JP2004117636A - 偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、並びに偽造防止媒体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検証機能層がOVDの画像を不本意に損なうこと無くOVDと検証機能層とを一体品として形成出来ると共に、偽造防止対策にも有用なOVDと検証機能とを備えた、偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、並びに偽造防止媒体とその製造方法を提供する。
【解決手段】転写箔は、支持体31上に、OVD形成層2aとOVD効果層2bをもつOVDの転写層が剥離可能に設けてあり、効果層は、形成層に部分的に且つ形成層との組合せでOVDの効果を高め/達成し、支持体上に効果層よりも遠く且つ支持体31の広がりの全域/部分的に、外部刺激による発光材料を含む検証機能層1が設けてある。本発明には他にステッカーや、これらヲ用いて製造できる偽造防止媒体等がある。
【選択図】図3
【解決手段】転写箔は、支持体31上に、OVD形成層2aとOVD効果層2bをもつOVDの転写層が剥離可能に設けてあり、効果層は、形成層に部分的に且つ形成層との組合せでOVDの効果を高め/達成し、支持体上に効果層よりも遠く且つ支持体31の広がりの全域/部分的に、外部刺激による発光材料を含む検証機能層1が設けてある。本発明には他にステッカーや、これらヲ用いて製造できる偽造防止媒体等がある。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造、改ざん、貼り替え、又は、秘密にされるべき情報の盗み読み、等の不正の防止対策や、万一そのような不正が心配されても不正の有無の判別を容易とする対策、これら[本明細書ではこれらを偽造防止対策と総称する]を必要とされる技術分野に関係する。
【0002】
より詳しくは、例えば、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策とか、ブランド品や高級品等の一般に高価なものへ適用希望が多い真正品であることの証明の為の偽造防止対策、これらのニーズに好適な技術、また、デザインによっては装飾性にも優れた視覚効果を得られる技術であって、OVDとの組合せでよりいっそう高い効果を得られる偽造防止転写箔や偽造防止ステッカー、及び、これらにも採用されているOVDと検証機能を共に備えた偽造防止媒体やその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、偽造対策の為の手段として、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現し得るホログラムとか回折格子、光学特性の異なる薄膜を多層に重ねることによって見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜、等のようなOVD(”Optical Variable Device”の略)が利用されるようになってきている。
これらOVDは、高度な製造技術を要すること、独特な視覚効果を有し、真偽判定が目視でも出来ることなどから、有用な偽造防止の対策の為の手段として、クレジットカード、有価証券、あるいは、証明書類、等のセキュリティ対策を必要とされる情報記録媒体に、その一部か又は全面に形成される等して、使用されている。最近では、これらの情報記録媒体以外にも、例えばブランド品、スポーツ用品、又は、コンピュータ部品をはじめとする電気製品やソフトウエアー、等に貼り付けるなどして設けられ、その製品の真正さ(正規品であること)を証明する認証シールや、それら商品のパッケージに貼りつけられる封印シールとしても広く使われるようになってきた。
【0004】
このように、OVDは偽造が難しく、真正さの確認が容易な偽造防止の一手段である。しかし、現実の不正行為では似て非なるものが使用されているにも関わらず、その場(取引、製品の購入、等の現場)では、それが偽造品であることを当事者が見抜くことができず、不正による取引や製品購入が成されてしまう被害が残念ながら後を絶たない。OVDの画像をまったく同じにコピーすることは、設備面、技術面において非常に難しい。しかし、単に見た目に似ているていど画像であれば、市販されているOVDを入手して、適宜、細工することにより偽造品を作成されてしまう可能は否定できない。
【0005】
この問題に対し、本物と贋物とを確実に区別する為の手法の例として、従来のOVDを有する偽造防止媒体には、例えばホログラム形成層と金属反射層の間に検証機能を有する印刷層を設けた構成とすることが提案されている(特許文献1参照)。この検証機能を有する印刷層に、例えば紫外線発光タイプの蛍光インキやあるいは赤外線吸収インキを使用し、これらの特徴を利用して検証を行うことによって、真偽判定をより確実に行うことを可能としている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−199783号公報(第6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように金属反射層の上に検証機能層を設け構成では、その部分の段差、あるいは透明感が異なるため、OVDの画像が不本意に一部損なわれる。また、真正品のOVDの画像と比べて見た目に似た画像を有する市販のOVDの上に、検証機能として応用可能なインキ(蛍光インキ等)で印刷を施す等によって、素人目にはほぼ同一の効果を発揮する偽造品が、偽造団等の力量によっては案外容易に作製されてしまう危険が心配される。
【0008】
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的は、検証機能層がOVDの画像を不本意に損なうこと無くOVDと検証機能層とを一体品として形成出来ると共に、偽造防止対策にも有用なOVDと検証機能とを備えた偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、並びに偽造防止媒体とその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた転写層が、該支持体から剥離可能に設けてある偽造防止転写箔であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成する、いずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止転写箔である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた転写層が、該支持体から剥離可能に設けてある偽造防止転写箔であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止転写箔である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該凹凸の面に部分的に設けられた反射性を持つ薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該OVD形成層の該透明な層よりも高い屈折率を有する材料が用いられ、透明性か又は半透明性を呈するように、該微細な凹凸の面に部分的に形成された薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記OVDが、透明性を持つ薄膜が多層重ねられて光学干渉を呈する光学干渉薄膜により光学効果を呈する層を用いて出来ており、前記OVD効果層は、透明性を持つ薄膜の1に部分的に設けてあること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記OVDが、外部から入射してきた光の円偏光性を変える作用を持つ顔料を含有する偏光性顔料層を用いて出来ており、該偏光性顔料層上に部分的に薄膜で形成された反射層が前記OVD層であること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記OVD効果層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記検証機能層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記転写層の前記支持体から最も遠い位置にある層が、転写の際の加熱によって接着性を呈すること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDが設けてある偽造防止ステッカーであって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成する、いずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止ステッカーである。
【0019】
請求項11に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDが設けてある偽造防止ステッカーであって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止ステッカーである。
【0020】
請求項12に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該凹凸の面に部分的に設けられた反射性を持つ薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0021】
請求項13に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該OVD形成層の該透明な層よりも高い屈折率を有する材料が用いられ、透明性か又は半透明性を呈するように、該微細な凹凸の面に部分的に形成された薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0022】
請求項14に記載の発明は、前記OVDが、透明性を持つ薄膜が多層重ねられて光学干渉を呈する光学干渉薄膜により光学効果を呈する層を用いて出来ており、前記OVD効果層は、透明性を持つ薄膜の1に部分的に設けてあること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0023】
請求項15に記載の発明は、前記OVDが、外部から入射してきた光の円偏光性を変える作用を持つ顔料を含有する偏光性顔料層を用いて出来ており、該偏光性顔料層上に部分的に薄膜で形成された反射層が前記OVD層であること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0024】
請求項16に記載の発明は、前記OVD効果層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0025】
請求項17に記載の発明は、前記検証機能層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項10乃至16のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0026】
請求項18に記載の発明は、前記OVDがある側の前記支持体から最も遠い位置にある層が、少なくとも熱か又は圧力のいずれかによって接着性を呈すること、を特徴とする請求項10乃至17のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0027】
請求項19に記載の発明は、基材上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた偽造防止媒体であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該基材の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止媒体である。
【0028】
請求項20に記載の発明は、基材上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた偽造防止媒体であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該基材の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止媒体である。
【0029】
請求項21に記載の発明は、請求項19に記載の偽造防止媒体の製造方法であって、請求項1、又は、請求項3乃至9のいずれかの偽造防止転写箔を用いて前記基材上に転写するか、あるいは、請求項10、又は、請求項12乃至18のいずれかの偽造防止ステッカーを用いて前記基材上に貼り付けるか、いずれかによることを特徴とする。
【0030】
請求項22に記載の発明は、請求項20に記載の偽造防止媒体の製造方法であって、請求項2乃至9のいずれかの偽造防止転写箔を用いて前記基材上に転写するか、あるいは、請求項11乃至18のいずれかの偽造防止ステッカーを用いて前記基材上に貼り付けるか、いずれかによって偽造防止媒体を得ることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら、より詳細に説明する。
図1は、本発明による偽造防止媒体の一実施例を示す断面であり、図2、図3には各々、本発明の偽造防止媒体を容易に製造可能とする転写箔およびステッカーの断面を示した。
【0032】
図に示したように、本発明による偽造防止媒体は、少なくとも、基材11に検証機能層1、OVD層2を積層してなり、OVD層2が少なくとも、OVD効果を向上させる光反射性のOVD効果層2bが部分的に設けられたことを特徴とした構成である。
検証機能層1は上部から外部刺激(紫外線や赤外線等)を照射すると検証機能層2が発光、あるいは赤外線で観察するとその部分で光が吸収され、その存在を確認できる層である。この検証機能層2は図1のように全面に設けられていても良いが、任意の図形、数字、文字等の形状で部分的に設け、情報を持たすことも可能である。
【0033】
以下、各層に関してより詳細に説明する。
検証機能層1は有機高分子材料からなるバインダー樹脂に発光材料あるいは赤外線吸収材料を溶解あるいは、分散したものが使用される。このような、発光材料としては、外部刺激により可視域の光を発するものであり、紫外線・赤外線・電子線・X線・放射線・電界・化学反応等の外部刺激により発光する蛍光体・燐光体・畜光体等が挙げられる。上記発光材料は、検証機能層1を形成してなるバインダー樹脂に適宜添加して使用される。その添加量としては0.5〜80%の範囲内で添加するのが望ましい。0.5%以下の添加量では十分な発光が得られず、80%以上の添加量になるとバインダー樹脂との結着力が弱くなり、最終製品としての耐性が弱くなる。
【0034】
以下にはこれら発光材料に関して詳しく説明する。
蛍光は、外部からの刺激(励起)により可視域付近の光を発するものであるが、蛍光、燐光、蓄光と3様に区別した場合は、励起の停止後に目に感じられる残光の存続時間がある程度(0.1sec程度)以上続くものを燐光、また、特に残光の存続時間が長い長残光のものを畜光とそれぞれ称するのが一般的である。
本発明でも、蛍光、燐光、及び蓄光は、これに従う。
【0035】
蛍光性物質の例としては、以下のようなものが挙げられる。
紫外線発光蛍光剤は、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発するスペクトルのピークが青、緑、赤、等の波長域にあるものであり、硫化亜鉛やアルカリ土類金属の硫化物の高純度蛍光体に、発光をより強くするために微量の金属(銅、銀、マンガン、ビスマス、鉛など)を付活剤として加えた後、高温焼成にて得られる。母体結晶と付活剤の組み合わせにより、色相、明るさ、色の減衰の度合いを調整できる。
【0036】
一方、赤外線発光蛍光剤には、赤外光で励起し、可視光に発光する赤外可視変換蛍光剤、また、赤外光で励起し、より長波長に発光するものがある。
前者の赤外可視変換蛍光剤は、非常に特殊な励起機構を持つ蛍光体であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個用いることによって可視発光の励起を行う。これらの発光機構には2つのタイプがあり、一方は付活剤イオンの多段階の励起によって、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達によって、それぞれ高い励起が可能になる。先のタイプは、Er3+やHo3+を付活剤とする多くの母体結晶で観測され、後のタイプは増感剤Yb3+が赤外線を吸収し、多段階のエネルギー伝達によって発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+等を高い準位に励起する。
また、母体結晶として硫化物(ZnS、CdS)や酸硫化物(Y2O2S)のように電子の移動度が大きく、光導電性を持った半導体的物質は、電子線励起蛍光体として使用することが可能である。
【0037】
一方、X線や粒子線などの放射線に対して効率の高い蛍光体(Zn、Cd)S:Agや、電気エネルギーを直接ルミネッセンスに変える電界発光蛍光体も使用可能な例として挙げておく。
さらには、上記の蛍光材料以外にも、ジアミノスチルベンジルスルホン酸などのスチルベン系、ジアミノジフェニル系、イミダゾール系、チアゾール系、クマリン系、ナフタールイミド系、チオフェン系などの有機系の顔料や染料を使用しても良い。
【0038】
これらの中で、検証機の製作又は入手が比較的容易なことから、紫外線あるいは赤外線で発光する材料が好ましく、さらには、紫外線によって蛍光を発する発光材料は、低コストで入手できることから、本発明に好適である。
【0039】
一方、赤外線吸収材料としてはカーボンブラック等の赤外線領域に吸収を持つ材料が用いられるが、カーボンブラックは可視光線でも吸収があるため、目視で容易に確認されてしまう。それゆえ、赤外線領域で吸収波長を有し、可視光線を吸収しにくい材料が好ましい。
例としては、リン酸塩系白色粉末や硫酸系白色結晶粉末が挙げられる。これらは可視光線を吸収せずに、赤外線を吸収すするため、目視では白色に見えるが赤外線を照射し、その反射光を観察すると、カーボンブラックと同様な赤外線吸収材料として観察される。以上は一例であり、これらに限定されるものではなく、公知の赤外線吸収材料を適宜、使用可能である。
【0040】
以上の発光材料あるいは赤外線吸収材料を添加した検証機能層1は、グラビア法とかスクリーン印刷法等の公知のコーティング技術あるいは印刷方法によって、厚さ0.1〜50μm程度に形成される。また。これら検証機能層は1は、全面あるいは意味を持たないランダムなパターンでも良いが、任意の絵柄、文字、記号、図形、等の情報パターンで形成することにより、情報を付与させることも可能である。
【0041】
次にOVD層2に関して説明する。
OVDとは、前記のように光の干渉を利用した画像であり、立体画像の表現や見る角度により色が変化するカラーシフトを生じる表示体が代表例である。
その中で、ホログラムや回折格子を利用したOVDとしては、光の干渉縞を微細な凹凸パターンとして平面に記録するレリーフ型や体積方向に干渉縞を記録する体積型が挙げられる。
一方、ホログラムや回折格子とは手法が異なり、光学特性の異なるセラミックスや金属材料を含んだ薄膜を多層に積層し、見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層膜方式もその例である。
これらOVDの中でも、高い量産性や低コスト性を特に考慮した場合には、レリーフ型ホログラム(あるいは回折格子)とか多層薄膜による方式のものが好ましく、一般にこれらを利用したOVDが広く利用されている。
【0042】
レリーフ型のホログラム(あるいは回折格子)は光学的な撮影方式により、微細な凹凸パターンからなるレリーフ型のマスター版を作製し、電気メッキ法によりパターンを複製したニッケル製のプレス版にて量産を行う。すなわち、このプレス版を加熱しOVD形成層2aに押し当て、凹凸パターンを複製する。
【0043】
OVD形成層2aは、プレス版にて成形可能であるという性能が要求され、その材質は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであっても良い。
例を挙げれば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加、架橋したウレタン樹脂や、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化樹脂、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等の紫外線あるいは電子線硬化樹脂を単独もしくはこれらを複合して使用できる。また上記以外のものであっても、OVD画像を形成可能である公知の材料であれば、使用可能である。
【0044】
一方、これらの画像技術としては立体的画像を再現する3Dホログラムや回折格子を微小なドットで表現し、高い輝感を与えるグレーティングイメージ等の撮影技術が挙げられる。
最近では回折格子の微小なドットを星型等の形状で形成する手法や、マイクロ文字と言われる肉眼では見えない細かな文字を形成する手法、写真のように被写体の色彩を忠実に再現する手法、あるいは見る角度でまったく違う複数の画像を表現するチェンジングと呼ばれる手法、回折効率の高いブレーズド格子と称される鋸刃状に回折格子を形成する手法等が開発されており、本発明においてはこれらの画像表現法のみならず、公知の画像表現方法であれば利用可能である。
【0045】
OVD効果層2bはOVD画像の回折効率を高めるためレリーフ面を構成する高分子材料と屈折率の異なる材料からなる。
この層は、部分的に設けられる必要がある。OVD効果層2bがないところでは検証機能層が機能し、あるところでは光が反射されるために機能しない構成となる。これに用いる材料としては、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au等の金属材料が挙げられる。
これらの材料は単独あるいは積層して使用でき、真空蒸着法とかスパッタリング法、等の公知の薄膜形成技術にて、50〜10000Å程度のそれぞれ適当な厚さに設けられた後、パターン上に加工される(図4参照)。
【0046】
その手法としては以下の手法が挙げられる。
OVD形成層に溶解性の樹脂をパターン状に形成、金属薄膜を設けた後、溶解性樹脂とその部分の金属薄膜層を洗浄し除去する手法や、金属薄膜層に耐酸あるいは耐アルカリ性樹脂を用いてパターンを印刷した後、金属薄膜を酸やアルカリでエッチングする方法が挙げられる。さらには光を露光することによって、溶解するあるいは溶解し難くなる樹脂材料を塗布、所望のパターン状のマスク越しに露光した後、不要部分を洗浄あるいはエッチングで除去する手法が挙げられる。
以上は一例であり、これらに限定されるものではなく、公知の部分的に金属薄膜を形成する技術であれば適宜利用可能である。
【0047】
以上の部分的に設けたOVD効果層2bは、意味を持たないランダムなパターンでも良いが、図4に示したように任意の絵柄、図形、文字、数字等の情報パターンで形成することにより、情報を付与させることも可能である。
【0048】
一方、多層薄膜方式は、前述したように、OVD層が異なる光学適性を有する多層薄膜層からなり、金属薄膜、セラミックス薄膜またはそれらを併設してなる複合薄膜として積層形成される。例えば屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜を組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしてもよい。それらの組み合わせにより、所望の多層薄膜を得ることができる。
この多層薄膜層は、セラミックスや金属などの材料が用いられ、高屈折率材料の層数がおおよそ2以上の薄膜と、屈折率が1.5程度の低屈折率材料の薄膜とを、それぞれ光学的に適当な膜厚で積層したものである。
【0049】
この薄膜に用いられる材料の例を以下に挙げる。但しここで化学式の後ろに続くカッコ内の数値は、それぞれの屈折率nを示す。
まず、セラミックスとしては、Sb2O3(3.0)、Fe2O3(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbC12(2.3)、CdO(2.2)、Sb2O3(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si2O3(2.5)、In2O3(2.0)、PbO(2.6)、Ta2O3(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si2O2(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al2O3(1.6)、GaO(1.7)、等があり、また、金属系の材料としては、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si、等の金属単体もしくは合金が挙げられる。
【0050】
また、低屈折率の材料としては、例えば有機ポリマーのうち、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等がある。但し、ここでカッコ内の数値はそれぞれの屈折率nを示す。
【0051】
これらの高屈折率材料の薄膜、もしくは、透過率30〜60%の金属薄膜の中から少なくとも一種、また、低屈折率材料の中から少なくとも一種を選択し、光学的に適当な膜厚で交互に積層させる事により、特定の波長の可視光に対する吸収あるいは反射を示すようになる。
なお、金属から構成される薄膜は、構成材料の状態や形成条件などにより、屈折率などの光学特性が変わってくるため、本発明の実施例では、一定の条件における値を用いている。
【0052】
上記した各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層され多層薄膜を形成する。
形成方法は公知の手法を用いることができ、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚(n・d。ここでnは屈折率、dは膜厚。)などの制御が可能な技術、例えば、公知の真空蒸着法、又は、スパッタリング法にて形成される。
【0053】
これらも、前述のホログラムや回折格子等の場合におけるOVD効果層2bと同様に、先に述べた洗浄法やエッチング法等を用いて部分的に形成される。
【0054】
次に、図2に示した本発明の偽造防止媒体を容易に製造可能とする転写箔に関して説明する。図のように本発明の転写箔は支持体21に剥離層22、OVD層2、検証機能層1接着層24を順次積層してなる。
本転写箔を用いれば、ホットスタンプを用いて任意の形状に本発明の偽造防止体を形成可能となる。すなわち基材と接着層を熱および圧で接着させた後、不要な支持体を剥し、形成する。そのため、剥離層22は支持体21から剥がれる層であり、その後OVD層を保護する目的も兼ねる。
接着層24は基材11に熱および圧力で接着する機能を有す感熱樹脂が使用される。これら、支持体21、剥離層22、接着層24は公知の転写箔の製造に用いられる手法が適宜用いられる。また、接着層24に前述の検証機能を有する材料を添加し、検証機能兼接着層とすることも可能である。
【0055】
図3には本発明の偽造防止媒体を容易に製造可能とするステッカーを示した。
図のように支持体31に、OVD層2、検証機能層3、感圧接着剤(粘着剤)からなる接着層34を順次積層した構成である。構成中、支持体31および接着剤34は公知のステッカー製造に用いられる材料および手法が適宜用いられるが、前述したように検証機能兼接着層とすることも可能である。
また、貼り付けられたステッカーを剥すと破壊するように、層間に剥離する部分を設けたり、ステッカーに切れ込みを入れることも可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態をより詳細に説明してきたが、意匠性を向上すべく、各層を着色することや表面に印刷を施す等の加工を、これら転写箔、ステッカー、偽造防止媒体の使用の目的によって適宜利用可能である。また、各層の接着性を鑑み、各層間に接着アンカー層を設けることも可能である。
【0057】
【実施例】
本発明を、具体的な実施例をあげて詳細に説明する。
【0058】
<実施例1>
(図5参照)
図5のように厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持体31にOVD効果層2aとしてウレタン樹脂をグラビア法にて5μm塗布し、次いで、ロールエンボス法によりOVD(ここでは回折格子を使用)のレリーフパターンを形成した後、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのAl薄膜を設け、図4に示した絵柄状に塩酢ビ系樹脂からなるインキで絵柄パターンを印刷後、アルカリエッチング法にて不要な金属薄膜を除去した。
その後、検証機能層1として、グラビア印刷法により、紫外線を照射すると可視光線を発光する紫外蛍光材料を添加してなるアクリル樹脂を3μmの厚みでコ−ティングした。
次に、アクリル系粘着剤をコンマコート法にて20μm設け、離型紙をラミネートし、偽造防止ステッカー(本明細書ではステッカーもシールも同義である)を作製した。
【0059】
<比較例1>
厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持体31にOVD効果層2aとしてウレタン樹脂をグラビア法にて5μm塗布し、次いで、ロールエンボス法によりOVDレリーフパターンを形成した後、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのAl薄膜を設け、図4に示した絵柄上に塩酢ビ系樹脂からなるインキで絵柄パターンを印刷後、アルカリエッチング法にて不要な金属薄膜を除去した。
その後、アクリル系粘着剤ををコンマコート法にて20μm設け、離型紙をラミネートし、偽造防止シールを作製した。次に、支持体3上(OVD層と逆側の面)に検証機能層1として、紫外線を照射すると可視光線を発光する紫外蛍光材料を添加してなるアクリル樹脂を3μmの厚みでコ−ティングした。
【0060】
<比較例2>
図6のように厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持体31にOVD効果層2aとしてウレタン樹脂をグラビア法にて5μm塗布し、次いで、ロールエンボス法によりOVDレリーフパターンを形成した後、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのAl薄膜を設け、図4に示した絵柄上に塩酢ビ系樹脂からなるインキで絵柄パターンを印刷後、アルカリエッチング法にて不要な金属薄膜を除去した。
その後、アクリル系粘着剤ををコンマコート法にて20μm設け、離型紙をラミネートし、偽造防止シールを作製した。次に、検証機能層1として、紫外線を照射すると可視光線を発光する紫外蛍光材料を添加してなるアクリル樹脂を図4に示した金属薄膜のない部分にのみ3μmの厚みで印刷した。
【0061】
【表1】
【0062】
以上のように、実施例1はOVDを損なうことなく検証機能を付与することができた。
一方、比較例1や2では、OVDが濁ってしまったり、検証パターンが目立ってしまう。また、これらの手法で偽造された場合には発光の仕方や外観が異なる。
これらのことから、万一、偽造品が製造され使用されようとしても、真偽の判定を容易に行うことが出来た。
【0063】
尚、本発明に係る偽造防止転写箔は、偽造防止ステッカーとは層構成が基本的に異なる点があるが、例えば公知の製造技術(コーティング技術など)を適宜利用することにより、偽造防止転写箔を製造する場合とおおむね同様な技術力で得ることができる。
【0064】
また光学的な多層薄膜を使用したOVDを備えた、本発明に係る偽造防止転写箔や偽造防止ステッカーも、やはり、例えば公知の製造技術(コーティング技術など)を適宜利用することにより、ホログラム又は回折格子をOVDに使用した偽造防止転写箔あるいは偽造防止ステッカーを製造する場合と、おおむね同様な技術力で得ることができる。
【0065】
本発明に係る偽造防止媒体はそれぞれの層構成に従って、例えば、やはり公知の製造技術(コーティング技術など)を適宜利用することにより製造できる。
特に、本発明に係る偽造防止転写箔や偽造防止ステッカーを利用して製造した場合には、それぞれ転写工程、貼り付け工程を経ることにより製造でき、結果的に、高い量産性や低コスト性を得やすいことから、好適である。
【0066】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、OVDを損なうことなく、かつその存在が目視ではわからないように隠れた検証機能層を付与することが可能である。
つまるところ、本発明によれば、検証機能層がOVDの画像を不本意に損なうこと無くOVDと検証機能層とを一体品として形成出来ると共に、偽造防止対策にも有用なOVDと検証機能とを備えた、偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、並びに偽造防止媒体とその製造方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による偽造防止媒体の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明による偽造防止媒体を形成するための転写箔の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明による偽造防止媒体を形成するためのシールの一実施例を示す断面図である。
【図4】本発明による偽造防止媒体のOVD効果層パターンの一実施例を説明する図である。
【図5】実施例1に係る偽造防止媒体を説明する断面図である。
【図6】比較例2に係る偽造防止媒体を説明する断面図である。
【符号の説明】
11・・・基材
1・・・検証機能層
2・・・OVD層
2a・・・OVD形成層
2b・・・OVD効果層
21、31・・・支持体
22・・・剥離層
24、34・・・接着層
42・・・金属薄膜部
43・・・検証エリア
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造、改ざん、貼り替え、又は、秘密にされるべき情報の盗み読み、等の不正の防止対策や、万一そのような不正が心配されても不正の有無の判別を容易とする対策、これら[本明細書ではこれらを偽造防止対策と総称する]を必要とされる技術分野に関係する。
【0002】
より詳しくは、例えば、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策とか、ブランド品や高級品等の一般に高価なものへ適用希望が多い真正品であることの証明の為の偽造防止対策、これらのニーズに好適な技術、また、デザインによっては装飾性にも優れた視覚効果を得られる技術であって、OVDとの組合せでよりいっそう高い効果を得られる偽造防止転写箔や偽造防止ステッカー、及び、これらにも採用されているOVDと検証機能を共に備えた偽造防止媒体やその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、偽造対策の為の手段として、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現し得るホログラムとか回折格子、光学特性の異なる薄膜を多層に重ねることによって見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜、等のようなOVD(”Optical Variable Device”の略)が利用されるようになってきている。
これらOVDは、高度な製造技術を要すること、独特な視覚効果を有し、真偽判定が目視でも出来ることなどから、有用な偽造防止の対策の為の手段として、クレジットカード、有価証券、あるいは、証明書類、等のセキュリティ対策を必要とされる情報記録媒体に、その一部か又は全面に形成される等して、使用されている。最近では、これらの情報記録媒体以外にも、例えばブランド品、スポーツ用品、又は、コンピュータ部品をはじめとする電気製品やソフトウエアー、等に貼り付けるなどして設けられ、その製品の真正さ(正規品であること)を証明する認証シールや、それら商品のパッケージに貼りつけられる封印シールとしても広く使われるようになってきた。
【0004】
このように、OVDは偽造が難しく、真正さの確認が容易な偽造防止の一手段である。しかし、現実の不正行為では似て非なるものが使用されているにも関わらず、その場(取引、製品の購入、等の現場)では、それが偽造品であることを当事者が見抜くことができず、不正による取引や製品購入が成されてしまう被害が残念ながら後を絶たない。OVDの画像をまったく同じにコピーすることは、設備面、技術面において非常に難しい。しかし、単に見た目に似ているていど画像であれば、市販されているOVDを入手して、適宜、細工することにより偽造品を作成されてしまう可能は否定できない。
【0005】
この問題に対し、本物と贋物とを確実に区別する為の手法の例として、従来のOVDを有する偽造防止媒体には、例えばホログラム形成層と金属反射層の間に検証機能を有する印刷層を設けた構成とすることが提案されている(特許文献1参照)。この検証機能を有する印刷層に、例えば紫外線発光タイプの蛍光インキやあるいは赤外線吸収インキを使用し、これらの特徴を利用して検証を行うことによって、真偽判定をより確実に行うことを可能としている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−199783号公報(第6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように金属反射層の上に検証機能層を設け構成では、その部分の段差、あるいは透明感が異なるため、OVDの画像が不本意に一部損なわれる。また、真正品のOVDの画像と比べて見た目に似た画像を有する市販のOVDの上に、検証機能として応用可能なインキ(蛍光インキ等)で印刷を施す等によって、素人目にはほぼ同一の効果を発揮する偽造品が、偽造団等の力量によっては案外容易に作製されてしまう危険が心配される。
【0008】
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的は、検証機能層がOVDの画像を不本意に損なうこと無くOVDと検証機能層とを一体品として形成出来ると共に、偽造防止対策にも有用なOVDと検証機能とを備えた偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、並びに偽造防止媒体とその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた転写層が、該支持体から剥離可能に設けてある偽造防止転写箔であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成する、いずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止転写箔である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた転写層が、該支持体から剥離可能に設けてある偽造防止転写箔であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止転写箔である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該凹凸の面に部分的に設けられた反射性を持つ薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該OVD形成層の該透明な層よりも高い屈折率を有する材料が用いられ、透明性か又は半透明性を呈するように、該微細な凹凸の面に部分的に形成された薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記OVDが、透明性を持つ薄膜が多層重ねられて光学干渉を呈する光学干渉薄膜により光学効果を呈する層を用いて出来ており、前記OVD効果層は、透明性を持つ薄膜の1に部分的に設けてあること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記OVDが、外部から入射してきた光の円偏光性を変える作用を持つ顔料を含有する偏光性顔料層を用いて出来ており、該偏光性顔料層上に部分的に薄膜で形成された反射層が前記OVD層であること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記OVD効果層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記検証機能層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記転写層の前記支持体から最も遠い位置にある層が、転写の際の加熱によって接着性を呈すること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の偽造防止転写箔である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDが設けてある偽造防止ステッカーであって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成する、いずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止ステッカーである。
【0019】
請求項11に記載の発明は、支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDが設けてある偽造防止ステッカーであって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止ステッカーである。
【0020】
請求項12に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該凹凸の面に部分的に設けられた反射性を持つ薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0021】
請求項13に記載の発明は、樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、該OVD形成層の該透明な層よりも高い屈折率を有する材料が用いられ、透明性か又は半透明性を呈するように、該微細な凹凸の面に部分的に形成された薄膜であるOVD効果層との組合せによって、少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0022】
請求項14に記載の発明は、前記OVDが、透明性を持つ薄膜が多層重ねられて光学干渉を呈する光学干渉薄膜により光学効果を呈する層を用いて出来ており、前記OVD効果層は、透明性を持つ薄膜の1に部分的に設けてあること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0023】
請求項15に記載の発明は、前記OVDが、外部から入射してきた光の円偏光性を変える作用を持つ顔料を含有する偏光性顔料層を用いて出来ており、該偏光性顔料層上に部分的に薄膜で形成された反射層が前記OVD層であること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0024】
請求項16に記載の発明は、前記OVD効果層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0025】
請求項17に記載の発明は、前記検証機能層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項10乃至16のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0026】
請求項18に記載の発明は、前記OVDがある側の前記支持体から最も遠い位置にある層が、少なくとも熱か又は圧力のいずれかによって接着性を呈すること、を特徴とする請求項10乃至17のいずれかに記載の偽造防止ステッカーである。
【0027】
請求項19に記載の発明は、基材上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた偽造防止媒体であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該基材の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止媒体である。
【0028】
請求項20に記載の発明は、基材上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた偽造防止媒体であって、該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該基材の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、を特徴とする偽造防止媒体である。
【0029】
請求項21に記載の発明は、請求項19に記載の偽造防止媒体の製造方法であって、請求項1、又は、請求項3乃至9のいずれかの偽造防止転写箔を用いて前記基材上に転写するか、あるいは、請求項10、又は、請求項12乃至18のいずれかの偽造防止ステッカーを用いて前記基材上に貼り付けるか、いずれかによることを特徴とする。
【0030】
請求項22に記載の発明は、請求項20に記載の偽造防止媒体の製造方法であって、請求項2乃至9のいずれかの偽造防止転写箔を用いて前記基材上に転写するか、あるいは、請求項11乃至18のいずれかの偽造防止ステッカーを用いて前記基材上に貼り付けるか、いずれかによって偽造防止媒体を得ることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら、より詳細に説明する。
図1は、本発明による偽造防止媒体の一実施例を示す断面であり、図2、図3には各々、本発明の偽造防止媒体を容易に製造可能とする転写箔およびステッカーの断面を示した。
【0032】
図に示したように、本発明による偽造防止媒体は、少なくとも、基材11に検証機能層1、OVD層2を積層してなり、OVD層2が少なくとも、OVD効果を向上させる光反射性のOVD効果層2bが部分的に設けられたことを特徴とした構成である。
検証機能層1は上部から外部刺激(紫外線や赤外線等)を照射すると検証機能層2が発光、あるいは赤外線で観察するとその部分で光が吸収され、その存在を確認できる層である。この検証機能層2は図1のように全面に設けられていても良いが、任意の図形、数字、文字等の形状で部分的に設け、情報を持たすことも可能である。
【0033】
以下、各層に関してより詳細に説明する。
検証機能層1は有機高分子材料からなるバインダー樹脂に発光材料あるいは赤外線吸収材料を溶解あるいは、分散したものが使用される。このような、発光材料としては、外部刺激により可視域の光を発するものであり、紫外線・赤外線・電子線・X線・放射線・電界・化学反応等の外部刺激により発光する蛍光体・燐光体・畜光体等が挙げられる。上記発光材料は、検証機能層1を形成してなるバインダー樹脂に適宜添加して使用される。その添加量としては0.5〜80%の範囲内で添加するのが望ましい。0.5%以下の添加量では十分な発光が得られず、80%以上の添加量になるとバインダー樹脂との結着力が弱くなり、最終製品としての耐性が弱くなる。
【0034】
以下にはこれら発光材料に関して詳しく説明する。
蛍光は、外部からの刺激(励起)により可視域付近の光を発するものであるが、蛍光、燐光、蓄光と3様に区別した場合は、励起の停止後に目に感じられる残光の存続時間がある程度(0.1sec程度)以上続くものを燐光、また、特に残光の存続時間が長い長残光のものを畜光とそれぞれ称するのが一般的である。
本発明でも、蛍光、燐光、及び蓄光は、これに従う。
【0035】
蛍光性物質の例としては、以下のようなものが挙げられる。
紫外線発光蛍光剤は、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発するスペクトルのピークが青、緑、赤、等の波長域にあるものであり、硫化亜鉛やアルカリ土類金属の硫化物の高純度蛍光体に、発光をより強くするために微量の金属(銅、銀、マンガン、ビスマス、鉛など)を付活剤として加えた後、高温焼成にて得られる。母体結晶と付活剤の組み合わせにより、色相、明るさ、色の減衰の度合いを調整できる。
【0036】
一方、赤外線発光蛍光剤には、赤外光で励起し、可視光に発光する赤外可視変換蛍光剤、また、赤外光で励起し、より長波長に発光するものがある。
前者の赤外可視変換蛍光剤は、非常に特殊な励起機構を持つ蛍光体であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個用いることによって可視発光の励起を行う。これらの発光機構には2つのタイプがあり、一方は付活剤イオンの多段階の励起によって、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達によって、それぞれ高い励起が可能になる。先のタイプは、Er3+やHo3+を付活剤とする多くの母体結晶で観測され、後のタイプは増感剤Yb3+が赤外線を吸収し、多段階のエネルギー伝達によって発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+等を高い準位に励起する。
また、母体結晶として硫化物(ZnS、CdS)や酸硫化物(Y2O2S)のように電子の移動度が大きく、光導電性を持った半導体的物質は、電子線励起蛍光体として使用することが可能である。
【0037】
一方、X線や粒子線などの放射線に対して効率の高い蛍光体(Zn、Cd)S:Agや、電気エネルギーを直接ルミネッセンスに変える電界発光蛍光体も使用可能な例として挙げておく。
さらには、上記の蛍光材料以外にも、ジアミノスチルベンジルスルホン酸などのスチルベン系、ジアミノジフェニル系、イミダゾール系、チアゾール系、クマリン系、ナフタールイミド系、チオフェン系などの有機系の顔料や染料を使用しても良い。
【0038】
これらの中で、検証機の製作又は入手が比較的容易なことから、紫外線あるいは赤外線で発光する材料が好ましく、さらには、紫外線によって蛍光を発する発光材料は、低コストで入手できることから、本発明に好適である。
【0039】
一方、赤外線吸収材料としてはカーボンブラック等の赤外線領域に吸収を持つ材料が用いられるが、カーボンブラックは可視光線でも吸収があるため、目視で容易に確認されてしまう。それゆえ、赤外線領域で吸収波長を有し、可視光線を吸収しにくい材料が好ましい。
例としては、リン酸塩系白色粉末や硫酸系白色結晶粉末が挙げられる。これらは可視光線を吸収せずに、赤外線を吸収すするため、目視では白色に見えるが赤外線を照射し、その反射光を観察すると、カーボンブラックと同様な赤外線吸収材料として観察される。以上は一例であり、これらに限定されるものではなく、公知の赤外線吸収材料を適宜、使用可能である。
【0040】
以上の発光材料あるいは赤外線吸収材料を添加した検証機能層1は、グラビア法とかスクリーン印刷法等の公知のコーティング技術あるいは印刷方法によって、厚さ0.1〜50μm程度に形成される。また。これら検証機能層は1は、全面あるいは意味を持たないランダムなパターンでも良いが、任意の絵柄、文字、記号、図形、等の情報パターンで形成することにより、情報を付与させることも可能である。
【0041】
次にOVD層2に関して説明する。
OVDとは、前記のように光の干渉を利用した画像であり、立体画像の表現や見る角度により色が変化するカラーシフトを生じる表示体が代表例である。
その中で、ホログラムや回折格子を利用したOVDとしては、光の干渉縞を微細な凹凸パターンとして平面に記録するレリーフ型や体積方向に干渉縞を記録する体積型が挙げられる。
一方、ホログラムや回折格子とは手法が異なり、光学特性の異なるセラミックスや金属材料を含んだ薄膜を多層に積層し、見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層膜方式もその例である。
これらOVDの中でも、高い量産性や低コスト性を特に考慮した場合には、レリーフ型ホログラム(あるいは回折格子)とか多層薄膜による方式のものが好ましく、一般にこれらを利用したOVDが広く利用されている。
【0042】
レリーフ型のホログラム(あるいは回折格子)は光学的な撮影方式により、微細な凹凸パターンからなるレリーフ型のマスター版を作製し、電気メッキ法によりパターンを複製したニッケル製のプレス版にて量産を行う。すなわち、このプレス版を加熱しOVD形成層2aに押し当て、凹凸パターンを複製する。
【0043】
OVD形成層2aは、プレス版にて成形可能であるという性能が要求され、その材質は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであっても良い。
例を挙げれば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加、架橋したウレタン樹脂や、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化樹脂、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等の紫外線あるいは電子線硬化樹脂を単独もしくはこれらを複合して使用できる。また上記以外のものであっても、OVD画像を形成可能である公知の材料であれば、使用可能である。
【0044】
一方、これらの画像技術としては立体的画像を再現する3Dホログラムや回折格子を微小なドットで表現し、高い輝感を与えるグレーティングイメージ等の撮影技術が挙げられる。
最近では回折格子の微小なドットを星型等の形状で形成する手法や、マイクロ文字と言われる肉眼では見えない細かな文字を形成する手法、写真のように被写体の色彩を忠実に再現する手法、あるいは見る角度でまったく違う複数の画像を表現するチェンジングと呼ばれる手法、回折効率の高いブレーズド格子と称される鋸刃状に回折格子を形成する手法等が開発されており、本発明においてはこれらの画像表現法のみならず、公知の画像表現方法であれば利用可能である。
【0045】
OVD効果層2bはOVD画像の回折効率を高めるためレリーフ面を構成する高分子材料と屈折率の異なる材料からなる。
この層は、部分的に設けられる必要がある。OVD効果層2bがないところでは検証機能層が機能し、あるところでは光が反射されるために機能しない構成となる。これに用いる材料としては、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au等の金属材料が挙げられる。
これらの材料は単独あるいは積層して使用でき、真空蒸着法とかスパッタリング法、等の公知の薄膜形成技術にて、50〜10000Å程度のそれぞれ適当な厚さに設けられた後、パターン上に加工される(図4参照)。
【0046】
その手法としては以下の手法が挙げられる。
OVD形成層に溶解性の樹脂をパターン状に形成、金属薄膜を設けた後、溶解性樹脂とその部分の金属薄膜層を洗浄し除去する手法や、金属薄膜層に耐酸あるいは耐アルカリ性樹脂を用いてパターンを印刷した後、金属薄膜を酸やアルカリでエッチングする方法が挙げられる。さらには光を露光することによって、溶解するあるいは溶解し難くなる樹脂材料を塗布、所望のパターン状のマスク越しに露光した後、不要部分を洗浄あるいはエッチングで除去する手法が挙げられる。
以上は一例であり、これらに限定されるものではなく、公知の部分的に金属薄膜を形成する技術であれば適宜利用可能である。
【0047】
以上の部分的に設けたOVD効果層2bは、意味を持たないランダムなパターンでも良いが、図4に示したように任意の絵柄、図形、文字、数字等の情報パターンで形成することにより、情報を付与させることも可能である。
【0048】
一方、多層薄膜方式は、前述したように、OVD層が異なる光学適性を有する多層薄膜層からなり、金属薄膜、セラミックス薄膜またはそれらを併設してなる複合薄膜として積層形成される。例えば屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜を組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしてもよい。それらの組み合わせにより、所望の多層薄膜を得ることができる。
この多層薄膜層は、セラミックスや金属などの材料が用いられ、高屈折率材料の層数がおおよそ2以上の薄膜と、屈折率が1.5程度の低屈折率材料の薄膜とを、それぞれ光学的に適当な膜厚で積層したものである。
【0049】
この薄膜に用いられる材料の例を以下に挙げる。但しここで化学式の後ろに続くカッコ内の数値は、それぞれの屈折率nを示す。
まず、セラミックスとしては、Sb2O3(3.0)、Fe2O3(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbC12(2.3)、CdO(2.2)、Sb2O3(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si2O3(2.5)、In2O3(2.0)、PbO(2.6)、Ta2O3(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si2O2(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al2O3(1.6)、GaO(1.7)、等があり、また、金属系の材料としては、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si、等の金属単体もしくは合金が挙げられる。
【0050】
また、低屈折率の材料としては、例えば有機ポリマーのうち、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等がある。但し、ここでカッコ内の数値はそれぞれの屈折率nを示す。
【0051】
これらの高屈折率材料の薄膜、もしくは、透過率30〜60%の金属薄膜の中から少なくとも一種、また、低屈折率材料の中から少なくとも一種を選択し、光学的に適当な膜厚で交互に積層させる事により、特定の波長の可視光に対する吸収あるいは反射を示すようになる。
なお、金属から構成される薄膜は、構成材料の状態や形成条件などにより、屈折率などの光学特性が変わってくるため、本発明の実施例では、一定の条件における値を用いている。
【0052】
上記した各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層され多層薄膜を形成する。
形成方法は公知の手法を用いることができ、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚(n・d。ここでnは屈折率、dは膜厚。)などの制御が可能な技術、例えば、公知の真空蒸着法、又は、スパッタリング法にて形成される。
【0053】
これらも、前述のホログラムや回折格子等の場合におけるOVD効果層2bと同様に、先に述べた洗浄法やエッチング法等を用いて部分的に形成される。
【0054】
次に、図2に示した本発明の偽造防止媒体を容易に製造可能とする転写箔に関して説明する。図のように本発明の転写箔は支持体21に剥離層22、OVD層2、検証機能層1接着層24を順次積層してなる。
本転写箔を用いれば、ホットスタンプを用いて任意の形状に本発明の偽造防止体を形成可能となる。すなわち基材と接着層を熱および圧で接着させた後、不要な支持体を剥し、形成する。そのため、剥離層22は支持体21から剥がれる層であり、その後OVD層を保護する目的も兼ねる。
接着層24は基材11に熱および圧力で接着する機能を有す感熱樹脂が使用される。これら、支持体21、剥離層22、接着層24は公知の転写箔の製造に用いられる手法が適宜用いられる。また、接着層24に前述の検証機能を有する材料を添加し、検証機能兼接着層とすることも可能である。
【0055】
図3には本発明の偽造防止媒体を容易に製造可能とするステッカーを示した。
図のように支持体31に、OVD層2、検証機能層3、感圧接着剤(粘着剤)からなる接着層34を順次積層した構成である。構成中、支持体31および接着剤34は公知のステッカー製造に用いられる材料および手法が適宜用いられるが、前述したように検証機能兼接着層とすることも可能である。
また、貼り付けられたステッカーを剥すと破壊するように、層間に剥離する部分を設けたり、ステッカーに切れ込みを入れることも可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態をより詳細に説明してきたが、意匠性を向上すべく、各層を着色することや表面に印刷を施す等の加工を、これら転写箔、ステッカー、偽造防止媒体の使用の目的によって適宜利用可能である。また、各層の接着性を鑑み、各層間に接着アンカー層を設けることも可能である。
【0057】
【実施例】
本発明を、具体的な実施例をあげて詳細に説明する。
【0058】
<実施例1>
(図5参照)
図5のように厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持体31にOVD効果層2aとしてウレタン樹脂をグラビア法にて5μm塗布し、次いで、ロールエンボス法によりOVD(ここでは回折格子を使用)のレリーフパターンを形成した後、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのAl薄膜を設け、図4に示した絵柄状に塩酢ビ系樹脂からなるインキで絵柄パターンを印刷後、アルカリエッチング法にて不要な金属薄膜を除去した。
その後、検証機能層1として、グラビア印刷法により、紫外線を照射すると可視光線を発光する紫外蛍光材料を添加してなるアクリル樹脂を3μmの厚みでコ−ティングした。
次に、アクリル系粘着剤をコンマコート法にて20μm設け、離型紙をラミネートし、偽造防止ステッカー(本明細書ではステッカーもシールも同義である)を作製した。
【0059】
<比較例1>
厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持体31にOVD効果層2aとしてウレタン樹脂をグラビア法にて5μm塗布し、次いで、ロールエンボス法によりOVDレリーフパターンを形成した後、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのAl薄膜を設け、図4に示した絵柄上に塩酢ビ系樹脂からなるインキで絵柄パターンを印刷後、アルカリエッチング法にて不要な金属薄膜を除去した。
その後、アクリル系粘着剤ををコンマコート法にて20μm設け、離型紙をラミネートし、偽造防止シールを作製した。次に、支持体3上(OVD層と逆側の面)に検証機能層1として、紫外線を照射すると可視光線を発光する紫外蛍光材料を添加してなるアクリル樹脂を3μmの厚みでコ−ティングした。
【0060】
<比較例2>
図6のように厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持体31にOVD効果層2aとしてウレタン樹脂をグラビア法にて5μm塗布し、次いで、ロールエンボス法によりOVDレリーフパターンを形成した後、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのAl薄膜を設け、図4に示した絵柄上に塩酢ビ系樹脂からなるインキで絵柄パターンを印刷後、アルカリエッチング法にて不要な金属薄膜を除去した。
その後、アクリル系粘着剤ををコンマコート法にて20μm設け、離型紙をラミネートし、偽造防止シールを作製した。次に、検証機能層1として、紫外線を照射すると可視光線を発光する紫外蛍光材料を添加してなるアクリル樹脂を図4に示した金属薄膜のない部分にのみ3μmの厚みで印刷した。
【0061】
【表1】
【0062】
以上のように、実施例1はOVDを損なうことなく検証機能を付与することができた。
一方、比較例1や2では、OVDが濁ってしまったり、検証パターンが目立ってしまう。また、これらの手法で偽造された場合には発光の仕方や外観が異なる。
これらのことから、万一、偽造品が製造され使用されようとしても、真偽の判定を容易に行うことが出来た。
【0063】
尚、本発明に係る偽造防止転写箔は、偽造防止ステッカーとは層構成が基本的に異なる点があるが、例えば公知の製造技術(コーティング技術など)を適宜利用することにより、偽造防止転写箔を製造する場合とおおむね同様な技術力で得ることができる。
【0064】
また光学的な多層薄膜を使用したOVDを備えた、本発明に係る偽造防止転写箔や偽造防止ステッカーも、やはり、例えば公知の製造技術(コーティング技術など)を適宜利用することにより、ホログラム又は回折格子をOVDに使用した偽造防止転写箔あるいは偽造防止ステッカーを製造する場合と、おおむね同様な技術力で得ることができる。
【0065】
本発明に係る偽造防止媒体はそれぞれの層構成に従って、例えば、やはり公知の製造技術(コーティング技術など)を適宜利用することにより製造できる。
特に、本発明に係る偽造防止転写箔や偽造防止ステッカーを利用して製造した場合には、それぞれ転写工程、貼り付け工程を経ることにより製造でき、結果的に、高い量産性や低コスト性を得やすいことから、好適である。
【0066】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、OVDを損なうことなく、かつその存在が目視ではわからないように隠れた検証機能層を付与することが可能である。
つまるところ、本発明によれば、検証機能層がOVDの画像を不本意に損なうこと無くOVDと検証機能層とを一体品として形成出来ると共に、偽造防止対策にも有用なOVDと検証機能とを備えた、偽造防止転写箔、偽造防止ステッカー、並びに偽造防止媒体とその製造方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による偽造防止媒体の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明による偽造防止媒体を形成するための転写箔の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明による偽造防止媒体を形成するためのシールの一実施例を示す断面図である。
【図4】本発明による偽造防止媒体のOVD効果層パターンの一実施例を説明する図である。
【図5】実施例1に係る偽造防止媒体を説明する断面図である。
【図6】比較例2に係る偽造防止媒体を説明する断面図である。
【符号の説明】
11・・・基材
1・・・検証機能層
2・・・OVD層
2a・・・OVD形成層
2b・・・OVD効果層
21、31・・・支持体
22・・・剥離層
24、34・・・接着層
42・・・金属薄膜部
43・・・検証エリア
Claims (22)
- 支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた転写層が、該支持体から剥離可能に設けてある偽造防止転写箔であって、
該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成する、いずれかの層であること、
該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止転写箔。 - 支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた転写層が、該支持体から剥離可能に設けてある偽造防止転写箔であって、
該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、
該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止転写箔。 - 樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、
該凹凸の面に部分的に設けられた反射性を持つ薄膜であるOVD効果層との組合せによって、
少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔。 - 樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、
該OVD形成層の該透明な層よりも高い屈折率を有する材料が用いられ、透明性か又は半透明性を呈するように、該微細な凹凸の面に部分的に形成された薄膜であるOVD効果層との組合せによって、
少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔。 - 前記OVDが、透明性を持つ薄膜が多層重ねられて光学干渉を呈する光学干渉薄膜により光学効果を呈する層を用いて出来ており、前記OVD効果層は、透明性を持つ薄膜の1に部分的に設けてあること、
を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔。 - 前記OVDが、外部から入射してきた光の円偏光性を変える作用を持つ顔料を含有する偏光性顔料層を用いて出来ており、該偏光性顔料層上に部分的に薄膜で形成された反射層が前記OVD層であること、
を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偽造防止転写箔。 - 前記OVD効果層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の偽造防止転写箔。
- 前記検証機能層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の偽造防止転写箔。
- 前記転写層の前記支持体から最も遠い位置にある層が、転写の際の加熱によって接着性を呈すること、を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の偽造防止転写箔。
- 支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDが設けてある偽造防止ステッカーであって、
該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成する、いずれかの層であること、
該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止ステッカー。 - 支持体上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDが設けてある偽造防止ステッカーであって、
該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、
該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該支持体の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止ステッカー。 - 樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、
該凹凸の面に部分的に設けられた反射性を持つ薄膜であるOVD効果層との組合せによって、
少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。 - 樹脂を主材料とする透明な層であって、ホログラムか又は回折格子に応じた微細な凹凸が形成されたOVD形成層と、
該OVD形成層の該透明な層よりも高い屈折率を有する材料が用いられ、透明性か又は半透明性を呈するように、該微細な凹凸の面に部分的に形成された薄膜であるOVD効果層との組合せによって、
少なくとも、該ホログラムか又は回折格子のいずれかによる光学効果を呈すること、を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。 - 前記OVDが、透明性を持つ薄膜が多層重ねられて光学干渉を呈する光学干渉薄膜により光学効果を呈する層を用いて出来ており、前記OVD効果層は、透明性を持つ薄膜の1に部分的に設けてあること、
を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。 - 前記OVDが、外部から入射してきた光の円偏光性を変える作用を持つ顔料を含有する偏光性顔料層を用いて出来ており、該偏光性顔料層上に部分的に薄膜で形成された反射層が前記OVD層であること、
を特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。 - 前記OVD効果層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。
- 前記検証機能層が、絵柄、文字、記号、又は、図形の少なくとも1を用いたパターンである情報パターンに形成されていること、を特徴とする請求項10乃至16のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。
- 前記OVDがある側の前記支持体から最も遠い位置にある層が、少なくとも熱か又は圧力のいずれかによって接着性を呈すること、を特徴とする請求項10乃至17のいずれかに記載の偽造防止ステッカー。
- 基材上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた偽造防止媒体であって、
該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、
該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該基材の広がりの全域か又は部分的に、外部からの刺激によって発光する発光材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 基材上に、少なくともOVD形成層とOVD効果層により構成されたOVDを備えた偽造防止媒体であって、
該OVD効果層は、該OVD形成層の面に部分的に設けてあり、且つ、該OVD効果層は、該OVD形成層との組合せによって該OVDが呈する1か又は2以上の光学効果を高めるか又は達成するいずれかの層であること、
該支持体上に該OVD効果層よりも遠い側に、且つ、該基材の広がりの全域か又は部分的に、外部から届いた赤外線を吸収する赤外線吸収材料を含有した検証機能層が設けてあること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 請求項19に記載の偽造防止媒体の製造方法であって、
請求項1、又は、請求項3乃至9のいずれかの偽造防止転写箔を用いて前記基材上に転写するか、あるいは、
請求項10、又は、請求項12乃至18のいずれかの偽造防止ステッカーを用いて前記基材上に貼り付けるか、
いずれかによることを特徴とする。 - 請求項20に記載の偽造防止媒体の製造方法であって、
請求項2乃至9のいずれかの偽造防止転写箔を用いて前記基材上に転写するか、あるいは、
請求項11乃至18のいずれかの偽造防止ステッカーを用いて前記基材上に貼り付けるか、
いずれかによって偽造防止媒体を得ることを特徴とする。
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