JP2004175472A - 線状体の巻取り装置及び巻取り方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバ等の線状体を安定した状態で巻取ることができる、簡単な構成の巻取り装置及び巻取り方法を提供する。
【解決手段】線状体の巻取り装置は、キャプスタン11、ガイドローラ12、ダンサ部ガイドローラ13、ダンサローラ14、巻取りトラバースローラ19、ダンサアーム16、アーム支点15、調整ウェイト17、張力測定装置20、巻取りボビン22から構成される。線状体の張力は、張力測定装置20により常時監視されており、光ファイバの巻取り速度が上昇して、巻取り張力が大となった場合、制御装置21は設定された張力値と比較し、制御信号をリニアシリンダ機構18に出力し、調整ウェイト17をアーム支点15から離れるように移動する。逆に、巻取り張力が小となった場合、調整ウェイト17をアーム支点15に近づくように所定位置に移動する。
【選択図】 図1
【解決手段】線状体の巻取り装置は、キャプスタン11、ガイドローラ12、ダンサ部ガイドローラ13、ダンサローラ14、巻取りトラバースローラ19、ダンサアーム16、アーム支点15、調整ウェイト17、張力測定装置20、巻取りボビン22から構成される。線状体の張力は、張力測定装置20により常時監視されており、光ファイバの巻取り速度が上昇して、巻取り張力が大となった場合、制御装置21は設定された張力値と比較し、制御信号をリニアシリンダ機構18に出力し、調整ウェイト17をアーム支点15から離れるように移動する。逆に、巻取り張力が小となった場合、調整ウェイト17をアーム支点15に近づくように所定位置に移動する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の線状体を巻取る線状体の巻取り装置及び巻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ等の線状体を製造するには、線引機を用い、光ファイバ母材から光ファイバ素線を線引きし、被覆を施した後、抗張力のテストをし、巻取りボビンに巻取っている。線状体が光ファイバの場合、単一の光ファイバ母材から数100km程度の光ファイバが連続して製造されるが、途中において製造を休止することができないため、製造された光ファイバを連続して高速に巻取る必要がある。
【0003】
線状体を高速で巻取る場合、低速で巻取る場合に比べて種々の問題がある。特に、光ファイバのような線状体を高速で巻取る場合には、巻取り張力が巻取り経路で通過するガイドローラ等のベアリング部の回転抵抗の増大、空気抵抗の増大等により大きくなりやすく、ボビンに巻取られた光ファイバが相互に圧迫されて、光ファイバの伝送損失が増加する。
【0004】
図8は、従来例1の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である(特許文献1参照)。従来例1の線状体の巻取り装置は、線状体111をガイドするガイドローラ112と、ガイドローラ112の鉛直方向に設けられたスクリーニング張力付加用ダンサローラ113とが設けられている。ダンサローラ113はダンサローラアーム回転用軸受け114に設けられたダンサローラ軸115を中心としてアーム116を介して回転自在とされ、該アーム116の軸方向に移動自在のウェイト117を所定位置に配して線状体に張力を与えている。
【0005】
従来例1の巻取り装置は、線状体111の巻取りボビン119への巻取り張力を一定に保つため、及び線状体が巻取られる巻取りボビン119上で巻太りに対する制御のためにダンサローラ113を用いている。このダンサローラ113は線状体111の走行前にあらかじめウェイト117を所定位置に設定することで、線状体111に掛かる張力を設定し、線状体111の走行中においてはその巻取り張力を可変にして連続的に制御することなく巻取りを行っている。
【0006】
また、図9は、従来例2の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である(特許文献1参照)。従来例2の線状体の巻取り装置は、従来例1の巻取り装置と同様に、線状体211をガイドするガイドローラ212と、このガイドローラ212の鉛直方向に張力付加用ダンサローラ213が設けられている。このダンサローラ213はトルクモータ221の回転軸と同軸に設けられたダンサローラ軸215を中心としてアーム216を介して回動自在とされる。トルクモータ221によってダンサローラ213のダンサローラ軸215にトルクを発生させ、巻取り途中においても当該ダンサローラ213に所定のモーメントを与えて上下動させ、ダンサローラのアーム回転軸回転角検出器218で検出しつつ線状体211に張力を付与している。
【0007】
従来例2の線状体の巻取り装置は、走行中の線状体211の張力を張力検出器222により測定し、その張力値を張力制御装置223にフィードバックし、アームのダンサローラ軸に設けられたトルクモータ221を制御することにより、常に走行中の線状体211の張力を、一定または任意に制御できるものである。
【0008】
また、図10は、従来例3の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である(特許文献2参照)。
従来例3の線状体の巻取り装置では、光ファイバ302は、キャプスタン301で一定速度で引取られ、巻取り速度を制御するためのダンサローラ306、巻取り方向に駆動する巻取り張力緩和装置310を介して巻取り機303に装着されたボビン304に巻取られるようになっている。
【0009】
ダンサローラ306には、ローラ位置を検出する検出器307と、ダンサローラ306を摺動させるのに十分な大きな張力を与える重り308が設けられている。検出器307の信号は制御装置309を介して巻取りモータ305にフィードバックされ、これによって巻取り速度が制御されている。
【0010】
巻取り張力緩和装置310は、スピードコントロールモータ311、伝達トルクを外部から調整可能なクラッチ312、光ファイバにエネルギーを付与するホイール313、伝達トルク調整用ボリューム314とによって構成されている。
【0011】
従来例3の線状体の巻取り装置によれば、巻取り点での光ファイバの張力を低くし、しかも巻取り張力の大きさを自由に設定することが可能になるので、巻取った光ファイバに加わる圧力が小さくなり、1.5μm以上の長波長域での伝送ロスの異常がない良好な伝送特性をもった光ファイバが生産可能となるものである。
【0012】
【特許文献1】
特開平6−255885号公報(図1、図3)
【特許文献2】
特開昭63−288928号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例で示したように、光ファイバ等の線状体の巻取り装置において、巻取り張力を調整する方法としては、ダンサローラを支持するアームに設けられたウェイトの位置を調整する(従来例1)、ダンサローラを支持するアームに付加する張力付加トルクを調整する(従来例2)、ダンサローラを支持するアームに設けられたウェイトの重量を調整する、ダンサローラより下流側のローラを補助的に駆動調整する(従来例3)、といった方法が採用されている。
【0014】
しかしながら、従来の線状体の巻取り装置では、線状体の走行中において調整ウェイトの位置や重量を調整することができず、またダンサローラを支持するアームの張力付加トルクを調整できるとしても装置の簡単さ、調整の容易さの点で十分とはいえない。
【0015】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、光ファイバ等の線状体を一定または任意の張力で安定した状態で巻取ることができる簡単な構成の巻取り装置及び巻取り方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、線状体走行中に検出された張力値に基づいて、ウェイトの位置を線状体走行中に制御することにより、巻取り張力が変動しても迅速に応答し、所定の張力で高速に巻取ることが可能なコンパクトな構成の巻取り装置を提供することを目的とする。
【0017】
さらに、ダンサローラを支持するダンサアームに設けられたウェイトの位置制御と、ダンサローラ軸にトルクを付与するトルク制御とを併用することによって、線状体の張力を広い範囲に亘って制御することができる巻取り装置及び巻取り方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の線状体の巻取り装置は、線状体を繰り出すキャプスタンと、キャプスタンによって繰り出された線状体に張力を付与するダンサローラと、線状体の巻取り張力を測定する張力測定装置と、線状体を巻取るボビンからなる線状体の巻取り装置であって、ダンサローラは移動自在なウェイトを有するアームに支持され、ウェイトの位置は張力測定装置によって測定された巻取り張力値に基づいて制御されることを特徴とする。線状体走行中に検出された張力値に基づいて、ウェイトの位置を線状体走行中に制御することにより、巻取り張力が変化しても一定張力で巻取ることが可能な簡単でコンパクトな構成の巻取り装置が得られる。
【0019】
また、本発明の線状体の巻取り方法は、線状体をキャプスタンによって繰り出し、キャプスタンによって繰り出された線状体に移動自在なウェイトを有するアームに支持されたダンサローラによって張力を付与し、張力測定装置により線状体の巻取り張力を測定した後、ボビンに巻取る線状体の巻取り方法であって、ウェイトの位置は張力測定装置によって測定された巻取り張力値に基づいて制御されることを特徴とする。線状体走行中に検出された張力値に基づいて、調整ウェイトの位置を線状体走行中に制御することにより、巻取り張力が変化しても一定張力で安定した状態で巻き取ることが可能な巻取り方法が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に示す実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1の線状体の巻取り装置を示す概略図である。光ファイバ等の線状体の巻取り装置は、キャプスタン11、ガイドローラ12、ダンサ部ガイドローラ13、ダンサローラ14、巻取りトラバースローラ19、巻取りボビン22等から構成される。光ファイバ等の線状体10は、図示しない線材繰り出し手段(例えば、線引き装置)から繰り出され、キャプスタン11によって所定速度に巻取り制御されながら繰り出され、ダンサ部ガイドローラ13とダンサローラ14からなるダンサ部に送り出される。
【0021】
ダンサローラ14は転がり抵抗の少ない軸受けを介してダンサローラ軸に支持され、またダンサローラ軸はアーム支点15によって支持されたダンサアーム16の先端に固定されている。このため、ダンサローラ14はダンサ部における線状体10の張力に応じて上下動し、ダンサローラ14はアーム支点15を中心に揺動するよう構成されている。線状体10に所定の張力を付与するのにダンサローラ14とダンサアーム16の重量では不足する場合、ダンサローラ14に適宜重量のウェイトが付加される。
【0022】
ダンサアーム16のダンサローラ14と反対側には、調整ウェイト17がダンサアーム16に沿って摺動自在に設けられており、調整ウェイト17はダンサアーム16上に支持された油圧又は空気圧駆動のリニアシリンダ機構18のピストンロッドに連結され、適宜の位置に設定することができる。調整ウェイト17の重量、移動距離等は線状体10に加えられる張力の大きさ、張力調整する範囲、ダンサアームの構成等に応じて適宜選定される。
【0023】
ダンサ部ガイドローラ13と巻取りトラバースローラ19間には、張力測定装置20が設けられており、光ファイバ等の線状体10の巻取り張力は張力測定装置20により常時監視されており、張力値が制御装置21に入力され設定された張力値と比較されている。光ファイバ等の線状体10の巻取り速度が上昇し、各ローラの回転抵抗が大となった等の理由により、巻取り張力が増加した場合、制御装置21は測定された張力値と設定された張力値と比較しその差に応じた制御信号を出力し、リニアシリンダ機構18の制御部が調整ウェイト17をアーム支点15から離れるように移動し、巻取り張力を減少させる。逆に、巻取り速度が低下した等の理由により、巻取り張力が減少した場合、調整ウェイト17をアーム支点15に近づくように移動し、巻取り張力を増加させる。
【0024】
張力測定装置20を出た光ファイバ等の線状体10は、線状体10の移動方向の前後方向に移動する巻取りトラバースローラ19に案内され、巻取りボビン22に所定張力で層状に巻取られる。
【0025】
なお、実施例1の線状体の巻取り装置では、調整ウェイト17の直線移動機構をリニアシリンダ機構18によって形成したが、十分な応答速度を有するものであれば、送りモータによって回転駆動する送りネジと調整ウェイトに形成された雌ネジからなるネジ機構、ラックピニオン機構、リニアモータ機構等を用いて構成することもできる。
【0026】
また、実施例1の線状体の巻取り装置では、移動自在な調整ウェイト17が、ダンサアームのアーム支点15を中心としてダンサローラ14と反対側に設けられている例を示したが、ダンサローラ14と同じ側に設けることも可能であり、このようにすればダンサアーム16の全長をより短縮することが可能となる。
【0027】
(実施例2)
図2は、実施例2の線状体の巻取り装置を示す概略図である。実施例2の線状体の巻取り装置は、キャプスタン11、ガイドローラ12、固定側であるダンサ部ガイドローラ13、移動側であるダンサローラ14、張力測定装置23を設置した巻取りトラバースローラ19、巻取りボビン22等から構成されている。光ファイバ等の線状体10は、図示しない線材繰り出し手段(例えば、線引き装置)から繰り出され、キャプスタン11によって所定速度に制御されながら繰り出され、ダンサ部ガイドローラ13に送り出される。
【0028】
実施例2の線状体の巻取り装置においては、ダンサアーム16の一端はダンサローラ14のダンサローラ軸が回転自在に支持され、他端はアーム支点15に軸支されている。したがって、調整ウェイト17はアーム支点15に対しダンサローラ14と同じ側に設けられ、ダンサアーム16上に設けられた送りモータ24によって回転駆動される送りネジ25と調整ウェイト17に形成された雌ネジからなる直線移動機構によって適宜の位置に移動して、設定することができる。
【0029】
図3は、ダンサアーム16に対するダンサローラ14の取り付け部の詳細を一部断面して示す図である。図3に示す例では、2連のダンサローラ14−1,14−2が単一のダンサローラ軸27に回転自在に支持され、3連のダンサ部ガイドローラ13との間に、2ターンの光ファイバ等の線状体10が巻回されることになる。ダンサローラ14−1,14−2は、それぞれの軸受け28−1,28−2を介してダンサローラ軸27に回転自在に支持され、さらに、ダンサローラ軸27は軸受け29を介してダンサアーム16に回転自在に支持されている。したがって、2連のダンサローラ14−1,14−2は線状体10の走行に追随して回転するとともに、線状体10の速度変動に応じてダンサアーム16等とともに上下に移動する。
【0030】
ダンサアーム16及びダンサローラ14−1,14−2に回転自在に支持されているダンサローラ軸27は、ダンサアーム16に設けられた取付ブラケット30に取り付けられた補助駆動モータ26の出力軸26aにカップリング31を介して結合されている。補助駆動モータ26は可変速モータであって、制御装置21によって速度制御され、ダンサローラ軸と共にダンサローラ14−1,14−2と独立して回転することができる。
【0031】
図4は、軸受けの回転抵抗(R)−回転速度(N)の概略の特性を示すグラフである。一般的な軸受けの場合、軸受けの回転速度(N)が高速になると、回転抵抗(R)は急激に増加するとともに、軸受け寿命が短縮化する。回転抵抗(R)の急激な増加は、走行する光ファイバ等の線状体10の抵抗となり、線状体を高速で巻取る際、巻取り張力をより小さくすることを困難にする。
【0032】
ダンサローラ軸27を回転する補助駆動モータ26の回転速度は、張力測定装置23によって測定される走行速度の値に基づき、制御装置21によって制御され、ダンサローラ14−1,14−2の回転速度と略等しくすることによって、ダンサローラ軸27とダンサローラ14−1,14−2間の軸受け28−1,28−2の実質的回転速度を低下させ、軸受けの回転抵抗(R)を低下させることができる。これにより、軸受けの寿命を大幅に延長することができる。
【0033】
また、ダンサローラ軸27の回転速度をダンサローラ14−1,14−2の回転速度より大きい回転速度にすると、軸受けの回転抵抗(R)を線状体張力低減方向に作用させることも可能となり、より広範囲に張力を調整することが可能となる。
【0034】
なお、図3に示したようなダンサローラ軸27を補助駆動モータ26で駆動し、軸受け28−1,28−2の実質的回転速度お低下させ回転抵抗を低下させる手段は、ダンサ部以降巻取りボビン前のガイドローラの全てに適用可能で、この適用により、線状体の張力調整がより広い範囲で可能になる。
【0035】
ところで、図3に示すダンサアーム16に対するダンサローラ14−1,14−2の取り付け構造の場合、ダンサアームのアーム支点回りのモーメントが大きくなるので、線状体の張力を目標の張力にバランスさせるときに、カウンタウェイトを大きくする必要がある。このため、ダンサ部の慣性が大きくなり、線状体の走行速度変動時の応答が遅れる可能性がある。
【0036】
図5は、図3に示すダンサアームに対するダンサローラの取り付け部の変形例を示し、図5(A)は一部断面して示す平面図、図5(B)は図5(A)のX−X矢視図である。図5に示す変形例の場合、補助駆動モータ26は出力軸26aがアーム支点15の支点軸15aと同軸になるように取り付けられる。ダンサローラ軸27及び補助駆動モータ26の出力軸26aにはそれぞれプーリ32,33を設け、両プーリ間にベルト34を張設する。このような構成により、ダンサ部の慣性が大きくなることを防止し、線状体の走行速度変動時の応答遅れを起こすことなくダンサローラ軸27を駆動することができる。
【0037】
実施例2の巻取り装置においても、光ファイバ等の線状体の巻取り張力は、巻取りトラバースローラ19に設置された張力測定装置23により常時監視され、その張力値が制御装置21に入力されている。例えば、光ファイバ等の線状体10の巻取り速度が上昇し、巻取り張力が増加した場合、制御装置21は設定された張力値と比較し、その差に応じた制御信号を出力し、送りモータ24が送りネジ25を回転させ、調整ウェイト17をアーム支点15に向かう方向に移動し、巻取り張力を減少させる。逆に、巻取り速度が低下し、巻取り張力が減少した場合、調整ウェイト17をアーム支点15から離れる方向に移動し所定位置に設定し、巻取り張力を増加させる。
【0038】
実施例2の線状体の巻取り装置は、ダンサアーム16に設けられた調整ウェイト17の位置を調整することと、ダンサローラ軸27を補助駆動モータ26によって駆動してダンサ部で生ずるベアリング抵抗や空気抵抗をキャンセルするようにトルクを調整することを併用するので、調整ウェイト17の移動制御が容易になり、より広範囲に張力を制御することができる。
【0039】
図6は、複数のガイドローラをダンサローラ軸に軸受を介して独立に回転するように連接した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す斜視図である。実施例1、2の線状体の巻取り装置においては、2連のダンサ部ガイドローラ13と単一のダンサローラ14からなるダンサ部であったが、ダンサ部ガイドローラ13を図6に示すように、複数のダンサ部ガイドローラ13−1,13−2,…を同一軸に回動自在に連接した構成とし、ダンサローラ14についても複数のガイドローラ14−1,14−2,…を同一軸に回動自在に連接した構成とすることができる。
【0040】
このようなダンサ部ガイドローラ13とダンサローラ14を用いたダンサ部の場合、ガイドローラの数が多くなるほどダンサ部に貯線される光ファイバ等の線状体の量が多くなる。また、ガイドローラ全体の回転抵抗も増大するので、巻取り側での張力も増大しがちである。したがって、ガイドローラの回転抵抗を低減する軸受けを採用し、ガイドローラ自体を軽量化する必要がある。また、ダンサローラ14のダンサローラ軸27は、図3に示すように、補助駆動モータ26によって駆動し、高速巻取り時における回転抵抗を低減することが望ましい。
【0041】
図7は、複数のガイドローラをそれぞれ異なる平行軸に支持した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す概略図である。図4に示すダンサ部は、固定側のダンサ部ガイドローラ13−1,13−2,13−3,…、移動側のダンサローラ14−1,14−2,…からなり、ダンサローラ14−1,14−2,…のそれぞれの支軸に軸受けを介してダンサアーム16が固定される。このような構成のダンサ部の場合も、ダンサローラ14−1,14−2,…の数が多くなるほど、ダンサ部に貯線される光ファイバ等の線状体の量が多くなるが、ガイドローラ全体の回転抵抗も増大するので、巻取り側での張力も増大しがちである。この例の場合にも、ダンサ部ガイドローラ,ダンサローラのそれぞれの支軸を図3に示すように、補助駆動モータによって駆動することができる。
【0042】
なお、以上の実施例においては光ファイバの巻取り装置及び巻取り方法について説明したが、光ファイバに限られるものではなく、金属、樹脂、繊維等線状体一般の巻取り装置、方法に広く適用されるものである。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、次のような効果を奏する。ダンサアームに移動自在な調整ウェイトを設け、線状体の走行中においても線状体の張力に応じて調整ウェイトの位置を移動することができるので、簡単な構成で光ファイバ等の線状体を所定張力で安定した状態で巻取ることができる巻取り装置及び巻取り方法が得られる。
【0044】
また、ダンサローラを支持するダンサアームにおける調整ウェイトの位置を制御することと、ダンサローラ軸に付与するトルクを制御することを併用することによって、高速巻き取り時のダンサローラの回転抵抗を低減し、線状体の張力を広い範囲に亘って制御することができる巻取り装置及び巻取り方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の線状体の巻取り装置を示す概略図である。
【図2】実施例2の線状体の巻取り装置を示す概略図である。
【図3】ダンサアームに対するダンサローラの取り付け部の詳細を一部断面して示す図である。
【図4】軸受けの回転抵抗(R)−回転速度(N)の概略の特性を示すグラフである。
【図5】ダンサアームに対するダンサローラの取り付け部の変形例を示す図である。
【図6】複数のガイドローラを同一軸に連接した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す斜視図である。
【図7】複数のガイドローラをそれぞれ異なる平行軸に支持した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す概略図である。
【図8】従来例1の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である。
【図9】従来例2の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である。
【図10】従来例3の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10…光ファイバ等の線状体、11…キャプスタン、12…ガイドローラ、13…ダンサ部ガイドローラ、14…ダンサローラ、15…アーム支点、15a…アーム支点の支点軸、16…ダンサアーム、17…調整ウェイト、18…リニアシリンダ機構、19…巻取りトラバースローラ、20…張力測定装置、21…制御装置、22…巻取りボビン、23…張力測定装置、24…送りモータ、25…送りネジ、26…補助駆動モータ、26a…補助駆動モータの出力軸、27…ダンサローラ軸、28,29…軸受け、30…取り付けブラケット、31…カップリング、32,33…プーリ、34…ベルト。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の線状体を巻取る線状体の巻取り装置及び巻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ等の線状体を製造するには、線引機を用い、光ファイバ母材から光ファイバ素線を線引きし、被覆を施した後、抗張力のテストをし、巻取りボビンに巻取っている。線状体が光ファイバの場合、単一の光ファイバ母材から数100km程度の光ファイバが連続して製造されるが、途中において製造を休止することができないため、製造された光ファイバを連続して高速に巻取る必要がある。
【0003】
線状体を高速で巻取る場合、低速で巻取る場合に比べて種々の問題がある。特に、光ファイバのような線状体を高速で巻取る場合には、巻取り張力が巻取り経路で通過するガイドローラ等のベアリング部の回転抵抗の増大、空気抵抗の増大等により大きくなりやすく、ボビンに巻取られた光ファイバが相互に圧迫されて、光ファイバの伝送損失が増加する。
【0004】
図8は、従来例1の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である(特許文献1参照)。従来例1の線状体の巻取り装置は、線状体111をガイドするガイドローラ112と、ガイドローラ112の鉛直方向に設けられたスクリーニング張力付加用ダンサローラ113とが設けられている。ダンサローラ113はダンサローラアーム回転用軸受け114に設けられたダンサローラ軸115を中心としてアーム116を介して回転自在とされ、該アーム116の軸方向に移動自在のウェイト117を所定位置に配して線状体に張力を与えている。
【0005】
従来例1の巻取り装置は、線状体111の巻取りボビン119への巻取り張力を一定に保つため、及び線状体が巻取られる巻取りボビン119上で巻太りに対する制御のためにダンサローラ113を用いている。このダンサローラ113は線状体111の走行前にあらかじめウェイト117を所定位置に設定することで、線状体111に掛かる張力を設定し、線状体111の走行中においてはその巻取り張力を可変にして連続的に制御することなく巻取りを行っている。
【0006】
また、図9は、従来例2の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である(特許文献1参照)。従来例2の線状体の巻取り装置は、従来例1の巻取り装置と同様に、線状体211をガイドするガイドローラ212と、このガイドローラ212の鉛直方向に張力付加用ダンサローラ213が設けられている。このダンサローラ213はトルクモータ221の回転軸と同軸に設けられたダンサローラ軸215を中心としてアーム216を介して回動自在とされる。トルクモータ221によってダンサローラ213のダンサローラ軸215にトルクを発生させ、巻取り途中においても当該ダンサローラ213に所定のモーメントを与えて上下動させ、ダンサローラのアーム回転軸回転角検出器218で検出しつつ線状体211に張力を付与している。
【0007】
従来例2の線状体の巻取り装置は、走行中の線状体211の張力を張力検出器222により測定し、その張力値を張力制御装置223にフィードバックし、アームのダンサローラ軸に設けられたトルクモータ221を制御することにより、常に走行中の線状体211の張力を、一定または任意に制御できるものである。
【0008】
また、図10は、従来例3の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である(特許文献2参照)。
従来例3の線状体の巻取り装置では、光ファイバ302は、キャプスタン301で一定速度で引取られ、巻取り速度を制御するためのダンサローラ306、巻取り方向に駆動する巻取り張力緩和装置310を介して巻取り機303に装着されたボビン304に巻取られるようになっている。
【0009】
ダンサローラ306には、ローラ位置を検出する検出器307と、ダンサローラ306を摺動させるのに十分な大きな張力を与える重り308が設けられている。検出器307の信号は制御装置309を介して巻取りモータ305にフィードバックされ、これによって巻取り速度が制御されている。
【0010】
巻取り張力緩和装置310は、スピードコントロールモータ311、伝達トルクを外部から調整可能なクラッチ312、光ファイバにエネルギーを付与するホイール313、伝達トルク調整用ボリューム314とによって構成されている。
【0011】
従来例3の線状体の巻取り装置によれば、巻取り点での光ファイバの張力を低くし、しかも巻取り張力の大きさを自由に設定することが可能になるので、巻取った光ファイバに加わる圧力が小さくなり、1.5μm以上の長波長域での伝送ロスの異常がない良好な伝送特性をもった光ファイバが生産可能となるものである。
【0012】
【特許文献1】
特開平6−255885号公報(図1、図3)
【特許文献2】
特開昭63−288928号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例で示したように、光ファイバ等の線状体の巻取り装置において、巻取り張力を調整する方法としては、ダンサローラを支持するアームに設けられたウェイトの位置を調整する(従来例1)、ダンサローラを支持するアームに付加する張力付加トルクを調整する(従来例2)、ダンサローラを支持するアームに設けられたウェイトの重量を調整する、ダンサローラより下流側のローラを補助的に駆動調整する(従来例3)、といった方法が採用されている。
【0014】
しかしながら、従来の線状体の巻取り装置では、線状体の走行中において調整ウェイトの位置や重量を調整することができず、またダンサローラを支持するアームの張力付加トルクを調整できるとしても装置の簡単さ、調整の容易さの点で十分とはいえない。
【0015】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、光ファイバ等の線状体を一定または任意の張力で安定した状態で巻取ることができる簡単な構成の巻取り装置及び巻取り方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、線状体走行中に検出された張力値に基づいて、ウェイトの位置を線状体走行中に制御することにより、巻取り張力が変動しても迅速に応答し、所定の張力で高速に巻取ることが可能なコンパクトな構成の巻取り装置を提供することを目的とする。
【0017】
さらに、ダンサローラを支持するダンサアームに設けられたウェイトの位置制御と、ダンサローラ軸にトルクを付与するトルク制御とを併用することによって、線状体の張力を広い範囲に亘って制御することができる巻取り装置及び巻取り方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の線状体の巻取り装置は、線状体を繰り出すキャプスタンと、キャプスタンによって繰り出された線状体に張力を付与するダンサローラと、線状体の巻取り張力を測定する張力測定装置と、線状体を巻取るボビンからなる線状体の巻取り装置であって、ダンサローラは移動自在なウェイトを有するアームに支持され、ウェイトの位置は張力測定装置によって測定された巻取り張力値に基づいて制御されることを特徴とする。線状体走行中に検出された張力値に基づいて、ウェイトの位置を線状体走行中に制御することにより、巻取り張力が変化しても一定張力で巻取ることが可能な簡単でコンパクトな構成の巻取り装置が得られる。
【0019】
また、本発明の線状体の巻取り方法は、線状体をキャプスタンによって繰り出し、キャプスタンによって繰り出された線状体に移動自在なウェイトを有するアームに支持されたダンサローラによって張力を付与し、張力測定装置により線状体の巻取り張力を測定した後、ボビンに巻取る線状体の巻取り方法であって、ウェイトの位置は張力測定装置によって測定された巻取り張力値に基づいて制御されることを特徴とする。線状体走行中に検出された張力値に基づいて、調整ウェイトの位置を線状体走行中に制御することにより、巻取り張力が変化しても一定張力で安定した状態で巻き取ることが可能な巻取り方法が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に示す実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1の線状体の巻取り装置を示す概略図である。光ファイバ等の線状体の巻取り装置は、キャプスタン11、ガイドローラ12、ダンサ部ガイドローラ13、ダンサローラ14、巻取りトラバースローラ19、巻取りボビン22等から構成される。光ファイバ等の線状体10は、図示しない線材繰り出し手段(例えば、線引き装置)から繰り出され、キャプスタン11によって所定速度に巻取り制御されながら繰り出され、ダンサ部ガイドローラ13とダンサローラ14からなるダンサ部に送り出される。
【0021】
ダンサローラ14は転がり抵抗の少ない軸受けを介してダンサローラ軸に支持され、またダンサローラ軸はアーム支点15によって支持されたダンサアーム16の先端に固定されている。このため、ダンサローラ14はダンサ部における線状体10の張力に応じて上下動し、ダンサローラ14はアーム支点15を中心に揺動するよう構成されている。線状体10に所定の張力を付与するのにダンサローラ14とダンサアーム16の重量では不足する場合、ダンサローラ14に適宜重量のウェイトが付加される。
【0022】
ダンサアーム16のダンサローラ14と反対側には、調整ウェイト17がダンサアーム16に沿って摺動自在に設けられており、調整ウェイト17はダンサアーム16上に支持された油圧又は空気圧駆動のリニアシリンダ機構18のピストンロッドに連結され、適宜の位置に設定することができる。調整ウェイト17の重量、移動距離等は線状体10に加えられる張力の大きさ、張力調整する範囲、ダンサアームの構成等に応じて適宜選定される。
【0023】
ダンサ部ガイドローラ13と巻取りトラバースローラ19間には、張力測定装置20が設けられており、光ファイバ等の線状体10の巻取り張力は張力測定装置20により常時監視されており、張力値が制御装置21に入力され設定された張力値と比較されている。光ファイバ等の線状体10の巻取り速度が上昇し、各ローラの回転抵抗が大となった等の理由により、巻取り張力が増加した場合、制御装置21は測定された張力値と設定された張力値と比較しその差に応じた制御信号を出力し、リニアシリンダ機構18の制御部が調整ウェイト17をアーム支点15から離れるように移動し、巻取り張力を減少させる。逆に、巻取り速度が低下した等の理由により、巻取り張力が減少した場合、調整ウェイト17をアーム支点15に近づくように移動し、巻取り張力を増加させる。
【0024】
張力測定装置20を出た光ファイバ等の線状体10は、線状体10の移動方向の前後方向に移動する巻取りトラバースローラ19に案内され、巻取りボビン22に所定張力で層状に巻取られる。
【0025】
なお、実施例1の線状体の巻取り装置では、調整ウェイト17の直線移動機構をリニアシリンダ機構18によって形成したが、十分な応答速度を有するものであれば、送りモータによって回転駆動する送りネジと調整ウェイトに形成された雌ネジからなるネジ機構、ラックピニオン機構、リニアモータ機構等を用いて構成することもできる。
【0026】
また、実施例1の線状体の巻取り装置では、移動自在な調整ウェイト17が、ダンサアームのアーム支点15を中心としてダンサローラ14と反対側に設けられている例を示したが、ダンサローラ14と同じ側に設けることも可能であり、このようにすればダンサアーム16の全長をより短縮することが可能となる。
【0027】
(実施例2)
図2は、実施例2の線状体の巻取り装置を示す概略図である。実施例2の線状体の巻取り装置は、キャプスタン11、ガイドローラ12、固定側であるダンサ部ガイドローラ13、移動側であるダンサローラ14、張力測定装置23を設置した巻取りトラバースローラ19、巻取りボビン22等から構成されている。光ファイバ等の線状体10は、図示しない線材繰り出し手段(例えば、線引き装置)から繰り出され、キャプスタン11によって所定速度に制御されながら繰り出され、ダンサ部ガイドローラ13に送り出される。
【0028】
実施例2の線状体の巻取り装置においては、ダンサアーム16の一端はダンサローラ14のダンサローラ軸が回転自在に支持され、他端はアーム支点15に軸支されている。したがって、調整ウェイト17はアーム支点15に対しダンサローラ14と同じ側に設けられ、ダンサアーム16上に設けられた送りモータ24によって回転駆動される送りネジ25と調整ウェイト17に形成された雌ネジからなる直線移動機構によって適宜の位置に移動して、設定することができる。
【0029】
図3は、ダンサアーム16に対するダンサローラ14の取り付け部の詳細を一部断面して示す図である。図3に示す例では、2連のダンサローラ14−1,14−2が単一のダンサローラ軸27に回転自在に支持され、3連のダンサ部ガイドローラ13との間に、2ターンの光ファイバ等の線状体10が巻回されることになる。ダンサローラ14−1,14−2は、それぞれの軸受け28−1,28−2を介してダンサローラ軸27に回転自在に支持され、さらに、ダンサローラ軸27は軸受け29を介してダンサアーム16に回転自在に支持されている。したがって、2連のダンサローラ14−1,14−2は線状体10の走行に追随して回転するとともに、線状体10の速度変動に応じてダンサアーム16等とともに上下に移動する。
【0030】
ダンサアーム16及びダンサローラ14−1,14−2に回転自在に支持されているダンサローラ軸27は、ダンサアーム16に設けられた取付ブラケット30に取り付けられた補助駆動モータ26の出力軸26aにカップリング31を介して結合されている。補助駆動モータ26は可変速モータであって、制御装置21によって速度制御され、ダンサローラ軸と共にダンサローラ14−1,14−2と独立して回転することができる。
【0031】
図4は、軸受けの回転抵抗(R)−回転速度(N)の概略の特性を示すグラフである。一般的な軸受けの場合、軸受けの回転速度(N)が高速になると、回転抵抗(R)は急激に増加するとともに、軸受け寿命が短縮化する。回転抵抗(R)の急激な増加は、走行する光ファイバ等の線状体10の抵抗となり、線状体を高速で巻取る際、巻取り張力をより小さくすることを困難にする。
【0032】
ダンサローラ軸27を回転する補助駆動モータ26の回転速度は、張力測定装置23によって測定される走行速度の値に基づき、制御装置21によって制御され、ダンサローラ14−1,14−2の回転速度と略等しくすることによって、ダンサローラ軸27とダンサローラ14−1,14−2間の軸受け28−1,28−2の実質的回転速度を低下させ、軸受けの回転抵抗(R)を低下させることができる。これにより、軸受けの寿命を大幅に延長することができる。
【0033】
また、ダンサローラ軸27の回転速度をダンサローラ14−1,14−2の回転速度より大きい回転速度にすると、軸受けの回転抵抗(R)を線状体張力低減方向に作用させることも可能となり、より広範囲に張力を調整することが可能となる。
【0034】
なお、図3に示したようなダンサローラ軸27を補助駆動モータ26で駆動し、軸受け28−1,28−2の実質的回転速度お低下させ回転抵抗を低下させる手段は、ダンサ部以降巻取りボビン前のガイドローラの全てに適用可能で、この適用により、線状体の張力調整がより広い範囲で可能になる。
【0035】
ところで、図3に示すダンサアーム16に対するダンサローラ14−1,14−2の取り付け構造の場合、ダンサアームのアーム支点回りのモーメントが大きくなるので、線状体の張力を目標の張力にバランスさせるときに、カウンタウェイトを大きくする必要がある。このため、ダンサ部の慣性が大きくなり、線状体の走行速度変動時の応答が遅れる可能性がある。
【0036】
図5は、図3に示すダンサアームに対するダンサローラの取り付け部の変形例を示し、図5(A)は一部断面して示す平面図、図5(B)は図5(A)のX−X矢視図である。図5に示す変形例の場合、補助駆動モータ26は出力軸26aがアーム支点15の支点軸15aと同軸になるように取り付けられる。ダンサローラ軸27及び補助駆動モータ26の出力軸26aにはそれぞれプーリ32,33を設け、両プーリ間にベルト34を張設する。このような構成により、ダンサ部の慣性が大きくなることを防止し、線状体の走行速度変動時の応答遅れを起こすことなくダンサローラ軸27を駆動することができる。
【0037】
実施例2の巻取り装置においても、光ファイバ等の線状体の巻取り張力は、巻取りトラバースローラ19に設置された張力測定装置23により常時監視され、その張力値が制御装置21に入力されている。例えば、光ファイバ等の線状体10の巻取り速度が上昇し、巻取り張力が増加した場合、制御装置21は設定された張力値と比較し、その差に応じた制御信号を出力し、送りモータ24が送りネジ25を回転させ、調整ウェイト17をアーム支点15に向かう方向に移動し、巻取り張力を減少させる。逆に、巻取り速度が低下し、巻取り張力が減少した場合、調整ウェイト17をアーム支点15から離れる方向に移動し所定位置に設定し、巻取り張力を増加させる。
【0038】
実施例2の線状体の巻取り装置は、ダンサアーム16に設けられた調整ウェイト17の位置を調整することと、ダンサローラ軸27を補助駆動モータ26によって駆動してダンサ部で生ずるベアリング抵抗や空気抵抗をキャンセルするようにトルクを調整することを併用するので、調整ウェイト17の移動制御が容易になり、より広範囲に張力を制御することができる。
【0039】
図6は、複数のガイドローラをダンサローラ軸に軸受を介して独立に回転するように連接した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す斜視図である。実施例1、2の線状体の巻取り装置においては、2連のダンサ部ガイドローラ13と単一のダンサローラ14からなるダンサ部であったが、ダンサ部ガイドローラ13を図6に示すように、複数のダンサ部ガイドローラ13−1,13−2,…を同一軸に回動自在に連接した構成とし、ダンサローラ14についても複数のガイドローラ14−1,14−2,…を同一軸に回動自在に連接した構成とすることができる。
【0040】
このようなダンサ部ガイドローラ13とダンサローラ14を用いたダンサ部の場合、ガイドローラの数が多くなるほどダンサ部に貯線される光ファイバ等の線状体の量が多くなる。また、ガイドローラ全体の回転抵抗も増大するので、巻取り側での張力も増大しがちである。したがって、ガイドローラの回転抵抗を低減する軸受けを採用し、ガイドローラ自体を軽量化する必要がある。また、ダンサローラ14のダンサローラ軸27は、図3に示すように、補助駆動モータ26によって駆動し、高速巻取り時における回転抵抗を低減することが望ましい。
【0041】
図7は、複数のガイドローラをそれぞれ異なる平行軸に支持した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す概略図である。図4に示すダンサ部は、固定側のダンサ部ガイドローラ13−1,13−2,13−3,…、移動側のダンサローラ14−1,14−2,…からなり、ダンサローラ14−1,14−2,…のそれぞれの支軸に軸受けを介してダンサアーム16が固定される。このような構成のダンサ部の場合も、ダンサローラ14−1,14−2,…の数が多くなるほど、ダンサ部に貯線される光ファイバ等の線状体の量が多くなるが、ガイドローラ全体の回転抵抗も増大するので、巻取り側での張力も増大しがちである。この例の場合にも、ダンサ部ガイドローラ,ダンサローラのそれぞれの支軸を図3に示すように、補助駆動モータによって駆動することができる。
【0042】
なお、以上の実施例においては光ファイバの巻取り装置及び巻取り方法について説明したが、光ファイバに限られるものではなく、金属、樹脂、繊維等線状体一般の巻取り装置、方法に広く適用されるものである。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、次のような効果を奏する。ダンサアームに移動自在な調整ウェイトを設け、線状体の走行中においても線状体の張力に応じて調整ウェイトの位置を移動することができるので、簡単な構成で光ファイバ等の線状体を所定張力で安定した状態で巻取ることができる巻取り装置及び巻取り方法が得られる。
【0044】
また、ダンサローラを支持するダンサアームにおける調整ウェイトの位置を制御することと、ダンサローラ軸に付与するトルクを制御することを併用することによって、高速巻き取り時のダンサローラの回転抵抗を低減し、線状体の張力を広い範囲に亘って制御することができる巻取り装置及び巻取り方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の線状体の巻取り装置を示す概略図である。
【図2】実施例2の線状体の巻取り装置を示す概略図である。
【図3】ダンサアームに対するダンサローラの取り付け部の詳細を一部断面して示す図である。
【図4】軸受けの回転抵抗(R)−回転速度(N)の概略の特性を示すグラフである。
【図5】ダンサアームに対するダンサローラの取り付け部の変形例を示す図である。
【図6】複数のガイドローラを同一軸に連接した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す斜視図である。
【図7】複数のガイドローラをそれぞれ異なる平行軸に支持した構成のガイドローラを用いたダンサ部の一例を示す概略図である。
【図8】従来例1の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である。
【図9】従来例2の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である。
【図10】従来例3の線状体の巻取り装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10…光ファイバ等の線状体、11…キャプスタン、12…ガイドローラ、13…ダンサ部ガイドローラ、14…ダンサローラ、15…アーム支点、15a…アーム支点の支点軸、16…ダンサアーム、17…調整ウェイト、18…リニアシリンダ機構、19…巻取りトラバースローラ、20…張力測定装置、21…制御装置、22…巻取りボビン、23…張力測定装置、24…送りモータ、25…送りネジ、26…補助駆動モータ、26a…補助駆動モータの出力軸、27…ダンサローラ軸、28,29…軸受け、30…取り付けブラケット、31…カップリング、32,33…プーリ、34…ベルト。
Claims (4)
- 線状体を繰り出すキャプスタンと、該キャプスタンによって繰り出された前記線状体に張力を付与するダンサローラと、前記線状体の巻取り張力を測定する張力測定装置と、前記線状体を巻取るボビンからなる線状体の巻取り装置であって、前記ダンサローラは移動自在なウェイトを有するアームに支持され、前記ウェイトの位置は前記張力測定装置によって測定された巻取り張力値に基づいて制御されることを特徴とする線状体の巻取り装置。
- 前記ダンサローラのダンサローラ軸に回転を付与する補助駆動装置を有し、前記ダンサローラと独立して回転することを特徴とする請求項1記載の線状体の巻取り装置。
- 線状体をキャプスタンによって繰り出し、該キャプスタンによって繰り出された前記線状体に移動自在なウェイトを有するアームに支持されたダンサローラによって張力を付与し、張力測定装置により前記線状体の巻取り張力を測定した後、ボビンに巻取る線状体の巻取り方法であって、前記ウェイトの位置は前記張力測定装置によって測定された巻取り張力値に基づいて制御されることを特徴とする線状体の巻取り方法。
- 前記ダンサローラのダンサローラ軸は補助駆動装置によって回転を付与され、前記ダンサローラと独立して回転することを特徴とする請求項3記載の線状体の巻取り方法。
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