JP2004144118A - 転動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい転動装置を提供する。
【解決手段】ステアリン酸リチウムを増ちょう剤として含有するとともに、JIS K 2220 5.7に規定される離油度(測定条件は100℃,24時間)が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gであるグリース組成物Gを、深溝玉軸受の内部に封入+した。
【選択図】 図1
【解決手段】ステアリン酸リチウムを増ちょう剤として含有するとともに、JIS K 2220 5.7に規定される離油度(測定条件は100℃,24時間)が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gであるグリース組成物Gを、深溝玉軸受の内部に封入+した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい転動装置に係り、特に、コンピュータ等に使用されるハードディスクドライブ(HDD)や各種事務機器等に好適な転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD,フレキシブルディスクドライブ(FDD),コンパクトディスクドライブ(CDD),光磁気ディスクドライブ(MOD),ビデオテープレコーダ(VTR)等のような情報機器に用いられる転がり軸受には、一般に、高速回転においても発塵(飛散)が少ないこと、トルクが小さいこと、音響性能が優れていること、長寿命であること等の各種性能が要求される。
【0003】
特に、清浄な雰囲気下で使用されるHDDにおいては、回転時に軸受内部からガス状の油やグリースの微小な粒子が飛散すると、ディスクの表面を汚染して誤作動の原因となるため、発塵量を抑えることが最も重要なこととされている。
転がり軸受に前述のような優れた各種性能を付与するためには、優れた性能を有するグリース組成物を軸受内部に充填する必要がある。このようなグリース組成物としては、例えば、添加剤として極圧剤を含有するもの(特許文献3及び4を参照)や、フレッチングの抑制に有効とされるウレア化合物を増ちょう剤として使用したものが従来知られていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−9489号公報
【特許文献2】
特願2002−204469号明細書
【特許文献3】
特開2001−139969号公報
【特許文献4】
特開2001−139979号公報
【特許文献5】
特開2000−199526号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多くの極圧剤は硫黄を含有する化合物であるため、十分な極圧効果が得られる量の極圧剤を含有するグリース組成物を転がり軸受に使用した場合には、転がり軸受の回転時に硫黄を含有するガスが発生するおそれがあった。HDDをはじめとする多くの装置においては、硫黄を含有するガスが微量でも発生すると不都合が生じるおそれがあるので、極圧剤の含有量は極微量であることが望まれている。
【0006】
また、ウレア化合物を増ちょう剤として使用したグリース組成物は、耐熱性や耐久性には優れるものの、該グリース組成物を充填した転がり軸受の音響性能が不十分であることが多い。このため、僅かな騒音でも商品価値を低下させる場合がある機器(例えばエアコンディショナー用のファンモータ等)においては、ウレア化合物を増ちょう剤として使用したグリース組成物を充填した転がり軸受は使用されない場合が多かった。
【0007】
一方、近年、前記情報機器に用いられる転がり軸受には、前述のような各種要求性能とともにフレッチングが生じにくいという性能が要求されるようになってきている。
前記情報機器は、運搬時又は携帯時に振動を受ける。また、近年、自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに前記情報機器が使用されるようになってきたため、前記情報機器が受ける振動はより大きくなってきている。
【0008】
情報機器に用いられている玉軸受,ころ軸受等の転がり軸受は、情報機器の運搬時等において生じる5〜10ヘルツ程度の低い周波数の振動によって、転がり軸受内の転動体(ボール又はころ)と軌道輪の軌道面とが損傷を受けて劣化しやすい。このようなフレッチングという現象が起きると、転がり軸受の音響性能が悪くなるばかりでなく、情報機器の性能そのものにも悪影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
他方、グリースの離油度と該グリースを封入した軸受に生じるフレッチングの程度との関係を実験により調べたところ、グリースの離油度が高い方が軸受にフレッチングが生じにくい傾向があることが分かった。実験の内容は以下の通りである。極圧剤を含まない市販のグリースを封入した軸受と、該グリースから抽出した基油を内部に滴下した軸受とについて回転試験を行った。この回転試験は、2個の軸受を備えるスピンドルを用い、ASTM D 4169−99に規定される振動条件で行った。そして、回転試験前後の軸受の音響性能により、軸受に生じたフレッチングの程度を調査した。
【0010】
その結果、基油を滴下した軸受は、回転試験前後ともに軸受の音響性能は良好であったのに対して、グリースを封入した軸受は、回転試験後にはキズ音が観測され軸受の音響性能が低下していた。このことから、前述したように、グリースの離油度が高い方が軸受にフレッチングが生じにくい傾向があることが示唆された。
【0011】
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい転動装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備える転動装置において、前記グリース組成物は、炭素数10以上の高級脂肪酸のリチウム塩であるリチウム石けんを増ちょう剤として含有するとともに、JISK 2220 5.7に規定され、100℃,24時間という条件で測定された離油度が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gであることを特徴とする。
【0013】
このような転動装置は、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい。
リチウム石けんの構成成分である高級脂肪酸の炭素数が10未満であると、増ちょう剤の結晶構造が強固となるため、グリース組成物の離油度を前述のような範囲とすることが困難となる。なお、転動装置の音響性能が不十分となることから、金属複合石けんやウレア化合物を増ちょう剤として用いることは好ましくない。
【0014】
また、グリース組成物の離油度が8〜20質量%であれば、グリース組成物中の潤滑成分である基油が転動装置の転動体と軌道面との接触部に十分に供給されるので、グリース組成物に極圧剤を極微量しか添加しなくても、転動装置はフレッチングが生じにくい。離油度が8質量%未満であると、前記接触部に供給される基油が不十分となって、転動装置にフレッチングが生じやすくなる。一方、離油度が20質量%超過であると、基油がグリース組成物から分離しすぎるので、グリース組成物の寿命が短い、基油が転動装置の外部に漏洩する等の不都合が生じるおそれがある。
【0015】
さらに、フレッチングは、転動体と軌道面とが短いサイクルで微小な金属接触を起こすために発生するが、グリース組成物の全酸価が8〜20mgKOH/gであれば、軌道面表面や転動体表面に酸化被膜が生成するので、金属接触が緩和されてフレッチングによる損傷が抑制される。全酸価が8mgKOH/g未満であると酸化被膜の生成が不十分となり、20mgKOH/g超過であると、軌道面表面や転動体表面に対する腐食が強すぎるため、錆の発生や音響性能の劣化が生じるおそれがある。
【0016】
なお、フレッチングの発生をより効果的に抑制するためには、離油度を10〜18質量%、全酸価を10〜18mgKOH/gとすることがより好ましい。また、フレッチング防止性能をより高めるために、極圧剤や油性剤をさらに添加してもよい。
さらに、グリース組成物の混和ちょう度は330以下とすることが好ましい。リチウム石けんを増ちょう剤とするグリース組成物においては、離油度を8質量%以上にするためには、リチウム石けんの含有量を少量とする必要がある。しかしながら、そうするとグリース組成物の混和ちょう度が高くなって、転動装置から流出してしまうおそれがある。また、HDDやエアコンディショナー用ファンモータ等に使用される小型の転がり軸受に封入する場合には、グリース組成物が軟らかすぎると封入量の制御が困難となる。そして、封入量にバラツキがあると、転動装置のトルク性能にバラツキが生じることとなる。これらの問題が生じないようにするためには、グリース組成物の離油度を8質量%以上とし、且つ混和ちょう度を330以下とすることが好ましい。
【0017】
さらに、グリース組成物は、孔径1〜5μmのフィルタで濾過したものであることが好ましい。上記のようなフィルタで濾過すると、グリース組成物の離油度を8質量%以上とし、且つ混和ちょう度を330以下とすることができる。すなわち、グリース組成物を濾過すると、3次元的に絡み合って基油を保持している増ちょう剤がフィルタの細孔を通過する際に一方向に配向し、基油の保持力が低下する。フィルタの孔径を1〜5μmとすれば、混和ちょう度を上げることなく離油度を高めることができる。孔径が1μm未満であると、増ちょう剤がフィルタで濾取されてしまい混和ちょう度が上昇してしまう。一方、5μm超過では、上記のような離油度を高める効果が期待できない。また、このフィルタによる濾過によってグリース組成物中の夾雑物が除去されるので、転動装置の音響性能が高められる。なお、濾過は、油圧プレス等で加圧しながら行うとよい。
【0018】
さらに、グリース組成物は、極性を有する化合物を添加剤として含有しており、その含有量は組成物全体の4〜12質量%であることが好ましい。上記のような化合物を添加すると、該化合物が増ちょう剤と基油との間に介在し両者の結合力を弱めるため、離油度が高められる。ただし、増ちょう剤同士の結びつきまで弱めるものを添加すると混和ちょう度が大きくなるので、適切な種類の化合物を選定することが好ましい。また、グリース組成物に添加される酸化防止剤,防錆剤,腐食防止剤,油性剤,摩耗防止剤,極圧剤等の効果を併せ持つものを選択することが好ましい。
【0019】
極性を有する化合物の含有量が組成物全体の4質量%未満であると、グリース組成物の離油度を8質量%以上とすることが困難となり、12質量%超過であると、全酸価が20mgKOH/gを超えるので発錆等の問題が生じるおそれがある。
極性を有する化合物の例としては、アミン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、バリウムスルホネート,カルシウムスルホネート,アルケニルコハク酸等の防錆剤、高級脂肪酸(例えばオレイン酸やステアリン酸)等の油性剤、リン酸エステル,モリブデンジチオフォスフェート,カルバミン酸亜鉛等の極圧剤などがあげられる。また、酸性物質は、グリース組成物の全酸価を8〜20mgKOH/gとするために好適である。
【0020】
さらに、グリース組成物は、40℃における動粘度が15〜55mm2 /sである基油を含有しており、前記基油の50質量%以上はエステル油であることが好ましい。
グリース組成物に十分なフレッチング防止性能を付与し、さらに、発塵が少ない、トルク変動が小さい、音響性能が優れている、及び長寿命である、という各種性能を付与するためには、基油はエステル油を含有することが好ましい。そして、その含有量は基油全体の50質量%以上とすることが好ましく、より高い方が前記各種性能を優れたものとすることができる。エステル油の含有量が基油全体の50質量%未満であると、上記の各種性能が不十分となるおそれがあり、特に、音響性能に対する悪影響が大きい。
【0021】
基油の40℃における動粘度は、15〜55mm2 /sであることが好ましく、18〜40mm2 /sであることがより好ましい。前記下限値よりも小さいと寿命や発塵性に問題が生じるおそれがあり、前記上限値よりも大きいとトルク性能に問題が生じるおそれがある。
エステル油の例としては、炭酸エステル,ジエステル油,ポリオールエステル油,これらのコンプレックスエステル油,芳香族エステル油等があげられる。
【0022】
ジエステル油の具体例としては、アジピン酸ジイソデシル,アゼライン酸ジイソデシル,セバシン酸ジオクチル等があげられる。
また、ポリオールエステル油の具体例としては、ネオペンチルグリコールジエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状又は分岐鎖状の炭素数9個のものやオレイル基等),トリメチロールプロパントリエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状の炭素数6,7個のもの、分岐鎖状の炭素数8個のもの、イソステアリル基、オレイル基等),ペンタエリスリトールテトラエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状の炭素数6,8個のもの、分岐鎖状の炭素数8個のもの、イソステアリル基、オレイル基等),ジペンタエリスリトールヘキサエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状の炭素数6個のもの等)などである。
【0023】
さらに、芳香族エステル油の具体例としては、トリメリト酸トリオクチル,トリメリト酸トリデシル,ピロメリト酸テトラオクチル等があげられる。
これらのエステル油は、単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
さらに、転動装置が転がり軸受である場合は、内部すきまを有することが好ましい。
【0024】
正の内部すきまを有する転がり軸受を電動モータ等の装置に組み込む際に、予圧を負荷することなく組み込むと、転動体及び軌道面はまったく拘束されないから、転動体と軌道面との接触位置は自由に変化しうる状態となっている。このような状態で転がり軸受が組み込まれていると、電動モータ等の装置の運搬時,携帯時等に振動を受けても、転動体や軌道面の特定の位置に繰り返し負荷が作用することがないので、転動体や軌道面に損傷が生じても軽微である。
【0025】
また、負の内部すきまを有する転がり軸受を電動モータ等の装置に組み込む際に、予圧を負荷して組み込んで所定の接触角を有する状態とすると、転動体と軌道面とが接触し拘束された状態で組み込まれていることとなる。このような状態で転がり軸受が組み込まれていると、電動モータ等の装置の運搬時,携帯時等に振動を受けても、転動体や軌道面に繰り返し負荷が作用することがないので、転動体や軌道面に損傷が生じる可能性はほとんどない。
【0026】
ところが、正の内部すきまを有する転がり軸受を電動モータ等の装置に組み込む際に、予圧を負荷して組み込んで所定の接触角を有する状態とすると、転動体と軌道面とは接触し拘束されてはいるものの、その接触位置は移動しうる状態となっている。そうすると、電動モータ等の装置の運搬時,携帯時等に振動を受けた際に、初期の接触位置を中心として接触位置が移動を繰り返すため、初期の接触位置の近傍に繰り返し負荷が作用することとなって、フレッチングが生じやすい。
【0027】
しかしながら、本発明に係る転動装置は、前述したようにフレッチングが生じにくいので、上記のようなフレッチングが生じやすい状態で電動モータ等の装置組み込まれていてもフレッチングが生じにくく長寿命である。
なお、本発明は、種々の転動装置に適用することができ、例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等があげられる。
【0028】
本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
この玉軸受(呼び番号695、内径5mm,外径13mm,幅5mm)は、内輪1と、外輪2と、内輪1と外輪2との間に転動自在に配設された複数の玉3と、複数の玉3を保持する保持器4と、外輪2のシール溝2a,2aに取り付けられた非接触形のゴムシール5,5と、で構成されている。また、内輪1と外輪2とゴムシール5,5とで囲まれた軸受空間には12mgのグリース組成物Gが充填され、ゴムシール5により玉軸受内に密封されている。そして、このようなグリース組成物Gにより、前記両輪1,2の軌道面と玉3との接触面が潤滑されている。さらに、この玉軸受は8〜13μmの内部すきまを有している。
【0030】
このグリース組成物Gは、ステアリン酸リチウム,12−ヒドロキシステアリン酸リチウム等のようなリチウム石けんを増ちょう剤として使用しており、40℃における動粘度が15〜55mm2 /sであるエステル油を基油として使用している。そして、このグリース組成物Gは、JIS K 2220 5.7に規定される離油度(測定条件は100℃,24時間)が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gである。また、このグリース組成物Gは孔径1〜5μmのフィルタで濾過されたものであり、混和ちょう度が330以下である。
【0031】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、基油及び増ちょう剤の種類は上記のものに限定されるものではなく、また、グリース組成物Gには各種添加剤を添加してもよい。
また、本実施形態においては転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0032】
また、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
次に、上記と同様の構成の玉軸受について、音響耐久性,耐フレッチング性能,発塵性,防錆性,及びトルク性能(トルク変動)を評価した。玉軸受に封入されたグリース組成物の組成は、表1及び表2に示す通りである。なお、各表中のポリオールエステル油の40℃における動粘度は33.5mm2 /sである。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
次に、上記各種性能の評価方法及び評価結果について説明する。
〔音響耐久性試験について〕
玉軸受の音響耐久性試験は、図2の回転試験装置を使用して行った。一対の玉軸受10,10が、シャフト11と円筒状のケーシング12との間に介装されている。このとき、玉軸受10は、14.7Nの予圧が負荷された状態で組み込まれている。そして、シャフト11の外周面に固定されたステータ13と、該ステータ13にギャップを介して周面対向するようにケーシング12の内周面に固定されたロータ14と、で形成された駆動モータ15によって、シャフト11が回転駆動されるようになっている。
【0036】
このような回転試験装置に組み込まれた玉軸受10を、常温下、回転速度7200min−1で2000時間回転させた。回転終了後、回転試験装置から玉軸受10を取り外し、アンデロンメータで玉軸受10の音響性能(アンデロン値)を測定した。そして、回転前に測定したアンデロン値からの上昇量を算出し、この上昇量によって玉軸受の音響耐久性を評価した。
【0037】
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、回転後のアンデロン値が回転前の1.5倍以下であることを示す。また、○印は1.5倍超過2倍以下、△印は2倍超過3倍以下、×印は3倍超過であることをそれぞれ示す。
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、音響耐久性が非常に優れていた。これに対して、比較例3の玉軸受は、グリース組成物の全酸価が大きすぎるため音響耐久性が劣っていた。
【0038】
〔耐フレッチング性能試験について〕
はじめに、振動加速度(G値)を測定できるように改造したアンデロンメータを用いて、玉軸受の初期のG値を測定した。続いて、その玉軸受を、前述した回転試験装置に組み込んだ。そして、玉軸受にフレッチングを生じさせるべく、回転試験装置に軸方向の振動を常温下で3時間与えた。与えた振動は、周波数及び振幅がランダムに変化する振動であり、周波数は5〜150Hzの間で、振幅は0.5〜5mmの間でランダムに変化させた。なお、振動を与える間は、玉軸受は回転させない。
【0039】
振動を与えた玉軸受のG値を前述のアンデロンメータで測定して、初期のG値からの上昇量を算出した。そして、このG値の上昇量によって玉軸受の耐フレッチング性能を評価した。
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、回転後のG値が回転前の1.5倍以下であることを示す。また、○印は1.5倍超過2倍以下、△印は2倍超過3倍以下、×印は3倍超過であることをそれぞれ示す。
【0040】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、耐フレッチング性能が非常に優れていた。これに対して、比較例1,2の玉軸受はグリース組成物の離油度が小さいため、また、比較例4の玉軸受はグリース組成物の全酸価が小さいため、耐フレッチング性能が劣っていた。
〔発塵性試験について〕
前述の音響耐久性試験前後に玉軸受の質量を測定し、その差からグリース組成物の発塵量(飛散量,蒸発量)を求めた。
【0041】
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、質量減少が2mg以下であることを示す。また、○印は2mg超過4mg以下、△印は4mg超過6mg以下、×印は6mg超過であることをそれぞれ示す。
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、発塵量が極めて少なかった。これに対して、比較例3の玉軸受はグリース組成物の離油度が大きすぎるため、基油が玉軸受内部から漏洩した。
【0042】
〔防錆性試験について〕
ASTM D 1743に規定される方法により、防錆性を評価した。条件は雰囲気温度:52℃、雰囲気湿度:100%RH、時間:48時間である。
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の○印は、玉軸受に錆が全く発生しなかったことを示す。また、△印は少量の錆が発生したことを示し、×印は多くの錆が発生したことをそれぞれ示す。
【0043】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、防錆性が非常に優れていた。これに対して、比較例3の玉軸受はグリース組成物の全酸価が大きすぎるため、錆が発生した。
〔トルク性能試験について〕
図3に示すような回転トルク測定装置を用いて、玉軸受のトルク値を測定した。玉軸受20の内輪がアーバ22を介してエアスピンドル21に固定され、外輪がエアベアリング23を備えたアルミキャップ24に固定されている。そして、エアスピンドル21を回転させて玉軸受20の内輪を回転させ、回転時のトルク値をアルミキャップ24に接続したストレインケージ25で測定した。この測定値は、ストレインアンプ26及びローパスフィルタ27を経由して、レコーダ28にて記録される。回転時の玉軸受20の雰囲気温度は常温である。
【0044】
なお、トルク性能の評価においては、まず回転速度7200min−1で1時間の慣らし運転を行い、さらに10分間回転を行った。そして、この10分間におけるトルク値の変動によって、トルク性能を評価した。
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、10分間におけるトルク値の最大値と最小値との差が50×10−3N・cm以下であることを示す。また、○印は10分間におけるトルク値の最大値と最小値との差が50×10−3N・cm超過100×10−3N・cm以下であること、同じく△印は100×10−3N・cm超過150×10−3N・cm以下であること、同じく×印は150×10−3N・cm超過であることをそれぞれ示す。
【0045】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、トルク値の変動が極めて小さかった。
次に、グリース組成物の全酸価について検討した。すなわち、全酸価が異なる種々のグリース組成物を封入した玉軸受を用意して、耐フレッチング性能及び防錆性を前述と同様にして評価した。
【0046】
その結果を図4のグラフに示す。図4のグラフから、グリース組成物の全酸価が8mgKOH/g以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量が小さく、10mgKOH/g以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量がさらに小さいことがわかる。また、グリース組成物の全酸価が20mgKOH/g以下であると錆の発生量が少量であり、18mgKOH/g以下であると錆が発生しないことがわかる。
【0047】
これらの結果から、玉軸受の耐フレッチング性能及び防錆性の両方を優れたものとするためには、グリース組成物の全酸価を8〜20mgKOH/gとすることが好ましく、10〜18mgKOH/gとすることがさらに好ましいことが分かる。
次に、グリース組成物の離油度について検討した。すなわち、離油度が異なる種々のグリース組成物を封入した玉軸受を用意して、耐フレッチング性能,トルク性能,及び発塵性を前述と同様にして評価した。
【0048】
その結果を図5及び図6のグラフに示す。図5のグラフから、グリース組成物の離油度が8質量%以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量が小さく、10質量%以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量がさらに小さいことがわかる。また、グリース組成物の離油度が20質量%以下であるとトルク変動量が僅かであることがわかる。
【0049】
さらに、図6のグラフから、グリース組成物の離油度が20質量%以下であると玉軸受の質量減少量が小さく、18質量%以下であると玉軸受の質量減少量がさらに小さいことがわかる。
これらの3つの結果から、玉軸受の耐フレッチング性能,トルク性能,及び発塵性の全てを優れたものとするためには、グリース組成物の離油度を8〜20質量%とすることが好ましく、10〜18質量%とすることがさらに好ましいことが分かる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転動装置は、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】回転試験装置の構成を示す断面図である。
【図3】回転トルク測定装置の構成を示す概略図である。
【図4】グリース組成物の全酸価と、フレッチング試験後のG値上昇量及び錆の発生量と、の相関を示すグラフである。
【図5】グリース組成物の離油度と、フレッチング試験後のG値上昇量及びトルク変動量と、の相関を示すグラフである。
【図6】グリース組成物の離油度と玉軸受の質量減少量との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 玉
G グリース組成物
【発明の属する技術分野】
本発明は、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい転動装置に係り、特に、コンピュータ等に使用されるハードディスクドライブ(HDD)や各種事務機器等に好適な転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD,フレキシブルディスクドライブ(FDD),コンパクトディスクドライブ(CDD),光磁気ディスクドライブ(MOD),ビデオテープレコーダ(VTR)等のような情報機器に用いられる転がり軸受には、一般に、高速回転においても発塵(飛散)が少ないこと、トルクが小さいこと、音響性能が優れていること、長寿命であること等の各種性能が要求される。
【0003】
特に、清浄な雰囲気下で使用されるHDDにおいては、回転時に軸受内部からガス状の油やグリースの微小な粒子が飛散すると、ディスクの表面を汚染して誤作動の原因となるため、発塵量を抑えることが最も重要なこととされている。
転がり軸受に前述のような優れた各種性能を付与するためには、優れた性能を有するグリース組成物を軸受内部に充填する必要がある。このようなグリース組成物としては、例えば、添加剤として極圧剤を含有するもの(特許文献3及び4を参照)や、フレッチングの抑制に有効とされるウレア化合物を増ちょう剤として使用したものが従来知られていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−9489号公報
【特許文献2】
特願2002−204469号明細書
【特許文献3】
特開2001−139969号公報
【特許文献4】
特開2001−139979号公報
【特許文献5】
特開2000−199526号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多くの極圧剤は硫黄を含有する化合物であるため、十分な極圧効果が得られる量の極圧剤を含有するグリース組成物を転がり軸受に使用した場合には、転がり軸受の回転時に硫黄を含有するガスが発生するおそれがあった。HDDをはじめとする多くの装置においては、硫黄を含有するガスが微量でも発生すると不都合が生じるおそれがあるので、極圧剤の含有量は極微量であることが望まれている。
【0006】
また、ウレア化合物を増ちょう剤として使用したグリース組成物は、耐熱性や耐久性には優れるものの、該グリース組成物を充填した転がり軸受の音響性能が不十分であることが多い。このため、僅かな騒音でも商品価値を低下させる場合がある機器(例えばエアコンディショナー用のファンモータ等)においては、ウレア化合物を増ちょう剤として使用したグリース組成物を充填した転がり軸受は使用されない場合が多かった。
【0007】
一方、近年、前記情報機器に用いられる転がり軸受には、前述のような各種要求性能とともにフレッチングが生じにくいという性能が要求されるようになってきている。
前記情報機器は、運搬時又は携帯時に振動を受ける。また、近年、自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに前記情報機器が使用されるようになってきたため、前記情報機器が受ける振動はより大きくなってきている。
【0008】
情報機器に用いられている玉軸受,ころ軸受等の転がり軸受は、情報機器の運搬時等において生じる5〜10ヘルツ程度の低い周波数の振動によって、転がり軸受内の転動体(ボール又はころ)と軌道輪の軌道面とが損傷を受けて劣化しやすい。このようなフレッチングという現象が起きると、転がり軸受の音響性能が悪くなるばかりでなく、情報機器の性能そのものにも悪影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
他方、グリースの離油度と該グリースを封入した軸受に生じるフレッチングの程度との関係を実験により調べたところ、グリースの離油度が高い方が軸受にフレッチングが生じにくい傾向があることが分かった。実験の内容は以下の通りである。極圧剤を含まない市販のグリースを封入した軸受と、該グリースから抽出した基油を内部に滴下した軸受とについて回転試験を行った。この回転試験は、2個の軸受を備えるスピンドルを用い、ASTM D 4169−99に規定される振動条件で行った。そして、回転試験前後の軸受の音響性能により、軸受に生じたフレッチングの程度を調査した。
【0010】
その結果、基油を滴下した軸受は、回転試験前後ともに軸受の音響性能は良好であったのに対して、グリースを封入した軸受は、回転試験後にはキズ音が観測され軸受の音響性能が低下していた。このことから、前述したように、グリースの離油度が高い方が軸受にフレッチングが生じにくい傾向があることが示唆された。
【0011】
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい転動装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備える転動装置において、前記グリース組成物は、炭素数10以上の高級脂肪酸のリチウム塩であるリチウム石けんを増ちょう剤として含有するとともに、JISK 2220 5.7に規定され、100℃,24時間という条件で測定された離油度が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gであることを特徴とする。
【0013】
このような転動装置は、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい。
リチウム石けんの構成成分である高級脂肪酸の炭素数が10未満であると、増ちょう剤の結晶構造が強固となるため、グリース組成物の離油度を前述のような範囲とすることが困難となる。なお、転動装置の音響性能が不十分となることから、金属複合石けんやウレア化合物を増ちょう剤として用いることは好ましくない。
【0014】
また、グリース組成物の離油度が8〜20質量%であれば、グリース組成物中の潤滑成分である基油が転動装置の転動体と軌道面との接触部に十分に供給されるので、グリース組成物に極圧剤を極微量しか添加しなくても、転動装置はフレッチングが生じにくい。離油度が8質量%未満であると、前記接触部に供給される基油が不十分となって、転動装置にフレッチングが生じやすくなる。一方、離油度が20質量%超過であると、基油がグリース組成物から分離しすぎるので、グリース組成物の寿命が短い、基油が転動装置の外部に漏洩する等の不都合が生じるおそれがある。
【0015】
さらに、フレッチングは、転動体と軌道面とが短いサイクルで微小な金属接触を起こすために発生するが、グリース組成物の全酸価が8〜20mgKOH/gであれば、軌道面表面や転動体表面に酸化被膜が生成するので、金属接触が緩和されてフレッチングによる損傷が抑制される。全酸価が8mgKOH/g未満であると酸化被膜の生成が不十分となり、20mgKOH/g超過であると、軌道面表面や転動体表面に対する腐食が強すぎるため、錆の発生や音響性能の劣化が生じるおそれがある。
【0016】
なお、フレッチングの発生をより効果的に抑制するためには、離油度を10〜18質量%、全酸価を10〜18mgKOH/gとすることがより好ましい。また、フレッチング防止性能をより高めるために、極圧剤や油性剤をさらに添加してもよい。
さらに、グリース組成物の混和ちょう度は330以下とすることが好ましい。リチウム石けんを増ちょう剤とするグリース組成物においては、離油度を8質量%以上にするためには、リチウム石けんの含有量を少量とする必要がある。しかしながら、そうするとグリース組成物の混和ちょう度が高くなって、転動装置から流出してしまうおそれがある。また、HDDやエアコンディショナー用ファンモータ等に使用される小型の転がり軸受に封入する場合には、グリース組成物が軟らかすぎると封入量の制御が困難となる。そして、封入量にバラツキがあると、転動装置のトルク性能にバラツキが生じることとなる。これらの問題が生じないようにするためには、グリース組成物の離油度を8質量%以上とし、且つ混和ちょう度を330以下とすることが好ましい。
【0017】
さらに、グリース組成物は、孔径1〜5μmのフィルタで濾過したものであることが好ましい。上記のようなフィルタで濾過すると、グリース組成物の離油度を8質量%以上とし、且つ混和ちょう度を330以下とすることができる。すなわち、グリース組成物を濾過すると、3次元的に絡み合って基油を保持している増ちょう剤がフィルタの細孔を通過する際に一方向に配向し、基油の保持力が低下する。フィルタの孔径を1〜5μmとすれば、混和ちょう度を上げることなく離油度を高めることができる。孔径が1μm未満であると、増ちょう剤がフィルタで濾取されてしまい混和ちょう度が上昇してしまう。一方、5μm超過では、上記のような離油度を高める効果が期待できない。また、このフィルタによる濾過によってグリース組成物中の夾雑物が除去されるので、転動装置の音響性能が高められる。なお、濾過は、油圧プレス等で加圧しながら行うとよい。
【0018】
さらに、グリース組成物は、極性を有する化合物を添加剤として含有しており、その含有量は組成物全体の4〜12質量%であることが好ましい。上記のような化合物を添加すると、該化合物が増ちょう剤と基油との間に介在し両者の結合力を弱めるため、離油度が高められる。ただし、増ちょう剤同士の結びつきまで弱めるものを添加すると混和ちょう度が大きくなるので、適切な種類の化合物を選定することが好ましい。また、グリース組成物に添加される酸化防止剤,防錆剤,腐食防止剤,油性剤,摩耗防止剤,極圧剤等の効果を併せ持つものを選択することが好ましい。
【0019】
極性を有する化合物の含有量が組成物全体の4質量%未満であると、グリース組成物の離油度を8質量%以上とすることが困難となり、12質量%超過であると、全酸価が20mgKOH/gを超えるので発錆等の問題が生じるおそれがある。
極性を有する化合物の例としては、アミン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、バリウムスルホネート,カルシウムスルホネート,アルケニルコハク酸等の防錆剤、高級脂肪酸(例えばオレイン酸やステアリン酸)等の油性剤、リン酸エステル,モリブデンジチオフォスフェート,カルバミン酸亜鉛等の極圧剤などがあげられる。また、酸性物質は、グリース組成物の全酸価を8〜20mgKOH/gとするために好適である。
【0020】
さらに、グリース組成物は、40℃における動粘度が15〜55mm2 /sである基油を含有しており、前記基油の50質量%以上はエステル油であることが好ましい。
グリース組成物に十分なフレッチング防止性能を付与し、さらに、発塵が少ない、トルク変動が小さい、音響性能が優れている、及び長寿命である、という各種性能を付与するためには、基油はエステル油を含有することが好ましい。そして、その含有量は基油全体の50質量%以上とすることが好ましく、より高い方が前記各種性能を優れたものとすることができる。エステル油の含有量が基油全体の50質量%未満であると、上記の各種性能が不十分となるおそれがあり、特に、音響性能に対する悪影響が大きい。
【0021】
基油の40℃における動粘度は、15〜55mm2 /sであることが好ましく、18〜40mm2 /sであることがより好ましい。前記下限値よりも小さいと寿命や発塵性に問題が生じるおそれがあり、前記上限値よりも大きいとトルク性能に問題が生じるおそれがある。
エステル油の例としては、炭酸エステル,ジエステル油,ポリオールエステル油,これらのコンプレックスエステル油,芳香族エステル油等があげられる。
【0022】
ジエステル油の具体例としては、アジピン酸ジイソデシル,アゼライン酸ジイソデシル,セバシン酸ジオクチル等があげられる。
また、ポリオールエステル油の具体例としては、ネオペンチルグリコールジエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状又は分岐鎖状の炭素数9個のものやオレイル基等),トリメチロールプロパントリエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状の炭素数6,7個のもの、分岐鎖状の炭素数8個のもの、イソステアリル基、オレイル基等),ペンタエリスリトールテトラエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状の炭素数6,8個のもの、分岐鎖状の炭素数8個のもの、イソステアリル基、オレイル基等),ジペンタエリスリトールヘキサエステル(炭化水素基は、例えば直鎖状の炭素数6個のもの等)などである。
【0023】
さらに、芳香族エステル油の具体例としては、トリメリト酸トリオクチル,トリメリト酸トリデシル,ピロメリト酸テトラオクチル等があげられる。
これらのエステル油は、単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
さらに、転動装置が転がり軸受である場合は、内部すきまを有することが好ましい。
【0024】
正の内部すきまを有する転がり軸受を電動モータ等の装置に組み込む際に、予圧を負荷することなく組み込むと、転動体及び軌道面はまったく拘束されないから、転動体と軌道面との接触位置は自由に変化しうる状態となっている。このような状態で転がり軸受が組み込まれていると、電動モータ等の装置の運搬時,携帯時等に振動を受けても、転動体や軌道面の特定の位置に繰り返し負荷が作用することがないので、転動体や軌道面に損傷が生じても軽微である。
【0025】
また、負の内部すきまを有する転がり軸受を電動モータ等の装置に組み込む際に、予圧を負荷して組み込んで所定の接触角を有する状態とすると、転動体と軌道面とが接触し拘束された状態で組み込まれていることとなる。このような状態で転がり軸受が組み込まれていると、電動モータ等の装置の運搬時,携帯時等に振動を受けても、転動体や軌道面に繰り返し負荷が作用することがないので、転動体や軌道面に損傷が生じる可能性はほとんどない。
【0026】
ところが、正の内部すきまを有する転がり軸受を電動モータ等の装置に組み込む際に、予圧を負荷して組み込んで所定の接触角を有する状態とすると、転動体と軌道面とは接触し拘束されてはいるものの、その接触位置は移動しうる状態となっている。そうすると、電動モータ等の装置の運搬時,携帯時等に振動を受けた際に、初期の接触位置を中心として接触位置が移動を繰り返すため、初期の接触位置の近傍に繰り返し負荷が作用することとなって、フレッチングが生じやすい。
【0027】
しかしながら、本発明に係る転動装置は、前述したようにフレッチングが生じにくいので、上記のようなフレッチングが生じやすい状態で電動モータ等の装置組み込まれていてもフレッチングが生じにくく長寿命である。
なお、本発明は、種々の転動装置に適用することができ、例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等があげられる。
【0028】
本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
この玉軸受(呼び番号695、内径5mm,外径13mm,幅5mm)は、内輪1と、外輪2と、内輪1と外輪2との間に転動自在に配設された複数の玉3と、複数の玉3を保持する保持器4と、外輪2のシール溝2a,2aに取り付けられた非接触形のゴムシール5,5と、で構成されている。また、内輪1と外輪2とゴムシール5,5とで囲まれた軸受空間には12mgのグリース組成物Gが充填され、ゴムシール5により玉軸受内に密封されている。そして、このようなグリース組成物Gにより、前記両輪1,2の軌道面と玉3との接触面が潤滑されている。さらに、この玉軸受は8〜13μmの内部すきまを有している。
【0030】
このグリース組成物Gは、ステアリン酸リチウム,12−ヒドロキシステアリン酸リチウム等のようなリチウム石けんを増ちょう剤として使用しており、40℃における動粘度が15〜55mm2 /sであるエステル油を基油として使用している。そして、このグリース組成物Gは、JIS K 2220 5.7に規定される離油度(測定条件は100℃,24時間)が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gである。また、このグリース組成物Gは孔径1〜5μmのフィルタで濾過されたものであり、混和ちょう度が330以下である。
【0031】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、基油及び増ちょう剤の種類は上記のものに限定されるものではなく、また、グリース組成物Gには各種添加剤を添加してもよい。
また、本実施形態においては転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0032】
また、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
次に、上記と同様の構成の玉軸受について、音響耐久性,耐フレッチング性能,発塵性,防錆性,及びトルク性能(トルク変動)を評価した。玉軸受に封入されたグリース組成物の組成は、表1及び表2に示す通りである。なお、各表中のポリオールエステル油の40℃における動粘度は33.5mm2 /sである。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
次に、上記各種性能の評価方法及び評価結果について説明する。
〔音響耐久性試験について〕
玉軸受の音響耐久性試験は、図2の回転試験装置を使用して行った。一対の玉軸受10,10が、シャフト11と円筒状のケーシング12との間に介装されている。このとき、玉軸受10は、14.7Nの予圧が負荷された状態で組み込まれている。そして、シャフト11の外周面に固定されたステータ13と、該ステータ13にギャップを介して周面対向するようにケーシング12の内周面に固定されたロータ14と、で形成された駆動モータ15によって、シャフト11が回転駆動されるようになっている。
【0036】
このような回転試験装置に組み込まれた玉軸受10を、常温下、回転速度7200min−1で2000時間回転させた。回転終了後、回転試験装置から玉軸受10を取り外し、アンデロンメータで玉軸受10の音響性能(アンデロン値)を測定した。そして、回転前に測定したアンデロン値からの上昇量を算出し、この上昇量によって玉軸受の音響耐久性を評価した。
【0037】
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、回転後のアンデロン値が回転前の1.5倍以下であることを示す。また、○印は1.5倍超過2倍以下、△印は2倍超過3倍以下、×印は3倍超過であることをそれぞれ示す。
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、音響耐久性が非常に優れていた。これに対して、比較例3の玉軸受は、グリース組成物の全酸価が大きすぎるため音響耐久性が劣っていた。
【0038】
〔耐フレッチング性能試験について〕
はじめに、振動加速度(G値)を測定できるように改造したアンデロンメータを用いて、玉軸受の初期のG値を測定した。続いて、その玉軸受を、前述した回転試験装置に組み込んだ。そして、玉軸受にフレッチングを生じさせるべく、回転試験装置に軸方向の振動を常温下で3時間与えた。与えた振動は、周波数及び振幅がランダムに変化する振動であり、周波数は5〜150Hzの間で、振幅は0.5〜5mmの間でランダムに変化させた。なお、振動を与える間は、玉軸受は回転させない。
【0039】
振動を与えた玉軸受のG値を前述のアンデロンメータで測定して、初期のG値からの上昇量を算出した。そして、このG値の上昇量によって玉軸受の耐フレッチング性能を評価した。
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、回転後のG値が回転前の1.5倍以下であることを示す。また、○印は1.5倍超過2倍以下、△印は2倍超過3倍以下、×印は3倍超過であることをそれぞれ示す。
【0040】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、耐フレッチング性能が非常に優れていた。これに対して、比較例1,2の玉軸受はグリース組成物の離油度が小さいため、また、比較例4の玉軸受はグリース組成物の全酸価が小さいため、耐フレッチング性能が劣っていた。
〔発塵性試験について〕
前述の音響耐久性試験前後に玉軸受の質量を測定し、その差からグリース組成物の発塵量(飛散量,蒸発量)を求めた。
【0041】
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、質量減少が2mg以下であることを示す。また、○印は2mg超過4mg以下、△印は4mg超過6mg以下、×印は6mg超過であることをそれぞれ示す。
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、発塵量が極めて少なかった。これに対して、比較例3の玉軸受はグリース組成物の離油度が大きすぎるため、基油が玉軸受内部から漏洩した。
【0042】
〔防錆性試験について〕
ASTM D 1743に規定される方法により、防錆性を評価した。条件は雰囲気温度:52℃、雰囲気湿度:100%RH、時間:48時間である。
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の○印は、玉軸受に錆が全く発生しなかったことを示す。また、△印は少量の錆が発生したことを示し、×印は多くの錆が発生したことをそれぞれ示す。
【0043】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、防錆性が非常に優れていた。これに対して、比較例3の玉軸受はグリース組成物の全酸価が大きすぎるため、錆が発生した。
〔トルク性能試験について〕
図3に示すような回転トルク測定装置を用いて、玉軸受のトルク値を測定した。玉軸受20の内輪がアーバ22を介してエアスピンドル21に固定され、外輪がエアベアリング23を備えたアルミキャップ24に固定されている。そして、エアスピンドル21を回転させて玉軸受20の内輪を回転させ、回転時のトルク値をアルミキャップ24に接続したストレインケージ25で測定した。この測定値は、ストレインアンプ26及びローパスフィルタ27を経由して、レコーダ28にて記録される。回転時の玉軸受20の雰囲気温度は常温である。
【0044】
なお、トルク性能の評価においては、まず回転速度7200min−1で1時間の慣らし運転を行い、さらに10分間回転を行った。そして、この10分間におけるトルク値の変動によって、トルク性能を評価した。
結果を表1及び表2に併せて示す。なお、各表中の◎印は、10分間におけるトルク値の最大値と最小値との差が50×10−3N・cm以下であることを示す。また、○印は10分間におけるトルク値の最大値と最小値との差が50×10−3N・cm超過100×10−3N・cm以下であること、同じく△印は100×10−3N・cm超過150×10−3N・cm以下であること、同じく×印は150×10−3N・cm超過であることをそれぞれ示す。
【0045】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜4の玉軸受は、トルク値の変動が極めて小さかった。
次に、グリース組成物の全酸価について検討した。すなわち、全酸価が異なる種々のグリース組成物を封入した玉軸受を用意して、耐フレッチング性能及び防錆性を前述と同様にして評価した。
【0046】
その結果を図4のグラフに示す。図4のグラフから、グリース組成物の全酸価が8mgKOH/g以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量が小さく、10mgKOH/g以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量がさらに小さいことがわかる。また、グリース組成物の全酸価が20mgKOH/g以下であると錆の発生量が少量であり、18mgKOH/g以下であると錆が発生しないことがわかる。
【0047】
これらの結果から、玉軸受の耐フレッチング性能及び防錆性の両方を優れたものとするためには、グリース組成物の全酸価を8〜20mgKOH/gとすることが好ましく、10〜18mgKOH/gとすることがさらに好ましいことが分かる。
次に、グリース組成物の離油度について検討した。すなわち、離油度が異なる種々のグリース組成物を封入した玉軸受を用意して、耐フレッチング性能,トルク性能,及び発塵性を前述と同様にして評価した。
【0048】
その結果を図5及び図6のグラフに示す。図5のグラフから、グリース組成物の離油度が8質量%以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量が小さく、10質量%以上であるとフレッチング試験後のG値上昇量がさらに小さいことがわかる。また、グリース組成物の離油度が20質量%以下であるとトルク変動量が僅かであることがわかる。
【0049】
さらに、図6のグラフから、グリース組成物の離油度が20質量%以下であると玉軸受の質量減少量が小さく、18質量%以下であると玉軸受の質量減少量がさらに小さいことがわかる。
これらの3つの結果から、玉軸受の耐フレッチング性能,トルク性能,及び発塵性の全てを優れたものとするためには、グリース組成物の離油度を8〜20質量%とすることが好ましく、10〜18質量%とすることがさらに好ましいことが分かる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転動装置は、低発塵でトルク変動が小さく音響性能が優れていることに加えて、フレッチングが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】回転試験装置の構成を示す断面図である。
【図3】回転トルク測定装置の構成を示す概略図である。
【図4】グリース組成物の全酸価と、フレッチング試験後のG値上昇量及び錆の発生量と、の相関を示すグラフである。
【図5】グリース組成物の離油度と、フレッチング試験後のG値上昇量及びトルク変動量と、の相関を示すグラフである。
【図6】グリース組成物の離油度と玉軸受の質量減少量との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 玉
G グリース組成物
Claims (7)
- 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備える転動装置において、
前記グリース組成物は、炭素数10以上の高級脂肪酸のリチウム塩であるリチウム石けんを増ちょう剤として含有するとともに、
JIS K 2220 5.7に規定され、100℃,24時間という条件で測定された離油度が8〜20質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が8〜20mgKOH/gであることを特徴とする転動装置。 - 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備える転動装置において、
前記グリース組成物は、炭素数10以上の高級脂肪酸のリチウム塩であるリチウム石けんを増ちょう剤として含有するとともに、
JIS K 2220 5.7に規定され、100℃,24時間という条件で測定された離油度が10〜18質量%であり、且つ、JIS K 2501に規定される全酸価が10〜18mgKOH/gであることを特徴とする転動装置。 - 前記グリース組成物の混和ちょう度が330以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動装置。
- 前記グリース組成物は孔径1〜5μmのフィルタで濾過したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転動装置。
- 前記グリース組成物は、極性を有する化合物を添加剤として含有しており、その含有量は組成物全体の4〜12質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の転動装置。
- 前記グリース組成物は、40℃における動粘度が15〜55mm2 /sである基油を含有しており、前記基油の50質量%以上はエステル油であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の転動装置。
- 内部すきまを有する転がり軸受であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の転動装置。
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JP2002306566A JP2004144118A (ja) | 2002-10-22 | 2002-10-22 | 転動装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006117741A (ja) * | 2004-10-20 | 2006-05-11 | Pooraito Kk | ゲル状潤滑剤組成物及び焼結含油軸受用潤滑剤 |
US7867956B2 (en) | 2004-12-27 | 2011-01-11 | Shell Oil Company | Urea-based lubricating grease composition |
JP2018003028A (ja) * | 2014-05-22 | 2018-01-11 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受用グリース組成物及び転がり軸受、並びに工作機械主軸装置 |
-
2002
- 2002-10-22 JP JP2002306566A patent/JP2004144118A/ja active Pending
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