JP2004077263A - 圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテスト方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを簡便に行う方法を提供すること。
【解決手段】圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテスト方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、試験体のリークテスト(漏洩試験)を行うに際しては、例えば、ヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内にヘリウムを封入した試験体を収納し、気密チャンバ内を排気して所定の真空圧にすることで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知する。図1にヘリウムリークディテクタの一例(逆拡散式のもの)の基本構成図を示す。符号1で示される装置の中核をなす真空排気系は、高真空ポンプ1bの吸気口に分析管1aを接続し、排気口にフォアラインバルブ1eを介してフォアポンプ1cを接続したフォアラインを備え、テストポート1gには気密チャンバの排気ポート(図略)が接続される。初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後のリークテスト時には、フォアラインバルブ1eを閉止してから粗引き/テストバルブ1fを開口して気密チャンバ内の粗引きを行う。テストポート1gの圧力を監視する真空計1dにてその圧力が十分に減圧されていることを確認してからフォアラインバルブ1eを開口すると、気密チャンバ内の試験体から漏洩したヘリウムは、フォアラインに導かれて高真空ポンプ1b内を排気口から吸気口に向かって逆拡散し、分析管1aにて検出される。なお、図1において、符号2は装置に関する情報表示や操作を行うための表示/操作部、符号3は各部の電源オンオフと入力された信号の演算処理を行う電源/処理部、符号4はヘリウムイオン電流の増幅を行うDCアンプ、符号5は高真空ポンプのモータ制御を行う高真空ポンプ電源である。高真空ポンプ1bとしては、例えば、ヘリウム分子が高速回転するロータのタービンブレードから運動量を与えられて排気口へ移動することによってポンプ作用が行われるターボ分子ポンプ(TMP)が使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを行う場合、気密チャンバ内に試験体を収容した状態で気密チャンバ内を排気して減圧すると、それに伴って試験体は次第に膨張し、最終的には膨張破裂してしまう。従って、このような試験体のリークテストを行うに際しては、試験体が膨張破裂するといった事態が起こらないように真空圧の調整などの点において特別の配慮を行う必要がある。
そこで本発明は、合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを簡便に行う方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑みてなされた本発明のリークテスト方法は、請求項1記載の通り、圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする。
また、請求項2記載のリークテスト方法は、請求項1記載のリークテスト方法において、気密チャンバの容積を、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とすることで、試験体のある大きさを超える膨張を阻止することを特徴とする。
また、請求項3記載のリークテスト方法は、請求項2記載のリークテスト方法において、気密チャンバ内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工を施すことを特徴とする。
また、請求項4記載のリークテスト方法は、請求項1記載のリークテスト方法において、試験体を、試験体が膨張破裂する前にその内壁から押圧される容積を有するヘリウム通気性ケージに収容することで、試験体のある大きさを超える膨張を阻止することを特徴とする。
また、請求項5記載のリークテスト方法は、請求項1記載のリークテスト方法において、試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめた後、いったん排気を停止して気密チャンバ内に試験体から漏洩したヘリウムを蓄積せしめ、ある時間経過後に気密チャンバ内を再び排気して蓄積されたヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする。
また、本発明の気密チャンバは、請求項6記載の通り、ヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバであって、その内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工が施されたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のリークテスト方法は、圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とするものである。本発明のリークテスト方法によれば、気密チャンバ内で試験体を膨張破裂させることなく、試験体から漏洩したヘリウムを簡易に検知することができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明のリークテスト方法について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
【0007】
本発明のリークテスト方法において、気密チャンバ内で試験体のある大きさを超える膨張を阻止する手段としては、例えば、気密チャンバの容積を、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とする方法が挙げられる。この方法を採用する場合、気密チャンバ内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工を施すか、気密チャンバ内壁に金網部材などを取り付けて試験体から漏洩したヘリウムの排気流路を確保することが望ましい。気密チャンバ内壁の表面が平滑である場合には、試験体が膨張してそこに密着してしまうと、気密チャンバ内に漏洩したヘリウムを排気ポートから効率よくヘリウムリークディテクタに導くことができない恐れがあるからである。
【0008】
気密チャンバ内壁の表面への凸凹加工は、試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となるものであれば、その形状や程度は特段限定されるものではなく、具体的な方法としては、表面を網目状に加工したり、表面にガラスビーズを打ち付けることによるGBB(ガラスビーズブラスト)加工したりする方法などが挙げられる。
【0009】
図2(a)は、ヘリウムを封入した合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体Wを収容した気密チャンバ11の排気ポート12をヘリウムリークディテクタ1のテストポート1gに接続し、粗引き/テストバルブ1fを介して気密チャンバ11内の排気を開始する前の概念図である。図略のフォアラインバルブを閉止してから粗引き/テストバルブ1fを開口して気密チャンバ11内の粗引きを開始すると、試験体Wは次第に膨張する。気密チャンバ11の容積を、試験体Wが膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とすれば、試験体Wは、ある大きさに達した後は気密チャンバ内壁からの押圧によりそれ以上の膨張が阻止されることでその容積が一定になる。その結果、試験体Wの内部と外部との間に差圧が生じ、生じた差圧に基づいて試験体Wの内部からヘリウムが気密チャンバ11内に漏洩する。この時点において、図略のフォアラインバルブを開口すれば、気密チャンバ内壁の表面には凹凸加工が施されており、よって、気密チャンバ11内に漏洩したヘリウムを排気ポート12から効率よくヘリウムリークディテクタ1に導くことができる(図2(b))。
【0010】
上記の方法は、気密チャンバ内へのヘリウムの漏洩が極微量であっても、その検知を確実に行うことができる点において望ましい。即ち、試験体の膨張が気密チャンバ内壁からの押圧により阻止された状態(図2(b)の状態)においては、気密チャンバ内の残余スペースが僅かであるので、ヘリウムの漏洩が極微量であっても、このスペースにおける漏洩したヘリウムの濃度が高くなるからである。
【0011】
また、試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめた後、いったん排気を停止して気密チャンバ内に試験体から漏洩したヘリウムを蓄積せしめ、ある時間経過後に気密チャンバ内を再び排気して蓄積されたヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知するようにすれば、例えば、試験体が有するピンホールが微細なもの(直径1μm以下のようなもの)であるが故に、単位時間あたりの試験体からのヘリウムの漏洩が極微量であっても、高濃度のヘリウムをヘリウムリークディテクタに導くことができるので、より精度の高い測定が可能となる。
【0012】
気密チャンバ内で、試験体のある大きさを超える膨張を阻止するその他の手段としては、試験体を、試験体が膨張破裂する前にその内壁から押圧される容積を有するヘリウム通気性ケージに収容する方法が挙げられる。図3に示したように、この方法によれば、気密チャンバ21の容積が試験体Wの容積との関係において、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧されず、よって試験体が膨張破裂してしまうような容積であっても、ケージ23の大きさを適切に選択することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを簡便に行う方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘリウムリークディテクタの一例の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における気密チャンバ内の試験体の挙動を示す説明図である。
【図3】本発明のその他の実施形態における気密チャンバ内の説明図である。
【符号の説明】
1 ヘリウムリークディテクタ
1a 分析管
1b 高真空ポンプ
1c フォアポンプ
1d 真空計
1e フォアラインバルブ
1f 粗引き/テストバルブ
1g テストポート
2 表示/操作部
3 電源/処理部
4 DCアンプ
5 高真空ポンプ電源
11,21 気密チャンバ
12,22 排気ポート
23 ヘリウム通気性ケージ
W 試験体
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテスト方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、試験体のリークテスト(漏洩試験)を行うに際しては、例えば、ヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内にヘリウムを封入した試験体を収納し、気密チャンバ内を排気して所定の真空圧にすることで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知する。図1にヘリウムリークディテクタの一例(逆拡散式のもの)の基本構成図を示す。符号1で示される装置の中核をなす真空排気系は、高真空ポンプ1bの吸気口に分析管1aを接続し、排気口にフォアラインバルブ1eを介してフォアポンプ1cを接続したフォアラインを備え、テストポート1gには気密チャンバの排気ポート(図略)が接続される。初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後のリークテスト時には、フォアラインバルブ1eを閉止してから粗引き/テストバルブ1fを開口して気密チャンバ内の粗引きを行う。テストポート1gの圧力を監視する真空計1dにてその圧力が十分に減圧されていることを確認してからフォアラインバルブ1eを開口すると、気密チャンバ内の試験体から漏洩したヘリウムは、フォアラインに導かれて高真空ポンプ1b内を排気口から吸気口に向かって逆拡散し、分析管1aにて検出される。なお、図1において、符号2は装置に関する情報表示や操作を行うための表示/操作部、符号3は各部の電源オンオフと入力された信号の演算処理を行う電源/処理部、符号4はヘリウムイオン電流の増幅を行うDCアンプ、符号5は高真空ポンプのモータ制御を行う高真空ポンプ電源である。高真空ポンプ1bとしては、例えば、ヘリウム分子が高速回転するロータのタービンブレードから運動量を与えられて排気口へ移動することによってポンプ作用が行われるターボ分子ポンプ(TMP)が使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを行う場合、気密チャンバ内に試験体を収容した状態で気密チャンバ内を排気して減圧すると、それに伴って試験体は次第に膨張し、最終的には膨張破裂してしまう。従って、このような試験体のリークテストを行うに際しては、試験体が膨張破裂するといった事態が起こらないように真空圧の調整などの点において特別の配慮を行う必要がある。
そこで本発明は、合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを簡便に行う方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑みてなされた本発明のリークテスト方法は、請求項1記載の通り、圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする。
また、請求項2記載のリークテスト方法は、請求項1記載のリークテスト方法において、気密チャンバの容積を、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とすることで、試験体のある大きさを超える膨張を阻止することを特徴とする。
また、請求項3記載のリークテスト方法は、請求項2記載のリークテスト方法において、気密チャンバ内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工を施すことを特徴とする。
また、請求項4記載のリークテスト方法は、請求項1記載のリークテスト方法において、試験体を、試験体が膨張破裂する前にその内壁から押圧される容積を有するヘリウム通気性ケージに収容することで、試験体のある大きさを超える膨張を阻止することを特徴とする。
また、請求項5記載のリークテスト方法は、請求項1記載のリークテスト方法において、試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめた後、いったん排気を停止して気密チャンバ内に試験体から漏洩したヘリウムを蓄積せしめ、ある時間経過後に気密チャンバ内を再び排気して蓄積されたヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする。
また、本発明の気密チャンバは、請求項6記載の通り、ヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバであって、その内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工が施されたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のリークテスト方法は、圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とするものである。本発明のリークテスト方法によれば、気密チャンバ内で試験体を膨張破裂させることなく、試験体から漏洩したヘリウムを簡易に検知することができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明のリークテスト方法について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
【0007】
本発明のリークテスト方法において、気密チャンバ内で試験体のある大きさを超える膨張を阻止する手段としては、例えば、気密チャンバの容積を、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とする方法が挙げられる。この方法を採用する場合、気密チャンバ内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工を施すか、気密チャンバ内壁に金網部材などを取り付けて試験体から漏洩したヘリウムの排気流路を確保することが望ましい。気密チャンバ内壁の表面が平滑である場合には、試験体が膨張してそこに密着してしまうと、気密チャンバ内に漏洩したヘリウムを排気ポートから効率よくヘリウムリークディテクタに導くことができない恐れがあるからである。
【0008】
気密チャンバ内壁の表面への凸凹加工は、試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となるものであれば、その形状や程度は特段限定されるものではなく、具体的な方法としては、表面を網目状に加工したり、表面にガラスビーズを打ち付けることによるGBB(ガラスビーズブラスト)加工したりする方法などが挙げられる。
【0009】
図2(a)は、ヘリウムを封入した合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体Wを収容した気密チャンバ11の排気ポート12をヘリウムリークディテクタ1のテストポート1gに接続し、粗引き/テストバルブ1fを介して気密チャンバ11内の排気を開始する前の概念図である。図略のフォアラインバルブを閉止してから粗引き/テストバルブ1fを開口して気密チャンバ11内の粗引きを開始すると、試験体Wは次第に膨張する。気密チャンバ11の容積を、試験体Wが膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とすれば、試験体Wは、ある大きさに達した後は気密チャンバ内壁からの押圧によりそれ以上の膨張が阻止されることでその容積が一定になる。その結果、試験体Wの内部と外部との間に差圧が生じ、生じた差圧に基づいて試験体Wの内部からヘリウムが気密チャンバ11内に漏洩する。この時点において、図略のフォアラインバルブを開口すれば、気密チャンバ内壁の表面には凹凸加工が施されており、よって、気密チャンバ11内に漏洩したヘリウムを排気ポート12から効率よくヘリウムリークディテクタ1に導くことができる(図2(b))。
【0010】
上記の方法は、気密チャンバ内へのヘリウムの漏洩が極微量であっても、その検知を確実に行うことができる点において望ましい。即ち、試験体の膨張が気密チャンバ内壁からの押圧により阻止された状態(図2(b)の状態)においては、気密チャンバ内の残余スペースが僅かであるので、ヘリウムの漏洩が極微量であっても、このスペースにおける漏洩したヘリウムの濃度が高くなるからである。
【0011】
また、試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめた後、いったん排気を停止して気密チャンバ内に試験体から漏洩したヘリウムを蓄積せしめ、ある時間経過後に気密チャンバ内を再び排気して蓄積されたヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知するようにすれば、例えば、試験体が有するピンホールが微細なもの(直径1μm以下のようなもの)であるが故に、単位時間あたりの試験体からのヘリウムの漏洩が極微量であっても、高濃度のヘリウムをヘリウムリークディテクタに導くことができるので、より精度の高い測定が可能となる。
【0012】
気密チャンバ内で、試験体のある大きさを超える膨張を阻止するその他の手段としては、試験体を、試験体が膨張破裂する前にその内壁から押圧される容積を有するヘリウム通気性ケージに収容する方法が挙げられる。図3に示したように、この方法によれば、気密チャンバ21の容積が試験体Wの容積との関係において、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧されず、よって試験体が膨張破裂してしまうような容積であっても、ケージ23の大きさを適切に選択することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、合成樹脂製の医療用容器や食品パッケージなどのような圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテストを簡便に行う方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘリウムリークディテクタの一例の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における気密チャンバ内の試験体の挙動を示す説明図である。
【図3】本発明のその他の実施形態における気密チャンバ内の説明図である。
【符号の説明】
1 ヘリウムリークディテクタ
1a 分析管
1b 高真空ポンプ
1c フォアポンプ
1d 真空計
1e フォアラインバルブ
1f 粗引き/テストバルブ
1g テストポート
2 表示/操作部
3 電源/処理部
4 DCアンプ
5 高真空ポンプ電源
11,21 気密チャンバ
12,22 排気ポート
23 ヘリウム通気性ケージ
W 試験体
Claims (6)
- 圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体にヘリウムを封入し、この試験体をヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバ内に収容した後、気密チャンバ内を排気して減圧にする過程において、試験体が膨張してある大きさに達した後はそれ以上の試験体の膨張を阻止することで試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめ、生じた差圧に基づいて試験体から漏洩したヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とするリークテスト方法。
- 気密チャンバの容積を、試験体が膨張破裂する前に気密チャンバ内壁から押圧される容積とすることで、試験体のある大きさを超える膨張を阻止することを特徴とする請求項1記載のリークテスト方法。
- 気密チャンバ内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工を施すことを特徴とする請求項2記載のリークテスト方法。
- 試験体を、試験体が膨張破裂する前にその内壁から押圧される容積を有するヘリウム通気性ケージに収容することで、試験体のある大きさを超える膨張を阻止することを特徴とする請求項1記載のリークテスト方法。
- 試験体の内部と外部との間に差圧を生じせしめた後、いったん排気を停止して気密チャンバ内に試験体から漏洩したヘリウムを蓄積せしめ、ある時間経過後に気密チャンバ内を再び排気して蓄積されたヘリウムをヘリウムリークディテクタに導いて検知することを特徴とする請求項1記載のリークテスト方法。
- ヘリウムリークディテクタに接続される排気ポートを備えた気密チャンバであって、その内壁の表面に試験体から漏洩したヘリウムの排気流路となる凸凹加工が施されたことを特徴とする気密チャンバ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002237296A JP2004077263A (ja) | 2002-08-16 | 2002-08-16 | 圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテスト方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002237296A JP2004077263A (ja) | 2002-08-16 | 2002-08-16 | 圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテスト方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004077263A true JP2004077263A (ja) | 2004-03-11 |
Family
ID=32021100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002237296A Pending JP2004077263A (ja) | 2002-08-16 | 2002-08-16 | 圧力変化に伴って形状変形を生じる試験体のリークテスト方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004077263A (ja) |
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CN112697354A (zh) * | 2020-12-03 | 2021-04-23 | 四川航天长征装备制造有限公司 | 一种阀门氦气检漏工装及检漏方法 |
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-
2002
- 2002-08-16 JP JP2002237296A patent/JP2004077263A/ja active Pending
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