JP2004044787A - 軸受軌道部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定形状に加工した軌道部材用のブランクBを熱処理して少なくとも軌道部1cを硬化させた後、当該軌道部1cを研削する。その後、当該軌道部1cにローラバニシング加工を施して、軌道部1cの表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上に加工硬化させる。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
この発明は、機械構造用炭素鋼からなる軸受軌道部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、転がり軸受の軌道輪のような軌道部材の素材としては、一般に軸受鋼や浸炭鋼等の軸受用鋼が用いられている。ところが、前記軸受用鋼は高価であることから、転がり軸受の製造コストが高くつくという問題があった。そこで、価格が比較的安いS45CやS55C等の機械構造用炭素鋼によって軌道部材を形成することが一部で行われている。しかし、この場合には、軌道部の焼入硬さが軸受用鋼と比べて低く、その疲労強度を十分に確保することができないので、軌道部材の寿命が短いという問題があった。
この発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、機械構造用炭素鋼からなる軸受軌道部材の長寿命化を図ることができる軸受軌道部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためのこの発明の軸受軌道部材の製造方法は、所定形状に加工した機械構造用炭素鋼からなる軌道部材用のブランクを熱処理して、少なくとも軌道部を硬化させた後、当該軌道部を旋削又は研削によって仕上げ、さらに当該軌道部にローラバニシング加工を施して、軌道部の表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上に加工硬化させることを特徴としている(請求項1)。
【0004】
この軸受軌道部材の製造方法によれば、軌道部材の軌道部にローラバニシング加工を施して、軌道部の表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上にしているので、当該ローラバニシング加工によって軌道部に残留圧縮応力が生じるとともに、その表面粗さが向上する点と相まって、ローラバニシング加工を施していない従来品と比べて軌道部の疲労強度を高めることができる。
【0005】
前記軸受軌道部材の製造方法においては、含有炭素量が0.42重量%以上の機械構造用炭素鋼を用いてもよく(請求項2)、この場合は従来の軸受用鋼にほぼ匹敵する疲労強度を発揮することができる。
前記軸受軌道部材の製造方法においては、前記ローラバニシング加工によって、軌道部の表面から少なくとも0.15mmの深さの残留圧縮応力を、800MPa以上にするのが好ましい(請求項3)。この場合には、前記従来品と比べて軌道部の疲労強度をより効果的に高めることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の一実施形態にかかる軸受軌道部材の製造方法を示す工程図である。この製造方法は、深溝玉軸受の軌道部材としての内輪1の製造に適用されるものであり、まず、機械構造用炭素鋼であるS55Cからなる環状素材A(図1(a)参照)に旋削加工を施して、端面1a、外周1b、軌道部1c及び内周1d等を所定形状に加工する(図1(b)参照)。次に、この旋削加工されたブランクBをいわゆるズブ焼入によって熱処理して、HRC55程度の硬さに硬化させる(図1(c)参照)。その後、熱処理が完了したブランクBの端面1a、軌道部1c及び内周1dを、研削によって所定精度に仕上げる(図1(d)参照)。
【0007】
研削による仕上げ加工が完了すると、前記軌道部1cの表面にローラバニシング加工(ディープローリング加工)を施す(図1(e)参照)。このローラバニシング加工は、油圧で保持されたセラミックス製の鏡面ボールCを、軌道部1cの表面に強圧で押し付けて転がり接触させながら、軌道部1cの軸方向断面に沿って移動させるものである。このローラバニシング加工においては、軌道部1cの表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上に加工硬化させるとともに、軌道部1cの表面から少なくとも0.15mmの深さの残留圧縮応力が800MPa以上、より好ましくは、表面から少なくとも0.2mmの深さにおいても残留圧縮応力が800MPa以上となるように、そのバニシング量や加圧力等の加工条件を選択する。
【0008】
図2は前記ローラバニシング加工後における軌道部1cの表面からの各深さにおける硬さを測定した結果を示すグラフ図であり、図3は前記軌道部1cの表面からの各深さにおける残留圧縮応力を測定した結果を示すグラフ図である。これら各図には、比較のために軌道部に高周波焼入処理したもの、及び軌道部にショットピーニングを施したものの測定結果も併せて記載している。
【0009】
図2より明らかなように、ローラバニシング加工後の軌道部1cは、その表面から少なくとも0.2mmの深さにおいて、Hv800以上の硬さが確保されており、高周波焼入品及びショットピーニング品よりも大幅に硬くなっている。また、図3より明らかなように、前記軌道部1cは、その表面から少なくとも0.15mmの深さにおいて、800MPa以上の残留圧縮応力が生じており、しかも、ショットピーニング品に比べて約2倍の深さまで加工硬化が生じている。
さらに、前記ローラバニシング加工によって軌道部1cの表面粗さを小さくすることができる。この表面粗さは本願発明者の試験によれば、最大高さ粗さ(Rmax)で加工前の1/2以下にできることが確認されている。
【0010】
前記の製造方法によって得られた内輪1は、ローラバニシング加工によって軌道部1cの表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上に加工硬化させているので、軌道部1cの表面の粗さが小さくなる点と相まって、ローラバニシング加工を施していない従来品と比べて軌道部1cの疲労強度を効果的に高めることができる。特に、前記実施の形態の形態においては、軌道部1cの表面から少なくとも0.15mmの深さの残留圧縮応力を800MPa以上としているので、軌道部1cの疲労強度をより効果的に高めることができる。したがって、前記内輪1を組み込んだ深溝玉軸受の寿命を従来品に比べて大幅に延ばすことができる。具体的には、前記内輪1を軸受型番6206の内輪に適用して、清浄油中において寿命試験を行った結果、軸受鋼(SUJ−2)からなる同型番の軸受にほぼ匹敵する寿命を発揮し得ることが確認されている。
【0011】
この発明に用いる軌道部材の素材としては、種々の機械構造用炭素鋼を用いることができるが、特に、S45C、S50C、S55C等、含有炭素量が0.42重量%以上のものを用いる場合には、軸受鋼や浸炭鋼等の軸受用鋼からなる転がり軸受にほぼ匹敵する寿命を発揮することができる。
また、前記ブランクBの焼入は高周波焼入で行ってもよく、この場合には、少なくとも軌道部1cを焼入硬化させればよい。
さらに、この発明の製造方法は、転がり軸受の内輪だけでなく、外輪の製造方法としても勿論適用して実施することができる。
また、この発明は、例えば鉄鋼機械用のドライブシャフトに用いられる十字継手の内輪としての十字軸や外輪としてのカップのような、高圧条件で使用される軌道部を備える種々の軸受軌道部材の製造方法として好適に用いられる。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の軸受軌道部材の製造方法によれば、軌道部材の軌道部にローラバニシング加工を施して、軌道部の表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上にしているので、軌道部に残留圧縮応力を付与し、軌道部の表面の粗さを向上させ得る点と相まって、ローラバニシング加工を施していない従来品と比べて軌道部の疲労強度を高めることができ、ひいては軌道部材の長寿命化を図ることができる。
【0013】
請求項2記載の軸受軌道部材の製造方法によれば、安価な材料で軸受用鋼からなる転がり軸受にほぼ匹敵する寿命を確保することができる。
請求項3記載の軸受軌道部材の製造方法によれば、従来品と比べて軌道部の疲労強度をより効果的に高めることができ、軌道部材の長寿命化をより効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の軸受軌道部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図2】軌道部の表面からの各深さにおける硬さを測定した結果を示すグラフ図である。
【図3】軌道部の表面からの各深さにおける残留圧縮応力を測定した結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 内輪
1c 軌道部
B ブランク
Claims (3)
- 所定形状に加工した機械構造用炭素鋼からなる軌道部材用のブランクを熱処理して、少なくとも軌道部を硬化させた後、当該軌道部を旋削又は研削によって仕上げ、さらに当該軌道部にローラバニシング加工を施して、軌道部の表面から少なくとも0.2mmの深さの硬さをHv800以上に加工硬化させることを特徴とする軸受軌道部材の製造方法。
- 含有炭素量が0.42重量%以上の機械構造用炭素鋼を用いる請求項1記載の軸受軌道部材の製造方法。
- 前記ローラバニシング加工によって、軌道部の表面から少なくとも0.15mmの深さの残留圧縮応力を、800MPa以上にする請求項1記載の軸受軌道部材の製造方法。
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2003
- 2003-05-12 JP JP2003133429A patent/JP2004044787A/ja active Pending
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