JP2004269154A - エレベータ制御システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防火シャッター動作の避難階に取り残される利用者を救出することにある。
【解決手段】エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させるエレベータ制御システムであって、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合にエレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段232と、この避難階緊急避難運転制御手段232による第二避難階に向かうために戸閉したとき、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦13のホール呼び登録ランプ13bを所定時間点滅又は点灯し、第一避難階に残されている利用者がホール呼び登録釦を操作することを誘導し、外部に利用者が残されていることを知らせるようにする利用客点灯誘導手段234とを設けたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させるエレベータ制御システムであって、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合にエレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段232と、この避難階緊急避難運転制御手段232による第二避難階に向かうために戸閉したとき、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦13のホール呼び登録ランプ13bを所定時間点滅又は点灯し、第一避難階に残されている利用者がホール呼び登録釦を操作することを誘導し、外部に利用者が残されていることを知らせるようにする利用客点灯誘導手段234とを設けたものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作によってホールに取り残される利用客を救助するエレベータ制御システム及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建物の建築基準を定めている建築基準法施工令第112条第9項、第14項第二号では、「エレベータの昇降路は建築の他の部分と防火設備で防火区画すること」及び「エレベータの乗降ロビーは昇降路の一部と見なさないために、乗降ロビーの昇降路と竪穴区画しなければならない。」と規定されている。
【0003】
そこで、エレベータ設備では、前述する建築基準法施工令を受けて、エレベータの乗場戸の直前に、その階に設置される煙感知器と連動する防火シャッターまたは遮煙,遮炎性能をもった扉を設置することが通例化されている。
【0004】
ここで、扉を含む防火シャッター等の管制運転に関し、JEAS−408では、「防火シャッター等との連動管制運転方式に関する標準規定」が定められている。この規定内容は、煙感知器は各階に設置されるが、ある階の煙感知器が動作した場合、その動作信号に基づいて当該階の防火シャッターのみが動作すること。さらに、防火シャッターとの連動管制運転は、防火シャッターが閉じ始めて200mm程度降りたときに開始される。避難階以外の階の防火シャッターが閉じ始めたときは、エレベータは当該階から強制的に第一避難階に直行し乗客を降ろす。さらに、第一避難階の防火シャッターが閉じ始めたときは、第二避難階,つまり避難階に準ずる階で避難経路が確保されている階に強制的に直行し乗客を降ろすことが規定されている。その後、上記何れの場合でも利用客が降りた後、一定時間後に乗りかご内の照明を消灯するともに戸閉し休止する。
【0005】
従って、このようなエレベータ設備においては、防火シャッター等の連動管制運転が可能な構成となっているが、火災管制下における管制運転オペレーションとしては、防火シャッターの動作信号の受け渡しに基づき、万一第一避難階の防火シャッターが動作した場合、その運転状況によりオペレーションモードが異なるが、基本的にはエレベータは第二避難階に強制的に運転し、以後休止状態に入ることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述する火災管制運転及びその下位管制にあたる防火シャッター連動管制運転は、何れも緊急性の観点からエレベータ利用客を速やかに避難階に避難させるためにエレベータを避難階に直行させ、乗りかごから利用客を退避させることが主目的である。
【0007】
しかしながら、前述する防火シャッター連動管制運転の場合、平常運転時にたまたま第一避難路での呼び応答着床中に火災管制が発生し戸開モードに入った時、若しくは同じく第一避難階での戸開中に火災管制運転が動作した時、何れも第二非難階に向かうために戸閉し火災管制運転を継続するが、万一エレベータ利用者等が戸開中に乗りかごに乗り遅れてしまった場合、最悪、第一避難階のエレベータホールに取り残されてしまう可能性がある。このとき、火災管制運転中は、エレベータホールのかご呼び登録が禁止状態となっているので、ホールに取り残されたエレベータ利用者は外部に助けを求めることができなくなり、また外部からもホールに残されている利用者の状況を全く把握できなくなる。この場合、火災発生事態を考えれば、取り残された利用者の救出が非常に難しくなり、大惨事に陥る恐れが大きくなる。
【0008】
本発明は以上のような事情にかんがみてなされたもので、エレベータ利用者がエレベータホールに取り残された事態が発生しても、エレベータによる救出を容易にし、人的被害を未然に回避可能とするエレベータ制御システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記課題を解決するために、エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させる本発明に係るエレベータ制御システムは、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合に前記エレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段と、前記防火シャッターの動作時、エレベータが前記防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を許容して前記利用客を救助するリオープン救助運転制御手段とを設けた構成である。
【0010】
この発明は以上のような構成とすることにより、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を許容して利用客を救助するので、第一避難階のホールに取り残される利用客を極力減らすことが可能となる。
【0011】
(2) また、本発明は、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合に前記エレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段と、この避難階緊急運転制御手段による前記第二避難階への運転に先立ち、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯する利用客点灯誘導手段とを設ければ、エレベータが第一避難階から第二避難階に向かった後であっても、ホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯するので、取り残された利用客をホール呼び登録釦の操作を誘導させることができ、ひいては外部で何らかの方法でホールに取り残されている利用客を把握することが可能となる。
【0012】
なお、前記(2)の構成に新たに、ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、エレベータを前記第一避難階に向かわせるための救出運転を行う残利用客救助制御手段を設ければ、エレベータホールに取り残された利用客の閉じ込めを極力無くすことが可能である。
【0013】
さらに、前記(2)の構成に新たに、ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、外部監視系に利用客が取り残されている状況を発報する外部自動発報手段を設ければ、外部からエレベータホールに取り残されている利用客の救出を迅速に対応することが可能である。
【0014】
(3) さらに、本発明は、エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させる本発明に係るエレベータ制御方法は、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階か否かを判断するステップと、このステップにより防火シャッター動作開始階が第一避難階である場合、所定の第二避難階に戸閉完了した時、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯するステップとを有する方法である。
【0015】
この発明は、以上のような方法を採用することにより、取り残された利用客をホール呼び登録釦の操作を誘導させることができ、ひいては外部で何らかの方法でホールに取り残されている利用客を把握することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明に係るエレベータ制御システムの一実施の形態を説明するハード的な構成図である。
【0018】
このエレベータ制御システムは、火災等の緊急事態に応じた所要の情報を出力する緊急情報発生系10と、この緊急情報発生系10からの情報に基づいてエレベータを緊急運転処理を実行する管制運転制御部20と、外部監視系30とによって構成されている。
【0019】
この緊急情報発生系10は、エレベータホールの天井などに取付けられた火災時煙感知器(図示せず)に連動する防火シャッター(図示せず)の動作を検出し、防火シャッター動作信号を出力する防火シャッター動作部11、火災発生を検出して火災検出信号を出力する火災検出部12及び各階のエレベータホールに取付けられるホール呼び釦13などが設けられている。このホール呼び釦13は、各階のエレベータホールに取付けられているが、本発明の要部を説明する関係から便宜上、特に火災発生時の避難階となる避難階ホール呼び釦を示している。
【0020】
この避難階ホール呼び釦13は、内部的には、ホール呼び登録釦13aと、常時はホール呼び登録釦13aが操作されたときに点灯し、乗場のホール呼び登録の禁止状態にある火災管制運転中、所定の時間にわたって自動的に点滅又は点灯するホール呼び登録ランプ13bとが設けられている。
【0021】
前記管制運転制御部20は、防火シャッター動作部11から出力される防火シャッター動作信号を検出する防火シャッター検出部21と、避難階ホール呼び釦13を構成するホール呼び登録釦13aの操作によるホール呼び登録信号を出力するとともに、ホール呼び登録ランプ13bを点灯するホール呼び釦入出力部22と、これら防火シャッター検出部21、ホール呼び釦入出力部22とはバスラインで接続され、火災発生時、かつ、所定の避難階の防火シャッター動作時に利用客の緊急避難運転を実行するCPUで構成される火災管制モジュール23と、所要とする各種の設定データ,例えば時間データ、リオープン回数設定値データ等を記憶する設定メモリ24と、トラブル監視モジュール25とが設けられている。
【0022】
前記防火シャッター検出部21は、所定の避難階の防火シャッター動作部11から防火シャッター動作信号を受けると、当該防火シャッター動作信号を火災管制モジュール23に転送する。これにより、火災管制モジュール23は避難階の防火シャッターが動作し始めたことを検出できる。
【0023】
前記火災検出部12は、建物側の各階に設置される火災検知器などに相当するものであって、火災発生を検出すると、火災検出信号を火災管制モジュール23に送出する。この火災管制モジュール23は、火災検出部12から火災検出信号を受けると、一般的な火災管制オペレーションが行われる。つまり、火災管制モジュール23は、避難階への帰着運転を実行する。
【0024】
前記火災管制モジュール23は、所定のプログラムに従って一連の処理を実行するものであって、火災検出信号、防火シャッター動作信号などのチェック、火災発生時、かつ、所定の避難階の防火シャッター動作時に緊急避難運転(火災管制モード)に従ってエレベータを運転制御する。
【0025】
この火災管制モジュール23は、機能的には、図2に示すように火災発生時、防火シャッターの動作開始に伴い、乗場呼び及びかご呼びを無効にするとともに、前記防火シャッター動作開始階が第一避難階以外の階である場合にエレベータを第一避難階に緊急運転する第一避難階緊急運転制御手段231、防火シャッター動作開始階が第一避難階である場合にエレベータを第二避難階に緊急運転する第二避難階緊急運転制御手段232、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中であるとき、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作を条件に所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を繰り返すリオープン救助運転制御手段233、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階から第二避難階に向かう際、第一避難階のホール呼び登録釦を自動的に点滅又は点灯し、ホールに取り残されている利用客のかご呼び登録を誘導する利用客点灯誘導手段234、ホールに取り残されている利用客からかご呼び登録の操作が行われたとき、第一避難階に救出運転を行う残利用客救助制御手段235、ホールに取り残されている利用客からかご呼び登録の操作が行われたとき、外部監視システムに自動的に利用客が取り残されている状況を発報する外部自動発報手段236等が設けられている。
【0026】
前記トラブル監視モジュール25は、火災管制モジュール23と連携を取りながら、前記火災検出信号、防火シャッター動作信号などのチェック結果信号、緊急避難運転時の情報を外部に出力する他、ホールに取り残された利用客によるホール呼び登録釦13のかご呼び登録の操作に基づき、外部監視系30に利用客が取り残されている状況を発報する機能をもっている。
【0027】
前記外部監視系30は、小規模ビルやマンション等の管理人室などに設置される監視センター31の他、避難階のホールに取り残されている利用客の存在等を信号又はメッセージで送信する遠隔監視装置32、電話回線を含むネットワーク33及び保守会社,セキュリティ会社などに設置される監視システム34が設けられている。
【0028】
一般に、小規模ビルやマンション等では管理人室が設けられており、この管理人室等に監視センター31を設置すれば、火災発生状態その他必要な状況を監視できるが、小規模ビルやマンション等では無人であったり、管理人も常駐とは限らない。また、管理人や監視員が常駐してもエレベータの保守等に未熟な場合もありうる。そこで、第一避難階のホールに取り残されている利用客の存在等が把握された場合、利用客が取り残されている状況信号又はメッセージを送信し、迅速な対応を図るために保守会社,セキュリティ会社などの監視システム34に自動発報する構成となっている。
【0029】
次に、以上のようなエレベータ制御システムの動作及び本発明に係るエレベータ制御方法について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は従来から一般的に行われている処理動作である。
【0030】
火災管制モジュール23は、火災検出部12から出力される火災検出信号から火災発生を検出すると(S1)、各階のホール天井などに取付けられる煙感知器の動作によってエレベータ乗場戸の直前に設置される防火シャッター等が閉じ始めたか否か、つまり防火シャッター検出部21から防火シャッター動作信号を受信したか否かを確認する(S2)。ここで、防火シャッター動作信号を受けていない場合には再度ステップS2に戻り、防火シャッター動作信号を受信するまで繰り返し確認する。
【0031】
ステップS2において防火シャッター等が閉じ始めたと判断された場合、エレベータが平常運転中か、エレベータ点検中等であるかを判断する(S3)。エレベータが点検中等であれば、防火シャッター等との連動管制運転を実施しない(S4)。一方、エレベータが平常運転中であれば、火災管制オペレーションに入り、エレベータの利用を拘束するために、乗りかご内部からの乗場呼び登録やホールからのかご呼び登録を全て無効にする(S5)。
【0032】
引き続き、防火シャッター等の動作開始階が予め設定される火災管制時のエレベータ利用者を避難させる乗りかご帰着階である第一避難階か、或いは第一避難階以外の階かを判断する(S6)。この判断の結果、第一避難階である場合には図4に移行するが、もし第一避難階以外の階である場合には現在エレベータが避難階に向かって運転中か否かを判断し(S7)、避難階に向かって運転中の場合にはそのまま当該第一避難階に直行し(S8)、第一避難階に向かって走行中でない場合には最寄階に一旦停止し、その運転方向が逆の場合には戸開せずに方向転換し(S9)、同様に避難階に直行する(S8)。
【0033】
そして、当該避難階に着床停止した後(S10)、戸開して利用者を避難させ(S11)、一定時限後に戸閉するが(S12)、この戸閉中又は戸閉後所定時間内に乗りかご内の戸開きボタンが操作されたか否かを判断し(S13)、戸開きボタンが操作された場合には再度戸開し(S14)、ステップS12に戻って同様の操作を繰り返す。一方、戸開きボタンが操作されない場合、最終的に運転休止となる(S15)。これらステップS1〜S15は第一避難階緊急運転制御手段に相当する。
【0034】
ところで、ステップS6において、防火シャツター等の動作開始階が第一避難階であると判断された場合、本発明において新たに追加された図4に示す処理動作に移行する。すなわち、もし防火シャツター等の戸閉め動作階が第一避難階である場合、当該避難階を変更するべくすべく火災管制オペレーション変更を実施するため、該当エレベータの運転状況が第二避難階へ走行中か否かを判断する(S16)。
【0035】
このとき、エレベータの運転中の目的階が偶然にも第二避難階であれば、当該第二避難階に直行し(S17)、着床停止後(S18)、エレベータ利用客を降ろした後、戸閉し運転休止となる(S15)。
【0036】
しかし、火災発生後、ステップS6において第一避難階の防火シャッターが動作しているにも拘らず、エレベータが第二避難階に向かって走行していない場合(S16)、当該エレベータが第一避難階への着床準備中、若しくは着床中であるか否かを判断する(S19)。ここで、エレベータが第一避難階に着床準備中、若しくは着床中でない場合には他の目的階への運転中となるので、その運転方向が第二避難階の方向か否かを判断し(S20)、第二避難階の方向であれば、ステップS17に移行し、第二避難階と逆方向の場合には第一避難階以外の最寄階に一旦停止し、戸開せずに方向転換し(S21)、第二避難階に直行しエレベータ利用者を降ろした後、運転休止とする(S17,S18,S15)。このステップS16〜S21は第二避難階緊急運転制御手段に相当する。
【0037】
ところで、ステップS19において、火災発生後、偶然にも第一避難階の防火シャッターが動作し始めているにも拘らず、第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、着床停止による戸開閉動作中であるか否かを判断し(S22)、未だ戸開閉動作中でなければ第一避難階に停止し(S23)、一旦戸開する(S24)。そして、この戸開後及びステップS22において着床停止戸開閉動作中であれば、一定時限後に戸閉めを開始するが(S25)、この戸閉め中又は戸閉め完了後の所要時間中に第一避難階のホール呼び登録釦13aが操作されたか否かを判断し(S26)、ホール呼び入出力部22からホール呼び登録釦13aの操作信号が受けている場合にはカウンタ(図示せず)に+1をインクリメントし、予め設定メモリ24に設定されているリオープン設定回数とを比較し、リオープン設定回数に達したか否かを判断し(S27)、リオープン設定回数に達しない場合にはステップS24に移行し、同様の処理を繰り返し実行し、第一避難階のホールに残っているエレベータ利用者を乗りかごに乗車させる。一方、第一避難階のホール呼び登録釦13aが操作されない場合及び戸開閉がリオープン設定回数に達した場合には戸閉めが完了したか否かを判断する(S28)。このステップS19,S22ないしS28は第一避難階でのリオープン救助運転制御手段に相当する。
【0038】
以上のようにして戸閉めを完了したと判断した場合、火災管制モジュール23は、ホール呼び釦入出力部22を介してホール呼び釦13を構成する第一避難階のホール呼び登録ランプ13bを点滅又は点灯させることにより、第一避難階のホールに取り残されている利用客が確実にホール呼び登録釦13aを操作するように誘導する(S29:利用客点灯誘導手段)。
【0039】
しかる後、火災管制モジュール23は、戸閉された乗りかごを第一避難階から第二避難階に向けて運転し(S30)、当該第二避難階に停止着床し(S31)、利用客を降ろす。そして、利用客を降ろした後、所定時間の間繰り返し第一避難階のホール呼び登録釦13aが操作されたか否かを判断し(S32,S33)、ホール呼び登録釦13aの操作が所定時間行われていない場合にはステップS15に移行し運転休止とし、所定時間以内にたまたま第一避難階のホール呼び登録灯13bを点滅によって誘導された第一避難階のホールに取り残された利用客がホール呼び登録釦13aを操作した場合、火災管制運転を一旦解除し(S34)、エレベータを第一避難階に向かう救出運転を開始し(S35)、当該第一避難階に着床戸開し(S36)、第一避難階のホールに取り残された利用客が乗るであろう一定時間後に戸閉め完了を確認し(S37)、ステップS29に移行し、再び第二避難階に運転する。これらステップS32〜S37は残利用客救助制御手段に相当する。
【0040】
なお、火災管制モジュール23は、第一避難階のホール呼び登録灯13bの点滅により誘導された第一避難階のホールに取り残された利用客がホール呼び登録釦13aを操作した場合、自動的にトラブル監視モジュール24を経由し、若しくは直接に監視センター31に利用客が取り残されている状態を発報し、さらに監視センター31が存在しないとか管理人室に管理人がいない場合があるので、同じくトラブル監視モジュール24を経由し、若しくは直接に遠隔監視装置32に利用客が取り残されている状態信号或いは音声メッセージを送信し、当該遠隔監視装置32からネットワーク33を介して監視システム34に自動発報する。
【0041】
従って、以上のような実施の形態によれば、防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合にエレベータを第二避難階に運転するが、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦13の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を繰り返すので、エレベータホールに取り残される利用客を極力無くすことができ、大惨事を未然に回避することができる。
【0042】
また、防火シャッターの動作開始階である第一避難階から第二避難階に向かうために戸閉した時、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦13を所定時間点滅又は点灯するので、当該ホールに取り残されている利用者は点滅又は点灯からホール呼び登録釦13を促していることが分かり、当該ホールに取り残されていることを知らせることができる。
【0043】
さらに、ホールに取り残されている利用者がホール呼び登録釦13を操作したとき、エレベータを第一避難階に向かわせるための救出運転を実行するので、ホールに取り残されている利用者を救出することができる。
【0044】
また、前述するようにホールに取り残されている利用者がホール呼び登録釦13を操作したとき、外部監視系30に利用客が取り残されている状況を発報することから、エレベータ設備に熟練を有する保守員等を迅速に緊急派遣でき、利用者の救出処理を実行できる。
【0045】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。上記実施の形態では、火災管制モジュール23にトラブル監視モジュール25を接続し、当該トラブル監視モジュール25を通して外部監視系30に発報する構成としたが、トラブル監視モジュール25を除去し、火災管制モジュール23から外部監視系30に直接発報する構成であってもよい。
【0046】
また、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エレベータ利用者がエレベータホールに取り残された事態が発生しても、利用者を容易に救出でき、人的被害を未然に回避できるエレベータ制御システム及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベータ制御システムの一実施の形態を示す構成図。
【図2】図1に示す火災管制モジュールの機能構成を示すブロック図。
【図3】エレベータ制御システムの動作を説明するフローチャート。
【図4】エレベータ制御システムの動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
10…緊急情報発生系、11…防火シャッター動作部、12…火災検出部、13…ホール呼び釦、13a…ホール呼び登録釦、13b…ホール呼び登録ランプ、20…管制運転制御部、23…火災管制モジュール、24…設定メモリ、30…外部監視系、31…監視センター、32…遠隔監視装置、34…保守会社等の監視システム、231…第一避難階緊急運転制御手段、232…第一避難階緊急運転制御手段、233…リオープン救助運転制御手段、234…利用客点灯誘導手段、235…残利用客救助制御手段、236…外部自動発報手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作によってホールに取り残される利用客を救助するエレベータ制御システム及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建物の建築基準を定めている建築基準法施工令第112条第9項、第14項第二号では、「エレベータの昇降路は建築の他の部分と防火設備で防火区画すること」及び「エレベータの乗降ロビーは昇降路の一部と見なさないために、乗降ロビーの昇降路と竪穴区画しなければならない。」と規定されている。
【0003】
そこで、エレベータ設備では、前述する建築基準法施工令を受けて、エレベータの乗場戸の直前に、その階に設置される煙感知器と連動する防火シャッターまたは遮煙,遮炎性能をもった扉を設置することが通例化されている。
【0004】
ここで、扉を含む防火シャッター等の管制運転に関し、JEAS−408では、「防火シャッター等との連動管制運転方式に関する標準規定」が定められている。この規定内容は、煙感知器は各階に設置されるが、ある階の煙感知器が動作した場合、その動作信号に基づいて当該階の防火シャッターのみが動作すること。さらに、防火シャッターとの連動管制運転は、防火シャッターが閉じ始めて200mm程度降りたときに開始される。避難階以外の階の防火シャッターが閉じ始めたときは、エレベータは当該階から強制的に第一避難階に直行し乗客を降ろす。さらに、第一避難階の防火シャッターが閉じ始めたときは、第二避難階,つまり避難階に準ずる階で避難経路が確保されている階に強制的に直行し乗客を降ろすことが規定されている。その後、上記何れの場合でも利用客が降りた後、一定時間後に乗りかご内の照明を消灯するともに戸閉し休止する。
【0005】
従って、このようなエレベータ設備においては、防火シャッター等の連動管制運転が可能な構成となっているが、火災管制下における管制運転オペレーションとしては、防火シャッターの動作信号の受け渡しに基づき、万一第一避難階の防火シャッターが動作した場合、その運転状況によりオペレーションモードが異なるが、基本的にはエレベータは第二避難階に強制的に運転し、以後休止状態に入ることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述する火災管制運転及びその下位管制にあたる防火シャッター連動管制運転は、何れも緊急性の観点からエレベータ利用客を速やかに避難階に避難させるためにエレベータを避難階に直行させ、乗りかごから利用客を退避させることが主目的である。
【0007】
しかしながら、前述する防火シャッター連動管制運転の場合、平常運転時にたまたま第一避難路での呼び応答着床中に火災管制が発生し戸開モードに入った時、若しくは同じく第一避難階での戸開中に火災管制運転が動作した時、何れも第二非難階に向かうために戸閉し火災管制運転を継続するが、万一エレベータ利用者等が戸開中に乗りかごに乗り遅れてしまった場合、最悪、第一避難階のエレベータホールに取り残されてしまう可能性がある。このとき、火災管制運転中は、エレベータホールのかご呼び登録が禁止状態となっているので、ホールに取り残されたエレベータ利用者は外部に助けを求めることができなくなり、また外部からもホールに残されている利用者の状況を全く把握できなくなる。この場合、火災発生事態を考えれば、取り残された利用者の救出が非常に難しくなり、大惨事に陥る恐れが大きくなる。
【0008】
本発明は以上のような事情にかんがみてなされたもので、エレベータ利用者がエレベータホールに取り残された事態が発生しても、エレベータによる救出を容易にし、人的被害を未然に回避可能とするエレベータ制御システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記課題を解決するために、エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させる本発明に係るエレベータ制御システムは、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合に前記エレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段と、前記防火シャッターの動作時、エレベータが前記防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を許容して前記利用客を救助するリオープン救助運転制御手段とを設けた構成である。
【0010】
この発明は以上のような構成とすることにより、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を許容して利用客を救助するので、第一避難階のホールに取り残される利用客を極力減らすことが可能となる。
【0011】
(2) また、本発明は、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合に前記エレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段と、この避難階緊急運転制御手段による前記第二避難階への運転に先立ち、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯する利用客点灯誘導手段とを設ければ、エレベータが第一避難階から第二避難階に向かった後であっても、ホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯するので、取り残された利用客をホール呼び登録釦の操作を誘導させることができ、ひいては外部で何らかの方法でホールに取り残されている利用客を把握することが可能となる。
【0012】
なお、前記(2)の構成に新たに、ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、エレベータを前記第一避難階に向かわせるための救出運転を行う残利用客救助制御手段を設ければ、エレベータホールに取り残された利用客の閉じ込めを極力無くすことが可能である。
【0013】
さらに、前記(2)の構成に新たに、ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、外部監視系に利用客が取り残されている状況を発報する外部自動発報手段を設ければ、外部からエレベータホールに取り残されている利用客の救出を迅速に対応することが可能である。
【0014】
(3) さらに、本発明は、エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させる本発明に係るエレベータ制御方法は、エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階か否かを判断するステップと、このステップにより防火シャッター動作開始階が第一避難階である場合、所定の第二避難階に戸閉完了した時、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯するステップとを有する方法である。
【0015】
この発明は、以上のような方法を採用することにより、取り残された利用客をホール呼び登録釦の操作を誘導させることができ、ひいては外部で何らかの方法でホールに取り残されている利用客を把握することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明に係るエレベータ制御システムの一実施の形態を説明するハード的な構成図である。
【0018】
このエレベータ制御システムは、火災等の緊急事態に応じた所要の情報を出力する緊急情報発生系10と、この緊急情報発生系10からの情報に基づいてエレベータを緊急運転処理を実行する管制運転制御部20と、外部監視系30とによって構成されている。
【0019】
この緊急情報発生系10は、エレベータホールの天井などに取付けられた火災時煙感知器(図示せず)に連動する防火シャッター(図示せず)の動作を検出し、防火シャッター動作信号を出力する防火シャッター動作部11、火災発生を検出して火災検出信号を出力する火災検出部12及び各階のエレベータホールに取付けられるホール呼び釦13などが設けられている。このホール呼び釦13は、各階のエレベータホールに取付けられているが、本発明の要部を説明する関係から便宜上、特に火災発生時の避難階となる避難階ホール呼び釦を示している。
【0020】
この避難階ホール呼び釦13は、内部的には、ホール呼び登録釦13aと、常時はホール呼び登録釦13aが操作されたときに点灯し、乗場のホール呼び登録の禁止状態にある火災管制運転中、所定の時間にわたって自動的に点滅又は点灯するホール呼び登録ランプ13bとが設けられている。
【0021】
前記管制運転制御部20は、防火シャッター動作部11から出力される防火シャッター動作信号を検出する防火シャッター検出部21と、避難階ホール呼び釦13を構成するホール呼び登録釦13aの操作によるホール呼び登録信号を出力するとともに、ホール呼び登録ランプ13bを点灯するホール呼び釦入出力部22と、これら防火シャッター検出部21、ホール呼び釦入出力部22とはバスラインで接続され、火災発生時、かつ、所定の避難階の防火シャッター動作時に利用客の緊急避難運転を実行するCPUで構成される火災管制モジュール23と、所要とする各種の設定データ,例えば時間データ、リオープン回数設定値データ等を記憶する設定メモリ24と、トラブル監視モジュール25とが設けられている。
【0022】
前記防火シャッター検出部21は、所定の避難階の防火シャッター動作部11から防火シャッター動作信号を受けると、当該防火シャッター動作信号を火災管制モジュール23に転送する。これにより、火災管制モジュール23は避難階の防火シャッターが動作し始めたことを検出できる。
【0023】
前記火災検出部12は、建物側の各階に設置される火災検知器などに相当するものであって、火災発生を検出すると、火災検出信号を火災管制モジュール23に送出する。この火災管制モジュール23は、火災検出部12から火災検出信号を受けると、一般的な火災管制オペレーションが行われる。つまり、火災管制モジュール23は、避難階への帰着運転を実行する。
【0024】
前記火災管制モジュール23は、所定のプログラムに従って一連の処理を実行するものであって、火災検出信号、防火シャッター動作信号などのチェック、火災発生時、かつ、所定の避難階の防火シャッター動作時に緊急避難運転(火災管制モード)に従ってエレベータを運転制御する。
【0025】
この火災管制モジュール23は、機能的には、図2に示すように火災発生時、防火シャッターの動作開始に伴い、乗場呼び及びかご呼びを無効にするとともに、前記防火シャッター動作開始階が第一避難階以外の階である場合にエレベータを第一避難階に緊急運転する第一避難階緊急運転制御手段231、防火シャッター動作開始階が第一避難階である場合にエレベータを第二避難階に緊急運転する第二避難階緊急運転制御手段232、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中であるとき、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作を条件に所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を繰り返すリオープン救助運転制御手段233、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階から第二避難階に向かう際、第一避難階のホール呼び登録釦を自動的に点滅又は点灯し、ホールに取り残されている利用客のかご呼び登録を誘導する利用客点灯誘導手段234、ホールに取り残されている利用客からかご呼び登録の操作が行われたとき、第一避難階に救出運転を行う残利用客救助制御手段235、ホールに取り残されている利用客からかご呼び登録の操作が行われたとき、外部監視システムに自動的に利用客が取り残されている状況を発報する外部自動発報手段236等が設けられている。
【0026】
前記トラブル監視モジュール25は、火災管制モジュール23と連携を取りながら、前記火災検出信号、防火シャッター動作信号などのチェック結果信号、緊急避難運転時の情報を外部に出力する他、ホールに取り残された利用客によるホール呼び登録釦13のかご呼び登録の操作に基づき、外部監視系30に利用客が取り残されている状況を発報する機能をもっている。
【0027】
前記外部監視系30は、小規模ビルやマンション等の管理人室などに設置される監視センター31の他、避難階のホールに取り残されている利用客の存在等を信号又はメッセージで送信する遠隔監視装置32、電話回線を含むネットワーク33及び保守会社,セキュリティ会社などに設置される監視システム34が設けられている。
【0028】
一般に、小規模ビルやマンション等では管理人室が設けられており、この管理人室等に監視センター31を設置すれば、火災発生状態その他必要な状況を監視できるが、小規模ビルやマンション等では無人であったり、管理人も常駐とは限らない。また、管理人や監視員が常駐してもエレベータの保守等に未熟な場合もありうる。そこで、第一避難階のホールに取り残されている利用客の存在等が把握された場合、利用客が取り残されている状況信号又はメッセージを送信し、迅速な対応を図るために保守会社,セキュリティ会社などの監視システム34に自動発報する構成となっている。
【0029】
次に、以上のようなエレベータ制御システムの動作及び本発明に係るエレベータ制御方法について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は従来から一般的に行われている処理動作である。
【0030】
火災管制モジュール23は、火災検出部12から出力される火災検出信号から火災発生を検出すると(S1)、各階のホール天井などに取付けられる煙感知器の動作によってエレベータ乗場戸の直前に設置される防火シャッター等が閉じ始めたか否か、つまり防火シャッター検出部21から防火シャッター動作信号を受信したか否かを確認する(S2)。ここで、防火シャッター動作信号を受けていない場合には再度ステップS2に戻り、防火シャッター動作信号を受信するまで繰り返し確認する。
【0031】
ステップS2において防火シャッター等が閉じ始めたと判断された場合、エレベータが平常運転中か、エレベータ点検中等であるかを判断する(S3)。エレベータが点検中等であれば、防火シャッター等との連動管制運転を実施しない(S4)。一方、エレベータが平常運転中であれば、火災管制オペレーションに入り、エレベータの利用を拘束するために、乗りかご内部からの乗場呼び登録やホールからのかご呼び登録を全て無効にする(S5)。
【0032】
引き続き、防火シャッター等の動作開始階が予め設定される火災管制時のエレベータ利用者を避難させる乗りかご帰着階である第一避難階か、或いは第一避難階以外の階かを判断する(S6)。この判断の結果、第一避難階である場合には図4に移行するが、もし第一避難階以外の階である場合には現在エレベータが避難階に向かって運転中か否かを判断し(S7)、避難階に向かって運転中の場合にはそのまま当該第一避難階に直行し(S8)、第一避難階に向かって走行中でない場合には最寄階に一旦停止し、その運転方向が逆の場合には戸開せずに方向転換し(S9)、同様に避難階に直行する(S8)。
【0033】
そして、当該避難階に着床停止した後(S10)、戸開して利用者を避難させ(S11)、一定時限後に戸閉するが(S12)、この戸閉中又は戸閉後所定時間内に乗りかご内の戸開きボタンが操作されたか否かを判断し(S13)、戸開きボタンが操作された場合には再度戸開し(S14)、ステップS12に戻って同様の操作を繰り返す。一方、戸開きボタンが操作されない場合、最終的に運転休止となる(S15)。これらステップS1〜S15は第一避難階緊急運転制御手段に相当する。
【0034】
ところで、ステップS6において、防火シャツター等の動作開始階が第一避難階であると判断された場合、本発明において新たに追加された図4に示す処理動作に移行する。すなわち、もし防火シャツター等の戸閉め動作階が第一避難階である場合、当該避難階を変更するべくすべく火災管制オペレーション変更を実施するため、該当エレベータの運転状況が第二避難階へ走行中か否かを判断する(S16)。
【0035】
このとき、エレベータの運転中の目的階が偶然にも第二避難階であれば、当該第二避難階に直行し(S17)、着床停止後(S18)、エレベータ利用客を降ろした後、戸閉し運転休止となる(S15)。
【0036】
しかし、火災発生後、ステップS6において第一避難階の防火シャッターが動作しているにも拘らず、エレベータが第二避難階に向かって走行していない場合(S16)、当該エレベータが第一避難階への着床準備中、若しくは着床中であるか否かを判断する(S19)。ここで、エレベータが第一避難階に着床準備中、若しくは着床中でない場合には他の目的階への運転中となるので、その運転方向が第二避難階の方向か否かを判断し(S20)、第二避難階の方向であれば、ステップS17に移行し、第二避難階と逆方向の場合には第一避難階以外の最寄階に一旦停止し、戸開せずに方向転換し(S21)、第二避難階に直行しエレベータ利用者を降ろした後、運転休止とする(S17,S18,S15)。このステップS16〜S21は第二避難階緊急運転制御手段に相当する。
【0037】
ところで、ステップS19において、火災発生後、偶然にも第一避難階の防火シャッターが動作し始めているにも拘らず、第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、着床停止による戸開閉動作中であるか否かを判断し(S22)、未だ戸開閉動作中でなければ第一避難階に停止し(S23)、一旦戸開する(S24)。そして、この戸開後及びステップS22において着床停止戸開閉動作中であれば、一定時限後に戸閉めを開始するが(S25)、この戸閉め中又は戸閉め完了後の所要時間中に第一避難階のホール呼び登録釦13aが操作されたか否かを判断し(S26)、ホール呼び入出力部22からホール呼び登録釦13aの操作信号が受けている場合にはカウンタ(図示せず)に+1をインクリメントし、予め設定メモリ24に設定されているリオープン設定回数とを比較し、リオープン設定回数に達したか否かを判断し(S27)、リオープン設定回数に達しない場合にはステップS24に移行し、同様の処理を繰り返し実行し、第一避難階のホールに残っているエレベータ利用者を乗りかごに乗車させる。一方、第一避難階のホール呼び登録釦13aが操作されない場合及び戸開閉がリオープン設定回数に達した場合には戸閉めが完了したか否かを判断する(S28)。このステップS19,S22ないしS28は第一避難階でのリオープン救助運転制御手段に相当する。
【0038】
以上のようにして戸閉めを完了したと判断した場合、火災管制モジュール23は、ホール呼び釦入出力部22を介してホール呼び釦13を構成する第一避難階のホール呼び登録ランプ13bを点滅又は点灯させることにより、第一避難階のホールに取り残されている利用客が確実にホール呼び登録釦13aを操作するように誘導する(S29:利用客点灯誘導手段)。
【0039】
しかる後、火災管制モジュール23は、戸閉された乗りかごを第一避難階から第二避難階に向けて運転し(S30)、当該第二避難階に停止着床し(S31)、利用客を降ろす。そして、利用客を降ろした後、所定時間の間繰り返し第一避難階のホール呼び登録釦13aが操作されたか否かを判断し(S32,S33)、ホール呼び登録釦13aの操作が所定時間行われていない場合にはステップS15に移行し運転休止とし、所定時間以内にたまたま第一避難階のホール呼び登録灯13bを点滅によって誘導された第一避難階のホールに取り残された利用客がホール呼び登録釦13aを操作した場合、火災管制運転を一旦解除し(S34)、エレベータを第一避難階に向かう救出運転を開始し(S35)、当該第一避難階に着床戸開し(S36)、第一避難階のホールに取り残された利用客が乗るであろう一定時間後に戸閉め完了を確認し(S37)、ステップS29に移行し、再び第二避難階に運転する。これらステップS32〜S37は残利用客救助制御手段に相当する。
【0040】
なお、火災管制モジュール23は、第一避難階のホール呼び登録灯13bの点滅により誘導された第一避難階のホールに取り残された利用客がホール呼び登録釦13aを操作した場合、自動的にトラブル監視モジュール24を経由し、若しくは直接に監視センター31に利用客が取り残されている状態を発報し、さらに監視センター31が存在しないとか管理人室に管理人がいない場合があるので、同じくトラブル監視モジュール24を経由し、若しくは直接に遠隔監視装置32に利用客が取り残されている状態信号或いは音声メッセージを送信し、当該遠隔監視装置32からネットワーク33を介して監視システム34に自動発報する。
【0041】
従って、以上のような実施の形態によれば、防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合にエレベータを第二避難階に運転するが、エレベータが防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦13の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を繰り返すので、エレベータホールに取り残される利用客を極力無くすことができ、大惨事を未然に回避することができる。
【0042】
また、防火シャッターの動作開始階である第一避難階から第二避難階に向かうために戸閉した時、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦13を所定時間点滅又は点灯するので、当該ホールに取り残されている利用者は点滅又は点灯からホール呼び登録釦13を促していることが分かり、当該ホールに取り残されていることを知らせることができる。
【0043】
さらに、ホールに取り残されている利用者がホール呼び登録釦13を操作したとき、エレベータを第一避難階に向かわせるための救出運転を実行するので、ホールに取り残されている利用者を救出することができる。
【0044】
また、前述するようにホールに取り残されている利用者がホール呼び登録釦13を操作したとき、外部監視系30に利用客が取り残されている状況を発報することから、エレベータ設備に熟練を有する保守員等を迅速に緊急派遣でき、利用者の救出処理を実行できる。
【0045】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。上記実施の形態では、火災管制モジュール23にトラブル監視モジュール25を接続し、当該トラブル監視モジュール25を通して外部監視系30に発報する構成としたが、トラブル監視モジュール25を除去し、火災管制モジュール23から外部監視系30に直接発報する構成であってもよい。
【0046】
また、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エレベータ利用者がエレベータホールに取り残された事態が発生しても、利用者を容易に救出でき、人的被害を未然に回避できるエレベータ制御システム及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベータ制御システムの一実施の形態を示す構成図。
【図2】図1に示す火災管制モジュールの機能構成を示すブロック図。
【図3】エレベータ制御システムの動作を説明するフローチャート。
【図4】エレベータ制御システムの動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
10…緊急情報発生系、11…防火シャッター動作部、12…火災検出部、13…ホール呼び釦、13a…ホール呼び登録釦、13b…ホール呼び登録ランプ、20…管制運転制御部、23…火災管制モジュール、24…設定メモリ、30…外部監視系、31…監視センター、32…遠隔監視装置、34…保守会社等の監視システム、231…第一避難階緊急運転制御手段、232…第一避難階緊急運転制御手段、233…リオープン救助運転制御手段、234…利用客点灯誘導手段、235…残利用客救助制御手段、236…外部自動発報手段。
Claims (7)
- エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させるエレベータ制御システムにおいて、
エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合に前記エレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段と、前記防火シャッターの動作開始時、エレベータが前記防火シャッター動作開始階である第一避難階に着床準備中、若しくは着床中である場合、当該第一避難階のホール呼び登録釦の操作のもとに所定回数又は所定時間の間、エレベータ乗りかごの戸開閉を許容して前記利用客を救助するリオープン救助運転制御手段とを設けたことを特徴とするエレベータ制御システム。 - エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させるエレベータ制御システムにおいて、
エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階である場合に前記エレベータを第二避難階に運転する避難階緊急運転制御手段と、この避難階緊急避難運転制御手段による前記第二避難階への運転に先立ち、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯する利用客点灯誘導手段とを設けたことを特徴とするエレベータ制御システム。 - 請求項2に記載のエレベータ制御システムにおいて、
前記ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、前記エレベータを前記第一避難階に向かわせるための救出運転を行う残利用客救助制御手段を設けたことを特徴とするエレベータ制御システム。 - 請求項2に記載のエレベータ制御システムにおいて、
前記ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、外部監視系に利用客が取り残されている状況を発報する外部自動発報手段を設けたことを特徴とするエレベータ制御システム。 - 請求項4に記載のエレベータ制御システムにおいて、
前記外部監視系は、前記建物の管理人室,監視センター室等に設置される監視センターの他、保守会社,セキュリティ会社等に設置される監視システムであることを特徴とするエレベータ制御システム。 - エレベータの稼動中に建物で火災が発生した場合、建物内の利用客を所定の避難階に避難させるエレベータ制御方法において、
エレベータ昇降路を防火区画とする防火シャッターの動作開始階が第一避難階か否かを判断するステップと、このステップにより防火シャッター動作開始階が第一避難階である場合、所定の第二避難階に戸閉完了した時、当該第一避難階のホールに設けられるホール呼び登録釦を所定時間点滅又は点灯するステップとを有することを特徴とするエレベータ制御方法。 - 請求項6に記載のエレベータ制御方法において、
前記ホール呼び登録釦からかご呼び登録の操作が行われた場合、前記エレベータを前記第一避難階に向かわせるための救出運転を行うステップを設けたことを特徴とするエレベータ制御方法。
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