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JP2004016144A - ヒト・コラーゲンを産生する形質転換カイコ - Google Patents

ヒト・コラーゲンを産生する形質転換カイコ Download PDF

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JP2004016144A
JP2004016144A JP2002177536A JP2002177536A JP2004016144A JP 2004016144 A JP2004016144 A JP 2004016144A JP 2002177536 A JP2002177536 A JP 2002177536A JP 2002177536 A JP2002177536 A JP 2002177536A JP 2004016144 A JP2004016144 A JP 2004016144A
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silkworm
human collagen
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protein
recombinant
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JP2002177536A
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English (en)
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Masahiro Tomita
冨田 正浩
Tsutomu Sato
佐藤 勉
Takayasu Adachi
安達 敬泰
Hiroto Munetsuna
宗綱 洋人
Katsutoshi Yoshizato
吉里 勝利
Toshiki Tamura
田村 俊樹
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Terumo Corp
Koken Co Ltd
National Institute of Agrobiological Sciences
Japan Science and Technology Agency
Hiroshima Industrial Promotion Organization
Original Assignee
Terumo Corp
Koken Co Ltd
National Institute of Agrobiological Sciences
Hiroshima Industrial Promotion Organization
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

【課題】組換えヒト・コラーゲンを繭に含まれるタンパク質の一部として生産する形質転換カイコと、このカイコが生産する組換えヒト・コラーゲンの製造方法を提供する。
【解決手段】ヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドをゲノムDNA内に有し、組換えヒト・コラーゲンを繭または絹糸腺内のタンパク質の一部として産生する形質転換カイコと、この形質転換カイコから組換えヒト・コラーゲンを製造する方法、並びに形質転換カイコの作成に使用する組換えベクターセット。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この出願の発明は、組換えヒト・コラーゲンを産生する形質転換カイコに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、組換えヒト・コラーゲンを産生する形質転換カイコと、この形質転換カイコを作製するための組換えベクター、並びに組換えヒト・コラーゲンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コラーゲンは細胞外基質を構成する代表的タンパク質であり、細胞の足場となって生体の構造を維持するといった機械的機能の他、細胞の増殖、分化、移動などを制御する様々な生理的機能を有している。そのためコラーゲンは生体の損傷を修復するためのバイオマテリアルとして(J.Surg.Res. 10, 485−491, 1970)、またある種の薬剤を徐放するためのキャリアーとして(J.Controlled Release33, 307−315, 1995)、医療分野で広く利用されている。しかし、現在用いられているコラーゲンの大部分はウシやブタ等の動物組織由来のものであり、これらのコラーゲンをヒトに移植した場合、約3%の患者にアレルギー反応が生じることが知られている(J.Immunol.136, 877−882, 1986;Biomaterials 11, 176−180, 1990)。また、動物組織由来コラーゲンにおけるウイルスやプリオン等病原体混入の危険性は近年大きな問題となっている。そのため抗原性が無く、また病原体混入の危険性が無い組換え型ヒト・コラーゲンを産生するシステムが望まれている。そこで、この出願の発明者らの一部は、ヒト・コラーゲンをコードするcDNAを挿入した組換えウイルスを昆虫細胞に感染させることにより、ヒト生体内のものと同等な三重らせん構造を有する組換えヒト・コラーゲンを製造する方法を発明し、特許出願している(特開平8−23979号公報)。また、哺乳動物細胞や酵母を用いてヒト・コラーゲンを製造する方法も考案されている(特表平7−501939公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、組換えヒト・コラーゲンを生産する方法として、昆虫細胞、哺乳動物細胞、酵母を用いる方法等が考案されているが、昆虫細胞や哺乳動物細胞を用いる方法では医療分野で用いることが可能なほどの高い生産量を上げることは難しい。また、酵母を用いる方法は、組換え産物が菌体内に産生されるため、組換えヒト・コラーゲンの精製は必ずしも容易ではない。
【0004】
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、高い生産性と精製の容易さを兼ね備えた組換えヒト・コラーゲン生産法と、そのための遺伝子工学材料を提供することを課題といている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この出願は、前記の課題を解決する第1の発明として、ヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドをゲノムDNA内に有し、組換えヒト・コラーゲンを繭または絹糸腺内のタンパク質の一部として産生する形質転換カイコを提供する。
【0006】
またこの出願は、第2の発明として、ヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質との融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをゲノムDNA内に有し、前記融合タンパク質を繭または絹糸腺内のタンパク質の一部として産生する形質転換カイコを提供する。
【0007】
なお、これら第1発明および第2発明の形質転換カイコには、カイコ成虫、幼虫、蛹および卵が含まれる。
【0008】
これら第1発明および第2発明の形質転換カイコは、さらに、プロリン水酸化酵素αサブユニットおよびβサブユニットの少なくとも一方をコードするポリヌクレオチドをゲノムDNA内に有すること、そしてプロリン水酸化酵素αサブユニットをコードするポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列を有することをそれぞれ好ましい態様としている。
【0009】
この出願はさらに第3の発明として、前記第1発明の形質転換カイコの繭または絹糸腺から組換えヒト・コラーゲンを単離、精製することを特徴とする組換えヒト・コラーゲンの製造方法を提供する。
【0010】
また、第4の発明として、前記第2発明の形質転換カイコの繭または絹糸腺から組換えヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質との融合タンパク質を単離し、この融合タンパク質から組換えヒト・コラーゲンを分離、精製することを特徴とする組換えヒト・コラーゲンの製造方法を提供する。
【0011】
また、第5の発明として、前記第2発明の形質転換カイコが産生する組換えヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質との融合タンパク質を提供する。
【0012】
この出願はさらにまた、第6の発明として、少なくとも以下の組換えベクター:
(1)  昆虫由来DNA型トランスポゾンの一対の逆向き反復配列に挟まれたヒト・コラーゲン発現カセットを有する組換えベクター;および
(2)  トランスポゾンのトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドを有する組換えベクター
からなる組換えベクターセットを提供する。
【0013】
この第6発明のベクターセットにおいては、さらに以下の組換えベクター:
(3)  外来性のプロリン水酸化酵素αサブユニットおよびβサブユニットの少なくとも一方をコードするポリヌクレオチドを有する組換えベクター
を含むこと、そしてプロリン水酸化酵素αサブユニットをコードするポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列を有することをそれぞれ好ましい態様としている。
【0014】
さらにこの第6発明のベクターセットにおいては、ヒト・コラーゲン発現カセットが、カイコ絹タンパク質遺伝子の発現制御配列の支配下にヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを連結した融合ポリヌクレオチド、またはカイコ絹タンパク質遺伝子の発現制御配列の支配下に、カイコ絹タンパク質をコードするポリヌクレオチドとヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを連結した融合ポリヌクレオチドであることを具体的な態様としている。
【0015】
この出願は、またさらに第7の発明として、配列番号2のアミノ酸配列を有する、カイコ由来のプロリン水酸化酵素αサブユニットを提供する。
【0016】
またさらに、この出願は、第7発明のプロリン水酸化酵素αサブユニットをコードし、配列番号1の塩基配列を有するcDNA断片を提供する。
【0017】
以下、実施形態を示し、これらの発明についてさらに詳しく説明する。
【0018】
【発明の実施の形態】
コラーゲンには現在までにI型からXXI型までの21種の異なった型のものが存在することが知られている。これらのコラーゲンはいずれも三つのサブユニット(α鎖)から形成される三量体分子で、その分子内に三重らせん構造をもつことが特徴である。コラーゲンの中には、先ず前駆体であるプロコラーゲンとして合成された後、成熟型のコラーゲン分子に変換されるものがある。例えばI、II、III型コラーゲン等の線維性コラーゲンは、その本体である三重らせん領域のアミノ末端側およびカルボキシル末端側に非三重らせん構造のアミノプロペプチドおよびカルボキシルプロペプチドを有したプロコラーゲンとして合成され、両方のプロペプチドが特異的なプロテアーゼにより切断された後、成熟したコラーゲンとなる。また、コラーゲンはその生合成過程で、プロリンの水酸化、リジンの水酸化、リジンおよび水酸化リジンの酸化(アルデヒド化)等を含む様々な翻訳後修飾を受ける。特にプロリン水酸化酵素によるプロリンの水酸化は、コラーゲンが生理的温度での安定性を獲得する上で非常に重要である。
【0019】
この出願の発明が対象とするヒト・コラーゲンは、I型からXXI型コラーゲンを含むすべてのコラーゲンであり、これらコラーゲンの部分アミノ酸配列も含む。また、これらコラーゲンのアミノ酸配列の一部分を改変したものや、コラーゲンに由来しないアミノ酸配列を付加したものも含む。また、成熟したコラーゲンに加え、前駆体であるプロコラーゲンやプロペプチドの一部が切断されたのもの含む。さらに、この出願の発明では、プロリンの水酸化を含む翻訳後修飾が不完全であったり、三重らせん構造が不完全である未成熟なコラーゲン分子も対象とする。
【0020】
カイコは吐糸期にはいると、大量の絹糸を吐き出して繭を作る。この絹糸の主成分はフィブロイン、P25およびセリシンを含む絹タンパク質であり、これら絹タンパク質の合成量は1頭のカイコあたり平均で約0.5gにも達するほど莫大である。絹タンパク質は絹糸腺と呼ばれる器官で合成される。絹糸腺は後部絹糸腺、中部絹糸腺および前部絹糸腺より構成され、後部絹糸腺ではフィブロインおよびP25が、中部絹糸腺ではセリシンがそれぞれ特異的に合成・分泌される。フィブロインはH鎖およびL鎖から構成される複合体で、さらにこの複合体にP25が会合している(J. Biol. Chem. 275, 40517−40528, 2000)。後部絹糸腺から分泌されたフィブロインおよびP25は、絹糸腺の蠕動運動によって徐々に中部絹糸腺へと送られ、そこで分泌されたセリシンによって周りを被覆され、さらに前部絹糸腺へと送られ絹糸として吐糸される。このように、カイコ絹糸腺は優れたタンパク質合成能力を有した器官であり、この器官で組換えヒト・コラーゲンを発現させた場合、非常に高い生産性が期待できる。さらに、絹糸は体外に排出されること、絹糸を構成する絹タンパク質の種類が少ないこと、および絹タンパク質の中で最も存在量の多いフィブロインは水溶液に不溶性であることから、合成された組換えヒト・コラーゲンをカイコが吐き出した繭から、または絹糸腺内のタンパク質から回収および精製することは著しく容易である。
【0021】
カイコにおける一過性の外来遺伝子発現システムはカイコ核多角体ウイルス(BmNPV)をベクターとして利用する方法が確立されている(特公平7−97995号公報)。しかし、この方法ではウイルスの感染によりカイコは致死するため、次世代以降に外来遺伝子を伝達することはできず、有用タンパク質の発現は一代限りである。そのため、外来遺伝子を発現させる度にウイルス接種を行う必要がある。一方、田村ら(Nat. Biotechnol. 18, 81−84, 2000)は、鱗翅目昆虫Trichoplusia niに由来するDNA型トランスポゾンであるpiggyBacを組み込んだプラスミドベクターをカイコ卵に微量注射することにより、世代を通じて永続的に外来遺伝子が組み込まれた形質転換カイコを作製することに成功している。
【0022】
この出願の発明では、ヒト・コラーゲン発現カセットをDNA型トランスポゾンをもとに作製したプラスミドベクターへ組み込み、このベクターをカイコ卵へ微量注入するとことによりカイコ染色体内にヒト・コラーゲン発現カセットを挿入し、世代を通じて永続的に組換えヒト・コラーゲンを産生する形質転換カイコを作製する。
【0023】
ヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドは、ヒト・コラーゲンのゲノムDNA、mRNAまたはmRNAから合成したcDNA等を用いることができるが、好ましくはcDNAを使用する。
【0024】
ヒト・コラーゲンcDNAはI型からXXI型コラーゲンのいずれのcDNAであってもよい。これらのcDNAの塩基配列は文献(例えば、Essays Biochem. 27, 49−67, 1992; Annu. Rev. Biochem. 64, 403−434, 1995)に記載された情報から入手可能であり、例えば、これらのcDNA配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプローブとしてヒトcDNAライブラリーをスクリーニングする方法や、あるいはcDNA配列の両端に対応するオリゴヌクレオチドをプライマーとし、ヒトの遺伝子を鋳型とするPCR法、またはヒト細胞から抽出したRNAを鋳型とするRT−PCR法によって、ヒトI型〜XXI型コラーゲンの各cDNAを得ることができる。
【0025】
カイコ絹糸腺細胞にてヒト・コラーゲンcDNAを発現させるために、ヒト・コラーゲンcDNAの上流にフィブロインH鎖、フィブロインL鎖、P25およびセリシンを含む絹タンパク質遺伝子由来の発現制御配列(プロモーターおよびエンハンサー)を組み込む。これら絹タンパク質のプロモーターおよびエンハンサーを利用することにより、組換えヒト・コラーゲンを絹糸腺特異的に大量に発現させることができる。例えば、フィブロインH鎖、フィブロインL鎖、P25のプロモーターおよびエンハンサーを利用すれば、ヒト・コラーゲンを後部絹糸腺で発現させることができ、セリシンのプロモーターおよびエンハンサーを利用すれば、ヒト・コラーゲンを中部絹糸腺で発現させることができる。また、絹糸腺細胞からの分泌や吐糸を容易にするために、ヒト・コラーゲンcDNAとフィブロインH鎖、フィブロインL鎖、P25およびセリシンを含む絹タンパク質cDNAとの融合ポリヌクレオチドを作製し、この融合ポリヌクレオチドをカイコ・ゲノム配列内に組み込むことにより、ヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質の融合タンパク質を合成させても良い。この場合、融合させるタンパク質は絹タンパク質の部分アミノ酸配列であっても良いし、全長アミノ酸配列であっても良い。例えば、ヒト・コラーゲンのシグナルペプチドを絹タンパク質のシグナルペプチドと置換した融合タンパク質を合成させれば、ヒト・コラーゲンの絹糸腺細胞からの分泌を容易にすることができる。また、例えばフィブロインL鎖全長とヒト・コラーゲンの融合タンパク質を合成させれば、合成されたフィブロインL鎖とヒト・コラーゲンの融合タンパク質は、フィブロインH鎖とジスルフィド結合により複合体を形成し、より効率良く分泌させることができる。
【0026】
形質転換カイコ作成のための組換えベクターには、ヒト・コラーゲン発現カセットを挟むようにして、昆虫由来DNA型トランスポゾンの一対の反復配列を組み込む。昆虫由来DNA型トランスポゾンとしては、piggyBac、mariner(Insect Mol. Biol. 9, 145−155, 2000)、およびMinos(Insect Mol. Biol. 9, 277−281, 2000)等が知られている。これらのトランスポゾンは、カイコ細胞内で転移活性を示すことことから、これらのDNA型トランスポゾンをもとに作製したベクターによりカイコを形質転換させることが可能である。特にpiggyBacをもとに作製したプラスミドベクターは、カイコ卵に微量注入することにより、実際にカイコを形質転換させることに成功している(Nat. Biotechnol. 18, 81−84 , 2000)。以下にpiggyBacを例に挙げて、その性質およびヒト・コラーゲン遺伝子を導入する方法を説明するが、この発明で使用する昆虫由来DNA型トランスポゾンはpiggyBacに限定するものではなく、marinerおよびMinosを含む他のDNA型トランスポゾンであっても良い。これらpiggyBac以外のトランスポゾンを用いた場合のヒト・コラーゲン遺伝子を導入する方法は、以下に記したpiggyBacを用いた方法と基本的に同様である。
【0027】
piggyBacは、鱗翅目昆虫Trichoplusia ni由来の培養細胞であるTN−368から単離されたDNA型トランスポゾンである。中央部にあるトランスポゼースORFと、その両端に存在する13 bpの逆向き反復配列から構成されており、長さは約2.5 kbである。トランスポゼースORFからはトランスポゼースタンパク質が合成され、この酵素の作用により、逆向き反復配列にはさまれた領域(piggyBac自体)を標的配列であるTTAAに転移させる(Virology 161, 8−17, 1989)。このようなpiggyBacの性質を利用してカイコ・ゲノム配列内にヒト・コラーゲン発現カセットを挿入するには、例えば田村らの方法(Nat. Biotechnol. 18, 81−84, 2000)と同様な方法によって行うことができる。即ち、piggyBacの一対の逆向き反復配列を適当なプラスミドベクターに組み込み、ヒト・コラーゲン発現カセットを一対の逆向き反復配列で夾むように挿入する。そしてこのプラスミドベクターを、piggBacのトランスポゼース発現ベクター(ヘルパープラスミド)と共にカイコ卵へ微量注入する。このヘルパープラスミドは、piggyBacの逆向き反復配列の片方または両方を欠いた、実質的にはpiggyBacのトランスポゼース遺伝子領域のみが組み込まれている組換えプラスミドベクターである。このヘルパープラスミドにおいて、トランスポゼースを発現させるためのプロモーターは、内在性のトランスポゼースプロモーターをそのまま利用しても良いし、あるいは、カイコ・アクチンプロモーターやショウジョウバエHSP70プロモーター等を利用してもよい。次世代カイコのスクリーニングを容易にするために、コラーゲン発現カセットを組み込んだベクター内に同時にマーカー遺伝子を組み込んでおくこともできる。この場合、マーカー遺伝子の上流に例えばカイコ・アクチンプロモーターやショウジョウバエHSP70プロモーター等のプロモーター配列を組み込み、その作用によりマーカー遺伝子を発現させるようにする。
【0028】
ベクターを微量注入したカイコ卵から孵化した幼虫(F0世代)を飼育する。このF0世代のカイコのうち一部カイコには、ヒト・コラーゲン発現カセットが組み込まれている。しかし、この世代のカイコでは、カイコ体内の全細胞のうちの一部分の細胞にのみにヒト・コラーゲン発現カセットが組み込まれており、全細胞にヒト・コラーゲン発現カセットが組み込まれたカイコを得るためには、F0カイコを交配し、生殖細胞を通じてヒト・コラーゲン発現カセットが伝達された形質転換カイコを得なければならない。即ち、得られた全F0世代のカイコを野生型カイコと、あるいはF0カイコ同士で交配し、次世代(F1世代)のカイコからヒト・コラーゲン発現カセットを有した形質転換カイコを選抜する必要がある。F1世代のカイコからの形質転換カイコの選抜は、例えばPCR法やサザンブロット法を用いて行う。また、マーカー遺伝子を組み込んだ場合には、その表現形質を利用して選抜することも可能である。例えばマーカー遺伝子としてGFP等の蛍光タンパク質遺伝子を利用した場合には、F1世代のカイコ卵や幼虫に励起光を照射し、蛍光タンパク質の発する蛍光を検出することにより行うことができる。このようにして選抜されたカイコは、その染色体内にヒト・コラーゲン発現カセットが組み込まれている形質転換カイコである。従って、これらのカイコを野生型カイコと、あるいは形質転換カイコどうしで交配させた子孫においてもヒト・コラーゲン発現カセットは消失することなく伝達され、世代を通じてヒト・コラーゲンまたはコラーゲンと絹タンパク質との融合タンパク質を産生させることができる。
【0029】
上記のヒト・コラーゲン発現カセットを有する形質転換カイコに、さらにプロリン水酸化酵素をコードするポリヌクレオチドを絹糸腺で発現しうる形態で導入すれば、生理的温度において完全に熱安定なヒト・コラーゲンを生産させることができる。導入するプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチド(例えばcDNA)は、ヒトや他の動物に由来するポリヌクレオチドであっても良いし、カイコ由来のプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチドでも良い。プロリン水酸化酵素はαサブユニットとβサブユニットの複合体であり、この複合体を形成しなければ酵素活性は生じない。αサブユニットは触媒活性を有するサブユニットであり、本来コラーゲンを産生する細胞に存在する。一方、βサブユニットはタンパク質のジスルフィド結合の構造変換を触媒する酵素であるプロテインジスルフィドイソメラーゼと同一のポリペプチドであり、全ての細胞に普遍的にかつ比較的多量に存在する。カイコ絹糸腺細胞は、コラーゲンを多量に産生する細胞ではないのでαサブユニットの存在量はわずかであるが、βサブユニットは比較的多量に存在する。カイコにプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチドを導入し、カイコ絹糸腺にてプロリン水酸化酵素を発現させるには、上記のようにヒト等の動物由来のプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチドを用いる方法と、カイコのプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチドを用いる方法がある。ヒト等動物由来のプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチドを用いる場合、αサブユニットおよびβサブユニットのそれぞれをコードする2種類のポリヌクレオチドが必要である。昆虫のβサブユニットはヒト等動物由来のαサブユニットとほとんど活性型の複合体を形成しないため、ヒト等動物由来のαサブユニットの発現のみでは活性型の酵素を合成させることができない。一方、カイコのプロリン水酸化酵素ポリヌクレオチドを用いる場合は、αサブユニットのものだけでよい。絹糸腺にて発現するαサブユニットは、比較的多量に存在する内在性のβサブユニットと活性型の複合体を形成することができるからである。
【0030】
この出願は、第7発明として、配列番号2のアミノ酸配列を有する新規なカイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットを提供する。また、第8発明として、このプロリン水酸化酵素αサブユニットをコードし、配列番号1の塩基配列を有するcDNAを提供する。このcDNAをカイコ染色体内に導入するには、カイコ絹糸腺でcDNAを発現させることができるプロモーターをcDNAの上流に連結して発現カセットを構築する。この条件を満たすプロモーターとしては、例えば絹糸腺だけで遺伝子を発現させることができるフィブロイン、P25、およびセリシンを含む絹タンパク質のプロモーターや、どの組織でも発現可能なプロモーターであるカイコ・アクチン、ショウジョウバエHSP70、AcNPVのIE1等のプロモーターを挙げることができる。このようにして構築したプロリン水酸化酵素発現カセットをカイコ染色体に導入する方法は、前記のヒト・コラーゲンを導入する方法と同じ方法を用いればよい。即ち、プロリン水酸化酵素発現カセットをpiggyBac等のDNA型トランスポゾンの一対の逆向き反復配列で夾むようにしてプラスミドベクターに挿入し、このプラスミドとヘルパープラスミドをカイコ卵に微量注入する。ヒト・コラーゲンとプロリン水酸化酵素の両方の発現カセットを有するカイコを作製するためには、ヒト・コラーゲン発現カセットを有する形質転換カイコにプロリン水酸化酵素発現カセットを導入しても良いし、逆にプロリン水酸化酵素発現カセットを有する形質転換カイコにヒト・コラーゲン発現カセットを導入しても良い。あるいは、ヒト・コラーゲン発現カセットのみを有する形質転換カイコと、プロリン水酸化酵素発現カセットを有する形質転換カイコを別々に作製し、これらを交配させることによって、両方の発現カセットを有する形質転換カイコを選抜しても良い。
【0031】
ヒト・コラーゲン発現カセットを有する形質転換カイコは、5齢期に達すると、内在性の絹タンパク質と共にヒト・コラーゲンを合成し、絹糸の一部として繭中にヒト・コラーゲンを分泌する。繭中のヒト・コラーゲンは例えば60% LiSCN等によって簡単に抽出することができる。また、例えばヒト・コラーゲンをカイコ・フィブロインL鎖との融合タンパク質として合成させた場合には、還元状態にすることにより融合タンパク質とフィブロインH鎖間のジスルフィド結合を切断し抽出することができる。また、繭中に含まれるヒト・コラーゲンが線維性コラーゲンであり、三重らせん領域部分(アテロコラーゲン)のみを精製する場合には、繭のタンパク質をペプシン等のタンパク質分解酵素で処理する。この操作によりタンパク質分解酵素で消化されることのないアテロコラーゲンが抽出でき、かつ他の多くのタンパク質はペプシンの消化を受けるため、その後の精製を容易に行うことができる。また、ヒト・コラーゲンを形質転換カイコの絹糸腺から繭の場合と同様の方法で抽出・精製することもきる。絹糸腺はカイコを解剖することにより簡単に分離することができ、含まれるタンパク質のほとんどが絹タンパク質であるため、繭の場合同様、容易にヒト・コラーゲンを抽出・精製することが可能である。
【0032】
【実施例】
以下に、ヒトIII型プロコラーゲンのアミノ酸配列のうち、三重らせん領域の一部を欠いたヒト・ミニIII型コラーゲンの製造方法に関する実施例を挙げてこの出願の発明をより具体的に説明するが、この出願の発明はこの例に限定されるものではない。
1.ベクターの作製
カイコ・フィブロインL鎖全長cDNA(塩基番号28−767 : J. Mol. Biol. 210, 127−139, 1989)を、プライマー(配列番号3)および5’末端にBamHI切断配列を組み込んだプライマー(配列番号4)を用いたカイコ絹糸腺由来cDNAを鋳型とするPCRによって単離した。次に、EGFPcDNAをpEGFPベクター(クロンテック)から、ApaIおよびBamHIで切り出し、これを、フィブロインL鎖cDNAの5’末端のBamHI切断部位に連結した。この融合cDNA(LE)はフィブロインL鎖とEGFPの融合タンパク質をコードする。
【0033】
ヒトIII型プロコラーゲンcDNA(塩基番号92−4550 : GeneBankデータベース登録番号X14420)を含むプラスミド(p3A1:Biochem. J. 312, 847−853, 1995)をXhoIで消化して塩基番号1075−3545の領域を取り除いた後、切断末端をセルフライゲーションにより繋ぐことにより、ミニIII型コラーゲンcDNAを作製した。このミニコラーゲンcDNAは、アミノプロペプチド、三重らせん領域の一部(全長コラーゲン三重らせん領域の18.8%)、およびカルボキシルプロペプチドをコードする塩基配列から構成される。ミニコラーゲンcDNAを鋳型とするPCRによって、ミニコラーゲンの三重らせん領域(N−テロペプチドおよびC−テロペプチドを含む)をコードするcDNA、およびN−プロペプチドと三重らせん領域をコードするcDNAを増幅した。三重らせん領域のcDNAの増幅には、配列番号5および6のプライマーを、N−プロペプチドと三重らせん領域のcDNAの増幅には、配列番号7および6のプライマーを用いた。増幅した三重らせん領域のcDNAはBamHIで、N−プロペプチドと三重らせん領域のcDNAはBamHIとBglIIで消化し、それぞれ、LEのBamHI切断部位(フィブロインL鎖cDNAとEGFPcDNAの間)に挿入した。三重らせん領域のcDNAを組み込んだ融合cDNAをmini−helix、N−プロペプチドと三重らせん領域のcDNAを組み込んだ融合cDNAをN−pro+mini−helixとした。
【0034】
pBac[3xP3−EGFPafm]ベクター(Dev. Genes Evol. 210, 630−637, 2000)に含まれるEGFPcDNAをBamHIとNotIで消化することにより取り除き、代わりにpDsRed2−1ベクター(クロンテック)からBamHIとNotIで切り出したDsRedcDNA を組み込んだ(pBac[3xP3−DsRed])。次に、カイコゲノムDNAから、プライマー(配列番号8および9)を用いて、フィブロインL鎖遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片(塩基番号−600〜34:Gene 110, 151−158, 1992)、およびプライマー(配列番号10および11)を用いてフィブロインL鎖遺伝子のポリA付加シグナルを含むDNA断片(塩基番号13114〜13597:Gene 110, 151−158, 1992)を増幅し、これらのDNA断片をpBac[3xP3−DsRed]に組み込んだ。さらに、フィブロインL鎖遺伝子のプロモーター領域を含むDNA断片とフィブロインL鎖遺伝子のポリA付加シグナルを含むDNA断片の間に、LE、mini−helixおよびN−pro+mini−helixを挿入した。LE、mini−helixおよびN−pro+mini−helixを含むベクターは、それぞれpLE、pMOSRA−7およびpMOSRA−8とした。
2.プラスミドベクターのカイコ卵への微量注入
上記の3種類のベクター(pLE, pMOSRA−7, pMOSRA−8)を塩化セシウム超遠心法で精製した後、それぞれのベクターをヘルパープラスミドであるpHA3PIG(Nat. Biotechnol. 18, 81−84, 2000)と1:1の割合で混合し、さらにエタノール沈殿を行った後、DNA濃度が400μg/mlなるようにインジェクションバッファー(5 mMKCl, 0.5 mMリン酸バッファー pH 7.0)に溶解した。このDNA溶液を、産卵後2〜8時間の前胚盤葉期のカイコ卵(カイコ胚)に、一つの卵あたり約15〜20 nlの液量で微量注入した。pLEは1900個、pMOSRA−7は2597個、pMOSRA−8は2757個の卵に注入した。
3.トランスジェニックカイコのスクリーニング
ベクターDNAを微量注入した卵を25℃でインキュベートしたところ、pLE注入卵からは589頭、pMOSRA−7注入卵からは855頭、pMOSRA−8注入卵からは562頭のカイコ幼虫が孵化した。孵化したカイコの飼育を続け生殖可能な成虫が得られたためこれらを交配し、pLEについては163、pMOSRA−7については131、pMOSRA−8については127のF1卵塊(1頭の成虫が産んだ100〜300個の卵を1つの卵塊とする)を得ることができた。これらの卵塊を25℃で5日間インキュベートした後、蛍光顕微鏡にて観察した。その結果、pLEについては42、pMOSRA−7については24、およびpMOSRA−8については35の卵塊(胚)に、単眼や神経系からDsRedタンパク質由来の赤色蛍光を発する胚が含まれていた。これら陽性卵(胚)を含む卵塊をさらに25℃でインキュベートし孵化させ、単眼および神経系から赤色蛍光を発する陽性F1幼虫を分離した。これら陽性F1カイコを飼育し野生型カイコと交配させ、さらに次の世代(F2世代)のカイコを得た。F2カイコのうち約1/2のカイコは赤色蛍光を発しており、組み込まれた外来遺伝子は、脱落することなく、メンデルの法則に従って次世代へ伝達されることが確認された。交配・産卵後のF1カイコ成虫からDNAを抽出し、サザンブロット解析を行ったところ、これら陽性カイコのゲノムDNA内に、外来遺伝子が組み込まれていることを確認した。さらに、サザンブロット解析の結果から、全ての陽性カイコを系統分けした。最終的に樹立できたトランスジェニックカイコの系統数は、pLEが組み込まれたカイコが42系統、pMOSRA−7が組み込まれたカイコが21系統、およびpMOSRA−8が組み込まれたカイコが28系統であった。
4.トランスジェニックカイコの繭からの組換えタンパク質の検出
樹立したトランスジェニックカイコは全て絹糸腺からEGFPタンパク質由来の緑色蛍光を発した。さらにこれらのカイコが吐き出した繭も非常に強い緑色蛍光を発し、繭中に組換えタンパク質が分泌されている可能性が強く示唆された。そこで、トランスジェニックカイコの繭からタンパク質を抽出し、電気泳動等によって組換えタンパク質の検出を試みた。トランスジェニックカイコの繭を、60% LiSCN、5% β−メルカプトエタノールで溶解し、5M尿素および1% SDSを含む50mM Tris−HCl, pH7.5バッファーで透析した。この抽出液にSDS−サンプル緩衝液(0.125Mトリス塩酸緩衝液、pH 6.8/4%SDS/10%2−メルカプトエタノール/20%グリセロール)を加えて混合し5分間100℃で熱処理した。この試料をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(Nature 227, 680−685, 1970)に供し、Matudairaらの方法(J. Biol. Chem. 261, 10035−10038, 1987)に準じて、泳動されたタンパク質をニトロセルロース膜BA85(S & S社)に転写した。次に、タンパク質が転写されたニトロセルロース膜をブロッキング液(3% BSA/50 mMトリス塩酸緩衝液 pH 7.5/150 mM NaCl)で4℃において16時間処理した後、抗GFP抗体および抗フィブロインL鎖抗体と反応させた。これらの抗体が反応するタンパク質をECL Western blotting Detection System(アマシャムファルマシアバイオテク)で検出した。その結果、pLEが組み込まれたカイコの繭からは63 kDaのフィブロインL鎖/EGFP融合タンパク質が、pMOSRA−7およびpMOSRA−8が組み込まれたカイコの繭からは、それぞれ75 kDaおよび88 kDaのミニコラーゲン融合タンパク質が、抗GFPおよび抗フィブロインL鎖抗体と反応するタンパク質として検出された。さらに、pMOSRA−7カイコの繭中に含まれるミニコラーゲン融合タンパク質のバンドをゲルから切り出し、Kristensenら(Electrophoresis 21, 430−439, 2000)の方法に準じて、Q−TOF質量分析機を用いて、融合タンパク質のアミノ酸配列を解析した。その結果、フィブロインL鎖のアミノ酸配列と一致する配列(VTINQYSDNEIPRおよびAILNVQ)、ミニコラーゲンのアミノ酸配列と一致する配列(AAGA)、EGFPのアミノ酸配列と一致する配列(VSGEGEGDATおよびEGDT)が決定された。これらの結果より、トランスジェニックカイコの繭中には、確かに組換えミニコラーゲン融合タンパク質が含まれていることが明らかとなった。この組換えタンパク質の含有量を測定するため、pMOSRA−7カイコの繭中に含まれるタンパク質を、既知濃度のEGFPを標準タンパク質として共に電気泳動しCBB染色を行った。染色されたバンドをイメージアナライザーで定量し、組換えタンパク質の含有量を算出した。その結果、繭重量当たり約0.8%の含有量であった。
5.カイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットcDNAのクローニング
先ず、混合プライマーを用いたdegenerate PCR法によって、カイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットcDNAの部分配列をクローニングした。すでに報告されているヒト、ショウジョウバエ、および線虫のプロリン水酸化酵素αサブユニット遺伝子のアミノ酸配列を比較し、種間で保存されている領域をもとに、アミノ酸配列から推定される塩基配列をもつ混合プライマーP3(配列番号12)、P5II(配列番号13)を設計した。なお、混合プライマー配列中、nはa、c、gまたはt、rはaまたはg、yはcまたはt、sはcまたはg、wはaまたはtであることを示す。続いてPCRの鋳型とするため、カイコ培養細胞であるBmN4細胞とカイコ2齢幼虫からそれぞれtotal RNAを抽出した。そのうちの200ng分のRNAを逆転写して得られたcDNAを鋳型としPCRを94℃1分、58℃1分、72℃1分、の反応条件で40サイクル行った。その結果、BmN4細胞とカイコ2齢幼虫ともに電気泳動で約150bpの増幅産物が確認でき、その増幅産物をインビトロジェン社pCR2.1にサブクローニングし、ジデオキシ法によって塩基配列を決定したところ、このcDNA断片は塩基配列レベル、そこから予想されるアミノ酸配列レベルともに他動物のプロリン水酸化酵素αサブユニットと高い相同性をもち、カイコ・プロリン水酸化酵素cDNAの部分断片であることが明らかになった。
【0035】
続いて、cDNA全長をクローニングするため、得られたカイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットcDNA断片の上流、下流をRACE (Rapid Amplification cDNA Ends)法によって単離した。cDNA断片の塩基配列から5’RACE用プライマーGSP1(配列番号14)、3’RACE用プライマーGSP2(配列番号15)を設計した。RACEはクロンテック社SMARTTM RACE cDNA Amplification Kitを使用して行った。RACEの結果、電気泳動で、5’領域約1.7kb、3’領域約1.2kbのcDNA断片を確認することができた。これらのcDNA断片を上記同様にサブクローニングし、その塩基配列を解析したところ、カイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットをコードする配列を全て含んでいた。その塩基配列を配列番号1に示す。また、このcDNAにコードされるカイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットは配列番号2のアミノ酸配列を有していた。
6.組換えカイコ・プロリン水酸化酵素の発現とその酵素活性の測定
Sf9細胞で組換えカイコ・プロリン水酸化酵素を合成させ水酸化酵素活性を測定することを試みた。組換えバキュロウィルスの作製はGIBCO BRL社BAC−TO−BAC Baculovirus Expression Systemを用いて行った。作製するウィルス(AcP4Hα)は、ポリヘドリンプロモーター下にカイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニット
cDNAの開始コドンから終止コドンまでを挿入した。AcP4Hαの作製は以下のようにして行った。カイコ・プロリン水酸化酵素αサブユニットcDNAの塩基配列からPCRプライマー4HAsma−F (配列番号16)および4HAhin−R(配列番号17)を設計した。鋳型にはカイコ5齢幼虫の血球由来cDNAを用い、PCRを94℃2分、94℃30秒、55℃30秒、68℃2分、の反応条件で20サイクル行った。得られたPCR産物はSmaIで切断したpUC18に挿入しPCRエラーがないことをシークエンシングによって確認した。続いて、そのプラスミドをSmaIおよびHindIIIで消化し、そのインサートをStuIおよびHindIIIで切断したトランスファーベクターpFASTBAC1に挿入した。完成したトランスファーベクターを用い、以降の操作はGIBCO BRL社BAC−TO−BAC Baculovirus Expression Systemのプロトコールに従って組換えバキュロウィルスAcP4Hαを作製した。また同様にしてカイコ・プロリン水酸化酵素βサブユニットを合成するための組換えバキュロウィルスAcP4Hβも作製した。
【0036】
作製した組換えバキュロウィルスAcP4HαおよびAcP4Hβ(約1x107 pfu/ml)それぞれ100μlをSf9細胞(1x10個)に共感染させ、72時間後に細胞を回収し、抽出用バッファー (0.01 M Tris−HCl, pH 7.8, 0.1 M glycine, 0.1 M NaCl, 10 mM DTT, 0.1% Triton X−100, 1 mM PMSF)でホモジナイズし、遠心して上清を回収した。このAcP4Hα /AcP4Hβ共感染Sf9細胞抽出液を水酸化酵素活性測定の際の酵素溶液として用いた。またラット線維芽細胞とウィルスを感染させていないSf9細胞の抽出液を、AcP4Hα /AcP4Hβ共感染Sf9細胞酵抽出液と比較するためのコントロールとして用いた。
【0037】
Prolyl 4−hydroxylase 活性はH標識プロトコラーゲンから遊離する 3Oのカウントを測定する方法を用いた。 基質として用いるH標識組換えプロトコラーゲンは定法に従い、鶏胚頭蓋骨の器官培養によって作製した。調製した基質と酵素溶液を50 mM Tris−HCl, pH 7.6, 0.5 mM Fe(NHSO, 2.5 mM ascorbic acid, 0.5 mM 2−oxoglutarate溶液100μl中で37 °C、30 分反応させた後、定法により、トリチウム水のカウントを測定した。
【0038】
測定の結果、AcP4Hα /AcP4Hβ共感染Sf9細胞の酵素活性は、ウィルスを感染させていない Sf9 細胞の酵素活性の2倍以上であり、ラット皮膚線維芽細胞の酵素活性とほぼ同程度であった。従って、AcP4Hα /AcP4Hβ共感染Sf9細胞抽出液、すなわち組換えカイコプロリン水酸化酵素に確かにプロリン水酸化酵素活性があることが明らかになった。哺乳類やショウジョウバエのカイコプロリン水酸化酵素は四量体を形成することがわかっており、おそらくSf9細胞で合成されたカイコカイコプロリン水酸化酵素も四量体を形成し、酵素活性を有していることが示唆された。
【0039】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、組換えヒト・コラーゲンを繭または絹糸腺に含まれるタンパク質の一部として生産する形質転換カイコと、このカイコが生産する組換えヒト・コラーゲンが提供される。組換えヒト・コラーゲンは、形質転換カイコの吐き出す繭または絹糸腺から回収するため、抽出しやすく、純度の高いコラーゲンを容易に得ることができる。また、形質転換カイコの生産する組換えヒト・コラーゲンは、ウイルスやプリオン等の病原体混入の危険が無く、またヒトに対して抗原性の無い安全ヒト・コラーゲンであるため、医療、食品、化粧品等の様々な産業分野で利用することが可能である。
【0040】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】Aは、pLE、pMOSRA−7およびpMOSRA−8ベクターの制限酵素地図である。Bは、pLE、pMOSRA−7およびpMOSRA−8ベクターに含まれる融合cDNAの模式図である。
【図2】野生型カイコ(レーン1)、およびpLE(レーン2)、pMOSRA−7(レーン3)、pMOSRA−8(レーン4)が組み込まれたトランスジェニックカイコが作り出した繭からタンパク質を抽出した後SDS電気泳動を行い、CBBでタンパク質染色を行った結果である(パネル左)。また、ゲル中のタンパク質をニトロセルロース膜に転写し、抗GFP抗体(パネル中央)、および抗フィブロインL鎖抗体(パネル右)を用いてウエスタンブロットを行った結果である。

Claims (16)

  1. ヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドをゲノムDNA内に有し、組換えヒト・コラーゲンを繭または絹糸腺内のタンパク質の一部として産生する形質転換カイコ。
  2. プロリン水酸化酵素αサブユニットおよびβサブユニットの少なくとも一方をコードするポリヌクレオチドを、さらにゲノムDNA内に有する請求項1の形質転換カイコ。
  3. プロリン水酸化酵素αサブユニットをコードするポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列を有する請求項2の形質転換カイコ。
  4. ヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質との融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをゲノムDNA内に有し、前記融合タンパク質を繭または絹糸腺内のタンパク質の一部として産生する形質転換カイコ。
  5. プロリン水酸化酵素αサブユニットおよびβサブユニットの少なくとも一方をコードするポリヌクレオチドをさらにゲノムDNA内に有する請求項1の形質転換カイコ。
  6. プロリン水酸化酵素αサブユニットをコードするポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列を有する請求項5の形質転換カイコ。
  7. 請求項1、2または3の形質転換カイコの繭または絹糸腺から組換えヒト・コラーゲンを単離、精製することを特徴とする組換えヒト・コラーゲンの製造方法。
  8. 請求項4、5または6の形質転換カイコの繭または絹糸腺から組換えヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質との融合タンパク質を単離し、この融合タンパク質から組換えヒト・コラーゲンを分離、精製することを特徴とする組換えヒト・コラーゲンの製造方法。
  9. 請求項4、5または6の形質転換カイコが産生する組換えヒト・コラーゲンとカイコ絹タンパク質との融合タンパク質。
  10. 少なくとも以下の組換えベクター:
    (1)  昆虫由来DNA型トランスポゾンの一対の逆向き反復配列に挟まれたヒト・コラーゲン発現カセットを有する組換えベクター;および
    (2)  トランスポゾンのトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドを有する組換えベクター
    からなる組換えベクターセット。
  11. さらに以下の組換えベクター:
    (3)  プロリン水酸化酵素αサブユニットおよびβサブユニットの少なくとも一方をコードするポリヌクレオチドを有する組換えベクター
    を含む請求項10の組換えベクターセット。
  12. プロリン水酸化酵素αサブユニットをコードするポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列を有する請求項11の組換えベクターセット。
  13. ヒト・コラーゲン発現カセットが、カイコ絹タンパク質遺伝子の発現制御配列の支配下にヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを連結した融合ポリヌクレオチドである請求項10、11または12の組換えベクターセット。
  14. ヒト・コラーゲン発現カセットが、カイコ絹タンパク質遺伝子の発現制御配列の支配下に、カイコ絹タンパク質をコードするポリヌクレオチドとヒト・コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを連結した融合ポリヌクレオチドである請求項10、11または12の組換えベクターセット。
  15. 配列番号2のアミノ酸配列を有する、カイコ由来のプロリン水酸化酵素αサブユニット。
  16. 請求項15のプロリン水酸化酵素αサブユニットをコードし、配列番号1の塩基配列を有するcDNA断片。
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