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JP2004059863A - グリース組成物 - Google Patents

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JP2004059863A
JP2004059863A JP2002223458A JP2002223458A JP2004059863A JP 2004059863 A JP2004059863 A JP 2004059863A JP 2002223458 A JP2002223458 A JP 2002223458A JP 2002223458 A JP2002223458 A JP 2002223458A JP 2004059863 A JP2004059863 A JP 2004059863A
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JP
Japan
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carbon atoms
mass
hydrocarbon group
formula
grease composition
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Pending
Application number
JP2002223458A
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English (en)
Inventor
Kenji Hayashi
林 健司
Shingo Tsuji
辻 真悟
Koichi Sakamoto
坂本 浩一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Lubricants Co Ltd
Original Assignee
Cosmo Oil Lubricants Co Ltd
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Publication date
Application filed by Cosmo Oil Lubricants Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Lubricants Co Ltd
Priority to JP2002223458A priority Critical patent/JP2004059863A/ja
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Abstract

【課題】優れた低騒音性及び耐熱性を有するグリース組成物を提供する。
【解決手段】ベンゼン環に直接結合している置換基が水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、そのうち、少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基であるアルキル化ジフェニルエーテル又は該アルキル化ジフェニルエーテルを50質量%以上とポリアルキレングリコール若しくはその誘導体を50質量%以下含む混合物から成る基油と、末端基が炭素数4〜22の炭化水素基であるN−置換テレフタラミン酸金属塩から成る増ちょう剤を2〜30質量%含有させる。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、高温下でも長期間使用でき、かつ低騒音性を有するグリース組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、機械装置の小型軽量化、機器の高性能化による回転の高速化が促進される中で、ベアリング、ギヤ等は高温下で使用される傾向にある。また、住環境の快適さが求められる中で、例えば、一般に使用されている情報機器や家庭電化製品から発生する僅かな音でも騒音として認識されるようになってきている。
本発明は、これらの使用条件に応える高温長寿命、低騒音性を有するグリースに関するものである。
従来のグリースの安定性を向上するために、基油として鉱油に代えて熱酸化安定性に優れるエステル油、ポリアルファオレフィン油、シリコーン油等の合成潤滑油の使用が試みられている。
また、低騒音性グリースについては、増ちょう剤としてその大部分が金属石けん系を使用している。その中でも、低騒音性に優れるリチウム石けん系グリースが最も広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
リチウム石けん系グリースにおいては、低騒音性は優れているものの、より高温下で使用可能にすることが望まれる。一方、高温下で使用可能なコンプレックスグリース、クレイ系グリース、ウレア系グリース等は、低騒音性において最近の市場の要求を満足するレベルまでは到達していない。
一方、低騒音性に優れ、かつ、高温下で使用可能なNaテレフタラメート系グリースにおいては、離油防止性のより一層の向上が望まれる。
そこで、本発明においては、高温下で低騒音性に優れるとともに、耐熱性及び離油防止性について、それぞれの性能の更なる向上が望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定のアルキル化ジフェニルエーテルから成る、又は特定のアルキル化ジフェニルエーテルとポリアルキレングリコール若しくはその誘導体とを特定の割合で配合した混合物から成る基油に、増ちょう剤として特定のN−置換テレフタラミン酸金属塩を特定割合で配合してグリース組成物とすることにより、低騒音性及び耐熱性に優れることを見出した。また、この組成物において、上記基油に、特定のネオペンチル型ポリオールエステル油又は特定のコンプレックス型ポリオールエステル油を特定の割合で配合した基油を用いることにより、高温下での耐熱性が格段に向上できることを見出した。さらに、この組成物にポリウレア化合物を特定の割合で配合し、かつ、混和ちょう度が130から295の範囲にすることにより、油分離を大幅に減少させ、グリースの硬化を抑制できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、式(1)で表されるアルキル化ジフェニルエーテル又は該アルキル化ジフェニルエーテルを50質量%以上とポリアルキレングリコール若しくはその誘導体を50質量%以下含む混合物から成る基油と、式(2)で表されるN−置換テレフタラミン酸金属塩から成る増ちょう剤を2〜30質量%含有することを特徴とするグリース組成物を提供するものである。
【0005】
【化4】
Figure 2004059863
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、R〜R10のうち、少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基である。)
【0006】
【化5】
Figure 2004059863
(式中、R11は炭素数4〜22の炭化水素基であり、Mは金属であり、xはMの原子価数に等しい数である。)
また、本発明は、上記グリース組成物において、さらに、炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるネオペンチル型ポリオールエステル油又は炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油を、アルキル化ジフェニルエーテルに対するネオペンチル型ポリオールエステル油又はコンプレックス型ポリオールエステル油の質量比が、90〜10:10〜90の割合で含有するグリース組成物を提供するものである。
さらに、本発明は、上記グリース組成物において、さらに、式(3)で表されるポリウレア化合物を含有し、N−置換テレフタラミン酸金属塩とポリウレア化合物との含有量比が、質量比で95〜50:5〜50であり、かつ混和ちょう度が130〜295の範囲にあるグリース組成物を提供するものである。
【0007】
【化6】
Figure 2004059863
(式中、yは0〜3の整数で、R12、R13、R14、及びR15は炭素数1〜30の炭化水素基である。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においては、基油として式(1)で表されるアルキル化ジフェニルエーテルを用いる。
式(1)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、R〜R10のうち、少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭素数8〜20の炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数12〜18の炭化水素基である。
なお、R〜R10のうち、炭素数8〜22の炭化水素基であるものの数は1〜4が好ましく、1〜2が特に好ましい。この場合、その他のR〜R10は、水素原子であることが好ましい。
式(1)において、炭素数が少なすぎると増ちょう剤の分散性を悪くする。また、炭素数が大きすぎると基油の流動性が悪くなる傾向がある。
また、本発明においては、基油の他の態様として、式(1)で表されるアルキル化ジフェニルエーテルを50質量%以上とポリアルキレングリコール又はその誘導体を50質量%以下含む混合物から成る基油を用いる。該アルキル化ジフェニルエーテルの含有割合は、好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは65質量%以上である。
上記ポリアルキレングリコールは、式(4)で表されるものが好ましい。
【0009】
【化7】
16O(CO)(C2PO)17    (4)
(式中、R16及びR17は水素原子又は炭素数1〜26の炭化水素基であり、pは3又は4の整数であり、m+nは6〜200であり、mとnの比は100:0〜0:100であり、(CO)と(C2PO)が共存する場合は両者の構造はランダムであってもよいし、ブロックであってもよい。)
式(4)において、m+nは、6〜200であるが、好ましくは8〜60であり、より好ましくは10〜50であり、特に好ましくは10〜40である。m+nが200を超えると、グリース組成物の低温性能、具体的には低温下での低トルク性が悪くなる。m+nが6未満であると、蒸発し易くなり、グリース組成物の高温下での耐熱性が悪くなる。mとnの比は、好ましくは1:9〜9:1であり、より好ましくは2:8〜8:2であり、特に好ましくは5:5〜8:2である。mの比率が高すぎると油との相溶性が悪くなる傾向があり、グリース化すると油分離が多くなる。nの比率が高すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
16及びR17は水素原子又は炭素数1〜26の炭化水素基であるが、好ましくは水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0010】
式(4)のポリアルキレングリコールは、炭素数1〜26の脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、アルキル置換フェノール、アルケニル置換フェノール等を出発原料として、これにエチレンオキシドを単独、或いはエチレンオキシドと炭素数3又は4のアルキレンオキシドをランダムないしブロック的に重合して得られるものか、或いはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの末端水酸基の水素を金属ナトリウムなどでナトリウム化した後、モノ又はジハロゲン化アルキル化合物を反応させることによって得られる。前記出発原料となるアルコール、フェノールの例としては、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、オレイルアルコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等がある。炭素数3又は4のアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドがある。
【0011】
ポリアルキレングリコールの誘導体としては、式(5)で表されるリン系ポリアルキレングリコール誘導体、式(6)及び(7)で表される環状エーテル系ポリアルキレングリコール誘導体、式(8)で表されるアミン系ポリアルキレングリコール誘導体などが挙げられる。
【化8】
Figure 2004059863
(式中、R18及びR19は水素原子又は炭素数8〜30の炭化水素基であり、p、qは0〜18の整数であり、pが0のときR18は水素原子であり、qが0のときR19は水素原子である。)
式(5)において、R18及びR19は水素原子又は炭素数8〜30の炭化水素基であるが、好ましくは水素原子又は炭素数8〜24の炭化水素基である。炭素数が少な過ぎると、グリース化した場合に油分離が大きくなる。炭素数が大き過ぎると、耐熱性が悪くなる傾向がある。p、qは0〜18の整数であるが、好ましくは0〜12の整数であり、特に好ましくは0〜10の整数である。p、qの数が大き過ぎると防錆性が悪くなる。
【0012】
【化9】
Figure 2004059863
(式中、R20は4〜30の炭化水素基であり、r、s、tは0〜18の整数である。)
式(6)及び式(7)において、R20は炭素数4〜30の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数8〜22の炭化水素基である。炭素数が少な過ぎると、グリース化した場合に油分離が大きくなる。炭素数が大き過ぎると、耐熱性が悪くなる傾向がある。r、s、tは0〜18の整数であるが、好ましくは2〜14の整数であり、特に好ましくは3〜12の整数である。また、r、s、tのうち、少なくとも1つは1〜18の整数である。r、s、tの数が大き過ぎると防錆性が悪くなる。
【0013】
【化10】
Figure 2004059863
(式中、R21は4〜18の炭化水素基であり、uは0〜5の整数であり、vは1〜5の整数である。)
式(8)において、R21は炭素数4〜18の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数8〜16の炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数8〜12の炭化水素基である。炭素数が少な過ぎると、グリース化した場合に油分離が大きくなる。炭素数が大き過ぎると、耐熱性が悪くなる傾向がある。uは0〜5の整数であるが、好ましくは0〜3の整数であり、特に好ましくは0〜2の整数である。vは1〜5の整数であるが、好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは1〜2の整数である。u、vの数が大き過ぎると防錆性が悪くなる。
なお、式(5)〜式(8)において、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであってもよい。
ポリアルキレングリコールの誘導体の含有量は、基油の他の態様として50質量%以下の割合であるが、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
ポリアルキレングリコール又はその誘導体の含有量の下限値は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特に好ましい。
【0014】
本発明においては、前記基油に、さらに、炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるネオペンチル型ポリオールエステル油又は炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油を、アルキル化ジフェニルエーテルとネオペンチル型ポリオールエステル油又はコンプレックス型ポリオールエステル油の質量比が、90〜10:10〜90の割合で含有する基油を用いると好ましい。
上記ネオペンチル型ポリオールエステル油を合成するために使用される炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸としては、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また、上記ネオペンチル型ポリオールエステル油を合成するために使用される3価又は4価の多価アルコールは、4価のアルコールが好ましく、その具体例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0015】
上記コンプレックス型ポリオールエステル油を合成するために使用される炭素数4〜18の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
高温下でのグリース寿命を格段に向上させるための基油の配合比は、アルキル化ジフェニルエーテルに対するネオペンチル型ポリオールエステル油又はコンプレックス型ポリオールエステル油の質量比で好ましくは90〜10:10〜90であり、更に好ましくは、80〜30:20〜70、より好ましくは、70〜30:30〜70である。
本発明においては、前記基油に、他の基油成分を含有させてもよい。他の基油成分の含有量は、30質量%以下にすることが好ましく、20質量%以下にすることが特に好ましい。
【0016】
本発明においてグリース増ちょう剤として使用されるN−置換テレフタラミン酸金属塩は、式(2)で表される。
式(2)において、R11は炭素数4〜22の炭化水素基であり、その炭素数は好ましくは8〜22、より好ましくは12〜22、特に好ましくは14〜20である。炭素数が少なすぎると増ちょう剤が基油に分散しにくく、基油が分離する傾向が生じる。また、炭素数が大きすぎるとせん断安定性が悪くなる傾向がある。R11の例としてはデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
Mは、金属であるが、その例としては周期律I族、II族、III族、及びIV族の金属が挙げられる。Mの具体例としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛などが挙げられる。特に好ましいのはナトリウム、バリウム、リチウム、カリウムであり、なかでもナトリウムが最も好ましい。
【0017】
本発明において、N−置換テレフタラミン酸金属塩から成る増ちょう剤の含有量は、2〜30質量%であり、好ましくは4〜15質量%である。N−置換テレフタラミン酸金属塩の含有量が少ないと、グリース組成物が柔らかく、一方、その含有量が多いとグリース組成物が硬くなり過ぎて、共にグリース状にならない。
本発明においては、増ちょう剤として、さらに、式(3)で表されるポリウレア化合物を含有し、N−置換テレフタラミン酸金属塩とポリウレア化合物との含有量比が、質量比で95〜50:5〜50であり、かつ混和ちょう度が130〜295の範囲にある増ちょう剤を用いることが好ましい。
式(3)において、yは0〜3の整数であるが、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。yが大きすぎると高せん断下でのグリース組成物の安定性が不足する。
【0018】
式(3)において、R12、R15は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであってもよい。R12、R15の好ましい炭素数は1〜30であり、さらに好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。R12、R15の例としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。
式(3)において、R13は、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素であるが、通常はジアミンが使用される。ジアミンの例としては、エチレンジアミン、オクチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジアニリンメタン、ジトルイジンメタン等がある。
式(3)において、R14は1〜30個の炭素原子を有する炭化水素であるが、通常はジイソシアネートが用いられる。ジイソシアネートの例としてはヘキシレンジイソシアネート、デシレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
上記式(3)のポリウレアは、モノアミン、モノイソシアネート、ジアミン、ジイソシアネートを適当な割合で反応させて調整することができる。例えば、式(3)のポリウレアは、モノアミンR12NHの1molとモノアミンR15NHの1molとジイソシアネートR13(NCO)の(x+1)molとジアミンR14(NHのxmolとを反応させるか、又はモノイソシアネートR12NCOの1molとモノイソシアネートR15NCOの1molとジアミンR14(NHの(x+1)molとジイソシアネートR13(NCO)のxmolとを反応させてつくることができる。ここで、mol数のxは、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0〜2であり、特に好ましくは0である。
【0020】
離油防止性を大幅に改善させるためには、混和ちょう度を130〜295とし、N−置換テレフタラミン酸金属塩とポリウレア化合物の配合比は、質量比で95〜50:5〜50であり、好ましくは、90〜60:10〜40、より好ましくは、80〜60:20〜40である。
混和ちょう度が295より高いと離油防止性が低下する。130より低いと低騒音性が悪くなる。
N−置換テレフタラミン酸金属塩とポリウレア化合物の配合比がこの範囲外であった場合、N−置換テレフタラミン酸金属塩が質量比で95より高いと離油防止性が低下する。また、50より低いと、低騒音性が低下する。
【0021】
本発明のグリース組成物は、上記各成分の基油と増ちょう剤を配合するものであるが、必要に応じて、各種添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤、亜鉛系、リン系、硫黄系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛などの極圧剤、ステアリン酸などのカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステル、リン酸エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤;シリコーン油などの各種消泡剤などが挙げられる。添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1〜11及び比較例1〜11)
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*16の成分を表1〜5に示した配合量(質量)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。*1〜*16のうちの増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*16の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*16の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれの混和ちょう度、耐熱性、音響特性、油分離性(高温離油度)について評価を行った。
【0023】
*1:アルキル化ジフェニルエーテル(商品名「モレスコハイルーブLB−100」、松村石油(株)製、式(1)におけるR〜R10のうち、2つは炭素数12〜18の炭化水素基であり、その他は水素原子である。)
*2:コンプレックス型ポリオールエステル(商品名「エフコルーブ 100Z」、アデカファインケミカル社製)
*3:PAG−A(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのモル比が3:1で、平均分子量が1400、両末端は水素原子であり、ランダム重合体であるポリアルキレングリコール、商品名「ユニルーブ75DE−25」、日本油脂(株)製)
*4:PAG−B(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのモル比が1:1で、平均分子量が1750、両末端は水素原子であり、ランダム重合体であるポリアルキレングリコール、商品名「ユニルーブ50DE−25」、日本油脂(株)製)
【0024】
*5:PE(ペンタエリスリトールのエステル部の原料として炭素数8〜10の脂肪族カルボン酸であるテトラエステル、商品名「アデカルーブ60Z−01A」、陽光産業社製)
*6:N−置換テレフタラミン酸ナトリウム(耐熱容器にアルキルジフェニルエーテルとN−オクタデシルテレフタラミン酸のメチルエステルを入れ、加熱溶解し、その後、100℃以下に冷却して50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、よく撹拌しながら徐々に加熱し、充分に鹸化を行い、鹸化終了後150℃において更に基油を加え最高温度180℃まで加熱し、その後60℃まで冷却して得られたN−オクタデシルテレフタラミン酸ナトリウム)
*7:脂環式ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら110℃に加熱して得られたジウレア)
*8:芳香族ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、パラトルイジンを約60℃付近で添加し、約40分反応させ、その後、撹拌しながら170℃まで加熱して得られたジウレア)
*9:脂肪族ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、ステアリルアミンを約60℃付近で添加し、約40分反応させ、その後、撹拌しながら170℃まで加熱して得られたジウレア)
【0025】
*10:PAN(フェニル−α−ナフチルアミン、商品名「ノクラックPA」、大内新興化学(株)製)
*11:水素化精製油(100℃の動粘度6mm/sの水素化精製鉱油)
*12:PAO(100℃の動粘度6mm/sのポリアルファオレフィン)
*13:DIOS(ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート)
*14:PAG誘導体(エチレンオキシドが3モル付加された炭素数12〜18の炭化水素基を有するリン系ポリアルキレングリコール誘導体)
*15:Liコンプレックス石けん(耐熱容器に基油と12−ヒドロキシステアレートを投入し加熱し、次に、水酸化リチウム水溶液を約80℃付近で添加し、鹸化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートを生成させ、さらに、約90℃付近で水酸化リチウムとアゼライン酸を加え約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石けんを生成させ、その後、これを加熱し、半溶融させた後急冷を行うことによって、リチウムコンプレックス石けんの結晶を最適なものとして、得られた、基油中に混合分散させたリチウム−12−ヒドロキシステアレート/アゼライン酸リチウムコンプレックス石けん)
*16:Li石けん(耐熱容器に基油と12−ヒドロキシステアレートを投入し加熱し、次に、水酸化リチウム水溶液を約70℃付近で添加し、鹸化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとして、得られた、基油中に均一に混合分散させたリチウム−12−ヒドロキシステアレート)
【0026】
(測定方法)
(1)混和ちょう度
JIS K 2220に基づき測定した。
(2)音響特性(低騒音性)
軸受けの音響特性を測定するのに一般的なアンデロンメータを用いて、低騒音性を測定した。アンデロンメータは、ベアリングの外輪を固定し、内輪を一定の速度で回転させたときに内部から外部に伝達される半径方向の振動成分を取り出し、スピーカーより音として出す装置である。具体的には、アンデロンメータの軸受けとしてJIS呼び番号608のベアリングを用い、グリースを0.3g充填し、回転数1800rpm、スラスト荷重2kgfで一分間回転させたときのハイバンドのアンデロン値を測定することにより行った。
音響特性(低騒音性)は、アンデロン値が低いほど、良好な結果である。
評価は、アンデロン値2.0未満を目標とし、下記の基準に従って行った。
○:アンデロン値が2.0未満である。
×:アンデロン値が2.0以上である。
【0027】
(3)耐熱性
薄膜加熱試験により耐熱性を測定した。具体的には、鋼板にグリースを3mmの厚さに均一に塗り、180℃の恒温槽で1000時間放置し、250、750及び1000時間経過後の混和ちょう度を測定した。本試験においては、グリースの劣化によりその混和ちょう度が硬くなる傾向にある。評価は、下記の基準に従って行った。
◎:1000時間まで、混和ちょう度が100以上である。
○:1000時間で混和ちょう度が100未満である。
△:750時間で混和ちょう度が100未満である。
×:250時間で混和ちょう度が100未満である。
(4)高温離油度試験
高温離油度試験は、JIS K2200の離油度試験方法に準拠して行ったが、試験条件として、150℃で48時間加熱し、グリース減失量(%)を求めた。
評価は、減失量4.0質量%未満を目標とし、下記の基準に従って行った。
○:減失量が4.0質量%未満である。
×:減失量が4.0質量%以上である。
【0028】
【表1】
Figure 2004059863
【0029】
【表2】
Figure 2004059863
【0030】
【表3】
Figure 2004059863
【0031】
【表4】
Figure 2004059863
【0032】
【発明の効果】
本発明のグリース組成物は、低騒音性及び耐熱性に優れている。従って、本発明のグリース組成物は、実用上極めて有用である。

Claims (3)

  1. 式(1)で表されるアルキル化ジフェニルエーテル又は該アルキル化ジフェニルエーテルを50質量%以上とポリアルキレングリコール若しくはその誘導体を50質量%以下含む混合物から成る基油と、式(2)で表されるN−置換テレフタラミン酸金属塩から成る増ちょう剤を2〜30質量%含有することを特徴とするグリース組成物。
    Figure 2004059863
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、R〜R10のうち、少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基である。)
    Figure 2004059863
    (式中、R11は炭素数4〜22の炭化水素基であり、Mは金属であり、xはMの原子価数に等しい数である。)
  2. さらに、炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるネオペンチル型ポリオールエステル油又は炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油を、アルキル化ジフェニルエーテルに対するネオペンチル型ポリオールエステル油又はコンプレックス型ポリオールエステル油の質量比が、90〜10:10〜90の割合で含有する請求項1に記載のグリース組成物。
  3. さらに、式(3)で表されるポリウレア化合物を含有し、N−置換テレフタラミン酸金属塩とポリウレア化合物との含有量比が、質量比で95〜50:5〜50であり、かつ混和ちょう度が130〜295の範囲にある請求項1又は2に記載のグリース組成物。
    Figure 2004059863
    (式中、yは0〜3の整数で、R12、R13、R14及びR15は炭素数1〜30の炭化水素基である。)
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