JP2004188902A - ガスバリア性積層包装材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明フィルムの一方の面に酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするガスバリア性被膜層、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に酸化珪素の蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムBの透明フィルム面を積層し、前記ガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に接着剤層を介してシーラント層を積層した積層体からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、医薬・医療品、その他各種工業部品等の包装分野で用いられる透明なガスバリア性積層包装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品、医薬・医療品、その他各種工業部品等の包装分野では、包装した内容物を外部から侵入してくる酸素、水蒸気等による変質から防止する為、あるいは逆に、包装した内容物由来の各種ガス成分の外部への揮散を防止する為に高度なガスバリア性が要求される。そのため、前記ガスバリア性を付与させる為にポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、あるいはポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのガスバリア性樹脂をコーティングしたフィルムやこれらの樹脂からなるフィルムを積層した積層フィルムが使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記PVAやEVOHを用いたガスバリア材は、ガスバリア性の温湿度依存性が大きく、高温又は高湿下においてガスバリア性が低下する。特に水蒸気バリア性の低下が著しく、内容物に多くの水分等を含む製品用としては不適である。また、PVDCを用いたガスバリア材は湿度依存性は小さいが、高ガスバリア性を得ることは困難であり、加えて塩素を含むために焼却処理やリサイクル使用などの廃棄物処理の面で問題があった。
【0004】
また、前記包装分野では、ガスバリア材としてアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムなども用いられているが、これらは不透明で内容物の目視確認が出来ないこと、廃棄後の焼却処理においてアルミニウムが熔融して炉底に溜まり、焼却炉を傷めることなどの欠点があった。
【0005】
そこで、これらの欠点を克服した包装用材料として、最近では透明な高分子材料からなる基材フィルム上に蒸着法などで無機化合物薄膜層を一層積層した積層フィルムが上市されているが、高ガスバリア性、特に高水蒸気バリア性を有するものはなかった。
【0006】
本発明の課題は、透明で、外部から内部への優れたガスバリア性並びに内部から外部への優れたガスバリア性、特に高水蒸気バリア性を有し、かつ、廃棄焼却時に問題を起こさないガスバリア性積層包装材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、透明フィルムの一方の面に酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に酸化珪素の蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムBの透明フィルム面を積層し、前記ガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に接着剤層を介してシーラント層を積層した積層体からなることを特徴とするガスバリア性積層包装材料である。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明において、前記蒸着薄膜層の厚さが5〜300nmの範囲内であることを特徴とするガスバリア性積層包装材料である。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1または請求項2に係る発明において、前記ガスバリア性被膜層が水溶性高分子と、(a)一種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなることを特徴とするガスバリア性積層包装材料である。
【0010】
【作用】
本発明によれば、透明フィルムの一方の面に厚さ5〜300nmの酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするものからなるガスバリア性被膜層、厚さ5〜300nmの酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするものからなるガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に厚さ5〜300nmの酸化珪素の蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするものからなるガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムBの透明フィルム面を積層し、さらに前記ガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に接着剤層を介してシーラント層を積層しているので、外側のガスバリア性積層フィルムAが外部から内部への優れたガスバリア性を有し、内容物側に積層されているガスバリア性積層フィルムBが内部から外部への優れたガスバリア性、特に高水蒸気バリア性を有する。さらに、アルミニウム箔を積層せず、塩素成分も含有していないので廃棄焼却時の種々の問題も発生しない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性積層包装材料を実施の形態に沿って以下に詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態を示すガスバリア性積層包装材料の側断面図であり、透明フィルム(11)の片面に酸化アルミニウムの蒸着薄膜層(12)、ガスバリア性被膜層(13)、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層(14)、ガスバリア性被膜層(15)を順次積層したガスバリア性積層フィルムA(10)のガスバリア性被膜層(15)面に接着剤層(30)を介して、透明フィルム(21)の片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(22)、ガスバリア性被膜層(23)を積層したガスバリア性積層フィルムB(20)の透明フィルム(21)面を積層し、さらに、ガスバリア性積層フィルムB(20)のガスバリア性被膜層(23)面に接着剤層(31)を介して、シーラント層(40)が積層されている。
【0013】
前記透明フィルム(11、21)は無色透明な高分子材料からなり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(Ny)樹脂などの機械的強度、寸法安定性を有するものが好ましく、これらをフイルム状に加工、さらには二軸方向に延伸したものが用いられる。また、この透明フィルム(11、21)の表面に蒸着薄膜層の密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいてもよく、さらに薬品処理、溶剤処理などを施してもよい。
【0014】
前記透明フィルム(11、21)の厚さは特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他のフィルムを積層あるいは蒸着薄膜層を形成する場合の加工性等を考慮すると、5〜50μmの範囲が好ましい。
【0015】
また、量産性を考慮すれば、連続的に蒸着薄膜層を形成できるように長尺状フィルムとすることが望ましい。
【0016】
前記蒸着薄膜層(12、14)は酸化アルミニウムからなっており、蒸着薄膜層(22)は酸化珪素からなっており、その積層方法は、アルミニウム金属又は酸化珪素を蒸発原材料にして、酸素ガス、炭酸ガスと不活性ガスなどとの混合ガスの存在下で薄膜形成を行う、いわゆる反応性蒸着法で積層させる方法が生産性の点から望ましい。
【0017】
前記蒸着薄膜層(12、14、22)の膜厚は5〜300nmの範囲内であることが望ましく、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が5nm以下であると透明フィルム(11、21)の全面に均一な薄膜が形成されないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が300nmを超えた場合は蒸着薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、蒸着薄膜に亀裂を生じる恐れがあるため良くない。
【0018】
前記ガスバリア性被膜層(13、15、23)は、より高いガスバリア性を付与するために蒸着薄膜層の上にさらに積層されるものであり、その成分は水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものであり、その成分の水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を積層して形成する。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接または予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を蒸着薄膜層の上に積層し、加熱乾燥し形成したものである。
【0019】
前記ガスバリア性被膜層(13、15、23)に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAとする)を用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全鹸化PVAまでを含み、特に限定されない。
【0020】
また、前記塩化錫は塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )あるいはこれらの混合物であっても良く、無水物でも水和物でも良い。
【0021】
さらに、前記金属アルコキシドはテトラエトキシシラン又はトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物が好ましい。
【0022】
前記ガスバリア性被膜層(13、15、23)は、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いて積層する。乾燥後の被膜厚さが0.01μm以上あればよいが、厚さが50μmを超えると膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
【0023】
前記接着剤層(30、31)は、一般的にポリウレタン系接着剤を使用し、グラビアコート方式で積層する。塗布量は1〜5g/m2 (乾燥状態)である。
【0024】
前記シーラント層(40)は、透明な熱可塑性樹脂からなっており、例えば低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などの選択が可能であり、また、これらのオレフィン系樹脂をグラフト重合などにより酸変成した変成ポリオレフィン樹脂も使用可能である。上述したポリオレフィン系樹脂の単体又は2種以上からなるブレンド物でもかまわない。前記樹脂を溶融押出して積層するか、あるいは前記樹脂のフィルムを積層する。厚みは20〜150μmの範囲である。
【0025】
【実施例】
本発明のガスバリア性積層包装材料を具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
〈蒸着薄膜層の積層方法〉
真空成膜装置内に蒸着対象の長尺状のフィルムの巻き取りを装着し、そのフィルムを搬送しながら、蒸発原材料を電子線加熱方式で加熱蒸発させ、酸素ガス、炭酸ガスと不活性ガスなどとの混合ガスの存在下で、フィルム上に所定膜厚の蒸着薄膜層を形成させる。
【0027】
〈ガスバリア性被膜層の塗布液の調整〉
テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸を89.6g加え、30分攪拌し加水分解させた固形分3重量%(SiO2 換算)の溶液とポリビニルアルコール3重量%水/イソプロピルアルコール溶液(水/イソプロピルアルコ−ルは重量%比で90/10)を重量%比で60/40に混合し、塗布液を調整した。
【0028】
〈ガスバリア性被膜層の積層方法〉
コーター機に蒸着薄膜層を積層した長尺状の積層フィルムの巻き取りを装着し、その積層フィルムを搬送しながら、積層フィルムの蒸着薄膜層上に前記調整した塗布液をグラビアコート方式で塗布し、乾燥して所定厚みのガスバリア性被膜層を形成させる。
【0029】
〈ガスバリア性積層フィルムAの作成〉
透明フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム)を使用し、蒸発原材料として金属アルミニウムを使用して前記記載の各々の積層方法により、PETフィルム(12μm)/酸化アルミニウム蒸着薄膜層(20nm)/ガスバリア性被膜層(0.5μm)/酸化アルミニウム蒸着薄膜層(20nm)/ガスバリア性被膜層(0.5μm)の五層構成のガスバリア性積層フィルムAを作成した。
【0030】
〈ガスバリア性積層フィルムB、B′の作成〉
透明フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム)を使用し、蒸発原材料として酸化珪素を使用して前記記載の各々の積層方法により、PETフィルム(12μm)/酸化珪素蒸着薄膜層(50nm)/ガスバリア性被膜層(0.5μm)の三層構成のガスバリア性積層フィルムB、B′を作成した。
【0031】
〈ガスバリア性積層フィルムCの作成〉
透明フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム)を使用し、蒸発原材料として金属アルミニウムを使用して前記記載の各々の積層方法により、PETフィルム(12μm)/酸化アルミニウム蒸着薄膜層(20nm)/ガスバリア性被膜層(0.5μm)の三層構成のガスバリア性積層フィルムCを作成した。
【0032】
〈実施例1〉
ドライラミネート機を用いて、前記作成したガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介してガスバリア性積層フィルムBのPETフィルム面を積層し、更にガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を積層して、本発明のガスバリア性積層包装材料を作成した。
【0033】
〈比較例1〉
ドライラミネート機を用いて、ガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して、ガスバリア性積層フィルムCのPETフィルム面を積層し、更にガスバリア性積層フィルムCのガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を積層して、比較用のガスバリア性積層包装材料を作成した。
【0034】
〈比較例2〉
ドライラミネート機を用いて、ガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して、同一構成の他のガスバリア性積層フィルムB′のPETフィルム面を積層し、さらにガスバリア性積層フィルムB′のガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を積層して、比較用のガスバリア性積層包装材料を作成した。
【0035】
〈比較例3〉
ドライラミネート機を用いて、ガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して、厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を積層して、比較用のガスバリア性積層包装材料を作成した。
【0036】
〈比較例4〉
ドライラミネート機を用いて、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム)の片面に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して厚さ7μmのアルミニウム箔を積層し、さらにアルミニウム箔の上に塗布量3g/m2 (乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介して厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を積層して、比較用のガスバリア性積層包装材料を作成した。
【0037】
〈評価〉
実施例1及び比較例1〜4で作成したガスバリア性積層包装材料の水蒸気透過率を以下の方法で測定して、外部から内部への水蒸気透過の有無を評価し、さらにそれらの積層包装材料を用いた袋にプリンター用のインク充填済カートリッジを収納して、以下の方法で保存テストを実施して、内部から外部へのインク揮発成分の透過の有無を評価すると共に、プリンター用インクカートリッジの包装の適否を判断する為に、その他の物性等についても総合評価した。その結果を表1、表2に示す。
(1)水蒸気透過率
モダンコントロール社製(MOCON PERMATRAN W6)を用いて、40℃、90%RH雰囲気下で各ガスバリア性積層包装材料の水蒸気透過率を測定した。
(2)保存テスト
(2−1)インク重量の経時変化
作成したガスバリア性積層包装材料で有効内寸法69mm×125mmのピロータイプの袋を作成し、その袋中にプリンター用のインク充填済カートリッジを収納し、密封シールしたものを、60℃条件下で29日間保存し、インク重量の経時変化を測定し、揮発性成分の蒸発率を算定した。
(2−2)接着強度の経時変化
作成したガスバリア性積層包装材料で有効内寸法69mm×125mmのピロータイプの袋を作成し、その袋中にプリンター用のインク充填済カートリッジを収納し、密封シールしたものを、60℃の条件下で15日間、30日間保存し、保存前後の袋のシーラント層/アルミニウム箔又はガスバリア性被膜層間の接着強度の経時変化を測定した。測定方法は保存前後の袋を15mm幅にスリットし、テンシロン型試験機でシーラント層/アルミニウム箔又はガスバリア性被膜層間の接着強度を90度剥離で測定した。なお、測定条件は引っ張り速度300mm/min、温度23℃、湿度65%RH中の雰囲気で行った。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1及び表2の結果から、実施例1のガスバリア性積層包装材料は水蒸気透過率も小さく、その積層包装材料を用いた袋内に収納したインク充填済カートリッジを60℃、29日間保存後のインクの揮発性成分の蒸発率も小さいことから、外部から内部へのガス透過並びに内部から外部へのガス透過が少ないが判明した。さらに、その積層包装材料を用いた袋の中にプリンター用のインキ充填済カートリッジを収納したものを、60℃、30日間保存後も袋のシーラント層/ガスバリア性被膜層間の接着強度の劣化が少なく、プリンター用インク充填済カートリッジの包装材料として適していることが判明した。一方、比較例1のガスバリア性積層包装材料は外部から内部へのガス透過も多く、内部から外部へのガス透過も多い。比較例2の積層包装材料は外部から内部へのガス透過は少ないが、内部から外部へのガス透過が実施例1のものに比べ多い。比較例3の積層包装材料は外部から内部へのガス透過が多く、内部から外部へのガス透過も多い。比較例4の積層包装材料は外部から内部へのガス透過及び内部から外部へのガス透過は0であるが、不透明であり、焼却性も悪く、さらに、その積層包装材料を用いた袋内にプリンター用のインク充填済カートリッジを収納し、60℃で30日間保存すると、インクの揮発性成分がアルミニウム箔と接着剤層間で滞留し、袋のシーラント層とアルミニウム箔間の接着強度が極端に低下してしまう問題が生ずる。
【0041】
【発明の効果】
本発明のガスバリア性積層包装材料は、透明フィルムの一方の面に酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするガスバリア性被膜層、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするガスバリア性被膜層を積層したガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に酸化珪素の蒸着薄膜層、水溶性高分子を主成分とするガスバリア性被膜層を積層したガスバリア性積層フィルムBの透明フィルム面を積層し、ガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に接着剤層を介してシーラント層を積層しているので、高透明で、腰があり、かつ、外部から内部への優れたガスバリア性と内部から外部への優れたガスバリア性、特に高水蒸気バリア性を備えており、アルミニウム箔を使用していないので廃棄後の焼却時も特に問題なく焼却できる。従って、食品分野、医薬・医療分野、その他工業部品分野で広く使用でき、特に近年、大量に流通しており、内部から外部への高いガスバリア性を必要とするプリンター用インクカートリッジの包装にも十分使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア性積層包装材料の一実施例の側断面図である。
【符号の説明】
10…ガスバリア性積層フィルムA
11…透明フィルム
12,14…酸化アルミニウムの蒸着薄膜層
13,15…ガスバリア性被膜層
20…ガスバリア性積層フィルムB
21…透明フィルム
22…酸化珪素の蒸着薄膜層
23…ガスバリア性被膜層
30,31…接着剤層
40…シーラント層
Claims (3)
- 透明フィルムの一方の面に酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムAの外側のガスバリア性被膜層面に接着剤層を介して、透明フィルムの一方の面に酸化珪素の蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を順次積層したガスバリア性積層フィルムBの透明フィルム面を積層し、前記ガスバリア性積層フィルムBのガスバリア性被膜層面に接着剤層を介してシーラント層を積層した積層体からなることを特徴とするガスバリア性積層包装材料。
- 前記蒸着薄膜層の厚さが5〜300nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層包装材料。
- 前記ガスバリア性被膜層が水溶性高分子と、(a)一種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のガスバリア性積層包装材料。
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JP2008105727A (ja) * | 2006-10-27 | 2008-05-08 | Dainippon Printing Co Ltd | インクカ−トリッジ包装体 |
JP2012206512A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-25 | Mitsubishi Plastics Inc | 積層防湿フィルム |
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