JP2004050062A - 触媒構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体において、接合強度が大きく、耐熱衝撃性を有する触媒構造を提供すること。
【解決手段】担体にU/CとW/Cとを積層して成り、U/CにW/C構成材料の平均粒径より大きい平均粒径を有し、U/Cに体積率5〜30%の割合で混入される有機物により空洞部を形成する触媒構造である。
担体にU/CとW/Cとを積層して成り、U/Cに窒化ケイ素、窒化ホウ素、シリカ、リチウムアルミノシリケート、アルミニウムシリケート及びアルミニウムチタネートなどの低膨張セラミックス材を含み、その平均粒径はU/C構成材料の平均粒径より大きく、U/Cに体積率5〜50%の割合で混入される触媒構造である。
【選択図】 図3
【解決手段】担体にU/CとW/Cとを積層して成り、U/CにW/C構成材料の平均粒径より大きい平均粒径を有し、U/Cに体積率5〜30%の割合で混入される有機物により空洞部を形成する触媒構造である。
担体にU/CとW/Cとを積層して成り、U/Cに窒化ケイ素、窒化ホウ素、シリカ、リチウムアルミノシリケート、アルミニウムシリケート及びアルミニウムチタネートなどの低膨張セラミックス材を含み、その平均粒径はU/C構成材料の平均粒径より大きく、U/Cに体積率5〜50%の割合で混入される触媒構造である。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒構造に係り、特に、流通するガスの濃度均等化及び触媒担体の保持構造に関し、例えば、自動車のエンジンなどから排出される排気ガスの浄化手段として好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体を使用した自動車排ガス浄化用触媒では、以下のような問題がある。
【0003】
ウォッシュコート層(以下「W/C」と記す)厚さが従来品(壁厚0.1mm以上、セル密度930Kcells/m2(600cpsi)以下)と比較して薄くなるため、排ガス浄化性能の耐久性が低下する。これを防止する一般的な手段として、図1に示すように、貴金属を担持していないAl2O3等をアンダーコート層(以下「U/C」と記す)としてコーティングした後、W/Cをコーティングする方法がある。
【0004】
また、U/C材にはAl2O3を用いるのが一般的であるが、この場合は、担体とU/C、W/Cの熱膨張差により剥離が増加する。更に、この熱膨張差により担体に亀裂が発生する場合もある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体において、接合強度が大きく、耐熱衝撃性を有する触媒構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アンダーコート層に空洞部を形成すること又は低熱膨張セラミックス材を含めることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【作用】
本発明の触媒構造では、アンダーコート層に空洞部を形成することにより、空洞にウォッシュコート層が入り込むため、アンカー効果が発揮されてアンダーコート層とウォッシュコート層との剥離が防止される。
また、本発明の触媒構造では、アンダーコート層に比較的粒径の大きい低膨張セラミックス材を含めることにより、アンカー効果が発揮され、アンダーコート層とウォッシュコート層との剥離が防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の触媒構造について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0009】
本発明の第1の触媒構造は、担体に、空洞部を有するアンダーコート層(以下「U/C」と記す)とウォッシュコート層(以下「W/C」と記す)とをこの順に積層して成る。
これより、例えば、図3に示すように、U/Cの表面に存在する空洞部にW/Cがめり込んでアンカーとして作用し、U/CからのW/Cの剥離が防止される。また、U/Cの内部に空洞部が存在することにより、熱膨張による体積の拡大が抑制される。
【0010】
ここで、上記空洞部は、U/Cに有機物を混ぜ込んでコーティングした後、例えば400℃で焼成し、該有機物を焼失させて形成する。このとき、有機物は、W/Cの構成材料の平均粒径より大きい平均粒径を有し、U/Cに体積率5〜30%の割合で混入される。5%未満ではアンカー効果が認められず、30%を超えると排気ガス浄化性能に悪影響を及ぼす。また、有機物の平均粒径は、5〜20μmであることが有効なアンカー効果を発揮させる面から好ましく、より好適には6〜15μm、更に好適には8〜12μmであることがよい。
かかる有機物としては、炭素、セルロース、有機化合物類又はプラスチック微粒子、及びこれらの任意の組合せに係るものを使用できる。
【0011】
次に、本発明の第2の触媒構造は、担体に、低膨張セラミックス材を含むU/CとW/Cとをこの順に積層して成る。
これより、例えば、図2に示すように、U/Cの表面に存在する低膨張セラミックス材がW/Cにめり込んでアンカー効果を発揮し、U/CからのW/Cの剥離が防止される。また、U/Cの内部に低膨張セラミックス材が存在することで、熱膨張による体積の拡大が抑制される。
【0012】
上記低膨張セラミックス材としては、窒化ケイ素、窒化ホウ素、シリカ、リチウムアルミノシリケート、アルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート、コーディエライト又はα−アルミナ、及びこれらの任意の組合せに係るものを使用する。これら以外では所望の熱膨張率が得られない。
また、上記低膨張セラミックス材は、その平均粒径をU/Cの構成材料の平均粒径より大きくし、U/Cに体積率5〜50%の割合で混入させる。5%未満ではアンカー効果が認められず、50%を超えると排ガス浄化性能に悪影響を及ぼす。
【0013】
更に、上記低膨張セラミックス材は、平均粒径を5〜20μmとして有効なアンカー効果を発揮させることが好ましく、より好適には6〜15μm、更に好適には8〜12μmであることがよい。
更にまた、第2の触媒構造において、上述の第1の触媒構造と同様な空洞部を設けること、即ちU/Cに混入した有機物を焼失させて得た空洞部を設けることもできる。
【0014】
更に、担体としては、耐熱性材料から成るハニカム状のモノリス担体やメタル担体を使用することができる。ハニカム状担体としては、一般にセラミックス等のコーディエライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料から成るハニカム状担体を用いることも可能であり、更には触媒材料粉末自体をハニカム状に成形してもよい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0016】
表1〜3に示す触媒構造を有する排気ガス浄化触媒を作製し、以下の評価試験を行った。
【0017】
(剥離性評価)
試料として各担体にコーティングしたハニカムを板金容器にパッケージして、入口排温800℃、20Gの加振力を与え、100h耐久を行った。耐久前後のハニカム重量を測定し、触媒ウォッシュコート重量減少分を触媒剥離量として測定した。
この結果、表1に示すように、触媒剥離量が低減され、ウォッシュコートの密着性が向上していることがわかる。
【0018】
(耐熱衝撃性評価)
触媒を750℃、850℃、950℃に保持した電気炉に入れ、20分間保持した後に取り出し、耐火レンガ上に置き室温まで冷却する。触媒の外観を観察し、クラックの有無と全周を金属棒で軽くたたいたときの打音を確認した。なお、打音が濁音であると触媒内部に剥離や亀裂が発生していることを示し、金属音であると触媒内部に剥離や亀裂が発生していないことを示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
(実施例1〜3及び比較例1、2)
実施例1〜3では、低膨張セラミックス材として、平均粒径10μmのαアルミナを、U/C中にそれぞれ5、25、50%含有させた。また、比較例1及び2では、当該αアルミナを、それぞれ2、75%含有させた。このときのW/Cの平均粒径は6.8μmであった。
表1に示すように、含有量2%では剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められない。5〜50%では剥離量、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。75%では、耐熱衝撃性には効果が認められたが、剥離量には効果がなかった。
よって、U/C中にはαアルミナを5〜50%含有するのがよいことがわかる。
【0023】
(実施例4〜6及び比較例4、5)
実施例4〜6では、低膨張セラミックス材として、平均粒径10μmのコージェライトを、U/C中にそれぞれ5、25、50%含有させた。また、比較例4及び5では、当該コージェライトを、それぞれ2、75%含有させた。
表1に示すように、含有量2%では剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められないし、5〜50%では剥離量、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。75%では、耐熱衝撃性には効果が認められたが、剥離量には効果がなかった。
よって、U/C中にはコージェライトを5〜50%含有するのがよいことがわかる。なお、実施例2、5及び7で同様の効果がみられることから、2種類の低膨張セラミックス材を混合させてもよい。
【0024】
(実施例5、9及び比較例6、7)
実施例5及び9では、低膨張セラミックス材として用いるコージェライトの粒径を10、15μmとした。また、比較例6及び7では、当該粒径を3、6μmとした。このとき、U/C構成材料の平均粒径は全て6.8μmであった。
U/C構成材料の平均粒径より当該コージェライトの平均粒径が小さい場合、剥離量と耐熱衝撃性に対して効果は認められない。大きくなると、剥離量、耐熱衝撃性に効果が確認される。
このように、コージェライトの平均粒径はU/C構成材料の平均粒径より大きくする必要があることがわかる。
【0025】
(実施例10〜13及び比較例8、9)
実施例10〜13では、有機物として、CをU/C中にそれぞれ5、10、15、30vol%含有させた。また、比較例8及び9では当該Cをそれぞれ1、50vol%含有させた。このとき、Cの平均粒径は10μmであり、W/C構成材料の平均粒径は6.8μmであった。
この結果、Cを1vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性に効果は認められなかった。5〜30vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。50vol%含有するときは耐熱衝撃性に効果はあるが剥離量に効果はなかった。
よって、U/C中にはCを5〜30%含有するのがよいことがわかる。
【0026】
(実施例14〜17及び比較例10、11)
実施例14〜17では、有機物として、セルロースをU/C中にそれぞれ5、10、15、30vol%含有させた。また、比較例10及び11では当該セルロースをそれぞれ1、50vol%含有させた。このとき、セルロースの平均粒径は10μmであり、W/C構成材料の平均粒径は6.8μmであった。
この結果、セルロースを1vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性に効果は認められなかった。5〜30vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。50vol%含有するときは耐熱衝撃性に効果はあるが剥離量に効果はなかった。
よって、U/C中にはセルロースを5〜30%含有するのがよいことがわかる。なお、実施例13、17、18を比較しても同様に効果が認められるため、2種類以上の有機物を含有してもよい。
【0027】
(実施例16、19、20及び比較例12)
実施例16、19及び20では、有機物として用いるセルロースの平均粒径を10、20、30μmとした。また、比較例12では、当該セルロースの平均粒径を5μmとした。このときのW/Cの平均粒径は6.8μmであった。
この結果、セルロースの平均粒径がW/Cの平均粒径より小さい場合は剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められなかった。一方、セルロースの平均粒径がW/Cより大きい場合は剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められた。
よって、セルロースの平均粒径はW/Cの平均粒径より大きくする必要があることがわかる。
【0028】
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記実施例では、壁厚75μm、セル密度1400Kcells/m2の結果であるが、壁厚75μm以下、セル密度1400Kcells/m2以上でも同様の効果が得られる。また、実施例はPd/Rh系で行ったが、Pt/Pd/Rh系でも同様の効果が得られる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、アンダーコート層に空洞部を形成すること又は低熱膨張セラミックス材を含めることとしたため、壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体において、接合強度が大きく、耐熱衝撃性を有する触媒構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の排気ガス浄化触媒の積層構造の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の触媒構造(低膨張セラミックス材を用いる)の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の触媒構造の他の例(有機物を用いる)を示す概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒構造に係り、特に、流通するガスの濃度均等化及び触媒担体の保持構造に関し、例えば、自動車のエンジンなどから排出される排気ガスの浄化手段として好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体を使用した自動車排ガス浄化用触媒では、以下のような問題がある。
【0003】
ウォッシュコート層(以下「W/C」と記す)厚さが従来品(壁厚0.1mm以上、セル密度930Kcells/m2(600cpsi)以下)と比較して薄くなるため、排ガス浄化性能の耐久性が低下する。これを防止する一般的な手段として、図1に示すように、貴金属を担持していないAl2O3等をアンダーコート層(以下「U/C」と記す)としてコーティングした後、W/Cをコーティングする方法がある。
【0004】
また、U/C材にはAl2O3を用いるのが一般的であるが、この場合は、担体とU/C、W/Cの熱膨張差により剥離が増加する。更に、この熱膨張差により担体に亀裂が発生する場合もある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体において、接合強度が大きく、耐熱衝撃性を有する触媒構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アンダーコート層に空洞部を形成すること又は低熱膨張セラミックス材を含めることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【作用】
本発明の触媒構造では、アンダーコート層に空洞部を形成することにより、空洞にウォッシュコート層が入り込むため、アンカー効果が発揮されてアンダーコート層とウォッシュコート層との剥離が防止される。
また、本発明の触媒構造では、アンダーコート層に比較的粒径の大きい低膨張セラミックス材を含めることにより、アンカー効果が発揮され、アンダーコート層とウォッシュコート層との剥離が防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の触媒構造について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0009】
本発明の第1の触媒構造は、担体に、空洞部を有するアンダーコート層(以下「U/C」と記す)とウォッシュコート層(以下「W/C」と記す)とをこの順に積層して成る。
これより、例えば、図3に示すように、U/Cの表面に存在する空洞部にW/Cがめり込んでアンカーとして作用し、U/CからのW/Cの剥離が防止される。また、U/Cの内部に空洞部が存在することにより、熱膨張による体積の拡大が抑制される。
【0010】
ここで、上記空洞部は、U/Cに有機物を混ぜ込んでコーティングした後、例えば400℃で焼成し、該有機物を焼失させて形成する。このとき、有機物は、W/Cの構成材料の平均粒径より大きい平均粒径を有し、U/Cに体積率5〜30%の割合で混入される。5%未満ではアンカー効果が認められず、30%を超えると排気ガス浄化性能に悪影響を及ぼす。また、有機物の平均粒径は、5〜20μmであることが有効なアンカー効果を発揮させる面から好ましく、より好適には6〜15μm、更に好適には8〜12μmであることがよい。
かかる有機物としては、炭素、セルロース、有機化合物類又はプラスチック微粒子、及びこれらの任意の組合せに係るものを使用できる。
【0011】
次に、本発明の第2の触媒構造は、担体に、低膨張セラミックス材を含むU/CとW/Cとをこの順に積層して成る。
これより、例えば、図2に示すように、U/Cの表面に存在する低膨張セラミックス材がW/Cにめり込んでアンカー効果を発揮し、U/CからのW/Cの剥離が防止される。また、U/Cの内部に低膨張セラミックス材が存在することで、熱膨張による体積の拡大が抑制される。
【0012】
上記低膨張セラミックス材としては、窒化ケイ素、窒化ホウ素、シリカ、リチウムアルミノシリケート、アルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート、コーディエライト又はα−アルミナ、及びこれらの任意の組合せに係るものを使用する。これら以外では所望の熱膨張率が得られない。
また、上記低膨張セラミックス材は、その平均粒径をU/Cの構成材料の平均粒径より大きくし、U/Cに体積率5〜50%の割合で混入させる。5%未満ではアンカー効果が認められず、50%を超えると排ガス浄化性能に悪影響を及ぼす。
【0013】
更に、上記低膨張セラミックス材は、平均粒径を5〜20μmとして有効なアンカー効果を発揮させることが好ましく、より好適には6〜15μm、更に好適には8〜12μmであることがよい。
更にまた、第2の触媒構造において、上述の第1の触媒構造と同様な空洞部を設けること、即ちU/Cに混入した有機物を焼失させて得た空洞部を設けることもできる。
【0014】
更に、担体としては、耐熱性材料から成るハニカム状のモノリス担体やメタル担体を使用することができる。ハニカム状担体としては、一般にセラミックス等のコーディエライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料から成るハニカム状担体を用いることも可能であり、更には触媒材料粉末自体をハニカム状に成形してもよい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0016】
表1〜3に示す触媒構造を有する排気ガス浄化触媒を作製し、以下の評価試験を行った。
【0017】
(剥離性評価)
試料として各担体にコーティングしたハニカムを板金容器にパッケージして、入口排温800℃、20Gの加振力を与え、100h耐久を行った。耐久前後のハニカム重量を測定し、触媒ウォッシュコート重量減少分を触媒剥離量として測定した。
この結果、表1に示すように、触媒剥離量が低減され、ウォッシュコートの密着性が向上していることがわかる。
【0018】
(耐熱衝撃性評価)
触媒を750℃、850℃、950℃に保持した電気炉に入れ、20分間保持した後に取り出し、耐火レンガ上に置き室温まで冷却する。触媒の外観を観察し、クラックの有無と全周を金属棒で軽くたたいたときの打音を確認した。なお、打音が濁音であると触媒内部に剥離や亀裂が発生していることを示し、金属音であると触媒内部に剥離や亀裂が発生していないことを示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
(実施例1〜3及び比較例1、2)
実施例1〜3では、低膨張セラミックス材として、平均粒径10μmのαアルミナを、U/C中にそれぞれ5、25、50%含有させた。また、比較例1及び2では、当該αアルミナを、それぞれ2、75%含有させた。このときのW/Cの平均粒径は6.8μmであった。
表1に示すように、含有量2%では剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められない。5〜50%では剥離量、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。75%では、耐熱衝撃性には効果が認められたが、剥離量には効果がなかった。
よって、U/C中にはαアルミナを5〜50%含有するのがよいことがわかる。
【0023】
(実施例4〜6及び比較例4、5)
実施例4〜6では、低膨張セラミックス材として、平均粒径10μmのコージェライトを、U/C中にそれぞれ5、25、50%含有させた。また、比較例4及び5では、当該コージェライトを、それぞれ2、75%含有させた。
表1に示すように、含有量2%では剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められないし、5〜50%では剥離量、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。75%では、耐熱衝撃性には効果が認められたが、剥離量には効果がなかった。
よって、U/C中にはコージェライトを5〜50%含有するのがよいことがわかる。なお、実施例2、5及び7で同様の効果がみられることから、2種類の低膨張セラミックス材を混合させてもよい。
【0024】
(実施例5、9及び比較例6、7)
実施例5及び9では、低膨張セラミックス材として用いるコージェライトの粒径を10、15μmとした。また、比較例6及び7では、当該粒径を3、6μmとした。このとき、U/C構成材料の平均粒径は全て6.8μmであった。
U/C構成材料の平均粒径より当該コージェライトの平均粒径が小さい場合、剥離量と耐熱衝撃性に対して効果は認められない。大きくなると、剥離量、耐熱衝撃性に効果が確認される。
このように、コージェライトの平均粒径はU/C構成材料の平均粒径より大きくする必要があることがわかる。
【0025】
(実施例10〜13及び比較例8、9)
実施例10〜13では、有機物として、CをU/C中にそれぞれ5、10、15、30vol%含有させた。また、比較例8及び9では当該Cをそれぞれ1、50vol%含有させた。このとき、Cの平均粒径は10μmであり、W/C構成材料の平均粒径は6.8μmであった。
この結果、Cを1vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性に効果は認められなかった。5〜30vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。50vol%含有するときは耐熱衝撃性に効果はあるが剥離量に効果はなかった。
よって、U/C中にはCを5〜30%含有するのがよいことがわかる。
【0026】
(実施例14〜17及び比較例10、11)
実施例14〜17では、有機物として、セルロースをU/C中にそれぞれ5、10、15、30vol%含有させた。また、比較例10及び11では当該セルロースをそれぞれ1、50vol%含有させた。このとき、セルロースの平均粒径は10μmであり、W/C構成材料の平均粒径は6.8μmであった。
この結果、セルロースを1vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性に効果は認められなかった。5〜30vol%含有するときは剥離性、耐熱衝撃性ともに効果が確認された。50vol%含有するときは耐熱衝撃性に効果はあるが剥離量に効果はなかった。
よって、U/C中にはセルロースを5〜30%含有するのがよいことがわかる。なお、実施例13、17、18を比較しても同様に効果が認められるため、2種類以上の有機物を含有してもよい。
【0027】
(実施例16、19、20及び比較例12)
実施例16、19及び20では、有機物として用いるセルロースの平均粒径を10、20、30μmとした。また、比較例12では、当該セルロースの平均粒径を5μmとした。このときのW/Cの平均粒径は6.8μmであった。
この結果、セルロースの平均粒径がW/Cの平均粒径より小さい場合は剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められなかった。一方、セルロースの平均粒径がW/Cより大きい場合は剥離量、耐熱衝撃性に効果が認められた。
よって、セルロースの平均粒径はW/Cの平均粒径より大きくする必要があることがわかる。
【0028】
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記実施例では、壁厚75μm、セル密度1400Kcells/m2の結果であるが、壁厚75μm以下、セル密度1400Kcells/m2以上でも同様の効果が得られる。また、実施例はPd/Rh系で行ったが、Pt/Pd/Rh系でも同様の効果が得られる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、アンダーコート層に空洞部を形成すること又は低熱膨張セラミックス材を含めることとしたため、壁厚0.075mm以下で且つセル密度1400Kcells/m2(900cpsi)以上のセラミックス担体において、接合強度が大きく、耐熱衝撃性を有する触媒構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の排気ガス浄化触媒の積層構造の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の触媒構造(低膨張セラミックス材を用いる)の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の触媒構造の他の例(有機物を用いる)を示す概略図である。
Claims (5)
- 担体に、空洞部を有するアンダーコート層とウォッシュコート層とをこの順に積層して成る触媒構造であって、
上記空洞部は、該アンダーコート層に混入した有機物が焼失することにより形成され、
上記有機物は、該ウォッシュコート層の構成材料の平均粒径より大きい平均粒径を有し、該アンダーコート層に体積率5〜30%の割合で混入されることを特徴とする触媒構造。 - 上記有機物の平均粒径が5〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の触媒構造。
- 担体に、低膨張セラミックス材を含むアンダーコート層とウォッシュコート層とをこの順に積層して成る触媒構造であって、
上記低膨張セラミックス材は、窒化ケイ素、窒化ホウ素、シリカ、リチウムアルミノシリケート、アルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート、コーディエライト及びα−アルミナから成る群より選ばれる少なくとも1種のものであり、その平均粒径は該アンダーコート層の構成材料の平均粒径より大きく、アンダーコート層に体積率5〜50%の割合で混入されることを特徴とする触媒構造。 - 上記低膨張セラミックス材の平均粒径が5〜20μmであることを特徴とする請求項3に記載の触媒構造。
- アンダーコート層が、混入する有機物を焼失させて形成した空洞部を有し、該有機物はウォッシュコート層の構成材料の平均粒径より大きい平均粒径を有し、該アンダーコート層に体積率5〜30%の割合で混入されることを特徴とする請求項3又は4に記載の触媒構造。
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JP2002211335A JP2004050062A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 触媒構造 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1634646A1 (de) * | 2004-09-13 | 2006-03-15 | Mangold, Matthias | Herstellungsverfahren für ein Abgasreinigungsmittel und Abgasreinigungsmittel |
JP2008538323A (ja) * | 2005-04-22 | 2008-10-23 | ウーデ・ゲーエムベーハー | 触媒コーティングした担体、その生産方法、それを含む反応器、およびその使用 |
JP2015188820A (ja) * | 2014-03-28 | 2015-11-02 | 株式会社日本触媒 | 水素製造用触媒及び該触媒を用いた水素製造方法 |
-
2002
- 2002-07-19 JP JP2002211335A patent/JP2004050062A/ja active Pending
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