JP2004218917A - 過熱蒸気調理装置及び過熱蒸気調理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は過熱蒸気を利用した食品の加熱調理において、簡単な構成と簡便な操作で庫内の清浄性を維持しつつ高品位の食品加熱調理を安全で簡便に行う装置を提供することを目的としている。
【解決手段】所定部分を最上部1aとして、最上部1aから側内面まで、連続的に斜面を形成している上内面及び、所定部分を最下部である液溜まり10として、液溜まり10に向かって側内面から連続的に斜面を形成している底内面を有し、食品を入れる調理室1と、水を蒸発させるための蒸発部材8と、水を貯める水タンク5と、蒸発部材8に水を供給するための給水パイプ7と、水タンク5から給水パイプ7に水を供給するポンプ6と、蒸発部材8によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段3とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【選択図】 図1
【解決手段】所定部分を最上部1aとして、最上部1aから側内面まで、連続的に斜面を形成している上内面及び、所定部分を最下部である液溜まり10として、液溜まり10に向かって側内面から連続的に斜面を形成している底内面を有し、食品を入れる調理室1と、水を蒸発させるための蒸発部材8と、水を貯める水タンク5と、蒸発部材8に水を供給するための給水パイプ7と、水タンク5から給水パイプ7に水を供給するポンプ6と、蒸発部材8によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段3とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過熱蒸気調理装置及び過熱蒸気調理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の加熱調理を行う装置には、ガス等の燃焼熱や電熱ヒータの発熱で鍋等の調理容器を加熱するコンロ炊飯器、蒸し器等の他、マイクロ波を用いて食材内部で直接発熱させる電子レンジ、赤外線による放射加熱を用いたオーブン、熱風で加熱するコンベクションオーブン、加熱水蒸気を用いるスチームオーブン等の各種の装置が用いられている。
【0003】
これに加えて近年、100℃以上に昇温した過熱蒸気を用い、凝縮伝熱も利用して高速加熱する加熱調理装置も多数提案されている。この過熱蒸気を用いる食品の加熱調理方法は、水蒸気を例えば120〜300℃に過熱して使用するものである。この加熱調理方法は、熱伝達力に優れ、食品を速やかに加熱することができるとともに、温度条件を適度に選択することによって食品表面層の水分含有率を調節できる。例えば蒸し物では比較的低温で加熱することによってしっとりした食感を確保することができ、逆に高温で制御すれば食品の水分を奪う昇温が可能となるため、特に揚げ物の再加熱では、からっとした風味に仕上げることができるなど、多くの優れた特徴を有している。
【0004】
また、この種の装置は、過熱蒸気を調理庫内に充満させているために酸素がほとんどない状態に維持され、調理中の油脂等の酸化変質が抑制されて風味の損なわれない調理ができるという特徴がある。しかし、その半面、調理終了時の扉開閉に際して過熱状態にある水蒸気が扉部分から噴出してくる危険性もあり、このために、2段階のドア開閉を使用し、1段階目で扉を少し開き過熱蒸気を放出し、2段階目で扉を完全に開くといった技術が用いられている(特許文献1参照。)。
【0005】
また、一般に調理庫内で調理を行う装置では、食品から発生して飛散する油脂等の成分で調理庫内が汚染され、その清掃に多大の労力を要することになるが、これを回避する方法として、庫内壁の表面に防汚機能を有する有機薄膜で被覆する方法も提案されている(特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−126460号公報
【特許文献2】
特開2001−172777号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、過熱蒸気を用いた食品の加熱調理には多くの効果がある。ここで、過熱蒸気とは、水を蒸発させて得られた水蒸気にさらに熱を加え、100℃以上の過熱状態にすることによって得られるものである。しかし、調理庫内を循環している状態では加熱手段からの熱供給も受けて過熱蒸気の状態を維持できるものの、放熱が大きく低温になる調理庫壁面に接触した部分では、冷却を受けて水蒸気の凝縮が生じ、食品から発生した油脂等の成分が混濁した凝縮水が庫内壁を汚染する現象を生じやすいものであった。
【0008】
この汚染物は、凝縮水を多量に含有するために流動性があり、壁面を伝って流下し、壁面凹部に滞留したり庫内の底部に蓄積したりして汚染域を拡大し易く、また混濁水溶液状態であることと、加熱調理時の庫内雰囲気が酸素濃度の極めて少ない状態であることから、庫内壁面に有機物の酸化分解触媒を塗布する等の手段を講じても反応活性が期待できず、防汚性あるいは清掃性の面での課題があった。
【0009】
一方、過熱蒸気の噴出によって、火傷等の熱障害を受ける危険性を防ぎ、又食品の出来上がりの状態を確認するという操作が極めて困難であるなどの操作性上での制約を回避するために、2段階のドア閉鎖を使用しても、扉を開ける人がいる側に蒸気を噴出することになり、確実な安全性は得られなかった。
【0010】
本発明は上記従来の課題を考慮し、防汚および清掃性を向上し、又は操作安全性を向上した過熱蒸気調理装置および過熱蒸気調理方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、所定部分を最下部(10)として、前記最下部に向かって側内面から連続的に斜面を形成している底内面を有し、食品を入れる調理室(1)と、水を蒸発させるための蒸発手段(8)と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段(5,6,7)と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段(3)とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0012】
また、第2の本発明は、所定部分を最上部(1a)として、前記最上部から側内面まで、連続的に斜面を形成している上内面を有している調理室である第1の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0013】
また、第3の本発明は、前記水蒸気又は過熱された水蒸気が、前記調理室の内面で冷され発生した、水滴内の油脂成分を含んだ汚染物質を吸着させる、着脱可能な吸着部材(11)を前記最下部に更に備えた第1の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0014】
また、第4の本発明は、前記調理室の内面の全部又は一部に、耐熱性フッ素樹脂の被膜が形成された第1の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0015】
また、第5の本発明は、食品を入れる調理室(1)と、水を蒸発させるための蒸発手段(8)と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段(5,6,7)と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段(3)と、前記調理室の側面に設けられ、食品を出し入れするための扉(16)と、前記扉を閉めた状態で扉をロックするためのロック機構(18)と、前記調理室の一面に設けられ、前記ロック機構によるロックの解除と連動し、前記調理室を開放する蒸気排出手段(13,14,19)とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0016】
また、第6の本発明は、前記調理室、前記蒸発手段、及び前記過熱手段とを内包する筐体(12)と、前記筐体に設けられた通気口(15)とを更に備え、前記蒸気排出手段は、前記通気口の設けられた前記筐体の一面と対向する前記調理室の一面に設けられた第5の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0017】
また、第7の本発明は、第5の本発明の過熱蒸気調理装置を用いて、調理する調理方法であって、前記調理室内に食品を入れる工程と、前記扉をロックするロック工程と、前記蒸発手段に水を供給する給水工程と、前記供給された水を蒸発させる蒸発工程と、前記蒸発手段にて発生した水蒸気を過熱する過熱工程と、前記ロックの解除と連動し、前記調理室を開放する蒸気排出工程とを備えた調理方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における過熱蒸気調理装置の正面断面構成図である。図1に示すように、本実施の形態1における過熱蒸気調理装置は過熱蒸気を充填して食品を加熱する調理室1を有している。
【0020】
ここで、調理室1の上内面の所定部が、調理室1の最上部1aとなっており、最上部1aから側面に向かって、連続的に上内面に傾斜が形成されている。また、調理室1の底内面の所定部に、調理室1の底面が外部に向かって突き出ている、水滴を貯めるための液溜まり10が設置されている。液溜まり10は、調理室1の底内面の最下部となっており、調理室1の側面から液溜まり10に向かって、連続的に傾斜が形成されている。さらに、液溜まり10に、多孔性セラミックの棒材料からなる吸着部材11が挿入配置されている。このように、調理室1の壁面構成は、最上部1aを頂点にし、底面に備えられた液溜まり10を最低部にして連続的な傾斜壁面が形成されており、壁面のいずれの位置に付着した液滴も自重により壁面上を滑り流れて、最終的には液溜まり10に流下する構成となっている。
【0021】
さらに、この調理室1の壁面材質は、金属板で構成された筐体の内壁面に、分子鎖の一端にCF3基を有するシラン系化合物で形成された耐熱性フッ素樹脂の薄膜が形成されており、撥水性が付与されている。
【0022】
また、調理室1内に調理用の食品を載置するための調理トレイ2と、調理室1内を循環する気体と熱交換して加熱し水蒸気を過熱蒸気にする、シーズヒータからなる手段(以下過熱手段という)3が設置されている。
【0023】
さらに、調理室1内には、水を蒸発させるためのシーズヒータが埋め込まれた蒸発部材8と、調理室1内の気体を循環させるためのモーター駆動のファンから構成される気流循環手段4が設置されている。調理室1の外部には、水を貯める水タンク5と、水タンク5から蒸発部材8の上部に水を導くための給水パイプ7が設置されている。水タンク5上部の給水パイプ7には、水を水タンク5からくみ上げ、蒸発部材8に供給するためのポンプ6が設置されている。
【0024】
また、調理室1を内包する筐体12が設置されており、筐体12と調理室1の間の隙間には、各部の動作の制御信号を発する制御部9が設けられている。
【0025】
以上のような構成をした本実施の形態1における過熱蒸気調理装置を用いた調理方法について以下に説明する。
【0026】
はじめに、制御部9に連通される動作開始の操作を行うと、まず過熱手段3に通電されて、調理室1の予熱を適宜行う。次に、調理トレイ2に食品を載置する。続いて、気流循環手段4に通電されて調理室1内の気流循環が行われる。さらに、同時に蒸発部材8にも通電されて昇温され、所定の温度に達すると水タンク5からポンプ6で汲み上げられた水が、給水パイプ7を通って蒸発部材8に供給される。続いて、水は蒸発部材8にて水蒸気となり、気流循環手段4の動作によって調理室1内に分散循環される。調理室1内を循環する間、水蒸気は過熱手段3とも接触してさらに加熱され、やがて過熱蒸気となって調理室1内を充満させる状態になる。
【0027】
ここで、上記の経過を経て調理室1内を過熱蒸気が循環される調理が行われるが、調理室1の壁面は常時放熱が行われるから、内部の過熱蒸気より低温になることは避けられない。調理室1内を循環する過熱蒸気がこの低温の内壁に接触すると、一部は凝縮して調理室1内壁に水滴として付着する。この水滴には、加熱調理によって食品から発せられた臭気成分や油脂成分などが混濁包含されており、単なる水に比べて粘着性を増すなど、調理室1の壁面に固着して汚染する要因物質となり得るものである。
【0028】
しかしながらここで、調理室1の内壁面を連続して傾斜を有する構成としていることにより、多少の粘着性を発する水滴でも自重で滑り落ちることになり、天井面から壁面へ、壁面から底面へ、そして傾斜する底面では最終的に最底部に備えられた液溜まり10へと、順次流下していくことになる。
【0029】
かくして調理室1の内壁面には、汚染物を含んだ水滴が付着残留することはなく、液溜まり10に溜まる。さらに、ここで、液溜まり10内に多孔性の吸着部材11を挿入配置しているため、流下した汚染水滴が吸着部材11に吸蔵され、吸着性の強い油脂成分などの汚染物が吸着固定される。
【0030】
なお、調理室1の壁面素材は、平滑表面のステンレス鋼板などでも充分付着水滴の流下は起こり得るが、本実施の形態1では、内面に撥水性能を発揮する耐熱性フッ素樹脂膜を形成しているので、付着水滴の粘着性が増した場合でも速やかに水滴を流下させることが可能となり、より高度に壁面の清浄性を維持できる。
【0031】
すなわち、水分含有率の高い液滴であるために表面を覆う撥水性膜の液滴離散作用は強く、多量の水滴で汚染成分を洗い流すかのような作用を導くものである。このため、単に飛散付着する汚染物を落下させるだけでなく、調理の品種による残存臭気(例えば魚料理の後の油脂臭気など)をも水洗様に除去するに有効で、操作性と調理品質の双方に効果を発揮できるものである。
【0032】
なお、本発明の最下部は、本実施の形態1では、液溜まり10に相当し、調理室1の側面から液溜まり10まで連続的に斜面を形成しているが、斜面のみを形成していれば、最下部に液が溜まるため、液溜まりを有しなくてもよく、要するに、最下部に向かって調理室の側内面から連続的に斜面を形成していればよい。
【0033】
なお、本実施の形態1では、液溜まり10に吸着部材11が設置されているが、設置されていなくても、飛散付着した液滴が自重により液溜まりに溜まるので、一箇所を掃除しさえすればよく、調理室1内は長期に亘って清浄性を保つことが出来る。しかし、吸着部材11を設ける場合、汚染物を除外された水は、気流循環手段4によって循環される高温気流に接触して蒸発し、再度過熱蒸気として利用できることになり、ポンプ6によって供給される水の量を減らすことが出来る。したがって蒸発部材8において投入されるエネルギーも削減して、発生する汚染物質のみ分離除去する操作が可能となるため、吸着部材を設けた方がより好ましい。
【0034】
なお、吸着部材11は、発生が予想される汚染物質との親和性を厳密に配慮する必要はなく、焼結セラミックやセラミック繊維成形体など、汚染物を吸蔵しつつ表面から水を蒸散させ得る耐熱性多孔体であれば、上記効果は発揮し得るもので、汚染物を捕集した後の吸着部材11は取り出してそのまま廃棄することを考慮すれば、簡易で安価な素材と構成のものを採用するのが有効である。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、基本的な構成および操作、制御方法等は実施の形態1と同様であるが、調理終了時に操作する調理室1の内部気流の処理のための構成とその操作方法に特徴がある。したがって、この相違点を中心に説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素には同一番号を付与している。
【0036】
図2は本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の側面断面構成図である。図2において、調理室1の側面に開閉自在の扉16が設置されている。扉16には、開閉するための把手17が備えられている。また、扉16をロックするためのロック機構18が、扉16の下部の筐体12に備えられている。
【0037】
ここで、図3にロック機構18部の部分平面図、図4に、その斜視図を示す。図に示すように、調理装置の前面に対して垂直に円柱形の台座18aを有している。また、台座18aの上面には、直方体をしたつまみ部18bが備えられている。さらに、台座18aの側面に接続ワイヤ19の一端を固定するためのワイヤ固定具18dが設けられている。また、扉16をロック時に押さえるための押さえ板18cが台座18aに固定されている。これら、台座18aとつまみ部18bと押さえ板18cとワイヤ固定具18dは、つまみ部18bを回すことにより、全て同時に回転する。なお、押さえ板18cは、台座18aから扉16を押さえることが出来る長さを有しており、つまみ部18bを矢印Aに示すように、右回転することにより、押さえ板18cも右に回転し、扉16上から移動し、ロックが解除される。
【0038】
また、接続ワイヤ19は、台座18aを右回転した際に台座18aの側面に巻き取られるよう引き回され(矢印B参照)、ワイヤ固定具18dに固定されている。
【0039】
また、調理室1の扉16側を前面として、後面上部には、過熱蒸気を排気する排気口13が開口されている。調理室1と筐体12の間に、排気口13を開閉自在に閉止している排気ダンパ14が押圧配置されている。この排気ダンパ14に接続ワイヤ19の他端が固定されている。
【0040】
ここで、排気ダンパ14は、排気口13の下方に支点14aを有しており、この支点14aを基準にして開閉する。その排気ダンパ14の、調理室1側とは反対側の面に接続ワイヤ19の他端が固定されている。この接続ワイヤ19を引いた状態、すなわちロックを解除した排気ダンパ14の状態が、図2に示す二点鎖線にて示している。接続ワイヤ19を引いた状態では、排気ダンパ14は、支点14aを基準にして筐体12側に回転するため、排気口13が開口した状態になっている。また、筐体12の後面上部の、排気口13とほぼ対向するところには、排出ガス用の通気口15が設けられている。
【0041】
以上のような構成をした本実施の形態2の過熱蒸気調理装置を用いた調理方法について以下に説明する。
【0042】
はじめに、過熱手段3で昇温された調理室1内の蒸発部材8にポンプ6の動作によって水タンク5の水が供給される。水は蒸発して水蒸気となり、気流循環手段4に送られて調理室1内を循環する間、過熱手段3でさらに加熱されて過熱蒸気となる。
【0043】
こうして生成した過熱蒸気により、調理トレイ2上に載置された食品の過熱調理が行われるが、調理操作が終了した時そのまま扉16を開くと、過熱手段3によって加熱され膨張していた過熱蒸気によって、調理室1内は、やや加圧状態にあるので、扉から吹き出し、危険となる。
【0044】
しかしながら、ロック機構18を解除しない限り扉16の開閉が出来ないため、加熱調理の工程が終了した時点で、まずロック機構18を右回転して扉16上の押さえ板18cを除去し、その後に把手17を引いて扉16を開くような2動作工程が必要となる。したがってロック機構18を回転して扉16のロックを「解除」すると同時に、接続ワイヤ19に連通した排気ダンパ14が回転動作し、調理室1に開設された排気口13が開放されることになる。なお、図3、4の矢印Aは、ロック機構18の「解除」の際の回転方向を示している。また、矢印Bは、「解除」時の接続ワイヤ19が引っ張られる方向を示している。
【0045】
かくして調理室1内で加圧状態にあった過熱蒸気は、排気口13から噴出してその近くに開口された通気口15から放出され、なお温度は高いものの加圧状態は瞬時に回避される。このためロック機構18の回転に次いで、把手17を引いて扉16の開放操作をしても、調理室1の正面から過熱蒸気が噴出することはなく、より安全に食品を取り出すことができるものである。
【0046】
また、本発明の蒸気排出手段は、本実施の形態2では、排気口13、排気ダンパ14、及び接続ワイヤ19に相当する。又本発明の、筐体の一面に設けられた通気口は、本実施の形態2では、通気口15に相当し、排気口13が開口されている調理室1の一面の対向する筐体12の一面に設置されている。ここで、排気口13と通気口15は対向する一面に備えられていなくても調理室1の圧力は開放されるが、対向する一面に設けられていたほうが、加圧状態がより早く開放されるので、より安全性が高いため、好ましい。
【0047】
また、本発明の蒸気排出手段と通気口は、扉16側を前面として、調理室1の後面と筐体12の後面とに各々設けられているが、側面、上面又は底面に設けられていてもよく、要するに扉16の方向(人がいる側)に向かって、過熱蒸気を排出しなければよい。
【0048】
また、扉16を開ける際の安全確保には、上記のように調理室1内の圧力低下が必須条件であるが、その応答性は早く、排気ダンパ14を開閉するとほぼ同時に達成される。そこで、例えば扉16の把手17にセンサーを備え、把手17を握る動作と連動して排気ダンパ14が動作するようにしても効果はあるが、より安全性を高めるために、ロック機構18を解除した後に扉16を開けるという2動作に分けておくことが望ましい。
【0049】
また、このロック機構18は、本実施の形態では機械的動作をする構成としているが、電磁部品等を用いた電気式の手段を用いることも可能で、それら手法や構成に特段の限定はない。しかし、このように複雑なタイマー機構やその他の連動機構を用いず、扉16の開放直前に排気口13を開放して調理室1の内圧降下を行うという簡易にして有効、かつ応答性の早い操作を行うことにより、所定の調理終了に伴う食品の取り出しのみならず、調理過程で状況を目視確認するような場合にも使い勝手が良く、簡易な操作で安全性の高い過熱蒸気調理装置を提供し得るものである。
【0050】
なお、本発明の蒸発手段は、シーズヒータを備えた蒸発部材8に相当するが、シーズヒータを備えずに過熱手段に密着させて、伝熱を利用した蒸発手段であってもよく、要するに水を蒸発させるための蒸発手段でありさえすればよい。
【0051】
また、本発明の蒸発手段は、調理室1内に設置されているが、調理室1と筐体12の間の隙間に設置し、発生した水蒸気を調理室1に導くための流通路を更に設けてもよい。
【0052】
さらに、本発明の過熱手段は、本実施の形態2では、調理室1内に設けられている過熱手段3に相当するが、蒸発部材8が筐体12と調理室1の隙間にある場合、過熱手段3は、その隙間に、かつ流通路近傍に設けられ、調理室1外で水蒸気を過熱蒸気にしてもよい。
【0053】
また、本発明の給水手段は、水タンク5とポンプ6と給水パイプ7とから構成される。しかし、ポンプ6を用いず、給水パイプ7に弁を設け、蒸発部材8より上の位置に水タンク5を設置し、重力によって給水パイプ7を通って水が流れる構成でもよく、要するに、蒸発手段に水を供給出来さえすればよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、防汚および清掃性の向上し、又は操作安全性の向上した過熱蒸気調理装置、及び過熱蒸気調理方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における過熱蒸気調理装置の正面断面構成図
【図2】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の側面断面構成図
【図3】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の要部平面図
【図4】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の要部斜視図
【符号の説明】
1 調理室
1a 最上部
2 調理トレイ
3 過熱手段
4 気流循環手段
5 水タンク
6 ポンプ
7 給水パイプ
8 蒸発部材
9 制御部
10 液溜まり
11 吸着部材
12 筐体
【発明の属する技術分野】
本発明は、過熱蒸気調理装置及び過熱蒸気調理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の加熱調理を行う装置には、ガス等の燃焼熱や電熱ヒータの発熱で鍋等の調理容器を加熱するコンロ炊飯器、蒸し器等の他、マイクロ波を用いて食材内部で直接発熱させる電子レンジ、赤外線による放射加熱を用いたオーブン、熱風で加熱するコンベクションオーブン、加熱水蒸気を用いるスチームオーブン等の各種の装置が用いられている。
【0003】
これに加えて近年、100℃以上に昇温した過熱蒸気を用い、凝縮伝熱も利用して高速加熱する加熱調理装置も多数提案されている。この過熱蒸気を用いる食品の加熱調理方法は、水蒸気を例えば120〜300℃に過熱して使用するものである。この加熱調理方法は、熱伝達力に優れ、食品を速やかに加熱することができるとともに、温度条件を適度に選択することによって食品表面層の水分含有率を調節できる。例えば蒸し物では比較的低温で加熱することによってしっとりした食感を確保することができ、逆に高温で制御すれば食品の水分を奪う昇温が可能となるため、特に揚げ物の再加熱では、からっとした風味に仕上げることができるなど、多くの優れた特徴を有している。
【0004】
また、この種の装置は、過熱蒸気を調理庫内に充満させているために酸素がほとんどない状態に維持され、調理中の油脂等の酸化変質が抑制されて風味の損なわれない調理ができるという特徴がある。しかし、その半面、調理終了時の扉開閉に際して過熱状態にある水蒸気が扉部分から噴出してくる危険性もあり、このために、2段階のドア開閉を使用し、1段階目で扉を少し開き過熱蒸気を放出し、2段階目で扉を完全に開くといった技術が用いられている(特許文献1参照。)。
【0005】
また、一般に調理庫内で調理を行う装置では、食品から発生して飛散する油脂等の成分で調理庫内が汚染され、その清掃に多大の労力を要することになるが、これを回避する方法として、庫内壁の表面に防汚機能を有する有機薄膜で被覆する方法も提案されている(特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−126460号公報
【特許文献2】
特開2001−172777号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、過熱蒸気を用いた食品の加熱調理には多くの効果がある。ここで、過熱蒸気とは、水を蒸発させて得られた水蒸気にさらに熱を加え、100℃以上の過熱状態にすることによって得られるものである。しかし、調理庫内を循環している状態では加熱手段からの熱供給も受けて過熱蒸気の状態を維持できるものの、放熱が大きく低温になる調理庫壁面に接触した部分では、冷却を受けて水蒸気の凝縮が生じ、食品から発生した油脂等の成分が混濁した凝縮水が庫内壁を汚染する現象を生じやすいものであった。
【0008】
この汚染物は、凝縮水を多量に含有するために流動性があり、壁面を伝って流下し、壁面凹部に滞留したり庫内の底部に蓄積したりして汚染域を拡大し易く、また混濁水溶液状態であることと、加熱調理時の庫内雰囲気が酸素濃度の極めて少ない状態であることから、庫内壁面に有機物の酸化分解触媒を塗布する等の手段を講じても反応活性が期待できず、防汚性あるいは清掃性の面での課題があった。
【0009】
一方、過熱蒸気の噴出によって、火傷等の熱障害を受ける危険性を防ぎ、又食品の出来上がりの状態を確認するという操作が極めて困難であるなどの操作性上での制約を回避するために、2段階のドア閉鎖を使用しても、扉を開ける人がいる側に蒸気を噴出することになり、確実な安全性は得られなかった。
【0010】
本発明は上記従来の課題を考慮し、防汚および清掃性を向上し、又は操作安全性を向上した過熱蒸気調理装置および過熱蒸気調理方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、所定部分を最下部(10)として、前記最下部に向かって側内面から連続的に斜面を形成している底内面を有し、食品を入れる調理室(1)と、水を蒸発させるための蒸発手段(8)と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段(5,6,7)と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段(3)とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0012】
また、第2の本発明は、所定部分を最上部(1a)として、前記最上部から側内面まで、連続的に斜面を形成している上内面を有している調理室である第1の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0013】
また、第3の本発明は、前記水蒸気又は過熱された水蒸気が、前記調理室の内面で冷され発生した、水滴内の油脂成分を含んだ汚染物質を吸着させる、着脱可能な吸着部材(11)を前記最下部に更に備えた第1の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0014】
また、第4の本発明は、前記調理室の内面の全部又は一部に、耐熱性フッ素樹脂の被膜が形成された第1の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0015】
また、第5の本発明は、食品を入れる調理室(1)と、水を蒸発させるための蒸発手段(8)と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段(5,6,7)と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段(3)と、前記調理室の側面に設けられ、食品を出し入れするための扉(16)と、前記扉を閉めた状態で扉をロックするためのロック機構(18)と、前記調理室の一面に設けられ、前記ロック機構によるロックの解除と連動し、前記調理室を開放する蒸気排出手段(13,14,19)とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0016】
また、第6の本発明は、前記調理室、前記蒸発手段、及び前記過熱手段とを内包する筐体(12)と、前記筐体に設けられた通気口(15)とを更に備え、前記蒸気排出手段は、前記通気口の設けられた前記筐体の一面と対向する前記調理室の一面に設けられた第5の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0017】
また、第7の本発明は、第5の本発明の過熱蒸気調理装置を用いて、調理する調理方法であって、前記調理室内に食品を入れる工程と、前記扉をロックするロック工程と、前記蒸発手段に水を供給する給水工程と、前記供給された水を蒸発させる蒸発工程と、前記蒸発手段にて発生した水蒸気を過熱する過熱工程と、前記ロックの解除と連動し、前記調理室を開放する蒸気排出工程とを備えた調理方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における過熱蒸気調理装置の正面断面構成図である。図1に示すように、本実施の形態1における過熱蒸気調理装置は過熱蒸気を充填して食品を加熱する調理室1を有している。
【0020】
ここで、調理室1の上内面の所定部が、調理室1の最上部1aとなっており、最上部1aから側面に向かって、連続的に上内面に傾斜が形成されている。また、調理室1の底内面の所定部に、調理室1の底面が外部に向かって突き出ている、水滴を貯めるための液溜まり10が設置されている。液溜まり10は、調理室1の底内面の最下部となっており、調理室1の側面から液溜まり10に向かって、連続的に傾斜が形成されている。さらに、液溜まり10に、多孔性セラミックの棒材料からなる吸着部材11が挿入配置されている。このように、調理室1の壁面構成は、最上部1aを頂点にし、底面に備えられた液溜まり10を最低部にして連続的な傾斜壁面が形成されており、壁面のいずれの位置に付着した液滴も自重により壁面上を滑り流れて、最終的には液溜まり10に流下する構成となっている。
【0021】
さらに、この調理室1の壁面材質は、金属板で構成された筐体の内壁面に、分子鎖の一端にCF3基を有するシラン系化合物で形成された耐熱性フッ素樹脂の薄膜が形成されており、撥水性が付与されている。
【0022】
また、調理室1内に調理用の食品を載置するための調理トレイ2と、調理室1内を循環する気体と熱交換して加熱し水蒸気を過熱蒸気にする、シーズヒータからなる手段(以下過熱手段という)3が設置されている。
【0023】
さらに、調理室1内には、水を蒸発させるためのシーズヒータが埋め込まれた蒸発部材8と、調理室1内の気体を循環させるためのモーター駆動のファンから構成される気流循環手段4が設置されている。調理室1の外部には、水を貯める水タンク5と、水タンク5から蒸発部材8の上部に水を導くための給水パイプ7が設置されている。水タンク5上部の給水パイプ7には、水を水タンク5からくみ上げ、蒸発部材8に供給するためのポンプ6が設置されている。
【0024】
また、調理室1を内包する筐体12が設置されており、筐体12と調理室1の間の隙間には、各部の動作の制御信号を発する制御部9が設けられている。
【0025】
以上のような構成をした本実施の形態1における過熱蒸気調理装置を用いた調理方法について以下に説明する。
【0026】
はじめに、制御部9に連通される動作開始の操作を行うと、まず過熱手段3に通電されて、調理室1の予熱を適宜行う。次に、調理トレイ2に食品を載置する。続いて、気流循環手段4に通電されて調理室1内の気流循環が行われる。さらに、同時に蒸発部材8にも通電されて昇温され、所定の温度に達すると水タンク5からポンプ6で汲み上げられた水が、給水パイプ7を通って蒸発部材8に供給される。続いて、水は蒸発部材8にて水蒸気となり、気流循環手段4の動作によって調理室1内に分散循環される。調理室1内を循環する間、水蒸気は過熱手段3とも接触してさらに加熱され、やがて過熱蒸気となって調理室1内を充満させる状態になる。
【0027】
ここで、上記の経過を経て調理室1内を過熱蒸気が循環される調理が行われるが、調理室1の壁面は常時放熱が行われるから、内部の過熱蒸気より低温になることは避けられない。調理室1内を循環する過熱蒸気がこの低温の内壁に接触すると、一部は凝縮して調理室1内壁に水滴として付着する。この水滴には、加熱調理によって食品から発せられた臭気成分や油脂成分などが混濁包含されており、単なる水に比べて粘着性を増すなど、調理室1の壁面に固着して汚染する要因物質となり得るものである。
【0028】
しかしながらここで、調理室1の内壁面を連続して傾斜を有する構成としていることにより、多少の粘着性を発する水滴でも自重で滑り落ちることになり、天井面から壁面へ、壁面から底面へ、そして傾斜する底面では最終的に最底部に備えられた液溜まり10へと、順次流下していくことになる。
【0029】
かくして調理室1の内壁面には、汚染物を含んだ水滴が付着残留することはなく、液溜まり10に溜まる。さらに、ここで、液溜まり10内に多孔性の吸着部材11を挿入配置しているため、流下した汚染水滴が吸着部材11に吸蔵され、吸着性の強い油脂成分などの汚染物が吸着固定される。
【0030】
なお、調理室1の壁面素材は、平滑表面のステンレス鋼板などでも充分付着水滴の流下は起こり得るが、本実施の形態1では、内面に撥水性能を発揮する耐熱性フッ素樹脂膜を形成しているので、付着水滴の粘着性が増した場合でも速やかに水滴を流下させることが可能となり、より高度に壁面の清浄性を維持できる。
【0031】
すなわち、水分含有率の高い液滴であるために表面を覆う撥水性膜の液滴離散作用は強く、多量の水滴で汚染成分を洗い流すかのような作用を導くものである。このため、単に飛散付着する汚染物を落下させるだけでなく、調理の品種による残存臭気(例えば魚料理の後の油脂臭気など)をも水洗様に除去するに有効で、操作性と調理品質の双方に効果を発揮できるものである。
【0032】
なお、本発明の最下部は、本実施の形態1では、液溜まり10に相当し、調理室1の側面から液溜まり10まで連続的に斜面を形成しているが、斜面のみを形成していれば、最下部に液が溜まるため、液溜まりを有しなくてもよく、要するに、最下部に向かって調理室の側内面から連続的に斜面を形成していればよい。
【0033】
なお、本実施の形態1では、液溜まり10に吸着部材11が設置されているが、設置されていなくても、飛散付着した液滴が自重により液溜まりに溜まるので、一箇所を掃除しさえすればよく、調理室1内は長期に亘って清浄性を保つことが出来る。しかし、吸着部材11を設ける場合、汚染物を除外された水は、気流循環手段4によって循環される高温気流に接触して蒸発し、再度過熱蒸気として利用できることになり、ポンプ6によって供給される水の量を減らすことが出来る。したがって蒸発部材8において投入されるエネルギーも削減して、発生する汚染物質のみ分離除去する操作が可能となるため、吸着部材を設けた方がより好ましい。
【0034】
なお、吸着部材11は、発生が予想される汚染物質との親和性を厳密に配慮する必要はなく、焼結セラミックやセラミック繊維成形体など、汚染物を吸蔵しつつ表面から水を蒸散させ得る耐熱性多孔体であれば、上記効果は発揮し得るもので、汚染物を捕集した後の吸着部材11は取り出してそのまま廃棄することを考慮すれば、簡易で安価な素材と構成のものを採用するのが有効である。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、基本的な構成および操作、制御方法等は実施の形態1と同様であるが、調理終了時に操作する調理室1の内部気流の処理のための構成とその操作方法に特徴がある。したがって、この相違点を中心に説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素には同一番号を付与している。
【0036】
図2は本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の側面断面構成図である。図2において、調理室1の側面に開閉自在の扉16が設置されている。扉16には、開閉するための把手17が備えられている。また、扉16をロックするためのロック機構18が、扉16の下部の筐体12に備えられている。
【0037】
ここで、図3にロック機構18部の部分平面図、図4に、その斜視図を示す。図に示すように、調理装置の前面に対して垂直に円柱形の台座18aを有している。また、台座18aの上面には、直方体をしたつまみ部18bが備えられている。さらに、台座18aの側面に接続ワイヤ19の一端を固定するためのワイヤ固定具18dが設けられている。また、扉16をロック時に押さえるための押さえ板18cが台座18aに固定されている。これら、台座18aとつまみ部18bと押さえ板18cとワイヤ固定具18dは、つまみ部18bを回すことにより、全て同時に回転する。なお、押さえ板18cは、台座18aから扉16を押さえることが出来る長さを有しており、つまみ部18bを矢印Aに示すように、右回転することにより、押さえ板18cも右に回転し、扉16上から移動し、ロックが解除される。
【0038】
また、接続ワイヤ19は、台座18aを右回転した際に台座18aの側面に巻き取られるよう引き回され(矢印B参照)、ワイヤ固定具18dに固定されている。
【0039】
また、調理室1の扉16側を前面として、後面上部には、過熱蒸気を排気する排気口13が開口されている。調理室1と筐体12の間に、排気口13を開閉自在に閉止している排気ダンパ14が押圧配置されている。この排気ダンパ14に接続ワイヤ19の他端が固定されている。
【0040】
ここで、排気ダンパ14は、排気口13の下方に支点14aを有しており、この支点14aを基準にして開閉する。その排気ダンパ14の、調理室1側とは反対側の面に接続ワイヤ19の他端が固定されている。この接続ワイヤ19を引いた状態、すなわちロックを解除した排気ダンパ14の状態が、図2に示す二点鎖線にて示している。接続ワイヤ19を引いた状態では、排気ダンパ14は、支点14aを基準にして筐体12側に回転するため、排気口13が開口した状態になっている。また、筐体12の後面上部の、排気口13とほぼ対向するところには、排出ガス用の通気口15が設けられている。
【0041】
以上のような構成をした本実施の形態2の過熱蒸気調理装置を用いた調理方法について以下に説明する。
【0042】
はじめに、過熱手段3で昇温された調理室1内の蒸発部材8にポンプ6の動作によって水タンク5の水が供給される。水は蒸発して水蒸気となり、気流循環手段4に送られて調理室1内を循環する間、過熱手段3でさらに加熱されて過熱蒸気となる。
【0043】
こうして生成した過熱蒸気により、調理トレイ2上に載置された食品の過熱調理が行われるが、調理操作が終了した時そのまま扉16を開くと、過熱手段3によって加熱され膨張していた過熱蒸気によって、調理室1内は、やや加圧状態にあるので、扉から吹き出し、危険となる。
【0044】
しかしながら、ロック機構18を解除しない限り扉16の開閉が出来ないため、加熱調理の工程が終了した時点で、まずロック機構18を右回転して扉16上の押さえ板18cを除去し、その後に把手17を引いて扉16を開くような2動作工程が必要となる。したがってロック機構18を回転して扉16のロックを「解除」すると同時に、接続ワイヤ19に連通した排気ダンパ14が回転動作し、調理室1に開設された排気口13が開放されることになる。なお、図3、4の矢印Aは、ロック機構18の「解除」の際の回転方向を示している。また、矢印Bは、「解除」時の接続ワイヤ19が引っ張られる方向を示している。
【0045】
かくして調理室1内で加圧状態にあった過熱蒸気は、排気口13から噴出してその近くに開口された通気口15から放出され、なお温度は高いものの加圧状態は瞬時に回避される。このためロック機構18の回転に次いで、把手17を引いて扉16の開放操作をしても、調理室1の正面から過熱蒸気が噴出することはなく、より安全に食品を取り出すことができるものである。
【0046】
また、本発明の蒸気排出手段は、本実施の形態2では、排気口13、排気ダンパ14、及び接続ワイヤ19に相当する。又本発明の、筐体の一面に設けられた通気口は、本実施の形態2では、通気口15に相当し、排気口13が開口されている調理室1の一面の対向する筐体12の一面に設置されている。ここで、排気口13と通気口15は対向する一面に備えられていなくても調理室1の圧力は開放されるが、対向する一面に設けられていたほうが、加圧状態がより早く開放されるので、より安全性が高いため、好ましい。
【0047】
また、本発明の蒸気排出手段と通気口は、扉16側を前面として、調理室1の後面と筐体12の後面とに各々設けられているが、側面、上面又は底面に設けられていてもよく、要するに扉16の方向(人がいる側)に向かって、過熱蒸気を排出しなければよい。
【0048】
また、扉16を開ける際の安全確保には、上記のように調理室1内の圧力低下が必須条件であるが、その応答性は早く、排気ダンパ14を開閉するとほぼ同時に達成される。そこで、例えば扉16の把手17にセンサーを備え、把手17を握る動作と連動して排気ダンパ14が動作するようにしても効果はあるが、より安全性を高めるために、ロック機構18を解除した後に扉16を開けるという2動作に分けておくことが望ましい。
【0049】
また、このロック機構18は、本実施の形態では機械的動作をする構成としているが、電磁部品等を用いた電気式の手段を用いることも可能で、それら手法や構成に特段の限定はない。しかし、このように複雑なタイマー機構やその他の連動機構を用いず、扉16の開放直前に排気口13を開放して調理室1の内圧降下を行うという簡易にして有効、かつ応答性の早い操作を行うことにより、所定の調理終了に伴う食品の取り出しのみならず、調理過程で状況を目視確認するような場合にも使い勝手が良く、簡易な操作で安全性の高い過熱蒸気調理装置を提供し得るものである。
【0050】
なお、本発明の蒸発手段は、シーズヒータを備えた蒸発部材8に相当するが、シーズヒータを備えずに過熱手段に密着させて、伝熱を利用した蒸発手段であってもよく、要するに水を蒸発させるための蒸発手段でありさえすればよい。
【0051】
また、本発明の蒸発手段は、調理室1内に設置されているが、調理室1と筐体12の間の隙間に設置し、発生した水蒸気を調理室1に導くための流通路を更に設けてもよい。
【0052】
さらに、本発明の過熱手段は、本実施の形態2では、調理室1内に設けられている過熱手段3に相当するが、蒸発部材8が筐体12と調理室1の隙間にある場合、過熱手段3は、その隙間に、かつ流通路近傍に設けられ、調理室1外で水蒸気を過熱蒸気にしてもよい。
【0053】
また、本発明の給水手段は、水タンク5とポンプ6と給水パイプ7とから構成される。しかし、ポンプ6を用いず、給水パイプ7に弁を設け、蒸発部材8より上の位置に水タンク5を設置し、重力によって給水パイプ7を通って水が流れる構成でもよく、要するに、蒸発手段に水を供給出来さえすればよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、防汚および清掃性の向上し、又は操作安全性の向上した過熱蒸気調理装置、及び過熱蒸気調理方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における過熱蒸気調理装置の正面断面構成図
【図2】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の側面断面構成図
【図3】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の要部平面図
【図4】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の要部斜視図
【符号の説明】
1 調理室
1a 最上部
2 調理トレイ
3 過熱手段
4 気流循環手段
5 水タンク
6 ポンプ
7 給水パイプ
8 蒸発部材
9 制御部
10 液溜まり
11 吸着部材
12 筐体
Claims (7)
- 所定部分を最下部として、前記最下部に向かって側内面から連続的に斜面を形成している底内面を有し、食品を入れる調理室と、
水を蒸発させるための蒸発手段と、
前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、
前記蒸発手段によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置。 - 前記調理室は、所定部分を最上部として、前記最上部から側内面まで、連続的に斜面を形成している上内面を有している調理室である請求項1記載の過熱蒸気調理装置。
- 前記水蒸気又は過熱された水蒸気が、前記調理室の内面で冷され発生した、水滴内の油脂成分を含んだ汚染物質を吸着させる、着脱可能な吸着部材を前記最下部に更に備えた請求項1記載の過熱蒸気調理装置。
- 前記調理室の内面の全部又は一部に、耐熱性フッ素樹脂の被膜が形成された請求項1記載の過熱蒸気調理装置。
- 食品を入れる調理室と、
水を蒸発させるための蒸発手段と、
前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、
前記蒸発手段によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段と、
前記調理室の側面に設けられ、食品を出し入れするための扉と、
前記扉を閉めた状態で扉をロックするためのロック機構と、
前記調理室の一面に設けられ、前記ロック機構によるロックの解除と連動し、前記調理室を開放する蒸気排出手段とを備えた過熱蒸気調理装置。 - 前記調理室、前記蒸発手段、及び前記過熱手段とを内包する筐体と、前記筐体に設けられた通気口とを更に備え、
前記蒸気排出手段は、前記通気口の設けられた前記筐体の一面と対向する前記調理室の一面に設けられた請求項5記載の過熱蒸気調理装置。 - 請求項5記載の過熱蒸気調理装置を用いて、調理する調理方法であって、
前記調理室内に食品を入れる工程と、
前記扉をロックするロック工程と、
前記蒸発手段に水を供給する給水工程と、
前記供給された水を蒸発させる蒸発工程と、
前記蒸発手段にて発生した水蒸気を過熱する過熱工程と、
前記ロックの解除と連動し、前記調理室を開放する蒸気排出工程とを備えた調理方法。
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