JP2004198396A - 洩れ検査装置のドリフト値取得方法・ゼロ点変動値取得方法・湿度補正係数取得方法・洩れ検査装置の校正方法・洩れ検査装置 - Google Patents
洩れ検査装置のドリフト値取得方法・ゼロ点変動値取得方法・湿度補正係数取得方法・洩れ検査装置の校正方法・洩れ検査装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】洩れ検査の精度、信頼性を高める。
【解決手段】被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定の時間が経過後に被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置において、乾燥された洩れの無い被検査体を用いてドリフト補正値を被検査体とシール治具との間の温度差毎に求めて記憶し、更に被検査体を濡らした状態で蒸気圧変化を測定しこの蒸気圧変化から湿度補正係数kを求め、これらドリフト補正値と湿度補正係数によりドリフト補正と湿度補正を施す。
【選択図】 図1
【解決手段】被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定の時間が経過後に被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置において、乾燥された洩れの無い被検査体を用いてドリフト補正値を被検査体とシール治具との間の温度差毎に求めて記憶し、更に被検査体を濡らした状態で蒸気圧変化を測定しこの蒸気圧変化から湿度補正係数kを求め、これらドリフト補正値と湿度補正係数によりドリフト補正と湿度補正を施す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は各種の容器、エンジンのシリンダブロック、ガス器具などの洩れが有ってはならない機器の洩れの有無を検査する洩れ検査装置に関し、特に被検査体が濡れている状態でも正確に洩れの有無を判定することができる洩れ検査装置の校正方法及び装置を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
洩れ検査装置は被検査体に加圧した空気を封入し、その空気圧の変化を測定して洩れの有無を検査している。然し乍ら、空気は被検査体の温度、或は被検査体に接触する治具等の温度の影響を受け、洩れが無いのに洩れの有るような圧力変動(これをドリフトと称している)を来し、洩れの有無の判定を難しいものとしている。
このため、本出願人は従来より各種の洩れ検査方法及び洩れ検査装置のドリフト補正に関して各種の提案を行なってきた。
【0003】
過去において提案したドリフト補正方法はドリフトの発生原因を被検査体に印加した加圧気体の温度変化(加圧印加時の断熱変化)が主な発生原因と見て被検査体に印加した空気の圧力変化からドリフト補正係数を導き出す手法を採っていた(例えば特許文献1)。
この特許文献1で提案したドリフト補正方法によれば校正モードにおいて、ドリフト補正係数を求めた条件の範囲に限れば適正にドリフト補正が働くのであるが、その条件の範囲から外れると、正しくドリフト補正が行なわれなくなる欠点がある。
【0004】
この状況を解消すべく本出願人は被検査対の開口部を閉塞するシール治具と被検査体との温度差に着目し、この温度差がドリフト発生要因と特定し、校正モードにおいてこの温度差毎にドリフト補正値を求めてテーブルとして記憶し、検査モードではシール治具と被検査体との温度差を計測し、その温度差に従ってドリフト補正値をテーブルから読み出して補正するドリフト補正方法(特許文献2及び特許文献3)を提案した。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−50854 公報
【特許文献2】
特開2002−22592 公報
【特許文献3】
特開2003−106923 公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が過去に提案した各種のドリフト補正方法によれば被検査体が完全に乾燥状態であればほぼ完全に正しいドリフト補正を行なうことができる。然し乍ら、被検査体が濡れた状態(わずかでも水滴が付着している状態)にある場合には誤って判定を下す状況が発生することが判明した。
例えばエンジンブロックの場合には加工が終了すると洗浄水により洗浄が行なわれ、洗浄工程を経て検査工程にまわされる。洗浄工程の終了時点で乾燥工程が設けられているが、短時間に完全な乾燥を行なうことは難しい、このため、エンジンブロックの内壁にわずかな水滴が付着した状況で洩れ検査を行なう場面が多々存在する。
【0007】
液体の水滴は常時被検査体温度における飽和蒸気圧に向かって蒸発を続ける。つまり、被検査体内に水滴が付着している場合、仮に被検査体の温度が常温でその開口部分がシール治具で閉塞された状況でも水滴は被検査体温度における飽和蒸気圧に向かって蒸発を続ける。この結果、水滴が存在した場合は被検査体内の圧力はわずかではあるが上昇を続け、この蒸発による圧力上昇が存在するためわずかな洩れが有るにも係わらず「洩れ無し」とする誤った判定を下すおそれがある。
【0008】
因みに図24に温度対飽和蒸気圧の対応を示す(理科年表より抜粋)。この図から明らかなように、温度が10℃の場合と、30℃の場合とでは飽和蒸気圧は約4倍の違いがあるから被検査体の温度が高い場合程水滴の影響が大きいことが分かる。
この発明の目的は被検査体とシール治具との間に温度差があっても、また被検査体に水滴が付着した状態であっても正しくドリフト補正を行なうことができる洩れ検査装置のドリフト値取得方法・温度補正係数取得方法・ゼロ点変動値取得方法・洩れ検査装置の校正方法及びこの校正方法により校正されて動作する洩れ検査装置を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明では先願(特許文献3)で提案したドリフト値取得方法において、校正モードでドリフト値を取得する際に用いる被検査体を洩れのない乾燥された被検査体に特定し、乾燥状態にある被検査体を用いてシール治具と被検査体との間の温度差毎にドリフト値を取得し、検査モードではこのドリフト値を用いて従前どおりドリフト補正を施す。
これと共に、この発明では校正モードにおいて乾燥状態にある被検査体に水滴を付着し、濡れ被検査体に変換し、この濡れ被検査体を用いて水滴から発生する蒸気圧を測定し、この蒸気圧を利用して湿度補正係数kを求め、検査モードでは各被検査体毎に蒸気圧を測定し、この蒸気圧を湿度補正係数kにより正規化して湿度補正値Mを求め、この湿度補正値Mを先にドリフト補正されたドリフト値から減算して湿度補正を施す点を特徴とするものである。
【0010】
従って、この発明によればシール治具と被検査体との間の温度差によって発生するドリフトと、水滴から発生する蒸気圧によるドリフトの双方を補正することが出来、これにより信頼性の高い洩れ検査装置を提供することができる。
具体的な解決手段としては以下の如くである。
この発明では被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を封じ込め、この空気圧の変化を測定して空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置において、
校正モードで被検査体に洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体とシール治具との間に所定の温度差を与えた状態に設定し、この所定の温度差が与えられている状態で常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、その空気圧の変動量をドリフト値として測定することを複数の温度差毎に実行し、複数の温度差のドリフト値をドリフト記憶器に記憶する洩れ検査装置のドリフト値取得方法を提案する。
【0011】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を封じ込め、両者間に圧力差が発生するか否かにより被検査体に洩れが有る否かを判定する洩れ検査装置において、
校正モードで被検査体に洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体とシール治具との間に所定の温度差を与えた状態に設定し、この所定の温度差が与えられている状態で常温乾燥被検査体と基準タンクに空気を封じ込め、圧力差の変動量をドリフト値として測定することを複数の温度差毎に実行し、複数の温度差のドリフト値をドリフト記憶器に記憶することを特徴とする洩れ検査装置のドリフト値取得方法を提案する。
【0012】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト取得方法の何れかにより、ドリフト記憶器に被検査体とシール治具との間の温度差に対応するドリフト値を記憶した洩れ検査装置において、
校正モードで洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意すると共に、この常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、この温度差に対応するドリフト値をドリフト記憶器から導出すると共に、常温乾燥被検査体に空気圧を印加してドリフト値と環境温度を測定し、この測定して得られたドリフト値とドリフト記憶器から導出したドリフト値との偏差を求め、この偏差値を測定した環境温度に対応するゼロ点変動値としてゼロ点変動記憶器に記憶する洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法を提案する。
【0013】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法の何れかにより、ドリフト記憶器に被検査体とシール治具との間の温度差に対応するドリフト値を記憶した洩れ検査装置において、
校正モードで洩れの有無が不明な乾燥された常温乾燥被検査体を用意する共に、この洩れの有無が不明な乾燥された常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差をゼロの状態に設定し、この設定状態で被検査体に空気圧を印加して仮ドリフト値と環境温度とを測定すると共に、ドリフト測定タイミングより長時間経過したタイミングで洩れのみによる圧力変化を測定してこの圧力変化を仮ドリフト値から差し引くことにより真のドリフト値を求め、この求められたドリフト値とドリフト記憶器の温度差ゼロに該当するアドレスに記憶しているドリフト値との偏差を求め、この偏差値を測定した環境温度に対応するゼロ点変動値としてゼロ点変動記憶器に記憶する洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法を提案する。
【0014】
この発明では更に洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法の何れかにおいて、
ゼロ点変動値取得方法で取得するゼロ点変動値を複数の環境温度毎に取得し、各環境温度毎に取得したゼロ点変動値をゼロ点変動値記憶器に記憶するゼロ点変動値取得方法を提案する。
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法において、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の被検査体の内部の圧力変化値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、常温乾燥被検査体の内面に水滴を付着させ常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の開口部をシール治具によって閉塞し、所定時間が経過する間の圧力変化値を蒸発空気圧ΔP1として計測する過程と、上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
【0015】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより被検査体に洩れが有るか否かを判定する濡れ検査装置の補正係数取得方法において、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の常温乾燥被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、上記常温乾燥被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間に発生する差圧値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、常温乾燥被検査体の内面に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の開口部を上記シール治具によって閉塞し、所定時間が経過する間の差圧の変化値を蒸発空気圧ΔP1として計測する過程と、常温濡れ被検査体及び基準タンクに空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の差圧の変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
【0016】
この発明では更に濡れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかによりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、
検査モードで被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部の圧力変化値又は被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧値がΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施す洩れ検査装置の湿度補正方法を提案する。
【0017】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項6記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項7記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、
検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値をドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXからシール誤差値ΔP0を減算した値(ΔPX−ΔP0)に湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較する洩れ検査方法を提案する。
【0018】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、被検査体の内部の空気圧の変化を測定する圧力センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で圧力センサで計測される圧力変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値をドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、被検査体の開口部を大気圧の環境下でシール治具によって閉塞し、この閉塞期間における被検査体の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXからシール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、被検査体に封じ込めた空気圧の変化量からドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
【0019】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧の変化を測定する差圧センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差毎に常温乾燥被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で差圧センサで計測される差圧変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で差圧センサで計測される差圧変化値ΔP1と、常温乾燥被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する常温乾燥被検査体と基準タンクの間の差圧変化値ΔP01と、常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に常温濡れ被検査体と基準タンクの差圧変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値をドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、被検査体の開口部を大気圧の環境下でシール治具によって閉塞し、この閉塞期間における被検査体の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXからシール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、被検査体に封じ込めた空気圧の変化量からドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
【0020】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置又は被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかにおいて、校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の外側面に閉塞された空間を形成するための計測用治具をシール治具を介して被着し、この閉塞された空間を所定時間閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の圧力変化値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、上記計測治具が形成する空間に面する上記常温乾燥被検査体の内面と外面に均一に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の濡れた部分を上記計測治具により覆って閉塞し、所定時間が経過する間の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、上記シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
【0021】
この発明では更に洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、検査モードで被検査体の外表面の一部を上記計測冶具により覆って閉塞空間を形成し、所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値をΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施す洩れ検査装置の湿度補正方法を提案する。
【0022】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体の外表面の一部を上記計測冶具により覆って閉塞し、大気圧の環境下において密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算した値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較する洩れ検査方法提案する。
【0023】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、上記被検査体の内部の空気圧の変化を又は被検査体と基準タンクとの間に発生する圧力差を測定する圧力センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の外側に被着され、凹部により閉塞された空間を形成する計測治具と、この計測治具で形成される空間を閉塞し、その閉塞状態で蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体を大気圧の環境下において上記計測用治具で閉塞し、その閉塞状態で上記蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、上記常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、上記シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、上記計測治具で形成される空間を大気圧の環境下で閉塞し、この閉塞期間における上記空間の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
【0024】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置又は被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかにおいて、校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、上記常温乾燥被検査体の外面と、上記常温乾燥被検査体の内面に均一に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の濡れた部分を計測治具により覆って閉塞空間を形成し、この閉塞空間に、所定の負圧を印加し、負圧の印加後所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1)により求める過程と、上記湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
この発明では更に洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、検査モードで被検査体の外表面の一部を上記計測冶具によって覆って閉塞空間を形成し、所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値をΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=ΔPX ・kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施す洩れ検査装置の湿度補正方法を提案する。
【0025】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体と計測冶具によって形成される閉塞空間を負圧の環境下において密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの閉塞空間内の圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXに上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=ΔPX・kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較する洩れ検査方法を提案する。
【0026】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、上記被検査体の内部の空気圧の変化を又は被検査体と基準タンクとの間に発生する圧力差を測定する圧力センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の外側に被着され、凹部により閉塞された空間を形成する計測治具と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の外表面の一部を上記計測用治具で被覆し、上記計測冶具で形成される閉塞空間に負圧を印加し、この負圧の印加状態で所定の時間が経過する間に上記蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、上記常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果により湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、上記計測治具で形成される空間に負圧を印加し、この負圧印加状態で上記空間の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXに上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
この発明では更に洩れ検査装置の何れかにおいて、検査モードで上記温度センサが測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値が上記ドリフト記憶器に存在しない場合は、上記ドリフト記憶器に記憶されている複数のドリフト値から直線近似により該当する温度差に対応するドリフト値を算出する直線近似演算手段を設けた構成とした洩れ検査装置を提案する。
【0027】
作用
この発明による洩れ検査装置のドリフト値取得方法によれば、被検査体とシール治具との間の温度差をドリフト発生要因として特定し、被検査体とシール治具間の温度差毎にドリフト値を取得し、ドリフト記憶器に記憶したから、ドリフト記憶器に用意したドリフト値と、検査モードで発生するドリフト値とが良く一致し、精度の高いドリフト補正を施すことができる利点が得られる。また、この発明による洩れ検査装置の湿度補正値取得方法を適用することにより、水滴が付着した状態の被検査体であっても予め湿度補正値を取得してあるから検査前又は検査終了時点を除く検査中の何れかにおいて、その検査すべき被検査体の蒸発空気圧を測定すれば、その測定値から湿度補正値を求めることができる。この結果、被検査体とシール治具間の温度差に基づいて発生するドリフトも、水滴の付着によって発生する蒸気圧による誤差も検査結果で得られるドリフト値から除去できるから、水滴がわずかでも付着した被検査体でも正しく検査を行なうことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明による洩れ検査装置の一実施例を示す。この洩れ検査装置によればこの発明による洩れ検査用のドリフト値取得方法及び湿度補正係数取得方法を実行することができる。また、このドリフト値取得方法で取得したドリフト値及び湿度補正係数取得方法で取得した湿度補正係数を利用して信頼性の高い洩れ検査を実行することができる。
図中Wは被検査体を示す。被検査体Wは基台となる第1シール治具1の上に載置され、オーリングのようなシール部材CCで気密を保持される。被検査体Wの上部側の開口部には第2シール治具2が搭載され、被検査体Wの上部側の開口部を閉塞する。この場合第2シール治具2に装着されたシール部材CCで気密を保持して閉塞する。
【0029】
被検査体Wは例えばエンジンのシリンダブロック或はガス器具の部品等各種の製品が適用される。エンジンのシリンダブロックのように形状が大きい場合は中子14を挿入し、被検査体W内の内容積を可及的に小さくするように配慮される。
第2シール治具2には空気の注入口2Aが設けられ、この注入口2Aに配管15が連通される。配管15には圧力センサ16と、電磁弁17と、3方電磁弁18と、調圧弁19を通じて空圧源20が接続される。調圧弁19を調整して圧力計21の指示に従って被検査体Wに印加する空気圧を設定する。
【0030】
3方電磁弁18をa−b間を開放状態に制御し、電磁弁17を開くことにより被検査体Wに空気圧を印加することができる。被検査体Wに空気圧を印加した後で電磁弁17を閉じることにより、被検査体Wに空気圧を封じ込めることができる。この封じ込んだ空気圧を圧力センサ16で測定することにより所定の時間に渡って一定値を維持すれば洩れ無しと判定することができる。
然し乍ら、一般的には被検査体Wと第1シール治具1及び第2シール治具2の温度に対応して空気圧が変動(ドリフト)し、あたかも洩れが有るかの如く挙動する。更に、そのドリフト量は被検査体Wが乾燥状態にある場合と、濡れている場合とで異なる値を呈する。
【0031】
このため、この発明では被検査体Wが乾燥状態にあることを想定して施すドリフト補正を実行するドリフト補正手段と、濡れた状態を想定して施す湿度補正を実行する湿度補正手段とを備えた洩れ検査装置を提供するものである。図1に示す洩れ検査装置本体100は概略ドリフト補正手段30と湿度補正手段50と、判定手段70とを備えた洩れ検査装置本体を示す。この発明による洩れ検査装置本体100の内部の詳細は図2で説明することにするが、ここでは洩れ検査装置本体100の概要を説明する。
【0032】
ドリフト補正手段30には予め校正モードにおいて取得したドリフト補正値を記憶しているドリフト記憶器30Bが設けられる。このドリフト記憶器30Bに記憶されているドリフト補正値は洩れの無い乾燥状態にある被検査体Wを用意する。この洩れの無い被検査体には洩れの有無を検査すべき製品と同一形状で、同一の材質であることが要件として求められる。この被検査体Wに空気圧を印加し、空気圧の印加後、所定の安定時間を経て、所定の測定期間(例えば2〜4秒程)を設定し、この測定期間に被検査体Wの内部の圧力変化をドリフト値として取得する。このとき、被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を測定し、その温度差におけるドリフト値としてドリフト記憶器30Bに記憶する。校正モードでは被検査体Wを加熱又は冷却して被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を異なる温度差に設定し、各温度差毎にドリフト値を取得し、その取得したドリフト値をドリフト記憶器30Bに記憶する。
【0033】
被検査体Wとシール治具(図1に示す例では第1シール治具1)との間の温度差を測定するために、第1シール治具1に温度センサ3を設けている。この温度センサ3は図3に示すように第1シール治具1の被検査体Wと接触する面に穴Hを形成し、この穴Hの内部にセンサホルダ13を装着する。センサホルダ13は軸芯に貫通孔13Aを有し、この貫通孔13Aの両端に温度センサS1、S2を装着して支持させる。温度センサS1、S2は貫通孔13Aの両端面に露出して配置し、温度センサS1は第1シール治具1に接触して第1シール治具1の温度を測定する、また、センサS2は貫通孔13Aの上端面に露出して配置される。これらセンサS1とS2は貫通孔13Aの内部で樹脂剤或は接着剤等でセンサホルダ13に固定される。
【0034】
温度センサS2は第1シール治具1の表面と面一に配置され、その上に被検査体Wを搭載すると、被検査体WがセンサS2に接触し、被検査体Wの温度を測定する。尚、センサS2の表面には保護のために銅のような熱伝導率の高い材質の金属板等を配置し、この金属板を介して被検査体Wに接触するように構成することもできる。
温度差測定器4はセンサS1とS2の測定温度の差を求め、被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を洩れ検査装置本体100に入力する。
【0035】
このようにしてドリフト記憶器30Bには校正モードにおいて予め被検査体Wとシール治具1との間の温度差毎に取得したドリフト値が記憶される。
検査モードでは検査に先だって被検査体Wとシール治具1との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト値をドリフト記憶器30Bから読み出し、このドリフト値を被検査体を検査した場合に発生するドリフト値から減算してドリフト補正を施す。
一方、湿度補正値算出手段50には湿度補正係数取得手段50Cと、湿度補正係数記憶器50Dと、被検査体Wに水滴が付着している度合を測定する蒸気圧測定手段50Eとが設けられている。湿度補正係数取得手段50Cには、予め校正モードにおいて常温乾燥状態にある洩れの無い被検査体と、水滴を付着した濡れた常温被検査体とを用いてそれぞれの被検査体で発生するドリフト値を測定し、そのドリフト値から湿度補正係数kを取得し、この湿度補正係数kを湿度補正係数記憶器50Dに記憶して用意する。
【0036】
これと共に検査モードでは蒸気圧測定手段50Eにより各被検査体毎に水滴が存在する場合に発生する蒸気圧を測定し、この蒸気圧と湿度補正係数kとにより湿度補正値Mを求め、この湿度補正値Mを被検査体で発生するドリフト値(詳しくはドリフト補正が施されたドリフト値)から減算し、湿度補正を施す。
判定手段70はドリフト補正と湿度補正が施されたドリフト値と予め設定した判定値とを比較し、ドリフト値が判定値を超えている場合を洩れ有り、判定値以下の場合を洩れ無しと判定し、その判定結果を表示器200に表示する。
【0037】
図2に洩れ検査装置本体100の内部構成を示す。洩れ検査装置本体100は一般にコンピュータによって構成される。コンピュータはCPUと呼ばれている中央演算処理装置101と、基本プログラムを格納したROM102と、実動プログラム等を記録し、実行させるRAM103と、入力ポート104、出力ポート105等により構成される。
図2に示す実施例ではRAM103に外部の例えば磁気ディスク等から実動プログラムを読み込んで、これらの各実動プログラムをRAM103上で実行させる構成とした場合を示す。尚、実動プログラムをROM102に焼き付けROM102上で実行させる場合もある。
【0038】
RAM103にはドリフト補正手段30を構成する手段としてドリフト値取得手段30Aと、ドリフト記憶器30Bと、ドリフト書込読出手段30Cとが設けられる。
更に、湿度補正手段50を構成する手段としてシール誤差測定手段50Aと、シール誤差記憶器50Bと、湿度補正係数取得手段50Cと、湿度補正係数記憶器50Dと、蒸気圧測定手段50Eと、湿度補正値算出手段50Fとが設けられる。また、減算手段60と、判定手段70とが設けられる。
【0039】
入力ポート104には圧力センサ16からの圧力測定値と、温度差測定器4からの被検査体Wとシール治具1との間の温度差の値が入力される。また出力ポート105には表示器200が接続され、判定手段70の判定結果を表示器200に表示する。
ドリフト値取得手段30Aはプログラムによって構成される。このドリフト値取得手段30Aを構成するプログラムは校正モードにおいて選択されて起動される。ドリフト値取得手段30Aを構成するプログラムが起動されると、図4に示す手順に従って被検査体Wとシール治具1との間の温度差毎のドリフト値を取得する。
【0040】
図4に示すステップS41では洩れの無い乾燥された被検査体を用意し、シール治具1の上に載置する。
ステップS42では被検査体Wに熱を加えて、シール治具1との温度差を所望の温度差に設定する。
ステップS43では第2シール治具2(図1参照)で被検査体Wの開口部を閉塞し、電磁弁17を開いて被検査体Wに空気圧を与える。
ステップS44では測定期間T3(図5参照)で発生する圧力変化値Dをドリフト値として測定し、その測定結果をドリフト書込読出手段30C(図1)によりドリフト記憶器30Bに記憶する。尚、図5は被検査体Wに空気圧を印加するシーケンスを示す。T1は加圧期間、T2は平衡期間、T3は測定期間を示す。各期間は3〜5秒程度に設定される。
【0041】
ステップS45では所望の温度差の全てに渡ってドリフト値が取得されたか否かを判定する。所望の温度差の一部が未だに未取得である場合はステップS42に戻り、ステップS42〜S44を再度実行する。全ての温度差に渡ってドリフト値が取得できた場合は終了する。図6にドリフト記憶器30Bに取得したドリフト値の一例を示す。図6に横軸に示すように各記憶アドレスに温度差が割当られ、各温度差毎にドリフト値が記憶される。
次に湿度補正係数取得方法について説明する。湿度補正係数取得も校正モードで実行される。図7に湿度補正係数取得方法の手順を示す。
【0042】
ステップS71で洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、シール治具1の上に載置する。被検査体の温度が常温であることのよりシール治具1との温度差は0である。
ステップS72では大気圧の環境下において第2シール治具2で被検査体の開口部を閉塞し、被検査体Wの内部に大気圧を封じ込める。
ステップS73では所定の時間(例えば数秒程度)経過する間の被検査体の内部の圧力変化値ΔP0を計測する。この圧力変化値は乾燥時の蒸気圧変化に該当し、これはシール治具2のシール誤差値(シール治具の形状変形等によって発生する誤差)にも該当する。以下ΔP0をシール誤差値と称することにする。
【0043】
ステップS74では常温乾燥被検査体に空気圧を与え、乾燥状態におけるドリフト値ΔP01を計測する。
ステップS75では同じ被検査体に対し、被検査体の内面に水滴を付着させて濡れ被検査体に変換し、この状態で被検査体の開口部を閉塞し、被検査体に大気圧を封じ込め、所定時間経過する間の蒸気圧変化値ΔP1を計測する。
ステップS76では被検査体に空気圧を印加し、測定期間T3(図5参照)で発生する圧力変化値ΔP11を計測する。
【0044】
ステップS77では湿度補正係数kを
k=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)
で算出し終了する。
尚、ステップS77で演算したΔP1−ΔP0は濡れた被検査体の蒸気圧変化から、シール誤差値ΔP0を差し引いた蒸気圧変化である。また、ΔP11−ΔP01は濡れた被検査体のドリフト値ΔP11から乾燥した被検査体のドリフト値ΔP01を差し引いた蒸気圧によるドリフト値である。
【0045】
湿度補正係数kが算出されると、この湿度補正係数kは図2に示した湿度補正係数記憶器50Dに記憶される。
以上により校正モードを終了することができる。上述した校正モードは被検査体(検査対象となる製品)が変更されない限りにおいてはしばしば行なう必要がなく、被検査体の品種が変換される毎に行なえばよい。但し、各製品毎に予め校正を行なって必要なデータを記憶してある場合は必ずしもその必要はない。
次に、検査モードについて説明する。検査モードでは第1シール治具1の上に被検査体Wを載置し、この被検査体Wの開口部も第2シール治具2で閉塞する。この閉塞状態で被検査体Wに大気圧を封じ込める。この閉塞状態で図2に示した蒸気圧測定手段50Eにより測定する。任意の被検査体Wで測定された蒸気圧変化値がΔPXであるとき、湿度補正値算出手段50Fは湿度補正値Mを、
M=(ΔPX−ΔP0)k
で算出する。
【0046】
減算手段60ではドリフト補正手段30で各被検査体W毎に被検査体Wの温度とシール治具1との温度差から求めたドリフト値補正値D0と湿度補正手段50で求めた湿度補正値Mとを加算(D0+M)し、この加算結果を各検査毎に測定される圧力変化値Eから減算し、ドリフト補正と湿度補正された値Fを、
F=E−(D0+M)
で求める。
判定手段70はこのドリフト補正された値Fと洩れ判定のための判定値Yとを比較し、F<Yであれば洩れ無し、F>Yであれば洩れ有りと判定する。
【0047】
図8に検査の様子を示す。ここでは検査に先だって各被検査体毎に蒸気圧変化値ΔPXを測定する蒸気圧変化値測定期間T0を設けた場合を示す。蒸気圧変化値測定期間T0で各被検査体毎に蒸気圧変化値ΔPXを測定する。測定後、加圧期間T1、平衡期間T2を経て測定期間T3に至る。測定期間T3で被検査体Wの内部の圧力変化値E(図8参照)を測定する。これと共に、ドリフト補正手段30は被検査体Wとシール治具1との間の温度差に従ってドリフト記憶器30Bからドリフト補正値D0を読み出す。更に、湿度補正手段50は湿度補正値Mを算出する。
【0048】
減算手段60は測定した圧力変化値Eからドリフト補正値D0と湿度補正値Mとを加算した値(D0+M)を減算し、ドリフト補正と湿度補正が施されたドリフト補正された値Fを上述したようにF=E−(D0+M)で求める。
被検査体Wに洩れが無ければE≒D0+Mとなり、この場合はF≒0となるからF<Yとなり、洩れ無しと判定される。もし洩れが有る場合はE>D0+Mとして測定されるから、Y<E−(D0+M)となる率が高くなり洩れ有りと判定される確率が高まる。
【0049】
ところで、上述した実施例では図6に示したようにドリフト記憶器30Bの各アドレスの全てに各温度差ごとのドリフト値を記憶した例を説明したが、このドリフト値を取得するには被検査体Wの温度を適当な温度に設定し、その温度によりシール治具1との温度差を設定してドリフト値を測定する方法を採るから、ドリフト値を取得するアドレスの数が大きい程その労力は大きい。
このために、ドリフト記憶器30Bには数点のアドレスのみにドリフト値を記憶させ、他のアドレスのドリフト値は直線近似によって求める方法が考えられる。
【0050】
図9はその実施例を示す。つまりこの実施例ではドリフト補正手段30に図2に示した構成に加えて直線近似演算手段30Dを設けた構成とした点を特徴とするものである。
この直線近似演算手段30Dを設けたことにより、図10に示すように例えば温度差として0℃と+15℃と+30℃の3点程度を設定し、これらの各温度差毎のドリフト値D1、D2、D3を記憶して用意すれば、他の温度のドリフト値は直線近似演算手段30Dで算出することができる。また、算出する温度差として小数点以下も算出することができる構成とすれば、測定した温度差が例えば13.5℃のように小数点を含む場合もその温度差に対応したドリフト値DMを求めることができる。
【0051】
従って、図9に示した実施例によればドリフト補正のためのドリフト値を取得する労力を大きく低減することができる効果と、測定した温度差に対応したドリフト値を正確に求めることができる利点とが得られる。
図11はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では図9に示した洩れ検査装置本体100にゼロ点変動値記憶器30Eとゼロ点変動書込読出手段30Fを設けた構成を特徴とするものである。このゼロ点変動値記憶器30Eには例えば季節の変化などによりドリフト値Dが変動した量ΔDをゼロ点変動値として記憶させる。このゼロ点変動値ΔDが発生する理由としては、被検査体W及びシール治具1の平均温度(環境温度)が季節に応じて変動した場合、被検査体Wに封入した空気の温度変化(断熱変動)によるドリフト量が変動することが主因であると考えられている。このドリフト値Dが変動した量、ゼロ点変動値ΔDを取得する方法を説明する。
【0052】
ゼロ点変動値ΔDを取得する方法は以下の2つの方法がある。
▲1▼ 洩れの無い被検査体Wを用意し、この被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差をドリフト記憶器30Bに存在する温度差N℃に設定する。この状態で加圧期間T1、平行期間T2を経て測定期間T3でドリフト値Gと、この時点における環境温度(シール治具の温度又は大気温度)を計測する。このドリフト値Gとドリフト記憶器11FのN℃に対応するアドレスに記憶しているドリフト値Dとの偏差ΔD=G−Dを求める。この偏差ΔDがこの校正を行なった時点の環境温度下におけるゼロ点変動値である。
【0053】
▲2▼ 被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を0℃に設定する。この場合被検査体Wは洩れの有無を問わない。洩れが有る被検査体(但しその洩れは大きい洩れではなくわずかな洩れであるものとする)を使ってドリフト値を測定できる理由は後に説明することとするが、ここでは手順のみを図13を用いて簡素に説明する。加圧期間T1と、平衡期間T2を経て測定期間T3の終了時点で圧力計16の圧力変化D1を測定する。その後、充分な時間(ドリフトが終息するまでの時間、数分程度)が経過した時点Aから、先の測定期間T3と同じ時間T3が経過する間に変化する圧力変化値D2とD3を測定し、これらの差ΔD2=D2−D3を求める。この差ΔD2が洩れによって発生する圧力変化値であるから、初回の測定値D1から、この差ΔD2を差し引くことにより、真のドリフト値Gを得ることができる。つまりG=D1−ΔD2となる。このドリフト値Gがドリフト記憶器30Bに温度差0℃のアドレスに記憶しているドリフト値Dとの間に偏差ΔD=G−Dが存在すれば、その偏差ΔDがその時点の環境温度下におけるゼロ点変動値である。偏差ΔDは正か負かの極性を持つ(図12参照)。
【0054】
▲1▼、▲2▼の何れの方法でゼロ点変動値ΔDを求めたとしても、このゼロ点変動値ΔDをゼロ点変動値記憶器30Eにゼロ点変動書込読出手段30Fにより書き込んで記憶させればよい。検査モードではドリフト記憶器30Bからドリフト書込読出手段30Cにより読み出されるドリフト値Dにゼロ点書込読出手段30Fにより読み出されるゼロ点変動値ΔDを加算し、その加算結果を減算手段60で検査中の被検査体Wで得られた圧力変化値E(図8)から減算し、その減算結果を判定手段70に送り込む。また、湿度補正値Mも湿度補正手段50で求められ、この湿度補正値Mも減算手段60に送り込まれ湿度補正が施される。
検査モードでドリフト記憶器30Bから読み出される全てのドリフト値Dにゼロ点変動値ΔDを加算してドリフト補正することにより、図12に示す本来の曲線Aは補正曲線B又はCに平行移動されて修正される。尚、図9に示した実施例と図11に示した実施例は併合して実施することができることは容易に理解できよう。
【0055】
図14はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では被検査体Wの開口部が1箇所の場合を示す。この場合には第2シール治具2と被検査体Wとの間の温度差を温度センサ3で測定し、その温度差を温度差測定器4で求めて洩れ検査装置本体100に入力すればよい。従って、この場合も温度差測定器4で求めた温度差に従って、ドリフト記憶器30Bからドリフト値Dを読み出し、このドリフト値Dを図2に示した実施例と同様に検査中の被検査体Wで測定した圧力変化値E(図4参照)から減算してドリフト補正を施す。また、この実施例にも図9及び図11に示した実施例を併用することができる。また、湿度補正手段50で湿度補正値Mを求め、この湿度補正値Mにより湿度補正を施す。
図15はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では温度センサ3を接触式の温度センサ3A、3Bで構成した場合を示す。接触式の温度センサ3A、3Bを用いることにより、被検査体W及び第2シール治具2に対する接触位置を任意に設定し、変更することができるから、温度差を測定するのに適した位置を自由に選択することができる利点が得られる。尚、被検査体Wに関して接触式の温度計で温度を測定できない品種もある。このような場合には非接触式の例えば赤外線放射温度計等を用いて被検査体Wの温度を測定することも考えられる。
【0056】
図16はこの発明を差圧検出型の洩れ検査装置に適用した場合を示す。差圧検出型洩れ検査装置はよく知られているように被検査体Wに対して洩れの無い基準タンクMSを設け、これら被検査体Wと基準タンクMSに電磁弁17A、17Bを開閉して空気圧を封入する。空気圧の封入状態(電磁弁17A、17Bを閉じた状態)において、基準タンクMSと被検査体Wとの間に設けた差圧計16Aにより基準タンクMSと被検査体Wとの間に圧力差が発生するか否かを測定する。差圧が発生した場合は、被検査体Wに洩れが有ると判定する型式の洩れ検査装置である。
【0057】
この差圧検出型の洩れ検査の場合は被検査体Wに印加した空気圧と同じ空気圧が基準タンクMSに封じ込んでいるから、差圧計16Aは本来圧力差ゼロを検出するはずである。然し乍ら、図1及び図2に示した実施例と同様に、被検査体Wに封入した空気に圧力変化(ドリフト)が発生し、あたかも洩れが有るかの如き差圧が発生する。
この発明ではまず校正モードにおいて、洩れの無い常温乾燥被検査体Wを用意し、この被検査体Wに温度を与えて図16に示す例では第2シール治具2との間に所望の温度差を与えた状態を設定する。この状態で加圧期間T1と、平衡期間T2を経て測定期間T3を実行し、各温度差毎にドリフト値を測定し、このドリフト値をドリフト記憶器30Bの複数のアドレスにドリフト値Dを取得する。更に、図7で説明した手順に従って湿度補正係数kを求め、校正モードを終了し、その後検査を実施することができる。
【0058】
検査モードでは図17に示すように各検査の開始毎に被検査体W内の蒸気圧変化値ΔPX(差圧式の洩れ検査装置では被検査体W内の圧力が上昇する蒸気圧変化は図17に示すように負極性の差圧として検出される)を測定する。湿度補正手段50は測定した蒸気圧変化値ΔPXと湿度補正係数kとにより湿度補正値Mを算出する。
加圧期間T1を経て検査モードにおいて、平衡期間T2で急激に差圧値が上昇した場合(図17に示す直線X)には検査中の被検査体Wに「大きな洩れが有る」と判定する。判定期間T3の期間の終了時点で検査中の被検査体Wと基準タンクMSとの間に発生する差圧の値Eからドリフト記憶器30Bから読み出したドリフト値D0と先に求めた湿度補正値Mとの和を差し引いた値FをF=E−(D0+M)で求める。ここで湿度補正値Mは蒸気圧変化値がΔPXで決めるため湿度補正値MはM=(ΔPX−ΔP0)kで求める。従ってF=E−(D0+M)で表記される。E−(D0+M)≒0であればほぼF≒0となる。この場合は「洩れ無し」と判定する。Fが判定値Yより大きい場合は「洩れ有り」と判定する。
【0059】
図16に示した実施例にも図9と図11及び図15に示した実施例を併用することができることは容易に理解できよう。
図18はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例は図7に示した実施例の変形例である。つまり、図11に示した実施例ではゼロ点変動値記憶器30Eを設け、このゼロ点変動値記憶器30Eに各季節毎にゼロ点変動値を記憶させ、このゼロ点変動値によりドリフト記憶器30Bから読み出されるドリフト値を補正し、環境温度の変化に伴うドリフト値の変動を修正する構成を付加した実施例を説明した。この図11に示した実施例によれば各季節毎にゼロ点変動値を取得するための校正モードを実行しなければならない不都合が生じる。
【0060】
図18に示す実施例はこの不都合を解消することができる洩れ検査装置を提案するものである。
このために図11に示したゼロ点変動値記憶器30Eを複数の環境温度のゼロ点変動値を記憶することができるゼロ点変動値記憶器30E´に変更するものとし、更に環境温度測定手段5を設けた構成を特徴とするものである。
図18に示す環境温度測定手段5は例えば温度センサ3において第1シール治具1の温度を測定した温度測定値を環境温度として流用するように構成することができる。
【0061】
図11で説明したゼロ点変動値取得方法▲1▼又は▲2▼の何れかにより、ゼロ点変動値を求め、その時点の環境温度をゼロ点変動値記憶器30E´のアドレスに対応させて記憶させる。図19に環境温度TSに対するゼロ点変動値ΔDの傾向を示す。図19に環境温度TSが上昇するに伴ってゼロ点変動値ΔDが漸次小さくなる傾向を呈する場合を示す。
洩れ検査装置が製造され、利用者に引き渡された時点ではドリフト記憶器30B(図2参照)及びゼロ点変動値記憶器30E´にはデータが全く書き込まれていない。ドリフト記憶器30Bにはこの発明で提案したドリフト値取得方法によりドリフト値を取り込む。これと共に、ゼロ点変動値記憶器30E´にも、その時点の環境温度のゼロ点変動値を書き込むことができる。従って、運用開始時点ではゼロ点変動値記憶器30Eには1個のゼロ点変動値のみが書き込まれた状態にある。このゼロ点変動値はその季節(環境温度下)では有効に利用することができる。
【0062】
季節が終わり、環境温度が変わる毎にゼロ点変動値を取得し、ゼロ点変動値記憶器30E´に書き込むことを年間を通じて実行することにより、図19に示すほぼ全体のアドレスにゼロ点変動値を取り込むことができる。ゼロ点変動値を取り込みができないアドレス(環境温度)が存在しても、そのアドレスのゼロ点変動値は直線近似演算手段30Dで直線近似により求めることができる。従って、この実施例では直線近似演算手段30Dはドリフト記憶器30Bから読み出すべきドリフト値が存在しない場合と、ゼロ点変動値記憶器30E´から読み出すべきゼロ点変動値が存在しない場合の双方の直線近似を実行する手段として動作する。
【0063】
年間を通じてゼロ点変動値を測定し、その測定結果をゼロ点変動記憶器30E´に書き込むことにより、その後は環境温度に対応したゼロ点変動値をゼロ点変動値記憶器30E´から直接又は直線近似演算手段30Dから得ることができる。
従って、このゼロ点変動値を利用してドリフト記憶器30Bから読み出されるドリフト値を修正し、その修正されたドリフト値を検査中の被検査体Wで発生する圧力変化値E(図8及び図17参照)から差し引くことにより、四季を通じて正しくドリフト値を除去することができる。従って、ゼロ点変動値記憶器30E´に複数の環境温度に渡ってゼロ点変動値を取り込むことができた時点からは校正モードを全く実行せずに全自動で洩れ検査を行なうことができる利点が得られる。
【0064】
図20は図18に示した実施例を差圧式の洩れ検査装置に適用した場合を示す。差圧式の洩れ検査装置の場合でも、洩れ検査装置本体100に各環境温度毎にゼロ点変動値を記憶することができるゼロ点変動値記憶器30E´を設ける点と環境温度測定手段5が設けられる。この実施例では、第2シール治具2の温度を環境温度として洩れ検査装置本体100に取り込む構成とした場合を示す。
差圧式の洩れ検査装置の場合でも、まず洩れの無い被検査体を使ってドリフト記憶器30B(図2参照)に被検査体とシール治具間の温度差毎のドリフト値を用意すると共に、図11及び図12で説明したゼロ点変動値取得方法▲1▼又は▲2▼によりゼロ点変動値を求め、その時点の環境温度に対応したゼロ点変動記憶器30E´のアドレスにその求めたゼロ点変動値を記憶させる。このゼロ点変動値の取得を各環境温度毎に実行して、ゼロ点変動値記憶器30E´の複数のアドレスにゼロ点変動値を取り込むと共に、湿度補正値算出手段50において湿度補正係数kを求めておくことにより、その後は全自動で洩れ検査を行なうことができる。
【0065】
ところで、上述の実施例では湿度補正値Mを求めるために被検査体Wの内部の蒸気圧変化を測定したが、この方法を採った場合は検査の開始前の時点で被検査体Wの内部の蒸気圧変化を測定しなければならない。
このために、検査に要する時間が蒸気圧変化の測定時間T0(図8又は図17参照)分だけ長くなる。この時間の延長は被検査体Wの個数が多くなる程総計として長くなり、高価な検査装置を長い時間専用することになり、検査コストが高価になる欠点がある。
【0066】
このため、この発明では更に被検査体Wの外部の面を代用して被検査体Wの濡れの状態を検出する洩れ検査装置を提案する。
図21はその実施例を示す。この実施例では被検査体Wの外側面(平面)に計測治具80をシール部材CCを介して接触させ、この計測治具80の凹部81によって被検査体Wの外側面に密閉された空間82を形成し、この空間82の圧力変化と蒸気圧測定用圧力センサ83で測定して空間82の蒸気圧変化を計測する構成としたものである。
【0067】
この構成を採る場合、校正モードでは、
▲1▼ シール誤差は洩れの無い乾燥された常温の被検査体Wの外壁に計測治具80を圧接し、圧接状態が安定した状態(圧接時点から数秒程度経過した時点)で電磁弁84を開いて空間82の内部を大気圧にリセットし、再び電磁弁84を閉じる。電磁弁84を閉じた時点から更に数秒程度経過した時点の圧力変化を蒸気圧測定用圧力センサ83で計測し、この計測値をシール誤差ΔP0とする。
▲2▼ 次に、同じ被検査体Wに空気圧を印加し、被検査体W内の圧力変化値を図21の例では差圧計16Aで測定する。その差圧値を乾燥された常温被検査体における被検査体Wとシール治具1との間の温度差0℃の状態のドリフト値ΔP01として取得する。
【0068】
▲3▼ 同じ被検査体Wを用いて、被検査体Wの内側と外側に均等に水滴を付着させ、濡れ被検査体に変換する。(ワーク全体を濡らし、しばらく放置させた状態では内外とも均等に塗れた状態になる。)
▲4▼ 水滴が付着した被検査体の外面に計測治具80を被せ、シール誤差ΔP0の測定時と同様に電磁弁84を開いて空間82を大気圧にリセット後、電磁弁84を閉じて、数秒後の圧力変化値を蒸気圧測定用圧力センサ83で計測する。この値をΔP1とし、濡れた被検査体の蒸気圧変化値とする。
【0069】
▲5▼ 同じ被検査体Wでシール治具2で開口部を閉塞し、被検査体Wの内部に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間の圧力変化値をこの例では差圧計16Aで計測し、この値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として取得する。
▲6▼ これらの測定結果から、湿度補正係数kを
k=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)
で求め、この湿度補正係数kとシール誤差値ΔP0を湿度補正手段50に格納する。
以上により図21に示した実施例における校正モードが終了する。
【0070】
検査モードでは
▲1▼ 被検査体Wの外壁に計測治具80を装着し、被検査体Wの外壁の濡れによる蒸気圧変化ΔPXを計測する。
▲2▼ この蒸気圧変化ΔPXからシール誤差ΔP0を減算した値に湿度補正係数kを乗算し、湿度補正値Mを求める。
M=(ΔPX−ΔP0)k
▲3▼ 被検査体Wの内部の圧力変化E(ドリフト値)を計測し、この圧力変化Eから被検査体Wとシール治具2との間の温度差に従って読み取ったドリフト補正値D0(ドリフト補正手段30に格納されている)と湿度補正値Mを減算し、ドリフト補正と湿度補正が施された値Fを求める。
F=E−(D0+M)
▲4▼ Fと判定値Yとを比較し、Y>Fならば洩れ無し、Y<Fならば洩れ有り、と判定し検査を終了する。
このように、被検査体Wの外側で被検査体Wの濡れの状態を計測しても、内部と外部とでは濡れの状態に関して相関性を持つと考えられるため、被検査体Wの内部を用いて校正した場合と同様に、湿度補正が施された洩れ検査を行なうことができる。
【0071】
ここで特に検査モードで各被検査体毎に行なう蒸気圧測定は図22Aに示すように、被検査体Wの内部の圧力変化を計測するための加圧期間T1と、平衡期間T2と、測定期間T3を実行している間の任意の時間に実行すればよく、従来の検査に要した時間と同じ時間で湿度補正を施した洩れ検査を行なうことができる点が大きな特徴である。
ところで、蒸気圧変化を測定する際に計測冶具80の内部を大気圧で測定した場合、蒸気圧変化を精度よく測定するには測定時間T0(図8又は図17参照)を比較的長く採らなければならない不都合が生じる。これに対し、計測冶具80の内部を負圧にした状態で蒸気圧変化を測定すると短時間に精度よく蒸気圧変化を測定できることが判明した。その理由としては、計測冶具80の内部を負圧にすることにより、水分の蒸発が促され、短時間に水分の蒸発による圧力変化が大幅に発生するためと考えられる。
【0072】
図23に計測冶具80の内部を負圧にして蒸気圧を測定し、被検査体Wに付着している水分の量を計測する場合の実施例を示す。
この実施例では電磁弁84の開放端部に負圧発生器(真空ポンプ)85を接続し、電磁弁84の一端側に負圧を印加する。蒸気圧を測定する際には、計測冶具80を被検査体Wの外壁に付着させた後、電磁弁84を開に制御し、蒸気圧測定用圧力センサ83で所定の負圧に達したことを検出し、その負圧で電磁弁84を閉じ、その時点から所定の時間が経過する間の計測冶具80の内部の圧力変化を蒸気圧変化値ΔP1として計測する。
校正モードでこの蒸気圧変化値ΔP1を測定した後の処理は上述と同じであるが、この場合、特にシール誤差ΔP0を測定し、記憶しておく必要がない利点が得られる。つまり、計測冶具80の内部の空気を負圧に吸引してしまうため、計測冶具80の内部の圧力がシール部材CCの変形等によって変動する現象が発生しないためである。
従って、校正モードで求める湿度補正係数kは
k=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1
で求められる。
更に検査モードでは、検査モードで測定した蒸気圧変化値がΔPxであるものとすると、検査モードで求める湿度補正値Mは、
M=ΔPx・k
で求められる。
従って、計測冶具80の内部を負圧にして蒸気圧を測定して湿度補正を行う場合には、蒸気圧変化を短時間に精度よく測定できる利点に加えてシール誤差ΔP0の測定を行わなくて済む利点が得られる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によればドリフト補正値は乾燥された被検査体を用いて取得し、湿度補正値Mは濡れた被検査体を用いて求めた湿度補正係数kにより算出したから、ドリフト補正から湿度の影響を除去することができる。また、湿度補正には乾燥時のドリフト補正の影響を除去することができる。
この結果、乾燥状態のドリフトと、濡れた被検査体で発生する湿度によるドリフトとをほぼ完全に除去することができ、信頼性の高い洩れ検査を行なうことができる。
【0074】
また、複数の環境温度で発生するゼロ点変動値をそれぞれゼロ点変動値記憶器30E´に記憶させる構成とした場合には、複数の環境温度にゼロ点変動値を記憶した時点以後は、どの環境温度に変化しても、その時点の環境温度のゼロ点ドリフト値を得ることができるから、四季を通じて全自動で洩れ検査装置駆動させることができる。この結果、定期的に校正モードを実行しなくてすむから、洩れ検査装置の実動率を向上させることができ、検査コストの低減も期待することができる利点も得られる。
更に、図21及び図23に示した実施例によれば湿度補正を施しても検査に要する時間が長くなることがないから、多量の被検査体を検査する場合に好適である。また、図23に示した実施例によれば、蒸気圧を短時間に精度よく測定できる利点に加えてシール誤差ΔP0を測定し、記憶しなくて済むため、装置を簡素化できる利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による洩れ検査装置の一実施例を説明するためのブロック図。
【図2】図1に示した洩れ検査装置の要部の構成を説明するためのブロック図。
【図3】図1に示した洩れ検査装置に用いる温度センサの構造の一例を説明するための断面図。
【図4】この発明のドリフト値取得方法の手順を説明するためのフローチャート。
【図5】図1に示した洩れ検査装置の動作を説明するためのグラフ。
【図6】図2に示したドリフト記憶器に記憶したドリフト値の一例を説明するためのグラフ。
【図7】この発明の湿度補正係数取得方法の手順を説明するためのフローチャート。
【図8】図1及び図2に示した洩れ検査装置の検査モードの動作を説明するためのグラフ。
【図9】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図10】図9に示した変形実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図11】この発明の更に他の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図12】図11に示した変形実施例の要部の動作を説明するためのグラフ。
【図13】図11に示した実施例で用いるゼロ点変動値取得方法を説明するためのグラフ。
【図14】この発明の更に他の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図15】この発明の更に他の実施例を説明するためのブロック図。
【図16】この発明の更に他の実施例を説明するためのブロック図。
【図17】図16に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図18】図16に示した実施例の他の実施例を説明するためのブロック図。
【図19】図18に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図20】図16に示した実施例の他の実施例を説明するためのブロック図。
【図21】この発明の更に他の実施例を説明するためのブロック図。
【図22】図21に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図23】図21に示した実施例の他の実施例を説明するためのブロック図。
【図24】温度と飽和蒸気圧の関係を説明するための図。
【符号の説明】
1 第1シール治具 30F ゼロ点変動書込読出手段
2 第2シール治具 50 湿度補正手段
3 温度センサ 50A シール誤差測定手段
4 温度差測定器 50B シール誤差記憶器
5 環境温度測定手段 50C 湿度補正係数取得手段
14 中子 50D 湿度補正係数記憶器
15 配管 50E 蒸気圧測定手段
16 圧力センサ 50F 湿度補正値算出手段
16A 差圧計 60 減算手段
17、17A、17B 電磁弁 70 判定手段
18 3方電磁弁 80 計測冶具
19 調圧弁 85 負圧発生器
20 空圧源 100 洩れ検査装置本体
30 ドリフト補正手段 101 中央演算処理装置
30A ドリフト値取得手段 102 ROM
30B ドリフト記憶器 103 RAM
30C ドリフト書込読出手段 104 入力ポート
30D 直線近似演算手段 105 出力ポート
30E、30E´ ゼロ点変動値記憶器 200 表示器
【発明の属する技術分野】
この発明は各種の容器、エンジンのシリンダブロック、ガス器具などの洩れが有ってはならない機器の洩れの有無を検査する洩れ検査装置に関し、特に被検査体が濡れている状態でも正確に洩れの有無を判定することができる洩れ検査装置の校正方法及び装置を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
洩れ検査装置は被検査体に加圧した空気を封入し、その空気圧の変化を測定して洩れの有無を検査している。然し乍ら、空気は被検査体の温度、或は被検査体に接触する治具等の温度の影響を受け、洩れが無いのに洩れの有るような圧力変動(これをドリフトと称している)を来し、洩れの有無の判定を難しいものとしている。
このため、本出願人は従来より各種の洩れ検査方法及び洩れ検査装置のドリフト補正に関して各種の提案を行なってきた。
【0003】
過去において提案したドリフト補正方法はドリフトの発生原因を被検査体に印加した加圧気体の温度変化(加圧印加時の断熱変化)が主な発生原因と見て被検査体に印加した空気の圧力変化からドリフト補正係数を導き出す手法を採っていた(例えば特許文献1)。
この特許文献1で提案したドリフト補正方法によれば校正モードにおいて、ドリフト補正係数を求めた条件の範囲に限れば適正にドリフト補正が働くのであるが、その条件の範囲から外れると、正しくドリフト補正が行なわれなくなる欠点がある。
【0004】
この状況を解消すべく本出願人は被検査対の開口部を閉塞するシール治具と被検査体との温度差に着目し、この温度差がドリフト発生要因と特定し、校正モードにおいてこの温度差毎にドリフト補正値を求めてテーブルとして記憶し、検査モードではシール治具と被検査体との温度差を計測し、その温度差に従ってドリフト補正値をテーブルから読み出して補正するドリフト補正方法(特許文献2及び特許文献3)を提案した。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−50854 公報
【特許文献2】
特開2002−22592 公報
【特許文献3】
特開2003−106923 公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が過去に提案した各種のドリフト補正方法によれば被検査体が完全に乾燥状態であればほぼ完全に正しいドリフト補正を行なうことができる。然し乍ら、被検査体が濡れた状態(わずかでも水滴が付着している状態)にある場合には誤って判定を下す状況が発生することが判明した。
例えばエンジンブロックの場合には加工が終了すると洗浄水により洗浄が行なわれ、洗浄工程を経て検査工程にまわされる。洗浄工程の終了時点で乾燥工程が設けられているが、短時間に完全な乾燥を行なうことは難しい、このため、エンジンブロックの内壁にわずかな水滴が付着した状況で洩れ検査を行なう場面が多々存在する。
【0007】
液体の水滴は常時被検査体温度における飽和蒸気圧に向かって蒸発を続ける。つまり、被検査体内に水滴が付着している場合、仮に被検査体の温度が常温でその開口部分がシール治具で閉塞された状況でも水滴は被検査体温度における飽和蒸気圧に向かって蒸発を続ける。この結果、水滴が存在した場合は被検査体内の圧力はわずかではあるが上昇を続け、この蒸発による圧力上昇が存在するためわずかな洩れが有るにも係わらず「洩れ無し」とする誤った判定を下すおそれがある。
【0008】
因みに図24に温度対飽和蒸気圧の対応を示す(理科年表より抜粋)。この図から明らかなように、温度が10℃の場合と、30℃の場合とでは飽和蒸気圧は約4倍の違いがあるから被検査体の温度が高い場合程水滴の影響が大きいことが分かる。
この発明の目的は被検査体とシール治具との間に温度差があっても、また被検査体に水滴が付着した状態であっても正しくドリフト補正を行なうことができる洩れ検査装置のドリフト値取得方法・温度補正係数取得方法・ゼロ点変動値取得方法・洩れ検査装置の校正方法及びこの校正方法により校正されて動作する洩れ検査装置を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明では先願(特許文献3)で提案したドリフト値取得方法において、校正モードでドリフト値を取得する際に用いる被検査体を洩れのない乾燥された被検査体に特定し、乾燥状態にある被検査体を用いてシール治具と被検査体との間の温度差毎にドリフト値を取得し、検査モードではこのドリフト値を用いて従前どおりドリフト補正を施す。
これと共に、この発明では校正モードにおいて乾燥状態にある被検査体に水滴を付着し、濡れ被検査体に変換し、この濡れ被検査体を用いて水滴から発生する蒸気圧を測定し、この蒸気圧を利用して湿度補正係数kを求め、検査モードでは各被検査体毎に蒸気圧を測定し、この蒸気圧を湿度補正係数kにより正規化して湿度補正値Mを求め、この湿度補正値Mを先にドリフト補正されたドリフト値から減算して湿度補正を施す点を特徴とするものである。
【0010】
従って、この発明によればシール治具と被検査体との間の温度差によって発生するドリフトと、水滴から発生する蒸気圧によるドリフトの双方を補正することが出来、これにより信頼性の高い洩れ検査装置を提供することができる。
具体的な解決手段としては以下の如くである。
この発明では被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を封じ込め、この空気圧の変化を測定して空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置において、
校正モードで被検査体に洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体とシール治具との間に所定の温度差を与えた状態に設定し、この所定の温度差が与えられている状態で常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、その空気圧の変動量をドリフト値として測定することを複数の温度差毎に実行し、複数の温度差のドリフト値をドリフト記憶器に記憶する洩れ検査装置のドリフト値取得方法を提案する。
【0011】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を封じ込め、両者間に圧力差が発生するか否かにより被検査体に洩れが有る否かを判定する洩れ検査装置において、
校正モードで被検査体に洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体とシール治具との間に所定の温度差を与えた状態に設定し、この所定の温度差が与えられている状態で常温乾燥被検査体と基準タンクに空気を封じ込め、圧力差の変動量をドリフト値として測定することを複数の温度差毎に実行し、複数の温度差のドリフト値をドリフト記憶器に記憶することを特徴とする洩れ検査装置のドリフト値取得方法を提案する。
【0012】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト取得方法の何れかにより、ドリフト記憶器に被検査体とシール治具との間の温度差に対応するドリフト値を記憶した洩れ検査装置において、
校正モードで洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意すると共に、この常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、この温度差に対応するドリフト値をドリフト記憶器から導出すると共に、常温乾燥被検査体に空気圧を印加してドリフト値と環境温度を測定し、この測定して得られたドリフト値とドリフト記憶器から導出したドリフト値との偏差を求め、この偏差値を測定した環境温度に対応するゼロ点変動値としてゼロ点変動記憶器に記憶する洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法を提案する。
【0013】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法の何れかにより、ドリフト記憶器に被検査体とシール治具との間の温度差に対応するドリフト値を記憶した洩れ検査装置において、
校正モードで洩れの有無が不明な乾燥された常温乾燥被検査体を用意する共に、この洩れの有無が不明な乾燥された常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差をゼロの状態に設定し、この設定状態で被検査体に空気圧を印加して仮ドリフト値と環境温度とを測定すると共に、ドリフト測定タイミングより長時間経過したタイミングで洩れのみによる圧力変化を測定してこの圧力変化を仮ドリフト値から差し引くことにより真のドリフト値を求め、この求められたドリフト値とドリフト記憶器の温度差ゼロに該当するアドレスに記憶しているドリフト値との偏差を求め、この偏差値を測定した環境温度に対応するゼロ点変動値としてゼロ点変動記憶器に記憶する洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法を提案する。
【0014】
この発明では更に洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法の何れかにおいて、
ゼロ点変動値取得方法で取得するゼロ点変動値を複数の環境温度毎に取得し、各環境温度毎に取得したゼロ点変動値をゼロ点変動値記憶器に記憶するゼロ点変動値取得方法を提案する。
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法において、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の被検査体の内部の圧力変化値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、常温乾燥被検査体の内面に水滴を付着させ常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の開口部をシール治具によって閉塞し、所定時間が経過する間の圧力変化値を蒸発空気圧ΔP1として計測する過程と、上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
【0015】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより被検査体に洩れが有るか否かを判定する濡れ検査装置の補正係数取得方法において、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の常温乾燥被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、上記常温乾燥被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間に発生する差圧値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、常温乾燥被検査体の内面に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の開口部を上記シール治具によって閉塞し、所定時間が経過する間の差圧の変化値を蒸発空気圧ΔP1として計測する過程と、常温濡れ被検査体及び基準タンクに空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の差圧の変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
【0016】
この発明では更に濡れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかによりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、
検査モードで被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部の圧力変化値又は被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧値がΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施す洩れ検査装置の湿度補正方法を提案する。
【0017】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項6記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項7記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、
検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値をドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXからシール誤差値ΔP0を減算した値(ΔPX−ΔP0)に湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較する洩れ検査方法を提案する。
【0018】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、被検査体の内部の空気圧の変化を測定する圧力センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で圧力センサで計測される圧力変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値をドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、被検査体の開口部を大気圧の環境下でシール治具によって閉塞し、この閉塞期間における被検査体の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXからシール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、被検査体に封じ込めた空気圧の変化量からドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
【0019】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧の変化を測定する差圧センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差毎に常温乾燥被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で差圧センサで計測される差圧変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で閉塞し、その閉塞状態で差圧センサで計測される差圧変化値ΔP1と、常温乾燥被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する常温乾燥被検査体と基準タンクの間の差圧変化値ΔP01と、常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に常温濡れ被検査体と基準タンクの差圧変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値をドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、被検査体の開口部を大気圧の環境下でシール治具によって閉塞し、この閉塞期間における被検査体の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXからシール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、被検査体に封じ込めた空気圧の変化量からドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
【0020】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置又は被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかにおいて、校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の外側面に閉塞された空間を形成するための計測用治具をシール治具を介して被着し、この閉塞された空間を所定時間閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の圧力変化値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、上記計測治具が形成する空間に面する上記常温乾燥被検査体の内面と外面に均一に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の濡れた部分を上記計測治具により覆って閉塞し、所定時間が経過する間の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、上記シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
【0021】
この発明では更に洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、検査モードで被検査体の外表面の一部を上記計測冶具により覆って閉塞空間を形成し、所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値をΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施す洩れ検査装置の湿度補正方法を提案する。
【0022】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体の外表面の一部を上記計測冶具により覆って閉塞し、大気圧の環境下において密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算した値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較する洩れ検査方法提案する。
【0023】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、上記被検査体の内部の空気圧の変化を又は被検査体と基準タンクとの間に発生する圧力差を測定する圧力センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の外側に被着され、凹部により閉塞された空間を形成する計測治具と、この計測治具で形成される空間を閉塞し、その閉塞状態で蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体を大気圧の環境下において上記計測用治具で閉塞し、その閉塞状態で上記蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、上記常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、上記シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、上記計測治具で形成される空間を大気圧の環境下で閉塞し、この閉塞期間における上記空間の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
【0024】
この発明では更に被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置又は被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかにおいて、校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、上記常温乾燥被検査体の外面と、上記常温乾燥被検査体の内面に均一に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、この常温濡れ被検査体の濡れた部分を計測治具により覆って閉塞空間を形成し、この閉塞空間に、所定の負圧を印加し、負圧の印加後所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1)により求める過程と、上記湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程とを実行する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法を提案する。
この発明では更に洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、検査モードで被検査体の外表面の一部を上記計測冶具によって覆って閉塞空間を形成し、所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値をΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=ΔPX ・kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施す洩れ検査装置の湿度補正方法を提案する。
【0025】
この発明では更に洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体と計測冶具によって形成される閉塞空間を負圧の環境下において密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの閉塞空間内の圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXに上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=ΔPX・kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較する洩れ検査方法を提案する。
【0026】
この発明では更に被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、上記被検査体の内部の空気圧の変化を又は被検査体と基準タンクとの間に発生する圧力差を測定する圧力センサと、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の外側に被着され、凹部により閉塞された空間を形成する計測治具と、校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の外表面の一部を上記計測用治具で被覆し、上記計測冶具で形成される閉塞空間に負圧を印加し、この負圧の印加状態で所定の時間が経過する間に上記蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、上記常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果により湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1によって求める湿度補正係数取得手段と、この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、検査モードにおいて、上記計測治具で形成される空間に負圧を印加し、この負圧印加状態で上記空間の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXに上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段とによって構成した洩れ検査装置を提案する。
この発明では更に洩れ検査装置の何れかにおいて、検査モードで上記温度センサが測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値が上記ドリフト記憶器に存在しない場合は、上記ドリフト記憶器に記憶されている複数のドリフト値から直線近似により該当する温度差に対応するドリフト値を算出する直線近似演算手段を設けた構成とした洩れ検査装置を提案する。
【0027】
作用
この発明による洩れ検査装置のドリフト値取得方法によれば、被検査体とシール治具との間の温度差をドリフト発生要因として特定し、被検査体とシール治具間の温度差毎にドリフト値を取得し、ドリフト記憶器に記憶したから、ドリフト記憶器に用意したドリフト値と、検査モードで発生するドリフト値とが良く一致し、精度の高いドリフト補正を施すことができる利点が得られる。また、この発明による洩れ検査装置の湿度補正値取得方法を適用することにより、水滴が付着した状態の被検査体であっても予め湿度補正値を取得してあるから検査前又は検査終了時点を除く検査中の何れかにおいて、その検査すべき被検査体の蒸発空気圧を測定すれば、その測定値から湿度補正値を求めることができる。この結果、被検査体とシール治具間の温度差に基づいて発生するドリフトも、水滴の付着によって発生する蒸気圧による誤差も検査結果で得られるドリフト値から除去できるから、水滴がわずかでも付着した被検査体でも正しく検査を行なうことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明による洩れ検査装置の一実施例を示す。この洩れ検査装置によればこの発明による洩れ検査用のドリフト値取得方法及び湿度補正係数取得方法を実行することができる。また、このドリフト値取得方法で取得したドリフト値及び湿度補正係数取得方法で取得した湿度補正係数を利用して信頼性の高い洩れ検査を実行することができる。
図中Wは被検査体を示す。被検査体Wは基台となる第1シール治具1の上に載置され、オーリングのようなシール部材CCで気密を保持される。被検査体Wの上部側の開口部には第2シール治具2が搭載され、被検査体Wの上部側の開口部を閉塞する。この場合第2シール治具2に装着されたシール部材CCで気密を保持して閉塞する。
【0029】
被検査体Wは例えばエンジンのシリンダブロック或はガス器具の部品等各種の製品が適用される。エンジンのシリンダブロックのように形状が大きい場合は中子14を挿入し、被検査体W内の内容積を可及的に小さくするように配慮される。
第2シール治具2には空気の注入口2Aが設けられ、この注入口2Aに配管15が連通される。配管15には圧力センサ16と、電磁弁17と、3方電磁弁18と、調圧弁19を通じて空圧源20が接続される。調圧弁19を調整して圧力計21の指示に従って被検査体Wに印加する空気圧を設定する。
【0030】
3方電磁弁18をa−b間を開放状態に制御し、電磁弁17を開くことにより被検査体Wに空気圧を印加することができる。被検査体Wに空気圧を印加した後で電磁弁17を閉じることにより、被検査体Wに空気圧を封じ込めることができる。この封じ込んだ空気圧を圧力センサ16で測定することにより所定の時間に渡って一定値を維持すれば洩れ無しと判定することができる。
然し乍ら、一般的には被検査体Wと第1シール治具1及び第2シール治具2の温度に対応して空気圧が変動(ドリフト)し、あたかも洩れが有るかの如く挙動する。更に、そのドリフト量は被検査体Wが乾燥状態にある場合と、濡れている場合とで異なる値を呈する。
【0031】
このため、この発明では被検査体Wが乾燥状態にあることを想定して施すドリフト補正を実行するドリフト補正手段と、濡れた状態を想定して施す湿度補正を実行する湿度補正手段とを備えた洩れ検査装置を提供するものである。図1に示す洩れ検査装置本体100は概略ドリフト補正手段30と湿度補正手段50と、判定手段70とを備えた洩れ検査装置本体を示す。この発明による洩れ検査装置本体100の内部の詳細は図2で説明することにするが、ここでは洩れ検査装置本体100の概要を説明する。
【0032】
ドリフト補正手段30には予め校正モードにおいて取得したドリフト補正値を記憶しているドリフト記憶器30Bが設けられる。このドリフト記憶器30Bに記憶されているドリフト補正値は洩れの無い乾燥状態にある被検査体Wを用意する。この洩れの無い被検査体には洩れの有無を検査すべき製品と同一形状で、同一の材質であることが要件として求められる。この被検査体Wに空気圧を印加し、空気圧の印加後、所定の安定時間を経て、所定の測定期間(例えば2〜4秒程)を設定し、この測定期間に被検査体Wの内部の圧力変化をドリフト値として取得する。このとき、被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を測定し、その温度差におけるドリフト値としてドリフト記憶器30Bに記憶する。校正モードでは被検査体Wを加熱又は冷却して被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を異なる温度差に設定し、各温度差毎にドリフト値を取得し、その取得したドリフト値をドリフト記憶器30Bに記憶する。
【0033】
被検査体Wとシール治具(図1に示す例では第1シール治具1)との間の温度差を測定するために、第1シール治具1に温度センサ3を設けている。この温度センサ3は図3に示すように第1シール治具1の被検査体Wと接触する面に穴Hを形成し、この穴Hの内部にセンサホルダ13を装着する。センサホルダ13は軸芯に貫通孔13Aを有し、この貫通孔13Aの両端に温度センサS1、S2を装着して支持させる。温度センサS1、S2は貫通孔13Aの両端面に露出して配置し、温度センサS1は第1シール治具1に接触して第1シール治具1の温度を測定する、また、センサS2は貫通孔13Aの上端面に露出して配置される。これらセンサS1とS2は貫通孔13Aの内部で樹脂剤或は接着剤等でセンサホルダ13に固定される。
【0034】
温度センサS2は第1シール治具1の表面と面一に配置され、その上に被検査体Wを搭載すると、被検査体WがセンサS2に接触し、被検査体Wの温度を測定する。尚、センサS2の表面には保護のために銅のような熱伝導率の高い材質の金属板等を配置し、この金属板を介して被検査体Wに接触するように構成することもできる。
温度差測定器4はセンサS1とS2の測定温度の差を求め、被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を洩れ検査装置本体100に入力する。
【0035】
このようにしてドリフト記憶器30Bには校正モードにおいて予め被検査体Wとシール治具1との間の温度差毎に取得したドリフト値が記憶される。
検査モードでは検査に先だって被検査体Wとシール治具1との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト値をドリフト記憶器30Bから読み出し、このドリフト値を被検査体を検査した場合に発生するドリフト値から減算してドリフト補正を施す。
一方、湿度補正値算出手段50には湿度補正係数取得手段50Cと、湿度補正係数記憶器50Dと、被検査体Wに水滴が付着している度合を測定する蒸気圧測定手段50Eとが設けられている。湿度補正係数取得手段50Cには、予め校正モードにおいて常温乾燥状態にある洩れの無い被検査体と、水滴を付着した濡れた常温被検査体とを用いてそれぞれの被検査体で発生するドリフト値を測定し、そのドリフト値から湿度補正係数kを取得し、この湿度補正係数kを湿度補正係数記憶器50Dに記憶して用意する。
【0036】
これと共に検査モードでは蒸気圧測定手段50Eにより各被検査体毎に水滴が存在する場合に発生する蒸気圧を測定し、この蒸気圧と湿度補正係数kとにより湿度補正値Mを求め、この湿度補正値Mを被検査体で発生するドリフト値(詳しくはドリフト補正が施されたドリフト値)から減算し、湿度補正を施す。
判定手段70はドリフト補正と湿度補正が施されたドリフト値と予め設定した判定値とを比較し、ドリフト値が判定値を超えている場合を洩れ有り、判定値以下の場合を洩れ無しと判定し、その判定結果を表示器200に表示する。
【0037】
図2に洩れ検査装置本体100の内部構成を示す。洩れ検査装置本体100は一般にコンピュータによって構成される。コンピュータはCPUと呼ばれている中央演算処理装置101と、基本プログラムを格納したROM102と、実動プログラム等を記録し、実行させるRAM103と、入力ポート104、出力ポート105等により構成される。
図2に示す実施例ではRAM103に外部の例えば磁気ディスク等から実動プログラムを読み込んで、これらの各実動プログラムをRAM103上で実行させる構成とした場合を示す。尚、実動プログラムをROM102に焼き付けROM102上で実行させる場合もある。
【0038】
RAM103にはドリフト補正手段30を構成する手段としてドリフト値取得手段30Aと、ドリフト記憶器30Bと、ドリフト書込読出手段30Cとが設けられる。
更に、湿度補正手段50を構成する手段としてシール誤差測定手段50Aと、シール誤差記憶器50Bと、湿度補正係数取得手段50Cと、湿度補正係数記憶器50Dと、蒸気圧測定手段50Eと、湿度補正値算出手段50Fとが設けられる。また、減算手段60と、判定手段70とが設けられる。
【0039】
入力ポート104には圧力センサ16からの圧力測定値と、温度差測定器4からの被検査体Wとシール治具1との間の温度差の値が入力される。また出力ポート105には表示器200が接続され、判定手段70の判定結果を表示器200に表示する。
ドリフト値取得手段30Aはプログラムによって構成される。このドリフト値取得手段30Aを構成するプログラムは校正モードにおいて選択されて起動される。ドリフト値取得手段30Aを構成するプログラムが起動されると、図4に示す手順に従って被検査体Wとシール治具1との間の温度差毎のドリフト値を取得する。
【0040】
図4に示すステップS41では洩れの無い乾燥された被検査体を用意し、シール治具1の上に載置する。
ステップS42では被検査体Wに熱を加えて、シール治具1との温度差を所望の温度差に設定する。
ステップS43では第2シール治具2(図1参照)で被検査体Wの開口部を閉塞し、電磁弁17を開いて被検査体Wに空気圧を与える。
ステップS44では測定期間T3(図5参照)で発生する圧力変化値Dをドリフト値として測定し、その測定結果をドリフト書込読出手段30C(図1)によりドリフト記憶器30Bに記憶する。尚、図5は被検査体Wに空気圧を印加するシーケンスを示す。T1は加圧期間、T2は平衡期間、T3は測定期間を示す。各期間は3〜5秒程度に設定される。
【0041】
ステップS45では所望の温度差の全てに渡ってドリフト値が取得されたか否かを判定する。所望の温度差の一部が未だに未取得である場合はステップS42に戻り、ステップS42〜S44を再度実行する。全ての温度差に渡ってドリフト値が取得できた場合は終了する。図6にドリフト記憶器30Bに取得したドリフト値の一例を示す。図6に横軸に示すように各記憶アドレスに温度差が割当られ、各温度差毎にドリフト値が記憶される。
次に湿度補正係数取得方法について説明する。湿度補正係数取得も校正モードで実行される。図7に湿度補正係数取得方法の手順を示す。
【0042】
ステップS71で洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、シール治具1の上に載置する。被検査体の温度が常温であることのよりシール治具1との温度差は0である。
ステップS72では大気圧の環境下において第2シール治具2で被検査体の開口部を閉塞し、被検査体Wの内部に大気圧を封じ込める。
ステップS73では所定の時間(例えば数秒程度)経過する間の被検査体の内部の圧力変化値ΔP0を計測する。この圧力変化値は乾燥時の蒸気圧変化に該当し、これはシール治具2のシール誤差値(シール治具の形状変形等によって発生する誤差)にも該当する。以下ΔP0をシール誤差値と称することにする。
【0043】
ステップS74では常温乾燥被検査体に空気圧を与え、乾燥状態におけるドリフト値ΔP01を計測する。
ステップS75では同じ被検査体に対し、被検査体の内面に水滴を付着させて濡れ被検査体に変換し、この状態で被検査体の開口部を閉塞し、被検査体に大気圧を封じ込め、所定時間経過する間の蒸気圧変化値ΔP1を計測する。
ステップS76では被検査体に空気圧を印加し、測定期間T3(図5参照)で発生する圧力変化値ΔP11を計測する。
【0044】
ステップS77では湿度補正係数kを
k=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)
で算出し終了する。
尚、ステップS77で演算したΔP1−ΔP0は濡れた被検査体の蒸気圧変化から、シール誤差値ΔP0を差し引いた蒸気圧変化である。また、ΔP11−ΔP01は濡れた被検査体のドリフト値ΔP11から乾燥した被検査体のドリフト値ΔP01を差し引いた蒸気圧によるドリフト値である。
【0045】
湿度補正係数kが算出されると、この湿度補正係数kは図2に示した湿度補正係数記憶器50Dに記憶される。
以上により校正モードを終了することができる。上述した校正モードは被検査体(検査対象となる製品)が変更されない限りにおいてはしばしば行なう必要がなく、被検査体の品種が変換される毎に行なえばよい。但し、各製品毎に予め校正を行なって必要なデータを記憶してある場合は必ずしもその必要はない。
次に、検査モードについて説明する。検査モードでは第1シール治具1の上に被検査体Wを載置し、この被検査体Wの開口部も第2シール治具2で閉塞する。この閉塞状態で被検査体Wに大気圧を封じ込める。この閉塞状態で図2に示した蒸気圧測定手段50Eにより測定する。任意の被検査体Wで測定された蒸気圧変化値がΔPXであるとき、湿度補正値算出手段50Fは湿度補正値Mを、
M=(ΔPX−ΔP0)k
で算出する。
【0046】
減算手段60ではドリフト補正手段30で各被検査体W毎に被検査体Wの温度とシール治具1との温度差から求めたドリフト値補正値D0と湿度補正手段50で求めた湿度補正値Mとを加算(D0+M)し、この加算結果を各検査毎に測定される圧力変化値Eから減算し、ドリフト補正と湿度補正された値Fを、
F=E−(D0+M)
で求める。
判定手段70はこのドリフト補正された値Fと洩れ判定のための判定値Yとを比較し、F<Yであれば洩れ無し、F>Yであれば洩れ有りと判定する。
【0047】
図8に検査の様子を示す。ここでは検査に先だって各被検査体毎に蒸気圧変化値ΔPXを測定する蒸気圧変化値測定期間T0を設けた場合を示す。蒸気圧変化値測定期間T0で各被検査体毎に蒸気圧変化値ΔPXを測定する。測定後、加圧期間T1、平衡期間T2を経て測定期間T3に至る。測定期間T3で被検査体Wの内部の圧力変化値E(図8参照)を測定する。これと共に、ドリフト補正手段30は被検査体Wとシール治具1との間の温度差に従ってドリフト記憶器30Bからドリフト補正値D0を読み出す。更に、湿度補正手段50は湿度補正値Mを算出する。
【0048】
減算手段60は測定した圧力変化値Eからドリフト補正値D0と湿度補正値Mとを加算した値(D0+M)を減算し、ドリフト補正と湿度補正が施されたドリフト補正された値Fを上述したようにF=E−(D0+M)で求める。
被検査体Wに洩れが無ければE≒D0+Mとなり、この場合はF≒0となるからF<Yとなり、洩れ無しと判定される。もし洩れが有る場合はE>D0+Mとして測定されるから、Y<E−(D0+M)となる率が高くなり洩れ有りと判定される確率が高まる。
【0049】
ところで、上述した実施例では図6に示したようにドリフト記憶器30Bの各アドレスの全てに各温度差ごとのドリフト値を記憶した例を説明したが、このドリフト値を取得するには被検査体Wの温度を適当な温度に設定し、その温度によりシール治具1との温度差を設定してドリフト値を測定する方法を採るから、ドリフト値を取得するアドレスの数が大きい程その労力は大きい。
このために、ドリフト記憶器30Bには数点のアドレスのみにドリフト値を記憶させ、他のアドレスのドリフト値は直線近似によって求める方法が考えられる。
【0050】
図9はその実施例を示す。つまりこの実施例ではドリフト補正手段30に図2に示した構成に加えて直線近似演算手段30Dを設けた構成とした点を特徴とするものである。
この直線近似演算手段30Dを設けたことにより、図10に示すように例えば温度差として0℃と+15℃と+30℃の3点程度を設定し、これらの各温度差毎のドリフト値D1、D2、D3を記憶して用意すれば、他の温度のドリフト値は直線近似演算手段30Dで算出することができる。また、算出する温度差として小数点以下も算出することができる構成とすれば、測定した温度差が例えば13.5℃のように小数点を含む場合もその温度差に対応したドリフト値DMを求めることができる。
【0051】
従って、図9に示した実施例によればドリフト補正のためのドリフト値を取得する労力を大きく低減することができる効果と、測定した温度差に対応したドリフト値を正確に求めることができる利点とが得られる。
図11はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では図9に示した洩れ検査装置本体100にゼロ点変動値記憶器30Eとゼロ点変動書込読出手段30Fを設けた構成を特徴とするものである。このゼロ点変動値記憶器30Eには例えば季節の変化などによりドリフト値Dが変動した量ΔDをゼロ点変動値として記憶させる。このゼロ点変動値ΔDが発生する理由としては、被検査体W及びシール治具1の平均温度(環境温度)が季節に応じて変動した場合、被検査体Wに封入した空気の温度変化(断熱変動)によるドリフト量が変動することが主因であると考えられている。このドリフト値Dが変動した量、ゼロ点変動値ΔDを取得する方法を説明する。
【0052】
ゼロ点変動値ΔDを取得する方法は以下の2つの方法がある。
▲1▼ 洩れの無い被検査体Wを用意し、この被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差をドリフト記憶器30Bに存在する温度差N℃に設定する。この状態で加圧期間T1、平行期間T2を経て測定期間T3でドリフト値Gと、この時点における環境温度(シール治具の温度又は大気温度)を計測する。このドリフト値Gとドリフト記憶器11FのN℃に対応するアドレスに記憶しているドリフト値Dとの偏差ΔD=G−Dを求める。この偏差ΔDがこの校正を行なった時点の環境温度下におけるゼロ点変動値である。
【0053】
▲2▼ 被検査体Wと第1シール治具1との間の温度差を0℃に設定する。この場合被検査体Wは洩れの有無を問わない。洩れが有る被検査体(但しその洩れは大きい洩れではなくわずかな洩れであるものとする)を使ってドリフト値を測定できる理由は後に説明することとするが、ここでは手順のみを図13を用いて簡素に説明する。加圧期間T1と、平衡期間T2を経て測定期間T3の終了時点で圧力計16の圧力変化D1を測定する。その後、充分な時間(ドリフトが終息するまでの時間、数分程度)が経過した時点Aから、先の測定期間T3と同じ時間T3が経過する間に変化する圧力変化値D2とD3を測定し、これらの差ΔD2=D2−D3を求める。この差ΔD2が洩れによって発生する圧力変化値であるから、初回の測定値D1から、この差ΔD2を差し引くことにより、真のドリフト値Gを得ることができる。つまりG=D1−ΔD2となる。このドリフト値Gがドリフト記憶器30Bに温度差0℃のアドレスに記憶しているドリフト値Dとの間に偏差ΔD=G−Dが存在すれば、その偏差ΔDがその時点の環境温度下におけるゼロ点変動値である。偏差ΔDは正か負かの極性を持つ(図12参照)。
【0054】
▲1▼、▲2▼の何れの方法でゼロ点変動値ΔDを求めたとしても、このゼロ点変動値ΔDをゼロ点変動値記憶器30Eにゼロ点変動書込読出手段30Fにより書き込んで記憶させればよい。検査モードではドリフト記憶器30Bからドリフト書込読出手段30Cにより読み出されるドリフト値Dにゼロ点書込読出手段30Fにより読み出されるゼロ点変動値ΔDを加算し、その加算結果を減算手段60で検査中の被検査体Wで得られた圧力変化値E(図8)から減算し、その減算結果を判定手段70に送り込む。また、湿度補正値Mも湿度補正手段50で求められ、この湿度補正値Mも減算手段60に送り込まれ湿度補正が施される。
検査モードでドリフト記憶器30Bから読み出される全てのドリフト値Dにゼロ点変動値ΔDを加算してドリフト補正することにより、図12に示す本来の曲線Aは補正曲線B又はCに平行移動されて修正される。尚、図9に示した実施例と図11に示した実施例は併合して実施することができることは容易に理解できよう。
【0055】
図14はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では被検査体Wの開口部が1箇所の場合を示す。この場合には第2シール治具2と被検査体Wとの間の温度差を温度センサ3で測定し、その温度差を温度差測定器4で求めて洩れ検査装置本体100に入力すればよい。従って、この場合も温度差測定器4で求めた温度差に従って、ドリフト記憶器30Bからドリフト値Dを読み出し、このドリフト値Dを図2に示した実施例と同様に検査中の被検査体Wで測定した圧力変化値E(図4参照)から減算してドリフト補正を施す。また、この実施例にも図9及び図11に示した実施例を併用することができる。また、湿度補正手段50で湿度補正値Mを求め、この湿度補正値Mにより湿度補正を施す。
図15はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では温度センサ3を接触式の温度センサ3A、3Bで構成した場合を示す。接触式の温度センサ3A、3Bを用いることにより、被検査体W及び第2シール治具2に対する接触位置を任意に設定し、変更することができるから、温度差を測定するのに適した位置を自由に選択することができる利点が得られる。尚、被検査体Wに関して接触式の温度計で温度を測定できない品種もある。このような場合には非接触式の例えば赤外線放射温度計等を用いて被検査体Wの温度を測定することも考えられる。
【0056】
図16はこの発明を差圧検出型の洩れ検査装置に適用した場合を示す。差圧検出型洩れ検査装置はよく知られているように被検査体Wに対して洩れの無い基準タンクMSを設け、これら被検査体Wと基準タンクMSに電磁弁17A、17Bを開閉して空気圧を封入する。空気圧の封入状態(電磁弁17A、17Bを閉じた状態)において、基準タンクMSと被検査体Wとの間に設けた差圧計16Aにより基準タンクMSと被検査体Wとの間に圧力差が発生するか否かを測定する。差圧が発生した場合は、被検査体Wに洩れが有ると判定する型式の洩れ検査装置である。
【0057】
この差圧検出型の洩れ検査の場合は被検査体Wに印加した空気圧と同じ空気圧が基準タンクMSに封じ込んでいるから、差圧計16Aは本来圧力差ゼロを検出するはずである。然し乍ら、図1及び図2に示した実施例と同様に、被検査体Wに封入した空気に圧力変化(ドリフト)が発生し、あたかも洩れが有るかの如き差圧が発生する。
この発明ではまず校正モードにおいて、洩れの無い常温乾燥被検査体Wを用意し、この被検査体Wに温度を与えて図16に示す例では第2シール治具2との間に所望の温度差を与えた状態を設定する。この状態で加圧期間T1と、平衡期間T2を経て測定期間T3を実行し、各温度差毎にドリフト値を測定し、このドリフト値をドリフト記憶器30Bの複数のアドレスにドリフト値Dを取得する。更に、図7で説明した手順に従って湿度補正係数kを求め、校正モードを終了し、その後検査を実施することができる。
【0058】
検査モードでは図17に示すように各検査の開始毎に被検査体W内の蒸気圧変化値ΔPX(差圧式の洩れ検査装置では被検査体W内の圧力が上昇する蒸気圧変化は図17に示すように負極性の差圧として検出される)を測定する。湿度補正手段50は測定した蒸気圧変化値ΔPXと湿度補正係数kとにより湿度補正値Mを算出する。
加圧期間T1を経て検査モードにおいて、平衡期間T2で急激に差圧値が上昇した場合(図17に示す直線X)には検査中の被検査体Wに「大きな洩れが有る」と判定する。判定期間T3の期間の終了時点で検査中の被検査体Wと基準タンクMSとの間に発生する差圧の値Eからドリフト記憶器30Bから読み出したドリフト値D0と先に求めた湿度補正値Mとの和を差し引いた値FをF=E−(D0+M)で求める。ここで湿度補正値Mは蒸気圧変化値がΔPXで決めるため湿度補正値MはM=(ΔPX−ΔP0)kで求める。従ってF=E−(D0+M)で表記される。E−(D0+M)≒0であればほぼF≒0となる。この場合は「洩れ無し」と判定する。Fが判定値Yより大きい場合は「洩れ有り」と判定する。
【0059】
図16に示した実施例にも図9と図11及び図15に示した実施例を併用することができることは容易に理解できよう。
図18はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例は図7に示した実施例の変形例である。つまり、図11に示した実施例ではゼロ点変動値記憶器30Eを設け、このゼロ点変動値記憶器30Eに各季節毎にゼロ点変動値を記憶させ、このゼロ点変動値によりドリフト記憶器30Bから読み出されるドリフト値を補正し、環境温度の変化に伴うドリフト値の変動を修正する構成を付加した実施例を説明した。この図11に示した実施例によれば各季節毎にゼロ点変動値を取得するための校正モードを実行しなければならない不都合が生じる。
【0060】
図18に示す実施例はこの不都合を解消することができる洩れ検査装置を提案するものである。
このために図11に示したゼロ点変動値記憶器30Eを複数の環境温度のゼロ点変動値を記憶することができるゼロ点変動値記憶器30E´に変更するものとし、更に環境温度測定手段5を設けた構成を特徴とするものである。
図18に示す環境温度測定手段5は例えば温度センサ3において第1シール治具1の温度を測定した温度測定値を環境温度として流用するように構成することができる。
【0061】
図11で説明したゼロ点変動値取得方法▲1▼又は▲2▼の何れかにより、ゼロ点変動値を求め、その時点の環境温度をゼロ点変動値記憶器30E´のアドレスに対応させて記憶させる。図19に環境温度TSに対するゼロ点変動値ΔDの傾向を示す。図19に環境温度TSが上昇するに伴ってゼロ点変動値ΔDが漸次小さくなる傾向を呈する場合を示す。
洩れ検査装置が製造され、利用者に引き渡された時点ではドリフト記憶器30B(図2参照)及びゼロ点変動値記憶器30E´にはデータが全く書き込まれていない。ドリフト記憶器30Bにはこの発明で提案したドリフト値取得方法によりドリフト値を取り込む。これと共に、ゼロ点変動値記憶器30E´にも、その時点の環境温度のゼロ点変動値を書き込むことができる。従って、運用開始時点ではゼロ点変動値記憶器30Eには1個のゼロ点変動値のみが書き込まれた状態にある。このゼロ点変動値はその季節(環境温度下)では有効に利用することができる。
【0062】
季節が終わり、環境温度が変わる毎にゼロ点変動値を取得し、ゼロ点変動値記憶器30E´に書き込むことを年間を通じて実行することにより、図19に示すほぼ全体のアドレスにゼロ点変動値を取り込むことができる。ゼロ点変動値を取り込みができないアドレス(環境温度)が存在しても、そのアドレスのゼロ点変動値は直線近似演算手段30Dで直線近似により求めることができる。従って、この実施例では直線近似演算手段30Dはドリフト記憶器30Bから読み出すべきドリフト値が存在しない場合と、ゼロ点変動値記憶器30E´から読み出すべきゼロ点変動値が存在しない場合の双方の直線近似を実行する手段として動作する。
【0063】
年間を通じてゼロ点変動値を測定し、その測定結果をゼロ点変動記憶器30E´に書き込むことにより、その後は環境温度に対応したゼロ点変動値をゼロ点変動値記憶器30E´から直接又は直線近似演算手段30Dから得ることができる。
従って、このゼロ点変動値を利用してドリフト記憶器30Bから読み出されるドリフト値を修正し、その修正されたドリフト値を検査中の被検査体Wで発生する圧力変化値E(図8及び図17参照)から差し引くことにより、四季を通じて正しくドリフト値を除去することができる。従って、ゼロ点変動値記憶器30E´に複数の環境温度に渡ってゼロ点変動値を取り込むことができた時点からは校正モードを全く実行せずに全自動で洩れ検査を行なうことができる利点が得られる。
【0064】
図20は図18に示した実施例を差圧式の洩れ検査装置に適用した場合を示す。差圧式の洩れ検査装置の場合でも、洩れ検査装置本体100に各環境温度毎にゼロ点変動値を記憶することができるゼロ点変動値記憶器30E´を設ける点と環境温度測定手段5が設けられる。この実施例では、第2シール治具2の温度を環境温度として洩れ検査装置本体100に取り込む構成とした場合を示す。
差圧式の洩れ検査装置の場合でも、まず洩れの無い被検査体を使ってドリフト記憶器30B(図2参照)に被検査体とシール治具間の温度差毎のドリフト値を用意すると共に、図11及び図12で説明したゼロ点変動値取得方法▲1▼又は▲2▼によりゼロ点変動値を求め、その時点の環境温度に対応したゼロ点変動記憶器30E´のアドレスにその求めたゼロ点変動値を記憶させる。このゼロ点変動値の取得を各環境温度毎に実行して、ゼロ点変動値記憶器30E´の複数のアドレスにゼロ点変動値を取り込むと共に、湿度補正値算出手段50において湿度補正係数kを求めておくことにより、その後は全自動で洩れ検査を行なうことができる。
【0065】
ところで、上述の実施例では湿度補正値Mを求めるために被検査体Wの内部の蒸気圧変化を測定したが、この方法を採った場合は検査の開始前の時点で被検査体Wの内部の蒸気圧変化を測定しなければならない。
このために、検査に要する時間が蒸気圧変化の測定時間T0(図8又は図17参照)分だけ長くなる。この時間の延長は被検査体Wの個数が多くなる程総計として長くなり、高価な検査装置を長い時間専用することになり、検査コストが高価になる欠点がある。
【0066】
このため、この発明では更に被検査体Wの外部の面を代用して被検査体Wの濡れの状態を検出する洩れ検査装置を提案する。
図21はその実施例を示す。この実施例では被検査体Wの外側面(平面)に計測治具80をシール部材CCを介して接触させ、この計測治具80の凹部81によって被検査体Wの外側面に密閉された空間82を形成し、この空間82の圧力変化と蒸気圧測定用圧力センサ83で測定して空間82の蒸気圧変化を計測する構成としたものである。
【0067】
この構成を採る場合、校正モードでは、
▲1▼ シール誤差は洩れの無い乾燥された常温の被検査体Wの外壁に計測治具80を圧接し、圧接状態が安定した状態(圧接時点から数秒程度経過した時点)で電磁弁84を開いて空間82の内部を大気圧にリセットし、再び電磁弁84を閉じる。電磁弁84を閉じた時点から更に数秒程度経過した時点の圧力変化を蒸気圧測定用圧力センサ83で計測し、この計測値をシール誤差ΔP0とする。
▲2▼ 次に、同じ被検査体Wに空気圧を印加し、被検査体W内の圧力変化値を図21の例では差圧計16Aで測定する。その差圧値を乾燥された常温被検査体における被検査体Wとシール治具1との間の温度差0℃の状態のドリフト値ΔP01として取得する。
【0068】
▲3▼ 同じ被検査体Wを用いて、被検査体Wの内側と外側に均等に水滴を付着させ、濡れ被検査体に変換する。(ワーク全体を濡らし、しばらく放置させた状態では内外とも均等に塗れた状態になる。)
▲4▼ 水滴が付着した被検査体の外面に計測治具80を被せ、シール誤差ΔP0の測定時と同様に電磁弁84を開いて空間82を大気圧にリセット後、電磁弁84を閉じて、数秒後の圧力変化値を蒸気圧測定用圧力センサ83で計測する。この値をΔP1とし、濡れた被検査体の蒸気圧変化値とする。
【0069】
▲5▼ 同じ被検査体Wでシール治具2で開口部を閉塞し、被検査体Wの内部に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間の圧力変化値をこの例では差圧計16Aで計測し、この値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として取得する。
▲6▼ これらの測定結果から、湿度補正係数kを
k=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)
で求め、この湿度補正係数kとシール誤差値ΔP0を湿度補正手段50に格納する。
以上により図21に示した実施例における校正モードが終了する。
【0070】
検査モードでは
▲1▼ 被検査体Wの外壁に計測治具80を装着し、被検査体Wの外壁の濡れによる蒸気圧変化ΔPXを計測する。
▲2▼ この蒸気圧変化ΔPXからシール誤差ΔP0を減算した値に湿度補正係数kを乗算し、湿度補正値Mを求める。
M=(ΔPX−ΔP0)k
▲3▼ 被検査体Wの内部の圧力変化E(ドリフト値)を計測し、この圧力変化Eから被検査体Wとシール治具2との間の温度差に従って読み取ったドリフト補正値D0(ドリフト補正手段30に格納されている)と湿度補正値Mを減算し、ドリフト補正と湿度補正が施された値Fを求める。
F=E−(D0+M)
▲4▼ Fと判定値Yとを比較し、Y>Fならば洩れ無し、Y<Fならば洩れ有り、と判定し検査を終了する。
このように、被検査体Wの外側で被検査体Wの濡れの状態を計測しても、内部と外部とでは濡れの状態に関して相関性を持つと考えられるため、被検査体Wの内部を用いて校正した場合と同様に、湿度補正が施された洩れ検査を行なうことができる。
【0071】
ここで特に検査モードで各被検査体毎に行なう蒸気圧測定は図22Aに示すように、被検査体Wの内部の圧力変化を計測するための加圧期間T1と、平衡期間T2と、測定期間T3を実行している間の任意の時間に実行すればよく、従来の検査に要した時間と同じ時間で湿度補正を施した洩れ検査を行なうことができる点が大きな特徴である。
ところで、蒸気圧変化を測定する際に計測冶具80の内部を大気圧で測定した場合、蒸気圧変化を精度よく測定するには測定時間T0(図8又は図17参照)を比較的長く採らなければならない不都合が生じる。これに対し、計測冶具80の内部を負圧にした状態で蒸気圧変化を測定すると短時間に精度よく蒸気圧変化を測定できることが判明した。その理由としては、計測冶具80の内部を負圧にすることにより、水分の蒸発が促され、短時間に水分の蒸発による圧力変化が大幅に発生するためと考えられる。
【0072】
図23に計測冶具80の内部を負圧にして蒸気圧を測定し、被検査体Wに付着している水分の量を計測する場合の実施例を示す。
この実施例では電磁弁84の開放端部に負圧発生器(真空ポンプ)85を接続し、電磁弁84の一端側に負圧を印加する。蒸気圧を測定する際には、計測冶具80を被検査体Wの外壁に付着させた後、電磁弁84を開に制御し、蒸気圧測定用圧力センサ83で所定の負圧に達したことを検出し、その負圧で電磁弁84を閉じ、その時点から所定の時間が経過する間の計測冶具80の内部の圧力変化を蒸気圧変化値ΔP1として計測する。
校正モードでこの蒸気圧変化値ΔP1を測定した後の処理は上述と同じであるが、この場合、特にシール誤差ΔP0を測定し、記憶しておく必要がない利点が得られる。つまり、計測冶具80の内部の空気を負圧に吸引してしまうため、計測冶具80の内部の圧力がシール部材CCの変形等によって変動する現象が発生しないためである。
従って、校正モードで求める湿度補正係数kは
k=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1
で求められる。
更に検査モードでは、検査モードで測定した蒸気圧変化値がΔPxであるものとすると、検査モードで求める湿度補正値Mは、
M=ΔPx・k
で求められる。
従って、計測冶具80の内部を負圧にして蒸気圧を測定して湿度補正を行う場合には、蒸気圧変化を短時間に精度よく測定できる利点に加えてシール誤差ΔP0の測定を行わなくて済む利点が得られる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によればドリフト補正値は乾燥された被検査体を用いて取得し、湿度補正値Mは濡れた被検査体を用いて求めた湿度補正係数kにより算出したから、ドリフト補正から湿度の影響を除去することができる。また、湿度補正には乾燥時のドリフト補正の影響を除去することができる。
この結果、乾燥状態のドリフトと、濡れた被検査体で発生する湿度によるドリフトとをほぼ完全に除去することができ、信頼性の高い洩れ検査を行なうことができる。
【0074】
また、複数の環境温度で発生するゼロ点変動値をそれぞれゼロ点変動値記憶器30E´に記憶させる構成とした場合には、複数の環境温度にゼロ点変動値を記憶した時点以後は、どの環境温度に変化しても、その時点の環境温度のゼロ点ドリフト値を得ることができるから、四季を通じて全自動で洩れ検査装置駆動させることができる。この結果、定期的に校正モードを実行しなくてすむから、洩れ検査装置の実動率を向上させることができ、検査コストの低減も期待することができる利点も得られる。
更に、図21及び図23に示した実施例によれば湿度補正を施しても検査に要する時間が長くなることがないから、多量の被検査体を検査する場合に好適である。また、図23に示した実施例によれば、蒸気圧を短時間に精度よく測定できる利点に加えてシール誤差ΔP0を測定し、記憶しなくて済むため、装置を簡素化できる利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による洩れ検査装置の一実施例を説明するためのブロック図。
【図2】図1に示した洩れ検査装置の要部の構成を説明するためのブロック図。
【図3】図1に示した洩れ検査装置に用いる温度センサの構造の一例を説明するための断面図。
【図4】この発明のドリフト値取得方法の手順を説明するためのフローチャート。
【図5】図1に示した洩れ検査装置の動作を説明するためのグラフ。
【図6】図2に示したドリフト記憶器に記憶したドリフト値の一例を説明するためのグラフ。
【図7】この発明の湿度補正係数取得方法の手順を説明するためのフローチャート。
【図8】図1及び図2に示した洩れ検査装置の検査モードの動作を説明するためのグラフ。
【図9】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図10】図9に示した変形実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図11】この発明の更に他の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図12】図11に示した変形実施例の要部の動作を説明するためのグラフ。
【図13】図11に示した実施例で用いるゼロ点変動値取得方法を説明するためのグラフ。
【図14】この発明の更に他の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図15】この発明の更に他の実施例を説明するためのブロック図。
【図16】この発明の更に他の実施例を説明するためのブロック図。
【図17】図16に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図18】図16に示した実施例の他の実施例を説明するためのブロック図。
【図19】図18に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図20】図16に示した実施例の他の実施例を説明するためのブロック図。
【図21】この発明の更に他の実施例を説明するためのブロック図。
【図22】図21に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図23】図21に示した実施例の他の実施例を説明するためのブロック図。
【図24】温度と飽和蒸気圧の関係を説明するための図。
【符号の説明】
1 第1シール治具 30F ゼロ点変動書込読出手段
2 第2シール治具 50 湿度補正手段
3 温度センサ 50A シール誤差測定手段
4 温度差測定器 50B シール誤差記憶器
5 環境温度測定手段 50C 湿度補正係数取得手段
14 中子 50D 湿度補正係数記憶器
15 配管 50E 蒸気圧測定手段
16 圧力センサ 50F 湿度補正値算出手段
16A 差圧計 60 減算手段
17、17A、17B 電磁弁 70 判定手段
18 3方電磁弁 80 計測冶具
19 調圧弁 85 負圧発生器
20 空圧源 100 洩れ検査装置本体
30 ドリフト補正手段 101 中央演算処理装置
30A ドリフト値取得手段 102 ROM
30B ドリフト記憶器 103 RAM
30C ドリフト書込読出手段 104 入力ポート
30D 直線近似演算手段 105 出力ポート
30E、30E´ ゼロ点変動値記憶器 200 表示器
Claims (20)
- 被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を封じ込め、この空気圧の変化を測定して空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置において、
校正モードで上記被検査体に洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体と上記シール治具との間に所定の温度差を与えた状態に設定し、この所定の温度差が与えられている状態で上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、その空気圧の変動量をドリフト値として測定することを複数の温度差毎に実行し、複数の温度差のドリフト値をドリフト記憶器に記憶することを特徴とする洩れ検査装置のドリフト値取得方法。 - 被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を封じ込め、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有る否かを判定する洩れ検査装置において、
校正モードで上記被検査体に洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体と上記シール治具との間に所定の温度差を与えた状態に設定し、この所定の温度差が与えられている状態で上記常温乾燥被検査体と基準タンクとに空気を封じ込め、上記圧力差の変動量をドリフト値として測定することを複数の温度差毎に実行し、複数の温度差のドリフト値をドリフト記憶器に記憶することを特徴とする洩れ検査装置のドリフト値取得方法。 - 請求項1又は2記載の洩れ検査装置のドリフト取得方法の何れかにより、上記ドリフト記憶器に被検査体とシール治具との間の温度差に対応するドリフト値を記憶した洩れ検査装置において、
校正モードで洩れの無い乾燥された常温乾燥被検査体を用意すると共に、この常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差を測定し、この温度差に対応するドリフト値を上記ドリフト記憶器から導出すると共に、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加してドリフト値と環境温度を測定し、この測定して得られたドリフト値と上記ドリフト記憶器から導出したドリフト値との偏差を求め、この偏差値を上記測定した環境温度に対応するゼロ点変動値としてゼロ点変動記憶器に記憶することを特徴とする洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法。 - 請求項1又は2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法の何れかにより、上記ドリフト記憶器に被検査体とシール治具との間の温度差に対応するドリフト値を記憶した洩れ検査装置において、
校正モードで洩れの有無が不明な乾燥された常温乾燥被検査体を用意する共に、この洩れの有無が不明な乾燥された常温乾燥被検査体とシール治具との間の温度差をゼロの状態に設定し、この設定状態で上記被検査体に空気圧を印加して仮ドリフト値と環境温度とを測定すると共に、ドリフト測定タイミングより長時間経過したタイミングで洩れのみによる圧力変化を測定してこの圧力変化を上記仮ドリフト値から差し引くことにより真のドリフト値を求め、この求められたドリフト値と上記ドリフト記憶器の温度差ゼロに該当するアドレスに記憶しているドリフト値との偏差を求め、この偏差値を上記測定した環境温度に対応するゼロ点変動値としてゼロ点変動記憶器に記憶することを特徴とする洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法。 - 請求項3又は4記載の洩れ検査装置のゼロ点変動値取得方法の何れかにおいて、
上記ゼロ点変動値取得方法で取得するゼロ点変動値を複数の環境温度毎に取得し、各環境温度毎に取得したゼロ点変動値をゼロ点変動値記憶器に記憶することを特徴とするゼロ点変動値取得方法。 - 被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法において、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の被検査体の内部の圧力変化値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、
この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、
上記常温乾燥被検査体の内面に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、
この常温濡れ被検査体の開口部を上記シール治具によって閉塞し、所定時間が経過する間の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、
上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、
上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、
上記シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程と、
を実行することを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法。 - 被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法において、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の上記常温乾燥被検査体と上記基準タンクとの間に発生する差圧値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、
上記常温乾燥被検査体と上記基準タンクに空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間に発生する差圧値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、
上記常温乾燥被検査体の内面に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、
この常温濡れ被検査体の開口部を上記シール治具によって閉塞し、所定時間が経過する間の上記差圧の変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、
上記常温濡れ被検査体及び基準タンクに空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の上記差圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、
上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、
上記シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程と、
を実行することを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法。 - 請求項6又は7記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかによりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、
検査モードで被検査体の開口部分をシール治具により閉塞し、この閉塞状態で上記被検査体の内部の圧力変化値又は被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧値がΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施すことを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正方法。 - 請求項1記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項6記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項7記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、
検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体の開口部を大気圧の環境下においてシール治具で密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算した値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較することを特徴とする洩れ検査方法。 - A.被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、
B.このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、
C.上記被検査体の内部の空気圧の変化を測定する圧力センサと、
D.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、
E.このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、
F.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の開口部を大気圧の環境下において上記シール治具で閉塞し、その閉塞状態で上記圧力センサで計測される圧力変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、
G.このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、
H.校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下において上記シール治具で閉塞し、その閉塞状態で上記圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、洩れの無い常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、上記シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、
I.この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、
J.検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、
K.検査モードにおいて、被検査体の開口部を大気圧の環境下で上記シール治具によって閉塞し、この閉塞期間における被検査体の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、
L.この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、
M.検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、
N.この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段と、
によって構成したことを特徴とする洩れ検査装置。 - A.被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、
B.このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、
C.上記被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧の変化を測定する差圧センサと、
D.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体と基準タンクとの間に発生する差圧変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、
E.このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、
F.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の開口部を大気圧の環境下において上記シール治具で閉塞し、その閉塞状態で上記差圧センサで計測される差圧変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、
G.このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、
H.校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の開口部を大気圧の環境下において上記シール治具で閉塞し、その閉塞状態で上記差圧センサで計測される差圧変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体と上記基準タンクに空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体と基準タンクの間の差圧変化値ΔP01と、洩れの無い常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に上記常温濡れ被検査体と上記基準タンクの差圧変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、上記シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、
I.この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、
J.検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、
K.検査モードにおいて、被検査体の開口部を大気圧の環境下で上記シール治具によって閉塞し、この閉塞期間における被検査体の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、
L.この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、
M.検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、
N.この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段と、
によって構成したことを特徴とする洩れ検査装置。 - 被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置又は被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかにおいて、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体の外側面に閉塞された空間を形成するための計測用治具をシール治具を介して被着し、この閉塞された空間を所定時間閉塞し、その閉塞状態で所定時間の経過後の圧力変化値をシール治具によるシール誤差値ΔP0として計測する過程と、
この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、
上記計測治具が形成する空間に面する上記常温乾燥被検査体の内面と外面に均一に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、
この常温濡れ被検査体の濡れた部分を上記計測治具により覆って閉塞し、所定時間が経過する間の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、
上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、
上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)により求める過程と、
上記シール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程と、
を実行することを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法。 - 請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、
検査モードで被検査体の外表面の一部を上記計測冶具により覆って閉塞空間を形成し、所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値をΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施すことを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正方法。 - 請求項1記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項12記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法によりシール誤差値ΔP0と湿度補正係数kとを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、
検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体の外表面の一部を上記計測冶具により覆って閉塞し、大気圧の環境下において密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算した値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=(ΔPX−ΔP0)kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較することを特徴とする洩れ検査方法。 - A.被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、
B.このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、
C.上記被検査体の内部の空気圧の変化を又は被検査体と基準タンクとの間に発生する圧力差を測定する圧力センサと、
D.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、
E.このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、
F.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の外側に被着され、凹部により閉塞された空間を形成する計測治具と、
G.この計測治具で形成される空間を閉塞し、その閉塞状態で蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化からシール誤差値ΔP0を測定するシール誤差測定手段と、
H.このシール誤差測定手段が測定したシール誤差値ΔP0を記憶するシール誤差記憶器と、
I.校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体を大気圧の環境下において上記計測用治具で閉塞し、その閉塞状態で上記蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、上記常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果と、上記シール誤差値ΔP0とにより湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/(ΔP1−ΔP0)によって求める湿度補正係数取得手段と、
J.この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、
K.検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、
L.検査モードにおいて、上記計測治具で形成される空間を大気圧の環境下で閉塞し、この閉塞期間における上記空間の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、
M.この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXから上記シール誤差値ΔP0を減算し、その減算値(ΔPX−ΔP0)に上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、
N.検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、
O.この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段と、
によって構成したことを特徴とする洩れ検査装置。 - 被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体の内部に空気圧を印加し、所定時間が経過後の上記被検査体内部の空気圧の変化量を測定し、空気圧の低下量が大きいとき洩れ有り、空気圧の低下量が小さいとき洩れ無しと判定する洩れ検査装置又は被検査体の開口部分をシール治具によって閉塞し、この閉塞状態で被検査体と基準タンクに空気圧を印加し、両者間に圧力差が発生するか否かにより上記被検査体に洩れが有るか否かを判定する洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法の何れかにおいて、
校正モードで洩れの無い常温乾燥被検査体を用意し、この常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定時間が経過する間の圧力変化値をドリフト値ΔP01として計測する過程と、
上記常温乾燥被検査体の外面と、上記常温乾燥被検査体の内面に均一に水滴を付着させ上記常温乾燥被検査体を常温濡れ被検査体に変換する過程と、
この常温濡れ被検査体の濡れた部分を計測治具により覆って閉塞空間を形成し、この閉塞空間に、所定の負圧を印加し、負圧の印加後所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値を蒸気圧ΔP1として計測する過程と、
上記常温濡れ被検査体に空気圧を印加し、空気圧の印加後の所定の時間が経過する間の空気圧変化値を濡れ被検査体のドリフト値ΔP11として計測する過程と、
上記各計測値から湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1により求める過程と、
上記湿度補正係数kを記憶器に記憶する過程と、
を実行することを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法。 - 請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の湿度補正方法において、
検査モードで被検査体の外表面の一部を上記計測冶具によって覆って閉塞空間を形成し、所定時間が経過する間の上記閉塞空間内の圧力変化値をΔPXとして計測された場合、湿度補正値MをM=ΔPX・kにより算出し、この湿度補正値Mを洩れ検査時に発生するドリフト値から除去して湿度補正を施すことを特徴とする洩れ検査装置の湿度補正方法。 - 請求項1記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法又は請求項2記載の洩れ検査装置のドリフト値取得方法によりドリフト記憶器に被検査体とシール治具間の温度差に対応したドリフト値を記憶すると共に、請求項16記載の洩れ検査装置の湿度補正係数取得方法により湿度補正係数kを記憶した洩れ検査装置の洩れ検査方法の何れかにおいて、
検査モードでは被検査体とシール治具との間の温度差を測定し、その温度差に対応したドリフト補正値を上記ドリフト記憶器から読み出し、このドリフト値を被検査体に封入された空気圧の変化量から減算し、洩れ検査時に発生するドリフト成分を除去すると共に、被検査体と計測冶具によって形成される閉塞空間を負圧の環境下において密封し、その密封状態から所定時間を経過した時点までの上記閉塞空間内の圧力変化値ΔPXを測定し、この圧力変化値ΔPXに上記湿度補正係数kを乗算して検査モードにおける湿度補正値MをM=ΔPX・kで求め、この湿度補正値Mを上記ドリフト成分を除去した空気圧の変化量から減算し、この減算結果と洩れの有無を判定する判定値とを比較することを特徴とする洩れ検査方法。 - A.被検査体の開口部を閉塞するシール治具と、
B.このシール治具と被検査体との間の温度差を測定する温度センサと、
C.上記被検査体の内部の空気圧の変化を又は被検査体と基準タンクとの間に発生する圧力差を測定する圧力センサと、
D.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体と上記シール治具との間の温度差毎に上記常温乾燥被検査体の内部で発生する圧力変化をドリフト値として取得するドリフト値取得手段と、
E.このドリフト値取得手段が取得した上記各温度差毎のドリフト値を記憶するドリフト記憶器と、
F.校正モードにおいて洩れの無い常温乾燥被検査体の外側に被着され、凹部により閉塞された空間を形成する計測治具と、
G.校正モードにおいて洩れの無い常温濡れ被検査体の外表面の一部を上記計測用治具で被覆し、上記計測冶具で形成される閉塞空間に負圧を印加し、この負圧の印加状態で所定時間が経過する間に上記蒸気圧測定用圧力センサで計測される圧力変化値ΔP1と、上記常温乾燥被検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温乾燥被検査体の内部の圧力変化値ΔP01と、上記常温濡れ検査体に空気圧を印加し、所定の時間が経過する間に発生する上記常温濡れ被検査体の内部の圧力変化値ΔP11とをそれぞれ計測し、これらの計測結果により湿度補正係数kをk=(ΔP11−ΔP01)/ΔP1によって求める湿度補正係数取得手段と、
H.この湿度補正係数取得手段で取得した湿度補正係数kを記憶する湿度補正係数記憶器と、
I.検査モードにおいて、上記温度センサにより測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値を上記ドリフト記憶器から読み出すドリフト書込読出手段と、
J.検査モードにおいて、上記計測治具で形成される空間に負圧を印加し、この負圧印加状態で上記空間の内部の圧力変化を計測する湿度補正のための蒸気圧測定手段と、
K.この蒸気圧測定手段で測定した測定値ΔPXに上記湿度補正係数kを乗算して湿度補正値Mを求める湿度補正値算出手段と、
L.検査モードにおいて、上記被検査体に封じ込めた空気圧の変化量から上記ドリフト書込読出手段が読み出したドリフト値と上記湿度補正値Mとを減算し、ドリフト補正と湿度補正を施す減算手段と、
M.この減算手段で減算した結果と設定値とを比較し、被検査体の洩れの有無を判定する判定手段と、
によって構成したことを特徴とする洩れ検査装置。 - 請求項10、11又は15、19記載の洩れ検査装置の何れかにおいて、検査モードで上記温度センサが測定した被検査体とシール治具との間の温度差に対応したドリフト値が上記ドリフト記憶器に存在しない場合は、上記ドリフト記憶器に記憶されている複数のドリフト値から直線近似により該当する温度差に対応するドリフト値を算出する直線近似演算手段を設けた構成としたことを特徴とする洩れ検査装置。
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