JP2004187338A - Dcモータ駆動回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルへの通電時期を早めることによってトルクを増し回転数を上げる。
【解決手段】ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する位置検出器としてのホール素子11と、差動の入力端子対を持ちホール素子11の出力信号に基づきコイル14,15への通電を制御するドライブIC12とを備え、ホール素子11の二つの出力信号が供給され位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路23を設け、進相回路23の二つの進相出力信号をドライブIC12の差動の入力端子対に供給してコイル14,15への通電時期を早める。
【選択図】 図1
【解決手段】ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する位置検出器としてのホール素子11と、差動の入力端子対を持ちホール素子11の出力信号に基づきコイル14,15への通電を制御するドライブIC12とを備え、ホール素子11の二つの出力信号が供給され位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路23を設け、進相回路23の二つの進相出力信号をドライブIC12の差動の入力端子対に供給してコイル14,15への通電時期を早める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンモータ等のDCモータにおいて、特にロータの回転位置を検出するホール素子等の位置検出素子の信号に基づいてステータのコイルを駆動制御するDCモータ駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファンモータ等の2相DCモータにおいては、ロータの回転位置を検出するホール素子等の位置検出素子を設け、この信号に基づいてステータのコイルを駆動制御することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−47073号公報
図7は、このようなDCファンモータに適用される2相半波(ユニポーラ)ブラシレスDCモータ駆動回路を示したものである。図7に示す回路は、例えばローム株式会社製モータドライブIC(型番BA6811F)を使用した場合を示しており、2相のコイル14,15を駆動するドライブIC12と位置検出素子としてのホール素子11とダイオード13とコンデンサ16で構成されている。ドライブIC12の内部には差動増幅器17と制御回路18と各相毎のトランジスタ19,20が納められている。
【0004】
電源端子21からドライブIC12の電源入力端子4へ電源Vccが供給される一方、抵抗を通してホール素子11に電源Vccが供給される。ホール素子11はロータの磁石の磁極を検出し磁極の極性と磁力の強さに応じた差動の電圧をドライブIC12の端子5,6に供給し、この端子5,6に供給された電圧は差動増幅器17の二つの入力端子に供給される。
【0005】
ドライブIC12はホール素子11の差動の電圧を差動増幅器17で増幅して制御回路18へ入力し、制御回路18は差動増幅器17からの信号に基づきトランジスタ19,20の何れかをオン状態にする信号を出力する。一方のトランジスタ19がオン状態になると電源端子21からダイオード13,コイル14,トランジスタ19を通して電流が流れ、他方のトランジスタ20がオン状態になると電源端子21からダイオード13,コイル15,トランジスタ20を通して電流が流れ、それぞれコイル14,15が励磁されて磁力が発生しロータの磁石との間で反発と吸引の力が発生しロータが回転する。
【0006】
ホール素子11の出力端子9,10の電圧波形と差動増幅器17の出力電圧の波形を図8に示す。両出力端子9,10の出力電圧は位相が180度ずれた正弦波状の波形となる。この二つの電圧をドライブIC12の差動増幅器17で差動増幅すると図8の下側の波形の信号が差動増幅器17から出力される。尚、図8における基準電圧は、ホール素子11の両出力端子9,10からの出力電圧が等しい場合における差動増幅器17の出力電圧と同じ値である比較用電圧であり、制御回路18内でこの基準電圧と差動増幅器17の出力電圧が比較される。
【0007】
図8の差動増幅器17の出力電圧が基準電圧より高いと一方のトランジスタ19がオン状態になり、差動増幅器17の出力電圧が基準電圧より低いと他方のトランジスタ20がオン状態になる。従ってホール素子11の出力端子9,10からの出力電圧が等しくなった瞬間に両トランジスタ19,20の何れかがオン状態になって他方がオフ状態に切換わる。この出力端子9,10からの出力電圧が等しくなった瞬間から次に等しくなるまでの期間をホール素子11の切換わりの周期とするとホール素子11の切換わりの周期毎に両コイル14,15に交互に電流が流れる。
【0008】
このように従来のDCモータ駆動回路はホール素子11の切換わりの周期毎にコイル14,15に流れる電流をオン,オフすることでロータを回転させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のDCモータ駆動回路では、二つのトランジスタの何れかをオン状態にしても、2相のコイルに流れる電流は直ちに増加せず、コイルの抵抗とインダクタンスのために徐々に増加する特性を示している。コイルの抵抗とインダクタンスによる時定数は(インダクタンス/抵抗)で表され、この時定数がホール素子の切換わりの周期の長さに比較して長いとホール素子の切換わりの周期の期間でコイルに流れる電流は十分に増加せず、あるいは例え増加してもホール素子の切換わりの周期の末期で大きくなる特性となる。なお、このホール素子の切換わりの周期の末期の電流は、上記特許文献1の発明が解決しようとする課題の欄にも記載されているように、モータの発生トルクにあまり寄与しない。
【0010】
ホール素子の切換わりの周期の長さはモータが高速回転になるほど短くなる。このため従来の駆動回路で高速回転させようとするとコイルの抵抗とインダクタンスによる時定数に比べてホール素子の切換わりの周期が短くなり、コイルに流れる電流が十分に大きくならず、たとえ大きくなってもそのタイミングがホール素子の切換わりの周期の末期となるため回転トルクにあまり寄与せず、回転数を上げるために大きな電流を流す必要があった。
【0011】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、コイルへの通電時期を早めることによってトルクを増し回転数を上げ得るDCモータ駆動回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のDCモータ駆動回路においては、ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する位置検出器と、差動の入力端子対を持ち前記位置検出器の出力信号に基づきコイルへの通電を制御するドライブ回路とを備え、位置検出器の二つの出力信号が供給され位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路を設け、進相回路の二つの進相出力信号を前記ドライブ回路の差動の入力端子対に供給してコイルへの通電時期を早めるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のDCモータ駆動回路においては、ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する複数の位置検出器と、複数の位置検出器毎に差動の入力端子対を持ち複数の位置検出器の出力信号に基づき複数相のコイルへの通電を制御するドライブ回路とを備え、位置検出器の二つの出力信号が供給され位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路を複数の位置検出器毎に設け、前記ドライブ回路における複数の位置検出器毎の差動入力端子対に、それぞれの進相回路により位相が進められた位置検出器の二つの進相出力信号を入力して、各相のコイルへの通電時期を早めるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
上述したDCモータ駆動回路において、進相回路を、二つのトランジスタで構成された差動増幅器と、コンデンサ及び抵抗で構成された回路網を有し、二つのトランジスタのエミッタ間に回路網を接続し、二つのトランジスタのベースに位置検出器から供給される二つの信号を入力し、二つのトランジスタのコレクタから出力信号を取出すのがよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、図1〜図6を用いて説明する。なお、これらの図面で示した符号のうち従来技術で説明した符号と同じものは同じか又は同等の機能を有するものを示すものとする。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は本発明のDCモータ駆動回路を2相半波(ユニポーラ)のファンモータに適用した場合の第1の実施形態を示した回路図である。又、図2は図1のホール素子11の出力端子9,10の出力電圧波形とドライブIC12における差動増幅器17の出力電圧の波形図である。
【0017】
ホール素子11、ドライブIC12、ダイオード13、コイル14,15は図7の従来の駆動回路と同じ部品であり、第1の実施形態では図7の従来の駆動回路に、トランジスタ28,29,定電流源32,33、コンデンサ31,及び抵抗26,27,30で構成された差動増幅回路23が追加されている。差動増幅回路23が進相回路として動作する。ホール素子11の一方の出力端子9は差動増幅回路23の端子25を経由してトランジスタ29のベースに接続され、他方の出力端子10は差動増幅回路23の端子24を経由してトランジスタ28のベースに接続されている。
【0018】
ホール素子11はロータの磁極を検出して磁極の極性と磁力の強さに応じた差動の電圧をトランジスタ28のベースとトランジスタ29のベースとにそれぞれ供給する。
【0019】
トランジスタ28のコレクタにはホール素子11の出力端子10の信号が反転され、かつ進相された信号が表れる。トランジスタ29のコレクタにはホール素子11の出力端子9の信号が反転され、かつ進相された信号が表れる。
【0020】
トランジスタ28のコレクタとトランジスタ29のコレクタの信号は、それぞれ差動増幅器17の反転入力端子と非反転入力端子に供給される。差動増幅器17の出力から進相回路によって進相されたホール素子11の信号が制御回路18に供給される。
【0021】
差動増幅回路23の動作を図3を用いて説明する。図3は図1のトランジスタ28,29,定電流源32,33、コンデンサ31,及び抵抗26,27,30で構成された差動増幅回路23を取出した回路図であり、それぞれの接続は図1の回路と同じである。この差動増幅回路23の動作を説明するため、定電流源32,33はそれぞれ10[mA]の定電流源で、抵抗26と27は0.5[KΩ]、抵抗30は1[KΩ]の抵抗とする。
【0022】
まず、端子24、25にそれぞれ4[V]と3[V]の直流電圧を加えた場合の端子34と35に出力される電圧を説明する。直流電圧を加えた場合は、コンデンサ31には電流が流れないのでコンデンサ31は無視できる。トランジスタ28のエミッタはベースの電圧より約0.7[V]低い電圧になるので、端子24に4[V]を加えるとトランジスタ28のエミッタは3.3[V]になる。同様にトランジスタ29のエミッタはベースの電圧より約0.7[V]低い電圧になるので、端子25に3[V]を加えるとトランジスタ29のエミッタは2.3[V]になる。
【0023】
この為、抵抗30の両端の電圧差は1[V]になり、抵抗30のトランジスタ28のエミッタ側の端子からトランジスタ29のエミッタ側の端子に向かって1[mA]の電流が流れる。従ってトランジスタ28のエミッタには定電流源32に流れる10[mA]と抵抗30に流れる1[mA]の合計の11[mA]が流れる。この電流はトランジスタ28のコレクタに流れるので、抵抗26の電圧降下は0.5[KΩ]×11[mA]=5.5[V]となり、端子35から出力される電圧はVcc−5.5[V]になる。
【0024】
一方、トランジスタ29のエミッタには定電流源33に流れる10[mA]から抵抗30に流れる1[mA]を引いた9[mA]が流れる。この電流はトランジスタ29のコレクタに流れるので、抵抗27の電圧降下は0.5[KΩ]×9[mA]=4.5[V]となり、端子34から出力される電圧はVcc−4.5[V]になる。従って端子34と端子35の間の電圧差は端子24と端子25の間の電圧差と同じ1[V]になる。
【0025】
次に差動増幅回路23が進相回路として動作する事を説明する。前記従来回路で説明したようにホール素子の出力電圧の波形はほぼ正弦波の形状をしているので、実際にはコンデンサ31にも電流が流れる。以下の説明ではコンデンサ31の容量値をCで表し、抵抗30の抵抗値をRで表す。又、正弦波信号の計算のため、虚数jと正弦波の角周波数を表すωを用いる。
【0026】
図3の回路で、端子24と端子25にそれぞれ信号Vaと信号Vbを加える。信号Vaと信号Vbは同じ角周波数ωを持つ正弦波信号で、ホール素子11の二つの出力端子の信号を表す。
【0027】
信号Vaはトランジスタ28のベースに加えられ、トランジスタ28のエミッタの電圧はVa−0.7[V]になる。信号Vbはトランジスタ29のベースに加えられ、トランジスタ29のエミッタの電圧はVb−0.7[V]になる。従って抵抗30及びコンデンサ31の両端の電圧差は(Va−0.7[V])−(Vb−0.7[V])=Va−Vbになる。
【0028】
抵抗30には(Va−Vb)/Rの電流が流れ、コンデンサ31には(Va−Vb)×jωCの電流が流れる。この二つの電流を合計すると(1+jωCR)×(Va−Vb)/Rになる。この為、トランジスタ28のエミッタに流れる電流は10[mA]+(1+jωCR)×(Va−Vb)/Rとなり、トランジスタ29のエミッタに流れる電流は10[mA]−(1+jωCR)×(Va−Vb)/Rとなる。
【0029】
トランジスタ28のエミッタに流れる電流とほぼ同じ電流がトランジスタ28のコレクタに接続された抵抗26に流れるので、端子35の出力電圧は、Vcc−0.5[KΩ]×(10[mA]+(1+jωCR)×(Va−Vb)/R)になり、同様にして端子34の出力電圧は、Vcc−0.5[KΩ]×(10[mA]−(1+jωCR)×(Va−Vb)/R)になる。
【0030】
この式は端子35の出力信号は、Va−Vbの信号の位相を進めて反転した電圧になる事を示し、端子34の出力信号は、Va−Vbの信号の位相を進めた電圧になる事を示す。
【0031】
図3の端子34と端子35の出力電圧は、ドライブIC12の差動増幅器17に入力され、差動増幅器17の出力からは差の電圧が出力されるので、差動増幅器17の出力は次のようになる。2×0.5[KΩ]×(1+jωCR)×(Va−Vb)/R=1[KΩ]×(1+jωCR)×(Va−Vb)/R
この計算結果は、差動増幅器17の出力信号はホール素子の二つの出力端子の信号の差(Va−Vb)の位相を進めた信号となることを表し、位相の進み角をθとすると、tanθ=ωCRとなる。
【0032】
以上の計算ではホール素子の出力信号を正弦波として扱ったが、実際のホール素子の出力信号は必ずしも完全な正弦波ではない。しかしホール素子の二つの出力信号が交叉する短い時間で見れば正弦波で近似できるので、図3の回路でホール素子の信号の位相を進めることが可能になる。
【0033】
図1の回路図の差動増幅器17の出力電圧は、位相が進むことによって、図2に示すようにホール素子11の端子9,10の二つの出力電圧が交叉する時刻よりも早く基準電圧と交叉する。差動増幅器17のこの出力電圧は制御回路18へ入力され、制御回路18は差動増幅器17からの信号に基づきトランジスタ19,20の何れかをオン状態にする。トランジスタ19,20がオン状態になる時刻は、図8の従来の駆動回路に比較して早くなる。
【0034】
トランジスタ19,20の何れかがオン状態になると、電源端子21からダイオード13を通ってコイル14,15の何れかに電流が流れ、コイルが励磁されて磁力が発生しロータの磁石との間で反発と吸引の力が発生しロータが回転する。
【0035】
本実施形態では、電流が流れ始める時刻が図7の従来の駆動回路より早いため、コイルに流れる電流がコイルの抵抗とインダクタンスのために徐々に増加してもホール素子の切換わりの周期の末期で大きくならず、ホール素子の切換わりの周期の中央に近い時刻で最大になる。ホール素子の切換わりの周期の末期に流れる電流は回転トルクにあまり寄与しないが、ホール素子の切換わりの周期の中央に流れる電流は回転トルクに十分寄与するので、従来の駆動回路に比較して同じ消費電流のモータであっても回転数を上げることができ、モータの効率が向上する。
【0036】
モータの起動時やモータの回転が遅い場合のように、ホール素子の出力信号の変化が非常に遅い場合は、差動増幅回路23のコンデンサ31は低い周波数に応答しない為、差動増幅回路23は増幅度1の増幅器として働き、進相回路として動作しない。
【0037】
尚、コイルに流れ始める時刻が早まったことで流れ始めの電流はモータの逆方向の回転トルクを発生させるが、流れ始めの電流は小さいためホール素子の切換わりの周期の中央に流れる電流による回転トルクの向上が大きく寄与して回転数の低下は起こさない。
【0038】
[第2の実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態を示す回路図である。この実施形態は第1の実施形態の定電流源32,33を抵抗38,39に置換え、トランジスタ28、29のコレクタ間に発振防止用コンデンサ37を追加した例である。
【0039】
定電流源の代りに抵抗を使用すると、トランジスタのコレクタに流れる電流は定電流源の場合のように単純に表せない。しかしトランジスタ28とトランジスタ29のエミッタ間に流れる電流の一部分は、コンデンサ31の働きによって必ず(jωC)の係数を持つ。
【0040】
より詳細に述べれば、コンデンサのインピーダンスは(1/jωC)のため、コンデンサの端子間に電圧Vが印加されれば流れる電流は(jωC×V)となり、トランジスタ28とトランジスタ29のエミッタ間に流れる電流の一部分は、コンデンサ31の働きによって必ず(jωC)の係数を持つ。
【0041】
従ってトランジスタ28とトランジスタ29のコレクタに表れる電圧も電流×抵抗の関係から必ず(jωC)の係数を持つ部分が有り、位相が進む事が説明できる。
【0042】
[第3の実施形態]
図5は本発明の第3の実施形態を示す回路図である。この実施形態は第1、第2の実施形態のトランジスタ28,29がnpn型トランジスタであったのに対し、pnp型のトランジスタ45、46に置換え、コンデンサ47と直列に抵抗51を接続した例であり、コンデンサ47と直列に抵抗51を接続することで、発振を起きにくくすることができる。
【0043】
[第4の実施形態]
図6は本発明の第4の実施形態を示す回路図である。この実施形態は本発明を3相全波のファンモータに適用した例である。
【0044】
図6の駆動回路は、例えば新日本無線株式会社製モータドライブIC(型番NJM2624AM)を使用した場合を表していて、3個のホール素子56,57,58と、3個の差動増幅回路61,66,71と、ドライブIC80と、3相ブリッジ接続された6個のトランジスタ85〜90と、3相のコイル91,92,93とで構成されている。ドライブIC80の内部には3個の差動増幅器81,82,83と制御回路84が納められている。
【0045】
差動増幅回路61,66,71は第1の実施形態の差動増幅回路23、又は第2の実施形態の差動増幅回路36、又は第3の実施形態の差動増幅回路40と同一の回路構成の回路で、ホール素子56,57,58から供給される信号の位相を進める進相回路である。
【0046】
電源端子54からドライブIC80の電源入力端子へ電源が供給され、同時に抵抗を通してロータの位置を検出する各ホール素子56,57,58に電源が供給される。ホール素子56はロータの磁石の磁極を検出して磁極の極性と磁力の強さに応じた差動の電圧を差動増幅回路61に供給する。差動増幅回路61は第1の実施形態から第3の実施形態で説明したようにホール素子56の出力信号の位相を進めた信号を発生し、この信号をドライブIC80の中の差動増幅器81の入力端子に出力する。
【0047】
同様に、ホール素子57はロータの磁石の磁極を検出して差動の電圧を差動増幅回路66に供給する。差動増幅回路66はホール素子57の出力信号の位相を進めた信号を発生し、この信号をドライブIC80の中の差動増幅器82の入力端子に出力する。又、ホール素子58はロータの磁石の磁極を検出して差動の電圧を差動増幅回路71に供給する。差動増幅回路71はホール素子58の出力信号の位相を進めた信号を発生し、この信号をドライブIC80の中の差動増幅器83の入力端子に出力する。
【0048】
ドライブIC80の制御回路84は差動増幅器81〜83からの信号に基づき、トランジスタ85〜90の内の2つのトランジスタを3相の相電流が巡回するようにオン状態にしてその他のトランジスタをオフ状態にする。トランジスタ85〜90の内の2つのトランジスタがオン状態になるとコイル91〜93の内の2つのコイルに電流が流れ、コイルに電流が流れることによって磁力が発生しロータの磁石との間で反発と吸引の力が発生しロータが回転する。
【0049】
このように第4の実施形態の駆動回路では進相回路を3個のホール素子に対応して3回路使用し、差動増幅器81,82、及び83に進相された3個のホール素子の信号を供給する。
【0050】
制御回路84はトランジスタ85〜90のオン,オフをホール素子の切換わりの周期よりも早く行うので、ホール素子の切換わりの周期の中央に近い時刻でコイルに流れる電流が最大になり、同じ消費電流のモータであっても回転数を上げることができ効率が向上する。
【0051】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0052】
例えば、実施形態では、ホール素子56と差動増幅回路61は別々の回路に納められている例であるが、例えばホール素子56と差動増幅回路61を一つの集積回路に納め、ホール信号処理回路として独立させることも可能である。
【0053】
あるいは、差動増幅回路61、66、71とドライブIC80は別々の集積回路に納められている例を説明したが、例えば差動増幅回路61、66、71をドライブIC80の中に納めることも可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、進相回路でホール素子の出力信号の位相を進めてドライブ回路に入力するので、コイルに流れる電流がホール素子の切換わりの周期の中央に近い時刻で十分に大きくなり、周期の末期だけで大きくなることが無くなり、トルクを増し回転数を上げることができると共に、モータの効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDCモータ駆動回路の第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】図1の一部の信号波形図である。
【図3】図1の進相回路を示す回路図である。
【図4】本発明のDCモータ駆動回路の第2の実施形態を示す回路図である。
【図5】本発明のDCモータ駆動回路の第3の実施形態を示す回路図である。
【図6】本発明のDCモータ駆動回路の第4の実施形態を示す回路図である。
【図7】従来のDCモータ駆動回路の回路図である。
【図8】図7の一部の信号波形図である。
【符号の説明】
11、56、57、58 ホール素子
12、80 ドライブIC
14、15、91、92、93 コイル
23、36、40、61、66、71 進相回路
28、29、45、46 トランジスタ
30、50、51 抵抗
31、47 コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンモータ等のDCモータにおいて、特にロータの回転位置を検出するホール素子等の位置検出素子の信号に基づいてステータのコイルを駆動制御するDCモータ駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファンモータ等の2相DCモータにおいては、ロータの回転位置を検出するホール素子等の位置検出素子を設け、この信号に基づいてステータのコイルを駆動制御することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−47073号公報
図7は、このようなDCファンモータに適用される2相半波(ユニポーラ)ブラシレスDCモータ駆動回路を示したものである。図7に示す回路は、例えばローム株式会社製モータドライブIC(型番BA6811F)を使用した場合を示しており、2相のコイル14,15を駆動するドライブIC12と位置検出素子としてのホール素子11とダイオード13とコンデンサ16で構成されている。ドライブIC12の内部には差動増幅器17と制御回路18と各相毎のトランジスタ19,20が納められている。
【0004】
電源端子21からドライブIC12の電源入力端子4へ電源Vccが供給される一方、抵抗を通してホール素子11に電源Vccが供給される。ホール素子11はロータの磁石の磁極を検出し磁極の極性と磁力の強さに応じた差動の電圧をドライブIC12の端子5,6に供給し、この端子5,6に供給された電圧は差動増幅器17の二つの入力端子に供給される。
【0005】
ドライブIC12はホール素子11の差動の電圧を差動増幅器17で増幅して制御回路18へ入力し、制御回路18は差動増幅器17からの信号に基づきトランジスタ19,20の何れかをオン状態にする信号を出力する。一方のトランジスタ19がオン状態になると電源端子21からダイオード13,コイル14,トランジスタ19を通して電流が流れ、他方のトランジスタ20がオン状態になると電源端子21からダイオード13,コイル15,トランジスタ20を通して電流が流れ、それぞれコイル14,15が励磁されて磁力が発生しロータの磁石との間で反発と吸引の力が発生しロータが回転する。
【0006】
ホール素子11の出力端子9,10の電圧波形と差動増幅器17の出力電圧の波形を図8に示す。両出力端子9,10の出力電圧は位相が180度ずれた正弦波状の波形となる。この二つの電圧をドライブIC12の差動増幅器17で差動増幅すると図8の下側の波形の信号が差動増幅器17から出力される。尚、図8における基準電圧は、ホール素子11の両出力端子9,10からの出力電圧が等しい場合における差動増幅器17の出力電圧と同じ値である比較用電圧であり、制御回路18内でこの基準電圧と差動増幅器17の出力電圧が比較される。
【0007】
図8の差動増幅器17の出力電圧が基準電圧より高いと一方のトランジスタ19がオン状態になり、差動増幅器17の出力電圧が基準電圧より低いと他方のトランジスタ20がオン状態になる。従ってホール素子11の出力端子9,10からの出力電圧が等しくなった瞬間に両トランジスタ19,20の何れかがオン状態になって他方がオフ状態に切換わる。この出力端子9,10からの出力電圧が等しくなった瞬間から次に等しくなるまでの期間をホール素子11の切換わりの周期とするとホール素子11の切換わりの周期毎に両コイル14,15に交互に電流が流れる。
【0008】
このように従来のDCモータ駆動回路はホール素子11の切換わりの周期毎にコイル14,15に流れる電流をオン,オフすることでロータを回転させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のDCモータ駆動回路では、二つのトランジスタの何れかをオン状態にしても、2相のコイルに流れる電流は直ちに増加せず、コイルの抵抗とインダクタンスのために徐々に増加する特性を示している。コイルの抵抗とインダクタンスによる時定数は(インダクタンス/抵抗)で表され、この時定数がホール素子の切換わりの周期の長さに比較して長いとホール素子の切換わりの周期の期間でコイルに流れる電流は十分に増加せず、あるいは例え増加してもホール素子の切換わりの周期の末期で大きくなる特性となる。なお、このホール素子の切換わりの周期の末期の電流は、上記特許文献1の発明が解決しようとする課題の欄にも記載されているように、モータの発生トルクにあまり寄与しない。
【0010】
ホール素子の切換わりの周期の長さはモータが高速回転になるほど短くなる。このため従来の駆動回路で高速回転させようとするとコイルの抵抗とインダクタンスによる時定数に比べてホール素子の切換わりの周期が短くなり、コイルに流れる電流が十分に大きくならず、たとえ大きくなってもそのタイミングがホール素子の切換わりの周期の末期となるため回転トルクにあまり寄与せず、回転数を上げるために大きな電流を流す必要があった。
【0011】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、コイルへの通電時期を早めることによってトルクを増し回転数を上げ得るDCモータ駆動回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のDCモータ駆動回路においては、ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する位置検出器と、差動の入力端子対を持ち前記位置検出器の出力信号に基づきコイルへの通電を制御するドライブ回路とを備え、位置検出器の二つの出力信号が供給され位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路を設け、進相回路の二つの進相出力信号を前記ドライブ回路の差動の入力端子対に供給してコイルへの通電時期を早めるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のDCモータ駆動回路においては、ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する複数の位置検出器と、複数の位置検出器毎に差動の入力端子対を持ち複数の位置検出器の出力信号に基づき複数相のコイルへの通電を制御するドライブ回路とを備え、位置検出器の二つの出力信号が供給され位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路を複数の位置検出器毎に設け、前記ドライブ回路における複数の位置検出器毎の差動入力端子対に、それぞれの進相回路により位相が進められた位置検出器の二つの進相出力信号を入力して、各相のコイルへの通電時期を早めるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
上述したDCモータ駆動回路において、進相回路を、二つのトランジスタで構成された差動増幅器と、コンデンサ及び抵抗で構成された回路網を有し、二つのトランジスタのエミッタ間に回路網を接続し、二つのトランジスタのベースに位置検出器から供給される二つの信号を入力し、二つのトランジスタのコレクタから出力信号を取出すのがよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、図1〜図6を用いて説明する。なお、これらの図面で示した符号のうち従来技術で説明した符号と同じものは同じか又は同等の機能を有するものを示すものとする。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は本発明のDCモータ駆動回路を2相半波(ユニポーラ)のファンモータに適用した場合の第1の実施形態を示した回路図である。又、図2は図1のホール素子11の出力端子9,10の出力電圧波形とドライブIC12における差動増幅器17の出力電圧の波形図である。
【0017】
ホール素子11、ドライブIC12、ダイオード13、コイル14,15は図7の従来の駆動回路と同じ部品であり、第1の実施形態では図7の従来の駆動回路に、トランジスタ28,29,定電流源32,33、コンデンサ31,及び抵抗26,27,30で構成された差動増幅回路23が追加されている。差動増幅回路23が進相回路として動作する。ホール素子11の一方の出力端子9は差動増幅回路23の端子25を経由してトランジスタ29のベースに接続され、他方の出力端子10は差動増幅回路23の端子24を経由してトランジスタ28のベースに接続されている。
【0018】
ホール素子11はロータの磁極を検出して磁極の極性と磁力の強さに応じた差動の電圧をトランジスタ28のベースとトランジスタ29のベースとにそれぞれ供給する。
【0019】
トランジスタ28のコレクタにはホール素子11の出力端子10の信号が反転され、かつ進相された信号が表れる。トランジスタ29のコレクタにはホール素子11の出力端子9の信号が反転され、かつ進相された信号が表れる。
【0020】
トランジスタ28のコレクタとトランジスタ29のコレクタの信号は、それぞれ差動増幅器17の反転入力端子と非反転入力端子に供給される。差動増幅器17の出力から進相回路によって進相されたホール素子11の信号が制御回路18に供給される。
【0021】
差動増幅回路23の動作を図3を用いて説明する。図3は図1のトランジスタ28,29,定電流源32,33、コンデンサ31,及び抵抗26,27,30で構成された差動増幅回路23を取出した回路図であり、それぞれの接続は図1の回路と同じである。この差動増幅回路23の動作を説明するため、定電流源32,33はそれぞれ10[mA]の定電流源で、抵抗26と27は0.5[KΩ]、抵抗30は1[KΩ]の抵抗とする。
【0022】
まず、端子24、25にそれぞれ4[V]と3[V]の直流電圧を加えた場合の端子34と35に出力される電圧を説明する。直流電圧を加えた場合は、コンデンサ31には電流が流れないのでコンデンサ31は無視できる。トランジスタ28のエミッタはベースの電圧より約0.7[V]低い電圧になるので、端子24に4[V]を加えるとトランジスタ28のエミッタは3.3[V]になる。同様にトランジスタ29のエミッタはベースの電圧より約0.7[V]低い電圧になるので、端子25に3[V]を加えるとトランジスタ29のエミッタは2.3[V]になる。
【0023】
この為、抵抗30の両端の電圧差は1[V]になり、抵抗30のトランジスタ28のエミッタ側の端子からトランジスタ29のエミッタ側の端子に向かって1[mA]の電流が流れる。従ってトランジスタ28のエミッタには定電流源32に流れる10[mA]と抵抗30に流れる1[mA]の合計の11[mA]が流れる。この電流はトランジスタ28のコレクタに流れるので、抵抗26の電圧降下は0.5[KΩ]×11[mA]=5.5[V]となり、端子35から出力される電圧はVcc−5.5[V]になる。
【0024】
一方、トランジスタ29のエミッタには定電流源33に流れる10[mA]から抵抗30に流れる1[mA]を引いた9[mA]が流れる。この電流はトランジスタ29のコレクタに流れるので、抵抗27の電圧降下は0.5[KΩ]×9[mA]=4.5[V]となり、端子34から出力される電圧はVcc−4.5[V]になる。従って端子34と端子35の間の電圧差は端子24と端子25の間の電圧差と同じ1[V]になる。
【0025】
次に差動増幅回路23が進相回路として動作する事を説明する。前記従来回路で説明したようにホール素子の出力電圧の波形はほぼ正弦波の形状をしているので、実際にはコンデンサ31にも電流が流れる。以下の説明ではコンデンサ31の容量値をCで表し、抵抗30の抵抗値をRで表す。又、正弦波信号の計算のため、虚数jと正弦波の角周波数を表すωを用いる。
【0026】
図3の回路で、端子24と端子25にそれぞれ信号Vaと信号Vbを加える。信号Vaと信号Vbは同じ角周波数ωを持つ正弦波信号で、ホール素子11の二つの出力端子の信号を表す。
【0027】
信号Vaはトランジスタ28のベースに加えられ、トランジスタ28のエミッタの電圧はVa−0.7[V]になる。信号Vbはトランジスタ29のベースに加えられ、トランジスタ29のエミッタの電圧はVb−0.7[V]になる。従って抵抗30及びコンデンサ31の両端の電圧差は(Va−0.7[V])−(Vb−0.7[V])=Va−Vbになる。
【0028】
抵抗30には(Va−Vb)/Rの電流が流れ、コンデンサ31には(Va−Vb)×jωCの電流が流れる。この二つの電流を合計すると(1+jωCR)×(Va−Vb)/Rになる。この為、トランジスタ28のエミッタに流れる電流は10[mA]+(1+jωCR)×(Va−Vb)/Rとなり、トランジスタ29のエミッタに流れる電流は10[mA]−(1+jωCR)×(Va−Vb)/Rとなる。
【0029】
トランジスタ28のエミッタに流れる電流とほぼ同じ電流がトランジスタ28のコレクタに接続された抵抗26に流れるので、端子35の出力電圧は、Vcc−0.5[KΩ]×(10[mA]+(1+jωCR)×(Va−Vb)/R)になり、同様にして端子34の出力電圧は、Vcc−0.5[KΩ]×(10[mA]−(1+jωCR)×(Va−Vb)/R)になる。
【0030】
この式は端子35の出力信号は、Va−Vbの信号の位相を進めて反転した電圧になる事を示し、端子34の出力信号は、Va−Vbの信号の位相を進めた電圧になる事を示す。
【0031】
図3の端子34と端子35の出力電圧は、ドライブIC12の差動増幅器17に入力され、差動増幅器17の出力からは差の電圧が出力されるので、差動増幅器17の出力は次のようになる。2×0.5[KΩ]×(1+jωCR)×(Va−Vb)/R=1[KΩ]×(1+jωCR)×(Va−Vb)/R
この計算結果は、差動増幅器17の出力信号はホール素子の二つの出力端子の信号の差(Va−Vb)の位相を進めた信号となることを表し、位相の進み角をθとすると、tanθ=ωCRとなる。
【0032】
以上の計算ではホール素子の出力信号を正弦波として扱ったが、実際のホール素子の出力信号は必ずしも完全な正弦波ではない。しかしホール素子の二つの出力信号が交叉する短い時間で見れば正弦波で近似できるので、図3の回路でホール素子の信号の位相を進めることが可能になる。
【0033】
図1の回路図の差動増幅器17の出力電圧は、位相が進むことによって、図2に示すようにホール素子11の端子9,10の二つの出力電圧が交叉する時刻よりも早く基準電圧と交叉する。差動増幅器17のこの出力電圧は制御回路18へ入力され、制御回路18は差動増幅器17からの信号に基づきトランジスタ19,20の何れかをオン状態にする。トランジスタ19,20がオン状態になる時刻は、図8の従来の駆動回路に比較して早くなる。
【0034】
トランジスタ19,20の何れかがオン状態になると、電源端子21からダイオード13を通ってコイル14,15の何れかに電流が流れ、コイルが励磁されて磁力が発生しロータの磁石との間で反発と吸引の力が発生しロータが回転する。
【0035】
本実施形態では、電流が流れ始める時刻が図7の従来の駆動回路より早いため、コイルに流れる電流がコイルの抵抗とインダクタンスのために徐々に増加してもホール素子の切換わりの周期の末期で大きくならず、ホール素子の切換わりの周期の中央に近い時刻で最大になる。ホール素子の切換わりの周期の末期に流れる電流は回転トルクにあまり寄与しないが、ホール素子の切換わりの周期の中央に流れる電流は回転トルクに十分寄与するので、従来の駆動回路に比較して同じ消費電流のモータであっても回転数を上げることができ、モータの効率が向上する。
【0036】
モータの起動時やモータの回転が遅い場合のように、ホール素子の出力信号の変化が非常に遅い場合は、差動増幅回路23のコンデンサ31は低い周波数に応答しない為、差動増幅回路23は増幅度1の増幅器として働き、進相回路として動作しない。
【0037】
尚、コイルに流れ始める時刻が早まったことで流れ始めの電流はモータの逆方向の回転トルクを発生させるが、流れ始めの電流は小さいためホール素子の切換わりの周期の中央に流れる電流による回転トルクの向上が大きく寄与して回転数の低下は起こさない。
【0038】
[第2の実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態を示す回路図である。この実施形態は第1の実施形態の定電流源32,33を抵抗38,39に置換え、トランジスタ28、29のコレクタ間に発振防止用コンデンサ37を追加した例である。
【0039】
定電流源の代りに抵抗を使用すると、トランジスタのコレクタに流れる電流は定電流源の場合のように単純に表せない。しかしトランジスタ28とトランジスタ29のエミッタ間に流れる電流の一部分は、コンデンサ31の働きによって必ず(jωC)の係数を持つ。
【0040】
より詳細に述べれば、コンデンサのインピーダンスは(1/jωC)のため、コンデンサの端子間に電圧Vが印加されれば流れる電流は(jωC×V)となり、トランジスタ28とトランジスタ29のエミッタ間に流れる電流の一部分は、コンデンサ31の働きによって必ず(jωC)の係数を持つ。
【0041】
従ってトランジスタ28とトランジスタ29のコレクタに表れる電圧も電流×抵抗の関係から必ず(jωC)の係数を持つ部分が有り、位相が進む事が説明できる。
【0042】
[第3の実施形態]
図5は本発明の第3の実施形態を示す回路図である。この実施形態は第1、第2の実施形態のトランジスタ28,29がnpn型トランジスタであったのに対し、pnp型のトランジスタ45、46に置換え、コンデンサ47と直列に抵抗51を接続した例であり、コンデンサ47と直列に抵抗51を接続することで、発振を起きにくくすることができる。
【0043】
[第4の実施形態]
図6は本発明の第4の実施形態を示す回路図である。この実施形態は本発明を3相全波のファンモータに適用した例である。
【0044】
図6の駆動回路は、例えば新日本無線株式会社製モータドライブIC(型番NJM2624AM)を使用した場合を表していて、3個のホール素子56,57,58と、3個の差動増幅回路61,66,71と、ドライブIC80と、3相ブリッジ接続された6個のトランジスタ85〜90と、3相のコイル91,92,93とで構成されている。ドライブIC80の内部には3個の差動増幅器81,82,83と制御回路84が納められている。
【0045】
差動増幅回路61,66,71は第1の実施形態の差動増幅回路23、又は第2の実施形態の差動増幅回路36、又は第3の実施形態の差動増幅回路40と同一の回路構成の回路で、ホール素子56,57,58から供給される信号の位相を進める進相回路である。
【0046】
電源端子54からドライブIC80の電源入力端子へ電源が供給され、同時に抵抗を通してロータの位置を検出する各ホール素子56,57,58に電源が供給される。ホール素子56はロータの磁石の磁極を検出して磁極の極性と磁力の強さに応じた差動の電圧を差動増幅回路61に供給する。差動増幅回路61は第1の実施形態から第3の実施形態で説明したようにホール素子56の出力信号の位相を進めた信号を発生し、この信号をドライブIC80の中の差動増幅器81の入力端子に出力する。
【0047】
同様に、ホール素子57はロータの磁石の磁極を検出して差動の電圧を差動増幅回路66に供給する。差動増幅回路66はホール素子57の出力信号の位相を進めた信号を発生し、この信号をドライブIC80の中の差動増幅器82の入力端子に出力する。又、ホール素子58はロータの磁石の磁極を検出して差動の電圧を差動増幅回路71に供給する。差動増幅回路71はホール素子58の出力信号の位相を進めた信号を発生し、この信号をドライブIC80の中の差動増幅器83の入力端子に出力する。
【0048】
ドライブIC80の制御回路84は差動増幅器81〜83からの信号に基づき、トランジスタ85〜90の内の2つのトランジスタを3相の相電流が巡回するようにオン状態にしてその他のトランジスタをオフ状態にする。トランジスタ85〜90の内の2つのトランジスタがオン状態になるとコイル91〜93の内の2つのコイルに電流が流れ、コイルに電流が流れることによって磁力が発生しロータの磁石との間で反発と吸引の力が発生しロータが回転する。
【0049】
このように第4の実施形態の駆動回路では進相回路を3個のホール素子に対応して3回路使用し、差動増幅器81,82、及び83に進相された3個のホール素子の信号を供給する。
【0050】
制御回路84はトランジスタ85〜90のオン,オフをホール素子の切換わりの周期よりも早く行うので、ホール素子の切換わりの周期の中央に近い時刻でコイルに流れる電流が最大になり、同じ消費電流のモータであっても回転数を上げることができ効率が向上する。
【0051】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0052】
例えば、実施形態では、ホール素子56と差動増幅回路61は別々の回路に納められている例であるが、例えばホール素子56と差動増幅回路61を一つの集積回路に納め、ホール信号処理回路として独立させることも可能である。
【0053】
あるいは、差動増幅回路61、66、71とドライブIC80は別々の集積回路に納められている例を説明したが、例えば差動増幅回路61、66、71をドライブIC80の中に納めることも可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、進相回路でホール素子の出力信号の位相を進めてドライブ回路に入力するので、コイルに流れる電流がホール素子の切換わりの周期の中央に近い時刻で十分に大きくなり、周期の末期だけで大きくなることが無くなり、トルクを増し回転数を上げることができると共に、モータの効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDCモータ駆動回路の第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】図1の一部の信号波形図である。
【図3】図1の進相回路を示す回路図である。
【図4】本発明のDCモータ駆動回路の第2の実施形態を示す回路図である。
【図5】本発明のDCモータ駆動回路の第3の実施形態を示す回路図である。
【図6】本発明のDCモータ駆動回路の第4の実施形態を示す回路図である。
【図7】従来のDCモータ駆動回路の回路図である。
【図8】図7の一部の信号波形図である。
【符号の説明】
11、56、57、58 ホール素子
12、80 ドライブIC
14、15、91、92、93 コイル
23、36、40、61、66、71 進相回路
28、29、45、46 トランジスタ
30、50、51 抵抗
31、47 コンデンサ
Claims (3)
- ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する位置検出器と、差動の入力端子対を持ち前記位置検出器の出力信号に基づきコイルへの通電を制御するドライブ回路とを備えたDCモータ駆動回路であって、前記位置検出器の二つの出力信号が入力され該出力信号の位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路を設け、前記進相回路の二つの進相出力信号を前記ドライブ回路の差動の入力端子対に供給して、前記コイルへの通電時期を早めるようにしたことを特徴とするDCモータ駆動回路。
- ロータの回転位置に応じた位相の異なる二つの信号を出力する複数の位置検出器と、前記複数の位置検出器毎に差動の入力端子対を持ち前記複数の位置検出器の出力信号に基づき複数相のコイルへの通電を制御するドライブ回路とを備えたDCモータ駆動回路であって、
前記位置検出器の二つの出力信号が入力され該出力信号の位相を進めた二つの進相出力信号を出力する進相回路を前記複数の位置検出器毎に設け、前記ドライブ回路における前記複数の位置検出器毎の差動入力端子対に、それぞれの前記進相回路により位相が進められた位置検出器の二つの進相出力信号を入力して、前記各相のコイルへの通電時期を早めるようにしたことを特徴とするDCモータ駆動回路。 - 前記進相回路は、二つのトランジスタで構成された差動増幅器と、コンデンサ及び抵抗で構成された回路網とを有し、前記二つのトランジスタのエミッタ間に前記回路網を接続し、前記二つのトランジスタのそれぞれのベースに前記位置検出器から供給される二つの出力信号を入力し、前記二つのトランジスタのコレクタから進相出力信号を取出すようにした請求項1又は2記載のDCモータ駆動回路。
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