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JP2004227720A - 光記録媒体 - Google Patents

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JP2004227720A
JP2004227720A JP2003016932A JP2003016932A JP2004227720A JP 2004227720 A JP2004227720 A JP 2004227720A JP 2003016932 A JP2003016932 A JP 2003016932A JP 2003016932 A JP2003016932 A JP 2003016932A JP 2004227720 A JP2004227720 A JP 2004227720A
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JP2003016932A
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English (en)
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寛史 ▲高▼▲崎▼
Hiroshi Takasaki
Hideki Ishizaki
秀樹 石▲崎▼
Masanori Shibahara
正典 柴原
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

【課題】高速記録が可能な書き換え型の光記録媒体の記録感度及びパワーマージンを改善するとともに、信頼性を高める。
【解決手段】相変化材料からなる記録層15と、記録層15から見て光入射面19a側に設けられた第1の誘電体層16と、記録層15から見て支持基板11側に設けられた第2の誘電体層14と、第2の誘電体層14から見て支持基板11側に設けられた反射層13とを備える。反射層13は銀(Ag)を主成分とし、これに少なくともネオジム(Nd)及び銅(Cu)が添加された合金を含む厚さ80〜120nmの層であり、第2の誘電体層14はZnSとSiOとの混合物(モル比=40:60〜60:40)を含む厚さ8〜20nmの層である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光記録媒体に関し、特に、高速記録が可能な書き換え型の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。これらの光記録媒体は、CD−ROMやDVD−ROMのようにデータの追記や書き換えができないタイプの光記録媒体(ROM型光記録媒体)と、CD−RやDVD−Rのようにデータの追記はできるがデータの書き換えができないタイプの光記録媒体(追記型光記録媒体)と、CD−RWやDVD−RWのようにデータの書き換えが可能なタイプの光記録媒体(書き換え型光記録媒体)とに大別することができる。
【0003】
ROM型光記録媒体においては、製造時において予め基板に形成されるピット列によりデータが記録されることが一般的であり、追記型光記録媒体においては、例えば、記録層の材料としてシアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ色素等の有機色素が用いられ、その化学的変化(場合によっては化学的変化に加えて物理的変形を伴うことがある)に基づく光学特性の変化を利用してデータが記録されることが一般的である。
【0004】
これに対し、書き換え型光記録媒体においては、例えば、記録層の材料として相変化材料が用いられ、その相状態の変化に基づく光学特性の変化を利用してデータが記録されることが一般的である。つまり、相変化材料は、結晶状態である場合の反射率とアモルファス状態である場合の反射率とが異なるため、これを利用してデータの記録を行うことができる。例えば、記録層がアモルファス状態となっている領域を「記録マーク」、記録層が結晶状態となっている領域を「ブランク」とすれば、記録マークの長さ(記録マークの前縁から後縁までの長さ)及びブランクの長さ(記録マークの後縁から次の記録マークの前縁までの長さ)によってデータを表現することが可能となる。
【0005】
記録層に記録マークを形成する場合、記録層に照射するレーザビームのパワーを十分に高いレベル(記録パワーPw)に設定することによって記録層を融点を超える温度に加熱し、その後、レーザビームのパワーを十分に低いレベル(基底パワーPb)に変化させることによって記録層を急冷すればよい。これにより、相変化材料が結晶状態からアモルファス状態に変化することから、記録マークを形成することができる。一方、既に形成された記録マークを消去する場合、記録層に照射するレーザビームのパワーを記録パワーPw以下、基底パワーPb以上のレベル(消去パワーPe)に設定することによって記録層を結晶化温度以上に加熱し、徐冷すればよい。これにより、相変化材料がアモルファス状態から結晶状態に変化することから、記録マークが消去される。
【0006】
したがって、レーザビームのパワーを記録パワーPw、消去パワーPe、基底パワーPbからなる複数のレベルに変調することによって、記録層の未記録領域に記録マークを形成するだけでなく、既に記録マークが形成されている領域にこれと異なる記録マークを直接上書き(ダイレクトオーバーライト)することが可能となる。
【0007】
一方、近年、データの記録密度が高められ、且つ、非常に高いデータ転送レートを実現可能な次世代型の光記録媒体が提案されている。このような次世代型の光記録媒体においては、大容量・高データ転送レートを実現するため、必然的に、データの記録・再生に用いるレーザビームのビームスポット径を非常に小さく絞らなければならない。ここで、ビームスポット径を小さく絞るためには、レーザビームを集束するための対物レンズの開口数(NA)を0.7以上、例えば、0.85程度まで大きくするとともに、レーザビームの波長λを380nm〜450nm、例えば400nm程度まで短くする必要がある。
【0008】
しかしながら、レーザビームを集束するための対物レンズを高NA化すると、光記録媒体の反りや傾きの許容度、すなわちチルトマージンが非常に小さくなるという問題が生じる。チルトマージンTは、記録・再生に用いるレーザビームの波長をλ、レーザビームの光路となる光透過層(透明基体)の厚さをdとすると、次式によって表すことができる。
【0009】
【数1】
Figure 2004227720
式(1)から明らかなように、チルトマージンは対物レンズのNAが大きいほど小さくなってしまう。また、波面収差(コマ収差)が発生する光透過層(透明基体)の屈折率をn、傾き角をθとすると、波面収差係数Wは、次式によって表すことができる。
【0010】
【数2】
Figure 2004227720
式(1)及び式(2)から明らかなように、チルトマージンを大きくし、且つ、コマ収差の発生を抑えるためには、記録・再生に用いるレーザビームが入射する光透過層(透明基体)の厚さdを小さくすることが非常に有効である。
【0011】
このような理由から、次世代型の光記録媒体においては、十分なチルトマージンを確保しつつ、コマ収差の発生を抑えるために、光透過層(透明基体)の厚さを100μm程度まで薄くすることが要求される。このため、次世代型の光記録媒体においては、CDやDVD等、現行の光記録媒体のように光透過層(透明基体)上に記録層等を形成することは困難であり、基体上に形成した記録層等の上にスピンコート法等により薄い樹脂層を光透過層(透明基体)として形成する方法が検討されている。したがって、次世代型の光記録媒体の作製においては、光入射面側から順次成膜が行われる現行の光記録媒体とは異なり、光入射面とは反対側から順次成膜が行われることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような次世代型の光記録媒体においては、上述の通り非常に高いデータ転送レートが要求されることから、記録層が相変化材料からなる書き換え型の光記録媒体においてこれを可能とするためには、結晶化速度の速い相変化材料を用いて記録層を構成する必要があり、データの記録に際してはレーザビームの記録パワーPwを十分に高く設定する必要がある。
【0013】
このような場合においても融点を超える温度に達した記録層を急冷し、良好な形状を持った記録マークの形成を可能とするためには、記録層には高い放熱性が求められる。
【0014】
記録層の放熱性は、その近傍に設けられる誘電体層や反射層の材料及びその層厚によって調整可能であるが、誘電体層や反射層の材料やその層厚の設定により記録層の放熱性が過剰となると記録感度が低下してしまう一方、放熱性が不足するとパワーマージン(ジッタが所定値以下となる記録パワーPwの範囲)が狭くなってしまう。したがって、誘電体層や反射層による放熱性の設定は、記録感度及びパワーマージンの両方を考慮して最適化する必要があり、しかも、これら誘電体層や反射層の材料及び層厚の設定は、必要な光学特性を満足し、且つ、記録層に対する十分な保護特性を満足する範囲、すなわち高い信頼性が確保される範囲において行う必要がある。
【0015】
しかしながら、非常に高いデータ転送レートが要求される次世代型の光記録媒体おいてこのような条件を満足させることは容易でない。
【0016】
したがって本発明の目的は、相変化材料からなる記録層の放熱性が最適化され、これにより高い記録感度と広いパワーマージンを有するとともに、高い信頼性が確保された高速記録が可能な書き換え型の光記録媒体を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、相変化材料からなり、レーザビームを照射することによって記録マークを形成可能な記録層と、前記記録層から見て前記レーザビームの入射面側に設けられた第1の誘電体層と、前記記録層から見て前記レーザビームの入射面とは反対側に設けられた第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層から見て前記レーザビームの入射面とは反対側に設けられた反射層とを備え、前記反射層は銀(Ag)を主成分とし、これに少なくともネオジム(Nd)及び銅(Cu)が添加された合金を含む厚さ80〜120nmの層であり、前記第2の誘電体層はZnSとSiOとの混合物(モル比=40:60〜60:40)を含む厚さ8〜20nmの層であることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
【0018】
本発明によれば、反射層及び第2の誘電体層の材料として一般的に用いられる材料よりも熱伝導性のやや低い材料が選択され、さらにその層厚が最適化されていることから、記録層からみて入射面とは反対側における放熱性が過剰となることがない。これにより高い信頼性を確保しつつ、高い記録感度を得ることが可能となる。
【0019】
この場合、反射層の主成分である銀(Ag)の比率は98atm%程度であることが好ましく、また、副成分であるネオジム(Nd)と銅(Cu)の原子比としては30:70〜70:30であることが好ましく、50:50程度であることがより好ましい。また、反射層の厚さとしては、90〜110nmであることが好ましく、100nm程度であることが特に好ましい。
【0020】
さらに、第2誘電体層を構成するZnSとSiOのモル比は50:50程度であることが好ましく、その層厚は5〜20nmであることが好ましく、12nm程度であることが特に好ましい。
【0021】
また、前記第1の誘電体層から見て前記レーザビームの入射面側に設けられた放熱層をさらに備えることがより好ましい。これによれば、記録層から見て入射面側の放熱性が改善されることから、広いパワーマージンを得ることが可能となるばかりでなく、クロストークが低減しさらに再生劣化現象が効果的に防止される。
【0022】
また、前記第1の誘電体層は、前記記録層に接して設けられZnSとSiOの混合物を主成分とする界面層と、前記放熱層に接して設けられZnSとSiOの混合物を主成分とするエンハンス層とを含み、前記界面層よりも前記エンハンス層の方がZnSの比率が大きいことが好ましい。ZnSとSiOの混合物においてSiOの比率を高めると物理特性が向上し、ZnSの比率を高めると光学特性が向上することから、界面層における組成比とエンハンス層における組成比との関係をこのように設定すれば、記録層に対する高い保護特性を確保しつつ良好な光学特性を得ることが可能となる。この場合、前記界面層におけるZnSとSiOのモル比が約50:50であり、前記エンハンス層におけるZnSとSiOのモル比が約80:20であることがより好ましい。
【0023】
また、前記界面層よりも前記エンハンス層の方が層厚が大きいことが好ましい。界面層はSiOの比率が高いため比較的応力が強く、また熱伝導性が比較的低いことから、その層厚を大きくしすぎると、クラックが生じ易くなるばかりでなく、放熱層による放熱効果が低下するからである。
【0024】
また、前記記録層がSbTe系材料からなり、その組成を一般式
(SbTe1−x1−y (Mは、Sb及びTeを除く元素である)
で表したとき、
0.55≦x≦0.9、且つ、
0≦y≦0.25
が満たされていることが好ましい。このような材料は結晶化速度が速いため、高い線速度でデータの記録を行うことが可能となる。この場合、前記一般式においてMで表される元素にゲルマニウム(Ge)及びテルビウム(Tb)が含まれていることがより好ましい。これによれば、結晶化速度がより高まるめ、より高い線速度でデータの記録を行うことが可能となる。
【0025】
また、前記放熱層から見て前記レーザビームの入射面側に設けられ、層厚が10〜300μmである光透過層をさらに備え、前記レーザビームの波長をλ、前記レーザビームを集束するための対物レンズの開口数をNAとした場合、λ/NA≦640nmに設定してデータの記録を行うことが可能であることが好ましい。このような光記録媒体はいわゆる次世代型の光記録媒体であり、非常に高いデータ転送レートが要求されるものの、本発明によれば、記録層からみて入射面とは反対側における放熱性が過剰となることがないことから、高い信頼性を確保しつつ、高い記録感度を得ることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0027】
図1(a)は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体10の外観を示す切り欠き斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すA部を拡大した部分断面図である。
【0028】
図1(a),(b)に示す光記録媒体10は、外径が約120mm、厚みが約1.2mmである円盤状の光記録媒体であり、図1(b)に示すように、支持基板11と、防湿層12と、反射層13と、第2誘電体層14と、記録層15と、第1誘電体層16と、放熱層17と、光透過層18と、ハードコート層19を備えて構成されている。特に限定されるものではないが、本実施態様にかかる光記録媒体10は、波長λが380nm〜450nm、好ましくは約405nmであるレーザビームLをハードコート層19の表面である光入射面19aより照射することによってデータの記録及び再生を行うことが可能な書き換え型の光記録媒体である。光記録媒体10に対するデータの記録及び再生においては、開口数が0.7以上、好ましくは0.85程度の対物レンズが用いられ、これによって、レーザビームLの波長をλ、対物レンズの開口数をNAとした場合、λ/NA≦640nmに設定される。
【0029】
支持基板11は、光記録媒体10に求められる厚み(約1.2mm)を確保するために用いられる厚さ約1.1mmの円盤状の基板であり、その一方の面には、その中心部近傍から外縁部に向けて、レーザビームLをガイドするためのグルーブ11a及びランド11bが螺旋状に形成されている。特に限定されるものではないが、グルーブ11aの深さとしては10nm〜40nmに設定することが好ましく、グルーブ11aのピッチとしては0.2μm〜0.4μmに設定することが好ましい。支持基板11の材料としては種々の材料を用いることが可能であり、例えば、ガラス、セラミックス、あるいは樹脂を用いることができる。これらのうち、成形の容易性の観点から樹脂が好ましい。このような樹脂としてはポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。中でも、加工性などの点からポリカーボネート樹脂やオレフィン樹脂が特に好ましい。但し、支持基板11は、レーザビームLの光路とはならないことから、高い光透過性を有している必要はない。
【0030】
支持基板11の作製は、スタンパを用いた射出成形法を用いることが好ましいが、2P法等、他の方法によってこれを作製することも可能である。
【0031】
防湿層12は、その表面に設けられる反射層13の腐食防止を目的として設けられる層であり、誘電体によって構成される。防湿層12を構成する誘電体としては、Al、AlN、ZnO、ZnS、GeN、GeCrN、CeO、SiO、SiO、Si、SiC、La、TaO、TiO、SiAlON(SiO,Al,Si及びAlNの混合物)及びLaSiON(La,SiO及びSiの混合物)等、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)等の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いることが好ましく、腐食防止効果及び成膜速度を考慮すれば、ZnSとSiOとの混合物を用いることが特に好ましく、この場合、ZnSとSiOのモル比を約80:20に設定することが最も好ましい。防湿層12は、複数の誘電体層からなる多層構造であっても構わない。
【0032】
また、防湿層12の層厚は特に限定されないが、50〜150nmに設定することが好ましい。防湿層12の層厚が50nm未満であると腐食防止効果が不十分となる一方、150nmを超えると成膜時間が長くなり生産性が低下するおそれがあるからである。
【0033】
尚、本発明において光記録媒体に防湿層12を設けることは必須でなく、これを省略しても構わない。
【0034】
反射層13は、ハードコート層19側から入射されるレーザビームLを反射し、再びハードコート層19から出射させる役割を果たすとともに、記録層14から見て支持基板11側における放熱層としての役割を果たし、さらに、多重干渉効果により再生信号(C/N比)を高める役割を果たす。本発明では、反射層13の材料としては銀(Ag)を主成分とし、これに副成分として少なくともネオジム(Nd)及び銅(Cu)が添加された合金が用いられる。この場合、主成分である銀(Ag)の比率は95atm%以上である必要があり、98atm%程度であることが好ましい。また、副成分であるネオジム(Nd)と銅(Cu)の原子比としては30:70〜70:30であることが好ましく、50:50程度であることがより好ましい。したがって、反射層13の材料としては、銀(Ag)、ネオジム(Nd)及び銅(Cu)の原子比が98:1:1程度であることが好ましく、98.4:0.7:0.9程度であることが最も好ましい。尚、本明細書においては、銀(Ag)を主成分とし(95atm%以上)、これに少なくともネオジム(Nd)及び銅(Cu)が添加された合金を「ANC合金」と呼ぶことがある。
【0035】
本発明において反射層13の材料としてANC合金を用いているのは次の理由による。すなわち、反射層の材料として従来より知られている銀(Ag)を主成分としこれにパラジウム(Pd)及び銅(Cu)が添加された合金(以下、「APC合金」という)は、高い熱伝導性と高い信頼性を併せ持つことから、高速記録が可能な書き換え型光記録媒体用の反射層の材料として好適であるが、記録層を構成する相変化材料の熱伝導性や結晶化速度等によっては反射層による放熱性が過剰となることがあり、この場合には記録感度が低下するという問題が発生する。これに対しANC合金は、APC合金と同等の信頼性を備えつつAPC合金よりもやや熱伝導性が低いという特性を有しており、このため、反射層13の材料としてANC合金を用いれば、高い信頼性を確保しつつ、放熱性が過剰となることがなくなる。その結果、記録感度を高めることが可能となる。
【0036】
また、本発明において反射層13の厚さは、60〜150nmに設定する必要があり、90〜110nmに設定することが好ましく、100nm程度に設定することが特に好ましい。これは、反射層13の厚さが60nm未満であると反射層13による上記効果を十分に得ることができない一方、反射層13の厚さが150nm超であると、放熱性が過剰となり記録感度が低下してしまうからであり、反射層13の厚さを90〜110nm、特に100nm程度に設定すれば、反射層13による上記効果を十分に得ることができるとともに、記録層14に対して最適な放熱性を与えることが可能となる。
【0037】
記録層15は可逆的な記録マークが形成される層であり、相変化材料によって構成される。相変化材料は、結晶状態である場合の反射率とアモルファス状態である場合の反射率とが異なるため、これを利用してデータの記録が行われる。記録されるデータは、例えばアモルファス状態である記録マークの長さ(記録マークの前縁から後縁までの長さ)及び例えば結晶状態であるブランク領域の長さ(記録マークの後縁から次の記録マークの前縁までの長さ)によって表現される。記録マーク及びブランク領域の長さは、基準となるクロックの1周期に相当する長さをTとした場合、Tの整数倍に設定され、具体的には、1,7RLL変調方式においては、2T〜8Tの長さを持つ記録マーク及びブランク領域が使用される。
【0038】
記録層15を結晶状態からアモルファス状態に変化させるためには、光入射面19aから照射されるレーザビームLを記録パワーPwから基底パワーPbまでの振幅を有するパルス波形とすることによって記録層15を融点以上の温度に加熱し、その後、レーザビームLのパワーを基底パワーPbに設定することによって急冷する。これによって溶融した領域がアモルファス状態に変化し、これが記録マークとなる。一方、記録層15をアモルファス状態から結晶状態に変化させるためには、光入射面19aから照射されるレーザビームLのパワーを消去パワーPeに設定することによって記録層15を結晶化温度以上の温度に加熱する。結晶化温度以上の温度に加熱された領域は、レーザビームLが遠ざかることによって徐冷されることから、当該領域が結晶状態に変化する。
【0039】
ここで、記録パワーPw、消去パワーPe及び基底パワーPbの関係は、
Pw>Pe≧Pb
に設定される。したがって、レーザビームLのパワーをこのように変調すれば、記録層15の未記録領域に記録マークを形成するだけでなく、既に記録マークが形成されている領域にこれと異なる記録マークを直接上書き(ダイレクトオーバーライト)することが可能となる。
【0040】
記録層15を構成する相変化材料の種類としては特に限定されるものではないが、高速でダイレクトオーバーライトを可能とするためには、アモルファス状態から結晶状態への構造変化に要する時間(結晶化時間)が短い材料を選択することが好ましく、このような材料としてはSbTe系材料を挙げることができる。SbTe系材料としてはSbTeのみでもよいし、結晶化時間をより短縮するとともに長期の保存に対する信頼性を高めるために添加物を加えてもよい。
【0041】
具体的には、記録層15を構成する相変化材料の原子比を
(SbTe1−x1−y M:Sb及びTeを除く元素
で表したとき、
0.55≦x≦0.9
0≦y≦0.25
であることが好ましく、
0.65≦x≦0.85
0≦y≦0.25
であることがより好ましい。
【0042】
元素Mの種類は特に限定されないが、短結晶化時間及び保存信頼性の観点から、インジウム(In),銀(Ag),金(Au),ビスマス(Bi),セレン(Se),アルミニウム(Al),リン(P),ゲルマニウム(Ge),水素(H),シリコン(Si),炭素(C),バナジウム(V),タングステン(W),タンタル(Ta),亜鉛(Zn),マンガン(Mn),チタン(Ti),錫(Sn),パラジウム(Pd),鉛(Pb),窒素(N),酸素(O)及び希土類元素からなる群より1又は2以上の元素を選択することが好ましい。特に、保存信頼性の観点からは、銀(Ag),インジウム(In),ゲルマニウム(Ge)及び希土類元素からなる群より1又は2以上の元素を選択することが好ましい。
【0043】
記録層15の層厚は、厚くなればなるほどレーザビームLのビームスポットが照射される記録層15の表面の平坦性が悪化し、これに伴って再生信号のノイズレベルが高くなるとともに、記録感度も低下する。この点を考慮すれば、記録層15の表面の平坦性を高めることによって再生信号のノイズレベルを抑制するとともに記録感度を高めるためには、記録層15の層厚を薄く設定することが有効であるが、薄くしすぎると記録前後における光学定数の差が少なくなり、再生時に高いレベルの再生信号(C/N比)を得ることができなくなる。また、記録層15の層厚を極端に薄く設定すると、成膜時における層厚制御が困難となる。以上を考慮すれば、記録層15の層厚としては2〜40nmに設定することが好ましく、4〜20nmに設定することがより好ましく、12nm程度に設定することがさらに好ましい。
【0044】
放熱層17、第1誘電体層16及び第2誘電体層14は、記録層15を物理的及び/又は化学的に保護する役割を果たし、記録層15は第1誘電体層16及び第2誘電体層14に挟持されることによって、光記録後、長期間にわたって記録情報の劣化が効果的に防止される。また、放熱層17、第1誘電体層16及び第2誘電体層14は、記録の前後における光学特性の差を拡大する役割をも果たし、さらに、放熱層17は、記録層15に生じている熱を速やかに放熱するための放熱層としての役割をも果たす。
【0045】
本発明では、第2誘電体層14を構成する材料としてZnSとSiOとの混合物が用いられ、ZnSとSiOのモル比は40:60〜60:40に設定される。上記材料は記録層14に対する物理的な保護特性が優れているとともに、熱伝導性が比較的低いという特徴を有しており、このため第2誘電体層14の材料として上記材料を用いれば、記録による熱変形が効果的に防止されるため繰り返しのオーバーライトに対する高い信頼性が確保されるとともに、記録感度を高めることが可能となる。このような効果を最も顕著に得るためには、ZnSとSiOのモル比を50:50程度に設定すればよい。また、ZnSとSiOの混合物は成膜スピードが速いことから、生産性を高めることも可能となる。
【0046】
また、本発明において第2誘電体層14の厚さは、5〜20nmに設定する必要があり、10〜15nmに設定することが好ましく、12nm程度に設定することが特に好ましい。これは、第2誘電体層14の厚さが5nm未満であると記録層14を十分に保護できないおそれが生じる一方、上記材料は比較的膜応力が強いことから、第2誘電体層14の厚さが20nm超であるとクラックが発生するおそれがあるとともに、放熱性が低下しすぎるからであり、第2誘電体層14の厚さを10〜15nm、特に12nm程度に設定すれば、クラックの発生を防止しつつ高い信頼性を確保することができ、さらに、記録層14に対して最適な放熱性を与えることが可能となる。
【0047】
一方、第1誘電体層16を構成する材料は、使用されるレーザビームLの波長領域において透明な誘電体であれば特に限定されず、例えば、酸化物、硫化物、窒化物又はこれらの組み合わせを主成分として用いることができるが、記録による熱変形の防止、並びに、記録層15に対する保護特性の観点から、ZnO、ZnS、GeN、GeCrN、CeO、SiO、SiO、Si、La、TaO、TiO、SiAlON(SiO,Al,Si及びAlNの混合物)及びLaSiON(La,SiO及びSiの混合物)等、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)等の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いることが好ましく、成膜スピードや光学特性を考慮すれば、ZnSとSiOとの混合物を用いることが特に好ましい。
【0048】
また、第1誘電体層16については、図2に示すように、相対的に物理特性に優れた材料からなる界面層16−1及び相対的に光学特性に優れた材料からなるエンハンス層16−2の2層構造とすることが特に好ましい。このように第1誘電体層16を2層構造とし、相対的に物理特性に優れる界面層16−1を記録層15側に配置し、相対的に光学特性に優れるエンハンス層16−2を放熱層17側に配置すれば、繰り返しのオーバーライトに対する高い信頼性を確保しつつ、良好な光学特性を得ることが可能となる。
【0049】
界面層16−1及びエンハンス層16−2の材料としては、いずれもZnSとSiOとの混合物を用い、界面層16−1よりもエンハンス層16−2の方がZnSの比率が大きく、エンハンス層16−2よりも界面層16−1の方がSiOの比率が大きくなるよう、その組成比を設定することが好ましい。具体的には、界面層16−1についてはZnSとSiOのモル比を40:60〜60:40、好ましくは50:50程度に設定し、エンハンス層16−2についてはZnSとSiOのモル比を70:30〜90:10、好ましくは80:20程度に設定すればよい。このような組成比に設定すれば、上述の通り、繰り返しのオーバーライトに対する高い信頼性を確保しつつ良好な光学特性を得ることが可能となるばかりでなく、ZnSとSiOの混合物は成膜スピードが速いことから、生産性を高めることも可能となる。
【0050】
第1誘電体層16の層厚は特に限定されないが、10〜50nmに設定することが好ましく、30nm程度とすることが特に好ましい。これは、第1誘電体層16の層厚が10nm未満であると記録層15の保護効果及び光学特性を拡大する効果が十分に得られなくなる一方、50nmを超えると成膜時間が長くなり生産性が低下するおそれがあるとともに、第1誘電体層16のもつ応力によってクラックが発生するおそれがあるからであり、また、第1誘電体層16の層厚を50nm超に設定すると、放熱層17による放熱効果が低下するからである。第1誘電体層16の層厚を10〜50nm、特に30nm程度に設定すれば、生産性の低下やクラックの発生を防止し、放熱効果を確保しつつ、上記効果を十分に得ることが可能となる。
【0051】
また、図2に示すように第1誘電体層16を界面層16−1及びエンハンス層16−2の2層構造とする場合には、界面層16−1よりもエンハンス層16−2の方が層厚が大きくなるように設定することが好ましい。より具体的には、界面層16−1の材料としてモル比が50:50であるZnSとSiOの混合物を用い、エンハンス層16−2の材料としてモル比が80:20であるZnSとSiOの混合物を用いる場合には、界面層16−1の層厚を1〜10nmに設定し、エンハンス層16−2の層厚を10〜40nmに設定することが好ましく、界面層16−1の層厚を5nm程度に設定し、エンハンス層16−2の層厚を25nm程度に設定することが非常に好ましい。これは、モル比が50:50であるZnSとSiOの混合物は比較的応力が強く、また熱伝導性が比較的低いことから、本材料からなる界面層16−1の層厚を大きくしすぎると、クラックが生じ易くなるばかりでなく、放熱層17による放熱効果が低下するからである。
【0052】
さらに、放熱層17を構成する材料は、使用されるレーザビームLの波長領域において透明であり、且つ、第1誘電体層16を構成する材料よりも熱伝導性の高い誘電体であれば特に限定されず、第1誘電体層16と同様、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)等の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いることが可能であるが、第1誘電体層16の材料としてZnSとSiOとの混合物を用いる場合には、Alを用いることが特に好ましい。AlはZnSとSiOとの混合物に比べて熱伝導性が高く、これを放熱層17の材料として用いることにより記録層15からみて光入射面19a側における放熱性が効果的に高められる。これにより、クロストークが低減するとともに、再生によって記録データが劣化するいわゆる再生劣化現象が効果的に防止される。
【0053】
放熱層17の層厚は特に限定されないが、その材料としてAlを用いる場合には15〜40nmに設定することが好ましく、30nm程度に設定することが特に好ましい。これは、Alからなる放熱層17の層厚が15nm未満であると十分な放熱効果が得られなくなる一方、40nmを超えると成膜時間が長くなり生産性が低下するおそれがあるとともに、放熱層17のもつ応力によってクラックが発生するおそれがあるからである。放熱層17の層厚を15〜40nm、特に30nm程度に設定すれば、生産性の低下やクラックの発生を防止しつつ、記録層15に良好な放熱特性を与えることが可能となる。
【0054】
尚、上記防湿層12、反射層13、第2誘電体層14、記録層15、第1誘電体層16及び放熱層17の形成方法としては、これらの構成元素を含む化学種を用いた気相成長法、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法を用いることができ、中でも、スパッタリング法を用いることが好ましい。
【0055】
光透過層18は、レーザビームLの光路となる層であり、その厚さとしては10〜300μmに設定することが好ましく、50〜150μmに設定することが特に好ましい。光透過層18の材料としては、使用されるレーザビームLの波長領域において光透過率が十分に高い材料である限り特に限定されないが、アクリル系又はエポキシ系の紫外線硬化性樹脂を用い、スピンコート法によってこれを放熱層17上に形成することが好ましい。また、紫外線硬化性樹脂を硬化させてなる膜のかわりに、光透過性樹脂からなる光透過性シートと各種接着剤や粘着剤を用いて光透過層18を形成してもよい。
【0056】
ハードコート層19は、光透過層18の表面を保護し、これによって光入射面19aに傷が生じるのを防止する役割を果たす。ハードコート層19の材料としては、光透過層18の材料よりも傷のつきにくい硬い材料であれば特に限定されず、例えば、エポキシアクリレートオリゴマー(2官能オリゴマー)、多官能アクリルモノマー、単官能アクリルモノマー及び光重合開始剤を含む紫外線硬化性樹脂や、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)等の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いることができる。ハードコート層19の材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、スピンコート法によってこれを光透過層18上に形成することが好ましく、上記酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いる場合には、これらの構成元素を含む化学種を用いた気相成長法、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法を用いることができ、中でも、スパッタリング法を用いることが好ましい。
【0057】
また、ハードコート層19は、光入射面19aに傷が生じるのを防止する役割を果たすものであることから、硬いだけでなく、潤滑性を有していることが好ましい。ハードコート層19に潤滑性を与えるためには、ハードコート層19の母体となる材料(例えば、SiO)に潤滑剤を含有させることが有効であり、潤滑剤としては、シリコーン系潤滑剤やフッ素系潤滑剤、脂肪酸エステル系潤滑剤を選択することが好ましく、その含有量としては、0.1〜5.0質量%程度とすることが好ましい。
【0058】
ハードコート層19の層厚は、光透過層18の表面を保護可能である限り、特に限定されない。尚、本発明において光記録媒体にハードコート層19を設けることは必須でなく、これを省略しても構わない。
【0059】
以上が本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体10の構造である。
【0060】
このような構造を有する光記録媒体10に対してデータを記録する場合、上述の通り、光入射面19aから強度変調されたレーザビームLを照射し、記録層15の温度を融点以上の温度に加熱した後、急冷すれば当該領域はアモルファス状態となり、記録層15の温度を結晶化温度以上の温度に加熱した後、徐冷すれば当該領域は結晶状態となる。記録層15のうち、アモルファス状態となった部分(記録マークに相当)の反射率は、結晶状態となった部分(ブランク領域に相当)の反射率と異なった値となることから、これを利用してデータの記録・再生を行うことが可能となる。
【0061】
そして、本実施態様にかかる光記録媒体10においては、反射層13が厚さ60〜150nmのANC合金からなり、さらに、反射層13と記録層15との間に設けられる第2誘電体層14が厚さ5〜20nmであるZnSとSiOとの混合物(モル比=40:60〜60:40)からなることから、高い信頼性を確保しつつ、最適な放熱特性によって高い記録感度を得ることが可能となる。しかも、本実施態様においては。第1誘電体層16と光透過層18との間に放熱層17が設けられており、記録層15から見て反射層13とは反対側の放熱性が改善されていることから、広いパワーマージンを得ることが可能となるばかりでなく、クロストークが低減しさらに再生劣化現象が効果的に防止される。
【0062】
さらに、第1誘電体層16をを2層構造とし、相対的に物理特性に優れる界面層16−1を記録層15側に配置し、相対的に光学特性に優れるエンハンス層16−2を放熱層17側に配置すれば、記録層15に対する高い保護特性を確保しつつ、良好な光学特性を得ることが可能となる。
【0063】
以上より、本実施態様にかかる光記録媒体10によれば、必要な光学特性を満足し、且つ、記録層15に対する十分な保護特性を満足しつつ、記録感度とパワーマージンを両立させることが可能となる。すなわち、高速記録に適した書き換え型の光記録媒体を提供することが可能となる。
【0064】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0066】
[サンプルの作製]
以下の方法により、図1及び図2に示す構造と同じ構造を有する実施例による光記録媒体サンプルと比較例による光記録媒体サンプルを作製した。
【0067】
まず、射出成型法により、厚さ1.1mm、直径120mmであり、表面にグルーブ11a及びランド11b(トラックピッチ(グルーブのピッチ)=0.32μm、グルーブ11aの深さ=25nm)が形成されたポリカーボネートからなるディスク状の支持基板11を作製した。
【0068】
次に、この支持基板11をスパッタリング装置にセットし、グルーブ11a及びランド11bが形成されている側の表面にZnSとSiOの混合物(モル比=80:20)からなる厚さ100nmの防湿層12、ANC合金(原子比=98.4:0.7:0.9)からなる厚さ100nmの反射層13、ZnSとSiOの混合物(モル比=50:50)からなる厚さ12nmの第2誘電体層14、SbTeGeAg(原子比=74:20:5:1)からなる厚さ12nmの記録層15、ZnSとSiOの混合物(モル比=50:50)からなる厚さ5nmの界面層16−1、ZnSとSiOの混合物(モル比=80:20)からなる厚さ25nmのエンハンス層16−2、Alからなる厚さ30nmの放熱層17を順次スパッタ法により形成した。
【0069】
次に、放熱層17上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂をスピンコート法によりコーティングし、これに紫外線を照射して厚さ100μmの光透過層18を形成した。
【0070】
そして、防湿層12〜光透過層18が形成された支持基板11を再びスパッタリング装置にセットし、光透過層18の表面にSiOを母体とし、これにシリコーン系潤滑剤が添加された厚さ1〜2μmのハードコート層19を形成した。
【0071】
これにより、実施例による光記録媒体サンプルが完成した。
【0072】
次に、反射層13を厚さ100nmのAPC合金(原子比=98.4:0.7:0.9)によって構成し、第2誘電体層14を厚さ12nmのCeOとAlの混合物(モル比=80:20)によって構成し、エンハンス層16−2の厚さを35nmに設定した他は、実施例による光記録媒体サンプルと同様にして比較例1による光記録媒体サンプルを作製した。
【0073】
さらに、第2誘電体層14を厚さ12nmのCeOとAlの混合物(モル比=80:20)によって構成し、エンハンス層16−2の厚さを30nmに設定した他は、実施例による光記録媒体サンプルと同様にして比較例2による光記録媒体サンプルを作製した。
【0074】
[サンプルの評価]
次に、各光記録媒体サンプルを光ディスク評価装置(商品名:DDU1000、パルステック社製)にセットし、5.3m/secの線速度で回転させながら、開口数が0.85である対物レンズを介して波長が405nmであるレーザビームを光入射面19aから記録層15に照射し、種々の記録パワーPwを用いて1,7RLL変調方式における2T信号〜8T信号からなる混合信号をそれぞれ記録した。この場合、フォーマット効率を約80%とした場合のデータ転送レートは、約36Mbpsである。尚、消去パワーPeについてはPe/Pw=0.68となるように設定し、基底パワーPbは0.1mWに固定した。
【0075】
そして、各光記録媒体サンプルに記録された混合信号を再生し、得られた再生信号のジッタを測定した。ここでいうジッタとはクロックジッタを指し、タイムインターバルアナライザにより再生信号の「ゆらぎ(σ)」を求め、σ/Tw(Tw:クロックの1周期)により算出した。尚、再生パワーPrは0.35mWに設定した。
【0076】
測定の結果を図3に示す。図3においては、両隣のトラックが記録状態である場合のジッタ(クロスジッタ)が示されている。クロスジッタの測定は、所定のトラックに混合信号を記録し、さらに両隣のトラックに混合信号を10回オーバーライトした後、上記所定のトラックに記録されたジッタを測定することにより行った。
【0077】
図3に示すように、比較例1,2の光記録媒体サンプルに比べ、実施例による光記録媒体サンプルの方がジッタが最低値(ボトム)となる記録パワーPwのレベルが低かった。すなわち記録感度が高かった。これは、比較例1による光記録媒体サンプルでは、反射層13がANC合金よりも熱伝導性の高いAPC合金からなるため記録層15からみて支持基板11側における放熱性が過剰となり、比較例2による光記録媒体サンプルでは、第2誘電体層14がZnSとSiOの混合物(モル比=50:50)よりも熱伝導性の高いCeOとAlの混合物(モル比=80:20)からなるためやはり記録層15からみて支持基板11側における放熱性が過剰となったのに対し、実施例による光記録媒体サンプルでは、放熱性が過剰とならず、その結果、記録感度が高められたものと考えられる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、相変化材料からなる記録層の放熱性が最適化されていることから、高い信頼性を確保しつつ、高い記録感度と広いパワーマージンを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体10の外観を示す切り欠き斜視図であり、(b)は(a)に示すA部を拡大した部分断面図である。
【図2】第1誘電体層16の好ましい構造を概略的に示す部分断面図である。
【図3】サンプルの評価における測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光記録媒体
11 支持基板
11a グルーブ
11b ランド
12 防湿層
13 反射層
14 第2誘電体層
15 記録層
16 第1誘電体層
16−1 界面層
16−2 エンハンス層
17 放熱層
18 光透過層
19 ハードコート層
19a 光入射面
L レーザビーム

Claims (4)

  1. 相変化材料からなり、レーザビームを照射することによって記録マークを形成可能な記録層と、前記記録層から見て前記レーザビームの入射面側に設けられた第1の誘電体層と、前記記録層から見て前記レーザビームの入射面とは反対側に設けられた第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層から見て前記レーザビームの入射面とは反対側に設けられた反射層とを備え、前記反射層は銀(Ag)を主成分とし、これに少なくともネオジム(Nd)及び銅(Cu)が添加された合金を含む厚さ80〜120nmの層であり、前記第2の誘電体層はZnSとSiOとの混合物(モル比=40:60〜60:40)を含む厚さ8〜20nmの層であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記第1の誘電体層から見て前記レーザビームの入射面側に設けられた放熱層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記第1の誘電体層は、前記記録層に接して設けられZnSとSiOの混合物を主成分とする界面層と、前記放熱層に接して設けられZnSとSiOの混合物を主成分とするエンハンス層とを含み、前記界面層よりも前記エンハンス層の方がZnSの比率が大きいことを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体。
  4. 前記放熱層から見て前記レーザビームの入射面側に設けられ、層厚が10〜300μmである光透過層をさらに備え、前記レーザビームの波長をλ、前記レーザビームを集束するための対物レンズの開口数をNAとした場合、λ/NA≦640nmに設定してデータの記録を行うことが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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