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JP2004291505A - 動力伝達シャフトの製造方法及び治具 - Google Patents

動力伝達シャフトの製造方法及び治具 Download PDF

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JP2004291505A
JP2004291505A JP2003089246A JP2003089246A JP2004291505A JP 2004291505 A JP2004291505 A JP 2004291505A JP 2003089246 A JP2003089246 A JP 2003089246A JP 2003089246 A JP2003089246 A JP 2003089246A JP 2004291505 A JP2004291505 A JP 2004291505A
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wound
jig
fiber bundle
shaft
resin
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JP2003089246A
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Toshihiro Gotou
稔裕 後藤
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Toyota Industries Corp
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Toyota Industries Corp
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Abstract

【課題】端部部材が接合されるFRP製の筒部材の長さに対応する長くて重いマンドレルの脱型を不要とし、樹脂の熱硬化に必要なエネルギーを低減することが可能な動力伝達シャフトの製造方法を提供する。
【解決手段】繊維束被巻付け部17aを備えた治具17を筒状の被巻付け部材15の端部に取り外し可能に連結する。治具17をシャフト19に一体回転可能に取り付ける。シャフト19の両端部をフィラメントワインディング装置のチャックに支持する。その状態でフィラメントワインディングを行った後、巻き付けられた樹脂含浸繊維束を硬化前又は硬化後に切断し、治具17と被巻付け部材15との連結を解除し、治具17が取り外された箇所に端部部材を圧入結合する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化プラスチック(以下、FRPと記載する)製の筒部材の少なくとも一端に端部部材が結合された動力伝達シャフトの製造方法及び治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の軽量化を図るために各構造部材のさらなる軽量化が要求され、プロペラシャフトにおいてもFRP(繊維強化プラスチック)製のものに切り替えることによる軽量化が検討され、一部実施されている。FRP製プロペラシャフトとして、FRP製パイプの両端に、FRP製パイプを駆動軸や従動軸等と連結する金属製の継手(ヨーク)を圧入接合した構造のものが一般的である。FRP製パイプの製造には一般にフィラメントワインディング法が用いられ、フィラメントワインディング装置のチャックに固定された一定外径のマンドレルに樹脂含浸繊維束を巻き付けた後、樹脂を熱硬化させ、マンドレルから脱型することによりFRP製パイプが製造される。
【0003】
そして、継手にはFRP製パイプとの接合部となる外周面に、FRP製パイプの端部内径より大きな外径のセレーションが形成されている。そして、FRP製パイプに継手の接合部を圧入することで、継手のセレーションの歯によって、FRP製パイプの内周面に溝が刻設され、歯が溝に食い込むことで継手とFRP製パイプとが一体回転するための接合強度が確保される。継手はFRP製パイプの内面とセレーションの溝の底部との間に隙間が存在する状態でFRP製パイプに結合されている。
【0004】
また、継手をFRP製パイプに圧入する代わりに、FRP製パイプの両端部にテーパ部を設け、継手にも対応するテーパ部を設け、接着剤を介して継手をFRP製パイプに接合する伝動軸も提案されている。そして、両端部にテーパ部を有するFRP製パイプをテーパ部を旋盤加工等の機械加工なしにフィラメントワインディングで製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の方法では、図9(a)に示すように、マンドレル本体51の両端にテーパ付き補助マンドレル52を取り外し可能に外嵌させた両端にテーパ部を有するマンドレル53を使用する。そして、マンドレル53の周面に樹脂含浸繊維束又は織布を巻き付けて積層し、樹脂を加熱硬化させた後、テーパ付き補助マンドレル52、マンドレル本体51の順に脱型することで両端にテーパ部を有するFRP製パイプ54(図9(b)に図示)を製造する。次に、図9(b)に示すように、テーパ部55aを有する継手55を接着剤で一体化させて伝達軸56が製造される。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−126412号公報(第2頁、第1図、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のフィラメントワインディング法によるFRP製パイプの製造方法では、フィラメントワインディング法を使用してマンドレルに樹脂含浸繊維束を巻き付け、樹脂の硬化後に、マンドレルとFRPパイプとを離脱させる作業(脱型)が必要となる。そして、プロペラシャフトのような動力伝達シャフトに使用するFRP製パイプは、車種によっても異なるが、例えば長さが1m程度と長く、脱型工程でFRP製パイプ及びマンドレルに作用する力(脱型荷重)が大きくなるという問題がある。また、マンドレルは強度を持たせるために肉厚が厚く形成され、重量が重くなるとともに熱容量も大きくなる。その結果、取り扱い性が悪いだけでなく、樹脂の熱硬化を行う際に必要なエネルギーが大きくなり、エネルギーコストが高くなるという問題もある。
【0008】
特許文献1に開示されたFRP製パイプの製造方法では、マンドレル53がテーパ付き補助マンドレル52を備えているため、テーパ付き補助マンドレル52の脱型は小さな力で済むが、マンドレル本体51の脱型には大きな力が必要となり、同様の問題がある。
【0009】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、第1の目的は、端部部材が接合されるFRP製の筒部材の長さに対応する長くて重いマンドレルの脱型が不要となり、樹脂の熱硬化に必要なエネルギーを低減できる動力伝達シャフトの製造方法を提供することにある。第2の目的は、前記動力伝達シャフトの製造方法に使用する治具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、FRP製の筒部材の少なくとも一端に端部部材が結合された動力伝達シャフトの製造方法である。そして、繊維束被巻付け部を備えた治具を筒状の被巻付け部材の少なくとも一端に取り外し可能に連結し、前記治具を介して前記被巻付け部材をフィラメントワインディング装置の回転支持部に支持する。その状態でフィラメントワインディングを行った後、巻き付けられた樹脂含浸繊維束を硬化前又は硬化後に切断し、前記治具と前記被巻付け部材との連結を解除し、前記治具が取り外された箇所に端部部材を圧入結合する。
【0011】
この発明では、FRP製パイプはフィラメントワインディング法により製造されるが、FRP製パイプ以上の長さを有するマンドレルに樹脂含浸繊維束を巻き付けて硬化させた後、マンドレルを脱型して製造するのではなく、製品の一部となる筒状の被巻付け部材の周面に樹脂含浸繊維束が巻き付けられる。そして、被巻付け部材の端部に嵌合されて被巻付け部材をフィラメントワインディング装置の回転支持部に支持するのに使用された治具の部分を脱型するだけでよいため、FRP製パイプの長さに対応する長くて重いマンドレルの脱型が不要となる。また、樹脂の熱硬化に必要なエネルギーを低減できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記治具が前記被巻付け部材の両端に取り付けられた状態でフィラメントワインディングが行われ、両治具が取り外された箇所にそれぞれ端部部材が圧入結合される。この発明では、治具が被巻付け部材の一端だけに取り付けられる場合に比較して、フィラメントワインディング装置に支持する組立品の組み付けが簡単になる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記治具は、前記被巻付け部材に連結される側と反対側に、前記回転支持部に支持される軸部を備えている。この発明では、治具自身に軸部が設けられているため、フィラメントワインディング装置に支持されて回転される組立品としてシャフトを必ずしも設ける必要がなく、重量を軽くできる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記治具は、前記被巻付け部材を貫通するシャフトに対して一体回転可能に固定されている。この発明では、被巻付け部材の両端に取り付けられた治具がシャフトにより連結されるため、被巻付け部材の強度が低く長さが長い場合でも、シャフトにより芯出しが行われるとともに撓みが抑制され、フィラメントワインディングが円滑に行われる。
【0015】
第2の目的を達成するため、請求項5に記載の発明は、筒状の被巻付け部材に対してフィラメントワインディング法によりFRP製の筒部材を形成する際に、前記被巻付け部材をフィラメントワインディング装置の回転支持部に取り付けるための治具である。治具は、繊維束被巻付け部と、前記繊維束被巻付け部の一端側に形成され、前記被巻付け部材が嵌合される嵌合部と、前記繊維束被巻付け部の他端側に形成され、前記フィラメントワインディング時に樹脂含浸繊維束の配列を規制可能に一定間隔で周方向に配設されたピンとを備えている。そして、中心にシャフトを貫通可能な孔が形成されている。
【0016】
この発明の治具は、被巻付け部材の端部に連結され、フィラメントワインディング装置の回転支持部に治具自身が直接支持されるか、孔を貫通するシャフトを介して支持される。そして、フィラメントワインディングの際には、ピンが樹脂含浸繊維束の配列を規制して所定の角度に繊維束を保持する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記繊維束被巻付け部は、表面が滑らかに形成されている。この発明では、フィラメントワインディングによる樹脂含浸繊維束の巻付け及び樹脂の熱硬化後に、治具を脱型する際、表面に凹凸が有るものに比較して脱型が容易になる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記繊維束被巻付け部の周面には軸方向に対して斜めに延びるセレーションが設けられている。この発明では、フィラメントワインディングによる樹脂含浸繊維束の巻付け及び樹脂の熱硬化後に、治具を脱型した状態で、FRP製の筒部材の内面にセレーションが形成された状態となる。従って、斜めに延びるセレーションを有する端部部材を圧入する際に、圧入が円滑に行われる。また、締めしろを大きくできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を動力伝達シャフトとしてのプロペラシャフトの製造方法に具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に従って説明する。図1(a)は治具、被巻付け部材及びシャフトが組み付けられた組立品の一部破断側面図、(b)は治具の側面図である。図2(a)はヨークタイプの継手部を備えた端部部材の側面図、(b)は軸部を有する継手部を備えた端部部材の側面図、(c)はプロペラシャフトの模式断面図である。
【0020】
図2(c)に示すように、プロペラシャフト11は、FRP製の筒部材12と、その一端(図における左端)に接合された第1の端部部材13と、他端に接合された第2の端部部材14と、筒部材12の内側で両端部部材13,14の間に配置された筒状の被巻付け部材15とを備えている。被巻付け部材15には紙製(例えば、ボール紙製)の円筒が使用されている。第1の端部部材13には自在継手を構成する継手としての金属製のヨークが使用され、第2の端部部材14には金属製の滑り継手が使用されている。
【0021】
筒部材12は、第1及び第2の端部部材13,14との結合部分12aが肉厚に形成されている。筒部材12はフィラメントワインディング法によって形成され、筒部材12の強化繊維は複数の層を構成するように巻き付けられた繊維束からなる。強化繊維としては炭素繊維のロービングが使用されている。ロービングとは細い単繊維のフィラメントを多数本束ねた実質無撚りの繊維束を意味する。マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂が使用されている。筒部材12は主にヘリカル巻層で構成されているが、結合部分12a及びその近くにはフープ巻層が形成されている。また、筒部材12の最外層には炭素繊維束ではなく、ポリエステル糸が全長にわたってフープ巻で巻き付けられている。以下、フィラメントワインディングをFWと記載する。
【0022】
図2(a)〜(c)に示すように、第1の端部部材13及び第2の端部部材14は、筒部材12との結合部分となる円筒状の嵌合部13a,14aを備え、その外周面にはセレーション16が形成されている。セレーション16の歯は、第1及び第2の端部部材13,14の軸方向と平行に延びるように形成されている。第1の端部部材13は、ヨークタイプの継手部13bを備え、継手部13bには例えば十字軸式ジョイントを取り付けるための孔13cが形成されている。第2の端部部材14の継手部14bは軸部14cを有する。
【0023】
次に前記のように構成されたプロペラシャフト11の製造方法を説明する。プロペラシャフト11を製造する際は、マンドレルの代わりに、治具及びシャフトを使用して、被巻付け部材15をフィラメントワインディング装置(FW装置)に支持してFWが行われる。
【0024】
図1(a),(b)に示すように、治具17は、中空に形成されるとともに、繊維束被巻付け部17aの一端に被巻付け部材15が嵌合される嵌合部としての嵌合凸部17bが形成されている。嵌合凸部17bは筒状に形成されている。繊維束被巻付け部17aの外径は被巻付け部材15の外径とほぼ同じに形成されている。繊維束被巻付け部17aの他端寄りにはピン18が一定ピッチで周方向に沿って環状に配設されている。治具17の中心にはシャフト19が貫通する状態で嵌合可能な孔17cが形成されている。また、繊維束被巻付け部17aには環状の溝部17dが形成されている。
【0025】
そして、図1(a)に示すように、両端に治具17が嵌合された被巻付け部材15が、シャフト19に対して一体回転可能に固定された組立品20がFW装置に取り付けられてFWが行われる。シャフト19に対する固定は、シャフト19に固定されたキー(図示せず)に治具17に形成されたキー溝(図示せず)が嵌合した状態で、シャフト19に止めねじ21が螺合されることで行われる。被巻付け部材15は筒部材12をFW法で形成する際に、樹脂含浸繊維束が巻き付けられても所定の円筒形状を保つ強度があればよく、プロペラシャフト11が使用される際のトルク伝達に寄与する強度を有する必要はない。シャフト19は軽量化のため中空に形成されている。
【0026】
図4に示すように、FW装置31は組立品20の軸部を回転可能に支持する一組の回転支持部としてのチャック32を備えている。FW装置31は、本願出願人が先に提案した装置(特開2002−283467号公報に開示された装置)と同様な巻付けヘッド(ヘリカル巻用ヘッド及びフープ巻用ヘッド)33を備えており、図4ではヘリカル巻用ヘッドのみが図示されている。巻付けヘッド33はベースプレート34上に設けられたレール35(図3に図示)上をチャック32に支持された組立品20に沿って、図示しない駆動手段により移動可能となっている。チャック32は可変速モータ(図示せず)により回転駆動され、制御装置Cの指令によってチャック32が巻付けヘッド33の移動速度と同期した状態で回転駆動される。そして、図示しない繊維束供給部から樹脂含浸装置を経て供給される樹脂含浸繊維束Rを、組立品20に対する巻付け角度を任意の角度に設定して巻き付けることができるようになっている。なお、以下、樹脂含浸繊維束Rを単に繊維束Rと称す場合もある。
【0027】
図3に示すように、巻付けヘッド33は、組立品20に貫通される孔を有する支持板36を備えている。ヘリカル巻用ヘッドの支持板36には、複数本の繊維束を同時に組立品20に対してヘリカル巻で巻付け可能とするため、図3に示すように複数のガイド37が組立品20の周方向に沿って配列された状態で設けられている。この実施の形態では28本の繊維束を案内可能にそれぞれ28個の大小2種のガイド37が2個の同心円上に配列されている。フープ巻部を備えたフープ巻用ヘッドは、繊維束Rを組立品20に対して2本同時にフープ巻で巻付け可能とするためのガイドを備えている。ヘリカル巻用ヘッドとフープ巻用ヘッドとは一体的な移動と、独立した状態での移動とが可能に構成されている。そして、多数本の繊維束Rを同時に組立品20に対してヘリカル巻で巻付け可能となり、ヘリカル巻用ヘッドが組立品20に沿って一回往動又は復動することで組立品20の全周面に亘って繊維束Rがヘリカル巻で巻き付けられる。
【0028】
プロペラシャフト11は、芯出し固定工程、フィラメントワインディング工程、硬化工程、取外し工程及び端部部材圧入工程を経て製造される。芯出し固定工程では、被巻付け部材15の両端に治具17が嵌合された状態でシャフト19が治具17に嵌挿される。そして、治具17がシャフト19に対してキーを介して相対回転不能に固定され、止めねじ21により軸方向への移動が規制された状態でシャフト19に固定される。その結果、被巻付け部材15は芯出しされた状態で治具17を介してシャフト19に一体回転可能に固定される。以上により、芯出し固定工程が完了し、被巻付け部材15、治具17及びシャフト19を備えた組立品20が完成する。なお、治具17は樹脂含浸繊維束Rが固着しないように離型剤が塗布された状態で組み付けられる。
【0029】
次にFW工程において、組立品20をFW装置31のチャック32に支持した状態でFWが行われる。組立品20は作業者によりFW装置31のチャック32に支持される。次に作業者は、繊維束供給部から繊維束を引き出し、開繊機構、樹脂含浸槽、張力調整部等を経て巻付けヘッド33に導き、巻付けヘッド33のガイド37に挿通した後、繊維束Rの端部を組立品20の一端側の治具17の所定位置に固定する。繊維束Rの端部の固定作業は作業者が手作業で行い、例えば粘着テープを使用して行われる。
【0030】
また、作業者は、FW時の回転速度、巻付けヘッド33の巻付け時の往復移動幅等の巻付け条件を制御装置Cに入力する。繊維束として炭素繊維のロービングが使用される。ロービングとは細い単繊維のフィラメントを多数本束ねた実質無撚りの繊維束を意味する。
【0031】
次にFW装置31による繊維束Rの巻付け運転が開始される。FW装置31が駆動されると、組立品20が一定方向に回転され、巻付けヘッド33が組立品20の長手方向に沿って往復移動される。繊維束Rは少なくとも最内層となる一層目がヘリカル巻層を形成するように、組立品20の軸方向となす角度(巻付け角度)が所定の角度となるように巻き付けられる。巻付け角度はプロペラシャフト11に要求される、曲げ、ねじり、振動等の特性を満足する所定の値(例えば、10〜15°)に設定される。繊維束Rは治具17に設けられたピン18の間を通過するように巻き付けられ、ピン18によって周方向への移動が規制された状態で巻き付けられる。
【0032】
ヘリカル巻層が所定層(例えば4層)形成された後、結合部分12aになる部分に、繊維束Rの巻付け角度がほぼ90°に近い状態で巻き付けられる所謂フープ巻層が所定層(例えば1層)形成される。その後、再びヘリカル巻層が所定層(例えば2層)形成された段階で樹脂含浸繊維束Rの巻き付けが完了する。次にポリエステル糸がフープ巻で巻き付けられる。
【0033】
ポリエステル糸の巻付けが完了した後、組立品20上に形成された成形体38(図5に図示)の両端部が、ピン18の突設位置と溝部17dとの間の位置でそれぞれ切断される。そして、繊維束供給部に繋がる繊維束Rから成形体38が切り離された後、組立品20がFW装置31のチャック32から取り外され、成形体38の未硬化の段階で、前記切断位置よりシャフト19の端部側に巻き付けられた樹脂含浸繊維束Rが除去される。
【0034】
その後、硬化工程で、組立品20が成形体38と共に加熱炉に入れられ、回転されながら所定温度で樹脂が硬化される。硬化温度は樹脂により異なるが、例えばエポキシ樹脂の場合は180℃程度である。
【0035】
硬化工程の完了後、取外し工程において、成形体38が溝部17dと対応する位置で切断される。図5に示すように、切断はカッター39により行われる。次に止めねじ21のシャフト19への螺合を解除した後、両治具17とともに成形体38がシャフト19から取り外され、さらに成形体38から治具17が取り外される。次に端部部材圧入工程において、成形体38の端部に第1及び第2の端部部材13,14が圧入されて図2(c)に示すプロペラシャフト11が完成する。
【0036】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 製品の一部となる筒状の被巻付け部材15の周面にFWにより樹脂含浸繊維束Rが巻き付けられ、樹脂硬化後には治具17の部分を脱型するだけでよい。従って、従来と異なり、FRP製パイプ(筒部材12)の長さに対応する長くて重いマンドレルの脱型が不要となる。また、長くて重いマンドレルを樹脂の熱硬化時に加熱する必要がないため、熱硬化時に必要なエネルギーを低減できる。
【0037】
(2) 治具17の長さは、従来方法で使用されるマンドレルに比較して短いため、脱型を円滑に行うために治具17に塗布する離型剤の量が少なくなり、製造コストを低減できる。また、治具17を再使用するために治具17を洗浄する際の洗浄面積が少なく、洗浄工数を少なくできる。
【0038】
(3) 治具17が被巻付け部材15の両端に取り付けられた状態でFWが行われ、両治具17が取り外された箇所にそれぞれ端部部材13,14が圧入結合される。従って、治具17が被巻付け部材15の一端だけに取り付けられる場合に比較して、FW装置に支持する組立品20の組み付けが簡単になる。
【0039】
(4) 治具17は、被巻付け部材15を貫通するシャフト19に対して一体回転可能に固定される。即ち、被巻付け部材15の両端に取り付けられた治具17がシャフト19により連結されるため、被巻付け部材15の強度が低く長さが長い場合でも、シャフト19により芯出しが行われるとともに撓みが抑制され、FWが円滑に行われる。
【0040】
(5) 治具17は中空に形成され、被巻付け部材15及び治具17を貫通するシャフト19に治具17を固定することで、FW装置31のチャック32に一体回転可能に支持される組立品20を構成できる。従って、チャック32に一体回転可能に支持される軸部を治具17自身に設ける構成に比較して、治具17の構造が簡単になる。
【0041】
(6) 治具17は、FW時に樹脂含浸繊維束Rの配列を規制可能に一定間隔で周方向に配設されたピン18を備えている。従って、FWの際に、ピン18が樹脂含浸繊維束Rの配列を規制して所定の角度に繊維束Rを保持するため、樹脂含浸繊維束Rの巻付け角度が適正な値に規制され、プロペラシャフト11のねじり強度の向上に寄与する。
【0042】
(7) 治具17は、繊維束被巻付け部17aの表面が滑らかに形成されている。従って、FWによる樹脂含浸繊維束Rの巻付け及び樹脂の熱硬化後に、治具17を脱型する際、表面に凹凸が有るものに比較して脱型が容易になる。
【0043】
(8) 被巻付け部材15が紙製であるため、被巻付け部材15が樹脂製や金属製の場合に比較して軽量化することができる。また、径の異なる被巻付け部材15を製造する場合、例えば、金属製の筒に紙を巻き付けることで被巻付け部材15を製造できる。従って、金属や樹脂を型から押し出して被巻付け部材を形成したり、マンドレルに樹脂含浸繊維束を巻き付けて加熱硬化し、脱型して熱硬化性樹脂製の被巻付け部材を製造する場合に比較して、被巻付け部材15のサイズ変更が容易で、種々の動力伝達シャフトに対応し易い。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図6及び図7に従って説明する。この実施の形態では第1及び第2の端部部材13,14が、軸方向に対して斜めに延びるセレーション16を備えている点がプロペラシャフト11として第1の実施の形態のプロペラシャフト11と異なる。また、筒部材12をFW法で製造する際の治具17の形状が異なる。第1の実施の形態と同様な部分は同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0045】
図6(a)〜(c)に示すように、両端部部材13,14の嵌合部13a,14aの外周面に形成されたセレーション16は、その歯が各端部部材13,14の軸方向に対して斜めに延びるように形成されている。そして、図6(c)に示すように、筒部材12の一端に第1の端部部材13が、他端に第2の端部部材14がそれぞれ圧入されてプロペラシャフト11が構成されている。
【0046】
また、治具17として図7(a),(b)に示すように、繊維束被巻付け部17aの表面に治具17の軸方向に対して斜めに延びるように形成されたセレーション22を備えたものが使用される。セレーション22は、第1及び第2の端部部材13,14のセレーション16と同じ角度で延びるように形成されている。前記角度はFWで樹脂含浸繊維束Rを巻き付ける際の最内層の巻付け角度と同じに設定されており、巻付け角度は製品のFRPパイプに要求される、曲げ、ねじり、振動等の特性を満足する所定の値に設定される。また、セレーション22の歯の高さ、即ち溝の深さは最内層の繊維束Rの厚さの1/4層程度〜1層分あれば充分である。セレーション22の歯はセレーション16の歯より若干小さく形成されている。そして、図7(a)に示すように、治具17を介して被巻付け部材15がシャフト19に一体回転可能に固定された組立品20を使用し、第1の実施の形態と同様にしてFWが行われる。
【0047】
FWの際は、繊維束Rは少なくとも最内層となる一層目がヘリカル巻層を形成するように、組立品20の軸方向となす角度(巻付け角度)が、セレーション22の歯の延びる方向と軸方向との成す角度と同じため、繊維束Rはセレーション22の溝内に配列されるように巻き付けられる。
【0048】
FW及び樹脂硬化が完了し、治具17を成形体38から脱型する際は、治具17をセレーション22の角度に合わせてねじりながら脱型する。治具17の脱型により成形体38(筒部材12)の端部内面にはセレーション22の凹凸に対応する凹凸が転写された状態となる。次に成形体38の端部に第1及び第2の端部部材13,14が圧入されて図6(c)に示すプロペラシャフト11が完成する。第1及び第2の端部部材13,14を圧入する際は、第1及び第2の端部部材13,14をねじりながら筒部材12に圧入する。
【0049】
この実施の形態では第1の実施の形態の(1)〜(6)及び(8)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(9) 繊維束被巻付け部17aの周面には軸方向に対して斜めに延びるセレーション22が設けられ、その歯の延びる方向と軸方向との成す角度が第1及び第2の端部部材13,14に形成されたセレーション16と同じに形成されている。従って、斜めに延びるセレーション16を有する端部部材13,14を圧入する際に、圧入が円滑に行われる。また、予めセレーション16に対応する凹凸が筒部材12の内面に形成されるため、筒部材12に過大な圧力を加えることなく、締めしろを大きくできる。その結果、プロペラシャフト11の使用時に、筒部材12と第1及び第2の端部部材13,14との間でスリップし難くなり、同じ肉厚の筒部材12において伝達トルクを大きくできる。
【0050】
(10) 予めセレーション16に対応する凹凸が形成された筒部材12(成形体38)にセレーション16が圧入されるため、セレーション16を圧入する際に樹脂含浸繊維束Rが切断されない。従って、第1及び第2の端部部材13,14間のねじり強度が、第1の実施の形態のプロペラシャフト11に比較して大きくなり、より大きな回転トルクの伝達が可能になる。
【0051】
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 治具17は中空に限らず、例えば図8(a)に示すように、被巻付け部材15に連結される側と反対側、即ち嵌合凸部17bと反対側に、チャック32に支持される軸部23を備えていてもよい。この構成では、治具17自身に軸部23が設けられているため、FW装置31に支持されて回転される組立品20としてシャフト19を必ずしも設ける必要がなく、組立品20の重量を軽くできる。例えば、被巻付け部材15の両端に治具17を嵌合した状態で組立品20が構成され、軸部23においてチャック32に支持される。
【0052】
○ 軸部23を備えた治具17において、軸部23と同軸上に、シャフト19が嵌合可能な穴を備えた構成としてもよい。この場合、シャフト19を介して両治具17が同軸上に位置決めされ、被巻付け部材15の強度が低く長さが長い場合でも、シャフト19により芯出しが行われるとともに撓みが抑制されてFWが円滑に行われる。
【0053】
○ 治具17は繊維束被巻付け部17aの外径が一定に限らず、例えば、図8(b)に示すように、繊維束被巻付け部17aを嵌合凸部17b側に向かって縮径となるテーパ状に形成してもよい。テーパ状とした場合は、治具17の脱型及び第1及び第2の端部部材13,14のセレーション16の圧入が、繊維束被巻付け部17aの外径が一定の場合に比較して容易となる。しかし、セレーション22を備えた治具17の場合は、繊維束被巻付け部17aをテーパ状に形成すると、セレーション22の加工が難しくなるため、テーパ状に加工するのは表面が滑らかな繊維束被巻付け部17aを備えた治具17の場合が好ましい。
【0054】
○ 表面が滑らかな治具17を使用する場合は、FWの際に巻き付けられる樹脂含浸繊維束Rは最内層がヘリカル巻である必要はなく、フープ巻であってもよい。また、FWの際にヘリカル巻を行う際、同一層において繊維束Rが互いに平行に配列される構成は必ずしも必要ではない。即ち、同時に巻き付ける繊維束の本数が1本の一般的なFW装置を使用してヘリカル巻層を形成してもよい。
【0055】
○ 第2の実施の形態のように内面に凹凸が形成された成形体38(筒部材12)の端部に端部部材13,14のセレーション16を圧入する際、セレーション16の表面あるいは成形体38の端部内面の凹凸に接着剤を塗布した状態でセレーション16をねじ込んでもよい。
【0056】
○ プロペラシャフト11が自動車に組み付けられた場合、露出状態で使用されるため、走行中にタイヤが跳ねた小石等の異物が当たることがあり、その際、大きな音が発生する。被巻付け部材15がボール紙製や段ボール製の場合、筒の表面に樹脂の含浸を阻止する処理を施すことにより、被巻付け部材15に制振作用を持たせることができ、前記異物が当たった際の振動を吸収して大きな音の発生を抑制することができる。
【0057】
〇 被巻付け部材15は紙製の円筒に限らず、樹脂製としてもよい。耐熱性が不充分な熱可塑性の樹脂製とした場合は、成形体38を硬化させる際に被巻付け部材15が溶融し、筒部材12の内面に偏った状態で付着して回転バランス不良となり易い。従って、熱硬化性樹脂製もしくは耐熱性の熱可塑性樹脂とする方がよい。耐熱性の熱可塑性樹脂とする場合、FRPマトリックス樹脂の硬化温度(百数十℃)より耐熱温度が高い樹脂がより好ましいが、マトリックス樹脂の初期硬化温度(100℃程度)より耐熱温度が高ければ適用可能である。被巻付け部材15が紙製の場合は、プロペラシャフト11を使用する際、被巻付け部材15の部分は回転トルクの伝達に殆ど寄与しないが、樹脂製とすることにより回転トルクの伝達に寄与する。また、樹脂製の方が紙製より被巻付け部材15の真円精度が高く、回転バランスが良い。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。耐熱性の熱可塑性樹脂のうち、エポキシ(マトリックス)硬化温度以上の耐熱性があるものとして、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP) 、ポリアミドイミド(PAI) 、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)等の所謂スーパーエンプラが挙げられる。また、エポキシ初期硬化温度より耐熱性がある熱可塑性樹脂としては、ポリアミド=ナイロン(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート=ポリエステル(PET)等の汎用エンプラで耐熱性が比較的高いものが挙げられる。
【0058】
〇 被巻付け部材15として熱硬化性樹脂を含浸、硬化させた紙製としてもよい。この場合も樹脂製の被巻付け部材15を使用した場合と同様な効果が得られる他に、熱硬化性樹脂だけで被巻付け部材15を製造する場合に比較して製造が簡単になる。
【0059】
〇 被巻付け部材15としてFRP製の円筒を使用してもよい。強化繊維としては炭素繊維が好ましい。また、本硬化したFRP製の円筒に限らず、プレキュア(前硬化)された状態のFRP製の円筒を使用してもよい。プレキュアされた状態のFRP製の円筒は成形体38の硬化時に本硬化されるため、製品であるプロペラシャフト11として完成した段階では、回転トルクの伝達に寄与する。そして、炭素繊維強化のFRP製の円筒を使用した場合は、被巻付け部材15に巻き付けられた繊維束Rによって形成されるヘリカル巻層の層数を減らすことも可能になり、小径化、軽量化に寄与する。また、プレキュアされた状態のFRP製の円筒の場合、その上に巻き付けられる樹脂含浸繊維束との接着強度が、本硬化されたFRP製の円筒に巻き付ける場合に比較して高くなる。
【0060】
〇 被巻付け部材15として金属製の円筒を使用してもよい。金属製とする場合は、軽量で耐熱性及び剛性の高い金属で形成されたものが好ましい。この場合も被巻付け部材15が回転トルクの伝達に寄与し、筒部材12の厚さを薄くできて、小径、軽量化に寄与できる。また、紙製より被巻付け部材15の真円精度が高く、回転バランスが良くなる。
【0061】
〇 端部部材の組み合わせは、ヨークタイプの第1の端部部材13と、シャフトを有するタイプの第2の端部部材14との組み合わせに限られない。例えば、プロペラシャフト11の使用態様に応じて、ヨークタイプの第1の端部部材13が筒部材12の両端に結合された構成や、シャフトを有するタイプの第2の端部部材14が筒部材12の両端に結合された構成としてもよい。
【0062】
○ 筒部材12は必ずしも結合部分12aの肉厚が厚く形成されるものに限らず、全長にわたって一定の厚さであってもよい。
〇 成形体38の一部(樹脂含浸繊維束)を硬化前に治具17から除去する際、ピン18を抜いた後に除去してもよい。
【0063】
〇 成形体38の硬化前には繊維束供給部に繋がる繊維束の切断だけを行い、不要な部分の除去は成形体38の硬化後に、ピン18を抜いた状態で除去するようにしてもよい。ピン18が取り外し不能な場合は、成形体38の硬化後に不要な部分を除去するには、不要な部分を細かく破壊して除去する必要があるが、ピン18を取り外し可能にすることにより、成形体38の硬化後に不要な部分を除去するのが容易となる。この場合、成形体38の切断位置は治具17の溝部17dと対応する位置の一箇所となる。溝部17dと対応する位置で成形体38が切断されることにより、カッター39が治具17に接触せずに成形体38を切断できる。成形体38の切断は樹脂硬化前でもよいが、樹脂硬化前に切断する場合は、切断箇所を含む一定幅の領域にテープを巻き付け、テープの上から成形体38を切断すると、未硬化の状態でも切断端部の繊維束Rが毛羽立つのが抑制される。
【0064】
○ 被巻付け部材15の一端に軸部23を備えた治具17を嵌合し、被巻付け部材15の他端にはFW装置31のチャック32に支持される軸部を有する支持部材(第2の端部部材14)を組み付けて組立品20を構成する。そして、FW法により他端に第2の端部部材14が結合されたFRP製の筒部材12を形成し、治具17を脱型後、第1の端部部材13を筒部材12の一端に圧入する。この場合でも、長くて重いマンドレルを使用せずにプロペラシャフト11を製造することができる。
【0065】
〇 治具17のピン18を省略してもよい。ピン18を省略した構成では、成形体38の硬化後に不要な部分の除去を行う場合でも、ピン18の抜き取り作業が不要となり、成形体38の不要部分の除去作業が容易になる。
【0066】
○ 治具17の溝部17dを省略してもよい。
○ プロペラシャフト11以外の動力伝達シャフトの製造に適用してもよい。○ 筒部材12の両端に端部部材13,14を備える動力伝達シャフトに限らず、どちらか一端に端部部材を備える動力伝達シャフトの製造に適用してもよい。例えば、樹脂硬化後、成形体38の両端から治具17を脱型した後、成形体38の一端にのみ第1の端部部材13又は第2の端部部材14を圧入する。
【0067】
以下の技術的思想(発明)は前記実施の形態から把握できる。
(1) 請求項4に記載の発明において、前記シャフトの端部が前記回転支持部に支持される。
【0068】
(2) 請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1)の何れか一項に記載の発明において、前記端部部材は少なくとも一方がヨークタイプの継手である。
(3) 請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1),(2)の何れか一項に記載の発明において、FWは少なくとも最内層にヘリカル巻層が形成されるように行われ、前記繊維束被巻付け部には最内層の繊維束の配列方向を所定方向に規制可能な軸方向に対して斜めに延びるセレーションが形成されている。
【0069】
(4) 請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1)〜(3)の何れか一項に記載の発明において、FWは、ヘリカル巻層を形成する際は、ヘリカル巻層を構成する全ての樹脂含浸繊維束の巻付けが同時に行われる。
【0070】
(5) 請求項6に記載の発明において、前記繊維束被巻付け部は前記嵌合部側程縮径となるテーパ状に形成されている。
(6) 請求項5〜請求項7の何れか一項に記載の発明において、前記孔に代えて、前記繊維束被巻付け部と反対側に、FW装置の回転支持部に支持される軸部が突設されている。
【0071】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、端部部材が接合されるFRP製の筒部材の長さに対応する長くて重いマンドレルの脱型が不要となり、樹脂の熱硬化に必要なエネルギーを低減できる。また、請求項5〜請求項7に記載の発明の治具は請求項1〜請求項4に記載のいずれかの発明に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第1の実施の形態の治具を備えた組立品の一部破断側面図、(b)は治具の側面図。
【図2】(a)はヨークタイプの継手部を備えた端部部材の側面図、(b)は軸部を備えた端部部材の側面図、(c)はプロペラシャフトの模式断面図。
【図3】図4のA−A線における模式拡大断面図。
【図4】FW装置の部分概略図。
【図5】FWにより成形体が形成された状態の部分模式断面図。
【図6】(a)は第2の実施の形態のヨークタイプの継手部を備えた端部部材の側面図、(b)は軸部を備えた端部部材の側面図、(c)はプロペラシャフトの模式断面図。
【図7】(a)は第2の実施の形態の治具を備えた組立品の一部破断側面図、(b)は治具の側面図。
【図8】(a),(b)はそれぞれ別の実施の形態の治具を示す模式側面図。
【図9】(a),(b)は従来技術のプロペラシャフトの製法を示す模式断面図。
【符号の説明】
R…樹脂含浸繊維束、11…動力伝達シャフトとしてのプロペラシャフト、12…筒部材、13,14…端部部材、13a,14a…嵌合部、13c,17c…孔、14c,23…軸部、15…被巻付け部材、16,22…セレーション、17…治具、17a…繊維束被巻付け部、17b…嵌合部としての嵌合凸部、18…ピン、19…シャフト、31…FW装置、32…回転支持部としてのチャック。

Claims (7)

  1. 繊維強化プラスチック製の筒部材の少なくとも一端に端部部材が結合された動力伝達シャフトの製造方法であって、
    繊維束被巻付け部を備えた治具を筒状の被巻付け部材の少なくとも一端に取り外し可能に連結し、前記治具を介して前記被巻付け部材をフィラメントワインディング装置の回転支持部に支持し、その状態でフィラメントワインディングを行った後、巻き付けられた樹脂含浸繊維束を硬化前又は硬化後に切断し、前記治具と前記被巻付け部材との連結を解除し、前記治具が取り外された箇所に端部部材を圧入結合する動力伝達シャフトの製造方法。
  2. 前記治具が前記被巻付け部材の両端に取り付けられた状態でフィラメントワインディングが行われ、両治具が取り外された箇所にそれぞれ端部部材が圧入結合される請求項1に記載の動力伝達シャフトの製造方法。
  3. 前記治具は、前記被巻付け部材に連結される側と反対側に、前記回転支持部に支持される軸部を備えている請求項2に記載の動力伝達シャフトの製造方法。
  4. 前記治具は、前記被巻付け部材を貫通するシャフトに対して一体回転可能に固定されている請求項2又は請求項3に記載の動力伝達シャフトの製造方法。
  5. 筒状の被巻付け部材に対してフィラメントワインディング法により繊維強化プラスチック製の筒部材を形成する際に、前記被巻付け部材をフィラメントワインディング装置の回転支持部に取り付けるための治具であって、繊維束被巻付け部と、前記繊維束被巻付け部の一端側に形成され、前記被巻付け部材が嵌合される嵌合部と、前記繊維束被巻付け部の他端側に形成され、前記フィラメントワインディング時に樹脂含浸繊維束の配列を規制可能に一定間隔で周方向に配設されたピンとを備え、中心にシャフトが貫通される孔が形成された治具。
  6. 前記繊維束被巻付け部は、表面が滑らかに形成されている請求項5に記載の治具。
  7. 前記繊維束被巻付け部の周面には軸方向に対して斜めに延びるセレーションが設けられている請求項5に記載の治具。
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