JP2004352953A - グリース組成物及び転動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できるグリース組成物を提供する。また、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れた転動装置を提供する。
【解決手段】長さ及び直径が2μm以下の繊維状であるステアリン酸リチウムと、40℃における動粘度が15〜200mm2 /sであるポリオールエステル油とを含有し、混和ちょう度が260〜330であるグリース組成物Gを、深溝玉軸受1の空隙部内に充填した。
【選択図】 図1
【解決手段】長さ及び直径が2μm以下の繊維状であるステアリン酸リチウムと、40℃における動粘度が15〜200mm2 /sであるポリオールエステル油とを含有し、混和ちょう度が260〜330であるグリース組成物Gを、深溝玉軸受1の空隙部内に充填した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できるグリース組成物に関する。また、本発明は、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れた転動装置に係り、特に、エアコンディショナ等の家庭用電器に用いられるモータ、工作機械主軸用のサーボモータ、情報機器(ハードディスクドライブ(HDD),コンパクトディスクドライブ(CD),ビデオテープレコーダ(VTR)等)に用いられる小型スピンドルモータなどに使用される転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前述の家庭用電器,工作機械,情報機器等に用いられるモータは、近年ますます東南アジアや中国で生産されるようになってきているが、これらの地域では道路舗装が行き届いていなかったり、鉄道貨車の振動が劣悪な場合があるため、輸送時においてモータに組み込まれている軸受にフレッチングが生じてしまう場合があった。その結果、前述の機器の音響性能が悪化してしまう場合があった。
【0003】
このような不都合を解決することを目的として、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩と炭素数6〜14の脂肪酸のリチウム塩とを含有して、軸受の低騒音化及び長寿命化を実現する潤滑グリース組成物が記載されている。また、特許文献2には、長さが1μm以下の繊維状をなす炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸リチウムをエステル油に添加してなり、軸受の低騒音化,低トルク化,及び長寿命化を実現する潤滑グリースが記載されている。
【0004】
また、近年の省エネルギー化の流れにより、前述のモータには、より低トルク(エネルギー消費量が低い)であることも求められている。さらに、長寿命で低発塵であることも求められている。
例えば、特許文献3には、鉱油,合成炭化水素油,及びエーテル油から選ばれる1種以上の基油に、ヒドロキシル基を有していない炭素数12〜24の脂肪酸リチウムからなるリチウム石けん系増ちょう剤が添加された潤滑グリースが記載されている。この潤滑グリースは、混和ちょう度が180〜260とされており、潤滑グリースが飛散しにくいため低発塵である。
【0005】
また、特許文献4には、長さ2μm以下の繊維状増ちょう剤を基油に分散させた低発塵性の潤滑グリースが記載されている。
さらに、特許文献5には、極性基を有する潤滑油と無極性潤滑油とを配合した基油に、長径部の長さが少なくとも3μmである長繊維状物を含む金属石けん系増ちょう剤を添加したグリースが記載されている。このグリースは、軸受の音響耐久性を優れたものとすることができるとともに、低トルク化を実現できる。
【0006】
さらに、特許文献6には、エステル系合成油を50質量%以上含む基油と、3.0μm以上の長さを有するリチウム石けん繊維と、を含有するグリースが記載されている。このグリースは、低荷重・低速条件でも軸受の摩擦力を低減することができる。
さらに、特許文献7には、極性基を有する潤滑油と無極性基を有する潤滑油とを含有する基油に、長径部の長さが1μm以下である繊維状物を含む金属石けん系増ちょう剤を添加したトラクショングリースが記載されている。このトラクショングリースは、十分に高いトルクと優れた低温流動性とを兼ね備えている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−239689号公報
【特許文献2】
特開2001−124096号公報
【特許文献3】
特開2000−192070号公報
【特許文献4】
特開2001−226688号公報
【特許文献5】
特開2002−47499号公報
【特許文献6】
特開2000−328087号公報
【特許文献7】
特開2002−256279号公報
【非特許文献1】
木村 浩ら,「混成リチウム石けんグリースに関する研究」,トライボロジスト,2001年,第46巻,第8号,p.647−654
【非特許文献2】
Hiroshi Kimura,「Study on Fiber Length Control for Ester−Based Lithium Soap Grease 」,Tribology Transactions,2001,Vol.44,3,405−410
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した各特許文献に記載のグリースは、音響性能,耐フレッチング性能,トルク性能,寿命,発塵性という全ての性能が優れているわけではなかった。また、それぞれの性能についても、さらなる高性能化が求められている。
例えば、特許文献1に記載の潤滑グリース組成物は、軸受の低騒音化は実現可能であるが、トルク性能と耐フレッチング性能とについては考慮されていなかった。また、特許文献2に記載の潤滑グリースは、低騒音化,低トルク化,及び長寿命化については考慮されているが、耐フレッチング性能については考慮されていなかった。
【0009】
さらに、特許文献3及び特許文献4に記載の潤滑グリースは、低発塵であるものの、耐フレッチング性能及びトルク性能については改善が不十分であった。さらに、特許文献7に記載のトラクショングリースは、トルク性能が転がり軸受には不向きである。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できるグリース組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れた転動装置を提供することを併せて課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物において、前記増ちょう剤は、炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩で、且つ、長さ及び直径が2μm以下の繊維状であり、その含有量は組成物全体の15〜30質量%であるとともに、前記基油の40℃における動粘度は15〜200mm2 /sであり、混和ちょう度は260〜330であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1に記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする。
【0012】
炭素数が9以下のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩は、融点が高く、基油の引火点を超える場合が出てくるので、グリース組成物の製造上好ましくない。また、炭素数が30を超えると、増ちょう性が弱くなるため好ましくない。よって、炭素数は10〜30が好ましい。ただし、前記のような問題点がより生じにくくするためには、炭素数は14〜22がより好ましい。最も好ましくは、炭素数が18のものを80質量%以上含有する脂肪酸リチウムを増ちょう剤として使用するとよい。
【0013】
本発明のグリース組成物は、EHL油膜下での潤滑状態を維持し、且つ、EHL潤滑状態で発生する局部的な高温,高圧状態において増ちょう剤が基油へ溶解もしくは金属表面近傍で溶解し金属表面に吸着して基油の粘度がさらに上昇するため、転動体と軌道面との直接接触を良好に防止する効果を有するものと思われる。
【0014】
EHL油膜内に脂肪酸リチウムが固形状のまま残ると、そのときの硬度は高圧下で大きくなっているため、軌道面や転動体を損傷させ、長期的には音響性能の劣化を招くことは容易に想像できる。この場合、溶解度が低く融点が高いヒドロキシル基を有する脂肪酸のリチウム塩では、音響性能の劣化の度合いが大きくなり、ヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩と比べると長期的にはかなりの差になることも容易に想像できる。
【0015】
要するに、ヒドロキシル基を有する脂肪酸のリチウム塩は、ヒドロキシル基を有していないものに比べ、融点が高く溶解度も劣るため、前述の転動体と軌道面との直接接触を防止する効果は比較的小さい。このことは、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを増ちょう剤とするグリース組成物とステアリン酸リチウムを増ちょう剤とするグリース組成物との滴点を比較すると、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを増ちょう剤とするグリース組成物の方が高いことからも明らかである(例えば非特許文献1に記載されている)。
【0016】
また、増ちょう剤の大きさは小さい方が溶解性が良好となり、増ちょう剤の分散,溶解に要する時間が短いので、増ちょう剤の大きさは小さい方が好ましく、繊維長が2μm以下であることが特に好ましい。繊維長が2μm以下であるとトルク性能に問題が生じる場合があるが(例えば特許文献6に記載されている)、本発明の場合は増ちょう剤の含有量が多くて混和ちょう度が高いので、低速,低荷重条件下でも転動装置の駆動の妨げとはならず、前記条件下でも好適に使用可能である。
【0017】
さらに、前述の転動体と軌道面との直接接触を防止する効果を得るためには、増ちょう剤の含有量はできるだけ多い方が好ましく、混和ちょう度で表されるグリース組成物の硬さは軟らかい方が好ましい。さらには、耐フレッチング性能を考慮した場合には、転動体と軌道面との間にグリース組成物が良好に保持される必要があり、グリース組成物が硬いと比較的不利である場合が多いので、混和ちょう度は260〜330である必要がある。
【0018】
330を超えると、転動装置から漏出しやすくなったり、転動装置内でのグリース組成物の動きが不安定になることによるトルクの変動が発生しやすくなったりするので、転動装置に封入して用いるには適さない場合がある。このような問題点がより生じにくくするためには、グリース組成物の混和ちょう度は、265〜320とすることがさらに好ましい。特に、両側シール付き又は両側シールド付きの密封軸受の場合には、260〜330とすることが好ましい。
【0019】
増ちょう剤の含有量は、グリース組成物全体の15〜30質量%である必要がある。特許文献3にも記載されているように、グリース組成物が軟質の場合は剪断力を受けたときに過度に軟化して微粒子が形成され飛散しやすいが、増ちょう剤を15〜30質量%と通常のグリース組成物よりも多量に用いることにより、剪断力が負荷された時の軟化度合が抑制され、且つ、基油が良好に保持されるため、グリース組成物の飛散が生じにくくなる。また、過度の剪断力が負荷された時のみならず、長期間にわたって保管された場合等においても、グリース組成物の性状がより安定したものとなる。
【0020】
増ちょう剤の含有量が15質量%未満であると、上記のような飛散が生じにくいという効果が十分に得られず、30質量%超過であると混和ちょう度が260以上となりにくい。このような問題点がより生じにくくするためには、増ちょう剤の含有量は18〜29質量%であることがより好ましい。
そして、増ちょう剤の含有量と混和ちょう度とが、図3のグラフに示した特に好ましい範囲(斜線を付した部分)内となるようなグリース組成物が最も好ましい。
【0021】
また、基油の40℃における動粘度は、15〜200mm2 /sである必要がある。15mm2 /s未満であると、蒸発損失が生じたり油膜厚さの不足が生じたりするため、低トルクとはなるものの優れた耐久寿命が得られないおそれがある。また、動粘度が200mm2 /sを超えると、耐久寿命に対しては若干有利になるが、油膜の抵抗が大きくなるためトルクが上昇するおそれがある。このような問題点がより生じにくくするためには、基油の40℃における動粘度は、20〜60mm2 /sであることがより好ましい。
【0022】
本発明の主用途である家庭用電器,情報機器等に使用する場合であれば、耐久寿命とトルクとのバランスを考えて、基油の40℃における動粘度は20〜60mm2 /sとすることがより好ましく、25〜32mm2 /sとすることがさらに好ましい。なお、最終的な基油の動粘度が上記の範囲となるならば、40℃における動粘度が10〜500mm2 /sの基油を混合して用いてもよい。
【0023】
本発明は、種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
なお、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係るグリース組成物及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩を、40℃における動粘度が15〜200mm2 /sである基油に加え、加熱して完全に溶解させた。
【0025】
なお、脂肪酸リチウムは、長さ及び直径が2μm以下の繊維状であり、その含有量はグリース組成物全体の15〜30質量%である。炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩の具体例としては、ステアリン酸リチウム(炭素数18),カプリン酸リチウム(炭素数10),ラウリン酸リチウム(炭素数12),ミリスチン酸リチウム(炭素数14),パルミチン酸リチウム(炭素数16),アラキン酸リチウム(炭素数20),ベヘン酸リチウム(炭素数22),リグノセリン酸リチウム(炭素数24),ヘキサコサン酸リチウム(炭素数26)等があげられる。
【0026】
また、基油の種類は特に限定されるものではないが、脂肪酸リチウムの溶解性を考えると、極性分子を有する基油(例えば、エステル油,エーテル油,シリコーン油等)であることが好ましい。あるいは、エステル油を主成分とし、合成炭化水素油,エーテル油,鉱油,シリコン油,フッ素油等を含有する混合油でもよい。エステル油としては、ジエステル油,ポリオールエステル油,芳香族エステル油,炭酸エステル油等が好ましい。
【0027】
次に、脂肪酸リチウムを溶解させた基油を急冷して結晶の成長を抑えたら、極性を有する添加剤を加え、ニーダー,プラネタリミキサー,又はホモジナイザを用いて混和ちょう度が260〜330となるまで混練した。このとき、グリース組成物が劣化しない程度であれば加熱してもよい。このように急冷に加えるとともに極性物質を加えて混練することによって、増ちょう剤の3次元的な構造の保持力が弱まるので、増ちょう剤の含有量が比較的多くても混和ちょう度の高いグリース組成物を得ることができる。
【0028】
前記添加剤は、グリース組成物の製造工程中においてグリース組成物の劣化を効果的に防止する効果を有する酸化防止剤であることが好ましく、アミン系酸化防止剤であることがさらに好ましい。そして、モリブデンジチオフォスフェート及びスルホン酸金属塩の少なくとも一方とアミン系酸化防止剤との両者を用いることが最も好ましい。アミン系酸化防止剤の含有量及びモリブデンジチオフォスフェートの含有量は、それぞれグリース組成物全体の0.1〜10質量%とすることが好ましい。0.1質量%未満では添加効果が乏しく、10質量%を超えて添加してもさらなる添加効果が得られない。
【0029】
その後、必要に応じて所望の添加剤を加え、さらに混練を行った後、3本ロールミルで仕上げを行い、さらにフィルタで濾過した。これらの工程は、室内環境がコントロールされたクリーンルーム内で実施されることが好ましい。
音響寿命に対しては、転動装置の内部に存在する異物の影響も大きいため、転動装置の各メーカーは転動装置の洗浄を強化している。また、グリース組成物のメーカーにおいては、製造工程において異物の混入がないように努めている。
【0030】
グリース組成物の製造においては、一般的には、最終工程でフィルタを通すことによって異物を取り除いているが、フィルタの孔径は5〜10μm程度である。なぜなら、通常のグリース組成物は、増ちょう剤の大きさが2μm以上あるので、孔径の小さいフィルタで濾過すると、異物とともに増ちょう剤も取り除かれて大きな性状変化が生じたり、増ちょう剤が構成している繊維の3次元構造が一定方向に配向して、濾過によるグリース組成物の性状変化をコントロールすることが困難となるからである。
【0031】
しかしながら、本実施形態のグリース組成物は、増ちょう剤の長さ及び直径が2μm以下であるので、孔径が2μm以上のフィルタであれば、特に問題なく使用可能である。より優れた音響寿命を実現するためには、増ちょう剤の長さ及び直径を1μm以下にして、孔径が1μmのフィルタを用いて異物を除去することが好ましい。
【0032】
また、優れた音響寿命を実現する上で忘れてはならないことは、保持器のポケットと転動体表面との間の潤滑である。優れた音響寿命が要求される機器には、トルク変動が比較的小さいことから樹脂製保持器が組み込まれた転動装置を用いる場合がほとんどであるが、このとき樹脂製保持器と転動体とが十分に潤滑されていないと、トルク変動をきたすばかりでなく、長期的には樹脂が削れ、転動体表面も微細に損傷してしまう。よって、このようなことを避けるために、いわゆる内部潤滑油をあらかじめ塗布する方法等が提案されている。
【0033】
本実施形態のグリース組成物は、増ちょう剤の大きさが小さく且つ柔軟であるので、より微小な隙間までグリース状のままで入り込みやすい。よって、保持器のポケットと転動体との間に十分に入り込んで保持されるため、安定した潤滑を行うことができる。もちろん、内部潤滑油との併用も可能である。
【0034】
〔実施例〕
以下に、本発明のグリース組成物及び転動装置を、さらに具体的な実施例を示して説明する。
まず、40℃における動粘度が26mm2 /s(100℃における動粘度は5.1mm2 /s)のポリオールエステル油を基油とし、脂肪酸リチウムを増ちょう剤とするとともに、数種の添加剤を含有する25種類のグリース組成物(表1〜5を参照)を用意した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
これらのグリース組成物は、以下のようにして製造した。各表に示すような繊維長を有する脂肪酸リチウム(直径は繊維長と同一又はそれ未満である)をポリオールエステル油に加え、230℃に加熱して溶解させた。そして、−70℃のドライアイス(登録商標)で冷却した板上に薄く広げることにより急冷して、ベースグリースを得た。なお、脂肪酸リチウムの含有量はベースグリース全体の35質量%である。
【0041】
このベースグリースに所定量の基油と添加剤とを加え、小型プラネタリミキサーに装入し、80℃において所定の混和ちょう度となるまで混練した。そして、各表に記載の孔径を有するフィルタ(エスエムシー株式会社製の焼結ステンレスフィルタで、厚さは3mmである)で濾過し、さらに脱泡を行って表1〜5に示すようなグリース組成物を得た。ただし、比較例2,4については、前述のような急冷は行わず、脂肪酸リチウムを溶解したらそのまま撹拌して空冷により徐冷した。
【0042】
なお、各表の「増ちょう剤の種類」の欄に記載されている数値は、増ちょう剤全体を100とした場合における増ちょう剤を構成する各成分の質量比である。また、「増ちょう剤の含有量」及び「添加剤の含有量」の欄に記載されている数値は、グリース組成物全体を100とした場合における増ちょう剤の質量比及び各添加剤の質量比である。さらに、基油の含有量は、グリース組成物全体から増ちょう剤及び添加剤の含有量を差し引いた残部である。
さらに、各表に記載の添加剤のうち、酸化防止剤はチバガイギー社製のイルガノックスL57、モリブデン系添加剤はモリブデンジチオフォスフェート(旭電化社製のサクラルーブ300)、防錆剤はスルホン酸亜鉛(KING社製のNasul ZS)、腐食防止剤はチバガイギー社製のイルガメット39である。
【0043】
さらに、本発明における増ちょう剤の長さ及び直径とは、以下のようにして測定したものである。グリース組成物をワセリンで5〜20倍に希釈し、電子顕微鏡用の金属メッシュ上に塗布した。次に、溶剤(n−ヘキサン等)を入れたシャーレに金属メッシュを載置することにより、グリース組成物から油成分を除去した。溶剤から金属メッシュを取り出し乾燥した後、電子顕微鏡(株式会社明石製作所製のLEM−2000)にセットし、増ちょう剤を観察した。測定倍率は6000倍とし、一視野の主流を占める代表的大きさの繊維5点の長さ及び直径を測定し、その平均値を算出した。
【0044】
次に、このようにして製造した25種類のグリース組成物(実施例1〜17及び比較例1〜8)について、JIS K2220に規定された方法により混和ちょう度及び離油度を測定した。その結果を表1〜5に併せて示す。
さらに、これらのグリース組成物を、それぞれ十分に洗浄した深溝玉軸受(呼び番号608)に充填し、該深溝玉軸受の音響寿命,トルク性能,及び耐フレッチング性能を評価した。以下のその方法を説明する。
【0045】
〔音響寿命の評価方法について〕
まず、深溝玉軸受の構成を、図1を参照しながら説明する。この深溝玉軸受1は、内輪10と、外輪11と、内輪10と外輪11との間に転動自在に配設された複数の玉12と、内輪10と外輪11との間に複数の玉12を保持する保持器13と、接触形のゴムシール14,14と、で構成されている。そして、内輪10と外輪11との間に形成され玉12が内設された空隙部内にはグリース組成物Gが充填され、シール14,14により軸受内部に密封されている。なお、グリース組成物Gの量は前記空隙部の容積の5体積%であり、外輪11の軌道溝狙いで封入してある。グリース組成物の封入量は通常は25〜30体積%であるが、これより少ない量とすることで該音響寿命の評価を加速試験としている。
【0046】
この深溝玉軸受1を、58.8Nの予圧を負荷した状態で、80℃の環境下、回転速度7200min−1で回転させた。そして、回転168時間毎にアンデロン値(ハイバンド値)をアンデロンメータを用いて測定し、アンデロン値が3アンデロンを超えるまでの時間を音響寿命とした。
結果を表1〜5に併せて示す。なお、各表に示した音響寿命の数値は、増ちょう剤がリチウム石けんで基油がエステル油である市販のグリース組成物(協同油脂株式会社製のマンテルプSRL)を充填した深溝玉軸受の音響寿命を1とした場合の相対値で示してある。
【0047】
〔トルク性能の評価方法について〕
音響寿命の評価方法と同様に、深溝玉軸受1の空隙部内にグリース組成物Gを充填した。グリース組成物Gの量は前記空隙部の容積の35体積%であり、外輪11の軌道溝狙いで封入してある。
このような深溝玉軸受1を、図2に示すようなスピンドルモータに組み込んだ。すなわち、モータ33のシャフト31とケーシング32との間に、一対の深溝玉軸受1,1を取り付けた。そして、深溝玉軸受1,1に58.8Nの予圧を負荷した状態で、25℃の環境下、スピンドルモータをモータ33により回転速度7200min−1で2時間回転させた後に、同条件で回転時のトルク値を10分間測定した。
【0048】
測定したトルク値の最大値を、前述の市販のグリース組成物を充填した深溝玉軸受のトルク値の最大値と比較することにより、深溝玉軸受1のトルク性能を評価した。すなわち、トルク値の最大値が、市販のグリース組成物の50%以下であった場合は◎、50%超過80%以下であった場合は○、80%超過120%以下であった場合は△、120%超過であった場合は×とした。結果を表1〜5に併せて示す。
【0049】
〔耐フレッチング性能の評価方法について〕
前述のトルク値を測定し終わったスピンドルモータを利用して、耐フレッチング性能の評価を行った。すなわち、シャフト31を振り幅0.5°、周波数300Hzで1時間揺動させ、揺動の前後でのアンデロン値(ハイバンド値)を比較した。そして、アンデロン値の上昇量が0.2以下であった場合は◎、0.2超過0.5以下であった場合は○、0.5超過1以下であった場合は△、1超過であった場合は×とした。結果を表1〜5に併せて示す。なお、アンデロン値の測定方法は、試験温度が25℃であることを除いては、前述の音響寿命の場合と同様である。
【0050】
表1〜5から分かるように、実施例1〜17のグリース組成物を充填した深溝玉軸受は、音響寿命,トルク性能,及び耐フレッチング性能のいずれにおいても優れた結果を示した。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明のグリース組成物は、所定の動粘度を有する基油に前述のような繊維状の脂肪酸リチウムを所定量含有させてなり、所定の混和ちょう度を有しているので、優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できる。
また、本発明の転動装置は、前述のような優れた性能を有するグリース組成物を備えているので、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構成を示す縦断面図である。
【図2】トルク性能及び耐フレッチング性能の評価に使用するスピンドルモータの縦断面図である。
【図3】本発明のグリース組成物において、増ちょう剤の含有量と混和ちょう度との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 深溝玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 玉
G グリース組成物
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できるグリース組成物に関する。また、本発明は、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れた転動装置に係り、特に、エアコンディショナ等の家庭用電器に用いられるモータ、工作機械主軸用のサーボモータ、情報機器(ハードディスクドライブ(HDD),コンパクトディスクドライブ(CD),ビデオテープレコーダ(VTR)等)に用いられる小型スピンドルモータなどに使用される転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前述の家庭用電器,工作機械,情報機器等に用いられるモータは、近年ますます東南アジアや中国で生産されるようになってきているが、これらの地域では道路舗装が行き届いていなかったり、鉄道貨車の振動が劣悪な場合があるため、輸送時においてモータに組み込まれている軸受にフレッチングが生じてしまう場合があった。その結果、前述の機器の音響性能が悪化してしまう場合があった。
【0003】
このような不都合を解決することを目的として、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩と炭素数6〜14の脂肪酸のリチウム塩とを含有して、軸受の低騒音化及び長寿命化を実現する潤滑グリース組成物が記載されている。また、特許文献2には、長さが1μm以下の繊維状をなす炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸リチウムをエステル油に添加してなり、軸受の低騒音化,低トルク化,及び長寿命化を実現する潤滑グリースが記載されている。
【0004】
また、近年の省エネルギー化の流れにより、前述のモータには、より低トルク(エネルギー消費量が低い)であることも求められている。さらに、長寿命で低発塵であることも求められている。
例えば、特許文献3には、鉱油,合成炭化水素油,及びエーテル油から選ばれる1種以上の基油に、ヒドロキシル基を有していない炭素数12〜24の脂肪酸リチウムからなるリチウム石けん系増ちょう剤が添加された潤滑グリースが記載されている。この潤滑グリースは、混和ちょう度が180〜260とされており、潤滑グリースが飛散しにくいため低発塵である。
【0005】
また、特許文献4には、長さ2μm以下の繊維状増ちょう剤を基油に分散させた低発塵性の潤滑グリースが記載されている。
さらに、特許文献5には、極性基を有する潤滑油と無極性潤滑油とを配合した基油に、長径部の長さが少なくとも3μmである長繊維状物を含む金属石けん系増ちょう剤を添加したグリースが記載されている。このグリースは、軸受の音響耐久性を優れたものとすることができるとともに、低トルク化を実現できる。
【0006】
さらに、特許文献6には、エステル系合成油を50質量%以上含む基油と、3.0μm以上の長さを有するリチウム石けん繊維と、を含有するグリースが記載されている。このグリースは、低荷重・低速条件でも軸受の摩擦力を低減することができる。
さらに、特許文献7には、極性基を有する潤滑油と無極性基を有する潤滑油とを含有する基油に、長径部の長さが1μm以下である繊維状物を含む金属石けん系増ちょう剤を添加したトラクショングリースが記載されている。このトラクショングリースは、十分に高いトルクと優れた低温流動性とを兼ね備えている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−239689号公報
【特許文献2】
特開2001−124096号公報
【特許文献3】
特開2000−192070号公報
【特許文献4】
特開2001−226688号公報
【特許文献5】
特開2002−47499号公報
【特許文献6】
特開2000−328087号公報
【特許文献7】
特開2002−256279号公報
【非特許文献1】
木村 浩ら,「混成リチウム石けんグリースに関する研究」,トライボロジスト,2001年,第46巻,第8号,p.647−654
【非特許文献2】
Hiroshi Kimura,「Study on Fiber Length Control for Ester−Based Lithium Soap Grease 」,Tribology Transactions,2001,Vol.44,3,405−410
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した各特許文献に記載のグリースは、音響性能,耐フレッチング性能,トルク性能,寿命,発塵性という全ての性能が優れているわけではなかった。また、それぞれの性能についても、さらなる高性能化が求められている。
例えば、特許文献1に記載の潤滑グリース組成物は、軸受の低騒音化は実現可能であるが、トルク性能と耐フレッチング性能とについては考慮されていなかった。また、特許文献2に記載の潤滑グリースは、低騒音化,低トルク化,及び長寿命化については考慮されているが、耐フレッチング性能については考慮されていなかった。
【0009】
さらに、特許文献3及び特許文献4に記載の潤滑グリースは、低発塵であるものの、耐フレッチング性能及びトルク性能については改善が不十分であった。さらに、特許文献7に記載のトラクショングリースは、トルク性能が転がり軸受には不向きである。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できるグリース組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れた転動装置を提供することを併せて課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物において、前記増ちょう剤は、炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩で、且つ、長さ及び直径が2μm以下の繊維状であり、その含有量は組成物全体の15〜30質量%であるとともに、前記基油の40℃における動粘度は15〜200mm2 /sであり、混和ちょう度は260〜330であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1に記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする。
【0012】
炭素数が9以下のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩は、融点が高く、基油の引火点を超える場合が出てくるので、グリース組成物の製造上好ましくない。また、炭素数が30を超えると、増ちょう性が弱くなるため好ましくない。よって、炭素数は10〜30が好ましい。ただし、前記のような問題点がより生じにくくするためには、炭素数は14〜22がより好ましい。最も好ましくは、炭素数が18のものを80質量%以上含有する脂肪酸リチウムを増ちょう剤として使用するとよい。
【0013】
本発明のグリース組成物は、EHL油膜下での潤滑状態を維持し、且つ、EHL潤滑状態で発生する局部的な高温,高圧状態において増ちょう剤が基油へ溶解もしくは金属表面近傍で溶解し金属表面に吸着して基油の粘度がさらに上昇するため、転動体と軌道面との直接接触を良好に防止する効果を有するものと思われる。
【0014】
EHL油膜内に脂肪酸リチウムが固形状のまま残ると、そのときの硬度は高圧下で大きくなっているため、軌道面や転動体を損傷させ、長期的には音響性能の劣化を招くことは容易に想像できる。この場合、溶解度が低く融点が高いヒドロキシル基を有する脂肪酸のリチウム塩では、音響性能の劣化の度合いが大きくなり、ヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩と比べると長期的にはかなりの差になることも容易に想像できる。
【0015】
要するに、ヒドロキシル基を有する脂肪酸のリチウム塩は、ヒドロキシル基を有していないものに比べ、融点が高く溶解度も劣るため、前述の転動体と軌道面との直接接触を防止する効果は比較的小さい。このことは、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを増ちょう剤とするグリース組成物とステアリン酸リチウムを増ちょう剤とするグリース組成物との滴点を比較すると、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを増ちょう剤とするグリース組成物の方が高いことからも明らかである(例えば非特許文献1に記載されている)。
【0016】
また、増ちょう剤の大きさは小さい方が溶解性が良好となり、増ちょう剤の分散,溶解に要する時間が短いので、増ちょう剤の大きさは小さい方が好ましく、繊維長が2μm以下であることが特に好ましい。繊維長が2μm以下であるとトルク性能に問題が生じる場合があるが(例えば特許文献6に記載されている)、本発明の場合は増ちょう剤の含有量が多くて混和ちょう度が高いので、低速,低荷重条件下でも転動装置の駆動の妨げとはならず、前記条件下でも好適に使用可能である。
【0017】
さらに、前述の転動体と軌道面との直接接触を防止する効果を得るためには、増ちょう剤の含有量はできるだけ多い方が好ましく、混和ちょう度で表されるグリース組成物の硬さは軟らかい方が好ましい。さらには、耐フレッチング性能を考慮した場合には、転動体と軌道面との間にグリース組成物が良好に保持される必要があり、グリース組成物が硬いと比較的不利である場合が多いので、混和ちょう度は260〜330である必要がある。
【0018】
330を超えると、転動装置から漏出しやすくなったり、転動装置内でのグリース組成物の動きが不安定になることによるトルクの変動が発生しやすくなったりするので、転動装置に封入して用いるには適さない場合がある。このような問題点がより生じにくくするためには、グリース組成物の混和ちょう度は、265〜320とすることがさらに好ましい。特に、両側シール付き又は両側シールド付きの密封軸受の場合には、260〜330とすることが好ましい。
【0019】
増ちょう剤の含有量は、グリース組成物全体の15〜30質量%である必要がある。特許文献3にも記載されているように、グリース組成物が軟質の場合は剪断力を受けたときに過度に軟化して微粒子が形成され飛散しやすいが、増ちょう剤を15〜30質量%と通常のグリース組成物よりも多量に用いることにより、剪断力が負荷された時の軟化度合が抑制され、且つ、基油が良好に保持されるため、グリース組成物の飛散が生じにくくなる。また、過度の剪断力が負荷された時のみならず、長期間にわたって保管された場合等においても、グリース組成物の性状がより安定したものとなる。
【0020】
増ちょう剤の含有量が15質量%未満であると、上記のような飛散が生じにくいという効果が十分に得られず、30質量%超過であると混和ちょう度が260以上となりにくい。このような問題点がより生じにくくするためには、増ちょう剤の含有量は18〜29質量%であることがより好ましい。
そして、増ちょう剤の含有量と混和ちょう度とが、図3のグラフに示した特に好ましい範囲(斜線を付した部分)内となるようなグリース組成物が最も好ましい。
【0021】
また、基油の40℃における動粘度は、15〜200mm2 /sである必要がある。15mm2 /s未満であると、蒸発損失が生じたり油膜厚さの不足が生じたりするため、低トルクとはなるものの優れた耐久寿命が得られないおそれがある。また、動粘度が200mm2 /sを超えると、耐久寿命に対しては若干有利になるが、油膜の抵抗が大きくなるためトルクが上昇するおそれがある。このような問題点がより生じにくくするためには、基油の40℃における動粘度は、20〜60mm2 /sであることがより好ましい。
【0022】
本発明の主用途である家庭用電器,情報機器等に使用する場合であれば、耐久寿命とトルクとのバランスを考えて、基油の40℃における動粘度は20〜60mm2 /sとすることがより好ましく、25〜32mm2 /sとすることがさらに好ましい。なお、最終的な基油の動粘度が上記の範囲となるならば、40℃における動粘度が10〜500mm2 /sの基油を混合して用いてもよい。
【0023】
本発明は、種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
なお、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係るグリース組成物及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩を、40℃における動粘度が15〜200mm2 /sである基油に加え、加熱して完全に溶解させた。
【0025】
なお、脂肪酸リチウムは、長さ及び直径が2μm以下の繊維状であり、その含有量はグリース組成物全体の15〜30質量%である。炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩の具体例としては、ステアリン酸リチウム(炭素数18),カプリン酸リチウム(炭素数10),ラウリン酸リチウム(炭素数12),ミリスチン酸リチウム(炭素数14),パルミチン酸リチウム(炭素数16),アラキン酸リチウム(炭素数20),ベヘン酸リチウム(炭素数22),リグノセリン酸リチウム(炭素数24),ヘキサコサン酸リチウム(炭素数26)等があげられる。
【0026】
また、基油の種類は特に限定されるものではないが、脂肪酸リチウムの溶解性を考えると、極性分子を有する基油(例えば、エステル油,エーテル油,シリコーン油等)であることが好ましい。あるいは、エステル油を主成分とし、合成炭化水素油,エーテル油,鉱油,シリコン油,フッ素油等を含有する混合油でもよい。エステル油としては、ジエステル油,ポリオールエステル油,芳香族エステル油,炭酸エステル油等が好ましい。
【0027】
次に、脂肪酸リチウムを溶解させた基油を急冷して結晶の成長を抑えたら、極性を有する添加剤を加え、ニーダー,プラネタリミキサー,又はホモジナイザを用いて混和ちょう度が260〜330となるまで混練した。このとき、グリース組成物が劣化しない程度であれば加熱してもよい。このように急冷に加えるとともに極性物質を加えて混練することによって、増ちょう剤の3次元的な構造の保持力が弱まるので、増ちょう剤の含有量が比較的多くても混和ちょう度の高いグリース組成物を得ることができる。
【0028】
前記添加剤は、グリース組成物の製造工程中においてグリース組成物の劣化を効果的に防止する効果を有する酸化防止剤であることが好ましく、アミン系酸化防止剤であることがさらに好ましい。そして、モリブデンジチオフォスフェート及びスルホン酸金属塩の少なくとも一方とアミン系酸化防止剤との両者を用いることが最も好ましい。アミン系酸化防止剤の含有量及びモリブデンジチオフォスフェートの含有量は、それぞれグリース組成物全体の0.1〜10質量%とすることが好ましい。0.1質量%未満では添加効果が乏しく、10質量%を超えて添加してもさらなる添加効果が得られない。
【0029】
その後、必要に応じて所望の添加剤を加え、さらに混練を行った後、3本ロールミルで仕上げを行い、さらにフィルタで濾過した。これらの工程は、室内環境がコントロールされたクリーンルーム内で実施されることが好ましい。
音響寿命に対しては、転動装置の内部に存在する異物の影響も大きいため、転動装置の各メーカーは転動装置の洗浄を強化している。また、グリース組成物のメーカーにおいては、製造工程において異物の混入がないように努めている。
【0030】
グリース組成物の製造においては、一般的には、最終工程でフィルタを通すことによって異物を取り除いているが、フィルタの孔径は5〜10μm程度である。なぜなら、通常のグリース組成物は、増ちょう剤の大きさが2μm以上あるので、孔径の小さいフィルタで濾過すると、異物とともに増ちょう剤も取り除かれて大きな性状変化が生じたり、増ちょう剤が構成している繊維の3次元構造が一定方向に配向して、濾過によるグリース組成物の性状変化をコントロールすることが困難となるからである。
【0031】
しかしながら、本実施形態のグリース組成物は、増ちょう剤の長さ及び直径が2μm以下であるので、孔径が2μm以上のフィルタであれば、特に問題なく使用可能である。より優れた音響寿命を実現するためには、増ちょう剤の長さ及び直径を1μm以下にして、孔径が1μmのフィルタを用いて異物を除去することが好ましい。
【0032】
また、優れた音響寿命を実現する上で忘れてはならないことは、保持器のポケットと転動体表面との間の潤滑である。優れた音響寿命が要求される機器には、トルク変動が比較的小さいことから樹脂製保持器が組み込まれた転動装置を用いる場合がほとんどであるが、このとき樹脂製保持器と転動体とが十分に潤滑されていないと、トルク変動をきたすばかりでなく、長期的には樹脂が削れ、転動体表面も微細に損傷してしまう。よって、このようなことを避けるために、いわゆる内部潤滑油をあらかじめ塗布する方法等が提案されている。
【0033】
本実施形態のグリース組成物は、増ちょう剤の大きさが小さく且つ柔軟であるので、より微小な隙間までグリース状のままで入り込みやすい。よって、保持器のポケットと転動体との間に十分に入り込んで保持されるため、安定した潤滑を行うことができる。もちろん、内部潤滑油との併用も可能である。
【0034】
〔実施例〕
以下に、本発明のグリース組成物及び転動装置を、さらに具体的な実施例を示して説明する。
まず、40℃における動粘度が26mm2 /s(100℃における動粘度は5.1mm2 /s)のポリオールエステル油を基油とし、脂肪酸リチウムを増ちょう剤とするとともに、数種の添加剤を含有する25種類のグリース組成物(表1〜5を参照)を用意した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
これらのグリース組成物は、以下のようにして製造した。各表に示すような繊維長を有する脂肪酸リチウム(直径は繊維長と同一又はそれ未満である)をポリオールエステル油に加え、230℃に加熱して溶解させた。そして、−70℃のドライアイス(登録商標)で冷却した板上に薄く広げることにより急冷して、ベースグリースを得た。なお、脂肪酸リチウムの含有量はベースグリース全体の35質量%である。
【0041】
このベースグリースに所定量の基油と添加剤とを加え、小型プラネタリミキサーに装入し、80℃において所定の混和ちょう度となるまで混練した。そして、各表に記載の孔径を有するフィルタ(エスエムシー株式会社製の焼結ステンレスフィルタで、厚さは3mmである)で濾過し、さらに脱泡を行って表1〜5に示すようなグリース組成物を得た。ただし、比較例2,4については、前述のような急冷は行わず、脂肪酸リチウムを溶解したらそのまま撹拌して空冷により徐冷した。
【0042】
なお、各表の「増ちょう剤の種類」の欄に記載されている数値は、増ちょう剤全体を100とした場合における増ちょう剤を構成する各成分の質量比である。また、「増ちょう剤の含有量」及び「添加剤の含有量」の欄に記載されている数値は、グリース組成物全体を100とした場合における増ちょう剤の質量比及び各添加剤の質量比である。さらに、基油の含有量は、グリース組成物全体から増ちょう剤及び添加剤の含有量を差し引いた残部である。
さらに、各表に記載の添加剤のうち、酸化防止剤はチバガイギー社製のイルガノックスL57、モリブデン系添加剤はモリブデンジチオフォスフェート(旭電化社製のサクラルーブ300)、防錆剤はスルホン酸亜鉛(KING社製のNasul ZS)、腐食防止剤はチバガイギー社製のイルガメット39である。
【0043】
さらに、本発明における増ちょう剤の長さ及び直径とは、以下のようにして測定したものである。グリース組成物をワセリンで5〜20倍に希釈し、電子顕微鏡用の金属メッシュ上に塗布した。次に、溶剤(n−ヘキサン等)を入れたシャーレに金属メッシュを載置することにより、グリース組成物から油成分を除去した。溶剤から金属メッシュを取り出し乾燥した後、電子顕微鏡(株式会社明石製作所製のLEM−2000)にセットし、増ちょう剤を観察した。測定倍率は6000倍とし、一視野の主流を占める代表的大きさの繊維5点の長さ及び直径を測定し、その平均値を算出した。
【0044】
次に、このようにして製造した25種類のグリース組成物(実施例1〜17及び比較例1〜8)について、JIS K2220に規定された方法により混和ちょう度及び離油度を測定した。その結果を表1〜5に併せて示す。
さらに、これらのグリース組成物を、それぞれ十分に洗浄した深溝玉軸受(呼び番号608)に充填し、該深溝玉軸受の音響寿命,トルク性能,及び耐フレッチング性能を評価した。以下のその方法を説明する。
【0045】
〔音響寿命の評価方法について〕
まず、深溝玉軸受の構成を、図1を参照しながら説明する。この深溝玉軸受1は、内輪10と、外輪11と、内輪10と外輪11との間に転動自在に配設された複数の玉12と、内輪10と外輪11との間に複数の玉12を保持する保持器13と、接触形のゴムシール14,14と、で構成されている。そして、内輪10と外輪11との間に形成され玉12が内設された空隙部内にはグリース組成物Gが充填され、シール14,14により軸受内部に密封されている。なお、グリース組成物Gの量は前記空隙部の容積の5体積%であり、外輪11の軌道溝狙いで封入してある。グリース組成物の封入量は通常は25〜30体積%であるが、これより少ない量とすることで該音響寿命の評価を加速試験としている。
【0046】
この深溝玉軸受1を、58.8Nの予圧を負荷した状態で、80℃の環境下、回転速度7200min−1で回転させた。そして、回転168時間毎にアンデロン値(ハイバンド値)をアンデロンメータを用いて測定し、アンデロン値が3アンデロンを超えるまでの時間を音響寿命とした。
結果を表1〜5に併せて示す。なお、各表に示した音響寿命の数値は、増ちょう剤がリチウム石けんで基油がエステル油である市販のグリース組成物(協同油脂株式会社製のマンテルプSRL)を充填した深溝玉軸受の音響寿命を1とした場合の相対値で示してある。
【0047】
〔トルク性能の評価方法について〕
音響寿命の評価方法と同様に、深溝玉軸受1の空隙部内にグリース組成物Gを充填した。グリース組成物Gの量は前記空隙部の容積の35体積%であり、外輪11の軌道溝狙いで封入してある。
このような深溝玉軸受1を、図2に示すようなスピンドルモータに組み込んだ。すなわち、モータ33のシャフト31とケーシング32との間に、一対の深溝玉軸受1,1を取り付けた。そして、深溝玉軸受1,1に58.8Nの予圧を負荷した状態で、25℃の環境下、スピンドルモータをモータ33により回転速度7200min−1で2時間回転させた後に、同条件で回転時のトルク値を10分間測定した。
【0048】
測定したトルク値の最大値を、前述の市販のグリース組成物を充填した深溝玉軸受のトルク値の最大値と比較することにより、深溝玉軸受1のトルク性能を評価した。すなわち、トルク値の最大値が、市販のグリース組成物の50%以下であった場合は◎、50%超過80%以下であった場合は○、80%超過120%以下であった場合は△、120%超過であった場合は×とした。結果を表1〜5に併せて示す。
【0049】
〔耐フレッチング性能の評価方法について〕
前述のトルク値を測定し終わったスピンドルモータを利用して、耐フレッチング性能の評価を行った。すなわち、シャフト31を振り幅0.5°、周波数300Hzで1時間揺動させ、揺動の前後でのアンデロン値(ハイバンド値)を比較した。そして、アンデロン値の上昇量が0.2以下であった場合は◎、0.2超過0.5以下であった場合は○、0.5超過1以下であった場合は△、1超過であった場合は×とした。結果を表1〜5に併せて示す。なお、アンデロン値の測定方法は、試験温度が25℃であることを除いては、前述の音響寿命の場合と同様である。
【0050】
表1〜5から分かるように、実施例1〜17のグリース組成物を充填した深溝玉軸受は、音響寿命,トルク性能,及び耐フレッチング性能のいずれにおいても優れた結果を示した。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明のグリース組成物は、所定の動粘度を有する基油に前述のような繊維状の脂肪酸リチウムを所定量含有させてなり、所定の混和ちょう度を有しているので、優れた音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性を転動装置に付与できる。
また、本発明の転動装置は、前述のような優れた性能を有するグリース組成物を備えているので、音響寿命,トルク性能,耐フレッチング性能,及び低発塵性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構成を示す縦断面図である。
【図2】トルク性能及び耐フレッチング性能の評価に使用するスピンドルモータの縦断面図である。
【図3】本発明のグリース組成物において、増ちょう剤の含有量と混和ちょう度との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 深溝玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 玉
G グリース組成物
Claims (2)
- 基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物において、
前記増ちょう剤は、炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩で、且つ、長さ及び直径が2μm以下の繊維状であり、その含有量は組成物全体の15〜30質量%であるとともに、
前記基油の40℃における動粘度は15〜200mm2 /sであり、
混和ちょう度は260〜330であることを特徴とするグリース組成物。 - 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1に記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする転動装置。
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