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JP2004059522A - 持続性ルチン製剤 - Google Patents

持続性ルチン製剤 Download PDF

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JP2004059522A
JP2004059522A JP2002221601A JP2002221601A JP2004059522A JP 2004059522 A JP2004059522 A JP 2004059522A JP 2002221601 A JP2002221601 A JP 2002221601A JP 2002221601 A JP2002221601 A JP 2002221601A JP 2004059522 A JP2004059522 A JP 2004059522A
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Japan
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rutin
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food
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Application number
JP2002221601A
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English (en)
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Kazuma Yoshizumi
吉積 一真
Taketoshi Takado
貴戸 武利
Takashi Yumoto
湯本 隆
Kayoko Shimoi
下位 香代子
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Fancl Corp
Toyo Sugar Refining Co Ltd
Original Assignee
Fancl Corp
Toyo Sugar Refining Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】長時間にわたって血中でのケルセチン抱合体濃度を維持し、投与回数を減少せしめることのできる持続性ルチン製剤、それらを含有する経口用組成物、食品又は医薬を提供すること。
【解決手段】酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物を含有することを特徴とする持続型ルチン製剤。本発明の製剤は、血中でのケルセチン抱合体濃度を長時間維持することができ、癌をはじめ動脈硬化、虚血性心疾患などの疾病の予防・治療を目的とした経口用組成物、食品又は医薬として有用である。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、持続性ルチン製剤に関する。更に詳細には、長時間にわたって血中でのケルセチン抱合体濃度を維持し、投与回数を減少せしめることのできる持続性ルチン製剤、それらを含有する経口用組成物、食品又は医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
動物性の脂質及びタンパク質の過剰摂取など食生活の欧米化に伴い、わが国では癌や心疾患による死亡率が増加している。そこで、高齢化社会の到来を目前にしてこれらの疾病の予防に役立つ食品に対する関心が高まっており、フラボノイドも期待される食品成分の一つであると考えられている。
【0003】
フラボノイドは広く植物に存在する二次代謝成分であり、C−C−C(Cは炭素原子を表す)(左よりA、C、B環と称す)の骨格を有するポリフェノール化合物である。植物ではフラボノイドの多くは、グルコースやラムノースが結合した配糖体として存在しているが、種子などには糖が結合していないアグリコンが多く存在する。植物におけるフラボノイドの生理機能としては、紫外線防御、ファイトアレキシン、花粉管の発芽、酸化抑制、植物−微生物間の相互シグナルなどが報告されている(高濱有明夫;食物とフラボノイド、活性酸素と医食同源(井上正康 編)共立出版、205−209(1996)、Lynn,D.G. and M.Chang;Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.,41,497−526(1990))。
【0004】
一方、フラボノイドの生体におよぼす作用としては、古くから脆弱化した毛細血管の補強作用(Rusznyak,S.and A.Szent−Gyogyi;Nature,138,27(1936))やストレプトゾトシン誘発糖尿病性白内障の抑制作用(Vama,S.D.ら;Science,195,205−206(1977))などが知られている。近年、in vitro試験系において、フラボノイドの抗炎症・抗アレルギー作用(Gabol,M.;In:V.Cody,E.Middlcton,Jr.and J.B.Harbone (Eds.),Alan.R.Liss.,471−480(1986))、キナーゼ(Akiyama,T.ら;J.Biol.Chem.,262,5592−5595(1987))、逆転写酵素(Ono,K.ら;Eur.J.Biochem.,190,469−476(1990))などの酵素阻害作用、抗酸化作用(Husain,S.ら;Pytochemistry,26,2489−2492(1987)、Terao,J.ら;Archiv.Biochem.Biophys.,308,278−284(1994)、Vinson,J.A.ら;J.Agric.Food.Chem.,43,2800−2802(1995))、抗変異原作用(Samejima,K.ら;J.Agric.Food Chem.,43,410−414(1995))、細胞周期抑制作用(Yoshida,M.ら;FEBS Lett.,260,10−13(1990))、悪性腫瘍細胞(乳癌、大腸癌、白血病など)の増殖抑制作用(Scambia,G.ら;Cancer Chemother.Pharmacol.,28,255−258(1991)、Kuo,S−M.;Cancer Lett.,110,41−48(1996)、Csokay,B.ら;LifeSci.,60,2157−2163(1997))、食細胞の活性化作用(国實秀和ら;薬学雑誌,115,749−755(1995))など数多くの作用が示されている。
【0005】
また、動物実験においても乳癌や大腸癌に対する発癌抑制作用(Verma,A.K.ら;Cancer Res.,48,5754−5788(1988)、Deschner,E.E.ら;Carcinogenesis,7,1193−1196(1991))や糖尿病発症抑制作用(Zarzuelo,A.ら;Life Sci.,58,2311−2316(1996))が報告されている。
【0006】
このようにフラボノイドは多機能性を有するために、癌をはじめ動脈硬化、虚血性心疾患などの疾病予防の観点から機能性食品成分として注目されるようになった。これら疾病の進展因子として活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレス亢進に伴う組織傷害が示唆されており、これらの観点からも、血中での有効成分の持続的な維持が必要と考えられる。
【0007】
ケルセチンは、レタス、ブロッコリー、タマネギなどの植物性食品に広く存在している典型的なフラボノール型フラボノイドであり、上述した種々の生理作用を示すことが明らかとなっている。また、ルチン(ケルセチン−3−ルチノシド)も重要なケルセチン配糖体の一つであり、ケルセチン同様、上述の種々の生理作用を示すと考えられている。
【0008】
近年、多くの研究者らによりこれらフラボノイドの代謝・吸収に関する研究が精力的になされ、ケルセチンはそのままの形で腸管より吸収され、一方、ルチンは、摂取し腸に達すると腸内細菌のもつβ−グルコシダーゼの作用を受けて、アグリコンであるケルセチンと糖に加水分解されてから吸収され、その後ケルセチンは、吸収される際に腸の上皮細胞でグルクロン酸抱合化を受けてケルセチン抱合体となり、門脈を経て肝臓に入り、さらに肝臓で硫酸抱合化、メチル化を受け、その後血流に入り末梢組織に移動し、最終的には腎臓を経て尿中に排泄されると考えられている(下位香代子;食品と開発,33(3),24−26(1998)、下位香代子、木苗直秀;食品と開発,35(6),8−10(2000)、寺尾純二;FOOD Style 21,4(4),81−84(2000))。
【0009】
しかしながら、ケルセチンやルチンを経口投与した場合、排泄が速く、また、投与量がある一定の濃度に達すると、それ以上の吸収は望めないことから、その生物学的利用価値が低下する。よって、種々の疾病の予防・治療上必要とされるケルセチン抱合体の血中濃度を長時間維持することは困難であった。このため、適当量を少量ずつ分割投与することがケルセチン抱合体の生物学的利用価値を高めるのに有効であるが、従来のケルセチン製剤やルチン製剤は短命的なものが殆どであり、ケルセチン抱合体の血中濃度の持続性は低く、このために投与回数を増やさなければならず、実際の服用に際してはコンプライアンスの点で問題があった。
それゆえに、このような欠点の無い、生物学的利用価値の高い持続性ルチン製剤の開発が強く要望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、長時間にわたって血中でのケルセチン抱合体濃度を維持し、投与回数を減少せしめることのできる持続性ルチン製剤、それらを含有する経口用組成物、食品又は医薬を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した問題点を解決するために鋭意研究を行った結果、酸化防止や色素の安定化、着色を目的として食品添加物に使用されている酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物に、血中でのケルセチン抱合体濃度を長時間維持することができ、投与回数を減少せしめることができることを見出し本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は
1.酵素処理ルチンを含有することを特徴とする持続性ルチン製剤、
2.酵素処理ルチン及びルチンを含有することを特徴とする持続性ルチン製剤、
3.酵素処理ルチンとルチンの混合比が重量比として0.01:99.99〜99.99:0.01であることを特徴とする2記載の持続性ルチン製剤。
4.1〜3の持続性ルチン製剤を少なくとも1種以上含有することを特徴とする経口用組成物、
5.食品である、4記載の経口用組成物、
6.医薬である、4記載の経口用組成物、
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する酵素処理ルチンとは、糖転移ルチンあるいは水溶性ルチンとも呼ばれるものである。代表的には、α−グルコシルルチンまたはα−グルコシルルチンとイソクエルシトリンとの混合物である。水への溶解度は極めて高く(約30g/水100g)、ルチン(約0.01g/水100g)の約3000倍の水溶性を有している。また、50%アルコールにも高濃度に溶解するという特徴を有している。さらに、酸性側での安定性が高く、pH3〜pH5では沸騰水中で1時間以上安定である。長期の保存も良好で、0.02%水溶液をpH3で室温及び屋外直射日光下にそれぞれ54日間放置しても成分変化は認められない。また、室温下2年間保存しても成分変化は認められない。また、フラボノール特有の紫外部吸収特性を有しており、UV−A(320nm〜400nm)に強い吸収がある。また、白黄色あるいは黄色を呈し、かすかに苦味を持つ粉末である。
【0014】
本発明の酵素処理ルチンは、例えば、以下のような方法で製造することができる。すなわち、ルチン(ケルセチン−3−ルチノース)とデキストリンの溶解液に、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させてデキストリンから糖をルチンに転移させ、精製して製造することができる。
また、酵素処理ルチンは、市販されているものを使用することができる。市販のものとしては、例えば、東洋精糖株式会社製のαG−ルチンPSあるいはαG−ルチンPを挙げることができる。
【0015】
本発明で使用するルチンは、精製ルチンあるいはルチン抽出物とも呼ばれるものであり、淡黄色の結晶性粉末で、水に対する溶解度は極めて低い(約0.01g/水100g)。また、その他の溶媒に対する溶解度は、水酸化ナトリウム溶液に溶け、ピリジンに溶け易く、メタノールにやや溶け易く、グリセリンにやや溶けにくく、アセトン、エーテルにほとんど溶けないという特徴を有している。
【0016】
ルチンは、例えば、以下のような方法で製造することができる。すなわち、乾燥させた槐米(エンジュの蕾)から石灰乳を用いてアルカリ抽出し乾燥させたものを、メタノールを用いて溶解させ、結晶化し、乾燥させることにより製造することができる。
ルチンは、市販されているものを使用することができる。市販のものとしては、例えば、東洋精糖株式会社製の精製ルチンあるいはアルプス薬品工業株式会社製のルチン抽出物を挙げることができる。
また、ルチンとしては、エンジュの槐花やソバの若葉などルチンを含有する植物の乾燥物あるいはその抽出物などルチンを含有しているものを使用でき、特に限定されるものではない。
【0017】
さらに、酵素処理ルチンとルチンの混合物も使用することができる。酵素処理ルチンとルチンの混合物の混合比率は特に限定されるものではないが、重量比で0.01:99.99〜99.99:0.01、好ましくは、3:7〜7:3であり、酵素処理ルチン単独で用いてもよい。また、ルチンの代わりに、ルチンを含有するエンジュの槐花やソバの若葉の乾燥物あるいはその抽出物などを用いても良い。
【0018】
これらの本発明による酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物が、血中でのケルセチン抱合体濃度を長時間維持することができることは、従来から全く知られておらず、本発明により得られた新知見である。
【0019】
酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物は、血中でのケルセチン抱合体濃度を長時間維持することができることから、癌をはじめ動脈硬化、虚血性心疾患などの疾病の予防・治療を目的とした食品又は医薬として使用可能である。
本発明の酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物を、癌、動脈硬化、虚血性心疾患などの疾病の予防・治療剤含有食品又は医薬として製造することができる。
【0020】
適用方法は、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0021】
食品としては、そのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめて、癌をはじめ動脈硬化、虚血性心疾患などの疾病の予防・治療に有用な保健用食品又は食品素材として食される。例えば、上述した適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、茶、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
【0022】
酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物の有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択・決定されるが、例えば、経口投与の場合、それぞれ一般に1日当たり、成人体重60kgと換算して、乾燥重量として10〜500mg程度、好ましくは、1日当たり50〜300mg程度とされ、1日に数回に分けて投与してもよい。
【0023】
酵素処理ルチンあるいは酵素処理ルチンとルチンの混合物は、その毒性は低く、例えば、ラットに酵素処理ルチンを42g/kgを経口投与し、投与後14日間観察した(急性毒性試験)が、死亡例は認められず、体重変化も観察されなかった。また、マウスに対して40mg/kg/dayを1ヶ月間連続経口投与においても何ら異常は認められなかった。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
[酵素処理ルチンの製造]
試薬ルチン(和光純薬工業株式会社製)を用い、特許第2926411号、第3155466号に基づき酵素処理ルチンを製造した。
ルチン1質量%及びデキストリン10質量%を80℃の熱水100質量%に混合して懸濁状のルチン高含有液とし、これにバチルス・ステアロサーモフィルス由来のシクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)をデキストリングラム当たり20単位加え、pH6.0、75℃にて攪拌しながら24時間反応させ、α−グルコシルルチンを生成させた。
【0025】
反応液を加熱して酵素を失活させ、pHを約5.0に調整し、これにα−グルコシルルチン当たり0.5%のグルコアミラーゼ(ナガセ産業株式会社製)と0.5%のヘスペリジナーゼ(田辺製薬株式会社製)を添加し、55℃にて攪拌しながら20時間反応させ、モノグルコシルルチンとイソケルシトリンを生成させた。
反応液を加熱して酵素を失活させ、ろ過後、ろ液を中間極性樹脂(商品名:アンバーライトXAD−7)の充填されたカラムに通液した。水洗いし、グルコースなどの夾雑物を除去した後、50v/v%エタノールで脱着し、これを濃縮・粉末化して、イソケルシトリン及びα−モノグルコシルルチン混合物を得た。
【0026】
この得られたイソケルシトリン及びα−モノグルコシルルチン混合物を高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式会社製:AS−950型、以下、HPLCと略す)を用いて分析を行ったところ、α−モノグルコシルルチンとイソケルシトリンとの重量比は、約5:1であった。以下、この混合物をαG−ルチンと称する。
【0027】
(HPLC条件)
試料濃度:1mg/ml
カラム:YMC−Pack ODS−AQ(250mm×4.6I.D.)
(株式会社ワイエムシイ製)
流速:0.5ml/min.
溶離液:水/メタノール/酢酸=65/30/5(v/v/v)
検出:UV 254nm
【0028】
製造例2
[ルチンの製造]
槐米(エンジュの蕾)を用い、以下の方法に基づきルチンを製造した。
すなわち、槐米を粉砕し蒸煮して天日乾燥させる。これを石灰乳を用いてアルカリ抽出し、塩酸(HCl)を加えて中和沈殿させた後にろ過し、酸洗浄して60〜80℃で約8時間熱風乾燥させた後に粉砕して粗ルチン抽出物を得た。
この得られた粗ルチン抽出物に、メタノールを加えて溶解させメタノール溶解液とし、このメタノール溶解液に活性炭を添加して、加圧・加温下でろ過することにより、結晶を得た。これを、さらに、ろ過、水洗を繰り返し行った後、50〜70℃で6時間、熱風乾燥させた後に粉砕することにより、ルチンを得た。
得られたルチンを、第八改正 日本薬局方に基づいてルチン含有量を測定したところ、無水物換算で95%以上であった。
【0029】
実施例1
[血中動態試験]
ラットを用いたαG−ルチン及びαG−ルチン+ルチンの単回投与後の血中動態試験は、藤田理英子らの方法(日本農芸化学会2001年度大会(京都、3月)講演要旨集,pp287)を一部改変して行った。
すなわち、5週齢のSprague−Dawley(SD)系ラット(体重範囲:110〜132g)を日本チャールズ・リバー株式会社より購入し、7日間の検疫を行い、検疫期間終了後実験に用いた。
群分けは、健康状態を評価し、健康な動物の中から体重の層別無作為化法により各群に配分した。投与日のラットの週齢は6週齢、体重範囲は145〜176gであった。
【0030】
動物は、温度22±3℃、相対湿度50±20%、換気回数10回以上/時間(オールフレッシュエアー方式)、照明12時間/日(午前6時より午後6時、照度150〜300ルクス)に設定した飼育室で、ステンレス製ラット用ブラケットケージに、1ケージ当たり1匹ずつ収容し飼育した。
飼料は、精製飼料(AIN−76A配合固形飼料、オリエンタル酵母株式会社)をケージ付属の給餌器により与え、入荷日から自由摂取させた。また、飲料水は自家用水道水をポリカーボネート製給水瓶により与え、自由摂取させた。
【0031】
群構成は、製造例1で得たαG−ルチン投与群、製造例2で得られたルチンと製造例1で得られたαG−ルチンの1:1(v/v)混合物(以下、αG−ルチン+ルチンと略す)投与群、及び比較対照として、ケルセチン(シグマ社製)投与群、製造例2で得られたルチン投与群の4群構成とした。
【0032】
被験物質の投与量は、それぞれ50μmol/kg体重となるように、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)水溶液に懸濁させて、ラット用経口ゾンデにて強制経口投与した。なお、動物は投与する約17時間前から絶食させ、投与後24時間の採血まで給餌は行わなかった。
採血は、被験物質投与前(以下、0時間とする)、投与後0.5、1、2、4、8、10、12、16、24時間目に頚静脈より採血及び24時間尿を採取して尿量を測定し、採血した血液はプラスチックチューブに入れ、氷冷し、ハイキャパシティ冷却遠心機(株式会社久保田製作所製)により遠心分離(3000rpm、4℃、約10分間)し、得られた血漿及び採取した24時間尿をプラスチック保存容器に入れ、分析まで、サンヨー超低温フリーザー(三洋電機株式会社製)にて冷凍(−80℃)保存した。なお、投与後24時間までの間に、各群の動物の一般状態に異常は認められなかった。
【0033】
得られた血漿あるいは尿0.5mlと1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)0.5mlをエッペンドルフチューブに取り、十分に攪拌した後に37℃で2分間、プレインキュベーションした。次ぎに、β−グルクロニダーゼ/スルファターゼ溶液(シグマ社製、Type H−2;10500units/ml,4300units/ml)を、それぞれ5.5×10units/ml,0.2×10units/mlになるように添加し、37℃で20分間インキュベーションした。その後、直ちに氷冷し、0.01M シュウ酸 0.5mlを加えて8000rpmで5分間遠心分離し、得られた上清を予めメタノールにて活性化させておいたSep−Pack C18 Cartridge(ウォーターズ社製)に注入し、0.01M シュウ酸 1ml、イオン交換水 10mlを順次に流して洗浄した。吸着物を25%メタノール 5ml、100%メタノール 5mlで溶出して試験管に分取した。これらをロータリーエバポレーター(EYELAN−2、東京理化器械株式会社製)を用いて減圧乾固し、残留物をメタノール100μlに溶解させ、15000rpm、0℃で2分間遠心分離(eppendolf centrifuge 5417R)し、得られた上清をHPLC用試料とし、以下に示すHPLC条件にて分析し、定量した。なお、本分析では、標準物質としてケルセチン、タマリキセチン(シグマ社製)及びイソラムネチン(シグマ社製)を用いてそれぞれ検量線を作成することにより定量し、ケルセチン抱合体、そのメチル化抱合体(イソラムネチン抱合体及びタマリキセチン抱合体)を併せてケルセチン代謝物として算出し、その結果を図1、図2及び表2に示した。
【0034】
(HPLC条件)
装置
ポンプ:JASCO PU−980     (日本分光株式会社製)
ミキサー:JASCO HG−980−30 (日本分光株式会社製)
カラムオーブン:JASCO CO−965 (日本分光株式会社製)
検出器:JASCO UV−970     (日本分光株式会社製)
カラム
:CAPCELL PACK C18−UG120 (250mm×4.6I.D.)
(株式会社資生堂製)
カラムオーブン:35℃
流速:1.0ml/min
検出:UV 372nm
注入量:10μl
溶離液
グラジエント条件:
A液 メタノール:水:酢酸=10:89:1(v/v/v)
B液 メタノール:水:酢酸=70:29:1(v/v/v)
A液とB液の混合比率は表1のとおり
【0035】
【表1】
Figure 2004059522
【0036】
【表2】
Figure 2004059522
【0037】
図1及び表2からもわかるように、本発明のαG−ルチン及びαG−ルチン+ルチンは、ケルセチンやルチンに比べ、血中でのケルセチン抱合体濃度を長時間維持することができることがわかる。
【0038】
以下に処方例を示す。
処方例1
[錠剤の製造]
製造例1で得られたαG−ルチンを用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。
(組    成)             (配合:質量%)
αG−ルチン                 24
乳糖                     63
コーンスターチ                12
グァーガム                   1
【0039】
処方例2
[ジュースの製造]
製造例1で得られたαG−ルチン及び製造例2で得られたルチンを1:1(v/v)混合物用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。
(組    成)             (配合:質量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁             5.0
果糖ブドウ糖液糖               11.0
クエン酸                    0.2
L−アスコルビン酸               0.02
香料                      0.2
色素                      0.1
αG−ルチン+ルチン              0.2
水                      83.28
【0040】
【発明の効果】本発明のαG−ルチンあるいはαG−ルチンとルチンの混合物は、血中でのケルセチン抱合体濃度を長時間維持することができることから、癌をはじめ動脈硬化、虚血性心疾患などの疾病の予防・治療を目的とした経口用組成物、食品又は医薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】αG−ルチン及びルチン+αG−ルチンの血中動態(ケルセチン抱合体)である。
【図2】αG−ルチン及びルチン+αG−ルチンの血中動態(メチル化抱合体)である。

Claims (6)

  1. 酵素処理ルチンを含有することを特徴とする持続性ルチン製剤。
  2. 酵素処理ルチン及びルチンを含有することを特徴とする持続性ルチン製剤。
  3. 酵素処理ルチンとルチンの混合比が重量比として0.01:99.99〜99.99:0.01であることを特徴とする請求項2記載の持続性ルチン製剤。
  4. 請求項1〜3の持続性ルチン製剤を少なくとも1種以上含有することを特徴とする経口用組成物。
  5. 食品である、請求項4記載の経口用組成物。
  6. 医薬である、請求項4記載の経口用組成物。
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