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JP2004318958A - 光学ヘッド、記録及び/又は再生装置 - Google Patents

光学ヘッド、記録及び/又は再生装置 Download PDF

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JP2004318958A
JP2004318958A JP2003109526A JP2003109526A JP2004318958A JP 2004318958 A JP2004318958 A JP 2004318958A JP 2003109526 A JP2003109526 A JP 2003109526A JP 2003109526 A JP2003109526 A JP 2003109526A JP 2004318958 A JP2004318958 A JP 2004318958A
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Abstract

【課題】部品点数を多くしたり部品の構成を複雑化することなく、良好なトラック判別信号及びトラック誤差信号を得る。
【解決手段】回折光学素子17が、光出射手段10より出射された光束を、主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離することによって、これら5つに分離された光束を光検出手段16が受光して出力する光検出信号に基づいて、良好なトラック判別信号及びトラック誤差信号を得る。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に対して情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行う光学ヘッド、並びにそのような光学ヘッドを用いて光記録媒体に対する情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体が提案され、このような光記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置が提案されている。この記録及び/又は再生装置においては、種々の方式に基づく光記録媒体が用いられる。そして、このような記録及び/又は再生装置においては、光学ヘッドを用いて、光記録媒体に対する情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行っている。
【0003】
この光学ヘッドは、半導体レーザ等の光源を有し、この光源から出射される光束を、対物レンズにより光記録媒体の信号記録面上に集光させて、照射するように構成されている。そして、この光学ヘッドは、信号記録面上に光束を照射することによって、該信号記録面に情報信号を書き込み、また、信号記録面で反射された反射光束を検出することによって、該信号記録面に記録された情報信号を読み取るように構成されている。
【0004】
この光学ヘッドは、光記録媒体の信号記録面上に螺旋状又は同心円状に形成されたグルーブ又はランドに沿って、情報信号の書き込み及び読み出しを行う。
【0005】
一方、光記録媒体においては、記録される情報信号の高密度化が進められている。例えば、再生専用のいわゆる「ROMディスク」としては、「コンパクトディスク(CD)」(商標名)と同じく直径が120mmの光ディスクを用いながら、記録容量が「コンパクトディスク」の容量である650MBの約7倍の4.7GBに高められた「DVD」(商標名)が商品化されている。
【0006】
高記録密度化は、情報信号の書き込みが可能な書換型の光記録媒体においても進行しており、書換可能な「DVD」という位置付けで、いわゆる「DVD−RAM」が商品化されている。この「DVD−RAM」は、記録される情報信号の高密度化を図るために、従来のグルーブ若しくはランドの一方のみに情報信号を記録する方式ではなく、グルーブ及びランドの双方に情報信号を記録する「ランドグルーブ記録方式」を採用している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−56568号公報(第3−4頁、第22図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した「ランドグルーブ記録方式」を採用した高密度書換可能ディスクにおいては、ランド及びグルーブの幅がほぼ等しく設定されていることによって、以下のような不具合を生じさせる場合がある。
【0009】
すなわち、ランドがグルーブよりも幅が広い光ディスクを用いてランドのみに記録を行う「ランド記録方式」を採用した場合においては、図23に示すように、トラック誤差信号(TE)と戻り光(「3スポット法」を用いる場合はメインスポット)の和信号(SUM)とは、グループから次のグループまでを一周期とした場合に(1/4)周期だけ位相がずれた関係にある。
【0010】
したがって、トラック誤差信号(TE)が0となるようにトラッキング制御を行うにあたって、トラック誤差信号(TE)が0となる状態は光束がランド部上に照射されている場合とグルーブ上に照射されている場合との2つの場合があるが、これら2つの場合は、和信号(SUM)のレベルによって区別することができる。
【0011】
このように、光束がランド上に照射されている場合とグルーブ上に照射されている場合との2つの場合を区別するための信号は、「トラック判別信号」、または、「クロストラック信号(CTS)」と呼ばれる。このような「トラック判別信号」としては、「ランド記録方式」を採用した場合のように、和信号(SUM)のレベルが光束がランド部上に照射されている場合とグルーブ部上に照射されている場合とで大きく異なる場合には、図24に示すように、該和信号の交流(AC)成分(AC−SUM)を用いることが可能である、和信号の交流成分は、図24に示すように、トラック誤差信号に対して90度位相の異なるトラック判別信号となっている。
【0012】
記録及び/又は再生装置では、「ランド記録方式」を採用した場合、このようなトラック誤差信号と和信号の交流成分との2信号を用いることによって、高速でシーク動作をしている場合でも、記録トラックに対してスポットがどちらの方向に何トラック動いたかを正確に知ることが可能となり、安定してトラック横断数のカウントや、トラッキングサーボの引込動作を行うことができる。
【0013】
ところが、「ランドグルーブ方式」を採用した場合においては、記録再生特性を最適にするために、通常はランドとグルーブとは互いに略々同じ幅に設定されている。その結果、先の説明における和信号は、図25に示すように、ランド上に光束が照射されている場合とグルーブ上に光束が照射されている場合とでほぼ等しくなってしまい、この和信号からトラック判別信号を生成することができない。
【0014】
その結果、特に、外部記憶装置や業務用映像記録、編集装置などの用途において頻繁に行われる高速シーク動作時に、所定の記録トラックに一度でアクセスすることが困難となり、アクセス時間が長くなってしまうという問題があった。
【0015】
また、「ランドグルーブ方式」を採用しないで光記録媒体に記録される情報信号の高密度化を図るフォーマットとして、いわゆる「DVD+RW」等があるが、これらも、ランド、または、グループの一方のみに情報信号を記録する方式でありながら、ランド及びグループの幅が互いに略々等しく設定されていることなどにより、和信号の交流成分(AC−SUM)は、その直流(DC)成分に対して数%しかない場合が多く、やはり同様の問題を抱えていた。
【0016】
また、上述した記録及び/又は再生装置では、一般的に書き込みが可能な光記録媒体に対して、(差動)プッシュプル法によって得られるプッシュプル信号をトラック誤差信号として用いている。
【0017】
すなわち、この書き込み可能な光記録媒体には、通常、グルーブと呼ばれる案内溝がディスク基板に形成されており、このグルーブで反射回折された反射光束から得られるプッシュプル信号に基づいて、光学ヘッドのトラッキングサーボが行われる。なお、グルーブとグルーブの間の部分は、一般にランドと呼ばれている。
【0018】
プッシュプル信号は、グルーブで反射回折された反射光束を、記録トラックと平行な方向に対応する分割線で2分割された受光面を有する光検出素子で受光し、この分割された2つの受光面からの出力の差分をとることで得ている。また、プッシュプル信号は、光源から出射された光束の波長をλとしたときに、溝の位相深さがλ/8程度で最大となる一方、溝の位相深さがλ/4となるときには、このようなプッシュプル信号を得ることはできない。
【0019】
このため、CDやMD等の光記録媒体では、溝の位相深さがλ/4程度で最大となる3ビーム法によって得られるラジアルコントラスト信号をトラック誤差信号として一般的に用いている。なお、ラジアルコントラスト(Radial Contrast)とは、標準状態において記録トラックを横切ったときの反射光束の総和信号レベルの変化幅のことであり、ランド上における光量をllとし、グルーブ上における光量をlgとしたときに、
Radial Contrast=2|(ll−lg)|/(ll+lg)
として表される。
【0020】
一方、DVD−ROM等の再生専用の光記録媒体では、差動位相差(DPD:Differential Phase Detection)法やヘテロダイン法によって得られる信号をトラック誤差信号として用いている。この場合、ディスクに記録されたピットの位相深さがλ/4程度で最良の信号を得ることができる。
【0021】
ところで、DVD+R/RWや、DVD−R/RW、DVD−RAM等の書き込み可能な光記録媒体では、記録トラックの溝深さがλ/6〜λ/12程度に設定されているため、トラック誤差信号としては、上述したプッシュプル信号が一般的に用いられている。
【0022】
これに対して、上述したDVD−ROM等の再生専用の光記録媒体では、ピットの位相深さがλ/4付近に設定されているために、上述したDPD法やヘテロダイン法によるトラック誤差信号の検出が必須となっている。
【0023】
このため、記録及び/又は再生装置では、これら位相深さの違いによって、再生専用の光記録媒体に対しては、上述したプッシュプル信号を用いた光学ヘッドのトラッキングサーボができないばかりでなく、ROM型のディスクプレーヤにおいて、上述した書き込み可能な光記録媒体を再生するためには、記録後の記録マークからDPD法によるトラック誤差信号が生成できるように、記録膜に特殊な条件を必要とするといった問題があった。
【0024】
また、上述したDVD−RAM等の光記録媒体では、高記録密度化を図るために、従来のランド若しくはグループの一方のみに記録トラックを形成する方式ではなく、ランド及びグループの双方に記録トラックを形成するランドグルーブ記録方式が採用されている。
【0025】
しかしながら、このようなランドグルーブ記録方式を採用した光記録媒体では、記録再生特性を最適にするために、通常、ランドとグルーブとが互いに略々同じ幅に設定されている。このため、記録及び/又は再生装置では、光束がランド上に照射されるときとグルーブ上に照射されるときとで光量がほぼ等しくなってしまい、光束がランド上にあるかグルーブ上にあるかを判別するためのトラック判別信号を生成することが困難となるといった問題があった(例えば、特許文献1を参照。)。
【0026】
この場合、特に、外部記憶装置や業務用映像記録、編集装置などの用途において頻繁に行われる高速シーク動作時に、所定の記録トラックに一度でアクセスすることが困難となり、アクセス時間が長くなってしまう。
【0027】
また、上述したランドグルーブ方式ではなく、グルーブ方式を採用したDVD+R/RWやDVD−R/RW、また、発光波長が405nm付近の短波長光源と開口数(NA)が0.85程度の高NA対物レンズを用いることで、更なる高記録密度化を図った新たな光ディスクフォーマットであるBlu−ray Disc等の書き込み可能な光記録媒体でも、高速アクセスに対する要求から、光束がランド上にあるかグルーブ上にあるかのトラック判別が求められてきている。
【0028】
しかしながら、近年の狭トラックピッチ化によって、ランドとグルーブとの幅に差がつけにくくなると、スポット内で強度変調される範囲が狭くなることから、光束がランド上に照射されるときとグルーブ上に照射されるときとで光量がほぼ等しくなってしまう。
【0029】
このため、グルーブ方式を採用した光記録媒体でも、上述したトラック判別信号を生成することが困難となるといった問題が発生してしまう。さらに、浅グルーブ化によって強度変調がされにくくなる場合も同様に、トラック判別信号を生成することが困難となるといった問題が発生してしまう。
【0030】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、部品点数を多くしたり部品の構成を複雑化することなく、光記録媒体に対して、高速アクセスを可能とするトラック判別信号を検出可能とし、また、プッシュプル法によるトラック誤差信号が良好に得られない光記録媒体に対しても、差動位相差法以外の方法による良好なトラック誤差信号を検出可能とすることによって、位相深さの異なる光記録媒体に対する総合的な記録及び/又は再生特性の向上を可能とした光学ヘッド、並びにそのような光学ヘッドを備えた記録及び/又は再生装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る光学ヘッドは、光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、光出射手段より出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、光出射手段より出射された光束の集光手段に至る光路中に配置され、光束を、光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離する回折光学素子と、光記録媒体で反射された反射光束のうち、主光束を受光する主受光部と、一対の副光束を受光する一対の副受光部とを有する光検出手段とを備えることを特徴としている。
【0032】
以上のように、本発明に係る光学ヘッドでは、回折光学素子が、光出射手段より出射された光束を、主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離することから、これら5つに分離された光束を光検出手段が受光して出力する光検出信号に基づいて、良好なトラック判別信号及びトラック誤差信号を得ることができる。
【0033】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置は、光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、光出射手段より出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、光出射手段より出射された光束の上記集光手段に至る光路中に配置され、光束を、光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離する回折光学素子と、光記録媒体で反射された反射光束のうち、主光束を受光する主受光部と、一対の副光束を受光する一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッドと、光検出手段が受光して出力する光検出信号に基づいて、各種信号を生成する信号処理手段と、信号処理手段により生成された信号に基づいて、光学ヘッドの駆動制御を行う駆動制御手段とを備えることを特徴としている。
【0034】
以上のように、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、回折光学素子が、光出射手段より出射された光束を、主スポットを形成する主光束と、主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、一対の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離することから、これら5つに分離された光束を光検出手段が受光して出力する光検出信号に基づいて、信号処理手段がトラック判別信号及びトラック誤差信号を生成し、このトラック判別信号及びトラック誤差信号に基づいて、光学ヘッドの駆動制御を駆動制御手段によって適切に行うことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した光学ヘッド、記録及び/又は再生装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
本発明を適用した記録及び/又は再生装置は、例えば種類の異なる複数の光ディスクの中から選定された光ディスクに対して、情報信号の記録及び再生を行う光記録媒体記録再生装置である。
【0037】
具体的に、図1に示す光記録媒体記録再生装置101は、光記録媒体となる光ディスク102を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、本発明を適用した光学ヘッドとなる光学ピックアップ装置104と、その駆動手段としての送りモータ105とを備えている。
【0038】
ここで、スピンドルモータ103は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ107及びサーポ制御回路109により駆動制御され、所定の回転数で駆動される。
【0039】
また、光ディスク102としては、光変調記録を用いる記録再生デイスクである種々の方式(いわゆる「光磁気記録」、「相変化記録」及び「色素記録」等を含む)の光ディスク(例えば、いわゆる「CD−R/RW」、「DVD−RAM」、「DVD−R/RW」、「DVD+RW」等)、または、各種光磁気記録媒体である。
【0040】
さらに、この光ディスク102としては、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種類以上の光ディスクから選択的に使用してもよく、また、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録層が分割された光ディスク、複数の記録層(記録層)が透明基板を介して積層された光ディスクも使用することができる。
【0041】
記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの差異は、光ディスクにおける記録方式そのものが異なることによるものの他、光ディスクの回転操作される速度(光学ピックアップ装置に対する線速度)の違いによるもの(いわゆる標準速ディスクに対するn倍速ディスク)であってもよい。
【0042】
また、この光ディスク102としては、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる、または、同一の少なくとも2以上の記録層を有する多層光ディスクを使用することもできる。この場合においては、多層光ディスクの設計のしかたにより、各記録層についての最適な記録及び/又は再生光パワーの違いが生ずる。
【0043】
なお、これら光ディスクの記録及び/又は再生光の波長としては、例えば、405nm、あるいは、400nm程度乃至780nm程度のいずれかが考えられる。
【0044】
光学ピックアップ装置104は、光ディスク102の記録層に対して光束を照射し、この光束の記録層による反射光を検出する。また、光学ピックアップ装置104は、光ディスク102の記録層からの反射光に基づいて、後述するような各種の光束を検出し、各光束に対応する信号をプリアンプ部120に供給する。
【0045】
このプリアンプ部120の出力は、信号変復調部及びECCブロック108に送られる。この信号変復調部及びECCブロック108は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光学ピックアップ装置104は、信号変復調部及びECCブロック108の指令にしたがって、回転する光ディスク102の記録層に対して、光照射を行う。このような光照射により、光ディスク102に対する信号の記録または再生が行われる。
【0046】
プリアンプ部120は、各光束に対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラック誤差信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録または再生の対象媒体とされる光記録媒体の種類に応じて、サーポ制御回路109、信号変復調部及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
【0047】
これにより、復調された記録信号は、光ディスク102が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェイス111を介して外部コンピュータ130等に送出される。そして、外部コンピュータ130等は、光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができるようになっている。
【0048】
また、光ディスク102がいわゆる「オーディオ・ビジュアル」用であれば、D/A,A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部113に供給される。そして、このオーディオ.ビジュアル処理部113に供給された信号は、このオーディオ.ビジュアル処理部113においてオーディオ・ビデオ信号処理を行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部114を介して、外部の撮像・映写機器に伝送される。
【0049】
光学ピックアップ装置104は、送りモータ105により、光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動操作される。スピンドルモータ103の制御と、送りモータ105の制御と、光学ピックアップ装置104において光集光手段となる対物レンズを保持する二軸アクチュエータのフォーカシング方向の駆動及びトラッキング方向の駆動の制御は、それぞれ、サーボ制御回路109により行われる。
【0050】
また、サーポ制御回路109は、光学ピックアップ装置104内に配設された光結合効率可変素子を動作させ、光学ピックアップ装置104における光結合効率、すなわち、光源となる半導体レーザ素子等のレーザ光源から出射する光束の総光量と光ディスク102上に集光する光量との比率を、記録モード時と再生モード時とで、及び、光ディスク102の種類に応じて、異なるように制御する。
【0051】
また、レーザ制御部121は、光学ピックアップ装置104におけるレーザ光源を制御する。特に、この実施の形態においては、レーザ光源の出力パワーを、記録モード時と再生モード時とで、及び、光ディスク102の種類に応じて、異ならせる制御する動作を行なう。
【0052】
また、光ディスク102が、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種類以上の光ディスクから選択的に使用されたものである場合(記録方式の異なるもの、分割された記録領域のいずれであるか、積層された記録層のうちのいずれであるか、光束に対する相対線速度が異なるものなどのいずれも含む)には、ディスク種類判別センサ115が、装着された光ディスク102の種類を判別する。光ディスク102としては、上述したように、光変調記録を用いた種々の方式の光ディスク、または、各種光磁気記録媒体が考えられ、これらは、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なるものも含んでいる。ディスク種類判別センサ115は、光ディスク102の表面反射率やその他の形状的、外形的な違いなどを検出する。
【0053】
そして、システムコントローラ107は、ディスク種類判別センサ115より送られる検出結果に基づいて、光ディスク102の種類を判別する。
【0054】
さらに、光記録媒体の種類を判別する手法としては、カートリッジに収納された光記録媒体においては、このカートリッジの検出穴を設けておくことが考えられる。また、光記録媒体の、例えば、最内周にあるプリマスタードピットや、グルーブ等に記録された目録情報(Table of Contents:TOC)による情報をもとに、「ディスク種別」もしくは「推奨記録パワー及び推奨再生パワー」を検出し、その光記録媒体の記録及び再生に適した記録及び再生光パワーを設定することが考えられる。
【0055】
そして、光結合効率制御手段となるサーポ制御回路109は、システムコントローラ107に制御されることにより、ディスク種類判別センサ115の判別結果に応じて、光学ピックアップ装置104における光結合効率を、装着された光ディスク102の種類に応じて制御する。
【0056】
また、光ディスク102として、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録層が分割された光ディスクを使用する場合には、記録領域識別手段により、記録及び/又は再生をしようとする記録領域を検出する。複数の記録領域が光ディスク102の中心からの距離に応じて同心円状に分割されている場合には、記録領域識別手段としては、サーポ制御回路109を用いることができる。サーポ制御回路109は、例えば、光学ピックアップ装置104と光ディスク102との相対位置を検出する(ディスク102に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生をしようとする記録領域を判別することができる。そして、サーポ制御回路109は、記録及び/又は再生をしようとする記録領域の判別結果に応じて、光学ピックアップ装置104における光結合効率を制御する。
【0057】
さらに、光ディスク102が、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録層を有する多層光ディスクである場合には、記録層識別手段により、記録及び/又は再生をしようとする記録層を判別する。記録層識別手段としては、サーポ制御回路109を用いることができる。サーポ制御回路109は、例えば、光学ピックアップ装置104と光ディスク102との相対位置を検出することによって、記録及び/又は再生をしようとする記録層を検出することができる。そして、サーポ制御回路109は、記録及び/又は再生をしようとする記録層の判別結果に応じて、光学ピックアップ装置104における光結合効率を制御する。
【0058】
なお、これら光ディスクの種類、記録領域、記録層についての情報は、各光ディスクに記録されたいわゆるTOCなどの目録情報を読み取ることによっても判別することができる。
【0059】
光学ピックアップ装置104は、図2に示すように、各光学部品が図示しない光学ブロック部内に個別にマウントされて支持された構造を有している。
【0060】
具体的に、この光学ピックアップ装置104は、光出射手段となる光源部10を備え、この光源部10は、光束を出射する少なくとも1つの光源を有している。本例では、図3に示すように、1つの光源10aを有しており、この光源10aは、保持台部10dにより支持されて、パッケージ10e内に収納されている。
【0061】
そして、この光源10aから出射された光束は、回折光学素子17によって回折され、0次光束及び±1次回折光束を含む光束に分離される。
【0062】
このうち、0次光束は、光源10aから出射されてそのまま進行し、光ディスク102に対して情報信号の記録再生を行うための主スポットを記録トラック上に形成する主光束となる。+1次回折光束は、光源10aからずれた第1の仮想光源10bから出射された光束に等しく、第1の副スポットを形成する第1の副光束となる。−1次回折光束は、光源10aからずれた第2の仮想光源10cから出射された光束に等しく、第2の副スポットを形成する第2の副光束となる。
【0063】
さらに、第1及び第2の副光束は、回折光学素子17によって回折され、記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離される。
【0064】
このように、光源10aから出射された光束を5つの光束に分離するため、回折光学素子17は、例えば図4に示すホログラム光学素子が用いられている。
【0065】
このホログラム光学素子は、その中央の境界線を挟んで格子の方向を非対称とするホログラムパターンが形成されてなる。これにより、光ディスク102の信号記録面上には、図5に示すように、記録トラック上の主スポットを挟んで互いに離間した位置に、第1及び第2の副スポットが形成され、これら第1及び第2の副スポットは、記録トラックと直交する方向にシフトした位置に、それぞれ一対の半円状の半副スポットを形成する。また、記録トラックと直交する方向における一対の半副スポットの中心間の距離は、トラックピッチをTpとしたときに、それぞれTp/2となるように設定されている。
【0066】
また、この回折光学素子17は、光軸回りに回転操作されることによって、主スポットの合焦位置を変動させることなく、各副スポットと光ディスク102の記録トラック上における主スポットとの位置関係を変化させることが可能となっている。
【0067】
そして、記録トラックと直交する方向において、主スポットのスポット中心と、一対の副スポットにおけるスポット中心との間の距離(この場合、一対の半副スポットの中心と主スポットの中心との間の距離)は、トラックピッチをTpとし、nを0以上の整数としたときに、それぞれn・Tp/2(但し、Tpはトラックピッチ、nは0以上の整数を表す。)となるように設定されている。
【0068】
なお、n=0のとき、主スポットと各副スポットとが全て同一記録トラック上に形成されるため、この場合には、トラックピッチの異なる複数の光ディスクに対しても、常に副スポットの記録トラックに対する関係を同じ状態にすることができる。
【0069】
なお、ここで言う「トラックピッチ(Tp)」とは、「ランドグルーブ方式」を採用し光記録媒体上のランド及びグループの双方に情報信号を記録する場合であっても、「ランドから次のランドまでの距離」(または、グループから次のグループまでの距離」)のことである。
【0070】
また、この回折光学素子は、一対の副光束に対して互いに逆方向の極性を有する球面収差を付与してもよい。
【0071】
この光学ピックアップ装置104を用いて光記録媒体からの情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行う場合、光源部10から射出された各光束は、図2に示すように、偏光ビームスプリッタプリズム11に入射され、この偏光ビームスプリッタプリズム11が有する誘電体多層膜に対してS偏光状態であることにより該誘電体多層膜によって略々全光量が反射されて、1/4波長板12に入射する。1/4波長板12に入射された光束は、この1/4波長板12を透過することにより円偏光状態となされ、コリメータレンズ13を透過して平行光束となされて、集光手段となる対物レンズ14に入射する。
【0072】
偏光ビームスプリッタプリズム11は、−般に、互いに貼り合わせられて立方体を形成する一対の三角プリズムと、これらの三角プリズムの間に蒸着やスパッタリングによって形成された誘電体多層膜とによって構成されている。この偏光ビームスプリッタプリズム11に対する入射光束は、誘電体多層膜に対するP偏光成分が該誘電体多層膜を透過し、該誘電体多層膜に対するS偏光成分が該誘電体多層膜によって反射される。
【0073】
対物レンズ14は、図示しない二軸アクチュエータによって、図2中矢印Fで示すフオーカス方向及び図2中矢印Tで示すトラッキング方向に移動操作可能に支持されており、入射された各光束を光ディスク102の信号記録面上に集光させる。このとき、3つの仮想的な光源10a,10b,10cから射出された光束が信号記録面上に集光される。
【0074】
光ディスク102の信号記録面上に照射されて、この信号記録面で反射された3本の反射光束は、対物レンズ14、コリメータレンズ13及び1/4波長板12を経て、直線偏光状態となって偏光ビームスプリッタプリズム11に至る。この偏光ビームスプリッタプリズム11において、反射光束は、誘電体多層膜に対してP偏光状態となっていることにより略々全光量が該誘電体多層膜を透過し、光源部10に戻る光路より分離されて、マルチレンズ15を経て光検出手段となる光検出素子16に入射する。マルチレンズ15は、凹面とシリンドリカル面とが組み合わされたレンズであって、反射光束の集光点までの距離を延長するとともに、該反射光束に非点収差を生じさせる。
【0075】
光検出素子16は、図6に示すように、主スポットからの主反射光束を受光する主受光部18と、第1の副スポットからの第1の副反射光束を受光する第1の副受光部19と、第2の副スポットからの第2の副反射光束を受光する第2の副受光部20とを有して構成されている。
【0076】
主受光部18は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面a,b,c,dを有し、これら4つの受光面a,b,c,dは、中心部分を介して放射状に配列され、このうち、受光面a,c及び受光面b,dが、互いに主受光部18の中心部分を介して対角で対向配置されている。そして、これら4つの受光面a,b,c,dからは、それぞれ独立的した光検出信号a,b,c,dが出力される。
【0077】
第1の副受光部19は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面e,f,g,hを有し、これら4つの受光面e,f,g,hは、中心部分を介して放射状に配列され、このうち、受光面e,g及び受光面f,hが、互いに第1の副受光部19の中心部分を介して対角で対向配置されている。そして、これら4つの受光面e,f,g,hからは、それぞれ独立的した光検出信号e,f,g,hが出力される。
【0078】
第2の副受光部20は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面i,j,k,lを有し、これら4つの受光面i,j,k,lは、中心部分を介して放射状に配列され、このうち、受光面i,k及び受光面j,lが、互いに第2の副受光部20の中心部分を介して対角で対向配置されている。そして、これら4つの受光面i,j,k,lからは、それぞれ独立的した光検出信号i,j,k,lが出力される。
【0079】
そして、この光検出素子16から出力される光検出信号は、例えば該光検出素子16の半導体基板上に形成された図示しないアンプにより電流−電圧変換された後、演算回路、もしくは、各受光部18,19,20に接続された光検出素子外部の演算回路に送られる。この演算回路においては、以下のようにして、各信号等が演算される。
【0080】
RF(主スポットについてのRF信号)
=(a+b+c+d)の変調成分
PI(プルイン信号:フォーカス引き込み信号:主スポットについての総和信号)
=a+b+c+d
FCS(フォーカスエラー信号(主スポットについての非点収差信号))
=(a+c)−(b+d)
MPP(主スポットについてのプッシュプル信号)
={(a+d)−(b+c)}
SPP1(第1の副スポットについてのプッシュプル信号)
={(e+h)−(f+g)}
SPP2(第2の副スポットについてのプッシュプル信号)
={(i+l)−(j+k)}
SRC1(第1の副スポットについてのラジアルコントラスト信号)
={(e+f)−(h+g)}
SRC2(第2の副スポットについてのラジアルコントラスト信号)
={(i+j)−(l+k)}
SAS1(第1の副スポットについてのたすきがけ演算信号)
={(e+g)−(f+h)}
SAS2(第2の副スポットについてのたすきがけ演算信号)
={(i+k)−(j+l)}
SA(球面収差信号)
=SAS1+SAS2=SAS1−(−SAS2)
SPI1(第1の副スポットについての総和信号)
=e+f+g+h
SPI2(第2の副スポットについての総和信号)
=i+j+k+l
ところで、この光学ピックアップ装置では、図5に示すように、上述した回折光学素子17によって分離された主光束及び一対の副光束のうち、主光束が、光ディスクの記録トラック上に主スポットを形成し、第1の副光束が、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する一の方向に、n・Tp/2だけシフトした位置に第1の副スポットを形成し、第2の副光束が、主スポットのスポット中心から記録トラックと直交する他の方向に、n・Tp/2だけシフトした位置に第2の副スポットを形成する。また、これら第1及び第2の副スポットは、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に、互いのスポット中心間の距離がTp/2となる一対の半副スポットに分割されている。
【0081】
ここで、上述したDVD−ROM等の再生専用の光記録媒体のように、ピットの位相深さがλ/4がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を図7に模式的に示す。
【0082】
図7に示すように、主スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すと共に、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示す。
【0083】
一方、一対の副スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すのに対して、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで光強度が反転する非対称な光強度分布の変化を示す。
【0084】
この場合、上述した主スポット、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号MPP、SPP1、SPP2は、トラックによって変調されないので、これらの信号からトラック誤差に関する情報を得ることはできない。
【0085】
そこで、上述した溝の位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、第1の副受光部19及び第2の副受光部が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック誤差信号を生成する。
【0086】
RCTRK(ラジアルコントラストによるトラック誤差信号)
=SRC1−SRC2
また、上述した位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、主受光部18が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック判別信号を生成する。
【0087】
RCCTS(ラジアルコントラストによるトラック判別信号)
=PIの交流(AC)成分
一方、上述したDVD−RAM等の光記録媒体においては、グルーブの位相深さがλ/6〜λ/12程度であるため、上述した位相深さがλ/4となる場合とは振る舞いが異なる。代表例として、グルーブの位相深さがλ/8となる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を図8に模式的に示す。
【0088】
図8に示すように、主スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すのに対して、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで光強度が反転する非対称な光強度分布の変化を示す。
【0089】
一方、一対の副スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで非対称な光強度分布の変化を示すと共に、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで非対称な光強度分布の変化を示す。
【0090】
この場合、上述した主スポットについてのプッシュプル信号MPPは、記録トラックにより変調されているので、この信号からトラッキング誤差に関する情報を得ることが可能である。また、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号SPP1、SPP2に関しては、一対の半副スポットのスポット中心間の距離がTp/2に設定されているため、それぞれの半副スポットにおけるプッシュプル信号が互いに逆極性となり、スポット内で非対称なトラック変調となるため、プッシュプル演算結果としては、記録トラックによる変調が小さくなる。
【0091】
したがって、本発明を適用した光記録媒体記録再生装置では、上述した位相深さがλ/8となる光記録媒体に対して、以下の演算、いわゆる「差動プッシュプル法」によりトラック誤差信号を生成するが、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号SPP1、SPP2のトラック変調が小さいため、主副スポット間の位置関係によるトラック誤差信号の変化を小さくすることが可能となる。
【0092】
DPPTRK(差動プッシュプル法によるトラック誤差信号)
=MPP−K・(SPP1+SPP2)(Kは比例定数。)
また、この場合、主スポットは、ランド上にあるかグルーブ上にあるかによらず、主受光部18の受光面における光強度分布が等しくなるのに対して、一対の副スポットは、ランド上にあるかグループ上にあるかによって、互いの光強度分布に大きな差異が生じ、しかも、非点収差の方向(符号)によって、ランドとグループとの関係が逆転している。
【0093】
したがって、上述した位相深さがλ/8となる光記録媒体に対しては、このような一対の副スポットの光強度の差異から、第1の副受光部19及び第2の副受光部20が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック判別信号を生成する。
【0094】
ASCTS(たすきがけ演算によるトラック判別信号)
=SAS1−SAS2
このトラック判別信号(ASCTS)は、図9に示すように、トラック誤差信号(DPPTRK)に対して、グループから次のグループまでを一周期とした場合に(1/4)周期だけ位相がずれた関係にある。
【0095】
なお、本例では、ラジアルコントラストによるトラック誤差信号及びトラック判別信号を得るための副スポットとして、回折光学素子17によって分離された2つのスポットを用いている。様々な外乱による影響を低減するためには、このように2つの副スポットを用いることが望ましいが、1つの副スポットからでも、トラック判別信号を生成することができる。
【0096】
以上のように、本発明では、上述したAC−SUM、すなわちラジアルコントラストが小さい記録媒体でも、簡単な構成により、良好なトラック判別信号を得ることができる。
【0097】
また、トラック誤差信号についても、第1及び第2の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離し、これら一対の半副光束に分離された第1及び第2の副光束を、記録トラックと平行な方向に対応する分割線で分割された受光面を有する第1及び第2の副受光部19,20で受光することによって、対物レンズの変位やディスクの傾きに伴って、第1及び第2の副スポットが記録トラックと直交する方向にずれたとしても、これに伴う差動プッシュプル信号DPPTRKのオフセットの発生を抑制することができる。
【0098】
このように、第1及び第2の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離することによって、差動プッシュプル信号のサイドスポット位相ずれ耐性が強くなる。特に、一対の半副スポットのスポット中心間の距離をTp/2とすれば、これら第1及び第2の副スポットの位置によらず、差動プッシュプル信号に発生するオフセット成分をキャンセルし、良好なトラック誤差信号を得ることができる。
【0099】
したがって、本発明によれば、トラッキングサーボの引込みや、シーク時の記録トラック横断の数及び方向のカウントなど、従来より使用されていた制御方法を上述したAC−SUM、すなわちラジアルコントラストが小さい記録媒体においても使用することが可能であり、部品点数が少なく部品の構成も簡単で、低コストで、かつ、高速アクセスが可能な光学ピックアップ装置及び光記録媒体記録再生装置を提供することができる。
【0100】
また、本発明によれば、「DVD−RAM」に限らず、上述したAC−SUM、すなわちラジアルコントラストが小さい記録媒体を用いる他の規格の光ディスクに対して一般的に適用することができ、部品点数も少なく部品の構成も簡単な光学ピックアップ装置及び光記録媒体記録再生装置を提供することができる。
【0101】
なお、本発明は、「ランドグルーブ方式」の採用に伴って生ずる特有の現象を利用しているわけではないので、「DVD+RW」や「DVD−RW」等の如く、ランドまたはグルーブのいずれか一方のみに情報信号を記録する方式の光記録媒体を用いる場合においても有効である。
【0102】
また、本発明では、プッシュプル信号が得られない場合でも、ラジアルコントラスト(Radial Contrast)を用いたトラック誤差信号を得ることが可能である。
【0103】
また、通常、ラジアルコントラスト(Radial Contrast)を用いてトラック誤差信号を得る場合には、一対の副スポットを±1/4トラックだけずらす3ビーム法が一般的であるが、これは一対の副スポットを±1/2トラックだけずらす差動プッシュプル法とは両立しない。
【0104】
これに対して、本発明では、一対の副スポットを±1/2トラックだけずらした状態で、ラジアルコントラストを用いた最良のトラック誤差信号RCTRKを得ることが可能なことから、上述した溝の位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、ラジアルコントラストを用いたトラック誤差信号を検出し、溝の位相深さがλ/8に近い光記録媒体に対しては、プッシュプル法によるトラック誤差信号を検出することが可能である。
【0105】
なお、トラック誤差信号は、上述したラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKや、差動プッシュプル法によるトラック誤差信号DPPTRKに限らず、主受光部18の受光面a,b,c,dを用いて、いわゆる「差動位相差(DPD:Differential Phase Detection)法」により生成することも可能である。
【0106】
また、通常、スポットがランド上にあるかグループ上であるかで、反射光束における光強度分布は異ならない。これは、上述したように、ランドグループ記録方式を用いた光記録媒体において、トラック判別信号を生成することが困難となる原因でもある。
【0107】
これに対して、本発明では、第1及び第2の副光束を、それぞれ記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離することによって、これら第1及び第2の副スポットの光強度分布に大きな差異が生じることから、ランドグループ記録方式を用いた光記録媒体に対しても、簡便な構成によって良好なトラック判別信号を検出することが可能である。
【0108】
特に、一対の半副スポットのスポット中心間の距離をTp/2とすることで、上述したラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKと共に、トラック判別信号ASCTSを最大とすることができる。
【0109】
したがって、本発明によれば、上述した位相深さの異なる色々な光記録媒体に対して、安定したトラッキングサーボを行うことが可能であり、光学ピックアップ装置の安定且つ高速なシーク動作を行うことが可能である。
【0110】
また、上述した光学ピックアップ装置104では、図10に示すように、回折光学素子17に代わって偏光ホログラム光学素子17aを設けた構成としてもよい。
【0111】
この場合、偏光ホログラム光学素子17aは、上述した光源部10と偏光ビームスプリッタプリズム11との間ではなく、偏光ビームスプリッタプリズム11と1/4波長板12との間の光路中に配置される。これは、偏光ホログラム光学素子17aが光ディスク101に向かう往路の光束に対してホログラムとして作用するが、光ディスクから戻る復路の光束に対しては、なんらの光学的作用を生じないようにするためである。
【0112】
また、上述した光学ピックアップ装置104では、図11に示すように、光検出素子16aの主受光部18及び第1及び第2の副受光部19,20において、各戻り光スポットの中央部分のみを受光する受光面m,n,oを設けた構成としてもよい。
【0113】
この場合、各受光部18,19,20において、反射光束の中央部分のみを受光する受光面m,n,oを設けることによって、光ディスクの信号記録面における回折光が重なって反射光束の中央部分の光強度が強くなった状態でスポットの移動が生じたときにも、このスポット移動によるフォーカスエラー信号の変動を回避することができる。
【0114】
なお、この場合も、上述した各演算方法により、フォーカスエラー信号、トラック誤差信号、トラック判別信号及びRF信号生成することが可能である。
【0115】
また、上述した光検出素子16では、図12に示すように、主反射光束が分岐された光束を独立して受光する他の主受光部21を設けた構成としてもよい。
【0116】
この場合、第2の主受光部21への主反射光束の分岐は、図11に示すように、偏光ビームスプリッタプリズム11及びマルチレンズ15との間に、例えば、ウォラストンプリズムの如き光分岐素子22が設けられていることによって行われる。そして、第2の主受光部21は、図12に示すように、光分岐素子22によって分岐された主スポットからの反射光束を受光する1つの受光面sを有し、この第2の主受光部21が受光して出力される光検出信号がRF信号となる。
【0117】
また、上述した回折光学素子17は、上述した図4に示すホログラム光学素子のように、その中央の境界線を挟んで格子の方向を非対称とするホログラムパターンが形成されたものに限らず、例えば図13に示すように、その中央の境界線を挟んで格子のピッチを非対称とするホログラムパターンが形成されたものであってもよい。
【0118】
これにより、光ディスク102の信号記録面上には、例えば図14に示すように、主光束が形成する記録トラック上の主スポットを挟んで互いに離間した位置に、第1及び第2の副光束による第1及び第2の副スポットが形成され、これら第1及び第2の副スポットは、記録トラックと直交する方向にシフトした位置に、それぞれ記録トラックに沿った方向において離間した一対の半円状の半副スポットを形成する。
【0119】
この場合、光検出素子16は、図15に示すように、主スポットからの主反射光束を受光する主受光部18と、第1の副スポットから分離された一対の半副スポットからの一対の半副光束を受光する第1の副受光部19a,19bと、第2の副スポットから分離された一対の半副光束からの一対の半反射光束を受光する第2の副受光部20a,20bとを有して構成される。
【0120】
このうち、主受光部18は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線によって4分割された受光面a,b,c,dを有し、これら4つの受光面a,b,c,dからは、それぞれ独立的した光検出信号a,b,c,dが出力される。
【0121】
第1の副受光部19a,19bは、記録トラックと平行な方向に対応する分割線で2分割された受光面e,f及び受光面g,hを有し、これら4つの受光面e,f,g,hからは、それぞれ独立的した光検出信号e,f,g,hが出力される。
【0122】
第2の副受光部20a,20bは、記録トラックと平行な方向に対応する分割線によって2分割された受光面i,j及び受光面k,lを有し、これら4つの受光面i,j,k,lからは、それぞれ独立的した光検出信号i,j,k,lが出力される。
【0123】
そして、この場合も、上述した各演算方法により、フォーカスエラー信号、トラック誤差信号、トラック判別信号及びRF信号生成することが可能である。
【0124】
また、上述した回折光学素子17は、例えば図16に示すように、その格子のピッチや方向を交互に変えたホログラムパターンが形成されたものであってもよい。
【0125】
これにより、光ディスク102の信号記録面上には、例えば図17に示すように、主光束が形成する記録トラック上の主スポットを挟んで互いに離間した位置に、第1及び第2の副光束による第1及び第2の副スポットが形成され、これら第1及び第2の副スポットは、記録トラックと直交する方向にシフトした位置に、それぞれ記録トラックに沿った方向において離間した一対の円状の半副スポットを形成している。
【0126】
この場合、光検出素子16は、図18に示すように、上述した図15に示す光検出素子16と同様に、主スポットからの主反射光束を受光する主受光部18と、第1の副スポットから分離された一対の半副スポットからの一対の半副光束を受光する第1の副受光部19a,19bと、第2の副スポットから分離された一対の半副光束からの一対の半反射光束を受光する第2の副受光部20a,20bとを有して構成される。
【0127】
そして、この場合も、上述した各演算方法により、フォーカスエラー信号、トラック誤差信号、トラック判別信号及びRF信号生成することが可能である。
【0128】
また、本発明を適用した光学ピックアップ装置104は、図19に示すように、上述した図2に示すマルチレンズ15に代えて、偏光ビームスプリッタ11から光検出素子16に至る光路中に、ホログラム光学素子23及びシリンドリカルレンズ24が配置された構成であってもよい。
【0129】
また、光検出素子16は、図20に示すように、主スポットからの主反射光束を受光する第1の主受部25と、第1の副スポットからの第1の副反射光束を受光する第1の副受光部26と、第2の副スポットからの第2の副反射光束を受光する第2の副受光部27、並びに主スポットからの主反射光束が分岐された光束を独立して受光する第2の主受光部28及び第3の主受光部29とを有して構成されている。第2の主受光部28及び第3の主受光部29への主反射光束の分岐は、偏光ビームスプリッタプリズム11とシリンドリカルレンズ24との間に配置されたホログラム光学素子23によって行われる。
【0130】
このうち、第1の主受光部25は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線で2分割された2つの受光面ad,bcからなり、これら2つの受光面ad,bcからは、それぞれ独立的した光検出信号ad,bcが出力される。
【0131】
第1の副受光部26は、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線で4分割された4つの受光面e,f,g,hからなり、これら4つの受光面e,f,g,hからは、それぞれ独立的した光検出信号e,f,g,hが出力される。同様に、第2の副受光部27も、記録トラックと平行な方向に対応する分割線及び記録トラックと直交する方向に対応する分割線で4分割された4つの受光面i,j,k,lからなり、これら4つの受光面i,j,k,lからは、それぞれ独立的した光検出信号i,j,k,lが出力される。
【0132】
一方、第2の主受光部28は、いわゆる「スポット・サイズ・ディテクション(SSD:Spot Size Detection)法」によるフォーカスエラー信号を検出するため、記録トラックと直交する方向に対応する分割線で5分割された5つの受光面n,a’,b’,c’,oからなり、これら5つの受光面n,a’,b’,c’,oからは、それぞれ独立的した光検出信号n,a’b’,c’,oが出力される。同様に、第3の主受光部29も、記録トラックと直交する方向に対応する分割線で5分割された5つの受光面q,f’,e’,d’,pからなり、これら5つの受光面q,f’,e’,d’,pからは、それぞれ独立的した光検出信号q,f’,e’,d’,pが出力される。
【0133】
なお、図20に示す光検出素子16では、上述した図6に示す光検出素子16に対して、記録トラックと平行な方向に対応する分割線と記録トラックと直交する方向に対応する分割線との方向が互いに逆方向となっている。
【0134】
そして、この光検出素子16から出力される光検出信号は、例えば該光検出素子16の半導体基板上に形成された図示しないアンプにより電流−電圧変換された後、演算回路、もしくは、各受光部25,26,27,28,29に接続された光検出素子外部の演算回路に送られる。この演算回路においては、以下のようにして、各信号等が演算される。
【0135】
RF(主スポットについてのRF信号)
=(ad+bc)の変調成分
PI(プルイン信号:フォーカス引き込み信号:主スポットについての総和信号)
=ad+bc
FCS(SSD法によるフォーカスエラー信号)
={(a’+c’−b’−n−o)−(d’+f’−e’−p−q)}
MPP(主スポットについてのプッシュプル信号)
=ad−bc
SPP1(第1の副スポットについてのプッシュプル信号)
={(e+h)−(f+g)}
SPP2(第2の副スポットについてのプッシュプル信号)
={(i+l)−(j+k)}
SRC1(第1の副スポットについてのラジアルコントラスト信号)
={(e+f)−(h+g)}
SRC2(第2の副スポットについてのラジアルコントラスト信号)
={(i+j)−(l+k)}
SAS1(第1の副スポットについてのたすきがけ演算信号)
={(e+g)−(f+h)}
SAS2(第2の副スポットについてのたすきがけ演算信号)
={(i+k)−(j+l)}
SA(球面収差信号)
=SAS1+SAS2=SAS1−(−SAS2)
SPI1(第1の副スポットについての総和信号)
=e+f+g+h
SPI2(第2の副スポットについての総和信号)
=i+j+k+l
ここで、上述したDVD−ROM等の再生専用の光記録媒体のように、ピットの位相深さがλ/4がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を図21に模式的に示す。
【0136】
図21に示すように、主スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示す。
【0137】
一方、一対の副スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで対称な光強度分布の変化を示すのに対して、記録トラックと直交する方向に対応する分割線を挟んで光強度が反転する非対称な光強度分布の変化を示す。
【0138】
この場合、上述した主スポット、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号MPP、SPP1、SPP2は、トラックによって変調されないので、これらの信号からトラック誤差に関する情報を得ることはできない。
【0139】
そこで、上述した溝の位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、第1の副受光部19及び第2の副受光部が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック誤差信号を生成する。
【0140】
RCTRK(ラジアルコントラストによるトラック誤差信号)
=SRC1−SRC2
また、上述した位相深さがλ/4となる光記録媒体に対しては、主受光部18が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック判別信号を生成する。
【0141】
RCCTS(ラジアルコントラストによるトラック判別信号)
=PIの交流(AC)成分
一方、上述したDVD−RAM等の光記録媒体においては、グルーブの位相深さがλ/6〜λ/12程度であるため、上述した位相深さがλ/4となる場合とは振る舞いが異なる。代表例として、グルーブの位相深さがλ/8となる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を図22に模式的に示す。
【0142】
図22に示すように、主スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで光強度が反転する非対称な光強度分布の変化を示す。
【0143】
一方、一対の副スポットは、オントラックの状態から記録トラックを横断すると、記録トラックと平行な方向に対応する分割線を挟んで非対称な光強度分布の変化を示すと共に、記録トラックと直交する分割する分割線を挟んで非対称な光強度分布の変化を示す。
【0144】
この場合、上述した主スポットについてのプッシュプル信号MPPは、記録トラックにより変調されているので、この信号からトラッキング誤差に関する情報を得ることが可能である。また、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号SPP1、SPP2に関しては、付与された非点収差によってスポット内で非対称なトラック変調となるため、プッシュプル演算結果としては、記録トラックによる変調が小さくなる。
【0145】
したがって、本発明を適用した光記録媒体記録再生装置では、上述した位相深さがλ/8となる光記録媒体に対して、以下の演算、いわゆる「差動プッシュプル法」によりトラック誤差信号を生成するが、第1の副スポット及び第2の副スポットについてのプッシュプル信号SPP1、SPP2のトラック変調が小さいため、主副スポット間の位置関係によるトラック誤差信号の変化を小さくすることが可能となる。
【0146】
DPPTRK(差動プッシュプル法によるトラック誤差信号)
=MPP−K・(SPP1+SPP2)(Kは比例定数。)
なお、トラック誤差信号は、上述したラジアルコントラストによるトラック誤差信号RCTRKや、差動プッシュプル法によるトラック誤差信号DPPTRKに限らず、主受光部18の受光面a,b,c,dを用いて、いわゆる「差動位相差(DPD:Differential Phase Detection)法」により生成することも可能である。
【0147】
また、この場合、主スポットは、ランド上にあるかグルーブ上にあるかによらず、主受光部18の受光面における光強度分布が等しくなるのに対して、一対の副スポットは、ランド上にあるかグループ上にあるかによって、互いの光強度分布に大きな差異が生じ、しかも、非点収差の方向(符号)によって、ランドとグループとの関係が逆転している。
【0148】
したがって、上述した位相深さがλ/8となる光記録媒体に対しては、このような一対の副スポットの光強度の差異から、第1の副受光部19及び第2の副受光部20が受光して出力する光検出信号に基づいて、以下の演算によりトラック判別信号を生成する。
【0149】
ASCTS(たすきがけ演算によるトラック判別信号)
=SAS1−SAS2
また、このトラック判別信号(ASCTS)は、図9に示すように、トラック誤差信号(DPPTRK)に対して、グループから次のグループまでを一周期とした場合に(1/4)周期だけ位相がずれた関係にある。
【0150】
なお、本例では、トラック判別信号を得るための副スポットとして、回折光学素子17によって分離された2つのスポットを用いている。様々な外乱による影響を低減するためには、このように2つの副スポットを用いることが望ましいが、1つの副スポットからでも、トラック判別信号を生成することができる。
【0151】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、光学ヘッドの部品点数を多くしたり部品の構成を複雑化することなく、光記録媒体に対して、トラック判別信号を検出することが可能であり、低コストで、かつ、高速アクセスが可能な光学ヘッド及び記録再生装置を提供することが可能である。
【0152】
また、本発明によれば、位相深さが異なる色々な光記録媒体に対して、最適なトラック誤差信号やトラック判別信号等の検出を行うことが可能であり、光学ヘッドの安定したトラッキングサーボを行うと共に、光学ヘッドの安定且つ高速なシーク動作等を行うことによって、これら光記録媒体に対する総合的な記録及び/又は再生特性の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光記録媒体記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光学ピックアップ装置の構成を示す側面図である。
【図3】光源部の構成を示す側面図である。
【図4】回折光学素子の構成を示す正面図である。
【図5】光ディスクの信号記録面上における主スポットと一対の副スポットとの位置関係を示す模式図である。
【図6】光検出素子の構成を示す平面図である。
【図7】位相深さがλ/4がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を示す模式図である。
【図8】位相深さがλ/8がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を示す模式図である。
【図9】「ランドグルーブ記録方式」におけるトラック誤差信号DPPTRKとトラック判別信号ASCTSとの関係を示すグラフである。
【図10】光学ピックアップ装置の変形例を示すブロック図である。
【図11】光学ピックアップ装置の別の変形例を示すブロック図である。
【図12】回折光学素子の変形例を示す正面図である。
【図13】回折光学素子の変形例を示す正面図である。
【図14】図13に示す回折光学素子を用いた場合の光ディスクの信号記録面上における主スポットと一対の副スポットとの位置関係を示す模式図である。
【図15】光検出素子の別の構成、並びに図13に示す回折光学素子を用いた場合の光検出素子上に形成されるスポットの状態を示す平面図である。
【図16】回折光学素子の別の変形例を示す正面図である。
【図17】図16に示す回折光学素子を用いた場合の光ディスクの信号記録面上における主スポットと一対の副スポットとの位置関係を示す模式図である。
【図18】光検出素子の別の構成、並びに図16に示す回折光学素子を用いた場合の光検出素子上に形成されるスポットの状態を示す平面図である。
【図19】光学ピックアップ装置のさらに別の変形例を示すブロック図である。
【図20】光検出素子のさらに別の構成、並びに図19に示す光学ピックアップ装置を用いた場合の光検出素子上に形成されるスポットの状態を示す平面図である。
【図21】図19に示す光学ピックアップ装置を用いた場合の位相深さがλ/4がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を示す模式図である。
【図22】図19に示す光学ピックアップ装置を用いた場合の位相深さがλ/8がとなる場合において、各スポットが記録トラックを横切った際の各受光部上に形成されるスポットの光強度分布の変化を示す模式図である。
【図23】従来の「ランド記録方式」におけるトラック誤差信号と和信号との関係を示すグラフである。
【図24】従来の「ランド記録方式」におけるトラック誤差信号とトラック判別信号との関係を示すグラフである。
【図25】従来の「ランドグルーブ記録方式」における和信号を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光源部、14 対物レンズ、16 光検出素子、17 回折光学素子、18 主受光部、19 第1の副受光部、20 第2の副受光部、101 光記録媒体記録再生装置、102 光ディスク、104 光学ピックアップ装置、107 システムコントローラ、108 信号変復調部及びECCブロック、109 サーボ制御回路

Claims (10)

  1. 光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、上記光出射手段より出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、上記光出射手段より出射された光束の上記集光手段に至る光路中に配置され、上記光束を、上記光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、前記主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、前記一対の副光束を、それぞれ上記記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離する回折光学素子と、
    上記光記録媒体で反射された反射光束のうち、上記主光束を受光する主受光部と、上記一対の副光束を受光する一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッド。
  2. 上記記録トラックと直交する方向において、上記主スポットのスポット中心と、上記一対の副スポットにおけるスポット中心との間の距離が、n・Tp/2(但し、nは0以上の整数を表す。)となることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
  3. 上記記録トラックと直交する方向における上記一対の半副スポットのスポット中心間の距離が、略Tp/2となることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
  4. 上記一対の副受光部は、上記記録トラックと平行な方向に対応する分割線で分割された受光面を特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
  5. 上記一対の副受光部は、上記記録トラックと直交する方向に対応する分割線で分割された受光面を有することを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
  6. 光束を出射する少なくとも1つの光源を有する光出射手段と、上記光出射手段より出射された光束を光記録媒体上に集光させる集光手段と、上記光出射手段より出射された光束の上記集光手段に至る光路中に配置され、上記光束を、上記光記録媒体の記録トラック上に信号の記録及び/又は再生を行うための主スポットを形成する主光束と、前記主スポットを挟んで一対の副スポットを形成する一対の副光束とに分離すると共に、前記一対の副光束を、それぞれ上記記録トラックと直交する方向にシフトした位置に一対の半副スポットを形成する一対の半副光束に分離する回折光学素子と、
    上記光記録媒体で反射された反射光束のうち、上記主光束を受光する主受光部と、上記一対の副光束を受光する一対の副受光部とを有する光検出手段とを備える光学ヘッドと、
    上記光検出手段が受光して出力する光検出信号に基づいて、各種信号を生成する信号処理手段と、
    上記信号処理手段により生成された信号に基づいて、上記光学ヘッドの駆動制御を行う駆動制御手段とを備える記録及び/又は再生装置。
  7. 上記記録トラックと直交する方向において、上記主スポットのスポット中心と、上記一対の副スポットにおけるスポット中心との間の距離が、それぞれn・Tp/2(但し、nは0以上の整数を表す。)となることを特徴とする請求項6記載の記録及び/又は再生装置。
  8. 上記記録トラックと直交する方向における上記一対の半副スポットのスポット中心間の距離が、略Tp/2となることを特徴とする請求項6記載の記録及び/又は再生装置。
  9. 上記一対の副受光部は、上記記録トラックと平行な方向に対応する分割線で分割された受光面を特徴とする請求項6記載の記録及び/又は再生装置。
  10. 上記一対の副受光部は、上記記録トラックと直交する方向に対応する分割線で分割された受光面を有することを特徴とする請求項6記載の記録及び/又は再生装置。
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