JP2004074500A - 液体噴射装置、及び、その吐出制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液滴の双方向噴射を行う装置において往路と復路の液滴の吐出量を揃える。
【解決手段】駆動信号発生回路は、記録ヘッドの往路走査時に中ドット吐出パルスDP1よりも後に小ドット吐出パルスDP1が配置された往路駆動信号COM1を発生し、記録ヘッドの復路走査時に両吐出パルスDP1,DP2の配置を往路走査時と逆順にすると共に両吐出パルスの間に微振動パルスVPを配置した復路駆動信号COM2を発生する。パルス供給手段は、復路走査時において両吐出パルスDP1,DP2を続けて供給する場合に、微振動パルスを中ドット吐出パルスDP1に先立って圧力発生素子へ供給する。
【選択図】 図4
【解決手段】駆動信号発生回路は、記録ヘッドの往路走査時に中ドット吐出パルスDP1よりも後に小ドット吐出パルスDP1が配置された往路駆動信号COM1を発生し、記録ヘッドの復路走査時に両吐出パルスDP1,DP2の配置を往路走査時と逆順にすると共に両吐出パルスの間に微振動パルスVPを配置した復路駆動信号COM2を発生する。パルス供給手段は、復路走査時において両吐出パルスDP1,DP2を続けて供給する場合に、微振動パルスを中ドット吐出パルスDP1に先立って圧力発生素子へ供給する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の液体を噴射する液体噴射装置、及び、この液体噴射装置による液滴の吐出制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置は噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンタやインクジェット式プロッタ等の画像記録装置があるが、最近では極く少量の液体を所定位置に正確に供給できるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレー製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
【0003】
このような噴射ヘッドには種々の形式があるが、広く普及している所謂オン・デマンド方式のものは、リザーバから圧力室を経てノズル開口に至る一連の液体流路をノズル開口に対応する複数備え、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体に生じた圧力変動を利用してノズル開口から液滴を吐出させる。この噴射ヘッドにおいて、ノズル開口では液体の自由表面(以下、メニスカスという。)が露出している。そして、このメニスカスを通じて液体の溶媒成分が蒸発してしまうので、ノズル開口付近の液体は濃度上昇が生じ易い。そこで、メニスカスをノズル開口付近で微振動させ、液体の濃度上昇を可及的に防止することが行われている。例えば、液滴を吐出させない程度に圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる微振動パルスを駆動信号中に含ませ、液滴を吐出させない場合には微振動パルスを圧力発生素子に供給してメニスカスを微振動させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、この種の液体噴射装置では、単位時間あたりの液滴の吐出量を向上させつつ着弾する液滴の量を緻密に制御するという要請がある。インクジェット式プリンタを例に挙げると、単位時間あたりの液滴の吐出量を向上させることで画像データの記録紙への記録速度が向上し、着弾する液滴の量を緻密に制御することで最適な大きさのドットで記録できて画質の向上が図れる。この要請に応えるため、噴射ヘッドを主走査方向に沿って往復移動させると共に往路と復路の両方で液体を吐出する双方向噴射が行われている。また、圧力発生素子を駆動する駆動パルスとして、小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスと中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスとを用いて駆動信号を構成すると共に、制御単位としての吐出周期内で小液滴と中液滴とを選択的に吐出可能に構成し、非記録、小液滴、中液滴、大液滴(小液滴+中液滴)の4段階で液滴の吐出を制御することも行われている。さらに、噴射ヘッドの復路走査時に発生する復路駆動信号に関し、各駆動パルスの配置を往路走査時に発生する往路駆動信号とは逆順にすることで、小液滴の着弾位置と中液滴の着弾位置を往路走査時と復路走査時とで揃えるようにした装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
なお、上記の特許文献1とは特開平10−81012号公報(第8頁,図4)であり、特許文献2とは特開2000−1001号公報(第8−9頁,図11−12)である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単位時間あたりの液滴の吐出量を向上させる観点からは1つの吐出周期は短い方がよい。これは、液滴の高周波吐出が可能になるからである。また、着弾する液滴の量を緻密に制御する観点からは、この吐出周期は長い方がよい。これは、より多くの種類の吐出パルスを液滴の吐出に使用することができるためである。しかしながら、1つの吐出周期内に含ませるパルス数を増やした場合にはこの吐出周期が長くなってしまい、この吐出周期を短くした場合には含ませ得る吐出パルスの数(吐出可能な液滴の種類)が少なくなってしまう。
【0007】
また、往路駆動信号と復路駆動信号とで各駆動パルスの配置を逆順序にした構成では、大液滴を吐出させる場合に、例えば、往路走査時では中液滴吐出パルスから小液滴吐出パルスの順で圧力発生素子に供給され、復路走査時では小液滴吐出パルスから中液滴吐出パルスの順で圧力発生素子に供給される。液滴が吐出されるとメニスカスは比較的大きく振動するが、その振動パターンは小液滴の吐出時と中液滴の吐出時とで異なり、吐出される液滴の量も駆動パルス供給時点におけるメニスカスの位置によって左右される。例えば、同じ波形形状の吐出パルスを供給したとしても、メニスカスがノズル開口の縁よりも奥の位置で吐出パルスを供給した場合は、ノズル開口の縁よりも盛り上がった状態で吐出パルスを供給した場合よりも液滴の量が少なくなる。従って、往路駆動信号と復路駆動信号とで各駆動パルスを単に入れ替えただけでは、2つの駆動パルスによって吐出される液滴の合計量がばらついてしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一吐出周期を可及的に短くしつつも吐出される液滴の種類を増やすことを目的とする。また、双方向噴射を行うものにおいて往路と復路の液滴の吐出量を揃えることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置において、
前記駆動信号発生手段は、メニスカスを微振動させる微振動パルスとインク滴を吐出させる吐出パルスとを含み、吐出パルスよりも前に微振動パルスを配置した駆動信号を発生し、
前記パルス供給手段は、吐出パルスの供給に先立って微振動パルスの供給或いは非供給を選択することで、該吐出パルスによる液滴の量を異ならせることを特徴とする液体噴射装置である。
【0010】
請求項2に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、複数の吐出パルスを一吐出周期内に含んだ駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置である。
【0011】
請求項3に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、量が異なる複数の吐出パルスを一吐出周期内に含んだ駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置である。
【0012】
請求項4に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、該噴射ヘッドを主走査方向に沿って移動可能なヘッド走査機構と、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置において、
前記駆動信号は、メニスカスを微振動させる微振動パルスと、異なる量の液滴を吐出可能な第1の吐出パルス及び第2の吐出パルスとを含み、
前記駆動信号発生手段は、噴射ヘッドの往路走査時に第1の吐出パルスよりも後に第2の吐出パルスが配置された往路駆動信号を発生し、噴射ヘッドの復路走査時に両吐出パルスの配置を往路走査時と逆順にすると共に両吐出パルスの間に微振動パルスを配置した復路駆動信号を発生し、
前記パルス供給手段は、復路走査時において両吐出パルスを続けて供給する場合に、前記微振動パルスを第1の吐出パルスに先立って圧力発生素子へ供給することを特徴とする液体噴射装置である。
【0013】
請求項5に記載のものは、前記第1の吐出パルスが中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスであり、第2の吐出パルスが小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスであることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置である。
【0014】
請求項6に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、複数の吐出パルスを吐出周期を跨いで一定間隔で発生することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体噴射装置である。
【0015】
請求項7に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置の吐出制御方法において、
メニスカスを微振動させる微振動パルスと液滴を吐出させる吐出パルスとを含み、微振動パルスの後に吐出パルス信号が配置された駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
微振動パルスの供給或いは非供給をパルス供給手段によって選択することで、前記吐出パルスにより吐出される液滴の量を異ならせることを特徴とする液体噴射装置の吐出制御方法である。
【0016】
請求項8に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、該噴射ヘッドを主走査方向に沿って移動可能なヘッド走査機構と、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置の吐出制御方法において、噴射ヘッドの往路走査時には、所定量の液滴を吐出させる第1の吐出パルスを、量が異なる液滴を吐出させる第2の吐出パルスよりも前に配置した往路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
噴射ヘッドの復路走査時には、第1の吐出パルスを第2の吐出パルスよりも後に配置すると共にこれらの吐出パルスの間にメニスカスを微振動させる微振動パルスを配置した復路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
噴射ヘッドの復路走査時に前後の吐出パルスを続けて供給するにあたり、微振動パルスも圧力発生素子に供給することを特徴とする液体噴射装置の吐出制御方法である。
【0017】
請求項9に記載のものは、前記第1の吐出パルスが中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスであり、第2の吐出パルスが小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスであることを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置の吐出制御方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では液体噴射装置の一形態である画像記録装置、詳しくは、インクジェット式プリンタを例に挙げて説明するが、本発明は製造装置等の産業機械にも適用できる。
【0019】
図1に示したインクジェット式プリンタ1(以下、プリンタ1と呼ぶ)は、記録ヘッド2が取り付けられると共にインクカートリッジ3を保持可能なカートリッジホルダ部4を有するキャリッジ5を備えている。このキャリッジ5は、ハウジング6に架設したガイド部材7に対して移動可能に取り付けられており、ヘッド走査機構によりこのガイド部材7に沿って往復移動される。
【0020】
ヘッド走査機構は、ハウジング6の左右一端側に取り付けたパルスモータ8と、このパルスモータ8の回転軸に接続した駆動プーリー9と、ハウジング6の左右他端側に設けた遊転プーリー10と、駆動プーリー9と遊転プーリー10との間に架け渡されると共にキャリッジ5に接続されたタイミングベルト11と、パルスモータ8の回転を制御する制御部12(図3参照)等を備えて構成してある。即ち、このヘッド走査機構は、パルスモータ8を動作させることにより、記録ヘッド2を印刷記録媒体の一種である記録紙13の幅方向(つまり、主走査方向)に往復移動させる。なお、この記録紙13は、液滴が着弾する着弾対象物の一種でもある。また、プリンタ1は、記録紙13を主走査方向とは直交する副走査方向に送り出す紙送り機構を備えている。この紙送り機構は、紙送りモータ14及びプラテンローラ15等から構成されており、記録ヘッド2の主走査に連動させて記録紙13を順次送り出す。
【0021】
上記の記録ヘッド2は、キャリッジ5における記録紙13との対向面(下面)に取り付けられている。この記録ヘッド2は、図2に示すように、ブロック状ケース21の先端面に流路ユニット22を接合した構成であり、振動子ユニット23によって流路ユニット22内の圧力室24に圧力変動を生じさせてノズル開口25からインク滴を吐出する構成である。
【0022】
ケース21は、振動子ユニット23を収納するための収納空部26を内部に備えており、例えばエポキシ等の合成樹脂によって作製される。そして、この収納空部26は、流路ユニット22との接合面側の開口から反対面までを貫通するように設けられている。
【0023】
流路ユニット22は、流路形成基板27の一方の面にノズルプレート28を、他方の面に振動板29を接合した構成とされる。流路形成基板27は、例えば、シリコンウエハーや金属板によって作製されている。本実施形態では、シリコンウエハーをエッチング加工することで、各ノズル開口25…と連通する複数の圧力室24…と、リザーバ30と、リザーバ30と各圧力室24…とを連通する複数の液供給路31…等を適宜に形成している。ノズルプレート28は、例えば、薄手のステンレス板によって作製され、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口25…が列状に開設される。振動板29は、ステンレス製の支持板32にPPS膜等の弾性体膜33を積層した二重構造を採り、各圧力室24…に対応する部分は支持板32が環状にエッチング加工されて、環内に島部34が形成される。
【0024】
振動子ユニット23は、圧力発生素子の一種である複数の圧電振動子35…と、これらの圧電振動子35…の一部が接合される固定板36とから概略構成されている。圧電振動子35は、圧電体と電極層とを交互に積層した一枚の圧電板に、各圧力室24…に対応した所定ピッチでスリット部を形成することにより櫛歯状に作製される。また、固定板36は、この櫛歯状振動子の基端側部分に接合される。この振動子ユニット23は、各圧電振動子35…の先端を開口から臨ませた状態で収納空部26内に取り付けられる。即ち、固定板36の背面と収納空部26の壁面とを接着することで取り付けられる。そして、この収納状態において、各圧電振動子35…の先端は、振動板29の対応する島部34…に当接し接合される。
【0025】
各圧電振動子35…は、対向する電極間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮し、圧力室24の一部を区画する弾性体膜33を変位させる。即ち、この記録ヘッド2では、圧電振動子35の自由端部を素子長手方向に伸長させることにより、島部34がノズルプレート28側へ押され、島部周辺の弾性体膜33が変形して圧力室24の容積が減少する。また、圧電振動子35の自由端部を素子長手方向に収縮させると、弾性体膜33の変位により圧力室24が膨張する。この圧力室24の膨張や収縮に伴って圧力室24内に充填されたインクに圧力変動が生じ、ノズル開口25からインク滴が吐出される。
【0026】
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図3に示すように、このプリンタ1は、プリンタコントローラ41と、プリントエンジン42とを備えている。
【0027】
プリンタコントローラ41は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース43(以下、外部I/F43という)と、各種データの記憶等を行うRAM44と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM45と、CPU等からなる制御部12と、クロック信号(CK)を発生する発振回路46と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号(COM)を発生する駆動信号発生回路47と、印字データ(ドットパターンデータであり、吐出データの一種。)及び駆動信号等をプリントエンジン42に送信するためのインターフェース48(以下、内部I/F48という)とを備えている。
【0028】
外部I/F43は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F43は、ホストコンピュータに対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等を出力する。RAM44は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F43が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部12によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、記録ヘッド2にシリアル伝送される印字データが展開される。ROM45は、制御部12によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
【0029】
制御部12は、データ展開手段として機能し、印刷データを印字データに展開する。即ち、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。そして、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM45内のフォントデータやグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の印字データに展開する。本実施形態において、この印字データは2ビットデータで構成されている(後述する)。この展開された印字データは出力バッファに記憶されて、一回の主走査に相当する1行分の印字データが得られると、この1行分の印字データ(SI)は内部I/F48を通じて記録ヘッド2にシリアル伝送される。そして、出力バッファから1行分の印字データが送信されると、中間バッファの内容が消去されて次の中間コードに対する変換が行われる。
【0030】
また、制御部12は、タイミング信号発生手段の一部を構成し、内部I/F48を通じて記録ヘッド2にラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号は、駆動信号(COM)に含まれる駆動パルスの供給開始タイミングを規定する(後述する)。さらに、制御部12は信号波形設定手段としても機能し、駆動信号発生回路47を制御することで発生される駆動信号COMの波形を設定する。
【0031】
上記の駆動信号発生回路47は、本発明における駆動信号発生手段の一種であり、制御部12による制御の下、複数の駆動パルス(DP1,DP2,VP,図4参照)を含んだ一連の駆動信号を記録周期T(本発明における吐出周期の一種)毎に繰り返し発生する。そして、本実施形態の駆動信号発生回路47は、記録ヘッド2の往路走査時に往路駆動信号COM1を発生し、復路走査時に復路駆動信号COM2を発生する。なお、この駆動信号については後で詳しく説明する。
【0032】
プリントエンジン42は、記録ヘッド2と、ヘッド走査機構のパルスモータ8と、紙送り機構の紙送りモータ14等から構成される。記録ヘッド2は、第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路53と第2ラッチ回路54とからなるラッチ回路と、デコーダ55と、制御ロジック56と、レベルシフタ57と、スイッチ回路58と、圧電振動子35とを備えて構成されている。そして、各シフトレジスタ51,52、各ラッチ回路53,54、デコーダ55、スイッチ回路58、及び、圧電振動子35は、それぞれ記録ヘッド2の各ノズル開口25…に対応して複数設けられる。
【0033】
そして、記録ヘッド2は、プリンタコントローラ41からの印字データ(SI)に基づいてインク滴を吐出する。即ち、プリンタコントローラ41からの印字データは、発振回路46からのクロック信号(CK)に同期して、内部I/F48から第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52にシリアル伝送される。この印字データは、上記したように2ビットのデータであり、非記録、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調を表す階調情報によって構成される。本実施形態では、非記録が階調情報[00]であり、小ドットが階調情報[01]であり、中ドットが階調情報[10]であり、大ドットが階調情報[11]である。なお、この印字データは、吐出される液滴の量を示す吐出量情報の一種でもある。
【0034】
この印字データは、各ノズル開口25毎に設定される。即ち、全てのノズル開口25…に関する下位ビット(L)のデータが第1シフトレジスタ51に入力され、全てのノズル開口25…に関する上位ビット(H)のデータが第2シフトレジスタ52に入力される。第1シフトレジスタ51には第1ラッチ回路53が電気的に接続され、第2シフトレジスタ52には第2ラッチ回路54が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ41からのラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路53,54に入力されると、第1ラッチ回路53は印字データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路54は印字データの上位ビットのデータをラッチする。このような動作をする第1シフトレジスタ51及び第1ラッチ回路53の組と、第2シフトレジスタ52及び第2ラッチ回路54の組は、それぞれが記憶回路を構成し、デコーダ55に入力される前の印字データを一時記憶する。
【0035】
各ラッチ回路53,54でラッチされた印字データは、デコーダ55に入力される。このデコーダ55は翻訳手段として機能し、2ビットの印字データを翻訳してパルス選択情報を生成する。本実施形態のデコーダ55は、印字データと駆動パルスとの関係を規定する波形選択テーブルを備えており、この波形選択テーブルに基づいて3ビットのパルス選択情報を生成する。パルス選択情報は、駆動信号(COM)を構成する各駆動パルス(DP1,DP2,VP)に各ビットを対応させることで構成されている。そして、各ビットの内容(例えば、[0],[1])に応じて圧電振動子35に対する駆動パルスの供給或いは非供給が選択される。なお、駆動パルスの供給制御については後で詳しく説明する。
【0036】
また、デコーダ55には、制御ロジック56からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック56は、制御部12と共にタイミング信号発生手段として機能しており、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)に基づいてタイミング信号を発生する。即ち、この制御ロジック56は、図5や図6に示すように、ラッチ信号(LAT)或いはチャンネル信号(CH)を受信する毎にタイミング信号を発生する。
【0037】
デコーダ55によって翻訳されたパルス選択情報は、上位ビット側から順に、タイミング信号の受信タイミングが到来する毎に、レベルシフタ57に入力される。例えば、記録周期Tにおける最初のタイミング(T1の開始時)ではパルス選択情報の最上位ビットのデータがレベルシフタ57に入力され、2番目のタイミング(T2の開始時)ではパルス選択情報における2番目のビットのデータがレベルシフタ57に入力される。このレベルシフタ57は、電圧増幅器として機能し、パルス選択情報が[1]の場合には、スイッチ回路58を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。レベルシフタ57で昇圧された[1]のパルス選択情報は、スイッチ手段として機能するスイッチ回路58に供給される。このスイッチ回路58の入力側には、駆動信号発生回路47からの駆動信号(COM)が供給されており、スイッチ回路58の出力側には圧電振動子35が接続されている。
【0038】
そして、パルス選択情報は、スイッチ回路58の作動、つまり、駆動パルスの圧電振動子35への供給を制御する。例えば、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[1]である期間中は、スイッチ回路58が接続状態になって駆動パルスが圧電振動子35に供給され、この駆動パルスに応じて圧電振動子35の電位レベルが変化する。一方、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[0]の期間中は、レベルシフタ57からはスイッチ回路58を作動させる電気信号が出力されない。このため、スイッチ回路58が切断状態になって圧電振動子35へは駆動パルスが供給されない。なお、圧電振動子35はコンデンサの様に振る舞うので、スイッチ回路58の切断状態において直前の電位を保持し続ける。
【0039】
そして、このような動作をする制御ロジック56、デコーダ55、レベルシフタ57、スイッチ回路58は、本発明におけるパルス供給手段の一種として機能し、印字データ(吐出量情報)に基づき、駆動信号の中から駆動パルスを選択して圧電振動子35に供給する。
【0040】
次に、駆動信号発生回路47が生成する駆動信号(COM)について説明する。図4に示すように、駆動信号発生回路47は、記録ヘッド2の往路走査時において往路駆動信号COM1を発生し、記録ヘッド2の復路走査時において復路駆動信号COM2を発生する。これらの駆動信号COM1,COM2は、複数の駆動パルスを一連に接続して構成している。即ち、中ドットに対応する量の中インク滴を吐出させる中ドット吐出パルスDP1と、小ドットに対応する量の小インク滴を吐出させる小ドット吐出パルスDP2と、インク滴を吐出させない程度にメニスカスを微振動させる微振動パルスVPを一連に接続した駆動信号によって構成している。各駆動信号COM1,COM2をこのように構成したのは、記録周期Tを可及的に短くするためである。即ち、各吐出パルスDP1,DP2を各々別個に圧電振動子35に供給したり、各吐出パルスを続けて供給したりすることで、合計3種類のインク滴が吐出できる。即ち、非記録を含めて4階調で記録が行える。このため、大ドット専用の波形を省略でき、その分だけ記録周期Tを短くすることができる。
【0041】
なお、上記の中インク滴は本発明における中液滴の一種であり、小インク滴は本発明における小液滴の一種である。また、中ドット吐出パルスDP1は本発明における中液滴吐出パルスの一種であり、第1の吐出パルスでもある。また、小液滴吐出パルスは本発明における小液滴吐出パルスの一種であり、第2の吐出パルスでもある。
【0042】
往路駆動信号COM1は、期間T1に配置された(即ち、期間T1で発生する)中ドット吐出パルスDP1と、期間T2に配置された小ドット吐出パルスDP2と、期間T3に配置された微振動パルスVPとを有し、記録周期T毎に繰り返し発生される。一方、復路駆動信号COM2は、期間T1´に配置された小ドット吐出パルスDP2と、期間T2´に配置された微振動パルスVPと、期間T3´に配置された中ドット吐出パルスDP1とを有し、記録周期T毎に繰り返し発生される。即ち、復路駆動信号COM2は、小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1の配置を往路駆動信号COM1とは逆順とし、さらに両吐出パルスDP2,DP1の間に微振動パルスVPを配置した信号である。
【0043】
これらの駆動信号において、往路駆動信号COM1の中ドット吐出パルスDP1と復路駆動信号COM2の中ドット吐出パルスDP1とは同じ波形形状であり、圧電振動子35に供給されると記録ヘッド2のノズル開口25から所定量(例えば5pL)のインク滴が吐出される。また、小ドット吐出パルスDP2及び微振動パルスVPも往路駆動信号COM1と復路駆動信号COM2とで同じ波形形状である。そして、小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給されると、記録ヘッド2のノズル開口25から所定量(例えば2.5pL)のインク滴が吐出される。また、微振動パルスVPが圧電振動子35に供給されると、メニスカスがインク滴の吐出側と圧力室側とに交互に移動し、ノズル開口25付近のインク増粘が防止される。
【0044】
中ドット吐出パルスDP1は、インク滴を吐出する吐出パルス部(P1〜P3)と、この吐出パルス部の後に発生されてインク滴吐出後におけるメニスカスの振動を抑制する制振パルス部(P4〜P6)と、これらの吐出パルス部と制振パルス部との間を接続するパルス接続要素P7とを備える。吐出パルス部は、最低電位VLから第1最大電位VH1までインク滴を吐出させない程度の勾配で電位を上昇させる膨張要素P1と、膨張要素P1に続いて発生されて第1最大電位VH1を所定時間維持する膨張ホールド要素P2と、第1最大電位VH1から最低電位VLまで比較的急峻な勾配で電位を下降させる吐出要素P3とから構成される。制振パルス部は、最低電位VLから制振電位VAまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる制振膨張要素P4と、この制振膨張要素P4に続いて発生されて制振電位VAを所定時間維持する制振ホールド要素P5と、この制振ホールド要素P5に続いて発生されて制振電位VAから最低電位VLまで比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる制振収縮要素P6とから構成される。そして、パルス接続要素P7は、吐出要素P3の終端と制振膨張要素P4の始端との間を最低電位VLで接続している。
【0045】
この中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給されると、圧電振動子35及び圧力室24は次のように動作し、これに伴ってメニスカスの状態(位置)は図8(b)に示す様に変化する。ここで、図8(b)は、メニスカスの定常状態(即ち、ノズル開口25の開口縁付近で安定している状態。)を基準としたメニスカスの位置を模式的に表した図であり、開口縁の位置を[0]で示し、開口縁から吐出側に盛り上がった状態を[+]で示し、開口縁から圧力室24側に引き込まれた状態を[−]で示している。
【0046】
即ち、この中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給されると、まず、膨張要素P1の供給に伴って圧電振動子35が大きく収縮し、圧力室24が最小容積から大きく膨張する。これにより、メニスカスは定常状態([0]の位置)から圧力室24側([−]側)に大きく引き込まれる。圧力室24の膨張状態は、膨張ホールド要素P2の供給期間中に亘って維持される。そして、この維持期間中における圧力室24内のインクの圧力変動によって、引き込まれたメニスカスがノズル開口25の縁付近まで戻ってくる。その後、吐出要素P3が供給されて圧力室24内のインク圧力が急激に上昇し、メニスカスも吐出側([+]側)に急速に移動して柱状に延びる。そして、柱状に延びたメニスカスの一部がちぎれ、中インク滴が吐出される。
【0047】
吐出要素P3に続いてパルス接続要素P7が供給される。このパルス接続要素P7の電位は最低電位VLであるため、圧力室24の収縮状態は維持される。そして、この維持期間中において、メニスカスは、インク滴を吐出した反動で圧力室24側に向かって急速に戻る。その後、このメニスカスの急速な戻りを打ち消すタイミングで制振膨張要素P4が供給されて圧力室24が再度膨張し、圧力室24内のインクを減圧する。これにより、メニスカスの運動エネルギーが吸収される。さらに、制振ホールド要素P5で規定される時間の経過後、制振収縮要素P6が供給されてメニスカスの移動を打ち消すように圧力室24を収縮させ、インクを加圧する。その後、メニスカスは、圧力室24内に残留しているインク圧力に応じて自由振動する。
【0048】
小ドット吐出パルスDP2は、最低電位VLから第2最大電位VH2まで比較的急峻な勾配で電位を上昇させる膨張要素P11と、膨張要素P11に続いて発生されて第2最大電位VH2を極く短い時間維持する膨張ホールド要素P12と、第2最大電位VH2から吐出電位VFまで急勾配で電位を下降させる吐出要素P13と、吐出電位VFを極く短い時間維持する吐出ホールド要素P14と、吐出電位VFから最低電位VLまで比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる制振要素P15とから構成される。
【0049】
この小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給されると、圧電振動子35及び圧力室24は次のように動作し、これに伴ってメニスカスは図9(b)に示す様に変化する。ここで、図9(b)は、メニスカスの定常状態を基準としたメニスカスの位置を模式的に表した図であり、先に説明した図8(b)に対応する図である。
【0050】
即ち、この小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給されると、まず、膨張要素P11の供給に伴って圧電振動子35が大きく収縮し、圧力室24が最小容積から最大容積まで急速に膨張する。この膨張に伴って圧力室24内が大きく減圧され、メニスカスは定常状態([0]の位置)から圧力室24側([−]側)に大きく引き込まれる。このとき、メニスカスの中心部分、即ち、ノズル開口25の中心部分が一旦大きく引き込まれる。その後、このメニスカスの中心部分は反動で凸状に盛り上がった状態になる。次に、吐出要素P13が供給されて圧力室24が急激に収縮してインクが加圧され、メニスカスの中心部分が急速にインク柱として成長する(即ち[+]側に急速に移動する)。その後、成長したインク柱の先端部分がちぎれ、その結果、小ドットに対応する量のインク滴(小インク滴)が吐出される。
【0051】
このインク滴の吐出によってメニスカスは圧力室24側に向かって急速に戻ってくるが、このメニスカスの戻りにあわせて供給される制振要素P15により圧力室24が緩やかに収縮する。この収縮に伴うインクの加圧によってメニスカスの運動エネルギーが吸収され、メニスカスの戻り速度が緩やかになる。その後、メニスカスは、図中点線で示すように、圧力室24内に残留しているインク圧力に応じて自由振動する。
【0052】
微振動パルスVPは、最低電位VLから微振動電位VBまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる微振動膨張要素P21と、この微振動膨張要素P21に続いて発生されて微振動電位VBを所定時間維持する微振動ホールド要素P22と、この微振動ホールド要素P22に続いて発生されて微振動電位VBから最低電位VLまで比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる微振動収縮要素P23とから構成される。
【0053】
この微振動パルスVPが圧電振動子35に供給されると、圧電振動子35及び圧力室24は次のように動作する。即ち、微振動膨張要素P21の供給によって圧力室24は緩やかに膨張し圧力室24内のインクも緩やかに減圧される。このインク圧力の減少によってメニスカスは圧力室24側に少し移動する。圧力室24の膨張状態は微振動ホールド要素P22の供給期間中に亘って維持される。この維持期間中においても、メニスカスは圧力室24内の圧力変動に応じて緩やかに移動し続ける。その後、微振動収縮要素P23の供給によって圧力室24は緩やかに収縮し圧力室24内のインクが緩やかに加圧される。この加圧によってメニスカスは吐出側に少し移動する。このようなメニスカスの移動により、ノズル開口25付近に増粘部分があればこの増粘部分がインク中に分散し、インク増粘の防止が図れる。
【0054】
次に、上記構成のプリンタ1におけるインク滴吐出制御について説明する。
【0055】
本実施形態において、パルス供給手段(制御ロジック56,デコーダ55,レベルシフタ57,スイッチ回路58,以下同様。)は、非記録の印字データ(階調情報)[00]に基づいて微振動パルスVPを圧電振動子35に供給し、小ドットの印字データ[01]に基づいて小ドット吐出パルスDP2を圧電振動子35に供給する。また、中ドットの印字データ[10]に基づいて中ドット吐出パルスDP1を圧電振動子35に供給し、大ドットの印字データ[11]に基づいて小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1の両方を圧電振動子35に供給する。さらに、復路走査時に大ドットを記録するにあたり、パルス供給手段はこれらの両吐出パルスに加えて微振動パルスVPも圧電振動子35に供給する。即ち、中ドット吐出パルスDP1の供給に先立って微振動パルスVPを供給し、インク滴の量を調整している。以下、具体的に説明する。
【0056】
図5に示すように、記録ヘッド2の往路走査時にてパルス供給手段は、印字データ[00]を翻訳してパルス選択情報[001]を生成する。ここで、パルス選択情報の最上位ビットは期間T1、即ち中ドット吐出パルスDP1に対応し、2番目のビットは期間T2、即ち小ドット吐出パルスDP2に対応する。さらに、最下位ビットは期間T3、即ち微振動パルスVPに対応している。従って、このパルス選択情報[001]により、期間T3においてスイッチ回路58が導通状態になり、微振動パルスVPが圧電振動子35に供給される。また、パルス供給手段は、印字データ[01]を翻訳してパルス選択情報[010]を生成する。このパルス選択情報[010]により、期間T2においてスイッチ回路58が導通状態になり、小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給される。同様に、パルス供給手段は、印字データ[10]を翻訳してパルス選択情報[100]を生成する。このパルス選択情報[100]により、期間T1においてスイッチ回路58が導通状態になり、中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給される。さらに、パルス供給手段は、印字データ[11]を翻訳してパルス選択情報[110]を生成する。このパルス選択情報[110]により、期間T1及び期間T2においてスイッチ回路58が導通状態になり、中ドット吐出パルスDP1及び小ドット吐出パルスDP2が続けて圧電振動子35に供給される。
【0057】
また、図6に示すように、記録ヘッド2の復路走査時にてパルス供給手段は、印字データ[00]を翻訳してパルス選択情報[010]を生成する。ここで、パルス選択情報の最上位ビットは期間T1´、即ち小ドット吐出パルスDP2に対応し、2番目のビットは期間T2´、即ち微振動パルスVPに対応する。さらに、最下位ビットは期間T3´、即ち中ドット吐出パルスDP1に対応している。従って、このパルス選択情報[010]により、期間T2´においてスイッチ回路58が導通状態になり、微振動パルスVPが圧電振動子35に供給される。また、パルス供給手段は、印字データ[01]を翻訳してパルス選択情報[100]を生成する。これにより、期間T1´においてスイッチ回路58が導通状態になり、小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給される。同様に、パルス供給手段は、印字データ[10]を翻訳してパルス選択情報[001]を生成する。これにより、期間T3´においてスイッチ回路58が導通状態になり、中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給される。さらに、パルス供給手段は、印字データ[11]を翻訳してパルス選択情報[111]を生成する。これにより、期間T1´から期間T3´の全期間においてスイッチ回路58が導通状態になり、小ドット吐出パルスDP2、微振動パルスVP、中ドット吐出パルスDP1が順に圧電振動子35に供給される。
【0058】
このように各駆動パルスを圧電振動子35に供給すると、画素領域(記録周期Tによって区分けされる記録紙13上の領域であり、1ドットが記録され得る領域)内におけるインク滴の着弾位置が、往路走査時と復路走査時とでドットの大きさ毎に揃う。
【0059】
このことを図7に基づいて説明する。ここで、図7は、供給される駆動パルスと画素領域G内でのインク滴の着弾位置の関係を印字データ(記録階調)毎に示した模式図であり、(a)は微振動を、(b)は小ドットを、(c)は中ドットを、(d)は大ドットをそれぞれ示す。なお、この図において、記録ヘッド2は往路走査時に左側から右側へ移動するものとし、復路走査時に右側から左側へ移動するものとする。
【0060】
図7(b)に示すように、小ドットの記録時において、往路走査時には小ドット吐出パルスDP2が記録周期Tの後半側に配置されているため、小インク滴は画素領域Gの右半部分に着弾する。一方、復路走査時には小ドット吐出パルスDP2が記録周期Tの開始直後に配置されており走査方向が往路と反対なので、小インク滴は画素領域Gの右半部分に着弾する。また、図7(c)に示すように、中ドットの記録時において、往路走査時には中ドット吐出パルスDP1が記録周期Tの開始直後に配置されているため、中インク滴は画素領域Gの左半部分に着弾する。一方、復路走査時には中ドット吐出パルスDP1が記録周期Tの後半部分に配置されているため、やはり画素領域Gの左半部分に着弾する。さらに、図7(d)に示すように、大ドットの記録時において、往路走査時には中インク滴の後に小インク滴が吐出され、復路走査時には小インク滴の後に中インク滴が吐出される。そして、往路と復路とで走査方向が反対であるため、中インク滴は画素領域Gの左半部分に着弾し、小インク滴は画素領域Gの右半部分に着弾する。
【0061】
このように、本実施形態では、往路駆動信号と復路駆動信号とで吐出パルスDP1,DP2の配置を入れ替えているので、記録ヘッド2の往路走査時と復路走査時とで小インク滴と中インク滴の着弾位置が揃う。これにより、ざらつき感の少ない高品位な画像が記録できる。
【0062】
さらに、本実施形態では、復路走査時の大ドット記録時において微振動パルスVPも圧電振動子35に供給している。これは、大ドットのインク量を往路走査時と復路走査時とで揃えるためである。以下、この点について説明する。
【0063】
上記したように、大ドットを記録するにあたり、記録ヘッド2の往路走査時には中インク滴から小インク滴の順にインク滴が吐出され、復路走査時には小インク滴から中インク滴の順にインク滴が吐出される。ここで、インク滴の吐出後にメニスカスは比較的大きく振動するので、続けて後のインク滴を吐出させると、後のインク滴の吐出量は吐出パルス供給時点におけるメニスカスの位置に応じて変ってしまう。例えば、メニスカスが圧力室24側に大きく引き込まれた状態で吐出パルスを供給した場合と、ノズル開口25の縁よりも吐出側に盛り上がった状態で吐出パルスを供給した場合とでは、盛り上がった状態で吐出パルスを供給した方がインク量が多くなる。
【0064】
そして、インク滴の吐出直後におけるメニスカスの振幅は、吐出されたインク滴の量に応じて変化する。即ち、小インク滴の吐出直後におけるメニスカスの振幅よりも、中インク滴の吐出直後におけるメニスカスの振幅の方が大きくなる。また、両吐出パルスDP1,DP2同士の配置間隔は、インク滴の吐出量を安定化する観点から、或る程度離隔させる必要がある。例えば、インク滴の吐出によって引き込まれたメニスカスが再度盛り上がる時点(図8及び図9に符号t1,t2で示す時点)で後の吐出パルスが供給されるように設定する必要がある。このため、中インク滴から小インク滴の順に吐出した場合(往路の場合)と、小インク滴から中インク滴の順に吐出した場合(復路の場合)とでは、後側の吐出パルス供給時点におけるメニスカスの状態が異なるので、大ドットのインク量(小インク滴と中インク滴の合計量)が相違してしまう虞がある。
【0065】
この場合、後側の吐出パルスの配置位置(発生タイミング)を調整することでインク量を調整することが考えられる。しかし、そのように構成すると、後側の吐出パルスで吐出されるインク滴の着弾位置が不揃いになって画質の点で好ましくないし、記録周期Tが長くなってしまう虞もある。そこで、吐出パルスの波形形状を変更することも考えられるが、この場合、当該吐出パルスを単独で用いた際のインク量が往路と復路とで異なることになり、やはり好ましくない。
【0066】
このような事情に鑑み、このプリンタ1では、2つの吐出パルスDP1,DP2の間に微振動パルスVPを配置し、後側の吐出パルスの供給に先立って微振動パルスVPを供給している。別な言い方をすれば、この微振動パルスVPを、先のインク滴の吐出直後におけるメニスカスの状態を調整する調整パルスとして用いている。2つの吐出パルスDP1,DP2のみの場合、往路の吐出順序で吐出した方が復路の吐出順序で吐出した場合よりもインク滴の量が増える。このため、図9に示すように、復路駆動信号COM2において小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1との間に微振動パルスVPを配置して、大ドットの記録時には中ドット吐出パルスDP1の供給に先立って微振動パルスVPを圧電振動子35に供給し、中ドット吐出パルスDP1の供給開始時点におけるメニスカスの位置を調整している。
【0067】
例えば、図9(b)に示すように、小インク滴の吐出直後において微振動パルスVPを供給しなかった場合には、メニスカスの振幅は図中点線で示すようになる。そして、微振動パルスVPを供給した場合には、図中実線で示すように、t3の時点から微振動膨張要素P21が圧電振動子35に供給されて圧力室24が膨張し、メニスカスがさらに引き込まれる。その後、微振動収縮要素P23が圧電振動子35に供給されて圧力室24が収縮し、メニスカスを吐出方向に押し出す。これにより、中インク滴の供給開始時点(t2)にて、微振動パルスVPを供給しなかった場合(符号t2bで示す状態)よりもメニスカスを大きく盛り上げることができる(符号t2aで示す状態)。その結果、中ドット吐出パルスDP1で吐出されるインク滴の量を増やすことができ、往路と復路とで大ドットのインク量を揃えることができる。
【0068】
このように、本実施形態では、微振動パルスVPを調整パルスとして用い、先のインク滴吐出に伴うメニスカスの振動を制御しているので、一記録周期Tを可及的に短くしつつも往路と復路におけるインク滴の量を揃えることができる。即ち、この微振動パルスVPは、そもそもノズル開口25付近におけるインク増粘を防止すべく最初から駆動信号に含まれているので、記録周期Tが延びてしまうことがない。
【0069】
さらに、この微振動パルスVPは、インク滴の非吐出時にノズル開口25付近のインク増粘を防止できればよいので、その波形形状は吐出パルスに比べて自由度が高い。例えば、パルスの波高、微振動膨張要素P21や微振動収縮要素P23の電位勾配、微振動ホールド要素P22の時間幅については、メニスカスが適正に微振動できる範囲で自由に設定できる。このため、この微振動パルスVPの波形形状に応じて、中ドット吐出パルスDP1による中液滴の量(即ち、微振動パルスVPの次に配置された吐出パルスによって吐出される液滴の量)を調整することができる。従って、このインク滴の量を高い精度でコントロールすることができる。
【0070】
また、この微振動パルスVPは、配置場所(発生タイミング)についても他の吐出パルスDP1,DP2より自由度が高い。即ち、この微振動パルスVPによってインク滴は吐出されないので、微振動パルスVPは前後に配置された吐出パルスDP1,DP2に対して時間的に重ならない範囲で配置することができる。従って、この微振動パルスVPの発生タイミングを変えることでメニスカスを加振したり、制振したりすることもできる。さらに、後の吐出パルスの供給開始時点におけるメニスカスの高さも調整することができる。従って、後の吐出パルスに対応するインク滴の量を高い精度でコントロールすることもできる。
【0071】
ところで、本発明は、この第1実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0072】
上記の第1実施形態では、1記録周期T内に2種類の吐出パルスと1つの微振動パルスVPを配置して、往路走査時と復路走査時とで大ドットのインク量を揃えるようにした構成について説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、微振動パルスVPを用いて吐出パルスによるインク滴の量を積極的に変えるようにしてもよい。
【0073】
図10の第2実施形態は、1記録周期T内に1つの微振動パルスVPと1つの小ドット吐出パルスDP2(吐出パルス)とを配置している。そして、小ドット吐出パルスDP2の供給に先立って微振動パルスVPを供給するか否かを選択することで、小ドット吐出パルスDP2によって吐出されるインク滴の量を変化させるものである。
【0074】
この第2実施形態において、駆動信号発生回路47は、期間T1にて微振動パルスVPを発生し、期間T2にて小ドット吐出パルスDP2を発生する。そして、パルス供給手段は、インク滴を吐出しない場合に微振動パルスVPを圧電振動子35に供給し、通常の小インク滴(説明の便宜上、第1小インク滴という。)を吐出させる場合には小ドット吐出パルスDP2のみを圧電振動子35に供給する。さらに、パルス供給手段は、第1小インク滴よりも量が多い小インク滴(説明の便宜上、第2小インク滴という。)を吐出させる場合には、微振動パルスVPと小ドット吐出パルスDP2の両方を圧電振動子35に供給する。
【0075】
この構成でも、微振動パルスVPを供給することで、小ドット吐出パルスDP2の供給開始時点において、メニスカスをノズル開口25の縁よりも盛り上がった状態にすることができる。これにより、小インク滴の量を変えることができる。即ち、量が異なる2種類のインク滴を1つの小ドット吐出パルスDP2によって打ち分けることができる。このため、専用の吐出パルスを2種類設けた場合よりも記録周期Tを短くすることができ、高速記録に適する。
【0076】
なお、微振動パルスVPによる吐出パルスのインク量調整は、複数の吐出パルスが一記録周期T内に配置された装置にも同様に適用することができる。この場合において、複数の吐出パルスは、同じ波形形状であってもよく、異なる波形形状(インク量が異なる吐出パルス)であってもよい。
【0077】
また、上記の第1実施形態において、各吐出パルスを記録周期Tを跨いで一定間隔で発生するように構成してもよい。例えば、図4の例において、往路駆動信号COM1における中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3から小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13までの時間間隔TAと、小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13から次の記録周期Tにおける中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3までの時間間隔TBとを一定にすると共に、復路駆動信号COM2における小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13から中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3までの時間間隔TCと、中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3から次の記録周期Tにおける小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13までの時間間隔TDとを一定にしてもよい。
この構成では、大ドットを連続的に記録する際において、小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1の間隔(詳しくは、吐出要素P3,P13同士の間隔)が揃うので、最初の1滴を吐出させた後はメニスカスの状態が一定になりインク量が揃う。そして、最初の一滴については微振動パルスVPを圧電振動子35に供給することでインク滴の量を揃えることができる。
【0078】
なお、以上は、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置、例えば、インクジェット式プロッタ等の画像記録装置にも適用できる。また、ディスプレー製造装置,電極製造装置,チップ製造装置等といった各種の製造装置にも適用できる。さらに、マイクロディスペンサ、マイクロポンプにも適用できる。
【0079】
また、圧力発生素子に関し、圧電振動子35以外の素子を用いてもよい。例えば、静電アクチュエータや磁歪素子等の電気機械変換素子を用いてもよい。さらに、圧力発生素子として発熱素子を用いてもよい。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、メニスカスを微振動させる微振動パルスとインク滴を吐出させる吐出パルスとを含み、微振動パルスの後に吐出パルス信号が配置された駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、微振動パルスの供給或いは非供給をパルス供給手段によって選択することで、吐出パルスにより吐出される液滴の量を異ならせるようにしたので、一種類の吐出パルスから量が異なる複数種類の液滴を吐出させることができる。これにより、一吐出周期を可及的に短くしつつも吐出される液滴の種類を増やすことができる。
【0081】
また、噴射ヘッドの往路走査時には、所定量の液滴を吐出させる第1の吐出パルスを、量が異なる液滴を吐出させる第2の吐出パルスよりも前に配置した往路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、噴射ヘッドの復路走査時には、第1の吐出パルスを第2の吐出パルスよりも後に配置すると共にこれらの吐出パルスの間にメニスカスを微振動させる微振動パルスを配置した復路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、噴射ヘッドの復路走査時に前後の吐出パルスを続けて供給するにあたり、パルス供給手段によって微振動パルスも圧力発生素子に供給するので、後の吐出パルスの供給開始時点におけるメニスカスの状態を微振動パルスによって制御でき、液滴の量を往路走査時と復路走査時とで揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタの構成を説明する斜視図である。
【図2】記録ヘッドの構造を説明する断面図である。
【図3】プリンタの電気的構成を説明するブロック図である。
【図4】駆動信号発生回路が発生する往路駆動信号と復路駆動信号とを説明する図である。
【図5】往路駆動信号におけるインク滴吐出制御を説明する図である。
【図6】復路駆動信号におけるインク滴吐出制御を説明する図である。
【図7】供給される駆動パルスと画素領域内でのインク滴の着弾位置の関係を印字データ毎に示した模式図であり、(a)は微振動を、(b)は小ドットを、(c)は中ドットを、(d)は大ドットをそれぞれ示す。
【図8】(a),(b)は、往路駆動信号と中ドット駆動パルスを供給した際のメニスカスの動きを説明する図である。
【図9】(a),(b)は、復路駆動信号と小ドット駆動パルスを供給した際のメニスカスの動きを説明する図である。
【図10】第2実施形態を説明する図であり、インク滴吐出制御を説明する図である。
【符号の説明】
1…インクジェット式プリンタ,2…記録ヘッド,3…インクカートリッジ,4…カートリッジホルダ部,5…キャリッジ,6…ハウジング,7…ガイド部材,8…パルスモータ,9…駆動プーリー,10…遊転プーリー,11…タイミングベルト,12…制御部,13…記録紙,14…紙送りモータ,15…プラテンローラ,21…記録ヘッドのケース,22…流路ユニット,23…振動子ユニット,24…圧力室,25…ノズル開口,26…収納空部,27…流路形成基板,28…ノズルプレート,29…振動板,30…リザーバ,31…液供給路,32…支持板,33…弾性体膜,34…島部,35…圧電振動子,36…固定板,41…プリンタコントローラ,42…プリントエンジン,43…外部I/F,44…RAM,45…ROM,46…発振回路,47…駆動信号発生回路,48…内部I/F,51…第1シフトレジスタ,52…第2シフトレジスタ,53…第1ラッチ回路,54…第2ラッチ回路,55…デコーダ,56…制御ロジック,57…レベルシフタ,58…スイッチ回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の液体を噴射する液体噴射装置、及び、この液体噴射装置による液滴の吐出制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置は噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンタやインクジェット式プロッタ等の画像記録装置があるが、最近では極く少量の液体を所定位置に正確に供給できるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレー製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
【0003】
このような噴射ヘッドには種々の形式があるが、広く普及している所謂オン・デマンド方式のものは、リザーバから圧力室を経てノズル開口に至る一連の液体流路をノズル開口に対応する複数備え、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体に生じた圧力変動を利用してノズル開口から液滴を吐出させる。この噴射ヘッドにおいて、ノズル開口では液体の自由表面(以下、メニスカスという。)が露出している。そして、このメニスカスを通じて液体の溶媒成分が蒸発してしまうので、ノズル開口付近の液体は濃度上昇が生じ易い。そこで、メニスカスをノズル開口付近で微振動させ、液体の濃度上昇を可及的に防止することが行われている。例えば、液滴を吐出させない程度に圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる微振動パルスを駆動信号中に含ませ、液滴を吐出させない場合には微振動パルスを圧力発生素子に供給してメニスカスを微振動させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、この種の液体噴射装置では、単位時間あたりの液滴の吐出量を向上させつつ着弾する液滴の量を緻密に制御するという要請がある。インクジェット式プリンタを例に挙げると、単位時間あたりの液滴の吐出量を向上させることで画像データの記録紙への記録速度が向上し、着弾する液滴の量を緻密に制御することで最適な大きさのドットで記録できて画質の向上が図れる。この要請に応えるため、噴射ヘッドを主走査方向に沿って往復移動させると共に往路と復路の両方で液体を吐出する双方向噴射が行われている。また、圧力発生素子を駆動する駆動パルスとして、小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスと中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスとを用いて駆動信号を構成すると共に、制御単位としての吐出周期内で小液滴と中液滴とを選択的に吐出可能に構成し、非記録、小液滴、中液滴、大液滴(小液滴+中液滴)の4段階で液滴の吐出を制御することも行われている。さらに、噴射ヘッドの復路走査時に発生する復路駆動信号に関し、各駆動パルスの配置を往路走査時に発生する往路駆動信号とは逆順にすることで、小液滴の着弾位置と中液滴の着弾位置を往路走査時と復路走査時とで揃えるようにした装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
なお、上記の特許文献1とは特開平10−81012号公報(第8頁,図4)であり、特許文献2とは特開2000−1001号公報(第8−9頁,図11−12)である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単位時間あたりの液滴の吐出量を向上させる観点からは1つの吐出周期は短い方がよい。これは、液滴の高周波吐出が可能になるからである。また、着弾する液滴の量を緻密に制御する観点からは、この吐出周期は長い方がよい。これは、より多くの種類の吐出パルスを液滴の吐出に使用することができるためである。しかしながら、1つの吐出周期内に含ませるパルス数を増やした場合にはこの吐出周期が長くなってしまい、この吐出周期を短くした場合には含ませ得る吐出パルスの数(吐出可能な液滴の種類)が少なくなってしまう。
【0007】
また、往路駆動信号と復路駆動信号とで各駆動パルスの配置を逆順序にした構成では、大液滴を吐出させる場合に、例えば、往路走査時では中液滴吐出パルスから小液滴吐出パルスの順で圧力発生素子に供給され、復路走査時では小液滴吐出パルスから中液滴吐出パルスの順で圧力発生素子に供給される。液滴が吐出されるとメニスカスは比較的大きく振動するが、その振動パターンは小液滴の吐出時と中液滴の吐出時とで異なり、吐出される液滴の量も駆動パルス供給時点におけるメニスカスの位置によって左右される。例えば、同じ波形形状の吐出パルスを供給したとしても、メニスカスがノズル開口の縁よりも奥の位置で吐出パルスを供給した場合は、ノズル開口の縁よりも盛り上がった状態で吐出パルスを供給した場合よりも液滴の量が少なくなる。従って、往路駆動信号と復路駆動信号とで各駆動パルスを単に入れ替えただけでは、2つの駆動パルスによって吐出される液滴の合計量がばらついてしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一吐出周期を可及的に短くしつつも吐出される液滴の種類を増やすことを目的とする。また、双方向噴射を行うものにおいて往路と復路の液滴の吐出量を揃えることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置において、
前記駆動信号発生手段は、メニスカスを微振動させる微振動パルスとインク滴を吐出させる吐出パルスとを含み、吐出パルスよりも前に微振動パルスを配置した駆動信号を発生し、
前記パルス供給手段は、吐出パルスの供給に先立って微振動パルスの供給或いは非供給を選択することで、該吐出パルスによる液滴の量を異ならせることを特徴とする液体噴射装置である。
【0010】
請求項2に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、複数の吐出パルスを一吐出周期内に含んだ駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置である。
【0011】
請求項3に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、量が異なる複数の吐出パルスを一吐出周期内に含んだ駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置である。
【0012】
請求項4に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、該噴射ヘッドを主走査方向に沿って移動可能なヘッド走査機構と、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置において、
前記駆動信号は、メニスカスを微振動させる微振動パルスと、異なる量の液滴を吐出可能な第1の吐出パルス及び第2の吐出パルスとを含み、
前記駆動信号発生手段は、噴射ヘッドの往路走査時に第1の吐出パルスよりも後に第2の吐出パルスが配置された往路駆動信号を発生し、噴射ヘッドの復路走査時に両吐出パルスの配置を往路走査時と逆順にすると共に両吐出パルスの間に微振動パルスを配置した復路駆動信号を発生し、
前記パルス供給手段は、復路走査時において両吐出パルスを続けて供給する場合に、前記微振動パルスを第1の吐出パルスに先立って圧力発生素子へ供給することを特徴とする液体噴射装置である。
【0013】
請求項5に記載のものは、前記第1の吐出パルスが中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスであり、第2の吐出パルスが小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスであることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置である。
【0014】
請求項6に記載のものは、前記駆動信号発生手段は、複数の吐出パルスを吐出周期を跨いで一定間隔で発生することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体噴射装置である。
【0015】
請求項7に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置の吐出制御方法において、
メニスカスを微振動させる微振動パルスと液滴を吐出させる吐出パルスとを含み、微振動パルスの後に吐出パルス信号が配置された駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
微振動パルスの供給或いは非供給をパルス供給手段によって選択することで、前記吐出パルスにより吐出される液滴の量を異ならせることを特徴とする液体噴射装置の吐出制御方法である。
【0016】
請求項8に記載のものは、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、該噴射ヘッドを主走査方向に沿って移動可能なヘッド走査機構と、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置の吐出制御方法において、噴射ヘッドの往路走査時には、所定量の液滴を吐出させる第1の吐出パルスを、量が異なる液滴を吐出させる第2の吐出パルスよりも前に配置した往路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
噴射ヘッドの復路走査時には、第1の吐出パルスを第2の吐出パルスよりも後に配置すると共にこれらの吐出パルスの間にメニスカスを微振動させる微振動パルスを配置した復路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
噴射ヘッドの復路走査時に前後の吐出パルスを続けて供給するにあたり、微振動パルスも圧力発生素子に供給することを特徴とする液体噴射装置の吐出制御方法である。
【0017】
請求項9に記載のものは、前記第1の吐出パルスが中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスであり、第2の吐出パルスが小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスであることを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置の吐出制御方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では液体噴射装置の一形態である画像記録装置、詳しくは、インクジェット式プリンタを例に挙げて説明するが、本発明は製造装置等の産業機械にも適用できる。
【0019】
図1に示したインクジェット式プリンタ1(以下、プリンタ1と呼ぶ)は、記録ヘッド2が取り付けられると共にインクカートリッジ3を保持可能なカートリッジホルダ部4を有するキャリッジ5を備えている。このキャリッジ5は、ハウジング6に架設したガイド部材7に対して移動可能に取り付けられており、ヘッド走査機構によりこのガイド部材7に沿って往復移動される。
【0020】
ヘッド走査機構は、ハウジング6の左右一端側に取り付けたパルスモータ8と、このパルスモータ8の回転軸に接続した駆動プーリー9と、ハウジング6の左右他端側に設けた遊転プーリー10と、駆動プーリー9と遊転プーリー10との間に架け渡されると共にキャリッジ5に接続されたタイミングベルト11と、パルスモータ8の回転を制御する制御部12(図3参照)等を備えて構成してある。即ち、このヘッド走査機構は、パルスモータ8を動作させることにより、記録ヘッド2を印刷記録媒体の一種である記録紙13の幅方向(つまり、主走査方向)に往復移動させる。なお、この記録紙13は、液滴が着弾する着弾対象物の一種でもある。また、プリンタ1は、記録紙13を主走査方向とは直交する副走査方向に送り出す紙送り機構を備えている。この紙送り機構は、紙送りモータ14及びプラテンローラ15等から構成されており、記録ヘッド2の主走査に連動させて記録紙13を順次送り出す。
【0021】
上記の記録ヘッド2は、キャリッジ5における記録紙13との対向面(下面)に取り付けられている。この記録ヘッド2は、図2に示すように、ブロック状ケース21の先端面に流路ユニット22を接合した構成であり、振動子ユニット23によって流路ユニット22内の圧力室24に圧力変動を生じさせてノズル開口25からインク滴を吐出する構成である。
【0022】
ケース21は、振動子ユニット23を収納するための収納空部26を内部に備えており、例えばエポキシ等の合成樹脂によって作製される。そして、この収納空部26は、流路ユニット22との接合面側の開口から反対面までを貫通するように設けられている。
【0023】
流路ユニット22は、流路形成基板27の一方の面にノズルプレート28を、他方の面に振動板29を接合した構成とされる。流路形成基板27は、例えば、シリコンウエハーや金属板によって作製されている。本実施形態では、シリコンウエハーをエッチング加工することで、各ノズル開口25…と連通する複数の圧力室24…と、リザーバ30と、リザーバ30と各圧力室24…とを連通する複数の液供給路31…等を適宜に形成している。ノズルプレート28は、例えば、薄手のステンレス板によって作製され、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口25…が列状に開設される。振動板29は、ステンレス製の支持板32にPPS膜等の弾性体膜33を積層した二重構造を採り、各圧力室24…に対応する部分は支持板32が環状にエッチング加工されて、環内に島部34が形成される。
【0024】
振動子ユニット23は、圧力発生素子の一種である複数の圧電振動子35…と、これらの圧電振動子35…の一部が接合される固定板36とから概略構成されている。圧電振動子35は、圧電体と電極層とを交互に積層した一枚の圧電板に、各圧力室24…に対応した所定ピッチでスリット部を形成することにより櫛歯状に作製される。また、固定板36は、この櫛歯状振動子の基端側部分に接合される。この振動子ユニット23は、各圧電振動子35…の先端を開口から臨ませた状態で収納空部26内に取り付けられる。即ち、固定板36の背面と収納空部26の壁面とを接着することで取り付けられる。そして、この収納状態において、各圧電振動子35…の先端は、振動板29の対応する島部34…に当接し接合される。
【0025】
各圧電振動子35…は、対向する電極間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮し、圧力室24の一部を区画する弾性体膜33を変位させる。即ち、この記録ヘッド2では、圧電振動子35の自由端部を素子長手方向に伸長させることにより、島部34がノズルプレート28側へ押され、島部周辺の弾性体膜33が変形して圧力室24の容積が減少する。また、圧電振動子35の自由端部を素子長手方向に収縮させると、弾性体膜33の変位により圧力室24が膨張する。この圧力室24の膨張や収縮に伴って圧力室24内に充填されたインクに圧力変動が生じ、ノズル開口25からインク滴が吐出される。
【0026】
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図3に示すように、このプリンタ1は、プリンタコントローラ41と、プリントエンジン42とを備えている。
【0027】
プリンタコントローラ41は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース43(以下、外部I/F43という)と、各種データの記憶等を行うRAM44と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM45と、CPU等からなる制御部12と、クロック信号(CK)を発生する発振回路46と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号(COM)を発生する駆動信号発生回路47と、印字データ(ドットパターンデータであり、吐出データの一種。)及び駆動信号等をプリントエンジン42に送信するためのインターフェース48(以下、内部I/F48という)とを備えている。
【0028】
外部I/F43は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F43は、ホストコンピュータに対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等を出力する。RAM44は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F43が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部12によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、記録ヘッド2にシリアル伝送される印字データが展開される。ROM45は、制御部12によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
【0029】
制御部12は、データ展開手段として機能し、印刷データを印字データに展開する。即ち、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。そして、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM45内のフォントデータやグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の印字データに展開する。本実施形態において、この印字データは2ビットデータで構成されている(後述する)。この展開された印字データは出力バッファに記憶されて、一回の主走査に相当する1行分の印字データが得られると、この1行分の印字データ(SI)は内部I/F48を通じて記録ヘッド2にシリアル伝送される。そして、出力バッファから1行分の印字データが送信されると、中間バッファの内容が消去されて次の中間コードに対する変換が行われる。
【0030】
また、制御部12は、タイミング信号発生手段の一部を構成し、内部I/F48を通じて記録ヘッド2にラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号は、駆動信号(COM)に含まれる駆動パルスの供給開始タイミングを規定する(後述する)。さらに、制御部12は信号波形設定手段としても機能し、駆動信号発生回路47を制御することで発生される駆動信号COMの波形を設定する。
【0031】
上記の駆動信号発生回路47は、本発明における駆動信号発生手段の一種であり、制御部12による制御の下、複数の駆動パルス(DP1,DP2,VP,図4参照)を含んだ一連の駆動信号を記録周期T(本発明における吐出周期の一種)毎に繰り返し発生する。そして、本実施形態の駆動信号発生回路47は、記録ヘッド2の往路走査時に往路駆動信号COM1を発生し、復路走査時に復路駆動信号COM2を発生する。なお、この駆動信号については後で詳しく説明する。
【0032】
プリントエンジン42は、記録ヘッド2と、ヘッド走査機構のパルスモータ8と、紙送り機構の紙送りモータ14等から構成される。記録ヘッド2は、第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路53と第2ラッチ回路54とからなるラッチ回路と、デコーダ55と、制御ロジック56と、レベルシフタ57と、スイッチ回路58と、圧電振動子35とを備えて構成されている。そして、各シフトレジスタ51,52、各ラッチ回路53,54、デコーダ55、スイッチ回路58、及び、圧電振動子35は、それぞれ記録ヘッド2の各ノズル開口25…に対応して複数設けられる。
【0033】
そして、記録ヘッド2は、プリンタコントローラ41からの印字データ(SI)に基づいてインク滴を吐出する。即ち、プリンタコントローラ41からの印字データは、発振回路46からのクロック信号(CK)に同期して、内部I/F48から第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52にシリアル伝送される。この印字データは、上記したように2ビットのデータであり、非記録、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調を表す階調情報によって構成される。本実施形態では、非記録が階調情報[00]であり、小ドットが階調情報[01]であり、中ドットが階調情報[10]であり、大ドットが階調情報[11]である。なお、この印字データは、吐出される液滴の量を示す吐出量情報の一種でもある。
【0034】
この印字データは、各ノズル開口25毎に設定される。即ち、全てのノズル開口25…に関する下位ビット(L)のデータが第1シフトレジスタ51に入力され、全てのノズル開口25…に関する上位ビット(H)のデータが第2シフトレジスタ52に入力される。第1シフトレジスタ51には第1ラッチ回路53が電気的に接続され、第2シフトレジスタ52には第2ラッチ回路54が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ41からのラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路53,54に入力されると、第1ラッチ回路53は印字データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路54は印字データの上位ビットのデータをラッチする。このような動作をする第1シフトレジスタ51及び第1ラッチ回路53の組と、第2シフトレジスタ52及び第2ラッチ回路54の組は、それぞれが記憶回路を構成し、デコーダ55に入力される前の印字データを一時記憶する。
【0035】
各ラッチ回路53,54でラッチされた印字データは、デコーダ55に入力される。このデコーダ55は翻訳手段として機能し、2ビットの印字データを翻訳してパルス選択情報を生成する。本実施形態のデコーダ55は、印字データと駆動パルスとの関係を規定する波形選択テーブルを備えており、この波形選択テーブルに基づいて3ビットのパルス選択情報を生成する。パルス選択情報は、駆動信号(COM)を構成する各駆動パルス(DP1,DP2,VP)に各ビットを対応させることで構成されている。そして、各ビットの内容(例えば、[0],[1])に応じて圧電振動子35に対する駆動パルスの供給或いは非供給が選択される。なお、駆動パルスの供給制御については後で詳しく説明する。
【0036】
また、デコーダ55には、制御ロジック56からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック56は、制御部12と共にタイミング信号発生手段として機能しており、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)に基づいてタイミング信号を発生する。即ち、この制御ロジック56は、図5や図6に示すように、ラッチ信号(LAT)或いはチャンネル信号(CH)を受信する毎にタイミング信号を発生する。
【0037】
デコーダ55によって翻訳されたパルス選択情報は、上位ビット側から順に、タイミング信号の受信タイミングが到来する毎に、レベルシフタ57に入力される。例えば、記録周期Tにおける最初のタイミング(T1の開始時)ではパルス選択情報の最上位ビットのデータがレベルシフタ57に入力され、2番目のタイミング(T2の開始時)ではパルス選択情報における2番目のビットのデータがレベルシフタ57に入力される。このレベルシフタ57は、電圧増幅器として機能し、パルス選択情報が[1]の場合には、スイッチ回路58を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。レベルシフタ57で昇圧された[1]のパルス選択情報は、スイッチ手段として機能するスイッチ回路58に供給される。このスイッチ回路58の入力側には、駆動信号発生回路47からの駆動信号(COM)が供給されており、スイッチ回路58の出力側には圧電振動子35が接続されている。
【0038】
そして、パルス選択情報は、スイッチ回路58の作動、つまり、駆動パルスの圧電振動子35への供給を制御する。例えば、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[1]である期間中は、スイッチ回路58が接続状態になって駆動パルスが圧電振動子35に供給され、この駆動パルスに応じて圧電振動子35の電位レベルが変化する。一方、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[0]の期間中は、レベルシフタ57からはスイッチ回路58を作動させる電気信号が出力されない。このため、スイッチ回路58が切断状態になって圧電振動子35へは駆動パルスが供給されない。なお、圧電振動子35はコンデンサの様に振る舞うので、スイッチ回路58の切断状態において直前の電位を保持し続ける。
【0039】
そして、このような動作をする制御ロジック56、デコーダ55、レベルシフタ57、スイッチ回路58は、本発明におけるパルス供給手段の一種として機能し、印字データ(吐出量情報)に基づき、駆動信号の中から駆動パルスを選択して圧電振動子35に供給する。
【0040】
次に、駆動信号発生回路47が生成する駆動信号(COM)について説明する。図4に示すように、駆動信号発生回路47は、記録ヘッド2の往路走査時において往路駆動信号COM1を発生し、記録ヘッド2の復路走査時において復路駆動信号COM2を発生する。これらの駆動信号COM1,COM2は、複数の駆動パルスを一連に接続して構成している。即ち、中ドットに対応する量の中インク滴を吐出させる中ドット吐出パルスDP1と、小ドットに対応する量の小インク滴を吐出させる小ドット吐出パルスDP2と、インク滴を吐出させない程度にメニスカスを微振動させる微振動パルスVPを一連に接続した駆動信号によって構成している。各駆動信号COM1,COM2をこのように構成したのは、記録周期Tを可及的に短くするためである。即ち、各吐出パルスDP1,DP2を各々別個に圧電振動子35に供給したり、各吐出パルスを続けて供給したりすることで、合計3種類のインク滴が吐出できる。即ち、非記録を含めて4階調で記録が行える。このため、大ドット専用の波形を省略でき、その分だけ記録周期Tを短くすることができる。
【0041】
なお、上記の中インク滴は本発明における中液滴の一種であり、小インク滴は本発明における小液滴の一種である。また、中ドット吐出パルスDP1は本発明における中液滴吐出パルスの一種であり、第1の吐出パルスでもある。また、小液滴吐出パルスは本発明における小液滴吐出パルスの一種であり、第2の吐出パルスでもある。
【0042】
往路駆動信号COM1は、期間T1に配置された(即ち、期間T1で発生する)中ドット吐出パルスDP1と、期間T2に配置された小ドット吐出パルスDP2と、期間T3に配置された微振動パルスVPとを有し、記録周期T毎に繰り返し発生される。一方、復路駆動信号COM2は、期間T1´に配置された小ドット吐出パルスDP2と、期間T2´に配置された微振動パルスVPと、期間T3´に配置された中ドット吐出パルスDP1とを有し、記録周期T毎に繰り返し発生される。即ち、復路駆動信号COM2は、小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1の配置を往路駆動信号COM1とは逆順とし、さらに両吐出パルスDP2,DP1の間に微振動パルスVPを配置した信号である。
【0043】
これらの駆動信号において、往路駆動信号COM1の中ドット吐出パルスDP1と復路駆動信号COM2の中ドット吐出パルスDP1とは同じ波形形状であり、圧電振動子35に供給されると記録ヘッド2のノズル開口25から所定量(例えば5pL)のインク滴が吐出される。また、小ドット吐出パルスDP2及び微振動パルスVPも往路駆動信号COM1と復路駆動信号COM2とで同じ波形形状である。そして、小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給されると、記録ヘッド2のノズル開口25から所定量(例えば2.5pL)のインク滴が吐出される。また、微振動パルスVPが圧電振動子35に供給されると、メニスカスがインク滴の吐出側と圧力室側とに交互に移動し、ノズル開口25付近のインク増粘が防止される。
【0044】
中ドット吐出パルスDP1は、インク滴を吐出する吐出パルス部(P1〜P3)と、この吐出パルス部の後に発生されてインク滴吐出後におけるメニスカスの振動を抑制する制振パルス部(P4〜P6)と、これらの吐出パルス部と制振パルス部との間を接続するパルス接続要素P7とを備える。吐出パルス部は、最低電位VLから第1最大電位VH1までインク滴を吐出させない程度の勾配で電位を上昇させる膨張要素P1と、膨張要素P1に続いて発生されて第1最大電位VH1を所定時間維持する膨張ホールド要素P2と、第1最大電位VH1から最低電位VLまで比較的急峻な勾配で電位を下降させる吐出要素P3とから構成される。制振パルス部は、最低電位VLから制振電位VAまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる制振膨張要素P4と、この制振膨張要素P4に続いて発生されて制振電位VAを所定時間維持する制振ホールド要素P5と、この制振ホールド要素P5に続いて発生されて制振電位VAから最低電位VLまで比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる制振収縮要素P6とから構成される。そして、パルス接続要素P7は、吐出要素P3の終端と制振膨張要素P4の始端との間を最低電位VLで接続している。
【0045】
この中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給されると、圧電振動子35及び圧力室24は次のように動作し、これに伴ってメニスカスの状態(位置)は図8(b)に示す様に変化する。ここで、図8(b)は、メニスカスの定常状態(即ち、ノズル開口25の開口縁付近で安定している状態。)を基準としたメニスカスの位置を模式的に表した図であり、開口縁の位置を[0]で示し、開口縁から吐出側に盛り上がった状態を[+]で示し、開口縁から圧力室24側に引き込まれた状態を[−]で示している。
【0046】
即ち、この中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給されると、まず、膨張要素P1の供給に伴って圧電振動子35が大きく収縮し、圧力室24が最小容積から大きく膨張する。これにより、メニスカスは定常状態([0]の位置)から圧力室24側([−]側)に大きく引き込まれる。圧力室24の膨張状態は、膨張ホールド要素P2の供給期間中に亘って維持される。そして、この維持期間中における圧力室24内のインクの圧力変動によって、引き込まれたメニスカスがノズル開口25の縁付近まで戻ってくる。その後、吐出要素P3が供給されて圧力室24内のインク圧力が急激に上昇し、メニスカスも吐出側([+]側)に急速に移動して柱状に延びる。そして、柱状に延びたメニスカスの一部がちぎれ、中インク滴が吐出される。
【0047】
吐出要素P3に続いてパルス接続要素P7が供給される。このパルス接続要素P7の電位は最低電位VLであるため、圧力室24の収縮状態は維持される。そして、この維持期間中において、メニスカスは、インク滴を吐出した反動で圧力室24側に向かって急速に戻る。その後、このメニスカスの急速な戻りを打ち消すタイミングで制振膨張要素P4が供給されて圧力室24が再度膨張し、圧力室24内のインクを減圧する。これにより、メニスカスの運動エネルギーが吸収される。さらに、制振ホールド要素P5で規定される時間の経過後、制振収縮要素P6が供給されてメニスカスの移動を打ち消すように圧力室24を収縮させ、インクを加圧する。その後、メニスカスは、圧力室24内に残留しているインク圧力に応じて自由振動する。
【0048】
小ドット吐出パルスDP2は、最低電位VLから第2最大電位VH2まで比較的急峻な勾配で電位を上昇させる膨張要素P11と、膨張要素P11に続いて発生されて第2最大電位VH2を極く短い時間維持する膨張ホールド要素P12と、第2最大電位VH2から吐出電位VFまで急勾配で電位を下降させる吐出要素P13と、吐出電位VFを極く短い時間維持する吐出ホールド要素P14と、吐出電位VFから最低電位VLまで比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる制振要素P15とから構成される。
【0049】
この小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給されると、圧電振動子35及び圧力室24は次のように動作し、これに伴ってメニスカスは図9(b)に示す様に変化する。ここで、図9(b)は、メニスカスの定常状態を基準としたメニスカスの位置を模式的に表した図であり、先に説明した図8(b)に対応する図である。
【0050】
即ち、この小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給されると、まず、膨張要素P11の供給に伴って圧電振動子35が大きく収縮し、圧力室24が最小容積から最大容積まで急速に膨張する。この膨張に伴って圧力室24内が大きく減圧され、メニスカスは定常状態([0]の位置)から圧力室24側([−]側)に大きく引き込まれる。このとき、メニスカスの中心部分、即ち、ノズル開口25の中心部分が一旦大きく引き込まれる。その後、このメニスカスの中心部分は反動で凸状に盛り上がった状態になる。次に、吐出要素P13が供給されて圧力室24が急激に収縮してインクが加圧され、メニスカスの中心部分が急速にインク柱として成長する(即ち[+]側に急速に移動する)。その後、成長したインク柱の先端部分がちぎれ、その結果、小ドットに対応する量のインク滴(小インク滴)が吐出される。
【0051】
このインク滴の吐出によってメニスカスは圧力室24側に向かって急速に戻ってくるが、このメニスカスの戻りにあわせて供給される制振要素P15により圧力室24が緩やかに収縮する。この収縮に伴うインクの加圧によってメニスカスの運動エネルギーが吸収され、メニスカスの戻り速度が緩やかになる。その後、メニスカスは、図中点線で示すように、圧力室24内に残留しているインク圧力に応じて自由振動する。
【0052】
微振動パルスVPは、最低電位VLから微振動電位VBまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる微振動膨張要素P21と、この微振動膨張要素P21に続いて発生されて微振動電位VBを所定時間維持する微振動ホールド要素P22と、この微振動ホールド要素P22に続いて発生されて微振動電位VBから最低電位VLまで比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる微振動収縮要素P23とから構成される。
【0053】
この微振動パルスVPが圧電振動子35に供給されると、圧電振動子35及び圧力室24は次のように動作する。即ち、微振動膨張要素P21の供給によって圧力室24は緩やかに膨張し圧力室24内のインクも緩やかに減圧される。このインク圧力の減少によってメニスカスは圧力室24側に少し移動する。圧力室24の膨張状態は微振動ホールド要素P22の供給期間中に亘って維持される。この維持期間中においても、メニスカスは圧力室24内の圧力変動に応じて緩やかに移動し続ける。その後、微振動収縮要素P23の供給によって圧力室24は緩やかに収縮し圧力室24内のインクが緩やかに加圧される。この加圧によってメニスカスは吐出側に少し移動する。このようなメニスカスの移動により、ノズル開口25付近に増粘部分があればこの増粘部分がインク中に分散し、インク増粘の防止が図れる。
【0054】
次に、上記構成のプリンタ1におけるインク滴吐出制御について説明する。
【0055】
本実施形態において、パルス供給手段(制御ロジック56,デコーダ55,レベルシフタ57,スイッチ回路58,以下同様。)は、非記録の印字データ(階調情報)[00]に基づいて微振動パルスVPを圧電振動子35に供給し、小ドットの印字データ[01]に基づいて小ドット吐出パルスDP2を圧電振動子35に供給する。また、中ドットの印字データ[10]に基づいて中ドット吐出パルスDP1を圧電振動子35に供給し、大ドットの印字データ[11]に基づいて小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1の両方を圧電振動子35に供給する。さらに、復路走査時に大ドットを記録するにあたり、パルス供給手段はこれらの両吐出パルスに加えて微振動パルスVPも圧電振動子35に供給する。即ち、中ドット吐出パルスDP1の供給に先立って微振動パルスVPを供給し、インク滴の量を調整している。以下、具体的に説明する。
【0056】
図5に示すように、記録ヘッド2の往路走査時にてパルス供給手段は、印字データ[00]を翻訳してパルス選択情報[001]を生成する。ここで、パルス選択情報の最上位ビットは期間T1、即ち中ドット吐出パルスDP1に対応し、2番目のビットは期間T2、即ち小ドット吐出パルスDP2に対応する。さらに、最下位ビットは期間T3、即ち微振動パルスVPに対応している。従って、このパルス選択情報[001]により、期間T3においてスイッチ回路58が導通状態になり、微振動パルスVPが圧電振動子35に供給される。また、パルス供給手段は、印字データ[01]を翻訳してパルス選択情報[010]を生成する。このパルス選択情報[010]により、期間T2においてスイッチ回路58が導通状態になり、小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給される。同様に、パルス供給手段は、印字データ[10]を翻訳してパルス選択情報[100]を生成する。このパルス選択情報[100]により、期間T1においてスイッチ回路58が導通状態になり、中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給される。さらに、パルス供給手段は、印字データ[11]を翻訳してパルス選択情報[110]を生成する。このパルス選択情報[110]により、期間T1及び期間T2においてスイッチ回路58が導通状態になり、中ドット吐出パルスDP1及び小ドット吐出パルスDP2が続けて圧電振動子35に供給される。
【0057】
また、図6に示すように、記録ヘッド2の復路走査時にてパルス供給手段は、印字データ[00]を翻訳してパルス選択情報[010]を生成する。ここで、パルス選択情報の最上位ビットは期間T1´、即ち小ドット吐出パルスDP2に対応し、2番目のビットは期間T2´、即ち微振動パルスVPに対応する。さらに、最下位ビットは期間T3´、即ち中ドット吐出パルスDP1に対応している。従って、このパルス選択情報[010]により、期間T2´においてスイッチ回路58が導通状態になり、微振動パルスVPが圧電振動子35に供給される。また、パルス供給手段は、印字データ[01]を翻訳してパルス選択情報[100]を生成する。これにより、期間T1´においてスイッチ回路58が導通状態になり、小ドット吐出パルスDP2が圧電振動子35に供給される。同様に、パルス供給手段は、印字データ[10]を翻訳してパルス選択情報[001]を生成する。これにより、期間T3´においてスイッチ回路58が導通状態になり、中ドット吐出パルスDP1が圧電振動子35に供給される。さらに、パルス供給手段は、印字データ[11]を翻訳してパルス選択情報[111]を生成する。これにより、期間T1´から期間T3´の全期間においてスイッチ回路58が導通状態になり、小ドット吐出パルスDP2、微振動パルスVP、中ドット吐出パルスDP1が順に圧電振動子35に供給される。
【0058】
このように各駆動パルスを圧電振動子35に供給すると、画素領域(記録周期Tによって区分けされる記録紙13上の領域であり、1ドットが記録され得る領域)内におけるインク滴の着弾位置が、往路走査時と復路走査時とでドットの大きさ毎に揃う。
【0059】
このことを図7に基づいて説明する。ここで、図7は、供給される駆動パルスと画素領域G内でのインク滴の着弾位置の関係を印字データ(記録階調)毎に示した模式図であり、(a)は微振動を、(b)は小ドットを、(c)は中ドットを、(d)は大ドットをそれぞれ示す。なお、この図において、記録ヘッド2は往路走査時に左側から右側へ移動するものとし、復路走査時に右側から左側へ移動するものとする。
【0060】
図7(b)に示すように、小ドットの記録時において、往路走査時には小ドット吐出パルスDP2が記録周期Tの後半側に配置されているため、小インク滴は画素領域Gの右半部分に着弾する。一方、復路走査時には小ドット吐出パルスDP2が記録周期Tの開始直後に配置されており走査方向が往路と反対なので、小インク滴は画素領域Gの右半部分に着弾する。また、図7(c)に示すように、中ドットの記録時において、往路走査時には中ドット吐出パルスDP1が記録周期Tの開始直後に配置されているため、中インク滴は画素領域Gの左半部分に着弾する。一方、復路走査時には中ドット吐出パルスDP1が記録周期Tの後半部分に配置されているため、やはり画素領域Gの左半部分に着弾する。さらに、図7(d)に示すように、大ドットの記録時において、往路走査時には中インク滴の後に小インク滴が吐出され、復路走査時には小インク滴の後に中インク滴が吐出される。そして、往路と復路とで走査方向が反対であるため、中インク滴は画素領域Gの左半部分に着弾し、小インク滴は画素領域Gの右半部分に着弾する。
【0061】
このように、本実施形態では、往路駆動信号と復路駆動信号とで吐出パルスDP1,DP2の配置を入れ替えているので、記録ヘッド2の往路走査時と復路走査時とで小インク滴と中インク滴の着弾位置が揃う。これにより、ざらつき感の少ない高品位な画像が記録できる。
【0062】
さらに、本実施形態では、復路走査時の大ドット記録時において微振動パルスVPも圧電振動子35に供給している。これは、大ドットのインク量を往路走査時と復路走査時とで揃えるためである。以下、この点について説明する。
【0063】
上記したように、大ドットを記録するにあたり、記録ヘッド2の往路走査時には中インク滴から小インク滴の順にインク滴が吐出され、復路走査時には小インク滴から中インク滴の順にインク滴が吐出される。ここで、インク滴の吐出後にメニスカスは比較的大きく振動するので、続けて後のインク滴を吐出させると、後のインク滴の吐出量は吐出パルス供給時点におけるメニスカスの位置に応じて変ってしまう。例えば、メニスカスが圧力室24側に大きく引き込まれた状態で吐出パルスを供給した場合と、ノズル開口25の縁よりも吐出側に盛り上がった状態で吐出パルスを供給した場合とでは、盛り上がった状態で吐出パルスを供給した方がインク量が多くなる。
【0064】
そして、インク滴の吐出直後におけるメニスカスの振幅は、吐出されたインク滴の量に応じて変化する。即ち、小インク滴の吐出直後におけるメニスカスの振幅よりも、中インク滴の吐出直後におけるメニスカスの振幅の方が大きくなる。また、両吐出パルスDP1,DP2同士の配置間隔は、インク滴の吐出量を安定化する観点から、或る程度離隔させる必要がある。例えば、インク滴の吐出によって引き込まれたメニスカスが再度盛り上がる時点(図8及び図9に符号t1,t2で示す時点)で後の吐出パルスが供給されるように設定する必要がある。このため、中インク滴から小インク滴の順に吐出した場合(往路の場合)と、小インク滴から中インク滴の順に吐出した場合(復路の場合)とでは、後側の吐出パルス供給時点におけるメニスカスの状態が異なるので、大ドットのインク量(小インク滴と中インク滴の合計量)が相違してしまう虞がある。
【0065】
この場合、後側の吐出パルスの配置位置(発生タイミング)を調整することでインク量を調整することが考えられる。しかし、そのように構成すると、後側の吐出パルスで吐出されるインク滴の着弾位置が不揃いになって画質の点で好ましくないし、記録周期Tが長くなってしまう虞もある。そこで、吐出パルスの波形形状を変更することも考えられるが、この場合、当該吐出パルスを単独で用いた際のインク量が往路と復路とで異なることになり、やはり好ましくない。
【0066】
このような事情に鑑み、このプリンタ1では、2つの吐出パルスDP1,DP2の間に微振動パルスVPを配置し、後側の吐出パルスの供給に先立って微振動パルスVPを供給している。別な言い方をすれば、この微振動パルスVPを、先のインク滴の吐出直後におけるメニスカスの状態を調整する調整パルスとして用いている。2つの吐出パルスDP1,DP2のみの場合、往路の吐出順序で吐出した方が復路の吐出順序で吐出した場合よりもインク滴の量が増える。このため、図9に示すように、復路駆動信号COM2において小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1との間に微振動パルスVPを配置して、大ドットの記録時には中ドット吐出パルスDP1の供給に先立って微振動パルスVPを圧電振動子35に供給し、中ドット吐出パルスDP1の供給開始時点におけるメニスカスの位置を調整している。
【0067】
例えば、図9(b)に示すように、小インク滴の吐出直後において微振動パルスVPを供給しなかった場合には、メニスカスの振幅は図中点線で示すようになる。そして、微振動パルスVPを供給した場合には、図中実線で示すように、t3の時点から微振動膨張要素P21が圧電振動子35に供給されて圧力室24が膨張し、メニスカスがさらに引き込まれる。その後、微振動収縮要素P23が圧電振動子35に供給されて圧力室24が収縮し、メニスカスを吐出方向に押し出す。これにより、中インク滴の供給開始時点(t2)にて、微振動パルスVPを供給しなかった場合(符号t2bで示す状態)よりもメニスカスを大きく盛り上げることができる(符号t2aで示す状態)。その結果、中ドット吐出パルスDP1で吐出されるインク滴の量を増やすことができ、往路と復路とで大ドットのインク量を揃えることができる。
【0068】
このように、本実施形態では、微振動パルスVPを調整パルスとして用い、先のインク滴吐出に伴うメニスカスの振動を制御しているので、一記録周期Tを可及的に短くしつつも往路と復路におけるインク滴の量を揃えることができる。即ち、この微振動パルスVPは、そもそもノズル開口25付近におけるインク増粘を防止すべく最初から駆動信号に含まれているので、記録周期Tが延びてしまうことがない。
【0069】
さらに、この微振動パルスVPは、インク滴の非吐出時にノズル開口25付近のインク増粘を防止できればよいので、その波形形状は吐出パルスに比べて自由度が高い。例えば、パルスの波高、微振動膨張要素P21や微振動収縮要素P23の電位勾配、微振動ホールド要素P22の時間幅については、メニスカスが適正に微振動できる範囲で自由に設定できる。このため、この微振動パルスVPの波形形状に応じて、中ドット吐出パルスDP1による中液滴の量(即ち、微振動パルスVPの次に配置された吐出パルスによって吐出される液滴の量)を調整することができる。従って、このインク滴の量を高い精度でコントロールすることができる。
【0070】
また、この微振動パルスVPは、配置場所(発生タイミング)についても他の吐出パルスDP1,DP2より自由度が高い。即ち、この微振動パルスVPによってインク滴は吐出されないので、微振動パルスVPは前後に配置された吐出パルスDP1,DP2に対して時間的に重ならない範囲で配置することができる。従って、この微振動パルスVPの発生タイミングを変えることでメニスカスを加振したり、制振したりすることもできる。さらに、後の吐出パルスの供給開始時点におけるメニスカスの高さも調整することができる。従って、後の吐出パルスに対応するインク滴の量を高い精度でコントロールすることもできる。
【0071】
ところで、本発明は、この第1実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0072】
上記の第1実施形態では、1記録周期T内に2種類の吐出パルスと1つの微振動パルスVPを配置して、往路走査時と復路走査時とで大ドットのインク量を揃えるようにした構成について説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、微振動パルスVPを用いて吐出パルスによるインク滴の量を積極的に変えるようにしてもよい。
【0073】
図10の第2実施形態は、1記録周期T内に1つの微振動パルスVPと1つの小ドット吐出パルスDP2(吐出パルス)とを配置している。そして、小ドット吐出パルスDP2の供給に先立って微振動パルスVPを供給するか否かを選択することで、小ドット吐出パルスDP2によって吐出されるインク滴の量を変化させるものである。
【0074】
この第2実施形態において、駆動信号発生回路47は、期間T1にて微振動パルスVPを発生し、期間T2にて小ドット吐出パルスDP2を発生する。そして、パルス供給手段は、インク滴を吐出しない場合に微振動パルスVPを圧電振動子35に供給し、通常の小インク滴(説明の便宜上、第1小インク滴という。)を吐出させる場合には小ドット吐出パルスDP2のみを圧電振動子35に供給する。さらに、パルス供給手段は、第1小インク滴よりも量が多い小インク滴(説明の便宜上、第2小インク滴という。)を吐出させる場合には、微振動パルスVPと小ドット吐出パルスDP2の両方を圧電振動子35に供給する。
【0075】
この構成でも、微振動パルスVPを供給することで、小ドット吐出パルスDP2の供給開始時点において、メニスカスをノズル開口25の縁よりも盛り上がった状態にすることができる。これにより、小インク滴の量を変えることができる。即ち、量が異なる2種類のインク滴を1つの小ドット吐出パルスDP2によって打ち分けることができる。このため、専用の吐出パルスを2種類設けた場合よりも記録周期Tを短くすることができ、高速記録に適する。
【0076】
なお、微振動パルスVPによる吐出パルスのインク量調整は、複数の吐出パルスが一記録周期T内に配置された装置にも同様に適用することができる。この場合において、複数の吐出パルスは、同じ波形形状であってもよく、異なる波形形状(インク量が異なる吐出パルス)であってもよい。
【0077】
また、上記の第1実施形態において、各吐出パルスを記録周期Tを跨いで一定間隔で発生するように構成してもよい。例えば、図4の例において、往路駆動信号COM1における中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3から小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13までの時間間隔TAと、小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13から次の記録周期Tにおける中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3までの時間間隔TBとを一定にすると共に、復路駆動信号COM2における小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13から中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3までの時間間隔TCと、中ドット吐出パルスDP1の吐出要素P3から次の記録周期Tにおける小ドット吐出パルスDP2の吐出要素P13までの時間間隔TDとを一定にしてもよい。
この構成では、大ドットを連続的に記録する際において、小ドット吐出パルスDP2と中ドット吐出パルスDP1の間隔(詳しくは、吐出要素P3,P13同士の間隔)が揃うので、最初の1滴を吐出させた後はメニスカスの状態が一定になりインク量が揃う。そして、最初の一滴については微振動パルスVPを圧電振動子35に供給することでインク滴の量を揃えることができる。
【0078】
なお、以上は、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置、例えば、インクジェット式プロッタ等の画像記録装置にも適用できる。また、ディスプレー製造装置,電極製造装置,チップ製造装置等といった各種の製造装置にも適用できる。さらに、マイクロディスペンサ、マイクロポンプにも適用できる。
【0079】
また、圧力発生素子に関し、圧電振動子35以外の素子を用いてもよい。例えば、静電アクチュエータや磁歪素子等の電気機械変換素子を用いてもよい。さらに、圧力発生素子として発熱素子を用いてもよい。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、メニスカスを微振動させる微振動パルスとインク滴を吐出させる吐出パルスとを含み、微振動パルスの後に吐出パルス信号が配置された駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、微振動パルスの供給或いは非供給をパルス供給手段によって選択することで、吐出パルスにより吐出される液滴の量を異ならせるようにしたので、一種類の吐出パルスから量が異なる複数種類の液滴を吐出させることができる。これにより、一吐出周期を可及的に短くしつつも吐出される液滴の種類を増やすことができる。
【0081】
また、噴射ヘッドの往路走査時には、所定量の液滴を吐出させる第1の吐出パルスを、量が異なる液滴を吐出させる第2の吐出パルスよりも前に配置した往路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、噴射ヘッドの復路走査時には、第1の吐出パルスを第2の吐出パルスよりも後に配置すると共にこれらの吐出パルスの間にメニスカスを微振動させる微振動パルスを配置した復路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、噴射ヘッドの復路走査時に前後の吐出パルスを続けて供給するにあたり、パルス供給手段によって微振動パルスも圧力発生素子に供給するので、後の吐出パルスの供給開始時点におけるメニスカスの状態を微振動パルスによって制御でき、液滴の量を往路走査時と復路走査時とで揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタの構成を説明する斜視図である。
【図2】記録ヘッドの構造を説明する断面図である。
【図3】プリンタの電気的構成を説明するブロック図である。
【図4】駆動信号発生回路が発生する往路駆動信号と復路駆動信号とを説明する図である。
【図5】往路駆動信号におけるインク滴吐出制御を説明する図である。
【図6】復路駆動信号におけるインク滴吐出制御を説明する図である。
【図7】供給される駆動パルスと画素領域内でのインク滴の着弾位置の関係を印字データ毎に示した模式図であり、(a)は微振動を、(b)は小ドットを、(c)は中ドットを、(d)は大ドットをそれぞれ示す。
【図8】(a),(b)は、往路駆動信号と中ドット駆動パルスを供給した際のメニスカスの動きを説明する図である。
【図9】(a),(b)は、復路駆動信号と小ドット駆動パルスを供給した際のメニスカスの動きを説明する図である。
【図10】第2実施形態を説明する図であり、インク滴吐出制御を説明する図である。
【符号の説明】
1…インクジェット式プリンタ,2…記録ヘッド,3…インクカートリッジ,4…カートリッジホルダ部,5…キャリッジ,6…ハウジング,7…ガイド部材,8…パルスモータ,9…駆動プーリー,10…遊転プーリー,11…タイミングベルト,12…制御部,13…記録紙,14…紙送りモータ,15…プラテンローラ,21…記録ヘッドのケース,22…流路ユニット,23…振動子ユニット,24…圧力室,25…ノズル開口,26…収納空部,27…流路形成基板,28…ノズルプレート,29…振動板,30…リザーバ,31…液供給路,32…支持板,33…弾性体膜,34…島部,35…圧電振動子,36…固定板,41…プリンタコントローラ,42…プリントエンジン,43…外部I/F,44…RAM,45…ROM,46…発振回路,47…駆動信号発生回路,48…内部I/F,51…第1シフトレジスタ,52…第2シフトレジスタ,53…第1ラッチ回路,54…第2ラッチ回路,55…デコーダ,56…制御ロジック,57…レベルシフタ,58…スイッチ回路
Claims (9)
- 圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置において、
前記駆動信号発生手段は、メニスカスを微振動させる微振動パルスとインク滴を吐出させる吐出パルスとを含み、吐出パルスよりも前に微振動パルスを配置した駆動信号を発生し、
前記パルス供給手段は、吐出パルスの供給に先立って微振動パルスの供給或いは非供給を選択することで、該吐出パルスによる液滴の量を異ならせることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記駆動信号発生手段は、複数の吐出パルスを一吐出周期内に含んだ駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記駆動信号発生手段は、量が異なる複数の吐出パルスを一吐出周期内に含んだ駆動信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、該噴射ヘッドを主走査方向に沿って移動可能なヘッド走査機構と、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置において、
前記駆動信号は、メニスカスを微振動させる微振動パルスと、異なる量の液滴を吐出可能な第1の吐出パルス及び第2の吐出パルスとを含み、
前記駆動信号発生手段は、噴射ヘッドの往路走査時に第1の吐出パルスよりも後に第2の吐出パルスが配置された往路駆動信号を発生し、噴射ヘッドの復路走査時に両吐出パルスの配置を往路走査時と逆順にすると共に両吐出パルスの間に微振動パルスを配置した復路駆動信号を発生し、
前記パルス供給手段は、復路走査時において両吐出パルスを続けて供給する場合に、前記微振動パルスを第1の吐出パルスに先立って圧力発生素子へ供給することを特徴とする液体噴射装置。 - 前記第1の吐出パルスが中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスであり、第2の吐出パルスが小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスであることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
- 前記駆動信号発生手段は、複数の吐出パルスを吐出周期を跨いで一定間隔で発生することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体噴射装置。
- 圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置の吐出制御方法において、
メニスカスを微振動させる微振動パルスと液滴を吐出させる吐出パルスとを含み、微振動パルスの後に吐出パルス信号が配置された駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
微振動パルスの供給或いは非供給をパルス供給手段によって選択することで、前記吐出パルスにより吐出される液滴の量を異ならせることを特徴とする液体噴射装置の吐出制御方法。 - 圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体圧力を変化させ、この圧力変化によってノズル開口から液滴を吐出可能な噴射ヘッドと、該噴射ヘッドを主走査方向に沿って移動可能なヘッド走査機構と、複数の駆動パルスを含んだ駆動信号を吐出周期毎に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、駆動信号発生手段が発生した駆動信号から駆動パルスを選択的に圧力発生素子に供給可能なパルス供給手段とを備えた液体噴射装置の吐出制御方法において、
噴射ヘッドの往路走査時には、所定量の液滴を吐出させる第1の吐出パルスを、量が異なる液滴を吐出させる第2の吐出パルスよりも前に配置した往路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
噴射ヘッドの復路走査時には、第1の吐出パルスを第2の吐出パルスよりも後に配置すると共にこれらの吐出パルスの間にメニスカスを微振動させる微振動パルスを配置した復路駆動信号を駆動信号発生手段から発生させ、
噴射ヘッドの復路走査時に前後の吐出パルスを続けて供給するにあたり、微振動パルスも圧力発生素子に供給することを特徴とする液体噴射装置の吐出制御方法。 - 前記第1の吐出パルスが中液滴を吐出させる中液滴吐出パルスであり、第2の吐出パルスが小液滴を吐出させる小液滴吐出パルスであることを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置の吐出制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002235581A JP2004074500A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | 液体噴射装置、及び、その吐出制御方法 |
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ID=32020032
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7520579B2 (en) | 2005-10-12 | 2009-04-21 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus having droplet speed control |
JP2013166393A (ja) * | 2013-06-03 | 2013-08-29 | Seiko Epson Corp | 微振動波形の設定方法 |
US11065869B2 (en) | 2018-11-16 | 2021-07-20 | Ricoh Company, Ltd. | Liquid discharge control device and liquid discharge apparatus |
-
2002
- 2002-08-13 JP JP2002235581A patent/JP2004074500A/ja active Pending
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