JP2004232568A - 内燃機関の燃焼状態判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、検出したイオン電流の特性に基づいて燃焼状態を判定する内燃機関の燃焼状態判定方法であって、少なくとも燃焼行程の前半を含む第一期間内において検出されるイオン電流の第一特性と、前記第一期間の終了時点を含むその近傍から排気行程にかかる第二期間内において検出されるイオン電流の第二特性とを用いて燃焼の緩慢度合いを検出し、前記緩慢度合いに基づいて燃焼状態が低下していることを判定する。
【選択図】図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関における通常の回転変動として検出し難いような振動を検出するようにした内燃機関の燃焼状態検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両に搭載される内燃機関つまりエンジンでは、燃焼の開始から燃焼室内に発生させたイオン電流を利用して、ノッキングの発生の検出や燃焼状態の判定などを行い、運転状態の制御に活用することがある。例えば、イオン電流の特性の一つであるピーク値がその時の運転状態における基準特性を超えた場合に点火時期を遅角させるものが知られている(例えば特許文献1)。この特許文献1のものでは、イオン電流のピーク値が基準特性を超えることにより、過剰に良好な燃焼状態を検出し、このような燃焼状態の場合に点火時期を遅角させることにより燃焼が緩慢となるように制御して、NOx排出量を低減するものである。
【0003】
また、イオン電流の発生タイミングを判定し、その判定結果に基づいて内燃機関の制御値を内燃機関の安定運転限界付近に制御するものが知られている(例えば特許文献2)。この特許文献2のものでは、イオン電流が排気行程中に発生する状態を安定運転限界と判定し、安定運転限界を判定した場合には例えば空燃比を制御して失火を回避して、その安定運転限界内にて安定な運転状態を維持するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−293411号公報
【特許文献2】
特開平11−324881号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば冷間始動時に触媒を早期に活性化させるために、点火時期を遅角させることが知られている。これは、点火時期を遅角させることにより排気温が上昇し、温度の上昇した排気ガスにより触媒が加熱され、よって触媒の活性化が促進されるためである。通常、遅角量は、あらかじめ設定されており、運転状態に不具合、例えば回転変動が生じないような量に設定してある。
【0006】
しかしながら、このように点火時期を遅角させている運転状態でアイドル回転数を維持するために吸入空気量を増量補正すると、回転変動を検出するための通常の検出方法あるいは検出装置では検出が不可能な非定常な低周波振動が生じることがある。つまり、このような運転状態では、回転変動となるような燃焼変動はほとんど発生しないが、振動していると体感できる振動が生じることがある。このため、遅角量は大きくすることが困難で、このような現象が生じるまでの量にしているが、時として上述のような低周波振動を生じることがある。そのため、点火時期を遅角させて燃焼が緩慢になった状態を検出し、低周波振動の発生を回避して最適な遅角量を設定することが望まれている。
【0007】
ところが、特許文献1のものでは、イオン電流のピーク値に基づいて燃焼状態を検出しているため、燃焼が緩慢になった場合に、そのような燃焼状態を検出し得ない場合がある。すなわち、緩慢な燃焼状態にあっては、イオン電流のピークが明確ではないためである。
【0008】
また、特許文献2のものでは、イオン電流の発生タイミングが排気行程であるか否かのみで判定しており、どの程度安定運転限界に近づいているのかは不明である。したがって、安定運転限界内における緩慢な燃焼状態を検出することは困難である。
【0009】
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の内燃機関の燃焼状態判定方法は、内燃機関の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、検出したイオン電流の特性に基づいて燃焼状態を判定する内燃機関の燃焼状態判定方法であって、少なくとも燃焼行程の前半を含む第一期間内において検出されるイオン電流の第一特性と、前記第一期間の終了時点を含むその近傍から排気行程にかかる第二期間内において検出されるイオン電流の第二特性とを用いて燃焼の緩慢度合いを検出し、前記緩慢度合いに基づいて燃焼状態が低下していることを判定することを特徴とする。
【0011】
第一期間は、期間の開始時点すなわち基点を点火時期とするもの、点火時期から所定時間経過した時点あるいは所定クランク角度回転した時点とするものなどが挙げられ、そのような基点から開始して、少なくとも燃焼行程前半がその期間内に含まれるように設定するものである。また、第二期間は、第一期間の終了時点の直前、前記終了時点、あるいは前記終了時点から前記所定時間とは異なる所定時間が経過又は前記所定クランク角度とは異なる所定クランク角度回転した時点など、前記終了時点を含むその近傍に、期間の開始時点すなわち基点を設定し、排気行程中に終了する長さに設定するものである。
【0012】
このような構成によれば、例えば点火時期を遅角させることにより燃焼が緩慢になった場合、その緩慢の程度によって変化するイオン電流を検出し、検出したイオン電流の第一期間における第一特性と第二期間における第二特性とに基づいて緩慢度合いを検出するため、緩慢になった燃焼状態を精度よく判定することが可能になる。したがって、判定した緩慢度合いに基づいて、点火時期あるいは供給する燃料量を制御して、特には、例えばアイドル運転時における定常的な振動に混在することがある非定常な低周波振動を防止することが可能になる。
【0013】
判定精度を良好にするためには、第一特性及び第二特性が、イオン電流の時間特性又は波形特性であり、燃焼の緩慢度合いが、第一特性と第二特性との比により規定されるものが好ましい。イオン電流の時間特性とは、イオン電流が流れている状態が継続している間の時間により示されるものであり、第一期間及び第二期間においてイオン電流が存在している間の時間を指す。また波形特性とは、イオン電流の波形に関する特性で、第一期間及び第二期間におけるイオン電流値の最大値、波形の特徴を数値化するために演算して得られる積分値などが挙げられる。
【0014】
また、内燃機関の運転状態のいかんにかかわらず、判定精度を良好にするためには、第一期間を、内燃機関の負荷が高くなるのに応じて短くなるように設定することが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
この図1に概略的に示したエンジン100は、自動車用の4気筒のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、その下流側にはサージタンク3が設けられている。サージタンク3に連通する一方の端部近傍には、さらに燃料噴射弁5が設けてあり、その燃料噴射弁5を、電子制御装置6により制御するようにしている。燃焼室30を形成するシリンダヘッド31には、火花を発生するとともにイオン電流の電極となるスパークプラグ18が取り付けてある。また排気系20には、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのO2 センサ21が、図示しないマフラに至るまでの管路に配設された三次元触媒22の上流の位置に取り付けられている。
【0017】
電子制御装置6は、中央演算処理装置7と、記憶装置8と、入力インターフェース9と、出力インターフェース11と、A/Dコンバータ10とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されている。入力インタフェース9には、サージタンク3内の圧力すなわち吸気管圧力を検出するための吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号a、エンジン100の回転状態を検出するためのカムポジションセンサ14から出力される気筒判別信号G1とクランク角度基準位置信号G2とエンジン回転数信号b、車速を検出するための車速センサ15から出力される車速信号c、スロットルバルブ2の開閉状態を検出するためのアイドルスイッチ16から出力されるIDL信号d、エンジン100の冷却水温を検出するための水温センサ17から出力される水温信号e、上記したO2 センサ21から出力される電流信号h等が入力される。一方、出力インターフェース11からは、燃料噴射弁5に対して燃料噴射信号fが、またスパークプラグ18に対してイグニッションパルスgが出力されるようになっている。
【0018】
このスパークプラグ18には、高圧ダイオード23を介してイオン電流を測定するためのバイアス用電源24が接続され、入力インターフェース9とこのバイアス電源24との間にはイオン電流測定用回路25が接続されている。バイアス用電源24とイオン電流測定用回路25とは、当該分野でよく知られている種々のものを適用することができる。
【0019】
電子制御装置6には、吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号aとカムポジションセンサ14から出力される回転数信号bとを主な情報とし、エンジン100の運転状態に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間(基本噴射量)を補正して燃料噴射弁開成時間すなわちインジェクタ最終通電時間Tを決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵してある。
【0020】
また、このようにエンジン100の燃料噴射を制御する一方、点火毎に燃焼室内に流れるイオン電流を検出して、エンジン100の運転領域の全領域において燃焼状態を判定し得るように、電子制御装置6はプログラミングしてある。
【0021】
すなわち、この燃焼状態判定プログラムは、少なくとも燃焼行程の前半を含む第一期間P内において検出されるイオン電流の第一特性Cpと、前記第一期間Pの終了時点を含むその近傍から排気行程にかかる第二期間S内において検出されるイオン電流の第二特性Csとを用いて燃焼の緩慢度合いを検出し、前記緩慢度合いに基づいて燃焼状態が低下していることを判定するする構成である。なお、この実施の形態にあっては、燃焼状態判定プログラムは、冷間始動時のアイドル運転状態において実行されるもので、冷間時であっても車両が走行を開始した運転状態や、完全暖気後の運転状態では実行されない。
【0022】
この実施の形態では、図2に示すように、第一期間Pを点火から正常な燃焼の場合に燃焼がほぼ完了するまでの燃焼行程の前半を含む期間に設定する。この第一期間Pの終了時点は、例えばクランク角度により設定するもので、燃焼終了予測角度Eaと称する。この場合、エンジン100の負荷が高くなると、負荷の増加につれて正常な運転状態における燃焼時間が短くなるので、図3に示すように、第一期間Pは、負荷が高くなるに応じて短くなるように、燃焼終了予測角度Eaをマップにより設定するものである。エンジン100の負荷は、吸気管圧力に基づいて検出するものである。またエンジン回転数が高いと燃焼が終了するまでのクランク角度が大きくなるので、エンジン回転数が高くなるにつれて長くなるように第一期間Pを上記マップにより設定するものである。一方、第二期間Sは、イオン電流を検出した気筒の燃焼行程がほぼ終了して排気行程にかかる期間つまり第一期間Pの終了時点から排気行程にかかる期間に設定してある。したがって、第一期間Pがエンジン100の負荷の状態、及びエンジン回転数に応じて変化するので、燃焼終了予測角度Eaから開始される第二期間Sについてもその長さが変化する。
【0023】
また、この実施の形態では、第一特性Cpと第二特性Csとは、燃焼が継続している時間を検出するために、燃焼に対応して流れるイオン電流の時間特性とするものである。したがって、第一特性Cpは、第一期間Pにおいて検出されるイオン電流の継続時間を、また第二特性Csは、第二期間Sにおいて検出されるイオン電流の継続時間をそれぞれ適用する。
【0024】
このイオン電流による燃焼状態判定プログラムの概要は、図4に示すようなものである。なお、この実施の形態では、第一期間Pをエンジン100の運転状態に応じて可変長としているので、燃焼状態判定プログラムを実行するに際して、吸気管圧力を検出し、かつエンジン回転数を検出して、この時点のエンジン100の運転状態に応じた第一期間Pをマップを検索して決定するものである。
【0025】
図4において、ステップS1では、点火を実施する。そして、点火の直後にバイアス用電源24によりイオン電流を検出するための電圧がスパークプラグ18に印加され、イオン電流測定用回路25によりイオン電流が検出される。イオン電流は燃焼が正常である場合、図2に示すように、燃焼圧力が最大となる第一期間P内においてイオン電流値が最大となり、その後は徐々に減衰する特性を有するものである。これに対して、同図に点線で示すように、燃焼が緩慢になるとイオン電流値の最大値が正常燃焼の場合に比べて低くなるとともに、イオン電流が消滅するまでの時間が長くなる特性を有するものである。そして、点火を実施することにより、第一期間Pにおける時間の経過が計測される。
【0026】
ステップS2では、第一期間Pが終了したか否かを、燃焼終了予測角度Eaに達したか否かにより判定する。すなわち、点火時点を基点として、クランク角度で例えば30°CA回転したか否かを、カムポジションセンサ14から出力されるエンジン回転数信号bに基づいて判定する。ステップS3では、第一期間Pにおいて検出されるイオン電流の継続時間すなわち第一特性Cpを計測する。燃焼状態によっては第一期間Pが終了するまでにイオン電流が消滅し、第一特性Cpが第一期間Pの時間より短くなったり、逆に、第一期間Pが終了する時点でイオン電流が継続している場合がある。
【0027】
ステップS4では、第二期間Sが終了したか否かを判定する。ステップS5では、第二期間Sにおいて検出されるイオン電流の継続時間すなわち第二特性Csを計測する。ステップS6では、下式(1)において示すように、第二特性Csを第一特性Cpにより除して、燃焼パラメータPcを演算する。
【0028】
Pc=Cs÷Cp ・・・(1)
なお、イオン電流測定用回路25により検出されたイオン電流は、A/Dコンバータ10により変換されてデジタルデータとなる。そして、イオン電流の継続時間つまり第一特性Cp及び第二特性Csは、A/D変換周期と電流値が0となるまでのデジタルデータの個数とを乗じて計算するものである。
【0029】
このような構成において、冷間始動時に、エンジン100を始動する場合を説明する。冷間始動時にあっては、エンジン100が冷えているために触媒が活性していない。それ故、エミッションが低下するので、点火時期を遅角して排気温度を高くするように点火時期を制御する。この場合、点火時期を遅角するので、燃焼が緩慢になることがある。そして、燃焼が緩慢になりすぎると回転変動が生じるので、燃焼状態を判定して点火時期を最適なもの、つまり回転変動に至らず、かつ排気温度が高くなるように制御する必要がある。
【0030】
遅角した点火時期により点火を実施する(ステップS1)と、その後ステップS2を実行し、燃焼終了予測角度Eaに達したか否かを判定し、達していない場合はステップS2を繰り返し実行する。そして、燃焼終了予測角度Eaに達した時点でステップS3を実行し、第一特性Cpを計測する。第一特性Cpは、イオン電流が燃焼終了予測角度Eaに達するまでに消滅した場合は、その消滅時点までの時間となり、継続していた場合は点火から燃焼終了予測角度Eaまでの時間となる。
【0031】
この後、ステップS4を実行し、第二期間Sが終了したならステップS5を実行して第二特性Csを計測する。この場合、第二特性Csは、イオン電流が第二期間Sの終了までに消滅している場合は、燃焼終了予測角度Eaからその消滅時点までの時間であり、継続している場合は第二期間Sの終了時点までの時間となる。以上のようにして第一特性Cpと第二特性Csとが得られると、ステップS6を実行して燃焼パラメータPcを計算する。
【0032】
燃焼パラメータPcは、図5に曲線Aで示すように、点火時期を遅角するに伴って大きくなる。つまり、燃焼が緩慢でない正常な場合、イオン電流が第一期間P内において消滅したり、あるいは第二期間Sの早い時期に消滅するものとなる。したがって、第一特性Cpに対する第二特性Csの割合が小さいために、燃焼パラメータPcは小さくなる。
【0033】
これに対して、燃焼が緩慢になり、イオン電流が燃焼行程にある気筒において、その燃焼行程が終了するまで継続して流れ続けると、第二特性Csが大きく(長く)なる。したがって、第一特性Cpに対する第二特性Csの割合が大きくなるために、燃焼パラメータPcは大きくなる。
【0034】
燃焼パラメータPcがこのような特性を示すので、燃焼パラメータPcに基づいて燃焼の緩慢度合いを検出することができる。すなわち、燃焼パラメータPcが小さい値である場合には、燃焼の緩慢度合いは小さく、点火時期に関しては遅角し得る余裕が存在するものである。これとは逆に、燃焼パラメータPcが大きな場合には、燃焼の緩慢度合いは大きく、燃焼が低下して緩慢になっていると判定でき、点火時期の遅角が限界に達しているもしくは限界を超えていると判定することができる。
【0035】
したがって、燃焼パラメータPcにより燃焼の緩慢度合いを検出し、点火時期を制御することが可能になる。例えば、燃焼パラメータPcが、図5に示すように、点火時期の遅角に応じて大きくなる場合、燃焼パラメータPcがリニアに変化する部分に着目して、そのリニアな変化部分に、許容し得る緩慢な燃焼状態、つまり非定常な低周波振動が発生する直前の点火時期となる目標の点火時期を設定しておき、その目標の点火時期になるように点火時期を進角あるいは遅角するように制御する。
【0036】
このように燃焼パラメータPcのリニアに変化する部分に対応して点火時期をフィードバック制御することにより、特には冷間始動時のアイドル運転において、アイドル運転状態における定常的な振動以外の非定常に発生する低周波振動を防止することができるとともに、そのような低周波振動に至る直前の遅角量つまり目標の点火時期にまで点火時期を遅角させることにより、的確に排気温度を上昇させて触媒を早期に活性化させることができる。このため、冷間始動時におけるエミッションの低下を防止して、燃焼を安定化させることができる。なお、点火時期に代えて、燃料噴射量を制御するものであってよい。この場合、燃焼パラメータPcにより緩慢な燃焼状態言い換えれば燃焼状態が低下していると判定した際には、燃料噴射量を増量するものである。
【0037】
また、この実施の形態においては、第一特性Cpと第二特性Csとの比により無次元化した値である燃焼パラメータPcを用いるので、例えば検出したイオン電流のピーク値(最大値)をそのまま利用する場合のように、燃料の性状やエンジン100の温度などの影響を受けて、判定精度が低下するようなことを防止することができる。
【0038】
さらに、エンジン100の負荷が高くなるに応じて第一期間Pを短くするとともに、エンジン回転数が高くなるに応じて第一期間Pを長くしているので、エンジンの運転状況に応じて第一期間Pを調整することができる。したがって、冷間始動時のアイドル運転状態のように、時間の経過とともにエンジン100の負荷及びエンジン回転数が刻々と変化する運転状態であっても、高い判定精度に維持することができる。
【0039】
なお、第一期間と第二期間との設定は、上記実施の形態に限定されるものではなく、第一期間の基点は、点火時期に一致するものではなく、点火時期から所定時間経過後あるいは所定クランク角度回転後の時点に設定するものであってよい。このような設定の場合、第一期間は、少なくとも、燃焼行程の前半を含むものである。また、第二期間は、その基点を例えば第一期間の終了時点の上記所定時間とは異なる所定時間前あるいは上記所定クランク角度とは異なる所定クランク角度回転前の時点、あるいは第一期間の終了時点の上記所定時間とは異なる所定時間後あるいは上記所定クランク角度とは異なる所定クランク角度回転後の時点に設定するものであってよい。
【0040】
また、第一期間Pを固定長にして、かつ正常な燃焼の場合には常に第一期間P内にてイオン電流が消滅する長さに設定し、燃焼が緩慢でない場合には必ず上記の燃焼パラメータPcが0になるようにするものであってよい。つまり、このように第一期間Pを設定すると、第一特性Cpは失火しない限り何らかの値をとる。一方、第二特性Csは、燃焼が緩慢になってイオン電流が第一期間Pを超えて継続して流れた場合にある値をとることになる。したがって、このような構成であると、上記式(1)において、第二特性Csがある値となり、燃焼パラメータPcが0より大きくなることで、燃焼の緩慢度合いを検出することができ、その緩慢度合いに基づいて燃焼が低下して緩慢になったことを迅速に判定することができる。この場合の燃焼パラメータPcの特性は、図5の曲線Bのようになる。
【0041】
さらに、第一特性Cpと第二特性Csとを加算したもので第二特性Csを除算して燃焼パラメータPcとしてもよい。加えて、第一期間Pにおけるイオン電流値の最大値で、第一期間Pにおけるイオン電流値の最大値から第二期間Sにおけるイオン電流値の最大値を減じた最大値の差を除して燃焼パラメータPcとするものであってもよい。
【0042】
さらにまた、燃焼パラメータPcは、上記に説明した第一特性Cpと第二特性Csとの比率により求めた数値のばらつき度合いにより定義するものであってもよい。
【0043】
加えて、第一特性Cp及び第二特性Csは、第一期間P及び第二期間Sにおけるイオン電流値の最大値、各期間でのイオン電流の継続時間とイオン電流値の最大値との積、イオン電流波形の積分値であってもよい。このような第一特性Cp及び第二特性Csの場合にあっても、上記式(1)により燃焼パラメータPを計算するものである。
【0044】
これらの演算方法により得られる燃焼パラメータPcにあっても、無次元化された値であるので、上述した実施の形態と同等の作用効果を奏するものである。
【0045】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成であるので、例えば点火時期を遅角させることにより燃焼が緩慢になった場合、その緩慢の程度によって変化するイオン電流を検出し、検出したイオン電流の第一期間における第一特性と第二期間における第二特性とに基づいて緩慢度合いを検出するため、緩慢になった燃焼状態を精度よく判定することができる。したがって、検出した緩慢度合いに基づいて、点火時期あるいは供給する燃料量を制御して、特には、例えばアイドル運転時における定常的な振動に混在することがある非定常な低周波振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるエンジンの概略構成説明図。
【図2】本発明の実施の形態における作用説明図。
【図3】本発明の実施の形態における燃焼終了予測角度とエンジン回転数との関係を示すグラフ。
【図4】同実施の形態の制御手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施の形態における燃焼パラメータの点火時期に対する傾向を示すグラフ。
【符号の説明】
6…電子制御装置
7…中央演算処理装置
8…記憶装置
9…入力インターフェース
11…出力インターフェース
P…第一期間
S…第二期間
Cp…第一特性
Cs…第二特性
Claims (3)
- 内燃機関の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、検出したイオン電流の特性に基づいて燃焼状態を判定する内燃機関の燃焼状態判定方法であって、
少なくとも燃焼行程の前半を含む第一期間内において検出されるイオン電流の第一特性と、前記第一期間の終了時点を含むその近傍から排気行程にかかる第二期間内において検出されるイオン電流の第二特性とを用いて燃焼の緩慢度合いを検出し、
前記緩慢度合いに基づいて燃焼状態が低下していることを判定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定方法。 - 第一特性及び第二特性が、イオン電流の時間特性又は波形特性であり、燃焼の緩慢度合いが、第一特性と第二特性との比により規定されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼状態判定方法。
- 第一期間を、内燃機関の負荷が高くなるのに応じて短くなるように設定することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の燃焼状態判定方法。
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