JP2004285698A - 異形既製杭 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭において、割裂ひび割れが杭周固定液の固化層に集中的に発生するのを防止するとともに、杭径低下及びこれに伴う杭軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力の低下を抑制する。
【解決手段】杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭は、杭外周面から杭径方向内方に引っ込んだ多数の凹部を有する。凹部により縦方向リブ及び周方向リブが形成され、周方向リブの下面が、杭周固定液の固化層に対して支圧面を向けるように傾斜する。周方向リブの間隔(P)及び凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの関係に設定される。
【選択図】 図2
【解決手段】杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭は、杭外周面から杭径方向内方に引っ込んだ多数の凹部を有する。凹部により縦方向リブ及び周方向リブが形成され、周方向リブの下面が、杭周固定液の固化層に対して支圧面を向けるように傾斜する。周方向リブの間隔(P)及び凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの関係に設定される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異形既製杭に関するものであり、より詳細には、セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築・土木構造物の杭工法は、打込み工法及び埋込み工法に大別される。打込み工法は、既製杭(「既成杭」とも云う。)の杭頭を地上で打撃して杭を地中に貫入させる方式の工法であり、杭支持力を比較的容易に確認可能な有利性がある反面、大きな騒音及び振動が杭打撃時に発生する。このような打込み工法に使用される既製杭として、弧状凹部や、傾斜溝又は傾斜突起を杭周面に形成した構成のものが知られている(実開昭59−160636号公報、実開昭62−81634号公報)。このような弧状凹部、傾斜溝又は傾斜突起は、打撃時の杭の地中貫入を考慮し、大型の弧状凹部、或いは、杭の軸芯に対して所定角度をなして傾斜した溝又は突起の形態に形成されており、あくまで、打撃による杭の円滑な地中貫入を妨げない形状及び構造のものに制限されていた。
【0003】
打込み工法は、打撃時の騒音・振動が周辺環境阻害要因となることから、近年の土木・建築工事では容易に採用し難く、このため、プレボーリング工法、中堀り工法及び回転根固め工法等の埋込み工法が一般に採用されている。プレーリング工法は、支持地盤に到達する垂直な杭孔を地盤に掘削するとともに、根固め液及び杭周固定液を注入した杭孔内に既製杭を挿入する方式の杭工法であり、オーガースクリューにより掘削した杭孔内にセメントミルクを注入するとともに杭孔内に既製杭(パイル)を挿入するセメントミルク工法に代表される。このような方式の杭工法は、低騒音且つ低振動の工法として、近年の建築工事において多用されている。
【0004】
埋込み工法に使用される既製杭は、通常は、支持地層の支持力により地上構造物の支持力を得る先端支持杭として使用され、杭耐力は、支持層(支持地層)の支持力に依存する。所望により、杭先端部の支持力を確保すべく、拡大根固め球根がプレボーリング時に支持地層に形成される。
【0005】
埋込み工法の既製杭において、杭本体の外周面に杭長方向に所定間隔を隔てて環状突出部を一体的に形成した構成のものが知られている。図13は、環状突出部を備えた既製杭を示す部分正面図及び部分拡大断面図であり、図14は、環状突出部の作用を示す杭の部分縦断面図である。
【0006】
杭の軸部を構成する杭本体100には、杭長方向に所定間隔Y(約1m程度)を隔てて環状突出部101が形成される。杭本体100及び環状突出部101は、一体成形された高強度コンクリート成形品からなり、環状突出部101は、杭本体100の全外周に亘って周方向に延び、杭本体100の外径D1を局所的に拡大するので、大型の鍔又は節部が杭本体100に形成される。環状突出部101の突出寸法Eは、少なくとも50mmを超え、例えば、75mmの寸法に設定されるので、杭本体100の荷重は、杭外周廻りに形成されたセメントミルク固化層104の支圧効果により、突出部下面から周囲地盤Gに応力伝達する。
【0007】
【特許文献1】実開昭59−160636号公報
【0008】
【特許文献2】実開昭62−81634号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような環状突出部101を備えた既製杭においては、環状突出部101の突出寸法E及び間隔Yの関係より、突出部101の下面近傍の固化層104に局部圧壊が発生し、局部圧壊による固化層104の割裂ひび割れ(図13(C) )が、突出部下面の領域に集中的に発生する。
【0009】
また、杭孔Hの直径(杭孔径)に対し、杭本体100の外径(杭径)D1を相対的に小さく設定せざるを得ず、このため、杭孔径に対する杭本体100(杭軸部)の圧縮耐力が低下する。同時に、杭径の低下により曲げ剛性又は断面係数が低下するので、杭の曲げ耐力は、地震力等の短期水平荷重により杭軸部に作用する曲げモーメントに対し、低下する。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とすることろは、セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭において、割裂ひび割れが杭周固定液の固化層に集中的に発生するのを防止するとともに、杭径低下及びこれに伴う杭軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力の低下を抑制することができる既製杭を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】
ここに、先端支持杭の場合にも、杭の周面摩擦力は多かれ少なかれ現実に働く。実際には、杭の先端抵抗力(先端支持力)が完全に働くには、或る程度の杭の沈下量(例えば、100mm程度)を必要とするのに対し、杭の周面摩擦力は、比較的微小な杭沈下量(例えば、10mm程度) においても、かなりの部分が有効に働く。従って、例えば、地震時の短期鉛直荷重により杭の沈下が発生した場合、初期的な微小変位時には、杭の周面摩擦力が先端支持力と同時に効果的に働くものと考えられる。これは、先端支持杭であっても、実際には、周面摩擦力がかなり有効に働いていることを意味する。
【0012】
本発明は、上記目的を達成すべく、杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭において、
杭外周面から杭径方向内方に引っ込んだ多数の凹部を有し、該凹部により縦方向リブ及び周方向リブが形成され、前記周方向リブの下面が、前記杭周固定液の固化層に対して支圧面を向けるように傾斜し、杭長方向における前記周方向リブの間隔(P)及び前記凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの関係に設定されることを特徴とする既製杭を提供する。
【0013】
本発明の上記構成によれば、既製杭は、地盤を構成する地層との摩擦力を高める多数の凹部を有する。凹部により形成され且つ固化層に面するように傾斜した周方向リブの下面は、杭周固定液の固化層に対する支圧効果を効果的に発揮する。凹部により形成された縦方向リブは、固化層との付着面積を増大し、杭の付着効果を高めるとともに、水平地盤抵抗力を受け、水平荷重に対する杭の変形を抑制する。杭長方向の周方向リブの間隔(P)及び凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの範囲内に設定され、杭の断面欠損は、比較的小さい。従って、杭径は、所望により杭の内径寸法を低減して杭の構造断面を確保することにより、従来の既製杭と同一に設定することができる。
【0014】
他の観点より、本発明は、上記構成の下側既製杭と、円柱表面形態の外周面を有する上側既製杭とを一体的に相互連結した杭構造体において、
前記下側既製杭は、前記上側既製杭の下端部に同心状に接続され、前記下側既製杭の下端部は、根固め液により形成された拡大球根部に定着することを特徴とする杭構造体を提供する。
【0015】
このような構成の杭構造体によれば、杭構造体の上部は、断面欠損がない通常の既製杭により構築され、杭構造体の下部は、摩擦効果を発揮する上記構成の既製杭により構築される。このため、杭構造体は、地震力の如く、杭頭部の変形を生じさせる水平荷重に対して効果的に耐力を発揮するとともに、地層との摩擦力及び杭最下端部の定着力を上記既製杭の凹部及びリブの摩擦効果又は定着効果により効率的に発揮する。しかも、このような構成によれば、根固め球根部内の凹部及びリブは、その支圧作用により先端支持力を増大する効果を発揮し、有利である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態によれば、多数の凹部を備えた上記既製杭は、先端部が設計支持層に達する先端支持杭として使用される。応用例として、この既製杭を埋込み工法の摩擦杭、或いは、地盤改良内の地盤に挿入される芯杭として使用しても良い。
【0017】
好ましくは、上記周方向リブの間隔(P)及び凹部の深さ(H)は、0.07×P≦Hの関係に更に設定され、水平面に対する上記周方向リブの下面の傾斜角度(Θ)は、40〜50度の角度範囲内に設定される。更に好ましくは、縦方向リブは、実質的に杭の全長に亘って杭長方向に真っ直ぐに延び、杭芯を中心とした縦方向リブ同士の杭周方向の角度間隔(α)は、60度以下、好適には、45度以下の角度値に設定される。
【0018】
好適には、周方向リブ同士の相互間隔は、杭径以下の寸法に設定され、周方向リブの幅(T2)は、杭径の1/4以下の寸法に設定される。更に好適には、凹部の深さ(H)は、50mm以下、例えば、50mm又は25mmに設定される。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、杭外周面における凹部の開口面積の総計は、杭外周面の全面積の1/2以上に設定され、杭外周面における凹部の周方向開口幅の合計値は、杭外周面の全周長の70%以上に設定される。
【0020】
本発明に係る杭構造体の好適な実施形態では、前述の下側既製杭の外径(D1)は、上側既製杭の外径と実質的に一致し、下側既製杭の中空部は、その直径が、上側既製杭の中空部の直径と同一、若しくは、上側既製杭の中空部の直径よりも小径に設定される。
【0021】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る既製杭を用いた埋込み工法の概要を示す工程説明図である。
【0022】
杭打ち機1が埋込み工法に使用される。杭打ち機1は、図1(A)に示す如く、杭回転用オーガ3により回転駆動されるオーガービット2を備える。杭打ち機1は、オーガービット2の正転掘削により穿孔作業を開始し(図1(A))、オーガービット2の先端部から掘削液(水又は安定液)を吐出しながら地盤Gに杭孔Hを掘削する。掘削液は、地盤Gの掘削抵抗を低減するとともに、孔内を泥土化し、孔壁の崩壊を防止する。オーガービット2は、掘削の進行に相応してロッド部を延長しながら予定深度に達し(図1(B))、設計支持層Sに達する杭孔Hを掘削する。次いで、オーガービット2は、逆転拡大掘削により杭孔最下端部を拡大し、根固め液Jを拡大掘削部Kに高圧噴射しながら拡大掘削部Kを逆転攪拌する(図1(C))。オーガービット2は、根固め液の注入後、セメントミルクを主成分とする杭周固定液Mを注入攪拌しながら上昇し、杭孔Hより引き抜かれ(図1(D))、引き続き、杭構造体10が杭孔H内に挿入される。杭構造体10は、杭沈設過程(図1(E))において、主として杭回転用オーガ3の鉛直荷重及び杭構造体10の自重によりゆっくりと沈降する。杭構造体10の先端部が拡大掘削部Kに達し、杭構造体10の建込みが完了すると、杭構造体10の自沈又は回転挿入により杭先端部を拡大球根部Nに定着させ(図1(F))、かくして、杭構造体10の施工が完了する。
【0023】
杭構造体10は、真円形断面を有する上側杭部分12と、多数の凹部を外周面に形成した下側杭部分11とから構成される。上側杭部分12は、建設市場に既に流通している汎用の既製杭(既成杭)からなり、節部又は鍔等を備えておらず、上側杭部分12の外周面は、凹凸又は不陸等を備えない滑らかな円柱表面形態の外周面を有する。
【0024】
図2(A)は、下側杭部分11の構造を示す杭10の部分破断正面図である。
下側杭部分11は、継手部13により上側杭部分12の下端と同心状に接続される。継手部13は、鋼製端板式継手等の従来構造の杭継手からなる。杭部分11、12は、いずれも、オートクレーブ養生により工場生産された高強度コンクリート成形体からなり、PC鋼材の棒鋼及び螺旋筋等により適切に補強された環状壁14、15を備える。
【0025】
図2(B)は、図2(A)のI−I線における断面図であり、図2(C)は、図2(A)のII−II線における断面図である。
図2(B)に示す如く、上側杭部分12は、真円形断面の内周面16及び外周面17を有し、下側杭部分11は、図2(C)に示す如く、真円形断面の内周面18と、多数の凹部又は窪み30を形成した外周面20とを有する。杭部分11、12の軸芯CLは、合芯し、杭部分11、12の外径D1は、一致する。下側杭部分12の内径D4は、上側杭部分12の内径D2と一致し、或いは、僅かに小径に設定される。例えば、下側杭部分11の構造断面が杭耐力上余裕がある場合には、内径D2、D4は、同一寸法に設定されるが、凹部30による断面欠損に起因して下側杭部分11の杭耐力が不足する場合、或いは、強度上の余裕が比較的少ない場合には、下側杭部分11が上側杭部分12と同一の横断面積又は同一の断面二次モーメントを保有するように環状壁15の厚さT3が増大され、従って、内径D4は、内径D2よりも小径に設定される。
【0026】
本実施例では、凹部30は、角度αの等角度間隔を隔てて下側杭部分11の全外周面に均等に配置される。各凹部30を区画する縦方向リブ31及び周方向リブ32が各凹部30の間に形成され、縦方向リブ31は、軸芯方向に連続し、周方向リブ32は、全周に亘って連続する。
【0027】
例えば、杭径D1=500mmであるとき、各凹部30の深さHは、H=25mmに設定され、凹部30の底面33は、軸芯CLを曲率中心とする曲率半径(周壁直径D3÷2)=225mmの円弧面に形成される。また、杭径D1=700mmであるとき、各凹部30の深さHは、H=50mmに設定され、底面33は、曲率半径(周壁直径D3÷2)=300mmの円弧面に形成される。
【0028】
図3(A)は、下側杭部分11の外周面の展開図であり、図3(B)は、下側杭部分11の表層部分を展開状態で示す横断面図である。また、図4及び図5は、凹部30及び周方向リブ32の作用を示す下側杭部分11の部分縦断面図である。
【0029】
図3示す如く、各凹部30は、長方形輪郭を有し、多数の凹部30が、杭周方向及び杭長方向に所定間隔W、Pを隔てて等間隔に配置される。凹部30の幅U及び高さVに対し、縦方向リブ31は、周方向の幅T1(T1=W−U)を有し、周方向リブ32は、鉛直方向の幅T2(T2=P−V)を有する。なお、凹部30及び縦方向リブ31の幅U、T1は、杭部分11の周方向に測定した値である。
【0030】
各凹部30は、底面33、左右の側縁面36、下縁面34及び上縁面35により画成される。側縁面36は、図3(B)に示す如く、半径方向に対して所定角度βをなして傾斜する。同様に、下縁面34及び上縁面35は、図4及び図5に示す如く、水平面に対して角度γ及び角度Θをなして傾斜する。本実施例では、角度γ及びΘは、いずれも40〜50度の範囲内の角度値に設定され、角度βは、10〜30度の範囲内の角度値に設定される。図4及び図5には、杭施工後の杭部分11の状態が示されており、杭部分11廻りの領域には、セメントミルクの固化層40が形成される。固化層40は、地盤Gに連続する。
ここに、杭材(杭部分11)とセメントミルク固化層(固化層40)との摩擦力伝達機構は、主として、(1) 杭材とセメントミルク固化層との付着効果、(2) 杭外周面の凹凸とセメントミルク固化層との支圧効果によるものと考えられる。また、杭の破壊機構として、(1) セメントミルク固化層の剪断破壊、(2) 凸部下面におけるセメントミルク固化層の局部圧壊が考えられる。これを図4に基づいて説明すると、杭部分11と固化層40との摩擦力伝達機構は、主として、(1) 杭部分11の外表面(リブ31、32の表面、底面33、縁面34、35、36)と固化層40との付着効果、(2) 上縁面35と固化層40との支圧効果であり、杭の破壊機構は、(1) 固化層40の剪断破壊、(2) 上縁面35の近傍の固化層40の局部圧壊である。
【0031】
これまでの各種試験結果より、破壊機構は、下記の条件では、固化層40の局部圧壊が支配すると考えられる。
H/P<0.07
他方、下記の条件では、固化層40の剪断破壊が支配的に作用する。
【0032】
H/P>0.13
また、上縁面35の傾斜角Θが40°以上の角度値に設定されると、固化層40の局部圧壊が卓越的に顕れる。
これらの傾向を考慮すると、0.07≦H/P≦0.13の条件下に各凹部30の寸法設定を行うことが望ましく、傾斜角Θは、40〜50度の範囲内の角度値に設定することが望ましいと判明した。
【0033】
このような条件で各部寸法を設定した場合、固化層40は、局部圧壊又は剪断破壊のいずれか一方のみが破壊機構を支配することなく、杭部分11の荷重は、付着効果及び支圧効果の双方を効率的に利用して得られる杭部分11及び固化層4の間の摩擦作用により、固化層40に応力伝達する。
【0034】
上記の如く、杭径D1=500mm、H=25mmの前提では、周方向リブ間隔Pは、約200mm〜350mmの範囲内に設定され、杭径D1=700mm、H=50mmの前提では、周方向リブ間隔Pは、約400mm〜700mmの範囲内に設定される。また、傾斜角Θは、例えば、45度に設定される。なお、本例では、傾斜角γは、傾斜角Θと同一の角度値、例えば、45度に設定される。
【0035】
このように構成された杭部分11では、周方向リブ32は、かなり細かいピッチに配置される。これにより、固化層40の局部圧壊を防止し、局部圧壊により発生する周方向リブ下面(支圧面)近傍の割裂ひび割れの発生を抑制することができる。同時に、固化層40に対する杭表面の付着面積が凹部30の形成により増大し、リブ31、32の付着力が杭耐力を高める上で有効に働く。周方向リブ32は又、杭部分11の引抜き力(引抜き抵抗)を増大する。
【0036】
また、環状突出部101(図13)を比較的大きなピッチで形成した従来の既製杭と比べ、上記構成の杭部分11では、軸部の断面欠損が減少するので、軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力を比較的容易に確保し得る。
【0037】
更に、上記構成の杭部分11によれば、杭10に作用する地震力等の水平荷重により杭10が変形しようとしたとき、杭部分11は、杭長方向に延びる縦方向リブ31の影響により地層の水平地盤抵抗力を有効に受けるので、その変形は、抑制される。
【0038】
しかも、上記凹部30及びリブ31、32を備えた杭部分11の構造は、既製杭を成形し又は移送する上でも有利である。即ち、環状突出部101による大型の鍔又は節部を杭本体100に形成した従来の杭構造(図11)においては、コンクリート養生及び脱型後にPC鋼材の復元力により環状突出部101にひび割れが発生する可能性があり、これを回避すべく、PC鋼材の緊張力を規制する等の配慮が必要であったが、縦リブ31を備えた杭部分11の杭構造においては、縦リブ31がPC鋼材の張力方向に延び、PC鋼材の復元力に抗し、周方向リブ32のひび割れ発生を防止する。また、上記環状突出部101は、杭製品の出荷・搬送時に破損又は損傷する懸念があったが、上記杭部分11では、縦リブ31及び周方向リブ32が格子状に杭外周面に延在するので、周方向リブ32の破損・損傷等が生じ難い。
【0039】
図6は、地震時の短期水平荷重等が杭部分11に作用した状態を示す杭部分11の平面図及び側面図である。
杭部分11に地震力等の水平荷重が作用すると、杭部分11は、変形し、杭部分11の頭部は、水平変位しようとする。上下に連続し且つ比較的小間隔に周方向に隔設された縦方向リブ31は、地盤Gの地層との摩擦効果により、水平地盤抵抗力を受け、水平地盤抵抗力は、杭部分11の変形を阻止するように作用する。同時に、杭長方向に小間隔に配置された周方向リブ32の支圧効果により、杭の変形を阻止する反力が得られ、杭部分11の変形は、かなり抑制される。
【0040】
図7は、上記杭部分11を有する杭10の標準嵌入試験のシミュレーション結果を示す線図である。
杭10は、上側杭部分12の下側に2本の下側杭部分11を接続してなる杭構造体を構成する。地震時の杭上部の変形を考慮し、上側杭部分12として、断面欠損がない汎用の既製杭が用いられる。凹部30を備えた上記構成の下側杭部分11は、最下端部が支持層に達し、拡大球根部Nに定着する。杭10の全体構成は、先端支持杭に属するが、下側杭部分11と地層との間の摩擦力により、杭耐力は、向上する。
【0041】
図8には、図7に示す杭10の耐力計算結果が示されており、図9には、比較例として、杭の全長に亘って、上側杭部分12を構成する既製杭、即ち、凹部30を備えていない円形断面の汎用既製杭を用いた杭に関する耐力計算結果が示されている。
【0042】
図8及び図9に示す耐力計算は、杭径D1=500mmの杭構造体に関するものである。また、図8に示す耐力計算は、凹部深さH=25mmに設定した既製杭を用いた杭構造体に関して行ったものである。図9に示す如く、従来構造の既製杭のみを用いたプレボーリング根固め工法の杭では、杭耐力/本は、1112kNであったのに対し、本実施例に係る杭10では、杭耐力/本は、1545kNであり、杭耐力は、約40%向上した。
【0043】
図10は、下側杭部分11の各部寸法を例示する部分破断正面図、横断面図及び図表である。
下側杭部分11を構成する既成杭は、通常は、1mモジュールで設計・製作されることから、図10に示す高さ方向の各部寸法は、これを基準とした間隔P(500mm、333mm又は250mm) に割付けられている。また、縦方向リブ31は、周方向に均等に8分割した位置、即ち、45度の角度間隔αを隔てた位置に配置されている。
図11(A)は、本発明の他の実施例を示す杭の正面図であり、図11(B)及び図11(C)は、図11(A)のIII − III 線及びIV−IV線における断面図である。各図において、前述の実施例の各構成要素と実質的に同じ構成要素については、同一の参照符号が付されている。
本実施例では、杭10を構成する下側杭部分11は、垂直方向に半部寸法だけずれた状態で交互に配置され、全体として千鳥配列に杭部分11の全外周面に配置される。縦方向リブ31は、前述の実施例と同様、垂直方向に連続するが、周方向リブ32は、縦方向リブ31を部分的に介して周方向に連続する形態をなす。
【0044】
図12は、下側杭部分11及び拡大球根部Nの定着部に関する応用例を示す正面図である。
拡大球根部Nの高さを2乃至3mに大型化し、下側杭部分11を比較的深く拡大球根部Nに埋入した実施例が、図12に示されている。根固め液として使用されるセメントミルクは、水セメント比60%、圧縮強度21N/mm2 程度に配合され、支持層Sには、高強度且つ大型の拡大球根部Nが形成される。下側杭部分11は、外周面に形成された多数の凹部30により拡大球根部Nにしっかりと定着し、拡大球根部Nは、各周方向リブ32及び拡大球根部Nの間に作用する大きな支圧力を支受する。このような構成によれば、拡大球根部Nにおける杭10の押抜き抵抗力が増大し、杭10の先端支持力が増大するので、支持力設計用の支持力係数は、少なくとも350〜400程度に設定し得ると考えられる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、そのような変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【0046】
例えば、上記実施例では、杭部分11は、正面視長方形又は正方形の輪郭を有する凹部を備えるが、凹部の輪郭は、適切な縦方向リブ及び横方向リブを形成可能な他の形状、例えば、三角形又は多角形の形状に設計しても良い。
【0047】
また、本発明の既製杭を杭構造体の全長に亘って用いても良く、或いは、本発明の既製杭を杭構造体の中間部分のみに配置しても良い。更には、本発明の既製杭を杭構造体の下端部のみに配置し、或いは、中間部を除く下部及び上部のみに配置することも可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明の上記構成によれば、セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭及び杭構造体において、割裂ひび割れが杭周固定液の固化層に集中的に発生するのを防止するとともに、杭径低下及びこれに伴う杭軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の既製杭を用いた埋込み工法の概要を示す工程説明図である。
【図2】図2(A)は、本発明の好適な実施例に係る既製杭の構造を示す杭構造体の部分破断正面図であり、図2(B)は、図2(A)のI−I線における断面図である。また、図2(C)は、図2(A)のII−II線における断面図である。
【図3】図3(A)は、下側杭部分の外周面の展開図であり、図3(B)は、下側杭部分の表層部分を展開状態で示す横断面図である。
【図4】凹部及び周方向リブの作用を示す下側杭部分の部分縦断面図である。
【図5】凹部及び周方向リブの作用を示す下側杭部分の部分縦断面図である。
【図6】地震時の短期水平荷重等が下側杭部分に作用した状態を示す下側杭部分の平面図及び側面図である。
【図7】本発明の既製杭を有する杭構造体に関する標準嵌入試験のシミュレーション結果を示す線図である。
【図8】図7に示す杭構造体の耐力計算結果を示す図である。
【図9】杭構造体の全長に亘って汎用の既製杭(凹部を備えていない円形断面の既製杭)を用いた比較例に関する杭構造体の耐力計算結果を示す図である。
【図10】下側杭部分の各部寸法を例示する部分破断正面図、横断面図及び図表である。
【図11】図11(A)は、本発明の他の実施例を示す杭の正面図であり、図11(B)及び図11(C)は、図11(A)のIII − III 線及びIV−IV線における断面図である。
【図12】下側杭部分及び拡大球根部の定着部に関する応用例を示す正面図である。
【図13】環状突出部を備えた従来の既製杭を示す部分正面図及び部分拡大断面図である。
【図14】図13に示す環状突出部の作用を示す杭の部分縦断面図である。
【符号の説明】
10 杭(杭構造体)
11 下側杭部分(既製杭)
12 上側杭部分(汎用既製杭)
30 凹部
31 縦方向リブ
32 周方向リブ
33 底面
34 下縁面
35 上縁面
36 側縁面
40 固化層
Θ 傾斜角
P 周方向リブ間隔
D1 杭径
T1 幅(縦方向リブ)
T2 幅(周方向リブ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、異形既製杭に関するものであり、より詳細には、セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築・土木構造物の杭工法は、打込み工法及び埋込み工法に大別される。打込み工法は、既製杭(「既成杭」とも云う。)の杭頭を地上で打撃して杭を地中に貫入させる方式の工法であり、杭支持力を比較的容易に確認可能な有利性がある反面、大きな騒音及び振動が杭打撃時に発生する。このような打込み工法に使用される既製杭として、弧状凹部や、傾斜溝又は傾斜突起を杭周面に形成した構成のものが知られている(実開昭59−160636号公報、実開昭62−81634号公報)。このような弧状凹部、傾斜溝又は傾斜突起は、打撃時の杭の地中貫入を考慮し、大型の弧状凹部、或いは、杭の軸芯に対して所定角度をなして傾斜した溝又は突起の形態に形成されており、あくまで、打撃による杭の円滑な地中貫入を妨げない形状及び構造のものに制限されていた。
【0003】
打込み工法は、打撃時の騒音・振動が周辺環境阻害要因となることから、近年の土木・建築工事では容易に採用し難く、このため、プレボーリング工法、中堀り工法及び回転根固め工法等の埋込み工法が一般に採用されている。プレーリング工法は、支持地盤に到達する垂直な杭孔を地盤に掘削するとともに、根固め液及び杭周固定液を注入した杭孔内に既製杭を挿入する方式の杭工法であり、オーガースクリューにより掘削した杭孔内にセメントミルクを注入するとともに杭孔内に既製杭(パイル)を挿入するセメントミルク工法に代表される。このような方式の杭工法は、低騒音且つ低振動の工法として、近年の建築工事において多用されている。
【0004】
埋込み工法に使用される既製杭は、通常は、支持地層の支持力により地上構造物の支持力を得る先端支持杭として使用され、杭耐力は、支持層(支持地層)の支持力に依存する。所望により、杭先端部の支持力を確保すべく、拡大根固め球根がプレボーリング時に支持地層に形成される。
【0005】
埋込み工法の既製杭において、杭本体の外周面に杭長方向に所定間隔を隔てて環状突出部を一体的に形成した構成のものが知られている。図13は、環状突出部を備えた既製杭を示す部分正面図及び部分拡大断面図であり、図14は、環状突出部の作用を示す杭の部分縦断面図である。
【0006】
杭の軸部を構成する杭本体100には、杭長方向に所定間隔Y(約1m程度)を隔てて環状突出部101が形成される。杭本体100及び環状突出部101は、一体成形された高強度コンクリート成形品からなり、環状突出部101は、杭本体100の全外周に亘って周方向に延び、杭本体100の外径D1を局所的に拡大するので、大型の鍔又は節部が杭本体100に形成される。環状突出部101の突出寸法Eは、少なくとも50mmを超え、例えば、75mmの寸法に設定されるので、杭本体100の荷重は、杭外周廻りに形成されたセメントミルク固化層104の支圧効果により、突出部下面から周囲地盤Gに応力伝達する。
【0007】
【特許文献1】実開昭59−160636号公報
【0008】
【特許文献2】実開昭62−81634号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような環状突出部101を備えた既製杭においては、環状突出部101の突出寸法E及び間隔Yの関係より、突出部101の下面近傍の固化層104に局部圧壊が発生し、局部圧壊による固化層104の割裂ひび割れ(図13(C) )が、突出部下面の領域に集中的に発生する。
【0009】
また、杭孔Hの直径(杭孔径)に対し、杭本体100の外径(杭径)D1を相対的に小さく設定せざるを得ず、このため、杭孔径に対する杭本体100(杭軸部)の圧縮耐力が低下する。同時に、杭径の低下により曲げ剛性又は断面係数が低下するので、杭の曲げ耐力は、地震力等の短期水平荷重により杭軸部に作用する曲げモーメントに対し、低下する。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とすることろは、セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭において、割裂ひび割れが杭周固定液の固化層に集中的に発生するのを防止するとともに、杭径低下及びこれに伴う杭軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力の低下を抑制することができる既製杭を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】
ここに、先端支持杭の場合にも、杭の周面摩擦力は多かれ少なかれ現実に働く。実際には、杭の先端抵抗力(先端支持力)が完全に働くには、或る程度の杭の沈下量(例えば、100mm程度)を必要とするのに対し、杭の周面摩擦力は、比較的微小な杭沈下量(例えば、10mm程度) においても、かなりの部分が有効に働く。従って、例えば、地震時の短期鉛直荷重により杭の沈下が発生した場合、初期的な微小変位時には、杭の周面摩擦力が先端支持力と同時に効果的に働くものと考えられる。これは、先端支持杭であっても、実際には、周面摩擦力がかなり有効に働いていることを意味する。
【0012】
本発明は、上記目的を達成すべく、杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭において、
杭外周面から杭径方向内方に引っ込んだ多数の凹部を有し、該凹部により縦方向リブ及び周方向リブが形成され、前記周方向リブの下面が、前記杭周固定液の固化層に対して支圧面を向けるように傾斜し、杭長方向における前記周方向リブの間隔(P)及び前記凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの関係に設定されることを特徴とする既製杭を提供する。
【0013】
本発明の上記構成によれば、既製杭は、地盤を構成する地層との摩擦力を高める多数の凹部を有する。凹部により形成され且つ固化層に面するように傾斜した周方向リブの下面は、杭周固定液の固化層に対する支圧効果を効果的に発揮する。凹部により形成された縦方向リブは、固化層との付着面積を増大し、杭の付着効果を高めるとともに、水平地盤抵抗力を受け、水平荷重に対する杭の変形を抑制する。杭長方向の周方向リブの間隔(P)及び凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの範囲内に設定され、杭の断面欠損は、比較的小さい。従って、杭径は、所望により杭の内径寸法を低減して杭の構造断面を確保することにより、従来の既製杭と同一に設定することができる。
【0014】
他の観点より、本発明は、上記構成の下側既製杭と、円柱表面形態の外周面を有する上側既製杭とを一体的に相互連結した杭構造体において、
前記下側既製杭は、前記上側既製杭の下端部に同心状に接続され、前記下側既製杭の下端部は、根固め液により形成された拡大球根部に定着することを特徴とする杭構造体を提供する。
【0015】
このような構成の杭構造体によれば、杭構造体の上部は、断面欠損がない通常の既製杭により構築され、杭構造体の下部は、摩擦効果を発揮する上記構成の既製杭により構築される。このため、杭構造体は、地震力の如く、杭頭部の変形を生じさせる水平荷重に対して効果的に耐力を発揮するとともに、地層との摩擦力及び杭最下端部の定着力を上記既製杭の凹部及びリブの摩擦効果又は定着効果により効率的に発揮する。しかも、このような構成によれば、根固め球根部内の凹部及びリブは、その支圧作用により先端支持力を増大する効果を発揮し、有利である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態によれば、多数の凹部を備えた上記既製杭は、先端部が設計支持層に達する先端支持杭として使用される。応用例として、この既製杭を埋込み工法の摩擦杭、或いは、地盤改良内の地盤に挿入される芯杭として使用しても良い。
【0017】
好ましくは、上記周方向リブの間隔(P)及び凹部の深さ(H)は、0.07×P≦Hの関係に更に設定され、水平面に対する上記周方向リブの下面の傾斜角度(Θ)は、40〜50度の角度範囲内に設定される。更に好ましくは、縦方向リブは、実質的に杭の全長に亘って杭長方向に真っ直ぐに延び、杭芯を中心とした縦方向リブ同士の杭周方向の角度間隔(α)は、60度以下、好適には、45度以下の角度値に設定される。
【0018】
好適には、周方向リブ同士の相互間隔は、杭径以下の寸法に設定され、周方向リブの幅(T2)は、杭径の1/4以下の寸法に設定される。更に好適には、凹部の深さ(H)は、50mm以下、例えば、50mm又は25mmに設定される。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、杭外周面における凹部の開口面積の総計は、杭外周面の全面積の1/2以上に設定され、杭外周面における凹部の周方向開口幅の合計値は、杭外周面の全周長の70%以上に設定される。
【0020】
本発明に係る杭構造体の好適な実施形態では、前述の下側既製杭の外径(D1)は、上側既製杭の外径と実質的に一致し、下側既製杭の中空部は、その直径が、上側既製杭の中空部の直径と同一、若しくは、上側既製杭の中空部の直径よりも小径に設定される。
【0021】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る既製杭を用いた埋込み工法の概要を示す工程説明図である。
【0022】
杭打ち機1が埋込み工法に使用される。杭打ち機1は、図1(A)に示す如く、杭回転用オーガ3により回転駆動されるオーガービット2を備える。杭打ち機1は、オーガービット2の正転掘削により穿孔作業を開始し(図1(A))、オーガービット2の先端部から掘削液(水又は安定液)を吐出しながら地盤Gに杭孔Hを掘削する。掘削液は、地盤Gの掘削抵抗を低減するとともに、孔内を泥土化し、孔壁の崩壊を防止する。オーガービット2は、掘削の進行に相応してロッド部を延長しながら予定深度に達し(図1(B))、設計支持層Sに達する杭孔Hを掘削する。次いで、オーガービット2は、逆転拡大掘削により杭孔最下端部を拡大し、根固め液Jを拡大掘削部Kに高圧噴射しながら拡大掘削部Kを逆転攪拌する(図1(C))。オーガービット2は、根固め液の注入後、セメントミルクを主成分とする杭周固定液Mを注入攪拌しながら上昇し、杭孔Hより引き抜かれ(図1(D))、引き続き、杭構造体10が杭孔H内に挿入される。杭構造体10は、杭沈設過程(図1(E))において、主として杭回転用オーガ3の鉛直荷重及び杭構造体10の自重によりゆっくりと沈降する。杭構造体10の先端部が拡大掘削部Kに達し、杭構造体10の建込みが完了すると、杭構造体10の自沈又は回転挿入により杭先端部を拡大球根部Nに定着させ(図1(F))、かくして、杭構造体10の施工が完了する。
【0023】
杭構造体10は、真円形断面を有する上側杭部分12と、多数の凹部を外周面に形成した下側杭部分11とから構成される。上側杭部分12は、建設市場に既に流通している汎用の既製杭(既成杭)からなり、節部又は鍔等を備えておらず、上側杭部分12の外周面は、凹凸又は不陸等を備えない滑らかな円柱表面形態の外周面を有する。
【0024】
図2(A)は、下側杭部分11の構造を示す杭10の部分破断正面図である。
下側杭部分11は、継手部13により上側杭部分12の下端と同心状に接続される。継手部13は、鋼製端板式継手等の従来構造の杭継手からなる。杭部分11、12は、いずれも、オートクレーブ養生により工場生産された高強度コンクリート成形体からなり、PC鋼材の棒鋼及び螺旋筋等により適切に補強された環状壁14、15を備える。
【0025】
図2(B)は、図2(A)のI−I線における断面図であり、図2(C)は、図2(A)のII−II線における断面図である。
図2(B)に示す如く、上側杭部分12は、真円形断面の内周面16及び外周面17を有し、下側杭部分11は、図2(C)に示す如く、真円形断面の内周面18と、多数の凹部又は窪み30を形成した外周面20とを有する。杭部分11、12の軸芯CLは、合芯し、杭部分11、12の外径D1は、一致する。下側杭部分12の内径D4は、上側杭部分12の内径D2と一致し、或いは、僅かに小径に設定される。例えば、下側杭部分11の構造断面が杭耐力上余裕がある場合には、内径D2、D4は、同一寸法に設定されるが、凹部30による断面欠損に起因して下側杭部分11の杭耐力が不足する場合、或いは、強度上の余裕が比較的少ない場合には、下側杭部分11が上側杭部分12と同一の横断面積又は同一の断面二次モーメントを保有するように環状壁15の厚さT3が増大され、従って、内径D4は、内径D2よりも小径に設定される。
【0026】
本実施例では、凹部30は、角度αの等角度間隔を隔てて下側杭部分11の全外周面に均等に配置される。各凹部30を区画する縦方向リブ31及び周方向リブ32が各凹部30の間に形成され、縦方向リブ31は、軸芯方向に連続し、周方向リブ32は、全周に亘って連続する。
【0027】
例えば、杭径D1=500mmであるとき、各凹部30の深さHは、H=25mmに設定され、凹部30の底面33は、軸芯CLを曲率中心とする曲率半径(周壁直径D3÷2)=225mmの円弧面に形成される。また、杭径D1=700mmであるとき、各凹部30の深さHは、H=50mmに設定され、底面33は、曲率半径(周壁直径D3÷2)=300mmの円弧面に形成される。
【0028】
図3(A)は、下側杭部分11の外周面の展開図であり、図3(B)は、下側杭部分11の表層部分を展開状態で示す横断面図である。また、図4及び図5は、凹部30及び周方向リブ32の作用を示す下側杭部分11の部分縦断面図である。
【0029】
図3示す如く、各凹部30は、長方形輪郭を有し、多数の凹部30が、杭周方向及び杭長方向に所定間隔W、Pを隔てて等間隔に配置される。凹部30の幅U及び高さVに対し、縦方向リブ31は、周方向の幅T1(T1=W−U)を有し、周方向リブ32は、鉛直方向の幅T2(T2=P−V)を有する。なお、凹部30及び縦方向リブ31の幅U、T1は、杭部分11の周方向に測定した値である。
【0030】
各凹部30は、底面33、左右の側縁面36、下縁面34及び上縁面35により画成される。側縁面36は、図3(B)に示す如く、半径方向に対して所定角度βをなして傾斜する。同様に、下縁面34及び上縁面35は、図4及び図5に示す如く、水平面に対して角度γ及び角度Θをなして傾斜する。本実施例では、角度γ及びΘは、いずれも40〜50度の範囲内の角度値に設定され、角度βは、10〜30度の範囲内の角度値に設定される。図4及び図5には、杭施工後の杭部分11の状態が示されており、杭部分11廻りの領域には、セメントミルクの固化層40が形成される。固化層40は、地盤Gに連続する。
ここに、杭材(杭部分11)とセメントミルク固化層(固化層40)との摩擦力伝達機構は、主として、(1) 杭材とセメントミルク固化層との付着効果、(2) 杭外周面の凹凸とセメントミルク固化層との支圧効果によるものと考えられる。また、杭の破壊機構として、(1) セメントミルク固化層の剪断破壊、(2) 凸部下面におけるセメントミルク固化層の局部圧壊が考えられる。これを図4に基づいて説明すると、杭部分11と固化層40との摩擦力伝達機構は、主として、(1) 杭部分11の外表面(リブ31、32の表面、底面33、縁面34、35、36)と固化層40との付着効果、(2) 上縁面35と固化層40との支圧効果であり、杭の破壊機構は、(1) 固化層40の剪断破壊、(2) 上縁面35の近傍の固化層40の局部圧壊である。
【0031】
これまでの各種試験結果より、破壊機構は、下記の条件では、固化層40の局部圧壊が支配すると考えられる。
H/P<0.07
他方、下記の条件では、固化層40の剪断破壊が支配的に作用する。
【0032】
H/P>0.13
また、上縁面35の傾斜角Θが40°以上の角度値に設定されると、固化層40の局部圧壊が卓越的に顕れる。
これらの傾向を考慮すると、0.07≦H/P≦0.13の条件下に各凹部30の寸法設定を行うことが望ましく、傾斜角Θは、40〜50度の範囲内の角度値に設定することが望ましいと判明した。
【0033】
このような条件で各部寸法を設定した場合、固化層40は、局部圧壊又は剪断破壊のいずれか一方のみが破壊機構を支配することなく、杭部分11の荷重は、付着効果及び支圧効果の双方を効率的に利用して得られる杭部分11及び固化層4の間の摩擦作用により、固化層40に応力伝達する。
【0034】
上記の如く、杭径D1=500mm、H=25mmの前提では、周方向リブ間隔Pは、約200mm〜350mmの範囲内に設定され、杭径D1=700mm、H=50mmの前提では、周方向リブ間隔Pは、約400mm〜700mmの範囲内に設定される。また、傾斜角Θは、例えば、45度に設定される。なお、本例では、傾斜角γは、傾斜角Θと同一の角度値、例えば、45度に設定される。
【0035】
このように構成された杭部分11では、周方向リブ32は、かなり細かいピッチに配置される。これにより、固化層40の局部圧壊を防止し、局部圧壊により発生する周方向リブ下面(支圧面)近傍の割裂ひび割れの発生を抑制することができる。同時に、固化層40に対する杭表面の付着面積が凹部30の形成により増大し、リブ31、32の付着力が杭耐力を高める上で有効に働く。周方向リブ32は又、杭部分11の引抜き力(引抜き抵抗)を増大する。
【0036】
また、環状突出部101(図13)を比較的大きなピッチで形成した従来の既製杭と比べ、上記構成の杭部分11では、軸部の断面欠損が減少するので、軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力を比較的容易に確保し得る。
【0037】
更に、上記構成の杭部分11によれば、杭10に作用する地震力等の水平荷重により杭10が変形しようとしたとき、杭部分11は、杭長方向に延びる縦方向リブ31の影響により地層の水平地盤抵抗力を有効に受けるので、その変形は、抑制される。
【0038】
しかも、上記凹部30及びリブ31、32を備えた杭部分11の構造は、既製杭を成形し又は移送する上でも有利である。即ち、環状突出部101による大型の鍔又は節部を杭本体100に形成した従来の杭構造(図11)においては、コンクリート養生及び脱型後にPC鋼材の復元力により環状突出部101にひび割れが発生する可能性があり、これを回避すべく、PC鋼材の緊張力を規制する等の配慮が必要であったが、縦リブ31を備えた杭部分11の杭構造においては、縦リブ31がPC鋼材の張力方向に延び、PC鋼材の復元力に抗し、周方向リブ32のひび割れ発生を防止する。また、上記環状突出部101は、杭製品の出荷・搬送時に破損又は損傷する懸念があったが、上記杭部分11では、縦リブ31及び周方向リブ32が格子状に杭外周面に延在するので、周方向リブ32の破損・損傷等が生じ難い。
【0039】
図6は、地震時の短期水平荷重等が杭部分11に作用した状態を示す杭部分11の平面図及び側面図である。
杭部分11に地震力等の水平荷重が作用すると、杭部分11は、変形し、杭部分11の頭部は、水平変位しようとする。上下に連続し且つ比較的小間隔に周方向に隔設された縦方向リブ31は、地盤Gの地層との摩擦効果により、水平地盤抵抗力を受け、水平地盤抵抗力は、杭部分11の変形を阻止するように作用する。同時に、杭長方向に小間隔に配置された周方向リブ32の支圧効果により、杭の変形を阻止する反力が得られ、杭部分11の変形は、かなり抑制される。
【0040】
図7は、上記杭部分11を有する杭10の標準嵌入試験のシミュレーション結果を示す線図である。
杭10は、上側杭部分12の下側に2本の下側杭部分11を接続してなる杭構造体を構成する。地震時の杭上部の変形を考慮し、上側杭部分12として、断面欠損がない汎用の既製杭が用いられる。凹部30を備えた上記構成の下側杭部分11は、最下端部が支持層に達し、拡大球根部Nに定着する。杭10の全体構成は、先端支持杭に属するが、下側杭部分11と地層との間の摩擦力により、杭耐力は、向上する。
【0041】
図8には、図7に示す杭10の耐力計算結果が示されており、図9には、比較例として、杭の全長に亘って、上側杭部分12を構成する既製杭、即ち、凹部30を備えていない円形断面の汎用既製杭を用いた杭に関する耐力計算結果が示されている。
【0042】
図8及び図9に示す耐力計算は、杭径D1=500mmの杭構造体に関するものである。また、図8に示す耐力計算は、凹部深さH=25mmに設定した既製杭を用いた杭構造体に関して行ったものである。図9に示す如く、従来構造の既製杭のみを用いたプレボーリング根固め工法の杭では、杭耐力/本は、1112kNであったのに対し、本実施例に係る杭10では、杭耐力/本は、1545kNであり、杭耐力は、約40%向上した。
【0043】
図10は、下側杭部分11の各部寸法を例示する部分破断正面図、横断面図及び図表である。
下側杭部分11を構成する既成杭は、通常は、1mモジュールで設計・製作されることから、図10に示す高さ方向の各部寸法は、これを基準とした間隔P(500mm、333mm又は250mm) に割付けられている。また、縦方向リブ31は、周方向に均等に8分割した位置、即ち、45度の角度間隔αを隔てた位置に配置されている。
図11(A)は、本発明の他の実施例を示す杭の正面図であり、図11(B)及び図11(C)は、図11(A)のIII − III 線及びIV−IV線における断面図である。各図において、前述の実施例の各構成要素と実質的に同じ構成要素については、同一の参照符号が付されている。
本実施例では、杭10を構成する下側杭部分11は、垂直方向に半部寸法だけずれた状態で交互に配置され、全体として千鳥配列に杭部分11の全外周面に配置される。縦方向リブ31は、前述の実施例と同様、垂直方向に連続するが、周方向リブ32は、縦方向リブ31を部分的に介して周方向に連続する形態をなす。
【0044】
図12は、下側杭部分11及び拡大球根部Nの定着部に関する応用例を示す正面図である。
拡大球根部Nの高さを2乃至3mに大型化し、下側杭部分11を比較的深く拡大球根部Nに埋入した実施例が、図12に示されている。根固め液として使用されるセメントミルクは、水セメント比60%、圧縮強度21N/mm2 程度に配合され、支持層Sには、高強度且つ大型の拡大球根部Nが形成される。下側杭部分11は、外周面に形成された多数の凹部30により拡大球根部Nにしっかりと定着し、拡大球根部Nは、各周方向リブ32及び拡大球根部Nの間に作用する大きな支圧力を支受する。このような構成によれば、拡大球根部Nにおける杭10の押抜き抵抗力が増大し、杭10の先端支持力が増大するので、支持力設計用の支持力係数は、少なくとも350〜400程度に設定し得ると考えられる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、そのような変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【0046】
例えば、上記実施例では、杭部分11は、正面視長方形又は正方形の輪郭を有する凹部を備えるが、凹部の輪郭は、適切な縦方向リブ及び横方向リブを形成可能な他の形状、例えば、三角形又は多角形の形状に設計しても良い。
【0047】
また、本発明の既製杭を杭構造体の全長に亘って用いても良く、或いは、本発明の既製杭を杭構造体の中間部分のみに配置しても良い。更には、本発明の既製杭を杭構造体の下端部のみに配置し、或いは、中間部を除く下部及び上部のみに配置することも可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明の上記構成によれば、セメントミルク等の杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭及び杭構造体において、割裂ひび割れが杭周固定液の固化層に集中的に発生するのを防止するとともに、杭径低下及びこれに伴う杭軸部の圧縮耐力及び曲げ耐力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の既製杭を用いた埋込み工法の概要を示す工程説明図である。
【図2】図2(A)は、本発明の好適な実施例に係る既製杭の構造を示す杭構造体の部分破断正面図であり、図2(B)は、図2(A)のI−I線における断面図である。また、図2(C)は、図2(A)のII−II線における断面図である。
【図3】図3(A)は、下側杭部分の外周面の展開図であり、図3(B)は、下側杭部分の表層部分を展開状態で示す横断面図である。
【図4】凹部及び周方向リブの作用を示す下側杭部分の部分縦断面図である。
【図5】凹部及び周方向リブの作用を示す下側杭部分の部分縦断面図である。
【図6】地震時の短期水平荷重等が下側杭部分に作用した状態を示す下側杭部分の平面図及び側面図である。
【図7】本発明の既製杭を有する杭構造体に関する標準嵌入試験のシミュレーション結果を示す線図である。
【図8】図7に示す杭構造体の耐力計算結果を示す図である。
【図9】杭構造体の全長に亘って汎用の既製杭(凹部を備えていない円形断面の既製杭)を用いた比較例に関する杭構造体の耐力計算結果を示す図である。
【図10】下側杭部分の各部寸法を例示する部分破断正面図、横断面図及び図表である。
【図11】図11(A)は、本発明の他の実施例を示す杭の正面図であり、図11(B)及び図11(C)は、図11(A)のIII − III 線及びIV−IV線における断面図である。
【図12】下側杭部分及び拡大球根部の定着部に関する応用例を示す正面図である。
【図13】環状突出部を備えた従来の既製杭を示す部分正面図及び部分拡大断面図である。
【図14】図13に示す環状突出部の作用を示す杭の部分縦断面図である。
【符号の説明】
10 杭(杭構造体)
11 下側杭部分(既製杭)
12 上側杭部分(汎用既製杭)
30 凹部
31 縦方向リブ
32 周方向リブ
33 底面
34 下縁面
35 上縁面
36 側縁面
40 固化層
Θ 傾斜角
P 周方向リブ間隔
D1 杭径
T1 幅(縦方向リブ)
T2 幅(周方向リブ)
Claims (12)
- 杭周固定液を注入した杭孔内に挿入される埋込み方式の既製杭において、
杭外周面から杭径方向内方に引っ込んだ多数の凹部を有し、該凹部により縦方向リブ及び周方向リブが形成され、前記周方向リブの下面が、前記杭周固定液の固化層に対して支圧面を向けるように傾斜し、杭長方向における前記周方向リブの間隔(P)及び前記凹部の深さ(H)は、0.13×P≧Hの関係に設定されることを特徴とする既製杭。 - 前記周方向リブの間隔(P)及び前記凹部の深さ(H)は、0.07×P≦Hの関係に更に設定されることを特徴とする請求項1に記載の既製杭。
- 水平面に対する前記周方向リブの下面の傾斜角度(Θ)は、40〜50度の角度範囲内に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の既製杭。
- 前記縦方向リブは、実質的に杭の全長に亘って杭長方向に真っ直ぐに延びることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の既製杭。
- 杭芯を中心とした前記縦方向リブ同士の杭周方向の角度間隔(α)は、60度以下の角度値に設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の既製杭。
- 前記周方向リブ同士の相互間隔は、杭径以下の寸法に設定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の既製杭。
- 前記周方向リブの幅(T2)は、杭径の1/4以下の寸法に設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の既製杭。
- 前記凹部の深さ(H)は、50mm以下に設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の既製杭。
- 杭外周面における前記凹部の開口面積の総計は、前記杭外周面の全面積の1/2以上に設定されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の既製杭。
- 前記杭外周面における前記凹部の周方向開口幅(U)の合計値は、前記杭外周面の全周長の70%以上に設定されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の既製杭。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の既製杭であって、下側に配置される下側既製杭と、円柱表面形態の外周面を有する上側既製杭とを一体的に相互連結した杭構造体において、
前記下側既製杭は、前記上側既製杭の下端部に同心状に接続され、前記下側既製杭の下端部は、根固め液により形成された拡大球根部に定着することを特徴とする杭構造体。 - 前記下側既製杭の外径(D1)は、前記上側既製杭の外径と実質的に一致し、前記下側既製杭の中空部は、その直径が、前記上側既製杭の中空部の直径よりも小径に設定されることを特徴とする請求項11に記載の杭構造体。
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