JP2004150459A - ホース - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルマリンレスで、補強糸層とゴム層との層間接着力が高く、シール性に優れたホースを提供する。
【解決手段】ゴム層(内側ゴム層1および外側ゴム層3)と、補強糸層2との積層構造を有するホースであって、上記補強糸層2が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が下記の(A)〜(C)を含有する処理液により表面処理されている。
(A)マレイン酸系ポリマー。
(B)1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩。
(C)有機溶剤。
【選択図】図1
【解決手段】ゴム層(内側ゴム層1および外側ゴム層3)と、補強糸層2との積層構造を有するホースであって、上記補強糸層2が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が下記の(A)〜(C)を含有する処理液により表面処理されている。
(A)マレイン酸系ポリマー。
(B)1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩。
(C)有機溶剤。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両におけるエンジンとラジエーターとの接続に用いられるラジエーターホース,エンジンとヒーターコアとの接続に用いられるヒーターホース等のホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両におけるエンジンとラジエーターとの接続に用いられるラジエーターホースや、エンジンとヒーターコアとの接続に用いられるヒーターホース等のエンジン冷却系ホースは、その接続の際に、パイプ等の端部に対し上記ホースの端部を外嵌した後、上記接続が強固となるよう、ホース外側からクリップ等による加締めが行われてきた。しかしながら、このようなクリップ等による加締めを行った場合、クリップ爪部と他部品との干渉や、組み付け作業性の煩雑さが懸念されていたため、近年では、クリップ不要(クリップレス)の接続構造が注目されている。上記クリップレスの接続は、例えば、パイプの端部を大径にしておき、この端部に対し、機械を用いてホース端部を圧入拡径することにより行われる。このような接続構造とすることにより、例えクリップレスであっても、高度な引抜き強度とシール性を確保することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−65270号公報
【0004】
上記クリップレスの接続構造に適したホースとしては、例えば、内側ゴム層の外周面に補強糸層が形成され、さらにその外周面に外側ゴム層が形成されてなる3層構造(内側ゴム層/補強糸層/外側ゴム層)のホースが用いられている。このような構成のホースは、例えば、内側ゴム層用材料を押出成型して内側ゴム層を形成し、その外周面にナイロン(ポリアミド)糸やアラミド糸等の補強糸を編組して補強糸層を形成した後、その表面に接着剤を塗布し、さらに外側ゴム層用材料を押出成型して外側ゴム層を形成し、これらを加硫することにより製造されている。そして、その内側ゴム層には、拡径した際に亀裂が生じにくく引裂き強度の高いエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等のゴム材が用いられる。また、ホース各層の接着強度をより高めるために、上記内側ゴム層と補強糸層との界面にも、接着剤を塗布する場合がある。さらに、補強糸としては、接着剤でディップ処理したディップ糸が用いられる場合がある。この接着剤としては、従来より、各種ゴム系接着剤が用いられ、特に、レゾルシン・ホルマリン重縮合物・ゴムラテックス(RFL)が、接着性に優れていることから賞用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補強糸層とゴム層との接着を、通常のゴム系接着剤の塗布により行った場合、その粘性の高さにより塗布ムラを生じやすく、その結果、接着力が不充分となり、ホース製品とした際に満足できるシール性を確保するのが困難となる。特に、ゴム層がEPDMによって形成されている場合、EPDM自体が反応しにくい性質を有するため、通常のゴム系接着剤では、補強糸層との接着が困難であり、また、補強糸層とゴム層との接着性が低いと、ホースの拡径時に糸ズレが発生し、ホースの緊迫力が低下するおそれもある。
【0006】
一方、補強糸層とゴム層との接着にRFLを用いた場合、強固な層間接着力が得られるが、RFLの合成段階で使用するホルマリンはPRTR法(化学物質管理促進法)指定の化学物質であるため、使用上問題があり、さらに、ホルマリンは、アレルギーの誘発、発ガン性も懸念されており、これらの問題が生じないホルマリンレスの製品が求められている。また、RFLは、水に分散(懸濁)した状態の液であり、水溶液ではないため、図3に示すように、補強糸14のディップ処理に用いた場合、補強糸14の一本一本の繊維15の内部にまではRFL16は含浸しない。そのため、補強糸表面でべたつきの原因となり、このべたつきにより、例えば補強糸を高速で押し出して編組する際、その緊迫力にバラツキが生じ、いわゆる糸絞りの不具合となりやすく、外観不良やシール性の低下を招いたり、さらに、補強糸の解除性も悪くなることから、上記緊迫力のバラツキは一層ひどくなるといったおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ホルマリンレスで、補強糸層とゴム層との層間接着力が高く、シール性に優れたホースの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のホースは、ゴム層と、補強糸層との積層構造を有するホースであって、上記補強糸層が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が下記の(A)〜(C)を含有する処理液により表面処理されているという構成をとる。
(A)マレイン酸系ポリマー。
(B)1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩。
(C)有機溶剤。
【0009】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その過程で、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等のゴム材と、補強糸との接着性が向上するよう研究を重ねた結果、上記補強糸として、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸を用い、かつその表面に対し、マレイン酸系ポリマーと、1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(以下、「DBU塩」という)とを有機溶剤に溶解してなるホルマリンレスの処理液を用いて表面処理することを試みた。その結果、上記処理液の作用によりゴム材と補強糸との間に強固な接着力が得られ、しかも、上記処理後の補強糸表面には、従来の接着剤にみられたべたつきが殆どなくなったことから、補強糸の解除性も良くなって均一な緊迫力で編組することができ、優れたシール性を有するホースが得られるようになり、本発明に到達した。
【0010】
上記のようになる理由は、つぎのように推察される。すなわち、上記処理液中のマレイン酸系ポリマーは、その分子鎖中にマレイン酸基あるいは無水マレイン酸基を有しており、その箇所が、DBU塩による反応促進によって接着官能基として作用し、補強糸材料中の末端または分子鎖中のアミノ基に対し化学的に結合(アミド結合)するため、強固な接着力が得られるものと思われる。しかも、上記特定の処理液は、RFLとは異なり、溶剤溶解性を有するものであり、そのSP値(溶解度因子)も、水系のRFLと比べ、ナイロンのような合成繊維のSP値により近く、さらに、RFLよりも低粘度であるため、付着量のバラツキが低減され、その結果、接着性が安定していると思われる。このときの補強糸断面を顕微鏡により観測したところ、従来のように、RFLの塗布により上記補強糸の表面処理を行った場合では、図3に示すように、補強糸14の一本一本の繊維15の内部にまではRFL16を含浸させることができておらず、そのため、表面がべたついていたのに対し、上記特定の処理液より行った場合では、図2に示すように、補強糸4の一本一本の繊維5の内部5aにまで処理液が浸透しているのが確認された。したがって、この浸透により、べたつきが低減し、接着性も向上し、補強糸の柔軟化も図られ、その結果、RFLを用いたものよりも高性能のホースが得られるようになったと思われる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明のホースは、ゴム層と、補強糸層との積層構造を有する2層以上の構造であれば、特に限定はなく、例えば、ゴム層(内側ゴム層)と補強糸層とゴム層(外側ゴム層)とからなる3層構造(内側ゴム層/補強糸層/外側ゴム層)のホース等があげられる。そして、上記補強糸層が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が特定の処理液により表面処理されていることが、本発明の最大の特徴である。
【0013】
上記ゴム層の形成材料としては、特に限定されないが、拡径した際に亀裂が生じにくく引裂き強度の高いことから、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM),ブチルゴム(IIR),エチレン−プロピレンゴム(EPM)等が好ましく用いられる。また、接着性に優れることから、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)等も用いることができる。なかでも、内側ゴム層用材料としては、引裂き強度がより高く、しかも、耐熱性、耐不凍液性に優れることから、EPDMがより好ましい。
【0014】
上記ゴム層の形成材料には、必要に応じて、カーボンブラック、プロセスオイル等を配合することが好ましく、また、老化防止剤、加工助剤、架橋促進剤、白色充填剤、反応性モノマー、発泡剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
【0015】
上記ゴム層とともに積層形成される補強糸層は、先にも述べたように、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が特定の処理液により表面処理されている。そして、上記特定の処理液は、マレイン酸系ポリマー(A成分)と、DBU塩(B成分)と、有機溶剤(C成分)とを用いて調製することができる。
【0016】
上記マレイン酸系ポリマー(A成分)としては、マレイン酸あるいは無水マレイン酸を主要成分とする直鎖状の重合体であれば特に限定はなく、例えば、マレイン酸の単独重合体、部分的に無水マレイン酸基を有するマレイン酸重合体、イソブテン・無水マレイン酸共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に、無水マレイン酸系共重合体を用いると、より優れた接着性が得られるため、好ましい。
【0017】
上記マレイン酸系ポリマー(A成分)とともに用いられるDBU塩(B成分)としては、特に限定されるものではないが、DBUのカルボン酸塩やDBUのフェノール塩が好適に用いられる。上記DBUのカルボン酸塩としては、DBUのナフトエ酸塩やソルビン酸塩が好ましい。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0018】
上記DBU塩(B成分)の配合割合は、上記マレイン酸系ポリマー(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜10部の範囲内が好ましい。すなわち、B成分が1部未満であると、DBU塩による反応促進効果が奏されず、ゴム層や補強糸層との接着性が充分なものとはならないからであり、逆にB成分が10部を超えると、補強糸の劣化、高コストおよびホースの柔軟性に劣る傾向がみられるからである。
【0019】
上記A成分およびB成分とともに用いられる有機溶剤(C成分)としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に、トルエンを用いることが、上記各材料に対する溶解性の点で好ましい。
【0020】
上記有機溶剤(C成分)の配合割合は、上記マレイン酸系ポリマー(A成分)100部に対して、100〜1000部の範囲内が好ましい。すなわち、C成分が100部未満であると、粘性が高くなり過ぎ、塗布ムラを生じるおそれがあるからであり、逆にC成分が1000部を超えると、粘性が低くなり過ぎ、付着量が少なくなり、接着性の低下を招くからである。そして、この有機溶剤(C成分)に溶解されてなる特定の処理液は、粘度を0.02〜0.5Pa・sにすることが、塗工性等の点で好ましい。
【0021】
上記補強糸層を形成する補強糸としては、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製のものであれば、特に限定はなく、例えば、アラミド(芳香族ポリアミド)糸、ナイロン6,ナイロン66等のナイロン(ポリアミド)糸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐熱性に優れる点で、アラミド糸が好適に用いられる。
【0022】
上記補強糸の編組方法は、特に限定はなく、例えば、スパイラル編み、ブレード編み等があげられる。
【0023】
つぎに、本発明のホースの製法について、図1に示すホースを用いて具体的に説明する。すなわち、まず、EPDM等のゴム材料と、必要に応じ、カーボンブラック、プロセスオイル等とを配合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより、ゴム層用材料(内側ゴム層用、外側ゴム層用)を調製する。また、先に述べたA〜C成分を所定の割合で配合し、混合・攪拌することにより、特定の処理液を準備する。そして、ゴム層用材料(内側ゴム層用)を押出成形した後、この表面に、所定の補強糸をスパイラル状に巻き付けて補強糸層2を形成する。さらに、この補強糸層2の外周面に、上記特定の処理液をスプレーコーティング等の従来公知の手法により塗布し、ついで、ゴム層用材料(外側ゴム層用)を押出成形した後、これらを所定の条件で加熱することにより、内側ゴム層1の外周面に補強糸層2が一体形成され、この補強糸層2の外周面に外側ゴム層3が一体形成されてなる3層構造(内側ゴム層1/補強糸層2/外側ゴム層3)のホース(図1参照)を得ることができる。
【0024】
上記特定の処理液は、上述のように、補強糸を編組して補強糸層を形成した後、その補強糸層の表面に対し塗布して表面処理を行ってもよいが、補強糸を上記特定の処理液にて予めディップ処理し、それを編組して補強糸層を形成してもよい。その際、ゴム層の押出し工程時にディップ処理を併せて行うことにより、工程が簡略化される。なお、内側ゴム層1と補強糸層2との界面に対し、上記特定の処理液の塗布を行ってもよい。
【0025】
このようにして得られるホースの寸法は、特に限定されるものではなく、外径は、通常、8〜50mm程度であり、ホースの総厚み(ホース壁厚)は、通常、1.8〜6mm程度である。また、ホースを構成する各層の厚みも、各層の目的とする機能が充分に達成され得るような範囲内であれば特に限定はなく、例えば、内側ゴム層1の厚みは、通常、1〜4mm程度であり、外側ゴム層3の厚みは、通常、0.8〜2mm程度である。
【0026】
なお、本発明のホースは、図1に示すような、3層構造(内側ゴム層1/補強糸層2/外側ゴム層3)に限定されるものではなく、先に述べたように、ゴム層と、補強糸層との積層構造を有する2層以上の構造であれば、特に限定されるものではない。
【0027】
このようにして得られた本発明のホースの用途は、特に限定はないが、自動車等の車両におけるエンジンとラジエーターとの接続に用いられるラジエーターホース,エンジンとヒーターコアとの接続に用いられるヒーターホース等のエンジン冷却系ホース、クーラー用冷媒輸送ホース、メタノール燃料ホース,水素燃料ホース等の燃料電池車用ホース、ガソリン燃料ホース等の自動車用ホースとして好適に用いることができる。なお、EPDMもしくはEPMは耐ガソリン性に劣るため、本発明のホースをガソリン燃料ホースとして用いる場合は、上記EPDM等のゴム層は、ガソリンと直に接することがないように、内層以外の構成層(例えば、外層)として用いることが望ましい。
【0028】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0029】
【実施例】
〔補強糸層用処理液の調製〕
マレイン酸系ポリマー(サンボンド VP−9420、エスアンドエスジャパン社製)100部と、DBU塩(DA−500、ダイソー社製)5部と、トルエン400部とを混合し、分散させて、処理液を調製した(粘度:0.3Pa・s)。
【0030】
〔内側ゴム層用材料の調製〕
EPDM(エスプレン532、住友化学工業社製)100部と、ZnO(酸化亜鉛2種、三井金属鉱業社製)5部と、ステアリン酸(ルーナックS−30、花王社製)1部と、カーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)100部と、軟化剤(ダイアナプロセスPW−380、出光興産社製)50部と、促進剤(サンセラーTT、三新化学工業社製)4部と、硫黄(イオウ−PTC、大都産業社製)1部とを配合し、ロールを用いて混練して、内側ゴム層用材料を調製した。
【0031】
〔外側ゴム層用材料の調製〕
上記内側ゴム層用材料と同様の組成を、同様の割合で配合し、ロールを用いて混練して、外側ゴム層用材料を調製した。
【0032】
〔ホースの作製〕
まず、上記調製により得られた内側ゴム層用材料を押出成形した後、この表面に編組機を用いて、上記調製により得られた補強糸層用処理液によりディップ処理がなされた補強糸(アラミド糸)をスパイラル状に巻き付けて補強糸層を形成した。ついで、この補強糸層の外周面に、上記調製により得られた外側ゴム層用材料を押出成形した後、これらを150℃で30分間加熱することにより、内側ゴム層(厚み2.4mm)の外周面に補強糸層が一体形成され、さらにこの補強糸層の外周面に外側ゴム層(厚み1.4mm)が一体形成されてなるホース(内径:16mm)を作製した。
【0033】
【比較例1】
ラテックス(ニポール2518FSA、日本ゼオン社製)100部と、ホルマリン(35%品)2.7部と、レゾルシン(スミカノール700、住友化学工業社製)8.3部と、NaOH0.8部と、水166部とを混合し、分散させて、処理液を調製した(粘度:0.1Pa・s)。そして、これを、実施例1の補強糸層用処理液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にしてホースを作製した。
【0034】
【比較例2】
ゴム系接着剤(サンボンド VP−500、粘度:0.8Pa・s、エスアンドエスジャパン社製)を用意し、これを、実施例1の補強糸層用処理液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にしてホースを作製した。
【0035】
このようにして得られた実施例品および比較例品のホースを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1に示した。
【0036】
〔接着性〕
上記各ホースから、補強糸層とゴム層(内側ゴム層)の積層構造を切り出し、これを引張試験機(JIS B 7721)に取り付けて、ゴム層側を固定して補強糸層側を毎分50mmの速度で引張り、接着力(N/30mm)を測定した。また、その際に補強糸層とゴム層との剥離状態も目視により観察し、ゴム層が破壊したものを○、補強糸層とゴム層の界面が剥離したものを×として評価した。
【0037】
〔補強糸の解除性〕
上記各ホースの補強糸層に用いられる補強糸(各処理液によるディップ処理済の補強糸)を、コーン(円柱の筒)に巻き揃え、その後、上記補強糸を定速(100m/min)で引き取り、その際のテンションを、メカニカルテンションメーター(ZD2−300、シュミット社製)により測定した。そして、その値が0.5N未満を示したものを○、0.5N以上を示したものを×として評価した。
【0038】
〔シール性〕
上記各ホースの両端に金属製口金を取り付けた後、ホース内に冷却水(LLC)を充填した。そして、ホースの片端より、0.2MPaの圧力をホース内の冷却水に加えた際の、冷却水の洩れの状況を目視観察した。評価は、冷却水の洩れ等の異常がないものを○、口金部に冷却水のにじみがあるものを△、冷却水の洩れがあるものを×とした。
【0039】
【表1】
【0040】
上記結果より、実施例品のホースは、接着性試験においてゴム層破壊が生じることから、層間接着力が極めて高く、さらに、実施例品のホースは、補強糸層における補強糸の解除性に優れ、べたつきが殆どみられないことから、均一な緊迫力で補強糸層が編組され、さらにシール性にも優れていることがわかる。
【0041】
これに対して、比較例1品のホースでは、高い層間接着力が得られたが、RFLのべたつきの高さにより、補強糸層における補強糸の解除性に劣り、補強糸を編組する際の緊迫力にもバラツキが生じたため、シール性にもやや劣ることがわかる。比較例2品は、補強糸層とゴム層との接着に、通常のゴム系接着剤が用いられているが、実施例品に比べて、接着力が低く、界面剥離が生じ、また、補強糸の解除性やシール性にも劣ることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明のホースは、ゴム層と、補強糸層との積層により形成され、上記補強糸層が、所定の合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が特定の処理液により表面処理されている。そのため、高い層間接着力が得られるとともに、補強糸の解除性にも優れることから、均一な緊迫力で編組することができ、優れたシール性を得ることができる。さらに、本発明のホースは、ホルマリンレスであるため、人体や環境に悪影響を与えるおそれもない。
【0043】
特に、芳香族ポリアミド糸、ポリアミド糸等を用いて上記補強糸層を形成すると、ゴム層と補強糸層との接着力がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホースの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のホースの補強糸層に用いられる処理液により表面処理を行った補強糸の模式断面図である。
【図3】RFLにより表面処理を行った補強糸の模式断面図である。
【符号の説明】
1 内側ゴム層
2 補強糸層
3 外側ゴム層
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両におけるエンジンとラジエーターとの接続に用いられるラジエーターホース,エンジンとヒーターコアとの接続に用いられるヒーターホース等のホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両におけるエンジンとラジエーターとの接続に用いられるラジエーターホースや、エンジンとヒーターコアとの接続に用いられるヒーターホース等のエンジン冷却系ホースは、その接続の際に、パイプ等の端部に対し上記ホースの端部を外嵌した後、上記接続が強固となるよう、ホース外側からクリップ等による加締めが行われてきた。しかしながら、このようなクリップ等による加締めを行った場合、クリップ爪部と他部品との干渉や、組み付け作業性の煩雑さが懸念されていたため、近年では、クリップ不要(クリップレス)の接続構造が注目されている。上記クリップレスの接続は、例えば、パイプの端部を大径にしておき、この端部に対し、機械を用いてホース端部を圧入拡径することにより行われる。このような接続構造とすることにより、例えクリップレスであっても、高度な引抜き強度とシール性を確保することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−65270号公報
【0004】
上記クリップレスの接続構造に適したホースとしては、例えば、内側ゴム層の外周面に補強糸層が形成され、さらにその外周面に外側ゴム層が形成されてなる3層構造(内側ゴム層/補強糸層/外側ゴム層)のホースが用いられている。このような構成のホースは、例えば、内側ゴム層用材料を押出成型して内側ゴム層を形成し、その外周面にナイロン(ポリアミド)糸やアラミド糸等の補強糸を編組して補強糸層を形成した後、その表面に接着剤を塗布し、さらに外側ゴム層用材料を押出成型して外側ゴム層を形成し、これらを加硫することにより製造されている。そして、その内側ゴム層には、拡径した際に亀裂が生じにくく引裂き強度の高いエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等のゴム材が用いられる。また、ホース各層の接着強度をより高めるために、上記内側ゴム層と補強糸層との界面にも、接着剤を塗布する場合がある。さらに、補強糸としては、接着剤でディップ処理したディップ糸が用いられる場合がある。この接着剤としては、従来より、各種ゴム系接着剤が用いられ、特に、レゾルシン・ホルマリン重縮合物・ゴムラテックス(RFL)が、接着性に優れていることから賞用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補強糸層とゴム層との接着を、通常のゴム系接着剤の塗布により行った場合、その粘性の高さにより塗布ムラを生じやすく、その結果、接着力が不充分となり、ホース製品とした際に満足できるシール性を確保するのが困難となる。特に、ゴム層がEPDMによって形成されている場合、EPDM自体が反応しにくい性質を有するため、通常のゴム系接着剤では、補強糸層との接着が困難であり、また、補強糸層とゴム層との接着性が低いと、ホースの拡径時に糸ズレが発生し、ホースの緊迫力が低下するおそれもある。
【0006】
一方、補強糸層とゴム層との接着にRFLを用いた場合、強固な層間接着力が得られるが、RFLの合成段階で使用するホルマリンはPRTR法(化学物質管理促進法)指定の化学物質であるため、使用上問題があり、さらに、ホルマリンは、アレルギーの誘発、発ガン性も懸念されており、これらの問題が生じないホルマリンレスの製品が求められている。また、RFLは、水に分散(懸濁)した状態の液であり、水溶液ではないため、図3に示すように、補強糸14のディップ処理に用いた場合、補強糸14の一本一本の繊維15の内部にまではRFL16は含浸しない。そのため、補強糸表面でべたつきの原因となり、このべたつきにより、例えば補強糸を高速で押し出して編組する際、その緊迫力にバラツキが生じ、いわゆる糸絞りの不具合となりやすく、外観不良やシール性の低下を招いたり、さらに、補強糸の解除性も悪くなることから、上記緊迫力のバラツキは一層ひどくなるといったおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ホルマリンレスで、補強糸層とゴム層との層間接着力が高く、シール性に優れたホースの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のホースは、ゴム層と、補強糸層との積層構造を有するホースであって、上記補強糸層が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が下記の(A)〜(C)を含有する処理液により表面処理されているという構成をとる。
(A)マレイン酸系ポリマー。
(B)1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩。
(C)有機溶剤。
【0009】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その過程で、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等のゴム材と、補強糸との接着性が向上するよう研究を重ねた結果、上記補強糸として、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸を用い、かつその表面に対し、マレイン酸系ポリマーと、1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(以下、「DBU塩」という)とを有機溶剤に溶解してなるホルマリンレスの処理液を用いて表面処理することを試みた。その結果、上記処理液の作用によりゴム材と補強糸との間に強固な接着力が得られ、しかも、上記処理後の補強糸表面には、従来の接着剤にみられたべたつきが殆どなくなったことから、補強糸の解除性も良くなって均一な緊迫力で編組することができ、優れたシール性を有するホースが得られるようになり、本発明に到達した。
【0010】
上記のようになる理由は、つぎのように推察される。すなわち、上記処理液中のマレイン酸系ポリマーは、その分子鎖中にマレイン酸基あるいは無水マレイン酸基を有しており、その箇所が、DBU塩による反応促進によって接着官能基として作用し、補強糸材料中の末端または分子鎖中のアミノ基に対し化学的に結合(アミド結合)するため、強固な接着力が得られるものと思われる。しかも、上記特定の処理液は、RFLとは異なり、溶剤溶解性を有するものであり、そのSP値(溶解度因子)も、水系のRFLと比べ、ナイロンのような合成繊維のSP値により近く、さらに、RFLよりも低粘度であるため、付着量のバラツキが低減され、その結果、接着性が安定していると思われる。このときの補強糸断面を顕微鏡により観測したところ、従来のように、RFLの塗布により上記補強糸の表面処理を行った場合では、図3に示すように、補強糸14の一本一本の繊維15の内部にまではRFL16を含浸させることができておらず、そのため、表面がべたついていたのに対し、上記特定の処理液より行った場合では、図2に示すように、補強糸4の一本一本の繊維5の内部5aにまで処理液が浸透しているのが確認された。したがって、この浸透により、べたつきが低減し、接着性も向上し、補強糸の柔軟化も図られ、その結果、RFLを用いたものよりも高性能のホースが得られるようになったと思われる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明のホースは、ゴム層と、補強糸層との積層構造を有する2層以上の構造であれば、特に限定はなく、例えば、ゴム層(内側ゴム層)と補強糸層とゴム層(外側ゴム層)とからなる3層構造(内側ゴム層/補強糸層/外側ゴム層)のホース等があげられる。そして、上記補強糸層が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が特定の処理液により表面処理されていることが、本発明の最大の特徴である。
【0013】
上記ゴム層の形成材料としては、特に限定されないが、拡径した際に亀裂が生じにくく引裂き強度の高いことから、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM),ブチルゴム(IIR),エチレン−プロピレンゴム(EPM)等が好ましく用いられる。また、接着性に優れることから、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)等も用いることができる。なかでも、内側ゴム層用材料としては、引裂き強度がより高く、しかも、耐熱性、耐不凍液性に優れることから、EPDMがより好ましい。
【0014】
上記ゴム層の形成材料には、必要に応じて、カーボンブラック、プロセスオイル等を配合することが好ましく、また、老化防止剤、加工助剤、架橋促進剤、白色充填剤、反応性モノマー、発泡剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
【0015】
上記ゴム層とともに積層形成される補強糸層は、先にも述べたように、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が特定の処理液により表面処理されている。そして、上記特定の処理液は、マレイン酸系ポリマー(A成分)と、DBU塩(B成分)と、有機溶剤(C成分)とを用いて調製することができる。
【0016】
上記マレイン酸系ポリマー(A成分)としては、マレイン酸あるいは無水マレイン酸を主要成分とする直鎖状の重合体であれば特に限定はなく、例えば、マレイン酸の単独重合体、部分的に無水マレイン酸基を有するマレイン酸重合体、イソブテン・無水マレイン酸共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に、無水マレイン酸系共重合体を用いると、より優れた接着性が得られるため、好ましい。
【0017】
上記マレイン酸系ポリマー(A成分)とともに用いられるDBU塩(B成分)としては、特に限定されるものではないが、DBUのカルボン酸塩やDBUのフェノール塩が好適に用いられる。上記DBUのカルボン酸塩としては、DBUのナフトエ酸塩やソルビン酸塩が好ましい。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0018】
上記DBU塩(B成分)の配合割合は、上記マレイン酸系ポリマー(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜10部の範囲内が好ましい。すなわち、B成分が1部未満であると、DBU塩による反応促進効果が奏されず、ゴム層や補強糸層との接着性が充分なものとはならないからであり、逆にB成分が10部を超えると、補強糸の劣化、高コストおよびホースの柔軟性に劣る傾向がみられるからである。
【0019】
上記A成分およびB成分とともに用いられる有機溶剤(C成分)としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に、トルエンを用いることが、上記各材料に対する溶解性の点で好ましい。
【0020】
上記有機溶剤(C成分)の配合割合は、上記マレイン酸系ポリマー(A成分)100部に対して、100〜1000部の範囲内が好ましい。すなわち、C成分が100部未満であると、粘性が高くなり過ぎ、塗布ムラを生じるおそれがあるからであり、逆にC成分が1000部を超えると、粘性が低くなり過ぎ、付着量が少なくなり、接着性の低下を招くからである。そして、この有機溶剤(C成分)に溶解されてなる特定の処理液は、粘度を0.02〜0.5Pa・sにすることが、塗工性等の点で好ましい。
【0021】
上記補強糸層を形成する補強糸としては、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製のものであれば、特に限定はなく、例えば、アラミド(芳香族ポリアミド)糸、ナイロン6,ナイロン66等のナイロン(ポリアミド)糸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐熱性に優れる点で、アラミド糸が好適に用いられる。
【0022】
上記補強糸の編組方法は、特に限定はなく、例えば、スパイラル編み、ブレード編み等があげられる。
【0023】
つぎに、本発明のホースの製法について、図1に示すホースを用いて具体的に説明する。すなわち、まず、EPDM等のゴム材料と、必要に応じ、カーボンブラック、プロセスオイル等とを配合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより、ゴム層用材料(内側ゴム層用、外側ゴム層用)を調製する。また、先に述べたA〜C成分を所定の割合で配合し、混合・攪拌することにより、特定の処理液を準備する。そして、ゴム層用材料(内側ゴム層用)を押出成形した後、この表面に、所定の補強糸をスパイラル状に巻き付けて補強糸層2を形成する。さらに、この補強糸層2の外周面に、上記特定の処理液をスプレーコーティング等の従来公知の手法により塗布し、ついで、ゴム層用材料(外側ゴム層用)を押出成形した後、これらを所定の条件で加熱することにより、内側ゴム層1の外周面に補強糸層2が一体形成され、この補強糸層2の外周面に外側ゴム層3が一体形成されてなる3層構造(内側ゴム層1/補強糸層2/外側ゴム層3)のホース(図1参照)を得ることができる。
【0024】
上記特定の処理液は、上述のように、補強糸を編組して補強糸層を形成した後、その補強糸層の表面に対し塗布して表面処理を行ってもよいが、補強糸を上記特定の処理液にて予めディップ処理し、それを編組して補強糸層を形成してもよい。その際、ゴム層の押出し工程時にディップ処理を併せて行うことにより、工程が簡略化される。なお、内側ゴム層1と補強糸層2との界面に対し、上記特定の処理液の塗布を行ってもよい。
【0025】
このようにして得られるホースの寸法は、特に限定されるものではなく、外径は、通常、8〜50mm程度であり、ホースの総厚み(ホース壁厚)は、通常、1.8〜6mm程度である。また、ホースを構成する各層の厚みも、各層の目的とする機能が充分に達成され得るような範囲内であれば特に限定はなく、例えば、内側ゴム層1の厚みは、通常、1〜4mm程度であり、外側ゴム層3の厚みは、通常、0.8〜2mm程度である。
【0026】
なお、本発明のホースは、図1に示すような、3層構造(内側ゴム層1/補強糸層2/外側ゴム層3)に限定されるものではなく、先に述べたように、ゴム層と、補強糸層との積層構造を有する2層以上の構造であれば、特に限定されるものではない。
【0027】
このようにして得られた本発明のホースの用途は、特に限定はないが、自動車等の車両におけるエンジンとラジエーターとの接続に用いられるラジエーターホース,エンジンとヒーターコアとの接続に用いられるヒーターホース等のエンジン冷却系ホース、クーラー用冷媒輸送ホース、メタノール燃料ホース,水素燃料ホース等の燃料電池車用ホース、ガソリン燃料ホース等の自動車用ホースとして好適に用いることができる。なお、EPDMもしくはEPMは耐ガソリン性に劣るため、本発明のホースをガソリン燃料ホースとして用いる場合は、上記EPDM等のゴム層は、ガソリンと直に接することがないように、内層以外の構成層(例えば、外層)として用いることが望ましい。
【0028】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0029】
【実施例】
〔補強糸層用処理液の調製〕
マレイン酸系ポリマー(サンボンド VP−9420、エスアンドエスジャパン社製)100部と、DBU塩(DA−500、ダイソー社製)5部と、トルエン400部とを混合し、分散させて、処理液を調製した(粘度:0.3Pa・s)。
【0030】
〔内側ゴム層用材料の調製〕
EPDM(エスプレン532、住友化学工業社製)100部と、ZnO(酸化亜鉛2種、三井金属鉱業社製)5部と、ステアリン酸(ルーナックS−30、花王社製)1部と、カーボンブラック(シーストSO、東海カーボン社製)100部と、軟化剤(ダイアナプロセスPW−380、出光興産社製)50部と、促進剤(サンセラーTT、三新化学工業社製)4部と、硫黄(イオウ−PTC、大都産業社製)1部とを配合し、ロールを用いて混練して、内側ゴム層用材料を調製した。
【0031】
〔外側ゴム層用材料の調製〕
上記内側ゴム層用材料と同様の組成を、同様の割合で配合し、ロールを用いて混練して、外側ゴム層用材料を調製した。
【0032】
〔ホースの作製〕
まず、上記調製により得られた内側ゴム層用材料を押出成形した後、この表面に編組機を用いて、上記調製により得られた補強糸層用処理液によりディップ処理がなされた補強糸(アラミド糸)をスパイラル状に巻き付けて補強糸層を形成した。ついで、この補強糸層の外周面に、上記調製により得られた外側ゴム層用材料を押出成形した後、これらを150℃で30分間加熱することにより、内側ゴム層(厚み2.4mm)の外周面に補強糸層が一体形成され、さらにこの補強糸層の外周面に外側ゴム層(厚み1.4mm)が一体形成されてなるホース(内径:16mm)を作製した。
【0033】
【比較例1】
ラテックス(ニポール2518FSA、日本ゼオン社製)100部と、ホルマリン(35%品)2.7部と、レゾルシン(スミカノール700、住友化学工業社製)8.3部と、NaOH0.8部と、水166部とを混合し、分散させて、処理液を調製した(粘度:0.1Pa・s)。そして、これを、実施例1の補強糸層用処理液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にしてホースを作製した。
【0034】
【比較例2】
ゴム系接着剤(サンボンド VP−500、粘度:0.8Pa・s、エスアンドエスジャパン社製)を用意し、これを、実施例1の補強糸層用処理液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にしてホースを作製した。
【0035】
このようにして得られた実施例品および比較例品のホースを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1に示した。
【0036】
〔接着性〕
上記各ホースから、補強糸層とゴム層(内側ゴム層)の積層構造を切り出し、これを引張試験機(JIS B 7721)に取り付けて、ゴム層側を固定して補強糸層側を毎分50mmの速度で引張り、接着力(N/30mm)を測定した。また、その際に補強糸層とゴム層との剥離状態も目視により観察し、ゴム層が破壊したものを○、補強糸層とゴム層の界面が剥離したものを×として評価した。
【0037】
〔補強糸の解除性〕
上記各ホースの補強糸層に用いられる補強糸(各処理液によるディップ処理済の補強糸)を、コーン(円柱の筒)に巻き揃え、その後、上記補強糸を定速(100m/min)で引き取り、その際のテンションを、メカニカルテンションメーター(ZD2−300、シュミット社製)により測定した。そして、その値が0.5N未満を示したものを○、0.5N以上を示したものを×として評価した。
【0038】
〔シール性〕
上記各ホースの両端に金属製口金を取り付けた後、ホース内に冷却水(LLC)を充填した。そして、ホースの片端より、0.2MPaの圧力をホース内の冷却水に加えた際の、冷却水の洩れの状況を目視観察した。評価は、冷却水の洩れ等の異常がないものを○、口金部に冷却水のにじみがあるものを△、冷却水の洩れがあるものを×とした。
【0039】
【表1】
【0040】
上記結果より、実施例品のホースは、接着性試験においてゴム層破壊が生じることから、層間接着力が極めて高く、さらに、実施例品のホースは、補強糸層における補強糸の解除性に優れ、べたつきが殆どみられないことから、均一な緊迫力で補強糸層が編組され、さらにシール性にも優れていることがわかる。
【0041】
これに対して、比較例1品のホースでは、高い層間接着力が得られたが、RFLのべたつきの高さにより、補強糸層における補強糸の解除性に劣り、補強糸を編組する際の緊迫力にもバラツキが生じたため、シール性にもやや劣ることがわかる。比較例2品は、補強糸層とゴム層との接着に、通常のゴム系接着剤が用いられているが、実施例品に比べて、接着力が低く、界面剥離が生じ、また、補強糸の解除性やシール性にも劣ることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明のホースは、ゴム層と、補強糸層との積層により形成され、上記補強糸層が、所定の合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が特定の処理液により表面処理されている。そのため、高い層間接着力が得られるとともに、補強糸の解除性にも優れることから、均一な緊迫力で編組することができ、優れたシール性を得ることができる。さらに、本発明のホースは、ホルマリンレスであるため、人体や環境に悪影響を与えるおそれもない。
【0043】
特に、芳香族ポリアミド糸、ポリアミド糸等を用いて上記補強糸層を形成すると、ゴム層と補強糸層との接着力がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホースの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のホースの補強糸層に用いられる処理液により表面処理を行った補強糸の模式断面図である。
【図3】RFLにより表面処理を行った補強糸の模式断面図である。
【符号の説明】
1 内側ゴム層
2 補強糸層
3 外側ゴム層
Claims (2)
- ゴム層と、補強糸層との積層構造を有するホースであって、上記補強糸層が、末端または分子鎖中のアミノ基を有する合成繊維製の補強糸の編組によって形成され、かつ補強糸が下記の(A)〜(C)を含有する処理液により表面処理されていることを特徴とするホース。
(A)マレイン酸系ポリマー。
(B)1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩。
(C)有機溶剤。 - 上記補強糸が、芳香族ポリアミド糸またはポリアミド糸の少なくとも一種である請求項1記載のホース。
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JP2007196611A (ja) * | 2006-01-30 | 2007-08-09 | Meiji Flow Systems Co Ltd | 流体用ホース |
CN100447473C (zh) * | 2006-12-29 | 2008-12-31 | 河北澳通橡胶制品有限公司 | 一种冷轧机乳液专用复合胶管及其制备方法 |
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