JP2004199848A - 情報記録方法 - Google Patents
情報記録方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004199848A JP2004199848A JP2003189162A JP2003189162A JP2004199848A JP 2004199848 A JP2004199848 A JP 2004199848A JP 2003189162 A JP2003189162 A JP 2003189162A JP 2003189162 A JP2003189162 A JP 2003189162A JP 2004199848 A JP2004199848 A JP 2004199848A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- recording
- circuit
- signal
- pulse
- input
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims description 24
- 238000012360 testing method Methods 0.000 claims description 29
- 230000001678 irradiating effect Effects 0.000 claims 2
- 238000010586 diagram Methods 0.000 abstract description 18
- 230000000694 effects Effects 0.000 abstract description 9
- 238000012937 correction Methods 0.000 abstract description 5
- 230000032683 aging Effects 0.000 abstract 1
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 50
- 230000003287 optical effect Effects 0.000 description 32
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 22
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 20
- 230000008859 change Effects 0.000 description 16
- 230000010354 integration Effects 0.000 description 14
- 230000003321 amplification Effects 0.000 description 8
- 238000003199 nucleic acid amplification method Methods 0.000 description 8
- 238000013139 quantization Methods 0.000 description 6
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 4
- 238000009792 diffusion process Methods 0.000 description 4
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 4
- 238000005070 sampling Methods 0.000 description 4
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 3
- 230000001186 cumulative effect Effects 0.000 description 3
- 238000013461 design Methods 0.000 description 3
- 238000009826 distribution Methods 0.000 description 3
- 230000007274 generation of a signal involved in cell-cell signaling Effects 0.000 description 3
- 230000005415 magnetization Effects 0.000 description 3
- 239000004065 semiconductor Substances 0.000 description 3
- 238000012546 transfer Methods 0.000 description 3
- 230000007547 defect Effects 0.000 description 2
- 230000003111 delayed effect Effects 0.000 description 2
- 230000007613 environmental effect Effects 0.000 description 2
- 230000035945 sensitivity Effects 0.000 description 2
- 230000004075 alteration Effects 0.000 description 1
- 230000008901 benefit Effects 0.000 description 1
- 230000015556 catabolic process Effects 0.000 description 1
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 1
- 238000007796 conventional method Methods 0.000 description 1
- 230000008878 coupling Effects 0.000 description 1
- 238000010168 coupling process Methods 0.000 description 1
- 238000005859 coupling reaction Methods 0.000 description 1
- 238000006731 degradation reaction Methods 0.000 description 1
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 1
- 230000006870 function Effects 0.000 description 1
- 230000006872 improvement Effects 0.000 description 1
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 1
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 description 1
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 1
- 230000010287 polarization Effects 0.000 description 1
- 230000008569 process Effects 0.000 description 1
- 238000002310 reflectometry Methods 0.000 description 1
- 230000000630 rising effect Effects 0.000 description 1
- 238000003860 storage Methods 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Optical Head (AREA)
- Optical Recording Or Reproduction (AREA)
Abstract
【課題】マーク長記録の高密度化を目的とする。
【解決手段】記録媒体上に複数の記録パターンを記録し、複数の記録パターンからの再生信号のエッジ位置を測定し、エッジ位置と書き込み時のレーザパルス位置とのずれ量を測定し、複数の記録パターンの各パターンについて測定されたずれ量に関するデータ表を作成し、記録媒体を交換する度にこれら動作を行う。
【効果】直前記録パターン列を考慮したエッジ補正ができる。記録装置経年変化を吸収できる。
【選択図】 図1
【解決手段】記録媒体上に複数の記録パターンを記録し、複数の記録パターンからの再生信号のエッジ位置を測定し、エッジ位置と書き込み時のレーザパルス位置とのずれ量を測定し、複数の記録パターンの各パターンについて測定されたずれ量に関するデータ表を作成し、記録媒体を交換する度にこれら動作を行う。
【効果】直前記録パターン列を考慮したエッジ補正ができる。記録装置経年変化を吸収できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル信号を光ディスク等の記録媒体に情報を記録再生する装置に係り、特に記録媒体と記録装置との組合せによる記録特性に基づいて記録信号を制御することにより、記録情報の高密度化,転送速度の高速化、および信頼性の向上を実現するのに好適な記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル信号を記録媒体上に記録する手段の1つとして光ディスク装置がある。光ディスクはレーザ光をレンズにより記録面上に集光し、その強度を記録すべき情報に対応して変化させ、該レーザ光が当たっている領域の記録膜の反射率、あるいは光磁気記録の場合、磁化方向を外部磁化等により変化させることで情報の記録を行うものである。その記録された情報を再生する場合には、記録の時よりも弱い強度のレーザ光を照射し、記録膜からの反射光からその光量変化、あるいは磁化方向の違いによる偏光面回転を検出することにより行う。記録密度は主に記録面上に集光されるレーザ光のスポットの大きさにより決まり、その大きさが現在約1μm程度と小さいため、磁気ディスクの約10倍程度の高密度記録が実現できる。
【0003】
また、照射光パワーを変調して記録した記録マークの前側、および後側の位置で情報を表すマーク長記録方式は、1個の記録マークに2個以上のデータを記録するため、記録の高密度化を実現するのに有効な方式である。
【0004】
このように光ディスクに情報を高密度に情報の記録再生を行うマーク長記録方式おいて、情報の高信頼性を実現するためにデータの記録時、および再生時にいろいろな信号処理が行われている。
【0005】
例えば、一般に記録時の照射光パワーが小さいと形成される記録マーク形状が不安定になり易い。また記録線速度が異なれば、単位面積当りに加えられる熱量、および熱分布が変わるため、記録マーク形状が異なる。したがって、実際には安定な記録マーク形状を形成して記録再生を行うため、「PbTbSe膜へのピットエッジ記録の適用」(電子通信学会創立70周年記念総合全国大会講演論文集,p4−176)では、記録照射光パルスは大きめに設定し、その線速度に応じてマーク長の過剰分がなくなるように記録時にレーザパルス長を短くしたり、再生時に二値化後の信号においてパルスの長さを削るなどの調整を行っている。
【0006】
また、一般に記録されたマークの形状は主にその記録媒体の記録感度、熱伝導度、および記録に用いる集光されたレーザ光の強度分布、波面収差等に依存し、記録装置と記録媒体の組合せが変わるとその特性が変化する。さらに装置側の記録時照射光パワーのレベルは時間と共に変化する。この現象はレーザーパワー自動制御機構(APC)が設けられている場合でもある範囲の変動分は避けられず、この要因によっても記録再生特性の変動が起こる。この変動は記録時の記録マーク長の変動、そして再生時の再生信号のパルス間隔変動につながる。
【0007】
そのため、記録補正量,記録光パワーが装置出荷時にあらかじめ一定値に設定されている場合、これらの設定仕様は、数多くの記録媒体と記録装置の組合せで記録再生特性を測定した上で決定する。そのとき、組合せの違いによる記録再生特性のばらつき範囲を考慮した上で、あらゆる場合に検出時での信頼性を保証するため、記録密度に関して大きな余裕を持たせ、記録密度を犠牲にしている。
【0008】
そこで、この記録媒体と記録装置の組合せによる特性のばらつき分を吸収し、記録高密度化を図るため、あらかじめ試験パターンを記録してその再生信号により記録条件調整用の情報を得る方法が提案されている。例えば特開昭61−239441号記載の装置では記録時の一定値である照射光パワーレベルを、特開昭61−74178号記載の装置では記録パルス幅に関する一定の調整量を、また特開昭61−304427号記載の装置ではその両者、および再生時の自動等化係数を同時に調整している。
【0009】
また、光ディスクは基本的に熱拡散を用いた記録方式のため、記録マークに対応する前後複数の記録パルスによる熱分布が拡散することで発生する記録マーク形状の変化する現象(以下、熱干渉と呼ぶ)が存在する。この現象も再生時の再生信号のパルス間隔変動につながる。したがって記録時に最適な補正を行うためにはこの熱干渉の影響も考慮する必要がある。この対策として特開昭63−48617号記載の記録方式では各記録パルス幅をその直前の記録パルスまでの間隔に応じて変化させている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち、直前の記録パルスまでの間隔に応じた記録パルス幅の調整方法では、以下のような問題点がある。
【0011】
すなわち、記録マーク形状、および記録マーク同士の間隔が、記録膜面上に集光したレーザスポットの大きさと同じ大きさ程度にまで記録の高密度化を実現しようとした場合、光ディスクの熱干渉が影響を及ぼす範囲は使用する最短の記録マーク長よりも大きい。つまり、記録照射光パルスの複数個の記録パルス間隔の長さが一つの記録マークのエッジ位置の変動量に影響を与える。特に、レーザ光の強度に対する記録感度が高く、低いレーザパワーでも記録できるような記録媒体の場合、一般に熱伝導度が大きく、この熱干渉による影響を及ぼす範囲が大きい。
【0012】
さらに、この記録パルス間隔の調整方法はその調整量に関する情報はあらかじめ設定されている値を使用するため、記録特性の変動に関する調整量の変更ができず、記録特性が設定時とずれている分だけ、調整に誤差として現れ、正確な調整にはならなくなる。
【0013】
一方、前述の記録条件調整用の情報を得る方法では、その記録照射光パワー、および記録パルス幅の調整量は単一の値であり、熱干渉による記録マーク長や変動を低減することはできない。
【0014】
従来、符号間干渉成分に対する対策として、通信や磁気記録の分野では、再生側でトランスバーサルフィルタ等の線形等化器が一般に用いられている。これは、信号再生系の周波数帯域が狭いために、再生信号パルスの裾が広がり、近傍の波形に重畳して発生する線形な符号間干渉を低減するものである。
【0015】
ところが、前述の熱拡散による影響は、再生時には主に波形の時間方向のずれ、という形で現れる。これは単純に記録情報に応じた基本波形の線形な重ね合わせとしては表現できない、非線形の符号間干渉成分である。したがって、この記録時に生じる熱干渉によるエッジ位置変動成分は線形等化器では対応できず、再生側の方でこの干渉成分に実時間で対応することは実際には非常に困難である。
【0016】
以上のような理由で、従来の方式では記録特性変動に関して対応ができていても、熱干渉の影響による記録マーク長の変動が全く低減できていないか、あるいは熱干渉の影響による記録マーク長の変動に調整誤差が存在し、かつ記録特性変動には全く対応できない。特に、熱伝導が大きい記録媒体を用いる光磁気記録でのマーク長記録においては、これらの変動成分は大きく、その分の余裕を設けるため、記録密度を大きく犠牲にせざるを得ない。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、記録再生を行おうとしている記録媒体と記録装置との組合せにおいて、様々な記録パターンを必要に応じたタイミングで記録媒体上の複数の領域に記録し、その記録データを再生することで記録特性を測定し、その測定結果から記録パルス間隔調整量に関するデータ表を作成し、そのデータ表に基づいて、各記録パルス間隔ごとに、それまでに変換して得られている、直前の複数個の記録照射光パルス間隔を使用して、パルスの前エッジ,および後エッジの調整量を順次求め、割り当てて記録照射光パルス間隔とすることで、所望の記録マーク長、および再生信号のパルス間隔を得ることを特徴とする。本発明によれば、マーク長記録による高密度記録のための、より正確な記録マークのエッジ位置制御を実現できる。
【0018】
記録再生を行おうとしている記録媒体と記録装置との組合せにおいて、その記録特性を事前に測定して、その結果に基づいて各記録パルスに対してその直前の記録パターン列も考慮したパルスの前エッジ、および後エッジの補正量を逐次割当てていくことで、記録媒体と記録装置の組合せの違いによる記録特性の違い、および熱干渉の影響による記録パターン列が違った場合の記録マーク長のばらつきを吸収することができる。
【0019】
また、記録媒体上の異なる領域で測定した複数の記録特性を利用することで、線速度が異なる場所での記録補正も行うことができる。
【0020】
また、装置の使用を開始したとき、および記録媒体を交換したとき、および一定の時間ごと、あるいは記録膜上の温度変化、および記録照射光パワーの変化に応じたタイミングで上記記録特性の測定を行うことで、経時的に記録装置側の特性が変化する分も吸収することができる。
【0021】
以上により、マーク長記録による高密度記録での、より正確な記録マークのエッジ位置制御が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例を図面とともに説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。また、図3から図11までは、図1中の要素についてさらに詳しくその構成を示した図である。また、この構成例では、熱干渉により一ヵ所の記録マークのエッジ位置の変動量に影響を与え、エッジ変動量低減のために考慮する必要がある記録照射光パルス間隔数が、記録照射光パルスの対応するエッジタイミング以前の3個の場合について、説明を行うが、本発明はこれに限定されない。
【0024】
図1において、光ディスク1はスピンドルモータ2により一定角速度で回転しており、光ピックアップ3により記録再生用のレーザ光が絞り込みレンズでディスク1上の記録膜面に集光される。光ピックアップ3は情報の記録位置に対応してディスク半径方向に移動できるようになっている。
【0025】
光ピックアップ3中の検出器により検出された信号は、増幅器4により所望のレベルに増幅された後、等化回路5により、記録面のレーザ光集光位置での光ディスクの回転線速度に応じて波形の等化が行われる。この後、二値下回路6によりディジタル信号である再生二値化信号7に変換される。情報再生時には、この再生二値化信号7がPLL(フェーズ・ロック・ループ)回路8によりデータ信号とクロック信号とに分離され、復調回路9により再生データとなる。
【0026】
以上の部分が、マーク長記録方式を採用した光ディスクシステムにおけるデータ再生信号処理系である。この再生信号処理系以外に、記録特性を検出して記録時のパルス間隔調整量、および記録パワーを算出したり更新したりする記録特性測定モード時と、データ記録時に各セクタごとのデータの前に記録される記録条件チェック用のパターンを用いて、その時の記録パワーや、環境温度などの記録条件のチェックを行う記録条件チェックモード時に動作する記録特性測定系がある。この測定系はこの光ディスクシステム全体の制御を行っているコントローラから指令されて、記録特性測定モード時、および記録条件チェックモード時に動作する。
【0027】
記録特性測定モードには、パルス幅調整用テーブル作成モードと記録パワー探索モードの2種類がある。記録特性測定モード時には、最初に記録パワー探索モードが実行され、その後にパルス幅調整用テーブル作成モードが続けて実行される。この両モードとも、それぞれ専用のテストパターン、および記録パワー探索モードには記録パワーレベルがコントローラからレーザドライバ12に入力され、これらの信号に対応して光ピックアップ3内のレーザが変調される。そのレーザ光が光ピックアップ3から光ディスク面上に集光され、テスト信号が記録される。そして、そのテスト信号に対応する記録マークの再生信号を用いて、記録特性測定系で特性検出、変更操作が行われる。
【0028】
以下、記録特性測定系について説明する。
【0029】
記録特性測定モード時、および記録条件チェックモード時においても、二値化回路6までの動作は通常のデータ再生時と同じであり、テスト信号に対する再生二値化信号7が得られる。再生二値化信号7は、エッジタイミング検出回路13に入力され、ディジタル信号である極性反転間隔信号14、およびパルス信号である極性反転タイミング信号15とに変換される。このエッジタイミング検出回路13は、パルス幅調整用テーブル作成モード,記録パワー探索モード、および記録条件チェックモードで同じ動作を行う。極性反転間隔信号14は、再生二値化信号7での極性が変わる間隔の長さ情報をディジタル値で表現したものであり、極性反転タイミング信号15は、再生二値化信号7の極性が変わるタイミングにパルス状の波形を割り当てたものである。
【0030】
エッジタイミング検出回路13の出力信号は記録パワー設定用判定回路16、およびパルス幅設定用判定回路17に入力される。記録パワー設定用判定回路16は記録パワー探索モード時、および記録条件チェックモード時に、パルス幅設定用判定回路17はパルス幅調整用テーブル作成モード時に動作する。
【0031】
記録パワー設定用判定回路16は、各記録パワー設定値ごとに再生信号のデューティ(厳密には二値化後の再生信号に関する立ち上がり−立ち下がり間隔と立ち下がり−立ち上がり間隔との差の平均値)を算出する。記録パワー探索モード時にはさらに算出結果と同時にそのデータの記録パワー設定値をレーザドライバ12に送信し、レーザドライバ12ではデューティが50%になるときの記録パワー設定値を設定する。記録条件チェックモード時にはその結果が一定範囲に入っているかどうかを調べ、その結果をコントローラに送信する。コントローラではこの信号を受けて一定範囲内でない場合に記録特性測定モードに入る手続きを行う。
【0032】
パルス幅設定用判定回路17は、各パターンごとにエッジ変動量の平均値を算出する。この回路には特性測定用テストパターンの各パルス間隔情報を含むデータが参照用データとして内部ROMに時系列順に並べて記憶されている。極性反転間隔信号14が受信されるたびに、この参照用データを用いてエッジ変動量に変換される。そして、同じ記録パターンごとの変換結果の累積値が内部に記憶される。また、記録媒体の欠陥等による検出信号のエラーはこの回路内で自動的に検出され、エラーが起こったことをコントローラに伝えられる。エラーが起こらなかった場合、極性反転間隔信号14の受信終了時点に記憶されている加算結果からエッジ変動量の平均値が算出され、データ変換回路17に送信される。
【0033】
データ変換回路17はパルス幅調整用テーブル作成モード時に動作する回路で、判定回路17から送信されたエッジ変動量のデータを基にパルス幅調整用テーブル19を作成する。
【0034】
以上、エッジタイミング検出回路13からデータ変換回路17までが光ディスクシステム中の記録特性を検出し、記録時のパルス間隔調整量、および記録パワーの算出,更新、および各記録時に記録条件のチェックを行う回路系である。
【0035】
通常の情報記録時には変調回路20で符号変調されてきたデータに対し、パルス幅調整回路21においてパルス幅調整用テーブル19を参照しながら各記録パルスごとにその立ち上がり位置、および立ち下がり位置の調整量を求め、修正する。そしてその記録パルスをレーザドライバ回路12に入力して、これに対応させて光ピックアップ3内のレーザを変調させ、ディスク1上に記録する。
【0036】
図2は記録特性測定モードで使用される特性検出用テストパターン波形の1例である。図2(a)は記録パワー探索モード用の波形で、マーク長記録に使用される最短の記録パルス間隔の繰り返しである。そして所定の繰り返し回数ごとにその記録パワー設定値を徐々に変え、記録パワーをあげる。この記録パワー変更範囲は、装置の使用環境が保証範囲内である限り、最適な記録パワー時の信号振幅が含まれるように設定しておく。
【0037】
一般のデータを記録する時に、通常各セクタごとにデータの前に記録する記録条件チェック用のパターンにもこの波形を使用する。ただし、そのときは記録パワー設定値は既に設定されたまま変化させない。また、この実施例中では簡単のため、その繰り返し回数も記録パワー探索時の各記録パワーでの繰り返し回数と一致させておく。
【0038】
図2(b)はパルス幅調整用テーブル作成モード用の波形であり、パルス間隔の長さの連続した3個の組合せが異なる複数のパターンが含まれた波形である。通用はこの組合せの数は多いほど正確な記録パルス調整用テーブルを作成することができる。パルス幅調整用テーブル作成モード時にはこのパターンを繰り返して記録し、算出されるエッジ変動量に関して平均値操作を行い、測定精度の向上を計る。
【0039】
なお、ここでは記録パワー探索モード時の特性測定用テストパターンの各記録パワーでのくり返し数を2^C2回,記録パワーの刻み数をS2,パルス幅調整用テーブル作成モード時の特性測定用テストパターン一周期中に含まれるパルス間隔数をS1、その繰り返し記録回数を2^C1回として説明を行う。
【0040】
なお図1において、光ディスク1,スピンドルモータ2,光ピックアップ3,増幅器4,二値化回路6,PLL回路8,復調回路9については従来の光ディスク装置に用いられている構成、機能のもので良く、その詳細説明は省略する。
【0041】
以下、その他の構成要素について説明する。
【0042】
図3は等化回路5の1構成例を示した図であり、図4はその動作を説明した図である。ここではタップ数を3個にした場合の等化回路について説明する。図3において、増幅器4で増幅されたデータ信号は、演算増幅器による電圧フォロア301によって低インピーダンスの信号に変換され、遅延素子302へ入力される。その前後にある抵抗303,304は遅延素子302の特性インピーダンスと整合をとるためのものである。
【0043】
遅延素子302で遅延された信号のうち、その中央のタップ位置からの出力信号である中央タップ信号は増幅器で構成される加算回路305に直接入力される。中央のタップ位置よりも遅延線入力側に近いタップ位置からの出力はマルチプレクサ306によりその中の一つが選択され、加算反転増幅回路307に入力される。同様に中央のタップ位置よりも遅延線入力側から遠いタップ位置からの出力はマルチプレクサ308によりその中の一つが選択され、加算反転増幅回路307に入力される。加算反転増幅回路307での増幅率は帰還抵抗309の値をマルチプレクサ310により切り替えて可変としている。加算反転増幅回路307の出力信号は加算回路305に入力され、等化回路5の出力信号として、二値化回路6への入力となる。
【0044】
次に、図3の等化回路5の動作を図4を用いて説明する。図4においてf(t)は図3に示した等化回路5へ入力されるデータ信号に対応する波形であり、ここでは理解し易いように孤立の記録マークに対する再生信号を表している。一般に光ディスクでは光スポットの大きさが有限のある大きさを持っていて、記録マークの大きさと比べて無視できない。そのため、例えば記録膜面上で光スポットの中心が記録マークのない位置にあっても、光スポットの端の方が隣接する記録マークの一部分にかかってしまう場合があり、再生信号の振幅に隣接波形の干渉成分として現れる。これが光学的な周波数帯域が低いために発生する符号間干渉である。また、再生信号検出系の特性も高周波側が低下しており、符号間干渉の要因となっている。
【0045】
これらの符号間干渉は、データ信号f(t)においてサンプリング点t=NTでの信号振幅の立ち上がり、立ち下がりが遅いため、その成分が近傍のサンプリング点t=(N−1)T,(N+1)Tでも信号振幅として残るという形で再生信号に現れる。記録マークが複数存在し、このような波形が重なっている一般の再生波形では、この符号間干渉は再生信号の振幅劣化を引き起こし、重畳している雑音の影響などで信号判定を誤り易くしている。
【0046】
図3の等化回路5はこのような高周波側での特性低下を補償し、符号間干渉の影響を低減する効果を持つ。図4(a)において、遅延素子302の出力信号は中央タップ信号をf(t)とした場合、それぞれf(t)を±τだけ遅延させた信号f(t−τ),f(t+τ)に当たる。これらの遅延素子302の出力信号は加算反転増幅回路307、および加算回路305での信号処理により、
【0047】
f(t)−K{f(t−τ)+f(t+τ)} …(数1)
の演算を行い、その結果、図4(b)のような出力信号が得られている。この信号波形はf(t)の波形と比べて急峻であり、サンプリング点t=NTでの信号振幅の影響がその近傍のサンプリング点t=(N−1)T,(N+1)Tで小さく抑えられ、符号間干渉の影響を低減している。
【0048】
図3に示した等化回路5の特性を決定するパラメータとして遅延時間τと増幅率Kがある。それぞれ遅延時間τはマルチプレクサ306,308により、増幅率Kはマルチプレクサ310によりその値を変化させることができる。光ディスクの場合、ディスクの内周側と外周側とでの線速度の違いにより、光学的な周波数特性が異なる。すなわち、例えば記録線密度がディスクの内外周で同じで、記録マーク形状が同一である場合、空間的な周波数特性は同じであるが線速度が内周側と外周側で違うため、時間的な周波数特性は異なる。実際の多くの場合、記録線密度、記録マーク形状ともディスク内外周で異なるため、周波数特性は空間的にも時間的にも異なる。したがって、その最適な等化回路5の特性もディスク内外周で変化するため、ディスク上のトラックアドレスの値により、ディスク半径位置に対して遅延量τ,増幅率Kの設定を行う。この操作により、ディスク半径に関わらず、常に最適に近い等化条件を実現できる。
【0049】
以上、ここでは等化回路5のタップ数が3個の場合について説明したが、この個数はf(t)の波形での符号間干渉の範囲からその影響を十分低減できるように設計する必要がある。
【0050】
図5は図1におけるエッジタイミング検出回路13の1構成例を示した図であり、図6はその動作を説明した図である。
【0051】
二値化回路6の出力である、再生二値化信号7はインパルス信号発生回路501に入力される。このインパルス信号発生回路501は入力信号の極性が変わるタイミングごとにインパルス状の信号波形を出力し、この出力信号が極性反転タイミング信号15として判定回路16、およびA/D変換器502に入力される。
【0052】
一方、再生二値化信号7は増幅器で構成される積分回路503にも入力される。また、この積分回路503には再生二値化信号7での“H”レベルをVH、“L”レベルをVLとしたとき−(VH+VL)/2のレベルを表した積分基準信号504も入力される。そして、この積分回路503からは再生二値化信号7の積分基準信号504との差の積分信号505が検出され、A/D変換器502に入力される。
【0053】
また、コントローラからの信号である、特性測定モード信号506、および記録条件チェックモード信号507はOR回路508に入力され、その結果がフリップフロップ509に入力される。このフリップフロップ509には極性判定タイミング信号15もクロック信号として入力される。フリップフロップ509の出力は記録特性測定モード、あるいは記録条件チェックモードに入ってから最初の再生二値化信号7の立ち上がりを検知して間隔測定期間を表す信号としてアナログスイッチ510の切り替え端子に入力される。この信号によって特性測定時以外には、アナログスイッチ510は導通状態となり積分回路503の出力は0に初期化されている。そして特性測定が始まるとアナログスイッチ510は不通状態となり、積分回路503の動作が開始される。
【0054】
A/D変換器502は極性反転タイミング信号15をディジタル変換動作を行うタイミング用クロックとして使用して、入力信号である積分信号505をディジタル信号に変換する。変換結果は極性反転間隔信号14として出力され、判定回路16,17に入力される。A/D変換器502の変換精度、すなわち極性反転間隔信号14はその値がパルス間隔調整量として用いるだけの十分な精度を有し、かつオーバーフローが起こらないように、量子化精度、および各間隔の値を表すための桁数(ビット数)を有する。
【0055】
次に、図5のエッジタイミング検出回路13の動作を図6を用いて説明する。再生二値化信号7は二値化回路6の出力のディジタル信号であり、記録膜面上の照射光スポット位置に記録マークが有るか無いかにより、“H”または“L”のレベルをとる。この再生二値化信号7はインパルス信号発生回路501を通って、その極性が変わるタイミングでインパルス波形が割り当てられた極性反転タイミング信号15となり、判定回路16,17、A/D変換器502でのトリガ信号、および積分回路503の動作開始、終了タイミングを表す信号を作るのに使用される。
【0056】
特性測定モード信号506と記録条件チェックモード信号とがOR回路508を通った出力信号はこの回路の動作状態を表すディジタル信号であり、この回路が動作状態の時に“H”、それ以外の時に“L”のレベルをとる。この信号はフリップフロップ507において極性反転タイミング信号15を利用して正確な特性測定期間を求め、その期間積分回路503を動作させる。
【0057】
積分回路503では再生二値化信号7のパルス間隔が演算され、出力される。この積分回路503は一般にその入力信号をX(t)とした場合、出力信号Y(t)として、
【0058】
Y(t)=∫0 tX(τ)dτ+Y(0) …(数2)
が得られる。再生二値化信号7のパルス間隔をP1,P2,P3,……,PNで表すと、積分回路503の出力信号レベルV0 は極性反転タイミング信号15でのi番目のパルスが立ち上がる時点では、iが偶数の場合、
【0059】
V0=A(−P1+P2−P3+……−Pi−1) …(数3)
iが奇数の場合、
【0060】
V0=A(−P1+P2−P3+……+Pi−1) …(数4)
となる。ここで、上式中のAは積分回路503の増幅率で決まる定数である。すなわち、この時点での出力信号レベルは再生二値化信号7のパルス間隔について“H”レベルを負の値、“L”レベルを正の値で表したときのパルス間隔を積算した結果を表している。したがって、A/D変換器502により極性判定タイミング信号15を用いてその時点の積分信号レベルをディジタル値に変換し、その変換結果を極性反転間隔信号14として判定回路16に入力している。
【0061】
A/D変換機502の量子化精度は再生二値化信号のエッジ変動量を検出するのに十分なだけの精度が得られるよう設計する必要がある。また、この積分信号505、および極性判定間隔信号14は再生二値化信号7の累積数を表しているため、この値が常に積分回路503で使用できる範囲、かつA/D変換機502で変換できる範囲に収まるように特性測定用テストパターンを工夫する方が望ましい。
【0062】
図7は図1における記録パワー設定用判定回路16の1構成例である。この回路にはコントローラから特性測定モード信号506,パワー/パルス幅信号701、および記録条件チェックモード信号507が入力されている。特性測定モード信号506は特性測定モード時に“H”レベル、それ以外の時に“L”レベルを示す。パワー/パルス幅信号701は記録パワー探索モード時に“H”レベル、パルス幅調整用テーブル作成モード時に“L”レベルを示す。記録条件チェックモード信号507は記録条件チェックモード時に“H”レベル、それ以外の時は“L”レベルとなる。したがって、これらの信号がAND回路702、およびOR回路703を通った結果は記録パワー探索モード時、および記録条件チェックモード時に“H”レベルとなり、そのときカウンタ回路704,705、フリップフロップで構成されるラッチ回路706、およびフリップフロップ707、708のクリアレベルが解除となり、記録パワー設定用判定回路16が動作する。
【0063】
エッジタイミング検出回路13からの極性反転間隔信号14のデータが更新されるごとに加算回路709によりそのデータと、ラッチ回路706の出力データとの和が計算される。そして極性反転間隔信号14のデータ更新時と同じタイミングで送られてくる極性反転タイミング信号15が遅延素子710を通り、加算回路709での結果が求められたタイミングでラッチ回路706にクロック信号として入力される。ラッチ回路706ではその時点で加算結果をラッチし、その結果を次のクロックが入力されるまで出力信号として保持する。したがってこの出力信号はその時点までの極性反転間隔信号14の累積結果を表している。また極性反転間隔信号14は再生二値化信号7が“L”レベルの長さを正、“H”レベルの長さを負として表しているので、この累積結果は再生二値化信号の“H”レベルの長さと“L”レベルの長さの差の累積値を表している。
【0064】
また、遅延素子710の出力はカウンタ回路704にもクロック信号として入力される。そしてそのカウント数がデコーダ回路711に入力され、テストパターンの各パワー設定値ごとの繰り返し回数(正確にはパルス間隔数)C1に一致した時点でデコーダ回路711の出力が“H”レベルとなる。この信号はNOT回路712,AND回路713を通り、ラッチ回路706に入力されてその内容がゼロクリアされる。また、AND回路713の出力はカウンタ回路705、フリップフロップ707,708にもクロック信号として入力される。カウンタ回路705ではその出力値が1カウントアップされ、次の記録パワー設定値を示す。フリップフロップ707、708ではラッチ回路706がゼロクリアされる直前の出力データでの加算回路709,減算回路714,715の演算結果がラッチされる。
【0065】
加算回路709の出力信号のうちフリップフロップ707に入力されているのはMSB(Most Significant Bit)信号である。この信号は加算回路709の加算結果の符号を表しており、正の時は“L”、負の時には“H”となっている。すなわち、この信号は記録パワー設定値切り替え時から現時点までで、再生二値化信号の“L”レベルが“H”レベルより長い場合“L”となり、“H”レベルが“L”レベルよりも長いときには“H”となっている。したがってAND回路713の出力信号であるクロック信号によりフリップフロップ707でラッチしたデータが“L”の時は再生二値化信号で“L”レベルの方が“H”レベルよりも長く、そのデータの記録パワーが低かったことを意味している。また、逆に“H”レベルの時はそのときの記録パワーが高かったことを意味している。したがって記録パワーを徐々に上げて記録した記録特性測定用テストパターンを再生すると途中でこのデータが“L”から“H”に切り替わるので、そのときのカウンタ回路705の出力値を最適な記録パワーとして設定する。
【0066】
加算回路の出力信号は減算回路714,715にも入力される。減算回路714、および715ではもう一方の入力信号として記録条件チェックモード時での許容範囲の上限、および下限の値が設定されている。したがって両減算結果のMSB信号だけをAND回路716に入力することで、その出力信号として記録条件チェックモード時で許容範囲から外れている場合に“L”レベルが出力される。この信号はフリップフロップに入力され、AND回路の出力であるクロック信号が入力されたとき、すなわち記録条件チェック用のパターンが終了した時に判定結果としてラッチされ、コントローラ側に送られる。コントローラの方でこの信号が“L”レベルとなっているのを検出した場合、記録特性測定モードに入る手続きを行う。
【0067】
図8は図1におけるパルス幅設定用判定回路17の1構成例である。この回路にはコントローラから特性測定モード信号506、およびパワー/パルス幅信号701が入力されている。これらの信号がNOT回路801、およびAND回路802を通った結果はパルス幅調整用テーブル作成モード時に“H”レベルとなり、そのときカウンタ回路803,804、M−1段のシフトレジスタ805〜810、フリップフロップで構成されるラッチ回路811、およびフリップフロップ812,813のクリアレベルが解除となり、記録パワー設定用判定回路17が動作する。
【0068】
エッジタイミング検出回路13からの極性反転タイミング信号15はカウンタ回路803の入力信号となっており、パルス信号が入力されるごとにカウンタ回路803の出力データが1増加し、その値がROM回路814にアドレス信号として入力される。そしてそのときROM回路814からは対応するアドレスのデータが読み出され、加算回路815に入力される。この加算回路815には極性反転タイミング信号15のパルス信号と同時に更新された、エッジタイミング検出回路13からの極性反転間隔信号14も入力されており、それらの加算結果が出力される。
【0069】
ROM回路803には特性測定用テストパターンの“H”レベルの長さを正、“L”レベルの長さを負として、各極性反転位置までの累積値を表すデータがアドレス0から順に格納されている。すなわち、特性測定用テストパターンのパルス間隔をT1,T2,T3,……,TNで表すと、ROM回路803のアドレスi(i≦M)のデータRiはiが偶数の場合、
【0070】
Ri=A(T1−T2+T3+……+Ti−1) …(数5)
iが奇数の場合、
【0071】
Ri=A(T1−T2+T3+……−Ti−1) …(数6)
となる。また、そのパルス間隔の量子化精度は再生二値化信号7のパルス間隔を極性反転間隔信号14に変換したときの量子化精度と等しい。つまり、上式中のAは積分回路503の増幅率で決まる定数Aと等しい。そこで、例えば記録時と再生時のパルス間隔が等しい、すなわちP1=T1、P2=T2,……PN=TNの場合、ROM回路803に格納されたアドレスjのデータRjとパルス幅設定用判定回路17に入力されるj番目の極性反転間隔のデータV0とは符号が違い、絶対値が等しい関係にある。つまり、加算回路815のk番目の出力は記録パルス、再生二値化信号のパルスでの各先頭のパルスエッジ位置を0として、k番目の記録パルスのエッジ位置とk番目の再生二値化信号のパルスエッジの位置とのずれ量、すなわちエッジ変動量を表している。
【0072】
加算回路815の出力信号は加算回路816に入力され、シフトレジスタ805〜810の出力との加算が行われる。その結果はラッチ回路811に入力され、次にシフトレジスタ805〜810に入力される。シフトレジスタ805〜810とラッチ回路811とでリング状の記憶回路(M段)が構成されており、加算回路816により、エッジ変動量についてM個おきに累積値が計算され記憶される。パルス幅調整用ターブル作成モードでのテストパターン一周期中でのパルス間隔数がMなので、これにより、同じパターンごとに累積値が計算される。シフトレジスタ805〜810のクロック信号には極性反転タイミング信号が、そしてラッチ回路811のクロック信号には極性反転タイミング信号が遅延素子817を通った信号が入力され、計算結果が確定するのを待ってラッチを行う。
【0073】
加算回路815,816の演算結果でオーバーフローが発生した場合、各キャリー信号のレベルが“H”となる。これは光ディスク1の欠陥等で記録特性測定用パターンが正常に記録できなかった場所を検出した場合に発生する。この結果はOR回路818を通して一方でもオーバーフローが発生していた場合に測定エラーとして“H”レベルを発生させる。そして遅延素子817の出力信号をクロック信号としてフリップフロップ812に入力し、データが確定したタイミングでデータをラッチしてそのデータをコントローラ側に伝え、エラーが発生したときに特性測定を中止させる。
【0074】
カウンタ回路803の出力はデコーダ回路819にも入力される。デコーダ回路819ではカウンタ回路803の出力値がM−1になった時点で“H”レベルを出力する。その信号はNOT回路820、およびAND回路821を通ってカウンタ回路803のクリア信号として入力され、特性測定用テストパターンが1周期再生し終わるたびにカウンタ回路803を初期化する。
【0075】
デコーダ回路819の出力信号はカウンタ回路804にも入力され、再生した特性測定用テストパターンの周期数をカウントする。カウンタ回路804の出力はデコーダ回路822に入力され、特性測定用テストパターンが2^C2−1周期めに入った時にデコーダ回路822から“H”レベルが出力され、変換開始信号823としてデータ変換回路18にデータ送信開始を伝える。またデータ送信回路18にデータ送信が開始されるとデータ変換回路18では同時にパルス幅調整用テーブル19の更新を開始し、この時点でエラーが発生しても特性測定を中止させられないため、エラー信号はこの時点でデコーダ回路822の出力をNOT回路824、およびAND回路825によりマスクする。ただし、そのときにはフリップフロップ813,およびセレクタ回路826〜831により、エラーを含んだラッチ回路811の出力信号を出力される代わりに、前回までの累積値を出力するように制御している。この出力信号はエッジシフト信号832としてデータ変換回路18に送られる。
【0076】
また、その転送タイミングとして、セレクタ回路826〜831の出力データが確定したタイミング信号833として遅延素子817の出力をさらに遅延素子834を通してタイミングを遅らせた信号をつくり、データ変換回路18に送信している。
【0077】
図9は図1におけるデータ変換回路18、およびパルス幅調整用テーブル19の1構成例である。この回路にはパルス幅設定用判定回路17から変換開始信号823、エッジシフト信号832、およびタイミング信号833が入力されている。タイミング信号833でパルス信号が入力されるごとにカウンタ回路901の出力データが1増加し、その値がROM回路902〜904にアドレス信号として入力される。またこのカウンタ回路901の出力信号はデコード回路905に入力され、その値が1のとき、すなわち最初のタイミング信号のパルス波形入力を受けたときだけデコード回路905の出力は“H”レベルとなる。この信号はパルス幅調整用テーブル19のクリア端子に入力されており、デコーダ回路905の出力は“H”レベルとなったとき、すなわちテーブル更新がスタートする時点でテーブルの内容がゼロクリアされる。
【0078】
ROM回路902には特性測定用テストパターンのパルス間隔T1,T2,T3,……,TNの値が先頭アドレス+2(アドレス2)から順に格納されている。
【0079】
またROM回路903にはT1,T2,T3,……,TNの値が先頭アドレス+1(アドレス1)から順に格納され、ROM回路904にはT1,T2,T3,……,TNの値が先頭アドレス(アドレス0)から順に格納されている。ROM回路902のアドレス0,1、およびROM回路903のアドレス0にはデータ0が入っている(実際には記録パルス間隔で取り得ない任意の値で良い)。
【0080】
ROM回路902〜903の出力はゲート回路906〜907を通ってパルス幅調整用テーブル19にアドレス信号として入力される。一方、ROM回路904の出力はゲート回路908を通ってパルス幅調整用テーブル19にデータ信号として入力される。また同じROM回路904の出力信号が加算/減算回路909に入力され、パルス幅設定用判定回路17からのエッジシフト信号832と加算、もしくは減算が行われる。この加算/減算回路909にはカウンタ回路901出力信号のLSB(Least Significant Bit)がセレクタ信号として入力される。これはエッジシフト信号832の値が正の時のエッジシフト方向が交互に変わっているため、ここで1個ごとに加算と減算とを切り替えてエッジシフト方向を一定にするためである。この加算/減算回路909の出力はゲート回路910を通ってパルス幅調整用テーブル19にアドレス信号として入力されている。ゲート回路906〜908,910はエッジシフト信号832が送信されている最中はROM回路902〜904、および加算/減算回路909からの信号がこれらの出力信号としてパルス幅調整用テーブル19に送られる。また、パルス幅調整用テーブル19の前エッジ用、後ろエッジ用データを振り分けるためにタイミング信号833をNOT回路911,AND回路912,913を通して両方のパルス幅調整用テーブル19のチップセレクト端子に入力している。
【0081】
以上によりエッジシフト信号832からi番目のデータが入ってきたとき、そのエッジ変動量をei(スポット進行方向を正とする)と表すと、パルス幅調整用テーブル19のアドレス(T1−2,Ti−1,Ti+ei)にデータTiを代入する操作が行われる。したがって、実際にデータを記録する際に、例えばその記録パターン中にT1−2,Ti−1,Ti+eiなるパターンが現れた場合にはこのパルス幅調整用テーブル19のアドレス(T1−2,Ti−1,Ti+ei)を参照して、その位置に格納されているデータTiをTi+eiに変えて記録パルス間隔として使用する。その結果、記録マークはeiだけエッジシフトを起こして所望のパルス間隔Ti+eiとなり、エッジシフトの効果をキャンセルすることができる。
【0082】
ただし、特性測定用テストパターンのパルス間隔は一般に全ての場合を含む数だけ用意することは困難であり、実際にはこのパルス幅調整用テーブル19の空き領域を埋めて完成させるために、エッジシフト信号832を全て受信し終わった後にデータ内挿回路914を動作させる。この回路ではパルス幅調整用テーブル19の内容が0の部分をその近傍で0ではないデータを見つけ出して、内挿計算を行う。その計算が終了した時点でデータ内挿回路914はコントローラに特性測定/パルス幅調整用テーブル更新操作が完了したことを伝え、記録特性測定モードが終了する。
【0083】
図10は図1におけるパルス幅調整回路21、およびパルス幅調整用テーブル19の1構成例である。変調回路20の出力信号である記録データは符号変調後の符号“1”と“1”の間にある符号“0”の個数を定数倍したもので、その量子化精度はパルス幅調整用テーブル19の精度(すなわち、A/D変換機502の変換精度)と一致させておき、ラッチ回路1001,1002に入力される。この記録データは、ラッチ回路1001,1002にはクロック信号が交互に入力されており、データを双方で交互にラッチし、出力している。この出力信号は加算回路1003,1004において、その直前のエッジ位置調整量(スポット進行方向と逆向きが正)との加算が行われる。この操作で前回のエッジ位置調整分だけここで長めにパルス間隔をとることで、エッジ位置が変換前と同じ位置に来るようにしている。
【0084】
そしてこの加算回路1003,1004の出力データを用いてパルス幅調整用テーブル19を参照して調整後のパルス間隔を求めている。パルス幅調整用テーブル19を参照する際には、同時にラッチ回路1005,1006から前回のパルス間隔(調整後)、ラッチ回路1006,1005から前々回のパルス間隔(調整後)が入力されて調整後のパルス間隔決定用に用いられている。この出力信号はラッチ回路1007,1008でラッチ、保持される。
【0085】
そして、その出力信号はこの記録パルス幅を実現するため、変調回路20の出力である記録データの量子化精度を一周期としたクロック信号1009と共にダウンカウンタ回路1010,1011にそれぞれ初期値、およびクロックとして入力される。そして初期値をセットしてからその出力値が0になるまでの時間が記録パルス間隔であるので、OR回路1012,1013でダウンカウンタ回路1010,1011の出力値が0になるのを検出してNAND回路1014、およびフリップフロップ1015で両出力を合成して、パルスを生成してパルス信号1016としてレーザドライバ回路12に入力している。
【0086】
また、OR回路の出力はラッチ回路1001,1002,1005,1006にクロック信号として入力され、次のデータをラッチするタイミングとしている。またこの信号は遅延素子1017,1018を通してラッチ回路1007,1008にクロック信号として入力され、データが確定したタイミングでラッチを行っている。また、テーブル参照前の信号とテーブル参照後の信号の差がエッジ位置の調整量であり、この値を減算回路1019,1020で計算し、加算回路1004,1003に入力している。
【0087】
以上の回路により、記録データに対して、パルス幅調整用テーブル19を参照して、そのパルス間隔をパターンに応じて逐次調整している。
【0088】
図11は図1におけるレーザドライバ回路12の1構成例である。この図において半導体レーザ1101を駆動する回路はNPNトランジスタ1102、1103で構成される電流スイッチである。
【0089】
パルス信号1016はセレクタ回路1104に入力される。この回路には入力信号を選択する端子があり、コントローラからの信号が入力されて、その出力信号が選択されている。通常データを記録するときはパルス信号の方が出力信号として選択される。そして、記録特性測定モードのときだけもう一方の入力信号である、コントローラからのパルス幅調整用テストパターン、あるいは記録パワー探索用テストパターンのパルスが信号出力信号として選択される。
【0090】
この出力信号はECL(エミッタカップルドロジック)のAND回路1105に入力される。この回路の非反転信号、および反転信号はツェナーダイオード1106,1107によりレベルシフトした後、電流スイッチの構成要素であるトランジスタ1102,1103のベース端子に入力される。この電流スイッチではトランジスタ1103がオンになったときトランジスタ1108で設定される電流値の分だけ重畳される。トランジスタ1109の半導体レーザが再生レベルで点灯するだけの電流を供給するための電流源を構成している。一方トランジスタ回路1108は記録時に重畳される電流を設定するものであり、D/A変換器1110の出力電圧をトランジスタ1108のベース端子に印加し、トランジスタ1108のエミッタ端子と電圧−Vとの間の電位差を抵抗1111の値で割った値の電流が流れる。演算増幅器1112は電圧フォロアを構成しており、トランジスタ1108のベース−エミッタ間の電位差のばらつきを抑圧している。
【0091】
記録パワーはD/A変換器1110の入力データにより決まる。この値はセレクタ回路1113〜1116によりコントローラから設定された値、もしくはフリップフロップ1117の出力データの値に設定される。この選択を行う信号はコントローラから入力されている。通常のデータ記録時にはセレクタ回路1112〜1115によりフリップフロップ1117の出力データの値が選択され、記録パワー探索モードで特性測定用テストパターンを記録するときだけコントローラから設定された値が選択される。
【0092】
特性測定用テストパターン記録時にはまず、コントローラから設定値1がD/A変換器にセットされ、テストパターンを2^C1回繰り返すごとに設定値を1ずつ増加させ、徐々に記録パワーをあげていく。そしてその記録マークを再生し、エッジタイミング検出回路13、および記録パワー設定用判定回路16により何番目の記録パワーが最適であったかを求める。その番号をフリップフロップ1117に記憶させ、D/A変換器にセットすることで最適な記録パワーの設定が実現する。
【0093】
最適な記録パワーの番号はNAND回路1118,OR回路1119により記録パワー探索モードで記録パワーが確定したときにフリップフロップ1116がラッチするように、特性測定モード信号506,パワー/パルス幅信号701,記録パワー設定用判定回路16中のフリップフロップ707の出力を入力信号として用いる。
【0094】
以上が本発明の一実施例についての各構成要素の動作説明である。この記録パルスエッジ調整量算出方式を用いることで、同一記録パルスにおいてその前の記録パターンが違うために発生する、熱干渉による再生波形でのエッジ位置の変動分をなくすことができる。
【0095】
以上の実施例では記録線速度が一定の場合について説明した。しかし多くの光ディスクでは回転数一定となっているため、実際には記録半径によって線速度が異なり、記録特性も違ってくる。そして光ディスクの場合、ランダムアクセス性が要求されることを考慮すると、記録特性測定時にはディスク面上の線速度が異なる複数位置で特性測定用テストパターンを記録して検出操作を行う必要があり、そのためにパルス幅調整用テーブル19は複数用意しておく。
【0096】
この測定に用いる領域はディスクの内周側,外周側、およびその間からなる複数箇所を用いるが、その領域は特別に設けても、あるいは一般のデータ記録領域でも構わない。後者の場合ですでにその領域に記録データが存在するときには、他の空き領域を利用するか、もしくはその領域を使用するために該領域に書かれている情報を一時コントローラ内のメモリなど、別の場所に退避させる処理を行う。
【0097】
パルス幅設定用判定回路17ではテストパターンごと(1パルス間隔ごとではなく、連続した複数のパルス間隔の組合せごと)に分類してエッジ変動量の平均値を計算している。これは再生波形のエッジ位置が記録装置と記録媒体の組合せ、および線速度以外にさらに熱干渉のため該再生波形エッジに対応する記録時のレーザ光パルスエッジ近傍の記録パルスパターンにも依存しているためである。
【0098】
一般にある記録時のレーザパルスエッジに対応する再生波形のエッジ位置はその直前に記録されたパターンからの影響が大きい。それに比べ、その後の記録パルスパターンからの影響は小さく、記録媒体の熱伝導度が極端に大きい場合や、記録時の線速度が過度に小さく非常に熱干渉の影響が大きい場合、記録信号のエッジ間隔が極めて短い場合、および記録マーク形成時点での記録媒体の磁壁エネルギーの影響が大きい場合を除いてこの影響は無視できる。
【0099】
また前述の影響を及ぼす前側の記録パルスパターンの範囲は主にその長さで規定できる。これは線速度によって異なり、時間軸で考えると内周ほどその範囲は広くなるが、実際の系ではこの条件が悪い内周側に合わせるか、もしくは線速度によってその範囲を切り替えてもよい。また、この範囲は時間の長さとして扱うのは一般的に難しいため、多少冗長になるが、記録パターンの個数で扱い、その量を最悪条件、すなわち最小極性反転間隔のパターンが連続した場合の影響個数で決定する方がよい。したがってこの実施例ではこの範囲を記録パターンの個数を3個とした場合の例について説明した。
【0100】
この記録特性測定操作は装置の電源を入れたとき、ディスクを交換したとき、および毎データ記録時に行う記録条件のチェック時にエラー(すなわち記録条件が設定値から外れた事)を検出したときに行うように設計する。また、しばらく記録動作がない場合には定期的にこの操作を行うように設計した方が望ましい。
【0101】
本発明は、書換えが可能であり、その原理が熱を用いた記録方法がある、あらゆる情報記録方式、および記録媒体にあてはまる記録パワーや記録パルス間隔という記録条件の制御に関する基本的な方式に関する記述である。特に熱拡散効果が高く、かつ記録条件に敏感、すなわち記録パワーや環境温度、記録媒体の構成、および記録装置の特性等のわずかな変化で記録特性の差として現れる様な記録方式、および記録媒体の場合、記録データの信頼性を確保する上で有効である。
【0102】
例えば光磁気ディスク、および交換結合力を利用した、重ね書きが可能な光磁気ディスク、重ね書きが可能な相変化を利用した光ディスクなどにおいて特に有用である。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、熱干渉による再生信号のエッジ位置に関する変動分をなくすことができる。また各記録媒体と記録装置との組合せが変わる事に必ず、しかも時間の経過と共にときどきこの記録特性を測定し、更新するため、常に最適な記録条件を実現しており、マーク長記録を用いた、より高密度な記録が製作時の厳密な調整なしに容易に実現でき、しかも記録データに関する信頼性を大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】記録特性測定モードで使用される特性検出用テストパターン波形の1例を示す図。
【図3】等化回路の1構成例を示す図。
【図4】等化回路の動作説明図。
【図5】エッジタイミング検出回路の1構成例を示す図。
【図6】エッジタイミング検出回路の動作説明図。
【図7】記録パワー設定用判定回路の1構成例を示す図。
【図8】パルス幅設定用判定回路の1構成例を示す図。
【図9】データ変換回路、およびパルス幅調整用テーブルの1構成例を示す図。
【図10】パルス幅調整回路、およびパルス幅調整用テーブルの1構成例を示す図。
【図11】レーザドライバ回路の1構成例を示す図。
【符号の説明】
1…光ディスク、2…スピンドルモータ、3…光ピックアップ、4…増幅器、5…等化回路、6…二値化回路、7…再生二値化信号、8…PLL(フェーズ・ロック・ループ)回路、9…復調回路、12…レーザドライバ、13…エッジタイミング検出回路、14…極性反転間隔信号、15…極性反転タイミング信号、16…記録パワー設定用判定回路、17…パルス幅設定用判定回路、18…データ変換回路、19…パルス幅調整用テーブル、20…変調回路、21…パルス幅調整回路21、301…電圧フォロア、302…遅延素子、305…加算回路、306…マルチプレクサ、307…加算反転増幅回路、308…マルチプレクサ、501…インパルス信号発生回路501、502…A/D変換器、503…積分回路、504…積分基準信号、505…積分信号、506…特性測定モード信号、507…記録条件チェックモード信号、509…フリップフロップ、510…アナログスイッチ、701…パワー/パルス幅信号、704,705…カウンタ回路、706…ラッチ回路、707,708…フリップフロップ、709…加算回路、710…遅延素子、711…デコーダ回路、714,715…減算回路、803,804…カウンタ回路、805〜810…シフトレジスタ、811…ラッチ回路、812,813…フリップフロップ、814…ROM回路、815,816…加算回路、817…遅延素子、819,822…デコーダ回路、823…変換開始信号、826〜831…セレクタ回路、832…エッジシフト信号、833…タイミング信号、834…遅延素子、901…カウンタ回路、902〜904…ROM回路、905…デコード回路、906〜908、910…ゲート回路、909…加算/減算回路、914…データ内挿回路、1001,1002,1003〜1008…ラッチ回路、1003,1004…加算回路、1009…クロック信号、1010,1011…ダウンカウンタ回路、1015…フリップフロップ、1016…パルス信号、1017,1018…遅延素子、1019,1020…減算回路、1101…半導体レーザ、1102,1103,1108,1109…トランジスタ、1104…セレクタ回路、1106,1107…ツェナーダイオード、1110…D/A変換器、1112…演算増幅器、1113〜1116…セレクタ回路、1117…フリップフロップ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル信号を光ディスク等の記録媒体に情報を記録再生する装置に係り、特に記録媒体と記録装置との組合せによる記録特性に基づいて記録信号を制御することにより、記録情報の高密度化,転送速度の高速化、および信頼性の向上を実現するのに好適な記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル信号を記録媒体上に記録する手段の1つとして光ディスク装置がある。光ディスクはレーザ光をレンズにより記録面上に集光し、その強度を記録すべき情報に対応して変化させ、該レーザ光が当たっている領域の記録膜の反射率、あるいは光磁気記録の場合、磁化方向を外部磁化等により変化させることで情報の記録を行うものである。その記録された情報を再生する場合には、記録の時よりも弱い強度のレーザ光を照射し、記録膜からの反射光からその光量変化、あるいは磁化方向の違いによる偏光面回転を検出することにより行う。記録密度は主に記録面上に集光されるレーザ光のスポットの大きさにより決まり、その大きさが現在約1μm程度と小さいため、磁気ディスクの約10倍程度の高密度記録が実現できる。
【0003】
また、照射光パワーを変調して記録した記録マークの前側、および後側の位置で情報を表すマーク長記録方式は、1個の記録マークに2個以上のデータを記録するため、記録の高密度化を実現するのに有効な方式である。
【0004】
このように光ディスクに情報を高密度に情報の記録再生を行うマーク長記録方式おいて、情報の高信頼性を実現するためにデータの記録時、および再生時にいろいろな信号処理が行われている。
【0005】
例えば、一般に記録時の照射光パワーが小さいと形成される記録マーク形状が不安定になり易い。また記録線速度が異なれば、単位面積当りに加えられる熱量、および熱分布が変わるため、記録マーク形状が異なる。したがって、実際には安定な記録マーク形状を形成して記録再生を行うため、「PbTbSe膜へのピットエッジ記録の適用」(電子通信学会創立70周年記念総合全国大会講演論文集,p4−176)では、記録照射光パルスは大きめに設定し、その線速度に応じてマーク長の過剰分がなくなるように記録時にレーザパルス長を短くしたり、再生時に二値化後の信号においてパルスの長さを削るなどの調整を行っている。
【0006】
また、一般に記録されたマークの形状は主にその記録媒体の記録感度、熱伝導度、および記録に用いる集光されたレーザ光の強度分布、波面収差等に依存し、記録装置と記録媒体の組合せが変わるとその特性が変化する。さらに装置側の記録時照射光パワーのレベルは時間と共に変化する。この現象はレーザーパワー自動制御機構(APC)が設けられている場合でもある範囲の変動分は避けられず、この要因によっても記録再生特性の変動が起こる。この変動は記録時の記録マーク長の変動、そして再生時の再生信号のパルス間隔変動につながる。
【0007】
そのため、記録補正量,記録光パワーが装置出荷時にあらかじめ一定値に設定されている場合、これらの設定仕様は、数多くの記録媒体と記録装置の組合せで記録再生特性を測定した上で決定する。そのとき、組合せの違いによる記録再生特性のばらつき範囲を考慮した上で、あらゆる場合に検出時での信頼性を保証するため、記録密度に関して大きな余裕を持たせ、記録密度を犠牲にしている。
【0008】
そこで、この記録媒体と記録装置の組合せによる特性のばらつき分を吸収し、記録高密度化を図るため、あらかじめ試験パターンを記録してその再生信号により記録条件調整用の情報を得る方法が提案されている。例えば特開昭61−239441号記載の装置では記録時の一定値である照射光パワーレベルを、特開昭61−74178号記載の装置では記録パルス幅に関する一定の調整量を、また特開昭61−304427号記載の装置ではその両者、および再生時の自動等化係数を同時に調整している。
【0009】
また、光ディスクは基本的に熱拡散を用いた記録方式のため、記録マークに対応する前後複数の記録パルスによる熱分布が拡散することで発生する記録マーク形状の変化する現象(以下、熱干渉と呼ぶ)が存在する。この現象も再生時の再生信号のパルス間隔変動につながる。したがって記録時に最適な補正を行うためにはこの熱干渉の影響も考慮する必要がある。この対策として特開昭63−48617号記載の記録方式では各記録パルス幅をその直前の記録パルスまでの間隔に応じて変化させている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち、直前の記録パルスまでの間隔に応じた記録パルス幅の調整方法では、以下のような問題点がある。
【0011】
すなわち、記録マーク形状、および記録マーク同士の間隔が、記録膜面上に集光したレーザスポットの大きさと同じ大きさ程度にまで記録の高密度化を実現しようとした場合、光ディスクの熱干渉が影響を及ぼす範囲は使用する最短の記録マーク長よりも大きい。つまり、記録照射光パルスの複数個の記録パルス間隔の長さが一つの記録マークのエッジ位置の変動量に影響を与える。特に、レーザ光の強度に対する記録感度が高く、低いレーザパワーでも記録できるような記録媒体の場合、一般に熱伝導度が大きく、この熱干渉による影響を及ぼす範囲が大きい。
【0012】
さらに、この記録パルス間隔の調整方法はその調整量に関する情報はあらかじめ設定されている値を使用するため、記録特性の変動に関する調整量の変更ができず、記録特性が設定時とずれている分だけ、調整に誤差として現れ、正確な調整にはならなくなる。
【0013】
一方、前述の記録条件調整用の情報を得る方法では、その記録照射光パワー、および記録パルス幅の調整量は単一の値であり、熱干渉による記録マーク長や変動を低減することはできない。
【0014】
従来、符号間干渉成分に対する対策として、通信や磁気記録の分野では、再生側でトランスバーサルフィルタ等の線形等化器が一般に用いられている。これは、信号再生系の周波数帯域が狭いために、再生信号パルスの裾が広がり、近傍の波形に重畳して発生する線形な符号間干渉を低減するものである。
【0015】
ところが、前述の熱拡散による影響は、再生時には主に波形の時間方向のずれ、という形で現れる。これは単純に記録情報に応じた基本波形の線形な重ね合わせとしては表現できない、非線形の符号間干渉成分である。したがって、この記録時に生じる熱干渉によるエッジ位置変動成分は線形等化器では対応できず、再生側の方でこの干渉成分に実時間で対応することは実際には非常に困難である。
【0016】
以上のような理由で、従来の方式では記録特性変動に関して対応ができていても、熱干渉の影響による記録マーク長の変動が全く低減できていないか、あるいは熱干渉の影響による記録マーク長の変動に調整誤差が存在し、かつ記録特性変動には全く対応できない。特に、熱伝導が大きい記録媒体を用いる光磁気記録でのマーク長記録においては、これらの変動成分は大きく、その分の余裕を設けるため、記録密度を大きく犠牲にせざるを得ない。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、記録再生を行おうとしている記録媒体と記録装置との組合せにおいて、様々な記録パターンを必要に応じたタイミングで記録媒体上の複数の領域に記録し、その記録データを再生することで記録特性を測定し、その測定結果から記録パルス間隔調整量に関するデータ表を作成し、そのデータ表に基づいて、各記録パルス間隔ごとに、それまでに変換して得られている、直前の複数個の記録照射光パルス間隔を使用して、パルスの前エッジ,および後エッジの調整量を順次求め、割り当てて記録照射光パルス間隔とすることで、所望の記録マーク長、および再生信号のパルス間隔を得ることを特徴とする。本発明によれば、マーク長記録による高密度記録のための、より正確な記録マークのエッジ位置制御を実現できる。
【0018】
記録再生を行おうとしている記録媒体と記録装置との組合せにおいて、その記録特性を事前に測定して、その結果に基づいて各記録パルスに対してその直前の記録パターン列も考慮したパルスの前エッジ、および後エッジの補正量を逐次割当てていくことで、記録媒体と記録装置の組合せの違いによる記録特性の違い、および熱干渉の影響による記録パターン列が違った場合の記録マーク長のばらつきを吸収することができる。
【0019】
また、記録媒体上の異なる領域で測定した複数の記録特性を利用することで、線速度が異なる場所での記録補正も行うことができる。
【0020】
また、装置の使用を開始したとき、および記録媒体を交換したとき、および一定の時間ごと、あるいは記録膜上の温度変化、および記録照射光パワーの変化に応じたタイミングで上記記録特性の測定を行うことで、経時的に記録装置側の特性が変化する分も吸収することができる。
【0021】
以上により、マーク長記録による高密度記録での、より正確な記録マークのエッジ位置制御が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例を図面とともに説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。また、図3から図11までは、図1中の要素についてさらに詳しくその構成を示した図である。また、この構成例では、熱干渉により一ヵ所の記録マークのエッジ位置の変動量に影響を与え、エッジ変動量低減のために考慮する必要がある記録照射光パルス間隔数が、記録照射光パルスの対応するエッジタイミング以前の3個の場合について、説明を行うが、本発明はこれに限定されない。
【0024】
図1において、光ディスク1はスピンドルモータ2により一定角速度で回転しており、光ピックアップ3により記録再生用のレーザ光が絞り込みレンズでディスク1上の記録膜面に集光される。光ピックアップ3は情報の記録位置に対応してディスク半径方向に移動できるようになっている。
【0025】
光ピックアップ3中の検出器により検出された信号は、増幅器4により所望のレベルに増幅された後、等化回路5により、記録面のレーザ光集光位置での光ディスクの回転線速度に応じて波形の等化が行われる。この後、二値下回路6によりディジタル信号である再生二値化信号7に変換される。情報再生時には、この再生二値化信号7がPLL(フェーズ・ロック・ループ)回路8によりデータ信号とクロック信号とに分離され、復調回路9により再生データとなる。
【0026】
以上の部分が、マーク長記録方式を採用した光ディスクシステムにおけるデータ再生信号処理系である。この再生信号処理系以外に、記録特性を検出して記録時のパルス間隔調整量、および記録パワーを算出したり更新したりする記録特性測定モード時と、データ記録時に各セクタごとのデータの前に記録される記録条件チェック用のパターンを用いて、その時の記録パワーや、環境温度などの記録条件のチェックを行う記録条件チェックモード時に動作する記録特性測定系がある。この測定系はこの光ディスクシステム全体の制御を行っているコントローラから指令されて、記録特性測定モード時、および記録条件チェックモード時に動作する。
【0027】
記録特性測定モードには、パルス幅調整用テーブル作成モードと記録パワー探索モードの2種類がある。記録特性測定モード時には、最初に記録パワー探索モードが実行され、その後にパルス幅調整用テーブル作成モードが続けて実行される。この両モードとも、それぞれ専用のテストパターン、および記録パワー探索モードには記録パワーレベルがコントローラからレーザドライバ12に入力され、これらの信号に対応して光ピックアップ3内のレーザが変調される。そのレーザ光が光ピックアップ3から光ディスク面上に集光され、テスト信号が記録される。そして、そのテスト信号に対応する記録マークの再生信号を用いて、記録特性測定系で特性検出、変更操作が行われる。
【0028】
以下、記録特性測定系について説明する。
【0029】
記録特性測定モード時、および記録条件チェックモード時においても、二値化回路6までの動作は通常のデータ再生時と同じであり、テスト信号に対する再生二値化信号7が得られる。再生二値化信号7は、エッジタイミング検出回路13に入力され、ディジタル信号である極性反転間隔信号14、およびパルス信号である極性反転タイミング信号15とに変換される。このエッジタイミング検出回路13は、パルス幅調整用テーブル作成モード,記録パワー探索モード、および記録条件チェックモードで同じ動作を行う。極性反転間隔信号14は、再生二値化信号7での極性が変わる間隔の長さ情報をディジタル値で表現したものであり、極性反転タイミング信号15は、再生二値化信号7の極性が変わるタイミングにパルス状の波形を割り当てたものである。
【0030】
エッジタイミング検出回路13の出力信号は記録パワー設定用判定回路16、およびパルス幅設定用判定回路17に入力される。記録パワー設定用判定回路16は記録パワー探索モード時、および記録条件チェックモード時に、パルス幅設定用判定回路17はパルス幅調整用テーブル作成モード時に動作する。
【0031】
記録パワー設定用判定回路16は、各記録パワー設定値ごとに再生信号のデューティ(厳密には二値化後の再生信号に関する立ち上がり−立ち下がり間隔と立ち下がり−立ち上がり間隔との差の平均値)を算出する。記録パワー探索モード時にはさらに算出結果と同時にそのデータの記録パワー設定値をレーザドライバ12に送信し、レーザドライバ12ではデューティが50%になるときの記録パワー設定値を設定する。記録条件チェックモード時にはその結果が一定範囲に入っているかどうかを調べ、その結果をコントローラに送信する。コントローラではこの信号を受けて一定範囲内でない場合に記録特性測定モードに入る手続きを行う。
【0032】
パルス幅設定用判定回路17は、各パターンごとにエッジ変動量の平均値を算出する。この回路には特性測定用テストパターンの各パルス間隔情報を含むデータが参照用データとして内部ROMに時系列順に並べて記憶されている。極性反転間隔信号14が受信されるたびに、この参照用データを用いてエッジ変動量に変換される。そして、同じ記録パターンごとの変換結果の累積値が内部に記憶される。また、記録媒体の欠陥等による検出信号のエラーはこの回路内で自動的に検出され、エラーが起こったことをコントローラに伝えられる。エラーが起こらなかった場合、極性反転間隔信号14の受信終了時点に記憶されている加算結果からエッジ変動量の平均値が算出され、データ変換回路17に送信される。
【0033】
データ変換回路17はパルス幅調整用テーブル作成モード時に動作する回路で、判定回路17から送信されたエッジ変動量のデータを基にパルス幅調整用テーブル19を作成する。
【0034】
以上、エッジタイミング検出回路13からデータ変換回路17までが光ディスクシステム中の記録特性を検出し、記録時のパルス間隔調整量、および記録パワーの算出,更新、および各記録時に記録条件のチェックを行う回路系である。
【0035】
通常の情報記録時には変調回路20で符号変調されてきたデータに対し、パルス幅調整回路21においてパルス幅調整用テーブル19を参照しながら各記録パルスごとにその立ち上がり位置、および立ち下がり位置の調整量を求め、修正する。そしてその記録パルスをレーザドライバ回路12に入力して、これに対応させて光ピックアップ3内のレーザを変調させ、ディスク1上に記録する。
【0036】
図2は記録特性測定モードで使用される特性検出用テストパターン波形の1例である。図2(a)は記録パワー探索モード用の波形で、マーク長記録に使用される最短の記録パルス間隔の繰り返しである。そして所定の繰り返し回数ごとにその記録パワー設定値を徐々に変え、記録パワーをあげる。この記録パワー変更範囲は、装置の使用環境が保証範囲内である限り、最適な記録パワー時の信号振幅が含まれるように設定しておく。
【0037】
一般のデータを記録する時に、通常各セクタごとにデータの前に記録する記録条件チェック用のパターンにもこの波形を使用する。ただし、そのときは記録パワー設定値は既に設定されたまま変化させない。また、この実施例中では簡単のため、その繰り返し回数も記録パワー探索時の各記録パワーでの繰り返し回数と一致させておく。
【0038】
図2(b)はパルス幅調整用テーブル作成モード用の波形であり、パルス間隔の長さの連続した3個の組合せが異なる複数のパターンが含まれた波形である。通用はこの組合せの数は多いほど正確な記録パルス調整用テーブルを作成することができる。パルス幅調整用テーブル作成モード時にはこのパターンを繰り返して記録し、算出されるエッジ変動量に関して平均値操作を行い、測定精度の向上を計る。
【0039】
なお、ここでは記録パワー探索モード時の特性測定用テストパターンの各記録パワーでのくり返し数を2^C2回,記録パワーの刻み数をS2,パルス幅調整用テーブル作成モード時の特性測定用テストパターン一周期中に含まれるパルス間隔数をS1、その繰り返し記録回数を2^C1回として説明を行う。
【0040】
なお図1において、光ディスク1,スピンドルモータ2,光ピックアップ3,増幅器4,二値化回路6,PLL回路8,復調回路9については従来の光ディスク装置に用いられている構成、機能のもので良く、その詳細説明は省略する。
【0041】
以下、その他の構成要素について説明する。
【0042】
図3は等化回路5の1構成例を示した図であり、図4はその動作を説明した図である。ここではタップ数を3個にした場合の等化回路について説明する。図3において、増幅器4で増幅されたデータ信号は、演算増幅器による電圧フォロア301によって低インピーダンスの信号に変換され、遅延素子302へ入力される。その前後にある抵抗303,304は遅延素子302の特性インピーダンスと整合をとるためのものである。
【0043】
遅延素子302で遅延された信号のうち、その中央のタップ位置からの出力信号である中央タップ信号は増幅器で構成される加算回路305に直接入力される。中央のタップ位置よりも遅延線入力側に近いタップ位置からの出力はマルチプレクサ306によりその中の一つが選択され、加算反転増幅回路307に入力される。同様に中央のタップ位置よりも遅延線入力側から遠いタップ位置からの出力はマルチプレクサ308によりその中の一つが選択され、加算反転増幅回路307に入力される。加算反転増幅回路307での増幅率は帰還抵抗309の値をマルチプレクサ310により切り替えて可変としている。加算反転増幅回路307の出力信号は加算回路305に入力され、等化回路5の出力信号として、二値化回路6への入力となる。
【0044】
次に、図3の等化回路5の動作を図4を用いて説明する。図4においてf(t)は図3に示した等化回路5へ入力されるデータ信号に対応する波形であり、ここでは理解し易いように孤立の記録マークに対する再生信号を表している。一般に光ディスクでは光スポットの大きさが有限のある大きさを持っていて、記録マークの大きさと比べて無視できない。そのため、例えば記録膜面上で光スポットの中心が記録マークのない位置にあっても、光スポットの端の方が隣接する記録マークの一部分にかかってしまう場合があり、再生信号の振幅に隣接波形の干渉成分として現れる。これが光学的な周波数帯域が低いために発生する符号間干渉である。また、再生信号検出系の特性も高周波側が低下しており、符号間干渉の要因となっている。
【0045】
これらの符号間干渉は、データ信号f(t)においてサンプリング点t=NTでの信号振幅の立ち上がり、立ち下がりが遅いため、その成分が近傍のサンプリング点t=(N−1)T,(N+1)Tでも信号振幅として残るという形で再生信号に現れる。記録マークが複数存在し、このような波形が重なっている一般の再生波形では、この符号間干渉は再生信号の振幅劣化を引き起こし、重畳している雑音の影響などで信号判定を誤り易くしている。
【0046】
図3の等化回路5はこのような高周波側での特性低下を補償し、符号間干渉の影響を低減する効果を持つ。図4(a)において、遅延素子302の出力信号は中央タップ信号をf(t)とした場合、それぞれf(t)を±τだけ遅延させた信号f(t−τ),f(t+τ)に当たる。これらの遅延素子302の出力信号は加算反転増幅回路307、および加算回路305での信号処理により、
【0047】
f(t)−K{f(t−τ)+f(t+τ)} …(数1)
の演算を行い、その結果、図4(b)のような出力信号が得られている。この信号波形はf(t)の波形と比べて急峻であり、サンプリング点t=NTでの信号振幅の影響がその近傍のサンプリング点t=(N−1)T,(N+1)Tで小さく抑えられ、符号間干渉の影響を低減している。
【0048】
図3に示した等化回路5の特性を決定するパラメータとして遅延時間τと増幅率Kがある。それぞれ遅延時間τはマルチプレクサ306,308により、増幅率Kはマルチプレクサ310によりその値を変化させることができる。光ディスクの場合、ディスクの内周側と外周側とでの線速度の違いにより、光学的な周波数特性が異なる。すなわち、例えば記録線密度がディスクの内外周で同じで、記録マーク形状が同一である場合、空間的な周波数特性は同じであるが線速度が内周側と外周側で違うため、時間的な周波数特性は異なる。実際の多くの場合、記録線密度、記録マーク形状ともディスク内外周で異なるため、周波数特性は空間的にも時間的にも異なる。したがって、その最適な等化回路5の特性もディスク内外周で変化するため、ディスク上のトラックアドレスの値により、ディスク半径位置に対して遅延量τ,増幅率Kの設定を行う。この操作により、ディスク半径に関わらず、常に最適に近い等化条件を実現できる。
【0049】
以上、ここでは等化回路5のタップ数が3個の場合について説明したが、この個数はf(t)の波形での符号間干渉の範囲からその影響を十分低減できるように設計する必要がある。
【0050】
図5は図1におけるエッジタイミング検出回路13の1構成例を示した図であり、図6はその動作を説明した図である。
【0051】
二値化回路6の出力である、再生二値化信号7はインパルス信号発生回路501に入力される。このインパルス信号発生回路501は入力信号の極性が変わるタイミングごとにインパルス状の信号波形を出力し、この出力信号が極性反転タイミング信号15として判定回路16、およびA/D変換器502に入力される。
【0052】
一方、再生二値化信号7は増幅器で構成される積分回路503にも入力される。また、この積分回路503には再生二値化信号7での“H”レベルをVH、“L”レベルをVLとしたとき−(VH+VL)/2のレベルを表した積分基準信号504も入力される。そして、この積分回路503からは再生二値化信号7の積分基準信号504との差の積分信号505が検出され、A/D変換器502に入力される。
【0053】
また、コントローラからの信号である、特性測定モード信号506、および記録条件チェックモード信号507はOR回路508に入力され、その結果がフリップフロップ509に入力される。このフリップフロップ509には極性判定タイミング信号15もクロック信号として入力される。フリップフロップ509の出力は記録特性測定モード、あるいは記録条件チェックモードに入ってから最初の再生二値化信号7の立ち上がりを検知して間隔測定期間を表す信号としてアナログスイッチ510の切り替え端子に入力される。この信号によって特性測定時以外には、アナログスイッチ510は導通状態となり積分回路503の出力は0に初期化されている。そして特性測定が始まるとアナログスイッチ510は不通状態となり、積分回路503の動作が開始される。
【0054】
A/D変換器502は極性反転タイミング信号15をディジタル変換動作を行うタイミング用クロックとして使用して、入力信号である積分信号505をディジタル信号に変換する。変換結果は極性反転間隔信号14として出力され、判定回路16,17に入力される。A/D変換器502の変換精度、すなわち極性反転間隔信号14はその値がパルス間隔調整量として用いるだけの十分な精度を有し、かつオーバーフローが起こらないように、量子化精度、および各間隔の値を表すための桁数(ビット数)を有する。
【0055】
次に、図5のエッジタイミング検出回路13の動作を図6を用いて説明する。再生二値化信号7は二値化回路6の出力のディジタル信号であり、記録膜面上の照射光スポット位置に記録マークが有るか無いかにより、“H”または“L”のレベルをとる。この再生二値化信号7はインパルス信号発生回路501を通って、その極性が変わるタイミングでインパルス波形が割り当てられた極性反転タイミング信号15となり、判定回路16,17、A/D変換器502でのトリガ信号、および積分回路503の動作開始、終了タイミングを表す信号を作るのに使用される。
【0056】
特性測定モード信号506と記録条件チェックモード信号とがOR回路508を通った出力信号はこの回路の動作状態を表すディジタル信号であり、この回路が動作状態の時に“H”、それ以外の時に“L”のレベルをとる。この信号はフリップフロップ507において極性反転タイミング信号15を利用して正確な特性測定期間を求め、その期間積分回路503を動作させる。
【0057】
積分回路503では再生二値化信号7のパルス間隔が演算され、出力される。この積分回路503は一般にその入力信号をX(t)とした場合、出力信号Y(t)として、
【0058】
Y(t)=∫0 tX(τ)dτ+Y(0) …(数2)
が得られる。再生二値化信号7のパルス間隔をP1,P2,P3,……,PNで表すと、積分回路503の出力信号レベルV0 は極性反転タイミング信号15でのi番目のパルスが立ち上がる時点では、iが偶数の場合、
【0059】
V0=A(−P1+P2−P3+……−Pi−1) …(数3)
iが奇数の場合、
【0060】
V0=A(−P1+P2−P3+……+Pi−1) …(数4)
となる。ここで、上式中のAは積分回路503の増幅率で決まる定数である。すなわち、この時点での出力信号レベルは再生二値化信号7のパルス間隔について“H”レベルを負の値、“L”レベルを正の値で表したときのパルス間隔を積算した結果を表している。したがって、A/D変換器502により極性判定タイミング信号15を用いてその時点の積分信号レベルをディジタル値に変換し、その変換結果を極性反転間隔信号14として判定回路16に入力している。
【0061】
A/D変換機502の量子化精度は再生二値化信号のエッジ変動量を検出するのに十分なだけの精度が得られるよう設計する必要がある。また、この積分信号505、および極性判定間隔信号14は再生二値化信号7の累積数を表しているため、この値が常に積分回路503で使用できる範囲、かつA/D変換機502で変換できる範囲に収まるように特性測定用テストパターンを工夫する方が望ましい。
【0062】
図7は図1における記録パワー設定用判定回路16の1構成例である。この回路にはコントローラから特性測定モード信号506,パワー/パルス幅信号701、および記録条件チェックモード信号507が入力されている。特性測定モード信号506は特性測定モード時に“H”レベル、それ以外の時に“L”レベルを示す。パワー/パルス幅信号701は記録パワー探索モード時に“H”レベル、パルス幅調整用テーブル作成モード時に“L”レベルを示す。記録条件チェックモード信号507は記録条件チェックモード時に“H”レベル、それ以外の時は“L”レベルとなる。したがって、これらの信号がAND回路702、およびOR回路703を通った結果は記録パワー探索モード時、および記録条件チェックモード時に“H”レベルとなり、そのときカウンタ回路704,705、フリップフロップで構成されるラッチ回路706、およびフリップフロップ707、708のクリアレベルが解除となり、記録パワー設定用判定回路16が動作する。
【0063】
エッジタイミング検出回路13からの極性反転間隔信号14のデータが更新されるごとに加算回路709によりそのデータと、ラッチ回路706の出力データとの和が計算される。そして極性反転間隔信号14のデータ更新時と同じタイミングで送られてくる極性反転タイミング信号15が遅延素子710を通り、加算回路709での結果が求められたタイミングでラッチ回路706にクロック信号として入力される。ラッチ回路706ではその時点で加算結果をラッチし、その結果を次のクロックが入力されるまで出力信号として保持する。したがってこの出力信号はその時点までの極性反転間隔信号14の累積結果を表している。また極性反転間隔信号14は再生二値化信号7が“L”レベルの長さを正、“H”レベルの長さを負として表しているので、この累積結果は再生二値化信号の“H”レベルの長さと“L”レベルの長さの差の累積値を表している。
【0064】
また、遅延素子710の出力はカウンタ回路704にもクロック信号として入力される。そしてそのカウント数がデコーダ回路711に入力され、テストパターンの各パワー設定値ごとの繰り返し回数(正確にはパルス間隔数)C1に一致した時点でデコーダ回路711の出力が“H”レベルとなる。この信号はNOT回路712,AND回路713を通り、ラッチ回路706に入力されてその内容がゼロクリアされる。また、AND回路713の出力はカウンタ回路705、フリップフロップ707,708にもクロック信号として入力される。カウンタ回路705ではその出力値が1カウントアップされ、次の記録パワー設定値を示す。フリップフロップ707、708ではラッチ回路706がゼロクリアされる直前の出力データでの加算回路709,減算回路714,715の演算結果がラッチされる。
【0065】
加算回路709の出力信号のうちフリップフロップ707に入力されているのはMSB(Most Significant Bit)信号である。この信号は加算回路709の加算結果の符号を表しており、正の時は“L”、負の時には“H”となっている。すなわち、この信号は記録パワー設定値切り替え時から現時点までで、再生二値化信号の“L”レベルが“H”レベルより長い場合“L”となり、“H”レベルが“L”レベルよりも長いときには“H”となっている。したがってAND回路713の出力信号であるクロック信号によりフリップフロップ707でラッチしたデータが“L”の時は再生二値化信号で“L”レベルの方が“H”レベルよりも長く、そのデータの記録パワーが低かったことを意味している。また、逆に“H”レベルの時はそのときの記録パワーが高かったことを意味している。したがって記録パワーを徐々に上げて記録した記録特性測定用テストパターンを再生すると途中でこのデータが“L”から“H”に切り替わるので、そのときのカウンタ回路705の出力値を最適な記録パワーとして設定する。
【0066】
加算回路の出力信号は減算回路714,715にも入力される。減算回路714、および715ではもう一方の入力信号として記録条件チェックモード時での許容範囲の上限、および下限の値が設定されている。したがって両減算結果のMSB信号だけをAND回路716に入力することで、その出力信号として記録条件チェックモード時で許容範囲から外れている場合に“L”レベルが出力される。この信号はフリップフロップに入力され、AND回路の出力であるクロック信号が入力されたとき、すなわち記録条件チェック用のパターンが終了した時に判定結果としてラッチされ、コントローラ側に送られる。コントローラの方でこの信号が“L”レベルとなっているのを検出した場合、記録特性測定モードに入る手続きを行う。
【0067】
図8は図1におけるパルス幅設定用判定回路17の1構成例である。この回路にはコントローラから特性測定モード信号506、およびパワー/パルス幅信号701が入力されている。これらの信号がNOT回路801、およびAND回路802を通った結果はパルス幅調整用テーブル作成モード時に“H”レベルとなり、そのときカウンタ回路803,804、M−1段のシフトレジスタ805〜810、フリップフロップで構成されるラッチ回路811、およびフリップフロップ812,813のクリアレベルが解除となり、記録パワー設定用判定回路17が動作する。
【0068】
エッジタイミング検出回路13からの極性反転タイミング信号15はカウンタ回路803の入力信号となっており、パルス信号が入力されるごとにカウンタ回路803の出力データが1増加し、その値がROM回路814にアドレス信号として入力される。そしてそのときROM回路814からは対応するアドレスのデータが読み出され、加算回路815に入力される。この加算回路815には極性反転タイミング信号15のパルス信号と同時に更新された、エッジタイミング検出回路13からの極性反転間隔信号14も入力されており、それらの加算結果が出力される。
【0069】
ROM回路803には特性測定用テストパターンの“H”レベルの長さを正、“L”レベルの長さを負として、各極性反転位置までの累積値を表すデータがアドレス0から順に格納されている。すなわち、特性測定用テストパターンのパルス間隔をT1,T2,T3,……,TNで表すと、ROM回路803のアドレスi(i≦M)のデータRiはiが偶数の場合、
【0070】
Ri=A(T1−T2+T3+……+Ti−1) …(数5)
iが奇数の場合、
【0071】
Ri=A(T1−T2+T3+……−Ti−1) …(数6)
となる。また、そのパルス間隔の量子化精度は再生二値化信号7のパルス間隔を極性反転間隔信号14に変換したときの量子化精度と等しい。つまり、上式中のAは積分回路503の増幅率で決まる定数Aと等しい。そこで、例えば記録時と再生時のパルス間隔が等しい、すなわちP1=T1、P2=T2,……PN=TNの場合、ROM回路803に格納されたアドレスjのデータRjとパルス幅設定用判定回路17に入力されるj番目の極性反転間隔のデータV0とは符号が違い、絶対値が等しい関係にある。つまり、加算回路815のk番目の出力は記録パルス、再生二値化信号のパルスでの各先頭のパルスエッジ位置を0として、k番目の記録パルスのエッジ位置とk番目の再生二値化信号のパルスエッジの位置とのずれ量、すなわちエッジ変動量を表している。
【0072】
加算回路815の出力信号は加算回路816に入力され、シフトレジスタ805〜810の出力との加算が行われる。その結果はラッチ回路811に入力され、次にシフトレジスタ805〜810に入力される。シフトレジスタ805〜810とラッチ回路811とでリング状の記憶回路(M段)が構成されており、加算回路816により、エッジ変動量についてM個おきに累積値が計算され記憶される。パルス幅調整用ターブル作成モードでのテストパターン一周期中でのパルス間隔数がMなので、これにより、同じパターンごとに累積値が計算される。シフトレジスタ805〜810のクロック信号には極性反転タイミング信号が、そしてラッチ回路811のクロック信号には極性反転タイミング信号が遅延素子817を通った信号が入力され、計算結果が確定するのを待ってラッチを行う。
【0073】
加算回路815,816の演算結果でオーバーフローが発生した場合、各キャリー信号のレベルが“H”となる。これは光ディスク1の欠陥等で記録特性測定用パターンが正常に記録できなかった場所を検出した場合に発生する。この結果はOR回路818を通して一方でもオーバーフローが発生していた場合に測定エラーとして“H”レベルを発生させる。そして遅延素子817の出力信号をクロック信号としてフリップフロップ812に入力し、データが確定したタイミングでデータをラッチしてそのデータをコントローラ側に伝え、エラーが発生したときに特性測定を中止させる。
【0074】
カウンタ回路803の出力はデコーダ回路819にも入力される。デコーダ回路819ではカウンタ回路803の出力値がM−1になった時点で“H”レベルを出力する。その信号はNOT回路820、およびAND回路821を通ってカウンタ回路803のクリア信号として入力され、特性測定用テストパターンが1周期再生し終わるたびにカウンタ回路803を初期化する。
【0075】
デコーダ回路819の出力信号はカウンタ回路804にも入力され、再生した特性測定用テストパターンの周期数をカウントする。カウンタ回路804の出力はデコーダ回路822に入力され、特性測定用テストパターンが2^C2−1周期めに入った時にデコーダ回路822から“H”レベルが出力され、変換開始信号823としてデータ変換回路18にデータ送信開始を伝える。またデータ送信回路18にデータ送信が開始されるとデータ変換回路18では同時にパルス幅調整用テーブル19の更新を開始し、この時点でエラーが発生しても特性測定を中止させられないため、エラー信号はこの時点でデコーダ回路822の出力をNOT回路824、およびAND回路825によりマスクする。ただし、そのときにはフリップフロップ813,およびセレクタ回路826〜831により、エラーを含んだラッチ回路811の出力信号を出力される代わりに、前回までの累積値を出力するように制御している。この出力信号はエッジシフト信号832としてデータ変換回路18に送られる。
【0076】
また、その転送タイミングとして、セレクタ回路826〜831の出力データが確定したタイミング信号833として遅延素子817の出力をさらに遅延素子834を通してタイミングを遅らせた信号をつくり、データ変換回路18に送信している。
【0077】
図9は図1におけるデータ変換回路18、およびパルス幅調整用テーブル19の1構成例である。この回路にはパルス幅設定用判定回路17から変換開始信号823、エッジシフト信号832、およびタイミング信号833が入力されている。タイミング信号833でパルス信号が入力されるごとにカウンタ回路901の出力データが1増加し、その値がROM回路902〜904にアドレス信号として入力される。またこのカウンタ回路901の出力信号はデコード回路905に入力され、その値が1のとき、すなわち最初のタイミング信号のパルス波形入力を受けたときだけデコード回路905の出力は“H”レベルとなる。この信号はパルス幅調整用テーブル19のクリア端子に入力されており、デコーダ回路905の出力は“H”レベルとなったとき、すなわちテーブル更新がスタートする時点でテーブルの内容がゼロクリアされる。
【0078】
ROM回路902には特性測定用テストパターンのパルス間隔T1,T2,T3,……,TNの値が先頭アドレス+2(アドレス2)から順に格納されている。
【0079】
またROM回路903にはT1,T2,T3,……,TNの値が先頭アドレス+1(アドレス1)から順に格納され、ROM回路904にはT1,T2,T3,……,TNの値が先頭アドレス(アドレス0)から順に格納されている。ROM回路902のアドレス0,1、およびROM回路903のアドレス0にはデータ0が入っている(実際には記録パルス間隔で取り得ない任意の値で良い)。
【0080】
ROM回路902〜903の出力はゲート回路906〜907を通ってパルス幅調整用テーブル19にアドレス信号として入力される。一方、ROM回路904の出力はゲート回路908を通ってパルス幅調整用テーブル19にデータ信号として入力される。また同じROM回路904の出力信号が加算/減算回路909に入力され、パルス幅設定用判定回路17からのエッジシフト信号832と加算、もしくは減算が行われる。この加算/減算回路909にはカウンタ回路901出力信号のLSB(Least Significant Bit)がセレクタ信号として入力される。これはエッジシフト信号832の値が正の時のエッジシフト方向が交互に変わっているため、ここで1個ごとに加算と減算とを切り替えてエッジシフト方向を一定にするためである。この加算/減算回路909の出力はゲート回路910を通ってパルス幅調整用テーブル19にアドレス信号として入力されている。ゲート回路906〜908,910はエッジシフト信号832が送信されている最中はROM回路902〜904、および加算/減算回路909からの信号がこれらの出力信号としてパルス幅調整用テーブル19に送られる。また、パルス幅調整用テーブル19の前エッジ用、後ろエッジ用データを振り分けるためにタイミング信号833をNOT回路911,AND回路912,913を通して両方のパルス幅調整用テーブル19のチップセレクト端子に入力している。
【0081】
以上によりエッジシフト信号832からi番目のデータが入ってきたとき、そのエッジ変動量をei(スポット進行方向を正とする)と表すと、パルス幅調整用テーブル19のアドレス(T1−2,Ti−1,Ti+ei)にデータTiを代入する操作が行われる。したがって、実際にデータを記録する際に、例えばその記録パターン中にT1−2,Ti−1,Ti+eiなるパターンが現れた場合にはこのパルス幅調整用テーブル19のアドレス(T1−2,Ti−1,Ti+ei)を参照して、その位置に格納されているデータTiをTi+eiに変えて記録パルス間隔として使用する。その結果、記録マークはeiだけエッジシフトを起こして所望のパルス間隔Ti+eiとなり、エッジシフトの効果をキャンセルすることができる。
【0082】
ただし、特性測定用テストパターンのパルス間隔は一般に全ての場合を含む数だけ用意することは困難であり、実際にはこのパルス幅調整用テーブル19の空き領域を埋めて完成させるために、エッジシフト信号832を全て受信し終わった後にデータ内挿回路914を動作させる。この回路ではパルス幅調整用テーブル19の内容が0の部分をその近傍で0ではないデータを見つけ出して、内挿計算を行う。その計算が終了した時点でデータ内挿回路914はコントローラに特性測定/パルス幅調整用テーブル更新操作が完了したことを伝え、記録特性測定モードが終了する。
【0083】
図10は図1におけるパルス幅調整回路21、およびパルス幅調整用テーブル19の1構成例である。変調回路20の出力信号である記録データは符号変調後の符号“1”と“1”の間にある符号“0”の個数を定数倍したもので、その量子化精度はパルス幅調整用テーブル19の精度(すなわち、A/D変換機502の変換精度)と一致させておき、ラッチ回路1001,1002に入力される。この記録データは、ラッチ回路1001,1002にはクロック信号が交互に入力されており、データを双方で交互にラッチし、出力している。この出力信号は加算回路1003,1004において、その直前のエッジ位置調整量(スポット進行方向と逆向きが正)との加算が行われる。この操作で前回のエッジ位置調整分だけここで長めにパルス間隔をとることで、エッジ位置が変換前と同じ位置に来るようにしている。
【0084】
そしてこの加算回路1003,1004の出力データを用いてパルス幅調整用テーブル19を参照して調整後のパルス間隔を求めている。パルス幅調整用テーブル19を参照する際には、同時にラッチ回路1005,1006から前回のパルス間隔(調整後)、ラッチ回路1006,1005から前々回のパルス間隔(調整後)が入力されて調整後のパルス間隔決定用に用いられている。この出力信号はラッチ回路1007,1008でラッチ、保持される。
【0085】
そして、その出力信号はこの記録パルス幅を実現するため、変調回路20の出力である記録データの量子化精度を一周期としたクロック信号1009と共にダウンカウンタ回路1010,1011にそれぞれ初期値、およびクロックとして入力される。そして初期値をセットしてからその出力値が0になるまでの時間が記録パルス間隔であるので、OR回路1012,1013でダウンカウンタ回路1010,1011の出力値が0になるのを検出してNAND回路1014、およびフリップフロップ1015で両出力を合成して、パルスを生成してパルス信号1016としてレーザドライバ回路12に入力している。
【0086】
また、OR回路の出力はラッチ回路1001,1002,1005,1006にクロック信号として入力され、次のデータをラッチするタイミングとしている。またこの信号は遅延素子1017,1018を通してラッチ回路1007,1008にクロック信号として入力され、データが確定したタイミングでラッチを行っている。また、テーブル参照前の信号とテーブル参照後の信号の差がエッジ位置の調整量であり、この値を減算回路1019,1020で計算し、加算回路1004,1003に入力している。
【0087】
以上の回路により、記録データに対して、パルス幅調整用テーブル19を参照して、そのパルス間隔をパターンに応じて逐次調整している。
【0088】
図11は図1におけるレーザドライバ回路12の1構成例である。この図において半導体レーザ1101を駆動する回路はNPNトランジスタ1102、1103で構成される電流スイッチである。
【0089】
パルス信号1016はセレクタ回路1104に入力される。この回路には入力信号を選択する端子があり、コントローラからの信号が入力されて、その出力信号が選択されている。通常データを記録するときはパルス信号の方が出力信号として選択される。そして、記録特性測定モードのときだけもう一方の入力信号である、コントローラからのパルス幅調整用テストパターン、あるいは記録パワー探索用テストパターンのパルスが信号出力信号として選択される。
【0090】
この出力信号はECL(エミッタカップルドロジック)のAND回路1105に入力される。この回路の非反転信号、および反転信号はツェナーダイオード1106,1107によりレベルシフトした後、電流スイッチの構成要素であるトランジスタ1102,1103のベース端子に入力される。この電流スイッチではトランジスタ1103がオンになったときトランジスタ1108で設定される電流値の分だけ重畳される。トランジスタ1109の半導体レーザが再生レベルで点灯するだけの電流を供給するための電流源を構成している。一方トランジスタ回路1108は記録時に重畳される電流を設定するものであり、D/A変換器1110の出力電圧をトランジスタ1108のベース端子に印加し、トランジスタ1108のエミッタ端子と電圧−Vとの間の電位差を抵抗1111の値で割った値の電流が流れる。演算増幅器1112は電圧フォロアを構成しており、トランジスタ1108のベース−エミッタ間の電位差のばらつきを抑圧している。
【0091】
記録パワーはD/A変換器1110の入力データにより決まる。この値はセレクタ回路1113〜1116によりコントローラから設定された値、もしくはフリップフロップ1117の出力データの値に設定される。この選択を行う信号はコントローラから入力されている。通常のデータ記録時にはセレクタ回路1112〜1115によりフリップフロップ1117の出力データの値が選択され、記録パワー探索モードで特性測定用テストパターンを記録するときだけコントローラから設定された値が選択される。
【0092】
特性測定用テストパターン記録時にはまず、コントローラから設定値1がD/A変換器にセットされ、テストパターンを2^C1回繰り返すごとに設定値を1ずつ増加させ、徐々に記録パワーをあげていく。そしてその記録マークを再生し、エッジタイミング検出回路13、および記録パワー設定用判定回路16により何番目の記録パワーが最適であったかを求める。その番号をフリップフロップ1117に記憶させ、D/A変換器にセットすることで最適な記録パワーの設定が実現する。
【0093】
最適な記録パワーの番号はNAND回路1118,OR回路1119により記録パワー探索モードで記録パワーが確定したときにフリップフロップ1116がラッチするように、特性測定モード信号506,パワー/パルス幅信号701,記録パワー設定用判定回路16中のフリップフロップ707の出力を入力信号として用いる。
【0094】
以上が本発明の一実施例についての各構成要素の動作説明である。この記録パルスエッジ調整量算出方式を用いることで、同一記録パルスにおいてその前の記録パターンが違うために発生する、熱干渉による再生波形でのエッジ位置の変動分をなくすことができる。
【0095】
以上の実施例では記録線速度が一定の場合について説明した。しかし多くの光ディスクでは回転数一定となっているため、実際には記録半径によって線速度が異なり、記録特性も違ってくる。そして光ディスクの場合、ランダムアクセス性が要求されることを考慮すると、記録特性測定時にはディスク面上の線速度が異なる複数位置で特性測定用テストパターンを記録して検出操作を行う必要があり、そのためにパルス幅調整用テーブル19は複数用意しておく。
【0096】
この測定に用いる領域はディスクの内周側,外周側、およびその間からなる複数箇所を用いるが、その領域は特別に設けても、あるいは一般のデータ記録領域でも構わない。後者の場合ですでにその領域に記録データが存在するときには、他の空き領域を利用するか、もしくはその領域を使用するために該領域に書かれている情報を一時コントローラ内のメモリなど、別の場所に退避させる処理を行う。
【0097】
パルス幅設定用判定回路17ではテストパターンごと(1パルス間隔ごとではなく、連続した複数のパルス間隔の組合せごと)に分類してエッジ変動量の平均値を計算している。これは再生波形のエッジ位置が記録装置と記録媒体の組合せ、および線速度以外にさらに熱干渉のため該再生波形エッジに対応する記録時のレーザ光パルスエッジ近傍の記録パルスパターンにも依存しているためである。
【0098】
一般にある記録時のレーザパルスエッジに対応する再生波形のエッジ位置はその直前に記録されたパターンからの影響が大きい。それに比べ、その後の記録パルスパターンからの影響は小さく、記録媒体の熱伝導度が極端に大きい場合や、記録時の線速度が過度に小さく非常に熱干渉の影響が大きい場合、記録信号のエッジ間隔が極めて短い場合、および記録マーク形成時点での記録媒体の磁壁エネルギーの影響が大きい場合を除いてこの影響は無視できる。
【0099】
また前述の影響を及ぼす前側の記録パルスパターンの範囲は主にその長さで規定できる。これは線速度によって異なり、時間軸で考えると内周ほどその範囲は広くなるが、実際の系ではこの条件が悪い内周側に合わせるか、もしくは線速度によってその範囲を切り替えてもよい。また、この範囲は時間の長さとして扱うのは一般的に難しいため、多少冗長になるが、記録パターンの個数で扱い、その量を最悪条件、すなわち最小極性反転間隔のパターンが連続した場合の影響個数で決定する方がよい。したがってこの実施例ではこの範囲を記録パターンの個数を3個とした場合の例について説明した。
【0100】
この記録特性測定操作は装置の電源を入れたとき、ディスクを交換したとき、および毎データ記録時に行う記録条件のチェック時にエラー(すなわち記録条件が設定値から外れた事)を検出したときに行うように設計する。また、しばらく記録動作がない場合には定期的にこの操作を行うように設計した方が望ましい。
【0101】
本発明は、書換えが可能であり、その原理が熱を用いた記録方法がある、あらゆる情報記録方式、および記録媒体にあてはまる記録パワーや記録パルス間隔という記録条件の制御に関する基本的な方式に関する記述である。特に熱拡散効果が高く、かつ記録条件に敏感、すなわち記録パワーや環境温度、記録媒体の構成、および記録装置の特性等のわずかな変化で記録特性の差として現れる様な記録方式、および記録媒体の場合、記録データの信頼性を確保する上で有効である。
【0102】
例えば光磁気ディスク、および交換結合力を利用した、重ね書きが可能な光磁気ディスク、重ね書きが可能な相変化を利用した光ディスクなどにおいて特に有用である。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、熱干渉による再生信号のエッジ位置に関する変動分をなくすことができる。また各記録媒体と記録装置との組合せが変わる事に必ず、しかも時間の経過と共にときどきこの記録特性を測定し、更新するため、常に最適な記録条件を実現しており、マーク長記録を用いた、より高密度な記録が製作時の厳密な調整なしに容易に実現でき、しかも記録データに関する信頼性を大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】記録特性測定モードで使用される特性検出用テストパターン波形の1例を示す図。
【図3】等化回路の1構成例を示す図。
【図4】等化回路の動作説明図。
【図5】エッジタイミング検出回路の1構成例を示す図。
【図6】エッジタイミング検出回路の動作説明図。
【図7】記録パワー設定用判定回路の1構成例を示す図。
【図8】パルス幅設定用判定回路の1構成例を示す図。
【図9】データ変換回路、およびパルス幅調整用テーブルの1構成例を示す図。
【図10】パルス幅調整回路、およびパルス幅調整用テーブルの1構成例を示す図。
【図11】レーザドライバ回路の1構成例を示す図。
【符号の説明】
1…光ディスク、2…スピンドルモータ、3…光ピックアップ、4…増幅器、5…等化回路、6…二値化回路、7…再生二値化信号、8…PLL(フェーズ・ロック・ループ)回路、9…復調回路、12…レーザドライバ、13…エッジタイミング検出回路、14…極性反転間隔信号、15…極性反転タイミング信号、16…記録パワー設定用判定回路、17…パルス幅設定用判定回路、18…データ変換回路、19…パルス幅調整用テーブル、20…変調回路、21…パルス幅調整回路21、301…電圧フォロア、302…遅延素子、305…加算回路、306…マルチプレクサ、307…加算反転増幅回路、308…マルチプレクサ、501…インパルス信号発生回路501、502…A/D変換器、503…積分回路、504…積分基準信号、505…積分信号、506…特性測定モード信号、507…記録条件チェックモード信号、509…フリップフロップ、510…アナログスイッチ、701…パワー/パルス幅信号、704,705…カウンタ回路、706…ラッチ回路、707,708…フリップフロップ、709…加算回路、710…遅延素子、711…デコーダ回路、714,715…減算回路、803,804…カウンタ回路、805〜810…シフトレジスタ、811…ラッチ回路、812,813…フリップフロップ、814…ROM回路、815,816…加算回路、817…遅延素子、819,822…デコーダ回路、823…変換開始信号、826〜831…セレクタ回路、832…エッジシフト信号、833…タイミング信号、834…遅延素子、901…カウンタ回路、902〜904…ROM回路、905…デコード回路、906〜908、910…ゲート回路、909…加算/減算回路、914…データ内挿回路、1001,1002,1003〜1008…ラッチ回路、1003,1004…加算回路、1009…クロック信号、1010,1011…ダウンカウンタ回路、1015…フリップフロップ、1016…パルス信号、1017,1018…遅延素子、1019,1020…減算回路、1101…半導体レーザ、1102,1103,1108,1109…トランジスタ、1104…セレクタ回路、1106,1107…ツェナーダイオード、1110…D/A変換器、1112…演算増幅器、1113〜1116…セレクタ回路、1117…フリップフロップ。
Claims (2)
- 記録媒体上にレーザ光をパルス状に照射して、マーク長記録方式により情報を記録する情報記録方法であって、
記録時のレーザ光パルスエッジ近傍の記録パルスパターンに依存したエッジ変動量の対応表を作成し、
前記対応表に基づき、前記記録パルスパターン毎にエッジ位置を制御して、情報を記録することを特徴とする情報記録方法。 - 記録媒体上にレーザ光をパルス状に照射して、マーク長記録方式により情報を記録する情報記録方法であって、
連続したn個(nは整数)のパルス間隔の長さの異なるパルスを有し、各々前記パルスの組み合わせが異なるパターンを複数有する第1のテストパターンを記録し、
前記組み合わせが異なるパターンごとに分類してエッジ変動量の平均値を計算して、記録パルス間隔調整量を算出し、
前記組み合わせが異なるパターンと前記記録パルス間隔調整量との対応関係に基づいて、前記組み合わせが異なるパターン毎に前記記録パルス間隔調整量を制御して、情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003189162A JP2004199848A (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 情報記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003189162A JP2004199848A (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 情報記録方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000134220A Division JP2000331348A (ja) | 2000-01-01 | 2000-04-28 | ディジタル信号記録再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004199848A true JP2004199848A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32768027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003189162A Pending JP2004199848A (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 情報記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004199848A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2026339A1 (en) | 2007-08-10 | 2009-02-18 | Sony Disc & Digital Solutions Inc. | Recording drive waveform adjusting method for manufacturing master disc, master disc manufacturing method, master disc manufacturing apparatus, and master disc |
-
2003
- 2003-07-01 JP JP2003189162A patent/JP2004199848A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2026339A1 (en) | 2007-08-10 | 2009-02-18 | Sony Disc & Digital Solutions Inc. | Recording drive waveform adjusting method for manufacturing master disc, master disc manufacturing method, master disc manufacturing apparatus, and master disc |
US8089843B2 (en) | 2007-08-10 | 2012-01-03 | Sony Disc & Digital Solutions, Inc. | Recording drive waveform adjusting method for manufacturing master disc, master disc manufacturing method, master disc manufacturing apparatus, and master disc |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2915098B2 (ja) | ディジタル信号記録再生装置 | |
JP2865841B2 (ja) | ディジタル信号記録再生方式 | |
US7095696B2 (en) | Recording/reproducing device | |
JPH05189827A (ja) | 磁気光学記録装置に用いられるレーザ装置の出力レベル・カリブレーション方法及び装置 | |
US5517481A (en) | Optical recording and reproducing apparatus wherein data is recorded by stepwise shifting the edge position of each pit | |
JP4075185B2 (ja) | 光学的情報記録再生方法及び光学的情報記録再生装置 | |
JPH08249661A (ja) | 光学ディスクの記録制御方法および光学ディスク装置 | |
JP3345932B2 (ja) | 光ディスク装置及び光学的情報記録再生方法 | |
JP2000222734A (ja) | 情報記録方法 | |
JP3730084B2 (ja) | 光制御回路 | |
JP4456928B2 (ja) | 光ディスク装置 | |
JP3107076B2 (ja) | ディジタル信号記録再生装置 | |
CN101183540B (zh) | 记录功率修正方法及光盘记录再生装置 | |
US7085429B2 (en) | Binarization device | |
JP2004199848A (ja) | 情報記録方法 | |
JP2000331348A (ja) | ディジタル信号記録再生装置 | |
JP2594948B2 (ja) | 信号記録再生装置及び信号記録再生方法 | |
JP3063314B2 (ja) | ディジタル信号記録再生方法及び装置 | |
JPH0676209A (ja) | 光磁気記録装置及び光磁気記録方法 | |
JP4310256B2 (ja) | 光ディスク記録装置、レーザダイオード駆動装置および記録信号発生装置 | |
JP4176069B2 (ja) | 光ディスク記録再生装置及びその記録再生方法 | |
JPH11175980A (ja) | 信号再生装置及び方法、並びに記録媒体 | |
JP3783264B2 (ja) | 情報再生方法及び情報再生装置 | |
JP2000222733A (ja) | 情報記録方法、情報記録媒体及び情報記録装置 | |
JPH0644565A (ja) | 光デイスク装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050222 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050621 |