JP2004258494A - Ndフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ワイドレンズの周辺光量の不足を防止し、可視領域の波長に対して均一な透過特性と反射防止特性を有するNDフィルタを提供する。
【解決手段】NDフィルタ10は、平面形状が略円形のガラスである透明基板11と、フッ化マグネシウム(MgF2 )で形成された低屈折率誘電体薄膜12と、ニクロム(NiCr)で形成された金属薄膜13と、五酸化タンタル(Ta2 O5 )で形成された高屈折率誘電体薄膜14とで構成されている。低屈折率誘電体薄膜12は、透明基板11の上面を覆うように積層されており、増透膜(反射防止膜)として作用する。また、この低屈折率誘電体薄膜12の上層には、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とが、低屈折率誘電体薄膜12の中心部のみに同心円状に順次積層されている。
【選択図】 図2
【解決手段】NDフィルタ10は、平面形状が略円形のガラスである透明基板11と、フッ化マグネシウム(MgF2 )で形成された低屈折率誘電体薄膜12と、ニクロム(NiCr)で形成された金属薄膜13と、五酸化タンタル(Ta2 O5 )で形成された高屈折率誘電体薄膜14とで構成されている。低屈折率誘電体薄膜12は、透明基板11の上面を覆うように積層されており、増透膜(反射防止膜)として作用する。また、この低屈折率誘電体薄膜12の上層には、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とが、低屈折率誘電体薄膜12の中心部のみに同心円状に順次積層されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有効光束幅の中心部の透過光量を減衰させる薄膜型のNDフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
被写体輝度が高すぎる場合に絞りを最小径に絞っても、感光面へ所定量以上の光量が入射してしまう時に、撮影光学系にNDフィルタを装着して感光面への入射光量を規制することが従来から行われている。このようなNDフィルタとしては、金属薄膜と誘電体薄膜とを透明基板に積層することにより、可視領域の波長全域にわたり均一な透過率特性と、ゴーストやフレアを防止する反射防止特性を有するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−063915号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、撮影光学系にワイドレンズを使用した場合に周辺光量を確保するのが難しいという問題がある。この問題を解決する方法として、有効光束の中心部の光量を落として、周辺部の光量を相対的に増加させることにより、周辺光量を確保する方法がある。しかし、前述の特許文献1に記載のNDフィルタでは、有効光束の中心部の光量のみを減衰することは出来ない。このため、有効光束幅の中心部の光量のみを減衰し、周辺部の光量を相対的に増加させることが出来る薄膜型のNDフィルタが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためのもので、ワイドレンズの周辺光量の不足を防止し、可視領域の波長に対して均一な透過特性と反射防止特性を有するNDフィルタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のNDフィルタは、低屈折率誘電体薄膜と、高屈折率誘電体薄膜と、これらの間に挟まれるように配置される金属薄膜とが透明基板上に積層され、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜とは、透明基板の有効光束幅に対して中心部にのみ積層されていることを特徴とするものであり、低屈折率誘電体薄膜は、中心部とその周辺部に積層されていることが好ましい。
【0007】
さらに、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜は、中心部から周辺部に向かって、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜とが存在する存在部に対する非存在部の面積比が増大する形状であることを特徴とするものであり、存在部と非存在部とが混在する領域では、存在部の幅、あるいは非存在部の幅は、0.01mm以上であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、第1の実施形態であるNDフィルタ10の平面概略図及び断面概略図である。このNDフィルタ10は、平面形状が略円形のガラスである透明基板11と、低屈折率誘電体薄膜12と、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とで構成されている。
【0009】
低屈折率誘電体薄膜12は、透明基板11の上面を覆うように積層されている。この低屈折率誘電体薄膜12の上層には、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とが、低屈折率誘電体薄膜12の中心部のみに同心円状に順次積層されている。これらの薄膜12,13,14は、例えば、真空蒸着により積層する。
【0010】
本実施形態においては、透明基板11として、例えば、材質BK7のガラス、低屈折率誘電体薄膜12として、フッ化マグネシウム(MgF2 )で形成された薄膜、金属薄膜13として、ニクロム(NiCr)で形成された薄膜、高屈折率誘電体薄膜14として、五酸化タンタル(Ta2 O5 )で形成された薄膜をそれぞれ用いる。また、低屈折率誘電体薄膜12を透明基板11上の全面に積層しているが、有効光束幅分だけ積層しても良いし、金属薄膜13及び高屈折率誘電体薄膜14と同様に、中心部のみに積層しても良い。しかし、低屈折率誘電体薄膜12は、増透膜(反射防止膜)としての役割があるので、透明基板11上の全面に積層して反射を防止することが好ましい。
【0011】
次に、NDフィルタ10の特性について以下に説明を行う。図3は、入射角度0°の時の可視領域の波長(400nm〜700nm)の光に対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。
【0012】
NDフィルタ10において、透明基板11の屈折率は、1.5であり、低屈折率誘電体薄膜12の屈折率は、1.385、膜厚は、111.191nmである。また、金属薄膜13の膜厚は、22nmであり、高屈折率誘電体薄膜14の屈折率は、2.1、膜厚は44.524nmである。
【0013】
このNDフィルタ10の反射率Rは、図中実線で示すように、波長400nmにおいて0.197であり、波長が長くなるに従って、波長が漸減して波長525nm〜550nmで最小値0.035となり、この波長が変曲点となっており、この波長よりも長い波長に対しては、透過率Rは漸増して、波長700nmにおいて0.154となっている。この可視領域の波長に対する平均反射率は、略10%である。
【0014】
また、NDフィルタ10の透過率Tは、図中点線で示すように、波長440nm〜700nmの領域に対して、0.211〜0.271の狭い範囲内で変化しており、可視光領域の波長に対して均一な透過特性を有している。また、NDフィルタ10の平均透過率は略25%である。
【0015】
次に、透明基板11上に金属薄膜13のみを積層したものと、NDフィルタ10の反射率・透過率を比較する。図4は、透明基板11上に膜厚15nmの金属薄膜13のみを積層した場合の反射率・透過率の特性であり、入射角度0°の入射光の波長に対する反射率・透過率を示すグラフである。反射率Rは、0.362〜0.421の間で変化しており、平均反射率は略40%である。また、透過率Tは、0.227〜0.283の間で変化している。これらのデータから、前述のNDフィルタ10は、反射率が略30%低減されていることが分かる。
【0016】
また、このNDフィルタ10の周辺光(入射角60°の光)に対する反射率と透過率の特性について説明する。この場合には、図1に示すように、中心部には入射せずに、周辺部に入射する。つまり、高屈折率誘電体薄膜14及び金属薄膜13には、光は入射せずに、低屈折率誘電体薄膜12に入射する。図5は、可視光の波長領域である400nm〜700nmの波長の光に対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。図中実線で示すグラフは、反射率Rを示しており、図中点線で示すグラフは、透過率Tを示している。
【0017】
反射率Rは、各波長に対して略0.1である。また、透過率Tは、各波長に対して略0.9となっている。これらより、低屈折率誘電体薄膜12により、入射光の反射が防止されており、殆ど減衰されずにNDフィルタ10から出射していることが分かる。これにより、中心部に入射した光は、略25%に減衰されるが、この中心部の周辺から入射した周辺光は、殆ど減衰されずに出射することが分かる。
【0018】
つまり、NDフィルタ10は、中心部に入射した光は略25%に減衰されるが、その周辺から入射した光は減衰されないので、周辺光の光量を相対的に増加させることができる。
【0019】
次に、低屈折率誘電体薄膜12、金属薄膜13、高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を変化させた場合の反射率・透過率特性について説明を行う。図6は、低屈折率誘電体薄膜12の膜厚を99.278nm,金属薄膜13の膜厚を32nm,高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を41.905nmにした場合において、入射角度0°の入射光の波長領域400nm〜700nmに対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。図中実線で示すグラフから分かるように、反射率Rは、波長400nmの時に、0.232となり、波長が長くなるにしたがって漸減して、波長525nmの時に最も低くなり、0.101となる。この波長525nmが変曲点となっており、波長525nmよりも長くなると、逆に反射率は漸増して波長700nmの時に0.28となる。
【0020】
図中点線で示すグラフから分かるように、透過率Tは、波長領域400nm〜700nmの光に対して、0.107〜0.144の間で変化しており、透過率Tの平均は、略0.12(12%)である。
【0021】
図7は、低屈折率誘電体薄膜12の膜厚を111.191nm,金属薄膜13の膜厚を10nm,高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を44.524nmにした場合において、入射角度0°の入射光の波長領域400nm〜700nmに対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。図中実線で示すグラフから分かるように、反射率Rは、波長400nmの時に、0.116となり、波長が長くなるにしたがって漸減して、波長600nmの時に最も低くなり、0.006となる。この波長600nmで変曲点となっており、波長600nmよりも長くなると、逆に反射率は漸増して波長700nmの時に0.026となる。
【0022】
図中点線で示すグラフから分かるように、透過率Tは、波長領域400nm〜700nmの光に対して、0.454〜0.504の間で変化しており、透過率Tの平均は、略0.5(50%)である。
【0023】
以上説明したように、低屈折率誘電体薄膜12,金属薄膜13,及び高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を変化させると、透過率が変化することが分かる。つまり、これらの薄膜12,13,14の膜厚を適宜変化させることにより、透過率を変更することが可能である。
【0024】
次に、第1の実施形態であるNDフィルタ10の作用について説明を行う。図8は撮影レンズとしてワイドレンズ20を用いた撮影光学系21に、NDフィルタ10を装着した時の断面図である。本実施形態においては、NDフィルタ10の高屈折率誘電体薄膜14がワイドレンズ20側になるように配置されている。前述のように、高屈折率誘電体薄膜14側から入射した光に対しては、反射光が低減されているので、撮影レンズ表面からの反射光によるゴーストを防止できる。
【0025】
被写体側から入射した光、つまり、透明基板11(屈折率1.5)側から入射する光は、空気(屈折率1.0)側(高屈折率誘電体薄膜14側)から入射する場合と比べて、屈折率の比が大きくなり、反射率が増加する。しかし、この反射光は、撮影光学系21の外側に反射されるので、撮影光学系21には影響を与えない。
【0026】
また、透明基板11側から入射する光については、中心部に入射した光は、透明基板11と、低屈折率誘電体薄膜12と、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とを透過して、入射光は減衰されて撮影レンズ21を透過してワイドレンズ20に入射する。また、入射角が30°の光も同様にして、ワイドレンズ20に入射する。
【0027】
入射角度が60°以上の光は、NDフィルタ10の周辺部から入射するため、透明基板11と、低屈折率誘電体薄膜12とを透過して、ワイドレンズ20に入射する。この時、入射光は殆ど減衰されない。
【0028】
つまり、NDフィルタ10の中心部を入射した光に対して、周辺部を入射した光が相対的に増加する。これにより、ワイドレンズ20を使用した時に発生する周辺光量の不足を改善することができる。
【0029】
次に、第2の実施形態のNDフィルタ30について説明を行う。NDフィルタ10では、入射角60°以上の光を減衰させずに透過するようにして、周辺光を相対的に増加させたが、金属薄膜と高屈折率誘電体薄膜の膜厚を変化させることにより、中心部から周辺に向かって、連続的に透過率が増加するようにしても良い。この場合は、NDフィルタ10の場合に比べて、透過光量が連続的に変化するため、光量をより均一にすることができる。このように、中心部から周辺にいくに従って透過率が漸増するようにしたのが、NDフィルタ30である。
【0030】
図9は、NDフィルタ30の断面概略図である。このNDフィルタ30は、平面形状が略円形のガラスである透明基板31と、低屈折率誘電体薄膜32と、金属薄膜33と、高屈折率誘電体薄膜34とで構成されている。低屈折率誘電体薄膜32は、透明基板31の上面を覆うように積層されている。この低屈折率誘電体薄膜32の上層には、金属薄膜33と、高屈折率誘電体薄膜34とが、低屈折率誘電体薄膜32の中心部に同心円状に順次積層されている。
【0031】
金属薄膜33及び高屈折率誘電体薄膜34は、中心部から周辺部に向かって徐々に膜厚が減少するように形成されている。このように形成することにより、入射角度30°、入射角度45°、入射角度60°と入射角度が大きくなるにしたがって、入射光が透過するそれぞれの位置において、金属薄膜33及び高屈折率誘電体薄膜34の膜厚が減少しているので、入射角度が増加するに従って徐々に透過率が増加する。これにより、中心部に対して周辺部の光量を連続的に増加させることができる。
【0032】
次に、第3の実施形態のNDフィルタ40について説明を行う。このNDフィルタ40は、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜の膜厚を変化させるのではなく、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜の存在箇所に対して、非存箇所の面積を中心部側から周辺部側に行くに従って増加させることにより、入射角度が大きくなるに従って透過率を増加させるものである。
【0033】
図10及び図11は、NDフィルタ40の平面概略図及び断面概略図である。このNDフィルタ40は、平面形状が略円形のガラスである透明基板41と、低屈折率誘電体薄膜42と、金属薄膜43と、高屈折率誘電体薄膜44とで構成されている。低屈折率誘電体薄膜42は、透明基板41の上面を覆うように積層されている。この低屈折率誘電体薄膜42の上層には、金属薄膜43と、高屈折率誘電体薄膜44とが、低屈折率誘電体薄膜42の中心部45に同心円状に順次積層されている。さらに、その周辺部46には、高屈折率誘電体薄膜44と金属薄膜43で形成される円柱状の存在部47が複数設けられている。
【0034】
この存在部47の密度を中心部45から周辺部46に向かうに従って減少させることにより、非存在部48に対する存在部47の面積比を減少させている。これにより、中心部45に対して周辺部46の光量を連続的に増加させることができる。
【0035】
また、円柱状の存在部47の直径W1と、存在部47のピッチ(非存在部48の幅)W2は、共に0.01mm以上にされており、光の波長より長いので、光の回折の影響によるボケが防止されている。
【0036】
図12に示す第4の実施形態であるNDフィルタ50は、NDフィルタ40の変形例であり、中心部51から周辺部52に向かって放射線状に延びる複数の存在部53を周辺に行くに従って幅が減少する形状して、非存在部54に対する存在部53の面積比を減少させている。これにより、中心部51に対して周辺部52の光量を連続的に増加させることができる。
【0037】
また、存在部53の幅W3と、非存在部54の幅(存在部53の互いの間隔)W4は、共に0.01mm以上にされており、光の波長よりも長いので、光の回折の影響によるボケが防止されている。
【0038】
なお、本実施形態においては、透明基板上に、低屈折率誘電体薄膜と、金属薄膜と、高屈折率誘電体薄膜とを順に積層したが、これに限るものではなく、例えば、図13の第5の実施形態であるNDフィルタ60の断面概略図に示すように、透明基板61上に高屈折率誘電体薄膜64、金属薄膜63、低屈折率誘電体薄膜62の順に積層しても良い。この場合は、膜が形成されている側を物体側に向けて使用する。
【0039】
また、本実施形態においては、フッ化マグネシウム(MgF2 )により低屈折率誘電体薄膜を形成したが、これに限るものではなく、例えば、二酸化ケイ素(SiO2 )で形成しても良い。さらに、ニクロム(NiCr)により金属薄膜13を形成したが、これに限るものではなく、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)で形成しても良い。
【0040】
また、五酸化タンタル(Ta2 O5 )により高屈折率誘電体薄膜を形成したが、これに限るものではなく、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、二酸化チタン(TiO2 )で形成しても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のNDフィルタによれば、周辺光の光量を中心部の光量に対して相対的に増加させることができるので、ワイドレンズを用いた撮影光学系に使用すれば、周辺光量の不足を防止できるので、鮮明な画像を撮影することができる。
【0042】
また、本発明のNDフィルタは反射が防止されているので、撮影光学系内部の反射によるフレアやゴーストの発生を防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるNDフィルタの平面概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【図3】第1の実施形態のNDフィルタの入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図4】透明基板上に金属薄膜のみを積層した場合の入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図5】第1の実施形態のNDフィルタの入射角60°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図6】第1の実施形態のNDフィルタの膜厚を変化させた時の入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態のNDフィルタの膜厚を変化させた時の入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図8】第1の実施形態のNDフィルタの作用を説明する断面概略図である。
【図9】第2の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【図10】第3の実施形態であるNDフィルタの平面概略図である。
【図11】第3の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【図12】第4の実施形態であるNDフィルタの平面概略図である。
【図13】第5の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【符号の説明】
10,30,40,50,60 NDフィルタ
11,31,61 透明基板
12,32,62 低屈折率誘電体薄膜
13,33,63 金属薄膜
14,34,64 高屈折率誘電体薄膜
20 ワイドレンズ
21 撮影光学系
45,51 中心部
46,52 周辺部
47,53 存在部
48,54 非存在部
【発明の属する技術分野】
本発明は、有効光束幅の中心部の透過光量を減衰させる薄膜型のNDフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
被写体輝度が高すぎる場合に絞りを最小径に絞っても、感光面へ所定量以上の光量が入射してしまう時に、撮影光学系にNDフィルタを装着して感光面への入射光量を規制することが従来から行われている。このようなNDフィルタとしては、金属薄膜と誘電体薄膜とを透明基板に積層することにより、可視領域の波長全域にわたり均一な透過率特性と、ゴーストやフレアを防止する反射防止特性を有するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−063915号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、撮影光学系にワイドレンズを使用した場合に周辺光量を確保するのが難しいという問題がある。この問題を解決する方法として、有効光束の中心部の光量を落として、周辺部の光量を相対的に増加させることにより、周辺光量を確保する方法がある。しかし、前述の特許文献1に記載のNDフィルタでは、有効光束の中心部の光量のみを減衰することは出来ない。このため、有効光束幅の中心部の光量のみを減衰し、周辺部の光量を相対的に増加させることが出来る薄膜型のNDフィルタが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためのもので、ワイドレンズの周辺光量の不足を防止し、可視領域の波長に対して均一な透過特性と反射防止特性を有するNDフィルタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のNDフィルタは、低屈折率誘電体薄膜と、高屈折率誘電体薄膜と、これらの間に挟まれるように配置される金属薄膜とが透明基板上に積層され、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜とは、透明基板の有効光束幅に対して中心部にのみ積層されていることを特徴とするものであり、低屈折率誘電体薄膜は、中心部とその周辺部に積層されていることが好ましい。
【0007】
さらに、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜は、中心部から周辺部に向かって、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜とが存在する存在部に対する非存在部の面積比が増大する形状であることを特徴とするものであり、存在部と非存在部とが混在する領域では、存在部の幅、あるいは非存在部の幅は、0.01mm以上であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、第1の実施形態であるNDフィルタ10の平面概略図及び断面概略図である。このNDフィルタ10は、平面形状が略円形のガラスである透明基板11と、低屈折率誘電体薄膜12と、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とで構成されている。
【0009】
低屈折率誘電体薄膜12は、透明基板11の上面を覆うように積層されている。この低屈折率誘電体薄膜12の上層には、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とが、低屈折率誘電体薄膜12の中心部のみに同心円状に順次積層されている。これらの薄膜12,13,14は、例えば、真空蒸着により積層する。
【0010】
本実施形態においては、透明基板11として、例えば、材質BK7のガラス、低屈折率誘電体薄膜12として、フッ化マグネシウム(MgF2 )で形成された薄膜、金属薄膜13として、ニクロム(NiCr)で形成された薄膜、高屈折率誘電体薄膜14として、五酸化タンタル(Ta2 O5 )で形成された薄膜をそれぞれ用いる。また、低屈折率誘電体薄膜12を透明基板11上の全面に積層しているが、有効光束幅分だけ積層しても良いし、金属薄膜13及び高屈折率誘電体薄膜14と同様に、中心部のみに積層しても良い。しかし、低屈折率誘電体薄膜12は、増透膜(反射防止膜)としての役割があるので、透明基板11上の全面に積層して反射を防止することが好ましい。
【0011】
次に、NDフィルタ10の特性について以下に説明を行う。図3は、入射角度0°の時の可視領域の波長(400nm〜700nm)の光に対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。
【0012】
NDフィルタ10において、透明基板11の屈折率は、1.5であり、低屈折率誘電体薄膜12の屈折率は、1.385、膜厚は、111.191nmである。また、金属薄膜13の膜厚は、22nmであり、高屈折率誘電体薄膜14の屈折率は、2.1、膜厚は44.524nmである。
【0013】
このNDフィルタ10の反射率Rは、図中実線で示すように、波長400nmにおいて0.197であり、波長が長くなるに従って、波長が漸減して波長525nm〜550nmで最小値0.035となり、この波長が変曲点となっており、この波長よりも長い波長に対しては、透過率Rは漸増して、波長700nmにおいて0.154となっている。この可視領域の波長に対する平均反射率は、略10%である。
【0014】
また、NDフィルタ10の透過率Tは、図中点線で示すように、波長440nm〜700nmの領域に対して、0.211〜0.271の狭い範囲内で変化しており、可視光領域の波長に対して均一な透過特性を有している。また、NDフィルタ10の平均透過率は略25%である。
【0015】
次に、透明基板11上に金属薄膜13のみを積層したものと、NDフィルタ10の反射率・透過率を比較する。図4は、透明基板11上に膜厚15nmの金属薄膜13のみを積層した場合の反射率・透過率の特性であり、入射角度0°の入射光の波長に対する反射率・透過率を示すグラフである。反射率Rは、0.362〜0.421の間で変化しており、平均反射率は略40%である。また、透過率Tは、0.227〜0.283の間で変化している。これらのデータから、前述のNDフィルタ10は、反射率が略30%低減されていることが分かる。
【0016】
また、このNDフィルタ10の周辺光(入射角60°の光)に対する反射率と透過率の特性について説明する。この場合には、図1に示すように、中心部には入射せずに、周辺部に入射する。つまり、高屈折率誘電体薄膜14及び金属薄膜13には、光は入射せずに、低屈折率誘電体薄膜12に入射する。図5は、可視光の波長領域である400nm〜700nmの波長の光に対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。図中実線で示すグラフは、反射率Rを示しており、図中点線で示すグラフは、透過率Tを示している。
【0017】
反射率Rは、各波長に対して略0.1である。また、透過率Tは、各波長に対して略0.9となっている。これらより、低屈折率誘電体薄膜12により、入射光の反射が防止されており、殆ど減衰されずにNDフィルタ10から出射していることが分かる。これにより、中心部に入射した光は、略25%に減衰されるが、この中心部の周辺から入射した周辺光は、殆ど減衰されずに出射することが分かる。
【0018】
つまり、NDフィルタ10は、中心部に入射した光は略25%に減衰されるが、その周辺から入射した光は減衰されないので、周辺光の光量を相対的に増加させることができる。
【0019】
次に、低屈折率誘電体薄膜12、金属薄膜13、高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を変化させた場合の反射率・透過率特性について説明を行う。図6は、低屈折率誘電体薄膜12の膜厚を99.278nm,金属薄膜13の膜厚を32nm,高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を41.905nmにした場合において、入射角度0°の入射光の波長領域400nm〜700nmに対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。図中実線で示すグラフから分かるように、反射率Rは、波長400nmの時に、0.232となり、波長が長くなるにしたがって漸減して、波長525nmの時に最も低くなり、0.101となる。この波長525nmが変曲点となっており、波長525nmよりも長くなると、逆に反射率は漸増して波長700nmの時に0.28となる。
【0020】
図中点線で示すグラフから分かるように、透過率Tは、波長領域400nm〜700nmの光に対して、0.107〜0.144の間で変化しており、透過率Tの平均は、略0.12(12%)である。
【0021】
図7は、低屈折率誘電体薄膜12の膜厚を111.191nm,金属薄膜13の膜厚を10nm,高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を44.524nmにした場合において、入射角度0°の入射光の波長領域400nm〜700nmに対する反射率R及び透過率Tの特性を示すグラフである。図中実線で示すグラフから分かるように、反射率Rは、波長400nmの時に、0.116となり、波長が長くなるにしたがって漸減して、波長600nmの時に最も低くなり、0.006となる。この波長600nmで変曲点となっており、波長600nmよりも長くなると、逆に反射率は漸増して波長700nmの時に0.026となる。
【0022】
図中点線で示すグラフから分かるように、透過率Tは、波長領域400nm〜700nmの光に対して、0.454〜0.504の間で変化しており、透過率Tの平均は、略0.5(50%)である。
【0023】
以上説明したように、低屈折率誘電体薄膜12,金属薄膜13,及び高屈折率誘電体薄膜14の膜厚を変化させると、透過率が変化することが分かる。つまり、これらの薄膜12,13,14の膜厚を適宜変化させることにより、透過率を変更することが可能である。
【0024】
次に、第1の実施形態であるNDフィルタ10の作用について説明を行う。図8は撮影レンズとしてワイドレンズ20を用いた撮影光学系21に、NDフィルタ10を装着した時の断面図である。本実施形態においては、NDフィルタ10の高屈折率誘電体薄膜14がワイドレンズ20側になるように配置されている。前述のように、高屈折率誘電体薄膜14側から入射した光に対しては、反射光が低減されているので、撮影レンズ表面からの反射光によるゴーストを防止できる。
【0025】
被写体側から入射した光、つまり、透明基板11(屈折率1.5)側から入射する光は、空気(屈折率1.0)側(高屈折率誘電体薄膜14側)から入射する場合と比べて、屈折率の比が大きくなり、反射率が増加する。しかし、この反射光は、撮影光学系21の外側に反射されるので、撮影光学系21には影響を与えない。
【0026】
また、透明基板11側から入射する光については、中心部に入射した光は、透明基板11と、低屈折率誘電体薄膜12と、金属薄膜13と、高屈折率誘電体薄膜14とを透過して、入射光は減衰されて撮影レンズ21を透過してワイドレンズ20に入射する。また、入射角が30°の光も同様にして、ワイドレンズ20に入射する。
【0027】
入射角度が60°以上の光は、NDフィルタ10の周辺部から入射するため、透明基板11と、低屈折率誘電体薄膜12とを透過して、ワイドレンズ20に入射する。この時、入射光は殆ど減衰されない。
【0028】
つまり、NDフィルタ10の中心部を入射した光に対して、周辺部を入射した光が相対的に増加する。これにより、ワイドレンズ20を使用した時に発生する周辺光量の不足を改善することができる。
【0029】
次に、第2の実施形態のNDフィルタ30について説明を行う。NDフィルタ10では、入射角60°以上の光を減衰させずに透過するようにして、周辺光を相対的に増加させたが、金属薄膜と高屈折率誘電体薄膜の膜厚を変化させることにより、中心部から周辺に向かって、連続的に透過率が増加するようにしても良い。この場合は、NDフィルタ10の場合に比べて、透過光量が連続的に変化するため、光量をより均一にすることができる。このように、中心部から周辺にいくに従って透過率が漸増するようにしたのが、NDフィルタ30である。
【0030】
図9は、NDフィルタ30の断面概略図である。このNDフィルタ30は、平面形状が略円形のガラスである透明基板31と、低屈折率誘電体薄膜32と、金属薄膜33と、高屈折率誘電体薄膜34とで構成されている。低屈折率誘電体薄膜32は、透明基板31の上面を覆うように積層されている。この低屈折率誘電体薄膜32の上層には、金属薄膜33と、高屈折率誘電体薄膜34とが、低屈折率誘電体薄膜32の中心部に同心円状に順次積層されている。
【0031】
金属薄膜33及び高屈折率誘電体薄膜34は、中心部から周辺部に向かって徐々に膜厚が減少するように形成されている。このように形成することにより、入射角度30°、入射角度45°、入射角度60°と入射角度が大きくなるにしたがって、入射光が透過するそれぞれの位置において、金属薄膜33及び高屈折率誘電体薄膜34の膜厚が減少しているので、入射角度が増加するに従って徐々に透過率が増加する。これにより、中心部に対して周辺部の光量を連続的に増加させることができる。
【0032】
次に、第3の実施形態のNDフィルタ40について説明を行う。このNDフィルタ40は、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜の膜厚を変化させるのではなく、高屈折率誘電体薄膜と金属薄膜の存在箇所に対して、非存箇所の面積を中心部側から周辺部側に行くに従って増加させることにより、入射角度が大きくなるに従って透過率を増加させるものである。
【0033】
図10及び図11は、NDフィルタ40の平面概略図及び断面概略図である。このNDフィルタ40は、平面形状が略円形のガラスである透明基板41と、低屈折率誘電体薄膜42と、金属薄膜43と、高屈折率誘電体薄膜44とで構成されている。低屈折率誘電体薄膜42は、透明基板41の上面を覆うように積層されている。この低屈折率誘電体薄膜42の上層には、金属薄膜43と、高屈折率誘電体薄膜44とが、低屈折率誘電体薄膜42の中心部45に同心円状に順次積層されている。さらに、その周辺部46には、高屈折率誘電体薄膜44と金属薄膜43で形成される円柱状の存在部47が複数設けられている。
【0034】
この存在部47の密度を中心部45から周辺部46に向かうに従って減少させることにより、非存在部48に対する存在部47の面積比を減少させている。これにより、中心部45に対して周辺部46の光量を連続的に増加させることができる。
【0035】
また、円柱状の存在部47の直径W1と、存在部47のピッチ(非存在部48の幅)W2は、共に0.01mm以上にされており、光の波長より長いので、光の回折の影響によるボケが防止されている。
【0036】
図12に示す第4の実施形態であるNDフィルタ50は、NDフィルタ40の変形例であり、中心部51から周辺部52に向かって放射線状に延びる複数の存在部53を周辺に行くに従って幅が減少する形状して、非存在部54に対する存在部53の面積比を減少させている。これにより、中心部51に対して周辺部52の光量を連続的に増加させることができる。
【0037】
また、存在部53の幅W3と、非存在部54の幅(存在部53の互いの間隔)W4は、共に0.01mm以上にされており、光の波長よりも長いので、光の回折の影響によるボケが防止されている。
【0038】
なお、本実施形態においては、透明基板上に、低屈折率誘電体薄膜と、金属薄膜と、高屈折率誘電体薄膜とを順に積層したが、これに限るものではなく、例えば、図13の第5の実施形態であるNDフィルタ60の断面概略図に示すように、透明基板61上に高屈折率誘電体薄膜64、金属薄膜63、低屈折率誘電体薄膜62の順に積層しても良い。この場合は、膜が形成されている側を物体側に向けて使用する。
【0039】
また、本実施形態においては、フッ化マグネシウム(MgF2 )により低屈折率誘電体薄膜を形成したが、これに限るものではなく、例えば、二酸化ケイ素(SiO2 )で形成しても良い。さらに、ニクロム(NiCr)により金属薄膜13を形成したが、これに限るものではなく、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)で形成しても良い。
【0040】
また、五酸化タンタル(Ta2 O5 )により高屈折率誘電体薄膜を形成したが、これに限るものではなく、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、二酸化チタン(TiO2 )で形成しても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のNDフィルタによれば、周辺光の光量を中心部の光量に対して相対的に増加させることができるので、ワイドレンズを用いた撮影光学系に使用すれば、周辺光量の不足を防止できるので、鮮明な画像を撮影することができる。
【0042】
また、本発明のNDフィルタは反射が防止されているので、撮影光学系内部の反射によるフレアやゴーストの発生を防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるNDフィルタの平面概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【図3】第1の実施形態のNDフィルタの入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図4】透明基板上に金属薄膜のみを積層した場合の入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図5】第1の実施形態のNDフィルタの入射角60°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図6】第1の実施形態のNDフィルタの膜厚を変化させた時の入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態のNDフィルタの膜厚を変化させた時の入射角0°の光に対する反射率・透過率特性を示すグラフである。
【図8】第1の実施形態のNDフィルタの作用を説明する断面概略図である。
【図9】第2の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【図10】第3の実施形態であるNDフィルタの平面概略図である。
【図11】第3の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【図12】第4の実施形態であるNDフィルタの平面概略図である。
【図13】第5の実施形態であるNDフィルタの断面概略図である。
【符号の説明】
10,30,40,50,60 NDフィルタ
11,31,61 透明基板
12,32,62 低屈折率誘電体薄膜
13,33,63 金属薄膜
14,34,64 高屈折率誘電体薄膜
20 ワイドレンズ
21 撮影光学系
45,51 中心部
46,52 周辺部
47,53 存在部
48,54 非存在部
Claims (4)
- 低屈折率誘電体薄膜と、高屈折率誘電体薄膜と、前記低屈折率誘電体薄膜と前記高屈折率誘電体薄膜との間に挟まれるように配置される金属薄膜とが透明基板上に積層され、前記高屈折率誘電体薄膜と前記金属薄膜は、前記透明基板の有効光束幅に対して中心部にのみ積層されていることを特徴とするNDフィルタ。
- 前記低屈折率誘電体薄膜は、前記中心部とその周辺部に積層されていることを特徴とする請求項1記載のNDフィルタ。
- 前記高屈折率誘電体薄膜と前記金属薄膜は、前記中心部から前記周辺部に向かって、前記高屈折率誘電体薄膜と前記金属薄膜とが存在する存在部に対する非存在部の面積比が増大する形状であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のNDフィルタ。
- 前記存在部と前記非存在部とが混在する領域では、前記存在部の幅、あるいは前記非存在部の幅は、0.01mm以上であることを特徴とする請求項3記載のNDフィルタ。
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