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JP2004042604A - 昇華転写インクジェット記録方法 - Google Patents

昇華転写インクジェット記録方法 Download PDF

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JP2004042604A
JP2004042604A JP2003102906A JP2003102906A JP2004042604A JP 2004042604 A JP2004042604 A JP 2004042604A JP 2003102906 A JP2003102906 A JP 2003102906A JP 2003102906 A JP2003102906 A JP 2003102906A JP 2004042604 A JP2004042604 A JP 2004042604A
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transfer
ink
dye
intermediate transfer
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Application number
JP2003102906A
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Hiroto Nakamura
中 村 弘 人
Hidehiko Komatsu
小 松 英 彦
Akio Owatari
大 渡 章 夫
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】インクジェット記録用インク組成物に求められる吐出安定性や、にじみの無い画像を実現できる性能を良好にし、かつ昇華転写により良好な画像が実現できるインク組成物およびそれを用いた昇華転写インクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】熱転移性染料、グリコールエーテル、アセチレングリコール系界面活性剤、および水を少なくとも含有してなるインク組成物あり、このインク組成物を用いてインクジェット記録方法により中間転写媒体上に潜像を印刷し、該中間転写媒体を転写目的物の表面に載せ、前記熱転移性染料を昇華させ前記転写目的物の表面に付着させるのに十分な温度および時間で前記中間転写媒体を加熱することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華転写インクジェット記録方法およびそれに用いられるインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を被記録体表面に記録する方法である。このインクジェット記録方式には、大別して二つの方式がある。第一の方式としては、ノズルとノズル前方に設置された電極間に強電解を与えてインクの着弾位置を制御するコンティニアスタイプが挙げられる。この方式は主に工業用途に使われてきた。第二の方式としては、近年インクジェットプリンタとして広くに搭載されるドロップオンデマンドタイプが挙げられる。この方式は、電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、ノズルヘッド部分に貯えたインクを選択的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させて、その泡による体積膨張で断続的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法として実用化されている。
【0003】
この様なインクジェット記録方式を、転写捺染方法や昇華転写方法に応用する提案がなされている。
例えば、特公昭60−42317号公報は、インキ浸透防止層を有する支持体上に、昇華性染料とトリエチレングリコールとを含むインキをインクジェット方式により転写画像として形成させ、次いで、この転写画像を形成させた支持体を被捺染物上に載置し、加熱処理を施し、ポリエステル繊維などに画像を転写する方法が開示されている。
【0004】
また、米国特許第5488907号明細書には、熱活性染料と、この染料をシールドする少なくとも1つの乳化強化剤、及び少なくとも一つの溶媒からなるインクをインクジェット記録方法により記録媒体上に印刷を行い、その後、このメディア上の印字物を熱活性染料の活性温度以上に加熱して、目的物上に画像を転写させる方式が開示されている。
【0005】
近年、インクジェット記録方法、特にドロップオンデマンド方式においては、その技術革新が目覚しい。例えば、インク吐出ヘッドノズルの高密度化による印字画像の高解像度化、さらには多ノズル化やインク吐出周波数の高周波数化による画像書き込み速度の高速化が図られている。従って、昇華転写インクジェット記録方法にあっても、このような高解像度および高速化に対応したインク組成物が求められていると言える。
【0006】
【発明の概要】
本発明者等は、今般、特定組成のインク組成物によれば、昇華転写インクジェット記録方法において高品質の画像を転写目的物に形成可能であるとの知見を得た。より詳細には、本発明者らは、良好な吐出安定性を有し、かつ昇華転写された場合に良好な画像が実現できるインク組成物を見出した。
【0007】
従って、本発明は、インクジェット記録用インク組成物に求められる種々の性能(例えば、吐出安定性に優れ、にじみの無い画像を実現できる)を良好に満足し、かつ昇華転写により良好な画像が実現できるインク組成物の提供をその目的としている。
また本発明は、良好な画像が実現可能な昇華転写インクジェット記録方法の提供をその目的としている。
【0008】
そして、本発明によるインク組成物は、昇華転写インクジェット記録方法に用いられるものであって、熱転移性染料、グリコールエーテル、アセチレングリコール系界面活性剤、および水を少なくとも含有してなるものである。
【0009】
また、本発明による昇華転写インクジェット記録方法は、熱転移性染料を含んでなるインク組成物をインクジェット記録方法により中間転写媒体上に潜像を印刷し、該中間転写媒体を転写目的物の表面に載せ、前記熱転移性染料を昇華させ前記転写目的物の表面に付着させるのに十分な温度および時間、前記中間転写媒体を加熱することを含んでなる方法であって、インク組成物として上記のインク組成物を用いるものである。
【0010】
【発明の具体的説明】
インク組成物
本発明によるインク組成物は、熱転移性染料、グリコールエーテル、アセチレングリコール系界面活性剤、および水を少なくとも含有してなる。
【0011】
熱転移性染料
本発明によるインク組成物が用いられる昇華転写方法の詳細は後記する通りであるが、この方法は分散染料を用いるキャリア染色法(繊維の分子隙間を拡大させ、染料をフンデルワールス力または水素結合力で染色させる)の応用であるため、本発明にあっては熱転位性染料は分散染料が好ましく用いられる。さらに分散染料に加えて、アゾイック染料、建染染料、またはカチオン染料の一部も、適切な温度域で昇華転写が可能である限り、本発明において利用することが出来る。 熱転移性染料の好ましい例としては、(1)C.Iディスパーズイエロー1、3、4、5、7、8、31、33、39、42、54、60、61、64、83、124;(2)C.Iディスパーズレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、31、32、33、34、35、36、52、54、55、56、58、60、72、73、76、80、84、88、91、92、93、99、111、113、135、204、205、206、207、224、225、227、239、240;(3)C.Iディスパーズブルー20、26、54、55、56、58、60、61、62、64、72、79、81、85、87、90、91、92、94、97、98、99、103、104、105、106、108、128、148、149、176、186、187、193、194、195、197、201、205、207、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227等の分散染料を例示することが出来る。その他の例としては、建染染料として C.Iバットレッド41等が挙げられる。
また、熱転位性染料としてブラックを使用する場合には、配合分散染料を使用するのが好ましい。
【0012】
本発明によるインク組成物は、アセチレングリコール系界面活性剤を含んでなる。アセチレングリコール系界面活性剤の添加することにより、インクの泡立ち性を少なくする効果がある。従って、本発明にあっては、このようにアセチレングリコール系界面活性剤を使用することにより、インク吐出ヘッド中での泡の発生に起因するインク吐出不良を低減させることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、後述するグリコールエーテル系溶剤と併用することにより、インクの記録紙への浸透性を高め、かつ画像の不均一な滲み(カラーブリード)を抑えることができる。
【0013】
アセチレングリコール系界面活性剤の好ましい例としては、サーフィノール104、420、440、465、485、504、61、DF−110D、DF−210、DF−37、DF−58、DF−75、SF−F、TG、GA、CT−111、CT−136、CT−151、PSA−204、PSA−216、PSA−336、OP−340、OP−350、104S、DF−110S(サーフィノールは、エアプロダクツ社の商品名である)が挙げられる。このサーフィノールは水溶性から油性まで各種存在する。本発明においては、インクの紙への浸透性制御やインク吐出ヘッドのノズル面の濡れ性、インク中への安定溶解の観点から、サーフィノールを適宜選択し、かつその添加量を決定することが望ましい。その添加量は一般的には0.01〜5重量%程度であり、好ましくは0.1〜3重量%程度である。
【0014】
本発明によるインク組成物は、グリコールエーテルを含んでなる。グリコールエーテルは、アセチレングリコール系界面活性剤と併用することにより、インクの記録紙への浸透性を高め、画像の不均一な滲み(カラーブリード)を抑えることができる。
【0015】
本発明のインクジェットインクに含有されるグリコールエーテルの好ましい例としては、(ジ、トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(モノ、ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル、(ジ、トリ)エチレングリコールモノ(ペンチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコール(モノ、ジ)エチレングリコールモノ(ブチル、ペンチル、ヘキシル)エーテル、エチレングリコール(モノ、ジ)プロピレングリコールモノ(ブチル、ペンチル、ヘキシル)エーテルからなる群より選択される一種または二種以上の混合物が挙げられる。
【0016】
グリコールエーテルは水溶性が低いため、添加量が多いと常温で相分離してしまうことがあり、その場合インク中に多量に含ませることができないことがある。そこで、高水溶性のグリコールエーテルや有機溶剤を同時に添加することにより、低水溶性グリコールエーテルの添加量を増やすこともできる。
【0017】
グリコールエーテルの添加量は適宜決定されてよいが、5〜20重量%程度が好ましい。この範囲にあることで、インク組成物の中間転写媒体(例えば紙)への良好な浸透性を確保でき、またインクジェット記録方法に適した粘度とすることができる。
【0018】
また、本発明によるインク組成物には、さらに浸透性を制御する目的で、あるいは熱転移性染料の安定性を高める目的で、更にはアセチレングリコール系界面活性剤およびグリコールエーテルのインク中での溶解度を向上させる目的で、種々の水溶性界面活性剤を添加することができる。
【0019】
水溶性界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系界面活性剤;その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などが挙げられる。 水溶性界面活性剤の添加量は3重量%以下であることが好ましい。添加量がこの範囲にあることで、インク組成物の泡立ちおよびインクの増粘を抑制でき、またインク吐出ヘッドのノズル部の不均一な濡れに起因する不安定的な吐出を有効に防止できる。
【0020】
また、本発明によるインク組成物は、乾燥によるノズルの閉塞を抑えるために水溶性のグリコール類をさらに含んでなることができる。グリコール類の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0021】
また、本発明によるインク組成物は、水溶性のグリコール類と同様の目的で、糖類をさらに含んでなることができる。糖類としては、単糖類および多糖類が使用可能である。これらの具体的な例としては、グルコース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。さらに、アルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類も前記糖類として使用することができる。糖類の添加量は、0.05重量%以上20重量%以下であることが好ましい。この添加量であると、ノズルの閉塞を有効に防止でき、さらに、インク組成物の粘度を適性な範囲におくことが出来る。単糖類および多糖類(例えば、グルコース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等)のより好ましい添加量は3〜10重量%である。また、アルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を使用する場合には、添加量によりインク組成物の粘度が高くなり過ぎることがあるためその添加量には留意が必要であることがある。
【0022】
本発明によるインク組成物は、必要に応じて、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、および/またはノズルの目詰まり防止剤等の添加剤をさらに用いることができ、そのような使用される添加剤の種類は適宜決定することができる。例えば防腐剤・防カビ剤の使用を希望する場合には、防腐剤・防カビ剤として、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、および/または1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などを添加してもよい。
【0023】
本発明によるインク組成物は、その表面張力が5〜45℃で20〜40mN/mとされることが好ましい。5〜45℃はプリンターの実使用温度であり、表面張力が上記範囲にあることで安定した印字が可能となり、さらに画像のにじみを有効に抑制することが可能となる。
【0024】
また、本発明によるインク組成物は、その粘度が5〜45℃で2〜10mPa・sとされることが好ましい。粘度が上記範囲にあることで、飛行曲がりのない印字が可能となり、またエネルギー効率よくインクジェット記録方法による印字が可能となる。
【0025】
昇華転写インクジェット記録
本発明によるインク組成物は、昇華転写インクジェット記録方法に用いられる。ここで、昇華転写インクジェット記録方法は、好ましくは熱転移性染料を含んでなるインク組成物をインクジェット記録方法により中間転写媒体上に潜像を印刷し、この中間転写媒体を転写目的物の表面に載せ、熱転移性染料を昇華させ転写目的物の表面に付着させるのに十分な温度および時間、中間転写媒体を加熱することを含んでなる方法である。
【0026】
本発明において、中間転写媒体はインク組成物による潜像を保持し、さらに転写目的物に良好に昇華転写が可能である限り限定されないが、紙が好ましく用いられる。本発明の好ましい態様によれば、インク受容層などが設けられたインクジェット記録方法に適した性能となるように製造されたインクジェット記録用専用紙の利用が好ましい。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、中間転写媒体として、それにに付着したインク滴が2秒以内に浸透するものを利用することが好ましい。浸透が2秒以内に完了するインク組成物および中間転写媒体を用いることにより、にじみの少ない潜像の形成が可能となる。
【0028】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、中間転写媒体が紙であり、その5×10−3mm当たりのインク付着量を160ng以下とすることにより色境界 領域での色混じりの無い良好な潜像が形成可能である。
中間転写媒体に潜像を形成した後、この中間転写媒体を転写目的物に載せ、好ましくは密着させ、加熱して潜像を転写目的物に転写する。
【0029】
本発明において転写目的物は、熱転移性染料が定着可能なものである限り、特に限定されず、布、金属、陶磁器、プラスチック、セラミック、コンクリート基材などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明において用いられる熱転移性染料は、ポリエステル、アセテート、およびナイロンに対して染色性がある。従って、転写目的物はこれらを含んでなるものであることが、発色性および色濃度の観点から好ましい。より好ましくは、これらの含有率が50重量%を越える布、例えば綿との混合布である。また、本発明の別の好ましい態様によれば、ポリエステル、アセテート、およびナイロンを少なくとも50重量%以上含んでなる物質により転写目的物がコーティングされてなることが好ましい。
【0030】
また、本発明の好ましい態様によれば、中間転写媒体に形成された潜像中の熱転移性染料の全重量の10%以上が転写目的物に転写されることが良好な発色性および色濃度の観点から好ましい。
【0031】
中間転写媒体が載せられた転写目的物の加熱は、好ましくは熱転移性染料の熱活性温度以上の温度で行われる。上記した熱転移性染料の多くは100〜200℃に熱活性温度を有することから、その加熱はこの温度以上、好ましくは120〜160℃程度の温度で行われることが好ましい。また、転写時間は適宜決定されてよいが、一般的には10〜300秒であり、より好ましくは60〜120秒である。
【0032】
更に、本発明の好ましい態様によれば、加熱工程は、中間転写媒体を転写目的物上に載せた後、中間転写媒体と転写目的物とを室温から熱転移性染料の熱活性温度まで昇温させる工程と、熱転移性染料の熱活性温度以上に保持する工程と、その後それらを熱転移性染料の熱活性温度から室温まで降温させる工程とからなる。本発明の更に好ましい態様によれば、中間転写媒体と転写目的物とを室温から熱転移性染料の熱活性温度まで昇温させる工程に要する時間が、熱転移性染料の熱活性温度以上に保持する工程の時間よりも長いことが、良好な転写が実現できる観点から好ましい。
【0033】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、上記加熱をマイクロ波の照射により実施することが可能である。マイクロ波の照射は簡便には電子レンジで実施でき、例えば家庭内においても簡単に実施出来る点で有利である。
また、このマイクロ波による熱転移性染料の昇華転写は、本発明の別の態様を形成する。すなわち、本発明によれば、熱転移性染料を含んでなるインク組成物により中間転写媒体上に潜像を印刷し、該中間転写媒体を転写目的物の表面に載せ、前記熱転移性染料を昇華させ前記転写目的物の表面に付着させるのに十分な時間、前記中間転写媒体にマイクロ波を照射することを含んでなる記録方法が提供される。また、この態様においてインク組成物の中間転写媒体への印刷はインクジェット記録方法により行われてよい。さらに、この態様において、マイクロ波の照射中、中間転写媒体の過度の乾燥を防止するため、潜像を印刷した中間転写媒体の裏面に保湿性液を塗布した後に、マイクロ波を照射することが好ましい。この保湿性液は、保湿剤であるグリセリン、糖類などと水とから基本的になるものである。
【0034】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下において添加量は有効成分の重量をインク組成物に対する重量%で表した。
【0035】
インク組成物の調製
下記の組成を有する実施例1〜6のインク組成物を調製した。
Figure 2004042604
Yellow SE−5G(住友化学社)は粉体であるため、予めポリオキシエチレン(n=8)ノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩を染料に対して20重量部加えて、ディスパーザーミルで分散して用いた。得られたインク組成物の20℃における粘度は4.5mPa・sであり、表面張力は32mN/mであった。
【0036】
Figure 2004042604
得られたインク組成物の20℃における粘度は4.3mPa・sであり、表面張力は31mN/mであった。
【0037】
実施例3
染料としてBrilliant Blue S−BL(住友化学社)4.5重量%を用いた以外は、実施例2と同様の組成のインク組成物を得た。得られたインク組成物の20℃における粘度は4.6mPa・sであり、表面張力は32mN/mであった。
【0038】
Figure 2004042604
Miketon Polyester Yellow 4G(三井化学社)は粉体であるため、実施例1と同様に、予めポリオキシエチレン(n=8)ノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩を染料に対して20重量部加えて、ディスパーザーミルで分散して用いた。得られたインク組成物の20℃における粘度は4.8mPa・sであり、表面張力は30mN/mであった。
【0039】
実施例5
染料としてMiketon Polyester BrilliantBlue BG(三井化学社)を用いた以外は実施例4と同様の組成のインク組成物を得た。
得られたインク組成物の20℃における粘度は4.6mPa・sであり、表面張力は30mN/mであった。
【0040】
実施例6
染料としてMiketon Polyester Red FB(三井化学社)を用いた以外は実施例4と同様の組成のインク組成物得た。
得られたインク組成物の20℃における粘度は5.1mPa・sであり、表面張力は30mN/mであった。
【0041】
以上のようにして得た実施例1〜6を以下のように評価した。
評価試験1:記録紙上での画像の滲み
実施例1〜6のインク組成物をインクジェットプリンタ−MJ−930C(セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填し、スーパーファイン専用紙(MJA4SP1、セイコーエプソン社製)に印字した。得られた画像のイエロー、マゼンタおよびシアンの単色でベタパターンを印字して、色境界領域での色交じりの有無を観察した。画像の滲みを以下の基準で評価した。
評価A:全てのインク組成物において、プリンタの純正インク組成物による印字と同等である。
評価B:一部のインク組成物において、プリンタの純正インク組成物による印字には観察されない色交じりが発生する。
【0042】
その結果は以下の通りであった。
Figure 2004042604
【0043】
上記印字において記録紙へのインク組成物の浸透完了する時間は、インクが着弾してから2秒以内であった。
また、評価に用いたインクジェットプリンタMJ−930Cのヘッド電圧を増減させることにより、実施例1〜3のインク組成物のインク滴量を変化させて、得られた画像の滲みを調べた。その結果、記録紙の5×10−3mm当たりのイ ンク組成物の打ち込み量を160ng以下とする、色境界領域での色交じりがなく記録紙上で良好な潜像形成が可能であった。
以上より、目的物への高品位な画像の昇華転写が期待できた。
【0044】
評価試験2:インク吐出安定性
上記評価試験1と同様のインクジェットプリンタにより、罫線パターンのA4紙500枚の連続印字を行い、その間の飛行曲がりおよびドット抜けを調べた。その結果を以下の基準で評価した。
【0045】
なお、ここでドット抜けとはインク吐出ヘッドのノズルで目詰まりを起こす等の原因により罫線が切れる印字状況をいい、また飛行曲がりとは各罫線間距離が大きくなったり小さくなったりすることをいう。
ドット抜け
評価A:全てのインク組成物において、発生頻度がプリンタ純正インク組成物による印字と同等である。
評価B:一部のインク組成物において、発生頻度がプリンタ純正インク組成物による印字の場合の1.5倍以上である。
飛行曲がり
評価A:全てのインク組成物において、発生頻度がプリンタ純正インク組成物による印字と同等である。
評価B:一部のインク組成物において、発生頻度がプリンタ純正インク組成物による印字の場合の1.5倍以上である。
【0046】
Figure 2004042604
【0047】
評価試験3:昇華転写試験(その1)
評価試験1と同様のプリンタおよび記録紙上に潜像を形成させ、次いでこの記録紙上の潜像を転写目的物に昇華転写し、転写されたインクの発色性を調べた。
転写目的の布帛として以下のものを用いた。
試験布1:綿とポリエステル、混合比率30:70
試験布2:綿とポリエステル、混合比率50:50
試験布3:綿とポリエステル、混合比率70:30
試験布4:綿とナイロン、混合比率30:70
試験布5:綿とナイロン、混合比率50:50
試験布6:綿とナイロン、混合比率70:30
試験布7:綿とアセテート、混合比率30:70
試験布8:綿とアセテート、混合比率50:50
試験布9:綿とアセテート、混合比率70:30
【0048】
加熱処理をズボンプレス機により行った。温度を約180℃〜200℃に設定し(実施例1〜6中の熱転移性の熱活性温度は約110〜150℃である)、押圧を200g/cmに設定した。また、加熱時間は2分とした。
転写目的物上に転写されたインク組成物の発色をOD値の値により、次の基準で評価した。
評価A:全てのインク組成物について、OD値が1.5以上である。
評価B:一部のインク組成物について、OD値が1.5未満である。
【0049】
その結果は、以下の表に示される通りであった。
Figure 2004042604
【0050】
評価試験4:昇華転写実験(その2)
転写目的物を変えた以外は、上記評価試験3と同様にして昇華転写実験を実施した。
転写目的物として、ポリエステルフィルム(厚み50μm)、およびセラミックタイル(厚み4mm)にポリエステル膜を形成させたものを使用した。
ズボンプレス機の温度は約160℃〜170℃に設定し、押圧を200g/cmと設定した。さらに線状の熱電対を記録紙と目的物の間に設置して、温度変化を測定した。なお、本実験ではインク組成物として実施例1のインク組成物を用い、画像が完全に乾燥した状態の記録紙を使用した。
【0051】
試験の詳細および結果は以下の通りであった。
【0052】
ポリエステルフィルムの場合
記録紙をポリエステルフィルムに重ねあわせた状態で150℃以上の温度に達するまでに約3秒程度を要し、さらにその後90秒間、加温(150℃〜170℃)した。その後ズボンプレサーから目的物を取り出し、室温下に置くことによって冷却した。その温度が110℃以下に冷えるまで約10秒を要した。
【0053】
得られた画像は、記録紙上に形成した潜像と同様のにじみの少ない品質ものが実現でき、発色性も良好であった。また、昇華転写前後の記録紙と目的物の重量を測定することより、潜像として記録紙上に形成された熱転移性染料の約28%が目的物に転写されたことが確認された。
【0054】
熱転移性染料の熱活性温度以上の温度に保持する転写時間をさらに短くして実験を行った。その結果、転写時間60秒では、染料の転写量は21%であり発色性も良好であった。転写時間45秒では、染料の転写量は10%であり発色性は良好であった。しかし、OD値は転写時間が60秒以上の場合と比較して、低い値となった。さらに転写時間30秒とした場合は、転写量が6%となり、OD値は実用上不十分な値となった。
【0055】
ポリエステル膜を形成させたセラミックタイルの場合
記録紙をセラミックタイルに重ねあわせた状態で150℃以上の温度に達するまでに約60秒程度を要し、さらにその後300秒間、加温(150℃〜170℃)した。その後ズボンプレサーから目的物を取り出し、室温下に置くことによって冷却した。その温度が110℃以下に冷えるまで約90秒を要した。
【0056】
得られた画像は、記録紙上に形成した潜像と同様のにじみの少ない品質ものが実現でき、発色性も良好であった。また、昇華転写前後の記録紙と目的物の重量を測定することより、潜像として記録紙上に形成された熱転移性染料の約32%が目的物に転写されたことが確認された。
【0057】
熱転移性染料の熱活性温度以上の温度に保持する転写時間をさらに短くして実験を行った。その結果、転写時間150秒では、染料の転写量は10%であり発色性も良好であった。しかし、OD値は転写時間が300秒以上の場合と比較して、低い値となった。さらに転写時間を短くした場合、転写量が10%未満となり、OD値は実用上不十分な値となった。
【0058】
評価試験5:マイクロ波を利用した昇華転写
上記評価試験1と同様にして潜像を記録した記録紙を得た。本実験ではインク組成物として実施例2のインク組成物を用いた。記録紙の裏面に、グリセリン30重量%、水60重量%、およびマルチトール10重量%からなる水性保湿液を塗布した。
【0059】
次いで、ポリエチレン製のマグカップにこの記録紙の記録面を、ゴムバンドにより圧して(平均押圧80g/cm)貼り付けた。これを電子レンジ中に置き、3分間マイクロ波を照射した。その後、ゴムバンドをはずし、記録紙を剥離した。その結果、マグカップ表面上には高画質な画像が転写されていることが確認された。

Claims (3)

  1. 熱転移性染料を含んでなるインク組成物により中間転写媒体上に潜像を印刷し、該中間転写媒体を転写目的物の表面に載せ、前記熱転移性染料を昇華させ前記転写目的物の表面に付着させるのに十分な時間、前記中間転写媒体にマイクロ波を照射することを含んでなる、記録方法。
  2. 前記インク組成物の中間転写媒体への印刷がインクジェット記録方法により行われる、請求項1に記載の記録方法。
  3. 潜像を印刷した中間転写媒体の裏面に保湿性液を塗布した後に、マイクロ波を照射する、請求項1または2に記載の記録方法。
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