物を含有する導電ペーストを塗布、乾燥して回路を形成する工程と、該回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
(8)基体上に、金属を蒸着および/またはメッキして回路を形成する工程と、該回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のフレキシブルプリント基板1の平面図(a)、および該平面図の位置A−A’における断面図(b)を示す。
本発明のフレキシブルプリント基板1は回路2および樹脂基材3からなっている。図1(b)に示すように、樹脂基材3は、その表面に複数の凹部3aを有し、回路2は、その上端面2aを露出して凹部3aに埋設されており、該上端面2aは、樹脂基材3の表面(図1(b)中に矢印で示した面)と略同一平面上にある。
【0009】
回路2は、金属からなるものであり、該回路2としては、金属粒子の焼結により形成される回路、金属溶液の還元および/または分解により形成される回路、もしくは金属の蒸着および/またはメッキにより形成される回路が挙げられる。このようにして形成される回路は、体積抵抗で5×10−5〜2×10−6Ω・cm程度の抵抗値を有する。
回路2の厚みは、0.01〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。厚みが0.01μmよりも小さいと微細な回路を形成した際に十分な導電性を得ることができないおそれがある。一方、厚みが50μmよりも大きいと、薄膜化、軽量化がなされないし、耐屈曲性に乏しい回路となりやすい。
【0010】
金属粒子の焼結により形成される回路としては、金属粒子を含有する導電ペーストを焼結して得られる回路が挙げられる。この場合、金属としては、金、銀および銅から選ばれる1種または2種以上が望ましい。
このような回路としては、金属粉末と無機結合剤とを有機ビヒクル中に分散した導電ペーストを高温焼結して、有機ビヒクルを焼損させた回路や、1〜500nmといったナノサイズの粒径を有する金属粒子を金属の融点以下、常温付近の温度で焼結し、低抵抗の回路としたものがある。
有機ビヒクルとしては、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の樹脂をテルビネオール、ブチルカルビトール等の溶剤に溶解したものなどが挙げられる。
無機結合剤としては、ホウケイ酸亜鉛系の低融点ガラス等が挙げられる。
従来、上記したような高温焼結するタイプの導電ペーストは、通常、400〜800℃程度の高温が必要であるため、このような導電ペーストを用いて回路を有機樹脂上に形成することは困難であったが、本発明においては、製造の際に、後述する基体として耐熱性の高い無機基体を用いることにより、有機樹脂上に金属からなる回路が形成されたフレキシブルプリント基板を得ることが可能となっている。
【0011】
金属溶液の還元および/または分解により形成される回路としては、酸化金属の還元や、金属塩の還元、または有機金属化合物の分解によって生成される回路が挙げられる。すなわち、酸化銀、酸化銅のような金属酸化物の微粒子を含有するコロイド溶液(金属溶液)に後述する還元剤を添加するなどによって還元して得られる回路や、硝酸銀、ハロゲン化銀、酢酸銀などの銀化合物、硝酸銅、ハロゲン化銅、酢酸銅などの銅化合物を、上記と同様に還元剤により還元して得られる回路、金属カルボン酸化合物、金属アミン化合物、金属メルカプト化合物、アセチルアセトン金属錯体などの有機金属化合物を加熱により分解して得られる回路などを挙げることができる。また、これらの形成方法を組み合わせて形成される回路を使用することも可能である。
金属溶液の溶剤としては、特に限定する必要はなく、水や、アルコール系、ケトン系、エステル系、炭化水素系、芳香族系の有機溶剤が挙げられる。
【0012】
金属の蒸着および/またはメッキにより形成される回路としては、公知の蒸着法および/またはメッキ法によって得られる回路が挙げられる。この場合、金属としては、金、銀、銅、ニッケルの1種または2種以上の金属が望ましい。
蒸着法としては、物理蒸着法と、化学蒸着法(CVD法)があり、いずれの方法も使用可能である。中でも、物理蒸着法の1つであるスパッタリング法は、形成される回路が緻密で耐折り曲げ性に優れ、また、膜厚のコントロールがしやすい等の理由で、好ましく用いられる。
【0013】
樹脂基材3は、可撓性樹脂からなるものであり、例えば、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を、回路2に塗布、乾燥して形成されるものを挙げることができる。
樹脂基材3の厚みは、特に制限はないが、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。厚みが3μmより薄くなると、樹脂基材の強度が不足して取扱中に破損しやすくなり、50μmより厚いと、当該フレキシブルプリント基板を使用した機器の薄膜化を妨げるおそれがある。
【0014】
可撓性樹脂としては、可撓性を有し、有機溶剤に可溶なものであれば使用可能であるが、機械的強度、耐熱性に優れたものが好ましく、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂等が例示される。特に、耐熱性、機械的特性、電気的特性に優れたポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂が望ましい。これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂としては、ポリアミック酸を閉環する前は有機溶剤に可溶であって、ポリアミック酸を閉環した後は有機溶剤に不溶である通常のポリイミド樹脂の閉環前のものと、ポリアミック酸を閉環した後にも有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂があるが、どちらも使用が可能である。
【0015】
さらに、回路2への密着性を向上し、より耐熱性に優れたものとするために、上記樹脂基材3に、さらにアルコキシシランおよび/またはアルコキシチタンを含有させることが最も望ましい形態である。これにより、樹脂基材3を、無機シラン、無機チタンと可撓性樹脂とのいわゆる有機無機ハイブリット樹脂とすることができる。
【0016】
有機溶剤としては、上記した可撓性樹脂を溶解することができるものであれば特に限定する必要はなく、アルコール系、ケトン系、エステル系、炭化水素系、芳香族系溶剤などの任意の有機溶剤を用いることができる。
【0017】
本発明のフレキシブルプリント基板1においては、回路2内の少なくとも一部に、樹脂基材3を構成する可撓性樹脂が浸透していることが望ましい。すなわち、例えば前記した焼結型の導電ペーストを基体に印刷し、乾燥、焼結を行うことによって形成される回路には、導電ペーストに含まれていた溶剤や、有機ビヒクル成分が蒸発することによって形成される微細な空隙が多数生じる。ここに、可撓性樹脂を含む樹脂溶液を塗布すると、容易に可撓性樹脂が回路2内に浸透し、回路2と樹脂基材3との密着力がより強固になる。
また、回路2を蒸着法やメッキ法で形成した場合でも、その表面は複雑に凹凸が形成されているため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0018】
上記した回路2内に浸透している可撓性樹脂の濃度には、傾斜勾配があることが望ましい。この傾斜勾配は、回路2と樹脂基材3との界面から、回路2内部に向けて傾斜的に生じるものであり、可撓性樹脂の濃度は、回路2の、樹脂基材3との界面部分が最も高く、回路2内部に向けて次第に低くなっていく。この傾斜勾配の有無は、断面の光学顕微鏡または電子顕微鏡による観察や、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)などの分析手法によって回路内部の元素濃度を追跡することで判別できる。
【0019】
図2に、本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法を示す。
本発明において、フレキシブルプリント基板1は、以下の工程a)〜c)により製造される。
a)基体4上に、任意に後述する剥離材などを介在させて、回路2を、直接形成する工程、または薄膜状の金属層を設けた後、該金属層を、エッチング法により所望の形状に形成する工程、
b)回路2上に、上記可撓性樹脂および有機溶剤を含有する樹脂溶液を塗布し、有機溶剤を乾燥して樹脂基材3を形成し、基体4、回路2および樹脂基材3からなる積層体5を得る工程、
c)前記積層体5から前記基体4を剥離し、フレキシブルプリント基板1を得る工程。
なお、工程a)における「直接形成」とは、印刷等の手段により、一段階で回路の形状を形成することを意味する。
【0020】
前記基体4としては、ハンドリング性に優れたものであることが望ましい。ハンドリング性に優れた基体を使用することによって、2層構造各層の薄層化を図ることができる。基体4の材質としては、例えば、ガラス板、金属板、セラミック板などの無機基体;ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂等からなるプラスチックシート、プラスチックフィルムなどの有機基体を用いることができる。また、基体4の厚みとしては、20μm以上が好ましく、20μm〜10mmがより好ましい。
用いる基体は、回路の形成方法、製造効率等を考慮しながら種々選択すればよい。たとえば、回路を高温の焼結によって得る場合には、耐熱性に優れた無機基体を用いることが望ましい。また、基体として、フィルム状態で連続的に供給して巻き取ることができる有機基体を用いる場合には、製造効率の良い工程が設計できる。
【0021】
この基体4は、最終的には製品(フレキシブルプリント基板)から剥離されるものである。そのため、基体4の表面には、剥離性を向上するための剥離材を設けておくことが好ましい。この剥離材としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂からなる有機剥離材や、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜、酸化ジルコニウム薄膜などの離型性セラミックのような無機剥離材が使用でき、特に耐熱性、耐久性に優れた無機剥離材を用いることが望ましい。
【0022】
製造工程a)〜c)をより詳細に説明する。
まず、工程a)において、前記のように剥離材処理された基体4上に、前記したように、金属粒子の焼結、金属溶液の還元および/または分解、もしくは金属の蒸着および/またはメッキにより、厚みが好ましくは0.01μm〜50μm、より好ましくは1〜20μmとなるように回路2を形成する。
回路2を、直接形成する場合は、基体4上に、所定の回路パターンで、スクリーン印刷、グラビア印刷などの公知の印刷法により、金属粒子を含む導電ペーストを印刷した後焼結する、もしくは還元剤を含む金属溶液を印刷する等の方法によって回路2を形成できる。
一方、回路2を、薄膜状の金属層を設けた後、該金属層を、エッチング法により所望の形状に形成する場合は、基体4上に、金属粒子の焼結、金属溶液の還元、もしくは金属の蒸着および/またはメッキにより薄膜状の金属層を設けた後、該金属層を、フォトレジストにより表面をマスクし、エッチング液により不要の金属層を除去するといった公知のエッチング法により所定の回路パターンに形成することによって回路2を形成できる。
【0023】
前記したように、金属粒子の焼結により回路を設ける場合には、基体4上に、金属粒子を含有する導電ペーストを、焼結したときの厚みが上記した範囲になるように印刷、またはマスクを介して塗布し、溶剤を乾燥して未焼結回路を形成した後、該未焼結回路を焼結すればよい。また、薄膜状の金属層(焼結後)を形成した後、該金属層のエッチングにより回路を形成してもよい。
なお、未焼結回路の焼結は、樹脂基材を設ける前に溶剤の乾燥と同時に行ってもよく、樹脂基材を設けた後に行ってもよい。後者のように、焼結前に樹脂基材を設けることによって、回路と樹脂基材との密着性が向上し、これによって耐屈曲性に優れたものとなるので好ましい。
また、未焼結回路の焼結は、複数回行ってもよく、例えば、樹脂基材を設ける前と設けた後の2回行ってもよい。
【0024】
金属溶液の還元および/または分解により金属層を設ける場合には、上述した金属化合物および必要に応じて還元剤を含有する導電ペーストを基体上に印刷、またはマスクを介して塗布し、加熱、乾燥して回路を形成する。また、薄膜状の金属層(還元または分解後)を形成した後、該金属層のエッチングにより回路を形成してもよい。
還元剤としては、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどの還元性樹脂や、アスコルビン酸、ハイドロキノン、ベンゾキノン、カテコール、p−メトキシフェノール、ヒドラジン類、ホルムアルデヒド、グルコース、アミン類、トコフェロールなどが挙げられる。
導電ペーストの塗布は、上記と同様に、形成した回路の厚みが上記した範囲になるように行えばよい。
【0025】
また、金属の蒸着および/またはメッキにより金属層を設ける場合には、蒸着および/またはメッキ後の厚みが上記した範囲になるように、基体上に、薄膜状の金属層を形成した後、該金属層のエッチングにより回路を形成すればよい。また、所定のマスクを介して、金属を蒸着および/またはメッキしてもよい。
【0026】
次いで、工程b)において、回路2(または未焼結金属層)上に、上記樹脂溶液を塗布し、有機溶剤を乾燥して樹脂基材3を形成し、基体4、回路2および樹脂基材3からなる積層体5を得る。
樹脂溶液の塗布は、バーコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷などの公知の塗布方法によって行うことができる。
乾燥は、例えば、熱風炉、IR炉などを用い、通常100〜250℃程度の加熱によって行うことができる。
【0027】
次いで、工程c)において、積層体5から基体4を剥離し、フレキシブルプリント基板1を得る。
【0028】
上述のように、ハンドリング性に優れた基体上に回路を形成し、該回路上に溶液状の可撓性樹脂を塗布、乾燥して樹脂基材を形成する本発明の方法により製造されるフレキシブルプリント基板1は、前述したように、回路2内の少なくとも一部に、樹脂基材3を構成する可撓性樹脂が浸透しており、回路2と樹脂基材3との密着力が強固である。また、従来のように樹脂層(フィルム成形体)上に金属層を直接形成することによる金属層と樹脂層との密着性の不足が解消され、これによって耐屈曲性の向上がなされた、密着性および耐屈曲性の優れたものとなる。また、回路2が樹脂基材3内に埋設されているため、さらなる薄層化が実現可能であり、また、それと同時に、樹脂基材によって回路が保持されるという利点も有する。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0030】
(実施例1)
基体として厚み5mmの耐熱ガラスを用い、この上に酸化ジルコニウムをスパッタリングして離型基体を作製した。
次いで、圧力0.6Torr(80Pa)のヘリウム真空条件下で銀を蒸発させ、生成した銀超微粒子にミネラルスピリットの蒸気を接触させて冷却回収して、溶媒(ミネラルスピリット)中に独立した状態で分散している平均粒子径0.01μmの銀超微粒子を20wt%含有する導電ペーストを作製した。
この導電ペーストを、上記で作製した離型基体上に、スクリーン印刷法により塗布してライン&スペース=100μm(100μm間隔で形成された幅 μmのライン)の複数の配線ラインを形成し、250℃で48時間乾燥、焼結して、厚み2μmの回路を得た。
この回路上に、固形分30%のポリアミドイミド溶液(バイロマックス:東洋紡績製)を、コンマコーターを用いて、厚み50μmでコーティングし、180℃で10分間乾燥して、樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、ESCAにより分析した結果、回路内に浸透したポリアミドイミドの濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を下記手順で測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
(厚み)
JIS C 6471に従い、電気マイクロメーターにて測定した値を示す。
(耐屈曲性)
JIS C 6471による耐折性試験を行い、断線するまでの回数を測定した。
【0032】
(実施例2)
基体として厚み50μmのポリイミドフィルム(カプトンEN:東レ・デュポン製)を用い、この上にシリコーン離型材(KS839:信越化学工業製)を塗布して離型基体を作製した。
還元型銀導電ペースト(XA−9024:藤倉化成製)を上記で作製した離型基体上に、スクリーン印刷法により塗布してライン&スペース=100μmの複数の配線ラインを形成し、180℃で1時間乾燥、焼結して厚さ2μmの回路を得た。
この回路上に、固形分30%のポリアミドイミド溶液(バイロマックス:東洋紡績製)をコンマコーターを用いて厚み50μmでコーティングし、180℃で10分間乾燥し、厚み15μmの樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、実施例1と同様にして分析した結果、回路内に浸透したポリアミドイミドの濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3)
基体として厚み50μmのポリイミドフィルム(カプトンEN:東レ・デュポン製)を用い、この上に、銅スパッタリングにより厚さ0.2μmの銅箔層を形成した。
この銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの複数の配線ラインを形成して回路を得た。
この回路上に、固形分30%のポリアミドイミド溶液(バイロマックス:東洋紡績製)をコンマコーターを用いて厚み50μmでコーティングし、180℃で10分間乾燥して、厚み15μmの樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、実施例1と同様にして分析した結果、回路内に浸透したポリアミドイミドの濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
(実施例4)
基体として厚み5mmの耐熱ガラスを用い、この上に酸化ジルコニウムをスパッタリングして離型基体を作製した。
圧力0.6Torr(80Pa)のヘリウム真空条件下で銀を蒸発させ、生成した銀超微粒子にミネラルスピリットの蒸気を接触させて冷却回収し、溶媒(ミネラルスピリット)中に独立した状態で分散している平均粒子径0.01μmの銀超微粒子を20wt%含有する導電ペーストを作製した。
この導電ペーストを、上記で作製した離型基体上に、スクリーン印刷法により塗布してライン&スペース=100μmの複数の配線ラインを形成し、250℃で48時間乾燥、焼結して厚さ2μmの回路を得た。
次に、ポリアミック酸(Pyre−ML:(株)I.S.T製)にN−メチルピロリドンを加え、80℃まで昇温し、エポキシ基含有アルコキシシラン(KBM403:信越化学工業製)と触媒として2−メチルイミダゾールを加え、80℃で4時間、反応させた。これを室温まで冷却し、固形分20%のアルコキシシラン含有ポリアミック酸樹脂溶液を得た。
前記の回路上に、上記で作製したアルコキシシラン含有ポリアミック酸樹脂溶液をコンマコーターを用いて厚み50μmでコーティングし、180℃で24時間乾燥し、厚み10μmの樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、実施例1と同様にして分析した結果、回路内に浸透したアルコキシシラン含有ポリアミック酸樹脂の濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
(比較例1)
市販の3層銅貼積層板(RAS32S47:信越化学工業製)を用い、その銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの回路を形成してフレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
(比較例2)
市販のキャスティング法2層銅貼積層板(エスパネックス:新日鐵製)を用い、その銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの回路を形成してフレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
(比較例3)
市販の蒸着法2層銅貼積層板(メタロイヤル:東洋メタライジング製)を用い、その銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの回路を形成してフレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から明らかなように、実施例1〜4のフレキシブルプリント基板は、厚みが15μm以下と非常に薄く、それと同時に、耐屈曲性も50000回以上と非常に優れていた。また、樹脂基材が回路内へ浸透しており、その浸透濃度に傾斜勾配が見られた。
これに対し、比較例1、3の積層板は、厚みが厚く、耐屈曲性も劣っていた。また、比較例2の積層板は、耐屈曲性は良好であるものの、厚みが厚いものであった。また、比較例1〜3の積層板には、回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
【0040】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、更なる薄層化を実現し、耐屈曲性に優れたフレキシブルプリント基板、およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルプリント基板の平面図(a)および位置A−A’における断面図(b)。
【図2】本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法を示す説明図。
【符号の説明】
1…フレキシブルプリント基板、2…回路、3…樹脂基材、4…基体、5…積層体
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路の密着力、耐屈曲性、電気特性に優れ、高密度配線が容易なフレキシブルプリント基板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より用いられているフレキシブルプリント基板として、例えば、特許文献1にあるような、ポリイミドフィルム層、接着剤層、銅層の3層から構成されているものがある。これは、ポリイミドフィルムと銅箔とを接着剤を介して接着させ、3層構造のフレキシブル銅張積層板としたものである。
しかしながら、このような3層構造の積層板には接着剤層が存在するため、薄層化には限界がある。また、接着剤層として、ポリイミドフィルムよりも耐熱性、電気特性、機械強度に劣る接着剤が用いられるために、ポリイミドフィルムの特性が充分に活かされないという問題もある。
【0003】
そこで、このような3層構造の積層板の欠点を補うものとして、接着剤層が存在しない2層構造(銅箔層とポリイミドフィルム層からなる)の積層板が開発されている。この2層構造の積層板は、接着剤層が存在しないため、ポリイミドフィルムの特性を充分に活かすことができるうえに、上記3層構造の積層板よりも薄膜化させることができ、軽量化と共に耐熱性および電気特性の向上が可能となっている。
このような2層構造の積層板は、特許文献2にあるような、銅箔の片面または両面にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のワニスを塗布した後、熱処理を施してイミド化させるキャスト法や、特許文献3にあるような、銅片を高真空中で加熱蒸発させてポリイミドフィルム表面に薄膜として形成させる蒸着法、またはメッキ液中での化学還元反応によりポリイミドフィルム表面に銅を析出させて銅層を形成する無電解メッキ法などにより作製することができる。
【0004】
しかしながら、近年、更なる電子機器の軽量化、回路の微細化が進行してきており、ポリイミドフィルム層、銅箔層のいずれに対しても、より一層の薄膜化が望まれている。
しかし、2層構造のフレキシブルプリント基板を作製するにあたって、より一層の薄膜化を特許文献2、3等に記載される方法で行おうとすると、材料(ポリイミドフィルムまたは銅箔)のハンドリング性が悪くなり、薄膜化を図ることが困難であった。また、蒸着法やメッキ法などによってポリイミドフィルム上に金属を積層させる方法は、ポリイミドフィルムと金属との界面において剥離を生じやすい、すなわち密着性が悪いという問題があり、これが原因で耐屈曲性に劣るといった問題も抱えていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−48264号公報
【特許文献2】
特開平5−129774号公報
【特許文献3】
特開平5−183266号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、上記問題を解決し、更なる薄層化を実現し、耐屈曲性に優れたフレキシブルプリント基板およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
(1)金属からなる回路と、可撓性樹脂からなる樹脂基材とからなるフレキシブルプリント基板において、前記樹脂基材は、その表面に少なくとも1つの凹部を有し、前記回路は、その上端面を露出して前記凹部に埋設されており、該上端面は、前記樹脂基材の表面と略同一平面上にあることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
(2)前記可撓性樹脂が、前記回路内の少なくとも一部に浸透していることを特徴とする(1)記載のフレキシブルプリント基板。
(3)前記回路内に浸透している前記可撓性樹脂の濃度に傾斜勾配があることを特徴とする(2)記載のフレキシブルプリント基板。
(4)前記可撓性樹脂が、ポリイミド樹脂および/またはポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
(5)前記樹脂基材が、さらにアルコキシシランおよび/またはアルコキシチタンを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
(6)基体上に、金属粒子を含有する導電ペーストを塗布、乾燥して未焼結回路を形成する工程と、該未焼結回路を焼結して回路を形成する工程と、前記未焼結回路または前記回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
(7)基体上に、金属化合物を含有する導電ペーストを塗布、乾燥して回路を形成する工程と、該回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
(8)基体上に、金属を蒸着および/またはメッキして回路を形成する工程と、該回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のフレキシブルプリント基板1の平面図(a)、および該平面図の位置A−A’における断面図(b)を示す。
本発明のフレキシブルプリント基板1は回路2および樹脂基材3からなっている。図1(b)に示すように、樹脂基材3は、その表面に複数の凹部3aを有し、回路2は、その上端面2aを露出して凹部3aに埋設されており、該上端面2aは、樹脂基材3の表面(図1(b)中に矢印で示した面)と略同一平面上にある。
【0009】
回路2は、金属からなるものであり、該回路2としては、金属粒子の焼結により形成される回路、金属溶液の還元および/または分解により形成される回路、もしくは金属の蒸着および/またはメッキにより形成される回路が挙げられる。このようにして形成される回路は、体積抵抗で5×10−5〜2×10−6Ω・cm程度の抵抗値を有する。
回路2の厚みは、0.01〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。厚みが0.01μmよりも小さいと微細な回路を形成した際に十分な導電性を得ることができないおそれがある。一方、厚みが50μmよりも大きいと、薄膜化、軽量化がなされないし、耐屈曲性に乏しい回路となりやすい。
【0010】
金属粒子の焼結により形成される回路としては、金属粒子を含有する導電ペーストを焼結して得られる回路が挙げられる。この場合、金属としては、金、銀および銅から選ばれる1種または2種以上が望ましい。
このような回路としては、金属粉末と無機結合剤とを有機ビヒクル中に分散した導電ペーストを高温焼結して、有機ビヒクルを焼損させた回路や、1〜500nmといったナノサイズの粒径を有する金属粒子を金属の融点以下、常温付近の温度で焼結し、低抵抗の回路としたものがある。
有機ビヒクルとしては、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の樹脂をテルビネオール、ブチルカルビトール等の溶剤に溶解したものなどが挙げられる。
無機結合剤としては、ホウケイ酸亜鉛系の低融点ガラス等が挙げられる。
従来、上記したような高温焼結するタイプの導電ペーストは、通常、400〜800℃程度の高温が必要であるため、このような導電ペーストを用いて回路を有機樹脂上に形成することは困難であったが、本発明においては、製造の際に、後述する基体として耐熱性の高い無機基体を用いることにより、有機樹脂上に金属からなる回路が形成されたフレキシブルプリント基板を得ることが可能となっている。
【0011】
金属溶液の還元および/または分解により形成される回路としては、酸化金属の還元や、金属塩の還元、または有機金属化合物の分解によって生成される回路が挙げられる。すなわち、酸化銀、酸化銅のような金属酸化物の微粒子を含有するコロイド溶液(金属溶液)に後述する還元剤を添加するなどによって還元して得られる回路や、硝酸銀、ハロゲン化銀、酢酸銀などの銀化合物、硝酸銅、ハロゲン化銅、酢酸銅などの銅化合物を、上記と同様に還元剤により還元して得られる回路、金属カルボン酸化合物、金属アミン化合物、金属メルカプト化合物、アセチルアセトン金属錯体などの有機金属化合物を加熱により分解して得られる回路などを挙げることができる。また、これらの形成方法を組み合わせて形成される回路を使用することも可能である。
金属溶液の溶剤としては、特に限定する必要はなく、水や、アルコール系、ケトン系、エステル系、炭化水素系、芳香族系の有機溶剤が挙げられる。
【0012】
金属の蒸着および/またはメッキにより形成される回路としては、公知の蒸着法および/またはメッキ法によって得られる回路が挙げられる。この場合、金属としては、金、銀、銅、ニッケルの1種または2種以上の金属が望ましい。
蒸着法としては、物理蒸着法と、化学蒸着法(CVD法)があり、いずれの方法も使用可能である。中でも、物理蒸着法の1つであるスパッタリング法は、形成される回路が緻密で耐折り曲げ性に優れ、また、膜厚のコントロールがしやすい等の理由で、好ましく用いられる。
【0013】
樹脂基材3は、可撓性樹脂からなるものであり、例えば、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を、回路2に塗布、乾燥して形成されるものを挙げることができる。
樹脂基材3の厚みは、特に制限はないが、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。厚みが3μmより薄くなると、樹脂基材の強度が不足して取扱中に破損しやすくなり、50μmより厚いと、当該フレキシブルプリント基板を使用した機器の薄膜化を妨げるおそれがある。
【0014】
可撓性樹脂としては、可撓性を有し、有機溶剤に可溶なものであれば使用可能であるが、機械的強度、耐熱性に優れたものが好ましく、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂等が例示される。特に、耐熱性、機械的特性、電気的特性に優れたポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂が望ましい。これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂としては、ポリアミック酸を閉環する前は有機溶剤に可溶であって、ポリアミック酸を閉環した後は有機溶剤に不溶である通常のポリイミド樹脂の閉環前のものと、ポリアミック酸を閉環した後にも有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂があるが、どちらも使用が可能である。
【0015】
さらに、回路2への密着性を向上し、より耐熱性に優れたものとするために、上記樹脂基材3に、さらにアルコキシシランおよび/またはアルコキシチタンを含有させることが最も望ましい形態である。これにより、樹脂基材3を、無機シラン、無機チタンと可撓性樹脂とのいわゆる有機無機ハイブリット樹脂とすることができる。
【0016】
有機溶剤としては、上記した可撓性樹脂を溶解することができるものであれば特に限定する必要はなく、アルコール系、ケトン系、エステル系、炭化水素系、芳香族系溶剤などの任意の有機溶剤を用いることができる。
【0017】
本発明のフレキシブルプリント基板1においては、回路2内の少なくとも一部に、樹脂基材3を構成する可撓性樹脂が浸透していることが望ましい。すなわち、例えば前記した焼結型の導電ペーストを基体に印刷し、乾燥、焼結を行うことによって形成される回路には、導電ペーストに含まれていた溶剤や、有機ビヒクル成分が蒸発することによって形成される微細な空隙が多数生じる。ここに、可撓性樹脂を含む樹脂溶液を塗布すると、容易に可撓性樹脂が回路2内に浸透し、回路2と樹脂基材3との密着力がより強固になる。
また、回路2を蒸着法やメッキ法で形成した場合でも、その表面は複雑に凹凸が形成されているため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0018】
上記した回路2内に浸透している可撓性樹脂の濃度には、傾斜勾配があることが望ましい。この傾斜勾配は、回路2と樹脂基材3との界面から、回路2内部に向けて傾斜的に生じるものであり、可撓性樹脂の濃度は、回路2の、樹脂基材3との界面部分が最も高く、回路2内部に向けて次第に低くなっていく。この傾斜勾配の有無は、断面の光学顕微鏡または電子顕微鏡による観察や、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)などの分析手法によって回路内部の元素濃度を追跡することで判別できる。
【0019】
図2に、本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法を示す。
本発明において、フレキシブルプリント基板1は、以下の工程a)〜c)により製造される。
a)基体4上に、任意に後述する剥離材などを介在させて、回路2を、直接形成する工程、または薄膜状の金属層を設けた後、該金属層を、エッチング法により所望の形状に形成する工程、
b)回路2上に、上記可撓性樹脂および有機溶剤を含有する樹脂溶液を塗布し、有機溶剤を乾燥して樹脂基材3を形成し、基体4、回路2および樹脂基材3からなる積層体5を得る工程、
c)前記積層体5から前記基体4を剥離し、フレキシブルプリント基板1を得る工程。
なお、工程a)における「直接形成」とは、印刷等の手段により、一段階で回路の形状を形成することを意味する。
【0020】
前記基体4としては、ハンドリング性に優れたものであることが望ましい。ハンドリング性に優れた基体を使用することによって、2層構造各層の薄層化を図ることができる。基体4の材質としては、例えば、ガラス板、金属板、セラミック板などの無機基体;ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂等からなるプラスチックシート、プラスチックフィルムなどの有機基体を用いることができる。また、基体4の厚みとしては、20μm以上が好ましく、20μm〜10mmがより好ましい。
用いる基体は、回路の形成方法、製造効率等を考慮しながら種々選択すればよい。たとえば、回路を高温の焼結によって得る場合には、耐熱性に優れた無機基体を用いることが望ましい。また、基体として、フィルム状態で連続的に供給して巻き取ることができる有機基体を用いる場合には、製造効率の良い工程が設計できる。
【0021】
この基体4は、最終的には製品(フレキシブルプリント基板)から剥離されるものである。そのため、基体4の表面には、剥離性を向上するための剥離材を設けておくことが好ましい。この剥離材としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂からなる有機剥離材や、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜、酸化ジルコニウム薄膜などの離型性セラミックのような無機剥離材が使用でき、特に耐熱性、耐久性に優れた無機剥離材を用いることが望ましい。
【0022】
製造工程a)〜c)をより詳細に説明する。
まず、工程a)において、前記のように剥離材処理された基体4上に、前記したように、金属粒子の焼結、金属溶液の還元および/または分解、もしくは金属の蒸着および/またはメッキにより、厚みが好ましくは0.01μm〜50μm、より好ましくは1〜20μmとなるように回路2を形成する。
回路2を、直接形成する場合は、基体4上に、所定の回路パターンで、スクリーン印刷、グラビア印刷などの公知の印刷法により、金属粒子を含む導電ペーストを印刷した後焼結する、もしくは還元剤を含む金属溶液を印刷する等の方法によって回路2を形成できる。
一方、回路2を、薄膜状の金属層を設けた後、該金属層を、エッチング法により所望の形状に形成する場合は、基体4上に、金属粒子の焼結、金属溶液の還元、もしくは金属の蒸着および/またはメッキにより薄膜状の金属層を設けた後、該金属層を、フォトレジストにより表面をマスクし、エッチング液により不要の金属層を除去するといった公知のエッチング法により所定の回路パターンに形成することによって回路2を形成できる。
【0023】
前記したように、金属粒子の焼結により回路を設ける場合には、基体4上に、金属粒子を含有する導電ペーストを、焼結したときの厚みが上記した範囲になるように印刷、またはマスクを介して塗布し、溶剤を乾燥して未焼結回路を形成した後、該未焼結回路を焼結すればよい。また、薄膜状の金属層(焼結後)を形成した後、該金属層のエッチングにより回路を形成してもよい。
なお、未焼結回路の焼結は、樹脂基材を設ける前に溶剤の乾燥と同時に行ってもよく、樹脂基材を設けた後に行ってもよい。後者のように、焼結前に樹脂基材を設けることによって、回路と樹脂基材との密着性が向上し、これによって耐屈曲性に優れたものとなるので好ましい。
また、未焼結回路の焼結は、複数回行ってもよく、例えば、樹脂基材を設ける前と設けた後の2回行ってもよい。
【0024】
金属溶液の還元および/または分解により金属層を設ける場合には、上述した金属化合物および必要に応じて還元剤を含有する導電ペーストを基体上に印刷、またはマスクを介して塗布し、加熱、乾燥して回路を形成する。また、薄膜状の金属層(還元または分解後)を形成した後、該金属層のエッチングにより回路を形成してもよい。
還元剤としては、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどの還元性樹脂や、アスコルビン酸、ハイドロキノン、ベンゾキノン、カテコール、p−メトキシフェノール、ヒドラジン類、ホルムアルデヒド、グルコース、アミン類、トコフェロールなどが挙げられる。
導電ペーストの塗布は、上記と同様に、形成した回路の厚みが上記した範囲になるように行えばよい。
【0025】
また、金属の蒸着および/またはメッキにより金属層を設ける場合には、蒸着および/またはメッキ後の厚みが上記した範囲になるように、基体上に、薄膜状の金属層を形成した後、該金属層のエッチングにより回路を形成すればよい。また、所定のマスクを介して、金属を蒸着および/またはメッキしてもよい。
【0026】
次いで、工程b)において、回路2(または未焼結金属層)上に、上記樹脂溶液を塗布し、有機溶剤を乾燥して樹脂基材3を形成し、基体4、回路2および樹脂基材3からなる積層体5を得る。
樹脂溶液の塗布は、バーコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷などの公知の塗布方法によって行うことができる。
乾燥は、例えば、熱風炉、IR炉などを用い、通常100〜250℃程度の加熱によって行うことができる。
【0027】
次いで、工程c)において、積層体5から基体4を剥離し、フレキシブルプリント基板1を得る。
【0028】
上述のように、ハンドリング性に優れた基体上に回路を形成し、該回路上に溶液状の可撓性樹脂を塗布、乾燥して樹脂基材を形成する本発明の方法により製造されるフレキシブルプリント基板1は、前述したように、回路2内の少なくとも一部に、樹脂基材3を構成する可撓性樹脂が浸透しており、回路2と樹脂基材3との密着力が強固である。また、従来のように樹脂層(フィルム成形体)上に金属層を直接形成することによる金属層と樹脂層との密着性の不足が解消され、これによって耐屈曲性の向上がなされた、密着性および耐屈曲性の優れたものとなる。また、回路2が樹脂基材3内に埋設されているため、さらなる薄層化が実現可能であり、また、それと同時に、樹脂基材によって回路が保持されるという利点も有する。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0030】
(実施例1)
基体として厚み5mmの耐熱ガラスを用い、この上に酸化ジルコニウムをスパッタリングして離型基体を作製した。
次いで、圧力0.6Torr(80Pa)のヘリウム真空条件下で銀を蒸発させ、生成した銀超微粒子にミネラルスピリットの蒸気を接触させて冷却回収して、溶媒(ミネラルスピリット)中に独立した状態で分散している平均粒子径0.01μmの銀超微粒子を20wt%含有する導電ペーストを作製した。
この導電ペーストを、上記で作製した離型基体上に、スクリーン印刷法により塗布してライン&スペース=100μm(100μm間隔で形成された幅 μmのライン)の複数の配線ラインを形成し、250℃で48時間乾燥、焼結して、厚み2μmの回路を得た。
この回路上に、固形分30%のポリアミドイミド溶液(バイロマックス:東洋紡績製)を、コンマコーターを用いて、厚み50μmでコーティングし、180℃で10分間乾燥して、樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、ESCAにより分析した結果、回路内に浸透したポリアミドイミドの濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を下記手順で測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
(厚み)
JIS C 6471に従い、電気マイクロメーターにて測定した値を示す。
(耐屈曲性)
JIS C 6471による耐折性試験を行い、断線するまでの回数を測定した。
【0032】
(実施例2)
基体として厚み50μmのポリイミドフィルム(カプトンEN:東レ・デュポン製)を用い、この上にシリコーン離型材(KS839:信越化学工業製)を塗布して離型基体を作製した。
還元型銀導電ペースト(XA−9024:藤倉化成製)を上記で作製した離型基体上に、スクリーン印刷法により塗布してライン&スペース=100μmの複数の配線ラインを形成し、180℃で1時間乾燥、焼結して厚さ2μmの回路を得た。
この回路上に、固形分30%のポリアミドイミド溶液(バイロマックス:東洋紡績製)をコンマコーターを用いて厚み50μmでコーティングし、180℃で10分間乾燥し、厚み15μmの樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、実施例1と同様にして分析した結果、回路内に浸透したポリアミドイミドの濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3)
基体として厚み50μmのポリイミドフィルム(カプトンEN:東レ・デュポン製)を用い、この上に、銅スパッタリングにより厚さ0.2μmの銅箔層を形成した。
この銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの複数の配線ラインを形成して回路を得た。
この回路上に、固形分30%のポリアミドイミド溶液(バイロマックス:東洋紡績製)をコンマコーターを用いて厚み50μmでコーティングし、180℃で10分間乾燥して、厚み15μmの樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、実施例1と同様にして分析した結果、回路内に浸透したポリアミドイミドの濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
(実施例4)
基体として厚み5mmの耐熱ガラスを用い、この上に酸化ジルコニウムをスパッタリングして離型基体を作製した。
圧力0.6Torr(80Pa)のヘリウム真空条件下で銀を蒸発させ、生成した銀超微粒子にミネラルスピリットの蒸気を接触させて冷却回収し、溶媒(ミネラルスピリット)中に独立した状態で分散している平均粒子径0.01μmの銀超微粒子を20wt%含有する導電ペーストを作製した。
この導電ペーストを、上記で作製した離型基体上に、スクリーン印刷法により塗布してライン&スペース=100μmの複数の配線ラインを形成し、250℃で48時間乾燥、焼結して厚さ2μmの回路を得た。
次に、ポリアミック酸(Pyre−ML:(株)I.S.T製)にN−メチルピロリドンを加え、80℃まで昇温し、エポキシ基含有アルコキシシラン(KBM403:信越化学工業製)と触媒として2−メチルイミダゾールを加え、80℃で4時間、反応させた。これを室温まで冷却し、固形分20%のアルコキシシラン含有ポリアミック酸樹脂溶液を得た。
前記の回路上に、上記で作製したアルコキシシラン含有ポリアミック酸樹脂溶液をコンマコーターを用いて厚み50μmでコーティングし、180℃で24時間乾燥し、厚み10μmの樹脂基材を形成した。
こうして得られた積層体から基体を剥離し、フレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透の傾斜勾配を、実施例1と同様にして分析した結果、回路内に浸透したアルコキシシラン含有ポリアミック酸樹脂の濃度に傾斜勾配が確認できた。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
(比較例1)
市販の3層銅貼積層板(RAS32S47:信越化学工業製)を用い、その銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの回路を形成してフレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
(比較例2)
市販のキャスティング法2層銅貼積層板(エスパネックス:新日鐵製)を用い、その銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの回路を形成してフレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
(比較例3)
市販の蒸着法2層銅貼積層板(メタロイヤル:東洋メタライジング製)を用い、その銅箔上にパターン状のフォトレジストを形成し、不要な銅箔部分を塩化第二鉄溶液を用いてエッチングして、ライン&スペース=100μmの回路を形成してフレキシブルプリント基板を得た。得られたフレキシブルプリント基板における回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
また、得られたフレキシブルプリント基板の厚み、耐屈曲性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から明らかなように、実施例1〜4のフレキシブルプリント基板は、厚みが15μm以下と非常に薄く、それと同時に、耐屈曲性も50000回以上と非常に優れていた。また、樹脂基材が回路内へ浸透しており、その浸透濃度に傾斜勾配が見られた。
これに対し、比較例1、3の積層板は、厚みが厚く、耐屈曲性も劣っていた。また、比較例2の積層板は、耐屈曲性は良好であるものの、厚みが厚いものであった。また、比較例1〜3の積層板には、回路内への樹脂基材の浸透はほとんど見られなかった。
【0040】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、更なる薄層化を実現し、耐屈曲性に優れたフレキシブルプリント基板、およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルプリント基板の平面図(a)および位置A−A’における断面図(b)。
【図2】本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法を示す説明図。
【符号の説明】
1…フレキシブルプリント基板、2…回路、3…樹脂基材、4…基体、5…積層体
Claims (8)
- 金属からなる回路と、可撓性樹脂からなる樹脂基材とからなるフレキシブルプリント基板において、
前記樹脂基材は、その表面に少なくとも1つの凹部を有し、
前記回路は、その上端面を露出して前記凹部に埋設されており、該上端面は、前記樹脂基材の表面と略同一平面上にあることを特徴とするフレキシブルプリント基板。 - 前記可撓性樹脂が、前記回路内の少なくとも一部に浸透していることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント基板。
- 前記回路内に浸透している前記可撓性樹脂の濃度に傾斜勾配があることを特徴とする請求項2記載のフレキシブルプリント基板。
- 前記可撓性樹脂が、ポリイミド樹脂および/またはポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
- 前記樹脂基材が、さらにアルコキシシランおよび/またはアルコキシチタンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板。
- 基体上に、金属粒子を含有する導電ペーストを塗布、乾燥して未焼結回路を形成する工程と、該未焼結回路を焼結して回路を形成する工程と、前記未焼結回路または前記回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 基体上に、金属化合物を含有する導電ペーストを塗布、乾燥して回路を形成する工程と、該回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 基体上に、金属を蒸着および/またはメッキして回路を形成する工程と、該回路上に、可撓性樹脂と有機溶剤とを含有する樹脂溶液を塗布、乾燥して可撓性樹脂基材を形成し、積層体を得る工程と、該積層体から前記基体を剥離する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
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