JP2004124745A - ターボ過給機付エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】排気圧力の上昇に起因する燃費性能の低下を防止することができ、加速レスポンスを高めることができるターボ過給機付エンジンを提供する。
【解決手段】ブロア10aとタービン10bとからなるターボ過給機10を備えたエンジンEには、タービン上流の排気通路14とタービン下流の排気通路14とを連通するウェストゲート通路16と、該ウェストゲート通路16を開閉するウェストゲートバルブ17とが設けられている。ウェストゲートバルブ17は、2室式ダイヤフラムアクチュエータ27によって開閉される。そして、高速・高負荷時には、ウェストゲートバルブ17が開かれ、過給圧制御が行われる。高速・低負荷時にはウェストゲートバルブ17が少なくとも部分的に開かれて、排気圧力ないし排気抵抗が低減され、燃費性能が高められる。低速時には、ウェストゲートバルブ17が閉じられ、加速レスポンスが高められる。
【選択図】 図1
【解決手段】ブロア10aとタービン10bとからなるターボ過給機10を備えたエンジンEには、タービン上流の排気通路14とタービン下流の排気通路14とを連通するウェストゲート通路16と、該ウェストゲート通路16を開閉するウェストゲートバルブ17とが設けられている。ウェストゲートバルブ17は、2室式ダイヤフラムアクチュエータ27によって開閉される。そして、高速・高負荷時には、ウェストゲートバルブ17が開かれ、過給圧制御が行われる。高速・低負荷時にはウェストゲートバルブ17が少なくとも部分的に開かれて、排気圧力ないし排気抵抗が低減され、燃費性能が高められる。低速時には、ウェストゲートバルブ17が閉じられ、加速レスポンスが高められる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ターボ過給機付エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のエンジンにおいては、排気ガスがかなり高い圧力(排気圧力)をもつことから、この排気ガスの圧力を有効に利用して吸気圧力ないしは充填効率を高めるターボ過給機を設けてエンジン出力の向上を図るようにしたターボ過給機付エンジンが従来用いられている。しかし、過給圧があまり高くなると異常燃焼が生じるなどといった不具合が生じるので、過給圧は所定の最高過給圧を超えないように制御される。
【0003】
具体的には、タービンをバイパスしてタービン上流の排気通路とタービン下流の排気通路とを連通するウェストゲート通路と、該ウェストゲート通路を開閉するウェストゲートバルブとが設けられ、例えば高速・高負荷領域では、過給圧上昇を抑制するためにウェストゲートが開かれるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−257519号公報(段落[0020]、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるターボ過給機付エンジンにおいては、とくに中低速時におけるトルクの向上を図るため、小型ターボ過給機が用いられることが多い。しかしながら、小型ターボ過給機を用いた場合、高速時等においては排気ガス量が多くなり、排気圧力ないし排気抵抗が増大し、燃焼室内での残留ガスが増加するともに燃焼室への新気の供給量が減少する。このため、燃焼室内での混合気ないしは燃料の燃焼が不安定とあり、燃費性能が低下するといった問題が生じる。
【0006】
また、小型ターボ過給機を用いたエンジンでは、ウェストゲートバルブが開かれることが多くなるが、ウェストゲートバルブが開かれているときには加速レスポンスが悪くなるといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、とくに小型ターボ過給機を用いた場合に、排気圧力ないし排気抵抗の上昇に起因する燃費性能の低下を防止することができ、さらには加速レスポンスを高めることができるターボ過給機付エンジンを提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかるターボ過給機付エンジンは、排気通路に配置されたタービンと吸気通路に配置されたブロアとを備えたターボ過給機が設けられるとともに、タービン上流の排気通路とタービン下流の排気通路との間にタービンをバイパスするウェストゲートが設けられ、高速・高負荷領域では過給圧上昇を抑制するためにウェストゲートが開かれるようになっているターボ過給機付エンジンにおいて、高速・低負荷領域(高速領域において上記高速・高負荷領域よりも低負荷側の領域)では、ウェストゲートが、タービン上流の排気圧力の上昇を抑制するように少なくとも部分的に開かれることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、上記ターボ過給機としては、例えば、全負荷状態(WOT)において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数(インタセプト点)が、定格回転数(例えば、6000r.p.m.)の1/3以内(例えば、2000r.p.m.又はこれより低い回転数)である小型ターボ過給機が用いられる。
【0010】
このターボ過給機付エンジンによれば、排気ガス量が多くなる高速領域において、上記高速・高負荷領域よりも低負荷側の、とくには過給圧の上昇を抑制する必要がない低負荷領域でも、ウェストゲートが少なくとも部分的に開かれるので、排気圧力ないし排気抵抗の過上昇が防止され、燃焼室内での残留ガス量の増大ないしは新気供給量の減少が防止される。このため、燃焼室内での混合気ないし燃料の燃焼を安定させることができ、燃費性能を高めることができる。なお、かかる作用・効果は、小型ターボ過給機を用いる場合に、とくに顕著となる。
【0011】
上記ターボ過給機付エンジンにおいては、低速領域でウェストゲートを閉じるようにした上で、上記高速・低負荷領域を、全運転領域から上記低速領域と上記高速・高負荷領域とを除いた領域とするのが好ましい。このようにすれば、加速要求が高く、排気圧力上昇が少ない低速領域において、加速レスポンスを高める(確保する)ことができる。
【0012】
具体的には、上記高速・低負荷領域は、例えば、エンジン回転数及び負荷をパラメータとする運転領域において、余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数及び負荷を示すライン(以下、「インタセプトライン」という。)と、全負荷状態において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数(インタセプト点)よりも(少なくとも中高負荷領域では)低速側で、低速領域と中速領域とを区画するライン(以下、「低速・中速区画ライン」という。)とに囲まれた(挟まれた)領域とされる。
この場合、低速・中速区画ラインは、低負荷領域(低負荷側)では、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように(インタセプト点よりも高速側に伸びて)設定されているのが好ましい。このようにすれば、加速要求が生じることが多い中低速・低負荷領域ではウェストゲートが閉じられ、加速レスポンスを十分に高めることができる。
【0013】
上記ターボ過給機付エンジンにおいては、ウェストゲートを動作させるアクチェータを、ダイヤフラムにより区画された(仕切られた)2つの圧力室を備えた2室式ダイヤフラムアクチュエータとした上で、一方の圧力室にブロア下流の過給圧を供給する一方、他方の圧力室にブロア下流かつスロットルバルブ下流の吸気通路内圧力(ブースト圧)を供給し、両圧力室に供給される過給圧及び吸気通路内圧力を、それぞれ(個別に)、ソレノイドバルブ(三方ソレノイドバルブ)により調圧するのが好ましい。このようにすれば、高速・高負荷領域では過給圧制御を行い、低速領域ではウェストゲートを閉じ、高速・低負荷領域ではウェストゲートを少なくとも部分的に開くといった上記ウェストゲート制御を、簡素な構成でもって容易に行うことができる。
【0014】
上記ターボ過給機付エンジンにおいては、上記高速・低負荷領域での運転時であっても、加速時にはウェストゲートを閉じるのが好ましい。このようにすれば、加速レスポンスをより有効に高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1に示すように、本発明にかかるターボ過給機付エンジンE(以下、「エンジンE」という。)は、第1〜第4気筒#1〜#4を備えた直列4気筒エンジンである。各気筒#1〜#4においては、それぞれ、吸気弁(図示せず)が開かれたときに、第1、第2吸気ポート1a、1bを経由して、第1、第2分岐吸気通路2a、2bから燃焼室3内に燃料燃焼用のエアが吸入される。そして、燃焼室3内のエア中に、所定のタイミングで燃料噴射弁4から燃料(ガソリン)が直接噴射され、混合気が形成される。
【0016】
この混合気は、ピストン(図示せず)によって圧縮され、所定のタイミングで点火プラグ(図示せず)により点火されて燃焼する。燃焼ガスすなわち排気ガスは、排気弁(図示せず)が開かれたときに、第1、第2排気ポート5a、5bを経由して、第1、第2分岐排気通路6a、6bに排出される。
【0017】
各気筒#1〜#4にエアを供給するために吸気通路7(共通吸気通路)が設けられ、この吸気通路7には、エアの流れ方向にみて、上流側から順に、エア中のダスト等を除去するエアクリーナ8と、エアの流量を検出するエアフローセンサ9と、ターボ過給機10のブロア10a(コンプレッサ)と、ブロア10aにより加圧されて高温となったエアを冷却するインタクーラ11と、エアを絞るスロットルバルブ12とが設けられている。吸気通路7の下流端はエアの流れを安定させるサージタンク13に接続され、このサージタンク13には、各気筒#1〜#4の第1、第2分岐吸気通路2a、2bの上流端が接続されている。
【0018】
各気筒#1〜#4の第1、第2分岐排気通路6a、6bの下流端は1つの排気通路14(共通排気通路)に接続されている。この排気通路14には、排気ガスの流れ方向にみて上流側から順に、ターボ過給機10のタービン10bと、三元触媒を用いた触媒コンバータ15とが設けられている。また、タービン10bをバイパスしてタービン上流の排気通路14とタービン下流の排気通路14とを接続するウェストゲート通路16と、このウェストゲート通路16を開閉するウェストゲートバルブ17とが設けられている。なお、ウェストゲート通路16及びウェストゲートバルブ17は、特許請求の範囲に記載された「ウェストゲート」に相当する。
【0019】
ウェストゲートバルブ17が開かれたときには、その開度に応じて、排気ガスの一部又は全部がタービン10bをバイパスして、ウェストゲート通路16を経由して排出される。なお、ターボ過給機10は、中低速でのトルク向上効果が高い、インタセプト点(全負荷状態でウェストゲートバルブ17が開かれ始めるエンジン回転数)が定格エンジン回転数(例えば、6000r.p.m.)の1/3以内である小型ターボ過給機である。
【0020】
後で詳しく説明するように、ウェストゲートバルブ17は、基本的には、所定の高速・高負荷領域では(高速・高負荷時)過給圧Pcomp(位置P2における排気通路内圧力)が最高過給圧を超えるのを防止するために開かれ(過給圧制御)、所定の低速領域では(低速時)加速レスポンスを高めるために閉じられ、所定の高速・低負荷領域では(高速・低負荷時)排気圧力Pex(位置P4における排気通路内圧力)ないし排気抵抗を低減するために少なくとも部分的に開かれる(排気圧力制御)。
【0021】
また、エンジンEには、タービン10bの下流の排気通路14とスロットルバルブ12の下流の吸気通路7とを接続するバイパス通路18が設けられている。なお、バイパス通路18は触媒コンバータ15より上流で排気通路14に接続されている。そして、バイパス通路18には、該バイパス通路18内を流れる排気ガス(EGRガス)を冷却するガスクーラ19と、該バイパス通路18内を流れるエア又は排気ガスの流量を制御する調整弁20とが介設されている。
【0022】
エンジンEにおいては、スロットルバルブ12の下流の位置P3における吸気通路内圧力Pbがタービン10bの下流の位置P5における排気通路内圧力Expより高いときには、該圧力差と調整弁20の開度とに応じて、吸気通路7内のエア(新気)の一部がバイパス通路18を経由して排気通路14内に流入する。
【0023】
また、排気通路内圧力Expが吸気通路内圧力Pbより高いときには、該圧力差と調整弁20の開度とに応じて、排気通路14内の排気ガスの一部がEGRガスとしてバイパス通路18を経由して吸気通路7内に流入する。この場合、ガスクーラ19及び調整弁20を備えたバイパス通路18は、普通のターボ過給機付エンジンにおけるEGR装置と同様に機能する。
【0024】
以下、ウェストゲートバルブ17を駆動するアクチュエータを説明する。
図2(a)に示すように、アクチュエータ27は、ダイヤフラム27dにより互いに仕切られた第1圧力室27a及び第2圧力室27bを備えた2室式ダイヤフラムアクチュエータである。なお、ダイヤフラム27dは、ばね27cによって常時ウェストゲートバルブ17が閉じる方向(図2(a)中では左向き)に付勢されている。また、図2(a)中で、両矢印の「開」、「閉」は、ウェストゲートバルブ17の開閉を示している。
【0025】
ここで、第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21を介して、大気圧Pa又はブロア下流の過給圧Pcompが供給されるようになっている。すなわち、第1三方ソレノイドバルブ21の、第1接続端21aは位置P1付近で吸気通路7に接続され(又は大気開放され)、第2接続端21bは位置P2付近で吸気通路7に接続され、第3接続端21cは、第1圧力室27aに接続されている。そして、第1三方ソレノイドバルブ21は、第1圧力室27aに、全面的に大気圧Paもしくは過給圧Pcompを供給し、又はデューティ比に応じて過給圧Pcompを調圧して供給するようになっている。つまり、第1三方ソレノイドバルブ21は、第1圧力室27aに供給する過給圧Pcompをデューティ制御することができる。
【0026】
他方、第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22を介して、大気圧Pa又はスロットルバルブ下流の吸気通路内圧力Pb(以下、「吸気圧Pb」という。)が供給されるようになっている。すなわち、第2三方ソレノイドバルブ22の、第1接続端22aは位置P1付近で吸気通路7に接続され(又は大気開放され)、第2接続端22bは位置P3付近で吸気通路7に接続され、第3接続端22cは第2圧力室27bに接続されている。そして、第2三方ソレノイドバルブ22は、第2圧力室27bに、全面的に大気圧Paもしくは吸気圧Pb(ブースト圧:負圧)を供給し、又はデューティ比に応じて吸気圧Pbを調圧して供給するようになっている。つまり、第2三方ソレノイドバルブ22は、第2圧力室27bに供給する吸気圧Pbをデューティ制御することができる。
【0027】
なお、図2(b)に示すように、この種のターボ過給機付エンジンのウェストゲートバルブ17に設けられる普通のアクチュエータ27’は、第2圧力室27bが単純に大気に開放された、第2三方ソレノイドバルブ22を備えていないものである。
【0028】
以下、このエンジンEにおけるウェストゲートバルブ17の制御手法を具体的に説明する。
図3(a)は、エンジン回転数とエンジン負荷(出力トルク)とをパラメータとするエンジンEの運転領域を示している。
図3(a)中において、曲線L1(実線)は、全負荷状態(WOT)におけるエンジン回転数とエンジン負荷との関係を示すWOTラインを示している。
【0029】
図3(a)中において、曲線L2(2点鎖線)は、中高負荷領域ではインタセプト点Q(全負荷状態において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートバルブ17を開き始めるエンジン回転数)よりも低速側において低速領域と中速領域とを区画する低速・中速区画ラインを示している。なお、低負荷領域では、低速・中速区画ラインL2(Mで示す部分)は、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように設定され、インタセプト点Qより高速側に伸びている。
曲線L3(破線)は、余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートバルブ17を開き始めるエンジン回転及び負荷を示すインタセプトラインを示している。
なお、図3(b)は、図2(b)に示す普通のアクチュエータ27’を用いた場合におけるWOTラインL1及びインタセプトラインL3を示している。
【0030】
(高速・高負荷時)
高速(ないしは中高速)・高負荷時、すなわち図3(a)中においてWOTラインL1とインタセプトラインL3とに挟まれた領域IIIで示す運転領域では、アクチュエータ27の第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21によって、デューティ比に応じた過給圧Pcompが供給される。他方、アクチュエータ27の第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22によって大気圧Paが供給される。
【0031】
この場合、ウェストゲートバルブ17が、第1三方ソレノイドバルブ21のデューティ比に応じて開かれ、第1圧力室27aに供給される過給圧Pcompがデューティ制御され、過給圧Pcompはデューティ制御により最高過給圧を超えないように制御される(過給圧制御)。
【0032】
(高速・低負荷時)
高速(ないしは中高速)・低負荷時、すなわち図3(a)中において低速・中速区画ラインL2とインタセプトラインL3とに挟まれた領域IIで示す運転領域では、アクチュエータ27の第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21によって、デューティ比に応じた過給圧Pcompが供給される。他方、アクチュエータ27の第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22によって、デューティ比に応じた吸気圧Pb(負圧)が供給される。
【0033】
この場合、ウェストゲートバルブ17は、第1三方ソレノイドバルブ21のデューティ比と第2三方ソレノイドバルブ22のデューティ比とに応じて開かれ、排気圧力ないし排気抵抗が低減される。これにより、燃焼室3内での残留ガス量の増大ないし新気供給量の減少を防止して、燃焼室3内での混合気ないし燃料の燃焼を安定させることができ、燃費性能を高めることができる。なお、このエンジンEでは、前記のとおりターボ過給機10が小型ターボ過給機であるので、上記効果がとくに顕著となる。
なお、この高速・低負荷時においても、加速時には、加速レスポンスを有効に高めるために、ウェストゲートバルブ17を閉じるのが好ましい。
【0034】
(低速時)
低速時(低負荷側では中低速時)、すなわち図3(a)中において低速・中速区画ラインL2より低速側の領域Iで示す運転領域では、アクチュエータ27の第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21によって、過給圧Pcompがそのまま(100%)供給される。他方、アクチュエータ27の第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22によって、大気圧Paが供給される。
なお、図3(a)中において、直線L4より低負荷側では、混合気ないし燃料の燃焼性を高め、ひいては燃費性能を高めるために、成層燃焼を行うのが好ましい。
【0035】
この場合、ウェストゲートバルブ17は閉じられ、加速要求が高く、排気圧力上昇が少ないこの低速時において、加速レスポンスを高めることができる。なお、前記のとおり、低負荷領域では、低速・中速区画ラインL2(図3(a)中でMで示す部分)が、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように設定され、中速領域まで伸びているので、加速要求が生じることが多い中低速・低負荷時における加速レスポンスを十分に高めることができる。
【0036】
なお、領域Iと領域IIとの切り替えが頻繁に起こるのを防止するため、領域Iから領域IIへの切り替えラインと、領域IIから領域Iへの切り替えラインとの間に、図3(a)中に両矢印A1で示す方向の幅を持たせるようにしてもよい。同様に、領域IIから領域IIIへの切り替えラインと、領域IIIから領域IIへの切り替えラインとの間に、図3(a)中に両矢印A2で示す方向の幅を持たせるようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、とくに小型ターボ過給機を用いた場合に、排気圧力の上昇に起因する燃費性能の低下を防止することができ、さらには加速レスポンスを高めることができるターボ過給機付エンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に形態にかかるターボ過給機付エンジンのシステム構成図である。
【図2】(a)は図1に示すエンジンのウェストゲートバルブを駆動するアクチュエータの模式図であり、(b)はこの種の普通のアクチュエータの模式図である。
【図3】(a)図1に示すエンジンにおけるエンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとする運転領域を示すグラフであり、(b)は図2(b)に示すアクチュエータを用いた場合における図3(a)と同様のグラフである。
【符号の説明】
E…ターボ過給機付エンジン、1a…第1吸気ポート、1b…第2吸気ポート、2a…第1分岐吸気通路、2b…第2分岐吸気通路、3…燃焼室、4…燃料噴射弁、5a…第1排気ポート、5b…第2排気ポート、6a…第1分岐排気通路、6b…第2分岐排気通路、7…吸気通路、8…エアクリーナ、9…エアフローセンサ、10…ターボ過給機、10a…ブロア、10b…タービン、11…インタクーラ、12…スロットルバルブ、13…サージタンク、14…排気通路、15…触媒コンバータ(三元触媒)、16…ウェストゲート通路、17…ウェストゲートバルブ、18…バイパス通路、19…ガスクーラ、20…調整弁、21…第1三方ソレノイドバルブ、21a…第1接続端、21b…第2接続端、21c…第3接続端、22…第2三方ソレノイドバルブ、22a…第1接続端、22b…第2接続端、22c…第3接続端、27…アクチュエータ、27a…第1圧力室、27b…第2圧力室、27c…ばね、27d…ダイヤフラム。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ターボ過給機付エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のエンジンにおいては、排気ガスがかなり高い圧力(排気圧力)をもつことから、この排気ガスの圧力を有効に利用して吸気圧力ないしは充填効率を高めるターボ過給機を設けてエンジン出力の向上を図るようにしたターボ過給機付エンジンが従来用いられている。しかし、過給圧があまり高くなると異常燃焼が生じるなどといった不具合が生じるので、過給圧は所定の最高過給圧を超えないように制御される。
【0003】
具体的には、タービンをバイパスしてタービン上流の排気通路とタービン下流の排気通路とを連通するウェストゲート通路と、該ウェストゲート通路を開閉するウェストゲートバルブとが設けられ、例えば高速・高負荷領域では、過給圧上昇を抑制するためにウェストゲートが開かれるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−257519号公報(段落[0020]、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるターボ過給機付エンジンにおいては、とくに中低速時におけるトルクの向上を図るため、小型ターボ過給機が用いられることが多い。しかしながら、小型ターボ過給機を用いた場合、高速時等においては排気ガス量が多くなり、排気圧力ないし排気抵抗が増大し、燃焼室内での残留ガスが増加するともに燃焼室への新気の供給量が減少する。このため、燃焼室内での混合気ないしは燃料の燃焼が不安定とあり、燃費性能が低下するといった問題が生じる。
【0006】
また、小型ターボ過給機を用いたエンジンでは、ウェストゲートバルブが開かれることが多くなるが、ウェストゲートバルブが開かれているときには加速レスポンスが悪くなるといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、とくに小型ターボ過給機を用いた場合に、排気圧力ないし排気抵抗の上昇に起因する燃費性能の低下を防止することができ、さらには加速レスポンスを高めることができるターボ過給機付エンジンを提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかるターボ過給機付エンジンは、排気通路に配置されたタービンと吸気通路に配置されたブロアとを備えたターボ過給機が設けられるとともに、タービン上流の排気通路とタービン下流の排気通路との間にタービンをバイパスするウェストゲートが設けられ、高速・高負荷領域では過給圧上昇を抑制するためにウェストゲートが開かれるようになっているターボ過給機付エンジンにおいて、高速・低負荷領域(高速領域において上記高速・高負荷領域よりも低負荷側の領域)では、ウェストゲートが、タービン上流の排気圧力の上昇を抑制するように少なくとも部分的に開かれることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、上記ターボ過給機としては、例えば、全負荷状態(WOT)において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数(インタセプト点)が、定格回転数(例えば、6000r.p.m.)の1/3以内(例えば、2000r.p.m.又はこれより低い回転数)である小型ターボ過給機が用いられる。
【0010】
このターボ過給機付エンジンによれば、排気ガス量が多くなる高速領域において、上記高速・高負荷領域よりも低負荷側の、とくには過給圧の上昇を抑制する必要がない低負荷領域でも、ウェストゲートが少なくとも部分的に開かれるので、排気圧力ないし排気抵抗の過上昇が防止され、燃焼室内での残留ガス量の増大ないしは新気供給量の減少が防止される。このため、燃焼室内での混合気ないし燃料の燃焼を安定させることができ、燃費性能を高めることができる。なお、かかる作用・効果は、小型ターボ過給機を用いる場合に、とくに顕著となる。
【0011】
上記ターボ過給機付エンジンにおいては、低速領域でウェストゲートを閉じるようにした上で、上記高速・低負荷領域を、全運転領域から上記低速領域と上記高速・高負荷領域とを除いた領域とするのが好ましい。このようにすれば、加速要求が高く、排気圧力上昇が少ない低速領域において、加速レスポンスを高める(確保する)ことができる。
【0012】
具体的には、上記高速・低負荷領域は、例えば、エンジン回転数及び負荷をパラメータとする運転領域において、余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数及び負荷を示すライン(以下、「インタセプトライン」という。)と、全負荷状態において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数(インタセプト点)よりも(少なくとも中高負荷領域では)低速側で、低速領域と中速領域とを区画するライン(以下、「低速・中速区画ライン」という。)とに囲まれた(挟まれた)領域とされる。
この場合、低速・中速区画ラインは、低負荷領域(低負荷側)では、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように(インタセプト点よりも高速側に伸びて)設定されているのが好ましい。このようにすれば、加速要求が生じることが多い中低速・低負荷領域ではウェストゲートが閉じられ、加速レスポンスを十分に高めることができる。
【0013】
上記ターボ過給機付エンジンにおいては、ウェストゲートを動作させるアクチェータを、ダイヤフラムにより区画された(仕切られた)2つの圧力室を備えた2室式ダイヤフラムアクチュエータとした上で、一方の圧力室にブロア下流の過給圧を供給する一方、他方の圧力室にブロア下流かつスロットルバルブ下流の吸気通路内圧力(ブースト圧)を供給し、両圧力室に供給される過給圧及び吸気通路内圧力を、それぞれ(個別に)、ソレノイドバルブ(三方ソレノイドバルブ)により調圧するのが好ましい。このようにすれば、高速・高負荷領域では過給圧制御を行い、低速領域ではウェストゲートを閉じ、高速・低負荷領域ではウェストゲートを少なくとも部分的に開くといった上記ウェストゲート制御を、簡素な構成でもって容易に行うことができる。
【0014】
上記ターボ過給機付エンジンにおいては、上記高速・低負荷領域での運転時であっても、加速時にはウェストゲートを閉じるのが好ましい。このようにすれば、加速レスポンスをより有効に高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1に示すように、本発明にかかるターボ過給機付エンジンE(以下、「エンジンE」という。)は、第1〜第4気筒#1〜#4を備えた直列4気筒エンジンである。各気筒#1〜#4においては、それぞれ、吸気弁(図示せず)が開かれたときに、第1、第2吸気ポート1a、1bを経由して、第1、第2分岐吸気通路2a、2bから燃焼室3内に燃料燃焼用のエアが吸入される。そして、燃焼室3内のエア中に、所定のタイミングで燃料噴射弁4から燃料(ガソリン)が直接噴射され、混合気が形成される。
【0016】
この混合気は、ピストン(図示せず)によって圧縮され、所定のタイミングで点火プラグ(図示せず)により点火されて燃焼する。燃焼ガスすなわち排気ガスは、排気弁(図示せず)が開かれたときに、第1、第2排気ポート5a、5bを経由して、第1、第2分岐排気通路6a、6bに排出される。
【0017】
各気筒#1〜#4にエアを供給するために吸気通路7(共通吸気通路)が設けられ、この吸気通路7には、エアの流れ方向にみて、上流側から順に、エア中のダスト等を除去するエアクリーナ8と、エアの流量を検出するエアフローセンサ9と、ターボ過給機10のブロア10a(コンプレッサ)と、ブロア10aにより加圧されて高温となったエアを冷却するインタクーラ11と、エアを絞るスロットルバルブ12とが設けられている。吸気通路7の下流端はエアの流れを安定させるサージタンク13に接続され、このサージタンク13には、各気筒#1〜#4の第1、第2分岐吸気通路2a、2bの上流端が接続されている。
【0018】
各気筒#1〜#4の第1、第2分岐排気通路6a、6bの下流端は1つの排気通路14(共通排気通路)に接続されている。この排気通路14には、排気ガスの流れ方向にみて上流側から順に、ターボ過給機10のタービン10bと、三元触媒を用いた触媒コンバータ15とが設けられている。また、タービン10bをバイパスしてタービン上流の排気通路14とタービン下流の排気通路14とを接続するウェストゲート通路16と、このウェストゲート通路16を開閉するウェストゲートバルブ17とが設けられている。なお、ウェストゲート通路16及びウェストゲートバルブ17は、特許請求の範囲に記載された「ウェストゲート」に相当する。
【0019】
ウェストゲートバルブ17が開かれたときには、その開度に応じて、排気ガスの一部又は全部がタービン10bをバイパスして、ウェストゲート通路16を経由して排出される。なお、ターボ過給機10は、中低速でのトルク向上効果が高い、インタセプト点(全負荷状態でウェストゲートバルブ17が開かれ始めるエンジン回転数)が定格エンジン回転数(例えば、6000r.p.m.)の1/3以内である小型ターボ過給機である。
【0020】
後で詳しく説明するように、ウェストゲートバルブ17は、基本的には、所定の高速・高負荷領域では(高速・高負荷時)過給圧Pcomp(位置P2における排気通路内圧力)が最高過給圧を超えるのを防止するために開かれ(過給圧制御)、所定の低速領域では(低速時)加速レスポンスを高めるために閉じられ、所定の高速・低負荷領域では(高速・低負荷時)排気圧力Pex(位置P4における排気通路内圧力)ないし排気抵抗を低減するために少なくとも部分的に開かれる(排気圧力制御)。
【0021】
また、エンジンEには、タービン10bの下流の排気通路14とスロットルバルブ12の下流の吸気通路7とを接続するバイパス通路18が設けられている。なお、バイパス通路18は触媒コンバータ15より上流で排気通路14に接続されている。そして、バイパス通路18には、該バイパス通路18内を流れる排気ガス(EGRガス)を冷却するガスクーラ19と、該バイパス通路18内を流れるエア又は排気ガスの流量を制御する調整弁20とが介設されている。
【0022】
エンジンEにおいては、スロットルバルブ12の下流の位置P3における吸気通路内圧力Pbがタービン10bの下流の位置P5における排気通路内圧力Expより高いときには、該圧力差と調整弁20の開度とに応じて、吸気通路7内のエア(新気)の一部がバイパス通路18を経由して排気通路14内に流入する。
【0023】
また、排気通路内圧力Expが吸気通路内圧力Pbより高いときには、該圧力差と調整弁20の開度とに応じて、排気通路14内の排気ガスの一部がEGRガスとしてバイパス通路18を経由して吸気通路7内に流入する。この場合、ガスクーラ19及び調整弁20を備えたバイパス通路18は、普通のターボ過給機付エンジンにおけるEGR装置と同様に機能する。
【0024】
以下、ウェストゲートバルブ17を駆動するアクチュエータを説明する。
図2(a)に示すように、アクチュエータ27は、ダイヤフラム27dにより互いに仕切られた第1圧力室27a及び第2圧力室27bを備えた2室式ダイヤフラムアクチュエータである。なお、ダイヤフラム27dは、ばね27cによって常時ウェストゲートバルブ17が閉じる方向(図2(a)中では左向き)に付勢されている。また、図2(a)中で、両矢印の「開」、「閉」は、ウェストゲートバルブ17の開閉を示している。
【0025】
ここで、第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21を介して、大気圧Pa又はブロア下流の過給圧Pcompが供給されるようになっている。すなわち、第1三方ソレノイドバルブ21の、第1接続端21aは位置P1付近で吸気通路7に接続され(又は大気開放され)、第2接続端21bは位置P2付近で吸気通路7に接続され、第3接続端21cは、第1圧力室27aに接続されている。そして、第1三方ソレノイドバルブ21は、第1圧力室27aに、全面的に大気圧Paもしくは過給圧Pcompを供給し、又はデューティ比に応じて過給圧Pcompを調圧して供給するようになっている。つまり、第1三方ソレノイドバルブ21は、第1圧力室27aに供給する過給圧Pcompをデューティ制御することができる。
【0026】
他方、第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22を介して、大気圧Pa又はスロットルバルブ下流の吸気通路内圧力Pb(以下、「吸気圧Pb」という。)が供給されるようになっている。すなわち、第2三方ソレノイドバルブ22の、第1接続端22aは位置P1付近で吸気通路7に接続され(又は大気開放され)、第2接続端22bは位置P3付近で吸気通路7に接続され、第3接続端22cは第2圧力室27bに接続されている。そして、第2三方ソレノイドバルブ22は、第2圧力室27bに、全面的に大気圧Paもしくは吸気圧Pb(ブースト圧:負圧)を供給し、又はデューティ比に応じて吸気圧Pbを調圧して供給するようになっている。つまり、第2三方ソレノイドバルブ22は、第2圧力室27bに供給する吸気圧Pbをデューティ制御することができる。
【0027】
なお、図2(b)に示すように、この種のターボ過給機付エンジンのウェストゲートバルブ17に設けられる普通のアクチュエータ27’は、第2圧力室27bが単純に大気に開放された、第2三方ソレノイドバルブ22を備えていないものである。
【0028】
以下、このエンジンEにおけるウェストゲートバルブ17の制御手法を具体的に説明する。
図3(a)は、エンジン回転数とエンジン負荷(出力トルク)とをパラメータとするエンジンEの運転領域を示している。
図3(a)中において、曲線L1(実線)は、全負荷状態(WOT)におけるエンジン回転数とエンジン負荷との関係を示すWOTラインを示している。
【0029】
図3(a)中において、曲線L2(2点鎖線)は、中高負荷領域ではインタセプト点Q(全負荷状態において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートバルブ17を開き始めるエンジン回転数)よりも低速側において低速領域と中速領域とを区画する低速・中速区画ラインを示している。なお、低負荷領域では、低速・中速区画ラインL2(Mで示す部分)は、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように設定され、インタセプト点Qより高速側に伸びている。
曲線L3(破線)は、余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートバルブ17を開き始めるエンジン回転及び負荷を示すインタセプトラインを示している。
なお、図3(b)は、図2(b)に示す普通のアクチュエータ27’を用いた場合におけるWOTラインL1及びインタセプトラインL3を示している。
【0030】
(高速・高負荷時)
高速(ないしは中高速)・高負荷時、すなわち図3(a)中においてWOTラインL1とインタセプトラインL3とに挟まれた領域IIIで示す運転領域では、アクチュエータ27の第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21によって、デューティ比に応じた過給圧Pcompが供給される。他方、アクチュエータ27の第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22によって大気圧Paが供給される。
【0031】
この場合、ウェストゲートバルブ17が、第1三方ソレノイドバルブ21のデューティ比に応じて開かれ、第1圧力室27aに供給される過給圧Pcompがデューティ制御され、過給圧Pcompはデューティ制御により最高過給圧を超えないように制御される(過給圧制御)。
【0032】
(高速・低負荷時)
高速(ないしは中高速)・低負荷時、すなわち図3(a)中において低速・中速区画ラインL2とインタセプトラインL3とに挟まれた領域IIで示す運転領域では、アクチュエータ27の第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21によって、デューティ比に応じた過給圧Pcompが供給される。他方、アクチュエータ27の第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22によって、デューティ比に応じた吸気圧Pb(負圧)が供給される。
【0033】
この場合、ウェストゲートバルブ17は、第1三方ソレノイドバルブ21のデューティ比と第2三方ソレノイドバルブ22のデューティ比とに応じて開かれ、排気圧力ないし排気抵抗が低減される。これにより、燃焼室3内での残留ガス量の増大ないし新気供給量の減少を防止して、燃焼室3内での混合気ないし燃料の燃焼を安定させることができ、燃費性能を高めることができる。なお、このエンジンEでは、前記のとおりターボ過給機10が小型ターボ過給機であるので、上記効果がとくに顕著となる。
なお、この高速・低負荷時においても、加速時には、加速レスポンスを有効に高めるために、ウェストゲートバルブ17を閉じるのが好ましい。
【0034】
(低速時)
低速時(低負荷側では中低速時)、すなわち図3(a)中において低速・中速区画ラインL2より低速側の領域Iで示す運転領域では、アクチュエータ27の第1圧力室27aには、第1三方ソレノイドバルブ21によって、過給圧Pcompがそのまま(100%)供給される。他方、アクチュエータ27の第2圧力室27bには、第2三方ソレノイドバルブ22によって、大気圧Paが供給される。
なお、図3(a)中において、直線L4より低負荷側では、混合気ないし燃料の燃焼性を高め、ひいては燃費性能を高めるために、成層燃焼を行うのが好ましい。
【0035】
この場合、ウェストゲートバルブ17は閉じられ、加速要求が高く、排気圧力上昇が少ないこの低速時において、加速レスポンスを高めることができる。なお、前記のとおり、低負荷領域では、低速・中速区画ラインL2(図3(a)中でMで示す部分)が、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように設定され、中速領域まで伸びているので、加速要求が生じることが多い中低速・低負荷時における加速レスポンスを十分に高めることができる。
【0036】
なお、領域Iと領域IIとの切り替えが頻繁に起こるのを防止するため、領域Iから領域IIへの切り替えラインと、領域IIから領域Iへの切り替えラインとの間に、図3(a)中に両矢印A1で示す方向の幅を持たせるようにしてもよい。同様に、領域IIから領域IIIへの切り替えラインと、領域IIIから領域IIへの切り替えラインとの間に、図3(a)中に両矢印A2で示す方向の幅を持たせるようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、とくに小型ターボ過給機を用いた場合に、排気圧力の上昇に起因する燃費性能の低下を防止することができ、さらには加速レスポンスを高めることができるターボ過給機付エンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に形態にかかるターボ過給機付エンジンのシステム構成図である。
【図2】(a)は図1に示すエンジンのウェストゲートバルブを駆動するアクチュエータの模式図であり、(b)はこの種の普通のアクチュエータの模式図である。
【図3】(a)図1に示すエンジンにおけるエンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとする運転領域を示すグラフであり、(b)は図2(b)に示すアクチュエータを用いた場合における図3(a)と同様のグラフである。
【符号の説明】
E…ターボ過給機付エンジン、1a…第1吸気ポート、1b…第2吸気ポート、2a…第1分岐吸気通路、2b…第2分岐吸気通路、3…燃焼室、4…燃料噴射弁、5a…第1排気ポート、5b…第2排気ポート、6a…第1分岐排気通路、6b…第2分岐排気通路、7…吸気通路、8…エアクリーナ、9…エアフローセンサ、10…ターボ過給機、10a…ブロア、10b…タービン、11…インタクーラ、12…スロットルバルブ、13…サージタンク、14…排気通路、15…触媒コンバータ(三元触媒)、16…ウェストゲート通路、17…ウェストゲートバルブ、18…バイパス通路、19…ガスクーラ、20…調整弁、21…第1三方ソレノイドバルブ、21a…第1接続端、21b…第2接続端、21c…第3接続端、22…第2三方ソレノイドバルブ、22a…第1接続端、22b…第2接続端、22c…第3接続端、27…アクチュエータ、27a…第1圧力室、27b…第2圧力室、27c…ばね、27d…ダイヤフラム。
Claims (7)
- 排気通路に配置されたタービンと吸気通路に配置されたブロアとを備えたターボ過給機が設けられるとともに、タービン上流の排気通路とタービン下流の排気通路との間にタービンをバイパスするウェストゲートが設けられ、高速・高負荷領域では過給圧上昇を抑制するためにウェストゲートが開かれるようになっているターボ過給機付エンジンにおいて、
高速・低負荷領域では、ウェストゲートが、タービン上流の排気圧力の上昇を抑制するように少なくとも部分的に開かれることを特徴とするターボ過給機付エンジン。 - 上記ターボ過給機が、全負荷状態において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数が定格回転数の1/3以内である小型ターボ過給機であることを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機付エンジン。
- 低速領域でウェストゲートが閉じられるようになっていて、上記高速・低負荷領域が、全運転領域から上記低速領域と上記高速・高負荷領域とを除いた領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボ過給機付エンジン。
- 上記高速・低負荷領域は、エンジン回転数及び負荷をパラメータとする運転領域において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数及び負荷を示すラインと、全負荷状態において余剰過給圧力を低減するためにウェストゲートを開き始めるエンジン回転数よりも低速側で低速領域と中速領域とを区画するラインとに囲まれた領域であることを特徴とする請求項3に記載のターボ過給機付エンジン。
- 上記低速領域と上記中速領域とを区画する上記ラインが、低負荷側では、負荷が低くなるほどエンジン回転数が高くなるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載のターボ過給機付エンジン。
- ウェストゲートを動作させるアクチェータが、ダイヤフラムにより区画された2つの圧力室を備えていて、
一方の圧力室にブロア下流の過給圧が供給される一方、他方の圧力室にブロア下流かつスロットルバルブ下流の吸気通路内圧力が供給され、上記両圧力室に供給される上記過給圧及び上記吸気通路内圧力が、それぞれ、ソレノイドバルブにより調圧されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のターボ過給機付エンジン。 - 上記高速・低負荷領域での運転時において、加速時にはウェストゲートが閉じられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のターボ過給機付エンジン。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080304 |