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JP2004209329A - 水溶性高分子化合物を含有する排水の処理方法 - Google Patents

水溶性高分子化合物を含有する排水の処理方法 Download PDF

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JP2004209329A JP2002379529A JP2002379529A JP2004209329A JP 2004209329 A JP2004209329 A JP 2004209329A JP 2002379529 A JP2002379529 A JP 2002379529A JP 2002379529 A JP2002379529 A JP 2002379529A JP 2004209329 A JP2004209329 A JP 2004209329A
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Tomonori Miyazaki
那典 宮▲碕▼
Junichi Miyake
純一 三宅
Toru Ishii
徹 石井
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】水溶性高分子化合物を含む排水の処理に際して、安定的かつ高度に無害化する処理方法を提供する。
【解決手段】水溶性高分子化合物含む排水を処理するに際し、該排水が液相を保持する温度および圧力下、かつ酸化剤存在下において、無触媒湿式酸化処理を行った後、更に触媒湿式酸化処理を行う。また、予め排水中にアルカリを添加することにより、水溶性高分子化合物の低分子化が促進され、更に処理性能が向上し、安定した処理性能を更に長期間維持することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性高分子化合物を含む排水を効率よく湿式酸化処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水溶性高分子化合物を含む排水の処理方法としては、生物学的処理法、燃焼処理法などが知られている。生物学的処理法では、排水中の被酸化物を分解するのに長時間要し、更に低濃度のものしか処理できないため、高濃度の排水の場合、適切な濃度に希釈する必要がある。このために処理施設の設置面積が広大になるという欠点がある。また、燃焼処理法においては、燃料として化石燃料を用いることが多いため、資源を浪費することになり、かつ処理コストが著しく高くなるという問題がある。
これらに対し、排水を加圧下にて加熱処理することで浄化できる湿式酸化処理は上記のような問題がなく、非常に優れていると言われている。しかし、水溶性高分子化合物を含有する排水の場合、水溶性高分子化合物の酸化分解速度が遅いために高処理性能を得ることは困難であった。例えば、固体触媒を用いた湿式酸化処理においては、水溶性高分子化合物が活性点を被覆するため、長期間安定的な処理性能が得ることができないという問題などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、水溶性高分子化合物を含む排水の処理に際して、安定的かつ高度に無害化する処理方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、水溶性高分子化合物を含有する排水を処理するに際し、該排水が液相を保持する温度および圧力下、かつ酸化剤存在下において、無触媒湿式酸化処理を行った後、更に触媒湿式酸化処理を行うことにより、安定した処理性能が得られることを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、水溶性高分子化合物を含有する排水を湿式酸化処理するに際し、該排水が液相を保持する温度および圧力下、かつ酸化剤存在下において、無触媒湿式酸化処理を行った後、更に触媒湿式酸化処理を行うことを特徴とする水溶性高分子化合物を含有する排水の処理方法である。
【0006】
本発明における無触媒湿式酸化処理領域と触媒湿式酸化領域との容積比は、0.5:1〜20:1であるのが好ましい。
【0007】
また、排水中に予めアルカリを添加することにより、水溶性高分子化合物の低分子化を促進することができるため、処理性能が向上し、安定した処理性能を長期間維持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、水溶性高分子化合物を含む排水を処理する際し、該排水が液相を保持する温度および圧力下、かつ酸化剤存在下において、無触媒湿式酸化処理(以下、第1処理工程と記す)を行った後、更に触媒湿式酸化処理(以下、第2処理工程と記す)を行う排水の処理方法である。
本発明において水溶性高分子化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアミジン、ポリビニルアセトアミド、ポリジオキソラン、ポリビニルフェノール、ポリグリセリン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルスルホン酸ソーダ、ポリビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、水溶性アルキッド樹脂、水溶性エポキシ樹脂ビヒクル、イソブテン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アリルアルコール共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩類、アクリル酸−メタクリル酸共重合体およびその塩類、アクリル酸−エチレンオキサイド共重合体およびその塩類、アクリル酸−エチレンイミン共重合体、アクリル酸−スルホン酸共重合体およびその塩類などの合成高分子化合物;ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの半合成高分子化合物;デンプンなどの天然高分子化合物が挙げられる。
処理対象となる水溶性高分子化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。水溶性高分子化合物の濃度が10質量%を超える場合、反応熱が非常に大きくなるため、温度制御が困難となる。また、排水の粘性が大きくなり、配管などが閉塞する場合が多い。一方、0.01質量%未満の場合、反応熱が小さいため、装置の自立運転が困難となり、処理を行う際に別途熱供給装置が必要となる。
排水中の水溶性高分子化合物は、湿式酸化処理により酸化および/または分解が完全に進行すると、二酸化炭素と水となるが、無触媒湿式酸化では、十分に酸化および/または分解ができず、水溶性高分子化合物が一部低分子化されるだけにとどまる場合が多い。一方、触媒を用いた湿式酸化処理では反応が進みやすくなるが、水溶性高分子化合物が触媒の活性点を被覆し、十分な処理性能を安定的に得られない場合が多い。
本発明では、水溶性高分子化合物を含む排水の処理を第1処理工程および第2処理工程の2段階で行い、まず第1処理工程で無触媒湿式酸化処理を行った後、それに続く第2処理工程で触媒湿式酸化処理を行うことによって、それぞれ単独で処理を行うより処理性能を高めることができる。
特に、生物処理では分解されにくい水溶性高分子化合物が排水に含まれている場合では、本発明の処理方法によって水溶性高分子化合物を分解・低分子化することができるため、本発明の処理方法を生物処理の前処理方法として適用することが好適である。
本発明において、第1処理工程の反応塔と第2処理工程の反応塔は別々でもよく、また、1基の反応塔であってもよい。別々の反応塔を用いる場合は、第1処理工程の反応塔と第2処理工程の反応塔の間に気液導通管を設けて接続する。しかし、反応塔を複数用いると、設備費が高騰し、かつ維持管理費も高くなるため、第1処理工程と第2処理工程の反応塔は同一であることが好ましい。気液上向流方式で1基の反応塔で第1処理工程と第2処理工程を実施する場合、反応塔の下側が第1処理工程、上側が第2処理工程となる。
第1処理工程の反応塔と第2処理工程の反応塔が別々の場合、両者の間で気液分離することもできる。気液分離した場合、第1処理工程の反応塔と第2処理工程の反応塔とを接続する気液導通管は、気相用導通管と液相用導通管を独立させることもでき、また気相は系外に排出して液相用導通管のみとすることもできる。第2処理工程には新たにを添加して処理性能を向上させることもできる。
以下、1基の反応塔を用いて湿式酸化処理を行う方法を例に挙げて本発明を詳しく説明する。図1は、1基の反応塔を用いて本発明を実施するときの系統図であり、図2は、図1で用いる反応塔の内部の概念図である。なお、これらの図面は本発明の一実施態様を示すにすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1において、排水供給ライン1から処理対象の排水をポンプ2により昇圧フィードする。酸化剤供給ライン3から導入された酸化剤がコンプレッサー4で昇圧された後、排水に混入される。ここで得られる気液混合物は熱交換器5で加熱され、更に加熱器6で加熱された後、反応塔7に導入され、湿式酸化処理(無触媒湿式酸化処理+触媒湿式酸化処理)される。なお、反応塔7は、図2に示すように、充填物15を充填した無触媒湿式酸化処理領域(第1処理工程)と触媒14を充填した触媒湿式酸化処理領域(第2処理工程)とから構成されている。
排水をポンプ2で昇圧フィードする際の空間速度(以下、LHSVと記す)は特に限定されるものではないが、特に、第2処理工程におけるLHSVとして、好ましくは0.1hr−1以上10hr−1以下、より好ましくは0.3hr−1以上7.0hr−1以下、さらに好ましくは0.5hr−1以上5.0hr−1以下である。第2処理工程のLHSVが0.1hr−1未満の場合、処理量が低下して、過大な設備が必要となることがある。また、LHSVが10hr−1を超える場合には、処理が十分行えないことがある。なお、第1処理工程におけるLHSVは後述する第1処理工程と第2処理工程との容積比から求められる。
酸化剤供給ライン3から導入される酸化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば純酸素、酸素富化ガス、空気、オゾン、過酸化水素などを用いることができ、また、他のプラントで生じた酸素含有ガスなどを利用することもできる。これらの中でも特に空気を用いることが経済的観点から推奨される。
酸化剤の供給量は特に限定されず、排水中の有害物質を分解処理するのに必要な量を供給すればよい。酸化剤の供給量として好ましくは排水の理論酸素要求量の0.5倍〜5倍、より好ましくは1.0倍〜4倍、更に好ましくは1.5倍〜3倍である。酸化剤の供給量が理論酸素要求量の0.5倍未満の場合は、排水中の有害物質が十分に分解されない場合が多く、また5倍を超えて供給しても設備が大型化するだけで処理性能が向上しない場合が多い。ここでいう理論酸素要求量とは、排水中の被酸化性物質を窒素、二酸化炭素、水、硫酸塩などの灰分にまで分解するのに必要な酸素量のことをいう。
排水に酸化剤を混入させた気液混合物は、熱交換器5に送られて予備加熱された後、さらに加熱器6で加熱されて反応塔7に供給されるが、加熱方法は特に限定されるものではなく、熱交換器5および/または加熱器6によって加熱してもよく、さらに反応塔7にヒーター(図示せず)などの加熱手段を設けて加熱してもよい。これらの加熱手段は単独で用いてもよく、あるいは任意に組み合わせて用いることもできる。
また、熱交換器5に供給された気液混合物は反応塔7で処理され排出された高温の処理液によって熱交換されてもよく、あるいは他のプラントから排出された高温の液体によって熱交換されてもよく、排水を加熱するための熱媒体については特に限定されない。
図1に示した構成では、反応塔7に上向流方式で供給される場合を示したが、排水を反応塔7に供給する形態はこうした形態に限らず、排水を下向流方式で供給する方法、気体と液体を反応塔7に別々に導入して向流で供給する方法などいずれを採用してもかまわない。これらの中でも、反応塔7内の連続相が液相となる気液上向流にすることが好ましい。
反応塔7の無触媒湿式酸化処理領域(第1処理工程)には、気液の撹拌および接触効率を向上させ、また気液の偏流を低減するために、充填物を充填したり、気液分散板などの種々の内作物を組み込んだりすることができる。充填物は、気液接触効率を高めることができるものであれば、材質、種類、大きさなどについて特に限定されるものではなく種々の充填物を用いることができる。充填物の材質として、例えば金属やセラミックス、ガラス、樹脂などが挙げられる。また、充填材の種類として、例えばペレット状、球状、粒状、リング状(ラシヒリング、レッシングリング、ボールリングなど)、ハニカム状、網状、網や板を織物構造に成形したものなどが挙げられる。充填物の大きさについても特に限定されるものではないが、ペレット状、球状、粒状、リング状の充填材の場合、3mm〜50mmのものが好ましい。また、気液分散板を用いる場合、気液接触効率を高めることができるものであれば、材質、種類、大きさなどについて特に限定されるものではなく種々の気液分散板を用いることができる。気液分散板の材質の例としては、例えば金属や樹脂などが挙げられる。また、気液分散板の種類の例としては、例えば単孔板、多孔板、衝突板付単孔板、衝突板付多孔板などが挙げられる。
【0009】
反応塔7における処理温度は、80℃以上370℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以上300℃以下、更に好ましくは110℃以上280℃以下である。370℃を超えると排水を液相状態に保持できず、液相状態を保持する圧力が高くなるため設備費およびランニングコストが高くなる。また、80℃未満の場合には、十分な処理性能を得ることができない。
本発明の湿式酸化反応では、排水が液相を保持できるように圧力を適宜調節することが望ましく、圧力は処理温度との相関により適宜選択される。
本発明で用いる反応塔の種類、形状などは特に限定されない。反応塔は単管式、多管式のいずれの型式であってもよく、これらを複数組み合わせて用いることもできる。
本発明では、反応塔7の触媒湿式酸化処理領域(第2処理工程)には、固体触媒を充填するが、これにより有害物質の酸化および/または分解能力を向上させることができる。
本発明で用いることができる固体触媒としては、液相酸化の条件下で活性と耐久性とを兼ね備えた触媒であることが好ましく、例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素、および/または活性炭を含有する触媒を挙げることができる。ここでいう活性炭には、単なる活性炭以外に、活性コークス、グラファイトカーボン、活性炭素繊維も含まれる。
上述した触媒の中でも次の触媒A成分と触媒B成分とを含有する固体触媒が好適に用いられる。ここで触媒A成分とは、鉄、チタン、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であり、また触媒B成分とは、マンガン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属および/または化合物である。
【0010】
触媒A成分の具体例としては、チタン酸化物、鉄酸化物、ジルコニウム酸化物などの金属酸化物、チタン酸化物−ジルコニウム酸化物、チタン酸化物−鉄酸化物などの2元または多元系酸化物(複合酸化物も含む)の他に、活性炭、もしくは金属酸化物と活性炭の混合物などを挙げることができる。触媒A成分の固体触媒に占める割合は、30〜99.95質量%の範囲が好ましく、触媒A成分を30質量%以上の割合で用いることにより、固体触媒の耐久性が向上する。
【0011】
触媒B成分の具体例としては、前記元素の金属、酸化物および複合酸化物を挙げることができる。固体触媒中の触媒B成分の割合は0.05〜70質量%とするのが好ましく、その割合を0.05質量%とすることにより、排水中の有害物質を十分に酸化および/または分解処理することが可能となる。なお、前記元素のうち、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウム(以下、「B−1成分」という)の場合には、その金属および/または化合物の割合(合計量)は固体触媒の0.05〜10質量%とするのがよい。10質量%を超える割合で使用しても、それに相応した処理性能の向上は認められず、かえって高価な原料であるがために、固体触媒のコストアップとなって経済的に不利となる。その他の、マンガン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステンおよび銅(以下、「B−2成分」という)の場合には、その金属および/または化合物の割合(合計量)は固体触媒の0.05〜70質量%とするのがよい。もちろん、合計量が0.05〜70質量%の範囲において、B−1成分とB−2成分とをそれぞれ0.05%〜10質量%および0.05〜70質量%の範囲で組み合わせて用いることもできる。
【0012】
固体触媒は、触媒B成分として、B−1成分を含有している場合が特に触媒活性が高く、効果的である。特に、B−1成分の中でも、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属および/または化合物を含有している場合は触媒活性が高く好ましい。B−2成分の中では、マンガン、コバルト、ニッケルおよび銅が好適に用いられる。
触媒の形状については特に制限はなく、例えば粒状、球状、ペレット状、リング状、破砕状、ハニカム状など種々の形状のものが使用できるが、球状、ペレット状に成形したものが好ましい。
本発明の処理方法において、固体触媒層の上部(処理水排出側)には、触媒の振動を低減するために押圧材層を設けることが好ましい。押圧材の材質として、例えば金属、セラミックス、ガラスなどが挙げられる。具体的には、SUS製の金属ボールやペレット、もしくはチタニアペレットなどの成形品、粒状ガラスなどがある。また、触媒層の下部(排水供給側)には、触媒摩耗の低減、下部グリッドなどの閉塞の防止、圧力損失の上昇防止のために、触媒の支持層を設けることが好ましい。具体的には、SUS製の金属ボールやペレット、もしくはチタニアペレットなどの成形品、粒状ガラスなどの他、金網や各種パッキング類などが使用できる。
触媒湿式酸化処理領域(第2処理工程)には、これらの触媒以外にも、気液の撹拌および接触効率を向上、気液の偏流の低減などを目的として、種々の充填物や内作物を充填することができる。また、充填物や内作物の材質・形状については限定されず、金属製あるいはセラミックス製のものを用いることができる。
【0013】
反応塔7で処理された処理液は必要に応じて熱交換器5や冷却器8で適宜冷却された後、気液分離器9によって気体と液体に分離される。この際、熱交換器5と冷却器8は単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0014】
気液分離器9では液面コントローラーLCを用いて液面を検出し、液面制御弁10によって気液分離器9内の液面が一定となるように制御することが望ましい。なお、ここで「一定」とは、液面が一定値あるいは一定の範囲内であることを意味する。
【0015】
なお、処理水を冷却した後、圧力調節弁(図示せず)を介して排出した後、気液分離器9によって気体と液体に分離してもよい。
【0016】
気液分離器9で分離された液体は処理水排出ライン11を通して排出されるが、これは処理液タンク(図示せず)に送液されてもよい。
本発明の処理方法によれば、生物処理困難な水溶性高分子化合物を分解し、生物処理し易い物質に転換できることが多いため、処理水排出ライン11から排出される処理水を生物処理に供してさらに処理することが好ましい。
【0017】
また、圧力は圧力コントローラーPCにより圧力を検出して圧力制御弁12を作動させて圧力を所定値に維持することが望ましい。気液分離器9で分離された気体は排ガス排出ライン13を通じて大気中に放出してもよく、あるいはさらに公知の方法に供して処理してもよい。
【0018】
反応塔7内の無触媒湿式酸化処理領域(第1処理工程)と触媒湿式酸化処理領域(第2処理工程)との容積比は、無触媒湿式酸化処理領域(第1処理工程):触媒湿式酸化処理領域(第2処理工程)が0.5:1〜20:1であることが好ましく、より好ましくは0.5:1〜15:1であり、更に好ましくは0.5:1〜10:1である。
第1処理工程と第2処理工程との容積比は、前記範囲内で、処理対象物質の反応性によって適宜決定するのがよい。すなわち、処理対象物質が難分解性である場合や濃度が濃い場合、第1処理工程より第2処理工程の容積を大きくすることが好ましい。逆に、処理対象物質が易分解性である場合や濃度が薄い場合、第2処理工程より第1処理工程の容積を大きくすることが好ましい。
なお、上述の無触媒湿式酸化処理領域と触媒湿式酸化処理領域との容積比、空間速度(LHSV)などは、無触媒湿式酸化処理塔および触媒湿式酸化処理塔の2基の反応塔を用いて排水の湿式酸化処理を行うときも同様に適用されるものである。
【0019】
本発明では、上述の第1処理工程および第2処理工程の湿式酸化処理を行うことにより、水溶性高分子化合物を含有する排水を効率よく処理することができるが、これらの処理工程において炭化物が生成することがある。この炭化物あるいは未分解の水溶性高分子化合物が触媒の活性点を被覆し、処理性能を低下させることが多い。本発明者らは、排水中に予めアルカリを添加することにより、水溶性高分子化合物の分解を促進し、炭化物の生成を抑制することができ、より一層処理性能を向上させうることを見出した。また、触媒の活性点が被覆されることを抑制できるため、本発明の処理方法によれば、安定した処理性能を長期間維持することができる。
【0020】
本発明で添加するアルカリとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩などが挙げられる。
【0021】
また、アルカリの添加量として、好ましくは0.1g/リットル以上30g/リットル以下、より好ましくは0.3g/リットル以上20g/リットル以下、更に好ましくは0.5g/リットル以上10g/リットル以下である。アルカリの添加量が30g/リットルを超える場合、水溶性高分子化合物は分解しやすくなるが、反応塔および配管などに腐食が生じることがあるため好ましくない。一方、0.1g/リットル未満では、水溶性高分子化合物の分解を促進させる効果が小さくなるため、炭化物が生成し易くなり、十分な処理性能を得ることができない場合が多い。
【0022】
また、排水中に加熱処理によりスケールを生成し易い成分(以下、スケール生成物質と記す)が10mg/リットル以上含まれている場合、スケール生成物質が触媒に付着し、処理性能を低下させるという問題が生じることある。
【0023】
排水中に含まれるスケール生成物質としては、例えば、カドミウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、亜鉛、銀、鉄、スズ、アンチモン、鉛、タリウム、水銀、ヒ素、クロム、ビスマスなどの重金属類やアルミニウム、リン、ケイ素、カルシウム、マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられる。これらのスケール生成物質は、排水中に予めアルカリを添加することにより固形物として析出させることができるため、排水中のスケール生成物質の濃度を低減することができる。排水に対するアルカリの添加は、ポンプ2の前段に調整タンク(図示せず)を設け、そこで実施することが好ましい。生成した固形物の処理方法としては、特に限定されるものではないが、例えば固液分離法などが挙げられる。更に、第1処理工程の無触媒層においても、スケール生成物質を固形物として析出させ、除去することができる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1に示したフローに従い、図2に示した反応塔7を使用し、下記の条件で1,000時間処理を行った。
【0025】
反応塔7は直径40mmφ、長さ4,000mmの円筒状であり、反応塔内の下部には、充填物として直径5mm、長さ5mmのSUS316製ラシヒリングを層長が1,500mmとなるように充填した。ラシヒリングの上にチタン−鉄の酸化物と白金とからなる触媒(白金0.3質量%)を層長が1,500mmとなるように充填した。触媒の形状は直径5mm、長さ5mmのペレット状であった。処理に供した排水は、ポリビニルアルコール(PVA)(重合度約2,000)濃度が2.5質量%、COD(Cr)濃度が46,000mg/リットルからなる排水であった。
排水を排水供給ライン1からポンプ2により3.8リットル/hrの流量で昇圧フィードし、一方、供給ライン3からは酸化剤としての空気を640Nリットル/hr(理論酸素要求量の1.1倍相当)の流量で導入し、コンプレッサー4で昇圧した後、排水に混入させた。ここで得られる気液混合物を熱交換器5で加熱し、さらに加熱器6で加熱した後、反応塔7に導入し、反応温度250℃で湿式酸化処理を行った。
反応塔7にて処理された処理液は、熱交換器5および冷却器8により冷却した後、気液分離器9に導入した。気液分離器9では、液面コントローラー(LC)により液面を検出して液面制御弁10を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラー(PC)により圧力を検出して圧力制御弁12を作動させて7.0MPa(Gauge)の圧力を保持するように操作した。処理液は処理水排出ライン11から排出した。
処理水のCOD(Cr)濃度は3,600mg/リットルで、COD(Cr)処理効率は92%であった。1,000時間の処理において、処理性能の低下は特に見られなかった。なお、COD(Cr)処理効率は次式により求めた。
COD(Cr)処理効率(%)=(排水中のCOD(Cr)濃度−処理水中のCOD(Cr)濃度)/(排水中のCOD(Cr)濃度)
実施例2
次のような変更を行った以外は、実施例1と同様にして湿式酸化処理を行った。
【0026】
反応塔7内の下部にラシヒリングを層長が1,000mmとなるように充填し、ラシヒリング層の上部にはチタン−セリウムの酸化物とパラジウムからなる触媒(パラジウム2.0質量%)を触媒層長が2,000mmとなるように充填した。処理に供した排水は、ポリアクリル酸ソーダを含有し、COD(Cr)濃度が25,000mg/リットルであった。
【0027】
反応温度を240℃、反応圧力を6.0MPa(Gauge)、排水の流量を3.8リットル/hr、空気流量を350Nリットル/hr(理論酸素要求量の1.1倍相当)に変更し、実施例1に準じた処理を行った。
【0028】
500時間経過後の処理水のCOD(Cr)濃度は2,000mg/リットルで、COD(Cr)処理効率は92%であった。
実施例3
次のような変更を行った以外は、実施例1と同様にして湿式酸化処理を行った。
【0029】
反応塔7内の下部に、ラシヒリングを層長が2,800mmとなるように充填し、ラシヒリング層の上部にはチタンの酸化物と白金からなる触媒(白金0.5質量%)を触媒層長が700mmとなるように充填した。処理に供した排水は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドを含有し、COD(Cr)濃度が31,000mg/リットルであった。
反応温度を260℃、反応圧力を8.0MPa(Gauge)、排水の流量を3.5リットル/hr、空気の流量を400Nリットル/hr(理論酸素要求量の1.1倍相当)に変更し、実施例1に準じた処理を行った。
その結果、1,000時間経過後の処理水のCOD(Cr)濃度は2,500mg/リットルで、COD(Cr)処理効率は92%であった。
実施例4
次のような変更を行った以外は、実施例1と同様にして湿式酸化処理を行った。
【0030】
チタン−鉄の酸化物と白金からなる触媒(白金0.3質量%)をラシヒリング層の上部に充填し、実施例1で使用したPVAを含有する、COD(Cr)濃度28,000mg/リットルの排水に予め水酸化ナトリウムを7g/リットル添加した。
【0031】
この結果、3,000時間、処理水のCOD(Cr)濃度は840mg/リットル、97%のCOD(Cr)処理効率が安定的に得られ、処理性能の低下も見られなかった。
実施例5
次のような変更を行った以外は、実施例3と同様にして湿式酸化処理を行った。
【0032】
化学プラントから排出されたPVAを主とする排水を3,000時間、湿式酸化処理行った。この排水中にはPVA以外にアルコール、カルボン酸などの化合物が含まれており、COD(Cr)濃度は36,000mg/リットルで、スケール生成物質としてカルシウムが100mg/リットル、マグネシウムが80mg/リットル含まれていた。更に、排水中に予め水酸化ナトリウムを10g/リットル添加した。
反応塔7の下部にラシヒリングを層長が1,500mmとなるように充填した。ラシヒリング層の上にチタンの酸化物と白金−パラジウムからなる触媒(白金0.3質量%、パラジウム0.2質量%)を層長が1,500mmとなるように充填し、3,000時間処理を行った。排水の流量は3.8リットル/hr、空気の流量は500Nリットル/hr(理論酸素要求量の1.1倍相当)で、これ以外は実施例3と同様の処理を行った。
3,000時間後の処理水のCOD(Cr)濃度は2,500mg/リットル、処理効率は93%であった。3,000時間の処理において、処理性能の低下は特に見られず、処理後の抜き出し触媒に炭化物やスケールの付着は認められなかった。
比較例1
反応塔7内の下部にチタン−鉄の酸化物と白金からなる触媒(白金0.3質量%)を層長が1,500mmとなるように充填した。触媒以外の充填物は充填しなかった。これ以外は実施例1と同様の処理を行った。
その結果、100時間経過時の処理水のCOD(Cr)濃度は4,600mg/リットルで、COD(Cr)処理効率は90%であったが、処理性能の低下が見られ、1,000時間後のCOD(Cr)濃度は18,000mg/リットルで、COD(Cr)処理効率は61%であった。また、配管などの閉塞により、1000時間以降の運転は不可能となった。抜き出した触媒の表面には炭化物の付着が見られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明の処理方法は、前段で無触媒の湿式酸化処理を行うことにより、固体触媒の処理性能や耐久性に悪影響を及ぼす物質を予め分解あるいは低減したりすることができるため、固体触媒を用いて湿式酸化処理する方法と比較して、処理性能を向上させ、かつ安定した処理性能を長期間維持することができる。
また、本発明では水溶性高分子化合物を含む排水を処理する際に、予めアルカリを添加しておくことで、処理性能を更に向上させることができると共に、安定した処理性能を更に長期間維持することができる。
該排水中にスケール生成物質を含む場合、触媒上にスケール生成物質が付着し、処理性能が低下する傾向が見られるが、排水中に予めアルカリを添加しておくことにより、予め排水中のスケール生成物質を除去することができ、第1処理工程の無触媒層においてもスケール生成物質を固形化して除去できるため、長期間安定的な処理性能が得られる。
特に、生物処理では分解されにくい水溶性高分子化合物が排水に含まれている場合では、本発明の処理方法によって該水溶性高分子化合物を分解・低分子化することができるため、本発明の処理方法を生物処理の前処理方法として適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す系統図である。
【図2】本発明に係る反応塔の内部の概念図である。
【符号の説明】
1.排水供給ライン
2.ポンプ
3.供給ライン
4.コンプレッサー
5.熱交換器
6.加熱器
7.反応塔
8.冷却器
9.気液分離器
10.液面制御弁
11.処理水排出ライン
12.圧力制御弁
13.排ガス排出ライン
14.触媒
15.充填物

Claims (3)

  1. 水溶性高分子化合物を含有する排水を湿式酸化処理するに際し、該排水が液相を保持する温度および圧力下、かつ酸化剤存在下において、無触媒湿式酸化処理を行った後、更に触媒湿式酸化処理を行うことを特徴とする水溶性高分子化合物を含有する排水の処理方法。
  2. 無触媒湿式酸化処理領域と触媒湿式酸化処理領域との容積比が0.5:1〜20:1である請求項1に記載の排水の処理方法。
  3. 排水に対して予めアルカリを添加した後、湿式酸化処理を行う請求項1または2記載の排水の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014503354A (ja) * 2011-01-12 2014-02-13 イノベックス 水熱処理による廃棄物処理方法
CN115010226A (zh) * 2022-08-09 2022-09-06 河北科技大学 一种膜电解处理高氯有机废水装置

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