JP2004265670A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁誘導加熱方式の加熱装置において、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材およびその近傍において該誘導発熱体の電磁誘導発熱を抑える。
【解決手段】磁束発生手段5・6と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体7を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段5,6から誘導発熱体7に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材3と、誘導発熱体7を回転可能に支持する支持部材21a・21bの位置関係を、支持部材21a・21bが誘導発熱体7を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体7に作用する磁束を磁束遮蔽部材3によって遮蔽する位置とする。
【選択図】図1
【解決手段】磁束発生手段5・6と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体7を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段5,6から誘導発熱体7に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材3と、誘導発熱体7を回転可能に支持する支持部材21a・21bの位置関係を、支持部材21a・21bが誘導発熱体7を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体7に作用する磁束を磁束遮蔽部材3によって遮蔽する位置とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機・プリンター・ファクシミリなどの画像情報記録装置(画像形成装置)において未定着画像を加熱・加圧定着させるための画像加熱定着装置として用いて好適な、特に電磁(磁気)誘導加熱方式の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置を例にして説明する。
【0003】
画像形成装置における画像加熱定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真・静電記録・磁束記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(顕画剤)を用いて被加熱材としての記録材の面に直接方式若しくは間接(転写)方式で形成した未定着のトナー画像を記録材面に永久固着画像として加熱定着処理する装置である。
【0004】
従来、そのような画像加熱定着装置として、熱源内臓ローラ方式、誘導加熱方式等の各種装置がある。
【0005】
熱源内臓ローラ方式は、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定着温度に加熱・温調した定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの回転ローラ対からなり、該ローラ対の圧接ニップ部(定着ニップ部)に被加熱材としての、未定着トナー画像を形成担持させた記録材を導入して挟持搬送させることで未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着する装置である。
【0006】
しかしながら、この装置は定着ローラの熱容量が大きくて、加熱に要する電力が大きい、ウエイトタイム(装置電源投入時からプリント出力可能状態になるまでの待ち時間)が長い等の問題があった。また、定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。
【0007】
その対策としては、定着ローラの肉厚を薄くして、定着ローラの熱容量を低減することが行われている。しかしながら、熱容量を低減した薄肉定着ローラでは、長尺方向(定着ニップ部長手方向)の熱流が阻害されるため、小サイズ記録材を通紙した場合に非通紙部での過昇温(非通紙部昇温)が発生して、定着ローラや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0008】
その対策の一つとして、ハロゲンランプ等の熱源を用いた定着装置では、定着ローラ長手方向の発光位置の分布の異なるハロゲンランプを複数用いる構成がある。複数のハロゲンランプの発光タイミングを紙サイズごとに設定し、該タイミングでハロゲンランプを発光制御することによって非通紙部昇温対策としている。しかしながら、この方式では、ハロゲンランプのON/OFFによる制御が行われるために、高周波フリッカーの対策が取り扱いには必要なる。高周波フリッカー対策の提案の一つとして次に述べる誘導加熱方式が近年、注目されている。
【0009】
誘導加熱方式は、加熱体として誘導発熱体を用い、誘導発熱体に磁場発生手段で磁場を作用させて誘導発熱体に発生する渦電流に基づくジュール発熱で被加熱材としての記録材に熱を付与して未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着処理する装置である。
【0010】
従来、例えば、特許文献1には、強磁性体の定着ローラを誘導加熱する熱ローラ方式の装置が開示されており、発熱位置を定着ニップ部に近くすることができ、ハロゲンランプを熱源として用いた熱源内臓ローラ方式の装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0011】
しかしながら、定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。定着ローラの熱容量を低減することが、この問題の一つの解決方法である。たとえば、定着ローラの肉厚を薄くすることである。
【0012】
また、例えば、特許文献2には、熱容量を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)を用いた誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0013】
しかしながら、熱容量を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)でも、熱ローラ同様に、非通紙部昇温が発生し、定着フィルムや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0014】
また、例えば、特許文献3・4に、定着ローラ(フィルム)の長手方向に関する磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の密度分布を変化せしめる磁束調整手段を有することを特徴とする加熱装置が開示されている。この誘導加熱方式の定着装置により、非通紙部昇温を解決する一つの方法が示された。
【0015】
上記特許文献3・4の定着装置はフィルム状の誘導発熱体を加熱させた構成を実施例としているが、円筒状の誘導発熱体を定着ローラにした構成に対しても非通紙部昇温の問題の対策として効果があると考えられる。
【0016】
その他の非通紙部昇温を解決する方法としては、小サイズ記録材を通紙したときに定着スピードを遅くする方法もある(スループットダウン)。定着スピードを遅くすることで、定着ローラの端部方向(非通紙部)への熱移動時間を設けている。しかし、この方法では画像形成装置の生産性を低下することになっている。
【特許文献1】
特公平5−9027号公報
【特許文献2】
特開平4−166966号公報
【特許文献3】
特開平9−177889号公報
【特許文献4】
特開平10−74009号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように周知の熱ローラ方式、電磁誘導加熱方式の画像加熱定着装置では、一般に、次のような問題を抱えている。
【0018】
定着ローラを支持するベアリングは定着ローラの熱により、高温状態に常にさらされている。そのため、高耐熱性のグリスを用いた高価なベアリングを使用している。
【0019】
定着ローラとベアリングの間に断熱性と耐熱性を兼ね備えた樹脂からなる断熱ブッシュを用いることで、ベアリングへの温度伝導を妨げ、ベアリングの寿命低下を防止している。
【0020】
さらに、従来では、定着ローラ端部周辺では多くの放熱により、定着装置の消費電力アップの要因になっている。特に、定着ローラの支持部(ベアリング部)を介してベアリング支持側板への熱伝導が問題となる。
【0021】
ところで、従来のハロゲンランプの非通紙部昇温では、ハロゲンランプのON/OFFによる制御が行われるために、高周波フリッカーの対策が必要になり、コストアップの要因になっている。
【0022】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、電磁誘導加熱方式の加熱装置において、磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材およびその近傍において該誘導発熱体の電磁誘導発熱を抑えることのできる加熱装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置である。
【0024】
磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を磁束遮蔽部材によって遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
【0025】
このような構成において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束は支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍において磁束遮蔽部材により遮蔽される。これにより、支持部材の支持部およびその近傍の誘導発熱体の電磁誘導発熱が抑えられることから、支持部材への熱ダメージを低減できるとともに、支持部材を介しての熱伝導も低減できる。支持部材への熱ダメージの低減作用によって支持部材の長寿命化を図れ、また支持部材を熱から保護するための断熱部材(断熱ブッシュ)が不要となって装置構成の簡略化および装置の低コスト化を図れる。また、支持部材を介しての熱伝導の低減作用によって支持部材の支持部に対応した誘導発熱体端部からの放熱を低減できて省電力化を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
〔第一の実施例〕
図1〜図4に、本発明に係る加熱装置として、電磁誘導過熱方式の画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)の一例を示す。図1は第一の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向(定着ローラ軸方向)における概略構成を示す断面図、図2は同装置の定着ロ−ラ径方向における概略構成を示す断面図、図3は同装置における磁束調整加熱アセンブリの構成分解斜視図である。
【0027】
本例の定着装置は、磁束調整加熱アセンブリ1、定着ローラ7、加圧ローラ8を主体として構成され、磁束発生手段を定着ローラの内部に配置することで定着ローラを加熱する誘導加熱方式の定着装置である。
【0028】
定着ローラ7は両端部を支持部材21a・21bによって回転可能に支持側板25a・25bにそれぞれ支持されている。支持部材としては、ボールベアリング(以下ベアリングと称す)などが一般的である。
【0029】
第一の実施例の定着装置では、ベアリングを熱から保護するためのベアリング断熱部材(断熱ブッシュ)を無くした構成にした。本発明は断熱ブッシュの有り無しを限定するものではない。
【0030】
磁束調整加熱アセンブリ1は、磁束発生手段としての励磁コイル5(以下コイルと称す)と磁性体コア6(以下コアと称す)、コイル5とコア6を保持するホルダー(保持部材)2、およびホルダー2の両端部を回動軸として矢示a・bの反時計方向又は時計方向に回動移動自由に配設した、磁束調整手段である円弧状の磁束遮蔽板3などからなる。
【0031】
磁束発生手段は、定着ローラ7の内部にコイル5とT字型コア6が配置されている構成である。コイル5とコア6はホルダー2に保持され、ホルダーフタ19で覆われている。
【0032】
コイル5は定着ローラ7の長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、定着ローラの内面に沿うようにホルダー2の内部に配置されている。コア6はコイル5の巻き中心部にある第一コア6a(垂直部)と上部に第二コア6b(水平部)が配置されてT字型コアを構成している。
【0033】
コイル5としては加熱に十分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。コイルの芯線としては、φ0.1〜0.3mmの細線を略80〜160本程度に束ねたリッツ線を用いている。細線には絶縁被覆電線を用いている。本例ではコイル5として、コア6aを周回するように8〜12回巻回してコイル5を構成したものが使われる。コイル5には不図示の励磁回路が接続されており、該回路を介して交番電流をコイル5へ供給できるようになっている。
【0034】
コア6にはフェライト、パーマロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低い材質のものを用いると良いが、磁束を発生できるものであれば良く特に規定するものではない。コアの形状・材質は上記のものに規定されるものではない。例えば、第一コア6a、第二コア6bを一体成形でT字型にしても本発明の効果を得ることができる。
【0035】
誘導発熱体としての円筒状の定着ローラ7は、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性の金属を用いることが良い。強磁性の金属(透磁率の大きい金属)を使うことで、磁束発生手段5・6から発生する磁束を強磁性の金属内により多く拘束させることができる。すなわち、磁束密度を高くすることができる。それにより、効率的に強磁性金属の表面(定着ローラ表面)にうず電流を発生させ、該表面を発熱させられる。
【0036】
本発明は、磁束発生手段としてのコイル5とコア6、誘導発熱体としての定着ローラ7の形状・材質を限定するものではない。
【0037】
定着ローラ7の肉厚は、略0.3〜2mm程度にすることで熱容量を低減している。定着ローラ7の外側表面には不図示のトナー離型層がある。一般にはPTFE10〜50μmやPFA10〜50μmで構成されている。また、トナー離型層の内側にはゴム層を用いる構成にしても良い。
【0038】
定着ローラ7の一端には定着ローラギア18が取り付けられ、該ギアは不図示の駆動モータにより回転される。
【0039】
加圧ローラ8は鉄製の芯金の外周に、シリコーンゴム層と定着ローラと同様にトナー離型層を設けた構成である。
【0040】
本例の定着装置における定着ローラ長手方向の磁束調整手段は、磁束遮蔽部材3、ホルダー2、遮蔽ギア11、ブッシュ14が主な構成要素である。これらの構成要素のうち、ホルダー2と磁束遮蔽部材3は定着ローラ7の内部に配置される。磁束調整手段は上記構成要素に限定されるものではなく、必要に応じて所定部材を適宜に選択してよい。また、第一の実施例ではコイル5とコア6を保持しているホルダー2の両端支持部を磁束遮蔽部材3の回動中心にした構成を示すが、後述する第四の実施例でも分かるように他の構成でも本発明の効果は変わらない。
【0041】
ホルダー2の両端部は磁束遮蔽部材3を回動自在に支持するために軸形状である。ホルダー2はコイル5とコア6を保持する機能と、磁束遮蔽部材3を回動支持する機能を備えている。
【0042】
ホルダー2の支持軸2aには、磁束遮蔽部材3を回動するための遮蔽ギア11が設けられ、逆側の支持軸2bには磁束遮蔽部材3の摺動性を良くするためにブッシュ14が設けられ、それぞれスラスト止め輪12、16でスラスト方向が規制されている。
【0043】
ホルダー2は、非磁性、電気絶縁性および高耐熱性の物質で作られる。例えば、ホルダー2の材質としては、耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加したものを用いている。もちろん非磁性である。ホルダーが磁性材料であると、電磁誘導によりホルダーが発熱して定着ローラの発熱効率が落ちてしまう。
【0044】
ホルダーの材質には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの物質が適している。
【0045】
ブッシュ14・遮蔽ギア11の材質についてもホルダーと同様である。この中でも特に摺動性の良い材質のものを選ぶと良い。たとえば、ポリアミドイミド系樹脂、PFA系樹脂、PEEK系樹脂などがある。
【0046】
磁束遮蔽部材3は非磁性かつ良電気導電性の部材で構成されている。非磁性部材にすることで磁束を遮断する効果がある。良電気導電性部材にすることで磁束遮蔽部材自身の電磁誘導の発熱を抑える効果がある。本例では、アルミニウム合金を用いたが、銅・マグネシウム・銀などの合金でもよい。
【0047】
磁束遮蔽部材の厚さは、略0.3〜1.0mm程度でよい。薄すぎると、磁束遮蔽部材自身が電磁誘導発熱する。また、強度不足にもなる。逆に厚すぎると、磁束遮蔽部材の熱容量が増加して定着ローラを温めるとき逆に熱を奪ってしまい、ウエイトタイムの増加につながる。
【0048】
図1及び図3に示すように、磁束遮蔽部材3はベアリング部21a・21b近傍の両端部に定着ローラ7を通る磁束線を遮蔽するための円筒形状の遮蔽部3c・3dを有する。図では遮蔽部3c・3dはベアリング21a・21bの対向部(近傍)に設けてある。遮蔽部3c・3dを円筒形状に形成することにより、磁束発生手段によって発生する磁束の流れをベアリング部21a・21b及びその近傍で遮蔽する。
【0049】
また、磁束遮蔽部材3には被加熱材としての記録材(用紙)の紙サイズに対応した段階的に変化している形状の切り欠き部3g・3hを設けてある。図では、例えば、磁束遮蔽部材3の長手方向において、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)の内側に、該紙サイズ幅Aより小さい紙サイズ幅Bに対応した切り欠き部3gを設け、さらに紙サイズ幅Bの内側に、該紙サイズ幅Bより小さい紙サイズ幅Cに対応した切り欠き部3hを設けている。上記切り欠き部3gによって紙サイズ幅Aの内側両端に紙サイズ幅Bに応じた遮蔽部(非通紙部)3i・3jを形成し、上記切り欠き部3gによって紙サイズ幅Bの内側両端に紙サイズ幅Cに応じた遮蔽部(非通紙部)3k・3lを形成している。
【0050】
したがって、本例の磁束遮蔽部材3は、紙サイズに応じた遮蔽部3i・3jと3k・3lが段階的に変化している形状である。
【0051】
ホルダー支持軸2a側では、磁束遮蔽部材3の一端部に設けられた切り欠き部を有する異型穴3aと遮蔽ギア11の円筒部11bが嵌合する。遮蔽ギアの円筒部11bに形成された突起部11aと磁束遮蔽部材3のU字型穴部3a’が嵌合していることで、遮蔽ギア11が回動すると磁束遮蔽部材3が遮蔽ギア11に同期して回動する。遮蔽ギア11には駆動手段20から回転駆動が与えられる。駆動手段20はモータなどの駆動源であれば良く、本発明は駆動手段の構成に依存するものではない。たとえば、駆動手段として、ソレノイドなどのアクチュエータと、該アクチュエータの作動を回転運動に変換して遮蔽ギア11に伝達するリンク機構などの運動伝達機構とによって、遮蔽ギアを回動させてもよい。
【0052】
ホルダー支持軸2b側は、コイル5へ電力を供給しているコイル供給線15のガイドを兼ねた形状をしている。ホルダー支持軸2bを中空パイプ形状にすることで、その内部を通してコイル供給線15を引き出している。ホルダー支持軸2bには磁束遮蔽部材3の他端側に設けられた保持穴3bがブッシュ14の円筒部14aに回転可能に嵌合している。コイル供給線15の端部には、コネクタ部15aが設けられ、電力制御装置25に接続する構成である。コイル5には、電力制御装置25で不図示の励磁回路が制御されることにより、コイル供給線15を介して交番電流が供給される。
【0053】
ホルダー2は支持軸2a側がホルダー支持側板13で支持され、支持軸2b側がホルダー支持側板17で支持されている。支持軸2aとホルダー支持側板13との嵌合部の形状は、D字型状(Dカット)で嵌合する構成である。D字型状にすることで、ホルダー2を定着ローラ円周方向において位置決めをしている。これにより、ホルダー2は支持軸2a・支持軸2bの軸中心2c(図3参照)が定着ローラ7の回転軸中心7c(図1参照)と同軸上に位置するように位置決めされる。
【0054】
本例の定着装置において、磁束遮蔽部材3は、円筒形状の遮蔽部3c・3dにより定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線を遮蔽することで、ベアリング近傍の定着ローラ端部の発熱を緩和し、ベアリング21a・21bの温度昇温を防止する。
【0055】
また、磁束遮蔽部材3は、紙サイズに対応した角度分だけ駆動手段20により所定方向に所定角度回転されて、磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状の遮蔽部3e・3fと3g・3hがコア6aの対向部に回動移動される。この遮蔽部によってコア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を遮蔽することで、その遮蔽部分において定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0056】
本例に示す磁束遮蔽部材3では、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの2段階の磁束調整が可能である。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをB4幅(257mm)、紙サイズ幅CをA4R幅(210mm)である。この場合、切り欠き部の全長を、それぞれの紙サイズ幅A・B・Cに対応した、段階的に変化している切り欠き幅(紙サイズ幅)にする。どのような紙サイズにするかは、定着装置が搭載される画像形成装置の仕様によって決められる。また、磁束遮蔽部材3の遮蔽部(又は切り欠き部)は、2段階に限ったものでは無く、非通紙部昇温が起こるサイズによって、その都度に段階的に変化している遮蔽部(又は切り欠き部)を増減して設けることができ、1つでも、3つ以上設けても、紙サイズに応じた非通紙昇温防止効果を得ることができる。
【0057】
本例の定着装置では、上述したように、コイル5及びコア6を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3において、ホルダー支持軸2aで磁束遮蔽部材3の一端側を保持し、ホルダー支持軸2bで磁束遮蔽部材3の一端側を保持することから、ホルダー2と磁束遮蔽部材3とが一つのコンパクトなアセンブリ(ユニット)として構成される。これにより、装置の組立工程においてホルダー2と磁束遮蔽部材3との組立て性の向上を図れ、メンテナンス時においては定着ローラ7の交換性(サービス性)の向上を図れる。
【0058】
本例に示す定着装置においては、図1及び図2に示されるように、前記アセンブリ1を内包する定着ローラ7と加圧ローラ8は互いに上下に圧接され不図示の装置筐体に組み込んで、両者7・8間に所定幅の定着ニップ部(加熱ニップ部)Nを形成させてある。
【0059】
定着ローラ7は定着ローラギア18により矢示Pの時計方向に回転され、それにともない加圧ロ−ラ8も従動して矢示Qの反時計方向に回転する。
【0060】
コイル5は電力制御装置25から供給される交番電流によって交番磁束を発生し、交番磁束はコア6に導かれて定着ニップ部Nに作用し、定着ニップ部Nにおいて定着ローラ表面に渦電流を発生させる。その渦電流はローラ表面の固有抵抗によってジュール熱を発生させる。即ち、コイルに交番電流を供給することで定着ニップ部Nにおいて定着ローラ7が電磁誘導発熱状態になる。
【0061】
定着ニップ部Nの温度は不図示の温度検知センサを含む温調系により電力制御装置25からコイル5への供給交番電流が制御されることで所定の定着温度に温調制御される。
【0062】
しかして、定着ローラギア18の回転により定着ローラ7の回転がなされ、電力制御装置25からコイル6への交番電流の供給がなされて定着ニップ部Nの温度が所定温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ローラ7と加圧ローラ8との間に、被加熱材としての、未定着トナー像を担持した記録材(用紙)Sが用紙搬送路(一点鎖線)Hを矢印C方向から導入されることで、記録材は定着ローラ7の発熱で記録材と未定着トナー像が加熱されてトナー像の加熱定着がなされる。定着ニップ部Nを通った記録材は定着ニップ部の出口側で分離爪30により定着ローラの外面から分離されて搬送される。
【0063】
次に、磁気回路のイメージ図である図4を用いて、本例の定着装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する。
【0064】
磁力線Ja(二点鎖線にて図示)は磁束発生手段に電力制御装置から電力(交番電流)を入力したときの、発生した磁力線の磁気回路を示したものである。磁力線Jaは、第一コア6a(垂直部)、定着ローラ7、第二コア6b(水平部)を通過する。実際には磁力線は透磁率の高い定着ローラの内部を通るが、説明をわかりやすくするために図4のように示した。
【0065】
ここで、定着ローラ7における電磁誘導加熱による発熱ヶ所を考えてみる。
【0066】
発熱ヶ所はコイル5の対向する定着ローラ部で特に大きくなる。これは第一コア6aと第二コア6bを磁力線が行き来するように発生するために、コイル5の対向する定着ローラ部において磁束密度が高くなるためであると考えられる。このことを考慮に入れ、本例の磁束発生手段5・6は定着ニップN部およびその前方に発熱部が来るように傾いた配置にしている。さらに、定着ローラ7は回転することで、温度ムラがなく加熱される。
【0067】
磁束調整手段は上述した電磁誘導加熱原理に基づいて設けられたものである。本例の磁束調整手段は磁束遮蔽部材3によって、定着ローラ内部を行き来する磁束の通路を変化させている。これにより、定着ローラ長手方向の電磁誘導の発熱を制御するのである。
【0068】
すなわち、コア6と定着ローラ7の間に磁束遮蔽部材3を置くことで、効率的に定着ローラの発熱を緩和できるのである。特に、T字型コア6のときは、第一コア(垂直部)6aを遮蔽することが効率的である。図4(a)に示されるように、磁束線Jaは第一コア6aが第二コア(水平部)6bより密度が高く、第一コアの端部から第二コアの端部のそれぞれに分かれので、この磁気回路位置で磁束線Jaを遮蔽するのが効率的である。
【0069】
図4(a)に示されるように、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅Aのとき、磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaに影響の少ない範囲に待機している。図では磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaが存在しない位置に待機している。この位置の磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaに影響を与えないので、紙サイズ幅Aの全域幅で電磁誘導加熱による定着処理が可能である。
【0070】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Bのとき、磁束遮蔽部材3は図4(b)に示すように同図(a)に示す磁気回路Ja上に回動移動して磁束の流れを阻害する。図では磁束遮蔽部材3の遮蔽部3i及び3jが第一コア6aと対向して磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jbは遮蔽部3i(3j)の幅Ba(Bb)(図3参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Bのときに非通紙部となる遮蔽部3i(3j)の幅Ba(Bb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図4(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、遮蔽部3i・3jの幅Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅B(切り欠き部3g)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0071】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Cのときも同様である。磁束遮蔽部材3は、さらに磁気回路Ja上に回動移動する。図では磁束遮蔽部材3の遮蔽部3k(3l)が第一コア6aと対向して磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jc・Jc’は遮蔽部3k(3l)の幅Ca(Cb)(図3参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Cのときに非通紙部となる遮蔽部3iと3kの加算幅(Ba+Ca)及び遮蔽部3jと3lの加算幅(Bb+Cb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図4(b)と図4(c)に示す磁気回路Jb、Jc・Jc’のようになる。上記幅(Ba+Ca)・(Bb+Cb)の範囲で定着ローラ内部を通る磁束は、図4(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、幅(Ba+Ca)、(Bb+Cb)の範囲で電磁誘導発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅C(切り欠き部3h)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0072】
上記の各紙サイズ幅A・B・Cに応じた電磁誘導加熱による定着処理過程において、磁束遮蔽部材3の両端部の円筒形状の遮蔽部3c・3dは、磁束発生手段5・6によって発生する磁束の流れを図4(d)に示すように遮蔽する。すなわち、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線を遮蔽する。これによって、ベアリング近傍の定着ローラ端部の発熱が緩和され、ベアリング21a・21bの温度昇温が防止される。
【0073】
本例の定着装置によれば、ベアリング近傍の磁束を磁気遮蔽部材3の両端部の円筒形状の遮蔽部3c・3dによって遮蔽することで、ベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることができる。これにより、ベアリング21a・21bへの熱ダメージを低減できるので、ベアリングの長寿命化、ベアリング断熱部材を無くす構成、高耐熱性のグリスを用いないベアリングすなわち低耐熱性のグリスを用いた低価格のベアリングの使用が可能になった。
【0074】
また、ベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることで、ベアリング21a・21bをそれぞれ支持する支持側板25a・25bからの熱の逃げを少なくすることができ、発熱した熱を効率よく使うことができる。これにより、定着ローラ端部からの放熱を低減でき省電力化を実現できる。
【0075】
また、磁束発生手段を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3が一つのアセンブリ(ユニット)でコンパクトに構成されているため、省スペース化・低コスト化を図りつつ、省電力化を向上した、磁束調整手段を用いた誘導発熱方式の定着装置を実現できる。
【0076】
〔第二の実施例〕
第二の実施例の定着装置を図6、7、8を用いて説明する。
【0077】
本例の定着装置は、固定されている磁束調整手段(磁束遮蔽部材)に対して磁束発生手段が回動することで磁束調整を行う構成である。磁束発生手段、定着ローラ、加圧ローラなどは第一実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。ホルダー、磁束遮蔽部材の材質なども第一実施例と同様である。
【0078】
磁束調整手段である磁束遮蔽部材は、第一実施例の磁束遮蔽部材と異なり、二つの部材3A・3Bから構成されている(図6参照)。磁束遮蔽部材3A・3Bは図8に示すような段階的に変化している切り欠き部のある円筒形状をしている。この切り欠き部については追って説明する。二つの磁束遮蔽部材3A・3Bのうち、一方の磁束遮蔽部材3Aはホルダー2の支持軸2a側のホルダー支持板13に、他方の磁束遮蔽部材3Bはホルダー2の支持軸2b側のホルダー支持板17にそれぞれ不図示のビスで固定されている。
【0079】
本例の定着装置では、磁束発生手段であるコイル5とコア6を保持するホルダー2が、支持軸2a、2bを回動中心にして遮蔽ギア11によって回動する。遮蔽ギア11と支持軸2aは、D字形状(Dカット)の嵌合により駆動を伝えられる構成である。それにより、ホルダー2は矢印a・b方向に回動する。
【0080】
図8に示すように、磁束遮蔽部材3A・3Bはベアリング部近傍の両端部に定着ローラを通る磁束線を遮蔽するための円筒形状の遮蔽部3c・3dを有する。図では遮蔽部3c・3dは図6に示すベアリング21a・21bの対向部(近傍)に設けてある。遮蔽部3c・3dを円筒形状に形成することにより、磁束発生手段によって発生する磁束の流れをベアリング部及びその近傍で遮蔽する。
【0081】
また、磁束遮蔽部材3A・3Bには紙サイズに対応した段階的に変化している遮蔽部(非通紙部)3p・3q及び3r・3sを設けている。これらの遮蔽部は、第一実施例で説明した、段階的に変化している切り欠き部3g・3hに対応するような形状に設けている。
【0082】
したがって、磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズに応じた遮蔽部3p・3qと3r・3sが段階的に変化している形状である。ホルダー2は紙サイズに対応した角度分だけ駆動手段20により、磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状の遮蔽部3p・3qと3r・3sにホルダー2と一体のコア6aの対向部を回動移動させる。コア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を上記遮蔽部によって遮蔽することで、遮蔽部(非通紙部)での定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0083】
上記磁束遮蔽部材3A・3Bでは、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの2段階の磁束調整が可能である。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをB4幅(257mm)、紙サイズ幅CをA4R幅(210mm)である。この場合、切り欠き部の全長を、それぞれの紙サイズ幅A・B・Cに対応した、段階的に変化している切り欠き幅(紙サイズ幅)にする。どのような紙サイズにするかは、定着装置が搭載される画像形成装置の仕様によって決められる。また、磁束遮蔽部材の遮蔽部(又は切り欠き部)は、2段階に限ったものでは無く、非通紙部昇温が起こるサイズによって、その都度に段階的に変化している遮蔽部(又は切り欠き部)を増減して設けるものである。ただし、遮蔽をようする紙サイズが一つのときは段階的形状では無くなる。
【0084】
非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅Aのとき、磁束遮蔽部材3A(または3B)とコイル5・コア6を保持しているホルダー2の位置関係は、図7(a)に示すような位置関係となる。すなわち、ホルダー2は磁気回路Jaに影響の少ない範囲の位置にある。この位置にホルダー2があるときは、磁束遮蔽部材3A(または3B)は磁気回路Jaに影響を与えないので、紙サイズ幅Aの全域幅で電磁誘導加熱による定着処理が可能である。
【0085】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Bのとき、コイル5・コア6を保持しているホルダー2は、磁気回路上に磁束遮蔽部材が来るように回動移動して、該磁束遮蔽部材が磁束の流れを阻害する。図では第一コア6aが磁束遮蔽部材3A(または3B)の遮蔽部3p(3q)に対向し、該遮蔽部が磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jb・Jb’は遮蔽部3q(3p)の幅Ba(Bb)(図8参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Bのときに非通紙部となる遮蔽部3q(3p)の幅Ba(Bb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図7(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、遮蔽部3p・3qの幅Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅B(切り欠き部3g)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0086】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Cのときも同様である。コイル5・コア6を保持しているホルダー2は、さらに回動移動する。図では第一コア6aが磁束遮蔽部材3A(または3B)の遮蔽部3r(3s)に対向し、該遮蔽部が磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jc、Jc’は遮蔽部3s(3r)の幅Ca(Cb)(図8参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Cのときに非通紙部となる遮蔽部3qと3sの加算幅(Ba+Ca)及び遮蔽部3pと3rの加算幅(Bb+Cb)(図7参照)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図7(b)と図7(c)の磁気回路Jb・Jb’、Jc・Jc’のようになる。上記幅紙サイズ幅(Ba+Ca)・(Bb+Cb)の範囲で定着ローラ内部を通る磁束は、図7(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、幅(Ba+Ca)、(Bb+Cb)の範囲で電磁誘導発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅C(第一実施例の切り欠き部3hに相当)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0087】
上記の各紙サイズ幅A・B・Cに応じた電磁誘導加熱による定着処理過程において、磁束遮蔽部材3A(または3B)の両端部の円筒形状の遮蔽部3c・3dは、磁束発生手段5・6によって発生する磁束の流れを図7(d)に示すように遮蔽する。すなわち、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線を遮蔽する。これによって、ベアリング近傍の定着ローラ端部の発熱が緩和され、ベアリング21a・21bの温度昇温が防止される。
【0088】
したがって、本例のように、固定されている磁束遮蔽部材3A・3Bに対して磁束発生手段5・6を備えたホルダー2を回動移動させるタイプの定着装置においても、第一実施例と同様な効果を得ることができる。
【0089】
〔第三の実施例〕
第三の実施例の定着装置を図9を用いて説明する。
【0090】
本例に示す定着装置は、第一の実施例の磁束調整加熱アセンブリ1を、磁束遮蔽部材3の回転半径r1よりも大きな半径r2(r2<r1)の定着ローラ7に対して適用した例である。本例の定着装置では、定着ローラの中心と磁束遮蔽部材3の回動中心が異なる。すなわち、磁束遮蔽部材3の回動中心o1は定着ローラ7の回転中心o2に対して偏心している。磁束発生手段5・6、加圧ローラ8などは第一実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。ホルダー2、磁束遮蔽部材3の材質なども第一実施例と同様である。
【0091】
本例の定着装置においては、磁束遮蔽部材3は定着ローラ7の内部でアセンブリ1に対して矢印a・b方向に回動されることによって、第一実施例の装置と同様な効果を得ている。
【0092】
このように、大径定着ローラ7にも、それより小さな径の定着ローラで使用する磁束調整加熱アセンブリ1を用いることができ、部品の共通化・成形型の削減が可能になり、低コスト化につながる。
【0093】
さらに、大きな径の定着ローラに対して、磁束調整加熱アセンブリを一本の定着ローラに複数設けることもできることは、第三の実施例から容易に推測できる。
【0094】
〔第四の実施例〕
第四の実施例の定着装置を図10、11、12、13、14を用いて説明する。
【0095】
図10は本例の定着装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Aのときの磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図、図11は同装置の定着ローラ径方向における概略構成断面図、図12は同装置における磁束遮蔽部材3A(3B)とリードねじ4の結合関係を示す斜視図、図13は同装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Bのとき(非通紙部昇温対策のとき)の磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図、図14は同装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する磁気回路のイメージ図をそれぞれ示している。
【0096】
本例の定着装置において、磁束発生手段、定着ローラ、加圧ローラなどは第一実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。磁束遮蔽部材の材質なども第一実施例と同様である。
【0097】
本例の定着装置は、図12に示すようなD字型円筒形状の二つの磁束遮蔽部材3A(3B)が、定着ローラの長手方向でスラスト移動する構成である。二つの磁束遮蔽部材3A(3B)はリードねじ4が回転することで、定着ローラ長手方向にスラスト移動する。
【0098】
図10に示すように、リードねじ4は逆ねじの関係の形状にある右ねじ部(又は左ねじ部)4aと左ねじ部(又は右ねじ部)4bから構成されている。リードねじ4の両端部4c、4dはそれぞれホルダー2に設けられた軸受け部2a1、2b1にて支持されている。リードねじ4の片端部4eはD字型形状をしており、該片端部に取り付けられた遮蔽ギア11を介して駆動手段20により所定方向に回転駆動される。ホルダー2は両端をそれぞれ支持側板13、14にて位置決めされて固定されている。本例ではリードねじ4の両端部4c、4dをホルダー2の軸受け部2a1、2b1で支持させたが、リードねじの他の支持構造として、ホルダーに耐久性のある軸受け部材を別に設け、この軸受け部材によりリードねじの両端部を支持するように構成してもよい。
【0099】
リードねじ4の右ねじ部(又は左ねじ部)4aには磁束遮蔽部材3Aが取り付けられ、左ねじ部(又は右ねじ部)4bには磁束遮蔽部材3Bが取り付けられる。二つの磁束遮蔽部材3A・3Bは、それぞれ、ベアリング部及びその近傍で定着ローラを通る磁束線を遮蔽するためのD字型円筒形状をしている。リードねじ4と二つの磁束遮蔽部材3A・3Bの結合態様は、図12に示されるように、各磁束遮蔽部材3A(3B)において、部材の平面部の2箇所に設けられたねじ支持部3f1が対応するねじ部により支持され、該2箇所のねじ支持部間で同平面部に設けられたボス部3fを対応するねじ部に噛合わせている。
【0100】
図10に示されるように、各磁束遮蔽部材3A・3Bは、通常、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)に対応する位置に待機している。この待機位置において、磁束遮蔽部材の一部がベアリング21a、21bの対向部(近傍)に位置している。
【0101】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅B(最大通紙サイズよりも小サイズの通紙サイズ)のときには、各磁束遮蔽部材3A・3Bは、駆動手段20により回転駆動されたリードねじ4によって上記待機位置から図13に示す紙サイズ幅Bに対応する位置まで定着ローラ長手方向にスラスト移動される。この場合、リードねじ4の回転によって、一方の磁束遮蔽部材3Aは待機位置から定着ローラ7の中央に向けてスラスト移動し、他方の磁束遮蔽部材3Bも待機位置から定着ローラ7の中央に向けてスラスト移動する。すなわち2つの磁束遮蔽部材3A・3Bはリードねじ4の回転によって互いに接近・離隔移動される。各磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズ幅Bに対応する位置で、その一部がベアリング21a、21bの対向部(近傍)に位置している。
【0102】
次に、紙サイズに対応した非通紙部昇温を抑える磁束遮蔽部材3A・3Bの動作を説明する。
【0103】
磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズに対応してスラスト方向に移動し、非通紙部の磁束遮蔽を行うことで、全ての紙サイズに対応することができる。ただし、非通紙部昇温が問題にならない場合は移動しない。対応紙サイズに応じて駆動手段20によりリードねじ4は回転され、対応紙サイズに対応する所定位置にスラスト移動して、コア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を遮蔽することで、その磁束線遮蔽部(非通紙部)の定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0104】
磁束遮蔽部材3A・3Bは、上述したように、通常、図10に示すように非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)に対応する位置に待機しており、非通紙部昇温の起こる小サイズ紙幅Bのときは図13に示す位置にスラスト移動する。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをA4R幅(210mm)である、対応した位置に移動する。どのような紙サイズかは、定着装置を搭載する画像形成装置の仕様によって決められる。
【0105】
図14(a)に紙サイズ幅A(またはB)の定着可能領域の磁気回路Jaを示す。図14(b)に紙サイズ幅A(またはB)の外側の非通紙部およびベアリング近傍の磁気回路Jbを示す。
【0106】
非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(図10参照)に対応する位置に磁束遮蔽部材3A・3Bがあるときは、紙サイズ幅Aの全域幅で定着が可能である。この場合、磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズ幅Aの外側の非通紙部およびベアリング近傍に位置して磁束の流れを遮蔽する。すなわち、図14(b)に示されるように、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線が遮蔽され、これによって、ベアリング近傍の定着ローラの発熱を緩和し、ベアリング21a・21bの温度昇温を防止する。
【0107】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅B(図13参照)のとき、磁束遮蔽部材3A・3Bはスラスト移動して、紙サイズ幅Bの外側の非通紙部およびベアリング近傍の磁束の流れを阻害する。これによって、図14(b)に示されるように、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線が遮蔽され、紙サイズ幅Bの外側の範囲(非通紙部)及びベアリング近傍では電磁誘導による定着ローラの発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えるとともにベアリング21a・21bの温度昇温を防止する。
【0108】
本例の定着装置によれば、磁束遮蔽部材3A・3Bを定着ローラ長手方向にスラスト移動させるリードねじ4をホルダー2に支持させる構成であるので、ホルダー2とスラスト移動する磁束遮蔽部材3A・3Bとの位置精度を向上させ、磁束遮蔽部材とホルダーの擦れを減少させることができるとともに、定着ローラ長手方向の磁束遮蔽部における磁気回路の均一性を向上させ、定着ローラ長手方向の温度ムラに起因して発生する画像ムラを無くすことができる。
【0109】
また、ベアリング近傍の磁束をスラスト移動する磁気遮蔽部材3A・3Bで遮蔽する構成である。これによって、磁気遮蔽部材3A・3Bによりベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることができ、ベアリング21a・21bへの熱ダメージを低減でき、ベアリングの長寿命化、ベアリング断熱部材を無くす構成、低価格のベアリングの使用を実現できる。
【0110】
また、ベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることで、ベアリング21a・21bをそれぞれ支持する支持側板25a・25bからの熱の逃げを少なくすることができ、発熱した熱を効率よく使うことができる。これにより、定着ローラ端部からの放熱を低減でき省電力化を実現できる。
【0111】
〔第五の実施例〕
本例の定着装置は、第一実施例の磁束遮蔽部材3(図3参照)の非通紙部昇温対策部である段階的に変化する遮蔽部3i〜3lを無くした構成である。すなわち、図15に示されるように、磁束発生手段5・6を保持するホルダー2に磁束遮蔽部材3の円筒部3c・3dのみ設けた。
【0112】
〔第六の実施例〕
本例の定着装置は、第二実施例の、固定された磁束遮蔽部材3A・3B(図8参照)の非通紙部昇温対策部である段階的に変化する遮蔽部3p〜3r形状を無くした構成である。すなわち、図16に示されるように、ホルダー支持側板13・14に固定された磁束遮蔽部材3A・3Bに円筒部3c・3dのみ設けた。
【0113】
このような第五、六の実施例でも、第一、二実施例と同様の効果が得られる。
【0114】
〔画像形成装置例〕
各実施例の定着装置は、例えば、電子写真画像形成装置に搭載される。図5は第一実施例の定着装置10を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成の説明図である。
【0115】
画像形成装置100は、画像読取部108で原稿の画像を読み取り、読み取られた画像データに基づいたコントローラ(図示せず)からの指令により、感光ドラム101の表面に画像書き込み部109から露光を行って感光ドラム101上に静電潜像を形成する。なお、露光の前に、感光ドラム101の表面が帯電器102により所定の電位に一様に帯電させられており、一様に帯電させられた感光ドラム101上に、画像書き込み部109からレーザー光等を照射することにより、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置103のトナーにより現像され、その後、現像されたトナー画像が感光ドラム101の回転により転写装置104との対向部へ搬送される。
【0116】
現像されたトナー画像の搬送に対応して、ピックアップローラ132により用紙Sが用紙カセットから1枚づつ給紙されるとともに、レジストローラ対135によってタイミングを取って感光ドラム101と転写装置104との対向部へ搬送される。そして、用紙Sが感光ドラム101と転写装置104との対向部を通過する際に、感光ドラム101上の現像されたトナー画像が転写装置104により用紙Sの上に転写される。
【0117】
トナー画像が転写された用紙Sは、所定の搬送装置により定着ローラ7の位置に搬送され、定着ローラ7と加圧ローラ8で圧接されるとともに、定着ローラ内に設けられた磁束発生手段により電磁誘導加熱されて、用紙S上のトナーが用紙Sに溶融定着させられる。その後、トナー画像が定着させられた用紙Sは、排紙ローラ111により装置本体外部のトレー115に収納され一連の画像形成プロセスが終了する。
【0118】
以上の第一、二、三、四の実施例では、特に非通紙部昇温の対策を必要とする定着装置の例を示した。また、第一、二、三、四の実施例では、非通紙部昇温対策の磁束遮蔽部材3、3A・3Bに、ベアリングの熱ダメージを低減させる機能を共有させている構成である。これにより、省スペース化、部品の共通化が図られる。
【0119】
第五、六の実施例としては、定着ローラ7の長手方向の長さの短いものや、紙サイズの限定などによって、非通紙部昇温が問題とならない定着装置に本発明の構成を用いた。
【0120】
以上のように6種類の実施例を示したが、画像形成装置の仕様、定着装置の配置などにより適時、本発明の構成を用いるとよい。
【0121】
画像形成装置の仕様などによって適時、ベアリング断熱部材の有り無し、ベアリング内部のグリスを選定して本発明の構成を用いるとよい。この場合、ベアリング断熱部材無しの構成、低耐熱性グリスを限定するものではない。
【0122】
〔その他〕
本発明の加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0123】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0124】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0125】
〔実施形態1〕励磁コイルと磁性体コアを有する磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を磁束遮蔽部材によって遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
【0126】
〔実施形態2〕励磁コイルと磁性体コアを有する磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部において磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向に関する密度分布を変化せしめる磁束調整手段を備え、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を調整する位置に磁束遮蔽部材を移動する駆動手段を備え、磁束遮蔽部材は被加熱材のサイズに対応して磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を調整する位置に駆動手段によって移動し、被加熱材のサイズに応じた加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する前記移動可能な磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を前記移動可能な磁束遮蔽部材によって常時、遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
【0127】
〔実施形態3〕誘導発熱体が円筒形状のとき、磁束遮蔽部材は略円弧形状である、実施形態1または2に記載の加熱装置。
【0128】
〔実施形態4〕磁束遮蔽部材は、被加熱材のサイズに応じた遮蔽部が段階的に変化している形状である、実施形態1ないし3のいずれかに記載の加熱装置。
【0129】
〔実施形態5〕実施形態1に記載の磁束遮蔽部材は、磁束遮蔽部材の駆動手段により遮蔽を要する被加熱材のサイズに応じた遮蔽位置に対応した角度分だけ回動移動し、遮蔽を要する被加熱材のサイズの非通紙部を磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状部により磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するとともに、誘導発熱体の支持部材の近傍においては常時、磁束遮蔽部材によって磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するものである、実施形態1、3または4に記載の加熱装置。
【0130】
〔実施形態6〕実施形態2に記載の磁束遮蔽部材は、磁束遮蔽部材の駆動手段により遮蔽を要する被加熱材のサイズに応じた遮蔽位置に対応して被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラスト移動し、遮蔽を要する被加熱材のサイズの非通紙部を磁束遮蔽部材がスラスト方向に移動することにより磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するとともに、誘導発熱体の支持部材の近傍においては常時、磁束遮蔽部材によって磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するものである、実施形態2、3または4に記載の加熱装置。
【0131】
〔実施形態7〕実施形態6に記載の磁束遮蔽部材を被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向(スラスト方向)にスラスト移動する駆動手段として、リードねじを用い、リードねじの支持部は励磁コイルと励磁コアを保持するホルダーの一部で構成する、実施形態2、3、4または6に記載の加熱装置。
【0132】
〔実施形態8〕被加熱材が誘導発熱体の長手方向の中央を基準にして搬送される加熱装置において、実施形態7に記載の磁束遮蔽部材は誘導発熱体の長手方向の両側にそれぞれ設けられ、被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラスト移動する駆動手段であるリードねじは、それぞれの磁束遮蔽部材に対応して設けられ、リードねじの回転によって磁束遮蔽部材がそれぞれ逆のスラスト方向に移動するように、それぞれの磁束遮蔽部材に対応したリードねじ部は逆ねじの関係の形状である、実施形態2、3、4、6または7に記載の加熱装置。。
【0133】
〔実施形態9〕実施形態1ないし8に記載の加熱装置の磁束発生手段および磁束遮蔽部材を一つのアセンブリ構成にしたことを特徴とする、実施形態1ないし8のいずれかに記載の加熱装置。
【0134】
〔実施形態10〕実施形態9に記載のアセンブリを一つの誘導発熱体に対して少なくても設けたことを特徴とする、実施形態1ないし9のいずれかに記載の加熱装置。
【0135】
〔実施形態11〕磁束遮蔽部材は、非磁性かつ良電気導電性の物質で作られる、実施形態1ないし10のいずれかに記載の加熱装置。
【0136】
〔実施形態12〕実施形態11に記載の非磁性かつ良電気導電性の物質は、アルミニウム、銅、マグシウム、銀などの合金である、実施形態1ないし11のいずれかに記載の加熱装置。
【0137】
〔実施態様13〕被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする実施態様1ないし12のいずれかに記載の加熱装置。
【0138】
〔実施態様14〕記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、前記像加熱手段が実施態様1ないし13のいずれかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、支持部材近傍の磁束を磁気遮蔽部材によって遮蔽することで、支持部材近傍の誘導発熱体の電磁誘導発熱を抑えることができる。これにより、支持部材への熱ダメージを低減でき、支持部材の長寿命化、断熱部材を無くす構成、低価格の支持部材の使用が可能になった。
【0140】
また、支持部材近傍の誘導発熱体端部の電磁誘導発熱を抑えることで、支持部材をそれぞれ支持する支持側板からの熱の逃げを少なくすることができ、発熱した熱を効率よく使うことができる。これにより、誘導発熱体端部からの放熱を低減させ省電力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例の定着装置(加熱装置)の定着ローラ長手方向(定着ローラ軸方向)における概略構成断面図。
【図2】第一の実施例の定着装置の定着ロ−ラ径方向における概略構成断面図。
【図3】第一の実施例の定着装置における磁束調整加熱アセンブリの構成分解斜視図。
【図4】第一の実施例の定着装置において磁束遮蔽部材で磁束を遮蔽したときの磁気回路のイメージ図。
【図5】第一の実施例の定着装置を搭載した画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図6】第二の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【図7】第二の実施例の定着装置において磁束遮蔽部材で磁束を遮蔽したときの磁気回路のイメージ図。
【図8】第二の実施例の定着装置における磁束遮蔽部材の斜視図。
【図9】第三の実施例の定着装置の定着ロ−ラ径方向における概略構成断面図。
【図10】第四の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Aのときの磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図。
【図11】第四の実施例の定着装置の定着ローラ径方向における概略構成断面図。
【図12】第四の実施例の定着装置における磁束遮蔽部材とリードねじの結合関係を示す斜視図。
【図13】第四の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Bのとき(非通紙部昇温対策のとき)の磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図。
【図14】第四の実施例の定着装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する磁気回路のイメージ図。
【図15】第五の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【図16】第六の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【符号の説明】
1:磁束調整加熱アセンブリ、2:ホルダー、3:磁束遮蔽部材、
4:リードねじ、4a,4b:ねじ部、5:励磁コイル、6:磁性体コア、
6a:第一の磁性体コア、6b:第2の磁性体コア、7:定着ローラ、
8:加圧ローラ、11:遮蔽ギア、15:コイル電力供給線、
21a、21b:ベアリング、25a,15b:支持側板、
N:定着ニップ部、Ja,Jb,Jc,Jc’:磁束発生部の磁力線(磁気回路)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機・プリンター・ファクシミリなどの画像情報記録装置(画像形成装置)において未定着画像を加熱・加圧定着させるための画像加熱定着装置として用いて好適な、特に電磁(磁気)誘導加熱方式の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置を例にして説明する。
【0003】
画像形成装置における画像加熱定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真・静電記録・磁束記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(顕画剤)を用いて被加熱材としての記録材の面に直接方式若しくは間接(転写)方式で形成した未定着のトナー画像を記録材面に永久固着画像として加熱定着処理する装置である。
【0004】
従来、そのような画像加熱定着装置として、熱源内臓ローラ方式、誘導加熱方式等の各種装置がある。
【0005】
熱源内臓ローラ方式は、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定着温度に加熱・温調した定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの回転ローラ対からなり、該ローラ対の圧接ニップ部(定着ニップ部)に被加熱材としての、未定着トナー画像を形成担持させた記録材を導入して挟持搬送させることで未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着する装置である。
【0006】
しかしながら、この装置は定着ローラの熱容量が大きくて、加熱に要する電力が大きい、ウエイトタイム(装置電源投入時からプリント出力可能状態になるまでの待ち時間)が長い等の問題があった。また、定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。
【0007】
その対策としては、定着ローラの肉厚を薄くして、定着ローラの熱容量を低減することが行われている。しかしながら、熱容量を低減した薄肉定着ローラでは、長尺方向(定着ニップ部長手方向)の熱流が阻害されるため、小サイズ記録材を通紙した場合に非通紙部での過昇温(非通紙部昇温)が発生して、定着ローラや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0008】
その対策の一つとして、ハロゲンランプ等の熱源を用いた定着装置では、定着ローラ長手方向の発光位置の分布の異なるハロゲンランプを複数用いる構成がある。複数のハロゲンランプの発光タイミングを紙サイズごとに設定し、該タイミングでハロゲンランプを発光制御することによって非通紙部昇温対策としている。しかしながら、この方式では、ハロゲンランプのON/OFFによる制御が行われるために、高周波フリッカーの対策が取り扱いには必要なる。高周波フリッカー対策の提案の一つとして次に述べる誘導加熱方式が近年、注目されている。
【0009】
誘導加熱方式は、加熱体として誘導発熱体を用い、誘導発熱体に磁場発生手段で磁場を作用させて誘導発熱体に発生する渦電流に基づくジュール発熱で被加熱材としての記録材に熱を付与して未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着処理する装置である。
【0010】
従来、例えば、特許文献1には、強磁性体の定着ローラを誘導加熱する熱ローラ方式の装置が開示されており、発熱位置を定着ニップ部に近くすることができ、ハロゲンランプを熱源として用いた熱源内臓ローラ方式の装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0011】
しかしながら、定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。定着ローラの熱容量を低減することが、この問題の一つの解決方法である。たとえば、定着ローラの肉厚を薄くすることである。
【0012】
また、例えば、特許文献2には、熱容量を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)を用いた誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0013】
しかしながら、熱容量を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)でも、熱ローラ同様に、非通紙部昇温が発生し、定着フィルムや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0014】
また、例えば、特許文献3・4に、定着ローラ(フィルム)の長手方向に関する磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の密度分布を変化せしめる磁束調整手段を有することを特徴とする加熱装置が開示されている。この誘導加熱方式の定着装置により、非通紙部昇温を解決する一つの方法が示された。
【0015】
上記特許文献3・4の定着装置はフィルム状の誘導発熱体を加熱させた構成を実施例としているが、円筒状の誘導発熱体を定着ローラにした構成に対しても非通紙部昇温の問題の対策として効果があると考えられる。
【0016】
その他の非通紙部昇温を解決する方法としては、小サイズ記録材を通紙したときに定着スピードを遅くする方法もある(スループットダウン)。定着スピードを遅くすることで、定着ローラの端部方向(非通紙部)への熱移動時間を設けている。しかし、この方法では画像形成装置の生産性を低下することになっている。
【特許文献1】
特公平5−9027号公報
【特許文献2】
特開平4−166966号公報
【特許文献3】
特開平9−177889号公報
【特許文献4】
特開平10−74009号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように周知の熱ローラ方式、電磁誘導加熱方式の画像加熱定着装置では、一般に、次のような問題を抱えている。
【0018】
定着ローラを支持するベアリングは定着ローラの熱により、高温状態に常にさらされている。そのため、高耐熱性のグリスを用いた高価なベアリングを使用している。
【0019】
定着ローラとベアリングの間に断熱性と耐熱性を兼ね備えた樹脂からなる断熱ブッシュを用いることで、ベアリングへの温度伝導を妨げ、ベアリングの寿命低下を防止している。
【0020】
さらに、従来では、定着ローラ端部周辺では多くの放熱により、定着装置の消費電力アップの要因になっている。特に、定着ローラの支持部(ベアリング部)を介してベアリング支持側板への熱伝導が問題となる。
【0021】
ところで、従来のハロゲンランプの非通紙部昇温では、ハロゲンランプのON/OFFによる制御が行われるために、高周波フリッカーの対策が必要になり、コストアップの要因になっている。
【0022】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、電磁誘導加熱方式の加熱装置において、磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材およびその近傍において該誘導発熱体の電磁誘導発熱を抑えることのできる加熱装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置である。
【0024】
磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を磁束遮蔽部材によって遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
【0025】
このような構成において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束は支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍において磁束遮蔽部材により遮蔽される。これにより、支持部材の支持部およびその近傍の誘導発熱体の電磁誘導発熱が抑えられることから、支持部材への熱ダメージを低減できるとともに、支持部材を介しての熱伝導も低減できる。支持部材への熱ダメージの低減作用によって支持部材の長寿命化を図れ、また支持部材を熱から保護するための断熱部材(断熱ブッシュ)が不要となって装置構成の簡略化および装置の低コスト化を図れる。また、支持部材を介しての熱伝導の低減作用によって支持部材の支持部に対応した誘導発熱体端部からの放熱を低減できて省電力化を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
〔第一の実施例〕
図1〜図4に、本発明に係る加熱装置として、電磁誘導過熱方式の画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)の一例を示す。図1は第一の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向(定着ローラ軸方向)における概略構成を示す断面図、図2は同装置の定着ロ−ラ径方向における概略構成を示す断面図、図3は同装置における磁束調整加熱アセンブリの構成分解斜視図である。
【0027】
本例の定着装置は、磁束調整加熱アセンブリ1、定着ローラ7、加圧ローラ8を主体として構成され、磁束発生手段を定着ローラの内部に配置することで定着ローラを加熱する誘導加熱方式の定着装置である。
【0028】
定着ローラ7は両端部を支持部材21a・21bによって回転可能に支持側板25a・25bにそれぞれ支持されている。支持部材としては、ボールベアリング(以下ベアリングと称す)などが一般的である。
【0029】
第一の実施例の定着装置では、ベアリングを熱から保護するためのベアリング断熱部材(断熱ブッシュ)を無くした構成にした。本発明は断熱ブッシュの有り無しを限定するものではない。
【0030】
磁束調整加熱アセンブリ1は、磁束発生手段としての励磁コイル5(以下コイルと称す)と磁性体コア6(以下コアと称す)、コイル5とコア6を保持するホルダー(保持部材)2、およびホルダー2の両端部を回動軸として矢示a・bの反時計方向又は時計方向に回動移動自由に配設した、磁束調整手段である円弧状の磁束遮蔽板3などからなる。
【0031】
磁束発生手段は、定着ローラ7の内部にコイル5とT字型コア6が配置されている構成である。コイル5とコア6はホルダー2に保持され、ホルダーフタ19で覆われている。
【0032】
コイル5は定着ローラ7の長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、定着ローラの内面に沿うようにホルダー2の内部に配置されている。コア6はコイル5の巻き中心部にある第一コア6a(垂直部)と上部に第二コア6b(水平部)が配置されてT字型コアを構成している。
【0033】
コイル5としては加熱に十分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。コイルの芯線としては、φ0.1〜0.3mmの細線を略80〜160本程度に束ねたリッツ線を用いている。細線には絶縁被覆電線を用いている。本例ではコイル5として、コア6aを周回するように8〜12回巻回してコイル5を構成したものが使われる。コイル5には不図示の励磁回路が接続されており、該回路を介して交番電流をコイル5へ供給できるようになっている。
【0034】
コア6にはフェライト、パーマロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低い材質のものを用いると良いが、磁束を発生できるものであれば良く特に規定するものではない。コアの形状・材質は上記のものに規定されるものではない。例えば、第一コア6a、第二コア6bを一体成形でT字型にしても本発明の効果を得ることができる。
【0035】
誘導発熱体としての円筒状の定着ローラ7は、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性の金属を用いることが良い。強磁性の金属(透磁率の大きい金属)を使うことで、磁束発生手段5・6から発生する磁束を強磁性の金属内により多く拘束させることができる。すなわち、磁束密度を高くすることができる。それにより、効率的に強磁性金属の表面(定着ローラ表面)にうず電流を発生させ、該表面を発熱させられる。
【0036】
本発明は、磁束発生手段としてのコイル5とコア6、誘導発熱体としての定着ローラ7の形状・材質を限定するものではない。
【0037】
定着ローラ7の肉厚は、略0.3〜2mm程度にすることで熱容量を低減している。定着ローラ7の外側表面には不図示のトナー離型層がある。一般にはPTFE10〜50μmやPFA10〜50μmで構成されている。また、トナー離型層の内側にはゴム層を用いる構成にしても良い。
【0038】
定着ローラ7の一端には定着ローラギア18が取り付けられ、該ギアは不図示の駆動モータにより回転される。
【0039】
加圧ローラ8は鉄製の芯金の外周に、シリコーンゴム層と定着ローラと同様にトナー離型層を設けた構成である。
【0040】
本例の定着装置における定着ローラ長手方向の磁束調整手段は、磁束遮蔽部材3、ホルダー2、遮蔽ギア11、ブッシュ14が主な構成要素である。これらの構成要素のうち、ホルダー2と磁束遮蔽部材3は定着ローラ7の内部に配置される。磁束調整手段は上記構成要素に限定されるものではなく、必要に応じて所定部材を適宜に選択してよい。また、第一の実施例ではコイル5とコア6を保持しているホルダー2の両端支持部を磁束遮蔽部材3の回動中心にした構成を示すが、後述する第四の実施例でも分かるように他の構成でも本発明の効果は変わらない。
【0041】
ホルダー2の両端部は磁束遮蔽部材3を回動自在に支持するために軸形状である。ホルダー2はコイル5とコア6を保持する機能と、磁束遮蔽部材3を回動支持する機能を備えている。
【0042】
ホルダー2の支持軸2aには、磁束遮蔽部材3を回動するための遮蔽ギア11が設けられ、逆側の支持軸2bには磁束遮蔽部材3の摺動性を良くするためにブッシュ14が設けられ、それぞれスラスト止め輪12、16でスラスト方向が規制されている。
【0043】
ホルダー2は、非磁性、電気絶縁性および高耐熱性の物質で作られる。例えば、ホルダー2の材質としては、耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加したものを用いている。もちろん非磁性である。ホルダーが磁性材料であると、電磁誘導によりホルダーが発熱して定着ローラの発熱効率が落ちてしまう。
【0044】
ホルダーの材質には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの物質が適している。
【0045】
ブッシュ14・遮蔽ギア11の材質についてもホルダーと同様である。この中でも特に摺動性の良い材質のものを選ぶと良い。たとえば、ポリアミドイミド系樹脂、PFA系樹脂、PEEK系樹脂などがある。
【0046】
磁束遮蔽部材3は非磁性かつ良電気導電性の部材で構成されている。非磁性部材にすることで磁束を遮断する効果がある。良電気導電性部材にすることで磁束遮蔽部材自身の電磁誘導の発熱を抑える効果がある。本例では、アルミニウム合金を用いたが、銅・マグネシウム・銀などの合金でもよい。
【0047】
磁束遮蔽部材の厚さは、略0.3〜1.0mm程度でよい。薄すぎると、磁束遮蔽部材自身が電磁誘導発熱する。また、強度不足にもなる。逆に厚すぎると、磁束遮蔽部材の熱容量が増加して定着ローラを温めるとき逆に熱を奪ってしまい、ウエイトタイムの増加につながる。
【0048】
図1及び図3に示すように、磁束遮蔽部材3はベアリング部21a・21b近傍の両端部に定着ローラ7を通る磁束線を遮蔽するための円筒形状の遮蔽部3c・3dを有する。図では遮蔽部3c・3dはベアリング21a・21bの対向部(近傍)に設けてある。遮蔽部3c・3dを円筒形状に形成することにより、磁束発生手段によって発生する磁束の流れをベアリング部21a・21b及びその近傍で遮蔽する。
【0049】
また、磁束遮蔽部材3には被加熱材としての記録材(用紙)の紙サイズに対応した段階的に変化している形状の切り欠き部3g・3hを設けてある。図では、例えば、磁束遮蔽部材3の長手方向において、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)の内側に、該紙サイズ幅Aより小さい紙サイズ幅Bに対応した切り欠き部3gを設け、さらに紙サイズ幅Bの内側に、該紙サイズ幅Bより小さい紙サイズ幅Cに対応した切り欠き部3hを設けている。上記切り欠き部3gによって紙サイズ幅Aの内側両端に紙サイズ幅Bに応じた遮蔽部(非通紙部)3i・3jを形成し、上記切り欠き部3gによって紙サイズ幅Bの内側両端に紙サイズ幅Cに応じた遮蔽部(非通紙部)3k・3lを形成している。
【0050】
したがって、本例の磁束遮蔽部材3は、紙サイズに応じた遮蔽部3i・3jと3k・3lが段階的に変化している形状である。
【0051】
ホルダー支持軸2a側では、磁束遮蔽部材3の一端部に設けられた切り欠き部を有する異型穴3aと遮蔽ギア11の円筒部11bが嵌合する。遮蔽ギアの円筒部11bに形成された突起部11aと磁束遮蔽部材3のU字型穴部3a’が嵌合していることで、遮蔽ギア11が回動すると磁束遮蔽部材3が遮蔽ギア11に同期して回動する。遮蔽ギア11には駆動手段20から回転駆動が与えられる。駆動手段20はモータなどの駆動源であれば良く、本発明は駆動手段の構成に依存するものではない。たとえば、駆動手段として、ソレノイドなどのアクチュエータと、該アクチュエータの作動を回転運動に変換して遮蔽ギア11に伝達するリンク機構などの運動伝達機構とによって、遮蔽ギアを回動させてもよい。
【0052】
ホルダー支持軸2b側は、コイル5へ電力を供給しているコイル供給線15のガイドを兼ねた形状をしている。ホルダー支持軸2bを中空パイプ形状にすることで、その内部を通してコイル供給線15を引き出している。ホルダー支持軸2bには磁束遮蔽部材3の他端側に設けられた保持穴3bがブッシュ14の円筒部14aに回転可能に嵌合している。コイル供給線15の端部には、コネクタ部15aが設けられ、電力制御装置25に接続する構成である。コイル5には、電力制御装置25で不図示の励磁回路が制御されることにより、コイル供給線15を介して交番電流が供給される。
【0053】
ホルダー2は支持軸2a側がホルダー支持側板13で支持され、支持軸2b側がホルダー支持側板17で支持されている。支持軸2aとホルダー支持側板13との嵌合部の形状は、D字型状(Dカット)で嵌合する構成である。D字型状にすることで、ホルダー2を定着ローラ円周方向において位置決めをしている。これにより、ホルダー2は支持軸2a・支持軸2bの軸中心2c(図3参照)が定着ローラ7の回転軸中心7c(図1参照)と同軸上に位置するように位置決めされる。
【0054】
本例の定着装置において、磁束遮蔽部材3は、円筒形状の遮蔽部3c・3dにより定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線を遮蔽することで、ベアリング近傍の定着ローラ端部の発熱を緩和し、ベアリング21a・21bの温度昇温を防止する。
【0055】
また、磁束遮蔽部材3は、紙サイズに対応した角度分だけ駆動手段20により所定方向に所定角度回転されて、磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状の遮蔽部3e・3fと3g・3hがコア6aの対向部に回動移動される。この遮蔽部によってコア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を遮蔽することで、その遮蔽部分において定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0056】
本例に示す磁束遮蔽部材3では、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの2段階の磁束調整が可能である。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをB4幅(257mm)、紙サイズ幅CをA4R幅(210mm)である。この場合、切り欠き部の全長を、それぞれの紙サイズ幅A・B・Cに対応した、段階的に変化している切り欠き幅(紙サイズ幅)にする。どのような紙サイズにするかは、定着装置が搭載される画像形成装置の仕様によって決められる。また、磁束遮蔽部材3の遮蔽部(又は切り欠き部)は、2段階に限ったものでは無く、非通紙部昇温が起こるサイズによって、その都度に段階的に変化している遮蔽部(又は切り欠き部)を増減して設けることができ、1つでも、3つ以上設けても、紙サイズに応じた非通紙昇温防止効果を得ることができる。
【0057】
本例の定着装置では、上述したように、コイル5及びコア6を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3において、ホルダー支持軸2aで磁束遮蔽部材3の一端側を保持し、ホルダー支持軸2bで磁束遮蔽部材3の一端側を保持することから、ホルダー2と磁束遮蔽部材3とが一つのコンパクトなアセンブリ(ユニット)として構成される。これにより、装置の組立工程においてホルダー2と磁束遮蔽部材3との組立て性の向上を図れ、メンテナンス時においては定着ローラ7の交換性(サービス性)の向上を図れる。
【0058】
本例に示す定着装置においては、図1及び図2に示されるように、前記アセンブリ1を内包する定着ローラ7と加圧ローラ8は互いに上下に圧接され不図示の装置筐体に組み込んで、両者7・8間に所定幅の定着ニップ部(加熱ニップ部)Nを形成させてある。
【0059】
定着ローラ7は定着ローラギア18により矢示Pの時計方向に回転され、それにともない加圧ロ−ラ8も従動して矢示Qの反時計方向に回転する。
【0060】
コイル5は電力制御装置25から供給される交番電流によって交番磁束を発生し、交番磁束はコア6に導かれて定着ニップ部Nに作用し、定着ニップ部Nにおいて定着ローラ表面に渦電流を発生させる。その渦電流はローラ表面の固有抵抗によってジュール熱を発生させる。即ち、コイルに交番電流を供給することで定着ニップ部Nにおいて定着ローラ7が電磁誘導発熱状態になる。
【0061】
定着ニップ部Nの温度は不図示の温度検知センサを含む温調系により電力制御装置25からコイル5への供給交番電流が制御されることで所定の定着温度に温調制御される。
【0062】
しかして、定着ローラギア18の回転により定着ローラ7の回転がなされ、電力制御装置25からコイル6への交番電流の供給がなされて定着ニップ部Nの温度が所定温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ローラ7と加圧ローラ8との間に、被加熱材としての、未定着トナー像を担持した記録材(用紙)Sが用紙搬送路(一点鎖線)Hを矢印C方向から導入されることで、記録材は定着ローラ7の発熱で記録材と未定着トナー像が加熱されてトナー像の加熱定着がなされる。定着ニップ部Nを通った記録材は定着ニップ部の出口側で分離爪30により定着ローラの外面から分離されて搬送される。
【0063】
次に、磁気回路のイメージ図である図4を用いて、本例の定着装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する。
【0064】
磁力線Ja(二点鎖線にて図示)は磁束発生手段に電力制御装置から電力(交番電流)を入力したときの、発生した磁力線の磁気回路を示したものである。磁力線Jaは、第一コア6a(垂直部)、定着ローラ7、第二コア6b(水平部)を通過する。実際には磁力線は透磁率の高い定着ローラの内部を通るが、説明をわかりやすくするために図4のように示した。
【0065】
ここで、定着ローラ7における電磁誘導加熱による発熱ヶ所を考えてみる。
【0066】
発熱ヶ所はコイル5の対向する定着ローラ部で特に大きくなる。これは第一コア6aと第二コア6bを磁力線が行き来するように発生するために、コイル5の対向する定着ローラ部において磁束密度が高くなるためであると考えられる。このことを考慮に入れ、本例の磁束発生手段5・6は定着ニップN部およびその前方に発熱部が来るように傾いた配置にしている。さらに、定着ローラ7は回転することで、温度ムラがなく加熱される。
【0067】
磁束調整手段は上述した電磁誘導加熱原理に基づいて設けられたものである。本例の磁束調整手段は磁束遮蔽部材3によって、定着ローラ内部を行き来する磁束の通路を変化させている。これにより、定着ローラ長手方向の電磁誘導の発熱を制御するのである。
【0068】
すなわち、コア6と定着ローラ7の間に磁束遮蔽部材3を置くことで、効率的に定着ローラの発熱を緩和できるのである。特に、T字型コア6のときは、第一コア(垂直部)6aを遮蔽することが効率的である。図4(a)に示されるように、磁束線Jaは第一コア6aが第二コア(水平部)6bより密度が高く、第一コアの端部から第二コアの端部のそれぞれに分かれので、この磁気回路位置で磁束線Jaを遮蔽するのが効率的である。
【0069】
図4(a)に示されるように、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅Aのとき、磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaに影響の少ない範囲に待機している。図では磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaが存在しない位置に待機している。この位置の磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaに影響を与えないので、紙サイズ幅Aの全域幅で電磁誘導加熱による定着処理が可能である。
【0070】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Bのとき、磁束遮蔽部材3は図4(b)に示すように同図(a)に示す磁気回路Ja上に回動移動して磁束の流れを阻害する。図では磁束遮蔽部材3の遮蔽部3i及び3jが第一コア6aと対向して磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jbは遮蔽部3i(3j)の幅Ba(Bb)(図3参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Bのときに非通紙部となる遮蔽部3i(3j)の幅Ba(Bb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図4(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、遮蔽部3i・3jの幅Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅B(切り欠き部3g)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0071】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Cのときも同様である。磁束遮蔽部材3は、さらに磁気回路Ja上に回動移動する。図では磁束遮蔽部材3の遮蔽部3k(3l)が第一コア6aと対向して磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jc・Jc’は遮蔽部3k(3l)の幅Ca(Cb)(図3参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Cのときに非通紙部となる遮蔽部3iと3kの加算幅(Ba+Ca)及び遮蔽部3jと3lの加算幅(Bb+Cb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図4(b)と図4(c)に示す磁気回路Jb、Jc・Jc’のようになる。上記幅(Ba+Ca)・(Bb+Cb)の範囲で定着ローラ内部を通る磁束は、図4(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、幅(Ba+Ca)、(Bb+Cb)の範囲で電磁誘導発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅C(切り欠き部3h)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0072】
上記の各紙サイズ幅A・B・Cに応じた電磁誘導加熱による定着処理過程において、磁束遮蔽部材3の両端部の円筒形状の遮蔽部3c・3dは、磁束発生手段5・6によって発生する磁束の流れを図4(d)に示すように遮蔽する。すなわち、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線を遮蔽する。これによって、ベアリング近傍の定着ローラ端部の発熱が緩和され、ベアリング21a・21bの温度昇温が防止される。
【0073】
本例の定着装置によれば、ベアリング近傍の磁束を磁気遮蔽部材3の両端部の円筒形状の遮蔽部3c・3dによって遮蔽することで、ベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることができる。これにより、ベアリング21a・21bへの熱ダメージを低減できるので、ベアリングの長寿命化、ベアリング断熱部材を無くす構成、高耐熱性のグリスを用いないベアリングすなわち低耐熱性のグリスを用いた低価格のベアリングの使用が可能になった。
【0074】
また、ベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることで、ベアリング21a・21bをそれぞれ支持する支持側板25a・25bからの熱の逃げを少なくすることができ、発熱した熱を効率よく使うことができる。これにより、定着ローラ端部からの放熱を低減でき省電力化を実現できる。
【0075】
また、磁束発生手段を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3が一つのアセンブリ(ユニット)でコンパクトに構成されているため、省スペース化・低コスト化を図りつつ、省電力化を向上した、磁束調整手段を用いた誘導発熱方式の定着装置を実現できる。
【0076】
〔第二の実施例〕
第二の実施例の定着装置を図6、7、8を用いて説明する。
【0077】
本例の定着装置は、固定されている磁束調整手段(磁束遮蔽部材)に対して磁束発生手段が回動することで磁束調整を行う構成である。磁束発生手段、定着ローラ、加圧ローラなどは第一実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。ホルダー、磁束遮蔽部材の材質なども第一実施例と同様である。
【0078】
磁束調整手段である磁束遮蔽部材は、第一実施例の磁束遮蔽部材と異なり、二つの部材3A・3Bから構成されている(図6参照)。磁束遮蔽部材3A・3Bは図8に示すような段階的に変化している切り欠き部のある円筒形状をしている。この切り欠き部については追って説明する。二つの磁束遮蔽部材3A・3Bのうち、一方の磁束遮蔽部材3Aはホルダー2の支持軸2a側のホルダー支持板13に、他方の磁束遮蔽部材3Bはホルダー2の支持軸2b側のホルダー支持板17にそれぞれ不図示のビスで固定されている。
【0079】
本例の定着装置では、磁束発生手段であるコイル5とコア6を保持するホルダー2が、支持軸2a、2bを回動中心にして遮蔽ギア11によって回動する。遮蔽ギア11と支持軸2aは、D字形状(Dカット)の嵌合により駆動を伝えられる構成である。それにより、ホルダー2は矢印a・b方向に回動する。
【0080】
図8に示すように、磁束遮蔽部材3A・3Bはベアリング部近傍の両端部に定着ローラを通る磁束線を遮蔽するための円筒形状の遮蔽部3c・3dを有する。図では遮蔽部3c・3dは図6に示すベアリング21a・21bの対向部(近傍)に設けてある。遮蔽部3c・3dを円筒形状に形成することにより、磁束発生手段によって発生する磁束の流れをベアリング部及びその近傍で遮蔽する。
【0081】
また、磁束遮蔽部材3A・3Bには紙サイズに対応した段階的に変化している遮蔽部(非通紙部)3p・3q及び3r・3sを設けている。これらの遮蔽部は、第一実施例で説明した、段階的に変化している切り欠き部3g・3hに対応するような形状に設けている。
【0082】
したがって、磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズに応じた遮蔽部3p・3qと3r・3sが段階的に変化している形状である。ホルダー2は紙サイズに対応した角度分だけ駆動手段20により、磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状の遮蔽部3p・3qと3r・3sにホルダー2と一体のコア6aの対向部を回動移動させる。コア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を上記遮蔽部によって遮蔽することで、遮蔽部(非通紙部)での定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0083】
上記磁束遮蔽部材3A・3Bでは、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの2段階の磁束調整が可能である。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをB4幅(257mm)、紙サイズ幅CをA4R幅(210mm)である。この場合、切り欠き部の全長を、それぞれの紙サイズ幅A・B・Cに対応した、段階的に変化している切り欠き幅(紙サイズ幅)にする。どのような紙サイズにするかは、定着装置が搭載される画像形成装置の仕様によって決められる。また、磁束遮蔽部材の遮蔽部(又は切り欠き部)は、2段階に限ったものでは無く、非通紙部昇温が起こるサイズによって、その都度に段階的に変化している遮蔽部(又は切り欠き部)を増減して設けるものである。ただし、遮蔽をようする紙サイズが一つのときは段階的形状では無くなる。
【0084】
非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅Aのとき、磁束遮蔽部材3A(または3B)とコイル5・コア6を保持しているホルダー2の位置関係は、図7(a)に示すような位置関係となる。すなわち、ホルダー2は磁気回路Jaに影響の少ない範囲の位置にある。この位置にホルダー2があるときは、磁束遮蔽部材3A(または3B)は磁気回路Jaに影響を与えないので、紙サイズ幅Aの全域幅で電磁誘導加熱による定着処理が可能である。
【0085】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Bのとき、コイル5・コア6を保持しているホルダー2は、磁気回路上に磁束遮蔽部材が来るように回動移動して、該磁束遮蔽部材が磁束の流れを阻害する。図では第一コア6aが磁束遮蔽部材3A(または3B)の遮蔽部3p(3q)に対向し、該遮蔽部が磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jb・Jb’は遮蔽部3q(3p)の幅Ba(Bb)(図8参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Bのときに非通紙部となる遮蔽部3q(3p)の幅Ba(Bb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図7(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、遮蔽部3p・3qの幅Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅B(切り欠き部3g)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0086】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Cのときも同様である。コイル5・コア6を保持しているホルダー2は、さらに回動移動する。図では第一コア6aが磁束遮蔽部材3A(または3B)の遮蔽部3r(3s)に対向し、該遮蔽部が磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jc、Jc’は遮蔽部3s(3r)の幅Ca(Cb)(図8参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Cのときに非通紙部となる遮蔽部3qと3sの加算幅(Ba+Ca)及び遮蔽部3pと3rの加算幅(Bb+Cb)(図7参照)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図7(b)と図7(c)の磁気回路Jb・Jb’、Jc・Jc’のようになる。上記幅紙サイズ幅(Ba+Ca)・(Bb+Cb)の範囲で定着ローラ内部を通る磁束は、図7(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、幅(Ba+Ca)、(Bb+Cb)の範囲で電磁誘導発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅C(第一実施例の切り欠き部3hに相当)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0087】
上記の各紙サイズ幅A・B・Cに応じた電磁誘導加熱による定着処理過程において、磁束遮蔽部材3A(または3B)の両端部の円筒形状の遮蔽部3c・3dは、磁束発生手段5・6によって発生する磁束の流れを図7(d)に示すように遮蔽する。すなわち、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線を遮蔽する。これによって、ベアリング近傍の定着ローラ端部の発熱が緩和され、ベアリング21a・21bの温度昇温が防止される。
【0088】
したがって、本例のように、固定されている磁束遮蔽部材3A・3Bに対して磁束発生手段5・6を備えたホルダー2を回動移動させるタイプの定着装置においても、第一実施例と同様な効果を得ることができる。
【0089】
〔第三の実施例〕
第三の実施例の定着装置を図9を用いて説明する。
【0090】
本例に示す定着装置は、第一の実施例の磁束調整加熱アセンブリ1を、磁束遮蔽部材3の回転半径r1よりも大きな半径r2(r2<r1)の定着ローラ7に対して適用した例である。本例の定着装置では、定着ローラの中心と磁束遮蔽部材3の回動中心が異なる。すなわち、磁束遮蔽部材3の回動中心o1は定着ローラ7の回転中心o2に対して偏心している。磁束発生手段5・6、加圧ローラ8などは第一実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。ホルダー2、磁束遮蔽部材3の材質なども第一実施例と同様である。
【0091】
本例の定着装置においては、磁束遮蔽部材3は定着ローラ7の内部でアセンブリ1に対して矢印a・b方向に回動されることによって、第一実施例の装置と同様な効果を得ている。
【0092】
このように、大径定着ローラ7にも、それより小さな径の定着ローラで使用する磁束調整加熱アセンブリ1を用いることができ、部品の共通化・成形型の削減が可能になり、低コスト化につながる。
【0093】
さらに、大きな径の定着ローラに対して、磁束調整加熱アセンブリを一本の定着ローラに複数設けることもできることは、第三の実施例から容易に推測できる。
【0094】
〔第四の実施例〕
第四の実施例の定着装置を図10、11、12、13、14を用いて説明する。
【0095】
図10は本例の定着装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Aのときの磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図、図11は同装置の定着ローラ径方向における概略構成断面図、図12は同装置における磁束遮蔽部材3A(3B)とリードねじ4の結合関係を示す斜視図、図13は同装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Bのとき(非通紙部昇温対策のとき)の磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図、図14は同装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する磁気回路のイメージ図をそれぞれ示している。
【0096】
本例の定着装置において、磁束発生手段、定着ローラ、加圧ローラなどは第一実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。磁束遮蔽部材の材質なども第一実施例と同様である。
【0097】
本例の定着装置は、図12に示すようなD字型円筒形状の二つの磁束遮蔽部材3A(3B)が、定着ローラの長手方向でスラスト移動する構成である。二つの磁束遮蔽部材3A(3B)はリードねじ4が回転することで、定着ローラ長手方向にスラスト移動する。
【0098】
図10に示すように、リードねじ4は逆ねじの関係の形状にある右ねじ部(又は左ねじ部)4aと左ねじ部(又は右ねじ部)4bから構成されている。リードねじ4の両端部4c、4dはそれぞれホルダー2に設けられた軸受け部2a1、2b1にて支持されている。リードねじ4の片端部4eはD字型形状をしており、該片端部に取り付けられた遮蔽ギア11を介して駆動手段20により所定方向に回転駆動される。ホルダー2は両端をそれぞれ支持側板13、14にて位置決めされて固定されている。本例ではリードねじ4の両端部4c、4dをホルダー2の軸受け部2a1、2b1で支持させたが、リードねじの他の支持構造として、ホルダーに耐久性のある軸受け部材を別に設け、この軸受け部材によりリードねじの両端部を支持するように構成してもよい。
【0099】
リードねじ4の右ねじ部(又は左ねじ部)4aには磁束遮蔽部材3Aが取り付けられ、左ねじ部(又は右ねじ部)4bには磁束遮蔽部材3Bが取り付けられる。二つの磁束遮蔽部材3A・3Bは、それぞれ、ベアリング部及びその近傍で定着ローラを通る磁束線を遮蔽するためのD字型円筒形状をしている。リードねじ4と二つの磁束遮蔽部材3A・3Bの結合態様は、図12に示されるように、各磁束遮蔽部材3A(3B)において、部材の平面部の2箇所に設けられたねじ支持部3f1が対応するねじ部により支持され、該2箇所のねじ支持部間で同平面部に設けられたボス部3fを対応するねじ部に噛合わせている。
【0100】
図10に示されるように、各磁束遮蔽部材3A・3Bは、通常、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)に対応する位置に待機している。この待機位置において、磁束遮蔽部材の一部がベアリング21a、21bの対向部(近傍)に位置している。
【0101】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅B(最大通紙サイズよりも小サイズの通紙サイズ)のときには、各磁束遮蔽部材3A・3Bは、駆動手段20により回転駆動されたリードねじ4によって上記待機位置から図13に示す紙サイズ幅Bに対応する位置まで定着ローラ長手方向にスラスト移動される。この場合、リードねじ4の回転によって、一方の磁束遮蔽部材3Aは待機位置から定着ローラ7の中央に向けてスラスト移動し、他方の磁束遮蔽部材3Bも待機位置から定着ローラ7の中央に向けてスラスト移動する。すなわち2つの磁束遮蔽部材3A・3Bはリードねじ4の回転によって互いに接近・離隔移動される。各磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズ幅Bに対応する位置で、その一部がベアリング21a、21bの対向部(近傍)に位置している。
【0102】
次に、紙サイズに対応した非通紙部昇温を抑える磁束遮蔽部材3A・3Bの動作を説明する。
【0103】
磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズに対応してスラスト方向に移動し、非通紙部の磁束遮蔽を行うことで、全ての紙サイズに対応することができる。ただし、非通紙部昇温が問題にならない場合は移動しない。対応紙サイズに応じて駆動手段20によりリードねじ4は回転され、対応紙サイズに対応する所定位置にスラスト移動して、コア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を遮蔽することで、その磁束線遮蔽部(非通紙部)の定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0104】
磁束遮蔽部材3A・3Bは、上述したように、通常、図10に示すように非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)に対応する位置に待機しており、非通紙部昇温の起こる小サイズ紙幅Bのときは図13に示す位置にスラスト移動する。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをA4R幅(210mm)である、対応した位置に移動する。どのような紙サイズかは、定着装置を搭載する画像形成装置の仕様によって決められる。
【0105】
図14(a)に紙サイズ幅A(またはB)の定着可能領域の磁気回路Jaを示す。図14(b)に紙サイズ幅A(またはB)の外側の非通紙部およびベアリング近傍の磁気回路Jbを示す。
【0106】
非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(図10参照)に対応する位置に磁束遮蔽部材3A・3Bがあるときは、紙サイズ幅Aの全域幅で定着が可能である。この場合、磁束遮蔽部材3A・3Bは、紙サイズ幅Aの外側の非通紙部およびベアリング近傍に位置して磁束の流れを遮蔽する。すなわち、図14(b)に示されるように、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線が遮蔽され、これによって、ベアリング近傍の定着ローラの発熱を緩和し、ベアリング21a・21bの温度昇温を防止する。
【0107】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅B(図13参照)のとき、磁束遮蔽部材3A・3Bはスラスト移動して、紙サイズ幅Bの外側の非通紙部およびベアリング近傍の磁束の流れを阻害する。これによって、図14(b)に示されるように、定着ローラ7からコア6aへと通る磁束線が遮蔽され、紙サイズ幅Bの外側の範囲(非通紙部)及びベアリング近傍では電磁誘導による定着ローラの発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えるとともにベアリング21a・21bの温度昇温を防止する。
【0108】
本例の定着装置によれば、磁束遮蔽部材3A・3Bを定着ローラ長手方向にスラスト移動させるリードねじ4をホルダー2に支持させる構成であるので、ホルダー2とスラスト移動する磁束遮蔽部材3A・3Bとの位置精度を向上させ、磁束遮蔽部材とホルダーの擦れを減少させることができるとともに、定着ローラ長手方向の磁束遮蔽部における磁気回路の均一性を向上させ、定着ローラ長手方向の温度ムラに起因して発生する画像ムラを無くすことができる。
【0109】
また、ベアリング近傍の磁束をスラスト移動する磁気遮蔽部材3A・3Bで遮蔽する構成である。これによって、磁気遮蔽部材3A・3Bによりベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることができ、ベアリング21a・21bへの熱ダメージを低減でき、ベアリングの長寿命化、ベアリング断熱部材を無くす構成、低価格のベアリングの使用を実現できる。
【0110】
また、ベアリング近傍の定着ローラ7の誘導発熱を抑えることで、ベアリング21a・21bをそれぞれ支持する支持側板25a・25bからの熱の逃げを少なくすることができ、発熱した熱を効率よく使うことができる。これにより、定着ローラ端部からの放熱を低減でき省電力化を実現できる。
【0111】
〔第五の実施例〕
本例の定着装置は、第一実施例の磁束遮蔽部材3(図3参照)の非通紙部昇温対策部である段階的に変化する遮蔽部3i〜3lを無くした構成である。すなわち、図15に示されるように、磁束発生手段5・6を保持するホルダー2に磁束遮蔽部材3の円筒部3c・3dのみ設けた。
【0112】
〔第六の実施例〕
本例の定着装置は、第二実施例の、固定された磁束遮蔽部材3A・3B(図8参照)の非通紙部昇温対策部である段階的に変化する遮蔽部3p〜3r形状を無くした構成である。すなわち、図16に示されるように、ホルダー支持側板13・14に固定された磁束遮蔽部材3A・3Bに円筒部3c・3dのみ設けた。
【0113】
このような第五、六の実施例でも、第一、二実施例と同様の効果が得られる。
【0114】
〔画像形成装置例〕
各実施例の定着装置は、例えば、電子写真画像形成装置に搭載される。図5は第一実施例の定着装置10を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成の説明図である。
【0115】
画像形成装置100は、画像読取部108で原稿の画像を読み取り、読み取られた画像データに基づいたコントローラ(図示せず)からの指令により、感光ドラム101の表面に画像書き込み部109から露光を行って感光ドラム101上に静電潜像を形成する。なお、露光の前に、感光ドラム101の表面が帯電器102により所定の電位に一様に帯電させられており、一様に帯電させられた感光ドラム101上に、画像書き込み部109からレーザー光等を照射することにより、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置103のトナーにより現像され、その後、現像されたトナー画像が感光ドラム101の回転により転写装置104との対向部へ搬送される。
【0116】
現像されたトナー画像の搬送に対応して、ピックアップローラ132により用紙Sが用紙カセットから1枚づつ給紙されるとともに、レジストローラ対135によってタイミングを取って感光ドラム101と転写装置104との対向部へ搬送される。そして、用紙Sが感光ドラム101と転写装置104との対向部を通過する際に、感光ドラム101上の現像されたトナー画像が転写装置104により用紙Sの上に転写される。
【0117】
トナー画像が転写された用紙Sは、所定の搬送装置により定着ローラ7の位置に搬送され、定着ローラ7と加圧ローラ8で圧接されるとともに、定着ローラ内に設けられた磁束発生手段により電磁誘導加熱されて、用紙S上のトナーが用紙Sに溶融定着させられる。その後、トナー画像が定着させられた用紙Sは、排紙ローラ111により装置本体外部のトレー115に収納され一連の画像形成プロセスが終了する。
【0118】
以上の第一、二、三、四の実施例では、特に非通紙部昇温の対策を必要とする定着装置の例を示した。また、第一、二、三、四の実施例では、非通紙部昇温対策の磁束遮蔽部材3、3A・3Bに、ベアリングの熱ダメージを低減させる機能を共有させている構成である。これにより、省スペース化、部品の共通化が図られる。
【0119】
第五、六の実施例としては、定着ローラ7の長手方向の長さの短いものや、紙サイズの限定などによって、非通紙部昇温が問題とならない定着装置に本発明の構成を用いた。
【0120】
以上のように6種類の実施例を示したが、画像形成装置の仕様、定着装置の配置などにより適時、本発明の構成を用いるとよい。
【0121】
画像形成装置の仕様などによって適時、ベアリング断熱部材の有り無し、ベアリング内部のグリスを選定して本発明の構成を用いるとよい。この場合、ベアリング断熱部材無しの構成、低耐熱性グリスを限定するものではない。
【0122】
〔その他〕
本発明の加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0123】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0124】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0125】
〔実施形態1〕励磁コイルと磁性体コアを有する磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を磁束遮蔽部材によって遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
【0126】
〔実施形態2〕励磁コイルと磁性体コアを有する磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部において磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向に関する密度分布を変化せしめる磁束調整手段を備え、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を調整する位置に磁束遮蔽部材を移動する駆動手段を備え、磁束遮蔽部材は被加熱材のサイズに対応して磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を調整する位置に駆動手段によって移動し、被加熱材のサイズに応じた加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する前記移動可能な磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を前記移動可能な磁束遮蔽部材によって常時、遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
【0127】
〔実施形態3〕誘導発熱体が円筒形状のとき、磁束遮蔽部材は略円弧形状である、実施形態1または2に記載の加熱装置。
【0128】
〔実施形態4〕磁束遮蔽部材は、被加熱材のサイズに応じた遮蔽部が段階的に変化している形状である、実施形態1ないし3のいずれかに記載の加熱装置。
【0129】
〔実施形態5〕実施形態1に記載の磁束遮蔽部材は、磁束遮蔽部材の駆動手段により遮蔽を要する被加熱材のサイズに応じた遮蔽位置に対応した角度分だけ回動移動し、遮蔽を要する被加熱材のサイズの非通紙部を磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状部により磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するとともに、誘導発熱体の支持部材の近傍においては常時、磁束遮蔽部材によって磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するものである、実施形態1、3または4に記載の加熱装置。
【0130】
〔実施形態6〕実施形態2に記載の磁束遮蔽部材は、磁束遮蔽部材の駆動手段により遮蔽を要する被加熱材のサイズに応じた遮蔽位置に対応して被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラスト移動し、遮蔽を要する被加熱材のサイズの非通紙部を磁束遮蔽部材がスラスト方向に移動することにより磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するとともに、誘導発熱体の支持部材の近傍においては常時、磁束遮蔽部材によって磁性体コアと誘導発熱体の間を遮蔽するものである、実施形態2、3または4に記載の加熱装置。
【0131】
〔実施形態7〕実施形態6に記載の磁束遮蔽部材を被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向(スラスト方向)にスラスト移動する駆動手段として、リードねじを用い、リードねじの支持部は励磁コイルと励磁コアを保持するホルダーの一部で構成する、実施形態2、3、4または6に記載の加熱装置。
【0132】
〔実施形態8〕被加熱材が誘導発熱体の長手方向の中央を基準にして搬送される加熱装置において、実施形態7に記載の磁束遮蔽部材は誘導発熱体の長手方向の両側にそれぞれ設けられ、被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラスト移動する駆動手段であるリードねじは、それぞれの磁束遮蔽部材に対応して設けられ、リードねじの回転によって磁束遮蔽部材がそれぞれ逆のスラスト方向に移動するように、それぞれの磁束遮蔽部材に対応したリードねじ部は逆ねじの関係の形状である、実施形態2、3、4、6または7に記載の加熱装置。。
【0133】
〔実施形態9〕実施形態1ないし8に記載の加熱装置の磁束発生手段および磁束遮蔽部材を一つのアセンブリ構成にしたことを特徴とする、実施形態1ないし8のいずれかに記載の加熱装置。
【0134】
〔実施形態10〕実施形態9に記載のアセンブリを一つの誘導発熱体に対して少なくても設けたことを特徴とする、実施形態1ないし9のいずれかに記載の加熱装置。
【0135】
〔実施形態11〕磁束遮蔽部材は、非磁性かつ良電気導電性の物質で作られる、実施形態1ないし10のいずれかに記載の加熱装置。
【0136】
〔実施形態12〕実施形態11に記載の非磁性かつ良電気導電性の物質は、アルミニウム、銅、マグシウム、銀などの合金である、実施形態1ないし11のいずれかに記載の加熱装置。
【0137】
〔実施態様13〕被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする実施態様1ないし12のいずれかに記載の加熱装置。
【0138】
〔実施態様14〕記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、前記像加熱手段が実施態様1ないし13のいずれかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、支持部材近傍の磁束を磁気遮蔽部材によって遮蔽することで、支持部材近傍の誘導発熱体の電磁誘導発熱を抑えることができる。これにより、支持部材への熱ダメージを低減でき、支持部材の長寿命化、断熱部材を無くす構成、低価格の支持部材の使用が可能になった。
【0140】
また、支持部材近傍の誘導発熱体端部の電磁誘導発熱を抑えることで、支持部材をそれぞれ支持する支持側板からの熱の逃げを少なくすることができ、発熱した熱を効率よく使うことができる。これにより、誘導発熱体端部からの放熱を低減させ省電力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例の定着装置(加熱装置)の定着ローラ長手方向(定着ローラ軸方向)における概略構成断面図。
【図2】第一の実施例の定着装置の定着ロ−ラ径方向における概略構成断面図。
【図3】第一の実施例の定着装置における磁束調整加熱アセンブリの構成分解斜視図。
【図4】第一の実施例の定着装置において磁束遮蔽部材で磁束を遮蔽したときの磁気回路のイメージ図。
【図5】第一の実施例の定着装置を搭載した画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図6】第二の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【図7】第二の実施例の定着装置において磁束遮蔽部材で磁束を遮蔽したときの磁気回路のイメージ図。
【図8】第二の実施例の定着装置における磁束遮蔽部材の斜視図。
【図9】第三の実施例の定着装置の定着ロ−ラ径方向における概略構成断面図。
【図10】第四の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Aのときの磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図。
【図11】第四の実施例の定着装置の定着ローラ径方向における概略構成断面図。
【図12】第四の実施例の定着装置における磁束遮蔽部材とリードねじの結合関係を示す斜視図。
【図13】第四の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における紙サイズ幅Bのとき(非通紙部昇温対策のとき)の磁束遮蔽部材の位置を示す概略構成断面図。
【図14】第四の実施例の定着装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する磁気回路のイメージ図。
【図15】第五の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【図16】第六の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【符号の説明】
1:磁束調整加熱アセンブリ、2:ホルダー、3:磁束遮蔽部材、
4:リードねじ、4a,4b:ねじ部、5:励磁コイル、6:磁性体コア、
6a:第一の磁性体コア、6b:第2の磁性体コア、7:定着ローラ、
8:加圧ローラ、11:遮蔽ギア、15:コイル電力供給線、
21a、21b:ベアリング、25a,15b:支持側板、
N:定着ニップ部、Ja,Jb,Jc,Jc’:磁束発生部の磁力線(磁気回路)
Claims (1)
- 磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、
磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材と、誘導発熱体を回転可能に支持する支持部材の位置関係は、支持部材が誘導発熱体を支持する支持部およびその近傍における誘導発熱体に作用する磁束を磁束遮蔽部材によって遮蔽する位置であることを特徴とする加熱装置。
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