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JP2004149589A - 芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族ポリアミドと芳香族ポリイミドとを複合化させた繊維あるいはフィルム等の成形体の前駆体となる芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の安定した混合溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液を調製する際に、それぞれのポリマー溶液および水と共沸する溶媒からなる混合物を加熱蒸留して、系内の水および溶媒を留去しながら攪拌混合する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法に関するものである。より詳しくは、芳香族ポリアミドと芳香族ポリイミドとを複合化させた繊維あるいはフィルム等の成形体を製造する際の前駆体に好適な安定した芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリアミド樹脂は、剛直な芳香族環をアミド結合で連結させた構造をとり、耐熱性、機械特性、耐薬品性等に優れた素材として、繊維あるいはフィルムの形態で電気絶縁材料、各種補強剤、防弾繊維等、幅広く利用されており工業的に極めて価値の高い素材の一つである。一方、芳香族環の結合部位がイミド構造である芳香族ポリイミド樹脂も、その優れた耐熱性や機械特性を生かして電子実装用途を始めとする薄層電子部品の構成材料等への実用化が行われている。このように、近似した化学構造をとる両ポリマーはそれぞれの分野で用途展開が進んでいるものの、両ポリマーからなる樹脂組成物や分子レベルで複合化させた複合化物については、ほとんど検討されていない。芳香族ポリアミドが用いられる各種用途では、さらに高いヤング率が好まれている分野は多いにもかかわらず、ポリアミドよりさらに剛直で理論弾性率の高い芳香族ポリイミドを補強剤として、ポリアミドと複合化して用いようとする試みはこれまでほとんど報告されていなかった。
【0003】
その原因の一つとして、製造方法の困難さがあるものと思われる。一般に、芳香族ポリイミド樹脂は溶媒に不溶である。従って、ポリイミドは通常、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略する)等のアミド系溶媒の存在下、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる芳香族ポリアミック酸溶液をその前駆体として利用しており、例えばそれを溶液キャストした後、加熱によりアミック酸を脱水閉環してポリイミドのフィルムを得る、というプロセスをとる。かかるように、前駆体であるポリアミック酸はポリアミドと同じくアミド系溶媒の溶液として得られるため、ポリアミド/ポリイミド複合体を得るには前駆体溶液の状態で芳香族ポリアミド溶液と混合させることが容易に考えられる。ポリアミドとポリアミック酸の混合溶液については、これまでいくつか報告されているが(特許文献1あるいは特許文献2)、いずれも芳香族ポリアミドに関しては単離したもの溶媒に溶解してポリアミド溶液として用いている。というのもポリアミドもNMP等のアミド系溶媒の存在下、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸クロライドとを反応させて得られるが、そのまま得られた溶液をポリアミック酸と混合させた場合、該溶液同士はお互いよく混じり合い均一溶液となるものの、単純に混ぜ合わせただけでは得られる混合溶液が不安定になるという問題があった。高温状態にするあるいは室温状態でも、時間の経過により溶液粘度が低下してしまう。これは混合溶液中に存在する水によりポリアミック酸が加水分解を受けるためと推定されるが、その水分は主として芳香族ポリアミド溶液に由来するものである。一般にポリアミドの重合の際に発生する塩酸は水酸化カルシウムや水酸化リチウム等の無機アルカリ塩により中和処理されるため、その結果生成する一定量の水がポリアミド溶液中に存在しているからである。
【0004】
上記の事情により、通常得られる芳香族ポリアミド溶液を用いて、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の安定した混合溶液を得るには、溶液中の水分を除去することが必要である。水の除去方法にはいくつかの方法があるが、水と共沸する溶媒を加えて共沸蒸留により取り除く方法が知られている。例えば芳香族ポリアミック酸を、溶液状態で加熱イミド化させる際に生成する水を除去する方法として、ポリアミック酸溶液に新たに共沸溶媒を加えて加熱閉環させる方法が報告されている(例えば非特許文献1参照)。またポリアミド溶液の場合でも、共沸溶媒を用いた例が報告されている(特許文献3参照)。このように芳香族ポリアミド溶液、または芳香族ポリアミック酸溶液単独の場合では、共沸溶媒を用いた例はあるものの、両者の混合溶液を製造する方法は未だかつて報告されておらず、いかにして安定した混合溶液を製造するかその探索が必要とされていた。
【0005】
【非特許文献1】
Andrew E.Feiringら Macromolecules 1993,26,2779での2781ページ、Solution Polyimide欄
【0006】
【特許文献1】
特公平01−29383号公報 第2項
【0007】
【特許文献2】
特開平09−143282号公報 第5項
【0008】
【特許文献3】
特開昭60−35946号公報 第1頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸からなる溶液において、高温状態でも溶液粘度の低下が抑制された安定した混合溶液の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、芳香族ポリアミド溶液と芳香族ポリアミック酸溶液の混合方法をいろいろと検討した。その結果、それぞれのポリマー溶液に水と共沸する溶媒を加えた混合物を、加熱して蒸留しながら攪拌混合する方法が最も効率よく安定した両者の混合溶液を製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち本発明は、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液を調製する際に、それぞれのポリマー溶液および水と共沸する溶媒からなる混合物を加熱蒸留して系内の水および溶媒を留去しながら攪拌混合することを特徴とする、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法である。
【0012】
かかる際の好ましい芳香族ポリアミック酸として、実質的にp−フェニレンジアミンとピロメリット酸二無水物の反応で得られたものが挙げられる。また、水と共沸する溶媒としてN−シクロヘキシル−2−ピロリドンを好ましく挙げることが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
本発明にて用いられる芳香族ポリアミドとは、芳香族環をアミド結合で連結させたものである。ポリアミドは通常アミド系溶媒の存在下、芳香族ジカルボン酸クロライドと芳香族ジアミンとを反応させる溶液重合法により合成される。
【0015】
芳香族ジカルボン酸クロライドとして具体的には、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。
【0016】
芳香族ジアミンとして具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0017】
これらの組合せのうち、コスト面、得られるポリマーの溶解性、物性面のバランスを考慮すると、ジカルボン酸クロライド成分としてテレフタル酸クロライドを用い、ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン単独あるいはp−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組成物を用いた芳香族ポリアミドを好ましく挙げることが出来る。
【0018】
芳香族ポリアミドの分子量は、重合に用いるジアミンとジカルボン酸クロライドの比により制御できるが、ジアミンに対するジカルボン酸クロライドのモル比で、0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05の範囲で、用いることが好ましい。
【0019】
また、かかる重合反応の際に用いられる溶媒としては、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミドおよびこれらの混合溶媒を挙げることが出来るが、実用上NMPが好ましく用いられる。ポリマー濃度としては、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0020】
該重合反応では、結果として塩酸を生じるので重合反応後、通常中和剤として水酸化カルシウム、水酸化リチウム等の無機アルカリ塩を加えて中和反応を行い、その結果所定量の水が生成する。
【0021】
本発明で用いられる芳香族ポリアミック酸とは、芳香族環がアミック酸の形で結合されたものであり、アミド系溶媒の存在下、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させることにより得られる。
【0022】
上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物などが挙げられる。また芳香族ジアミンとして具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。これらの組合せの中でも、p−フェニレンジアミンとピロメリット酸二無水物の反応で得られる芳香族ポリアミック酸が、剛直性が極めて高いという物性面および経済性の両面で優れており、芳香族ポリアミドとの複合化という点から好ましく挙げることが出来る。
【0023】
重合により得られる芳香族ポリアミック酸の分子量は、これらジアミンとテトラカルボン酸二無水物の比により制御できるが、ジアミンに対するテトラカルボン酸二無水物のモル比で、0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05の範囲で、用いることが好ましい。
【0024】
芳香族ポリアミック酸は、芳香族ポリアミドと同様にアミド系溶媒の存在下、溶液重合により得られる。かかる際に用いる溶媒としては、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミドおよびこれらの混合溶媒を挙げることが出来るが、実用上NMPが好ましく用いられる。ポリマー濃度としては、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。重合は発熱反応であり、低温で行われる。
【0025】
混合溶液内の芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の組成は特に制限はなく、任意の割合で両ポリマーの混合溶液を作成することが可能であるが、剛直なポリイミドと複合化することによりポリアミドの機械特性を強化することを考えた場合、芳香族ポリアミック酸成分が、ポリマー成分全体の2〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である混合溶液を好ましく挙げることが出来る。
【0026】
本発明では両ポリマーの混合溶液を製造するにあたり、まずポリアミド溶液とポリアミック酸溶液に、水と共沸する溶媒を加えた混合物を作ることになる。両ポリマーそれぞれの溶液は、同一の溶媒であることが好ましく、どちらもNMPであることがさらに好ましい。
【0027】
水と共沸する溶媒として、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどを例示することが出来る。これらの中でもN−シクロヘキシル−2−ピロリドンは、それ自身がアミド系溶媒でもあるので溶液に添加してもポリマーの溶解性を妨げず、また水と相溶性があるので、該混合溶液を湿式製膜あるいは湿式紡糸にかける場合、通常水とNMPからなる凝固浴にも容易に溶解するため好ましい溶媒と言える。
【0028】
水と共沸する溶媒の添加量は、溶液内に存在する水の量や溶媒の種類により異なり特に制限はないが、共沸により完全に水を取り除ける量でかつ、両ポリマーが析出しない範囲であり、通常ポリアミド溶液とポリアミック酸溶液をあわせた溶液量に対して1〜150重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲で選ばれる。
【0029】
本発明の、ポリアミド溶液、ポリアミック酸溶液、水と共沸する溶媒からなる混合物を作る際は、ポリアミック酸の分解を抑制するため不活性ガス雰囲気下で出来る限り低い温度で混合することが好ましい。実用性も考慮すると0〜30℃の範囲で行うことが好ましい。一般にポリアミド溶液、ポリアミック酸溶液はどちらも極めて粘度が高く、かかる低温で混ぜて単に攪拌するだけでは両者の溶液を完全に相溶させるのは困難であるが、本発明ではこの状態でさらに上記共沸溶媒を加え、低温から徐々に加熱しながら攪拌混合させ、同時に蒸留により水および溶媒を留去する。この方法により、ポリアミド溶液中に存在する水分だけでなく、ポリアミック酸溶液由来の水分も同時に完全に除くことが出来るので、混合後も加水分解による溶液粘度低下が抑制された、極めて安定した混合溶液を作成することが可能である。
【0030】
蒸留は不活性ガス雰囲気下、常圧で行うことも可能ではあるが、ポリアミック酸の分解を抑制するために出来る限り温度を上げずに速やかに水を留去することが好ましく、従って減圧下で行うことが好ましい。かかる際あまり温度を上げすぎるとポリアミック酸のイミド化反応が進行し、溶媒に不溶化することにより析出あるいはゲル化を引き起こすことがあるので好ましくなく、それとは逆に温度をあまり上げないと、蒸留による水の除去が充分に進まず好ましくない。具体的には蒸留しながら攪拌混合する際の系内の混合物の温度としては、60℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、この際留分として共沸混合物の後にもともとのアミド系溶媒、例えばNMP自体が一部留去することになっても何ら差し支えなく、従って留去量によりポリマー濃度を調整することも可能である。
【0031】
かくして得られた混合溶液における全ポリマー濃度は、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは4〜15重量%である。
【0032】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0033】
製造例および実施例で用いた溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンは、蒸留精製を行い充分に乾燥したものを用いた。テレフタル酸クロライド、ピロメリット酸二無水物は、試薬として購入したものをそのまま用いた。p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルは、試薬として購入したものを蒸留精製して用いた。
【0034】
実施例及び比較例で行った溶液粘度は以下のようにして測定した。
溶液粘度: 東機産業(株)製のB型粘度計(VTB−250,B8U型)を用いた。カップに溶液を加え窒素雰囲気下、回転数0.5rpmで測定した。
【0035】
[製造例1]
窒素雰囲気下でp−フェニレンジアミン5.41g、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル10.01gをN−メチル−2−ピロリドン490mLに溶解し、この溶液を0℃まで冷却した後、激しく攪拌しながらテレフタル酸クロライドの粉末20.30gを加えた。溶液は発熱しながら徐々に粘度が上昇していき透明な高粘度溶液となった。テレフタル酸クロライドを加えてから3時間後から昇温を開始し、オイルバス温度が70℃に達してからさらに2時間攪拌した。この後、水酸化カルシウム7.41gをNMP20gに分散させたスラリーを添加してさらに70℃で1時間攪拌し、副生した塩酸を中和した後、室温まで冷却した。かくして得られた芳香族ポリアミド溶液の溶液粘度は、30℃で37,000ps(ポイズ)であった。
【0036】
[製造例2]
窒素雰囲気下でp−フェニレンジアミン5.41gをN−メチル−2−ピロリドン380mLに溶解し、この溶液を0℃まで冷却した後、激しく攪拌しながら無水ピロメリット酸二無水物の粉末10.91gを加えた。溶液は発熱しながら徐々に粘度が上昇していき透明な高粘度溶液となった。0℃に冷却したまま、無水ピロメリット酸二無水物を添加後3時間攪拌した。かくして得られた芳香族ポリアミック酸溶液の溶液粘度は、30℃で3,000psであった。
【0037】
[実施例1]
製造例1で得られたポリアミド溶液300gと製造例2で得られたポリアミック酸溶液125gを窒素雰囲気下、25℃で混合し、これにさらにN−シクロヘキシル−2−ピロリドン100mLを加えた。かかる混合物を、約15〜20mmHgの減圧状態になるよう真空ポンプで減圧にしながら攪拌し、同時に25℃から昇温を開始した。昇温開始して40分後にオイルバスの温度は100℃に達し、そのまま100℃でさらに1時間攪拌してポリアミド/ポリアミック酸=75/25(重量比)の均一透明な混合溶液を得た。この間、蒸留により留去した溶媒量は31.5gであった。この混合溶液の溶液粘度は、30℃で11,200psであった。さらに窒素雰囲気下、100℃においてB型粘度計のカップ内に測定溶液を入れてローターを攪拌しながら溶液粘度の経時変化を測定したところ、測定開始後30分後で320ps、2時間後でも310psでほとんど変化がなく、高温でも安定な溶液であることが分かった。
【0038】
[実施例2]
ポリアミド溶液量を360g、ポリアミック酸溶液量を50gに変更した他は、実施例1と同様にして、混合および減圧蒸留を行いポリアミド/ポリアミック酸=90/10の(重量比)の均一透明溶液を得た。この間、蒸留により留去した溶媒量は36.2gであった。この混合溶液の溶液粘度は、30℃で18,000psであった。さらに実施例1と同じく窒素雰囲気下、100℃での溶液粘度の経時変化を測定したところ、測定開始後30分後で540ps、2時間後でも540psでほとんど変化がなく、高温でも安定な溶液であることが分かった。
【0039】
[比較例1]
実施例1と同様に、製造例1で得られたポリアミド溶液300gと製造例2で得られたポリアミック酸溶液125gを窒素雰囲気下、25℃で混合した。この後は実施例1と異なり、そのまま窒素雰囲気下25℃の状態で2時間攪拌し、ポリアミド/ポリアミック酸=75/25(重量比)の均一透明な混合溶液を得た。この混合溶液の溶液粘度は、30℃で14,800psであった。さらに実施例1と同じく窒素雰囲気下、100℃においてローターを攪拌しながら溶液粘度の経時変化を測定したところ、測定開始後30分後で160psと低く、さらに2時間後には70psとなり、高温での粘度低下が顕著であることが分かった。
【0040】
[比較例2]
実施例1にて最初に加えたN−シクロヘキシル−2−ピロリドン100mLをN−メチル−2−ピロリドン100mLに変更した他は、実施例1と同様にして、混合および減圧蒸留を行いポリアミド/ポリアミック酸=75/25(重量比)の均一透明溶液を得た。この間、蒸留により留去した溶媒量は25.6gであった。この混合溶液の溶液粘度は、30℃で2700psと実施例1に比べて大幅に低下してしまい、繊維紡糸用の溶液として不適当なものであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明により、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の安定した混合溶液を得ることが出来る。該溶液は、高温においてもポリアミック酸の加水分解による溶液粘度の低下が抑えられるため、芳香族ポリアミドと芳香族ポリイミドとを複合化させた繊維あるいはフィルム等の成形体を製造する際に、その前駆体溶液として有効である。

Claims (3)

  1. 芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液を調製する際に、それぞれのポリマー溶液および水と共沸する溶媒からなる混合物を加熱蒸留して、系内の水および溶媒を留去しながら攪拌混合することを特徴とする、芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法。
  2. 芳香族ポリアミック酸が、実質的にp−フェニレンジアミンとピロメリット酸二無水物の反応で得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法。
  3. 水と共沸する溶媒として、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンを加えることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドと芳香族ポリアミック酸の混合溶液の製造方法。
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