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JP2004203646A - 低温焼成磁器および電子部品 - Google Patents

低温焼成磁器および電子部品 Download PDF

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JP2004203646A
JP2004203646A JP2002372632A JP2002372632A JP2004203646A JP 2004203646 A JP2004203646 A JP 2004203646A JP 2002372632 A JP2002372632 A JP 2002372632A JP 2002372632 A JP2002372632 A JP 2002372632A JP 2004203646 A JP2004203646 A JP 2004203646A
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fired porcelain
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temperature fired
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JP2002372632A
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Takeshi Obuchi
武志 大渕
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】Ba−Al−Si−Zn系の低誘電率の低温焼成磁器において、Q値を一層向上させることである。
【解決手段】誘電率εrが10以下であるBa−Al−Si−Zn系低温焼成磁器であって、ホウ素の含有量がBに換算して0.05重量%以上、0.3重量%以下である。また、誘電率εrが10以下である低温焼成磁器であって、BaSi25 相およびBaAl2Si28相を含有しており、結晶相の含有量を100重量部としたときの非晶質相の含有量が70重量部以下であり、この非晶質相が、バリウム、アルミニウム、珪素、亜鉛およびホウ素からなる群より選ばれた一種以上の元素を含む。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電率が低く、品質係数Qが大きい低温焼成磁器、およびこれを用いた電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機等の高周波回路無線機器においては、高周波回路フィルターとして、例えばトップフィルター、送信用段間フィルター、ローカルフィルター、受信用段間フィルター等として、積層型誘電体フィルターが使用されている。
【0003】誘電体積層フィルターを製造するためには、誘電体を構成するセラミック粉末の成形体を複数作製し、各成形体に対して、所定の導体ペーストを塗布することによって所定の電極パターンを各成形体に作製する。次いで、各成形体を積層して積層体を得、この積層体を焼成することによって、導体ペースト層と各成形体とを同時に焼成し、緻密化させる。
【0004】この際、電極は一般的に銀系導体、銅系導体、ニッケル系導体のような低融点金属の導体を使用しているが、これらの融点は例えば1100℃以下であり、930℃程度まで低下する場合もある。このため、電極を構成する低融点金属よりも低い焼成温度で誘電体を焼結させることが必要である。
【0005】ストレー容量を低減し、遅延時間を低減し、内蔵共振器およびコンデンサーの高周波損失を低減するために、低温焼成磁器の誘電率εrを低くし、かつ品質係数Qを増加させることが望まれている。本出願人は、特許文献1において、1000℃以下の最適焼成温度を有しており、誘電率εrが10以下であり、品質係数Qが2500以上である低温焼成磁器を開示した。
【特許文献1】
特開2000−211969号公報
【0006】また、本出願人は、特許文献2において、品質係数Qが一層改善された低温焼成磁器を開示した。
【特許文献2】
特開2002−265267号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1、2に記載のような低温焼成磁器を製造する際には、通常は、Ba−Al−Si−Znの各酸化物の混合物を仮焼し、仮焼物を粉砕した後、これにSiO、BおよびZnOからなるガラス粉末を添加し、焼成している。しかし、このようにして得られた磁器のQ値には限界があった。
【0008】本発明の課題は、Ba−Al−Si−Zn系の低誘電率の低温焼成磁器においてQ値を一層向上させることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、誘電率εrが10以下であるBa−Al−Si−Zn系低温焼成磁器であって、ホウ素の含有量がBに換算して0.05重量%以上、0.3重量%以下であることを特徴とする。
【0010】通常は、Ba−Al−Si−Znの各酸化物の混合物を仮焼し、仮焼物を粉砕した後、これにSiO、BおよびZnOからなるガラス粉末を添加し、焼成している。
【0011】このガラス粉末は、焼成過程において主結晶相と反応し、新たにQ値の低い非晶質相を生成させ、粒子を結合させている。こうした非晶質相はQ値を低減させる作用があった。しかし、このガラス粉末は、通常は磁気の低温での焼成(例えば1050℃以下での焼成)に必要なものと考えられてきている。従って、ガラス粉末量を減らすと、磁器の焼結性が悪くなり、Q値や強度が低下するものと考えられてきた。
【0012】本発明者は、このガラス粉末に着目し、定量的に検討を加えることによって、ガラス量を低減することでQ値を向上させ得ること、そして焼結性の低下は他の添加剤によって解決できることを見いだし、本発明に到達した。
【0013】本発明においては、ガラスを構成する成分のうち、焼結性と非晶質相の生成に最も大きな影響を与えるホウ素の含有量に着目しており、そのB含有量を0.3重量%以下とすることによって、Q値を向上させ得る。この観点からは、ホウ素含有量をBに換算して0.28重量%以下とすることが更に好ましい。また、ホウ素含有量がBに換算して0.05重量%未満になると、Q値がかえって低下する。
【0014】また、第二の発明は、誘電率εrが10以下である低温焼成磁器であって、BaSi25 相およびBaAl2Si28相を結晶相として含有しており、結晶相の含有量を100重量部としたときの非晶質相の含有量が70重量%以下であり、この非晶質相が、バリウム、アルミニウム、珪素、亜鉛およびホウ素からなる群より選ばれた一種以上の元素を含むことを特徴とする。
【0015】前記と同様の観点から、本発明者は、磁器中に存在する非晶質相の量とQ値との関係に着目した。そして、非晶質相の含有率を70重量%以下とすることによって、磁器のQ値を向上させ得ることを見いだした。
【0016】第二の発明の磁器は、BaSi25相およびBaAl2Si28相を結晶相として含有している。これらの結晶相は、粉末X線回折法によって、以下のICDD No.によって同定される。
BaSi25:26-0176、 BaAl2Si28:74-1677
【0017】
【発明の実施の形態】好適な実施形態においては、磁器にCuO、MoO、WOおよびVからなる群より選ばれた一種以上の添加剤を含有させる。これらの添加剤は、磁器粒子間の結合促進成分として作用する。これらの添加により、酸化ホウ素含有低融点ガラスを一層減量化しつつ、磁器焼結性を保持し、最適焼成温度を低く維持できる。更に、これらの添加剤を使用すると、本発明の磁器を異種材料と接合した場合のケミカルボンディング材となり、異種材料との相間剥離を抑制できる。
【0018】また、上記の粒子間の結合促進材は、主結晶相が仮焼により形成された後に、粉砕工程或いはテープ成形用バインダー混合過程及びプレス体成形用バインダー混合過程にて添加することにより、より効果を発揮する。
【0019】好適な実施形態においては、粉末X線回折測定法において、ICDD No.81−0511またはNo.79−1810に適合するピーク分布を有する結晶相が検出される。これらのピークは、BaCu(Si410)、Bi2CuO4およびこれらの類似組成の結晶相に対応する。これらの結晶相が析出すると、粒子間の結合がさらに促進されるとともに、共振周波数の温度係数が改善される。
【0020】磁器のQ値は特に限定されないが、3500以上であることが好ましく、4000以上であることが一層好ましい。また4800以上であれば、さらに一層好ましい。(3GHz換算)。
【0021】また、本発明により、磁器の強度を高く維持することができる。磁器の強度は特に限定はされないが、例えば磁器からなる基板の強度を250MPa以上とすることができる。
【0022】本発明の低温焼成磁器においては、珪素成分をSiOに換算して15.0重量%以上含有させることが好ましく、これによって誘電率を10以下に制御できる。誘電率を一層低くするという観点からは、珪素成分をSiOに換算して25.0重量%以上含有させることが好ましい。また、珪素成分をSiOに換算して60.0重量%以下含有させることが好ましく、これによって磁器の最適焼成温度を低くできる。この観点からは、50重量%以下とすることが一層好ましい。
【0023】本発明の低温焼成磁器においては、アルミニウム成分をAlに換算して0.1重量%以上含有させることが好ましく、これによって磁器からなる基板の強度を上昇させることができる。この観点からは、アルミニウム成分をAlに換算して0.5重量%以上含有させることが好ましい。また、磁器の適正焼成温度を低下させるという観点からは、アルミニウム成分をAlに換算して20.0重量%以下含有させることが好ましく、15.0重量%以下含有させることが更に好ましい。
【0024】本発明の低温焼成磁器においては、バリウム成分をBaOに換算して30.0重量%以上含有させることが好ましく、これによって磁器の品質係数Qを一層高くすることができる。この観点からは、バリウム成分をBaOに換算して40.0重量%以上含有させることが好ましい。また、バリウム成分をBaOに換算して65.0重量%以下含有させることが好ましく、これによって10以下の誘電率εrを確保できる。誘電率εrを一層低くするという観点からは、バリウム成分をBaOに換算して60.0重量%以下含有させることが更に好ましい。
【0025】亜鉛成分をZnOに換算して0.5重量%以上(特に好ましくは1.0重量%以上)含有させることによって、低温焼成磁器の熱膨張係数が減少し、焼結し易くなることから、低温焼成が可能となる。亜鉛成分をZnOに換算して20.0重量%以下(特に好ましくは15.0重量%以下)含有させることによって、磁器の品質係数Qを一層向上させることができる。
【0026】ビスマス成分を含有させることによって、磁器におけるクラックの発生率が減少する。この作用効果は、本発明の磁器に対して金属電極を積層させる場合、あるいは磁器の成形体に金属電極を接触させた状態で磁器の成形体を焼成した場合、あるいは磁器の成形体中に金属電極を埋設した状態で磁器の成形体を焼成した場合に顕著である。ビスマス成分は蛍光X線分析法によって検出可能であれば良い。好ましくは、ビスマス成分の含有量は、Biに換算して0.10 重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることが更に好ましく、1.0重量%以上であることが特に好ましい。
【0027】ビスマス成分をBiに換算して10.0重量%以下含有させることにより、品質係数Qを一層増大させることができる。この観点からは、 8.0重量%以下が特に好ましい。
【0028】CuO、MoO、WOおよびV25からなる群より選ばれた一種以上の添加剤の含有量は、前記観点から、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることが更に好ましい。しかし、この含有量が多すぎると、磁器の強度が低下してくる傾向があるので、この観点からは、10.0重量%以下であることが好ましい。
【0029】本発明の磁器は、実質的にバリウム成分、珪素成分、アルミニウム成分、ホウ素成分、亜鉛成分およびビスマス成分からなっていてよい。しかし、この場合にも、各金属原料中に含まれる不可避的不純物は含有されていてよい。また、上記成分以外の酸化物や金属成分を含有していてよい。こうした酸化物や金属成分としては、例えば、MgO、CaO、SrO、Y、MnO、Mn、CoO、NiO、Nd、Sm 、La、Ag、Cu、Ni、Pdがある。
【0030】電子部品において使用できる金属電極は限定されないが、銀電極、銅電極、ニッケル電極、またはこれらの合金からなる電極が好ましく、銀または銀合金からなる電極が更に好ましく、銀電極が特に好ましい。
【0031】本発明の電子部品においては、本発明の低温焼成磁器を、他の低温焼成磁器、例えば誘電率εrが10−150の他の低温焼成磁器と一体化することができる。
【0032】他の誘電体層を構成する低温焼成磁器の組成系は、以下のものが特に好ましい。
BaO−TiO−ZnO−SiO−B
BaO−TiO−Bi−Nd−ZnO−SiO−B
BaO−TiO−Bi−La−Sm−ZnO−SiO −B
MgO−CaO−TiO−ZnO−Al−SiO−B
【0033】本発明の対象となる電子部品は特に限定されないが、例えば積層誘電体フィルター、多層配線基板、誘電体アンテナ、誘電体カプラー、誘電体複合モジュールを例示できる。
【0034】本発明の低温焼成磁器を製造する際には、好ましくは、各金属成分の原料を所定比率で混合して混合粉末を得、混合粉末を800−1200℃で仮焼し、仮焼体を粉砕し、セラミック粉末を得る。そして、好ましくは、セラミック粉末と、SiO、BおよびZnOからなる低融点ガラス粉末とを使用して、グリーンシートを作製し、グリーンシートを850−930℃で焼成する。各金属成分の原料としては、各金属の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などを使用できる。本発明の観点からは、前記低融点ガラスの割合は、セラミック100重量部に対して、1.5以下とすることが好ましく、1.0以下とすることが一層好ましい。
【0035】
【実施例】(セラミック粉末の製造)
炭酸バリウム、アルミナ、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化ビスマスの各粉末を、所定の組成になるように秤量し、湿式混合する。この混合粉末を900〜1000℃で仮焼し、仮焼体を得る。仮焼物の結晶相とその結晶性を調べるために、粉末X線回折測定を行う。その後、仮焼粉末を、ボールミルにて、所定粒度まで粉砕し、粉末を乾燥し、セラミック粉末を得る。
【0036】(低融点ガラス粉末の製造)
酸化亜鉛、酸化ホウ素および酸化珪素の各粉末を秤量し、乾式混合し、混合粉末を白金ルツボ中で溶融させ、溶融物を水中に投下して急速冷却し、塊状のガラスを得る。このガラスを湿式粉砕し、低融点ガラス粉末を得る。
【0037】(誘電特性評価用サンプルの製造)
得られたセラミック粉末と低融点ガラス粉末とを、イオン交換水、有機バインダーと共に、アルミナポット、アルミナボールを使用して混合し、スラリーを得、スラリーを乾燥して粉体を得る。得られた粉体を金型プレスにて所定の形状に成形し、900〜930℃にて焼成する。焼成体を所定形状に加工する。3GHz換算での誘電率εr、品質係数Q値、τfを測定する。
【0038】(基板強度の測定)
また、焼成体を加工し、寸法30mm×4mm×1mmの測定用サンプルを作製した。このサンプルについて、JIS R 1601に従って基板強度を測定する。
【0039】(相間剥離の有無)
本発明組成からなるグリーンシートとBa6-3XR8+2XTi18O54(X=0.0〜0.8)系組成からなるグリーンシートを85℃×20MPaの条件でCIPにより接合し、50mm角に切断し、920℃で焼成後、超音波探傷装置により、相間剥離を検査した。
【0040】(各結晶相のピークの検出)
以下のX線回折装置および条件を用いて,各結晶相を検出した。
装置名称:リガク製X線回折装置「RAD-X1」
測定形式:2θ-θ
出力:35KV 20mA
発散スリット:1/2°
散乱スリット:1/2°
受光スリット:0.15mm
スキャン方法:ステッフ゜スキャン(FT)
ステッフ゜幅:0.02°
計数時間:2sec
【0041】(非晶質相の含有量)
上述のX線回折測定装置および条件を用い、非晶質相の含有量を測定した。
ただし、非晶質相は、X線回折ピークでは、ハローパターンと呼ばれるブロードなピークの形で検出される。従って、非晶質相の含有量は、X線検量線法と呼ばれる以下の方法にて決定した。
(検量線の作成)
磁器を構成する主結晶相(BaSi25 相およびBaAl2Si28相)の粉体に対して、前記低融点ガラス粉末を添加し、乳鉢にて10分間混合し、混合粉末を得る。得られた混合粉末について、X線回折装置にて、2θで10°〜60°まで測定する。測定したデータをピーク分離ソフトウエアにより、バックグランドと非晶質相とにピーク分離する。ピーク分離する上で、非晶質相はアモルファス相として分離させる。
主結晶相からなる粉末の重量を100重量部とし、低融点ガラスの添加量(外配:重量部)を種々変更する。そして、各混合粉末について、低融点ガラスのピーク強度と添加量との関係をプロットし、検量線とする。
図1は、本実施例での磁器系における検量線の例を示す。
【0042】(非晶質相の含有量の測定)
次に、被測定サンプルをX線回折装置にて2θで10°〜60°まで測定し、非晶質相のピーク強度を測定する。ここで、磁器サンプルから得られた非晶質相のピーク強度が、検量線上での低融点ガラスのピーク強度と同じである場合には、磁器サンプル中の非晶質相の含有量が、前記混合粉末中の低融点ガラスの含有量と同じであるものとする。従って、磁器サンプルから非晶質相のピーク強度を測定すれば、この測定値を検量線上に載せることによって、磁器サンプル中の非晶質相の含有量を決定できる。
【0043】(Agとの同時焼成)
各磁器の適正焼成温度を求めた。適正焼成温度は、焼成温度の変化に対する誘電率εrの変化が0.1/℃以内となる温度とした。適正焼成温度が920℃以下の場合には、「Agとの同時焼成」の欄を「○」とし、その他の場合は「×」とした。
【0044】
【表1】
Figure 2004203646
【0045】表1のA1〜A7においては、主としてCuOの添加量を変更した。A1においては、CuOの割合が0.02重量%と低く、焼成温度が若干上がり、相間剥離も生ずる。しかしQ値は比較的に高い。A7においては、CuOの添加量が12.0重量%であるが、適正焼成温度が若干上がる傾向がある。A2〜A6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0046】表1のB1〜B7においては、主としてBaOの添加量を変更した。B1においては、BaOの割合が25重量%であるが、焼成温度が若干上がり、強度が低下する。B7においては、BaOの添加量が70重量%であるが、適正焼成温度が若干上がる傾向がある。B2〜B6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0047】
【表2】
Figure 2004203646
【0048】表2のC1〜C7においては、主としてAlの添加量を変更した。C1においては、Alの割合が0.05重量%であるが、若干強度が低いことを除けば他の例と遜色ない。C7においては、Alの添加量が25重量%であるが、適正焼成温度が若干上がり、強度が若干低下する。C2〜C6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0049】表2のD1〜D7においては、主としてSiOの添加量を変更した。D1においては、SiOの割合が12重量%であるが、Q値、強度が低くなっている。D7においては、SiOの添加量が63重量%であるが、適正焼成温度が若干上がり、Q値、強度が低下する。D2〜D6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0050】
【表3】
Figure 2004203646
【0051】表3のE1〜E7においては、主としてZnOの添加量を変更した。E1においては、ZnOの割合が0.2重量%であるが、適正焼成温度が若干高くなっている。E7においては、ZnOの添加量が23重量%であるが、適正焼成温度が若干上がる。E2〜E6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0052】表3のF1〜F7においては、主としてBiの添加量を変更した。F1においては、Biの割合が0.05重量%であるが、若干強度が低く、適正焼成温度が上昇する。F2〜F7においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0053】
【表4】
Figure 2004203646
【0054】表4のG1〜G7においては、主としてBの添加量を変更した。G1においては、Bの割合が0.02重量%であるが、非晶質相含有量が大きく、適正焼成温度が上昇し、Q値、強度が低い。G7においては、非晶質相含有量が73重量部であり、Q値が低い。G2〜G7においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0055】表4のH1〜H7においては、主としてWOの添加量を変更した。H1においては、WOの割合が0.02重量%であるが、適正成温度が上昇し、強度が低い。H7においては、適正焼成温度が高く,Q値が若干低い。H2〜H6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0056】
【表5】
Figure 2004203646
【0057】表5のJ1〜J7においては、主としてMoOの添加量を変更した。J1においては、MoOの割合が0.02重量%であるが、適正成温度が上昇し、強度が低い。J7においては、適正焼成温度が高く,Q値が低い。J2〜J6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。
【0058】表5のK1〜K7においては、主としてVの添加量を変更した。K1においては、Vの割合が0.02重量%であるが、適正成温度が上昇し、強度、Q値が低く、相間剥離が見られる。K7においては、適正焼成温度が高く、強度、Q値が低い。K2〜K6においては、全体にQ値、強度が高く、τfは低くなっており、適正焼成温度が低く、相間剥離も見られない。なお、上述の全例において、BaSi25 相およびBaAl2Si28相が検出された。
【0059】次に、上記と同様にして低温焼成磁器を作成した。ただし、以下のセラミック組成Aを採用した。
BaO46.3重量%
SiO42.0重量%
Al2.5重量%
ZnO 5.2重量%
Bi3.0重量%
【0060】そして、セラミック組成Aを上記のように仮焼し、仮焼体を粉砕した後、下記のような組成で添加剤を添加した。
(比較例1)
組成Aのセラミック+前記低融点ガラス粉末3重量%(焼結温度920℃)
(実施例1)
組成Aのセラミック+前記低融点ガラス1重量%+CuO 0.75重量%(焼成温度920℃)
(実施例2)
組成Aのセラミック+前記低融点ガラス0.2重量%+Bi2O3 0.61重量%+CuO 0.01重量%(焼成温度920℃)
(比較例2)
組成Aのセラミックのみ(焼成温度1100℃)
【0061】各例の磁器について、前述のように非晶質相の含有量、Q値、τfを測定し、結果を表6に示す。また、非晶質相の含有量とQ値との関係を図2に示す。比較例1に対して、実施例1では、低融点ガラスの添加量を2重量%減らし、CuOを0.75重量%添加した。この結果、非晶質相の含有量は比較例1に比べて低下した。磁器のQ値は上昇し、τfの絶対値は低下した。
【表6】
Figure 2004203646
【0062】比較例1に対して、実施例2では、低融点ガラスの添加量を2.8重量%減らし、その代わりにBi2O3を0.61重量%とCuOを0.01重量%とを添加した。この結果、磁器の非晶質相含有量は一層低下し、Q値は一層向上した。比較例2では、1100℃焼成で、ガラス成分を含まないので非晶質相が含有されておらず、磁器のQ値は一層上昇した。但し、ICDD No.81−0511またはNo.79−1810に相当するBa-Cu-O系或いはBa-Cu-Si-O系化合物を含まないために、τfの絶対値は低下しなかった。
【0063】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、Ba−Al−Si−Zn系の低誘電率の低温焼成磁器において、Q値を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非晶質相含有量とX線回折強度との関係を示す検量線である。
【図2】磁器の非晶質相含有量とQ値との関係を示すグラフである。

Claims (13)

  1. 誘電率εrが10以下であるBa−Al−Si−Zn系低温焼成磁器であって、
    ホウ素の含有量がBに換算して0.05重量%以上、0.3重量%以下であることを特徴とする、低温焼成磁器。
  2. 結晶相の含有量を100重量部としたときの非晶質相の含有量が70重量%以下であり、この非晶質相が、バリウム、アルミニウム、珪素、亜鉛およびホウ素からなる群より選ばれた一種以上の元素を含むことを特徴とする、請求項1記載の低温焼成磁器。
  3. CuO、MoO、WOおよびV25からなる群より選ばれた一種以上の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の低温焼成磁器。
  4. 粉末X線回折測定法において、ICDD No.81−0511またはNo.79−1810に適合するピーク分布を有する結晶相を含むことを特徴とする、請求項3記載の低温焼成磁器。
  5. 誘電率εrが10以下である低温焼成磁器であって、BaSi25相およびBaAl2Si28相を含有しており、結晶相の含有量を100重量部としたときの非晶質相の含有量が70重量部以下であり、この非晶質相が、バリウム、アルミニウム、珪素、亜鉛およびホウ素からなる群より選ばれた一種以上の元素を含むことを特徴とする、低温焼成磁器。
  6. CuO、MoO、WOおよびV25からなる群より選ばれた一種以上の添加剤を0.05重量%以上、10.0重量%以下含有することを特徴とする、請求項5記載の低温焼成磁器。
  7. 粉末X線回折測定法において、ICDD No.81−0511またはNo.79−1810に適合するピーク分布を有する結晶相を含むことを特徴とする、請求項6記載の低温焼成磁器。
  8. バリウム成分をBaOに換算して30.0−65.0重量%、
    珪素成分をSiOに換算して15.0−60.0重量%、
    アルミニウム成分をAlに換算して0.1−20.0重量%、
    亜鉛成分をZnOに換算して0.5−20.0重量%、および
    ビスマス成分をBiに換算して10.0重量%以下含有していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の低温焼成磁器。
  9. 品質係数Qが3500以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の低温焼成磁器。
  10. 共振周波数の温度係数τfの絶対値が55ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つの請求項に記載の低温焼成磁器。
  11. 請求項1〜10のいずれか一つの請求項に記載の低温焼成磁器によって少なくとも一部が構成されていることを特徴とする、電子部品。
  12. 金属電極を備えていることを特徴とする、請求項11記載の電子部品。
  13. 前記低温焼成磁器からなる低誘電率層と、この低誘電率層と接合されている他の誘電体層とを備えており、他の誘電体層が、誘電率εrが10−150の他の低温焼成磁器からなることを特徴とする、請求項11または12記載の電子部品。
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