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JP2004078099A - 液晶素子の製造方法 - Google Patents

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JP2004078099A
JP2004078099A JP2002241882A JP2002241882A JP2004078099A JP 2004078099 A JP2004078099 A JP 2004078099A JP 2002241882 A JP2002241882 A JP 2002241882A JP 2002241882 A JP2002241882 A JP 2002241882A JP 2004078099 A JP2004078099 A JP 2004078099A
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Japan
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liquid crystal
phase
temperature
chiral smectic
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JP2002241882A
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English (en)
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Ryuichiro Isobe
礒部 隆一郎
Yasushi Asao
浅尾 恭史
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Canon Inc
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Canon Inc
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Abstract

【課題】片側V字モード液晶素子のコントラスト改善。
【解決手段】MDL化時の冷却において、ゾーンクーリングを行うことでバトネの形成を一方向にそろえることで単安定位置を面内で均一にする。その結果、黒輝度が下がりコントラストが向上する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カイラルスメクチック液晶を備えた液晶素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(1)従来、液晶素子にはネマチック液晶が用いられていたが、このネマチック液晶の場合、応答速度が遅いという問題があった。以下、その点について詳述する。
【0003】
従来、ネマチック液晶を用いた液晶素子としては、アクティブマトリクス型のもの(すなわち、一つ一つの画素にトランジスタのような能動素子を配置したタイプのもの)の開発が行われている。
【0004】
このアクティブマトリクス型液晶素子に用いられるネマチック液晶のモードとして、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic)モードが広く知られている。なお、該モードの詳細は「たとえばエム・シャット(M.Schadt)とダブリユー・ヘルフリッヒ(w.Helfrich)著Applied Physics Letters第18巻、第4号(1971年2月15日発行)第127頁から128頁」において示されている。
【0005】
しかしながら、このようなツイステッドネマチックモードで[TNモード]は液晶の応答速度が数十msと遅いため、ビデオレートに対応できず、動画像表示には適さないという問題があった。
【0006】
(2)このようなネマチック液晶と異なり、強誘電性液晶や反強誘電性液晶等のスメクチック液晶は、自発分極による反転スイッチングを行うために応答速度を速くできることから、次世代のディスプレイ等への適用が期待されている。以下、該液晶について説明する。
【0007】
液晶が双安定性を示す素子(SSFLC/Surface Stabilized FLC)がクラーク(Clark)およびラガウェル(Lagerwall)により提案されている(特開昭56−107216号公報、米国特許第4367924号明細書)。この双安定性を示す液晶としては、一般にカイラルスメクチックC相を示す強誘電性液晶が用いられている。この強誘電性液晶では、電圧印加の際に液晶分子の自発分極に電圧が作用し分子の反転スイッチングがなされるため、非常に速い応答速度が得られる上にメモリー性のある双安定状態を発現させることができる。さらに視野角特性も優れていることから、高速、高精細、大面積の表示素子あるいはライトバルブとして適していると考えられる。
【0008】
ここで、双安定性強誘電液晶を用いた液晶素子(SSFLC)について図3に沿って簡単に説明する。図中の符号124及び125は偏光子を示し、符号124a及び125aはそれぞれの偏光軸の方位を示す。符号122は液晶素子を示し、その液晶平均分子軸は、印加される電圧の極性に応じて122a又は122bに示す位置を選択的に取るようになっている。ここで、液晶平均分子軸とは、厳密には液晶層による屈折率楕円体の液晶層面内での高屈折率軸または低屈折率軸のいずれかを示すものとする。
【0009】
いま、液晶平均分子軸が122aにあった場合、偏光子124を通過してきた光線は、偏光状態を保ったまま液晶素子122を通過し偏光子125に到達するが、偏光子125の偏光方向125aと光線の偏光方向122aとは直交するため、光線は偏光子125を通過することができずに黒状態を呈する。これに対して、液晶平均分子軸が122bにあった場合は、偏光子124を通過してきた光線は、液晶パネル122の複屈折特性により偏光回転して符号125aに示す方位を取り、そのまま偏光子125を透過して白状態を呈する。なお、このときの透過率は、
sin (2θ)・sin (π・Δnd/λ)
で表される(『液晶デバイスハンドブック(日本学術振興会第142委員会編)』参照)。ここで、θはカイラルスメクチック液晶のコーン角であり、Δnは液晶の複屈折、dは基板間距離、入は光線の波長である。表示素子の設計においては、人間の比視感度曲線のピーク波長である550nm付近の波長が用いられることが多い。これはこの波長域が人間の感じる光強度及びコントラストにもっとも影響するためである。このさい、透過率の極大条件より液晶パネルのリタデーション量Δn・dは、550nmの半分に設定されるのが好ましい。
【0010】
また、最近では、上述のような双安定性を示す強誘電性液晶の他に、3安定性状態を示す反強誘電性液晶が注目されている。この反強誘電性液晶も、強誘電性液晶と同様に、液晶分子の自発分極への作用により分子の反転スイッチングがなされるため、非常に速い応答速度が得られる。この液晶材料は、電圧無印加時には液晶分子は互いの自発分極を打ち消し合うような分子配列構造をとるため、電圧を印加しない状態では自発分極は存在しないことが特徴となっている。
【0011】
一方、上述のように複数の安定状態を示すのではなくて、安定状態を1つしか示さないカイラルスメクチック液晶がある(特願平10−117145号)。この液晶は、
・電圧を印加しない状態では液晶の平均分子軸は単安定状態の位置を取り、
・一方の極性の電圧を印加した場合には、該平均分子軸は印加電圧の大きさに応じた角度で単安定化された位置から一方の側にチルトし、
・他方の極性の電圧を印加した場合には、平均分子軸は逆側にチルトする、
ようになっている。該液晶は、印加電圧に応じてチルト角(平均分子軸がチルトする角度)が変化する特性を利用して階調表示に利用されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のカイラルスメクチック液晶(特願平10−117145号)においては、前記単安定状態の方向に面内方向のむらが存在するという問題があった。このため、偏光子の方向を、平均的な単安定状態の方向に合わせた場合に、各々の微小領域において光りぬけが生じ、コントラストが低下するという問題があった。
【0013】
本発明者が、上記現象(局所的に単安定状態の方向のむらが生じてしまう現象)の発生原因を確認すべく、アクティブ素子を持たない単画素の液晶パネルを作製した。電圧を印加しない状態での液晶の単安定状態の位置をそろえるために、コレステリック相をとる温度からカイラルスメクチック相をとる温度まで液晶パネルを冷却する過程において直流電圧を印加し、相転移付近の様子を観察したところ、相転移温度付近においてカイラルスメクチック相をとる部分(バトネ)が複数生じ、徐々にラビング方向に向けて成長していく様が観察された。さらに液晶パネルを冷却していったところ、異なるバトネが成長してできた領域がそれぞれ単安定位置に微妙な差異がある領域となることが確認された。
【0014】
そこで、本発明は、単安定位置の方向の面内ムラを防止する液晶素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定間隙を開けた状態に一対の基板を配置する工程と、これら一対の少なくとも一方の基板に対し一軸配向処理を施す工程と、これら一対の基板の間隙にカイラルスメクチック液晶を配置する工程と、該カイラルスメクチック液晶を挟み込むと共に複数の画素を構成するように一対の電極を配置する工程と、アクティブ素子を各画素毎に一方の電極に接続した状態に配置する工程と、からなる液晶素子の製造方法において、前記カイラルスメクチック液晶が、高温側より、等方性液体相(ISO.)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)、又は、等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)、の相転移系列を示す液晶であって、コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)又は等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)の相転移温度よりも高い温度から該相転移温度よりも低い温度にまで降温させる工程をもち、前記降温工程において、前記基板面内において一方の端から他方の端にかけて温度勾配が存在することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
(1)まず、本実施の形態にて製造され駆動される液晶素子の全体構成について図1を参照して説明する。
【0018】
本実施の形態に係る液晶素子は、図1に示すように、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板1a,1bと、これら一対の基板1a,1bの間隙に配置されたカイラルスメクチック液晶2と、複数の画素を構成すると共に該カイラルスメクチック液晶2を挟み込むように配置された一対の電極3a,3bと、これらの一対の電極のいずれか一方(図1では電極3b)に接続された状態で各画素毎に配置された複数のアクティブ素子4と、を備えており、前記一対の電極3a,3bを介して前記カイラルスメクチック液晶2に電圧を印加することにより駆動されるように構成されている。
【0019】
なお、カイラルスメクチック液晶2としては、高温側より、等方性液体相(ISO.)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)、又は、等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)、の相転移系列を示すものを用いる。なお、かかる液晶2は、電圧を印加していない状態で液晶分子が仮想コーンのエッジ、或いは仮想コーンの内側の位置で安定化する状態で用いると良い。
【0020】
(2)次に、本実施の形態に係る液晶素子の製造方法について説明する。
【0021】
上述した液晶素子を製造するに際しては、
・所定間隙を開けた状態に一対の基板1a,1bを配置する工程と、
・これら一対の基板1a,1bの間隙にカイラルスメクチック液晶2を配置する工程と、
・該カイラルスメクチック液晶2を挟み込むと共に複数の画素を構成するように一対の電極3a,3bを配置する工程と、
・アクティブ素子4を各画素毎に一方の電極3bに接続した状態に配置する工程と、
を適切な順序で実施する。
【0022】
その後、コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)又は等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)の相転移温度よりも高い温度から前記相転移温度よりも低い温度まで冷却する工程を実施する。この際、液晶素子の一方の端から他方の端にかけて温度勾配が存在する形で実施する。
【0023】
実施の方法に関しては、熱源の上に置いた液晶素子を徐々に熱源の上から押し出し、端部より徐々に冷却されるようにしてもよい。また、液晶素子の一方の端と、他方の端をそれぞれ別の熱源の上に置き、それぞれの熱源の温度を制御した形で温度を下げることで温度勾配を保ちつつ冷却してもよい。
【0024】
温度勾配の量と冷却速度は、液晶素子面内において前記相転移温度をとる場所が冷却過程中に5.0×10−3m/s以下の速度で移動する組み合わせにするとよい。より好ましくは、0.25×10−3m/s以下の速度で移動する組み合わせにするとよい。
【0025】
(3)次に、液晶素子の詳細構造について説明する。
【0026】
(3−1)カイラルスメクチック液晶2について説明する。
【0027】
本実施の形態にて用いるカイラルスメクチック液晶2としては、上述のような相転移系列のもの、すなわち、高温側より、等方性液体相(ISO.)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)、又は、等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)、の相転移系列を示すものを用いれば良いが、具体的には、次の(1)〜(4)に示す化合物を挙げることができる。
(1)
【0028】
【化1】
Figure 2004078099
【0029】
,R:炭素原子数が1〜20である置換基を有していてもよい直鎖または分岐状のアルキル基
,X:単結合、O、COO、OOC
,Y,Y,Y:HまたはF
n:0または1
(2)
【0030】
【化2】
Figure 2004078099
【0031】
,R:炭素原子数が1〜20である置換基を有していてもよい直鎖または分岐状のアルキル基
,X:単結合、O、COO、OOC
,Y,Y,Y:HまたはF
(3)
【0032】
【化3】
Figure 2004078099
【0033】
,R:炭素原子数が1〜20である置換基を有していてもよい直鎖または分岐状のアルキル基
,X:単結合、O、COO、OOC
,Y,Y,Y:HまたはF
(4)
【0034】
【化4】
Figure 2004078099
【0035】
,R:炭素原子数が1〜20である置換基を有していてもよい直鎖または分岐状のアルキル基
,X:単結合、O、COO、OOC
,Y,Y,Y:HまたはF
ところで、本実施の形態では、カイラルスメクチック液晶2については、その液晶材料の組成を調整し、更に液晶材料の処理や素子構成、例えば配向制御膜5a,5bの材料、処理条件等を適宜設定することにより、駆動電圧が印加されていない場合には、該液晶の平均分子軸(液晶分子)が単安定化されている配向状態を示し、一の極性の駆動電圧が印加されて駆動される場合には、液晶分子の平均分子軸が駆動電圧の大きさに応じた角度で前記単安定化された位置から一方の側にチルトし、他方の極性(前記一の極性に対する逆極性をいう。以下、同じ)の電圧が印加されている場合には、液晶分子の平均分子軸が駆動電圧の大きさに応じた角度で前記単安定化された位置から他方の側(すなわち、前記一の極性の電圧を印加したときにチルトする側とは反対の側)にチルトする、ような特性を示すようにすると良い。つまり、本実施の形態に用いる液晶2は、カイラルスメクチック液晶本来のメモリ性(双安定性)が消失されたものであって、チルト角の大きさを印加電圧によって連続的に制御することができ、それに伴って液晶素子の光量も連続的に変化させることができ、階調表示を可能とするものである。この場合、前記一の極性の駆動電圧を印加することによって最大チルト状態とした場合におけるチルト角は、前記他の極性の電圧を印加することによって最大チルト状態とした場合におけるチルト角と異ならせると良い。例えば、該他の極性の電圧を印加した場合、該電圧の大きさにかかわらず、液晶の平均分子軸がほとんどチルトしないような特性にしても良い。
【0036】
(3−2)次に、カイラルスメクチック液晶2以外の各構成部材等について説明する。
【0037】
上述した基板1a,1bには、ガラスやプラスチック等の透明性の高い材料を用いれば良い。
【0038】
また、電極3a,3bには、InやITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の材料を用いれば良く、これらの電極3a,3bはそれぞれの基板1a,1bに形成すると良い。なお、アクティブ素子4を接続する方の電極3bは、ドット状にマトリクス状に配置し、他方の電極3aは、基板1aのほぼ全面(或いは特定の領域)に形成すると良い。さらに、アクティブ素子4としては、TFTやMIM(Metal−Insulator−Metal)等を用いれば良い。図1上ではTFT素子を例として図示する。
【0039】
また、カイラルスメクチック液晶2に接する位置には、その配向状態を制御するために一軸配向処理を施した配向制御膜5a,5bを配置すると良い。かかる配向制御膜5a,5bとしては、
*ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の有機材料からなる溶液を塗布して膜を形成し、該膜の表面にラビング処理を施したものや、
*SiO等の酸化物や窒化物からなる無機材料を基板1a,1bに斜め方向から所定の角度で蒸着させて形成した斜方蒸着膜、
*紫外線照射等によって一軸配向規制力を発生しうる光配向膜を用いたもの、を挙げることができる。なお、この配向制御膜5a,5bの材質や一軸配向処理の条件等により、液晶分子のプレチルト角(すなわち、配向制御膜5a,5bの界面近傍において液晶分子が配向制御膜5a,5bに対してなす角度)が調整される。
【0040】
このような配向制御膜5a,5bは、カイラルスメクチック液晶2の両側に配置してそれらの両方に一軸配向処理を施せば良く、その場合における一軸配向処理方向(特にラビング方向)の関係は、用いる液晶材料を考慮して、
*アンチパラレル(両一軸配向処理方向が平行かつ逆方向)、
*パラレル(両一軸配向処理方向が平行かつ同方向)、
*45°以下の範囲でクロスする関係、
のいずれかになるように設定すれば良い。なお、45°以下の範囲でクロスする関係とは、2つのベクトル(一軸配向処理方向を示すベクトル)が45°以下の範囲内でクロスする場合であって、それぞれのベクトル方向が同方向(正確には、45°以下の角度ズレを有する。)である場合や、それぞれのベクトル方向が逆方向である場合の両方を挙げることができる。そして、互いのベクトルの交差角度(狭い方の交差角度)の値が45°以下で且つ0°に近いような場合は、それぞれのベクトルの関係が実質的にアンチパラレル乃至パラレルの関係とみなしてもよい。また、上述のアンチパラレル或いはパラレルの関係もそれぞれベクトル同士が必ず平行である以外に、例えば数°程度ずれているような場合でも実質的にアンチパラレル乃至パラレルの関係とみなしてもよい。本明細書において配向制御膜とは、一軸配向処理された膜以外に、液晶に直接接触されることによって液晶の配向に何らかの影響を与える膜のことを言う。なお、両側の配向制御膜に一軸配向処理を施さなくても、片側の配向制御膜のみに一軸配向処理を施しても良い。
【0041】
さらに、基板1a,1bの間隙には、シリカビーズ等からなるスペーサー(不図示)を配置して、かかるスペーサーによってその間隙寸法を規定するようにしてもよい。なお、間隙寸法は、液晶材料を考慮して最適範囲になるように調整すれば良いが、均一な一軸配向性を達成させたり、電圧が印加されていない状態での液晶分子の平均分子軸を配向処理軸Rの平均方向の軸と実質的に一致させるために、0.3〜10μmの範囲に設定することが好ましい。
【0042】
またさらに、基板1a,1bの間隙にエポキシ樹脂等からなる接着粒子(不図示)を分散配置して、両基板1a,1bの接着性や、液晶素子の耐衝撃性を向上させると良い。
【0043】
さらに、液晶素子は、透過型としても良く、反射型としても良い。なお、透過型の場合には両方の基板1a,1bを透明にする必要があり、反射型の場合には、基板1a,1bの一方に光を反射させる機能を付与する必要がある。ここで、光を反射させる機能を付与する方法としては、
*反射板や反射膜を、基板1a又は1bとは別体に設ける方法や、
*基板1a又は1b自体を反射部材で形成する方法や、
等を挙げることができる。ここで、透過型の液晶素子の場合には両方の基板1a,1bに偏光板を(それらの偏光軸が互いに直交するように)配置すれば良く、反射型の液晶素子の場合には少なくとも一方の基板1a又は1bに偏光板を設ければ良い。
【0044】
(3−3)次にTFT素子をアクティブ素子として用いた場合の詳細な構造について説明する。
【0045】
図1の基板1bの側には、図2に示すように、ゲート線G,G,…が図示横方向に多数配置され、ゲート線G,G,…とは絶縁された状態のソース線S,S,…が図示縦方向に多数配置されている。そして、これらのゲート線G,G,…及びソース線S,S,…の各交点の画素には、アクティブ素子としての薄膜トランジスタ(アモルファスSiTFT)4や、ITO膜等の透明導電膜からなる画素電極3b及び保持容量電極6等が配置されている。
【0046】
このうち、アモルファスSiTFT4は、図1に示すように、ゲート電極42と、窒化シリコン(SiNx)からなる絶縁膜(ゲート絶緑膜)43と、半導体層であるa−Si層44やn+a−Si層45,46と、ソース電極47と、ドレイン電極48と、チャネルを保護するチャネル保護膜49と、によって構成されている。すなわち、ガラス基板1bには各画素毎にゲート電極42が形成され、該ゲート電極42の表面は絶縁膜43にて覆われ、絶縁膜43の表面であってゲート電極42を形成した位置にはa−Si層44が形成されている。また、このa−Si層44の表面には、互いに離間するようにn+a−Si層45,46が形成されており、各n+a−Si層45,46にはソース電極47やドレイン電極48が互いに離間した状態に形成されている。さらに、これらのa−Si層44や電極47,48を覆うようにチャネル保護膜49が形成されている。
【0047】
そして、TFT4のゲート電極42は上述したゲート線G,G,…を介して走査信号ドライバ7に接続され、TFT4のソース電極47はソース線S,S,…を介して情報信号ドライバ8に接続され、TFT4のドレイン電極48は画素電極3bに接続されている。
【0048】
ところで、上述した保持容量電極6はガラス基板1bの表面に形成されており、上述した絶縁膜43は、この保持容量電極6及びガラス基板1bを覆う位置まで形成され、上述したソース電極47や画素電極3bはこの絶縁膜43の表面に形成されている。これにより、保持容量電極6と画素電極3bとは、絶縁膜43を挟んだ状態に配置されることとなり、これらによって、液晶2と並列の形で設けられた保持容量Csが構成されることとなる。なお、この保持容量電極6は、面積を大きくした場合における開口率低下を防止するため、透明なITOによって形成すると良い。
【0049】
また、図1に示すように、上述したTFT4や画素電極3bの表面には配向制御膜5bが形成されており、その表面には一軸配向処理(ラビング処理)が施されている。
【0050】
さらに、これらのガラス基板1a,1bの間隙であって、画素電極3bと共通電極3aとの間には、自発分極を有するカイラルスメクチック液晶2が配置されていて、液晶容量Clcが構成されることとなる。
【0051】
また、このような液晶素子の両側には、互いに偏光軸が直交した関係にある一対の偏光板(不図示)が配置されている。
【0052】
なお、図1に示す液晶素子ではアモルファスSiTFTを用いているが、もちろんこれに限る必要はなく、多結晶Si(P−Si)TFTや単結晶Si(C−Si)TFTを用いても良い。
【0053】
(3−4)次に、上述した液晶素子Pの駆動方法(通常の画像表示を行う場合の駆動方法)の一例について説明する。
【0054】
上述した液晶素子においては、走査信号ドライバ7から各ゲート線G,G,…にはゲート電圧が線順次に印加され、TFT4はゲート電圧が印加されることによってオン状態となる。
【0055】
一方、ゲート電圧の印加に同期して、情報信号ドライバ8からソース線S,S,…にはソース電圧(各画素に書き込む情報に応じた情報信号電圧)が印加される。したがって、TFT4がオン状態にある画素では、ソース電圧がTFT4及び画素電極3bを介して液晶2に印加され、液晶2のスイッチングが画素単位で行われる。
【0056】
そして、このような駆動を一定期間(フレーム期間)毎に繰り返し、画像の書き換えを行うようになっている。
【0057】
ところで、コレステリック相からカイラルスメクチックC相へと相転移する相転移過程を詳細に偏光顕微鏡観測したとき、スメクチックA相と酷似した配向状態が観測される場合がある。しかしながら本発明に使用される素子の本質はスメクチック層の法線方向と一軸配向処理方向とが大きく異なっており電圧無印加時に安定な分子位置がラビング方向に近い位置にあることである。つまり、こうした関係の層形成方向が実現されている場合には上記スメクチックA相的な液晶相は配向には寄与しないこととなるため、本願においてはこうした材料についてもスメクチックA相を含まない材料と定義する。
【0058】
(4)次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0059】
本実施の形態によれば、初めに液晶の相転移温度まで冷却された液晶素子の一方の端で発生したバトネが、液晶素子の他方の端に向かって一様に順次成長していく。このため単安定位置むらが生じるということはない。それにより黒状態での光りぬけを抑えることが出来、良好なコントラストを得ることが出来る。
【0060】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0061】
(1)液晶組成物の調製
まず、下記液晶性化合物を、それぞれの右側に併記した重量比率で混合し液晶組成物LC−1を調製した。
【0062】
【化5】
Figure 2004078099
【0063】
上記液晶組成物LCの物性パラメータを以下に示す。
【0064】
86.3  61.2  −7.2
相転移温度(℃):ISO. → Ch → SmC → Cry
自発分極(30℃):Ps=2.9nC/cm
SmC相でのらせんピッチ(30℃):20μm以上
(2) 単画素液晶セルの作製
本実施例では、本発明の効果を確認するための単画素液晶セルを作製した。なお、この単画素液晶セルは、所定間隙を開けた状態に配置された一対のガラス基板を備えたものであって、各ガラス基板の表面には透明電極が形成され、各透明電極を覆うように配向膜が形成され、基板間隙にはカイラルスメクチック液晶が配置されたものであって、透明電極をマトリクス化せずに1つの画素を構成させたものである。
【0065】
この単画素液晶セルを作製するに当たっては、2枚のガラス基板(厚さ1.1mm)の表面に700Å厚のITO膜(透明電極)を形成した。そして、各透明電極を覆うように、市販のTFT用配向膜(日産化学社製のSE7992)をスピンコート法により塗布し、その後、80℃の温度で5分間の前乾燥を行ない、さらに200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚150Åのポリイミド被膜(配向膜)を得た。
【0066】
続いて、それぞれのポリイミド膜に対して一軸配向処理としてナイロン布によるラビング処理を施した。このラビング処理には、外周面にナイロン(NF−77/帝人製)を貼り付けた径10cmのラビングロールを用い、押し込み量を0.7mmとし、送り速度を10cm/secとし、回転数を1000rpmとし、送り回数を4回とした。
【0067】
その後、一方の基板上にはスペーサーとしてのシリカビーズ(平均粒径1.5μm)を散布し、ラビング処理方向が互いに反平行(アンチパラレル)となるように2枚の基板を貼り合わせた。そして、基板間隙に液晶組成物LC−1をCh相の温度で注入し、単画素液晶セルを作製した。
【0068】
このような単画素液晶セルを2個作製した。一方の液晶セルに対して、基板の片側の端部にITOヒータをとりつけ端部より面内方向に向かって熱が伝わるようにし、コレステリック液晶層を示す温度まで加熱した。このあと、ITOヒータの温度を下げ、カイラルスメクチック液晶層を示す温度まで冷却した。この際、−2Vの直流オフセット電圧を印加した。冷却中の液晶層の様子を偏光光学顕微鏡により目視観察したところ、コレステリック相からカイラルスメクチック相への転移は端部のある一部分より始まり、面内方向に向かって一様に広がっていった。この際、コレステリック相を示す部分とカイラルスメクチック層を示す部分の境界は、0.25x10−3m/sの速度で移動するのが観察された。
【0069】
もう一方の液晶セルに対しては、メトラートレド社製ホットステージを用いて面内に一様な温度勾配を設けずにコレステリック液晶層を示す温度まで加熱した。その後、ホットステージの温度を下げカイラルスメクチック液晶層を示す温度まで冷却した。この際、−2Vの直流オフセット電圧を印加した。この様子を偏光光学顕微鏡により観察したところ、セル内の複数の点を起点として相転移が生じるのを確認した。
【0070】
このようにして作成した2個の単画素液晶セルの配向をニコン社製偏光光学顕微鏡BX50を用いて観察したところ、温度勾配を維持したまま冷却したセル中の平均分子位置はセル全面で均一であったが、温度勾配を設けずに冷却したセル中の平均分子位置は不ぞろいであった。
【0071】
また、浜松フォトニクス社製フォトマルシステムを前述光学顕微鏡に接続し、コントラストを測定したところ、温度勾配を維持したまま冷却したセルのコントラストは200であったが、温度勾配を設けずに冷却したセルのコントラストは130程度であり、冷却時の面内の温度勾配によってコントラストが上昇していることが確認できた。
【0072】
(3)アクティブマトリクス型液晶パネルの作製
次に、図1及び図2に示すアクティブマトリクス型液晶パネル(液晶素子)を作成した。
【0073】
なお、基板1a,1bには厚さ1.1mmのガラス基板を用い、それらには透明電極3a,3bを形成した。また、一方のガラス基板1aにはRGBのカラーフィルター(不図示)を形成した。そして、画面サイズは10.4インチとし、画素数は800×600とした。
【0074】
さらに、アクティブ素子4にはa−SiTFTを用い、該TFT4のゲート絶縁膜43には窒化シリコン膜を用いた。
【0075】
また、配向制御膜5a,5bは、ポリイミド膜にて形成した。具体的には、市販のTFT用配向膜(日産化学社製のSE7992)をスピンコート法により電極3a,3bを覆うように塗布し、その後、80℃の温度で5分間の前乾燥を行ない、さらに200℃の温度で1時間の加熱焼成を施すことによって形成し、その膜厚を150Åとした。なお、これらの配向制御膜5a,5bには、ナイロン布によるラビング処理(一軸配向処理)を施した。このラビング処理には、外周面にコットン布を貼り合わせた径10cmのラビングロールを用い、押し込み量を0.7mm、送り速度を10cm/secとし、回転数を1000rpm、送り回数を4回とした。
【0076】
続いて、一方の基板上には、平均粒径1.5μmのシリカビーズ(スペーサー)を散布し、各基板1a,1bのラビング処理方向が互いにアンチパラレルとなるように貼り合わせ、均一な基板間隙のセルを得た。
【0077】
このようなプロセスで作製したセルに液晶組成物LC−1をCh相の温度で注入し液晶パネルを作製した。
【0078】
次に、2台並べたホットプレートの上に厚さ5mmのガラス板をのせ、その上に作成した液晶パネルPをのせた。ホットプレートの温度はそれぞれ70℃から65℃の温度勾配がパネル面内に生じるように設定された。
【0079】
その後、液晶がカイラルスメクチック液晶相を示す温度まで温度勾配を保ちつつ、液晶がCh相からSmC相に相転移する際に−2Vのオフセット電圧(直流電圧)を印加した。
【0080】
以上の方法により温度勾配を保ちつつ冷却を施した液晶セルPに特定の画像(白黒市松模様等)を4時間程度表示した。その後、全画面黒画像、全画面中間調画像、全画面白画像を表示したが、先の特定の画像に対応する焼き付きパターンは確認されなかった。これは前述の単画素液晶セルにおいて確認された平均分子軸位置の均一化によるものと思われる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、温度勾配を保ちつつ冷却を施したことにより、コレステリック−カイラルスメクチック転移後の平均分子軸位置を均一にすることが出来る。したがって、黒表示状態での偏光子の光軸と分子軸位置を面内のあらゆる点で一致させることが出来、コントラストの向上が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって作製される液晶パネルの構造を示す断面図。
【図2】電極の形状等を示す平面図。
【図3】強誘電性液晶を用いた液晶素子の駆動原理等を説明するための分解斜視図。
【符号の説明】
1a,1b 基板
2 カイラルスメクチック液晶
3a 共通電極
3b 画素電極

Claims (3)

  1. 所定間隙を開けた状態に一対の基板を配置する工程と、これら一対の少なくとも一方の基板に対し一軸配向処理を施す工程と、これら一対の基板の間隙にカイラルスメクチック液晶を配置する工程と、該カイラルスメクチック液晶を挟み込むと共に複数の画素を構成するように一対の電極を配置する工程と、アクティブ素子を各画素毎に一方の電極に接続した状態に配置する工程と、からなる液晶素子の製造方法において、
    前記カイラルスメクチック液晶が、高温側より、等方性液体相(ISO.)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)、又は、等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)、の相転移系列を示す液晶であって、
    コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)又は等方性液体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC)の相転移温度よりも高い温度から該相転移温度よりも低い温度にまで降温させる工程をもち、
    前記降温工程において、前記基板面内において一方の端から他方の端にかけて温度勾配が存在することを特徴とする液晶素子の製造方法。
  2. 前記降温工程において、液晶素子面内における温度が前記相転移温度である点の移動速度が5×10−3m/sである工程を特徴とする前記請求1記載の液晶素子の製造方法。
  3. 前記降温工程において、液晶素子面内における温度が前記相転移温度である点の移動速度が0.25×10−3m/sである工程を特徴とする前記請求1記載の液晶素子の製造方法。
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