JP2004309809A - フラットディスプレイの光吸収膜の製法及びそれに用いる塗料並びにそれを用いたフラットディスプレイ - Google Patents
フラットディスプレイの光吸収膜の製法及びそれに用いる塗料並びにそれを用いたフラットディスプレイ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることのできるフラットディスプレイの光吸収膜の製法を提供する。
【解決手段】フラットディスプレイ用のガラス基板1の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であり、ガラス基板1の一面に塗料を印刷して塗膜(光吸収膜)2を形成するに際し、塗料に黒色成分を含有させ、かつ塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用い、ガラス基板1の一面に形成した塗膜2にレーザー光4を照射して熱硬化させたのち未硬化部分の塗膜2を除去し、マトリックス状の光吸収膜2を形成する。
(A)コロイダルシリカ。
(B)二酸化ケイ素パウダー。
(C)酸化アルミニウムパウダー。
【選択図】図2
【解決手段】フラットディスプレイ用のガラス基板1の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であり、ガラス基板1の一面に塗料を印刷して塗膜(光吸収膜)2を形成するに際し、塗料に黒色成分を含有させ、かつ塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用い、ガラス基板1の一面に形成した塗膜2にレーザー光4を照射して熱硬化させたのち未硬化部分の塗膜2を除去し、マトリックス状の光吸収膜2を形成する。
(A)コロイダルシリカ。
(B)二酸化ケイ素パウダー。
(C)酸化アルミニウムパウダー。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットディスプレイの光吸収膜の製法及びそれに用いる塗料並びにそれを用いたフラットディスプレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フラットディスプレイのスクリーン面におけるマトリックス状の光吸収膜は、いわゆる陰極線カラー受像管に形成される黒鉛ブラックマトリックス膜(すなわち、マトリックス状の光吸収膜)に代表されるようにフォトリソグラフ法を用いて作製され、もしくは液晶に代表されるカラーフィルターのクロム蒸着薄膜を加工するフォトリソグラフ法を用いたエッチング方法により作製されている。
【0003】
すなわち、上記の陰極管カラー受像管の場合には、まず、ガラス基板上に感光性樹脂を塗布,乾燥して感光性樹脂膜を形成し、ついで、この感光性樹脂膜をシャドウマスク越しに露光感光および水洗現像させてシャドウマスクのネガパターンを形成し、つぎに、黒鉛懸濁液の塗布,乾燥,酸処理および水洗による下地感光性樹脂膜とその重なった黒鉛懸濁液の乾燥塗料膜との同時剥離いわゆるリフトオフを行うことにより、黒鉛ブラックマトリックス膜を形成するようにしている。
【0004】
また、一般に、カラーフィルターのブラックマトリックス(すなわち、マトリックス状の光吸収膜)形成方法は、まず、ガラス基板上に、クロムおよび酸化クロムの少なくとも一方からなる蒸着薄膜を形成し、ついで、上記と同様のフォトリソグラフ法を用い、上記蒸着薄膜に感光性樹脂を塗布,乾燥して感光性樹脂膜を形成し、つぎに、上記感光性樹脂膜をパターンマスク越しに露光感光ならびに水洗現像させて感光性樹脂膜のパターンを形成し、つぎに、このパターン越しに上記蒸着薄膜を酸エッチングして所定のマトリックス状の光吸収膜を形成し、そののち、不要の感光性樹脂膜を取り除くことにより、クロムブラックマトリックス膜を形成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術は、マトリックス状の光吸収膜の微細パターン形成に用いられているものの、様々な問題を抱えている。第1に、フォトリソグラフ法を用いる場合には、プロセスが煩雑であり、かつ感光性樹脂の取り扱いに多大な設備が必要となる。すなわち、感光性樹脂のパターン化までに塗布,乾燥,露光感光,水洗現像,乾燥等のプロセスが必要であり、この間の設備および必要とする水源は多大である。第2に、カラーフィルターにおけるクロム重金属処理,製品廃棄によるクロム回収が、今後多大なコスト要因として考えられる。また、顔料分散樹脂ブラックマトリックスによるカラーフィルターのマトリックス状の光吸収膜形成方法は、これらの問題を解決する一因子と考えられているが、特性面で問題が多い。顔料分散樹脂ブラックマトリックス剤は、直接露光感光する特性を持たすため感光性樹脂を基本組成とする。その組成に黒色顔料の分散を用いるため露光感光の樹脂への透過性の問題がある。すなわち、光学濃度を上げると露光感光性が悪くなり、微細化パターンに限界がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることのできるフラットディスプレイの光吸収膜の製法及びそれに用いる塗料並びにそれを用いたフラットディスプレイの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、フラットディスプレイ用の透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であって、上記透明基板の一面に塗料を印刷して塗膜を形成するに際し、上記塗料に黒色成分を含有させ、かつ上記塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用い、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成するようにしたフラットディスプレイの光吸収膜の製法を第1の要旨とし、上記のフラットディスプレイの光吸収膜の製法に用いる塗料であって、黒色成分を含み、そのバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いている塗料を第2の要旨とし、上記のフラットディスプレイの光吸収膜の製法によりマトリックス状の光吸収膜が設けられたフラットディスプレイ用の透明基板を用いて作製されたフラットディスプレイを第3の要旨とする。
(A)コロイダルシリカ。
(B)二酸化ケイ素パウダー。
(C)酸化アルミニウムパウダー。
【0008】
すなわち、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法は、フラットディスプレイ用の透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であり、上記透明基板の一面に塗料を印刷して塗膜を形成するに際し、上記塗料に黒色成分を含有させ、かつ上記塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合した塗料を用いている。そして、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成するようにしている。このように、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成しているため、従来用いていた感光性樹脂を必要とせず、プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることができる。しかも、除去する未硬化部分には、クロム重金属は含まれていないため、処理設備およびプロセスの簡略化が可能になり、さらにコストの軽減化を図ることができる。しかも、塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いているため、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものに比べて、塗料の接着性が高まる。このため、例えば、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料を充分に乗せることができ、印刷性が高まり、微細なパターンを正確に形成することができる。これに対し、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものでは、塗料の接着性が低く、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料をあまり乗せることができず、微細なパターンを正確に形成することができないという問題がある。
【0009】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、上記熱硬化を、レーザー光もしくはサーマルヘッドを用いて行うことができる。レーザー光を用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にレーザー光を照射し、これを照射した塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、レーザー光の照射により、そのエネルギーで、透明基板の一面に形成した塗料を熱硬化させているだけであるため、レーザー光のエネルギーを低レベルに設定することができ、透明基板を傷めない。これに対して、レーザー光で塗膜をガス化して吹き飛ばし、残存する塗膜の部分でマトリックス状の光吸収膜を形成する方法では、レーザー光のエネルギーを高レベルに設定する必要があり、透明基板を傷める。一方、サーマルヘッドを用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にサーマルヘッドを直接接触させ、この接触させた塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、設備費のイニシャルコストの低減化を図ることができる。
【0010】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、フラットディスプレイの透明基板として、ガラス基板もしくは合成樹脂基板が用いられており、これらガラス基板もしくは合成樹脂基板に対して、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法を実施することができる。これにより、フラットディスプレイの基板材料選択の範囲が広くなり、非常に便利である。
【0011】
つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0012】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法には、透明基板と、黒色成分が含まれた塗料と、レーザー光もしくはサーマルヘッドが用いられる。また、レーザー光においては、その集束されたエネルギービームを走査し、塗膜化された黒色塗料の所定部分を微細に熱硬化させる機構が用いられる(図5〜図7参照)。一方、サーマルヘッドにおいては、例えば、600dpi,1200dpi等の微細熱発生素子を走査し、塗膜化された黒色塗料の所定部分を微細に熱硬化させる機構が用いられる(図8参照)。なお、上記のレーザー光に代えて、レンズやミラーを使って集束することができ、塗膜化された黒色塗料の所定部分を微細に熱硬化させることのできる熱エネルギーを有する他のコヒーレント(干渉性)な電磁波(例えば、メーザー)を適用することができる。
【0013】
上記透明基板としては、ガラス基板や合成樹脂基板等が用いられる。上記合成樹脂基板としては、ポリカーボネート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリイミド,ポリアミド,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種で構成されるフィルム材が好ましい。このような透明基板の厚みは、合成樹脂基板では25μm〜2mmに、好ましくは25μm〜250μmに、特に好ましくは50μm〜100μmに設定され、ガラス基板では0.3mm〜35mmに、好ましくは0.5mm〜35mmに設定される。
【0014】
上記塗料は、黒色成分が含まれた水性塗料であり、かつ、そのバインダー(塗膜形成剤)として、無定形アルミナ水性ゾルに上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものが用いられる。上記黒色成分は、透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分にて、レーザー光もしくはサーマルヘッドの熱エネルギーを吸収し、この吸収した熱エネルギーで、上記塗膜中のバインダーである上記無定形アルミナ水性ゾルに上記(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを効果的に熱硬化させるようにしている。このような黒色成分としては、黒鉛粉末,カーボンブラック等の各種の黒色成分があげられ、それぞれ単独でもしくは複数種の黒色成分を組み合わせて用いられる。また、上記黒色成分としては、通常、粒径5nm〜100μmのもの、好ましくは、粒径5nm〜20μmのものが用いられる。ただし、本発明では、上記黒色成分として、クロムおよび酸化クロムを含まない。
【0015】
また、無定形アルミナ水性ゾルに対するコロイダルシリカ,二酸化ケイ素パウダーおよび酸化アルミニウムパウダーの配合割合は、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを、無定形アルミナ水性ゾルの固形分100重量部に対して、その固形分にて1〜500重量部に設定することが好ましく、特に好ましくは1〜400重量部である。すなわち、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つが1重量部未満では、塗膜の透明基板に対する接着性が劣り、500重量部を越えると、塗膜にクラックが生じやすくなる傾向がみられるからである。そして、上記の(A),(B)および(C)の中でも、粘性のコントロールが容易であり、必要な粘性を確保することができるという点から、上記の(B)および(C)の少なくとも一方を用いることが好ましい。また、黒色成分の固形分100重量部に対して上記バインダーを固形分にて10〜500重量部に設定することが好ましく、特に好ましくは18〜400重量部である。18重量部未満では、塗膜の透明基板に対する接着性が劣る傾向が見られ、10重量部未満では、塗膜の透明基板に対する接着性が著しく劣り、500重量部を越えると、黒色濃度が低下し、光吸収膜特性が低下する傾向がみられるからである。
【0016】
上記無定形アルミナ水性ゾルの製造方法は、公知である(例えば、特公昭32−3367号公報,特公昭45−3658号公報,特開昭60−166220号公報,特開平5−24823号公報,特開平5−24824号公報を参照)。このような無定形アルミナ水性ゾルとして、無定形繊維状アルミナゾルが好適に用いられる。また、上記無定形繊維状アルミナゾルのアルミナ結晶構造は、複雑を呈し、一般に5μm〜200μmのコロイドの大きさを持つアルミナ水和物(ベーマイト系)であって、繊維状粒子の集合を呈している。そして、一般に、水中の陰イオンを安定剤として分散している。この安定剤としては、有機酸,無機酸があり、特に、塩酸,硝酸,硫酸,弗化水素,沃化水素,臭化水素,燐酸,シュウ酸,マロン酸,琥珀酸,マレイン酸,フタール酸,酒石酸,クエン酸,酢酸,蟻酸,プロピオン酸,乳酸,酪酸等が有効である。このような無定形アルミナ水性ゾルとして、例えば、日産化学工業社製のアルミナゾル100,アルミナゾル200,アルミナゾル520や触媒化成工業社製のCataloidAシリーズ等が市販されている。
【0017】
上記の(A)コロイダルシリカとは、SiO2 ・xH2 O(xは正数である)で表わされるものであり、無水ケイ酸の超微粒子(粒径:1nm〜100nm程度の、非常に粒径の小さい超微粒子)をコロイド溶液として利用しやすく、安定な状態にしたものである。このようなコロイダルシリカとして、例えば、日産化学工業社製のスノーテックス30,スノーテックスO,スノーテックスOUPが市販されている。例えば、このスノーテックス30の性状は、無水ケイ酸を30〜31重量%含み、酸化ナトリウムとしてソーダの含有量は0.6重量%以下、pH5〜10.5、25℃における粘度6mPa・s以下、20℃における比重1.20〜1.22で、外観は透明性乳白色もしくは乳白色のコロイド液である。
【0018】
上記の(B)二酸化ケイ素パウダーとは、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応することによりつくられる超微粒子状無水シリカパウダーである。SiO2 分子量(式量):60.06で、純度が99.9重量%以上と極めて高く、吸着水分が少ない。粒子はほとんど完全な球形でかつ粒度が揃い、凝集性が少なく、分散性がよい。また、液体の増粘,チキソ性,分離沈降防止,補強性に優れる。このような二酸化ケイ素パウダーとして、例えば、日本アエロジル社の製品には、比表面積の違いにより、Aerosil♯50,♯90G,♯130,♯200,♯300,♯380があり、また、凝集性の少ないOX50、凝集性の大きいTT600等がある。また、表面をメチル化した疎水性のR972、その他シリコーン化合物で処理したRX200,RY200.R202,R805,R812等をあげることができる。上記二酸化ケイ素パウダーの平均粒径は5〜50nmの粉末状シリカで、高温火炎加水分解法で製造される球形の一次粒子からなる白色の高分散性の二酸化ケイ素である。
【0019】
上記の(C)酸化アルミニウムパウダーとは、アルミニウムを含む揮発性化合物を気相で反応することによりつくられる超微粒子酸化アルミニウムである。Al2 O3 分子量(式量):101.94で、一次粒子がきわめて細かく、化学的純度が高く、嵩密度が小さく、分散性がよい。結晶構造は、大部分がデルターである。このような酸化アルミニウムパウダーとして、例えば、日本アエロジル社製のAerosil Al2 O3 Cをあげることができる。
【0020】
また、上記の(B)二酸化ケイ素パウダーと(C)酸化アルミニウムパウダーの混合物パウダーとして、例えば、日本アエロジル社製のMOX80,MOX170,COK84等があげられる。そして、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを無定形アルミナ水性ゾルに配合すると、上記塗料の接着性が高まり、塗料の乾燥皮膜が透明基板に対し充分に接着するようになる。また、上記の(A),(B)および(C)を混合する場合には、(A)および(B)、(B)および(C)、(A)および(C)もしくはその全ての(A),(B)および(C)の混合が可能で、そのそれぞれの比率も任意である。
【0021】
上記塗料は、無定形アルミナ水性ゾルの特性を生かしたものであり、上記塗料を加熱乾燥して得られる塗膜を、無定形アルミナ水性ゾル(ベーマイト無定形結晶構造)の無定形結晶構造領域内で所定の部分を所定のエネルギーで加熱処理することにより、アルミナ粒子表面のOH基の脱水縮合が強固な結合をつくり、水,酸もしくはアルカリに対する耐溶解性もしくは耐膨潤性が付加され、一方、不要部分(すなわち、非加熱処理部分)は水,酸もしくはアルカリで溶解もしくは膨潤させることができ、これにより、水,酸もしくはアルカリに浸漬して除去することができる。この特性を利用し、レーザー光の照射もしくはサーマルヘッドにより、照射した部分もしくは直接接触させた部分を熱硬化させるとともに、未硬化部分を水,酸もしくはアルカリで除去することができるようにしている。
【0022】
上記酸としては、有機酸(酢酸,蟻酸,プロピオン酸,乳酸,酪酸,シュウ酸,マロン酸,琥珀酸,マレイン酸,フタール酸,酒石酸,クエン酸等からなる群から選ばれた一種または数種の混合)および無機酸(スルファミン酸,塩酸,硝酸,希硫酸等からなる群から選ばれた一種または複数種の混合)が用いられ、上記アルカリとしては、塩基性剤,すなわち水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,炭酸ナトリウム,過炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸リチウム,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が用いられる。
【0023】
上記無定形アルミナ水性ゾルの特性は、X線回析にて容易に確認でき、その無定形でピークを示さないものが上記塗料に好適に用いられる。例えば、日産化学工業社製アルミナゾル200の場合、X線回析によると、その全てもしくは殆どが無定形を呈している。また、その特徴は、その示差熱分析でも判るように、150℃前後付近の脱付着水、200℃前後付近の脱構造水の一部、400℃前後付近の脱構造水の一部に吸熱反応が見られる。600℃以上から800℃で無定形結晶構造を示さなくなり、さらに、1200℃まで加熱すると白色粒状結晶α−アルミナに結晶転位すると見られている。
【0024】
なお、上記透明基板の一面に塗料を塗布する方法としては、例えば、印刷による場合には、スクリーン印刷,グラビア印刷等が挙げられ、その他にロールコーター,スピンコーター,フローコーティング等があげられる。
【0025】
上記透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける部分は、陰極線カラー受像管にあっては、蛍光体ドットまたは蛍光体細条あるいはカラーフィルタードットまたはカラーフィルター細条の付設領域間に対応する透明基板の内面の部分であり(図9参照)、エレクトロルミネッセンスディスプレイおよびフィールドエミッションディスプレイにあっては、発光体ドットまたは発光体細条の付設領域間に対応する透明基板の内面もしくは外面の部分であり(図10および図11参照)、プラズマディスプレイ,液晶ディスプレイ,エレクトロルミネッセンスディスプレイおよびフィールドエミッションディスプレイにあっては、カラーフィルタードットまたはカラーフィルター細条の付設領域間に対応する透明基板の内面もしくは外面の部分である(図12〜図15参照)。
【0026】
上記レーザー光は、上記透明基板の一面に形成された塗膜に直接照射してもよいし、光学レンズを介して微細集光してから照射してもよい。この場合には、光学レンズを介することにより、さらに微細処理が可能になる。また、レーザー光を、マトリックス状パターン(ドットまたは細条)が形成されたマスク(図16および図17参照)の開口部を経由して塗膜に照射してもよい。また、これらのプロセスを組み合わせてもよい。また、レーザー光の照射を透明基板の他面(塗膜形成面の背面)側から透明基板を介して行うようにしてもよい。
【0027】
上記レーザー光は、そのビーム径を直接光で1.0μm〜200μmに設定し、光学レンズ経由で0.1μm〜200μmに設定する。また、マトリックス状パターン(ドットまたは細条)が形成されたマスクの開口部を経由して塗膜に照射する場合には、そのパターン開口部の幅以上のビーム径に設定する。そのビーム径の最大幅は200μmで、すなわち、マトリックス状パターンが形成されたマスクの開口幅は200μm以下である。また、レーザー光のエネルギーを、3.0J/cm2 〜130J/cm2 に、好ましくは3.0J/cm2 〜80J/cm2 に設定する。このような設定値は、透明基板の一面(塗膜形成面)側から行う場合も、他面(塗膜形成面の背面)側から行う場合も同じである。
【0028】
上記塗膜に対しレーザー光を走査させて塗膜上に所定のパターンを形成することができる。一つには、上記レーザー光を固定し、上記塗膜を形成した透明基板をテーブル上に固定し、その状態で上記テーブルをX軸Y軸方向に移動させてレーザー光のon/offにより塗膜上へ所定のパターンを処理する方法がある。また、ガルバノレンズの操作にてレーザー光を走査させる場合、そのレーザー光のon/off操作および塗膜上のX軸Y軸座標位置決めにより、レーザー光の塗膜上へ所定のパターンを処理する方法がある。もしくはこれら両方法を組み合わせる方法等がある。また、ポリゴンミラー(回転多面鏡)に入射せしめるレーザー光の反射をそのポリゴンミラー回転により走査し、そのレーザー光のon/off操作と、テーブル上に固定した透明基板のテーブル移動とを組み合わせて処理する方法もある。
【0029】
また、上記サーマルヘッドを走査して塗膜上へ熱処理を施す場合も、サーマルヘッドの微細熱発生素子に印加する電圧もしくはサーマルヘッドの塗膜に対する圧着力をコントロールすることが容易であり、所定のパターンに熱処理することができる。そのエネルギーは、2.4J/cm2 〜30J/cm2 で、好ましくは4.8J/cm2 〜25J/cm2 である。また、サーマルヘッドの塗膜に対する圧着力は、0.09〜1.0MPaで、好ましくは0.19〜0.5MPaである。
【0030】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0031】
図1〜図3は本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の一実施の形態を示している。この実施の形態では まず、後記の表1の実施例1に示す配合成分をポットミル(日本化学陶業社製ポットミルB型)に入れ60rpmで15〜30時間分散させることにより塗料を調製する(下記の実施例,比較例においても、下記の表1〜表4に示す配合成分で、同様に調製する)。ついで、この塗料をガラス基板(透明基板)1の内面の全面にスクリーン印刷により印刷する。つぎに、ガラス基板1に印刷した塗料を120℃で10分間乾燥し、ガラス基板1の内面の全面に塗膜2を形成する(図1参照)。この塗膜2の形成ののち、塗膜2の上方に、所定のマトリックス状のパターンが形成されたマスク3(開口幅100μmの細条パターン)を配設し、その上方からレーザー光4を塗膜2に照射し(図2参照)、この照射した部分をレーザー光4のエネルギーで熱硬化させる。このとき、レーザー光4のエネルギーを12.7J/cm2 に設定する。そして、レーザー光4を固定し、テーブルの移動により、このテーブル上に固定されたガラス基板1を1,000mm/分の速度で走査させながら、レーザー光4、マスク3の開口幅より広いビーム径(例えば、120μm)で照射し、マスク3の開口幅を通過した100μmのレーザー光4により、塗膜2をその幅で熱硬化させる。このレーザー光4の照射ののち、ガラス基板1をスルファミン酸15%液(図示せず)に25℃で10分間浸漬し、浸漬後ガラス基板1を取り出し水洗する。これにより、内面に平均102μm幅(熱拡散によりマスク3の開口幅より広くなる)の所定のマトリックス状のパターンの塗膜(光吸収膜)2が形成されたガラス基板1を得ることができる(図3参照)。このようにして得られたガラス基板1はフラットディスプレイの前面パネル基板として用いられる。
【0032】
この実施の形態では、レーザー光4を利用しているため、感光性樹脂を必要とせず、プロセスが簡単であり、安価になる。しかも、塗料にクロム重金属を含んでいないため、排水処理設備が簡単になり、さらに安価になる。しかも、レーザー光4を塗膜2に照射して、この照射部分を熱硬化させるだけであるため、レーザー光4のエネルギーを低レベルに設定することができ、ガラス基板1を傷めない。しかも、塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルにコロイダルシリカを配合したものを用いているため、塗料の接着性が高く、印刷性が高まり、微細なパターンを正確に形成することができる。また、その塗料は、透明基板に充分な接着力がある。
【0033】
図4は本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の他の実施の形態(下記の実施例4)を示している。この実施の形態では、上記実施例1と同様に、ガラス基板1の内面の全面に塗膜2を形成したのち、ガラス基板1の外面に、開口幅150μmのマトリックス状のパターン(細条)が形成されたマスク3を配設し、その下方からビーム径200μmのレーザー光4を照射している(図4参照)。上記実施例1と同様に、マスク3の開口幅を通過した150μmのレーザー光4により、塗膜2をその幅で熱硬化させる。そのときのレーザー光4のエネルギーは、60.0J/cm2 で、テーブル上に固定されたガラス基板1を4,000mm/分の速度で走査させる。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の作用・効果を奏する。
【0034】
上記両実施の形態と同様にして、下記の実施例5は、ガラス基板1の内面の全面に塗膜2を形成し(図1参照)、40℃で10分間乾燥する。つぎに、600dpiサーマルヘッドを使用したプリンター(図示せず)により、ガラス基板1の塗膜2に直接に罫線を形成する。このときのサーマルヘッドの印加エネルギーを120J/cm2 、移動速度を180m/sec、圧着力を0.353MPaとする。そして、上記罫線を形成した部分を熱硬化させる。この熱硬化ののち、水に浸漬し水洗する。これにより、内面に平均90.2μm幅の所定のマトリックス状のパターンの塗膜2が形成されたガラス基板1を得ることができる(図3参照)。この実施の形態でも、上記両実施の形態と同様の効果を奏する。また、1200dpiサーマルヘッドを使用すれば、さらに細線が可能である。
【0035】
つぎに、本発明の実施例を比較例と併せて説明する。
【0036】
【実施例1〜12、比較例1,2】
下記の表1〜表4に示す配合成分をポットミル(日本化学陶業社製ポットミルB型)に入れ60rpmで15〜30時間分散させることにより14種類の塗料を調製した。そして、厚み1.5mmガラス基板1もしくは厚み125μmポリイミドフィルム基板を準備し、上記各塗料をそれぞれ上記各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板(図1のガラス基板1に代えて)の内面の全面にスクリーン印刷により印刷した。ついで、これら各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板を所定温度,所定時間にて乾燥し、各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板の内面の全面に塗膜2を形成した(図1参照)。これら各塗膜2の膜厚は5μmであった(表面粗さ計:キーエンス社VF−7500で測定した)。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
上記の表1〜表4に示す配合成分(実施例1〜4,7,8,11,12および比較例1)の塗料をそれぞれ、実施例1〜4,8,11,12および比較例1では、ガラス基板1の内面の全面に、実施例7では、ポリイミドフィルム基板(図1のガラス基板1に代えて)の内面の全面にスクリーン印刷により印刷した。つぎに、実施例1,2,4,7,8,11,12および比較例1では、その基板を120℃で10分間乾燥させた。実施例3では、その基板を40℃で10分間乾燥させた。そののち、実施例1〜4,7,8,11,12および比較例1の各塗膜2にレーザー光4を所定の幅で集光させ、テーブルの移動でスキャンして照射した。このときのレーザー光4の照射条件を下記の表5に示す。なお、レーザー光4を固定し、ガラス基板1を固定したテーブルを移動させた。また、実施例1は前述の通りであり、実施例8,11,12および比較例1では、マスク3なしで、レーザー光4をガラス基板1の塗膜2面側から照射した(図2参照。マスク3なし)。実施例2では、マスク3なしで、レーザー光4をガラス基板1の背面側から照射した(図4参照。マスク3なし)。実施例3では、マスク3なしで、レーザー光4をガラス基板1の塗膜2面側から照射した(図2参照。マスク3なし)。また、実施例4では、開口幅150μmのマトリックス状のパターンマスク3をガラス基板1の外面に配設し、その下方からレーザー光4を照射した(図4参照)。また、実施例7では、マスク3なしで、レーザー光4をポリイミドフィルム基板の塗膜2面側から照射した(図2参照。マスク3なし)。
【0042】
【表5】
【0043】
上記の表1〜表4に示す配合成分(実施例5,6,9,10および比較例2)の塗料をそれぞれ、実施例5では、前述のとおりガラス基板1の内面の全面に、実施例6,9,10および比較例2では、ポリイミドフィルム基板(図1のガラス基板1に代えて)の内面の全面にスクリーン印刷により印刷した。そののち、実施例5では、その基板を40℃で10分間乾燥させた。実施例6,9,10および比較例2では、その基板を120℃で10分間乾燥させた。そして、実施例6,9,10および比較例2の各塗膜2に600dpiサーマルヘッド(図示せず)を用い、直接塗膜2に罫線を描いた。また、同様にして、実施例5でも、塗膜2にサーマルヘッドにて罫線を描いた。このときのサーマルヘッドの条件を下記の表6に示す。
【0044】
【表6】
【0045】
実施例1,2,4,7,8,11,12および比較例1では、レーザー光4の照射ののち、上記各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板をスルファミン酸15%液に25℃で10分間浸漬し、この浸漬後、上記各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板を取り出して水洗した。実施例3では、レーザー光4の照射ののち、そのガラス基板1を水に25℃で10分間浸漬し、この浸漬後、ガラス基板1を取り出して水洗した。これにより、図3に示すようなガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板(実施例1〜4、7,8,11,12品および比較例1品)を得た。
【0046】
一方、実施例6,9,10および比較例2では、サーマルヘッドの処理ののち、上記各ポリイミドフィルム基板をスルファミン酸15%液に25℃で10分間浸漬し、実施例5では、サーマルヘッドの処理ののち、そのガラス基板1を25℃の水に10分間浸漬し、これらの浸漬後、上記各ポリイミドフィルム基板もしくはガラス基板1を取り出して水洗した。これにより、図3に示すようなガラス基板1と同様のポリイミドフィルム基板もしくはガラス基板1(実施例5,6,9,10品および比較例2品)を得た。
【0047】
上記表5および表6から明らかなように、実施例1〜12品では、ガラス基板1を用いた場合にも、また、ポリイミドフィルム基板を用いた場合にも、その内面に、上記の表5および表6に示すライン幅のマトリックス状の光吸収膜を確認することができた。また、レーザー光4のレーザー径を25μmに設定したとき、上記のようなマスク3なしで可能なライン幅は25.5μmであった。また、600dpiサーマルヘッドの単一の微細熱発生素子(幅27.3μm×長さ70μm)でのマトリックス状の光吸収膜は、その最小可能線幅で、30.0μmであった。
【0048】
これに対し、比較例1,2品においては、その熱硬化部分の塗膜全てもしくは大部分が、水洗い時に未硬化部分の塗膜と一緒に剥がれてしまい、その内面にマトリックス状の光吸収膜を全くもしくは連続した状態で得ることができなかった。
【0049】
なお、上記各実施例1〜12において、酸処理(スルファミン酸15%液)に代えて、アルカリ(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド3%液)にて処理を実施した場合にも、その全てにおいて、上記各実施例1〜12と同様の効果が得られた。
【0050】
また、上記ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板に代えて、ポリエチレン基板を用いた場合にも、同様の結果が得られた。また、黒鉛粉末に代えて、カーボンブラックもしくは黒鉛粉末+カーボンブラックを用いた場合にも、同様の結果が得られた。
【0051】
上記カーボンブラックとは、製法の相違によって区別され、また原料の相違によりガスブラック,オイルブラック,アセチレンブラック等がある。その性状は、黒色か帯灰黒色の粉末で、有機物(炭化水素)の不完全燃焼あるいは熱分解により生成される。成分は炭素であるが、その表面のミクロ的な状態が製法および原料で異なり、単に炭素の微粒とは相違している。好ましくは、不活性雰囲気中で2000℃から3000℃の高温にて処理したものが、上記黒色成分として効果が高い。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法によれば、透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成しているため、従来用いていた感光性樹脂を必要とせず、プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることができる。しかも、除去する未硬化部分には、クロム重金属は含まれていないため、処理設備およびプロセスの簡略化が可能になり、さらにコストの軽減化を図ることができる。しかも、塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いているため、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものに比べて、塗料の接着性が高まる。このため、例えば、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料を充分に乗せることができ、印刷性が高まり、微細なパターンを正確に形成することができる。これに対し、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものでは、塗料の接着性が低く、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料をあまり乗せることができず、微細なパターンを正確に形成することができないという問題がある。
【0053】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、上記熱硬化を、レーザー光もしくはサーマルヘッドを用いて行うことができる。レーザー光を用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にレーザー光を照射し、これを照射した塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、レーザー光の照射により、そのエネルギーで、透明基板の一面に形成した塗料を熱硬化させているだけであるため、レーザー光のエネルギーを低レベルに設定することができ、透明基板を傷めない。これに対して、レーザー光で塗膜をガス化して吹き飛ばし、残存する塗膜の部分でマトリックス状の光吸収膜を形成する方法では、レーザー光のエネルギーを高レベルに設定する必要があり、透明基板を傷める。一方、サーマルヘッドを用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にサーマルヘッドを直接接触させ、この接触させた塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、設備費のイニシャルコストの低減化を図ることができる。
【0054】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、フラットディスプレイの透明基板として、ガラス基板もしくは合成樹脂基板が用いられており、これらガラス基板もしくは合成樹脂基板に対して、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法を実施することができる。これにより、フラットディスプレイの基板材料選択の範囲が広くなり、非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】上記製法を示す説明図である。
【図3】上記製法を示す説明図である。
【図4】本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の他の実施の形態を示す説明図である。
【図5】レーザー光を用いた機構の説明図である。
【図6】上記レーザー光を用いた他の機構の説明図である。
【図7】上記レーザー光を用いたさらに他の機構の説明図である。
【図8】サーマルヘッドを用いた機構の説明図である。
【図9】陰極線カラー受像管に形成される光吸収膜の説明図である。
【図10】エレクトロルミネッセンスディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図11】フィールドエミッションディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図12】上記エレクトロルミネッセンスディスプレイに形成される他の光吸収膜の説明図である。
【図13】上記フィールドエミッションディスプレイに形成される他の光吸収膜の説明図である。
【図14】プラズマディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図15】液晶ディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図16】マスクの説明図である。
【図17】上記マスクの変形例の説明図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 塗膜
4 レーザー光
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットディスプレイの光吸収膜の製法及びそれに用いる塗料並びにそれを用いたフラットディスプレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フラットディスプレイのスクリーン面におけるマトリックス状の光吸収膜は、いわゆる陰極線カラー受像管に形成される黒鉛ブラックマトリックス膜(すなわち、マトリックス状の光吸収膜)に代表されるようにフォトリソグラフ法を用いて作製され、もしくは液晶に代表されるカラーフィルターのクロム蒸着薄膜を加工するフォトリソグラフ法を用いたエッチング方法により作製されている。
【0003】
すなわち、上記の陰極管カラー受像管の場合には、まず、ガラス基板上に感光性樹脂を塗布,乾燥して感光性樹脂膜を形成し、ついで、この感光性樹脂膜をシャドウマスク越しに露光感光および水洗現像させてシャドウマスクのネガパターンを形成し、つぎに、黒鉛懸濁液の塗布,乾燥,酸処理および水洗による下地感光性樹脂膜とその重なった黒鉛懸濁液の乾燥塗料膜との同時剥離いわゆるリフトオフを行うことにより、黒鉛ブラックマトリックス膜を形成するようにしている。
【0004】
また、一般に、カラーフィルターのブラックマトリックス(すなわち、マトリックス状の光吸収膜)形成方法は、まず、ガラス基板上に、クロムおよび酸化クロムの少なくとも一方からなる蒸着薄膜を形成し、ついで、上記と同様のフォトリソグラフ法を用い、上記蒸着薄膜に感光性樹脂を塗布,乾燥して感光性樹脂膜を形成し、つぎに、上記感光性樹脂膜をパターンマスク越しに露光感光ならびに水洗現像させて感光性樹脂膜のパターンを形成し、つぎに、このパターン越しに上記蒸着薄膜を酸エッチングして所定のマトリックス状の光吸収膜を形成し、そののち、不要の感光性樹脂膜を取り除くことにより、クロムブラックマトリックス膜を形成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術は、マトリックス状の光吸収膜の微細パターン形成に用いられているものの、様々な問題を抱えている。第1に、フォトリソグラフ法を用いる場合には、プロセスが煩雑であり、かつ感光性樹脂の取り扱いに多大な設備が必要となる。すなわち、感光性樹脂のパターン化までに塗布,乾燥,露光感光,水洗現像,乾燥等のプロセスが必要であり、この間の設備および必要とする水源は多大である。第2に、カラーフィルターにおけるクロム重金属処理,製品廃棄によるクロム回収が、今後多大なコスト要因として考えられる。また、顔料分散樹脂ブラックマトリックスによるカラーフィルターのマトリックス状の光吸収膜形成方法は、これらの問題を解決する一因子と考えられているが、特性面で問題が多い。顔料分散樹脂ブラックマトリックス剤は、直接露光感光する特性を持たすため感光性樹脂を基本組成とする。その組成に黒色顔料の分散を用いるため露光感光の樹脂への透過性の問題がある。すなわち、光学濃度を上げると露光感光性が悪くなり、微細化パターンに限界がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることのできるフラットディスプレイの光吸収膜の製法及びそれに用いる塗料並びにそれを用いたフラットディスプレイの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、フラットディスプレイ用の透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であって、上記透明基板の一面に塗料を印刷して塗膜を形成するに際し、上記塗料に黒色成分を含有させ、かつ上記塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用い、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成するようにしたフラットディスプレイの光吸収膜の製法を第1の要旨とし、上記のフラットディスプレイの光吸収膜の製法に用いる塗料であって、黒色成分を含み、そのバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いている塗料を第2の要旨とし、上記のフラットディスプレイの光吸収膜の製法によりマトリックス状の光吸収膜が設けられたフラットディスプレイ用の透明基板を用いて作製されたフラットディスプレイを第3の要旨とする。
(A)コロイダルシリカ。
(B)二酸化ケイ素パウダー。
(C)酸化アルミニウムパウダー。
【0008】
すなわち、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法は、フラットディスプレイ用の透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であり、上記透明基板の一面に塗料を印刷して塗膜を形成するに際し、上記塗料に黒色成分を含有させ、かつ上記塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合した塗料を用いている。そして、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成するようにしている。このように、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成しているため、従来用いていた感光性樹脂を必要とせず、プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることができる。しかも、除去する未硬化部分には、クロム重金属は含まれていないため、処理設備およびプロセスの簡略化が可能になり、さらにコストの軽減化を図ることができる。しかも、塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いているため、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものに比べて、塗料の接着性が高まる。このため、例えば、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料を充分に乗せることができ、印刷性が高まり、微細なパターンを正確に形成することができる。これに対し、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものでは、塗料の接着性が低く、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料をあまり乗せることができず、微細なパターンを正確に形成することができないという問題がある。
【0009】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、上記熱硬化を、レーザー光もしくはサーマルヘッドを用いて行うことができる。レーザー光を用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にレーザー光を照射し、これを照射した塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、レーザー光の照射により、そのエネルギーで、透明基板の一面に形成した塗料を熱硬化させているだけであるため、レーザー光のエネルギーを低レベルに設定することができ、透明基板を傷めない。これに対して、レーザー光で塗膜をガス化して吹き飛ばし、残存する塗膜の部分でマトリックス状の光吸収膜を形成する方法では、レーザー光のエネルギーを高レベルに設定する必要があり、透明基板を傷める。一方、サーマルヘッドを用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にサーマルヘッドを直接接触させ、この接触させた塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、設備費のイニシャルコストの低減化を図ることができる。
【0010】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、フラットディスプレイの透明基板として、ガラス基板もしくは合成樹脂基板が用いられており、これらガラス基板もしくは合成樹脂基板に対して、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法を実施することができる。これにより、フラットディスプレイの基板材料選択の範囲が広くなり、非常に便利である。
【0011】
つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0012】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法には、透明基板と、黒色成分が含まれた塗料と、レーザー光もしくはサーマルヘッドが用いられる。また、レーザー光においては、その集束されたエネルギービームを走査し、塗膜化された黒色塗料の所定部分を微細に熱硬化させる機構が用いられる(図5〜図7参照)。一方、サーマルヘッドにおいては、例えば、600dpi,1200dpi等の微細熱発生素子を走査し、塗膜化された黒色塗料の所定部分を微細に熱硬化させる機構が用いられる(図8参照)。なお、上記のレーザー光に代えて、レンズやミラーを使って集束することができ、塗膜化された黒色塗料の所定部分を微細に熱硬化させることのできる熱エネルギーを有する他のコヒーレント(干渉性)な電磁波(例えば、メーザー)を適用することができる。
【0013】
上記透明基板としては、ガラス基板や合成樹脂基板等が用いられる。上記合成樹脂基板としては、ポリカーボネート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリイミド,ポリアミド,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトンからなる群から選ばれた少なくとも一種で構成されるフィルム材が好ましい。このような透明基板の厚みは、合成樹脂基板では25μm〜2mmに、好ましくは25μm〜250μmに、特に好ましくは50μm〜100μmに設定され、ガラス基板では0.3mm〜35mmに、好ましくは0.5mm〜35mmに設定される。
【0014】
上記塗料は、黒色成分が含まれた水性塗料であり、かつ、そのバインダー(塗膜形成剤)として、無定形アルミナ水性ゾルに上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものが用いられる。上記黒色成分は、透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分にて、レーザー光もしくはサーマルヘッドの熱エネルギーを吸収し、この吸収した熱エネルギーで、上記塗膜中のバインダーである上記無定形アルミナ水性ゾルに上記(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを効果的に熱硬化させるようにしている。このような黒色成分としては、黒鉛粉末,カーボンブラック等の各種の黒色成分があげられ、それぞれ単独でもしくは複数種の黒色成分を組み合わせて用いられる。また、上記黒色成分としては、通常、粒径5nm〜100μmのもの、好ましくは、粒径5nm〜20μmのものが用いられる。ただし、本発明では、上記黒色成分として、クロムおよび酸化クロムを含まない。
【0015】
また、無定形アルミナ水性ゾルに対するコロイダルシリカ,二酸化ケイ素パウダーおよび酸化アルミニウムパウダーの配合割合は、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを、無定形アルミナ水性ゾルの固形分100重量部に対して、その固形分にて1〜500重量部に設定することが好ましく、特に好ましくは1〜400重量部である。すなわち、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つが1重量部未満では、塗膜の透明基板に対する接着性が劣り、500重量部を越えると、塗膜にクラックが生じやすくなる傾向がみられるからである。そして、上記の(A),(B)および(C)の中でも、粘性のコントロールが容易であり、必要な粘性を確保することができるという点から、上記の(B)および(C)の少なくとも一方を用いることが好ましい。また、黒色成分の固形分100重量部に対して上記バインダーを固形分にて10〜500重量部に設定することが好ましく、特に好ましくは18〜400重量部である。18重量部未満では、塗膜の透明基板に対する接着性が劣る傾向が見られ、10重量部未満では、塗膜の透明基板に対する接着性が著しく劣り、500重量部を越えると、黒色濃度が低下し、光吸収膜特性が低下する傾向がみられるからである。
【0016】
上記無定形アルミナ水性ゾルの製造方法は、公知である(例えば、特公昭32−3367号公報,特公昭45−3658号公報,特開昭60−166220号公報,特開平5−24823号公報,特開平5−24824号公報を参照)。このような無定形アルミナ水性ゾルとして、無定形繊維状アルミナゾルが好適に用いられる。また、上記無定形繊維状アルミナゾルのアルミナ結晶構造は、複雑を呈し、一般に5μm〜200μmのコロイドの大きさを持つアルミナ水和物(ベーマイト系)であって、繊維状粒子の集合を呈している。そして、一般に、水中の陰イオンを安定剤として分散している。この安定剤としては、有機酸,無機酸があり、特に、塩酸,硝酸,硫酸,弗化水素,沃化水素,臭化水素,燐酸,シュウ酸,マロン酸,琥珀酸,マレイン酸,フタール酸,酒石酸,クエン酸,酢酸,蟻酸,プロピオン酸,乳酸,酪酸等が有効である。このような無定形アルミナ水性ゾルとして、例えば、日産化学工業社製のアルミナゾル100,アルミナゾル200,アルミナゾル520や触媒化成工業社製のCataloidAシリーズ等が市販されている。
【0017】
上記の(A)コロイダルシリカとは、SiO2 ・xH2 O(xは正数である)で表わされるものであり、無水ケイ酸の超微粒子(粒径:1nm〜100nm程度の、非常に粒径の小さい超微粒子)をコロイド溶液として利用しやすく、安定な状態にしたものである。このようなコロイダルシリカとして、例えば、日産化学工業社製のスノーテックス30,スノーテックスO,スノーテックスOUPが市販されている。例えば、このスノーテックス30の性状は、無水ケイ酸を30〜31重量%含み、酸化ナトリウムとしてソーダの含有量は0.6重量%以下、pH5〜10.5、25℃における粘度6mPa・s以下、20℃における比重1.20〜1.22で、外観は透明性乳白色もしくは乳白色のコロイド液である。
【0018】
上記の(B)二酸化ケイ素パウダーとは、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応することによりつくられる超微粒子状無水シリカパウダーである。SiO2 分子量(式量):60.06で、純度が99.9重量%以上と極めて高く、吸着水分が少ない。粒子はほとんど完全な球形でかつ粒度が揃い、凝集性が少なく、分散性がよい。また、液体の増粘,チキソ性,分離沈降防止,補強性に優れる。このような二酸化ケイ素パウダーとして、例えば、日本アエロジル社の製品には、比表面積の違いにより、Aerosil♯50,♯90G,♯130,♯200,♯300,♯380があり、また、凝集性の少ないOX50、凝集性の大きいTT600等がある。また、表面をメチル化した疎水性のR972、その他シリコーン化合物で処理したRX200,RY200.R202,R805,R812等をあげることができる。上記二酸化ケイ素パウダーの平均粒径は5〜50nmの粉末状シリカで、高温火炎加水分解法で製造される球形の一次粒子からなる白色の高分散性の二酸化ケイ素である。
【0019】
上記の(C)酸化アルミニウムパウダーとは、アルミニウムを含む揮発性化合物を気相で反応することによりつくられる超微粒子酸化アルミニウムである。Al2 O3 分子量(式量):101.94で、一次粒子がきわめて細かく、化学的純度が高く、嵩密度が小さく、分散性がよい。結晶構造は、大部分がデルターである。このような酸化アルミニウムパウダーとして、例えば、日本アエロジル社製のAerosil Al2 O3 Cをあげることができる。
【0020】
また、上記の(B)二酸化ケイ素パウダーと(C)酸化アルミニウムパウダーの混合物パウダーとして、例えば、日本アエロジル社製のMOX80,MOX170,COK84等があげられる。そして、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを無定形アルミナ水性ゾルに配合すると、上記塗料の接着性が高まり、塗料の乾燥皮膜が透明基板に対し充分に接着するようになる。また、上記の(A),(B)および(C)を混合する場合には、(A)および(B)、(B)および(C)、(A)および(C)もしくはその全ての(A),(B)および(C)の混合が可能で、そのそれぞれの比率も任意である。
【0021】
上記塗料は、無定形アルミナ水性ゾルの特性を生かしたものであり、上記塗料を加熱乾燥して得られる塗膜を、無定形アルミナ水性ゾル(ベーマイト無定形結晶構造)の無定形結晶構造領域内で所定の部分を所定のエネルギーで加熱処理することにより、アルミナ粒子表面のOH基の脱水縮合が強固な結合をつくり、水,酸もしくはアルカリに対する耐溶解性もしくは耐膨潤性が付加され、一方、不要部分(すなわち、非加熱処理部分)は水,酸もしくはアルカリで溶解もしくは膨潤させることができ、これにより、水,酸もしくはアルカリに浸漬して除去することができる。この特性を利用し、レーザー光の照射もしくはサーマルヘッドにより、照射した部分もしくは直接接触させた部分を熱硬化させるとともに、未硬化部分を水,酸もしくはアルカリで除去することができるようにしている。
【0022】
上記酸としては、有機酸(酢酸,蟻酸,プロピオン酸,乳酸,酪酸,シュウ酸,マロン酸,琥珀酸,マレイン酸,フタール酸,酒石酸,クエン酸等からなる群から選ばれた一種または数種の混合)および無機酸(スルファミン酸,塩酸,硝酸,希硫酸等からなる群から選ばれた一種または複数種の混合)が用いられ、上記アルカリとしては、塩基性剤,すなわち水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,炭酸ナトリウム,過炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸リチウム,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が用いられる。
【0023】
上記無定形アルミナ水性ゾルの特性は、X線回析にて容易に確認でき、その無定形でピークを示さないものが上記塗料に好適に用いられる。例えば、日産化学工業社製アルミナゾル200の場合、X線回析によると、その全てもしくは殆どが無定形を呈している。また、その特徴は、その示差熱分析でも判るように、150℃前後付近の脱付着水、200℃前後付近の脱構造水の一部、400℃前後付近の脱構造水の一部に吸熱反応が見られる。600℃以上から800℃で無定形結晶構造を示さなくなり、さらに、1200℃まで加熱すると白色粒状結晶α−アルミナに結晶転位すると見られている。
【0024】
なお、上記透明基板の一面に塗料を塗布する方法としては、例えば、印刷による場合には、スクリーン印刷,グラビア印刷等が挙げられ、その他にロールコーター,スピンコーター,フローコーティング等があげられる。
【0025】
上記透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける部分は、陰極線カラー受像管にあっては、蛍光体ドットまたは蛍光体細条あるいはカラーフィルタードットまたはカラーフィルター細条の付設領域間に対応する透明基板の内面の部分であり(図9参照)、エレクトロルミネッセンスディスプレイおよびフィールドエミッションディスプレイにあっては、発光体ドットまたは発光体細条の付設領域間に対応する透明基板の内面もしくは外面の部分であり(図10および図11参照)、プラズマディスプレイ,液晶ディスプレイ,エレクトロルミネッセンスディスプレイおよびフィールドエミッションディスプレイにあっては、カラーフィルタードットまたはカラーフィルター細条の付設領域間に対応する透明基板の内面もしくは外面の部分である(図12〜図15参照)。
【0026】
上記レーザー光は、上記透明基板の一面に形成された塗膜に直接照射してもよいし、光学レンズを介して微細集光してから照射してもよい。この場合には、光学レンズを介することにより、さらに微細処理が可能になる。また、レーザー光を、マトリックス状パターン(ドットまたは細条)が形成されたマスク(図16および図17参照)の開口部を経由して塗膜に照射してもよい。また、これらのプロセスを組み合わせてもよい。また、レーザー光の照射を透明基板の他面(塗膜形成面の背面)側から透明基板を介して行うようにしてもよい。
【0027】
上記レーザー光は、そのビーム径を直接光で1.0μm〜200μmに設定し、光学レンズ経由で0.1μm〜200μmに設定する。また、マトリックス状パターン(ドットまたは細条)が形成されたマスクの開口部を経由して塗膜に照射する場合には、そのパターン開口部の幅以上のビーム径に設定する。そのビーム径の最大幅は200μmで、すなわち、マトリックス状パターンが形成されたマスクの開口幅は200μm以下である。また、レーザー光のエネルギーを、3.0J/cm2 〜130J/cm2 に、好ましくは3.0J/cm2 〜80J/cm2 に設定する。このような設定値は、透明基板の一面(塗膜形成面)側から行う場合も、他面(塗膜形成面の背面)側から行う場合も同じである。
【0028】
上記塗膜に対しレーザー光を走査させて塗膜上に所定のパターンを形成することができる。一つには、上記レーザー光を固定し、上記塗膜を形成した透明基板をテーブル上に固定し、その状態で上記テーブルをX軸Y軸方向に移動させてレーザー光のon/offにより塗膜上へ所定のパターンを処理する方法がある。また、ガルバノレンズの操作にてレーザー光を走査させる場合、そのレーザー光のon/off操作および塗膜上のX軸Y軸座標位置決めにより、レーザー光の塗膜上へ所定のパターンを処理する方法がある。もしくはこれら両方法を組み合わせる方法等がある。また、ポリゴンミラー(回転多面鏡)に入射せしめるレーザー光の反射をそのポリゴンミラー回転により走査し、そのレーザー光のon/off操作と、テーブル上に固定した透明基板のテーブル移動とを組み合わせて処理する方法もある。
【0029】
また、上記サーマルヘッドを走査して塗膜上へ熱処理を施す場合も、サーマルヘッドの微細熱発生素子に印加する電圧もしくはサーマルヘッドの塗膜に対する圧着力をコントロールすることが容易であり、所定のパターンに熱処理することができる。そのエネルギーは、2.4J/cm2 〜30J/cm2 で、好ましくは4.8J/cm2 〜25J/cm2 である。また、サーマルヘッドの塗膜に対する圧着力は、0.09〜1.0MPaで、好ましくは0.19〜0.5MPaである。
【0030】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0031】
図1〜図3は本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の一実施の形態を示している。この実施の形態では まず、後記の表1の実施例1に示す配合成分をポットミル(日本化学陶業社製ポットミルB型)に入れ60rpmで15〜30時間分散させることにより塗料を調製する(下記の実施例,比較例においても、下記の表1〜表4に示す配合成分で、同様に調製する)。ついで、この塗料をガラス基板(透明基板)1の内面の全面にスクリーン印刷により印刷する。つぎに、ガラス基板1に印刷した塗料を120℃で10分間乾燥し、ガラス基板1の内面の全面に塗膜2を形成する(図1参照)。この塗膜2の形成ののち、塗膜2の上方に、所定のマトリックス状のパターンが形成されたマスク3(開口幅100μmの細条パターン)を配設し、その上方からレーザー光4を塗膜2に照射し(図2参照)、この照射した部分をレーザー光4のエネルギーで熱硬化させる。このとき、レーザー光4のエネルギーを12.7J/cm2 に設定する。そして、レーザー光4を固定し、テーブルの移動により、このテーブル上に固定されたガラス基板1を1,000mm/分の速度で走査させながら、レーザー光4、マスク3の開口幅より広いビーム径(例えば、120μm)で照射し、マスク3の開口幅を通過した100μmのレーザー光4により、塗膜2をその幅で熱硬化させる。このレーザー光4の照射ののち、ガラス基板1をスルファミン酸15%液(図示せず)に25℃で10分間浸漬し、浸漬後ガラス基板1を取り出し水洗する。これにより、内面に平均102μm幅(熱拡散によりマスク3の開口幅より広くなる)の所定のマトリックス状のパターンの塗膜(光吸収膜)2が形成されたガラス基板1を得ることができる(図3参照)。このようにして得られたガラス基板1はフラットディスプレイの前面パネル基板として用いられる。
【0032】
この実施の形態では、レーザー光4を利用しているため、感光性樹脂を必要とせず、プロセスが簡単であり、安価になる。しかも、塗料にクロム重金属を含んでいないため、排水処理設備が簡単になり、さらに安価になる。しかも、レーザー光4を塗膜2に照射して、この照射部分を熱硬化させるだけであるため、レーザー光4のエネルギーを低レベルに設定することができ、ガラス基板1を傷めない。しかも、塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルにコロイダルシリカを配合したものを用いているため、塗料の接着性が高く、印刷性が高まり、微細なパターンを正確に形成することができる。また、その塗料は、透明基板に充分な接着力がある。
【0033】
図4は本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の他の実施の形態(下記の実施例4)を示している。この実施の形態では、上記実施例1と同様に、ガラス基板1の内面の全面に塗膜2を形成したのち、ガラス基板1の外面に、開口幅150μmのマトリックス状のパターン(細条)が形成されたマスク3を配設し、その下方からビーム径200μmのレーザー光4を照射している(図4参照)。上記実施例1と同様に、マスク3の開口幅を通過した150μmのレーザー光4により、塗膜2をその幅で熱硬化させる。そのときのレーザー光4のエネルギーは、60.0J/cm2 で、テーブル上に固定されたガラス基板1を4,000mm/分の速度で走査させる。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の作用・効果を奏する。
【0034】
上記両実施の形態と同様にして、下記の実施例5は、ガラス基板1の内面の全面に塗膜2を形成し(図1参照)、40℃で10分間乾燥する。つぎに、600dpiサーマルヘッドを使用したプリンター(図示せず)により、ガラス基板1の塗膜2に直接に罫線を形成する。このときのサーマルヘッドの印加エネルギーを120J/cm2 、移動速度を180m/sec、圧着力を0.353MPaとする。そして、上記罫線を形成した部分を熱硬化させる。この熱硬化ののち、水に浸漬し水洗する。これにより、内面に平均90.2μm幅の所定のマトリックス状のパターンの塗膜2が形成されたガラス基板1を得ることができる(図3参照)。この実施の形態でも、上記両実施の形態と同様の効果を奏する。また、1200dpiサーマルヘッドを使用すれば、さらに細線が可能である。
【0035】
つぎに、本発明の実施例を比較例と併せて説明する。
【0036】
【実施例1〜12、比較例1,2】
下記の表1〜表4に示す配合成分をポットミル(日本化学陶業社製ポットミルB型)に入れ60rpmで15〜30時間分散させることにより14種類の塗料を調製した。そして、厚み1.5mmガラス基板1もしくは厚み125μmポリイミドフィルム基板を準備し、上記各塗料をそれぞれ上記各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板(図1のガラス基板1に代えて)の内面の全面にスクリーン印刷により印刷した。ついで、これら各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板を所定温度,所定時間にて乾燥し、各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板の内面の全面に塗膜2を形成した(図1参照)。これら各塗膜2の膜厚は5μmであった(表面粗さ計:キーエンス社VF−7500で測定した)。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
上記の表1〜表4に示す配合成分(実施例1〜4,7,8,11,12および比較例1)の塗料をそれぞれ、実施例1〜4,8,11,12および比較例1では、ガラス基板1の内面の全面に、実施例7では、ポリイミドフィルム基板(図1のガラス基板1に代えて)の内面の全面にスクリーン印刷により印刷した。つぎに、実施例1,2,4,7,8,11,12および比較例1では、その基板を120℃で10分間乾燥させた。実施例3では、その基板を40℃で10分間乾燥させた。そののち、実施例1〜4,7,8,11,12および比較例1の各塗膜2にレーザー光4を所定の幅で集光させ、テーブルの移動でスキャンして照射した。このときのレーザー光4の照射条件を下記の表5に示す。なお、レーザー光4を固定し、ガラス基板1を固定したテーブルを移動させた。また、実施例1は前述の通りであり、実施例8,11,12および比較例1では、マスク3なしで、レーザー光4をガラス基板1の塗膜2面側から照射した(図2参照。マスク3なし)。実施例2では、マスク3なしで、レーザー光4をガラス基板1の背面側から照射した(図4参照。マスク3なし)。実施例3では、マスク3なしで、レーザー光4をガラス基板1の塗膜2面側から照射した(図2参照。マスク3なし)。また、実施例4では、開口幅150μmのマトリックス状のパターンマスク3をガラス基板1の外面に配設し、その下方からレーザー光4を照射した(図4参照)。また、実施例7では、マスク3なしで、レーザー光4をポリイミドフィルム基板の塗膜2面側から照射した(図2参照。マスク3なし)。
【0042】
【表5】
【0043】
上記の表1〜表4に示す配合成分(実施例5,6,9,10および比較例2)の塗料をそれぞれ、実施例5では、前述のとおりガラス基板1の内面の全面に、実施例6,9,10および比較例2では、ポリイミドフィルム基板(図1のガラス基板1に代えて)の内面の全面にスクリーン印刷により印刷した。そののち、実施例5では、その基板を40℃で10分間乾燥させた。実施例6,9,10および比較例2では、その基板を120℃で10分間乾燥させた。そして、実施例6,9,10および比較例2の各塗膜2に600dpiサーマルヘッド(図示せず)を用い、直接塗膜2に罫線を描いた。また、同様にして、実施例5でも、塗膜2にサーマルヘッドにて罫線を描いた。このときのサーマルヘッドの条件を下記の表6に示す。
【0044】
【表6】
【0045】
実施例1,2,4,7,8,11,12および比較例1では、レーザー光4の照射ののち、上記各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板をスルファミン酸15%液に25℃で10分間浸漬し、この浸漬後、上記各ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板を取り出して水洗した。実施例3では、レーザー光4の照射ののち、そのガラス基板1を水に25℃で10分間浸漬し、この浸漬後、ガラス基板1を取り出して水洗した。これにより、図3に示すようなガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板(実施例1〜4、7,8,11,12品および比較例1品)を得た。
【0046】
一方、実施例6,9,10および比較例2では、サーマルヘッドの処理ののち、上記各ポリイミドフィルム基板をスルファミン酸15%液に25℃で10分間浸漬し、実施例5では、サーマルヘッドの処理ののち、そのガラス基板1を25℃の水に10分間浸漬し、これらの浸漬後、上記各ポリイミドフィルム基板もしくはガラス基板1を取り出して水洗した。これにより、図3に示すようなガラス基板1と同様のポリイミドフィルム基板もしくはガラス基板1(実施例5,6,9,10品および比較例2品)を得た。
【0047】
上記表5および表6から明らかなように、実施例1〜12品では、ガラス基板1を用いた場合にも、また、ポリイミドフィルム基板を用いた場合にも、その内面に、上記の表5および表6に示すライン幅のマトリックス状の光吸収膜を確認することができた。また、レーザー光4のレーザー径を25μmに設定したとき、上記のようなマスク3なしで可能なライン幅は25.5μmであった。また、600dpiサーマルヘッドの単一の微細熱発生素子(幅27.3μm×長さ70μm)でのマトリックス状の光吸収膜は、その最小可能線幅で、30.0μmであった。
【0048】
これに対し、比較例1,2品においては、その熱硬化部分の塗膜全てもしくは大部分が、水洗い時に未硬化部分の塗膜と一緒に剥がれてしまい、その内面にマトリックス状の光吸収膜を全くもしくは連続した状態で得ることができなかった。
【0049】
なお、上記各実施例1〜12において、酸処理(スルファミン酸15%液)に代えて、アルカリ(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド3%液)にて処理を実施した場合にも、その全てにおいて、上記各実施例1〜12と同様の効果が得られた。
【0050】
また、上記ガラス基板1もしくはポリイミドフィルム基板に代えて、ポリエチレン基板を用いた場合にも、同様の結果が得られた。また、黒鉛粉末に代えて、カーボンブラックもしくは黒鉛粉末+カーボンブラックを用いた場合にも、同様の結果が得られた。
【0051】
上記カーボンブラックとは、製法の相違によって区別され、また原料の相違によりガスブラック,オイルブラック,アセチレンブラック等がある。その性状は、黒色か帯灰黒色の粉末で、有機物(炭化水素)の不完全燃焼あるいは熱分解により生成される。成分は炭素であるが、その表面のミクロ的な状態が製法および原料で異なり、単に炭素の微粒とは相違している。好ましくは、不活性雰囲気中で2000℃から3000℃の高温にて処理したものが、上記黒色成分として効果が高い。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法によれば、透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成しているため、従来用いていた感光性樹脂を必要とせず、プロセスの簡略化およびコストの軽減化を図ることができる。しかも、除去する未硬化部分には、クロム重金属は含まれていないため、処理設備およびプロセスの簡略化が可能になり、さらにコストの軽減化を図ることができる。しかも、塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、上記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いているため、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものに比べて、塗料の接着性が高まる。このため、例えば、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料を充分に乗せることができ、印刷性が高まり、微細なパターンを正確に形成することができる。これに対し、塗料のバインダーとして無定形アルミナ水性ゾルだけを用いたものでは、塗料の接着性が低く、印刷時に印刷用メッシュ上に塗料をあまり乗せることができず、微細なパターンを正確に形成することができないという問題がある。
【0053】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、上記熱硬化を、レーザー光もしくはサーマルヘッドを用いて行うことができる。レーザー光を用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にレーザー光を照射し、これを照射した塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、レーザー光の照射により、そのエネルギーで、透明基板の一面に形成した塗料を熱硬化させているだけであるため、レーザー光のエネルギーを低レベルに設定することができ、透明基板を傷めない。これに対して、レーザー光で塗膜をガス化して吹き飛ばし、残存する塗膜の部分でマトリックス状の光吸収膜を形成する方法では、レーザー光のエネルギーを高レベルに設定する必要があり、透明基板を傷める。一方、サーマルヘッドを用いて行う場合には、透明基板の一面に形成した塗膜にサーマルヘッドを直接接触させ、この接触させた塗膜の部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することを行う。この場合には、設備費のイニシャルコストの低減化を図ることができる。
【0054】
本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法では、フラットディスプレイの透明基板として、ガラス基板もしくは合成樹脂基板が用いられており、これらガラス基板もしくは合成樹脂基板に対して、本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法を実施することができる。これにより、フラットディスプレイの基板材料選択の範囲が広くなり、非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】上記製法を示す説明図である。
【図3】上記製法を示す説明図である。
【図4】本発明のフラットディスプレイの光吸収膜の製法の他の実施の形態を示す説明図である。
【図5】レーザー光を用いた機構の説明図である。
【図6】上記レーザー光を用いた他の機構の説明図である。
【図7】上記レーザー光を用いたさらに他の機構の説明図である。
【図8】サーマルヘッドを用いた機構の説明図である。
【図9】陰極線カラー受像管に形成される光吸収膜の説明図である。
【図10】エレクトロルミネッセンスディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図11】フィールドエミッションディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図12】上記エレクトロルミネッセンスディスプレイに形成される他の光吸収膜の説明図である。
【図13】上記フィールドエミッションディスプレイに形成される他の光吸収膜の説明図である。
【図14】プラズマディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図15】液晶ディスプレイに形成される光吸収膜の説明図である。
【図16】マスクの説明図である。
【図17】上記マスクの変形例の説明図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 塗膜
4 レーザー光
Claims (6)
- フラットディスプレイ用の透明基板の一面にマトリックス状の光吸収膜を設ける方法であって、上記透明基板の一面に塗料を印刷して塗膜を形成するに際し、上記塗料に黒色成分を含有させ、かつ上記塗料のバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用い、上記透明基板の一面に形成した塗膜の所定部分を熱硬化させたのち、未硬化部分の塗膜を除去することにより、マトリックス状の光吸収膜を形成するようにしたことを特徴とするフラットディスプレイの光吸収膜の製法。
(A)コロイダルシリカ。
(B)二酸化ケイ素パウダー。
(C)酸化アルミニウムパウダー。 - 上記熱硬化が、レーザー光もしくはサーマルヘッドを用いて行われる請求項1記載のフラットディスプレイの光吸収膜の製法。
- 上記透明基板が、ガラス基板もしくは合成樹脂基板である請求項1または2記載のフラットディスプレイの光吸収膜の製法。
- 上記黒色成分が、黒鉛粉末およびカーボンブラックの少なくとも1つである請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラットディスプレイの光吸収膜の製法。
- 請求項1記載のフラットディスプレイの光吸収膜の製法に用いる塗料であって、黒色成分を含み、そのバインダーとして、無定形アルミナ水性ゾルに、下記の(A),(B)および(C)の少なくとも1つを配合したものを用いていることを特徴とする塗料。
(A)コロイダルシリカ。
(B)二酸化ケイ素パウダー。
(C)酸化アルミニウムパウダー。 - 請求項1記載のフラットディスプレイの光吸収膜の製法によりマトリックス状の光吸収膜が設けられたフラットディスプレイ用の透明基板を用いて作製されたことを特徴とするフラットディスプレイ。
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---|---|---|---|---|
JP2015087405A (ja) * | 2013-10-28 | 2015-05-07 | 三菱電機株式会社 | 表示装置及びその製造方法 |
CN115142021A (zh) * | 2022-09-05 | 2022-10-04 | 苏州浪潮智能科技有限公司 | 一种复合pi薄膜及其制备方法、光器件 |
-
2003
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