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JP2004071124A - 光記録媒体及びその製造方法、並びに光記録媒体の製造装置 - Google Patents

光記録媒体及びその製造方法、並びに光記録媒体の製造装置 Download PDF

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JP2004071124A
JP2004071124A JP2002233171A JP2002233171A JP2004071124A JP 2004071124 A JP2004071124 A JP 2004071124A JP 2002233171 A JP2002233171 A JP 2002233171A JP 2002233171 A JP2002233171 A JP 2002233171A JP 2004071124 A JP2004071124 A JP 2004071124A
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optical recording
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light
resin
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JP2002233171A
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Yoshiyuki Nagahara
永原 美行
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

【課題】情報の記録や再生が可能な複数の情報信号層を有し、情報信号層が所定の間隔を隔てて積層されている光記録媒体の製造方法、及び光記録媒体の製造装置を提供する。
【解決手段】プラスチック基板31上に、紫外線硬化樹脂をスピンコート法により一様に塗布した後、紫外線照射によって紫外線硬化樹脂を硬化させて樹脂硬化層を形成する。樹脂硬化層に対して、表面に凹凸形状を有するスタンパ37を押圧することによって、情報信号層が形成された樹脂硬化層である中間層36が形成される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の記録や再生が可能な複数の情報信号層を有し、該情報信号層が所定の間隔を隔てて積層されている多層構造を有する光記録媒体及びその製造方法、並びに光記録媒体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2層以上の情報信号層が積層してなり、該情報信号層に設けられた溝やピットが所定間隔にて隔てられている多層構造の光記録媒体を作製する際、一般的には、2P(Photo−Polymer)法が用いられる。すなわち、例えば、2層の情報信号層を有する光記録媒体を作製する場合、図4(a)に示すように、まず、第1情報信号層としてのプラスチック基板31の表面に形成されている溝やピットに対して、記録膜又は反射膜(以下、記録反射膜と記載する)32を成膜する。
【0003】
次いで、第2情報信号層を形成するために、第2情報信号層に設けられた溝やピットに対応する凹凸が表面に形成されているスタンパ37を用意し、このスタンパ37の凹凸表面に、流動性を有する紫外線硬化樹脂33を滴下する。その後、スタンパ37表面の凹凸と、プラスチック基板31の記録反射膜32とが対向するように、図4(a)中の矢印にて示すように、スタンパ37上にプラスチック基板31を重ね合わせる。これにより、スタンパ37上に滴下された流動性を有する紫外線硬化樹脂33が、スタンパ37とプラスチック基板31との間にて広がって、図4(b)に示すように、スタンパ37とプラスチック基板31とが紫外線硬化樹脂33を介して重ね合わさった状態となる。
【0004】
続いて、重ね合わされたスタンパ37とプラスチック基板31とに対して、図5(a)に示すように、プラスチック基板31側に紫外線ランプ34を配置して紫外線35を照射する。この紫外線35照射により、スタンパ37とプラスチック基板31との間の紫外線硬化樹脂33(図4(b))が硬化して、第2情報信号層である光透過性の中間層36が形成される。
【0005】
その後、図5(b)に示すように、図中の矢印方向に、プラスチック基板31を移動させ、中間層36からスタンパ37を剥離する。スタンパ37が剥離された中間層36には、スタンパ37表面の凹凸に対応して、溝やピットが形成されている。この溝やピットに対して、図示しない記録反射膜を成膜し、さらにこの記録反射膜を保護するために、光硬化性樹脂等を用いて図示しない保護層を形成する。これにより、プラスチック基板31と中間層36とによって、2層の情報信号層が形成された多層構造を有する光記録媒体が得られる。
【0006】
ところで、近年、光記録媒体に記録される情報量の増加に伴って、対物レンズの開口数が増加する傾向にある。そのため、信号クロストークや光学収差の観点から、上記中間層36の厚さの均一性に対する要求が厳しくなる傾向にあり、中間層36を均一な厚さにて形成することが望まれている。具体的には、中間層36の厚さが20μmである場合、中間層36の厚さ誤差は、中間層の厚さの10%以内、すなわち±2μm以下とすることが望まれている。
【0007】
しかしながら、上記の製造方法では、プラスチック基板31表面の全面に、上記中間層36を均一な厚さにて形成することが困難となっている。この理由は、プラスチック基板31やスタンパ37の成型時に生じる厚さのばらつきや反りに起因する。
【0008】
すなわち、上記プラスチック基板31は、スタンパが取り付けられた成型用の金型を用いて、溶融したプラスチック樹脂を高速高圧にて射出・圧縮して冷却固化することによって作製される。このとき、上記金型の精度や、金型に取り付けられたスタンパの厚さのばらつき(以下、厚さ分布と記載する)、金型の温度分布、成型機の圧力制御能力、冷却固化時に発生するプラスチック樹脂内での応力等により、作製されたプラスチック基板31に反りが発生したり、プラスチック基板31の厚さにばらつきが生じてしまう。
【0009】
具体的には、金型成型により作製されたプラスチック基板31にて、±5μm程度の厚さ分布や、±30μm〜±50μmの反りの発生を防止することはできない。また、作製されるプラスチック基板31ごとに、±10μm程度の厚さのばらつきも生じる。さらに、スタンパ37の作製時にも、上記プラスチック基板31と同様、厚さ分布や反りが発生する。
【0010】
上記のように、プラスチック基板31やスタンパ37に厚さ分布や反りが生じていると、プラスチック基板31とスタンパ37とを平行に保つことができない。それゆえ、プラスチック基板31とスタンパ37との間にて、プラスチック基板31及びスタンパ37の形状に合わせて広げられる紫外線硬化樹脂33の厚さは、不均一となってしまう。その結果、紫外線硬化樹脂33が硬化して得られる中間層36の厚さも均一とすることができない。
【0011】
さらに、紫外線硬化樹脂33は流動性を有しているので、図4(b)に示すように、プラスチック基板31及びスタンパ37の形状に合わせて広げられる。そのため、紫外線硬化樹脂33の厚さを制御することは困難であり、従って、中間層36を所望する厚さにて形成することも困難となる。
【0012】
そこで、特開平9−115194号公報では、紫外線硬化樹脂中に、所望する中間層の厚さを形成し得るようなスペーサを分散させて、中間層を形成している。そして、このスペーサによって、プラスチック基板とスタンパとの距離を所望する間隔に保ち、紫外線硬化樹脂を硬化することにより、スペーサの大きさに相当する厚さの中間層を形成している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載の製造方法では、均一な大きさのスペーサを形成することができなければ、形成される中間層の厚さも不均一になるという問題がある。上記したように、近年、光記録媒体に記録される情報量の増加に伴い、20μmの厚さの中間層に許容される厚さの誤差は、±2μm以下となっているが、誤差範囲±2μm以下を達成し得るような均一な大きさにてスペーサを形成することは非常に難しい。従って、上記公報に記載の製造方法では、中間層の厚さを10%以内の誤差範囲内にて形成することが困難となる。
【0014】
また、上記公報によって形成された中間層には、スペーサと硬化後の紫外線硬化樹脂とが含まれる。そのため、スペーサと硬化後の紫外線硬化樹脂との屈折率を同じとするために、スペーサと硬化後の紫外線硬化樹脂とを同じ材質となるように材料を選択しても、それぞれの製造工程の違いから、スペーサの光学的な性質と、硬化後の紫外線硬化樹脂の光学的な性質とは、互いに異なることになる。それゆえ、上記公報に記載の製造方法では、中間層を光学的に均質にすることができない。その結果、上記中間層は、光記録媒体の記録再生時に、記録再生信号の劣化を引き起こす原因となる可能性がある。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の情報信号層間の間隔を均一に保つことにより、記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御を安定させ、記録再生エラーを低減することができる、複数の情報信号層を有する光記録媒体及びその製造方法、並びに光記録媒体の製造装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、基板上に、凹凸形状を有する光透過性樹脂からなる情報信号層が形成された光記録媒体の製造方法において、基板上に、光透過性樹脂を硬化してなる光透過層を形成した後、該光透過層を凹凸転写手段にて押圧することを特徴としている。
【0017】
上記の方法によれば、凹凸転写手段を光透過層に押圧することによって、該光透過層に溝やピットに相当する凹凸形状を転写した情報信号層を形成することができる。そのため、上記光透過層は、その厚さを一定に保った状態にて、凹凸転写手段の凹凸形状のみが転写されて情報信号層が形成される。それゆえ、所望する厚さの情報信号層を有する光記録媒体を提供することができる。
【0018】
上記の方法を用いれば、情報信号層が形成された光透過層上に、さらに光透過層を設けて情報信号層を形成することができる。これにより、複数の情報信号層が均一な間隔にて積層された多層構造の光記録媒体を提供することができる。あるいは、上記基板を、溝やピットに相当する凹凸を有する後述する凹凸形成層とし、該凹凸形成層上に、上記の方法にて情報信号層を形成することによっても、複数の情報信号層が均一な間隔にて積層された多層構造の光記録媒体を提供することができる。
【0019】
また、凹凸転写手段により光透過層に凹凸形状を転写しているので、光透過層には、上記した特開平9−115194号公報に記載されているスペーサ等のように、光透過層とは光学的な性質が異なる物質は含まれていない。それゆえ、上記光透過層は光学的に均質となり、光記録媒体の記録再生時に、記録再生信号の劣化を引き起こすことなく、良好な記録再生を行うことができる。
【0020】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、基板上に、凹凸形状を有する光透過性樹脂からなる情報信号層が形成された光記録媒体の製造方法において、基板上に、光透過性樹脂を積層し、該光透過性樹脂の硬化途中にて、該光透過性樹脂を凹凸転写手段にて押圧した後、さらに硬化させることを特徴としている。
【0021】
上記硬化途中とは、上記光透過性樹脂の硬化率が100%未満であることを指すものとする。
【0022】
上記の方法によれば、基板上に塗布した光透過性樹脂を完全に硬化させるのではなく、硬化途中にて凹凸転写手段による押圧を行っている。そのため、凹凸転写手段は、光透過性樹脂が完全に硬化した光透過層を押圧する場合に比較して、弱い押圧力にて、情報信号層を形成することができる。
【0023】
また、この凹凸転写手段の押圧により、硬化途中の光透過性樹脂に転写された凹凸形状は、凹凸転写手段による押圧後、完全に硬化させることができる。これにより、光透過性樹脂に転写された凹凸形状が固定されるので、凹凸形状が変形することを防止することができる。
【0024】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記の光記録媒体の製造方法において、上記光透過性樹脂を、少なくとも50%以上の硬化率にて硬化させた後、凹凸転写手段にて押圧することを特徴としている。
【0025】
上記の方法によれば、少なくとも50%以上の硬化率にて光透過性樹脂を硬化させれば、凹凸転写手段の押圧により、上記光透過性樹脂に凹凸形状を転写することが可能となる。また、上記の硬化率であれば、光透過性樹脂が変形することなく、凹凸転写手段の凹凸形状のみが転写される。つまり、上記光透過性樹脂が、少なくとも50%以上の硬化率にて硬化していれば、上記光透過性樹脂に好適に凹凸形状を転写することができる。
【0026】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記の光記録媒体の製造方法において、上記光透過性樹脂は、光硬化性樹脂であることを特徴としている。
【0027】
上記の方法によれば、光照射によって、光硬化性樹脂を硬化させることができる。従って、上記情報信号層を容易に形成することができる。さらに、基板上に任意の厚さにて光硬化性樹脂を形成し、該光硬化性樹脂に対して光照射を行うことにより、任意の厚さの情報信号層を形成することができる。つまり、基板上に塗布する光硬化性樹脂の厚さを制御すれば、形成される情報信号層の厚さを制御することができる。従って、光硬化性樹脂を用いて情報信号層を形成すれば、所望する厚さの情報信号層を容易に形成することができる。
【0028】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記の光記録媒体の製造方法において、上記光透過性樹脂は、スピンコート法又はロール法によって、基板上に塗布されることを特徴している。
【0029】
上記の方法によれば、基板上に光透過性樹脂をムラのないように、一様に塗布することができる。すなわち、上記スピンコート法では、光透過性樹脂の粘度や基板の回転数を制御することによって、所望する厚さにて光透過性樹脂を基板上に塗布することができる。また、上記ロール法では、2つのロール間の距離やロールと基板との距離を制御することによって、所望する厚さにて光透過性樹脂を基板上に塗布することができる。従って、上記の方法を用いることにより、所望する厚さの光透過性樹脂を塗布し、該光透過性樹脂を硬化させることによって、所望する厚さの情報信号層を形成することができる。
【0030】
また、上記押圧は、上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂の溶融温度よりも低い温度に上記凹凸転写手段を加熱して行うことを特徴としている。
【0031】
上記の方法によれば、凹凸転写手段は、上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂の溶融温度よりも低い温度に加熱されている。そのため、凹凸転写手段を光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に押圧した際に、該光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂が溶融して変形することはなく、凹凸転写手段の凹凸形状のみが好適に転写されて情報信号層が形成される。
【0032】
また、本発明の光記録媒体は、上記課題を解決するために、凹凸面を有する凹凸形成層上に、凹凸形状を有する光透過性樹脂からなる情報信号層が形成された光記録媒体において、上記情報信号層の厚さの誤差は、該情報信号層の厚さの±10%以内であることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、情報信号層の厚さの誤差が、該情報信号層の厚さの±10%以内であるので、均一な厚さの情報信号層を有する光記録媒体を提供することができる。これにより、記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御を安定させ、マージンを拡大することができるので、記録再生エラーを低減し得る光記録媒体を提供することができる。
【0034】
また、本発明の光記録媒体は、上記の光記録媒体において、上記光透過性樹脂は、光硬化性樹脂であることを特徴としている。
【0035】
上記の構成によれば、上記光硬化性樹脂からなる情報信号層は光学的に均質となる。それゆえ、光記録媒体の記録再生時に、記録再生信号の劣化を引き起こすことなく、良好な記録再生を行うことができる。
【0036】
また、本発明の光記録媒体の製造装置は、光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂が形成された基板を載置する基板載置手段と、上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂に凹凸形状を転写する凹凸転写手段とを備え、上記基板載置手段に載置された基板上の上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂に、上記凹凸転写手段を押圧することにより情報信号層を形成する光記録媒体の製造装置であって、上記基板載置手段の基板載置部には、弾性体が設けられていることを特徴としている。
【0037】
上記の構成によれば、上記基板を載置する基板載置手段に弾性体が設けられている。そのため、基板の厚さのばらつきや、基板に反りがあったとしても、基板上の上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂に対して凹凸転写手段を押圧する際に、弾性体が弾性変形することができるので、凹凸転写手段は、光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に全面を均一な圧力にて押圧することができる。それゆえ、光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に対して、凹凸形状を好適に転写することができる。
【0038】
また、本発明の光記録媒体の製造装置は、上記の光記録媒体の製造装置において、上記弾性体は、上記基板の中央部分に対応する領域の厚さが、該領域の周囲の厚さよりも厚くなるように形成されていることを特徴としている。
【0039】
上記の構成によれば、上記凹凸転写手段が基板を押圧した際に、基板の中央部分が配置される領域の弾性体の厚さが大きくなっているので、凹凸転写手段と基板との間に空気が閉じ込められることを防止することができる。これにより、凹凸転写手段が光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に対して、凹凸を転写する際の転写不良を低減することができる。
【0040】
また、本発明の光記録媒体の製造装置は、上記の光記録媒体の製造装置において、さらに、上記凹凸転写手段を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、凹凸転写手段を所望する温度に加温することができるので、凹凸転写手段の光透過層への転写を好適に行うことができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0043】
本実施の形態の光記録媒体は、溝やピット(凹凸形状)を有するプラスチック基板(凹凸形成層)と、溝やピットを有する光透過性の中間層(情報信号層)とを備えた光記録媒体である。すなわち、本実施の形態の光記録媒体は、上記プラスチック基板及び上記中間層に、それぞれ溝やピットを有する多層構造の光記録媒体である。
【0044】
このような光記録媒体は、以下のような製造工程にて製造される。なお、本実施の形態で使用する後述のプラスチック基板の成形方法や、各種膜の成膜方法、後述するスタンパの製造方法等は、一般的な光ディスク関連の書籍や文献に多数掲載されている従来公知の方法にて作製することが可能であるため、本実施の形態では、これらの詳細な説明は省略する。
【0045】
本実施の形態の光記録媒体を製造する際には、まず、図1(a)に示すように、プラスチック基板(基板)1の表面に形成されている溝やピットに対して、記録膜又は反射膜(以下、記録反射膜と記載する)2を成膜する。ここで、上記プラスチック基板1の厚さは、通常、0.5mm〜1.2mm程度であり、上記溝やピットは、幅が0.1μm〜1.6μm程度であり、深さは10nm〜120nm程度である。記録反射膜2は、従来公知のスパッタリング法や真空蒸着法等を用いて、プラスチック基板1の溝やピット上に成膜すればよい。
【0046】
次いで、プラスチック基板1上に光透過性樹脂である紫外線硬化樹脂(光硬化性樹脂)を塗布するために、記録反射膜2が形成されたプラスチック基板1を、図示しないスピンドルヘッド部上に、真空吸着によって載置する。その後、上記スピンドルヘッド部を低速回転させ、図1(a)の矢印にて示すように、プラスチック基板1を面内方向にて回転させる。プラスチック基板1を回転させながら、流動性を有する紫外線硬化樹脂の入った図示しないタンクからノズルを通して、プラスチック基板1上の中心付近又は内周側に紫外線硬化樹脂3を滴下する(図1(a))。
【0047】
続いて、上記スピンドルヘッド部を高速回転させて、プラスチック基板1上に滴下された流動性を有する紫外線硬化樹脂3を回転延伸する。これにより、プラスチック基板1の内周方向から外周方向に向けて紫外線硬化樹脂3が延伸され、図1(b)に示すように、プラスチック基板1上に一様に紫外線硬化樹脂3が塗布される。また、上記スピンドルヘッド部の高速回転によって生じる遠心力により、余剰の紫外線硬化樹脂はプラスチック基板1上から払い落とされて除去される。
【0048】
これにより、図1(b)に示すように、プラスチック基板1のピットに設けられた記録反射膜2に相当する位置(以下、プラスチック基板1上の最頂部の位置と記載する)から、紫外線硬化樹脂3表面までの距離αが、プラスチック基板1表面にて一定となるように、紫外線硬化樹脂3が塗布される。言い換えれば、プラスチック基板1表面上には、該プラスチック基板1上の溝やピットに相当する凹凸に関係なく、塗布された紫外線硬化樹脂3の表面が平坦となるように、紫外線硬化樹脂3が一様に塗布されている。このとき塗布された紫外線硬化樹脂3の厚さである距離αは、通常、数十μm程度であり、本実施の形態では約20μmになるように塗布されている。
【0049】
次に、プラスチック基板1上の紫外線硬化樹脂3に対して、紫外線ランプ4から紫外線5を照射し、紫外線硬化樹脂3を硬化させて、図1(c)に示すように、光透明性の樹脂硬化層(光透過層)6aを形成する。これにより、プラスチック基板1上の最頂部の位置から、樹脂硬化層6a表面までの距離βが、プラスチック基板1表面にて一定である樹脂硬化層6aが形成される。なお、この距離βは、上記α(図1(b))と実質的に同じであるため、約20μmとなっている。
【0050】
このように、スピンコート法を利用して、プラスチック基板1上に紫外線硬化樹脂3を塗布する場合、用いる紫外線硬化樹脂3の粘度や、スピンドルヘッド部の回転数を調整すれば、所望の厚さにて、プラスチック基板1全面に対して一様に、紫外線硬化樹脂層3を塗布することができる。また、塗布された紫外線硬化樹脂3を紫外線照射によって硬化させることにより、プラスチック基板1上の最頂部の位置から、樹脂硬化層6a表面までの距離βを所望する厚さにて形成することができる。さらに、プラスチック基板1上にて、一定の距離βを有する樹脂硬化層6aを形成することができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、スピンコート法を用いて、紫外線硬化樹脂3を塗布しているが、これに限定されるものではない。すなわち、プラスチック基板1上に一様に紫外線硬化樹脂3を塗布できる従来公知の手法を用いればよい。例えば、ロール法を用いて、2つのロール間の距離やロールと基板との距離を制御することにより、所望する厚さにて、プラスチック基板1上に紫外線硬化樹脂を塗布してもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、紫外線硬化樹脂3を用いているが、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等、プラスチック基板1上に一様に塗布することができる流動性の樹脂であって、プラスチック基板1上に塗布された状態にて硬化して透明な樹脂硬化層6aを形成することができる流動性の樹脂であれば、特に限定されるものではない。さらに、上記のようにプラスチック基板1上に、流動性の樹脂を塗布して硬化させるのではなく、所定の厚さを有する樹脂硬化層6aを配置してもよい。
【0053】
次に、上記樹脂硬化層6aの平坦な表面に対して、溝やピットを形成するために、図1(c)に示すように、上記溝やピットに対応する凹凸を表面に有するスタンパ(凹凸転写手段)7を用いる。スタンパ7は、凹凸を有する表面とは異なる他方の表面には凹凸を有しておらず、この凹凸を有してしない側の表面が、平滑に研磨された後述する金属製のスタンパ固定板に固定されている。また、スタンパ7は、上記スタンパ固定板に設けられた内蔵ヒーター(加熱手段)によって、上記樹脂硬化層6aやプラスチック基板1の溶融温度よりも低い所定の温度に加温されている。
【0054】
上記スタンパ7を用いて溝やピットを形成するために、まず、樹脂硬化層6aが露出するように、プラスチック基板1を後述する基板保持台(基板載置手段)に載置する。そして、この樹脂硬化層6aに対して、図2(a)に示すように、スタンパ固定板に固定されたスタンパ7の凹凸表面を押し当てて加圧する。この加圧により、樹脂硬化層6a表面にスタンパ7の凹凸が転写される。その後、プラスチック基板1からスタンパ固定板とともにスタンパ7を引き剥がす。その結果、図2(b)に示すように、プラスチック基板1上には、溝やピットを有する中間層6bが得られる。言い換えれば、この中間層6bは、上記樹脂硬化層6aに、スタンパ7の凹凸に対応した凹凸である溝やピットが形成されたものである。
【0055】
このように、スタンパ7は、プラスチック基板1上にて紫外線硬化樹脂3が硬化した樹脂硬化層6aに対して加圧を行っている。樹脂硬化層6aは、紫外線硬化樹脂3のような流動性を有していないので、樹脂硬化層6aに対してスタンパ7を押圧する際に、スタンパ7に厚さのばらつきや反りが生じていても、樹脂硬化層6aがスタンパ7の厚さのばらつきや反りに応じて変形することはない。また、樹脂硬化層6aの溶融温度よりも低い温度にてスタンパ7を加温しているので、樹脂硬化層6aが溶融して変形することもない。従って、スタンパ7が樹脂硬化層6aを押圧しても、樹脂硬化層6aには、スタンパ7の凹凸形状に応じた溝やピットのみが転写されることになる。
【0056】
その結果、プラスチック基板1上の最頂部の位置から、中間層6bのピットまでの距離γが、プラスチック基板1表面にて一定である中間層6bを形成することができる。なお、この距離γは、上記距離β(図1(c))と同じであり、それゆえ、上記距離α(図1(b))と実質的に同じである。そのため、本実施の形態では、距離γは、約20μmとなっている。このように、上記のスピンコート法を用いることにより、所望する厚さを有するように中間層6bを形成することができ、また、スタンパ7によって加圧しているので、厚さが均一な中間層6bを形成することが可能になる。
【0057】
続いて、上記中間層6bに形成された溝やピットに対して、図示しない記録反射膜を成膜する。その後、該記録反射膜を保護するために、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂をスピンコート法等によって塗布し、光照射によって硬化させることにより、保護層を形成する。
【0058】
以上の工程により、所望する均一な厚さの中間層を有する光記録媒体を作製することができる。具体的には、中間層6bの厚さ誤差、すなわち、図2(b)の距離γの誤差を、該距離γの10%以内にして、中間層6bを形成することができる。つまり、本実施の形態の中間層6bは、厚さが約20μm±2μmとなっている。また、上記中間層6bは、光学的に均質な光透過性の層であるため、各情報信号層に入射する光は、いずれの領域においても均一となっている。従って、情報の記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御が安定であり、記録再生時のエラーを抑制することができる光記録媒体を提供することができる。
【0059】
ところで、本実施の形態では、上記したように、中間層6bに溝やピットを形成するために、スタンパ7や、スタンパ固定板、スタンパ固定板に内蔵されている内蔵ヒーター、基板保持台等を用いている。これらは、図3に示すように、本実施の形態の光記録媒体を製造するための製造装置20に備えられている。すなわち、本実施の形態の光記録媒体の製造装置20は、基板側基台21、スタンパ側基台22、油圧シリンダ23、基板保持台24、スタンパ固定板25、スタンパ7を有している。
【0060】
基板側基台21とスタンパ側基台22とは、互いに対向するように配置されている。このスタンパ側基台22は、油圧シリンダ23により、基板側基台21に対して、進退可能に設けられている。また、基板側基台21のスタンパ側基台22と対向する側には、基板保持台24が設けられている。この基板保持台24のスタンパ側基台2と対向する側の基板載置部上に、樹脂硬化層6aが形成されたプラスチック基板1(図1(c))が載置される。これに対し、スタンパ側基台22の基板側基台21と対向する側には、スタンパ固定板25が設けられ、このスタンパ固定板25上に、スタンパ7(図1(c))が固定されている。
【0061】
上記構成の製造装置20では、油圧シリンダ23により、スタンパ側基台22が基板側基台21側に移動すると、プラスチック基板1の樹脂硬化層6aに対して、スタンパ7の凹凸表面が押し当てられ、中間層6bが形成される。中間層6bが形成されると、再び油圧シリンダ23により、スタンパ側基台22が基板側基台21から離れる方向へと移動する。このように、上記製造装置20を用いることによって、本実施の形態の光記録媒体の中間層6bが形成される。
【0062】
なお、溝やピットを有するプラスチック基板1を金型成型する際に、上記溝やピットを形成するために用いるスタンパのトラック中心と、上記プラスチック基板1の中心とを精度よく合致させておくとよい。そして、上記製造装置20にて、プラスチック基板1上の樹脂硬化層6aに溝やピットを形成する際に、上記プラスチック基板1の中心と、上記製造装置20に備えられている上記基板保持台24の中心とが合致するように、基板保持台24上にプラスチック基板1を配置する。その後、基板保持台24の中心と上記スタンパ7のトラック中心とが合致するように、上記樹脂硬化層6aにスタンパ7を加圧する。これにより、上記プラスチック基板1の溝やピットと、中間層6bの溝やピットとを精度よく合致させることができ、両者間の溝やピットの間隔を均一にすることができる。
【0063】
また、本実施の形態の光記録媒体が、中央部分に中心孔を有する場合には、プラスチック基板1を金型成型する際の中心孔打抜きパンチと、この金型に用いるスタンパのトラック中心とを精度よく合致させるとよい。さらに、上記製造装置20の上記基板保持台24に、図3に示すように、プラスチック基板1の中心孔が嵌め込まれる中心ピン29を設け、該中心ピン29と上記スタンパ7のトラック中心とを合致させる。これにより、上記製造装置20を用いて中間層6bに溝やピットを形成する際に、プラスチック基板1の中心と、中間層6bの中心とを容易に合致させることが可能になる。その結果、上記プラスチック基板1の溝やピットと、中間層6bの溝やピットとを精度よく合致させることができる。
【0064】
なお、上記製造装置20に備えられているスタンパ7は、電鋳時の電流分布や、凹凸を有していない側のスタンパ固定板25に固定される面の研磨条件を最適化することによって、厚さのばらつきや反りを最小限に留めることが好ましい。
【0065】
また、上記したように、スタンパ7を加温する場合には、スタンパ固定板25に内蔵ヒータ27を設ければよい。これにより、スタンパ7を所望する温度に加温した状態にて、上記樹脂硬化層6aに対して、スタンパ7を押圧することができる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、スタンパ7のみを加熱しているが、プラスチック基板1も同様に加熱してもよい。この場合、基板保持台24に内蔵ヒータ28を設ければよい。これにより、スタンパ7によってプラスチック基板1を加圧する際に、プラスチック基板1の熱膨張変化を減少させることができるため、樹脂硬化層6aに形成される溝やピットの形状が変形することを防止することができる。
【0067】
また、上記基板保持台24のプラスチック基板1を載置する側の表面には、硬質ゴムやシリコンゴムのような弾性体26を設けてもよい。弾性体26は、プラスチック基板1の表面積に相当する大きさにて形成することが好ましい。これにより、プラスチック基板1の製造誤差等によりその厚さにばらつきがあったとしても、スタンパ7によって加圧された際に上記弾性体26が弾性変形することができるので、上記プラスチック基板1の樹脂硬化層6aに対して、均一な加圧力にてスタンパ7を押圧することができる。その結果、プラスチック基板1及び中間層6bの溝やピットとの間隔が均一となるように、中間層6bを形成することができる。
【0068】
さらに、上記基板保持台24に設けられた弾性体26は、プラスチック基板1の中心や該中心を取り囲む領域である中央部ほど厚さが大きくなるように設けてもよい。すなわち、上記中央部がその周囲の厚さより1mm〜2mm程度厚くしてもよい。これにより、スタンパ7がプラスチック基板1を押圧した際に、スタンパ7とプラスチック基板1との間に空気が閉じ込められることを防止することができる。これにより、スタンパ7の凹凸が樹脂硬化層6bに転写される際の転写不良を低減することができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、プラスチック基板1上に塗布した紫外線硬化樹脂3を完全に硬化させた後、スタンパ7による加圧を行っているが、必ずしも、上記紫外線硬化樹脂3を完全に硬化させる必要はなく、硬化率が100%未満であってもよい。つまり、スタンパ7による加圧を行った際に、樹脂硬化層6aがスタンパ7の厚さのばらつきや反りに応じて変形しない程度に紫外線硬化樹脂3を硬化させるとともに、スタンパ7の加圧力を制御すればよい。
【0070】
具体的には、紫外線硬化樹脂3が50%程度以上100%未満の硬化率にて硬化していれば、樹脂硬化層6aを変形させることなく、スタンパ7表面の凹凸のみを転写することができる。紫外線硬化樹脂3の硬化率が50%であれば、紫外線硬化樹脂3が完全に硬化している(硬化率100%)場合に加える圧力の半分程度の圧力にてスタンパ7を押圧することにより、樹脂硬化層6aに、スタンパ7の凹凸を転写することができる。
【0071】
上記のように、紫外線硬化樹脂の一部が未硬化である状態にて、樹脂硬化層6aに対してスタンパ7による加圧を行う場合には、スタンパ7の加圧後、再度紫外線を照射して未硬化の樹脂硬化層6aを完全に硬化させて、中間層6bを形成することが好ましい。
【0072】
さらに、本実施の形態では、プラスチック基板1からなる凹凸形成層と、中間層6bからなる情報信号層とを積層することにより、各層に設けられた溝やピットが積層してなる2層構造の光記録媒体を例に挙げて説明したが、3層構造以上の多層構造の光記録媒体も同様の製造方法にて製造することができる。すなわち、上記記録反射膜を成膜後、上記と同様の手法にて、中間層及び記録反射膜の形成を繰り返せば、溝やピットが設けられた層が2層以上積層している多層構造の光記録媒体を作製することができる。
【0073】
【実施例】
〔実施例1〕
溝やピットを有するプラスチック基板を、スピンドルヘッド部に載置して、約60rpmの回転数にて回転させながら、粘度160cpsのアクリル系の紫外線硬化樹脂(製品名ダイキュア、大日本インキ化学工業社製)をプラスチック基板上に滴下した。次いで、スピンドルヘッド部を3000rpmにて10秒間回転し、紫外線硬化樹脂を回転延伸してプラスチック基板上に塗布した。その後、プラスチック基板に塗布された紫外線硬化樹脂に対して、紫外線を800mJ/cmにて照射し、紫外線硬化樹脂を完全に(硬化率100%)硬化させた。これにより、プラスチック基板の最頂部からの膜厚(図1(c)の距離βに相当)が19μm±0.4μmの樹脂硬化層を形成することができた。
【0074】
続いて、表面に凹凸を有するスタンパを120℃まで加温し、上記樹脂硬化層に対して、加圧力3tonにて3秒間加圧を行った。これにより、上記プラスチック基板上には、スタンパの凹凸形状に合わせて、溝やピットを有する中間層を形成することができた。このとき形成された中間層の厚さに相当する、プラスチック基板の溝やピットと、中間層の溝やピットとの間の距離(図2(b)の距離γに相当)は、19μm±0.7μmであった。
【0075】
その後、上記中間層の溝やピットに対して、記録反射膜を成膜し、この記録反射膜上に、さらに保護コート膜を形成することにより、2層の情報信号層を有する光記録媒体を得た。
【0076】
上記のように、本発明の光記録媒体の製造方法を用いることによって、中間層の厚さの誤差が±10%以内である、均一な厚さの中間層を有する光記録媒体を提供することができる。
【0077】
〔実施例2〕
溝やピットを有するプラスチック基板を、スピンドルヘッド部に載置して、約60rpmの回転数にて回転させながら、粘度160cpsのアクリル系の紫外線硬化樹脂をプラスチック基板上に滴下した。次いで、スピンドルヘッド部を3000rpmにて10秒間回転し、紫外線硬化樹脂を回転延伸してプラスチック基板上に塗布した。その後、プラスチック基板に塗布された紫外線硬化樹脂に対して、紫外線を150mJ/cmにて照射し、紫外線硬化樹脂を硬化率50%にて硬化させた。これにより、プラスチック基板の最頂部からの膜厚(図1(c)の距離βに相当)が19μm±0.4μmの樹脂硬化層を形成することができた。
【0078】
続いて、表面に凹凸を有するスタンパを120℃まで加温し、上記樹脂硬化層に対して、加圧力1.5tonにて3秒間加圧を行った。これにより、樹脂硬化層上には、スタンパの凹凸形状に合わせて、溝やピットが形成され、第2情報信号層が形成された樹脂硬化層表面に対し、さらに紫外線を650mJ/cmにて照射し、樹脂硬化層を完全に硬化させて中間層を形成した。これによって得られた中間層の厚さに相当する、プラスチック基板の溝やピットと、中間層の溝やピットとの間の距離(図2(b)の距離γに相当)は、19μm±0.9μmであった。
【0079】
その後、上記中間層の溝やピットに対して、記録反射膜を成膜し、この記録反射膜上に、さらに保護コート膜を形成することにより、2層の情報信号層を有する光記録媒体を得た。上記のように、スタンパによる加圧を行う際に、紫外線硬化樹脂の硬化率が50%であっても、中間層の厚さの誤差が±10%以内である、均一な厚さの中間層を有する光記録媒体を提供することができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の光記録媒体の製造方法は、以上のように、基板上に、光透過性樹脂を硬化してなる光透過層を形成した後、該光透過層を凹凸転写手段にて押圧する方法である。
【0081】
それゆえ、上記光透過層は、その厚さを一定に保った状態にて、凹凸転写手段の凹凸形状のみが転写されて情報信号層が形成されるという効果を奏する。従って、所望する厚さの情報信号層を有する光記録媒体を提供することができるという効果を奏する。
【0082】
また、凹凸転写手段により光透過層に凹凸形状を転写しているので、上記光透過層は光学的に均質となり、光記録媒体の記録再生時に、記録再生信号の劣化を引き起こすことなく、良好な記録再生を行うことができるという効果を奏する。
【0083】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、以上のように、基板上に、光透過性樹脂を積層し、該光透過性樹脂の硬化途中にて、該光透過性樹脂を凹凸転写手段にて押圧した後、さらに硬化させる方法である。
【0084】
それゆえ、凹凸転写手段は、光透過性樹脂が完全に硬化した光透過層を押圧する場合に比較して、弱い押圧力にて、情報信号層を形成することができるという効果を奏する。また、この凹凸転写手段による押圧後、完全に硬化させるので、光透過層に転写された凹凸形状が固定され、凹凸形状が変形することを防止することができるという効果を奏する。
【0085】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記の光記録媒体の製造方法において、上記光透過性樹脂を、少なくとも50%以上の硬化率にて硬化させた後、凹凸転写手段にて押圧する方法である。
【0086】
それゆえ、光透過性樹脂が変形することなく、凹凸転写手段の凹凸形状のみが転写されるという効果を奏する。これにより、凹凸転写手段の押圧により、好適に上記光透過性樹脂に凹凸形状を転写することができるという効果を奏する。
【0087】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記の光記録媒体の製造方法において、上記光透過性樹脂は、光硬化性樹脂である方法である。
【0088】
それゆえ、光照射によって、光硬化性樹脂を硬化させることができ、上記情報信号層を容易に形成することができるという効果を奏する。さらに、基板上に塗布する光硬化性樹脂の厚さを制御すれば、形成される情報信号層の厚さを制御することができるという効果を奏する。従って、光硬化性樹脂を用いて情報信号層を形成すれば、所望する厚さの情報信号層を容易に形成することができるという効果を奏する。
【0089】
また、本発明の光記録媒体の製造方法は、上記の光記録媒体の製造方法において、上記光透過性樹脂は、スピンコート法又はロール法によって、基板上に塗布される方法である。
【0090】
それゆえ、基板上に光透過性樹脂をムラのないように、一様に塗布することができるという効果を奏する。また、上記の方法を用いることにより、所望する厚さの光透過性樹脂を塗布し、該光透過性樹脂を硬化させることによって、所望する厚さの情報信号層を形成することができるという効果を奏する。
【0091】
また、上記押圧は、上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂の溶融温度よりも低い温度に上記凹凸転写手段を加熱して行う方法である。
【0092】
それゆえ、凹凸転写手段を光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に押圧した際に、該光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂が溶融して変形することはなく、凹凸転写手段の凹凸形状のみが好適に転写されて情報信号層が形成されるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明の光記録媒体は、以上のように、情報信号層の厚さの誤差は、該情報信号層の厚さの±10%以内であるものである。
【0094】
それゆえ、厚さの誤差が上記情報信号層の厚さの±10%以内である、均一な厚さの情報信号層を有する光記録媒体を提供することができる。これにより、記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御を安定させ、記録再生エラーを低減し得る光記録媒体を提供することができるという効果を奏する。
【0095】
また、本発明の光記録媒体は、上記の光記録媒体において、上記光透過性樹脂は、光硬化性樹脂であるものである。
【0096】
それゆえ、上記光透過性樹脂からなる情報信号層は光学的に均質となり、光記録媒体の記録再生時に、記録再生信号の劣化を引き起こすことなく、良好な記録再生を行うことができるという効果を奏する。
【0097】
また、本発明の光記録媒体の製造装置は、以上のように、上記基板載置手段の基板載置部には、弾性体が設けられているものである。
【0098】
それゆえ、基板の厚さのばらつきや、基板に反りがあったとしても、基板上の上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂に対して凹凸転写手段を押圧する際に、弾性体が弾性変形することができる。従って、凹凸転写手段は、光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に全面を均一な圧力にて押圧することが、光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に対して、凹凸形状を好適に転写することができるという効果を奏する。
【0099】
また、本発明の光記録媒体の製造装置は、上記の光記録媒体の製造装置において、上記弾性体は、上記基板の中央部分に対応する領域の厚さが、該領域の周囲の厚さよりも厚くなるように形成されているものである。
【0100】
それゆえ、上記凹凸転写手段が基板を押圧した際に、凹凸転写手段と基板との間に空気が閉じ込められることを防止することができるという効果を奏する。これにより、押圧転写手段が光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂に対して、凹凸を転写する際の転写不良を低減することができるという効果を奏する。
【0101】
また、本発明の光記録媒体の製造装置は、上記の光記録媒体の製造装置において、さらに、上記凹凸転写手段を加熱する加熱手段が設けられているものである。
【0102】
それゆえ、凹凸転写手段を所望する温度に加温することができるので、凹凸転写手段によって好適に凹凸形状を転写し、情報信号層を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明における光記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図2】(a)(b)は、上記光記録媒体の製造工程の続きを示す断面図である。
【図3】本発明における光記録媒体の製造装置を示す断面図である。
【図4】(a)(b)は、従来の光記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図5】(a)(b)は、上記従来の光記録媒体の製造工程の続きを示す断面図である。
【符号の説明】1  プラスチック基板(基板・凹凸形成層)
2  記録反射膜
3  紫外線硬化樹脂(光透過性樹脂・光硬化性樹脂)
4  紫外線ランプ
5  紫外線
6a 樹脂硬化層(光透過層・硬化途中の光透過性樹脂)
6b 中間層(情報信号層)
7  スタンパ(凹凸転写手段)
20  製造装置
24  基板保持台(基板載置手段)
26  弾性体
27  内蔵ヒータ(加熱手段)

Claims (11)

  1. 基板上に、凹凸形状を有する光透過性樹脂からなる情報信号層が形成された光記録媒体の製造方法において、
    基板上に、光透過性樹脂を硬化してなる光透過層を形成した後、該光透過層を凹凸転写手段にて押圧することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  2. 基板上に、凹凸形状を有する光透過性樹脂からなる情報信号層が形成された光記録媒体の製造方法において、
    基板上に、光透過性樹脂を積層し、該光透過性樹脂の硬化途中にて、該光透過性樹脂を凹凸転写手段にて押圧した後、さらに硬化させることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  3. 上記光透過性樹脂を、少なくとも50%以上の硬化率にて硬化させた後、凹凸転写手段にて押圧することを特徴とする請求項2記載の光記録媒体の製造方法。
  4. 上記光透過性樹脂は、光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光記録媒体の製造方法。
  5. 上記光透過性樹脂は、スピンコート法又はロール法によって、基板上に塗布されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。
  6. 上記押圧は、上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂の溶融温度よりも低い温度に上記凹凸転写手段を加熱して行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。
  7. 凹凸面を有する凹凸形成層上に、凹凸形状を有する光透過性樹脂からなる情報信号層が形成された光記録媒体において、
    上記情報信号層の厚さの誤差は、該情報信号層の厚さの±10%以内であることを特徴とする光記録媒体。
  8. 上記光透過性樹脂は、光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体。
  9. 光透過層又は硬化途中の光透過性樹脂が形成された基板を載置する基板載置手段と、上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂に凹凸形状を転写する凹凸転写手段とを備え、上記基板載置手段に載置された基板上の上記光透過層又は上記硬化途中の光透過性樹脂に、上記凹凸転写手段を押圧することにより情報信号層を形成する光記録媒体の製造装置であって、
    上記基板載置手段の基板載置部には、弾性体が設けられていることを特徴とする光記録媒体の製造装置。
  10. 上記弾性体は、上記基板の中央部分に対応する領域の厚さが、該領域の周囲の厚さよりも厚くなるように形成されていることを特徴とする請求項9記載の光記録媒体の製造装置。
  11. さらに、上記凹凸転写手段を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項9又は10記載の光記録媒体の製造装置。
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