JP2004003424A - エンジンの吸気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの出力を増大させることができるとともにエンジン回転数の上昇率を正確に制御できる吸気緩衝弁を備えたエンジンの吸気装置を提供する。
【解決手段】吸気緩衝弁31の弁体32をスロットル弁46の下流側に設ける。前記弁体32は、吸気通路28の壁28aの一部を構成するように形成される。また、この弁体32は、回動することによって一端部が吸気通路28に対して出没するように形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】吸気緩衝弁31の弁体32をスロットル弁46の下流側に設ける。前記弁体32は、吸気通路28の壁28aの一部を構成するように形成される。また、この弁体32は、回動することによって一端部が吸気通路28に対して出没するように形成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットル弁の開度面積が最適な面積より過度に大きい場合に吸気制御弁によって通路面積を最適になるように制御するエンジンの吸気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の吸気制御弁としては、例えば特開2001−263186号公報に開示されているように、スロットル弁と同等の構造のバタフライ弁型のものがある。この吸気制御弁は、弁軸がスロットル弁の弁軸と平行になる状態でスロットル弁の上流側に設けられており、サーボモータ等のアクチュエータによって駆動する。
【0003】
上述した従来の吸気制御弁は、例えばスロットル弁が急速に開かれたときなどに吸気通路の通路断面積が急速に拡大することがないように、スロットル弁より遅れて開くように構成されている。すなわち、この吸気制御弁は、スロットル弁開度とエンジン回転数とに基づいて決まる最適な通路断面積(そのときにエンジン出力が最大になるような通路断面積)が得られるように制御されている。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−263186(図2および図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように構成された吸気制御弁を備えた従来の吸気装置は、吸気抵抗が大きいためにエンジンの出力を向上させることができないという問題があった。吸気抵抗が大きくなるのは、吸気制御弁がバタフライ弁によって構成されており、スロットル弁が全開になる状態でも吸気制御弁の弁体と弁軸とが吸気通路中に存在しているからである。
【0006】
また、従来の吸気装置は、制御の応答性が低く、望み通りのエンジン出力が得られないという問題もあった。これは、スロットル弁の上流側に吸気制御弁が設けられており、これにより吸入吸気量を制御しようとしても吸気制御弁の下流側に存在している大量の空気がエンジンに吸込まれるからであると考えられる。
【0007】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、エンジンの出力を増大させることができるとともに、エンジン回転数の上昇率を正確に制御できる吸気制御弁を備えたエンジンの吸気装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係るエンジンの吸気装置は、吸気制御弁の弁体をスロットル弁の下流側に設け、この弁体は、吸気通路の壁の一部を構成するように形成されるとともに、回動することによって一端部が吸気通路に対して出没するように形成されているものである。
【0009】
本発明によれば、吸気制御弁の弁体が吸気通路の壁の一部を構成しているから、吸気制御弁には吸気通路中を横切るような部材がなく、吸気抵抗を低減することができる。
また、吸気制御弁がスロットル弁の下流側に設けられていることにより、スロットル弁が急速に開いた後に吸気をエンジンに吸入される途中で吸気制御弁によって絞ることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1に記載した発明に係るエンジンの吸気装置において、弁体は、吸気通路内に露出する表面が全開状態で吸気通路の隣接する壁面と略同一面上に位置するように形成されているものである。
この発明によれば、全開状態で吸気通路内に突出することがないように弁体を形成することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1または請求項2に記載した発明に係るエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の弁体とスロットル弁との間にインジェクタの燃料噴射口を開口させたものである。
この発明によれば、燃料噴射口の下流側に吸気制御弁が位置付けられ、吸気制御弁によってベンチュリが構成されるから、吸気に乗るようにして流れるミスト状の燃料の流速がベンチュリによって高められる。このため、ミスト状の燃料の粒が吸気通路壁面に付着するのを防ぐことができる。
【0012】
請求項4に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項3に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、シリンダヘッドに1気筒当たり複数の吸気ポートを形成し、このシリンダヘッドとスロットルボディとの間の吸気マニホールドに吸気制御弁を設けたものである。
【0013】
この発明によれば、吸気通路をスロットルボディとシリンダヘッドとの間で吸気ポート毎に分岐するように形成するに当たって、吸気マニホールド内で通路断面の形状が緩やかに変化するように吸気通路を形成し、吸気抵抗を低減することができる。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールドに吸気制御弁が設けられているから、専ら吸気制御弁を設けるために用いる通路部材が不要になる。
【0014】
請求項5に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項4に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の回動枢支部を上流側に位置付けて吸気制御弁の下流側が吸気通路に出没するように構成し、前記回動枢支部とスロットル弁の開き側とを同一側部に位置付けたものである。
ここでいうスロットル弁の開き側とは、スロットル弁における吸気通路内壁面との間に吸気が最も多く流れるような隙間が形成される部位のことである。
【0015】
スロットル部の開き側を通過する吸気は、スロットル弁の下流側で吸気通路内の一側部に偏って流れる。この発明によれば、前記一側部に偏って流れる吸気が吸気制御弁の近傍を通るようになるから、吸気制御弁による吸気の制御を効率よく行うことができる。
【0016】
請求項6に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項5に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の回動枢支部とインジェクタ取付部とを同一側部に位置付けたものである。
この発明によれば、吸気制御弁が全閉状態または全閉状態に近い状態でなければ燃料が吸気制御弁に当たり難くなる。
【0017】
請求項7に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項6に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の弁体は、シリンダヘッドに取付けられた吸気通路形成用の部材に回動自在に支持され、全開状態で回動端部がシリンダヘッドの吸気ポート内に臨むように形成されているものである。
この発明によれば、吸気通路形成用部材の全長を短く形成しながら、吸気制御弁の弁体を相対的に大きく形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るエンジンの吸気装置の一実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る吸気装置を装備した自動二輪車用エンジンの側面図、図2は吸気制御弁とスロットル弁を断面で示す吸気通路の断面図、図3は吸気制御弁を拡大して示す断面図で、同図(a)は横断面図、同図(b)は縦断面図、同図(c)は(b)図におけるC−C線断面図である。図4は吸気制御弁の動作を説明するための図で、同図(a)は弁体の角度が10°の状態を示し、同図(b)は弁体の角度が20°の状態を示し、同図(c)は弁体の角度が30°の状態を示し、同図(d)は弁体の角度が40°の状態を示し、同図(e)は弁体の角度が45°の状態を示す。図5は吸気ポートの開口形状を示す図、図6はスライド式スロットル弁を用いる例を示す断面図である。
【0019】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による自動二輪車用のDOHC型4気筒エンジンである。図1において、2はシリンダボディを示し、3はクランクケース、4はシリンダヘッド、5はヘッドカバー、6は吸気カム軸、7は排気カム軸、8は吸気弁、9は排気弁、10は吸気ポート、11は排気ポートを示す。このエンジン1の内部の構造は、従来のものと同等であるから、ここにおいて詳細な説明は省略する。
【0020】
このエンジン1は、図示してはいないが、自動二輪車用車体フレームのダウンチューブにシリンダボディ2の前端部が支持されるとともに、リヤアームブラケット12にシリンダボディ2とクランクケース3の後端部が支持されており、シリンダの軸線が前傾するとともにクランク軸13の軸線方向が車幅方向を指向する状態で車体に搭載されている。
【0021】
シリンダヘッド4は、1気筒当たり3本の吸気弁8と、2本の排気弁9とが設けられている。前記3本の吸気弁8によって開閉される三つの吸気ポート10は、シリンダヘッド4の後面に後ろ斜め上方を指向するように開口され、本発明に係る吸気装置21が接続されている。また、前記排気弁9によって開閉される排気ポート11は、シリンダヘッド4の前面に開口され、排気管22が接続されている。
【0022】
吸気装置21は、シリンダヘッド4に取付けられた吸気マニホールド23と、この吸気マニホールド23の上流側端部に取付けられたスロットル弁装置24と、このスロットル弁装置24を囲むように形成された吸気箱25と、前記スロットル弁装置24に設けられた第1および第2のインジェクタ26,27などによって構成されている。この吸気装置21は、吸気マニホールド23とスロットル弁装置24とが気筒毎に設けられ、各気筒の三つの吸気ポート10に各気筒用の一つのスロットル弁装置24から吸気を供給するように構成されている。
すなわち、この実施の形態による吸気装置21は、図2に示す吸気マニホールド23とスロットル弁装置24とが車幅方向に4組並設され、4個のスロットル弁装置24が一つの吸気箱25に収容されている。
【0023】
前記吸気マニホールド23は、図1〜図3に示すように、内部に吸気通路28が形成され、この吸気通路28を挾んで前記ヘッドカバー5とは反対側(図1,2においては右側であって車体後側)の一側部(以下、この一側部を後部という)に吸気制御弁31が設けられている。
吸気マニホールド23内の吸気通路28は、図3(c)に示すように、上流側端部の円形状の開口23aと下流側端部の長円状の開口23bとを接続するように形成されており、上流側から下流側に向かうにしたがって断面形状が徐々に変化するように形成されている。
【0024】
前記下流側端部の開口23bは、シリンダヘッド4に1気筒当たり三つ形成された吸気ポート10と対応するように、車幅方向に長くなるように形成されている。シリンダヘッド4における吸気ポート10の開口部分(吸気マニホールド23を取付ける部分)を図5に示す。吸気ポート10の開口部分は、三つの吸気ポート10を車幅方向へ一列に並べるようにして形成され、長円状に開口している。
【0025】
吸気通路を一つのスロットル弁装置24から三つの吸気ポート10に延びるように三股状に形成するためには、この実施の形態で示すように、途中に吸気マニホールド23を設けて通路断面の形状が緩やかに変わるようにすることが吸気抵抗を低減するうえで重要である。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールド23に、本発明に係る吸気制御弁31が設けられている。
【0026】
吸気制御弁31は、図2および図3に示すように、吸気マニホールド23内の吸気通路28の後部の壁28aの一部を構成するように板状に形成された弁体32と、この弁体32における吸気通路28の上流側に位置する一端部に一体に形成されて車幅方向に延びる筒状の支軸33と、この支軸33を貫通して固定された駆動軸34を有するアクチュエータ35などによって構成されている。
前記弁体32は、これに一体に形成された前記支軸33が吸気マニホールド23の軸孔36に嵌合されることによって、吸気マニホールド23に回動自在に支持されている。前記駆動軸34は、前記吸気通路28の断面形状の長円の長径方向と平行に設けられている。この構成を採ることにより、吸気制御弁31の全閉時の突出量を少なく抑えることができ、回動角度が小さくなって応答性を向上させることができる。
【0027】
前記弁体32が閉じるときの回動方向は、図2中に矢印Aで示すように、同図において時計方向で、後述するスロットル弁の開弁時の回動方向と同一方向である。この弁体32は、全開状態では吸気マニホールド23の前記壁28aに形成された凹陥部37内に収容され、全閉状態では、図2,3に示すように、支軸33を中心に前記A方向に回動して吸気通路28内に突出する。なお、図3(c)は、図3(b)における弁体32が全閉状態にあるときのC−C線断面図である。すなわち、この弁体32は、吸気通路28の上流側に位置する一端部を中心にして回動し、他端部(下流側端部)が吸気通路28に対して出没するように構成されている。
【0028】
弁体32を全開位置から全閉位置まで回動させることにより、吸気通路28の開口面積は図4(a)〜(e)に示すように徐々に小さくなる。図4(a)は、図3(b)において弁体32が全開位置から時計回りに10°だけ閉側へ回動した状態で描いてある。図4(b)に示す弁体32の回動角度は20°、同図(c)に示す回動角度は30°、同図(d)に示す回動角度は40°、同図(e)に示す回動角度は45°である。図4(e)は弁体32が全閉になる状態を示している。
【0029】
また、弁体32は、図3(b)に示すように、前記凹陥部37内に収納された全開状態において、吸気通路28内に露出する表面32aが吸気通路28の隣接する壁面38と略同一面上に位置するように形成されている。すなわち、弁体32が全開状態にあるときには、前記壁面38と、吸気マニホールド23の下流側端部の両側面39(断面円弧状の凹曲面)とがそれぞれ弁体32の前記表面32aに滑らかに接続する。
【0030】
前記支軸33は、図3(c)に示すように、吸気通路28の横幅と略等しい長さをもって形成され、軸線方向の中央部に前記弁体32が設けられている。
前記駆動軸34は、前記支軸33の軸心部を貫通させた状態で支軸33に固着されている。この実施の形態による駆動軸34は、車幅方向に並ぶ4個の吸気マニホールド23にそれぞれ設けられ、図示していないユニバーサルジョイントによって互いに連動するように連結されている。また、この4本の駆動軸34を接続してなる軸組立体は、車体左側の端部にアクチュエータ35が接続されるとともに、車体右側の端部に前記弁体32の回動角度を検出するための回動角センサ40(図2参照)が接続されている。この回動角センサ40は、コントローラ41(図1参照)に弁体32の回動角度を示すデータを送出する構成のものである。また、駆動軸34は、これを開方向へ付勢するためのねじりコイルばね(図示せず)が装着されている。
【0031】
前記アクチュエータ35は、図1に示すように、前記駆動軸34にプーリ42と2本のワイヤ43,43とを介してサーボモータ44を接続した構成のものである。前記サーボモータ44は、前記コントローラ41に接続されており、このコントローラ41から送られた制御信号によって作動し、前記ねじりコイルばねの弾発力に抗して駆動軸34を弁体32とともに回動させる。
【0032】
前記スロットル弁装置24は、図2に示すように、スロットルボディ45にバタフライ弁からなるスロットル弁46を設けた構造のもので、スロットルボディ45の車体後側に位置する後壁47に第1のインジェクタ26が取付けられている。前記スロットルボディ45は、上流側端部にエアファンネル45aが図示していない固定用ボルトによって取付けられている。また、このスロットルボディ45内の吸気通路48は、通路断面の形状が円形状に形成されている。なお、スロットル弁46としては、上記したバタフライ弁型のものの他に、図6に示すように、弁体46aがスロットルボディ45に対してスライドする構成のものを用いることができる。図6においては、図2で示したものと同等の部材については、同一の符号を付してある。
【0033】
前記スロットル弁46の弁軸46aは、その軸線が車幅方向を指向する状態でスロットルボディ45を貫通してこれに回動自在に支持されており、軸端部に弁体46bの角度(スロットル弁開度)を検出するためのスロットル開度センサ49が接続されている。この実施の形態では、気筒毎のスロットルボディ45に弁軸46aがそれぞれ設けられ、これら4本の弁軸46aどうしが互いに連動するように連結されている。この4本の弁軸46aは、途中にスロットルワイヤ(図示せず)が接続されている。前記スロットル開度センサ49は、前記コントローラ41にスロットル弁開度のデータを送出する構成のもので、車体右側の端部に位置する弁軸46aの軸端部に接続されている。
【0034】
スロットル弁46の弁体46bは、開弁時に図2中に矢印Bで示す方向(同図においては時計方向)に回動するように前記弁軸46aに固定されている。図2は、スロットル弁46をアイドリング位置から低速運転位置まで開いた状態で描いてある。このように弁体32の開く方向を設定することによって、吸気は、スロットル弁装置24を通過するときに、弁体46bに沿ってスロットルボディ45の前記後壁47に近付くように流れる。このときに吸気の流れる方向を図2中に白抜き矢印によって示す。そして、吸気は、スロットル弁46と前記後壁47との間の隙間を通って下流側に流れる。この下流側には、前記吸気制御弁31が位置付けられている。本発明に係るスロットル弁46の開き側とは、前記弁体46bにおける前記後壁47との間に前記隙間が形成される部位のことである。図6に示すスライド式スロットル弁46の開き側とは、弁体46aの先端部のことである。
【0035】
スロットル弁装置24に設けられた第1および第2のインジェクタ26,27は、従来からよく知られているものと同等のものが用いられている。第1のインジェクタ26は、図2に示すように、吸気通路48の中心線Cに対して角度αだけ車体後側に傾斜するとともに、前記吸気制御弁31の弁体32とスロットル弁46との間に先端部の燃料噴射口26aが開口するようにスロットルボディ45に取付けられている。第2のインジェクタ27は、前記第1のインジェクタ26に支持用ステー51(図1参照)を介して支持され、前記エアファンネル45aの上方に配置されている。
【0036】
この第2のインジェクタ27は、軸線がスロットルボディ45内の吸気通路48の中心線Cと略平行になるように設定されている。前記第1のインジェクタ26は、エンジン運転域の全域にわたって燃料を供給するが、第2のインジェクタ27は、高回転・高負荷運転時のみに燃料を補助的に供給する。なお、スロットル弁46が全開状態であるときには、第2のインジェクタ27のみから燃料が供給される。
スロットル弁装置24を収容する吸気箱25は、前端部にダクト52が設けられており、このダクト52を介して走行風が内部に導入され、この走行風の圧力がスロットルボディ45内の吸気通路48に加えられるように形成されている。
【0037】
前記サーボモータ44と二つのセンサ40,49とが接続されたコントローラ41は、図示していない制御弁開度マップに基づいて吸気制御弁31を制御する回路が採られている。前記マップは、スロットル弁46の開度と、エンジン回転数の二つのパラメータとに基づく制御弁開度が示されてあり、そのときどきでのエンジンの出力が最大になる制御弁開度が得られるように構成されている。なお、制御弁開度を決めるパラメータとしては、車速や吸気通路の負圧、吸気箱25に導入される動圧なども追加することができる。
【0038】
この実施の形態によれば、例えば、低回転・低負荷運転状態で急速にスロットル弁46が全開状態まで開いた場合、言い換えれば、スロットル弁46の開度変化に車速の変化が敏感に追従するような場合には、全閉状態から図4の何れかの最適な状態まで弁体32が回動する。
前記弁体32が回動するときの角度は、上述した各因子に対応して図4(a)〜(e)の何れかの状態になるように設定される。弁体32が回動するときには、コントローラ41は、回動角センサ40が検出した弁体32の角度と、前記因子に基づいて求めた目標角度とが一致するようにサーボモータ44を制御する。
【0039】
上述したように吸気制御弁31が動作することにより、スロットル弁46の下流側で吸気が制御され、そのときどきの状態おいてエンジン出力が最大になるように吸入空気量が制御される。このため、スロットル弁46を急速に開いたときに適切な回転上昇率でエンジン回転数が上昇するようになり、スロットルワークが容易になる。このように閉側へ一旦回動した弁体32は、サーボモータ44によって全開状態に至るように徐々に戻される。
【0040】
上述したように構成された吸気装置21は、吸気制御弁31の弁体32が吸気通路28の壁28aの一部を構成するように形成されており、吸気通路28中を横切るような部材が吸気制御弁31には設けられていないから、吸気制御弁31がバタフライ弁によって構成された従来のものに較べて吸気抵抗を低減することができる。このため、この吸気装置21を装備することによって、エンジン1の出力を向上させることができた。
【0041】
また、吸気制御弁31がスロットル弁46の下流側に設けられているから、スロットル弁46が急速に開いた後に吸気をエンジン1に吸入される途中で吸気制御弁31によって絞ることができる。このため、スロットル弁46が急速に開いたときに、スロットル弁46の下流側に存在する大量の空気がエンジン1に吸入されるのを吸気制御弁31によって確実に防ぐことができる。
【0042】
吸気制御弁31の弁体32は、吸気通路28内に露出する表面32aが全開状態で吸気通路28の隣接する壁面38,39と略同一面上に位置するように形成されているから、全開状態で弁体32が吸気通路28内に突出することがない。このため、スロットル弁46の開度が全開に近い状態(吸気制御弁31が全開になる状態)では、吸気制御弁31によって吸気抵抗が増加することはなく、吸気抵抗をより一層低減することができ、最高出力が増加する。
【0043】
この実施の形態による吸気装置21は、吸気制御弁31の弁体32とスロットル弁46との間に第1のインジェクタ26の燃料噴射口26aが位置付けられているから、吸気に乗るようにして流れるミスト状の燃料を吸気制御弁31によって制御することができるようになる。すなわち、吸気制御弁31によってベンチュリが構成され、吸気に乗るようにして流れるミスト状の燃料の流速がベンチュリによって高められるから、ミスト状の燃料の粒が吸気通路壁面に付着するのを防ぐことができる。
【0044】
さらに、この実施の形態においては、シリンダヘッド4に1気筒当たり三つの吸気ポートが形成され、このシリンダヘッド4とスロットルボディ45との間の吸気マニホールド23に吸気制御弁31が設けられているから、スロットルボディ45とシリンダヘッド4との間で吸気通路を吸気ポート10毎に分岐するように形成するに当たって、吸気マニホールド23内で通路断面の形状が緩やかに変化するように吸気通路28を形成し、吸気抵抗を低減することができる。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールド23に吸気制御弁31が設けられているから、専ら吸気制御弁31を設けるために用いる通路部材が不要になる。
【0045】
加えて、この実施の形態による吸気装置21は、吸気制御弁31の回動枢支部(支軸33)を上流側に位置付けて吸気制御弁31の下流側が吸気通路28に出没するように構成し、前記回動枢支部とスロットル弁46の開き側とが同一側部に位置付けられているから、スロットル弁46の弁体46bによって流れる方向が変えられて吸気通路48内の一側部に偏って流れる吸気が吸気制御弁31の近傍を通るようになる。このため、吸気制御弁31による吸気の制御を効率よく行うことができる。
【0046】
さらに、この実施の形態によれば、吸気制御弁31の回動枢支部(支軸33)とインジェクタ取付部とが同一側部に位置付けられているから、吸気制御弁31が全閉状態または全閉状態に近い状態でなければ燃料が吸気制御弁31に当たり難いから、吸気制御弁31によって燃料が遮られることが少なくなり、出力向上を図ることができる。
【0047】
さらにまた、吸気制御弁31の動作としては、吸気制御弁31をスロットル弁46の開閉動作に連動するように常に駆動し、スロットル弁46が急速に開いたときには吸気制御弁31の開動作を遅らせるように構成することもできる。特に、スロットル弁46の開く速度が速いときのみに吸気制御弁31が閉じて吸気を絞る形態を採ることにより、吸気制御弁31が必要でないときに吸気制御弁31によって吸気抵抗が増えることがないから、前記他の形態を採る場合に較べてエンジン1の出力を向上させることができる。
【0048】
また、上述した実施の形態では、第1のインジェクタ26がスロットルボディ45の後壁47に取付けられ、この第1のインジェクタ26の軸線が吸気通路48の中心線Cに対して角度αだけ傾斜しているから、吸気制御弁31の弁体32の回動角度が小さい(全開状態に近い)場合には、燃料が前記弁体32に当たり難くなる。このため、スロットル弁46の開く速度が相対的に遅い場合、すなわち車速が安定しているような場合には、燃料が途中で吸気制御弁31によって遮られることなく円滑にエンジン1に供給されるから、空燃比を正確に制御できるようになり、燃費向上を図ることができる。
【0049】
さらに、上述した実施の形態による吸気制御弁31は、サーボモータ44で駆動されるものであるから、開閉する時期、開度などを自由に設定することができる。このため、最適なエンジン特性が得られるように設定を変更することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
請求項7に記載した発明に係るエンジンの吸気装置を図7ないし図12によって詳細に説明する。
図7は吸気制御弁の他の実施の形態を示す断面図、図8は吸気マニホールドの一部を破断して示す平面図、図9は吸気マニホールドの側面図、図10は全気筒の吸気マニホールドを連結した状態を示す平面図、図11は吸気制御弁と吸気通路の概略構成を示す斜視図で、吸気制御弁および吸気通路の一部を破断した状態で描いてある。図12は吸気ポートの概略形状を示す斜視図である。これらの図において、前記図1〜図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0051】
図7に示す吸気制御弁は、上述した第1の実施の形態で示したものに較べて全閉時の吸気通路28の開口面積を小さくすることができるように、弁体32の長さ(回動軸線とは直交する方向の長さ)が長く形成されている。詳述すると、この弁体32は、図7に示す全開状態において、回動端部が吸気マニホールド23のシリンダヘッド側端部から吸気ポート10内へ突出する長さに形成されている。前記シリンダヘッド4における前記弁体32が臨む部位には、弁体32を収容するための凹陥部51が形成されている。
【0052】
この凹陥部51は、吸気マニホールド23の弁体収容用凹陥部37との間に段差なく接続するように形成されるとともに、ここに収容された弁体32の表面32a(吸気通路28に露出する面)が吸気ポート10の通路壁面10aと略同一面上に位置するように形成されている。すなわち、弁体32が図7に示すように全開状態にあるときには、前記通路壁面10aおよび吸気マニホールド23の内壁面と、弁体32の前記表面32aとが滑らかに接続する。
【0053】
このように弁体32が相対的に大きく形成された吸気制御弁31を装備したエンジンは、第1の実施の形態で示した吸気制御弁を用いる場合に較べて、スロットル弁46が急速に開いたとき(吸気制御弁31が全閉になるとき)の吸気通路の開口面積が小さくなるから、エンジン回転数の上昇率をより一層正確に制御することができるようになる。
【0054】
また、この実施の形態による吸気制御弁31は、弁体32を大きく形成するに当たって、弁体32の回動端部が吸気マニホールド23からシリンダヘッド4側へ突出する構成が採られているから、吸気マニホールド23の全長を長く形成することなく大型の弁体32を装備することができる。このため、大型の弁体32の全体を吸気マニホールド23内に収容する構成(第1の実施の形態の構成)に較べて、吸気マニホールド23を小型に形成することができ、燃焼室からスロットル弁46までの距離、いわゆる吸気管長を短く形成することができる。
【0055】
この実施の形態による吸気制御弁31は、図8〜図10に示すように、気筒毎の4個が互いにジョイント52を介して連動するように連結されている。また、各吸気制御弁31には、弁体32を開方向へ付勢するリターンスプリング53が設けられている。このリターンスプリング53は、ねじりコイルばねからなり、図8に示すように、吸気制御弁31の駆動軸34に固着された復帰用レバー54のボス54aに嵌合保持され、この復帰用レバー54と吸気マニホールド23との間に、弁体32を開方向へ付勢する状態で弾装されている。
【0056】
このようにリターンスプリング53を吸気制御弁31毎に設けることにより、駆動用ワイヤ43(図1,10参照)が切断したときや、前記ジョイント54に緩みが生じたりこれが破損したときに、リターンスプリング53の弾発力によって弁体32が全開位置に復帰するから、このような場合に弁体32によって吸気抵抗が不必要に増大することを阻止することができる。
【0057】
上述した第2の実施の形態では、吸気制御弁31を吸気マニホールド23に設ける例を示したが、吸気マニホールド23の代わりにスロットル弁装置24がシリンダヘッド4に直接取付けられるような場合には、このスロットル弁装置24に吸気制御弁31が設けられる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、吸気制御弁に吸気通路中を横切るような部材が吸気制御弁にはなく、吸気抵抗を低減することができるから、エンジンの出力を増大させることができる。
また、吸気制御弁がスロットル弁の下流側に設けられていることにより、スロットル弁が急速に開いた後に吸気をエンジンに吸入される途中で吸気制御弁によって絞ることができる。このため、スロットル弁が急速に開いたときに、スロットル弁の下流側に存在する大量の空気がエンジンに吸入されるのを確実に防ぐことができ、エンジン回転数の上昇率を正確に制御することができる。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、全開状態で吸気通路内に突出することがないように弁体を形成することができるから、吸気抵抗をより一層低減することができる。
請求項3記載の発明によれば、スロットル弁が急速に開いたときに、吸気に乗るようにしてエンジンに供給される燃料が増加するのを防ぐことができ、前記燃料を吸気制御弁によって正確に制御できるようになるから、エンジン回転数の上昇率をより一層正確に制御することができる。
【0060】
請求項4記載の発明によれば、吸気通路をスロットルボディとシリンダヘッドとの間で吸気ポート毎に分岐するように形成するに当たって、吸気マニホールド内で通路断面の形状が緩やかに変化するように吸気通路を形成し、吸気抵抗を低減することができる。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールドに吸気制御弁が設けられているから、専ら吸気制御弁を設けるために用いる通路部材が不要になる。
したがって、吸気抵抗がより一層低減するとともに、専ら吸気制御弁を設けるための通路部材が不要になって吸気装置のコストダウンと小型化とを図ることができる。
【0061】
請求項5記載の発明によれば、スロットル弁を通過した吸気が吸気制御弁の近傍に多く流れるようになるから、吸気制御弁による吸気の制御を効率よく行うことができ、より一層スロットルワークが容易になる。
【0062】
請求項6記載の発明によれば、吸気制御弁が全閉状態または全閉状態に近い状態でなければ燃料が吸気制御弁に当たり難くなるから、吸気制御弁によって燃料が遮られることが少なくなり、出力向上を図ることができる。
【0063】
請求項7記載の発明によれば、吸気通路形成用部材の全長を短く形成しながら、吸気制御弁の弁体を相対的に大きく形成することができ、吸気制御弁の全閉時の吸気通路の開口面積をより一層小さくすることができる。このため、吸気管長を短く形成して応答性を向上させることができるとともに、エンジン回転数の上昇率を吸気制御弁によってより一層正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸気装置を装備した自動二輪車用エンジンの側面図である。
【図2】吸気制御弁とスロットル弁を断面で示す吸気通路の断面図である。
【図3】吸気制御弁を拡大して示す断面図である。
【図4】吸気制御弁の動作を説明するための図である。
【図5】吸気ポートの開口形状を示す図である。
【図6】スライド式のスロットル弁を用いる例を示す断面図である。
【図7】吸気制御弁の他の実施の形態を示す断面図である。
【図8】吸気マニホールドの一部を破断して示す平面図である。
【図9】吸気マニホールドの側面図である。
【図10】全気筒の吸気マニホールドを連結した状態を示す平面図である。
【図11】吸気制御弁と吸気通路の概略構成を示す斜視図である。
【図12】吸気ポートの概略形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…エンジン、4…シリンダヘッド、10…吸気ポート、21…吸気装置、23…吸気マニホールド、26…第1のインジェクタ、26a…燃料噴射口、28,48…吸気通路、31…吸気制御弁、32…弁体、32a…表面、38,39…壁面、45…スロットルボディ、46…スロットル弁、46a…弁軸、51…凹陥部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットル弁の開度面積が最適な面積より過度に大きい場合に吸気制御弁によって通路面積を最適になるように制御するエンジンの吸気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の吸気制御弁としては、例えば特開2001−263186号公報に開示されているように、スロットル弁と同等の構造のバタフライ弁型のものがある。この吸気制御弁は、弁軸がスロットル弁の弁軸と平行になる状態でスロットル弁の上流側に設けられており、サーボモータ等のアクチュエータによって駆動する。
【0003】
上述した従来の吸気制御弁は、例えばスロットル弁が急速に開かれたときなどに吸気通路の通路断面積が急速に拡大することがないように、スロットル弁より遅れて開くように構成されている。すなわち、この吸気制御弁は、スロットル弁開度とエンジン回転数とに基づいて決まる最適な通路断面積(そのときにエンジン出力が最大になるような通路断面積)が得られるように制御されている。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−263186(図2および図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように構成された吸気制御弁を備えた従来の吸気装置は、吸気抵抗が大きいためにエンジンの出力を向上させることができないという問題があった。吸気抵抗が大きくなるのは、吸気制御弁がバタフライ弁によって構成されており、スロットル弁が全開になる状態でも吸気制御弁の弁体と弁軸とが吸気通路中に存在しているからである。
【0006】
また、従来の吸気装置は、制御の応答性が低く、望み通りのエンジン出力が得られないという問題もあった。これは、スロットル弁の上流側に吸気制御弁が設けられており、これにより吸入吸気量を制御しようとしても吸気制御弁の下流側に存在している大量の空気がエンジンに吸込まれるからであると考えられる。
【0007】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、エンジンの出力を増大させることができるとともに、エンジン回転数の上昇率を正確に制御できる吸気制御弁を備えたエンジンの吸気装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係るエンジンの吸気装置は、吸気制御弁の弁体をスロットル弁の下流側に設け、この弁体は、吸気通路の壁の一部を構成するように形成されるとともに、回動することによって一端部が吸気通路に対して出没するように形成されているものである。
【0009】
本発明によれば、吸気制御弁の弁体が吸気通路の壁の一部を構成しているから、吸気制御弁には吸気通路中を横切るような部材がなく、吸気抵抗を低減することができる。
また、吸気制御弁がスロットル弁の下流側に設けられていることにより、スロットル弁が急速に開いた後に吸気をエンジンに吸入される途中で吸気制御弁によって絞ることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1に記載した発明に係るエンジンの吸気装置において、弁体は、吸気通路内に露出する表面が全開状態で吸気通路の隣接する壁面と略同一面上に位置するように形成されているものである。
この発明によれば、全開状態で吸気通路内に突出することがないように弁体を形成することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1または請求項2に記載した発明に係るエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の弁体とスロットル弁との間にインジェクタの燃料噴射口を開口させたものである。
この発明によれば、燃料噴射口の下流側に吸気制御弁が位置付けられ、吸気制御弁によってベンチュリが構成されるから、吸気に乗るようにして流れるミスト状の燃料の流速がベンチュリによって高められる。このため、ミスト状の燃料の粒が吸気通路壁面に付着するのを防ぐことができる。
【0012】
請求項4に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項3に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、シリンダヘッドに1気筒当たり複数の吸気ポートを形成し、このシリンダヘッドとスロットルボディとの間の吸気マニホールドに吸気制御弁を設けたものである。
【0013】
この発明によれば、吸気通路をスロットルボディとシリンダヘッドとの間で吸気ポート毎に分岐するように形成するに当たって、吸気マニホールド内で通路断面の形状が緩やかに変化するように吸気通路を形成し、吸気抵抗を低減することができる。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールドに吸気制御弁が設けられているから、専ら吸気制御弁を設けるために用いる通路部材が不要になる。
【0014】
請求項5に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項4に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の回動枢支部を上流側に位置付けて吸気制御弁の下流側が吸気通路に出没するように構成し、前記回動枢支部とスロットル弁の開き側とを同一側部に位置付けたものである。
ここでいうスロットル弁の開き側とは、スロットル弁における吸気通路内壁面との間に吸気が最も多く流れるような隙間が形成される部位のことである。
【0015】
スロットル部の開き側を通過する吸気は、スロットル弁の下流側で吸気通路内の一側部に偏って流れる。この発明によれば、前記一側部に偏って流れる吸気が吸気制御弁の近傍を通るようになるから、吸気制御弁による吸気の制御を効率よく行うことができる。
【0016】
請求項6に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項5に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の回動枢支部とインジェクタ取付部とを同一側部に位置付けたものである。
この発明によれば、吸気制御弁が全閉状態または全閉状態に近い状態でなければ燃料が吸気制御弁に当たり難くなる。
【0017】
請求項7に記載した発明に係るエンジンの吸気装置は、請求項1ないし請求項6に記載した発明のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の弁体は、シリンダヘッドに取付けられた吸気通路形成用の部材に回動自在に支持され、全開状態で回動端部がシリンダヘッドの吸気ポート内に臨むように形成されているものである。
この発明によれば、吸気通路形成用部材の全長を短く形成しながら、吸気制御弁の弁体を相対的に大きく形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るエンジンの吸気装置の一実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る吸気装置を装備した自動二輪車用エンジンの側面図、図2は吸気制御弁とスロットル弁を断面で示す吸気通路の断面図、図3は吸気制御弁を拡大して示す断面図で、同図(a)は横断面図、同図(b)は縦断面図、同図(c)は(b)図におけるC−C線断面図である。図4は吸気制御弁の動作を説明するための図で、同図(a)は弁体の角度が10°の状態を示し、同図(b)は弁体の角度が20°の状態を示し、同図(c)は弁体の角度が30°の状態を示し、同図(d)は弁体の角度が40°の状態を示し、同図(e)は弁体の角度が45°の状態を示す。図5は吸気ポートの開口形状を示す図、図6はスライド式スロットル弁を用いる例を示す断面図である。
【0019】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による自動二輪車用のDOHC型4気筒エンジンである。図1において、2はシリンダボディを示し、3はクランクケース、4はシリンダヘッド、5はヘッドカバー、6は吸気カム軸、7は排気カム軸、8は吸気弁、9は排気弁、10は吸気ポート、11は排気ポートを示す。このエンジン1の内部の構造は、従来のものと同等であるから、ここにおいて詳細な説明は省略する。
【0020】
このエンジン1は、図示してはいないが、自動二輪車用車体フレームのダウンチューブにシリンダボディ2の前端部が支持されるとともに、リヤアームブラケット12にシリンダボディ2とクランクケース3の後端部が支持されており、シリンダの軸線が前傾するとともにクランク軸13の軸線方向が車幅方向を指向する状態で車体に搭載されている。
【0021】
シリンダヘッド4は、1気筒当たり3本の吸気弁8と、2本の排気弁9とが設けられている。前記3本の吸気弁8によって開閉される三つの吸気ポート10は、シリンダヘッド4の後面に後ろ斜め上方を指向するように開口され、本発明に係る吸気装置21が接続されている。また、前記排気弁9によって開閉される排気ポート11は、シリンダヘッド4の前面に開口され、排気管22が接続されている。
【0022】
吸気装置21は、シリンダヘッド4に取付けられた吸気マニホールド23と、この吸気マニホールド23の上流側端部に取付けられたスロットル弁装置24と、このスロットル弁装置24を囲むように形成された吸気箱25と、前記スロットル弁装置24に設けられた第1および第2のインジェクタ26,27などによって構成されている。この吸気装置21は、吸気マニホールド23とスロットル弁装置24とが気筒毎に設けられ、各気筒の三つの吸気ポート10に各気筒用の一つのスロットル弁装置24から吸気を供給するように構成されている。
すなわち、この実施の形態による吸気装置21は、図2に示す吸気マニホールド23とスロットル弁装置24とが車幅方向に4組並設され、4個のスロットル弁装置24が一つの吸気箱25に収容されている。
【0023】
前記吸気マニホールド23は、図1〜図3に示すように、内部に吸気通路28が形成され、この吸気通路28を挾んで前記ヘッドカバー5とは反対側(図1,2においては右側であって車体後側)の一側部(以下、この一側部を後部という)に吸気制御弁31が設けられている。
吸気マニホールド23内の吸気通路28は、図3(c)に示すように、上流側端部の円形状の開口23aと下流側端部の長円状の開口23bとを接続するように形成されており、上流側から下流側に向かうにしたがって断面形状が徐々に変化するように形成されている。
【0024】
前記下流側端部の開口23bは、シリンダヘッド4に1気筒当たり三つ形成された吸気ポート10と対応するように、車幅方向に長くなるように形成されている。シリンダヘッド4における吸気ポート10の開口部分(吸気マニホールド23を取付ける部分)を図5に示す。吸気ポート10の開口部分は、三つの吸気ポート10を車幅方向へ一列に並べるようにして形成され、長円状に開口している。
【0025】
吸気通路を一つのスロットル弁装置24から三つの吸気ポート10に延びるように三股状に形成するためには、この実施の形態で示すように、途中に吸気マニホールド23を設けて通路断面の形状が緩やかに変わるようにすることが吸気抵抗を低減するうえで重要である。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールド23に、本発明に係る吸気制御弁31が設けられている。
【0026】
吸気制御弁31は、図2および図3に示すように、吸気マニホールド23内の吸気通路28の後部の壁28aの一部を構成するように板状に形成された弁体32と、この弁体32における吸気通路28の上流側に位置する一端部に一体に形成されて車幅方向に延びる筒状の支軸33と、この支軸33を貫通して固定された駆動軸34を有するアクチュエータ35などによって構成されている。
前記弁体32は、これに一体に形成された前記支軸33が吸気マニホールド23の軸孔36に嵌合されることによって、吸気マニホールド23に回動自在に支持されている。前記駆動軸34は、前記吸気通路28の断面形状の長円の長径方向と平行に設けられている。この構成を採ることにより、吸気制御弁31の全閉時の突出量を少なく抑えることができ、回動角度が小さくなって応答性を向上させることができる。
【0027】
前記弁体32が閉じるときの回動方向は、図2中に矢印Aで示すように、同図において時計方向で、後述するスロットル弁の開弁時の回動方向と同一方向である。この弁体32は、全開状態では吸気マニホールド23の前記壁28aに形成された凹陥部37内に収容され、全閉状態では、図2,3に示すように、支軸33を中心に前記A方向に回動して吸気通路28内に突出する。なお、図3(c)は、図3(b)における弁体32が全閉状態にあるときのC−C線断面図である。すなわち、この弁体32は、吸気通路28の上流側に位置する一端部を中心にして回動し、他端部(下流側端部)が吸気通路28に対して出没するように構成されている。
【0028】
弁体32を全開位置から全閉位置まで回動させることにより、吸気通路28の開口面積は図4(a)〜(e)に示すように徐々に小さくなる。図4(a)は、図3(b)において弁体32が全開位置から時計回りに10°だけ閉側へ回動した状態で描いてある。図4(b)に示す弁体32の回動角度は20°、同図(c)に示す回動角度は30°、同図(d)に示す回動角度は40°、同図(e)に示す回動角度は45°である。図4(e)は弁体32が全閉になる状態を示している。
【0029】
また、弁体32は、図3(b)に示すように、前記凹陥部37内に収納された全開状態において、吸気通路28内に露出する表面32aが吸気通路28の隣接する壁面38と略同一面上に位置するように形成されている。すなわち、弁体32が全開状態にあるときには、前記壁面38と、吸気マニホールド23の下流側端部の両側面39(断面円弧状の凹曲面)とがそれぞれ弁体32の前記表面32aに滑らかに接続する。
【0030】
前記支軸33は、図3(c)に示すように、吸気通路28の横幅と略等しい長さをもって形成され、軸線方向の中央部に前記弁体32が設けられている。
前記駆動軸34は、前記支軸33の軸心部を貫通させた状態で支軸33に固着されている。この実施の形態による駆動軸34は、車幅方向に並ぶ4個の吸気マニホールド23にそれぞれ設けられ、図示していないユニバーサルジョイントによって互いに連動するように連結されている。また、この4本の駆動軸34を接続してなる軸組立体は、車体左側の端部にアクチュエータ35が接続されるとともに、車体右側の端部に前記弁体32の回動角度を検出するための回動角センサ40(図2参照)が接続されている。この回動角センサ40は、コントローラ41(図1参照)に弁体32の回動角度を示すデータを送出する構成のものである。また、駆動軸34は、これを開方向へ付勢するためのねじりコイルばね(図示せず)が装着されている。
【0031】
前記アクチュエータ35は、図1に示すように、前記駆動軸34にプーリ42と2本のワイヤ43,43とを介してサーボモータ44を接続した構成のものである。前記サーボモータ44は、前記コントローラ41に接続されており、このコントローラ41から送られた制御信号によって作動し、前記ねじりコイルばねの弾発力に抗して駆動軸34を弁体32とともに回動させる。
【0032】
前記スロットル弁装置24は、図2に示すように、スロットルボディ45にバタフライ弁からなるスロットル弁46を設けた構造のもので、スロットルボディ45の車体後側に位置する後壁47に第1のインジェクタ26が取付けられている。前記スロットルボディ45は、上流側端部にエアファンネル45aが図示していない固定用ボルトによって取付けられている。また、このスロットルボディ45内の吸気通路48は、通路断面の形状が円形状に形成されている。なお、スロットル弁46としては、上記したバタフライ弁型のものの他に、図6に示すように、弁体46aがスロットルボディ45に対してスライドする構成のものを用いることができる。図6においては、図2で示したものと同等の部材については、同一の符号を付してある。
【0033】
前記スロットル弁46の弁軸46aは、その軸線が車幅方向を指向する状態でスロットルボディ45を貫通してこれに回動自在に支持されており、軸端部に弁体46bの角度(スロットル弁開度)を検出するためのスロットル開度センサ49が接続されている。この実施の形態では、気筒毎のスロットルボディ45に弁軸46aがそれぞれ設けられ、これら4本の弁軸46aどうしが互いに連動するように連結されている。この4本の弁軸46aは、途中にスロットルワイヤ(図示せず)が接続されている。前記スロットル開度センサ49は、前記コントローラ41にスロットル弁開度のデータを送出する構成のもので、車体右側の端部に位置する弁軸46aの軸端部に接続されている。
【0034】
スロットル弁46の弁体46bは、開弁時に図2中に矢印Bで示す方向(同図においては時計方向)に回動するように前記弁軸46aに固定されている。図2は、スロットル弁46をアイドリング位置から低速運転位置まで開いた状態で描いてある。このように弁体32の開く方向を設定することによって、吸気は、スロットル弁装置24を通過するときに、弁体46bに沿ってスロットルボディ45の前記後壁47に近付くように流れる。このときに吸気の流れる方向を図2中に白抜き矢印によって示す。そして、吸気は、スロットル弁46と前記後壁47との間の隙間を通って下流側に流れる。この下流側には、前記吸気制御弁31が位置付けられている。本発明に係るスロットル弁46の開き側とは、前記弁体46bにおける前記後壁47との間に前記隙間が形成される部位のことである。図6に示すスライド式スロットル弁46の開き側とは、弁体46aの先端部のことである。
【0035】
スロットル弁装置24に設けられた第1および第2のインジェクタ26,27は、従来からよく知られているものと同等のものが用いられている。第1のインジェクタ26は、図2に示すように、吸気通路48の中心線Cに対して角度αだけ車体後側に傾斜するとともに、前記吸気制御弁31の弁体32とスロットル弁46との間に先端部の燃料噴射口26aが開口するようにスロットルボディ45に取付けられている。第2のインジェクタ27は、前記第1のインジェクタ26に支持用ステー51(図1参照)を介して支持され、前記エアファンネル45aの上方に配置されている。
【0036】
この第2のインジェクタ27は、軸線がスロットルボディ45内の吸気通路48の中心線Cと略平行になるように設定されている。前記第1のインジェクタ26は、エンジン運転域の全域にわたって燃料を供給するが、第2のインジェクタ27は、高回転・高負荷運転時のみに燃料を補助的に供給する。なお、スロットル弁46が全開状態であるときには、第2のインジェクタ27のみから燃料が供給される。
スロットル弁装置24を収容する吸気箱25は、前端部にダクト52が設けられており、このダクト52を介して走行風が内部に導入され、この走行風の圧力がスロットルボディ45内の吸気通路48に加えられるように形成されている。
【0037】
前記サーボモータ44と二つのセンサ40,49とが接続されたコントローラ41は、図示していない制御弁開度マップに基づいて吸気制御弁31を制御する回路が採られている。前記マップは、スロットル弁46の開度と、エンジン回転数の二つのパラメータとに基づく制御弁開度が示されてあり、そのときどきでのエンジンの出力が最大になる制御弁開度が得られるように構成されている。なお、制御弁開度を決めるパラメータとしては、車速や吸気通路の負圧、吸気箱25に導入される動圧なども追加することができる。
【0038】
この実施の形態によれば、例えば、低回転・低負荷運転状態で急速にスロットル弁46が全開状態まで開いた場合、言い換えれば、スロットル弁46の開度変化に車速の変化が敏感に追従するような場合には、全閉状態から図4の何れかの最適な状態まで弁体32が回動する。
前記弁体32が回動するときの角度は、上述した各因子に対応して図4(a)〜(e)の何れかの状態になるように設定される。弁体32が回動するときには、コントローラ41は、回動角センサ40が検出した弁体32の角度と、前記因子に基づいて求めた目標角度とが一致するようにサーボモータ44を制御する。
【0039】
上述したように吸気制御弁31が動作することにより、スロットル弁46の下流側で吸気が制御され、そのときどきの状態おいてエンジン出力が最大になるように吸入空気量が制御される。このため、スロットル弁46を急速に開いたときに適切な回転上昇率でエンジン回転数が上昇するようになり、スロットルワークが容易になる。このように閉側へ一旦回動した弁体32は、サーボモータ44によって全開状態に至るように徐々に戻される。
【0040】
上述したように構成された吸気装置21は、吸気制御弁31の弁体32が吸気通路28の壁28aの一部を構成するように形成されており、吸気通路28中を横切るような部材が吸気制御弁31には設けられていないから、吸気制御弁31がバタフライ弁によって構成された従来のものに較べて吸気抵抗を低減することができる。このため、この吸気装置21を装備することによって、エンジン1の出力を向上させることができた。
【0041】
また、吸気制御弁31がスロットル弁46の下流側に設けられているから、スロットル弁46が急速に開いた後に吸気をエンジン1に吸入される途中で吸気制御弁31によって絞ることができる。このため、スロットル弁46が急速に開いたときに、スロットル弁46の下流側に存在する大量の空気がエンジン1に吸入されるのを吸気制御弁31によって確実に防ぐことができる。
【0042】
吸気制御弁31の弁体32は、吸気通路28内に露出する表面32aが全開状態で吸気通路28の隣接する壁面38,39と略同一面上に位置するように形成されているから、全開状態で弁体32が吸気通路28内に突出することがない。このため、スロットル弁46の開度が全開に近い状態(吸気制御弁31が全開になる状態)では、吸気制御弁31によって吸気抵抗が増加することはなく、吸気抵抗をより一層低減することができ、最高出力が増加する。
【0043】
この実施の形態による吸気装置21は、吸気制御弁31の弁体32とスロットル弁46との間に第1のインジェクタ26の燃料噴射口26aが位置付けられているから、吸気に乗るようにして流れるミスト状の燃料を吸気制御弁31によって制御することができるようになる。すなわち、吸気制御弁31によってベンチュリが構成され、吸気に乗るようにして流れるミスト状の燃料の流速がベンチュリによって高められるから、ミスト状の燃料の粒が吸気通路壁面に付着するのを防ぐことができる。
【0044】
さらに、この実施の形態においては、シリンダヘッド4に1気筒当たり三つの吸気ポートが形成され、このシリンダヘッド4とスロットルボディ45との間の吸気マニホールド23に吸気制御弁31が設けられているから、スロットルボディ45とシリンダヘッド4との間で吸気通路を吸気ポート10毎に分岐するように形成するに当たって、吸気マニホールド23内で通路断面の形状が緩やかに変化するように吸気通路28を形成し、吸気抵抗を低減することができる。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールド23に吸気制御弁31が設けられているから、専ら吸気制御弁31を設けるために用いる通路部材が不要になる。
【0045】
加えて、この実施の形態による吸気装置21は、吸気制御弁31の回動枢支部(支軸33)を上流側に位置付けて吸気制御弁31の下流側が吸気通路28に出没するように構成し、前記回動枢支部とスロットル弁46の開き側とが同一側部に位置付けられているから、スロットル弁46の弁体46bによって流れる方向が変えられて吸気通路48内の一側部に偏って流れる吸気が吸気制御弁31の近傍を通るようになる。このため、吸気制御弁31による吸気の制御を効率よく行うことができる。
【0046】
さらに、この実施の形態によれば、吸気制御弁31の回動枢支部(支軸33)とインジェクタ取付部とが同一側部に位置付けられているから、吸気制御弁31が全閉状態または全閉状態に近い状態でなければ燃料が吸気制御弁31に当たり難いから、吸気制御弁31によって燃料が遮られることが少なくなり、出力向上を図ることができる。
【0047】
さらにまた、吸気制御弁31の動作としては、吸気制御弁31をスロットル弁46の開閉動作に連動するように常に駆動し、スロットル弁46が急速に開いたときには吸気制御弁31の開動作を遅らせるように構成することもできる。特に、スロットル弁46の開く速度が速いときのみに吸気制御弁31が閉じて吸気を絞る形態を採ることにより、吸気制御弁31が必要でないときに吸気制御弁31によって吸気抵抗が増えることがないから、前記他の形態を採る場合に較べてエンジン1の出力を向上させることができる。
【0048】
また、上述した実施の形態では、第1のインジェクタ26がスロットルボディ45の後壁47に取付けられ、この第1のインジェクタ26の軸線が吸気通路48の中心線Cに対して角度αだけ傾斜しているから、吸気制御弁31の弁体32の回動角度が小さい(全開状態に近い)場合には、燃料が前記弁体32に当たり難くなる。このため、スロットル弁46の開く速度が相対的に遅い場合、すなわち車速が安定しているような場合には、燃料が途中で吸気制御弁31によって遮られることなく円滑にエンジン1に供給されるから、空燃比を正確に制御できるようになり、燃費向上を図ることができる。
【0049】
さらに、上述した実施の形態による吸気制御弁31は、サーボモータ44で駆動されるものであるから、開閉する時期、開度などを自由に設定することができる。このため、最適なエンジン特性が得られるように設定を変更することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
請求項7に記載した発明に係るエンジンの吸気装置を図7ないし図12によって詳細に説明する。
図7は吸気制御弁の他の実施の形態を示す断面図、図8は吸気マニホールドの一部を破断して示す平面図、図9は吸気マニホールドの側面図、図10は全気筒の吸気マニホールドを連結した状態を示す平面図、図11は吸気制御弁と吸気通路の概略構成を示す斜視図で、吸気制御弁および吸気通路の一部を破断した状態で描いてある。図12は吸気ポートの概略形状を示す斜視図である。これらの図において、前記図1〜図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0051】
図7に示す吸気制御弁は、上述した第1の実施の形態で示したものに較べて全閉時の吸気通路28の開口面積を小さくすることができるように、弁体32の長さ(回動軸線とは直交する方向の長さ)が長く形成されている。詳述すると、この弁体32は、図7に示す全開状態において、回動端部が吸気マニホールド23のシリンダヘッド側端部から吸気ポート10内へ突出する長さに形成されている。前記シリンダヘッド4における前記弁体32が臨む部位には、弁体32を収容するための凹陥部51が形成されている。
【0052】
この凹陥部51は、吸気マニホールド23の弁体収容用凹陥部37との間に段差なく接続するように形成されるとともに、ここに収容された弁体32の表面32a(吸気通路28に露出する面)が吸気ポート10の通路壁面10aと略同一面上に位置するように形成されている。すなわち、弁体32が図7に示すように全開状態にあるときには、前記通路壁面10aおよび吸気マニホールド23の内壁面と、弁体32の前記表面32aとが滑らかに接続する。
【0053】
このように弁体32が相対的に大きく形成された吸気制御弁31を装備したエンジンは、第1の実施の形態で示した吸気制御弁を用いる場合に較べて、スロットル弁46が急速に開いたとき(吸気制御弁31が全閉になるとき)の吸気通路の開口面積が小さくなるから、エンジン回転数の上昇率をより一層正確に制御することができるようになる。
【0054】
また、この実施の形態による吸気制御弁31は、弁体32を大きく形成するに当たって、弁体32の回動端部が吸気マニホールド23からシリンダヘッド4側へ突出する構成が採られているから、吸気マニホールド23の全長を長く形成することなく大型の弁体32を装備することができる。このため、大型の弁体32の全体を吸気マニホールド23内に収容する構成(第1の実施の形態の構成)に較べて、吸気マニホールド23を小型に形成することができ、燃焼室からスロットル弁46までの距離、いわゆる吸気管長を短く形成することができる。
【0055】
この実施の形態による吸気制御弁31は、図8〜図10に示すように、気筒毎の4個が互いにジョイント52を介して連動するように連結されている。また、各吸気制御弁31には、弁体32を開方向へ付勢するリターンスプリング53が設けられている。このリターンスプリング53は、ねじりコイルばねからなり、図8に示すように、吸気制御弁31の駆動軸34に固着された復帰用レバー54のボス54aに嵌合保持され、この復帰用レバー54と吸気マニホールド23との間に、弁体32を開方向へ付勢する状態で弾装されている。
【0056】
このようにリターンスプリング53を吸気制御弁31毎に設けることにより、駆動用ワイヤ43(図1,10参照)が切断したときや、前記ジョイント54に緩みが生じたりこれが破損したときに、リターンスプリング53の弾発力によって弁体32が全開位置に復帰するから、このような場合に弁体32によって吸気抵抗が不必要に増大することを阻止することができる。
【0057】
上述した第2の実施の形態では、吸気制御弁31を吸気マニホールド23に設ける例を示したが、吸気マニホールド23の代わりにスロットル弁装置24がシリンダヘッド4に直接取付けられるような場合には、このスロットル弁装置24に吸気制御弁31が設けられる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、吸気制御弁に吸気通路中を横切るような部材が吸気制御弁にはなく、吸気抵抗を低減することができるから、エンジンの出力を増大させることができる。
また、吸気制御弁がスロットル弁の下流側に設けられていることにより、スロットル弁が急速に開いた後に吸気をエンジンに吸入される途中で吸気制御弁によって絞ることができる。このため、スロットル弁が急速に開いたときに、スロットル弁の下流側に存在する大量の空気がエンジンに吸入されるのを確実に防ぐことができ、エンジン回転数の上昇率を正確に制御することができる。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、全開状態で吸気通路内に突出することがないように弁体を形成することができるから、吸気抵抗をより一層低減することができる。
請求項3記載の発明によれば、スロットル弁が急速に開いたときに、吸気に乗るようにしてエンジンに供給される燃料が増加するのを防ぐことができ、前記燃料を吸気制御弁によって正確に制御できるようになるから、エンジン回転数の上昇率をより一層正確に制御することができる。
【0060】
請求項4記載の発明によれば、吸気通路をスロットルボディとシリンダヘッドとの間で吸気ポート毎に分岐するように形成するに当たって、吸気マニホールド内で通路断面の形状が緩やかに変化するように吸気通路を形成し、吸気抵抗を低減することができる。このように吸気抵抗を低減するために用いる吸気マニホールドに吸気制御弁が設けられているから、専ら吸気制御弁を設けるために用いる通路部材が不要になる。
したがって、吸気抵抗がより一層低減するとともに、専ら吸気制御弁を設けるための通路部材が不要になって吸気装置のコストダウンと小型化とを図ることができる。
【0061】
請求項5記載の発明によれば、スロットル弁を通過した吸気が吸気制御弁の近傍に多く流れるようになるから、吸気制御弁による吸気の制御を効率よく行うことができ、より一層スロットルワークが容易になる。
【0062】
請求項6記載の発明によれば、吸気制御弁が全閉状態または全閉状態に近い状態でなければ燃料が吸気制御弁に当たり難くなるから、吸気制御弁によって燃料が遮られることが少なくなり、出力向上を図ることができる。
【0063】
請求項7記載の発明によれば、吸気通路形成用部材の全長を短く形成しながら、吸気制御弁の弁体を相対的に大きく形成することができ、吸気制御弁の全閉時の吸気通路の開口面積をより一層小さくすることができる。このため、吸気管長を短く形成して応答性を向上させることができるとともに、エンジン回転数の上昇率を吸気制御弁によってより一層正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸気装置を装備した自動二輪車用エンジンの側面図である。
【図2】吸気制御弁とスロットル弁を断面で示す吸気通路の断面図である。
【図3】吸気制御弁を拡大して示す断面図である。
【図4】吸気制御弁の動作を説明するための図である。
【図5】吸気ポートの開口形状を示す図である。
【図6】スライド式のスロットル弁を用いる例を示す断面図である。
【図7】吸気制御弁の他の実施の形態を示す断面図である。
【図8】吸気マニホールドの一部を破断して示す平面図である。
【図9】吸気マニホールドの側面図である。
【図10】全気筒の吸気マニホールドを連結した状態を示す平面図である。
【図11】吸気制御弁と吸気通路の概略構成を示す斜視図である。
【図12】吸気ポートの概略形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…エンジン、4…シリンダヘッド、10…吸気ポート、21…吸気装置、23…吸気マニホールド、26…第1のインジェクタ、26a…燃料噴射口、28,48…吸気通路、31…吸気制御弁、32…弁体、32a…表面、38,39…壁面、45…スロットルボディ、46…スロットル弁、46a…弁軸、51…凹陥部。
Claims (7)
- スロットル弁とは別に吸入空気量を制御可能とする吸気制御弁を備えたエンジンの吸気装置において、前記吸気制御弁の弁体をスロットル弁の下流側に設け、前記弁体は、吸気通路の壁の一部を構成するように形成されるとともに、回動することによって一端部が吸気通路に対して出没するように形成されているエンジンの吸気装置。
- 請求項1記載のエンジンの吸気装置において、弁体は、吸気通路内に露出する表面が全開状態で吸気通路の隣接する壁面と略同一面上に位置するように形成されているエンジンの吸気装置。
- 請求項1または請求項2記載のエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の弁体とスロットル弁との間にインジェクタの燃料噴射口を開口させてなるエンジンの吸気装置。
- 請求項1ないし請求項3のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、シリンダヘッドに1気筒当たり複数の吸気ポートを形成し、このシリンダヘッドとスロットルボディとの間の吸気マニホールドに吸気制御弁を設けてなるエンジンの吸気装置。
- 請求項1ないし請求項4のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の回動枢支部を上流側に位置付けて吸気制御弁の下流側が吸気通路に出没するように構成し、前記回動枢支部とスロットル弁の開き側とを同一側部に位置付けたことを特徴とするエンジンの吸気装置。
- 請求項1ないし請求項5のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の回動枢支部とインジェクタ取付部とを同一側部に位置付けたことを特徴とするエンジンの吸気装置。
- 請求項1ないし請求項6のうち何れか一つのエンジンの吸気装置において、吸気制御弁の弁体は、シリンダヘッドに取付けられた吸気通路形成用の部材に回動自在に支持され、全開状態で回動端部がシリンダヘッドの吸気ポート内に臨むように形成されていることを特徴とするエンジンの吸気装置。
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JP2006329161A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
AT503181B1 (de) * | 2007-04-17 | 2008-10-15 | Avl List Gmbh | Einlasskanalanordnung für eine brennkraftmaschine |
CN102691580A (zh) * | 2011-12-25 | 2012-09-26 | 河南科技大学 | 一种电动型进气制动器 |
CN115680815A (zh) * | 2021-07-26 | 2023-02-03 | 比亚迪股份有限公司 | 发动机以及车辆 |
JP2023049996A (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-10 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関 |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002343439A patent/JP2004003424A/ja active Pending
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