JP2004176625A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】点火電源用発電コイルの出力電圧を調整する短絡式の電圧調整回路と発電コイルの出力とパルサの出力との位相関係から機関の逆回転を検出したときに点火時期制御部に与えられるパルスを側路して機関の逆回転を防止する回路とを備えた内燃機関用点火装置の点火位置の進角幅を従来より広くすること。
【解決手段】機関の回転速度が設定値に達するまでの間電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止する短絡制御用スイッチ回路21と、回転速度が設定値以下のときにパルス側路用スイッチ17Aがオン状態になるのを許可し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路用スイッチ17Aがオン状態になるのを禁止するパルス側路制御用スイッチ22とを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】機関の回転速度が設定値に達するまでの間電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止する短絡制御用スイッチ回路21と、回転速度が設定値以下のときにパルス側路用スイッチ17Aがオン状態になるのを許可し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路用スイッチ17Aがオン状態になるのを禁止するパルス側路制御用スイッチ22とを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発電コイルを電源として点火動作を行なう内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用点火装置は、例えば特許文献1に示されているように、内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられて正負の半サイクルの電圧を出力する発電コイルと、点火信号が与えられたときに発電コイルを電源として点火用の高電圧を発生する点火回路と、内燃機関の回転情報を得るために機関に取り付けられた信号発生装置に設けられて、内燃機関の特定のクランク角位置でパルス波形の第1の極性の信号及び第2の極性の信号を出力するパルサ(パルス信号発生装置)と、パルサが出力する第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して第1のパルス及び第2のパルスに変換する第1及び第2の波形整形回路と、第1のパルス及び第2のパルスを入力として第1のパルスの発生タイミングと第2のパルスの発生タイミングとの間で点火回路に与える点火信号の発生タイミングを制御する点火時期制御部とを備えていて、点火回路が発生する点火用の高電圧を機関の気筒に取り付けられた点火プラグに印加して、該点火プラグで火花放電を生じさせることにより、点火動作を行わせるようになっている。
【0003】
内燃機関に取り付けられる信号発生装置は、通常、回転方向に延びる円弧状の突起または凹部からなるリラクタ(誘導子)を備えて機関のクランク軸やカム軸に取り付けられるロータと、このロータのリラクタの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出してパルス波形の第1の極性の信号及び第2の極性の信号を発生するパルサとにより構成される。パルサはリラクタに対向し得る磁極部を先端に有する鉄心と、この鉄心に巻装された信号コイルと、鉄心に磁気結合された永久磁石とを備えていて、リラクタの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出したときに鉄心内で生じる磁束の変化により、信号コイルにパルス波形の第1の極性の(正極性または負極性の)信号と第2の極性の(負極性または正極性の)信号とを誘起させる。
【0004】
そして、機関の点火位置(点火動作が行われるときのクランク角位置)の最大進角位置または最大進角位置よりも更に進角した位置に設定された第1のクランク角位置に相当するタイミングで位相が進んだ方の第1の極性の信号が発生し、機関の始動時及び低速時の点火位置に相当する第2のクランク角位置に相当するタイミングで位相が遅れた方の第2の極性の信号が発生するように、パルサの取付位置が設定される。
【0005】
上記第1の極性の信号及び第2の極性の信号は、それぞれ第1及び第2の波形整形回路によりマイクロプロセッサに入力するのに適した波形の第1のパルス及び第2のパルスに変換される。
【0006】
点火時期制御部は、上記第1のパルス及び第2のパルスを入力として、第1のクランク角位置と第2のクランク角位置との間で、各種の制御条件に対して点火時期を変化させるように点火時期を演算し、演算した点火時期を検出したときに点火回路に点火信号を与える。
【0007】
この種の点火装置では、第1の極性の信号が発生するクランク角位置と第2の極性の信号が発生するクランク角位置との間の角度(リラクタの極弧角または周長)により点火時期の進角幅が決まる。
【0008】
また車両用の内燃機関においては、運転者の意に反して機関が逆転すると危険であるため、機関が正回転しているのか逆回転しているのかを判別して、万一機関が逆回転していることが検出されたときには直ちに点火動作が行われるのを禁止して機関の逆回転を防止する逆回転防止機能を点火装置に持たせることが行われている。
【0009】
内燃機関用点火装置に逆回転防止機能を持たせるため、特許文献1に示されている点火装置では、磁石発電機の出力とパルサが発生する信号との位相関係から機関が正回転しているか逆回転しているかを判別する手段を設けて、この手段により機関が逆回転していると判別されたときに点火動作を阻止することにより、機関の逆回転を防止するようにしている。
【0010】
この種の逆転防止機能を備えた点火装置では、内燃機関の正回転時には発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生し、内燃機関の逆回転時には発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生するようにパルサの出力と磁石発電機の出力との位相関係が設定される。また、発電コイルに誘起する交流電圧の他方の極性の半サイクルの期間オン状態を保持して、第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して得た第1のパルス及び第2のパルスの一方を点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチが設けられる。
【0011】
このように構成されていると、機関の正回転時には、発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間(パルス側路用スイッチがオフ状態にある期間)に第1のパルス及び第2のパルスが発生するため、第1のパルス及び第2のパルスの双方が点火時期制御部に供給される。このとき点火時期制御部は点火時期を演算し、演算した点火時期が検出されたときに点火回路に点火信号を与えて点火動作を正常に行わせる。
【0012】
これに対し、機関が逆回転しようとしたときには、発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間(パルス側路用スイッチがオン状態なる期間)に第1のパルス及び第2のパルスが発生するため、第1のパルス及び第2のパルスのいずれか一方が点火時期制御部から側路される。このとき点火時期制御部は点火信号を発生しないため、点火動作は行われず、機関は失火する。これにより機関の逆回転が防止される。
【0013】
また上記のように、内燃機関により駆動される磁石発電機内の発電コイルを電源として点火装置を駆動する場合には、該発電コイルの出力を制御回路の電源やバッテリの充電電源などとしても用いることが多い。機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発電コイルの出力は機関の回転速度の上昇に伴って高くなっていくため、上記のように発電コイルを点火電源以外の電源としても用いる場合には、発電コイルの出力が設定値を超えないようにするために、短絡式の電圧調整回路(レギュレータ)が設けられる。短絡式の電圧調整回路は、特許文献1にも示されているように、発電コイルの出力を短絡する短絡用スイッチと、発電コイルの出力が設定値を超えたときに該短絡用スイッチをオン状態にするスイッチ制御回路とを備えていて、発電コイルの出力が設定値を超えたときに短絡用スイッチをオン状態にして発電コイルを短絡することにより、発電コイルの出力を設定値付近に保つように構成されている。
【0014】
【特許文献1】
実公平3−11421号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
近年、排気ガス規制の面から、内燃機関としては2サイクル機関よりも4サイクル機関が多く用いられるようになっている。4サイクル機関では、2サイクル機関に比べて点火時期の進角幅を広くとることが必要とされる。
【0016】
2サイクル機関で必要とされる点火位置θi の回転速度Nに対する特性(点火特性)は、例えば図5の折れ線aに示す通りであり、最大進角位置はθi1であるが、4サイクル機関で必要とされる点火特性は同図の折れ線bのようになり、点火位置をθi1よりも更に進角したクランク角位置θi2まで進角させることが必要とされる。
【0017】
なお図5においてBTDC[°]は機関のピストンが上死点に達したときのクランク角位置(0°)に対して進角側の角度であることを示している。
【0018】
点火位置の進角幅を大きくするためには、信号発生装置のリラクタの極弧角を大きくすればよいが、前述のように、短絡式の電圧調整回路と、機関の逆回転を防止する手段とが設けられている場合には、以下に示す理由により、リラクタの極弧角を大きく設定することができないという問題があった。
【0019】
即ち、短絡式の電圧調整回路が設けられている場合には、電圧調整時に発電コイルから短絡用スイッチを通して流れる短絡電流による電機子反作用により、発電コイルの出力電圧の位相が遅れるため、リラクタの極弧角を大きくして第1の極性の信号の発生位置から第2の極性の信号の発生位置までの角度を大きくとると、電圧調整が行われる回転速度領域において、機関の正回転時に該発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間内に第1のパルス及び第2のパルスの双方を発生させることができなくなり、発電コイルの出力の他方の半サイクルの期間(パルス側路用スイッチがオン状態になる期間)の終期に第1のパルスが発生するようになって、該第1のパルスが点火時期制御部から側路されるため、機関が失火してしまう。このような事態が生じないようにするためには、短絡式の電圧調整回路により行われる電圧調整のために、発電コイルの出力の位相が遅れるようになった場合でも、発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間内に第1のパルス及び第2のパルスを発生させるように、信号発生装置のリラクタの極弧角を小さくしておかなければならなかった。
【0020】
そのため、従来のこの種の点火装置で得られる点火特性は図5の折れ線cのようになり、機関が要求する最大進角位置θi2よりもΔθだけ遅れた位置θi2’までしか点火位置を進角させることができないという問題があった。
【0021】
本発明の目的は、点火電源として用いる発電コイルの出力電圧を調整する短絡式の電圧調整回路を備え、発電コイルの出力とパルサの出力との位相関係から機関の回転方向を判別して機関の逆回転を防止する機能を備えた内燃機関用点火装置において、パルサが検出するリラクタの極弧角を従来よりも大きくして、点火位置の進角幅を広くとることができるようにすることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられて正負の半サイクルの電圧を出力する発電コイルと、点火信号が与えられたときに発電コイルを電源として点火用の高電圧を発生する点火回路と、内燃機関の正回転時には発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び該第1の極性の信号よりも位相が遅れた第2の極性の信号を出力し、内燃機関の逆回転時には発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号を出力するように設けられたパルサと、第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して第1のパルス及び第2のパルスに変換する第1及び第2の波形整形回路と、第1のパルス及び第2のパルスを入力として第1のパルスの発生タイミングと第2のパルスの発生タイミングとの間で点火回路に与える点火信号の発生タイミングを制御する点火時期制御部と、発電コイルに誘起する交流電圧の他方の極性の半サイクルの期間オン状態を保持して第1のパルス及び第2のパルスの一方を点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチと、発電コイルの出力電圧が設定値を超えたときに発電コイルを短絡する短絡用スイッチをオン状態にする電圧調整動作を行なうことにより発電コイルの出力電圧が設定値を超えないように調整する電圧調整回路とを備えた内燃機関用点火装置を対象とする。
【0023】
上記点火時期制御部は、第1の極性のパルス及び第2の極性のパルスの一方の入力が停止したときに点火信号の発生を停止するように構成されている。
【0024】
本発明においては、前記の目的を達成するため、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止し、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを許可する電圧調整動作許否手段と、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路用スイッチがオン状態になるのを許可し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止するパルス側路許否手段とを設けた。
【0025】
上記回転速度の設定値は、内燃機関が逆転するおそれがなく、かつ発電コイルの出力電圧の値が許容値を超えない範囲の値に設定される。
【0026】
上記のように構成すると、機関の回転速度が設定値以下の領域では、電圧調整動作が行われないため、発電機の電機子反作用により発電コイルの一方の半サイクルの期間が狭くなることはない。従って、パルサが検出するリラクタの極弧角を従来よりも大きく設定しても発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間に第1の極性のパルスと第2の極性のパルスとを発生させることができる。また機関の回転速度が設定値を超える領域では、パルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止するため、電圧調整により発電コイルの一方の半サイクルの期間が短くなっても、第1のパルス及び第2のパルスの一方が点火時期制御部に与えられなくなる事態が生じることはなく、機関の点火動作は正常に行われる。回転速度が設定値を超える領域でパルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止すると、逆回転防止機能が喪失するが、機関の回転速度が設定値を超える領域では、機関の回転方向が反転するおそれはないため、上記のように、パルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止して逆転防止機能を喪失させても何ら問題がない。
【0027】
本発明の好ましい態様では、上記電圧調整動作許否手段が、オン状態になったときに短絡用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられた短絡制御用スイッチ回路と、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間短絡制御用スイッチ回路をオン状態に保ち、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに短絡制御用スイッチ回路をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段とにより構成される。
【0028】
また、上記パルス側路許否手段は、オン状態になったときにパルス側路用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられたパルス側路制御用スイッチと、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路制御用スイッチをオフ状態に保持し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路制御用スイッチをオン状態にするようにパルス側路制御用スイッチを制御するパルス側路制御手段とにより構成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は本発明に係わる内燃機関用点火装置の構成例を示したもので、この例では、内燃機関が4サイクル単気筒機関であるとしている。同図において、1は内燃機関により駆動される磁石発電機である。本発明において、磁石発電機の極数は任意であるが、図示の磁石発電機は、4極の磁石回転子2と、4極の固定子3とからなっている。磁石回転子2は、カップ状に形成された回転子ヨーク(フライホイール)4と、回転子ヨーク4の周壁部の内周に固定された4個の円弧状の永久磁石M1ないしM4とからなっていて、機関のクランク軸に取り付けられている。また固定子3は、4個の突極部を90°間隔で有する電機子鉄心5と、電機子鉄心の4つの突極部にそれぞれ巻回された発電コイルW1〜W4とからなっていて、磁石回転子の内側に配置されて機関のケースなどに固定されている。
【0030】
本発明では、磁石発電機1に設けられた発電コイルを、後記するバッテリとともに、点火電源として用いる。図示の例では、磁石発電機の固定子に設けられた1つの発電コイルW1が点火装置に点火エネルギを与える点火電源として用いられる。発電コイルW1は、内燃機関の回転に同期して正負の半サイクルの電圧からなる交流電圧を出力する。
【0031】
なお図示の例では、1つの発電コイルW1を点火電源として用いているが、固定子に設けられる複数の発電コイルを点火電源としてもよい。
【0032】
本実施形態では、磁石発電機の回転子ヨーク4が信号発生装置のロータを兼ねていて、回転子ヨーク4の周壁部の外周に、該ヨークルの周方向に延びる円弧状の突起からなるリラクタ6が設けられている。
【0033】
回転子ヨーク4の側方にパルサ7が配置され、パルサ7と回転子ヨーク4により構成されたロータとにより信号発生装置が構成されている。パルサ7は、フライホイールの外周面とリラクタ6とに対向する磁極部を先端に有する鉄心7aと、鉄心7aに巻回された信号コイル7bと、鉄心7aに磁気結合された永久磁石(図示せず。)とからなる公知のものである。
【0034】
パルサ7は、リラクタ6の回転方向(図示の例では反時計方向)の前端側エッジ6a及び後端側エッジ6bをそれぞれ検出したときに、信号コイル7bからパルス波形の第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2を誘起する。
【0035】
第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2は互いに極性が異なるパルス波形の信号であればよいが、本実施形態では、図2(H)に示したように、第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2がそれぞれ負極性及び正極性の信号であるとする。
【0036】
本実施形態では、内燃機関が正回転しているときに、第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2が、発電コイルW1の正の半サイクル(一方の極性の半サイクル)の期間に発生し、機関が逆回転しているときに第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2が、発電コイルW1の負の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間に発生するように、パルサ7の取付位置が設定されている。図1において10は、発電コイルW1の出力を直流出力に変換するAC/DCコンバータ回路である。図示のAC/DCコンバータ回路は、ダイオードD1ないしD4をブリッジ接続してなるダイオードブリッジ全波整流回路を備え、この整流回路のブリッジの下辺を構成するダイオードD3及びD4にそれぞれ短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2が逆並列接続されている。サイリスタS1及びS2のゲートはそれぞれ抵抗R1及びR2を通してPNPトランジスタTR1のコレクタに接続され、トランジスタTR1のエミッタは発電コイルW1の一端及び他端にそれぞれアノードが接続されたダイオードD5及びD6のカソードに接続されている。
【0037】
またトランジスタTR1のエミッタ・ベース間に抵抗R3が接続され、トランジスタTR1のベースと接地間に抵抗R4を通してツェナーダイオードZD1が接続されている。この例では、トランジスタTR1により短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2へのトリガ信号の供給を制御するトリガ制御用スイッチが構成され、このトリガ制御用スイッチと、抵抗R3及びR4とツェナーダイオードZD1とにより、発電コイルW1の出力電圧が設定値を超えたときにトリガ制御用スイッチをオン状態にして短絡用スイッチ(サイリスタS1及びS2)にトリガ信号を供給する短絡用スイッチ制御回路が構成されている。
【0038】
図示のAC/DCコンバータ回路10においては、ダイオードD1ないしD4からなる整流回路により発電コイルW1の出力が整流され、この整流出力がバッテリ11に印加される。発電コイルW1の出力電圧が設定値を超えると、ツェナーダイオードZD1がオン状態になるため、トランジスタTR1にベース電流が流れてこのトランジスタが導通し、サイリスタS1及びS2にトリガ信号が与えられるため、サイリスタS1及びS2の内、アノードカソード間に順方向電圧が印加されているサイリスタがオン状態になる。サイリスタS1またはS2がオン状態になると、オン状態になったサイリスタとダイオードD4またはD3とにより発電コイルを短絡する短絡回路が構成され、この短絡回路により発電コイルの出力が短絡されるため、発電コイルの出力電圧が低下する。発電コイルの出力電圧が設定値以下になると、ツェナーダイオードZD1がオフ状態になり、トランジスタTR1にベース電流が流れなくなる。これにより、トランジスタTR1がオフ状態になり、サイリスタS1及びS2へのトリガ信号の供給が停止する。従ってサイリスタS1およびS2はそれぞれを流れているアノード電流が保持電流未満になった時点でオフ状態なり、発電コイルW1の短絡が解除される。これにより発電コイルの出力電圧が再び上昇していく。これらの動作の繰り返しにより、バッテリ11に印加される電圧が設定値付近の値に保たれる。
【0039】
本実施形態では、点火回路12としてコンデンサ放電式の回路が用いられている。図示の点火回路12は、一次コイル及び二次コイルの一端が接地された点火コイルIGと、点火コイルの一次コイルの非接地側の端子に一端が接続された点火用コンデンサCiと、オン状態になったときに点火用コンデンサCiに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるように、点火用コンデンサの他端と接地間に接続された放電用サイリスタSiと、カソードを接地側に向けて点火コイルの一次コイルの両端に並列接続されたダイオードD7と、バッテリ11の電圧を二百数十ボルトの電圧まで昇圧するDC/DCコンバータからなる点火コンデンサ充電用電源回路12Aとを備え、電源回路12Aの出力がダイオードD8を通して点火用コンデンサCiと点火コイルIGの一次コイルとの直列回路の両端に印加されている。
【0040】
また点火コイルIGの二次コイルの非接地側端子が、内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグPLの非接地側端子に高圧コードを通して接続され、機関の点火時期に点火コイルの二次コイルに誘起した高電圧が点火プラグPLに印加されるようになっている。
【0041】
図示の点火回路においては、電源回路12の出力電圧によりダイオードD8と点火コイルの一次コイル及びダイオードD7とを通して点火用コンデンサCiが図示の極性に充電される。後記する点火時期制御部からサイリスタSiのゲートに点火信号Viが与えられると、サイリスタSiがオン状態になるため、点火用コンデンサCiに蓄積された電荷がサイリスタSiと点火コイルIGの一次コイルとを通して放電する。これにより点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧が誘起するため、点火プラグPLで火花放電が生じ、機関が点火される。
【0042】
なおこの例では、点火回路としてコンデンサ放電式の回路を用いているが、点火回路は、点火信号が与えられたときに発電コイルW1を電源として点火用の高電圧を発生する回路であればよく、電流遮断形の点火回路など、他の形式の点火回路を用いてもよい。
【0043】
内燃機関の点火時期を制御するため、パルサ7の出力を入力として第1の極性の信号Vs1の発生タイミングと第2の極性の信号Vs2の発生タイミングとの間で点火回路12に与える点火信号Viの発生タイミングを制御する点火時期制御部が設けられる。本実施形態では、この点火時期制御部が、CPU,ROM,RAMなどを備えたマイクロプロセッサ13により構成されている。
【0044】
またパルサ7が出力する第1の極性の信号Vs1が、カソードをパルサ側に向けたダイオードD9を通して第1の波形整形回路14に入力され、パルサ7が出力する第2の極性の信号Vs2が、ダイオードD9と逆方向のダイオードD10を通して第2の波形整形回路15に入力されている。
【0045】
波形整形回路14及び15はそれぞれ第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2をマイクロプロセッサが認識し得る波形(図示の例では立上がりが速いパルス波形)の第1及び第2のパルスVp1及びVp2に変換する回路からなっていて、これらのパルスVp1及びVp2がそれぞれ抵抗R6及びR7を通してマイクロプロセッサ13の割込入力ボートINTP1及びINTP2に割込信号として入力されている。
【0046】
またバッテリ11の電圧を一定の直流電圧に変換する電源回路16が設けられ、この電源回路の出力がマイクロプロセッサ13の電源端子13aに印加されている。
【0047】
マイクロプロセッサ13は、パルサ7の出力を割込信号として入力として、パルサが出力するパルスの発生間隔から機関の回転速度を演算するとともに、演算した回転速度に対して機関の点火時期を演算する。この点火時期は、現在の速度で第1の極性の信号Vs1が発生するクランク角位置(基準位置)から点火時期に相当するクランク角位置(点火位置)まで機関が回転するのに要する時間の形で演算される。そして、第1の極性の信号Vs1が発生するタイミング(割込入力端子INTP1に割込信号が入力されるタイミング)で点火タイマをスタートさせることにより演算した点火時期の計測を開始し、演算された点火時期が計測されたときに(点火時期が検出されたときに)マイクロプロセッサのポートPoから点火信号Viを発生させる。この点火信号は抵抗R8とダイオードD11とを通して点火回路のサイリスタSiのゲートに与えられる。
【0048】
本実施形態ではまた、発電コイルW1に誘起する交流電圧の負の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間オン状態を保持して第1のパルスVp1及び第2のパルスVp2の一方を点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチ17Aを備えた逆転防止回路17が設けられている。図示の例では、エミッタが接地されたNPNトランジスタTR2によりパルス側路用スイッチ17Aが構成され、このトランジスタTR2のコレクタが第1の波形整形回路14の出力端子に接続されている。トランジスタTR2のベースと電源回路16の出力端子との間及びトランジスタTR2のベースと接地間にそれぞれ抵抗R9及びR10が接続され、トランジスタTR2のベースと発電コイルW1の一端との間にアノードをトランジスタTR2側に向けたダイオードD12が接続されている。
【0049】
前述のように、本実施形態においては、内燃機関が正回転しているときに、発電コイルW1の出力の負の極性の半サイクル(一方の極性の半サイクル)の期間において第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生し、内燃機関が逆回転しているときには、発電コイルW1の出力の正の極性の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生するようにパルサ7が設けられている。
【0050】
発電コイルW1の出力の負の極性の半サイクルにおいては、図示の逆転防止回路17のトランジスタTR2に抵抗R9を通して与えられるベース電流がダイオードD12と発電コイルW1とを通してトランジスタTR2から側路されるため、トランジスタTR2がオフ状態に保持される。このとき波形整形回路14から出力される第1のパルスVp1はマイクロプロセッサ13に与えられる。この状態では、マイクロプロセッサ13に第1及び第2のパルスVp1及びVp2の双方が与えられるため、マイクロプロセッサは機関が正回転していると判定して点火時期の演算を行い、演算した点火時期が検出されたときに点火回路12に点火信号を与える。従って、機関の正回転時には点火動作が正常に行われ、機関が正常に運転される。
【0051】
発電コイルW1の出力の正の極性の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間においては、ダイオードD12が逆バイアスされ、電源回路16から抵抗R9を通してトランジスタTR2にベース電流が与えられるため、該トランジスタTR2がオン状態になり、波形整形回路14の出力をマイクロプロセッサ13から側路する。この状態では、マイクロプロセッサ13に第1のパルスVp1が与えられないため、マイクロプロセッサは機関が逆回転していると判定して点火時期の演算を停止し、点火信号の発生を行わない。従って機関の逆回転時には点火動作が行われず、機関が失火させられるため、機関の逆回転が阻止される。
【0052】
本発明においては、更に電圧調整動作許否手段と、パルサ側路許否手段とが設けられる。
【0053】
電圧調整動作許否手段は、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止し、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを許可する手段で、本実施形態では、オン状態になったときに電圧調整回路の短絡用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられた短絡制御用スイッチ回路21と、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間短絡制御用スイッチ回路21をオン状態に保ち、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに短絡制御用スイッチ回路21をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段とにより構成される。図示の例では、トランジスタTR1のエミッタ及びベースにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタTR3と、トランジスタTR3のエミッタベース間に接続された抵抗R11と、トランジスタTR3のベースにコレクタが接続されるとともにエミッタが接地されたNPNトランジスタTR4と、トランジスタTR4のベースエミッタ間に接続された抵抗R12と、トランジスタTR4のベースとマイクロプロセッサ13のポートP1との間に接続された抵抗R13と、ポートP1と電源回路16の出力端子との間に接続された抵抗R14とにより短絡制御用スイッチ回路21が構成されている。
【0054】
内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間短絡制御用スイッチ回路21をオン状態に保ち、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに短絡制御用スイッチ回路21をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段は、マイクロプロセッサ13に所定のプログラムを実行させることにより実現される。この短絡制御用スイッチ制御手段は、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間ポートP1の電位をHレベルに保持し、回転速度が設定値を超えたときにポートP1の電位をLレベルにするように構成される。
【0055】
パルサ側路許否手段は、オン状態になったときにパルス側路用スイッチ17Aがオン状態になるのを阻止するように設けられたパルス側路制御用スイッチ22と、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路制御用スイッチ22をオフ状態に保持し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路制御用スイッチ22をオン状態にするようにパルス側路制御用スイッチ22を回転速度に応じて制御するパルス側路制御手段とにより構成される。
【0056】
図示の例では、エミッタが接地され、コレクタがトランジスタTR2のベースに接続されたNPNトランジスタTR5と、このトランジスタのベースエミッタ間に接続された抵抗R15と、トランジスタTR5のベースとマイクロプロセッサのポートP2との間に接続された抵抗R16と、ポートP2と接地間に接続された抵抗R17とによりパルス側路制御用スイッチ22が構成されている。内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路制御用スイッチ22をオフ状態に保持し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路制御用スイッチ22をオン状態にするようにパルス側路制御用スイッチ22を回転速度に応じて制御するパルス側路制御手段は、マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより実現される。このパルス側路制御手段は、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにマイクロプロセッサのポートP2の電位をLレベルに保持し、回転速度が設定値を超えたときにポートP2の電位をHレベルにするように構成される。
【0057】
本実施形態の点火装置において、パルサが第1の極性の信号Vs1を発生して第1の波形整形回路14からマイクロプロセッサ13に第1のパルスVp1が与えられたとき、及びパルサが第2の極性の信号Vs2を発生して第2の波形整形回路15からマイクロプロセッサ13に第2のパルスVp2が与えられたときにそれぞれマイクロプロセッサ13に実行させるプログラムのアルゴリズムの要部を示すフローチャートを図3及び図4に示した。
【0058】
図3は、マイクロプロセッサの割込入力ポートINTP1に第1のパルスVp1が与えられたときに実行される割込ルーチンを示したもので、このルーチンでは、ステップ1において今回入力された第1のパルスVp1が正規の割込信号であるか否か(例えばノイズ信号でない正規の信号であるか否か)を判定する。その結果今回入力された第1のパルスが正規の割込信号であると判定された場合には、ステップ2に進んで前回第1のパルスVp1が入力されてから今回第1のパルスVp1が入力されるまでの時間(タイマの計測値)を読み込み、この時間(クランク軸が1回転するのに要した時間)から機関の回転速度を検出する。その後、ステップ3に進んで、今回の割込タイミングが点火時期の計測を開始するタイミングであるか否かの判断や、点火時期を計測するための計測値を点火タイマにセットする処理(今回の割込タイミングが点火時期の計測を開始するタイミングである場合)などの必要な処理を行った後、このルーチンを終了する。
【0059】
ステップ1で、今回入力された第1のパルスが正規の割込信号でないと判定された場合、例えばノイズによりパルスVp1が続けて入力された場合には、ステップ4に進んで回転速度を0r/minと認識してこのルーチンを終了する。この図3の割込ルーチンにより回転速度検出手段が構成される。
【0060】
図4は、マイクロプロセッサの割込入力ポートINTP2に第2のパルスVp2が入力されたときに実行される割込ルーチンを示したもので、このルーチンでは、先ずステップ1において今回の第2のパルスVp2が正規の割込信号であるか否かを判定し、正規の割込信号でない場合には、何もしないでこのルーチンを終了する。ステップ1で今回入力された第2のパルスが正規の割込信号であると判定されたときには、ステップ2に進んで、図3のルーチンで検出された回転速度Nが設定値N1を超えているか否かを判定する。その結果、回転速度Nが設定値N1を超えていないと判定されたときには、マイクロプロセッサのポートP1の電位をHレベルとし、ポートP2の電位をLレベルとしてこのルーチンを終了する。ステップ2において回転速度Nが設定値N1を超えていると判定されたときには、ステップ4に進んでマイクロプロセッサのポートP1の電位をLレベルとし、ポートP2の電位をHレベルとしてこのルーチンを終了する。
【0061】
回転速度の設定値N1は、内燃機関が逆転するおそれがなく、かつ発電コイルの出力電圧の値が許容値を超えない範囲の値(例えば2000r/min)に設定される。
【0062】
この例では、図4のステップ2とステップ3及び4のポートP1の電位を設定いする過程とにより短絡制御用スイッチ制御手段が構成され、この短絡制御用スイッチ制御手段と図1に示した短絡制御用スイッチ回路21とにより、電圧調整動作許否手段が構成される。
【0063】
また図4のステップ2とステップ3及び4のポートP2の電位を設定する過程とによりパルス側路制御手段が構成され、このパルス側路制御手段と、図1のパルス側路制御用スイッチ22とにより、パルサ側路許否手段が構成される。
【0064】
本実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートを図2に示した。
【0065】
図2において、実線で示した波形は本実施形態による場合の波形を示し、破線で示した波形は、図1において、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合(従来の点火装置と同様の構成をとった場合)の波形を示している。
【0066】
図2(A)は本発明の実施形態においてAC/DCコンバータ回路10の整流回路の出力端子間に得られる電圧Vo の波形を示し、図2(B)は図1に示した例において、短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない場合にAC/DCコンバータ回路10の整流回路の出力端子間に得られる電圧Vo ’の波形を示している。
【0067】
また図2(C)は、本発明の実施形態において、パルス側路制御用スイッチ22が設けられていないとした場合に、トランジスタTR2のベースエミッタ間に印加される電圧Vbeの波形を示している。トランジスタTR2は、電圧VbeがHレベルにある期間(発電コイルの出力の正極性の半サイクルの期間)導通状態を保持して波形整形回路14から出力される第1のパルスVp1をマイクロプロセッサ13から側路して、該第1のパルスがマイクロプロセッサ13に入力されるのを禁止する。
【0068】
図2(D)は、図1において短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22の双方が設けられていないとした場合に、トランジスタTR2のベースエミッタ間に印加される電圧Vbe’の波形を示している。
【0069】
図2(E)は、マイクロプロセッサのポートP1の電位V1を示し、図2(F)は本発明の実施形態において(短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられている場合に)トランジスタTR2のベースエミッタ間に印加される電圧VBEの波形を示している。
【0070】
更に図2(G)は、マイクロプロセッサのポートP2の電位V2を示し、図2(H)はパルサ7が出力する第1の極性及び第2の極性の信号の波形を示している。
【0071】
また図2(I)は、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合にマイクロプロセッサの割込み入力ポートINTP1に入力される第1のパルスVp1’を示し、図2(J)は、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合にマイクロプロセッサの割込み入力ポートINTP2に入力される第2のパルスVp2’を示している。
【0072】
更に図2(K)は、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられている本発明の実施形態において、マイクロプロセッサの割込み入力ポートINTP1に入力される第1のパルスVp1を示し、図2(L)は、本発明の実施形態においてマイクロプロセッサの割込入力ポートINTP2に入力される第2のパルスVp2を示している。
【0073】
また図2(M)は短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合にマイクロプロセッサのポートPo から点火回路12に与えられる点火信号Vi’を示し、図2(N)は本発明の実施形態においてマイクロプロセッサのポートPo から点火回路12に与えられる点火信号Viを示している。
【0074】
以下、図2を参照して本実施形態の動作を説明する。図2(A)は、内燃機関を始動させた後その回転速度が上昇していく過程で発電コイルW1が、クランク軸の1回転当たり2サイクルずつ発生する交流電圧の整流後の波形(機関の正回転時の波形)を示したもので、同図においてVosは電圧調整回路の短絡用スイッチS1,S2がオン状態になるときの電圧値(発電コイルの出力電圧の設定値)を示している。図2に示した例では、同図(A)の左端に示された最初の1山の半サイクルが発電コイルW1の出力電圧の負の極性の半サイクル(第1の極性の半サイクル)に相応している。
【0075】
機関の正回転時には、発電コイルW1の出力の第1の極性の半サイクルの期間に、図2(H)に示すようにパルサ7が第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2を発生する。
【0076】
図2に示した例では、機関を始動した後、時刻ta において機関の回転速度Nが設定値N1を超えている。短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない場合には、図2(B)に示したように、機関の回転速度Nが設定値N1に達する前の状態でも、図示の時刻t1 以降の状態のように、発電コイルW1の出力電圧が設定値Vosを超えるようになると、発電コイルの出力電圧が設定値Vosを超えた時点で短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2がオン状態になって発電コイルW1を短絡する電圧調整動作を行う。このように電圧調整動作が行われているときには、発電コイルの整流後の出力波形は、図2(B)の時刻ta 以降の波形のように、発電コイルの出力の一部を短絡した波形になる。電圧調整動作が行われて発電コイルW1に短絡電流が流れると、発電機に大きな電機子反作用が生じるため、発電コイルW1の出力電圧に位相遅れが生じ、パルサ7が第1の極性の信号を発生するタイミングに発電コイルW1の出力の正の半サイクルの期間がかかるようになる。そのため、短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない場合には、電圧調整動作が開始される時刻ta 以降の期間において、図2(D)に示したように、トランジスタTR2のベースエミッタ間の電圧Vbe’がHレベルからLレベルに立下がるタイミングが遅れ、電圧Vbe’がHレベルになっている期間(パルス側路用スイッチ17Aがオン状態を保持する期間)の終期に第1の極性の信号Vs1が発生する状態になる。この状態では、第1のパルスVp1がマイクロプロセッサ13に入力されないため、図3の割込みルーチンは実行されず、点火動作は行なわれない。そのため、短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない従来の点火装置においては、リラクタの極弧角を大きくして第1のパルスVp1の発生位置と第2のパルスVp2の発生位置との間の角度を大きく設定すると、機関の正回転時に電圧調整動作が開始されたときに機関が失火し、停止してしまう。これを避けるためには、リラクタの極弧角を発電コイルの出力の半サイクルの期間に相当する角度よりも小さくする必要があり、点火位置の進角幅を大きくとることができない。
【0077】
これに対し、本発明のように、短絡制御用スイッチ回路21が設けられている場合には、回転速度Nが設定値N1を超えるまでは電圧調整動作が行われないため、発電コイルの出力に位相遅れが生じることがなく、トランジスタTR2のベースエミッタ間電圧VbeがLレベルに立下がるタイミングが遅れることがない。従って、第1のパルスVp1の発生位置から第2のパルスVp2の発生位置までの角度を、発電コイルの出力の半サイクルの期間に相当する角度に近い大きさにまで拡大するようにリラクタの極弧角を設定した場合でも、発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間内に第1のパルス及び第2のパルスの双方を発生させることができ、図2(K)及び(L)に示すように、第1のパルス及び第2のパルスを点火時期制御部に入力することができるため、回転速度がN1までの領域で機関が失火する状態が生じることはない。
【0078】
また機関の回転速度Nが設定値N1を超える領域では、パルス側路用スイッチがオン状態になるのが禁止され、点火時期制御部に与えられる第1及び第2のパルスが点火時期制御部から側路されることがなくなるため、リラクタの極弧角を大きく設定しても点火動作は正常に行われる。回転速度が設定値N1を超える領域では、内燃機関が逆回転するおそれはないため、回転速度が設定値N1を超える領域で逆回転防止機能を喪失させても何ら問題がない。
【0079】
上記の実施形態では、図2(M)に示されたように、クランク軸が1回転する毎に所定のタイミングで点火信号Viを発生させている。4サイクル機関においては、クランク軸の2回転当たりに1回点火時期が到来するので、上記のように構成した場合には、点火時期でないタイミングで点火プラグに生じる火花が無駄火となるが、機関の動作には支障を来さない。
【0080】
なお本発明は、上記のように、機関が1回転する毎に点火動作を行わせる場合に限定されるものではなく、クランク軸が2回転する間に1回信号を発生するカム軸センサ等を用いて点火を行わせる回転区間を検出し、正規の点火時期にのみ点火信号を発生させるように点火時期制御部を構成する場合にも、本発明を適用することができる。
【0081】
上記の実施形態では、電圧調整動作を停止させるために、トランジスタTR1がオン状態になるのを阻止することにより、短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2の導通を阻止するように短絡制御用スイッチ回路21が設けられているが、短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2に与えられるトリガ信号をサイリスタS1及びS2から側路することにより、両サイリスタの導通を阻止するように、短絡制御用スイッチ回路21を設けるようにしてもよい。例えば、図1に示された回路において、トランジスタTR3及び抵抗R11を省略して、トランジスタTR4のコレクタをトランジスタTR1のコレクタに接続するようにしてもよい。
【0082】
上記の実施形態では、第1のパルスVp1をマイクロプロセッサ13(点火時期制御部)から側路するようにパルス側路用スイッチ17Aを設けているが、マイクロプロセッサに実行させるプログラムによっては、第2のパルスVp2をマイクロプロセッサ13から側路するようにパルス側路用スイッチ17Aを設けるようにしてもよい。
【0083】
上記の実施形態では、4極の磁石発電機が用いられているが、8極などの更に多極の磁石発電機を用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0084】
上記の実施形態では、内燃機関が単気筒であるとしたが、2気筒以上の多気筒内燃機関を点火する内燃機関用点火装置にも本発明を適用することができる。
【0085】
多気筒内燃機関用の点火装置としては、1つのパルサを用いて多気筒の点火時期を制御する場合と、複数のパルサを用いて多気筒の点火時期を制御する場合とがある。複数のパルサを用いる場合には、いずれか1つのパルサの出力信号と発電機の出力との位相関係から機関の回転方向を判別して、機関の逆回転が検出されたときに該1つのパルサの出力を波形整形して得た第1及び第2のパルスの一方を点火時期制御部から側路するように構成すればよい。
【0086】
上記の実施形態では、発電コイルとして単相の発電コイルを用いているが、3相の発電コイルが用いられる場合にも本発明を適用することができる。3相の発電コイルを用いる場合には、いずれか1相の出力とパルサの出力信号との位相関係から機関の回転方向の判別が行われる。
【0087】
上記の例では、発電コイルの出力とバッテリとの双方から点火エネルギを得るように点火回路を構成しているが、発電コイルのみから点火エネルギを得るように点火回路が構成される場合にも本発明を適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発電コイルの出力とパルサが出力する信号との位相関係から機関の回転方向を判別して、点火装置に機関の逆回転を防止する機能を持たせる場合に、発電コイルの出力電圧の調整を行う短絡式の電圧調整回路の動作の影響を受けることなく、パルサが検出するリラクタの極弧角を、発電コイルの出力の半サイクルの期間に相当する角度に近い大きさまで拡大することができるため、点火位置の進角幅を大きくすることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる内燃機関用点火装置の構成例を示した回路図である。
【図2】図1の点火装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】図1の点火装置において、点火時期制御部の割込入力ポートに第1のパルスが入力されたときに実行される割込ルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図4】図1の点火装置において、点火時期制御部に割込入力ポートに第2のパルスが入力されたときに実行される割込ルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図5】2サイクル内燃機関で必要とされる点火特性と、4サイクル内燃機関で必要とされる点火特性とを比較して示したグラフである。
【符号の説明】
1:磁石発電機、6:リラクタ、7:パルサ、10:AC/DCコンバータ回路、12:点火回路、13:マイクロプロセッサ、14:第1の波形整形回路、15:第2の波形整形回路、17:逆転防止回路、17A:パルス側路用スイッチ、21:短絡制御用スイッチ回路、22:パルス側路制御用スイッチ、W1:発電コイル、S1,S2:サイリスタ(短絡用スイッチ)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発電コイルを電源として点火動作を行なう内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用点火装置は、例えば特許文献1に示されているように、内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられて正負の半サイクルの電圧を出力する発電コイルと、点火信号が与えられたときに発電コイルを電源として点火用の高電圧を発生する点火回路と、内燃機関の回転情報を得るために機関に取り付けられた信号発生装置に設けられて、内燃機関の特定のクランク角位置でパルス波形の第1の極性の信号及び第2の極性の信号を出力するパルサ(パルス信号発生装置)と、パルサが出力する第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して第1のパルス及び第2のパルスに変換する第1及び第2の波形整形回路と、第1のパルス及び第2のパルスを入力として第1のパルスの発生タイミングと第2のパルスの発生タイミングとの間で点火回路に与える点火信号の発生タイミングを制御する点火時期制御部とを備えていて、点火回路が発生する点火用の高電圧を機関の気筒に取り付けられた点火プラグに印加して、該点火プラグで火花放電を生じさせることにより、点火動作を行わせるようになっている。
【0003】
内燃機関に取り付けられる信号発生装置は、通常、回転方向に延びる円弧状の突起または凹部からなるリラクタ(誘導子)を備えて機関のクランク軸やカム軸に取り付けられるロータと、このロータのリラクタの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出してパルス波形の第1の極性の信号及び第2の極性の信号を発生するパルサとにより構成される。パルサはリラクタに対向し得る磁極部を先端に有する鉄心と、この鉄心に巻装された信号コイルと、鉄心に磁気結合された永久磁石とを備えていて、リラクタの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出したときに鉄心内で生じる磁束の変化により、信号コイルにパルス波形の第1の極性の(正極性または負極性の)信号と第2の極性の(負極性または正極性の)信号とを誘起させる。
【0004】
そして、機関の点火位置(点火動作が行われるときのクランク角位置)の最大進角位置または最大進角位置よりも更に進角した位置に設定された第1のクランク角位置に相当するタイミングで位相が進んだ方の第1の極性の信号が発生し、機関の始動時及び低速時の点火位置に相当する第2のクランク角位置に相当するタイミングで位相が遅れた方の第2の極性の信号が発生するように、パルサの取付位置が設定される。
【0005】
上記第1の極性の信号及び第2の極性の信号は、それぞれ第1及び第2の波形整形回路によりマイクロプロセッサに入力するのに適した波形の第1のパルス及び第2のパルスに変換される。
【0006】
点火時期制御部は、上記第1のパルス及び第2のパルスを入力として、第1のクランク角位置と第2のクランク角位置との間で、各種の制御条件に対して点火時期を変化させるように点火時期を演算し、演算した点火時期を検出したときに点火回路に点火信号を与える。
【0007】
この種の点火装置では、第1の極性の信号が発生するクランク角位置と第2の極性の信号が発生するクランク角位置との間の角度(リラクタの極弧角または周長)により点火時期の進角幅が決まる。
【0008】
また車両用の内燃機関においては、運転者の意に反して機関が逆転すると危険であるため、機関が正回転しているのか逆回転しているのかを判別して、万一機関が逆回転していることが検出されたときには直ちに点火動作が行われるのを禁止して機関の逆回転を防止する逆回転防止機能を点火装置に持たせることが行われている。
【0009】
内燃機関用点火装置に逆回転防止機能を持たせるため、特許文献1に示されている点火装置では、磁石発電機の出力とパルサが発生する信号との位相関係から機関が正回転しているか逆回転しているかを判別する手段を設けて、この手段により機関が逆回転していると判別されたときに点火動作を阻止することにより、機関の逆回転を防止するようにしている。
【0010】
この種の逆転防止機能を備えた点火装置では、内燃機関の正回転時には発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生し、内燃機関の逆回転時には発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生するようにパルサの出力と磁石発電機の出力との位相関係が設定される。また、発電コイルに誘起する交流電圧の他方の極性の半サイクルの期間オン状態を保持して、第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して得た第1のパルス及び第2のパルスの一方を点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチが設けられる。
【0011】
このように構成されていると、機関の正回転時には、発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間(パルス側路用スイッチがオフ状態にある期間)に第1のパルス及び第2のパルスが発生するため、第1のパルス及び第2のパルスの双方が点火時期制御部に供給される。このとき点火時期制御部は点火時期を演算し、演算した点火時期が検出されたときに点火回路に点火信号を与えて点火動作を正常に行わせる。
【0012】
これに対し、機関が逆回転しようとしたときには、発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間(パルス側路用スイッチがオン状態なる期間)に第1のパルス及び第2のパルスが発生するため、第1のパルス及び第2のパルスのいずれか一方が点火時期制御部から側路される。このとき点火時期制御部は点火信号を発生しないため、点火動作は行われず、機関は失火する。これにより機関の逆回転が防止される。
【0013】
また上記のように、内燃機関により駆動される磁石発電機内の発電コイルを電源として点火装置を駆動する場合には、該発電コイルの出力を制御回路の電源やバッテリの充電電源などとしても用いることが多い。機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発電コイルの出力は機関の回転速度の上昇に伴って高くなっていくため、上記のように発電コイルを点火電源以外の電源としても用いる場合には、発電コイルの出力が設定値を超えないようにするために、短絡式の電圧調整回路(レギュレータ)が設けられる。短絡式の電圧調整回路は、特許文献1にも示されているように、発電コイルの出力を短絡する短絡用スイッチと、発電コイルの出力が設定値を超えたときに該短絡用スイッチをオン状態にするスイッチ制御回路とを備えていて、発電コイルの出力が設定値を超えたときに短絡用スイッチをオン状態にして発電コイルを短絡することにより、発電コイルの出力を設定値付近に保つように構成されている。
【0014】
【特許文献1】
実公平3−11421号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
近年、排気ガス規制の面から、内燃機関としては2サイクル機関よりも4サイクル機関が多く用いられるようになっている。4サイクル機関では、2サイクル機関に比べて点火時期の進角幅を広くとることが必要とされる。
【0016】
2サイクル機関で必要とされる点火位置θi の回転速度Nに対する特性(点火特性)は、例えば図5の折れ線aに示す通りであり、最大進角位置はθi1であるが、4サイクル機関で必要とされる点火特性は同図の折れ線bのようになり、点火位置をθi1よりも更に進角したクランク角位置θi2まで進角させることが必要とされる。
【0017】
なお図5においてBTDC[°]は機関のピストンが上死点に達したときのクランク角位置(0°)に対して進角側の角度であることを示している。
【0018】
点火位置の進角幅を大きくするためには、信号発生装置のリラクタの極弧角を大きくすればよいが、前述のように、短絡式の電圧調整回路と、機関の逆回転を防止する手段とが設けられている場合には、以下に示す理由により、リラクタの極弧角を大きく設定することができないという問題があった。
【0019】
即ち、短絡式の電圧調整回路が設けられている場合には、電圧調整時に発電コイルから短絡用スイッチを通して流れる短絡電流による電機子反作用により、発電コイルの出力電圧の位相が遅れるため、リラクタの極弧角を大きくして第1の極性の信号の発生位置から第2の極性の信号の発生位置までの角度を大きくとると、電圧調整が行われる回転速度領域において、機関の正回転時に該発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間内に第1のパルス及び第2のパルスの双方を発生させることができなくなり、発電コイルの出力の他方の半サイクルの期間(パルス側路用スイッチがオン状態になる期間)の終期に第1のパルスが発生するようになって、該第1のパルスが点火時期制御部から側路されるため、機関が失火してしまう。このような事態が生じないようにするためには、短絡式の電圧調整回路により行われる電圧調整のために、発電コイルの出力の位相が遅れるようになった場合でも、発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間内に第1のパルス及び第2のパルスを発生させるように、信号発生装置のリラクタの極弧角を小さくしておかなければならなかった。
【0020】
そのため、従来のこの種の点火装置で得られる点火特性は図5の折れ線cのようになり、機関が要求する最大進角位置θi2よりもΔθだけ遅れた位置θi2’までしか点火位置を進角させることができないという問題があった。
【0021】
本発明の目的は、点火電源として用いる発電コイルの出力電圧を調整する短絡式の電圧調整回路を備え、発電コイルの出力とパルサの出力との位相関係から機関の回転方向を判別して機関の逆回転を防止する機能を備えた内燃機関用点火装置において、パルサが検出するリラクタの極弧角を従来よりも大きくして、点火位置の進角幅を広くとることができるようにすることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられて正負の半サイクルの電圧を出力する発電コイルと、点火信号が与えられたときに発電コイルを電源として点火用の高電圧を発生する点火回路と、内燃機関の正回転時には発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び該第1の極性の信号よりも位相が遅れた第2の極性の信号を出力し、内燃機関の逆回転時には発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号を出力するように設けられたパルサと、第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して第1のパルス及び第2のパルスに変換する第1及び第2の波形整形回路と、第1のパルス及び第2のパルスを入力として第1のパルスの発生タイミングと第2のパルスの発生タイミングとの間で点火回路に与える点火信号の発生タイミングを制御する点火時期制御部と、発電コイルに誘起する交流電圧の他方の極性の半サイクルの期間オン状態を保持して第1のパルス及び第2のパルスの一方を点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチと、発電コイルの出力電圧が設定値を超えたときに発電コイルを短絡する短絡用スイッチをオン状態にする電圧調整動作を行なうことにより発電コイルの出力電圧が設定値を超えないように調整する電圧調整回路とを備えた内燃機関用点火装置を対象とする。
【0023】
上記点火時期制御部は、第1の極性のパルス及び第2の極性のパルスの一方の入力が停止したときに点火信号の発生を停止するように構成されている。
【0024】
本発明においては、前記の目的を達成するため、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止し、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを許可する電圧調整動作許否手段と、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路用スイッチがオン状態になるのを許可し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止するパルス側路許否手段とを設けた。
【0025】
上記回転速度の設定値は、内燃機関が逆転するおそれがなく、かつ発電コイルの出力電圧の値が許容値を超えない範囲の値に設定される。
【0026】
上記のように構成すると、機関の回転速度が設定値以下の領域では、電圧調整動作が行われないため、発電機の電機子反作用により発電コイルの一方の半サイクルの期間が狭くなることはない。従って、パルサが検出するリラクタの極弧角を従来よりも大きく設定しても発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間に第1の極性のパルスと第2の極性のパルスとを発生させることができる。また機関の回転速度が設定値を超える領域では、パルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止するため、電圧調整により発電コイルの一方の半サイクルの期間が短くなっても、第1のパルス及び第2のパルスの一方が点火時期制御部に与えられなくなる事態が生じることはなく、機関の点火動作は正常に行われる。回転速度が設定値を超える領域でパルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止すると、逆回転防止機能が喪失するが、機関の回転速度が設定値を超える領域では、機関の回転方向が反転するおそれはないため、上記のように、パルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止して逆転防止機能を喪失させても何ら問題がない。
【0027】
本発明の好ましい態様では、上記電圧調整動作許否手段が、オン状態になったときに短絡用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられた短絡制御用スイッチ回路と、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間短絡制御用スイッチ回路をオン状態に保ち、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに短絡制御用スイッチ回路をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段とにより構成される。
【0028】
また、上記パルス側路許否手段は、オン状態になったときにパルス側路用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられたパルス側路制御用スイッチと、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路制御用スイッチをオフ状態に保持し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路制御用スイッチをオン状態にするようにパルス側路制御用スイッチを制御するパルス側路制御手段とにより構成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は本発明に係わる内燃機関用点火装置の構成例を示したもので、この例では、内燃機関が4サイクル単気筒機関であるとしている。同図において、1は内燃機関により駆動される磁石発電機である。本発明において、磁石発電機の極数は任意であるが、図示の磁石発電機は、4極の磁石回転子2と、4極の固定子3とからなっている。磁石回転子2は、カップ状に形成された回転子ヨーク(フライホイール)4と、回転子ヨーク4の周壁部の内周に固定された4個の円弧状の永久磁石M1ないしM4とからなっていて、機関のクランク軸に取り付けられている。また固定子3は、4個の突極部を90°間隔で有する電機子鉄心5と、電機子鉄心の4つの突極部にそれぞれ巻回された発電コイルW1〜W4とからなっていて、磁石回転子の内側に配置されて機関のケースなどに固定されている。
【0030】
本発明では、磁石発電機1に設けられた発電コイルを、後記するバッテリとともに、点火電源として用いる。図示の例では、磁石発電機の固定子に設けられた1つの発電コイルW1が点火装置に点火エネルギを与える点火電源として用いられる。発電コイルW1は、内燃機関の回転に同期して正負の半サイクルの電圧からなる交流電圧を出力する。
【0031】
なお図示の例では、1つの発電コイルW1を点火電源として用いているが、固定子に設けられる複数の発電コイルを点火電源としてもよい。
【0032】
本実施形態では、磁石発電機の回転子ヨーク4が信号発生装置のロータを兼ねていて、回転子ヨーク4の周壁部の外周に、該ヨークルの周方向に延びる円弧状の突起からなるリラクタ6が設けられている。
【0033】
回転子ヨーク4の側方にパルサ7が配置され、パルサ7と回転子ヨーク4により構成されたロータとにより信号発生装置が構成されている。パルサ7は、フライホイールの外周面とリラクタ6とに対向する磁極部を先端に有する鉄心7aと、鉄心7aに巻回された信号コイル7bと、鉄心7aに磁気結合された永久磁石(図示せず。)とからなる公知のものである。
【0034】
パルサ7は、リラクタ6の回転方向(図示の例では反時計方向)の前端側エッジ6a及び後端側エッジ6bをそれぞれ検出したときに、信号コイル7bからパルス波形の第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2を誘起する。
【0035】
第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2は互いに極性が異なるパルス波形の信号であればよいが、本実施形態では、図2(H)に示したように、第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2がそれぞれ負極性及び正極性の信号であるとする。
【0036】
本実施形態では、内燃機関が正回転しているときに、第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2が、発電コイルW1の正の半サイクル(一方の極性の半サイクル)の期間に発生し、機関が逆回転しているときに第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2が、発電コイルW1の負の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間に発生するように、パルサ7の取付位置が設定されている。図1において10は、発電コイルW1の出力を直流出力に変換するAC/DCコンバータ回路である。図示のAC/DCコンバータ回路は、ダイオードD1ないしD4をブリッジ接続してなるダイオードブリッジ全波整流回路を備え、この整流回路のブリッジの下辺を構成するダイオードD3及びD4にそれぞれ短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2が逆並列接続されている。サイリスタS1及びS2のゲートはそれぞれ抵抗R1及びR2を通してPNPトランジスタTR1のコレクタに接続され、トランジスタTR1のエミッタは発電コイルW1の一端及び他端にそれぞれアノードが接続されたダイオードD5及びD6のカソードに接続されている。
【0037】
またトランジスタTR1のエミッタ・ベース間に抵抗R3が接続され、トランジスタTR1のベースと接地間に抵抗R4を通してツェナーダイオードZD1が接続されている。この例では、トランジスタTR1により短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2へのトリガ信号の供給を制御するトリガ制御用スイッチが構成され、このトリガ制御用スイッチと、抵抗R3及びR4とツェナーダイオードZD1とにより、発電コイルW1の出力電圧が設定値を超えたときにトリガ制御用スイッチをオン状態にして短絡用スイッチ(サイリスタS1及びS2)にトリガ信号を供給する短絡用スイッチ制御回路が構成されている。
【0038】
図示のAC/DCコンバータ回路10においては、ダイオードD1ないしD4からなる整流回路により発電コイルW1の出力が整流され、この整流出力がバッテリ11に印加される。発電コイルW1の出力電圧が設定値を超えると、ツェナーダイオードZD1がオン状態になるため、トランジスタTR1にベース電流が流れてこのトランジスタが導通し、サイリスタS1及びS2にトリガ信号が与えられるため、サイリスタS1及びS2の内、アノードカソード間に順方向電圧が印加されているサイリスタがオン状態になる。サイリスタS1またはS2がオン状態になると、オン状態になったサイリスタとダイオードD4またはD3とにより発電コイルを短絡する短絡回路が構成され、この短絡回路により発電コイルの出力が短絡されるため、発電コイルの出力電圧が低下する。発電コイルの出力電圧が設定値以下になると、ツェナーダイオードZD1がオフ状態になり、トランジスタTR1にベース電流が流れなくなる。これにより、トランジスタTR1がオフ状態になり、サイリスタS1及びS2へのトリガ信号の供給が停止する。従ってサイリスタS1およびS2はそれぞれを流れているアノード電流が保持電流未満になった時点でオフ状態なり、発電コイルW1の短絡が解除される。これにより発電コイルの出力電圧が再び上昇していく。これらの動作の繰り返しにより、バッテリ11に印加される電圧が設定値付近の値に保たれる。
【0039】
本実施形態では、点火回路12としてコンデンサ放電式の回路が用いられている。図示の点火回路12は、一次コイル及び二次コイルの一端が接地された点火コイルIGと、点火コイルの一次コイルの非接地側の端子に一端が接続された点火用コンデンサCiと、オン状態になったときに点火用コンデンサCiに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるように、点火用コンデンサの他端と接地間に接続された放電用サイリスタSiと、カソードを接地側に向けて点火コイルの一次コイルの両端に並列接続されたダイオードD7と、バッテリ11の電圧を二百数十ボルトの電圧まで昇圧するDC/DCコンバータからなる点火コンデンサ充電用電源回路12Aとを備え、電源回路12Aの出力がダイオードD8を通して点火用コンデンサCiと点火コイルIGの一次コイルとの直列回路の両端に印加されている。
【0040】
また点火コイルIGの二次コイルの非接地側端子が、内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグPLの非接地側端子に高圧コードを通して接続され、機関の点火時期に点火コイルの二次コイルに誘起した高電圧が点火プラグPLに印加されるようになっている。
【0041】
図示の点火回路においては、電源回路12の出力電圧によりダイオードD8と点火コイルの一次コイル及びダイオードD7とを通して点火用コンデンサCiが図示の極性に充電される。後記する点火時期制御部からサイリスタSiのゲートに点火信号Viが与えられると、サイリスタSiがオン状態になるため、点火用コンデンサCiに蓄積された電荷がサイリスタSiと点火コイルIGの一次コイルとを通して放電する。これにより点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧が誘起するため、点火プラグPLで火花放電が生じ、機関が点火される。
【0042】
なおこの例では、点火回路としてコンデンサ放電式の回路を用いているが、点火回路は、点火信号が与えられたときに発電コイルW1を電源として点火用の高電圧を発生する回路であればよく、電流遮断形の点火回路など、他の形式の点火回路を用いてもよい。
【0043】
内燃機関の点火時期を制御するため、パルサ7の出力を入力として第1の極性の信号Vs1の発生タイミングと第2の極性の信号Vs2の発生タイミングとの間で点火回路12に与える点火信号Viの発生タイミングを制御する点火時期制御部が設けられる。本実施形態では、この点火時期制御部が、CPU,ROM,RAMなどを備えたマイクロプロセッサ13により構成されている。
【0044】
またパルサ7が出力する第1の極性の信号Vs1が、カソードをパルサ側に向けたダイオードD9を通して第1の波形整形回路14に入力され、パルサ7が出力する第2の極性の信号Vs2が、ダイオードD9と逆方向のダイオードD10を通して第2の波形整形回路15に入力されている。
【0045】
波形整形回路14及び15はそれぞれ第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2をマイクロプロセッサが認識し得る波形(図示の例では立上がりが速いパルス波形)の第1及び第2のパルスVp1及びVp2に変換する回路からなっていて、これらのパルスVp1及びVp2がそれぞれ抵抗R6及びR7を通してマイクロプロセッサ13の割込入力ボートINTP1及びINTP2に割込信号として入力されている。
【0046】
またバッテリ11の電圧を一定の直流電圧に変換する電源回路16が設けられ、この電源回路の出力がマイクロプロセッサ13の電源端子13aに印加されている。
【0047】
マイクロプロセッサ13は、パルサ7の出力を割込信号として入力として、パルサが出力するパルスの発生間隔から機関の回転速度を演算するとともに、演算した回転速度に対して機関の点火時期を演算する。この点火時期は、現在の速度で第1の極性の信号Vs1が発生するクランク角位置(基準位置)から点火時期に相当するクランク角位置(点火位置)まで機関が回転するのに要する時間の形で演算される。そして、第1の極性の信号Vs1が発生するタイミング(割込入力端子INTP1に割込信号が入力されるタイミング)で点火タイマをスタートさせることにより演算した点火時期の計測を開始し、演算された点火時期が計測されたときに(点火時期が検出されたときに)マイクロプロセッサのポートPoから点火信号Viを発生させる。この点火信号は抵抗R8とダイオードD11とを通して点火回路のサイリスタSiのゲートに与えられる。
【0048】
本実施形態ではまた、発電コイルW1に誘起する交流電圧の負の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間オン状態を保持して第1のパルスVp1及び第2のパルスVp2の一方を点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチ17Aを備えた逆転防止回路17が設けられている。図示の例では、エミッタが接地されたNPNトランジスタTR2によりパルス側路用スイッチ17Aが構成され、このトランジスタTR2のコレクタが第1の波形整形回路14の出力端子に接続されている。トランジスタTR2のベースと電源回路16の出力端子との間及びトランジスタTR2のベースと接地間にそれぞれ抵抗R9及びR10が接続され、トランジスタTR2のベースと発電コイルW1の一端との間にアノードをトランジスタTR2側に向けたダイオードD12が接続されている。
【0049】
前述のように、本実施形態においては、内燃機関が正回転しているときに、発電コイルW1の出力の負の極性の半サイクル(一方の極性の半サイクル)の期間において第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生し、内燃機関が逆回転しているときには、発電コイルW1の出力の正の極性の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間に第1の極性の信号及び第2の極性の信号が発生するようにパルサ7が設けられている。
【0050】
発電コイルW1の出力の負の極性の半サイクルにおいては、図示の逆転防止回路17のトランジスタTR2に抵抗R9を通して与えられるベース電流がダイオードD12と発電コイルW1とを通してトランジスタTR2から側路されるため、トランジスタTR2がオフ状態に保持される。このとき波形整形回路14から出力される第1のパルスVp1はマイクロプロセッサ13に与えられる。この状態では、マイクロプロセッサ13に第1及び第2のパルスVp1及びVp2の双方が与えられるため、マイクロプロセッサは機関が正回転していると判定して点火時期の演算を行い、演算した点火時期が検出されたときに点火回路12に点火信号を与える。従って、機関の正回転時には点火動作が正常に行われ、機関が正常に運転される。
【0051】
発電コイルW1の出力の正の極性の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の期間においては、ダイオードD12が逆バイアスされ、電源回路16から抵抗R9を通してトランジスタTR2にベース電流が与えられるため、該トランジスタTR2がオン状態になり、波形整形回路14の出力をマイクロプロセッサ13から側路する。この状態では、マイクロプロセッサ13に第1のパルスVp1が与えられないため、マイクロプロセッサは機関が逆回転していると判定して点火時期の演算を停止し、点火信号の発生を行わない。従って機関の逆回転時には点火動作が行われず、機関が失火させられるため、機関の逆回転が阻止される。
【0052】
本発明においては、更に電圧調整動作許否手段と、パルサ側路許否手段とが設けられる。
【0053】
電圧調整動作許否手段は、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止し、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを許可する手段で、本実施形態では、オン状態になったときに電圧調整回路の短絡用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられた短絡制御用スイッチ回路21と、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間短絡制御用スイッチ回路21をオン状態に保ち、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに短絡制御用スイッチ回路21をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段とにより構成される。図示の例では、トランジスタTR1のエミッタ及びベースにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタTR3と、トランジスタTR3のエミッタベース間に接続された抵抗R11と、トランジスタTR3のベースにコレクタが接続されるとともにエミッタが接地されたNPNトランジスタTR4と、トランジスタTR4のベースエミッタ間に接続された抵抗R12と、トランジスタTR4のベースとマイクロプロセッサ13のポートP1との間に接続された抵抗R13と、ポートP1と電源回路16の出力端子との間に接続された抵抗R14とにより短絡制御用スイッチ回路21が構成されている。
【0054】
内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間短絡制御用スイッチ回路21をオン状態に保ち、内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに短絡制御用スイッチ回路21をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段は、マイクロプロセッサ13に所定のプログラムを実行させることにより実現される。この短絡制御用スイッチ制御手段は、内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間ポートP1の電位をHレベルに保持し、回転速度が設定値を超えたときにポートP1の電位をLレベルにするように構成される。
【0055】
パルサ側路許否手段は、オン状態になったときにパルス側路用スイッチ17Aがオン状態になるのを阻止するように設けられたパルス側路制御用スイッチ22と、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路制御用スイッチ22をオフ状態に保持し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路制御用スイッチ22をオン状態にするようにパルス側路制御用スイッチ22を回転速度に応じて制御するパルス側路制御手段とにより構成される。
【0056】
図示の例では、エミッタが接地され、コレクタがトランジスタTR2のベースに接続されたNPNトランジスタTR5と、このトランジスタのベースエミッタ間に接続された抵抗R15と、トランジスタTR5のベースとマイクロプロセッサのポートP2との間に接続された抵抗R16と、ポートP2と接地間に接続された抵抗R17とによりパルス側路制御用スイッチ22が構成されている。内燃機関の回転速度が設定値以下のときにパルス側路制御用スイッチ22をオフ状態に保持し、回転速度が設定値を超えたときにパルス側路制御用スイッチ22をオン状態にするようにパルス側路制御用スイッチ22を回転速度に応じて制御するパルス側路制御手段は、マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより実現される。このパルス側路制御手段は、内燃機関の回転速度が設定値以下のときにマイクロプロセッサのポートP2の電位をLレベルに保持し、回転速度が設定値を超えたときにポートP2の電位をHレベルにするように構成される。
【0057】
本実施形態の点火装置において、パルサが第1の極性の信号Vs1を発生して第1の波形整形回路14からマイクロプロセッサ13に第1のパルスVp1が与えられたとき、及びパルサが第2の極性の信号Vs2を発生して第2の波形整形回路15からマイクロプロセッサ13に第2のパルスVp2が与えられたときにそれぞれマイクロプロセッサ13に実行させるプログラムのアルゴリズムの要部を示すフローチャートを図3及び図4に示した。
【0058】
図3は、マイクロプロセッサの割込入力ポートINTP1に第1のパルスVp1が与えられたときに実行される割込ルーチンを示したもので、このルーチンでは、ステップ1において今回入力された第1のパルスVp1が正規の割込信号であるか否か(例えばノイズ信号でない正規の信号であるか否か)を判定する。その結果今回入力された第1のパルスが正規の割込信号であると判定された場合には、ステップ2に進んで前回第1のパルスVp1が入力されてから今回第1のパルスVp1が入力されるまでの時間(タイマの計測値)を読み込み、この時間(クランク軸が1回転するのに要した時間)から機関の回転速度を検出する。その後、ステップ3に進んで、今回の割込タイミングが点火時期の計測を開始するタイミングであるか否かの判断や、点火時期を計測するための計測値を点火タイマにセットする処理(今回の割込タイミングが点火時期の計測を開始するタイミングである場合)などの必要な処理を行った後、このルーチンを終了する。
【0059】
ステップ1で、今回入力された第1のパルスが正規の割込信号でないと判定された場合、例えばノイズによりパルスVp1が続けて入力された場合には、ステップ4に進んで回転速度を0r/minと認識してこのルーチンを終了する。この図3の割込ルーチンにより回転速度検出手段が構成される。
【0060】
図4は、マイクロプロセッサの割込入力ポートINTP2に第2のパルスVp2が入力されたときに実行される割込ルーチンを示したもので、このルーチンでは、先ずステップ1において今回の第2のパルスVp2が正規の割込信号であるか否かを判定し、正規の割込信号でない場合には、何もしないでこのルーチンを終了する。ステップ1で今回入力された第2のパルスが正規の割込信号であると判定されたときには、ステップ2に進んで、図3のルーチンで検出された回転速度Nが設定値N1を超えているか否かを判定する。その結果、回転速度Nが設定値N1を超えていないと判定されたときには、マイクロプロセッサのポートP1の電位をHレベルとし、ポートP2の電位をLレベルとしてこのルーチンを終了する。ステップ2において回転速度Nが設定値N1を超えていると判定されたときには、ステップ4に進んでマイクロプロセッサのポートP1の電位をLレベルとし、ポートP2の電位をHレベルとしてこのルーチンを終了する。
【0061】
回転速度の設定値N1は、内燃機関が逆転するおそれがなく、かつ発電コイルの出力電圧の値が許容値を超えない範囲の値(例えば2000r/min)に設定される。
【0062】
この例では、図4のステップ2とステップ3及び4のポートP1の電位を設定いする過程とにより短絡制御用スイッチ制御手段が構成され、この短絡制御用スイッチ制御手段と図1に示した短絡制御用スイッチ回路21とにより、電圧調整動作許否手段が構成される。
【0063】
また図4のステップ2とステップ3及び4のポートP2の電位を設定する過程とによりパルス側路制御手段が構成され、このパルス側路制御手段と、図1のパルス側路制御用スイッチ22とにより、パルサ側路許否手段が構成される。
【0064】
本実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートを図2に示した。
【0065】
図2において、実線で示した波形は本実施形態による場合の波形を示し、破線で示した波形は、図1において、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合(従来の点火装置と同様の構成をとった場合)の波形を示している。
【0066】
図2(A)は本発明の実施形態においてAC/DCコンバータ回路10の整流回路の出力端子間に得られる電圧Vo の波形を示し、図2(B)は図1に示した例において、短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない場合にAC/DCコンバータ回路10の整流回路の出力端子間に得られる電圧Vo ’の波形を示している。
【0067】
また図2(C)は、本発明の実施形態において、パルス側路制御用スイッチ22が設けられていないとした場合に、トランジスタTR2のベースエミッタ間に印加される電圧Vbeの波形を示している。トランジスタTR2は、電圧VbeがHレベルにある期間(発電コイルの出力の正極性の半サイクルの期間)導通状態を保持して波形整形回路14から出力される第1のパルスVp1をマイクロプロセッサ13から側路して、該第1のパルスがマイクロプロセッサ13に入力されるのを禁止する。
【0068】
図2(D)は、図1において短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22の双方が設けられていないとした場合に、トランジスタTR2のベースエミッタ間に印加される電圧Vbe’の波形を示している。
【0069】
図2(E)は、マイクロプロセッサのポートP1の電位V1を示し、図2(F)は本発明の実施形態において(短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられている場合に)トランジスタTR2のベースエミッタ間に印加される電圧VBEの波形を示している。
【0070】
更に図2(G)は、マイクロプロセッサのポートP2の電位V2を示し、図2(H)はパルサ7が出力する第1の極性及び第2の極性の信号の波形を示している。
【0071】
また図2(I)は、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合にマイクロプロセッサの割込み入力ポートINTP1に入力される第1のパルスVp1’を示し、図2(J)は、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合にマイクロプロセッサの割込み入力ポートINTP2に入力される第2のパルスVp2’を示している。
【0072】
更に図2(K)は、短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられている本発明の実施形態において、マイクロプロセッサの割込み入力ポートINTP1に入力される第1のパルスVp1を示し、図2(L)は、本発明の実施形態においてマイクロプロセッサの割込入力ポートINTP2に入力される第2のパルスVp2を示している。
【0073】
また図2(M)は短絡制御用スイッチ回路21及びパルス側路制御用スイッチ22が設けられていない場合にマイクロプロセッサのポートPo から点火回路12に与えられる点火信号Vi’を示し、図2(N)は本発明の実施形態においてマイクロプロセッサのポートPo から点火回路12に与えられる点火信号Viを示している。
【0074】
以下、図2を参照して本実施形態の動作を説明する。図2(A)は、内燃機関を始動させた後その回転速度が上昇していく過程で発電コイルW1が、クランク軸の1回転当たり2サイクルずつ発生する交流電圧の整流後の波形(機関の正回転時の波形)を示したもので、同図においてVosは電圧調整回路の短絡用スイッチS1,S2がオン状態になるときの電圧値(発電コイルの出力電圧の設定値)を示している。図2に示した例では、同図(A)の左端に示された最初の1山の半サイクルが発電コイルW1の出力電圧の負の極性の半サイクル(第1の極性の半サイクル)に相応している。
【0075】
機関の正回転時には、発電コイルW1の出力の第1の極性の半サイクルの期間に、図2(H)に示すようにパルサ7が第1の極性の信号Vs1及び第2の極性の信号Vs2を発生する。
【0076】
図2に示した例では、機関を始動した後、時刻ta において機関の回転速度Nが設定値N1を超えている。短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない場合には、図2(B)に示したように、機関の回転速度Nが設定値N1に達する前の状態でも、図示の時刻t1 以降の状態のように、発電コイルW1の出力電圧が設定値Vosを超えるようになると、発電コイルの出力電圧が設定値Vosを超えた時点で短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2がオン状態になって発電コイルW1を短絡する電圧調整動作を行う。このように電圧調整動作が行われているときには、発電コイルの整流後の出力波形は、図2(B)の時刻ta 以降の波形のように、発電コイルの出力の一部を短絡した波形になる。電圧調整動作が行われて発電コイルW1に短絡電流が流れると、発電機に大きな電機子反作用が生じるため、発電コイルW1の出力電圧に位相遅れが生じ、パルサ7が第1の極性の信号を発生するタイミングに発電コイルW1の出力の正の半サイクルの期間がかかるようになる。そのため、短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない場合には、電圧調整動作が開始される時刻ta 以降の期間において、図2(D)に示したように、トランジスタTR2のベースエミッタ間の電圧Vbe’がHレベルからLレベルに立下がるタイミングが遅れ、電圧Vbe’がHレベルになっている期間(パルス側路用スイッチ17Aがオン状態を保持する期間)の終期に第1の極性の信号Vs1が発生する状態になる。この状態では、第1のパルスVp1がマイクロプロセッサ13に入力されないため、図3の割込みルーチンは実行されず、点火動作は行なわれない。そのため、短絡制御用スイッチ回路21が設けられていない従来の点火装置においては、リラクタの極弧角を大きくして第1のパルスVp1の発生位置と第2のパルスVp2の発生位置との間の角度を大きく設定すると、機関の正回転時に電圧調整動作が開始されたときに機関が失火し、停止してしまう。これを避けるためには、リラクタの極弧角を発電コイルの出力の半サイクルの期間に相当する角度よりも小さくする必要があり、点火位置の進角幅を大きくとることができない。
【0077】
これに対し、本発明のように、短絡制御用スイッチ回路21が設けられている場合には、回転速度Nが設定値N1を超えるまでは電圧調整動作が行われないため、発電コイルの出力に位相遅れが生じることがなく、トランジスタTR2のベースエミッタ間電圧VbeがLレベルに立下がるタイミングが遅れることがない。従って、第1のパルスVp1の発生位置から第2のパルスVp2の発生位置までの角度を、発電コイルの出力の半サイクルの期間に相当する角度に近い大きさにまで拡大するようにリラクタの極弧角を設定した場合でも、発電コイルの出力の一方の半サイクルの期間内に第1のパルス及び第2のパルスの双方を発生させることができ、図2(K)及び(L)に示すように、第1のパルス及び第2のパルスを点火時期制御部に入力することができるため、回転速度がN1までの領域で機関が失火する状態が生じることはない。
【0078】
また機関の回転速度Nが設定値N1を超える領域では、パルス側路用スイッチがオン状態になるのが禁止され、点火時期制御部に与えられる第1及び第2のパルスが点火時期制御部から側路されることがなくなるため、リラクタの極弧角を大きく設定しても点火動作は正常に行われる。回転速度が設定値N1を超える領域では、内燃機関が逆回転するおそれはないため、回転速度が設定値N1を超える領域で逆回転防止機能を喪失させても何ら問題がない。
【0079】
上記の実施形態では、図2(M)に示されたように、クランク軸が1回転する毎に所定のタイミングで点火信号Viを発生させている。4サイクル機関においては、クランク軸の2回転当たりに1回点火時期が到来するので、上記のように構成した場合には、点火時期でないタイミングで点火プラグに生じる火花が無駄火となるが、機関の動作には支障を来さない。
【0080】
なお本発明は、上記のように、機関が1回転する毎に点火動作を行わせる場合に限定されるものではなく、クランク軸が2回転する間に1回信号を発生するカム軸センサ等を用いて点火を行わせる回転区間を検出し、正規の点火時期にのみ点火信号を発生させるように点火時期制御部を構成する場合にも、本発明を適用することができる。
【0081】
上記の実施形態では、電圧調整動作を停止させるために、トランジスタTR1がオン状態になるのを阻止することにより、短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2の導通を阻止するように短絡制御用スイッチ回路21が設けられているが、短絡用スイッチを構成するサイリスタS1及びS2に与えられるトリガ信号をサイリスタS1及びS2から側路することにより、両サイリスタの導通を阻止するように、短絡制御用スイッチ回路21を設けるようにしてもよい。例えば、図1に示された回路において、トランジスタTR3及び抵抗R11を省略して、トランジスタTR4のコレクタをトランジスタTR1のコレクタに接続するようにしてもよい。
【0082】
上記の実施形態では、第1のパルスVp1をマイクロプロセッサ13(点火時期制御部)から側路するようにパルス側路用スイッチ17Aを設けているが、マイクロプロセッサに実行させるプログラムによっては、第2のパルスVp2をマイクロプロセッサ13から側路するようにパルス側路用スイッチ17Aを設けるようにしてもよい。
【0083】
上記の実施形態では、4極の磁石発電機が用いられているが、8極などの更に多極の磁石発電機を用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0084】
上記の実施形態では、内燃機関が単気筒であるとしたが、2気筒以上の多気筒内燃機関を点火する内燃機関用点火装置にも本発明を適用することができる。
【0085】
多気筒内燃機関用の点火装置としては、1つのパルサを用いて多気筒の点火時期を制御する場合と、複数のパルサを用いて多気筒の点火時期を制御する場合とがある。複数のパルサを用いる場合には、いずれか1つのパルサの出力信号と発電機の出力との位相関係から機関の回転方向を判別して、機関の逆回転が検出されたときに該1つのパルサの出力を波形整形して得た第1及び第2のパルスの一方を点火時期制御部から側路するように構成すればよい。
【0086】
上記の実施形態では、発電コイルとして単相の発電コイルを用いているが、3相の発電コイルが用いられる場合にも本発明を適用することができる。3相の発電コイルを用いる場合には、いずれか1相の出力とパルサの出力信号との位相関係から機関の回転方向の判別が行われる。
【0087】
上記の例では、発電コイルの出力とバッテリとの双方から点火エネルギを得るように点火回路を構成しているが、発電コイルのみから点火エネルギを得るように点火回路が構成される場合にも本発明を適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発電コイルの出力とパルサが出力する信号との位相関係から機関の回転方向を判別して、点火装置に機関の逆回転を防止する機能を持たせる場合に、発電コイルの出力電圧の調整を行う短絡式の電圧調整回路の動作の影響を受けることなく、パルサが検出するリラクタの極弧角を、発電コイルの出力の半サイクルの期間に相当する角度に近い大きさまで拡大することができるため、点火位置の進角幅を大きくすることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる内燃機関用点火装置の構成例を示した回路図である。
【図2】図1の点火装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】図1の点火装置において、点火時期制御部の割込入力ポートに第1のパルスが入力されたときに実行される割込ルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図4】図1の点火装置において、点火時期制御部に割込入力ポートに第2のパルスが入力されたときに実行される割込ルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図5】2サイクル内燃機関で必要とされる点火特性と、4サイクル内燃機関で必要とされる点火特性とを比較して示したグラフである。
【符号の説明】
1:磁石発電機、6:リラクタ、7:パルサ、10:AC/DCコンバータ回路、12:点火回路、13:マイクロプロセッサ、14:第1の波形整形回路、15:第2の波形整形回路、17:逆転防止回路、17A:パルス側路用スイッチ、21:短絡制御用スイッチ回路、22:パルス側路制御用スイッチ、W1:発電コイル、S1,S2:サイリスタ(短絡用スイッチ)。
Claims (2)
- 内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられて正負の半サイクルの電圧を出力する発電コイルと、点火信号が与えられたときに前記発電コイルを電源として点火用の高電圧を発生する点火回路と、前記内燃機関の正回転時には前記発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号と該第1の極性の信号よりも発生タイミングが遅れた第2の極性の信号とを出力し、前記内燃機関の逆回転時には前記発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に前記第1の極性の信号び第2の極性の信号を出力するように設けられたパルサと、前記第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して第1のパルス及び第2のパルスに変換する第1及び第2の波形整形回路と、前記第1のパルス及び第2のパルスを入力として前記第1のパルスの発生タイミングと第2のパルスの発生タイミングとの間で前記点火回路に与える点火信号の発生タイミングを制御する点火時期制御部と、前記発電コイルに誘起する交流電圧の他方の極性の半サイクルの期間オン状態を保持して前記第1のパルス及び第2のパルスの一方を前記点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチと、前記発電コイルの出力電圧が設定値を超えたときに前記発電コイルを短絡する短絡用スイッチをオン状態にする電圧調整動作を行なうことにより前記発電コイルの出力電圧が設定値を超えないように調整する電圧調整回路とを備え、前記点火時期制御部は、前記第1のパルス及び第2のパルスの一方の入力が停止したときに前記点火信号の発生を停止するように構成されている内燃機関用点火装置において、
前記内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間前記電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを禁止し、前記内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに前記電圧調整回路が電圧調整動作を行なうのを許可する電圧調整動作許否手段と、前記内燃機関の回転速度が設定値以下のときに前記パルス側路用スイッチがオン状態になるのを許可し、前記回転速度が設定値を超えたときに前記パルス側路用スイッチがオン状態になるのを禁止するパルス側路許否手段とを具備し、
前記回転速度の設定値は、前記内燃機関が逆転するおそれがなく、かつ前記発電コイルの出力電圧の値が許容値を超えない範囲の値に設定されていること、
を特徴とする内燃機関用点火装置。 - 内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられて正負の半サイクルの電圧を出力する発電コイルと、点火信号が与えられたときに前記発電コイルを電源として点火用の高電圧を発生する点火回路と、前記内燃機関の正回転時には前記発電コイルが一方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に第1の極性の信号と該第1の極性の信号よりも発生タイミングが遅れた第2の極性の信号とを出力し、前記内燃機関の逆回転時には前記発電コイルが他方の極性の半サイクルの電圧を出力している期間に前記第1の極性の信号及び第2の極性の信号を出力するように設けられたパルサと、前記第1の極性の信号及び第2の極性の信号をそれぞれ波形整形して第1のパルス及び第2のパルスに変換する第1及び第2の波形整形回路と、前記第1のパルス及び第2のパルスを入力として前記第1のパルスの発生タイミングと第2のパルスの発生タイミングとの間で前記点火回路に与える点火信号の発生タイミングを制御する点火時期制御部と、前記発電コイルに誘起する交流電圧の他方の極性の半サイクルの期間オン状態を保持して前記第1のパルス及び第2のパルスの一方を前記点火時期制御部から側路するパルス側路用スイッチと、前記発電コイルの出力電圧が設定値を超えたときに前記発電コイルを短絡する短絡用スイッチをオン状態にする電圧調整動作を行なうことにより前記発電コイルの出力電圧が設定値を超えないように調整する電圧調整回路とを備え、前記点火時期制御部は、前記第1のパルス及び第2のパルスの一方の入力が停止したときに前記点火信号の発生を停止するように構成されている内燃機関用点火装置において、
オン状態になったときに前記短絡用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられた短絡制御用スイッチ回路と、
前記内燃機関の回転速度が設定値に達するまでの間前記短絡制御用スイッチ回路をオン状態に保ち、前記内燃機関の回転速度が設定値を超えたときに前記短絡制御用スイッチ回路をオフ状態に保つように制御する短絡制御用スイッチ制御手段と、
オン状態になったときに前記パルス側路用スイッチがオン状態になるのを阻止するように設けられたパルス側路制御用スイッチと、
前記内燃機関の回転速度が設定値以下のときに前記パルス側路制御用スイッチをオフ状態に保持し、前記回転速度が設定値を超えたときに前記パルス側路制御用スイッチをオン状態にするように前記パルス側路制御用スイッチを制御するパルス側路制御手段と、
を具備し、
前記回転速度の設定値は、前記内燃機関が逆転するおそれがなく、かつ前記発電コイルの出力電圧の値が許容値を超えない範囲の値に設定されていること、
を特徴とする内燃機関用点火装置。
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2002
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