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JP2004018784A - ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィルム及びその製造方法 Download PDF

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JP2004018784A
JP2004018784A JP2002178927A JP2002178927A JP2004018784A JP 2004018784 A JP2004018784 A JP 2004018784A JP 2002178927 A JP2002178927 A JP 2002178927A JP 2002178927 A JP2002178927 A JP 2002178927A JP 2004018784 A JP2004018784 A JP 2004018784A
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birefringence
heat
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JP2002178927A
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Wataru Aida
合田 亘
Kozo Takahashi
高橋 弘造
Motoyuki Suzuki
鈴木 基之
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】熱寸法安定性に優れ、かつ、ボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が劇的に少ないフィルム幅方向において物性が均一化されたポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方向に延伸されたポリエステルフィルムにおいて、該フィルム幅方向における次の式で示された比重の変化量の最大値が0.13%以下であり、かつ150℃で10分間の熱処理条件での熱収縮率が長手方向、幅方向ともに3%以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
変化量=(比重−比重)/比重×100・・・(1)
(但し、比重及び比重は、フィルム幅方向における任意の2点における比重であって、大きい方の比重を比重、小さい方の比重を比重とする。)
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱寸法安定性に優れ、フィルム幅方向に均一な物性を有する低ボーイングな二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリエステルフィルム、特に二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性、耐侯性を備えているため、工業的に様々な分野で広く使用されている。これらの優れた特性を生み出すため、代表的な製膜方法ではテンターを用いた逐次二軸延伸法が用いられている。この逐次二軸延伸法では、通常、フィルム長手方向に延伸し、次いでテンター内で幅方向に延伸した後に熱固定する方法がとられる。このテンター内で幅方向に延伸した後に熱固定する工程において、フィルム幅方向の物性の均一性を乱すボーイング現象が生じる。
【0003】
このボーイング現象は、長手方向に延伸したフィルムをテンター内で幅方向に延伸し熱固定する際に生じるものであって、テンター前でフィルム幅方向に油性インキで引いた直線が、テンター後には、フィルム長手方向に弓なり状に引き戻された形に変形されてしまう挙動を示すものであり、フィルム長手方向におけるポアソン比に基づく収縮力および熱収縮力などに起因して発生するものと考えられている。このボーイング現象が生じるために、得られる二軸配向フィルムは、フィルム幅方向の中央部から離れるほど配向角(ここで配向角とは、フィルム幅方向または長手方向と主配向軸とがなす角度のうち、小さい方の角度である。)が大きくなるという配向角の位置依存性を有している。
【0004】
この配向角の位置依存性などの光学特性以外でも、湿度膨張率、機械強度、熱収縮率などの物性が幅方向で異なる不都合があった。その具体例として、印刷加工時のずれ、蛇行、カールという不都合や、フレキシブルディスクのベースフィルムとして用いる場合、装置内でのそりなどによる記録特性のが低下などである。特に、近年の光エレクトロニクス産業において、光学部材として二軸配向ポリエステルフィルムを用いるためには、その光学特性の低下の大きな原因となっているボーイング現象は、改善すべき最大の問題と考えられている。
【0005】
これらの問題を引き起こすボーイング現象を抑制するための対策は、従来から種々検討されてきている。
【0006】
例えば、特公昭39−29214号公報には、加熱ロールを用いた熱処理方法が提案されている。また、特公昭42−9273号公報および特開平7−314552号公報には、フィルム幅方向に温度勾配を与えながら熱処理する方法、特開昭62−18327号公報および特開昭62−183328号公報には、フィルムの両端部を強制的に加熱して熱処理する方法がそれぞれ提案されている。また、特開昭50−73978号公報には、幅延伸機(テンター)内での延伸工程と熱処理工程の間にニップロールにより幅延伸後のフィルムを熱処理する方法が提案されており、特公昭63−24459号公報には、ニップロールによってフィルムの中央部を強制的に前進させる方法が提案されている。そして、特許2936688号公報および特開平6−262675号公報などには、幅延伸工程と熱処理工程の間に冷却工程を設けたものが提案されている。
【0007】
さらに、特開昭62−43856号公報には、横方向延伸後、ガラス転移点以下に冷却し、次いで第一熱処理区間でT1(200℃〜240℃)で熱処理し、第二熱処理区間でT2(T1以下の温度)で1〜20%の横方向に延伸させながら第三熱処理区間でT3(T2未満の温度)で降温する方法が提案されている。また、その類似例として特開平1−165423号公報には、テンターで横延伸した後に、フィルムを横延伸温度以下の温度に冷却、保持し、引続き2以上に分割された温度領域で、2〜20%幅方向に伸張させながら昇温し、ついで熱固定する方法が提案されている。以上に説明してきたボーイング現象低減効果がある方法として考えられている、横延伸後の冷却工程、熱処理工程の段階的な昇温、さらに熱処理工程での横再延伸などの製造方法を全て取り入れたものが、特許第2825727号公報および特許第2825728号公報で提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの製造方法においても、光エレクトロニクス部材として用いられるフィルムなどを視野に入れるとその効果は未だ不十分であり、さらなるボーイング現象の低減が望まれていた。そこで、本発明は、熱寸法安定性に優れ、かつ、ボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が従来よりも劇的に少ないポリエステルフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のポリエステルフィルムは、主として次の構成を有する。すなわち、
少なくとも一方向に延伸されたポリエステルフィルムにおいて、該フィルム幅方向における式(1)で示された比重の変化量の最大値が0.13%以下であり、かつ150℃で10分間の熱処理条件での熱収縮率が長手方向、幅方向とも3%以下であることを特徴とするポリエステルフィルムである。
【0010】
変化量=(比重−比重)/比重×100 ・・・(1)
(但し、比重及び比重は、フィルム幅方向における任意の2点における比重であって、大きい方の比重を比重、小さい方の比重を比重とする。)
また、本発明のポリエステルフイルムの製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、
少なくとも一方向に延伸され、次いで熱固定するポリエステルフィルムの製造方法において、熱固定領域中に冷却領域と加熱領域とを隣接して設け、式(3)を満足するように制御した該冷却領域は、各々のフィルム端部の線上にあり、フィルム走行方向において線対称な関係を維持ながら加熱領域と冷却領域の隣接点に共に位置する2点を含む任意の図形であり、かつ前述した対称線において略対称な関係となるように構成された任意の図形であることを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法である。
【0011】
Ta  > Tb  ・・・(3)
(但し、Ta及びTbは、それぞれ、熱固定領域中の加熱領域及び冷却領域における温度(℃)である。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明をする。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルである。
【0014】
ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。中でも好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0015】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0017】
本発明におけるポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物を用いることもできる。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムは、上記溶融ポリマーを押出機に供給して、T型口金等を用いてシート状に溶融押出し、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムを樹脂組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度で延伸する方法などで得ることができる。この際の延伸の方法は、公知の如く長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法で行えばよく、長手方向の延伸、幅方向の延伸を同時、もしくは複数回組み合わせて行なってもよい。本発明によれば、延伸温度及び延伸倍率はいくらであっても良いが、通常のポリエステルフィルムの場合、延伸温度は80℃以上130℃以下であり、延伸倍率は2倍以上5倍以下である。さらに、効果的に本発明のポリエステルフィルムを製造方法するためには、延伸倍率の下限は、少なくとも長手方向には、厚みムラ、及びフィルム長手方向の熱収縮力を低減させてボーイングを抑える観点から2.5倍以上で、上限はボーイングを押さえる観点から3.5倍以下が好ましい。また、幅方向には、フィルム幅方向の熱収縮力を利用してボーイングを抑える観点から3.5倍以上5倍以下が好ましい。延伸温度は、長手方向、幅方向ともボーイングを押さえる観点から、それぞれ、95℃、105℃以上が好ましい。
【0019】
本発明の少なくとも一方向に延伸されたポリエステルフィルムは、該フィルム幅方向において、前記の式(1)で示された比重の変化量の最大値が0.13%以下であり、かつ150℃で10分間の熱処理条件での熱収縮率が長手方向、幅方向とも3%以下であることが必要である。
【0020】
変化量=(比重−比重)/比重×100 ・・・(1)
(但し、比重及び比重は、フィルム幅方向における任意の2点における比重であって、大きい方の比重を比重、小さい方の比重を比重とする。)
この比重の変化量の最大値が0.13%を超えると、配向角の最大値が20°以上となり偏光板貼り合わせ用フィルムなどにおいては光学特性が低下し、またフィルム幅方向においても中央部と端部で熱収縮率が異なるために貼り合わせて用いたときにはカールを起こすなどの寸法性安定性が悪くなり、フイルム幅方向に均一な物性を有することは困難である。
【0021】
ここでの比重,比重とは、密度勾配管法によって測定されたフィルム幅方向の任意の2点での比重値である(単位はg/cc)。比重の変化量とは、式(1)によって定義される値であり、その最大値とは、フィルム幅方向から採取した幾つかの比重、比重の組の中で最大値を示すものをいう。特に、ここでの最大値とは、生産収率性を考えると、フィルム幅方向左右対称に中央位置とそこから端部へ8割の位置間での比重の変化量の最大値を示す。フィルム幅方向において中央部から端部へ8割の位置とは、次の式(4)で求められる。
【0022】
フィルム幅方向において8割の位置=0.8×フィルム幅の半分の値 ・・・(4)
なお、フィルム幅とは、テンター法において、フィルム幅方向に延伸して、次いで熱固定し終えた後のフィルムを把持しているクリップ間の距離である。また、本発明のポリエステルフィルムの150℃で10分間熱処理したときの熱収縮率は、工業用材料として用いられる観点から、3%以下であることが必要である。
【0023】
また、本発明のポリエステルフィルムは、フィルム幅方向における前記の式(2)で示された複屈折の変化量の最大値が15%以下であることが好ましい。
【0024】
変化量=(複屈折−複屈折)/複屈折×100 ・・・(2)
(但し、複屈折及び複屈折は、フィルム幅方向における任意の2点における複屈折であって、大きい方の複屈折を複屈折、小さい方の複屈折を複屈折とする。)
フィルム幅方向における複屈折の変化量の最大値がかかる好ましい範囲であると、配向角の最大値を20°未満とでき光学特性に優れ、またフィルム幅方向において中央部と端部で熱収縮率がさほど異ならないために貼り合わせたときにカールを起こしにくく寸法安定性に優れ、フイルム幅方向に均一な物性とすることができる。
【0025】
ここでの複屈折,複屈折とは、フィルム幅方向の任意の2点での複屈折値である。複屈折とは、異方性媒体に光が入射すると、屈折波が常光線と異常光線の2つに分かれる現象のことである。この複屈折は、種々の方法で測定できる。例えば、波長590nmの光源を用いたアッベの屈折計を用いて、フィルム面内全方位の屈折率を測定し、その最大値と最小値の差から求める方法、または、複屈折計を用いて干渉縞から直接的にレターデーションを測定し、その値をフィルムの厚みで除じることによって求める方法などがある。複屈折の変化量とは、式(2)によって定義される値であり、その最大値とは、フィルム幅方向から採取した幾らかの複屈折、複屈折の組の中で最大値を示すものをいう。特に、ここでの最大値は、前記した比重と同様に、式(4)に従うフィルム幅方向8割位置以内に収まる領域の変化量の最大値である。
【0026】
前記したポリエステルフィルムを得るためには、少なくとも一方向に延伸され、次いで熱固定するポリエステルフィルムの製造方法において、熱固定領域中に冷却領域と加熱領域とを隣接して設け、式(3)を満足するように制御した該冷却領域は、各々のフィルム端部の線上にあり、フィルム走行方向において線対称な関係を維持ながら加熱領域と冷却領域の隣接点に共に位置する2点を含む任意の図形であり、かつ前述した対称線において略対称な関係となるように構成された任意の図形であることが必要である。
【0027】
Ta  > Tb  ・・・(3)
(但し、Ta及びTbは、それぞれ、熱固定領域中の加熱領域及び冷却領域における温度(℃)である。)
すなわち、本発明の製造方法とは、熱固定領域に侵入した走行中のフィルムが、フィルム幅方向において、単位時間当りに異なる熱量を供給する加熱領域と冷却領域の2つの領域に同時に曝され、さらに、走行するにつれて2つの領域の比率が刻々と変化するような熱処理を受ける熱固定方法のことである。また、ここでの単位当りの熱量とは、フィルムに吹付ける熱風の圧力、周波数及びその熱風の温度を意味する。しかし、熱固定装置の規格などにより、具備されたパラメータが異なるため、本発明ではもっとも一般的なパラメータであるフィルム温度を熱量と見なしており、冷却領域の温度は、加熱領域の温度より低いことが必要不可欠である。なお、通常の熱処理条件では、風速10〜50m/s、周波数は10〜80Hz程度である。
【0028】
冷却領域は、請求項3に記載の2点を含んだ任意の図形が、フィルム走行方向において対称な関係となるような図形であれば如何なる図形であっても良いが、ボーイングを最も効果的に低減させる観点から、先の2点を結ぶ直線を底辺とした三角形、台形、弓形であることが好ましい。一方、加熱領域は特に限定しないが、ボーイングを少なくする観点から、冷却領域と同様な図形である加熱領域が、テンター後部に設けてあっても良い。
【0029】
この様子を、図1を用いて以下に詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、通常のテンター法においては、予熱領域1、延伸領域2,3、熱固定領域4,5の3領域で構成されている。図1では、予熱領域が1室分、延伸領域が2室分、熱固定領域が2室分であるが、それぞれの領域の構成室数は幾つであっても良い。各領域の温度は、通常は、予熱領域は、フィルムのガラス転移温度+20℃未満に設定することが好ましく、続く延伸領域は、80℃以上130℃未満で延伸することが好ましく、さらに熱固定領域では、130℃以上フィルムの融点以下で熱固定することが好ましい。
【0031】
本発明においては、フィルムの熱固定領域中、例えば、図1に示した延伸領域3と熱固定領域4の境界線を底辺とした台形部6、もしくは、その内側の領域である弓形部7、三角形部8の冷却領域は、当該冷却領域を除いた加熱領域より単位時間当りに供給する熱量が小さくなることが必要である。ここで種々の形状からなる冷却領域の温度は、ボーイングを起し難くする観点から室温以上150℃未満であることが好ましい。室温とは、テンターの外の室温のことであり、通常10℃から30℃未満である。前述したようにテンター内の熱固定条件を設定することにより、事実上、走行中のフィルムは、熱固定領域における入り口からフィルム走行方向に移動するにつれて、端部から中央部へ向かって該フィルム幅方向に、略左右対称に、供給する単位時間当りの熱量が徐々に増加することになる。
【0032】
本発明の方法をより効果的に実施するためには、種々の冷却領域の形状と熱固定領域の関係は、次の式(5)を満足することが好ましい。
【0033】
1>b/L≧1/10かつ3>b/W≧1/3かつW/2>W≧0 ・・・(5)
ここで、bはフィルム幅方向において熱量を変化させているフィルム走行区間の長さであり、Lは熱固定区間の長さであり、またWは最大フィルム幅方向の長さであり、Wは冷却領域の形状が台形の場合の上底である。式(5)を満足するように、b、L、W、Wを設定することによって、フィルム幅方向に関する単位時間当りに供給する熱量差が保たれるため、十分なボーイング防止効果を実現し、かつ十分な熱固定時間が保たれるため熱寸法安定性が優れたポリエステルフィルムが得られる(式(5)のうち三番目の不等式は、冷却領域の形状が台形の場合のみ利用する)。なお、図1とは異なり、延伸終了後、一旦ガラス転移点以下に冷却した後に、熱固定部へフィルムが進入する装置であっても、熱固定領域における入り口からフィルム走行方向に移動するにつれて、端部から中央部へ向かって該フィルム幅方向に、略左右対称に、供給する単位時間当りの熱量が徐々に増加するような熱固定方法をとっている限り、如何なる装置であっても良い。
【0034】
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
[特性の測定方法]
本発明及び以下の実施例において、フィルムの特性は以下の方法で測定した。
(1)比重の変化量:
サンプルは、フィルム幅方向の中央部(相対位置0)から前記の式(4)で示されたように、フィルム幅方向において8割の位置以内の領域から幾つかのサンプルを切り出した。それらのサンプルの比重は密度勾配管を用いて測定し、(1)式に従って比重の変化量を求めた。
(2)ポリエステルフィルムの配向角及び複屈折:
ボーイング現象の発生の程度を比較するために、製造したポリエステルフィルムの配向角及びレターデーションを、自動複屈折計(新王子製紙(株)製KOBRA−21ADH)を用いて、フィルム幅方向の中央部(相対位置0)及び(4)式で示されたように、フィルム幅方向において8割の位置以内の領域から切り出した幾つかのサンプル(長手方向4.0cm×幅方向3.5cm)について測定した。また、複屈折は、レターデーションをフィルム厚みで除することによって求め、さらに式(2)に従って、複屈折の変化量を求めた。配向角の中央部は、左右対称な製造方法においては、0度と分かっているため、その最大値のみ記載した。
(3)熱収縮率:
フィルム幅方向における中央部から、長手方向、幅方向、それぞれ、1×10cmのサンプルを切り出し、ギアオーブン(タバイエスペック(株)製GHPS−222)で150℃、10分間の条件で熱処理した。その前後におけるフィルム長手方向と幅方向の長さをそれぞれ万能投影機(77−7ニコン(株)製E04)で正確に測長することにより、熱収縮率を求めた。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃で2時間乾燥した後、280℃に加熱された押出機に供給し、溶融してTダイからシート状に押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、まず長手方向に延伸した。長手方向延伸では、90℃に加熱したロールとラジエーションヒーターによってフィルムを3.33倍延伸した。続いてテンターにて幅方向に90℃で3.5倍延伸し、さらに該テンターに後続する熱固定領域で230℃で熱固定した。また、図1で示したように熱固定領域入り口には、熱風を遮断する三角形のアルミ板を上下に貼りつけ、冷却領域を設けた。冷却領域の形状および寸法と熱固定領域の関係を表1に示す。残る熱固定領域中、冷却領域に隣接する加熱領域においては、60Hzの周波数でフィルムに230℃の熱風を吹付けた。このようなフィルム熱固定を実施することにより厚み24μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
Figure 2004018784
[実施例2]
熱風を遮断する冷却領域の形状および寸法と熱固定領域の関係を表1のとおり変化させること以外は、実施例1と同様にして、厚み24μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に併せて示した。
[実施例3]
熱風を遮断する冷却領域の形状を表1のとおり弓形にする以外は、実施例1と同様にして、厚み24μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に併せて示した。
[実施例4]
熱風を遮断する冷却領域の形状を表1のとおり台形にする以外は、実施例1と同様にして、厚み24μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に併せて示した。
[比較例1]
実施例1において、熱風を遮断する冷却領域を設けず、熱固定の全領域を230℃の熱風を吹付けて加熱した以外は、他の条件を実施例1と同様にして、厚み25μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に併せて示した。
[比較例2]
比較例1において、吹き付ける熱風温度を130℃に変更した以外は、他の条件を比較例1と同様にして、厚み25μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に併せて示した。
[比較例3]
冷却領域の形状および寸法と熱固定領域の関係を表1のとおりに変化させた以外は、実施例1と同様にして、厚み24μmのポリエステルフィルムを得た。結果を表1に併せて示した。
[比較例4]
図2に示すとおり、冷却領域の形状を、2つの三角形9を頂点で接合させた形状となるように熱風を遮断するアルミ板を置いた以外は、実施例1と同様にして、厚み24μmのポリエステルフィルムを得た。これは、実施例1とは逆に熱固定領域における入り口からフィルム走行方向に移動するにつれて、フィルム幅方向の中央部から端部へ向かって供給される単位時間当りの熱量が徐々に左右対称に増加する熱固定方法になっている。このフィルムの物性結果を表1に併せて示した。
【0037】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られたポリエステルフィルムは、熱寸法安定性に優れ、かつ、ボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が従来よりも劇的に少ないポリエステルフィルムであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によると、熱寸法安定性に優れ、かつボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の配向角の位置依存性が劇的に少ない、フィルム幅方向の物性が均一化されたポリエステルフィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルフィルムの製造方法による予熱、延伸、熱固定領域の一例を示す概略平面図。
【図2】比較例4におけるポリエステルフィルムの製造方法による予熱、延伸、熱固定領域を示す概略平面図。
【符号の説明】
1:予熱領域
2:延伸領域
3:延伸領域
4:熱固定領域
5:熱固定領域
6:三角形枠
7:円弧枠
8:台形枠
9:2つの三角形枠

Claims (4)

  1. 少なくとも一方向に延伸されたポリエステルフィルムにおいて、該フィルム幅方向における式(1)で示された比重の変化量の最大値が0.13%以下であり、かつ150℃で10分間の熱処理条件での熱収縮率が長手方向、幅方向とも3%以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
    変化量=(比重−比重)/比重×100 ・・・(1)
    (但し、比重及び比重は、フィルム幅方向における任意の2点における比重であって、大きい方の比重を比重、小さい方の比重を比重とする。)
  2. フィルム幅方向における式(2)で示された複屈折の変化量の最大値が15%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルム。
    変化量=(複屈折−複屈折)/複屈折×100 ・・・(2)
    (但し、複屈折及び複屈折は、フィルム幅方向における任意の2点における複屈折であって、大きい方の複屈折を複屈折、小さい方の複屈折を複屈折とする。)
  3. 少なくとも一方向に延伸され、次いで熱固定するポリエステルフィルムの製造方法において、熱固定領域中に冷却領域と加熱領域とを隣接して設け、式(3)を満足するように制御した該冷却領域は、各々のフィルム端部の線上にあり、フィルム走行方向において線対称な関係を維持ながら加熱領域と冷却領域の隣接点に共に位置する2点を含む任意の図形であり、かつ前述した対称線において略対称な関係となるように構成された任意の図形であることを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
    Ta  > Tb  ・・・(3)
    (但し、Ta及びTbは、それぞれ、熱固定領域中の加熱領域及び冷却領域における温度(℃)である。)
  4. 冷却領域の図形が三角形、台形、弓形のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
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