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JP2004186608A - 1.45〜1.65μm帯の光増幅器またはレーザー発振器または光源 - Google Patents

1.45〜1.65μm帯の光増幅器またはレーザー発振器または光源 Download PDF

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JP2004186608A JP2002354508A JP2002354508A JP2004186608A JP 2004186608 A JP2004186608 A JP 2004186608A JP 2002354508 A JP2002354508 A JP 2002354508A JP 2002354508 A JP2002354508 A JP 2002354508A JP 2004186608 A JP2004186608 A JP 2004186608A
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JP2002354508A
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Yoshinori Kubota
能徳 久保田
Takuya Tejima
卓也 手島
Sadao Kanto
貞雄 関東
Natsuya Nishimura
夏哉 西村
Hideyuki Okamoto
英之 岡本
Takeshi Kasuga
健 春日
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】1.45〜1.65μmの波長範囲内の連続した95nm以上の波長範囲で、5dB以上の小信号利得を得られることを特徴とする、1.45〜1.65μm帯の広帯域光増幅器を提供する。
【解決手段】増幅用光導波路のコア部にErを含有し、Erの単位体積あたりの濃度(ρEr)が、1.5×1019/cm≦ρEr≦6×1020/cm以下であり、波長0.75〜1.08μm、波長1.4〜1.50μmの範囲から選ばれる1波長で励起し、少なくとも1個の利得抑制フィルターを配置し、各段の増幅用光導波路のコアに含まれる全Er原子数(NEr)が1×1013個≦NEr≦1×1016個であり、かつ、増幅用光導波路の四光波混合の起こり易さを示す指標をNFWM≦1とする。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1.45〜1.65μm帯の光通信などで用いられる光増幅器または波長可変レーザー発振器または広帯域光源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信では、通信容量の増大に伴い、従来から用いられてきたCバンド(1.53〜1.565μm)に加えて、長波長側のLバンド(1.565〜1.625μm)と短波長側のSバンド(1.46〜1.53μm)の利用が検討されている。現在は、各バンドごとに専用の増幅器が必要であり、二台または三台の増幅器を並列に繋いだ複雑な構成にしなければならない(非特許文献1参照)。 このため、S/C/Lバンドの合分波素子や光信号タイミング調整装置が必要となり、伝送機器のコストが非常に高くなる上に、制御が難しくなる問題がある。
【0003】
このような状況から、広帯域の信号を一括増幅する方法が要求されており、C+Lバンド一括増幅またはS+C+Lバンド一括増幅(以下、超広帯域増幅)への期待が高まっている。
【0004】
C+Lバンド一括増幅用としては、Er添加亜テルル酸塩ガラスファイバー増幅器(EDTFA)(特許文献1、非特許文献2参照)や、Er添加ビスマス酸塩ガラスファイバー増幅器(EDBiFA)が知られており(非特許文献3、特許文献2参照)、80〜90nm幅のC+Lバンド一括増幅が可能とされている。しかし、C+Lバンド一括増幅ではSバンド増幅が残ってしまい、システムの簡略化やコスト削減効果に制限がある。
【0005】
超広帯域増幅にはラマン増幅器またはラマン増幅器とEDFAのハイブリッドが提案され、注目されている(非特許文献4参照)。しかし、超広帯域増幅できるラマン増幅器には数百m程度の長いファイバーが必要であり、増幅器自体が大型になる問題や、分布利得型の装置となって線路管理が煩雑になる問題がある。ラマン増幅+EDFAハイブリッドも、ラマン増幅の問題をそのまま引き継いでいる。これらの方法に対し、EDBiFAで超広帯域増幅する可能性が示されている(特許文献3参照)が、この公報に記載の組成では後述する非線形光学効果により、実用的な超広帯域光増幅器を構成できない。一般に、酸化ビスマス系ガラスや亜テルル酸塩ガラスは屈折率が2以上と非常に高屈折率であり、非線形屈折率も同様に高いことが知られている。また、これと同時に非線形定数も大きく、広帯域な増幅帯域を利用しようとして波長間隔を狭くした通信(DWDM伝送)や、離散的な波長で高強度な信号を伝送する通信(CWDM伝送)を行うと、非線形効果によって信号がひずむ問題が指摘されている(非特許文献5参照)。
【0006】
このように、超広帯域増幅可能で、しかも交換局内などへの設置に有利な、小型で超広帯域かつ実用的な希土類添加ファイバー増幅器は知られていない。
【0007】
さらに、超広帯域増幅特性測定には、全帯域で波長可変可能なレーザーや広帯域光源が必要である。現在、測定用の波長可変レーザーは半導体レーザーが主流となっているが、利得帯域の制限からS+C+Lバンドの全域で発振できるレーザー(以下、超広帯域レーザー)は知られていない。半導体レーザー以外にファイバー・レーザー型の光源が知られているが、一般的にEr添加石英ファイバーを基本としているため、CバンドあるいはLバンドでの単独発振以外は不可能である。ラマンレーザーはS+C+Lバンドの帯域内で発振可能であるが、構成が複雑で非常に高価な装置となるため、実用的でない。このため、超広帯域で連続波長可変かつ実用的なレーザーは知られていない。
【0008】
同じように、増幅特性測定には広帯域光源を用いることができる。このような光源としては、広帯域発光ダイオード(SLD)や、Er添加石英ファイバーのASE光源が知られているが、S+C+Lバンド一括発光の広帯域光源(以下、超広帯域光源)は構築できない。数台のSLD光源を組み合わせた広帯域光源(例えば、B&W Tek Inc.BWC−SLD9など)やEr添加石英ファイバーとTm添加フッ化物ファイバーを組み合わせたASE光源(例えば、ファイバーラボ(株)製 FL7701)が市販されているが、内部構成が複雑になるため、非常に高価である。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−236240号公報
【特許文献2】
特開平11−317561号公報
【特許文献3】
特開2001−185789号公報
【非特許文献1】
Y.Yano, et al., ”Experimental study on SRS loss and its compensation in tree−band WDM transmission,” 26th European Conference on Optical Communication Volume 3, 39−40 (2000)
【非特許文献2】
A.Mori, et al., Tech. Digest of Conference on Optical Fiber Communication, Dallas, Texas (1997) PDP2
【非特許文献3】
S.Tanabe, et al., ”Broad−band 1.5 mm emission of Er3+ ions in bismuth−based o xide glasses for potential WDM amplifier,” J. Luminescence 87−89 (2000) 670−672
【非特許文献4】
H.Masuda, et al., Electron. Lett. 34, 1342− (1998)
【非特許文献5】
M.E.Marhic, et al., ”Large cross−phase modulation and four wave mixing in tellurit e EDFAs,” Electronics Letters 35, 2045−2047 (1999)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、単一の線路で、S+C+Lバンドにまたがる広い波長範囲を一括増幅できる希土類添加ファイバー増幅器やレーザー発振器や広帯域光源は、これまでに知られていない。S+C+Lバンドの波長範囲での広帯域一括増幅が、単一の線路で可能になれば、分岐素子や合波素子のない簡素かつ安価な構成で光通信ネットワークを構成できる。また、S+C+Lバンドの波長範囲での広帯域一括増幅が単一の線路で可能になれば、従来の増幅器を単純に置き換えるだけで、ただちに大幅な伝送容量の向上を実現できる。また、このような超広帯域増幅器は、従来の高密度波長分割多重(DWDM)に加えて、低密度波長分割多重(CWDM)に利用できるため、システムの低価格化と共に柔軟性が向上する。
【0011】
本発明は1.45〜1.65μm帯に亘る広帯域増幅器、または広帯域波長可変レーザー発振器、または広帯域光源を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題を包括的に考慮し、鋭意検討の結果、非線形性の小さいコアガラスに、一定濃度以上のErを添加した特定の濃度長(Er数)の光導波路と、Cバンドに大きな損失を持つフィルタを組み合わせることで、1.45〜1.65μmの波長範囲のうち、連続した95nm以上の帯域幅で超広帯域増幅,超広帯域波長可変レーザー発振,超広帯域発光が可能であることを見いだし、本発明に到達した。
【0013】
すなわち本発明は、増幅用光導波路のコアにErを一定濃度の範囲で含有した増幅用光導波路と、主にCバンドに損失を持つ利得抑制フィルターを組み合わせ、波長0.75〜1.08μmまたは波長1.4〜1.50μmの範囲の励起光で励起し、しかも使用する導波路中のErイオンの数(従来の濃度条長積に相当する)が一定の範囲内であり、伝送中の非線形光学効果を抑制するために導波路のコアガラスが一定の屈折率および非線形光学定数以下の増幅用導波路で構成されていることを特徴とする、1.45〜1.65μm帯の超広帯域光増幅器または、超広帯域レーザー発振器または、超広帯域光源を提供するものである。
【0014】
以下本発明について詳述する。
Er添加光導波路では、特定の反転分布での発光スペクトルと吸収スペクトルの差を求めることで、利得スペクトルを再現できることが知られており、実測と良く一致する事が解っている[例えば、C.R.Giles他,”Modeling Erbium−Doped Fiber Amplifiers,” J.Lightwave.Technology, 9, 271−283 (1991)]。代表的な3種類のガラスで増幅特性を計算した結果を図1に示す。一見して判るとおり、適切な反転分布において、Er添加フッ化物ガラス(図1−(A))や亜テルル酸塩ガラス(図1−(B))の想定利得スペクトルは、シリカガラス(図1−(C))の場合よりもなだらかなスペクトルを得られる。例えば、フッ化物とテルライトの反転分布6/4のスペクトル,石英の反転分布7/3のスペクトルを比較すると、石英では1530nm付近に明瞭な発光ピーク認められるが、フッ化物とテルライトには明瞭な発光ピークがない。このため、Er添加フッ化物ガラスやEr添加テルライトガラスでは、Er添加シリカガラスよりも平坦な利得スペクトルや、広帯域な利得スペクトルを得ることができ、このことは、例えば、D.Bayatt et.al., ”Experimental investigation of the gain flatness characteristics for 1.55mm erbium−doped fluoride fiber amplifiers,” IEEE PhotonicsTechnology Letters, 6, 613−615 (1994)などにも述べられている。
【0015】
これらの想定利得スペクトルから、Gilesの方法などを用いて実際の利得を計算した。一例を図2に示す。この計算では、波長1490nmと1600nmの小信号利得が10dBで等しくなる条件を選んでいる。一般に、利得抑制フィルターで補正可能な利得差は20dB程度までと言われており、利得抑制フィルターを用いたとしても、図2に示す全てのガラスにおいて、1.45〜1.65μm帯の超広帯域を利得平坦化するには利得偏差が大きすぎる事が判る。Er添加シリカガラスでは、最も利得偏差が大きく、最大で50dBを越える偏差になる。このため、従来の技術では、ガラスの種類によらず超広帯域で利得平坦な増幅が不可能であるか、極めて増幅効率が低くなる。
【0016】
本発明者らは、鋭意検討の結果、超広帯域増幅に関わる重要な3要素を見いだし、その適切な組み合わせによって、超広帯域増幅、超広帯域レーザー、超広帯域光源の実現が可能になるとことを考案した。1点目の重要ポイントは、Er濃度およびEr数に関わる点であり、2点目の重要ポイントはCバンドに損失中心を持つ利得抑制フィルターの利用であり、3点目の重要ポイントは光導波路のコア材料および導波路の非線形性および屈折率に関わる点である。
【0017】
まず、1点目の重要ポイント(以下、▲1▼)であるEr濃度およびEr数に関わる内容について詳述する。本発明者らは、コアガラスにErを一定濃度以上含有し、導波路中のEr数が一定の範囲内にある光導波路では、光密度が高い波長で利得の飽和が従来よりも効果的に生じ、従来法で予測可能な利得偏差よりも偏差を小さく抑制できることを見いだした。この効果により、Cバンドとそれ以外の帯域での利得偏差を20dB以内に抑制できる。このため、利得抑制フィルターの併用によって1.45〜1.65μm帯で超広帯域かつ利得平坦な光増幅器やレーザー発振器や広帯域光源を構成できる。
【0018】
本発明による超広帯域化の方法では、Er高濃度添加によるS,Lバンドでの利得とCバンドでの利得の間の偏差抑制によって利得抑制フィルターの利用を可能とし、その利得抑制フィルターによってさらに利得偏差を抑制するため、大信号入力動作や利得飽和でない動作条件下においても、超広帯域で利得平坦性の良い増幅が可能となる。
【0019】
本発明の要点となるS,LバンドとCバンドの間での利得偏差抑制は、Erイオン間のエネルギー移動を基本としているため、Erイオン間距離すなわちEr濃度とに強く依存する。一般に光増幅器では、Erイオン間相互作用による濃度消光は効率低下の原因となるため、Erイオン間相互作用が生じない程度の低濃度添加導波路が用いられている[例えば、M. Shimizu, et al., ”Concentation effect on optical amplification characteristics of Er−doped silica single−mode fibers,” IEEE Photonics Technology Letters, 2, 43−45 (1990))。シリカガラスを用いた増幅器では、低濃度からErイオン同士の凝集(クラスタリング)が生じるため、1000ppm程度を上限にして添加濃度が制限されてしまう。このため、通常のエルビウム添加シリカファイバーでは、Er間のエネルギー移動が起こりにくく、本発明の効果を得ることはできない。一方で、Erイオン間のエネルギー移動は、程度の差はあるものの母材の材質にあまり影響を受けないことから、シリカファイバーの場合のような強い濃度消光が生じない材料に、所定の濃度でErを添加できれば、どんなものでも本発明の効果を得ることができる。
【0020】
具体的には、増幅用光導波路のコア部分に含まれるErの濃度(ρEr)が、1.5×1019/cm≦ρEr≦6×1020/cmの範囲で本特許の効果が得られる。この範囲よりも低濃度では、実質的にEr間エネルギー移動がほとんど生じないため、低濃度での増幅とほぼ同じになる。このため、利得を得られる波長幅が95nmよりも狭くなる。この範囲よりも高濃度では、Er間エネルギー移動が強く起こりすぎるため、増幅器やレーザーとしての効率が著しく低下し、実用的でない。コアのガラス組成がハライドガラスまたはハライド酸化物ガラスで、ファイバー長や励起方法や利得抑制フィルターなどの条件を最適化した場合、上記の濃度範囲の中でも5×1019/cm≦ρEr≦3.5×1020/cmの範囲の時、95nm以上の波長範囲で13dB以上の小信号利得を得られるため、特に好ましい。
【0021】
また、別のタイプのErイオン間エネルギー移動は、光導波路の導波方向にも生じている。Erが低濃度でもこのタイプのエネルギー移動は生じることが知られており、Er添加シリカファイバーによるLバンド増幅に利用されている[例えば H.Ono, et al.,”Gain−flattened Er3+−doped fiber amplifier for a WDM signal in the 1.57−1.60 mm wavelength region,”IEEE Photonic Technology Letters 9, 596−598 (1997)]。このため、超広帯域増幅や超広帯域レーザー発振や超広帯域光源には前述した添加濃度だけでなく、導波路長を適切に設定する必要がある。実際には、高濃度添加の場合にはコア直径も加味した全Er数が重要となる。
【0022】
具体的には、各段の増幅用光導波路のコアに含まれる全Er原子数(NEr)が各々、1×1013個≦NEr≦1×1016個の範囲であることが好ましい。この範囲よりもEr数が多い場合、すなわち適正な範囲よりもコア直径が大きいかファイバー長が長い場合は、Lバンドの利得がSバンド領域よりも大きくなり利得帯域幅が狭くなる。逆にこの範囲よりもEr数が少ない場合、すなわち適正な範囲よりもコア直径が小さいかファイバー長が短い場合は、Lバンドの利得がSバンドやCバンドよりも小さくなり利得帯域幅が狭くなる。SバンドとLバンドの利得偏差は、ある程度の範囲であれば利得抑制フィルタで調整可能であるが、理想的にはほぼ同じレベルとなるように、Er濃度と全Er数(すなわちコア直径とファイバー長)を調整するのが好ましい。多段構成とする場合は、全ての段の増幅用導波路がこのEr数の条件を満たす必要がある。単段で構成する場合は、多段構成よりも自由度が低下する。単段では励起条件にもよるが、1×1014≦NEr≦5×1015が特に好ましい。
【0023】
次に、2点目の重要ポイント(以下、▲2▼)である利得抑制フィルタについて詳細に説明する。図3に示すように、Er高濃度かつ適切な総Er数に設計した導波路でも、1530nm付近のCバンドを中心する利得は、SまたはLバンドよりも高い値となっている。これを抑制し、S〜Lバンドに至る超広帯域増幅を可能とするためには、Cバンドに損失中心のある利得抑制フィルタを利用する必要がある。
【0024】
広い波長範囲にわたって利得を得るためには、利得の高い部分を選択的に吸収または反射する、利得抑制フィルターが必要であり、薄膜フィルターや長周期,短周期,周期変調型のファイバー回折格子などが用いられている。最近の新しい方法としては、カットオフ波長付近の損失を巧妙に利用する方法が示されており、このような方法を利得抑制フィルターとして用いることもできる[M. A. Arbore, et al.,”34 dB gain at 1500 nm in S−band EDFA with distributed ASE suppression,” Proc. ECOC 2002, vol.1 2.2.2 (2002)]。また、熱複屈折性を利用した可変フィルターやマハツェンダー型のフィルターなど、必要な損失が得られる方法なら何でも良い。これらの利得抑制フィルターでは、通常20dB程度の利得偏差を補償できるとされている。このため、ピーク利得が40dBの場合、利得抑制フィルターの設計制限から、20dB以上の利得が得られる波長範囲で増幅可能と考えられる。
【0025】
図3に、高濃度Er添加フッ化物ガラス導波路およびテルライトガラス導波路を、波長980nmのレーザーで励起したときの蛍光スペクトルから予想される、ファイバー増幅器の小信号利得レベルを示す。図3は図2と異なり、Erを高濃度添加した導波路からの出射光を基にしているため、利得偏差が20dB以下に縮小され、利得抑制による超広帯域増幅が可能となっている事が判る。テルライトではSおよびLバンドで10dB程度の利得が得られ、超広帯域増幅の可能性がある。しかし、テルライトや酸化ビスマス系ガラスのような高屈折率ガラスの一部組成は、その高い非線形性から超広帯域増幅に適さない。この点に関しては後述する。一方、フッ化物ガラスのような低屈折ガラスでは、非線形性も小さいため超広帯域増幅に適している。また、フッ化物ガラスではErのピーク誘導放出断面積が小さいものの、ピーク利得と周辺波長での利得の差が小さいため、SバンドとLバンドで10dB以上の利得を同時に得ることができる。このため、S+C+Lバンドにまたがる超広帯域一括増幅が可能になる。
【0026】
利得抑制フィルターの損失スペクトルは、増幅用光導波路のコア材料,Er添加濃度,導波路長,励起条件,信号強度,入射信号波長数などで変化するため一概に規定できない。しかし、Erの誘導放出スペクトルからCバンドでの利得が最も高くなりやすく、S,Lバンドとの利得バランスを取るため、Cバンド帯に損失の中心を設定する事が好ましい。利得抑制フィルターの損失スペクトル設計や制御は、信号の入出力条件,励起条件,増幅用導波路の構成段数や各段の組成や導波路長に依存するため、具体的なスペクトル形状や損失値を一概に規定することはできない。しかし、Erの誘導放出断面積が大きい1.530〜1.565μmの範囲の損失値(αc)が5dB≦αc≦30dBであり、誘導放出断面積が小さいそれ以外の波長域では、1.45〜1.51μmの範囲の損失値(αs)と1.58〜1.65μmの範囲の損失値(αl)が共に0dB≦ αs,αl≦10dBである事が好ましい。αcがこの範囲よりも小さい場合は、実質的に利得抑制の効果が無くなり、広帯域の増幅やレーザー発振ができない。αcがこの範囲よりも大きい場合、得られる利得や出力が小さくなり、雑音指数(NF)が増加して好ましくない。αsとαlがこの範囲よりも大きい場合は、得られる利得や出力が小さくなり、雑音指数(NF)が増加して好ましくない。
【0027】
利得平坦化フィルターの挿入位置や数は、増幅器の構成で最適配置が変化するため、一概には規定できない。単段増幅構成では、信号の入射側(上流)あるいは出射側(下流)あるいは双方に利得平坦化フィルターを配置することができる。多段構成では、各段の上流または下流または双方に設置することができるし、とびとびの段または全ての段に利得平坦化フィルターを設置することができる。しかし、構成の簡単さやコストを考慮すると、単段では上流または下流に設置する方法が好ましく、多段構成では初段の上流と全ての段の間と最終段の下流に設置する方法が好ましい。これらのフィルターは、損失値や損失スペクトルを固定しても良いし、可変としても良い。損失値や損失スペクトルが可変の場合は、利得や出力制御と連動したプログラム可能な制御が好ましい。
【0028】
次に、3点目の重要ポイント(以下、▲3▼)であるコア材料あるいは導波路の非線形性と屈折率について詳細に説明する。これまで述べてきた方法を用いて広帯域増幅を行う場合、従来から広く用いられている波長分割多重(WDM)技術を利用して、多波長の信号を一括増幅することが出来る。特に、利得帯域幅が100nmに至るような超広帯域増幅では、高密度波長分割多重(DWDM)伝送による超大容量伝送が期待できる。ところが、広帯域化による超大容量伝送では、波長間隔が狭くなったり波長間隔が各信号間で一定になると、四光波混合(FWM),自己位相変調(SPM),相互位相変調(XPM)などの非線形効果が顕著になり、無信号の波長に偽の信号が出現したり信号が歪むなど、エラーの増加が報告されている。非線形効果の中でも影響が大きいFWMの起こり易さは、以下のような式に簡略化して評価できることが示されている[ M. E. Marhic, et al., ”Large cross−phase modulation and four wave mixing in tellurite EDFAs,” Electronics Lettrs, 35, 2045−2047 (1999) ]。
【0029】
FWM=(γ/D)
γ:非線形パラメータ(km−1・W−1
D:色分散(ps・nm−1・km−1
ここで、FWMの指標(NFWM)は導波路の長さと無関係であることが重要である。また、非線形パラメータは非線形屈折率と以下の関係にある(G.P.Agrawel ,”Nonlinear Fiber Optics,” 3rd ed., London: Academic Press, Chapter 2 (2001))。
【0030】
γ=n・f/(c・Aeff
:非線形屈折率(m/W)
f: 信号の周波数(s−1
c: 光速(km/s)
eff:実効コア面積(m
増幅用導波路の非線形パラメータと色分散は、コア材料の非線形性に強く依存している。また、増幅用ファイバーでは増幅効率を高めるためにAeffが一般的な伝送用ファイバー(Aeff≒50〜100×10−12)よりもかなり小さく、Aeff≒10〜30×10−12のため、γが大きくなりやすい。超広帯域増幅においては、現在一般に使用されているシリカ系EDFAよりも利用する波長数が増加するので、少なくとも現行シリカ系EDFAの非線形性と同等以下である事が望まれる。シリカ系EDFの代表的な値としてはγ=5〜50km−1・W−1、D=−5〜−50ps・nm−1・km−1であり、最大のNFWM=1程度であることから、超広帯域増幅においてはNFWM≦1の必要がある。また、増幅帯域幅が90nm以上の場合は従来のシリカEDFAの3倍程度の帯域幅となることから、伝送容量も3倍程度が期待できる。このため、さらに好ましくはNFWM≦0.3である。増幅用光導波路が単段の場合、多段の場合共に、増幅器やレーザー発振器を構成する全ての導波路がこの範囲内である必要がある。NFWM>1では、現行のEDFAよりも非線形光学効果が起きやすくなり、現行の光通信よりも大容量化することが困難になる。
【0031】
また、一般に非線形屈折率は屈折率が大きい材料ほど大きい事が知られている(例えば、V.Pimitrov, et al., Journal of Non−Crystalline Solids, ”Electronic polarizability, optical basicity and non−linear optical properties of oxide glasses,” vol. 249, pp 160−179 (1999))。導波路の色分散は一般に−50〜50ps・nm−1・km−1であり、NFWM<1のためには材料の非線形パラメータ(γ)≦50km−1・W−1(非線形屈折率で約3×10−19/W以下)が必要である。非線形パラメータと屈折率の関係を検討の結果、γ≦50km−1・W−1のためには、屈折率(n)≦1.6であることが好ましいと判った。屈折率(n)>1.6の場合は、ガラスの組成や導波路構造の設計にもよるがNFWM>1となる場合があり好ましくない。
【0032】
また、光通信用のファイバーとの接続では、高屈折材料や低屈折率材料とシリカファイバーの接続部分で屈折率差に起因する反射が起こり、エラーや雑音の増加につながる。このような悪影響を避けるためには、反射減衰量として40dB以上必要である。屈折率の異なる材料を高反射減衰量(=低反射率)で接続するための様々な提案があり、斜め接続や熱拡散によるコア径拡大(=コア屈折率低下)が一般に用いられている。これらの方法を用いた市販の光部品組立機器(例えば融着接続器や自動調心組立器)で、反射減衰量≧40dBを実現するためには、増幅用導波路のコア屈折率(n)が1.3≦n≦1.6の必要がある。この範囲外では一般的な組立方法で反射減衰量≧40dBを実現することが困難になる(参考:M.J.F.Digonnet edit, ”Rare−Earth−Doped Fiber Lasers and Amplifiers,” 2nd ed., New York: Marcel Dekker, Inc., pp 721 (2001))。より好ましくは1.35≦n≦1.55である。
【0033】
上述の▲1▼〜▲3▼を満たした上で、本発明をさらに効果的に実施するための条件を述べる。
【0034】
本特許のコアガラス組成は、▲1▼の濃度範囲でErを所定濃度添加可能で、▲3▼の屈折率と非線形光学定数の範囲を満たすことができる物なら何でも良い。具体的には、ハライドガラス、ハライド酸化物ガラス、ハロゲン含有酸化物ガラス、燐酸塩ガラス、多成分シリカ系酸化物ガラス、多成分亜テルル酸塩ガラス、多成分ビスマス酸塩ガラス、多成分タングステン酸塩ガラス、多成分ゲルマン酸塩ガラスなどから選ぶことができる。多段構成の場合、これらのガラスから適宜選択して組み合わせることで、性能を最適化できる。
【0035】
コアガラスが低フォノン材料の場合、波長0.75〜1.08μmの励起光で励起すると、励起状態吸収(ESA)が生じて1.45〜1.65μm帯の増幅効率が著しく低下する場合がある。この現象は、低フォノン材料で励起上準位寿命が長い(数ms)場合に顕著に見られる。このような場合には、励起上準位を選択的に短寿命化することで効率を向上させることが可能であり、Ceが効果的であることが示されている[Z. Meng, et al.,”1.55−mm Ce−Er−ZBLAN Fiber Laser Operation Under 980−nm Pumping: Experiment and Simulation,” IEEE Photonics Technology Letters, 14, 609−611 (2002)]。本特許における低フォノンガラスとしては、ハライドガラス、ハライド酸化物ガラス、ハロゲン含有酸化物ガラス、燐酸塩ガラス、多成分シリカ系酸化物ガラス、多成分亜テルル酸塩ガラス、多成分ビスマス酸塩ガラス、多成分タングステン酸塩ガラス、多成分ゲルマン酸塩ガラスが挙げられる。
【0036】
本特許のEr濃度範囲に対応したCe濃度としては、導波路のコアのCe濃度(ρCe)が、1×1018/cm≦ρCe≦1.2×1021/cmである必要がある。この濃度範囲よりも低濃度の場合は、実質的にCeによるESA抑制効果が得られない。この濃度範囲よりも高濃度の場合には、ESA抑制効果は得られるが、ガラスの安定性が劣化するために好ましくない。
これらのガラス組成群の中でも、屈折率や非線形性の観点から、特にハライドガラス、ハライド酸化物ガラス、ハロゲン含有酸化物ガラス、および多成分シリカ系酸化物ガラスが好適である。
【0037】
フッ化物ガラスのように単段でも広帯域増幅できる場合には、直列多段構成にすることで、増幅帯域幅を損なわずに(場合によっては、より広い増幅帯域幅で)単段よりも高い増幅率を達成することができる。二段構成で、増幅を行った場合の例を図4に示す。フッ化物ガラスの場合は、二段目が低反転分布であっても短波長側で利得を得られるのでS〜Lバンドまで利得偏差の小さい増幅が可能である。
【0038】
励起レーザーの波長には、1.48μm帯,0.98μm帯,0.8μm帯などを使用できることが知られており、本発明においてもこれらの波長帯を用いることができる[例えば、W. J. Miniscalco, ”Erbium−Doped Glasses for Fiber Amplifiers at 1500 nm,” J. Lightwave Technology, 9, 234−250 (1991)]。具体的な励起波長としては、波長0.75〜1.08μmまたは波長1.4〜1.50μmを用いることができる。これらの波長範囲以外では、活性イオンであるErを効率よく励起できないため、励起効率が著しく低下するか利得を得ることができない。増幅帯域幅が100nmを越えるような超広帯域増幅の励起には、励起波長1.48μm帯が利得帯域内になる場合があることから、0.98μm帯や0.8μm帯、具体的には波長0.75〜1.08μmを使用する事が好ましい。ハライドガラスやハライド酸化物ガラスなどの低フォノンエネルギー材料で、0.98μm帯や0.8μm帯励起を可能にする方法としては、特許第3228462号公報が知られている。
【0039】
励起方法は、実質的に利得の得られる方法なら何でも良いが、雑音の抑制と反転分布の制御性の観点から、全ての段で前方励起または双方向励起または折り返し励起するのが好ましい。複数段で構成する場合は、少なくとも初段を前方励起することが、低雑音化の観点から特に好ましい。ブースターアンプのように出力が必要な場合は、少なくとも最終段を後方励起または双方向励起とすることが好ましい。
【0040】
波長0.75〜1.08μmの範囲の励起光のうち、波長0.9〜1.08μmで励起する場合、Erの11/2準位を励起することになるが、吸収断面積が小さいために効率よく励起できない場合がある。そのような場合は、YbからErへのエネルギー移動を利用することで実質的な吸収断面積の向上を図ることが出来る。本特許のEr濃度範囲に対応するYb濃度(ρYb)としては、0≦ρYb≦1×1019/cmである。この範囲よりも高濃度に添加した場合は、吸収した励起光エネルギーが効率よくErに伝達しないため、1.45〜1.65μm帯の増幅効率やレーザー発振効率が低下して好ましくない。励起光波長が0.88〜1.05μmの範囲内にある場合、ErやYbの吸収係数がより適切な範囲にあり、効率よく励起できることから、特に好ましい。
【0041】
光増幅器を構成する場合は、波長分割多重素子(WDM)や光アイソレータやASE抑制フィルタのような光通信用光学素子を、必要に応じて使用することができる。光アイソレータやASE抑制フィルタは、挿入位置によって雑音指数の低減とエラーの低減に効果的な場合があるので、最適な配置にすることが特に望ましい。また、増幅器に利得監視や利得等化機能を内蔵または付属させると、光通信システムの信頼性が向上するので好ましい。利得の監視には、実質的に入射信号光強度と出力信号光強度を比較できる方法なら、どんな方法を用いても良い。波長多重通信を行う場合は、各波長に割り当てられた信号ごとに検出、監視できる方法が望ましい。利得等化機能は、受動的な方法でも能動的な方法でも良い。受動的な利得等化方法としては、光学フィルターを利用した構成が簡単である。能動的な利得等化方法は、利得監視機能とフィードバック機能から構成され、実質的に入射信号光強度と出力信号光強度を比較し、利得を一定にできる方法なら、どんな方法を用いても良い。最近では多段構成とし、各段の励起光強度や励起波長ごとのパワー比を変化させる方法が広く行われている。本特許においては、これらの方法に加えて、利得抑制フィルタの一部または全部を能動的に制御することもできる。波長多重通信を行う場合は、各波長に割り当てられた信号ごとに利得等化できる方法が望ましい。利得等化と同様の機能であるが、出力信号光強度を一定に保つような、出力等化機能も利得等化機能と同じように有効である。これらの機能は、遠隔操作でプログラミング可能なマイクロプロセッサなどで、自動的に調整可能になっていることが好ましい。
【0042】
超広帯域の波長可変レーザー発振器を構成する場合は、光導波路をリング状に接続したり、直列または並列に複数台接続して、高出力化を図ることができる。発振可能な波長帯域を拡大するためには、利得抑制フィルターと内部利得スペクトルを微妙に調整する必要があり、イン・ラインでレーザーのパワーや波長をモニターし、利得抑制フィルターの損失値やスペクトルを最適に調整する事が好ましい。また、ファイバーグレーティングやサブリングなどを用いた狭帯域発振,波長可変発振や、分散シフトファイバなどによるパルス圧縮を利用した超短パルス発振も可能である。超広帯域で安定した発振を得る場合や、超短パルス発振する場合は、偏波コントローラなどの位相制御手段を備えることが特に望ましい。
【0043】
広帯域光源を構成する場合にも、波長可変レーザーと同様の配慮が必要であるが、特に各構成部品間の反射減衰量を大きくする必要がある。具体的には50dB以上、さらに好ましくは60dB以上であれば、高出力動作時の不要なレーザー発振を避けることができる。光源の構成は、一般的な後方励起でも良いし、励起効率を高めるためにダブルパスまたは双方向励起しても良い。光密度が−30dBm/nmを越えるような、高出力な広帯域光源を構成する場合には、光出力を安定化させるために、偏波コントローラなどの位相制御手段を備えることが特に望ましい。
【0044】
以上のように、本発明は、増幅用光導波路のコアにErを一定濃度の範囲で含有した増幅用光導波路と、主にCバンドに損失を持つ利得抑制フィルターを組み合わせ、波長0.75〜1.08μmまたは波長1.4〜1.50μmの範囲の励起光で励起し、しかも使用する導波路中のErイオンの総数が一定の範囲内であり、コアの屈折率および導波路の非線形光学定数が所定の値以下の増幅用導波路で構成されていることを特徴とする、1.45〜1.65μm帯の超広帯域一括増幅型光増幅器または、超広帯域波長可変レーザー発振器または、超広帯域光源を提供するものである。
【0045】
本発明により、単一の線路で95nm以上の利得帯域幅で超広帯域増幅が可能となり、これまでS,C,Lバンドに分割していた増幅器をまとめることができることから、光通信システムの低コスト化と簡略化に貢献できる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
コアにErを添加した各種のガラス導波路で、0.98μmまたは1.48μmで励起して小信号利得と帯域幅を測定した。測定系および増幅導波路と利得抑制フィルタの挿入位置の関係をまとめて図5に示す。実験に用いたコアガラス組成、導波路の構造パラメータ、Er添加濃度、利得抑制フィルタの挿入位置などをまとめて表1に示す。
【0048】
また、測定に使用した利得抑制フィルタの損失特性の一例を図6に示す。
励起パワーは250mW、信号強度は−30dBm、信号は変調周波数2.5GHzの条件で測定した。利得測定時には、波長数=1の信号を短波長側から長波長側に向かって走査し、各波長で出力信号のパワーを高精度パワーメータで測定した。入力信号光パワー(=−30dBm)をPin 、出力信号パワーを Pout、無信号時のASE出力をPASEとしたとき、増幅率(G)を以下に定めて評価した。
【0049】
G=10 log {(Pout−PASE)/Pin
四光波混合(FWM)の効果判定には、信号波長間隔=0.4nm、中心波長=1.55μm、入力信号強度=−10dBm/ch、波長数=8とし、出力光の測定に光スペクトラムアナライザを使用した。市販のCバンド用シリカファイバーEDFAでのFWM信号強度を標準に用い、FWM信号強度が標準以上であれば不合格、標準未満であれば合格とした。
【0050】
評価結果を表1に示す。Er濃度については、全ての組成で範囲内であるが、No.6,8の総Er数が範囲外なため、帯域幅が90nmと狭い。また、No.7,11は非線形パラメータが1よりも大きいため、帯域幅が95nm以上であってもFWMの影響で超広帯域増幅器には使用できない。非線形パラメータが1以下かつ総Er数が請求の範囲内であるフッ化物(No.1〜5,10)、酸化物(No.10,12)では、95nm以上の帯域幅でFWMの影響が小さい増幅が可能であった。
(実施例2)
表1のNo.3のフッ化物ファイバーを用い、ディテクタに光スペクトラムアナライザを接続して利得スペクトルを測定した。利得抑制フィルタは増幅用ファイバーの前方に設置した。結果を図7に示す。5dB以上の利得が得られる帯域幅として100nm以上を得た。
【0051】
(実施例3)
表1のNo.1を前段に、No.2を後段に配置し、前段と後段の間に利得抑制フィルタを配置した。励起は前段、後段共に前方励起とし、波長980nm出力250mWの励起レーザーを用いた。信号強度は−35dBmである。実施例2と同じ光スペクトラムアナライザで利得スペクトルを測定した。結果を図4に示す。単段の増幅で得られた実施例2のスペクトルと比較すると、5dB以上の利得が得られる帯域幅が広がり、最大利得も20dB以上を得た。
【0052】
【表1】
Figure 2004186608
【0053】
【発明の効果】
本発明の増幅器を用いることにより、1.45〜1.65μmの帯域の中で、非線形性による信号の劣化が少なく、連続した95nm以上の利得帯域を得ることができる。また、超広帯域のレーザーや光源を構築できる。本発明の増幅器、レーザー、光源を利用することにより、安価で簡便な超広帯域通信システムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Erを添加したフッ化物ガラス、亜テルル酸塩ガラス、シリカガラスの反転分布と実効誘導放出断面積の関係を示す図である。
【図2】通常の方法で得られる増幅スペクトルでの利得偏差が非常に大きい事を説明する図である。
【図3】Er高濃度添加によって利得偏差が抑制できることを示す図である。
【図4】実施例3における二段増幅での利得スペクトルである。
【図5】実施例1および実施例2の実験配置図である。
【図6】実施例1から実施例3で使用した利得抑制フィルタの損失スペクトルの一例である。
【図7】実施例2における利得スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1:波長可変レーザー1(波長1.450μm〜1.520μm)
2:波長可変レーザー2(波長1.520μm〜1.590μm)
3:波長可変レーザー3(波長1.590μm〜1.660μm)
4:光スイッチ
5:高周波変調器(0,2.5GHz)
6:TAP
7:励起用半導体レーザー(波長0.98μmまたは1.48μm)
8:パワーメータまたは高速フォトディテクタ
9:合波器
10:アイソレータ
11:増幅用導波路
12:フィードバック・パワーコントロール回路
13:オシロスコープ(8が高速フォトディテクタの場合)
A、B:利得抑制フィルタ挿入位置

Claims (8)

  1. 1.45〜1.65μm帯の光増幅器であって、
    (1)少なくとも増幅用光導波路のコア部にErを含有し、かつ、
    (2)増幅用光導波路のコアに含まれるErの単位体積あたりの濃度(ρEr)が、1.5×1019/cm≦ρEr≦6×1020/cmであり、かつ
    (3)波長0.75〜1.08μm、または波長1.4〜1.50μmの範囲から選ばれる少なくとも1波長で励起し、かつ
    (4)上記光導波路を1個または複数個、直列に接続し、かつ
    (5)少なくとも1個の利得抑制フィルターを配置し、かつ
    (6)各段の増幅用光導波路のコアに含まれる全Er原子数(NEr)が1×1013個≦NEr≦1×1016個であり、かつ
    (7)増幅用光導波路の四光波混合の起こり易さを示す指標(NFWM)を
    FWM=(γ/D)
    γ:非線形パラメータ(km−1・W−1
    D:色分散(ps・nm−1・km−1
    で表すとき
    FWM≦1でありかつ
    (8)1.45〜1.65μmの波長範囲内の連続した95nm以上の波長範囲で、5dB以上の小信号利得を得られることを特徴とする、1.45〜1.65μm帯の広帯域光増幅器。
  2. 1.45〜1.65μm帯で発振する波長可変レーザー発振器であって、請求項1記載の(1)〜(8)の条件を満たす1.45〜1.65μmの波長範囲内の連続した95nm以上の波長範囲において波長可変であり、かつレーザー発振可能な、広帯域波長可変レーザー発振器。
  3. 1.45〜1.65μm帯で連続的な光出力が得られる光源であって、請求項1記載の(1)〜(8)の条件を満たす1.45〜1.65μmの波長範囲内の連続した95nm以上の波長範囲で−50dBm/nm以上の光密度を得られることを特徴とする、広帯域光源。
  4. 利得抑制フィルターの損失特性が、
    (1)1.530〜1.565μmの範囲の損失値(αc)が5dB≦αc≦30dBであり、かつ
    (2)1.45〜1.51μmの範囲の損失値(αs)と1.58〜1.65μmの範囲の損失値(αl)が共に、0dB≦ αs,αl ≦10dBであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の1.45〜1.65μm帯で増幅可能な広帯域光増幅器、または広帯域波長可変レーザー発振器、または広帯域光源。
  5. 少なくとも増幅用光導波路のコア部がハライドガラス、ハライド酸化物ガラス、ハロゲン含有酸化物ガラス、燐酸塩ガラス、多成分シリカ系酸化物ガラス、多成分亜テルル酸塩ガラス、多成分ビスマス酸塩ガラス、多成分タングステン酸塩ガラス、多成分ゲルマン酸塩ガラスから選ばれるガラスから成ることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の、1.45〜1.65μm帯で増幅可能な広帯域光増幅器、または広帯域波長可変レーザー発振器、または広帯域光源。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の増幅用光導波路において、波長1.55μmでのコアの屈折率(n)が1.3≦n≦1.6であることを特徴とする、1.45〜1.65μm帯で増幅可能な広帯域光増幅器、または広帯域波長可変レーザー発振器、または広帯域光源。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の増幅用光導波路のコア部に、
    (1)少なくともErと共にCeを含有し、かつ、
    (2)増幅用光導波路のコアに含まれるの単位体積あたりのCe濃度(ρCe)が、1×1018/cm≦ρCe≦1.2×1021/cm特徴とする、1.45〜1.65μm帯で増幅可能な広帯域光増幅器、または広帯域波長可変レーザー発振器、または広帯域光源。
  8. 請求項7記載の増幅用光導波路のコア部に、Ybを含み、Ybの単位体積あたりの濃度(ρYb)が、0≦ρYb≦1×1019/cmであることを特徴とする、1.45〜1.65μm帯で増幅可能な広帯域光増幅器、または広帯域波長可変レーザー発振器、または広帯域光源。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008042178A (ja) * 2006-07-06 2008-02-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd ファイバ装置、波長変換装置及び画像表示装置
JP2015226048A (ja) * 2014-05-29 2015-12-14 株式会社トリマティス 広帯域光源
CN114142333A (zh) * 2021-10-13 2022-03-04 闽都创新实验室 一种脉冲激光器及其应用

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