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JP2004276320A - 天然素材との熱融着用積層フィルム - Google Patents

天然素材との熱融着用積層フィルム Download PDF

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JP2004276320A
JP2004276320A JP2003068386A JP2003068386A JP2004276320A JP 2004276320 A JP2004276320 A JP 2004276320A JP 2003068386 A JP2003068386 A JP 2003068386A JP 2003068386 A JP2003068386 A JP 2003068386A JP 2004276320 A JP2004276320 A JP 2004276320A
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heat
laminated film
natural material
aliphatic polyester
acid
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JP2003068386A
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Norio Yoshiga
法夫 吉賀
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Mitsubishi Plastics Inc
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Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

【課題】天然素材と熱融着するのに用いる熱融着用積層フィルムにおいて、天然素材の環境特性を阻害せず、連続生産性に優れたものとする。
【解決手段】脂肪族ポリエステルを主成分として含有する最外層及び最内層を備えた熱融着用積層フィルムであって、最外層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm1と、熱融着面となる最内層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm2(或いはガラス転移点Tg2)との間に、Tm1−Tm2(Tg2)≧25℃が成立するようにした。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然素材の環境特性を保持しつつ天然素材の強度及び耐水性を補うべく天然素材に貼り合わせるのに用いる熱融着用積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
包装分野においては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが大量に使用されており、プラスチックの廃棄処理問題が近年クローズアップされてきたのに伴い、天然素材が注目を集めている。例えば木材パルプや植物性廃棄物等の天然素材は主に植物からできているため、埋め立て処理であれ焼却処理であれ、最終的にはその炭素源は二酸化炭素を経て再度光合成の作用により植物資源に還元される。一方通行の石油資源由来のプラスチックなどとは異なり、地球環境中で循環される材料であり、資源の有効活用、廃棄物の処理及び大気中の二酸化炭素増加防止などの観点から、環境適性に優れた材料であると評価されている。
【0003】
この種の天然素材は、プラスチックなどに比べると強度、耐水性、機械包装適性等に劣るため、製品に仕上がる際はこれらの欠点を補ってやる必要がある。
従来は、例えば紙コップに延伸ポリスチレンのフタ材を組み合わせたり、紙トレーに耐水性を付与するために紙の原反にポリエチレンやポリプロピレンを押出ラミネートしたりして補強する例がみられた。
【0004】
しかし、天然素材を主材料とする製品であっても、部分的にでも非生分解性のプラスチックが複合化されると、製品全体としては環境適性が保たれているとは言えなくなるため、天然素材に複合化するプラスチックとして生分解性プラスチックを用いる提案がなされている。
例えば、植物性繊維を含有する基材の表面にポリ乳酸またはその誘導体を被覆してなる生分解性複合材料(例えば、特許文献1参照)や、ポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーとを主成分とする熱可塑性分解性ポリマーを、紙にラミネートしてなる分解性ラミネート紙(例えば、特許文献2参照)や、ポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性分解性ポリマーを、再生セルロースフィルムにラミネートしてなる分解性ラミネート組成物(例えば、特許文献3参照)や、紙と生分解性である配向ポリ乳酸フィルムとのラミネート材(例えば、特許文献4参照)などが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−334448号公報
【特許文献2】
特開平4−336246号公報
【特許文献3】
特開平5−38784号公報
【特許文献4】
特開平8−252895号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、天然素材と生分解フィルムを複合化する場合、合成接着剤が接着剤として用いられるが、厳密に考えれば合成接着剤をたとえ少量でも使用したならば天然素材の環境特性を阻害することになる。
これに対して、上記特許文献2などには、天然物であるゼラチンを接着剤として用いる提案がなされているが、この場合には、所定の圧力で一晩中圧着し続けなければならないなど、連続生産性に劣り工業的に利用するには難しいという問題を抱えていた。
【0007】
そこで本発明の目的は、天然素材と生分解フィルムとを接着剤を介さずに熱融着させて複合化する方法に着目し、天然素材の環境特性を阻害することなく、しかも連続生産性に優れた熱融着用積層フィルムを提供することにある。
【0008】
ところで、天然素材にプラスチックフィルムを連続的に熱融着する方法として、一般的に次の二つの方法が主として考えられる。
一つは、回転する二本のロールの間に、天然素材のシート状物又は板状物と熱融着フィルムとを挟んで熱融着させる方法である。この場合の熱融着フィルムには、一般的に、出来るだけ低温で熱融着可能なこと、ロールにフィルムが粘着して取られないこと、更には熱融着時に収縮性が低いことなどが求められる。
他の一つは、真空成形或いは圧空成形用の金型内で、予め成形された天然素材の成形体の表面に熱融着フィルムを積層させて熱融着する方法である。この場合の熱融着フィルムには、一般的に、出来るだけ低温で熱融着可能なこと、フィルム加熱時にドローダウンしにくいこと、熱融着時に収縮性が低いことなどが求められる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、脂肪族(芳香族脂肪族も含む)ポリエステルを主成分として含有する最外層及び最内層を備え、即ち、脂肪族(芳香族脂肪族も含む)ポリエステルを主成分として含有する最外層と脂肪族ポリエステル(芳香族脂肪族も含む)を主成分として含有する最内層とを備え、
最外層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm1と、熱融着面となる最内層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm2或いは融点が認められない場合はガラス転移点Tg2との間に、下記の関係式(1)
Tm1−Tm2或いはTg2≧25℃ ・・・ (1)
が成立することを特徴とする、天然素材との熱融着用積層フィルムを提案する。
なお、融点が認められない場合とは、例えば樹脂が非結晶性で融点が認められない場合など、融点が全く認められない場合と融点が明確に認められない場合とを包含する。
【0010】
熱融着フィルムを介して熱融着させる場合、熱融着フィルムはその軟化点以上に加熱しなければならないため、例えば脂肪族ポリエステルからなる単層の熱融着フィルムを用いた場合、加熱ロールにフィルムが粘着したり、ドローダウンが大きくて均一に成形されなかったり、金型等に軟化したフィルムが接触したりするなどの問題が発生する。これに対し、本発明の構成を備えた熱融着用積層フィルムによれば、これらの問題がなく、好適に連続生産することができる。よって、本発明の熱融着用積層フィルムの最内層表面を熱融着面として天然素材に熱融着させて成形体を成形すれば、より安価かつ効率良く製造することができる。
また、本発明の熱融着用積層フィルムは、生分解性或いは生崩壊性の素材のみから構成することが可能であるから、天然素材に熱融着させて天然素材成形体を製造すれば、天然素材の環境特性を保持しつつ天然素材の強度及び耐水性を補った成形体を得ることができる。
【0011】
なお、本発明において「脂肪族ポリエステルを主成分とする」とは、脂肪族ポリエステルの機能を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよいという意を含むものであり、脂肪族ポリエステルが少なくとも約50%以上、好ましくは80%含まれるのが一般的である。
脂肪族ポリエステル以外の成分を主成分とするという場合も同様である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
本発明の熱融着用積層フィルム(単に「積層フィルム」とも言う。)は、天然素材に熱融着するのに用いる積層フィルムであり、脂肪族ポリエステルを主成分として含有する最外層と、当該最外層の脂肪族ポリエステルの融点と所定の関係を有する融点又はガラス転移点を備えた脂肪族ポリエステルを主成分として含有する最内層と、を備えている。
【0014】
最外層及び最内層の主成分をなす「脂肪族ポリエステル」としては、芳香族脂肪族脂肪族ポリエステルを含み、例えばポリ乳酸系重合体を含むポリヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。それぞれの脂肪族ポリエステルについては以下に詳述する。
なお、最外層及び最内層のうち、少なくとも最外層、即ち熱融着面とする最内層の反対側の層は、ポリ乳酸系重合体を主成分として形成するのが好ましい。ポリ乳酸系重合体は生分解性を備えた脂肪族ポリエステルの中で特に透明性に優れており、融着後の製品外観をより美しく仕上げることができる。
【0015】
上記の「ポリ乳酸系重合体」としては、主な構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、主な構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、主な構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの混合体を主成分とするものを挙げることができる。
上記の「主な構造単位が」とは、本発明の効果を損なわない範囲で他のモノマー単位を含んでいても良いという意味である。例えば、「他のヒドロキシカルボン酸単位」との共重合体であってもよく、また、必要に応じて、少量の共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールなどを含んでいてもよい。
ポリ乳酸の構成、即ちD−乳酸とL−乳酸の割合は、所望の融点を考慮して適宜選択することができる。一般的にD−乳酸のみ又はL−乳酸のみのポリ乳酸系重合体は結晶性樹脂となり、融点が高い傾向にある。また、DL−乳酸は、その光学異性体の割合が増加するにつれて結晶性が低下することが知られている。
D−乳酸とL−乳酸の構成割合が異なる2種類以上のポリ乳酸をブレンドすることも可能である。
ポリ乳酸に共重合する上記の「他のヒドロキシカルボン酸単位」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類などを挙げることができる。
ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量としては、好ましくは6万〜100万、より好ましくは8万〜40万である。約6万以上であれば必要な実用物性を得ることができ、約40万以下であれば溶融粘度も高過ぎることなく成形加工性に優れている。
【0016】
また、ポリ乳酸系重合体のタフネス、柔軟性、生分解速度等を調整する目的で、ポリ乳酸系重合体に「他の生分解性脂肪族ポリエステル」をブレンドすることも可能である。
当該「他の生分解性脂肪族ポリエステル」としては、ポリ乳酸系重合体を除くポリヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。詳しくは後述する。
この際、ブレンドする量としては、透明性、柔軟性、接着性など、所望する物性に合わせて適宜調整すればよい。例えば容器の透視性を確保する目的で透明性を重視する場合であれば、乳酸系重合体/生分解性脂肪族ポリエステル=50/50〜97/3の範囲とするのが好ましい。
また、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを使用することができる。
さらにまた、べへニン酸、ステアリン酸、ペンタスリトールモノエステル、ペンタエリスリトールジエステル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトール−アジピン酸−ステアレート複合エステル、ジぺンタエリスリトール−アジピン酸−ステアリン酸複合エステル、ジぺンタエリスリトールヘキサステアレート等の滑剤、ジオクチルフタレート等の可塑剤、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、グリセリン脂肪族エステル、ポリグリセリン脂肪族エステル等の各種界面活性剤、染料、顔料、その他の添加剤やポリマーを、上記のポリ乳酸系重合体に添加することもできる。
【0017】
ポリ乳酸系重合体以外の上記の「ポリヒドロキシカルボン酸」としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体を挙げることができる。
【0018】
上記の「脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル」としては、次に説明する脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類或いは2種類以上選んで縮合するか、或いは必要に応じてイソシアネート化合物等でジャンプアップして所望のポリマー(高分子)として得ることができる。
この際の「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を代表的に挙げることができ、上記の「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等を代表的に挙げることができる。
なお、適量の芳香族ジカルボン酸を共重合した芳香族脂肪族ポリエステルもこれらの範疇に含まれる。なお、芳香族脂肪族ポリエステルにおいて生分解性を発現させるためには芳香族の合間に脂肪族鎖が存在することが必要であり、この際の芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0019】
上記の「環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル」としては、環状モノマーとして、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の1種類又はそれ以上を重合することにより製造することができる。
【0020】
上記の「合成系脂肪族ポリエステル」としては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピオンオキサイド等との共重合体等を挙げることができる。
【0021】
上記の「菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル」としては、アルカリゲネスユートロファスを始めとする菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)により生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実用特性向上のために、吉草酸ユニット(HV)を共重合し、ポリ(3HB−CO−3HV)の共重合体にすることが工業的に有利である。一般的には、HV共重合比は0〜40%である。さらに長鎖のヒドロキシアルカノエートを共重合してもよい。
【0022】
なお、本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、重量平均分子量1万〜50万、好ましくは分子量5万〜30万、更に好ましくは10万〜30万のポリマーとしての脂肪族ポリエステルであり、可塑剤として使用される低分子量の脂肪族ポリエステルとは区別される。両者の違いは、配合する乳酸系樹脂のガラス転移温度(Tg)の低下の有無に現れる。
【0023】
本発明の積層フィルムの構成においては、上述した脂肪族ポリエステルの中から、最外層の主成分をなす脂肪族ポリエステルと最内層の主成分をなす脂肪族ポリエステルとを選択することができるが、その際、最外層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm1と、熱融着面とする最内層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm(融点が認められない場合はガラス転移点Tg2)との間に、下記の関係式(1)が成立するように組合わせて選択する必要がある。
Tm1−Tm2又はTg2≧25℃ ・・・ (1)
【0024】
Tm1とTm2又はTg2との間に25℃以上、より好ましくは30℃以上の差があれば、天然素材と共に本発明の積層フィルムを二本のロール間に挟んで熱融着させる場合、積層フィルムを融点Tm2又はガラス転移点Tg2以上に加熱しても、Tm1以上に加熱しない限り最外層は溶融しないから、ロールに積層フィルムが粘着したり、取られたりすることが無く、円滑に連続生産することができる。また、真空成形或いは圧空成形の金型内で、予め成形された天然素材の成形体の表面に積層フィルムを積層して熱融着させる場合も、Tm1以上に加熱しない限り最外層は溶融しないから、フィルム加熱時にドローダウンして天然素材の成形体に接触することが無く、より一層綺麗かつ円滑に天然素材と積層フィルムとを連続融着することができる。
なお、関係式(1)を満たす限り、同種の脂肪族ポリエステルを最外層及び最内層の主成分として組合わせることも可能である。例えば最外層も最内層もポリ乳酸系重合体を主成分することも可能である。
また、ガラス転移点Tgは、適当な低分子(可塑剤)を混入させることにより低下させることができる。
【0025】
本発明の積層フィルムは、最外層及び最内層の2層からなる積層フィルムであっても、最外層、中間層及び最内層の3層以上からなる積層フィルムであってもよい。この際、最外層及び最内層に挟まれる中間層は任意に構成可能であるが、天然素材の環境特性の保持を考慮すると、生分解性材料或いは生崩壊性材料(天然素材含む)のみから中間層を構成するのが好ましい。なお、中間層の融点或いはガラス転移点は特に制限するものではない。
【0026】
次に、本発明の積層フィルムの好ましい一例を挙げる。但し、この製造方法に限定されるものではない。
先ず、各層を構成する重合体又はブレンド組成物を、押出法、カレンダー法、プレス法などの一般的な溶融成形法により平面状または円筒状に加工してシート状物として得、必要に応じて強度等の機械物性を向上させるために、前記シート状物をロール法、テンター法、チューブラー法、インフレーション法などにより一軸延伸または二軸延伸し、さらに必要に応じて、当該延伸フィルムの耐熱性(熱寸法安定性)を向上させるために、延伸に続いて熱処理を施すようにする。
次に、上記のシート状物を積層させて積層フィルムとするが、この際、積層方法としては、二台以上の押出機を用いてフィードブロック法またはマルチマニフォールドダイによる共押出し法や、予め別々の押出機で、製膜したフィルムを接着剤を介してラミネートする方法、予め製膜したフィルムに押出しラミネートするなどの積層方法を挙げることができる。中でも共押出し法が生産性などから一般的である。
積層フィルムの厚みとしては、5μm〜300μm、より好ましくは10μm〜100μmである。
【0027】
(天然素材成形体)
本発明の熱融着用積層フィルムは、Tm2又はTg2以上でかつTm1より低い温度に加熱し、最内層表面を熱融着面として天然素材に熱融着させ、適宜成形することにより本発明の天然素材成形体を製造することができる。
【0028】
この際、熱融着用積層フィルムの加熱温度としては、Tm1より5℃以上低く、Tm2又はTgより5℃以上高い温度範囲とするのが好ましく、より好ましくは、Tm1より10℃以上低く、Tm2又はTgより10℃以上高い温度範囲であり、中でもTm1より15℃以上低く、Tm2又はTgより15℃以上高い温度範囲が特に好ましい。
【0029】
「天然素材」としては、その主材料として、下記の1)〜5)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料を列挙することができるが、これらの材料に類似する生崩壊性を備えた素材を用いることもできる。
1)木材パルプ
2)回収古紙等から得られる再生木材パルプ
3)ケナフ・アシ・麻・竹等から得られる非木材系植物性パルプ
4)もみがら・稲わら・麦わら・おが屑・ビールかす・おから等の植物性廃棄物
5)木材シート、および木材チップ
【0030】
上記天然素材には、各種物性調整剤として、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等の無機充填材や、デンプン、セルロース、アミロペクチン等の多糖類、ワックス、松ヤニ、樹脂等の添加剤が含まれていてもよい。
【0031】
【実施例1】
最外層のフィルム用としてカーギルダウ製のポリ乳酸Natureworks4031D
(D%:1.5%,Tm:165℃)を除湿乾燥した後、φ65mm単軸押出機に供給する一方、最内層のフィルム用としてカーキルダウ製のポリ乳酸Natureworks4060D(D%:12%,Tg:58℃)を除湿乾燥した後、φ4mm単軸押出機に供給し、200℃に設定された1000幅のマルチマニホールド式のTダイよりフィルム状に押出し、次いで40℃のキャストロールに接触させ、厚み50μの積層フィルムを得た。最外層と最内層との厚み比は、4:1(40μ/10μ)とした。
【0032】
得られた積層フィルムを用いて、120℃に加熱された加熱ロールを備えたテストラミネーターにて、クラフト紙への熱融着を行った。
その結果、ロールヘのフィルムの取られもなく、良好な熱融着ラミネート品が得られた。
【0033】
【実施例2】
実施例1で得られた積層フィルムを用いて、予め成形された葦製のトレーに予め120℃に加熱された上記積層フィルムを、葦製トレーの上に対置させて葦製トレーの下側から真空で吸引することにより、上記フィルムの熱成形と葦トレーへの熱融着とを同時に行った。
その結果、ドローダウンによるトラブルもなく、良好な熱融着葦トレーが得られた。
【0034】
【実施例3】
最外層のフィルム用としてカーキルダウ製のポリ乳酸Natureworks4031D
(D%:1.5%,Tm:165℃)を除湿乾燥した後、φ65mm単軸押出機に供給する一方、最内層のフィルム用として昭和高分子製の脂肪族ポリエステルビオノーレ#3003(Tm:95℃)を除湿乾燥した後、φ4mm単軸押出機に供給し、200℃に設定された1000幅のマルチマニホールド式のTダイよりフィルム状に押出し、次いで40℃のキャストロールに接触させ、厚み50μの積層フィルムを得た。最外層と最内層との厚み比は、4:1(40μ/10μ)とした。
【0035】
得られた積層フィルムを用いて、120℃に加熱された加熱ロールを備えたテストラミネーターにて、クラフト紙への熱融着を行った。
その結果、ロールヘのフィルムの取られもなく、良好な熱融着ラミネート品が得られた。
【0036】
【比較例1】
最外層のフィルム用として、カーギルダウ製のポリ乳酸Natureworks4031D
(D%:1.5%,Tm:165℃)を除湿乾燥した後、φ65mm単軸押出機に供給し、200℃に設定された1000幅のTダイよりフィルム状に押出し、次いで40℃のキャストロールに接触させ、厚み50μの単層フィルムを得た。
【0037】
得られた単層フィルムを用いて、150℃に加熱された加熱ロールを備えたテストラミネーターにて、クラフト紙への熱融着を行ったが、加熱ロールでの接触時にロールに粘着し紙への熱融着は出来なかった。
【0038】
【比較例2】
比較例1で得られた単層フィルムを用いて、予め成形された葦製のトレーに予め150℃に加熱された上記単層フィルムを、葦製トレーの上に対置させて葦製トレーの下側から真空で吸引することにより、上記フィルムの熱成形と葦トレーへの熱融着とを同時に行ったが、ドローダウンにより葦トレーへの部分的な接触などにより、良好な熱融着葦トレーが得ることが出来なかった。
【0039】
【比較例3】
最外層のフィルム用として、カーギルダウ製のポリ乳酸Natureworks4031D
(D%:1.5%,Tm:165℃)を除湿乾燥した後、φ65mm単軸押出機に供給する一方、最内層のフィルム用として、カーギルダウ製のポリ乳酸Natureworks4050D(D%:6%,Tm:145℃)を除湿乾燥した後、φ40mm単軸押出機に供給し、200℃に設定された1000mm幅のマルチマニホールド式のTダイよりフィルム状に押出し、次いで40℃のキャストロールに接触させ、厚み50μの2層の積層フィルムを得た。最外層と最内層との厚み比は4:1(40μ/10μ)とした。
【0040】
得られた積層フィルムを用いて、150℃に加熱された加熱ロールを備えたテストラミネーターにて、クラフト紙への熱融着を行ったが、加熱ロールでの接触時にロールに粘着し紙への熱融着は出来なかった。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルを主成分として含有する最外層及び最内層を備え、
    最外層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm1と、熱融着面となる最内層を構成する脂肪族ポリエステルのJIS K−7121にて測定した融点Tm2或いは融点が認められない場合はガラス転移点Tg2との間に、下記の関係式(1)
    Tm1−Tm2或いはTg2≧25℃ ・・・ (1)
    が成立することを特徴とする、天然素材との熱融着用積層フィルム。
  2. 最外層を構成する脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸系重合体からなることを特徴とする請求項1記載の天然素材との熱融着用積層フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の熱融着用積層フィルムを天然素材に熱融着してなる構成を備えた天然素材成形体。
  4. 請求項1又は2に記載の熱融着用積層フィルムの最内層表面を熱融着面として天然素材に熱融着させて成形することを特徴とする天然素材成形体の製造方法。
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