[go: up one dir, main page]

JP2004042492A - 化粧板およびその製造方法 - Google Patents

化粧板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004042492A
JP2004042492A JP2002204352A JP2002204352A JP2004042492A JP 2004042492 A JP2004042492 A JP 2004042492A JP 2002204352 A JP2002204352 A JP 2002204352A JP 2002204352 A JP2002204352 A JP 2002204352A JP 2004042492 A JP2004042492 A JP 2004042492A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
adhesive
decorative
paper
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002204352A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4508520B2 (ja
Inventor
Katsura Yamaguchi
山口 桂
Kazuhiro Takahashi
高橋 一弘
Masao Yagasaki
矢ヶ崎 正夫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konishi Co Ltd
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Konishi Co Ltd
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konishi Co Ltd, Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Konishi Co Ltd
Priority to JP2002204352A priority Critical patent/JP4508520B2/ja
Publication of JP2004042492A publication Critical patent/JP2004042492A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4508520B2 publication Critical patent/JP4508520B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Finished Plywoods (AREA)
  • Veneer Processing And Manufacture Of Plywood (AREA)
  • Finishing Walls (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】表面硬度および表面の耐熱性が良好で、かつ廃棄の際の問題もなく対環境性という面でも良好な化粧材を提供することを課題とする。
【解決手段】紙質化粧材を、化粧板用基材上に、接着剤を介して被着してなる化粧板であって、前記接着剤は、ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜が、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度となる水性接着剤であることを特徴とする化粧板。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧板およびその製造方法に関するものである。詳しく述べると本発明は、良好な表面硬度を有すると共に、製造時における作業性が良く、かつ廃棄の際の問題の少ない化粧板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家具、建築物の内装やキャビネット等を作成するための化粧板として、MDF、パーティクルボード、合板等の木質基板、ダイライト等の無機板などの基板に表面材である化粧材をラミネートしたメラミン化粧板、ダップ化粧板、ポリエステル化粧板等いわゆる合成樹脂化粧板が多用されている。
【0003】
一般的に、メラミン化粧板は、表面層としてメラミン樹脂含浸紙を、フェノール樹脂含浸紙を裏打ち材として使用(さらに必要に応じて1乃至複数の紙材等を積層することは可能である。)し、合板などの基材の上に積層し、例えば、DAP樹脂(ジアリルフタレート)樹脂を用いて、高圧熱プレスによって製造される。
【0004】
また、一般的に、ダップ化粧板は、熱硬化性樹脂の含浸性が良い紙材に、印刷後、DAP樹脂を含浸させ、乾燥させておき、これを上から、鏡面板、含浸ポリエステル紙材、基材の順に重ね合わせ、高温、高圧でプレスして積層板を作製する。
【0005】
さらにフィルム法によるポリエステル化粧板は、合板などの木質基材の上に印刷した化粧材を貼り合わせ、その上にポリエステル樹脂を塗った後、表面をフィルムで覆い樹脂を硬化させて成型する方法によって作製される。
【0006】
しかしながら、これらの化粧板は、その表面に形成される樹脂層が比較的厚く、廃棄の際、環境への配慮から、基材部分と表面の樹脂層を分離して処分する必要があり、この廃棄処理が煩雑となるため問題となっている。
【0007】
また、これらの化粧板は、フェノール樹脂及びジアリルフタレート樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂が含浸された裏打ち材ないしコア材を用いるため、材料が高価になるものであった。すなわち、これらはフェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂のプリプレグを含浸した後乾燥させるため工程が多くなりコスト高となるためであった。
【0008】
一方、基板表面に酢酸ビニルエマルジョンやエチレンビニルアルコール等の水性接着剤を使用して、化粧紙や化粧シートを接着してなる化粧板も知られている。
【0009】
このような化粧板は、上記したようなメラミン化粧板等におけるような問題は生じないが、このような水性接着剤を用いて製造された化粧板は、表面硬度が十分に向上せず、異物との接触により表面に傷、窪み等が付きやすく、また、例えば、テーブルの天板等の用とを想定した場合における表面の耐熱性という面でも十分なものでなく、その用途が限定されるものであった。
【0010】
また、使用される化粧紙自体の耐摩耗性を向上させる方法としては、例えば、特許第2740943号に開示されるように、架橋性樹脂からなるバインダーと該架橋性樹脂よりも高硬度の球状粒子とを含有する塗工組成物を塗布して樹脂被覆層を形成する方法が知られている。このようにして得られた化粧紙を用いれば、前記したような、酢酸ビニルエマルジョンやエチレンビニルアルコール等の水性接着剤を使用して化粧紙を被着してなる化粧板においても、表面硬度が向上することが期待できるが、改善の余地が残るものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、良好な表面硬度、表面耐熱性を有し、製造時における作業性が良く、かつ廃棄の際の問題の少ない化粧板およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、紙質化粧材を、化粧板用基材上に、接着剤を介して被着してなる化粧板であって、前記接着剤は、ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜が、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度となる水性接着剤であることを特徴とする化粧板により達成される。
【0013】
本発明の一実施形態においては、前記接着剤は、乾燥後に10〜100g/mとなる塗布量で塗布されているものである化粧板が示される。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態においては、さらに、前記接着剤が、メチロール基およびアセトアセチル基からなる群から選ばれた少なくともいずれかの反応性基を有する水性接着剤である化粧板が示される。
【0015】
本発明のさらに好ましい一実施形態おいては、さらに前記水性接着剤が、ポリビニルアルコールおよび分子内にメチロール基を有する酢酸ビニル系ポリマーを含むエマルジョンに、有機酸、酸性金属塩、および無機酸から選ばれた少なくとも1種以上の硬化剤を配合した水性接着剤である化粧板が示される。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態おいてはまた、紙質化粧材が、予め表面に樹脂被覆層を形成してなるプレコート紙、より好ましくは、前記樹脂被覆層が、架橋性樹脂からなるバインダーと該架橋性樹脂よりも高硬度の球状粒子とを含有する塗工組成物から形成されたものである化粧板が示される。
【0017】
上記課題は、また、ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜がJIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度となる水性接着剤を、化粧板用基材と紙質化粧材との接合界面に配し、加熱加圧して接着剤を硬化させることよりなる、化粧板の製造方法によっても達成される。
【0018】
本発明方法の一実施形態においては、前記水性接着剤が、乾燥後に10〜100g/mとなる塗布量で塗布されることを化粧板の製造方法が示される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の化粧板の一実施形態の構成を模式的に表す断面図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の化粧板においては、紙質化粧材10が、化粧板用基材20上に、接着剤30を介して被着されてなるものである。なお、この実施形態においては、紙質化粧材10は、原紙11表面に所定の絵柄12が設けられ、さらにその上に樹脂被覆層13が形成されている。
接着剤
本発明の化粧板において用いられる接着剤30は、ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜が、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上、より好ましくは、4H以上の硬度となる水性接着剤である。なお、本明細書における「水性接着剤」には、水溶性接着剤および水分散性接着剤が含まれるものである。
【0022】
本明細書における、この鉛筆硬度試験の評価方法は、詳細には次のとおりである。すなわち、平滑なガラス基板上に当該接着剤を塗布し、130℃で5分間硬化させて、100μm程度の厚さの硬化被膜を形成する。この硬化被膜を、常温(23℃±3℃)で1時間冷却し、常温(23℃±3℃)にて、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験(8.4.1 試験機法)を行う。試験の後、押し当てた鉛筆の芯の形の窪みが被膜に形成されているか否かを、斜め前方から光を当て、目視および指での触感により確認し、5本引いた線のうち、2本以上に窪みができていた場合には、その鉛筆硬度は不合格と判定し、窪みが全く見られないか1本においてのみ窪みが確認された場合にはその鉛筆硬度は合格と判定するものである。
【0023】
なお、本発明者らが行った試験においては、サンプルピッチ(長さ方向の解像度)5μm、深さ方向の解像度0.0333μmの接触式表面粗さ計による表面測定で、深さが5μm程度以上あると、上記したような鉛筆硬度試験における目視および指での触感によっても確実に窪みとして識別が可能であった。ただし、目視では擦り跡が確認できるにもかかわらず、指での触感および上記表面測定では確認できない場合もあり、この場合は目視による結果に従って窪み有りと判定した。また、擦り跡が特定の角度でのみ確認できる場合があったが、これは基本的にJISに従って鉛筆の移動方向と垂直に板面に対し45度の角度からみての擦り跡の有無によって判断した。
【0024】
このように本発明においては、水性接着剤を用いて化粧板を製造するにおいて、水性接着剤としてそれ自体の形成被膜の表面硬度が所定値以上のものを用いることによって、最終的に得られる化粧板の表面硬度が非常に高く、耐熱性においても十分であり、また製造時における作業性が高いという製品を得ることができたものである。
【0025】
このようなJIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上となる水性接着剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、メチロール基およびアセトアセチル基からなる群から選ばれた少なくともいずれかの反応性基を有する水性接着剤が例示できる。
【0026】
メチロール基を有する接着剤としては、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂等の樹脂単独あるいはこれらをポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコール、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリオレフィン樹脂等に配合したもの、さらにN−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を含有するモノマーを酢酸ビニルと共重合させたポリマーエマルジョンを主成分とするものなどが挙げられる。
【0027】
アセトアセチル基を有する化合物としては、例えば、(a)ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉などの水溶性高分子化合物をアセトアセチル化した、水性溶液の形態としての、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース、アセトアセチル化澱粉などが、また、(b)アセトアセチル基を含有する単量体、例えばアリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート、2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシプロピルアクリレート、2−アセトアセトキシプロピルメタクリレートなどと、α、βエチレン性単量体、例えば酢酸ビニル、α位で分岐した飽和脂肪酸のビニルエステルなどのビニルエステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル、エチレン、塩化ビニルなどのビニル単量体などとを乳化共重合することにより得られる、水性エマルジョンの形態としてのアセトアセチル基含有高分子化合物、(c)アセトアセチル化ポリビニルアルコールを乳化剤として乳化重合した重合体水性エマルジョンなどが例示できる。
【0028】
本発明においては、上記したような水性接着剤を各種組み合わせることもできることができ、また必要に応じて各種の公知の添加剤を配合することも、また各種の水溶性ポリマー、水分散性ポリマー等を配合することも可能である。
【0029】
また、本発明において用いられる水性接着剤としては、使用時の粘度(23℃±3℃)が1〜100Pa・s、より好ましくは7〜15Pa・s程度のものであることが望ましい。粘度が上記した範囲よりも極端に小さいものは、紙質化粧材および化粧板用基材への浸透が大きすぎ、後述するように加熱加圧して被着する際に紙質化粧材表面にまで浸透してきた接着剤がプレス装置等へと付着してしまうことにより作業性が悪くなくこと、また、化粧板用基材へと浸透してしまうことにより接合界面に十分な量の接着剤が残らず、十分な接合強度が得られなかったり、接合界面における層間剥離が生じ易くなったりすること、さらに、化粧板用基材上に紙質化粧材を載置した際に一時的に粘着保持する力が弱く、紙質化粧材端部で巻き上がりが生じアイロン等で仮押えを行う必要があるなど作業性が悪くなるといった不都合が生じる虞れが大きいためであり、一方、粘度が上記した範囲よりも極端に大きいものは、コーティング作業が困難でかつ均一にコーティングできないために製品表面に凹凸が生じる等の不具合をもたらす虞れが大きいためである。
【0030】
本発明においては、このような水性接着剤のうち、ポリビニルアルコールおよび分子内にメチロール基を有する酢酸ビニル系ポリマーを含むエマルジョンに、有機酸、酸性金属塩、および無機酸から選ばれた少なくとも1種以上の硬化剤を配合した水性接着剤が特に好ましい。このタイプの水性接着剤は、上記したような粘度の上でも適当であり、作業性の面から良好なのみでなく、最終的に得られる化粧板の表面硬度が特に高いものが得られるためである。
【0031】
このような好ましいメチロール基含有酢酸ビニル系接着剤の一例としては、ポリビニルアルコール存在下で酢酸ビニルモノマー100質量部に対し、炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステル0〜100質量部、N−メチロール(メタ)アクリルアミド0.1〜20質量部を周知の方法で乳化共重合することにより得られるエマルジョンを主剤とするものが好ましく例示できる。
【0032】
ポリビニルアルコールは、乳化共重合の際の保護コロイドとしても作用する。ポリビニルアルコールとしては、ケン化度80モル%以上、重合度500〜3000程度のポリビニルアルコールが使用できる。保護コロイドの使用量は、エマルジョンの安定性および初期接着性を損わない範囲で選択でき、例えば、酢酸ビニルおよび共重合性単量体の総量100質量部に対して0.5〜30質量部程度である。なお、必要に応じて、ポリビニルアルコールからなる保護コロイドにさらに界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
また、所望により、種々の添加剤、例えば、タッキファイヤー(例えば、ロジン、ロジンエステル、ジシクロペンタジエン樹脂、石油樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂およびこれらの水素添加物など)、可塑剤[フタル酸エステル(ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ2−エチルヘキシルフタレートなど)、長鎖脂肪族多価カルボン酸エステル(ジブチルアペート、ジ2−エチルヘキシルアペート、ジブチルセバテートなど)、リン酸誘導体(トリフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなど)、ポリエステルなど]、造膜助剤(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類やメチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類など)、有機溶剤(アルコール、エステル、ケトン、エーテル、炭化水素類から選択された水溶性又は非水溶性溶媒)、水溶性高分子[例えば、前記ポリビニルアルコール、水溶性セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテルなど)、水溶性アクリル樹脂など]、充填剤、着色剤、防腐剤、消泡剤などを含んでいてもよい。なお、これらの成分の使用量は、造膜性、水性接着剤の初期接着性や安定性などを損わない範囲で選択できる。
化粧用基材
本発明の化粧板を製造するにおいて用いられる化粧板用基材20としては、多孔質の基材であれば特に限定されるものではなく、従来公知の化粧板の基板として用いられるものが使用できる。例えば、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁気、せっ器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化性樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。
【0034】
本発明においては、上述するような水性接着剤により良好な接着強度が得られるという点から、これらのうち、特に、木質基板を用いることが好ましい。
紙質化粧材
一方、紙質化粧材10の原紙11としては、後述するような水性接着剤30(および必要に応じて設けられる樹脂被覆層13を形成する含浸樹脂)が浸透可能なものであればよく、具体的には薄葉紙、上質紙、和紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル塗工又はドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反、紙を樹脂で強化した紙間強化紙ないし樹脂含浸紙等が用いられ得る。さらに、紙類似シートも水性接着剤30(および必要に応じて設けられる樹脂被覆層13を形成する含浸樹脂)が浸透可能なものであれば化粧紙原紙11として用いることができる。上記の紙類似シートとしては、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維、ポリエステル、ビニロン等の有機樹脂等を用いた織布又は不織布等が挙げれる。これらのうち、特に建材用の適正を向上させた薄葉紙、紙間強化紙、樹脂含浸紙、チタン紙などのいわゆる建築用原紙などが、原紙11として好ましく用いることができる。
【0035】
また、原紙11としては、坪量が10g/m〜150g/m程度、特に坪量が20g/m〜100g/m程度、より好ましくは坪量が25g/m〜90g/m程度のものが好ましい。
【0036】
さらに原紙11として、良好な特性をより経済的に得るとの観点からは、坪量が30g/m〜45g/m程度の薄葉紙が、より良好な表面硬度を得るとの観点からは、坪量が50g/m〜85g/m程度の紙間強化紙が、また、基板の隠蔽性の観点からは、酸化チタンなどの隠蔽性顔料を混抄したチタン紙と呼ばれる紙が、それぞれ適当なものとして挙げられる。
【0037】
紙質化粧材10は、図1に示される実施形態におけるように、その表面硬度、耐摩耗性、防汚性等を向上させる上から、表面に樹脂被覆層13が形成されているものであることが望ましい。
【0038】
樹脂被覆層13を形成する樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂(常温硬化型樹脂、二液反応硬化型樹脂を含む)等の従来公知の化粧材の架橋性樹脂として用いられる樹脂が利用できる。架橋性樹脂としては電離放射線硬化性樹脂が、硬化速度が速く作業性も良好であり、しかも柔軟性や硬度等の樹脂の物性の調節も容易であり、柔軟な基材を用いた場合にはシート状の化粧材を効率良く連続生産可能であるため好ましい。また、上記の架橋性樹脂の選択は化粧材の用途に応じて適宜選択することができる。該架橋性樹脂は、未架橋状態で球状粒子を分散させて塗工した後、架橋させ、硬化させて塗膜は完成される。
【0039】
架橋性樹脂は、その架橋密度が高くなるほど耐摩耗性は向上するが、柔軟性は低下する。そのため架橋性樹脂の架橋密度は、化粧材の用途等によって耐摩耗性と柔軟性に応じて、基材の種類等と合わせて適宜、選定するのが好ましい。架橋密度は例えば下記式(2)に示す平均架橋間分子量で表すことができる。
【0040】
【数1】
Figure 2004042492
(但し、全体の分子量は、Σ(各成分の配合モル数×各成分の分子量)であり、架橋点の数は、Σ[{(各成分の官能基数−1)×2}×各成分のモル数]である。)
架橋性樹脂の種類が同じ場合、平均架橋間分子量が小さい程(即ち、架橋密度が大きい)、バインダーの架橋性樹脂が球状粒子をしっかりと保持し、耐摩耗性が更に向上することを示すものである。従って、可撓性を損なわない範囲で架橋性樹脂の平均架橋間分子量を小さく調節することで、更に耐摩耗性を向上させることができる。
【0041】
架橋性樹脂として用いる電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合した、電離放射線により硬化可能な組成物が用いられる。尚、ここで電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線または電子線が用いられる。
【0042】
上記プレポリマー、オリゴマーの例としては不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0043】
ウレタンアクリレートとしては、例えばポリエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる、下記一般式で表されるポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
【化1】
Figure 2004042492
(式中、R、Rはそれぞれ水素またはメチル基であり、Xはジイソシアネート残基、nは1〜3の整数、mは6〜60の整数である。)
上記のポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートに使用されるジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。上記のポリエーテルジオールとしては、分子量が500〜3000のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0045】
以下、ウレタンアクリレートの製造例を示す。滴下ロート、温度計、還流冷却管及び攪拌棒を備えたガラス製反応容器中に、分子量1000のポリテトラメラレングリコール1000部と、イソホロンジイソシアネート444部とを仕込み、120℃で3時間反応させた後、80℃以下に冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを232質量部加え、80℃でイソシアネート基が消失するまで反応させて、ウレタンアクリレートが得られた。
【0046】
電離放射線硬化性樹脂に用いるモノマーの例としては、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
【0047】
通常、以上の化合物を必要に応じて1種もしくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常の塗工適性を付与するために、前記プレポリマーまたはポリチオールを5重量%以上、前記モノマー及びまたはポリチオールを95重量%以下とするのが好ましい。
【0048】
モノマーの選定に際しては、硬化物の可撓性が要求される場合は塗工適性上支障のない範囲でモノマーの量を少なめにしたり、1官能または2官能アクリレートモノマーを用い、比較的低架橋密度の構造とする。また、硬化物の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性等が要求される場合には、塗工適性上支障のない範囲でモノマーの量を多めにしたり、3官能以上のアクリレートモノマーを用いることで高架橋密度の構造とすることができる。尚、1、2官能モノマーと3官能以上のモノマーを混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整することもできる。
【0049】
以上のような1官能性アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。又、2官能アクリレートとしてはエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が、また3官能以上のアクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0050】
更に、電離放射線硬化性樹脂には、硬化物の可撓性、表面硬度等の物性を調整するための電離放射線非硬化性樹脂を添加することができる。尚、該電離放射線非硬化性樹脂としてはウレタン系、繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられ、特に繊維素系、ウレタン系、ブチラール系が可撓性の点から好ましい。
【0051】
又、以上の如き組成の電離放射線硬化性樹脂を硬化させるために紫外線を照射する場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン、又、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を、更に混合して用いることができる。
【0052】
架橋性樹脂として用いられる熱硬化性樹脂は、具体的には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等がある。これらに必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤等を添加して用いる。上記の硬化剤として通常、イソシアネート又は有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル等によく使用される。
【0053】
上記のイソシアネートとしては、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的なイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0054】
上記2液型ポリウレタンとしては、その分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオール化合物からなる第1液と、ポリイソシアネート化合物からなる第2液とを、水酸基とイソシアネート基の当量比が0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
【0055】
上記エポキシ樹脂としては、その分子構造中にエポキシ基を平均2個以上有するエポキシ樹脂とエポキシ基と反応する活性水素を1分子中に3個以上有するモノ−、またはポリ−アミンとをエポキシ樹脂のエポキシ当量とモノ、またはポリアミンの活性水素当量の比が、0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
【0056】
また、被覆樹脂は、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との混合樹脂を用いることができる。
【0057】
さらに、被覆樹脂として、未硬化又は半硬化等の完全に硬化しない状態に於いて、常温では固体であり、かつ熱可塑性、溶剤溶解性を有していながら、塗工後の乾燥又は冷却によって、見かけ上、又は手で触った時にも非流動性(指触乾燥性)であり、かつ非粘着性である塗膜を与える樹脂(以下、完全に硬化しない状態で常温で固体である樹脂という)を用いることもできる。例えば、無溶剤の組成物で、加熱により流動性を有し、冷却により常温で固体状となるような硬化性を有する樹脂組成物や、溶剤を含む組成物で、溶剤を含有した状態では流動性を有し溶剤を揮発させると固体状となる硬化性を有する樹脂等がある。
【0058】
さらに別の実施形態においては、化粧紙原紙11への被覆樹脂13として、紙質化粧材10を化粧板用基材20上に接着するための上記したような水性接着剤30と同じものを用いることも可能である。この実施形態においては、化粧紙原紙11の両面に前記水性接着剤をディッピング等により付着させた後、化粧板用基材20上に載置し、その上部に適当な離型紙等を載せて硬化処理することも可能である。
【0059】
化粧紙原紙11への被覆樹脂13の含浸量(化粧紙原紙に対する重量%)としては、特に限定されるものではないが、一般的には、40%〜80%が好ましい。含浸量が40%未満では化粧紙原紙全体が樹脂により充分含浸されない虞れがあり、一方含浸量が80%を超えると過剰な含浸となる虞れがある。
【0060】
上記の被覆樹脂層を形成するための塗工組成物には、上記の樹脂成分以外に、各種球状粒子、染料や顔料等の着色剤、その他のCaCO3 、BaSO4 、ナイロン樹脂ビーズ等の公知の艶消調整剤や増量剤といった充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤などの塗料、インキに通常添加される添加剤を加えることができる。
【0061】
又、上記の耐摩耗性樹脂層の塗工組成物には、粘度を調整するために、架橋性樹脂の成分を溶解可能であり、常圧における沸点が70℃〜150℃の溶剤を、組成物中に30重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が30重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
【0062】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0063】
本発明における被覆樹脂層としては、特に、上記のごとき架橋性樹脂からなるバインダーと該架橋性樹脂よりも高硬度の球状粒子とを含有する塗工組成物から形成された被覆樹脂層が、基材の表面に設けられ、被覆樹脂層の平均膜厚をt(mm)とし、球状粒子の平均粒径をd(mm)とした場合、下記の(1)式
【0064】
【数2】
Figure 2004042492
を満足する実施形態が、特に好ましいものとして挙げることができる。
【0065】
球状粒子は、真球状、あるいは球を偏平にした楕円球状ならびに該真球や楕円球状に近い形状等のように、表面が滑らかな曲面で囲まれていればよい。球状粒子は、特に粒子表面に突起や角のない、いわゆるカッティングエッジのない球状が好ましい。球状粒子は同じ材質の不定形の粒子と比較して、表面樹脂層それ自身の耐摩耗性を大きく向上させると共に、塗工装置を摩耗させず、塗膜の硬化後もこれと接する他の物を摩耗させず、更に塗膜の透明度も高くなるという特徴があり、カッティングエッジがない場合特にその効果が大きい。
【0066】
球状粒子が被覆樹脂層に含有される量は、硬化後の架橋性樹脂からなるバインダー成分100質量部に対し5〜20質量部となるように塗工組成物を調整するのが好ましい。球状粒子の添加量が少ない場合、耐摩耗性向上等の球状粒子の添加による効果が充分発揮できない虞れがあり、一方、球状粒子の添加量が多くなりすぎると、架橋性樹脂のバインダーとしての効果が損なわれ、塗膜の可撓性が低下する虞れや、塗工組成物の作業性が低下する等の弊害が出て来る。
【0067】
球状粒子の粒子径は、通常5〜100μm(平均粒径)のものが好ましく使用可能である。球状粒子の平均粒径が5μm未満になると皮膜が不透明になる虞れがあり、一方、平均粒径が100μmを超えると、皮膜の表面平滑性が低下する虞れがある。球状粒子の粒子径が小さくなると、耐摩耗性は低下する。一方、球状粒子の粒子径が大きくなると耐摩耗性が向上するが、あまり大きくなりすぎると、塗工の際の均一な塗工が困難になってしまう。例えば、耐摩耗性樹脂層の厚みを10〜30μmに形成する場合には、球状粒子5の粒子径は10〜50μmの範囲が好ましい。
【0068】
球状粒子の平均粒径を、被覆樹脂層の厚みに応じて選定することが、更に好ましい。特に、耐摩耗性樹脂層の平均膜厚をt(mm)とし、球状粒子の平均粒径をd(mm)とした場合、上記式(1)を満足するように球状粒子を選択するのが望ましい。球状粒子の平均粒径d(mm)が2.0tを超えると、被覆樹脂層の表面に球状粒子がはみ出し、該層の外観が低下する虞れがある。一方球状粒子の平均粒径d(mm)が0.3t未満の場合には充分な耐摩耗性が得られない虞れがある。
【0069】
球状粒子の材質は架橋性樹脂よりも高硬度であればよく、無機粒子及び有機樹脂粒子のいずれも用いることができる。球状粒子の架橋性樹脂との硬度の差は、硬度はモース硬度、ビッカース硬度等の方法で計測され、例えばモース硬度で表した場合1以上あるのが好ましい。又、球状粒子の硬度は、ヌープ硬度が1300kg/mm以上が好ましく、更に好ましくは、ヌープ硬度が1800kg/mm以上である。
【0070】
尚、ここで言うヌープ硬度とは、ヌープ圧子を用いて測定される微小押し込み硬さで、試験前に菱形の圧痕をつけたときの荷重を、永久凹みの長い方の対角線の長さより求めた凹みの投影面積で除した商で表される値である。この試験方法は、ASTM C−849に記載されている。
【0071】
球状粒子の材質は、具体的には、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒鉛等の無機粒子、及び、架橋アクリル等の合成樹脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。又、上記のα−アルミナとしては溶融アルミナ、バイヤー法アルミナ等があり、又上記以外の無機粒子として、ジルコニア、チタニア、あるいはこれらや溶融アルミナ、バイヤー法アルミナ等との共融混合物が挙げられる。これらの無機粒子の形状を球形にする方法としては、粉砕した不定形の上記無機化合物を融点以上の高温炉中に投入し溶融させ、表面張力を利用して球状にする方法や、上記無機物を融点以上の高温で溶融したものを霧状に吹き出して球状にする方法等が挙げられる。
【0072】
特に好ましい球状粒子は、非常に硬度が高く耐摩耗性に対する効果が大きいことと球形状のものが比較的容易に得やすい等の理由から、球形のα−アルミナを挙げることができる。球形のα−アルミナは、特開平2−55269号公報に記載されているように、アルミナ水和物、ハロゲン化合物、硼素化合物等の鉱化剤あるいは結晶剤を、電融アルミナあるいは焼結アルミナの粉砕品に少量添加し、1400℃以上の温度で2時間以上熱処理することで、アルミナ中のカッティングエッジが減少し同時に形状が球形化したものが得られる。このような球形状のアルミナは、昭和電工(株)より「球状アルミナ(Spherical Alumina)AS−10、AS−20、AS−30、AS−40、AS−50」として各種の平均粒子径のものが市販されている。
【0073】
球状粒子はその粒子表面を処理することができる。例えばステアリン酸等の脂肪酸で処理することで分散性が向上する。又、表面をシランカップリング剤で処理することで、バインダーとして使用する架橋性樹脂との間の密着性や塗工組成物中での粒子の分散性が向上する。シランカップリング剤としては、分子中にビニルやメタクリル等のラジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシシランや、分子中にエポキシ、アミノ、メルカプト等の官能基を有するアルコキシシランが挙げられる。シランカップリング剤は、球状粒子と共に使用する架橋性樹脂の種類に応じて、例えば(メタ)アクリレートで等の電離放射線硬化性樹脂の場合にはラジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシシランを用い、二液硬化型のウレタン樹脂の場合にはエポキシ基やアミノ基を有するアルコキシシランを用いるように、ラジカル重合性不飽和結合や官能基の種類等を選択することが好ましい。ラジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシシランは具体的には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどの分子中にラジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシシランや、分子中にエポキシ、アミノ、メルカプト等の官能基を有するアルコキシシラン等がある。
【0074】
球状粒子の表面をシランカップリング剤で処理する方法は特に制限はなく、公知の方法が使用できる。例えば、乾式法として球状粒子を激しく攪拌しながら所定量のシランカップリング剤を吹きつける方法や、湿式法としてトルエン等の溶剤中に球状粒子を分散させた後に、所定量のシランカップリング剤を加え反応させる方法が挙げられる。球状粒子に対するシランカップリング剤の処理量(所要量)としては、球状粒子の比表面積100に対してシランカップリング剤の最小被覆面積が10以上となる処理量が好ましい。球状粒子の最小被覆面積が球状粒子の比表面積100に対して10未満の場合はあまり効果がない。
【0075】
次に、上記の塗工組成物を用いて化粧紙原紙11の表面に樹脂被覆層13を形成する方法について説明する。樹脂被覆層13は、化粧紙原紙11の表面に塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、剥離性の基材表面に樹脂被覆層13を予め形成した後、該層を化粧紙原紙11の表面に転写する、転写コーティング法が用いられる。一般に基材2の材質として、塗工組成物が浸透しないものを使用した場合には上記のいずれの方法を用いてもよいが、塗工組成物を浸透させる化粧紙原紙11を使用した場合や、表面に凹凸のある化粧紙原紙、ならびに、塗膜厚みの均一性を出す場合、電離放射線の強度を均一にして均一な耐摩耗性を形成したい場合には、転写コーティング法が用いるのが好ましい。
【0076】
直接コーティング法は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができるが、好ましいのはグラビアコートである。
【0077】
転写コーティング法は、下記の(a)〜(d)に示す、一旦、薄いシート(フィルム)基材に塗膜を形成し架橋硬化せしめ、しかる後基材の表面に被覆する方法であり、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法(a、b)、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着材層を形成し塗膜を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を立体物に接着後、支持体シートのみ剥離する転写法(c)等の手段を利用することができる。尚、薄いシート基材に、耐摩耗性樹脂層を形成する方法は上記の直接コーティング法と同じ各種のコーティング手段を用いることができる。
(a)特公平2−42080号公報、特公平4−19924号公報等に開示されるような射出成形同時転写法。或いは特公昭50−19132号公報に開示されるような射出成形同時ラミネート法。
(b)特開平4−288214号公報、特開平5−57786号公報に開示されるような真空成形同時転写法。或いは特公昭56−45768号公報に開示されるような真空成形同時ラミネート法。
(c)特公昭59−51900号公報、特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に開示されるように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時ラミネート法。
(d)実公大15−31122号公報等に開示されているVカット加工同時ラミネート法、或いは特公昭56−7866号公報等に開示されているVカット加工同時転写法。
【0078】
又、転写コーティング法の一つとして、例えば架橋性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、下記の(A)〜(D)の工程を順次行う方法を用いることもできる(特開平2−26673号公報等記載)。
(A)非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化液状の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工する工程。
(B)前記電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布面が基材と接するようにラミネートする工程。
(C)前記電離放射線硬化性樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射して架橋、硬化させる工程。
(D)合成樹脂シートを剥離除去する工程。
【0079】
上記の工程において、電離放射線硬化性樹脂として溶剤で希釈されたものを使用する場合には、工程(A)と(B)との間に溶剤を乾燥する工程を行う。上記の方法によれば、浸透性の高い化粧紙原紙11の場合であっても、樹脂が基材の裏側に抜ける、いわゆる「うらぬけ」を確実に防止して、基材表面に良好な耐摩耗性樹脂層を容易に形成可能である。
【0080】
架橋性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合の、該樹脂を硬化させるために用いられる電離放射線照射装置は、紫外線を照射する場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が用いられ、又、電子線を照射する場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いる。
【0081】
電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射する。照射量が0.1Mrad未満の場合、硬化が不十分となる虞れがあり、又、照射量が30Mradを超えると、硬化した塗膜或いは基材が損傷を受ける虞れが出てくる。又、紫外線により硬化させる場合の照射量は、好ましくは50〜1000mJ/cmである。紫外線の照射量が50mJ/cmを未満では硬化が不十分となる虞れがあり、又、照射量が1000mJ/cmを超えると、硬化した塗膜が黄変化する虞れがある。
【0082】
又、架橋性樹脂として熱硬化性樹脂を使用した場合には、熱硬化性樹脂の硬化反応を促進するために、塗工組成物を塗工後加熱しても良い。この加熱時間は例えば、イソシアネート硬化型不飽和ポリエステル系樹脂、又はポリウレタン樹脂の場合は、通常40〜60℃で1〜5日程度、又ポリシロキサン樹脂の場合は、通常80〜150℃で1〜300分程度である。
【0083】
また、紙質化粧材10上に形成される絵柄12は、化粧紙原紙11の表面側に上記樹脂被覆層13を形成前又は後のいずれに形成してもよいが、樹脂被覆層を形成前に形成するのが好ましい。絵柄12は、ベヒクルに必要に応じて、公知の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合した公知の絵柄形成用印刷インキ等でグラビア印刷、オフセット印刷、又はシルクスクリーン印刷等の既知の印刷手段を用いて設ける。絵柄層12は、一部にパターン状(例えば木目、布目、図形、文字等の絵柄模様)に設けても、また全面に設けても良い。例えば絵柄を部分的に設けるのは、絵柄の一部(例えば木目柄の照り部分)を特に強調させたい場合等であり、全面的に設けるのはベタ状の絵柄模様において全体的にパール感や干渉的外観を現出させる場合等である。尚、特に図示しないが本発明では絵柄12を形成せずに化粧紙原紙11自体に着色や絵柄が形成されたものを用いてもよい。
【0084】
上記ベヒクルとしては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の中から必要な物性、印刷適性等に応じて適宜選択したものを使用する。また、顔料としては、通常使用される有機系または無機系の顔料が使用できる。希釈溶剤としてはベヒクルの樹脂、顔料等の着色剤、その他添加物の溶解、分散能力があり、また適度な乾燥性を有する液体溶剤が使用される。一般には溶解度パラメータがベヒクルと近似する液体溶剤を選定するのが溶解性の点から好ましい。
【0085】
本発明の別の実施形態においては、紙質化粧材は、原紙の表面に樹脂被覆層を設け、その表面に模様状凹部を形成し、該樹脂被覆層の表面の凹部に通常の着色インキをワイピング充填しワイピングインキ層を設け、その最表面にさらに耐摩耗性樹脂層を形成することもできる。また原紙の表面に直接、部分的に凹部及びワイピングインキ層を設けてもよい。
【0086】
ワイピング充填した着色インキのワイピングインキ層を形成するには以下に示す方法が用いられる。原紙上に形成された表面樹脂層に公知のエンボス方法にて模様状の凹凸が設けられた原紙の全面に、着色インキを含む塗工組成物を塗工した後、その塗工物の塗工された表面樹脂層の上を、ドクターブレード、エアーナイフ或いはスポンジ等を表面材とするローラー等で拭き取り凸部の塗工組成物を除去して、凹部のみに着色インキ樹脂層が形成される。このワイピング加工は、着色した塗工組成物を用いることで、特に絵柄を木目として絵柄と凹部を同調させ、木目の導管部の外観を良好に再現することができる。尚、この場合にはその上部に形成される耐摩耗性樹脂層は透明樹脂を用いる。
化粧板の製造方法
本発明の化粧板は、上記したような、ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜がJIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度となる水性接着剤を、化粧板用基材表面と上記のごとき紙質化粧材との接合界面に配し、加熱加圧して接着剤を硬化させることより製造される。
【0087】
水性接着剤の塗布量は、水性接着剤の固形分濃度、被着体の種類などによっても左右されるが、例えば、乾燥後に10〜100g/m、好ましくは25〜50g/m、さらに好ましくは30〜40g/m程度の範囲となる塗布量とすることが好ましい。塗布量が上記した範囲よりも極端に少ないものであると、十分な接合強度が得られないのみでなく製品の表面硬度が十分なものとならない虞れがあり、一方、塗布量が上記した範囲よりも極端に多いものであると、表面に接着剤がしみ出したり、プレス時にはみ出した接着剤が下に垂れてプレス面を汚してしまう虞れがあるためである。水性接着剤の塗布は、はけ塗り、ロールコーター,グラビアコーターなど公知の任意の方法を用いて行うことができる。
【0088】
接着剤を硬化させるため加熱加圧条件としては、使用する接着剤の種類等によっても左右されるが、例えば、温度40〜200℃で、圧力3〜20kgf/m程度、より好ましくは100〜150℃で、圧力7〜15kgf/m程度であることが好ましい。上記したような加熱加圧条件において接着剤を硬化させれば、化粧板の所望の表面硬度が比較的容易に得られる。使用する装置としては特に限定されるものではなく、公知のホットプレス、例えば、油圧式単板プレス機、多段プレス機、サーボモータ式精密プレス機、ダブルベルトプレス機等を用いて実施できる。
【0089】
このようにして得られる本発明の化粧材は、非常に高い表面硬度、具体的には、例えば、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度、より好ましくは4H以上の硬度を有し、表面の耐熱性も高く、また廃棄の際の問題もなく対環境性という面でも良好なものであるので、種々の用途に適し、例えばテーブルの天板等の家具、キャビネット類、建築物、車両船舶、楽器等の表面の装飾、包装材料の装飾用として有用である。特に本発明の化粧材は耐摩耗性の要求される分野に最適である。
【0090】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
(接着剤の調製)
還流冷却機、攪拌機、配量装置、窒素導入管並びに加熱および冷却装置を備えた1リットル容の反応容器内に、窒素置換後、水425g、ポリビニルアルコール(重合度1500、鹸化度88%)40gを添加して90℃で1時間加熱攪拌してポリビニルアルコールを溶解し、65℃まで冷却し、その温度に維持した。以後、このように調製した溶液をポリビニルアルコール溶液と呼ぶ。
【0091】
酢酸ビニルモノマー460g、アクリル酸メチル20g、t−ブチルハイドロパーオキシド0.5gを混合し、モノマー混合液とした。水50gにN−メチロールアクリルアミド20gを溶解しN−メチロールアクリルアミド溶液とした。水25gにロンガリット0.8gおよび重炭酸ナトリウム0.8gを溶解し開始剤溶液とした。
【0092】
ポリビニルアルコール溶液にモノマー混合液、開始剤溶液を定量で滴下し、重合を行った。重合温度は65〜70℃とした。その際、モノマー混合液は還流が起こらないように調節した。モノマー混合液滴下開始後、N−メチロールアクリルアミドの滴下を開始した。モノマー混合液とN−メチロールアクリルアミド溶液の滴下は同時に終了するようにした。
モノマー混合液滴下終了後、1時間70℃に保持した。開始剤溶液の滴下はモノマー混合液の滴下終了後、1時間長く行った。その後室温まで冷却し取り出した。固形分は約50%であった。
【0093】
得られたエマルジョン100質量部に対し、チタン白(チタン工業株式会社製:KD)3質量部を配合して主剤エマルジョン(A)とした。
【0094】
そして、この主剤エマルジョン(A)100質量部に硬化剤として硬化剤Y(コニシ株式会社製:塩化アルミニウム50%水溶液)5質量部を配合して、接着剤を調製した。
【0095】
なお、平滑なガラス基板上に当該接着剤を塗布し、硬化させて、100μm程度の厚さの硬化被膜を形成し、この硬化被膜に対し、常温(23℃±3℃)にて、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験を行った。その後、押し当てた鉛筆の芯の形の窪みが被膜に形成されているか否かを、斜め前方から光を当て、目視および指での触感により確認し、5本引いた線のうち、2本以上に窪みができていた場合には、その鉛筆硬度は不合格と判定し、窪みが全く見られないか1本においてのみ窪みが確認された場合にはその鉛筆硬度は合格と判定する硬度試験において、得られた接着剤は、3Hであると評価された。
(紙質化粧材の調製)
基材としてアクリル樹脂ラテックス含浸紙(60g/m)の表面に、グラビア印刷機を用いて着色ベタ層(アクリル硝化綿混合系インキ)、絵柄層(硝化綿アルキッド混合系インキ)を順次印刷して形成し、該絵柄層の上からプライマー塗工液(二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の1:1の混合樹脂を酢酸エチルとメチルイソブイチルケトン(MIBK)の1:1(重量比)の混合溶剤で塗料化したもの)をグラビア印刷方式で塗布、乾燥して、膜厚2g/mのプライマー層15を形成した。さらにグラビアコーターを用いて下記塗料を塗工し(塗工量:25g/mdry)、電子線照射装置を用いて電子線を照射(175kv、5Mrad)して塗膜を架橋・硬化させて耐摩耗性表面樹脂層を設けて化粧材を得た。
<耐摩耗性樹脂層塗工組成物>
ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート50重量部
トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート20重量部
球状アルミナ(平均粒径25μm)        20重量部
(化粧板の製造)
厚さ15mmのパーティクルボード(小名浜合板製)に、上記で得られた水性接着剤を70g/m2 の塗布量(乾燥後の塗布量 35g/m)で5℃雰囲気下に塗布した後、上記で得られた紙質化粧材を載置した。なお、載置は開放1分以内、閉鎖2分以内とした。その後、ホットプレス装置を用い150℃、30kgf/mにて30秒という条件で熱圧し、接着剤を硬化させ化粧板を得た。得られた化粧板につき以下に示す評価方法によって表面硬度、耐熱性を評価した。また別途、以下に述べる方法で作業性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例2
実施例1におけるものと同様に、基材としてアクリル樹脂ラテックス含浸紙(60g/m)の表面に、グラビア印刷機を用いて着色ベタ層(アクリル硝化綿混合系インキ)、絵柄層(硝化綿アルキッド混合系インキ)を順次印刷して形成し、該絵柄層の上からプライマー塗工液(二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の1:1の混合樹脂を酢酸エチルとメチルイソブイチルケトン(MIBK)の1:1(重量比)の混合溶剤で塗料化したもの)をグラビア印刷方式で塗布、乾燥して、膜厚2g/mのプライマー層15を形成した。さらにグラビアコーターを用いて下記樹脂組成物(2)を塗工し(塗工量:15g/mdry)、電子線照射装置を用いて電子線を照射(175kv、5Mrad)して塗膜を架橋・硬化させて耐摩耗性表面樹脂層を設けて化粧材を得た。
<樹脂組成物(2)>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 14重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート  50重量部
エチレングリコールジアクリレート     10重量部
シリカ微粉体              0.5重量部
アクリロイル変性シリコーン         6重量部
シリコーンオイル              7重量部
このようにして得られた化粧材を実施例1における化粧材の代りに用いた以外は、実施例1と同様にして化粧板を製造し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例3
秤量30g/mの建材用薄葉紙の表面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなる印刷インキにて着色ベタ印刷層をグラビア印刷法によって形成した。次いで、前記着色ベタ印刷層上に、絵柄層(硝化綿アルキッド混合系インキ)を順次印刷して形成し、該絵柄層の上から下記組成よりなるトップコートインキを10g/m(dry)の塗工量になるように塗布した後、90℃の熱風で乾燥して耐摩耗性表面樹脂層を有する化粧材を得た。
<トップコートインキ>
アクリルポリオール          42  重量部
ヘキサメチレンジイソシアネート    20  重量部
メチル化メラミン            3.5重量部
アクリル樹脂ビーズ          18  重量部
消泡剤                 0.7重量部
溶剤                 67  重量部
このようにして得られた化粧材を実施例1における化粧材の代りに用いた以外は、実施例1と同様にして化粧板を製造し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例4
LS−12AW(株式会社オーシカ製、ユリア系接着剤)50質量部に塩化アンモニウム(純正化学試薬1級)の20%水溶液1.25質量部を加え、良く攪拌した後、CH7冬型(コニシ株式会社製、酢酸ビニルエマルジョン)50質量部を加え、攪拌し、接着剤として使用した以外は、実施例1と同様にして化粧板を製造し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0096】
なお、用いた接着剤の被膜につき実施例1と同様の硬度試験を行ったところ、鉛筆硬度は5Hであると評価された。
比較例1
接着剤としてCH74BL3(コニシ株式会社製、酢酸ビニル樹脂エマルジョン)を用いた以外は実施例1と同様にして化粧板を製造し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0097】
なお、用いた接着剤の被膜につき実施例1と同様の硬度試験を行ったところ、鉛筆硬度は6Bであると評価された。
比較例2
秤量30g/mの建材用薄葉紙の表面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなる印刷インキにて着色ベタ印刷層をグラビア印刷法によって形成した。次いで、前記着色ベタ印刷層上に、絵柄層(硝化綿アルキッド混合系インキ)を順次印刷して形成して、化粧材とした。
【0098】
このようにして得られた化粧材を実施例1における化粧材の代りに用いた以外は、実施例1と同様にして化粧板を製造し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
評価方法
表面硬度の評価
得られた化粧板表面の硬度を、常温(23℃±3℃)にて、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験方法により調べた。試験の後、押し当てた鉛筆の芯の形の窪みが被膜に形成されているか否かを、斜め前方から光を当て、目視および指での触感により確認し、5本引いた線のうち、2本以上に窪みができていた場合には、その鉛筆硬度は不合格と判定し、窪みが全く見られないか1本においてのみ窪みが確認された場合にはその鉛筆硬度は合格と判定し、以下の3段階によって評価した。
○:3H以上
△:H〜2H
×:F以下
耐熱性の評価:アイロン試験
接着後の化粧板を3日間養生の後、化粧板表面に200℃にしたアイロン(松下電工株式会社:NI−A36)を載せて1分間加熱し、直ちにカッターで表面をクロスカットして化粧紙を引き剥がし、そのときの状態を以下の2段階で評価した。
○:化粧紙が紙破する。または、パーティクルボードが材破する。
×:化粧紙が容易に剥離し、材破が見られない。
作業性の評価
雰囲気温度および材温10℃にて、前記パーティクルボード(小名浜合板製)に各実施例および各比較例の所定の接着剤を、70g/m2 の塗布量(乾燥後の塗布量35g/m)でそれぞれ塗布し、その上部に所定の紙質化粧材を重ね、ハンドロールで5回押えて、脱気、仮圧締し、静置した。その後、3分間経過後の紙質化粧材の状態を観察し、以下の2段階で評価した。
○:化粧材がパーティクルボードに被着した状態でおさまっている。
×:化粧材が巻き上がってしまい、端部側においてパーティクルボードより剥がれてしまう。
【0099】
【表1】
Figure 2004042492
【0100】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、非常に高い表面硬度、および高い耐熱性を有し、かつ廃棄の際の問題もなく、対環境性という面でも良好な化粧材を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧材の一実施形態の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の簡単な説明】
10 紙質化粧材
11 化粧紙原紙
12 絵柄
13 被覆樹脂
20 化粧板用基材
30 水性接着剤

Claims (8)

  1. 紙質化粧材を、化粧板用基材上に、接着剤を介して被着してなる化粧板であって、前記接着剤は、ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜が、JIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度となる水性接着剤であることを特徴とする化粧板。
  2. 前記接着剤が、乾燥後に10〜100g/mとなる塗布量で塗布されているものである請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記接着剤が、メチロール基およびアセトアセチル基からなる群から選ばれた少なくともいずれかの反応性基を有する水性接着剤である請求項1または2に記載の化粧板。
  4. 前記水性接着剤が、ポリビニルアルコールおよび分子内にメチロール基を有する酢酸ビニル系ポリマーを含むエマルジョンに、有機酸、酸性金属塩、および無機酸から選ばれた少なくとも1種以上の硬化剤を配合した水性接着剤である請求項3に記載の化粧板。
  5. 紙質化粧材が、予め表面に架橋性樹脂による被覆層を形成してなるプレコート紙である請求項1〜4のいずれか1つに記載の化粧板。
  6. 前記樹脂被覆層が、架橋性樹脂からなるバインダーと該架橋性樹脂よりも高硬度の球状粒子とを含有する塗工組成物から形成されたものである請求項5に記載の化粧板。
  7. ガラス基板上に当該接着剤を塗布し硬化後に得られた被膜がJIS K5400に準拠する鉛筆硬度試験において3H以上の硬度となる水性接着剤を、化粧板用基材と紙質化粧材との接合界面に配し、加熱加圧して接着剤を硬化させることよりなる、化粧板の製造方法。
  8. 前記水性接着剤が、乾燥後に10〜100g/mとなる塗布量で塗布されることを特徴とする請求項7に記載の化粧板の製造方法。
JP2002204352A 2002-07-12 2002-07-12 化粧板およびその製造方法 Expired - Lifetime JP4508520B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002204352A JP4508520B2 (ja) 2002-07-12 2002-07-12 化粧板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002204352A JP4508520B2 (ja) 2002-07-12 2002-07-12 化粧板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004042492A true JP2004042492A (ja) 2004-02-12
JP4508520B2 JP4508520B2 (ja) 2010-07-21

Family

ID=31709979

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002204352A Expired - Lifetime JP4508520B2 (ja) 2002-07-12 2002-07-12 化粧板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4508520B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006123283A (ja) * 2004-10-27 2006-05-18 Sekisui Chem Co Ltd 化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板
JP2007537057A (ja) * 2004-04-29 2007-12-20 ザ インダストリー アンド アカデミック クーパレイション イン チュンナン ナショナル ユニバーシティー(アイエーシー) 機能性炭ボード積層体の製造方法
JP2009096165A (ja) * 2007-09-25 2009-05-07 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シートの貼着方法及び化粧シート貼着ユニット
KR102149347B1 (ko) * 2020-02-18 2020-08-28 주식회사 와담 합성수지가 도포된 가구 제조방법

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57202364A (en) * 1981-06-05 1982-12-11 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The Adhesive
JPH07232424A (ja) * 1994-02-24 1995-09-05 Dainippon Printing Co Ltd 化粧板
JPH08183147A (ja) * 1994-10-31 1996-07-16 Dainippon Printing Co Ltd 耐摩耗性を有する化粧材
JPH08230133A (ja) * 1995-02-28 1996-09-10 Dainippon Printing Co Ltd 化粧材
JP2001301084A (ja) * 2000-04-18 2001-10-30 Dainippon Ink & Chem Inc 無機質化粧板

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57202364A (en) * 1981-06-05 1982-12-11 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The Adhesive
JPH07232424A (ja) * 1994-02-24 1995-09-05 Dainippon Printing Co Ltd 化粧板
JPH08183147A (ja) * 1994-10-31 1996-07-16 Dainippon Printing Co Ltd 耐摩耗性を有する化粧材
JPH08230133A (ja) * 1995-02-28 1996-09-10 Dainippon Printing Co Ltd 化粧材
JP2001301084A (ja) * 2000-04-18 2001-10-30 Dainippon Ink & Chem Inc 無機質化粧板

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007537057A (ja) * 2004-04-29 2007-12-20 ザ インダストリー アンド アカデミック クーパレイション イン チュンナン ナショナル ユニバーシティー(アイエーシー) 機能性炭ボード積層体の製造方法
JP2006123283A (ja) * 2004-10-27 2006-05-18 Sekisui Chem Co Ltd 化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板
JP2009096165A (ja) * 2007-09-25 2009-05-07 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シートの貼着方法及び化粧シート貼着ユニット
KR102149347B1 (ko) * 2020-02-18 2020-08-28 주식회사 와담 합성수지가 도포된 가구 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4508520B2 (ja) 2010-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2740943B2 (ja) 耐摩耗性を有する化粧材
US6103352A (en) Decorated sheet
EP1842652B1 (en) Shapping sheet and method for the preparation of a decoration plate
JP3954665B2 (ja) プレコート紙を用いた化粧板の製造方法
JP4945902B2 (ja) 化粧材
JP2002119910A (ja) 表面保護塗膜の積層方法およびその積層方法を用いて製造された表面保護塗膜付き化粧材
JP2004042492A (ja) 化粧板およびその製造方法
JP2000006325A (ja) 耐摩耗性を有する化粧材
JP4620200B2 (ja) 化粧シートおよび化粧材
JP3585620B2 (ja) 化粧材
JP2017052264A (ja) 化粧板の製造方法
JPH11207885A (ja) 化粧板及び家具
JP2001199029A (ja) 化粧シートおよび化粧材
JP2000211092A (ja) 化粧材
JP2001018331A (ja) 化粧材および化粧材の製造方法
JPH10119228A (ja) 化粧シート
JPH1177944A (ja) 耐摩耗性を有する化粧材
JPH09239908A (ja) プレコート化粧紙
JPH11138735A (ja) リコート性のある化粧シート
CA2235542C (en) Decorative sheet
JP2007185965A (ja) 化粧シートの製造方法およびその製造方法により製造された化粧シートが表面に積層されている建具・造作部材。
JP4109344B2 (ja) 化粧板の製造方法
JP2000025190A (ja) 化粧板
JPH11138734A (ja) リコート性のある化粧シート
JPH10109392A (ja) 化粧材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050520

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100420

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100427

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4508520

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140514

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term