JP2004008684A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波診断装置の画質を向上する。
【解決手段】超音波診断装置を、超音波探触子と、超音波探触子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、超音波探触子を介して被検体から受信された受信信号を処理する受信部と、受信信号に基づいて画像を生成する画像構成部と、画像を表示する画像表示部とを有してなり、受信部は、受信信号の信号強度に反応して利得が推移する強度対応可変減衰手段と、受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移する時間対応可変減衰手段とを含んでなる構成とする。
【選択図】 図2
【解決手段】超音波診断装置を、超音波探触子と、超音波探触子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、超音波探触子を介して被検体から受信された受信信号を処理する受信部と、受信信号に基づいて画像を生成する画像構成部と、画像を表示する画像表示部とを有してなり、受信部は、受信信号の信号強度に反応して利得が推移する強度対応可変減衰手段と、受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移する時間対応可変減衰手段とを含んでなる構成とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用等の超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、被検体内に超音波を送信し、その反射波であるエコー信号を受信し、このエコー信号に基づいて画像等の診断に供する情報を得るものである。
【0003】
ところで、超音波は被検体内を伝播する際に、その伝播距離に応じた減衰を受ける。その結果、被検体内の浅い部位、つまり超音波を送受信する探触子から近い部位からの受信信号の強度は、深い部位からの受信信号の強度に比して大きくなる。そして、受信信号を処理するに際し、受信信号の強度が大きすぎると、アンプ等の回路要素が飽和する原因となる。例えばアンプが飽和すると、バイアスが狂い正常な状態に復帰するまでに時間を要する。その結果、診断画像の画質が劣化してしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、浅い部位からの受信信号の強度を低減するため、受信信号が受信されたタイミングに応じて利得を可変設定する減衰手段を用い、浅い部位からの受信信号、つまり1回の超音波の送信に係る受信信号のうち早い時期に受信された信号に対して強い減衰を行うことが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した減衰手段は、例えば被検体内の媒質が略均一であるといった仮定のもとに予め定められた利得を設定するものであるから、例えば被検体内の浅い部位に強反射体が存在し、その結果予測を上回る強度の受信信号が入力されると、回路の飽和を防止することができず、画質が悪化することとなる。
【0006】
上述した問題点に鑑み、本発明の課題は、超音波診断装置の画質を向上することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、超音波探触子と、超音波探触子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、超音波探触子を介して被検体から受信された受信信号を処理する受信部と、受信信号に基づいて画像を生成する画像構成部と、画像を表示する画像表示部とを有してなり、受信部は、受信信号の信号強度に反応して利得が推移する強度対応可変減衰手段と、受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移する時間対応可変減衰手段とを含んでなる超音波診断装置によって上述した課題を解決する。
【0008】
これによれば、信号強度が大きい受信信号が入力された場合に、強度対応可変減衰手段がその信号強度に反応して強い減衰を施すことによって、後段側の回路が飽和することを防ぐことができる。このような信号強度に応じた信号強度の補正と、受信タイミングに応じた信号強度の補正とを併せて行うことによって、画像を生成するのに好適な受信信号を生成することができ、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【0009】
ここで、強度対応可変減衰手段は、例えば受信信号の信号強度を検出する検出手段と、検出された信号強度に基づいて利得を可変設定する利得設定手段とを有する構成としてもよいが、これに代えて、強度対応可変減衰手段は演算増幅器を含んでなる逆相増幅回路であり、受信信号の強度に応じて抵抗値が増加する抵抗素子を演算増幅器の入力に挿入した構成としてもよい。これによれば、強度対応可変減衰手段の構成を簡単にすることができかつ外部からの制御が不要となる効果がある。
【0010】
ところで、電界効果トランジスタ(FET)のドレイン−ソース間の電圧と抵抗値との関係は、電圧の絶対値が比較的小さい非飽和域に対して電圧の絶対値が比較的大きい飽和域において抵抗値の絶対値が大きくなることが知られている。このような特性は上述した抵抗素子として用いるのに好適である。したがって、強度対応可変減衰手段の抵抗素子として、FETを用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる超音波診断装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示す図である。図1に示すように、超音波診断装置は、超音波探触子1と、超音波探触子1を介して図示しない被検体に超音波を送信する超音波送信手段3と、超音波送信手段3が生成した送信信号を探触子1に伝達するとともに、探触子1が被検体から受信した受信信号を出力する送受信切換手段5とを有する。さらに、送受信切換手段5が出力した受信信号に対し、その信号強度に応じた減衰補正を行う減衰手段7と、減衰手段7から出力された補正済みの受信信号に対し、その受信タイミングに応じて利得を補正するタイム・ゲイン・コントロール(TGC)回路9が設けられている。そして、TCG回路9の出力信号を整相する整相手段11と、整相手段11の出力信号に基づいて画像を生成する画像構成手段13と、この画像を表示するディスプレイ等を有する表示装置15とが設けられている。
【0012】
図2は、上述した減衰手段7の詳細な構成を示す図である。図2に示すように、減衰手段7は、可変抵抗部17と、固定抵抗である帰還抵抗19と、演算増幅器21とを有して構成されている。可変抵抗部17の一端からは送受信切換手段3の出力する受信信号が入力され、可変抵抗部17の他端は演算増幅器21の逆相入力端子につながれている。また、演算増幅器21の正相入力端子はグラウンド電位とされている。帰還抵抗19は、演算増幅器21の逆相入力端子と出力端子との間にわたして設けられ、これによって減衰手段7は周知の逆相増幅回路として構成されている。
【0013】
また、可変抵抗部17は、図2に示すようにnチャネル電界効果トランジスタ(FET)23と、pチャネル電界効果トランジスタ(FET)25とを有する。nチャネルFET23とpチャネルFET25のソース端子どうし、ゲート端子どうし、およびドレイン端子どうしはそれぞれ相互に接続されている。そして、ドレイン端子には、送受信切換手段5からの受信信号が入力される。また、ゲート端子は、グラウンド接地されている。また、ソース端子は、演算増幅器21の逆相入力端子と接続されている。
【0014】
次に、このような超音波診断装置の動作について説明する。はじめに、超音波送信手段3は、図示しない制御装置からの指示に基づいて、被検体内に送信する送信信号を生成する。ところで、探触子1は、それが接触させられる被検体の表面に対して列状または面状に並べて配列される複数の図示しない振動子を有して構成される。そして、送信信号は、これら複数の振動子の各チャンネル毎に供給される振動子の駆動信号である。そして、複数の振動子から略同時に超音波を発生させることによって、被検体内には各振動子から発せられた超音波の波面が一致する方向に伝播する超音波ビームが形成される。一方、被検体内の音響インピーダンスが変化する箇所、例えば臓器の表面等において、このような超音波ビームの一部は反射する。そして、これら反射波の一部はエコー信号として再び探触子1の各振動子に伝わり、ここで音波から電気的信号である受信信号に変換され、送受信切換手段5を介して減衰手段7に伝送される。この時点では振動子の個数に相当するチャンネル数の受信信号が存在する。
【0015】
次に、この受信信号は可変抵抗部17に入力される。ところで、一般的なnチャネルFETおよびpチャネルFETのドレイン−ソース間電圧とドレイン電流との関係を図3に示す。図3(1)はnチャンネルFETに係るものであり、図3(2)はpチャネルFETに係るものである。図3(1)に示すように、nチャネルFETには、ドレイン−ソース電圧の極性が正かつその絶対値が比較的小さいときに、この電圧の増加に略比例してドレイン電流が増加する領域Aと、領域Aよりもドレイン−ソース電圧が大きいときに、ドレイン−ソース電圧を増加させてもドレイン電流がほとんど増加しない領域Bとが存在する。また、図3(2)に示すように、pチャネルFETには、ドレイン−ソース電圧の極性が負かつその絶対値が比較的小さいときに、この電圧の絶対値の増加に略比例して極性が負のドレイン電流の絶対値が増加する領域Aと、領域Aよりもドレイン−ソース電圧が小さく、つまりその絶対値が大きいときに、ドレイン−ソース電圧の絶対値を増加させてもドレイン電流の絶対値がほとんど増加しない領域Bとが存在する。すわなち、これらの領域Aと領域Bとを比較すると、領域Bの方がドレイン−ソース電圧の変化に対するドレイン電流の変化が少なく、換言すれば領域Bは領域Aよりもドレイン−ソース間の抵抗成分が大きい状態にあるといえる。
【0016】
そして、逆相増幅回路として構成される減衰手段7のゲインは、可変抵抗部17における抵抗値をRiとし、帰還抵抗19の抵抗値をRfとすると、周知のように、−Rf/Riとなる。上述したように、可変抵抗部17においては、ドレイン−ソース電圧、つまり受信信号の振幅が大きいときに抵抗値Riが大きくなる特性を有するので、このとき減衰手段7におけるゲインの絶対値は小さくなる。このような効果は、受信信号の振幅が図3における領域B、つまりFETの飽和域に達したときに顕著となる。
【0017】
そして、減衰手段7から出力された受信信号は、TGC回路9に入力される。TGC回路9において、受信信号は、その受信タイミングに応じたゲインを与えられる。具体的には、1回の超音波の送信に対する受信信号中において、時間とともにゲインを大きくする制御が図示しない制御装置により行われる。このゲインの変化率は、被検体内を超音波が伝播する際の減衰を補償することを考慮して予め定められる。
【0018】
次に、TGC回路9から出力された受信信号は、整相手段11に入力される。そして、整相手段11において、選択された口径に対応する振動子の個数と同じチャネル数を有する受信信号は、受信信号の反射源と個々の振動子までの伝播距離の違いに起因する各チャネルの信号相互間の位相のずれを、各チャネル毎に所定の遅延時間だけ信号を遅延させることによって整相される。整相された各チャネルの受信信号は加算され、これによって受信ビーム信号が生成される。そして、受信ビーム信号は画像構成手段13に入力される。画像構成手段13は、入力された受信ビーム信号に基づいて、例えばBモード、ドプラモード、Mモード等の周知の信号処理を行ない、画像を生成する。そして、この画像は表示装置15に表示される。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、受信信号の信号強度に反応して利得が推移する減衰手段と、受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移するTGC回路とを有する構成としているから、例えば被検体内の浅い部位に強反射体が存在する等の理由によって、回路を飽和させるおそれのある信号強度の大きい受信信号が入力されたときに、減衰手段がその信号強度に反応して自動的にこれを減衰し、後段側に設けられる回路の飽和を防止することができる。このような信号強度に応じた信号強度の補正と、受信タイミングに応じた信号強度の補正とを併せて行うことによって、画像を生成するのに好適な受信信号を生成することができ、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【0020】
また、減衰手段は演算増幅器を含んでなる逆相増幅回路とし、受信信号の強度に応じて抵抗値が増加する抵抗素子であるFETを演算増幅器の入力に挿入しているから、減衰手段の構成が簡単化され、また外部からの制御が不要となる効果がある。
【0021】
次に、本発明を適用してなる超音波診断装置の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示す図である。本実施形態の超音波診断装置は、減衰手段7’が外部からの制御信号を受けてゲインを可変設定するものである点で上述した第1の実施形態と異なっている。そして、送受信切換手段5から出力された受信信号を抽出してその信号強度を求めるピーク検出手段27と、ピーク検出手段27が求めた信号強度に応じて減衰手段7’に制御信号を供給する減衰量制御手段29とが設けられている。ピーク検出手段は、アナログ・デジタル(A/D)変換器を含んで構成されている。
【0022】
次に、本実施形態の超音波診断装置の動作について説明する。本実施形態においては、ピーク検出手段27は、送受信切換信号5から出力された受信信号のうち、代表として設定された1チャネルの受信信号を抽出し、その信号強度のピーク値を検出する。このようなピーク検出手段は公知のものであり、例えば特開平7−241290号公報に記載されている。
【0023】
そして、ピーク検出手段27が検出したピーク値情報は減衰量制御手段29に入力される。減衰量制御手段29は、このピーク値情報に応じて、ピーク値が所定の値より大きいときに減衰手段7’に対し利得を小さくし、減衰を強めるよう制御命令を発する。
【0024】
以上のように、本実施形態によっても、上述した第1の実施形態と同様に、信号強度が大きい受信信号に対して強い減衰を施すことによって、回路の飽和を防止し、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【0025】
また、上述した第2の実施形態においては、ピーク検出手段は受信信号の複数のチャネルのうち代表する1チャネルの信号強度ピークを検出し、このピーク値情報に基づいて全チャネルの減衰手段を制御しているが、ピーク検出手段は、複数チャネルの信号強度ピークを検出するようにしてもよい。また、全チャネルの信号強度ピークをそれぞれ検出し、各チャネルの減衰手段の制御を該当チャネルの信号強度ピークに基づいて行うようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる超音波診断装置の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の超音波診断装置の減衰手段の構成を示す図である。
【図3】電界効果トランジスタのドレイン−ソース電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。
【図4】本発明を適用してなる超音波診断装置の第2の実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 超音波診断装置
3 送信手段
5 送受信切換手段
7 減衰手段
9 TGC回路
11 整相手段
13 画像構成手段
15 表示装置
17 可変抵抗部
19 帰還抵抗
21 演算増幅器
23 nチャネルFET
25 pチャネルFET
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用等の超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、被検体内に超音波を送信し、その反射波であるエコー信号を受信し、このエコー信号に基づいて画像等の診断に供する情報を得るものである。
【0003】
ところで、超音波は被検体内を伝播する際に、その伝播距離に応じた減衰を受ける。その結果、被検体内の浅い部位、つまり超音波を送受信する探触子から近い部位からの受信信号の強度は、深い部位からの受信信号の強度に比して大きくなる。そして、受信信号を処理するに際し、受信信号の強度が大きすぎると、アンプ等の回路要素が飽和する原因となる。例えばアンプが飽和すると、バイアスが狂い正常な状態に復帰するまでに時間を要する。その結果、診断画像の画質が劣化してしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、浅い部位からの受信信号の強度を低減するため、受信信号が受信されたタイミングに応じて利得を可変設定する減衰手段を用い、浅い部位からの受信信号、つまり1回の超音波の送信に係る受信信号のうち早い時期に受信された信号に対して強い減衰を行うことが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した減衰手段は、例えば被検体内の媒質が略均一であるといった仮定のもとに予め定められた利得を設定するものであるから、例えば被検体内の浅い部位に強反射体が存在し、その結果予測を上回る強度の受信信号が入力されると、回路の飽和を防止することができず、画質が悪化することとなる。
【0006】
上述した問題点に鑑み、本発明の課題は、超音波診断装置の画質を向上することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、超音波探触子と、超音波探触子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、超音波探触子を介して被検体から受信された受信信号を処理する受信部と、受信信号に基づいて画像を生成する画像構成部と、画像を表示する画像表示部とを有してなり、受信部は、受信信号の信号強度に反応して利得が推移する強度対応可変減衰手段と、受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移する時間対応可変減衰手段とを含んでなる超音波診断装置によって上述した課題を解決する。
【0008】
これによれば、信号強度が大きい受信信号が入力された場合に、強度対応可変減衰手段がその信号強度に反応して強い減衰を施すことによって、後段側の回路が飽和することを防ぐことができる。このような信号強度に応じた信号強度の補正と、受信タイミングに応じた信号強度の補正とを併せて行うことによって、画像を生成するのに好適な受信信号を生成することができ、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【0009】
ここで、強度対応可変減衰手段は、例えば受信信号の信号強度を検出する検出手段と、検出された信号強度に基づいて利得を可変設定する利得設定手段とを有する構成としてもよいが、これに代えて、強度対応可変減衰手段は演算増幅器を含んでなる逆相増幅回路であり、受信信号の強度に応じて抵抗値が増加する抵抗素子を演算増幅器の入力に挿入した構成としてもよい。これによれば、強度対応可変減衰手段の構成を簡単にすることができかつ外部からの制御が不要となる効果がある。
【0010】
ところで、電界効果トランジスタ(FET)のドレイン−ソース間の電圧と抵抗値との関係は、電圧の絶対値が比較的小さい非飽和域に対して電圧の絶対値が比較的大きい飽和域において抵抗値の絶対値が大きくなることが知られている。このような特性は上述した抵抗素子として用いるのに好適である。したがって、強度対応可変減衰手段の抵抗素子として、FETを用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる超音波診断装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示す図である。図1に示すように、超音波診断装置は、超音波探触子1と、超音波探触子1を介して図示しない被検体に超音波を送信する超音波送信手段3と、超音波送信手段3が生成した送信信号を探触子1に伝達するとともに、探触子1が被検体から受信した受信信号を出力する送受信切換手段5とを有する。さらに、送受信切換手段5が出力した受信信号に対し、その信号強度に応じた減衰補正を行う減衰手段7と、減衰手段7から出力された補正済みの受信信号に対し、その受信タイミングに応じて利得を補正するタイム・ゲイン・コントロール(TGC)回路9が設けられている。そして、TCG回路9の出力信号を整相する整相手段11と、整相手段11の出力信号に基づいて画像を生成する画像構成手段13と、この画像を表示するディスプレイ等を有する表示装置15とが設けられている。
【0012】
図2は、上述した減衰手段7の詳細な構成を示す図である。図2に示すように、減衰手段7は、可変抵抗部17と、固定抵抗である帰還抵抗19と、演算増幅器21とを有して構成されている。可変抵抗部17の一端からは送受信切換手段3の出力する受信信号が入力され、可変抵抗部17の他端は演算増幅器21の逆相入力端子につながれている。また、演算増幅器21の正相入力端子はグラウンド電位とされている。帰還抵抗19は、演算増幅器21の逆相入力端子と出力端子との間にわたして設けられ、これによって減衰手段7は周知の逆相増幅回路として構成されている。
【0013】
また、可変抵抗部17は、図2に示すようにnチャネル電界効果トランジスタ(FET)23と、pチャネル電界効果トランジスタ(FET)25とを有する。nチャネルFET23とpチャネルFET25のソース端子どうし、ゲート端子どうし、およびドレイン端子どうしはそれぞれ相互に接続されている。そして、ドレイン端子には、送受信切換手段5からの受信信号が入力される。また、ゲート端子は、グラウンド接地されている。また、ソース端子は、演算増幅器21の逆相入力端子と接続されている。
【0014】
次に、このような超音波診断装置の動作について説明する。はじめに、超音波送信手段3は、図示しない制御装置からの指示に基づいて、被検体内に送信する送信信号を生成する。ところで、探触子1は、それが接触させられる被検体の表面に対して列状または面状に並べて配列される複数の図示しない振動子を有して構成される。そして、送信信号は、これら複数の振動子の各チャンネル毎に供給される振動子の駆動信号である。そして、複数の振動子から略同時に超音波を発生させることによって、被検体内には各振動子から発せられた超音波の波面が一致する方向に伝播する超音波ビームが形成される。一方、被検体内の音響インピーダンスが変化する箇所、例えば臓器の表面等において、このような超音波ビームの一部は反射する。そして、これら反射波の一部はエコー信号として再び探触子1の各振動子に伝わり、ここで音波から電気的信号である受信信号に変換され、送受信切換手段5を介して減衰手段7に伝送される。この時点では振動子の個数に相当するチャンネル数の受信信号が存在する。
【0015】
次に、この受信信号は可変抵抗部17に入力される。ところで、一般的なnチャネルFETおよびpチャネルFETのドレイン−ソース間電圧とドレイン電流との関係を図3に示す。図3(1)はnチャンネルFETに係るものであり、図3(2)はpチャネルFETに係るものである。図3(1)に示すように、nチャネルFETには、ドレイン−ソース電圧の極性が正かつその絶対値が比較的小さいときに、この電圧の増加に略比例してドレイン電流が増加する領域Aと、領域Aよりもドレイン−ソース電圧が大きいときに、ドレイン−ソース電圧を増加させてもドレイン電流がほとんど増加しない領域Bとが存在する。また、図3(2)に示すように、pチャネルFETには、ドレイン−ソース電圧の極性が負かつその絶対値が比較的小さいときに、この電圧の絶対値の増加に略比例して極性が負のドレイン電流の絶対値が増加する領域Aと、領域Aよりもドレイン−ソース電圧が小さく、つまりその絶対値が大きいときに、ドレイン−ソース電圧の絶対値を増加させてもドレイン電流の絶対値がほとんど増加しない領域Bとが存在する。すわなち、これらの領域Aと領域Bとを比較すると、領域Bの方がドレイン−ソース電圧の変化に対するドレイン電流の変化が少なく、換言すれば領域Bは領域Aよりもドレイン−ソース間の抵抗成分が大きい状態にあるといえる。
【0016】
そして、逆相増幅回路として構成される減衰手段7のゲインは、可変抵抗部17における抵抗値をRiとし、帰還抵抗19の抵抗値をRfとすると、周知のように、−Rf/Riとなる。上述したように、可変抵抗部17においては、ドレイン−ソース電圧、つまり受信信号の振幅が大きいときに抵抗値Riが大きくなる特性を有するので、このとき減衰手段7におけるゲインの絶対値は小さくなる。このような効果は、受信信号の振幅が図3における領域B、つまりFETの飽和域に達したときに顕著となる。
【0017】
そして、減衰手段7から出力された受信信号は、TGC回路9に入力される。TGC回路9において、受信信号は、その受信タイミングに応じたゲインを与えられる。具体的には、1回の超音波の送信に対する受信信号中において、時間とともにゲインを大きくする制御が図示しない制御装置により行われる。このゲインの変化率は、被検体内を超音波が伝播する際の減衰を補償することを考慮して予め定められる。
【0018】
次に、TGC回路9から出力された受信信号は、整相手段11に入力される。そして、整相手段11において、選択された口径に対応する振動子の個数と同じチャネル数を有する受信信号は、受信信号の反射源と個々の振動子までの伝播距離の違いに起因する各チャネルの信号相互間の位相のずれを、各チャネル毎に所定の遅延時間だけ信号を遅延させることによって整相される。整相された各チャネルの受信信号は加算され、これによって受信ビーム信号が生成される。そして、受信ビーム信号は画像構成手段13に入力される。画像構成手段13は、入力された受信ビーム信号に基づいて、例えばBモード、ドプラモード、Mモード等の周知の信号処理を行ない、画像を生成する。そして、この画像は表示装置15に表示される。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、受信信号の信号強度に反応して利得が推移する減衰手段と、受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移するTGC回路とを有する構成としているから、例えば被検体内の浅い部位に強反射体が存在する等の理由によって、回路を飽和させるおそれのある信号強度の大きい受信信号が入力されたときに、減衰手段がその信号強度に反応して自動的にこれを減衰し、後段側に設けられる回路の飽和を防止することができる。このような信号強度に応じた信号強度の補正と、受信タイミングに応じた信号強度の補正とを併せて行うことによって、画像を生成するのに好適な受信信号を生成することができ、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【0020】
また、減衰手段は演算増幅器を含んでなる逆相増幅回路とし、受信信号の強度に応じて抵抗値が増加する抵抗素子であるFETを演算増幅器の入力に挿入しているから、減衰手段の構成が簡単化され、また外部からの制御が不要となる効果がある。
【0021】
次に、本発明を適用してなる超音波診断装置の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示す図である。本実施形態の超音波診断装置は、減衰手段7’が外部からの制御信号を受けてゲインを可変設定するものである点で上述した第1の実施形態と異なっている。そして、送受信切換手段5から出力された受信信号を抽出してその信号強度を求めるピーク検出手段27と、ピーク検出手段27が求めた信号強度に応じて減衰手段7’に制御信号を供給する減衰量制御手段29とが設けられている。ピーク検出手段は、アナログ・デジタル(A/D)変換器を含んで構成されている。
【0022】
次に、本実施形態の超音波診断装置の動作について説明する。本実施形態においては、ピーク検出手段27は、送受信切換信号5から出力された受信信号のうち、代表として設定された1チャネルの受信信号を抽出し、その信号強度のピーク値を検出する。このようなピーク検出手段は公知のものであり、例えば特開平7−241290号公報に記載されている。
【0023】
そして、ピーク検出手段27が検出したピーク値情報は減衰量制御手段29に入力される。減衰量制御手段29は、このピーク値情報に応じて、ピーク値が所定の値より大きいときに減衰手段7’に対し利得を小さくし、減衰を強めるよう制御命令を発する。
【0024】
以上のように、本実施形態によっても、上述した第1の実施形態と同様に、信号強度が大きい受信信号に対して強い減衰を施すことによって、回路の飽和を防止し、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【0025】
また、上述した第2の実施形態においては、ピーク検出手段は受信信号の複数のチャネルのうち代表する1チャネルの信号強度ピークを検出し、このピーク値情報に基づいて全チャネルの減衰手段を制御しているが、ピーク検出手段は、複数チャネルの信号強度ピークを検出するようにしてもよい。また、全チャネルの信号強度ピークをそれぞれ検出し、各チャネルの減衰手段の制御を該当チャネルの信号強度ピークに基づいて行うようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波診断装置の画質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる超音波診断装置の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の超音波診断装置の減衰手段の構成を示す図である。
【図3】電界効果トランジスタのドレイン−ソース電圧とドレイン電流との関係を示すグラフである。
【図4】本発明を適用してなる超音波診断装置の第2の実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 超音波診断装置
3 送信手段
5 送受信切換手段
7 減衰手段
9 TGC回路
11 整相手段
13 画像構成手段
15 表示装置
17 可変抵抗部
19 帰還抵抗
21 演算増幅器
23 nチャネルFET
25 pチャネルFET
Claims (4)
- 超音波探触子と、前記超音波探触子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、前記超音波探触子を介して前記被検体から受信された受信信号を処理する受信部と、前記受信信号に基づいて画像を生成する画像構成部と、前記画像を表示する画像表示部とを有してなり、前記受信部は、前記受信信号の信号強度に反応して利得が推移する強度対応可変減衰手段と、前記受信信号の受信タイミングに応じて利得が推移する時間対応可変減衰手段とを含んでなる超音波診断装置。
- 前記強度対応可変減衰手段は演算増幅器を含んでなる逆相増幅回路であり、前記受信信号の強度に応じて抵抗値が増加する抵抗素子を前記演算増幅器の入力に挿入したことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記抵抗素子は、電界効果トランジスタを有してなることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記強度対応可変減衰手段は、前記受信信号の信号強度を検出する検出手段と、検出された信号強度に基づいて該強度対応可変減衰手段の利得を可変設定する利得設定手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
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