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JP2004269600A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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JP2004269600A
JP2004269600A JP2003059584A JP2003059584A JP2004269600A JP 2004269600 A JP2004269600 A JP 2004269600A JP 2003059584 A JP2003059584 A JP 2003059584A JP 2003059584 A JP2003059584 A JP 2003059584A JP 2004269600 A JP2004269600 A JP 2004269600A
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Nobuyuki Tomioka
伸之 富岡
Hiroyuki Takiyama
浩之 瀧山
Shiro Honda
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Abstract

【課題】耐熱性及び強度特性に優れたエポキシ樹脂組成物、及び軽量かつ強度特性に優れた繊維強化複合材料やこれを用いたゴルフシャフトを得ること。
【解決手段】下記構成要素(A)、(B)および(C)を含んでなる樹脂組成物であって、構成要素(A)全体の重量平均分子量が1200〜3000であり、かつ、構成要素(C)が構成要素(A)100重量部に対して2〜50重量部含まれるエポキシ樹脂組成物。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)分子量が150〜300であって、環状構造を有する反応性モノマー
さらに、かかる樹脂組成物を加熱硬化せしめて得た樹脂硬化物と強化繊維とを含む繊維強化複合材料およびこれを得るために用いられるプリプレグ。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化複合材料、半導体封止剤、積層板、接着剤、塗料等に有用なエポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料を得るための中間基材としてのプリプレグ、および、ゴルフシャフト、釣り竿、自動車のプロペラシャフトなどの管状体材料に好適に用いることができる繊維強化複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内にエポキシ基を有する化合物で構成されるエポキシ樹脂と、その硬化剤とからなる一液型のエポキシ樹脂組成物は、その優れた機械強度、耐薬品性、耐熱性、金属部材や強化繊維などの基材への良好な接着性などのために、塗料・舗装材料、接着剤、あるいは炭素繊維などの強化繊維と組み合わせて繊維強化複合材料用マトリックス樹脂として用いられている。
【0003】
繊維強化複合材料は、その優れた強度特性のため、航空・宇宙用途、自動車・船舶の構造部材、浴槽、ヘルメットなどの一般産業用途、また、釣り竿、ゴルフシャフトなどのスポーツ用品用途などに広く用いられているが、さらなる軽量化要求などに応えるため、かかる材料の強度を向上させる技術が必要とされている。
【0004】
そのために、これまでにも、エポキシ樹脂組成物として、加熱硬化せしめて得られる樹脂硬化物(以下、樹脂硬化物という)の引張伸度の高いものと、特定範囲の結晶サイズを有する炭素繊維を組み合わせる手法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、かかる方法では樹脂硬化物の引張伸度を高めると、耐熱性が不足しがちな傾向にあった。
【0005】
また、特定範囲の平均エポキシ当量とし、さらにその樹脂硬化物が特定範囲のガラス転移温度及びゴム状態弾性率を有するように制御されたエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いる手法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、かかる方法では、組み合わせる強化繊維の種類によっては得られる繊維強化複合材料の発現が未だ不十分な場合があった。
【0006】
このように、これら公知の技術でも一定の効果は得られるものの、優れた耐熱性と機械強度を両立する繊維強化複合材料は未だ得られていないのが現状であった。
【0007】
【特許文献1】特開2000−336191号公報
【0008】
【特許文献2】特開2002−327041号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の持つ課題を解決し、優れた強度特性を有する繊維強化複合材料およびこれを得るためのエポキシ樹脂組成物、さらにはかかる樹脂組成物を用いて得られる取り扱い性の優れたプリプレグを提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は下記構成要素(A)、(B)および(C)を含んでなる樹脂組成物であって、構成要素(A)全体の重量平均分子量が1200〜3000であり、かつ、構成要素(C)が構成要素(A)に100重量部に対して2〜50重量部含まれるエポキシ樹脂組成物である。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)分子量が150〜300であって、環状構造を有する反応性モノマー
また、前記エポキシ樹脂組成物と強化繊維とを含んでなるプリプレグである。
【0011】
また、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめて得られる樹脂硬化物と、強化繊維とを含んでなる繊維強化複合材料である。
【0012】
さらに前記繊維強化複合材料を含んでなる管状体およびかかる管状体を用いてなるゴルフシャフトである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の構成要素(A)であるエポキシ樹脂は、分子内に平均して1個を超えるエポキシ基を有する化合物であって、かつその重量平均分子量が1200〜3000の範囲にある。ここで、かかるエポキシ樹脂は1種類のエポキシ樹脂であってもよく、複数種類のエポキシ樹脂の混合物であってもよく、複数種類のエポキシ樹脂を含む場合には後述する式(a)および(b)により求められる重量平均分子量が上記範囲内であることが重要である。なお、構成要素(A)には、後述する構成要素(C)に該当する成分は含まないものとする。
【0014】
一般に、エポキシ樹脂組成物は硬化後にネットワーク構造を形成するネットワークポリマーであるが、硬化前のエポキシ樹脂の重量平均分子量を1200〜3000という特定の範囲とすることで、樹脂硬化物中のネットワークにおいて、一定重量当たりの架橋点間分子量が高いものとなる。架橋点間分子量を高めることで、ネットワークが緩やかなものとなり、樹脂硬化物の靭性や塑性変形能力を高めることが出来る。平均エポキシ当量を制御することでも架橋点間分子量を高めることは可能であるが、重量平均分子量を特定の範囲とすることにより、架橋点間の長い成分の占める体積を高めることができ、樹脂硬化物の塑性変形能力や、材料強度の向上が可能となることを本発明者らは見出したものである。
【0015】
構成要素(A)の重量平均分子量は1200〜3000であることを特徴とするが、より好ましくは1300〜2500であり、さらに好ましくは1300〜2000である。かかる重量平均分子量が1200未満であると樹脂硬化物の靭性や塑性変形能力が充分でなく、3000を超えると粘度が高すぎるために強化繊維への含浸が困難となるなどして、得られる繊維強化複合材料中の内部に含まれるボイドが多くなってしまうなどの弊害がある。
【0016】
構成要素(A)の重量平均分子量をかかる範囲に制御することは、かかる範囲にあるエポキシ樹脂化合物を用いてもよいし、分子量の異なる複数のエポキシ樹脂化合物を適宜混合することによっても達成可能である。
【0017】
ここで、本発明における重量平均分子量は、用いるエポキシ樹脂原料のエポキシ当量と1分子当たりのエポキシ基の数を基に、以下の式(a)および(b)から計算される値のことをいうこととする。
【0018】
すなわち、用いる各エポキシ樹脂原料について下記式(a)で計算される値A1,A2,・・・,Anをそれぞれの分子量代表値とし、さらに、X1,X2,・・・,Xnを構成要素(A)全体を100重量部としたときの各エポキシ樹脂原料の配合量(重量部)として式(b)で計算される値を、本発明における重量平均分子量とする。
【0019】
An=(エポキシ当量)×(1分子当たりのエポキシ基の数)…(a)
重量平均分子量=A1×X1/100+,...,+An×Xn/100…(b)
尚、エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂全体の重量平均分子量は、例えば以下の方法により分析することができる。
【0020】
<化学構造の同定>
樹脂組成物について1H NMR、13C NMR、赤外分光分析、質量分析等の手法により分析し、含まれる構成要素(A)の化学構造を同定する。
【0021】
<エポキシ樹脂原料の推定>
樹脂組成物のGPCクロマトグラムを測定し、これと上記で同定された化学構造を有してエポキシ当量が既知のエポキシ樹脂原料のクロマトグラムとを比較し、構成要素(A)に含まれるエポキシ樹脂原料を推定する。
【0022】
<重量平均分子量の決定>
構成要素(A)に含まれると推定されるエポキシ樹脂原料が複数ある場合は、それらを混合して調製したサンプルのGPCクロマトグラムを測定し、これと分析に係る樹脂組成物のGPCクロマトグラムとを比較する。エポキシ樹脂原料の比率を変えながらサンプル調製とGPC分析を繰り返し、分析に係る樹脂組成物の構成要素(A)に該当する成分のGPCクロマトグラムと同一形状のクロマトグラムを与えるようなエポキシ樹脂原料の配合比率を特定する。特定した配合比率から、上述の式(a)、(b)で計算して分子量分布を決定する。なお、GPCクロマトグラムは、ODSカラムを用いた逆相HPLCなど、他の液体クロマトグラフィー手法で代替することも可能である。
【0023】
構成要素(A)には、各種のエポキシ樹脂成分を含ませることができるが、得られる材料の強度を高めるために、構成要素(A)100重量部中、2個のエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を70〜100重量部、より好ましくは80〜100重量部含ませるのが良い。
【0024】
本発明に用いることができる2官能性のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAから得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールSから得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから得られるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールADから得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリシジルエーテル、分子内にオキサゾリドン環を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂、ダイマー酸ジグリシジルエステル、1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルフィドとクロロメチルオキシランとの反応生成物、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)とクロロメチルオキシランとの反応生成物、分子内に2個の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシド等が挙げられ、これらを単独または複数組み合わせて用いることができる。
【0025】
特に、2官能性のエポキシ樹脂として、下記式(1)に示すオキサゾリドン環構造を有するエポキシ樹脂を好適に含ませることができる。かかるエポキシ樹脂を含ませることにより、樹脂硬化物の耐熱性をより高めることができる。
【0026】
【化4】
Figure 2004269600
【0027】
(ただし、Rはそれぞれ独立に任意の有機残基を表す)
かかる構造を有する成分を含むエポキシ樹脂としては、2官能性エポキシ樹脂でもある旭化成エポキシ(株)製のXAC4151、AER4152が挙げられ、これらを好適に用いることができる。
【0028】
重量平均分子量を上述の範囲に制御するために、構成要素(A)にはエポキシ当量が800〜5000、より好ましくは1000〜4000の範囲にある高分子量のエポキシ樹脂を含ませるのが良い。かかる高分子量エポキシ樹脂のエポキシ当量が800未満であると、構成要素(A)の重量平均分子量を1200〜3000とするのが困難になり、5000を超えると樹脂組成物中の他の成分との相溶性が悪くなる場合があるなどの弊害がある。
【0029】
かかる高分子量エポキシ樹脂は、構成要素(A)100重量部中、5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜40重量部含ませることができる。5重量部未満であると重量平均分子量を高める効果が十分でない場合があり、60重量部を超えると樹脂組成物が高粘度化して強化繊維への含浸が困難となったり、得られるプリプレグが柔軟性に欠けて成形作業性を損なう場合がある。
【0030】
かかる高分子量エポキシ樹脂として用いることができる市販のものとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂である“エピコート”1004(エポキシ当量875〜975)、“エピコート”1007(エポキシ当量1750〜2200)、“エピコート”1009(エポキシ当量2400〜3300)、“エピコート”1010(エポキシ当量3000〜5000)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である“エピコート”4004P(エポキシ当量880)、“エピコート”4007P(エポキシ当量2270)、“エピコート”4010P(エポキシ当量4400)、“エピコート”4110(エポキシ当量3500〜4000)(以上、ジャパン エポキシ レジン(株)製)が挙げられる。
【0031】
ここで、“”で表示した名称は、登録商標、商標、又は商品名を示すものとする(以下、同様とする)。
【0032】
また、樹脂硬化物の耐熱性を高めるために、構成要素(A)にエポキシ基を3個以上有する多官能エポキシ樹脂を含ませることができる。
【0033】
多官能エポキシ樹脂としては特に限定されないが、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテルおよびその誘導体、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテルおよびその誘導体、グリセリンのトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエーテル、フェノールやアルキルフェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール誘導体から得られるノボラックのグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルm−キシリレンジアミン、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート等を用いることができる。
【0034】
多官能エポキシ樹脂としては、特に下記一般式(2)または(3)で示す構造を有するエポキシ樹脂を好適に含ませることができる。
【0035】
【化5】
Figure 2004269600
【0036】
【化6】
Figure 2004269600
【0037】
(ただし、nは0以上の整数を表す)
一般式(2)で示されるエポキシ樹脂としては“エピコート”157S65が挙げられ、一般式(3)で示されるエポキシ樹脂としては“エピコート”1032H60が挙げられ、これらを用いることができる。
【0038】
さらに、特に高湿熱下での耐久性等が要求される場合などには、構成要素(A)に2官能エポキシ樹脂と芳香族ポリアミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルスルホンと予備反応物させたもので、分子中にエポキシ基を有する化合物を好適に含ませることができる。
【0039】
本発明において、構成要素(B)である硬化剤は、加熱により樹脂組成物を硬化する働きを有するものであれば特に限定されないが、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤を好ましく用いることができる。
【0040】
アミン系硬化剤としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、ジシアンジアミド、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのような有機酸ジヒドラジド、あるいはこれらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミンが挙げられ、これらを単独あるいは複数種配合して用いることができる。
【0041】
酸無水物系硬化剤としては、1−ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物のようなカルボン酸無水物などが挙げられ、これらを単独あるいは複数種配合して用いることができる。
【0042】
フェノール系硬化剤としては、ノボラック樹脂などのポリフェノール化合物、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノールなどのビスフェノール化合物等が挙げられ、これらを単独あるいは複数種配合して用いることができる。
【0043】
特に、フェノール系硬化剤として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物や、これらビスフェノール化合物とビスフェノール化合物のモノグリシジルエーテルとの反応生成物を用いると、得られる樹脂組成物の低温での硬化性が良くなったり、得られる繊維強化複合材料の強度が向上する効果があり、好ましい。
【0044】
本発明の構成要素(B)は、樹脂調合工程での安定性や室温での保存安定性、あるいは強化繊維へ樹脂組成物を含浸する工程で受ける熱履歴に対する安定性などのため、熱活性型の潜在性を有することが好ましい。
【0045】
ここで熱活性型の潜在性とは、そのままでは活性の低い状態であるが、一定の熱履歴を受けることにより相変化や化学変化などを起こして、活性の高い状態に変わるという性質を意味する。なお、以下の記述においては潜在性という用語は熱活性型の潜在性を示すものとする。
【0046】
本発明において潜在性をもたせるための方法として、粒子状の硬化剤をエポキシ樹脂に溶解させずに分散させた状態で配合する方法が好ましく用いられる。これらは、一定の熱履歴を受けることによりエポキシ樹脂に溶解して均一相となり、活性の高い状態になる。
【0047】
粒子状の潜在性硬化剤は、融点が80℃〜300℃であることが好ましく、100℃〜250℃であることがより好ましい。融点が80℃未満であると充分な潜在性が得られない場合があり、300℃を超えると硬化温度において充分な活性が得られない場合がある。
【0048】
粒子状の潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド(融点:209℃)、サリチル酸ヒドラジド(融点:152℃)、アジピン酸ジヒドラジド(融点:177〜183℃)、テレフタル酸ジヒドラジド(融点:194℃)、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド(融点:224℃)、イソフタル酸ジヒドラジド(融点:194℃)、セバシン酸ジヒドラジド(融点:186〜188℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点:118〜124℃)、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド(融点:160℃)、エイコサン二酸ジヒドラジド(融点:180℃)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(融点:175℃)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(融点:170℃)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(融点:92℃)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(融点:189℃)、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(融点:216〜218℃)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(融点:158〜159℃)、4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(融点:135〜139℃)、4,4’−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(融点:193〜195℃)、4,4’−スルホニルジフェノール(融点:245〜247℃)、4,4’−ビフェノール(融点:282〜284℃)などが挙げられ、これらを単独あるいは複数種配合して用いることができる。
【0049】
本発明の構成要素(B)は、硬化活性を高めるために加える硬化促進剤も該当し、(B)には、前記した成分に加え、3級アミノ基を有する化合物、イミダゾール誘導体、尿素誘導体などの成分を含ませることができる。特に、室温の安定性などの面から、室温で固体のイミダゾール誘導体または尿素誘導体を樹脂組成物中に分散させて用いることが好ましい。
【0050】
構成要素(B)に含ませることができる3級アミノ基を有する化合物としては、ジメチルアニリン、ベンジルジメチルアニリン、トリエタノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−1、ピリジン、ピコリンなどが挙げられる。
【0051】
構成要素(B)に含ませることができるイミダゾール誘導体としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、あるいはイミダゾール誘導体とグリシジル化合物の付加物、イミダゾール誘導体のトリメリット酸、イソシアヌル酸などの有機酸との塩などが挙げられる。
【0052】
構成要素(B)に含ませることができる尿素誘導体としては、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3,3−ジメチルウレア、1−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチルウレア、1,1−ジメチル−3−フェニルウレア、1−(3,4−ジメチルフェニル)−3,3−ジメチルウレア、1−(2−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルウレア、2,4−ビス(N,N−ジメチルウレイド)−トルエン、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)などが挙げられる。
【0053】
本発明の構成要素(B)としては、硬化温度が100〜150℃の場合、ジシアンジアミドと尿素誘導体を併用するのが、樹脂組成物が比較的低温で硬化するようになり、かつ、その室温での保存安定性が優れるため好ましい。
【0054】
さらに低い硬化温度で加熱硬化する必要がある場合は、アミンアダクト型の硬化剤である味の素(株)製の“アミキュア”PN−23、MY−24、分子内に活性水素部と触媒部位とをもつものとして富士化成工業(株)製の“フジキュアー”FXE−1000、FXR−1030、ACR(株)製のH3615、H4070、H3293、H3366、H3849、H3670、四国化成工業(株)製の“キュアダクト”P−0505、“キュアゾール”2E4MZ−CMS、CZ−CNS、C11Z−A、マイクロカプセル型硬化剤である旭化成(株)製の“ノバキュア”HX3721、HX3722等が挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることが出来る。
【0055】
本発明の構成要素(C)は、分子量が150〜300であって、環状構造を有する反応性モノマーである。ここでいう反応性モノマーとはエポキシ樹脂化合物と硬化剤の少なくともいずれか一方と反応して化学結合を生じ得る反応性官能基を有する化合物をいう。本発明の構成要素(C)は耐熱性を保持しながら、樹脂硬化物の弾性率と塑性変形能力向上、さらには樹脂組成物の粘弾性を調整する効果を有することから、本発明の樹脂組成物に必須の構成要素である。
【0056】
構成要素(C)の反応性官能基としては、エポキシ基、アクリレート基、アクリルアミド基、マレイミド基などのカルボニル基と共役すする二重結合、フェノール性水酸基、アミノ基、フェノール性水酸基、チオール基、カルボキシル基、酸無水物基などが挙げられる。
【0057】
特に、樹脂硬化物の耐熱性を良好となる点で、構成要素(C)の反応性官能基はエポキシ基であることが好ましい。
【0058】
また、構成要素(C)の分子量は、150〜300と低分子量であり、これにより樹脂硬化物の弾性率の向上、及び樹脂組成物を低粘度化する働きを発現すると考えられる。特に、本発明の構成要素(A)のように分子量の大きい領域のエポキシ樹脂は粘度が高くなりすぎる傾向にあるため、構成要素(C)による低粘度化効果は重要である。
【0059】
構成要素(C)の分子量は、150〜300であることが必要であり、好ましくは200〜300、さらに好ましくは200〜250である。
【0060】
構成要素(C)の分子量が150未満であると揮発性が高く、樹脂組成物の保存安定性を損なう場合があり、300を超えると低粘度化効果が充分でない。
【0061】
さらに、構成要素(C)は分子骨格中に環状構造を有することも特徴とする。通常、エポキシ樹脂組成物に低分子量の反応性モノマーを配合すると耐熱性が低下する傾向にあるが、構成要素(C)は環状構造を有することによって分子運動の自由度が制限され、樹脂硬化物の耐熱性低下が抑えられる。
【0062】
かかる環状構造としては、ベンゼン環構造、イミド構造、ジシクロペンタジエン構造、シクロヘキサン環構造などが挙げられ、耐熱性の点からベンゼン環構造やイミド構造が好ましい。
【0063】
構成要素(C)として用いることができる化合物の例としては、環状構造としてベンゼン環構造を有する化合物としては、ジグリシジルアミン(分子量205)、o−トルイジンのジグリシジルアミン(分子量219)、環状構造としてベンゼン環構造およびイミド構造を有する化合物としては、N−グリシジルフタルイミド(分子量203)、N−フェニルマレイミド(分子量173)、環状構造としてシクロヘキサン環を有する化合物としては、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル(分子量284)などが挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。
【0064】
構成要素(C)は、構成要素(A)100重量部に対して2〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは15〜30重量部含ませることができる。かかる配合量が2重量部未満であるとその効果が充分でなく、50重量部を超えると樹脂硬化物の耐熱性低下が大きくなったり、プリプレグに用いた場合に粘度が低くなりすぎてその取扱性が低下する。
【0065】
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、前記した各構成要件の他に、以下に記載する成分などを適宜含ませることができる。
【0066】
本発明の樹脂組成物には、粘弾性の制御などのために、熱可塑性樹脂を含ませることができる。本発明に用いることができる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、構成要素(A)に溶解可能な熱可塑性樹脂が好ましく、繊維強化複合材料中での強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を高めるため、水素結合性の官能基を有する熱可塑性樹脂が特に好ましく使用できる。ここに水素結合性の官能基としては、例えば、アルコール性水酸基、アミド結合、スルホニル基等が挙げられる。
【0067】
アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン等が使用できる。ポリアミド、ポリイミド及びポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基等の官能基を有するものでも良い。ここにポリアミドは、アミド基の窒素原子に置換基を有するものでも良い。かかる熱可塑性樹脂は構成要素(A)100重量部に対して0.5〜15重量部含まれることが好ましい。かかる配合量が0.5未満だと得られるプリプレグの粘着力が不足する場合があり、15を超えると強化繊維への含浸が困難になる場合がある。
【0068】
本発明の樹脂組成物にはさらに、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させるため、ゴム成分を0.5〜20重量%含ませることができる。
【0069】
本発明に好適に含ませることができるゴム成分としては特に限定されないが、耐熱性とのバランスの点から、架橋ゴム粒子、あるいは架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子を好ましく使用できる。
【0070】
架橋ゴム粒子の市販品としては、例えば、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるXER−91(JSR(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(東都化成(株)製)等が使用できる。
【0071】
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド”EXL−2655(呉羽化学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド”AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID”EXL−2611、EXL−3387(Rohm & Haas社製)等が使用できる。
【0072】
本発明の樹脂組成物は、強化繊維と組み合わせてプリプレグとした場合に、適度な粘着力及び柔軟性を発現させるために、測定周波数0.5Hzでの動的粘弾性測定において、T=50℃における未硬化樹脂の貯蔵弾性率G’T[T=50℃](Pa)が200〜5000Paの範囲であることが好ましく、さらには500〜5000Paが好ましく、500〜4000Paの範囲内であるのが特に好ましい。200Pa未満であるとプリプレグの形態保持性が低下したり、粘着力が不足し、これにより、プリプレグを積層する工程にて作業性が低下することがある。一方、5000Paを越えると、プリプレグの柔軟性が不足してその取り扱い性が低下することがある。
【0073】
本発明の樹脂組成物を用いてプリプレグを得る工程において、樹脂組成物をホットメルト法にて樹脂フィルムを作製する際の良好なプロセス性や、樹脂組成物を強化繊維に含浸する際の含浸性などを確保するため、測定周波数0.5Hzでの動的粘弾性測定における、未硬化樹脂のT=80℃での貯蔵弾性率G’T[T=80℃](Pa)が2〜30Pa、好ましくは5〜20Paの範囲内であるのが良い。2Pa未満であると、樹脂フィルムを作製する際に、樹脂目付(g/m)を安定化できなかったり、強化樹脂をマトリックス樹脂に含浸させる際に適正なプリプレグの目付(g/m)が得られないことがある。一方、30Paを越えると、樹脂フィルムを作製する際に適正な樹脂目付(g/m)のフィルムが得られなかったり、成形物にボイドが残存して材料強度の低下の原因となる場合がある。
【0074】
本発明のプリプレグは、未硬化のエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを含んでなるものであるが、樹脂組成物は必ずしも強化繊維束の内部まで含浸されている必要はなく、シート状に一方向に引き揃えた強化繊維や、強化繊維織物の表面付近に樹脂組成物を局在化させておいても良い。
【0075】
本発明のプリプレグに用いる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、および炭化ケイ素繊維などを用いることができる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。強化繊維の形態や配列については限定されず、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、不織布、マット、および組み紐などの繊維構造物が用いられる。
【0076】
特に材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率、比強度のため、炭素繊維を好適に用いることができる。
【0077】
本発明のプリプレグに含ませる強化繊維は、取り扱い性向上のため、その表面に一定量のサイジング剤を付着してなることが好ましい。特に、水素結合性の官能基を有する成分を含んでなるサイジング剤を付着した強化繊維を好適に用いることが出来る。
【0078】
本発明では、強化繊維表面に付着するサイジング剤には、水素結合性の官能基としてアルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミド基、ウレタン基、ウレア基からなる群から選ばれる官能基を有するものを含ませることができる。特に、熱安定性が優れる点や安価なものが入手しやすい点などから、アルコール性水酸基あるいはアミド基を有する化合物をサイジング剤に含ませることが好ましい。
【0079】
本発明において、サイジング剤に含ませることができる化合物について、水素結合性官能基としてアルコール性水酸基を有する化合物としては特に限定されないが、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ヘキサンジオールなどのアルキレンジオール、ポリエーテルポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールを部分的にアセタール化したポリビニルアセタールなどの化合物、またはこれらの化合物が有するアルコール性水酸基を部分的にエピクロルヒドリンなどと反応させて修飾した化合物、あるいは複数のビスフェノール骨格を有するオリゴマータイプのビスフェノールA型エポキシ樹脂などを好適に用いることができる。
【0080】
本発明において、サイジング剤に含ませることができる化合物について、水素結合性官能基としてアミド基を有する化合物としては特に限定されないが、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体およびこれらを重合して得られる重合体、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミドなどを用いることができる。
【0081】
本発明のプリプレグは、プリプレグ表面の全面積に対するマトリックス樹脂層の占有割合を示す表面樹脂被覆率が40〜85%の範囲であることが好ましく、50〜80%の範囲にあればより好ましい。かかる表面樹脂被覆率が40%未満であるとマンドレルに巻いたプリプレグに剥がれや浮きが生じ、修正の手間が掛かるとともに、浮き部分にボイド(空隙)が発生するし、層間に巻き込まれた空気が成形体に残存しやすくなり、成形体の強度低下といった問題が生じるので好ましくない。85%を越えるとプリプレグをマンドレルに巻き付ける際にシワが入りやすくなり、管状成形体の強度低下や外観不良といった問題が生じるので好ましくない。
【0082】
表面樹脂被覆率がかかる特定の範囲であるプリプレグ得るためには、例えば、一方向に引き揃えられた炭素繊維束を熱硬化性樹脂を離型紙に塗布した樹脂フィルムで挟み込んだ後、少なくとも1対の加熱金属ニップロールでニップし、さらに少なくとも2本以上からなる加熱金属ロール群に圧接させることで、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸せしめるという方法をとることができる。この時、炭素繊維を所定の張力下で加熱金属ロールに圧接させることにより、炭素繊維の加熱金属ロール中心方向に力が作用し、炭素繊維をなす炭素繊維層が薄く緻密になることで、炭素繊維層内に存在でき得る熱硬化性樹脂の体積が減り、その結果として余剰の熱硬化性樹脂をプリプレグの表面に適意に存在させて、表面樹脂被覆率を制御することができる。樹脂フィルム導入前の強化繊維にかかる張力は、フィラメント1000本あたり20〜500gが好ましく、フィラメント1000本あたり80〜450gがより好ましい。かかる張力がフィラメント1000本あたり20gに満たないと炭素繊維を加熱金属ロールに圧接する力が不十分な場合があり、フィラメント1000本あたり500gを超えると工程中のロールにたわみが生じ破損する場合がある。
【0083】
プリプレグの表面樹脂被覆率は、例えば、顕微鏡等で拡大し、表面が樹脂で被覆されている部分の面積を測定する手法で定量化できる。
【0084】
具体的には、プリプレグから切り出したサンプルを反射型光学顕微鏡で観察するとともに白黒写真として撮影すると、表面が樹脂で覆われた部分は、炭素繊維が露出した部分よりも明るい画像の白黒写真が得られるので、画像処理によって表面が樹脂で覆われた部分(明部)の面積を測定し、該面積の全面積に対する割合を表面樹脂被覆率(%)とすることができる。
【0085】
ここで、画像処理ソフトとしては例えばAdobe Systems,Inc.製 “Adobe Photoshop”等を用いることができる。
【0086】
また、本発明のプリプレグにおいては、プリプレグ中の繊維重量含有率が60%以上であれば、成形後の管状体等の軽量化がはかれるため好ましい。更にプリプレグ中の繊維重量含有率が70%以上であれば、成形後の管状体等の一層の軽量化がはかれるため、より好ましい。また、プリプレグ中の繊維重量含有率は90%を越えないことが好ましい。90%を越えると、成形後の管状体等の強化繊維製プラスチック製部材にボイドが発生し、強度が低下する場合がある。
【0087】
本発明のプリプレグから得られる繊維強化複合材料はゴルフクラブ用シャフト、釣竿ロッドなどのスポーツ用品に好適に用いられるが、その軽量化を実現し、好適なフィーリングを得るためには、強化繊維としてはその目的とする用途の設計に合わせてストランド引張弾性率の適切な炭素繊維を選択すると良い。
【0088】
強度が重視される場合は、ストランド引張弾性率が200〜290GPaである炭素繊維を適用することが好ましい。このような標準弾性率領域から中弾性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、高弾性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグに比べて、炭素繊維のストランド引張強度、圧縮強度が高いため、複合材料管状体の曲げ強度が高い。その上、上記の関係式を満たすことにより、さらに、ねじり強さが向上する。従って、例えばハードヒッター向けゴルフクラブ用シャフト、ジギング用釣竿ロッド、磯竿ロッドなどに好適に用いられる。また、撓りと強度が要求される竿の穂先等に好適である。
【0089】
強度と軽量化のバランスが必要とされる場合は、ストランド引張弾性率が230〜350GPaである炭素繊維を適用することが好ましい。このような中弾性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、適度な曲げ強度と剛性を発現し、かつ上記式を満たすことによりねじり強さも向上するのでさらに軽量化を図ることができる。従って例えばウッドタイプのゴルフクラブ用シャフト、ルアー用釣竿ロッドなどに好適に用いられる。
【0090】
軽量化を特に必要とする場合、ストランド引張弾性率が320GPa〜800GPaの炭素繊維を用いることが好ましい。このような中弾性率から高弾性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、材料を少量使用しただけで充分な剛性を発現することができる。そのため軽量化を必要とする、長尺ゴルフクラブ用シャフト、女性用・高齢者向けゴルフクラブ用シャフト、鮎竿用ロッドなどに好適に用いられる。
【0091】
炭素繊維が強化繊維として用いられる場合、得られる繊維強化複合材料の強度と弾性率は、炭素繊維の含有量に大きく依存する。従って、一定量の強化繊維を含有する場合、含浸させるマトリックス樹脂の量を少なくするほど、繊維強化複合材料や最終製品の性能をほぼ一定に維持したままで、製品重量を軽量化することができる。このような目的のため、本発明におけるプリプレグおよび繊維強化複合材料全重量に対する強化繊維の含有量は60〜90重量%であることが好ましく、さらには70〜85重量%であることがより好ましい。強化繊維の含有量が60重量%未満の場合は、軽量化効果が十分でない場合があり、90重量%を越えると樹脂量が少ないため複合材料中にボイドが残存し、機械特性が低下する場合がある。
【0092】
本発明の繊維強化複合材料は、前記したエポキシ樹脂組成物を加熱硬化せしめて得た樹脂硬化物と強化繊維とを主な構成要素として含んでなるものであり、例えばプリプレグを積層後、得られた積層体に熱及び圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法等により製造できる。
【0093】
熱及び圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等が使用され、特にスポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法、内圧成形法が好ましく使用できる。
【0094】
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定及び圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状体を得る方法である。
【0095】
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バット、テニスやバトミントン等のラケットの如き複雑な形状物を成形する際に特に好ましく使用できる。
【0096】
本発明の繊維強化複合材料は、前記した樹脂組成物を用いて、プリプレグを経由しない方法によっても得ることができる。
【0097】
かかる方法としては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後加熱硬化する方法、即ち、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、レジン・トランスファー・モールディング法等が使用できる。これら方法では、構成要素(A)を含む主剤と構成要素(B)を含む硬化剤液の2液を使用直前に混合して樹脂組成物を調製する方法が好ましく採用できる。
【0098】
本発明の繊維強化複合材料の内部におけるボイド率は、0.01〜5体積%であることが好ましく、0.01〜2体積%であることがより好ましく、0.01〜1体積%であることがさらに好ましい。かかるボイド率が5体積%を超えると強度や疲労特性が低下する場合があり、0.01体積%未満とするためには成形時の圧力や温度をかなり高める必要があるなど、成形プロセスの自由度を損ねてしまう場合がある。かかるボイド率は繊維強化複合材料中の繊維体積含有率Vf(体積%)、マトリックス樹脂の体積含有率Vr(体積%)から以下のように求められる。
Vv=100−(Vf+Vr)
ここで繊維体積含有率Vf(体積%)およびマトリックス樹脂の体積含有率Vr(体積%)は、熱濃硫酸で樹脂硬化物を除去して繊維量を計算する硫酸分解法により求めた繊維重量含有率Wf(重量%)と強化繊維の密度ρ(g/cm)、複合材料の密度ρ(g/cm)、樹脂の密度ρから下記式により求めることができる。
【0099】
Vf=Wf×ρ/ρ
Vr=(100−Wf)×ρ/ρ
本発明の管状体は、前記した繊維強化複合材料からなる層を含んでなることを特徴とする。
【0100】
本発明の管状体は、プリプレグを用いて、前記したラッピングテープ法により好適に得ることができる。
【0101】
本発明の管状体をラッピングテープ法によって得るために用いる樹脂フィルムは、幅が10〜30mmであり、厚さが10〜40μm、より好ましくは20〜30μmのフィルムで、材質としては、特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが耐熱性、強度、成形後の管状体との離型性の点から好ましい。樹脂フィルムを巻回するピッチは1〜3mmの範囲が好適であり、1重巻または2重以上巻きまわすことが出来るが、ボイド率を低減させるためには2重以上に巻き回すことがより好ましい。
【0102】
また、樹脂フィルムを巻き回すテープ幅当たりの張力としては、20〜60N/cm、より好ましくは25〜50N/cmである。張力が20N/cmより小さいと、繊維含有率が高い層でボイドが生じやすくなり、好ましく、60N/cmを超えると張力により樹脂フィルムが切れやすくなるので好ましくない。
【0103】
本発明の管状体は、長手方向の長さをL(m)、全重量をW(g)として、W/Lの値が30〜65g/mであり、繊維体積含有率が60〜82%、かつボイド含有率が0.01〜5体積%であることが好ましい。
【0104】
管状体がかかる条件を満たすことにより、軽量かつ充分な強度特性を有するゴルフシャフトや釣竿などとして好適に用いることができる。
【0105】
本発明のゴルフシャフトは、前記した管状体を用いてなるものであり、軸方向(長手方向)に対する強化繊維の配向角度が±10°未満であるストレート層、およびかかる配向角度が±30〜±90°であるバイアス層を有することが好ましい。
【0106】
本発明のゴルフシャフトが有するストレート層の繊維目付は、好ましくは50〜200g/m、より好ましくは70〜150g/mであるのが良い。また、ストレート層の繊維含有率は、好ましくは65〜87重量%、より好ましくは70〜85重量%であるのが良い。繊維目付が50〜200g/mの範囲を外れ、繊維含有率が65〜87重量%の範囲から外れると、軽量化を高める効果やゴルフシャフトの成形性が損なわれることがあるので好ましくない。
【0107】
ストレート層1層あたりの厚みとしては0.01〜0.15mmが好ましく、0.02〜0.1mmが更に好ましい。また、かかるストレート層は2〜8層であることが好ましく、3〜6層であるとより好ましい。
【0108】
本発明の管状体において、少なくとも1層のストレート層は、バイアス層の外周側に配することが好ましい。ストレート層が、バイアス層の内周側のみに配されていると、ゴルフシャフトのねじり強さが十分発現しないことがある。
【0109】
かかるストレート層を構成する樹脂硬化物の曲げ弾性率は、3.4〜4.3GPaであることが好ましく、3.5〜4.0GPaであることがより好ましい。曲げ弾性率が3.4GPa未満であるとゴルフシャフトの曲げ強度が不十分となる場合があり、4.3GPaを超えると樹脂が脆くなる傾向にあり、ゴルフシャフトの耐衝撃性を損ねる場合がある。
【0110】
本発明のゴルフシャフトにおけるバイアス層は、ゴルフシャフトの主軸に対する強化繊維方向が±30〜±90°の角度で配列していることが必要であり、好ましくは±35〜±55°であるのが良い。
【0111】
また、ゴルフシャフト主軸に対し強化繊維方向が互いに軸対称をなす、2層構造のバイアス層を備えていても良い。
【0112】
バイアス層1層あたりの厚みとしては0.01〜0.2mmが好ましく、0.02〜0.15mmが更に好ましい。またかかるバイアス層は2〜10層であることが好ましく、4〜8層であるとより好ましい。
【0113】
かかるバイアス層を構成する樹脂硬化物のモードI破壊靭性GICは、200〜2000J/mであることが好ましい。GICが200J/m未満であるとゴルフシャフトのねじり強度や耐衝撃性が不足する場合があり、2000J/mを超えると耐熱性が低下するなどの問題が生じる場合がある。
【0114】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。各物性値の測定は次の方法によった。なお、物性測定は、断りのない限り、温度23±2℃、相対湿度50±10%のもとで行った。
(1)樹脂組成物の調製
A.原料
下記の原料を用いた。尚、各実施例、比較例における組成比は表1に示す。
【0115】
[構成要素(A)]
・“エポトート”YD128
(エポキシ当量189、2官能、東都化成(株)製)
・“エピコート”1001
(エポキシ当量475、2官能、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“エピコート”1004
(エポキシ当量925、2官能、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“エピコート”1007
(エポキシ当量1975、2官能、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“エピコート”4004P
(エポキシ当量880、2官能、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“エピコート”4007P
(エポキシ当量2270、2官能、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・XAC4151
(エポキシ当量412、2官能、旭化成エポキシ(株)製)
・ノボラックエポキシ:下記構造を有するエポキシ
(エポキシ当量173、4官能)
【0116】
【化7】
Figure 2004269600
【0117】
[構成要素(B)]
・Dicy7S(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、保土ヶ谷化学製)
[構成要素(C)]
・N−グリシジルフタルイミド(単官能性エポキシ、分子量203)
・ジグリシジルアニリン(2官能性エポキシ、分子量205)
・ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル
(2官能エポキシ、分子量284)
[その他]
・“ビニレック”K(ポリビニルホルマール、チッソ(株)製)
B.調製
構成要素(A)に該当するエポキシ樹脂と、“ビニレック”Kを混合し、160℃に加熱しながら混練して“ビニレック”Kをエポキシ樹脂に均一に溶解させた。
【0118】
次いで、樹脂温度を100℃まで降温し、100℃に保ちながら構成要素(C)を加えて混練した。
【0119】
さらに、樹脂温度を60℃まで降温し、ジシアンジアミド及びDCMU99を加えて約30分間混練し、ジシアンジアミド及びDCMUの各粒子がほぼ均一に分散した樹脂組成物を得た。
(2)樹脂硬化物の物性測定
A.曲げ弾性率
樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、オーブン中で130℃で90分間加熱処理して、厚さ2±0.1mmの樹脂硬化物の板を作製した。ついで、樹脂硬化物の板より、幅10±0.1mm、長さ60±1mmの試験片を切り出し、スパン間32mmの3点曲げを測定し、JIS−K7171に従い曲げ弾性率を求めた。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
【0120】
B.樹脂靭性(GIC
樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、オーブン中で130℃で90分間加熱処理して、厚さ6±0.1mmの樹脂硬化物の板を作製した。ついで、樹脂硬化物の板より、ASTM D5049−93記載のSENB法用試験片を切り出し、SENB法で応力拡大係数KICを測定し、この値と、別に樹脂硬化物の引張試験により求めた引張弾性率Eとポアソン比νから次式によりGICを求めた。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
【0121】
IC=(1−ν)KIC /E
ここで樹脂硬化物の引張試験は厚さ2±0.1mmの樹脂硬化物の板から幅10±0.1mm、長さ10±0.1cmの試験片について、歪みゲージで歪み量を定量化する方法で引張測定行い、引張弾性率Eとポアソン比νを求めた。
(2)プリプレグの作製
エポキシ樹脂組成物を65℃に加熱し、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して単位体積当たりの重量(目付)が20g/mの樹脂フィルムを作製した。
【0122】
次いで、一方向に引き揃えられた炭素繊維束にフィラメント1000本あたり250gの張力を付与しながら、樹脂フィルム2枚で上下から挟み込んだ後、100℃に加熱した1対の加熱金属ニップロールでニップし、100℃に加熱した2本の加熱金属ロールに圧接させて炭素繊維束に樹脂組成物を含浸させ、炭素繊維目付が125g/m、繊維含有率が76重量%のプリプレグを得た。
(3)プリプレグの表面樹脂被覆率の測定
プリプレグシートから10mm×10mmの大きさの試験片をカットした。次にカットした。次いで、サンプルを両面テープでプレパラートに固定し、プリプレグ表面のカバーフィルムを剥がし、固定したサンプルを反射型光学顕微鏡で観察するとともに白黒写真として撮影した。撮影する範囲は2.9mm×3.8mmとし、現像された白黒写真はもとのプリプレグに対して25倍の倍率とした。このときプリプレグ表面に出た炭素繊維は暗く、マトリックス樹脂のみの層は明るく写真に撮影された。
【0123】
次いで撮影した白黒写真をパソコンに接続したスキャナー(EPSON製 GT−7000S)で解像度200で取り込み、画像処理用ソフト(Adobe Systems,Inc.製 “Adobe Photoshop”)にて写真画像を2値化、すなわち該ソフトで、写真画像のヒストグラムを表示させ、ヒストグラムのレベル100の部分を2値化の境界とし、暗部(レベル100以下)をプリプレグ表面の全面積に対する炭素繊維のみの部分、明部(レベル101以上)をプリプレグ表面の全面積に対する樹脂のみの部分として両者の面積割合から表面樹脂被覆率(明部の面積割合)を次式により算出した。
【0124】
表面樹脂被覆率(%)=(ヒストグラムにおける明部の面積/ヒストグラム全面積)×100
(4)一方向複合材料の面内剪断強度
炭素繊維の配列方向が±45度になるよう、一方向プリプレグ20枚を交互に積層し、オートクレーブ中で135℃、290Paで2時間加熱加圧して硬化し、繊維強化複合材料を作製した。得られた複合材料から、JIS K7079に従い、物性を測定した。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
(5)管状体の物性測定
A.管状体の作製
次の(a)〜(e)の操作により、円筒軸方向に対して[0/±45]の積層構成を有し、内径が10mmの複合材料製管状体を作製した。ここでは、マンドレルとして、直径10mm、長さ1000mmのステンレス製丸棒を使用した。
(a)バイアス材用の一方向プリプレグから、縦800mm×横103mmの長方形形状(長辺方向に対し繊維軸方向が45度となるように)に2枚切り出した。この2枚のプリプレグを繊維の方向を繊維方向が互いに交差するように、かつ横方向に16mm(この長さはマンドレル半周分に対応する)、シフトして貼り合わせた。
(b)貼り合わせたプリプレグを、離型処理したマンドレルに長方形形状の長辺とマンドレル軸の方向が同一方向になるように、マンドレルに捲回した。
(c)その上に、縦800mm×横112mmの長方形形状(長辺方向が繊維軸方向となる)に切り出したストレート材用の一方向プリプレグを、その繊維の方向がマンドレル軸の方向と同一方向となるように、マンドレルに捲回した。
(d)さらに、その上から、幅20mm、厚さ30μmのポリプロピレン製ラッピングテープを、張力50Nとしながら2.5mmピッチ/回転で巻きつけて捲回物を覆い、硬化炉中、130℃で90分間、加熱成形した。
(e)この後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して複合材料製管状体を得た。
【0125】
B.繊維体積含有率及びボイド率
管状体の繊維体積含有率Vf(体積%)は、熱濃硫酸で樹脂硬化物を除去して繊維量を計算する硫酸分解法により求めた繊維重量含有率Wf(重量%)と強化繊維の密度ρ(g/cm)及び複合材料の密度ρ(g/cm)から下記式により求めた。
【0126】
Vf=Wf×ρ/ρ
そして、管状体のボイド率Vv(体積%)は、マトリックス樹脂の体積含有率をVr(体積%)、樹脂の密度をρrとして、下記式により求めた。
【0127】
Vr=(100−Wf)×ρ/ρ
Vv=100−(Vf+Vr)
C.管状体のねじり強さ
前記した管状体から長さ350mmの試験片を切り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(製品安全協会編、通商産業大臣承認5産第2087号、1993年)に記載された、ねじり試験方法に準じて測定した。
【0128】
ここでは、試験片ゲージ長は250mmとし、試験片両端の50mmを固定治具で把持して測定した。尚、ねじり強さは、次式により算出した。
【0129】
ねじり強さ(N・m・deg.)=破壊トルク(N・m)×破壊時のねじれ角(deg.)
(実施例1〜7、比較例1〜4)
前述の方法に従い、表1に示す組成の樹脂組成物を調製し、その樹脂硬化物の曲げ弾性率及びGICを測定した。弾性率とGICは通常トレードオフの関係にあるが、実施例1〜6の樹脂組成物は、構成要素(A)の重量平均分子量を特定範囲に制御し、さらに構成要素(C)を組み合わせたことにより、両物性ともに高い値となった。
【0130】
さらに、これら樹脂組成物をストランド引張弾性率375GPa、ストランド引張強度4.1GPa、フィラメント数12000/束の炭素繊維に含浸して前述の方法に従いプリプレグを作製し、該プリプレグを用いて得た一方向繊維強化複合材料の面内剪断強度を測定したところ、実施例1〜7は比較例1〜4と比較して明らかに高い値となった。なお、比較例4は樹脂硬化物の物性は良好であるものの、著しく高粘度化であるために炭素繊維への含浸性が悪く、得られた一方向複合材料中に未含浸部分が多く残り、強度が大きく低下したと考えられる。
【0131】
【表1】
Figure 2004269600
【0132】
(実施例7〜9、比較例5)
前述の方法に従い、樹脂組成物A、Hを用いて、ストランド引張弾性率294GPa、ストランド引張強度5.5GPa、フィラメント数24000/束の炭素繊維に含浸してストレート材用プリプレグを、ストランド引張弾性率375GPa、ストランド引張強度4.1Gpa、フィラメント数12000/束の炭素繊維に含浸してバイアス材用プリプレグをそれぞれ作製し、表面樹脂被覆率を測定した。
【0133】
尚、バイアス材用プリプレグについては、プリプレグを作製する際に、加熱加圧ロールの温度を制御することで、表面樹脂被覆率の異なるプリプレグを作製した。
【0134】
具体的には、樹脂フィルムで挟む前の炭素繊維束に付与する張力を、実施例7及び比較例5ではフィラメント1000本あたり250gとし、実施例8では20gとし、実施例9では200gとしたが加熱加圧ニップロールでニップしなかった。
【0135】
次いで、該プリプレグを用いて管状体を作製し、そのねじり強さを測定したところ、何れも樹脂硬化物の高弾性率と高GICを反映して高い値となった。
【0136】
管状体のボイド率を測定したところ、実施例7〜9において、表面樹脂被覆率が大きいほどボイド率も低くなる傾向があり、ボイド率が低くなることによって管状体のねじり強さも向上した。これらの結果について表2にまとめて示す。
【0137】
【表2】
Figure 2004269600
【0138】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性及び強度特性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られ、さらには軽量かつ優れた強度特性を有する繊維強化複合材料およびこれを得るためプリプレグが得られる。

Claims (13)

  1. 下記構成要素(A)、(B)および(C)を含んでなる樹脂組成物であって、構成要素(A)全体の重量平均分子量が1200〜3000であり、かつ、構成要素(C)が構成要素(A)100重量部に対して2〜50重量部含まれるエポキシ樹脂組成物。
    (A)エポキシ樹脂
    (B)硬化剤
    (C)分子量が150〜300であって、環状構造を有する反応性モノマー
  2. 構成要素(A)100重量部中に、エポキシ当量800〜5000の2官能エポキシ樹脂が5〜60重量部含まれてなる請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 構成要素(A)が、下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含んでなる請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2004269600
    (ただし、Rはそれぞれ独立に任意の有機残基を表す)
  4. 構成要素(A)が、下記一般式(2)または(3)の少なくとも何れかで表される化合物を含んでなる請求項1〜3の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2004269600
    Figure 2004269600
    (ただし、nは0以上の整数を表す)
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物と、強化繊維とを含んでなるプリプレグ。
  6. シート状のプリプレグであり、該表面における表面樹脂被覆率が40〜85%である請求項5に記載のプリプレグ。
  7. 請求項1〜4の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化せしめて得られる樹脂硬化物と、強化繊維とを含んでなる繊維強化複合材料。
  8. ボイド含有率が0.01〜5体積%である請求項7に記載の繊維強化複合材料。
  9. 請求項7または8に記載の繊維強化複合材料を含んでなる管状体。
  10. 長手方向の長さをL(m)、全重量をW(g)として、W/Lの値が30〜65g/mの管状体であり、繊維含有率が60〜82体積%、かつボイド含有率が0.01〜5体積%である請求項9に記載の管状体。
  11. 請求項9または10に記載の管状体を用いてなるゴルフシャフト。
  12. 軸方向に対する強化繊維の配向角度が±10°未満であるストレート層を有し、該ストレート層において、樹脂硬化物の曲げ弾性率が3.4〜4.3GPaである層を含む請求項11に記載のゴルフシャフト。
  13. 軸方向に対する強化繊維の配向角度が±30〜±90°であるバイアス層を有し、該バイアス層に含まれる樹脂硬化物のGICが200〜2000J/mである請求項11または12に記載のゴルフシャフト。
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