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JP2004230599A - 被記録媒体の製造方法 - Google Patents

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JP2004230599A
JP2004230599A JP2003019204A JP2003019204A JP2004230599A JP 2004230599 A JP2004230599 A JP 2004230599A JP 2003019204 A JP2003019204 A JP 2003019204A JP 2003019204 A JP2003019204 A JP 2003019204A JP 2004230599 A JP2004230599 A JP 2004230599A
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ink receiving
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Kenichi Kono
健一 河野
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Canon Finetech Inc
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Abstract

【課題】塗工欠陥が抑制され、且つ良好なインク吸収性を示す被記録媒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した被記録媒体の製造方法において、該インク受容層が、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における塗布と同時ないし前記第一の塗工液が乾燥固化する前に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布して架橋硬化させる第二の工程、により得られた層であることを特徴とする被記録媒体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク受容層を有する被記録媒体を連続塗工により安定して製造する方法に関し、特に印字特性に優れた被記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させることで画像や文字等の記録を行う記録方式である。また、インクジェット記録方式は、高速印字性、低騒音性及び記録パターンの融通性に優れ、更に多色化を容易に行うことができ、現像及び画像定着が不要であるといった特徴がある。特に、多色インクジェット方式で形成された画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画と比較しても遜色のない記録を得ることが可能で、作成部数が少ない場合には通常の印刷技術や写真技術より印刷コストが安価に済むという利点もあることから、近年、各種情報機器の画像記録装置として急速に普及している。
【0003】
このようなインクジェット記録方式において、記録の高速化、高精細化、あるいはフルカラー化といった記録特性を向上させるため、記録装置や記録方法の改良が行われてきたが、それに伴い被記録媒体にもより高度な特性が要求されるようになってきた。すなわち、(1)印字ドットの濃度が高く鮮やかで明るい色調が出せること、(2)印字ドットが重なってもインクが流れ出したり、滲んだりしないような高いインク吸収性を有すること等が求められている。
【0004】
これらの要求を満たすものとして、無機微粒子とバインダーで形成されたインク受容層を持つ記録媒体が多数報告されているが、特にインク吸収性に関しては、インク受容層の膜厚を厚くすること、あるいは空隙容量の効率的増加を図るために、無機微粒子に対して必要最少量の親水性バインダーを用いることが有効な手段となる。しかしながら、前者では膜厚を厚くした分、乾燥を強くしなければならず、ある塗工厚からクラック(塗工欠陥)が生じるために必要な膜厚が得られないこと、また後者の場合、インク受容層の皮膜強度が低くなるために、インク受容層を塗布、乾燥した後に膜面に微細なクラックが発生し、光沢が低下したり、画像のにじみが発生する等著しく画質が低下するといった問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、塗工液に架橋剤を加え、塗工液中に含まれるバインダーを結合させる対策がとられている。しかし、例えば、無機微粒子とバインダー及び架橋剤を混合したものを塗工液として用いた場合、架橋剤がバインダーと反応するために粘度が上昇してしまう。したがって、塗工方法は、必然的に塗工液の可使時間に合わせて一定量の塗工液を調合して塗工するバッチ方式となり、比較的短い間隔で調合を繰り返すために、その都度塗工を中断する必要があることから材料や時間的なロスが発生し、コスト的に不利となる。更に、塗工液中に架橋剤が調合されているために、同一バッチ内の塗工においても粘度上昇が起こり、膜厚制御が非常に困難となる。
【0006】
上記問題の解決策として、架橋剤を、バインダーを含む塗工液へインライン添加する方法(特許文献1参照)が提案されている。この方法によれば、連続して常に安定した粘度で塗工液を調合することができ、塗工液管理の難しさを回避することができる。しかし、長時間塗布を行った場合、塗工液の一部が塗布装置内部に滞留し、これが増粘して吐出不良を起したりあるいは膜厚のムラが発生するといった問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−80207号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであり、塗工欠陥が抑制され、且つ良好なインク吸収性を示す被記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、クラックや塗布ムラ(膜厚のムラ)等の塗工欠陥がなく、インク吸収性に優れた被記録媒体を連続塗工により安定して製造するために種々検討を重ねた結果、基材上に無機微粒子、バインダー及び該バインダーの架橋剤を含有するインク受容層が形成された被記録媒体の製造方法において、前記架橋剤を含む塗工液を、バインダーが含有される塗工液より先行して塗布するか、あるいは架橋剤を含む塗工液とバインダーを含有する塗工液を順次塗布した後、更に架橋剤を含む塗工液を塗布して架橋硬化させることで前述した課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した被記録媒体の製造方法において、該インク受容層が、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における塗布と同時ないし第一の塗工液が乾燥固化する前に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布して架橋硬化させる第二の工程、により得られた層であることを特徴とする被記録媒体の製造方法である。
【0011】
また本発明は、基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した被記録媒体の製造方法において、該インク受容層が、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における第一の塗工液が乾燥固化する前ないし乾燥した後に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布する第二の工程、次いで、更に第二の塗工液の塗布と同時ないし第二の塗工液が乾燥固化する前に、架橋剤を含有する第三の塗工液を塗布して架橋硬化させる第三の工程、により得られた層であることを特徴とする被記録媒体の製造方法である。
【0012】
更に上記本発明においては、無機微粒子がシリカ、アルミナ、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の少なくとも1種であること;バインダーが、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂であること;架橋剤がホウ酸及び/又はホウ酸塩であることが好ましい。
【0013】
本発明は、上記のような塗布方法でインク受容層を設けることにより、クラックや塗布ムラ(膜厚のムラ)等の塗工欠陥がない、インク吸収性に優れた被記録媒体を製造することができる。また、塗工液の粘度が変化しないことから、塗布装置が吐出不良を起すことなく、常に安定して連続塗工することが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明において使用する基材としては、例えば、適度のサイジングが施された紙、無サイズ紙、コート紙、キャストコート紙、紙の両面がポリオレフィン等の樹脂で被覆された樹脂被覆紙(以下レジンコート紙と記す)等の紙類からなるもの;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート及びポリカーボネート等の透明な熱可塑性樹脂フィルム;無機物の充填又は微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙等);更にはガラス又は金属等からなるシート等が挙げられる。尚、本発明において、基材上に形成されるインク受容層の光沢性を高めるには、非吸水性で平滑度の高いレジンコート紙及びフィルムを用いるのが好ましい。また、これら基材とインク受容層との接着強度を向上させるため、基材表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことが可能である。
【0015】
本発明において使用する無機微粒子としては、インク吸収能が高く、発色性に優れ、高品位の画像が形成可能な無機微粒子であることが好ましい。このような無機微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ケイソウ土、アルミナ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト構造のアルミナ水和物、及び擬ベーマイト構造のアルミナ水和物、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、リトポン、ゼオライト等を挙げることができ、これらを単独あるいは複数種併用することができる。中でも、シリカ、アルミナ、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物がより好ましく用いられる。
【0016】
本発明で用いられる無機微粒子の形態としては特に限定されないが、インク受容層に光沢及び透明性を付与する必要がある場合には、平均粒子径が0.1〜20μmの範囲が好ましく、0.15〜15μmの範囲がより好ましい。無機微粒子の平均粒子径が0.1μmより小さい場合にはインク吸収性が低下し、インクの吐出量が多いプリンターや高速出力するプリンターで印字する際に滲みやビーディングが発生する。一方、平均粒子径が20μmより大きい場合には光沢が低下する場合がある。尚、本発明におけるインク受容層を多層で構成する場合、無機微粒子は各層毎にその種類や粒径が同じであっても異なっていてもよい。
【0017】
本発明における無機微粒子の平均粒子径は、光散乱法あるいはレーザー回折法によって測定することができ、例えば、レーザー粒径解析装置PARIII(大塚電子(株)製)、レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−1100(島津製作所製)等を用いて容易に測定することができる。
【0018】
また、前述した本発明に好適なアルミナ水和物としては、下記一般式(1)により表されるものが使用できる。
Al3−n(OH)2n・mHO (1)
式中、nは0、1、2又は3の整数の内のいずれかを表わし、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。mHOは多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表わすものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物をか焼するとmは0の値に達する場合がある。
【0019】
一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示す。ベーマイト構造としては、完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造を取ることもできる。また、この擬ベーマイトのX線回折図形は完全なベーマイトよりも幅広な回折ピークを示す。完全ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別できるものではないので、以下特に断らない限り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物という。
【0020】
本発明で被記録媒体に含有されるベーマイト構造を有するアルミナ水和物の製造方法としては、特に限定されないが、ベーマイト構造をもつアルミナ水和物を製造できる方法であれば、例えば、アルミニウムアルコキシドの加水分解、又はアルミン酸ナトリウムを加水分解する等の公知の方法で製造することができる。特に好ましいのは、長鎖のアルミニウムアルコキシドに対して酸を添加して加水分解及び解膠を行うことによってアルミナ水和物を得る方法である。
【0021】
添加する酸としては有機酸及び無機酸の中から1種又は2種以上を自由に選択して用いることができるが、加水分解の反応効率及び得られたアルミナ水和物の形状制御や分散性の点で硝酸が最も好ましい。この工程の後に水熱合成等を行って粒径を制御することも可能である。硝酸を含むアルミナ水和物分散液を用いて水熱合成を行うと、水溶液中の硝酸がアルミナ水和物表面に硝酸根として取り込まれて水分散性を向上させることができる。
【0022】
また、前記方法で合成された無機微粒子の分散液を更に粉砕分散機等を用いた物理的な手段で所望とする粒径にすることも可能である。本発明で用いることのできる粉砕分散機としては、公知の様々な分散機を使用することが可能で、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。具体的にはマントンゴーリンホモジナイザー、ソノレータ(同栄商事社製)、マイクロフルイタイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(月島機械社製)、アルティマイザー(伊藤忠産機社製)、パールミル、グレンミル、トルネード(浅田鉄鋼社製)、ビスコミル(アイメックス社製)、マイティーミル、RSミル、SΓミル(井上製作所製)、荏原マイルダー(荏原製作所製)、ファインフローミル、キャビトロン(大平洋機工社製)等が挙げられる。
【0023】
本発明における被記録媒体のインク受容層には、上記無機微粒子と共にバインダーが含有される。本発明で使用するバインダーとしては、水溶性樹脂又は水分散性樹脂があり、例えば、澱粉、ゼラチン、カゼイン及びそれらの変性物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、完全又は部分ケン化のポリビニルアルコール又はその変性物(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性等)、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸又はその共重合体、アクリルアミド系樹脂、無水マレイン酸系共重合体、ポリエステル系樹脂、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、及びこれらの各種重合体ラテックスにカチオン性基又はアニオン性基を付与した官能基変性重合体ラテックス類等が挙げられる。好ましいのは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールで、平均重合度が300〜5,000のものである。ケン化度は70〜100%未満のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。また、これらの水溶性又は水分散性樹脂は単独あるいは複数種混合して用いることができる。
【0024】
無機微粒子とバインダーの混合質量比は、好ましくは1:1〜30:1、より好ましくは3:1〜25:1の範囲である。バインダーの量がこれらの範囲内であれば、形成されたインク受容層のひび割れや粉落ちが発生し難くなり、インク吸収性も良い。
【0025】
また本発明においては、前記バインダーによって形成される皮膜の造膜性、耐水性及び皮膜強度を改善するために架橋剤を使用する。一般に、架橋剤は使用するポリマーが持つ反応性基の種類によって様々なものが選択され、例えば、ポリビニルアルコール系の樹脂であれば、エポキシ系架橋剤や、ホウ酸あるいは水溶性アルミニウム塩等の無機系架橋剤等が挙げられるが、本発明で使用する架橋剤としては、ホウ素原子を中心とした酸素酸又はその塩等のホウ素化合物、具体的には、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及びそれらの塩が好ましく使用できる。
【0026】
本発明における被記録媒体は、上記無機微粒子、バインダー及び該バインダーの架橋剤を含有するインク受容層を基材上に形成したものであるが、その形成方法としては、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布し、第一の工程における塗布と同時ないし第一の塗工液が乾燥固化する前に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布して架橋硬化させる。この方法によれば、例えば、基材上に設けられたアンダーコート層中の水酸基を有する樹脂と、前記塗工液中のバインダーとが架橋し易くなるので、インク受容層と基材との接着強度が格段に向上する。
【0027】
また、本発明の被記録媒体のインク受容層は、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における第一の塗工液が乾燥固化する前ないし乾燥した後に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布する第二の工程、次いで、更に第二の塗工液の塗布と同時ないし第二の塗工液が乾燥固化する前に、架橋剤を含有する第三の塗工液を塗布して架橋硬化させる第三の工程により得ることもできる。この方法によれば、前述した架橋剤を含有する溶液と無機微粒子及びバインダーを含有する塗工液で塗布した場合よりも、インク受容層全体の皮膜強度をより効率的に改善することができる。
【0028】
本発明における架橋剤の使用量は、バインダーとして用いる水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂の量によって変化するが、概ね水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂に対して5〜50質量%の範囲が好ましい。また、架橋剤は第一の塗工液と第二の塗工液とに分けて供給してもよく、その場合も同様で、使用する架橋剤の総量が前記範囲であることが好ましい。架橋剤の使用量が水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂に対し5質量%に満たないと、造膜性が低下し十分な耐水性が得られない。逆に、50質量%を超える場合は、インク受容層の造膜性にそれ程変化が見られないことから非経済的となる。
【0029】
架橋剤を含有する塗工液は、水及び/又は有機溶剤に架橋剤を溶解して調製したものであり、塗工液中の架橋剤の濃度は0.05〜10質量%が好ましく、特に0.1〜7質量%が好ましい。架橋剤の媒体としては、一般に水が使用されるが、有機溶剤でも架橋剤が溶解するものであれば任意に使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル、及びジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等を挙げることができる。
【0030】
一方、無機微粒子及びバインダーを含有する塗工液にも、必要に応じた量の水性媒体が使用されるが、該水性媒体としては、水、又は水に混合可能な有機溶剤との混合溶液であれば特に制限はない。水に混合可能な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
【0031】
インク受容層を形成するための各塗工液中の固形分濃度は、基材上にインク受容層を形成できる程度の粘度になる濃度であれば特に制限はないが、塗工液全質量に対して5〜60質量%が好ましい。固形分濃度が5質量%未満の場合は、インク受容層の膜厚を厚くするのに塗工量を増やす必要があり、乾燥に多くの時間とエネルギーを必要とすることから非経済的である。また、60質量%を超えると塗工液の粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
【0032】
また、各塗工液には、本発明の効果を妨げない範囲内で各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、界面活性剤、顔料分散剤、染料定着剤、消泡剤、インク定着剤、ドット調整剤、着色剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤等を挙げることができる。
【0033】
以上の各塗工液を塗布する手段としては、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター、スプレー装置等の公知の塗布方法を利用することができるが、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター等を用いて塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0034】
本発明の製造方法にかかるインク受容層は、前記各塗工液を上記手段により塗布した後、熱風乾燥機、熱ドラム、遠赤外線乾燥機等の乾燥装置を用いて乾燥及び硬化されることで形成される。尚、インク受容層が多層で構成される場合、無機微粒子、バインダー、架橋剤及びその他の添加剤の組成比は塗工層毎に異なっていてもよく、また、インク受容層は基材の片面もしくは両面に形成することができる。
【0035】
架橋剤を含有する塗工液の基材上への塗布量としては、固形分換算で0.01〜10g/mの範囲が好ましく、0.05〜5g/mの範囲がより好ましい。架橋剤を第一の塗工液と第三の塗工液とに分けて供給する場合も同様で、総塗布量が前記範囲であることが好ましい。
【0036】
無機微粒子とバインダーを含有する塗工液の塗布量は、固形分換算で0.5〜60g/mが好ましく、より好ましい範囲は5〜55g/mである。塗工量が0.5g/m未満の場合は、形成されたインク受容層がインクの水分を十分に吸収できず、インクが流れたり、画像が滲んだりする場合があり、60g/mを超えると乾燥時にカールが発生したり、印字性能に期待されるほど顕著な効果が現れない場合がある。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、以下の実施例中「部」及び「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
また本発明における被記録媒体の諸物性の評価は、次の方法で行った。
<評価1:塗工欠陥>
被記録媒体のインク受容層表面を観察し、クラック、塗布ムラ(膜厚ムラ)等の塗工欠陥の有無を目視評価した。まずクラックについては、クラックが発生しなかったものを「○」クラックが発生したものを「×」とした。また、膜厚ムラについては、膜厚ムラがないものを「○」、膜厚ムラが発生したものを「×」とした。
【0038】
<評価2:インク吸収性>
インクジェット記録装置(BJ F900、キヤノン(株)製)を用いて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)インクを単色で且つインク打込み量100%で、また2色混合で且つインク打込み量200%で、更に3色混合で且つインク打込み量300%でべた印字した。印字後、被記録媒体表面の記録部に指で触れてインク吸収性を調べた。インク打込み量300%(3色混合)でインクが指に付着しないものを「◎」、インク打込み量200%(2色混合)でインクが指に付着しないものを「○」、インク打込み量100%でインクが指に付着しないものを「△」、同100%でインクが指に付着するものを「×」とした。
【0039】
<アルミナ水和物の作製>
米国特許第4,242,271号明細書に記載された方法で、アルミニウムドデキシドを製造した。次に米国特許第4,202,870号明細書に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーを、アルミナ水和物固形分が7.7%になるまで水を加えた。この時、アルミナスラリーのpHは9.3であり、これに3.9%の硝酸溶液を加えてpHを6.0に調整した。
【0040】
次に、オートクレーブを用いて、熟成温度:150℃、熟成時間:6.5時間にて熟成を行ないコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを入口温度87℃でスプレードライしてアルミナ水和物粉末としたが、得られた粉末は粒子形状が平板状で、結晶構造がベーマイト構造であるアルミナ水和物であった。更に、イオン交換水中に、前記ベーマイト構造を有するアルミナ水和物粉末を19%の濃度で混合することにより、アルミナ水和物分散液Aを調製した。
【0041】
前記方法で得られた分散液Aを、超音波ホモジナイザーMUS−600CCVP−12((株)日本精機製作所製)で再分散した後、遠心分離操作により粗大粒子を取り除き、イオン交換水を加えることで濃度17%のアルミナ水和物分散液Bを調整した。また、得られたアルミナ水和物の平均粒子径を、レーザー粒径解析装置PARIII(大塚電子(株)製)を用いて測定したところ167.8nmであった。
【0042】
<ポリビニルアルコール水溶液の作製>
ポリビニルアルコール(PVA−235、クラレ(株)製)を水に溶解して濃度10%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。
【0043】
<実施例1>
レジンコート紙(塗工する面の60度鏡面光沢度:64%)を基材とし、この基材上に、メタノールにホウ酸を溶解した第一の塗工液(ホウ酸濃度:3%)を乾燥塗布量が0.83g/mとなるようにスプレー装置aを用いて塗布した。
次に、この乾燥装置よりも紙送り方向上流の位置に設置されたダイコーターにより、アルミナ水和物分散液B(固形分:17%)とポリビニルアルコール水溶液(固形分:10%)を混合した第二の塗工液を塗布した。第二の塗工液は、アルミナ水和物分散液B及びポリビニルアルコール水溶液を、それぞれ19,000mL/min、3,230mL/minで供給し、スタティックミキサーで連続調合したものである。また、形成するインク受容層中のアルミナ水和物、ポリビニルアルコール及びホウ酸の固形分比は100:10:2であり、その他の塗工条件としては、ラインスピード:50m/min、塗工巾:1,450mm、乾燥温度:145℃で行った。連続塗工を開始して10時間後にサンプリングを行ったところ、インク受容層の乾燥塗布量が46.4g/mの被記録媒体が得られた。このようにして得られた被記録媒体を用いて、前記評価1及び2のテストを行った。結果を表1に示す。
【0044】
<実施例2>
レジンコート紙(塗工する面の60度鏡面光沢度:64%)を基材とし、この基材上に、メタノールにホウ酸を溶解した第一の塗工液(ホウ酸濃度:3%)を乾燥塗布量0.33g/mとなるようにスプレー装置aを用いて塗布した。次に、この塗布物が乾燥装置よりも紙送り方向上流の位置に設置されたダイコーターにより、アルミナ水和物分散液B(固形分:17%)とポリビニルアルコール水溶液(固形分:10%)を混合した第二の塗工液を塗布した。更に、第二の塗工液が乾燥装置よりも紙送り方向上流の位置に設置されたスプレー装置bにより、ホウ酸水溶液(第三の塗工液、固形分:3%)を乾燥塗布量0.50g/mとなるように塗布した。
【0045】
第二の塗工液は、アルミナ水和物分散液B及びポリビニルアルコール水溶液を、それぞれ19,000mL/min、3,230mL/minで供給し、スタティックミキサーで連続調合したものである。また、形成するインク受容層中のアルミナ水和物、ポリビニルアルコール及びホウ酸の固形分比は100:10:2であり、その他の塗工条件としては、ラインスピード:50m/min、塗工巾:1,450mm、乾燥温度:145℃で行った。連続塗工を開始して10時間後にサンプリングを行ったところ、インク受容層の乾燥塗布量が46.8g/mの被記録媒体が得られた。得られた被記録媒体を用いて、前記評価1及び2のテストを行った。結果を表1に示す。
【0046】
<比較例1>
アルミナ水和物分散液B(固形分:17%)、ポリビニルアルコール水溶液(固形分:10%)、ホウ酸水溶液(固形分:3%)のそれぞれの流量が19,000mL/min、3,230mL/min、2,153mL/minとなるように設定し、スタティックミキサーで連続調合した塗工液を、ダイコーターを用いてレジンコート紙(塗工する面の60度鏡面光沢度:64%)上に塗布した。アルミナ水和物、ポリビニルアルコール及びホウ酸の3成分の固形分比は100:10:2であり、塗工条件としては、ラインスピード:50m/min、塗工巾:1,450mm、乾燥温度:145℃で行った。連続塗工を開始して10時間後にサンプリングを行ったところ、インク受容層の坪量が46.6g/mの被記録媒体が得られた。得られた被記録媒体を用いて、前記評価1及び2のテストを行った。結果を表1に示す。
【0047】
Figure 2004230599
【0048】
以上の実施例及び比較例から明らかなように、無機微粒子、バインダー及び該バインダーの架橋剤を含有するインク受容層が形成された被記録媒体を連続して製造する際、前記架橋剤を含む塗工液を、バインダーが含有されている塗工液と分けて塗布したことで、クラックや塗布ムラ(膜厚のムラ)等の塗工欠陥がなく、インク吸収性に優れた被記録媒体を製造することが可能であった。
【0049】
【発明の効果】
基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した被記録媒体の製造方法において、該インク受容層が、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における塗布と同時ないし前記第一の塗工液が乾燥固化する前に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布して架橋硬化させる第二の工程、により得られた層であることで、クラックや塗布ムラ(膜厚のムラ)等の塗工欠陥がなく、インク吸収性に優れた被記録媒体を安定して製造することができた。

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した被記録媒体の製造方法において、該インク受容層が、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における塗布と同時ないし第一の塗工液が乾燥固化する前に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布して架橋硬化させる第二の工程、により得られた層であることを特徴とする被記録媒体の製造方法。
  2. 基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した被記録媒体の製造方法において、該インク受容層が、基材上に架橋剤を含有する第一の塗工液を塗布する第一の工程、次いで、第一の工程における第一の塗工液が乾燥固化する前ないし乾燥した後に、無機微粒子及びバインダーを含有する第二の塗工液を塗布する第二の工程、次いで、更に第二の塗工液の塗布と同時ないし第二の塗工液が乾燥固化する前に、架橋剤を含有する第三の塗工液を塗布して架橋硬化させる第三の工程、により得られた層であることを特徴とする被記録媒体の製造方法。
  3. 無機微粒子が、シリカ、アルミナ、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物の少なくとも1種である請求項1又は2に記載の被記録媒体。
  4. バインダーが、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  5. 架橋剤が、ホウ酸及び/又はホウ酸塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
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US7862863B2 (en) 2007-09-28 2011-01-04 Fujifilm Corporation Method for manufacturing an inkjet recording medium

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